(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-07
(54)【発明の名称】二重プレナムフラクタルシャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20221130BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20221130BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20221130BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 B
C23C16/455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521073
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-03
(86)【国際出願番号】 US2020055430
(87)【国際公開番号】W WO2021076527
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・クリント・エドワード
(72)【発明者】
【氏名】タッカー・ジェレミー・トッド
(72)【発明者】
【氏名】ショエップ・アラン・エム.
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA03
4K030EA06
4K030KA46
4K030LA12
4K030LA15
5F004AA01
5F004BA04
5F004BB28
5F004BD04
5F045BB01
5F045DP03
5F045EF05
5F045EH13
(57)【要約】
【解決手段】処理工程中に半導体ウエハ全体に異なる半導体プロセスガスを分配するための二重プレナムフラクタル(DPF)シャワーヘッドが提供される。DPFシャワーヘッドは、複数の層を有してもよく、各層がガス分配構造のパターンを有し、各層のガス分配構造は概ね、すぐ上流の層におけるガス分配構造に形状が類似するが、サイズはそれよりも小さくなる。このようなガス流路の「フラクタル」的な構造により、処理工程中に半導体ウエハの表面全体に非常に均一にプロセスガスを供給でき、それによりウエハの均一性が向上する。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理装置であって、
本体と、第1のプレナム入口と、第2のプレナム入口と、複数の第1のガス分配孔と、複数の第2のガス分配孔とを含むシャワーヘッドを含み、
前記本体は、複数の層を含み、前記複数の層は、2つ以上のフラクタル層の適切なサブセットを含み、各前記フラクタル層は、第1の径方向対称ガス分配構造のセットと第2の径方向対称ガス分配構造のセットとを含み、
各前記第1の径方向対称ガス分配構造は、第1のハブプレナムと、前記第1のハブプレナムに流体的に接続されるとともに前記第1のハブプレナムから放射状に外側に延びる複数の第1のスポーク通路と、複数の第1のライザーポートとを含み、各前記第1のライザーポートは、前記第1のスポーク通路のうちの1つの遠端部に位置し、
各前記第2の径方向対称ガス分配構造は、第2のハブプレナムと、前記第2のハブプレナムに流体的に接続されるとともに前記第2のハブプレナムから放射状に外側に延びる複数の第2のスポーク通路と、複数の第2のライザーポートとを含み、各前記第2のライザーポートは、前記第2のスポーク通路のうちの1つの遠端部に位置し、
前記フラクタル層の各フラクタル層について、
そのフラクタル層における各前記第1の径方向対称ガス分配構造は、対応する前記第1のハブプレナムが、すぐ上流の層における第1のライザーポートの下方に位置するように位置し、
そのフラクタル層における各前記第2の径方向対称ガス分配構造は、対応する前記第2のハブプレナムが、すぐ上流の層における第2のライザーポートの下方に位置するように位置する、
半導体処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体処理装置であって、
前記フラクタル層のうちの1つは、第1の部分的径方向対称ガス分配構造のセットをさらに含み、各前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造は、そのフラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造のいずれよりも少ない数の第1のスポーク通路が流体的に接続された第1のハブプレナムを含む、
半導体処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の半導体処理装置であって、
前記本体は、前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造のセットを有する前記フラクタル層のすぐ上流に供給層をさらに含み、
前記供給層は、複数の第1の供給プレナムを含み、各前記第1の供給プレナムは、各前記第1の供給プレナムに流体的に接続される1つ以上の第1の供給スポーク通路を含み、各前記第1の供給スポーク通路は、遠端部に第1の供給ライザーポートを含み、各前記第1の供給ライザーポートは、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1のハブプレナムのうちの対応する1つの上方に位置するとともに前記対応する1つに流体的に接続され、
前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造の第1のハブプレナムに流体的に接続される第1の供給ライザーポートを有する前記第1の供給スポーク通路は、それぞれ第1の長さを有し、
前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造の第1のハブプレナムに流体的に接続される第1の供給ライザーポートを有する前記第1の供給スポーク通路は、それぞれ前記第1の長さよりも長い長さを有する、
半導体処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の半導体処理装置であって、
前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造のセットを有する前記フラクタル層は、第2の部分的径方向対称ガス分配構造のセットをさらに含み、各前記第2の部分的径方向対称ガス分配構造は、そのフラクタル層における前記第2の径方向対称ガス分配構造のいずれよりも少ない数の第2のスポーク通路を有する第2のハブプレナムを含む、
半導体処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体処理装置であって、
前記本体は、前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造のセットおよび前記第2の部分的径方向対称ガス分配構造のセットを有する前記フラクタル層のすぐ上流に供給層をさらに含み、
前記供給層は、複数の第1の供給プレナムと複数の第2の供給プレナムとを含み、各前記第1の供給プレナムは、各前記第1の供給プレナムに流体的に接続される1つ以上の第1の供給スポーク通路を含み、各前記第2の供給プレナムは、各前記第2の供給プレナムに流体的に接続される1つ以上の第2の供給スポーク通路を含み、各前記第1の供給スポーク通路は、遠端部に第1の供給ライザーポートを含み、各前記第2の供給スポーク通路は、遠端部に第2の供給ライザーポートを含み、各前記第1の供給ライザーポートは、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1のハブプレナムのうちの対応する1つの上方に位置するとともに前記対応する1つに流体的に接続され、各前記第2の供給ライザーポートは、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第2のハブプレナムのうちの対応する1つの上方に位置するとともに前記対応する1つに流体的に接続され、
前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造の第1のハブプレナムに流体的に接続される第1の供給ライザーポートを有する前記第1の供給スポーク通路は、それぞれ第1の長さを有し、
前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造の第1のハブプレナムに流体的に接続される第1の供給ライザーポートを有する前記第1の供給スポーク通路は、それぞれ前記第1の長さよりも長い長さを有し、
前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第2の径方向対称ガス分配構造の第2のハブプレナムに流体的に接続される第2の供給ライザーポートを有する前記第2の供給スポーク通路は、それぞれ第2の長さを有し、
前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第2の部分的径方向対称ガス分配構造の第2のハブプレナムに流体的に接続される第2の供給ライザーポートを有する前記第2の供給スポーク通路は、それぞれ前記第2の長さよりも長い長さを有する、
半導体処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載の半導体処理装置であって、
前記フラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造は、それぞれ4つの第1のスポーク通路を含み、前記フラクタル層における前記第2の径方向対称ガス分配構造は、それぞれ4つの第2のスポーク通路を含む、
半導体処理装置。
【請求項7】
請求項6に記載の半導体処理装置であって、
前記フラクタル層のうちの少なくとも1つのフラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造および前記第2の径方向対称ガス分配構造のそれぞれの前記第1のスポーク通路および前記第2のスポーク通路は、同じ高さにある、
半導体処理装置。
【請求項8】
請求項6に記載の半導体処理装置であって、
前記フラクタル層の各フラクタル層について、
前記第1のスポーク通路はそれぞれ、直交する2つの第1の通路軸のうちの1つと整列し、
前記第2のスポーク通路はそれぞれ、直交する2つの第2の通路軸のうちの1つと整列し、
前記第1の通路軸は、前記第2の通路軸と45°位相がずれている、
半導体処理装置。
【請求項9】
請求項6に記載の半導体処理装置であって、
前記フラクタル層のうち、すぐ上流のフラクタル層が存在する各フラクタル層について、そのフラクタル層の前記第1の径方向対称ガス分配構造はそれぞれ、その対応する第1のライザーポート間の中心間間隔が、前記すぐ上流のフラクタル層の前記第1の径方向対称ガス分配構造における第1のライザーポート間の対応する中心間間隔の約50%である、
半導体処理装置。
【請求項10】
請求項6に記載の半導体処理装置であって、
前記フラクタル層のうち、すぐ上流のフラクタル層が存在する各フラクタル層について、そのフラクタル層の前記第2の径方向対称ガス分配構造はそれぞれ、その対応する第2のライザーポート間の中心間間隔が、前記すぐ上流のフラクタル層の前記第2の径方向対称ガス分配構造における第2のライザーポート間の対応する中心間間隔の約50%である、
半導体処理装置。
【請求項11】
請求項1に記載の半導体処理装置であって、
少なくとも3つのフラクタル層が設けられる、
半導体処理装置。
【請求項12】
請求項1に記載の半導体処理装置であって、
前記本体は、セラミック材料から形成される、
半導体処理装置。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体処理装置であって、
前記本体は、互いに融合される複数のセラミック材料の個別層から形成される、
半導体処理装置。
【請求項14】
請求項12に記載の半導体処理装置であって、
前記本体は、3Dプリントされた構造体である、
半導体処理装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の半導体処理装置であって、
処理チャンバと、
台座と、をさらに含み、
前記台座は、前記処理チャンバ内に位置し、
前記シャワーヘッドは、前記処理チャンバ内で前記台座の上方に位置する、
半導体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[参照による援用]
本出願の一部として、PCT願書様式を本明細書と同時に提出する。同時に提出したPCT願書様式において特定される、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、その内容全体が参照により、すべての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
半導体製造ツールには、処理中の半導体ウエハ上に半導体プロセスガスを分散して吐出するための「シャワーヘッド」が含まれることが多い。このようなシャワーヘッドは通常、シャワーヘッド内部に大きく開いたプレナム空間、例えば、処理中のウエハの直径と少なくとも同じ直径を有する円筒状の容積を備え、この空間は、シャワーヘッドの下面に配置された複数のガス分配ポートに流体的に接続される。このようなツールの一部において、シャワーヘッドは、処理中のウエハ全体に2種類の異なるプロセスガスを分配可能なように構成される場合がある。
【0003】
本明細書は、半導体処理ツールに用いるための新たな二重ガスシャワーヘッド設計を開示する。
【発明の概要】
【0004】
本明細書に記載の主題の1つ以上の実施形態を、添付図面および以下の説明に詳述する。他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、図面、および特許請求の範囲から明らかになろう。
【0005】
いくつかの実装形態において、シャワーヘッドを含む半導体処理装置が提供される。前記シャワーヘッドは、本体と、第1のプレナム入口と、第2のプレナム入口と、複数の第1のガス分配孔と、複数の第2のガス分配孔とを含んでもよい。前記本体は、複数の層を含んでもよく、前記複数の層は、2つ以上のフラクタル層の適切なサブセットを含み、各前記フラクタル層は、第1の径方向対称ガス分配構造のセットと第2の径方向対称ガス分配構造のセットとを含む。各前記第1の径方向対称ガス分配構造は、第1のハブプレナムと、前記第1のハブプレナムに流体的に接続されるとともに前記第1のハブプレナムから放射状に外側に延びる複数の第1のスポーク通路と、複数の第1のライザーポートとを含んでもよく、各前記第1のライザーポートは、前記第1のスポーク通路のうちの1つの遠端部に位置する。各前記第2の径方向対称ガス分配構造は、第2のハブプレナムと、前記第2のハブプレナムに流体的に接続されるとともに前記第2のハブプレナムから放射状に外側に延びる複数の第2のスポーク通路と、複数の第2のライザーポートとを含んでもよく、各前記第2のライザーポートは、前記第2のスポーク通路のうちの1つの遠端部に位置する。前記フラクタル層の各フラクタル層について、そのフラクタル層における各前記第1の径方向対称ガス分配構造は、対応する前記第1のハブプレナムが、すぐ上流の層における第1のライザーポートの下方に位置するように位置してもよく、そのフラクタル層における各前記第2の径方向対称ガス分配構造は、対応する前記第2のハブプレナムが、すぐ上流の層における第2のライザーポートの下方に位置するように位置してもよい。
【0006】
いくつかの実装形態において、前記フラクタル層のうちの1つは、第1の部分的径方向対称ガス分配構造のセットをさらに含んでもよく、各前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造は、そのフラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造のいずれよりも少ない数の第1のスポーク通路が流体的に接続された第1のハブプレナムを含む。
【0007】
いくつかのさらなるそのような実装形態において、前記本体は、前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造のセットを有する前記フラクタル層のすぐ上流に供給層をさらに含んでもよい。そのような実装形態において、前記供給層は、複数の第1の供給プレナムを含んでもよく、各前記第1の供給プレナムは、各前記第1の供給プレナムに流体的に接続される1つ以上の第1の供給スポーク通路を含み、各前記第1の供給スポーク通路は、遠端部に第1の供給ライザーポートを含み、各前記第1の供給ライザーポートは、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1のハブプレナムのうちの対応する1つの上方に位置するとともに前記対応する1つに流体的に接続される。そのような実装形態において、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造の第1のハブプレナムに流体的に接続される第1の供給ライザーポートを有する前記第1の供給スポーク通路は、それぞれ第1の長さを有してもよく、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造の第1のハブプレナムに流体的に接続される第1の供給ライザーポートを有する前記第1の供給スポーク通路は、それぞれ前記第1の長さよりも長い長さを有してもよい。
【0008】
いくつかのさらなるそのような実装形態またはいくつかの他のそのような実装形態において、前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造のセットを有する前記フラクタル層は、第2の部分的径方向対称ガス分配構造のセットをさらに含んでもよく、各前記第2の部分的径方向対称ガス分配構造は、そのフラクタル層における前記第2の径方向対称ガス分配構造のいずれよりも少ない数の第2のスポーク通路を有する第2のハブプレナムを含む。
【0009】
いくつかのそのような実装形態において、前記本体は、前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造のセットおよび前記第2の部分的径方向対称ガス分配構造のセットを有する前記フラクタル層のすぐ上流に供給層をさらに含んでもよい。そのような実装形態において、前記供給層は、複数の第1の供給プレナムと複数の第2の供給プレナムとを含んでもよく、各前記第1の供給プレナムは、各前記第1の供給プレナムに流体的に接続される1つ以上の第1の供給スポーク通路を含み、各前記第2の供給プレナムは、各前記第2の供給プレナムに流体的に接続される1つ以上の第2の供給スポーク通路を含み、各前記第1の供給スポーク通路は、遠端部に第1の供給ライザーポートを含み、各前記第2の供給スポーク通路は、遠端部に第2の供給ライザーポートを含み、各前記第1の供給ライザーポートは、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1のハブプレナムのうちの対応する1つの上方に位置するとともに前記対応する1つに流体的に接続され、各前記第2の供給ライザーポートは、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第2のハブプレナムのうちの対応する1つの上方に位置するとともに前記対応する1つに流体的に接続される。そのような実装形態において、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造の第1のハブプレナムに流体的に接続される第1の供給ライザーポートを有する前記第1の供給スポーク通路は、それぞれ第1の長さを有してもよく、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第1の部分的径方向対称ガス分配構造の第1のハブプレナムに流体的に接続される第1の供給ライザーポートを有する前記第1の供給スポーク通路は、それぞれ前記第1の長さよりも長い長さを有してもよく、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第2の径方向対称ガス分配構造の第2のハブプレナムに流体的に接続される第2の供給ライザーポートを有する前記第2の供給スポーク通路は、それぞれ第2の長さを有してもよく、前記供給層のすぐ下流に位置する前記フラクタル層における前記第2の部分的径方向対称ガス分配構造の第2のハブプレナムに流体的に接続される第2の供給ライザーポートを有する前記第2の供給スポーク通路は、それぞれ前記第2の長さよりも長い長さを有してもよい。
【0010】
いくつかの実装形態において、前記フラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造は、それぞれ4つの第1のスポーク通路を含んでもよく、前記フラクタル層における前記第2の径方向対称ガス分配構造は、それぞれ4つの第2のスポーク通路を含む。
【0011】
いくつかのさらなるそのような実装形態において、前記フラクタル層のうちの少なくとも1つのフラクタル層における前記第1の径方向対称ガス分配構造および前記第2の径方向対称ガス分配構造のそれぞれの前記第1のスポーク通路および前記第2のスポーク通路は、同じ高さにあってもよい。
【0012】
いくつかのさらなるそのような実装形態またはいくつかの他のそのような実装形態において、前記第1のスポーク通路はそれぞれ、直交する2つの第1の通路軸のうちの1つと整列してもよく、前記第2のスポーク通路はそれぞれ、直交する2つの第2の通路軸のうちの1つと整列してもよく、前記第1の通路軸は、前記2の通路軸と45°位相がずれて(または前記第2の通路軸に対して45°の角度を有して)もよい。
【0013】
いくつかのさらなるそのような実装形態またはいくつかの他のそのような実装形態において、前記フラクタル層のうち、すぐ上流のフラクタル層が存在する各フラクタル層について、そのフラクタル層の前記第1の径方向対称ガス分配構造はそれぞれ、その対応する第1のライザーポート間の中心間間隔が、前記すぐ上流のフラクタル層の前記第1の径方向対称ガス分配構造における第1のライザーポート間の対応する中心間間隔の約50%であってもよい。
【0014】
いくつかのさらなるそのような実装形態またはいくつかの他のそのような実装形態において、前記フラクタル層のうち、すぐ上流のフラクタル層が存在する各フラクタル層について、そのフラクタル層の前記第2の径方向対称ガス分配構造はそれぞれ、その対応する第2のライザーポート間の中心間間隔が、前記すぐ上流のフラクタル層の前記第2の径方向対称ガス分配構造における第2のライザーポート間の対応する中心間間隔の約50%であってもよい。
【0015】
いくつかの実装形態において、少なくとも3つのフラクタル層が設けられてもよい。
【0016】
いくつかの実装形態において、前記本体は、セラミック材料から形成されてもよい。
【0017】
いくつかのさらなるそのような実装形態において、前記本体は、互いに融合される複数のセラミック材料の個別層から形成されてもよい。
【0018】
いくつかのさらなるそのような実装形態またはいくつかの他のそのような実装形態において、前記本体は、3Dプリントされた構造体であってもよい。
【0019】
いくつかの実装形態において、前記装置は、処理チャンバと、台座とをさらに含んでもよい。そのような実装形態において、前記台座は、前記処理チャンバ内に位置してもよく、前記シャワーヘッドは、前記処理チャンバ内で前記台座の上方に位置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本明細書に開示する種々の実装形態を、限定目的ではなく例示として、添付図面の各図に示す。図中、同様の構成要素は同一の参照符号にて示す。
【0021】
【
図1】
図1は、例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの等角図である。
【0022】
【
図2】
図2は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドを反対側から見た等角図である。
【0023】
【
図3】
図3は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの上面図である。
【
図4】
図4は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの底面図である。
【0024】
【
図5】
図5は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの分解等角図である。
【0025】
【
図6】
図6は、例示的な第1の径方向対称ガス分配構造の詳細図である。
【0026】
【
図7】
図7は、例示的な第1の径方向対称ガス分配構造の詳細図である。
【0027】
【
図8】
図8は、3つの異なるフラクタル層の各々の径方向対称ガス分配構造のセットをサイズ比較した図である。
【0028】
【
図9】
図9は、異なるフラクタル層のガス分配構造の相対比率を理解するための図である。
【0029】
【
図10】
図10は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの種々の層の平面図である。
【
図11】
図11は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの種々の層の平面図である。
【
図12】
図12は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの種々の層の平面図である。
【
図13】
図13は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの種々の層の平面図である。
【
図14】
図14は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの種々の層の平面図である。
【
図15】
図15は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの種々の層の平面図である。
【0030】
【
図16】
図16は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッド内のプレナム容積のうちの一方の等角図である。
【0031】
【
図17】
図17は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッド内のプレナム容積のうちの他方の等角図である。
【0032】
【
図18】
図18は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッド内の両方のプレナム容積の等角図である。
【0033】
【
図19】
図19は、本明細書に記載のシャワーヘッドを備えた半導体処理チャンバの概略図である。
【0034】
図1~18は、各図内では縮尺通りに描かれているが、縮尺は図ごとに異なる場合がある。これらの図面は、本明細書で説明する概念の一例を図示しているに過ぎない。容易に認識されるように、本明細書で説明する概念は、多くの代替的な実装形態において実施されてもよく、これらの実装形態のすべてが、本開示の範囲内であると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
重要な点として、本明細書で説明する概念は、本明細書で説明するいずれか1つの態様または実装形態に限定されるものではなく、そのような態様および/または実装形態のいずれかの組み合わせおよび/または置き換えに限定されるものでもない。さらに、本発明の態様および/またはその実装形態の各々は、単独で用いられてもよいし、本発明の他の態様および/または実装形態の1つ以上と組み合わせて用いられてもよい。簡潔にするため、これらの置き換えおよび組み合わせの多くについて、本明細書では個別に説明および/または図示しない。
【0036】
本明細書で説明する二重プレナムフラクタルシャワーヘッドは、半導体処理チャンバ内において半導体ウエハの上方に位置する処理容積にプロセスガスを均一に分配するように構成されてもよい。このような二重プレナムフラクタル(DPF:Dual-Plenum Fractal)シャワーヘッドは、従来の二重プレナムシャワーヘッドと比較して、様々な利点を実現し得る。一例として、本明細書で説明するDPFシャワーヘッド設計では、大型のプレナム、例えば、略円形状でありシャワーヘッドのガス分配孔が配置される領域全体にまたがるプレナムがないため、従来の開放プレナム容積シャワーヘッドと比較して、シャワーヘッドのガス分配ポートを通じて供給するためにシャワーヘッドに導入することが必要なプロセスガスの量が大幅に低減される可能性がある。別の利点としては、DPFシャワーヘッドにおける種々の流路がフラクタル性を有することにより、DPFシャワーヘッドの所与のプレナムの各ガス分配ポートへの流路が、等しい、または少なくとも極めて類似した流動抵抗を有することができ、これにより、ガス入口を介してそのプレナムに導入されたガスがそのプレナムにおけるいずれかの所与のガス分配ポートに到達するまでの時間のばらつきを低減または解消できる。例えば、フラクタルシャワーヘッドのプレナムを流れるガスは総じて、最終的にどのガス分配ポートへと流れるかにかかわらず、基本的に同じ流体流路特性を受ける。例えば、ガスは、このようなシャワーヘッドのフラクタル層(以下で詳述)に達した後、同様の長さ、断面形状および面積を有する流路セグメントが同じ形で進行する連続したガス流路を流れてもよい。これは例えば、プロセスガスがシャワーヘッドの中心から流出してしばらく後にその外周部から流出するようなシャワーヘッドと異なり、ウエハの表面全体が概ね同時にプロセスガスに曝露されるため、より均一なウエハ処理の促進を図れる可能性がある。本明細書で説明するDPFシャワーヘッドのもう1つの利点は、これらのDPFシャワーヘッドは、金属(ステンレス鋼、アルミニウムなど)およびセラミック(アルミナ、シリコン酸化物など)を含む種々の材料から製造してもよいことである。
【0037】
一般に、本明細書で説明するようなDPFシャワーヘッドは、シャワーヘッドの下面に、それぞれが各プレナムに対応する2パターンのガス分配孔を有してもよい。後述するDPFの例では、2つのパターンは、互いに45°位相がずれた略正方形のパターンである(そして、各正方形パターンの角部においてガス分配孔のいくつかの例が省略される。例えば、ガス分配孔の4×4サブパターンが各パターンの各角部において省略される)。この45°位相がずれた配置は、例示的なDPFシャワーヘッド内の2つのガス分配プレナムを部分的に画定する、種々の流路の内部レイアウトに引き継がれてもよい。これにより、DPFシャワーヘッド内でガス流路を極めて高密度にパッケージングでき、ガス分配孔のピッチを低減できる。これにより、半導体ウエハ全体にプロセスガスをよりきめ細かく分配できる。
【0038】
DPFシャワーヘッドは、非同期式と同期式の両方式で用いてもよい。非同期式とは、プロセスガスを異なる時間で各プレナムに交互に流す方式であり、同期式とは、プロセスガスを両方のプレナムに同時に流す方式である。さらに他の例において、DPFシャワーヘッドは、一方のプレナムにプロセスガスを継続的に流し、他方のプレナムに2種以上の異なるガスを交互にまたは周期的に流すハイブリッド方式で用いてもよい。前者は、例えば原子層堆積やその他の交互にプロセスガスを印加するプロセスに適用でき、この場合、従来のシャワーヘッドと比較してDPFシャワーヘッドの体積が小さいことにより、所望の量のプロセスガスがウエハに供給されるまでの遅延時間が低減し、それにより、各ガス投与サイクルの全体的な時間が低減(したがって、処理時間が低減/スループットが増加)する可能性がある。後者は、例えば2つのプロセスガスを同時に半導体ウエハ上の処理空間に流し、プロセスガスを反応させて、ウエハに対して所望の処理効果を得るような処理工程に適用でき、この場合、DPFシャワーヘッドの高い同時供給能力により、一方の反応物がウエハ処理空間に存在する状態の発生を、他方の反応物も存在しない状態で低減する可能性がある。特に、本明細書で説明するDPFシャワーヘッドは、米国特許出願第62/767,198号(発明の名称「METHODS FOR MAKING HARD MASKS USEFUL IN NEXT-GENERATION LITHOGRAPHY」、2018年11月14日出願)、および米国特許出願第62/868,710号(発明の名称「EUV PHOTORESIST WITH MULTIPLE EUV-ABSORBING ELEMENTS AND VERTICAL COMPOSITION GRADIENT」、2019年6月28日出願)に記載されているようなプロセスに有用な可能性がある。両出願は、その内容全体が参照により、本明細書に組み込まれる。
【0039】
図1は、例示的な二重プレナムフラクタル(DPF)シャワーヘッドの等角図である。
図2は、
図1の例示的なDPFシャワーヘッドを反対側から見た等角図である。
図3および
図4は、同じ
図1の例示的なDPFシャワーヘッドの上平面図および底平面図である。
【0040】
外観としては、
図1のDPFシャワーヘッド100は、他の多くの二重プレナムシャワーヘッドとほとんど差異がない。すなわち、略円形状であり、上面に複数のガス入口、例えば、第1のプレナム入口102と、この例では複数(4つ)の第2のプレナム入口104とを有し、底面に2つの孔パターン、例えば、ガス分配孔の第1の孔パターン112および第2の孔パターン114(例えば、それぞれ第1のガス分配孔106および第2のガス分配孔108を含む)を有する。なお、第1の孔パターン112および第2の孔パターン114は、どちらも略矩形(または、より正確には正方形)アレイの形状であるが、2つの矩形アレイは互いに45°位相がずれて配向されている。また、矩形の第1の孔パターン112の一部ではない、追加の第1のガス分配孔106が1つ設けられているが、この追加の第1のガス分配孔106は、DPFシャワーヘッド100の中心に位置している。従来のほとんどのシャワーヘッドにおいて、ガス分配孔の孔パターンは通常、略円形の外郭形状を有するように制約されている。すなわち、孔パターンは円形の境界まで外側に延び、所与のプレナムのガス分配孔のすべてがその円形の境界内に位置し、その境界内で略均等に分布している。しかしながら、例示的なDPFシャワーヘッドはそのような構成にはなっていない(ただし、以下で詳述するように、そのように構成することも可能である)。図から分かるように、第1のガス分配孔106および第2のガス分配孔108は、円形のウエハ重なり領域110内に略均等に分布している(この場合、ウエハ重なり領域110は、処理中にDPFシャワーヘッドの下方に通常配置される半導体処理ウエハと同じサイズ、例えば直径300mmの大きさを有する(ただし、例えば処理中にウエハの外周まで、かつそれを越えて均一なガス分配を実現するために、一部の実装形態においては、このような均等な孔分布を、例えばさらに大きな直径の円形領域にわたって維持してもよい))。しかしながら、第1の孔パターン112および第2の孔パターン114の両方には、ウエハ重なり領域110を越えて延びる部分が存在する。ウエハ重なり領域110の外側に位置する第1のガス分配孔106および第2のガス分配孔108は、もはや互いに対して均等に分布していない。後述の説明にて明らかとなるように、例示的なDPFシャワーヘッドにおいて、ウエハ重なり領域110の外側に位置するガス分配ポートは、DPFシャワーヘッド内の種々の層における各プレナムの種々のガス分配構造が、各層について同じ設計になることを可能にするために含まれている。適切な変形により、例えば、可変的に設計されたガス分配構造をこれらの層におけるDPFシャワーヘッド100の外周付近にて使用することにより、ウエハ重なり領域110の外側に位置するガス分配ポートを低減またはなくしたDPFシャワーヘッドを提供してもよいことを理解されたい。そのような代替的な実装形態も、本開示の範囲内であると見なされる。
【0041】
例示的な実装形態において、第1の孔パターン112および第2の孔パターン114のそれぞれのアレイ間隔d
1およびd
2は、
【数1】
という関係にあり、その結果、d
1はd
2より約40%大きいことが分かる。他の実装形態において、孔間隔の関係は異なっていてもよい。また、このような間隔の結果、両方の孔パターンが概ね重なる領域、例えばウエハ重なり領域110内では、第2のガス分配孔108の数が第1のガス分配孔106の数の2倍であることが明らかである。例えば、少なくとも4つの第1のガス分配孔106の位置および少なくとも4つの第2のガス分配孔108の位置を含む(各パターンについて、各軸に沿って少なくとも1つの完全なパターンの繰り返しを含む)、ウエハ重なり領域110に完全に含まれる任意の最小の正方形領域を取った場合、その正方形領域内には、1つの第2のガス分配孔108を半分にしたものが4つ、1つの第1のガス分配孔106を4分の1にしたものが4つ位置することになる。したがって、第2のガス分配孔108と第1のガス分配孔106との比率は2:1となる(他の実装形態においては、例えば1:1などの異なる比率であってもよい)。本例のDPFシャワーヘッドでは、第1のガス分配孔106および第2のガス分配孔108は同じ直径を有する。そのため、プロセスガスがそれぞれの入口に導入されて同じ入口圧力に保たれるとき、第2のガス分配孔108を流れるプロセスガスは、第1のガス分配孔106を流れるプロセスガスの略2倍となる(これは、両方のプレナムが、音速以下のフロー条件であると仮定している。いくつかの実装形態における実際の運用では、マスフローコントローラを有する制御システムを用いて、同じ質量流量のガスが各プレナムを通じて供給されるようにしてもよい。その結果、各プレナムの入口圧力は異なる場合があり、対応するガス分配ポートからの出口速度も異なる場合がある)。しかしながら、他の実装形態において、ガス分配孔の両セットを流れるガスの潜在的な流量を調整するために、第1のガス分配孔106が第2のガス分配孔よりも大きくまたは小さくなるように、第1のガス分配孔106および第2のガス分配孔108の一方または両方の直径を変化させてもよい。
【0042】
図5は、
図1の例示的なDPFシャワーヘッドの分解等角図である。この分解図から分かるように、DPFシャワーヘッド100は、複数の異なる層116に分割されてもよい。各層は、異なるガス分配構造を有する。このようなDPFシャワーヘッド100は、例えば、各層を別個のコンポーネントとして機械加工またはその他の方法で形成し、その後、各種の層を結合または融合して積層スタック化し、DPFシャワーヘッドとすることによって作成可能であることが認識される。ただし、他の実装形態において、他の技術を用いて同等の構造を生成してもよく、例えば、付加製造により、金属、セラミック、または他の材料からDPFシャワーヘッド構造を「3Dプリント」してもよい。
【0043】
この説明において、ある特定の層の「上流」の層という場合、DPFシャワーヘッド100の「上部」により近い層、例えば、第1のプレナム入口102または第2のプレナム入口104により近い層を指すと理解される。ある特定の層の「下流」の層という場合、DPFシャワーヘッド100の「底部」により近い層、例えば、第1のガス分配孔106または第2のガス分配孔108により近い層を指すと理解される。ある特定の層の「すぐ上流」の層という場合、その特定の層に最も近い上流の層を指し、その特定の層の「すぐ下流」の層という場合、同様に、その特定の層に最も近い下流の層を指す。また、所与のシャワーヘッドを、適切と考えられる任意の方法で複数の層に任意に区分してもよいが、本願において「層」という言葉を用いる場合、
図5に示すような層を指すと理解される。例えば、各層が一方の面に垂直孔(またはガス分配孔)を有し、他方の面にガス流路/プレナムを有し、層内の各ライザーポート(riser port)/ガス分配孔はガス流路のうちの1つにて終端する(入口層はこれの例外としてもよく、入口層は、第1のプレナム入口102および第2のプレナム入口104としての垂直孔のみを内部に有する)。
【0044】
各種の層116は、例えば、入口層118(層116aを含む)、供給層120(例えば、層116bおよび116cを含む)、ならびにフラクタル層122(例えば、層116d、116e、および116fを含む)を含んでもよい。入口層118は、例えば、プロセスガスをDPFシャワーヘッド100のプレナムに導入可能な、第1のプレナム入口102および第2のプレナム入口104などの貫通孔または他の構造を含んでもよい。
【0045】
供給層120は、例えば、第1の供給通路124および第2の供給通路126を含む層116bを含んでもよい。これらの層はそれぞれ、層116b内において、第1のプレナム入口102または第2のプレナム入口104の1つを、それぞれ対応する第1の供給ライザーポート138または第2の供給ライザーポート140と流体的に接続してもよい。層116bにおける第1の供給ライザーポート138および第2の供給ライザーポートは、層116bの底部を通過するとともに、それぞれ第1の供給通路124または第2の供給通路126の1つを、層116cにおける第1の供給プレナム130または第2の供給プレナム132と流体的に接続してもよい。
【0046】
供給層120の1つである層116cは、複数のガス分配構造を有してもよい。各ガス分配構造は概ね、外側に延びる複数の供給スポーク通路を有する中央プレナムの形を取る。例えば、層116cは、複数の第1の供給プレナム130を有してもよい(図では4つ示されているが、他の数であってもよい。一般に、すぐ上流の層116に含まれる第1の供給ライザーポート138と同じ数だけ設けられる)。同様に、層116cは、複数の第2の供給プレナム132を有してもよい(図では4つ示されているが、他の数であってもよい。一般に、すぐ上流の層116に含まれる第2の供給ライザーポート140と同じ数だけ設けられる)。
【0047】
各第1の供給プレナム130は、その第1の供給プレナム130から外側に放射状に延びる複数の第1の供給スポーク通路134を有してもよい。各第1の供給スポーク通路134は、すぐ下流の層116(例えば、層116d)につながる層116c内の対応する第1の供給ライザーポート138にて終端してもよい。同様に、各第2の供給プレナム132は、その第2の供給プレナム132から外側に放射状に延びる複数の第2の供給スポーク通路136を有してもよい。各第2の供給スポーク通路136は、すぐ下流の層116につながる層116c内の対応する第2の供給ライザーポート140にて終端してもよい。層116cの各第1の供給ライザーポート138および第2のライザーポート140は、すぐ下流の層の対応するプレナム構造の上に略中心を置く位置に配置されてもよい。
【0048】
なお、各供給プレナムから放射状に延びる供給スポーク通路は、供給スポーク通路の形状の違いにより、必ずしも同じ流動抵抗を有するとは限らないことに留意されたい。これについては、後でより詳細に説明する。
【0049】
また、
図5に示す供給通路および供給スポーク通路はそれぞれ、2つの内部支持壁128を含むことにも留意されたい。内部支持壁128は概ね、これらの通路の一端から他端まで、通路の長さに沿って延びている。このような支持壁128(または他の構造)は、例えば、いくつかの実装形態において任意に含まれてもよい。例えば、DPFシャワーヘッド100が、積層後に窯で焼かれ、単一の、融合し硬化したセラミック部品を形成するグリーン加工されたセラミック層からなる場合、より幅広の通路が、このような通路の「上部」を形成する層を機械的に支持するために1つ以上の内部支持壁128(または他の支持構造)を含むことが望ましい場合がある。他の形状および/または他の製造技術では、このような支持壁128が不要な場合がある。
【0050】
供給層120を流れたプロセスガスは、次にフラクタル層122へと導かれる。各フラクタル層122は概ね、各プレナムについて同一の、繰り返される径方向対称ガス分配構造(またはその部分)を備え、ある層のすぐ下流の各層における径方向対称ガス分配構造は、そのある層における対応する径方向対称ガス分配構造を縮小したものとなる。本例では、ある層における各径方向対称ガス分配構造は、すぐ上流の層における対応する径方向対称ガス分配構造から全体のサイズが~50%縮小される。ただし、他の実装態様において異なる倍率を用いてもよい。
図8は、
図5に示す3つのフラクタル層122のそれぞれの径方向対称ガス分配構造のセットをサイズ比較した図である。各径方向対称ガス分配構造のセットは、図示の他の径方向対称ガス分配構造のセットに対して縮尺を合わせて示されている。各径方向対称ガス分配構造のセット内の選択されたライザーポートの中心を通る一点鎖線から分かるように、各径方向対称ガス分配構造のセットにおける垂直孔の中心間間隔は、各フラクタル層122において、すぐ上流の径方向対称ガス分配構造のセットと比較して50%縮小している。
【0051】
この特性により、DPFシャワーヘッド内の各プレナムのガス分配通路は「フラクタル」な外観を有し、これが、「二重プレナムフラクタルシャワーヘッド」という名称の由来となる。なお、いくつかの実装形態において、各径方向対称ガス分配構造における特定のサブ構造は、すぐ上流の層の径方向対称ガス分配構造における対応する構造から拡大または縮小されてもよいことに留意されたい。例えば、例示的なDPFシャワーヘッド100では、所与の径方向対称ガス分配構造のライザーポート間の中心間距離は、この所与の径方向対称ガス分配構造のすぐ下流の径方向対称ガス分配構造のライザーポート間の対応する中心間距離の50%である。ただし、各スポーク通路の断面幅は、すぐ下流の径方向対称ガス分配構造における中心間間隔に対して実際に増加してもよい。
図9は、そのような特性に関する追加の理解を提供する図である。
図9において、各々が1つの第1の径方向対称ガス分配構造146および4つの隣接する第2の径方向対称ガス分配構造148からなる3つのセット(3つのフラクタル層122の各々からのセット)は、それぞれの垂直孔間の中心間距離がすべて同一であり、かつ互いに中心が合うように拡縮されている。図から分かるように、層116eの第1および第2の径方向対称ガス分配構造146’および148’(点線の輪郭で示す)は、対応する第1および第2の径方向対称ガス分配構造146および148よりも(垂直孔間の中心間距離に対して)わずかに幅が広いスポーク通路を有する。同様に、層116fの第1および第2の径方向対称ガス分配構造146”および148”(破線の輪郭で示す)は、対応する第1および第2の径方向対称ガス分配構造146’および148’よりも(垂直孔間の中心間距離に対して)わずかに幅が広いスポーク通路を有する。
【0052】
さらに、中心間間隔に対する各径方向対称ガス分配構造の第1および第2の垂直孔の直径の大きさは、互いにすぐ上流/下流のフラクタル層における径方向対称ガス分配構造の間で異なってもよいことが分かる。
【0053】
いくつかの実装形態において、1つ以上のフラクタル層122の径方向対称ガス分配構造の一部は「部分的な形態」、すなわち径方向対称ガス分配構造の一部のみが存在する状態で設けられてもよい。例えば、例示的なDPFシャワーヘッドにおける径方向対称ガス分配構造は、+形または×形であり、各々が、ハブプレナムから外側に放射状に延びる4つのスポーク通路を有する。この場合、部分的な径方向対称ガス分配構造は、同様の構造を有するが、スポーク通路の1つまたは2つが欠落していてもよい。
【0054】
例えば、層116dにおいて、複数の第1の径方向対称ガス分配構造146と、複数の第2の径方向対称ガス分配構造148とが設けられ、その各々が、+形または×形である(ただし、第1の径方向対称ガス分配構造146は、第2の径方向対称ガス分配構造148よりも大きいことに留意されたい。アレイ間隔についての上記の説明を参照)。第1の径方向対称ガス分配構造146および第2の径方向対称ガス分配構造148はそれぞれ、対応するハブプレナムと、そこから外側に放射状に延びる複数のスポーク通路とを有する。
【0055】
図6は、例示的な第1の径方向対称ガス分配構造146を示す図であり、
図7は、例示的な第2の径方向対称ガス分配構造148を示す図である。
図6および
図7は、同じ縮尺で示されている。図から分かるように、第1の径方向対称ガス分配構造146は、第1のハブプレナム158を有する。第1のハブプレナム158は、すぐ上流の層116の対応する第1のライザーポート162’(または、いくつかの例では、第1の供給ライザーポート138)の真下に配置され、かつ同ポートに流体的に接続されてもよい。第1のハブプレナム158は、第1のハブプレナム158から径方向に対称的に放射状に外側へ延びる複数(この例では4つ)の第1のスポーク通路154を有してもよい。各第1のスポーク通路154は、対応する第1のライザーポート162(または、最も下流の層116の場合は、対応する第1のガス分配孔106)にて終端してもよい。
【0056】
同様に、
図7に示す第2の径方向対称ガス分配構造148は、第2のハブプレナム160を有する。第2のハブプレナム160は、すぐ上流の層116の対応する第2のライザーポート164’(または、いくつかの例では、第2の供給ライザーポート140)の真下に配置され、かつ同ポートに流体的に接続されてもよい。第2のハブプレナム160は、第2のハブプレナム160から径方向に対称的に放射状に外側へ延びる複数(この例では4つ)の第2のスポーク通路156を有してもよい。各第2のスポーク通路156は、対応する第2のライザーポート164(または、最も下流の層116の場合は、対応する第2のガス分配孔108)にて終端してもよい。
【0057】
図5に戻り、第1の径方向対称ガス分配構造146および第2の径方向対称ガス分配構造148は概ね、層116dの中央領域を占めるが、層116dの外周付近においては、第1の部分的径方向対称ガス分配構造142および第2の部分的径方向対称ガス分配構造144が用いられることに留意されたい。第1の部分的径方向対称ガス分配構造142はそれぞれ、2つの第1のスポーク通路154のみを有し、第2の部分的径方向対称ガス分配構造144はそれぞれ、3つの第2のスポーク通路156のみを有する。この例における残りのフラクタル層122は、径方向対称ガス分配構造のみを備え、部分的径方向対称ガス分配構造を備えない。ただし、他の実装形態において、他のフラクタル層122でも同様に部分的径方向対称ガス分配構造が含まれてもよい。
【0058】
上記の図面において例示的なDPFシャワーヘッド100の構造は明確に示されているが、さらに
図10~
図15を用いて、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッドの層116a~fの平面図を示す。これらの図面は、上記の図面といくぶん重複しているが、構造をさらに明確に示すとともに、特に、以下の説明において参照される場合がある。
【0059】
部分的径方向対称ガス分配構造を用いた場合、一定の軽減手段を取らない限り、図示のようなDPFシャワーヘッドにおいて不均衡な流れが生じる可能性がある。例えば、同じ量のプロセスガスが、対応する部分的径方向対称ガス分配構造に対するのと同じガス流量で径方向対称ガス分配構造の各ハブプレナムに供給される場合、部分的径方向対称ガス分配構造のライザーポートはそれぞれ、径方向対称ガス分配構造のライザーポートと比較してガス流量が増加することになる。これは、径方向対称ガス分配構造と比較して、部分的径方向対称ガス分配構造はスポーク通路および対応するライザーポートの数が少ないためである。したがって、径方向対称ガス分配構造のライザーポートと比較して、部分的径方向対称ガス分配構造のライザーポートの総断面積は小さくなり、その結果、径方向対称ガス分配構造の各ライザーポートを流れる場合と比較して、より多量のガスが、部分的径方向対称ガス分配構造の各ライザーポートを流れることになる。これは、後続の層116において、部分的径方向対称ガス分配構造からガスが供給される下流の径方向対称ガス分配構造が、これらの下流の層において、径方向対称ガス分配構造からガスが供給される径方向対称ガス分配構造と比較して、不均衡な量のガスを受けることになるため、好ましくない。その結果、最終的には、ガス分配孔を介したガス供給が不均一になる。
【0060】
このような影響を軽減または防止するために、供給ライザーポートからすぐ下流の部分的径方向対称ガス分配構造にプロセスガスを供給する供給通路は、その同じ供給ライザーポートからすぐ下流の径方向対称ガス分配構造にプロセスガスを供給する供給通路よりも長さが長くなるように設計されてもよい。例えば、
図12において、第1の供給プレナム130の各々から放射状に延びる3つの第1の供給スポーク通路134のうちの2つは、第1の供給プレナム130の各々から放射状に延びる残りの第1の供給スポーク通路134の約2倍の長さを有することが分かる。このように長さが長くなることにより、これらの第1の供給スポーク通路134の流動抵抗が増加し、それにより、これらの第1の供給スポーク通路134の端部に位置する第1の供給ライザーポート138への流量が、各第1の供給プレナム130から放射状に延びる残りの第1の供給スポーク通路134の第1の供給ライザーポート138における流量の約半分となる。同様に、各第2の供給プレナム132から放射状に延びる4つの第2の供給スポーク通路136のうちの1つは、各第2の供給プレナム132から放射状に延びる他の第2の供給スポーク通路136と比較して長さが長い。これにより同様の効果が得られ、3つのスポークのみを有するすぐ下流の層の部分的径方向対称ガス分配構造が受ける流体流が減少し、それにより、DPFシャワーヘッド100からのガス流の均一化を図り得る。
【0061】
ガスが各ガス分配構造に到達した後、ガス流は、その分配構造における種々のスポーク通路間で略均等に分割された後、すぐ下流の層における次のガス分配構造のセットへと移動(またはガス分配ポートから流出)してもよい。このように分割が繰り返される特性が、シャワーヘッドの広い領域にわたってプロセスガスを均等に分配するように機能する。この例では、3つのフラクタル層122が設けられているが、ガスをどの程度細かく、または粗く分配するかに応じて、このような層をより多く、またはより少なく用いてもよい。
【0062】
例示的なDPFシャワーヘッド100において、各プレナムの所与のフラクタル層122における径方向対称ガス分配構造は、互いに45°位相がずれた通路軸に整列するスポーク通路を有することが分かる。例えば、
図5のフラクタル層116dにおいて、第1の径方向対称ガス分配構造146は、第1の通路軸150に整列する第1のスポーク通路154を有し、第2の径方向対称ガス分配構造148は、第2の通路軸152に整列する第2のスポーク通路156を有する。そして、図から分かるように、第1の通路軸150と第2の通路軸152とは、互いに45°位相がずれている。
【0063】
図16は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッド内のプレナム容積のうちの一方を抽象化した等角図である。
図17は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッド内のプレナム容積のうちの他方を抽象化した等角図である。
図18は、
図1の例示的な二重プレナムフラクタルシャワーヘッド内の両方のプレナム容積を抽象化した等角図である。
【0064】
図16~
図18において、各フラクタル層内の各径方向対称ガス分配構造または部分的径方向対称ガス分配構造のハブプレナムが、すぐ上流のフラクタル層内の径方向対称ガス分配構造のハブプレナムから放射状に延びるスポーク通路のうちの1つの遠端部におけるライザーポート(または、供給層120のうちの1つにおける供給ライザーポート)に流体的に接続していることが容易に分かる。各層内の各プレナムの径方向スポーク通路が45°位相がずれて配置されていることにより、DPFシャワーヘッドの底面のガス分配孔を極めて高密度にしつつ、いずれかのプレナムの入口からいずれかのガス分配ポートまでの流動抵抗を略等しくすることも可能である。例えば、このような構成により、種々の第2のスポーク通路156の各々が、隣接する2つの第1のスポーク通路154の間の空間に部分的に延びることが可能になり、それにより、対応する第2のライザーポート164(または層116fの第2のガス分配孔108)の各々が、その第2のライザーポートに最も近い2つの第1のライザーポート162(または第1のガス分配孔106)の間の線に沿って中間に位置することができる。
【0065】
また、例示的なDPFシャワーヘッドにおいて、ウエハ重なり領域110の外側に複数のガス分配孔および/または径方向対称ガス分配構造が存在する。したがって、これらから供給されるプロセスガスは概ね、ウエハ重なり領域110内の径方向対称ガス分配構造および/またはガス分配孔から供給されるプロセスガスによってウエハから離れる方向に外側に押し出される傾向があるため、実際にはウエハにおそらく到達しないことに留意されたい。したがって、ウエハ重なり領域110の外側のガス分配孔から供給されるプロセスガスは、実質的には、過剰または無駄なプロセスガスと見なすことができる。上述したように、いくつかの実装形態において、DPFシャワーヘッドによって生成される過剰または無駄なガスの量を低減またはなくすために、ウエハ重なり領域の外側に位置するガス分配孔の数を減らすかまたはなくしてもよい。ただし、そのようにする場合、ガス分配孔を流れるガス流の均一性を確実に維持するために、使用する種々の径方向対称ガス分配構造を幅広くカスタマイズすることが必要な場合がある(実際、その結果としてこれらはもはや「径方向対称ガス分配構造」であると合理的に見なされなくなる可能性がある)。ウエハ重なり領域110の外側に位置する径方向対称ガス分配構造および/またはガス分配孔を含むことによって、各径方向対称ガス分配構造において生じる流れ分割が、フラクタル層内のすべての径方向対称ガス分配構造について同じとなり、それにより、フラクタル層122内の径方向対称ガス分配構造に対して複雑な変更を行うことなく、各プレナムのガス分配孔を流れる流れを均一にすることができる。また、径方向対称ガス分配構造の全体的なサイズが縮小すればするほど、これらは微小な寸法変動の影響をますます受けやすくなり、カスタマイズによって各径方向対称ガス分配構造のガス流特性を個別に微調整することがますます難しくなる可能性があることにも留意されたい。したがって、例示的なDPFシャワーヘッド100に関して示した手法は、ある程度の過剰または無駄なガスを発生させる可能性はあるものの、各フラクタル層における径方向対称ガス分配構造をカスタマイズせずとも、ウエハ全体に分配されるプロセスガスが略均一となる。
【0066】
前述したように、DPFシャワーヘッド100の下面には、いずれの孔パターンにも属さない1つのガス分配孔である、中央孔が設けられている。このような中央孔は、ウエハ処理のさらなる均一性を図るために任意で含まれてもよく、例えば、第1のプレナム入口と流体的に接続されてもよい。必要とされる特定のプロセス条件に応じて、中央孔を第1のプレナムの他のガス分配孔と同じサイズにすること、または、これらの他のガス分配孔よりも大きくもしくは小さくすることが望ましい場合がある。他の第1のガス分配孔と同じサイズの中央孔を用いる実装形態において、中央孔を流れる流量は、いくつかのこのような実装形態において、第1のガス入口から中央孔までのシャワーヘッド内の流路抵抗を変化させることによって変更されてもよい。中央孔は、第1のプレナムの他の第1のガス分配孔と同じ流量抵抗を有する必要はない。
【0067】
さらに、本開示では主に二重プレナムフラクタルシャワーヘッドを説明してきたが、同様の原理は、例えば、プレナムのうちの一方および関連する構造を単に省略することによって、シングルプレナムフラクタルシャワーヘッド形式で実装されてもよいことに留意されたい。このようなシングルプレナムフラクタル(SPF:Single-Plenum Fractal)シャワーヘッドも、本開示の範囲内であると考えられる。
【0068】
本明細書で説明する概念に係るDPF(およびSPF)シャワーヘッドは、上述したように、半導体処理工程で用いられてもよい。例えば、DPFまたはSPFシャワーヘッドは、
図19の半導体処理チャンバ170などの半導体処理チャンバ内で用いられてもよい。このようなDPFまたはSPFシャワーヘッド100は、軸部176を介してチャンバ170内に吊り下げられてもよい。軸部176は、台座172によってチャンバ170内に支持可能なウエハ174全体にプロセスガスを分配するために、プロセスガスをDPFまたはSPFシャワーヘッドの入口に供給するためのガス供給路を含んでもよい。
【0069】
いくつかの実装形態において、コントローラが設けられてもよい。コントローラ691はシステムの一部であってもよい。システムは、上述した例を含んでもよく、さらに、各種のバルブ、マスフローコントローラ、ポンプなどに動作可能に接続され、これらの機器から情報を受信し、かつ/またはこれらの機器を制御することが可能であってもよい。このようなシステムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理用コンポーネント(ウエハ台座やガス流量システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、処理後におけるシステムの動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。電子機器は「コントローラ」と呼ぶこともでき、1つ以上のシステムの様々なコンポーネントまたはサブ部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示したいずれのプロセスも制御するようにプログラムされてもよい。これらのプロセスには、本明細書に記載のDPFまたはSPFシャワーヘッドなどへの各種ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、流量設定、流体供給設定、ならびに位置および動作設定が含まれる。
【0070】
広義には、コントローラは、様々な集積回路、ロジック、メモリ、および/またはソフトウェアを有する電子機器として定義されてもよく、命令の受信、命令の送出、動作の制御、洗浄動作の有効化、エンドポイント測定の有効化などを行う。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアとしてのチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または1つ以上のマイクロプロセッサ、もしくはプログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行するマイクロコントローラを含んでもよい。プログラム命令は、様々な個別の設定(またはプログラムファイル)としてコントローラに通信される命令であってもよく、半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ用に、またはシステムに対して、特定のプロセスを実施するための動作パラメータを定義する。いくつかの実装形態において、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/またはウエハダイの製造において1つ以上の処理工程を達成するためにプロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってもよい。
【0071】
いくつかの実装形態において、コントローラは、コンピュータの一部であってもよいし、コンピュータに結合されていてもよい。ここで、コンピュータは、システムと一体化しているか、システムに結合されているか、その他の形でシステムとネットワーク接続されているか、これらを組み合わせた形態をとる。例えば、コントローラは、「クラウド」上に存在してもよいし、工場ホストコンピュータシステムのすべてまたは一部に存在してもよい。これにより、ウエハ処理のリモートアクセスが可能になる。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを有効化して、製造工程の進捗状況の監視、過去の製造工程履歴の調査、または複数の製造工程から傾向もしくは性能指標の調査を行うことができ、現在の処理のパラメータを変更したり、現在の処理に続く処理工程を設定したり、新たなプロセスを開始したりできる。いくつかの例において、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)からシステムに対して、ネットワークを介してプロセスレシピを提供できる。ここで、ネットワークは、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでもよい。リモートコンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力やプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでもよい。これらのパラメータおよび/または設定はその後、リモートコンピュータからシステムに通信される。いくつかの例において、コントローラは、データとして命令を受信する。このデータは、1つ以上の動作において実行される各処理工程のパラメータを指定する。なお、これらのパラメータは、実行するプロセスの種類、およびコントローラが連携または制御するように構成されているツールの種類に対して固有のパラメータであってもよいことを理解されたい。したがって、上述したように、コントローラは、1つ以上の個別のコントローラを備えることなどによって分散されてもよい。これらの個別のコントローラはネットワーク化され、本明細書に記載のプロセスおよび制御といった共通の目的に向けて動作する。このような目的のための分散コントローラの一例としては、(例えばプラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)遠隔設置された1つ以上の集積回路と通信するチャンバに搭載された1つ以上の集積回路が挙げられる。これらの集積回路は協働してチャンバにおけるプロセスを制御する。
【0072】
システムの非限定的な例としては、プラズマエッチングチャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピンリンスチャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはモジュール、物理気相堆積(PVD:Physical Vapor Deposition)チャンバまたはモジュール、化学気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(ALE:Atomic Layer Etch)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製造および/または生産において関連もしくは使用することが可能なその他のあらゆる半導体処理システムが挙げられる。
【0073】
上述した通り、ツールによって実行される1つ以上のプロセス工程に応じて、コントローラは、他のツール回路またはツールモジュール、他のツールコンポーネント、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、付近のツール、工場内の各所に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体生産工場内のツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハコンテナの受け渡しを行う材料輸送で使用されるツールのうち、1つ以上と通信してもよい。
【0074】
本開示の目的上、「流体的に接続される」という用語は、互いに接続されて電気接続を形成するコンポーネントに関して「電気的に接続される」という用語が用いられるのと同様に、流体接続を形成するために互いに接続可能な容積、プレナム、穴などに関して用いられる。「流体的に介在する」という用語が用いられる場合、少なくとも2つの他のコンポーネント、容積、プレナム、または穴に流体的に接続されるコンポーネント、容積、プレナム、または穴を指すのに用いられてもよく、この場合、これらの少なくとも2つの他のコンポーネント、容積、プレナム、または穴の一方から、これらの他方または残りのうちの1つに流れる流体は、最初にこの「流体的に介在する」コンポーネントを流れてから、その他方または残りのうちの1つに到達する。例えば、ポンプがリザーバと出口との間に流体的に介在している場合、リザーバから出口へと流れた流体は、まずポンプを流れてから出口に到達することになる。
【0075】
さらに、「ライザーポート」という総称は、本明細書において、各径方向対称ガス分配構造のライザーポートを指すだけでなく、供給ライザーポートおよびガス分配孔を指すのにも用いられる場合があることを理解されたい。したがって、例えば、ガス分配孔は、ガス分配孔として記載されるだけでなく、ライザーポートとして記載される場合もある。同様に、供給ライザーポートは、単にライザーポートと称される場合もある。一般に、(シャワーヘッドが処理チャンバ内に設置される場合)DPFまたはSPFシャワーヘッドの最下面にあるライザーポートは、「ガス分配孔」と称される場合もある。
【0076】
「1つ以上の<項目>の各<項目>について」、「1つ以上の<項目>の各<項目>」などの語句が本明細書で用いられる場合、単一の項目からなる群および複数の項目からなる群の両方を含むものと理解されたい。すなわち、「各~」という語句は、プログラミング言語においてこの語句が、参照される項目の母集団が何であれ、各項目を参照するために用いられる意味で用いられる。例えば、参照される項目の母集団が単一の項目である場合、「各(each)」という用語は、(辞書の定義によれば、「各(each)」という用語は「2つ以上のもののうちの1つ1つ」という意味として定義されることが多いという事実にもかかわらず)その単一の項目のみを指し、これらの項目が少なくとも2つ必要であることを意味するものではない。
【0077】
また、本開示において「層」という用語は、物理的に分離可能な層(例えば、積層構造において別の層に対して接着、融合、または他の方法で位置固定される層)、またはより一般的に、2つの基準面の間に画定される構造の領域のいずれかを指す場合があることを理解されたい。このような構造は、組み立てまたは接合される複数のコンポーネントで構成されてもよいし、場合によっては、一体構造(例えば、単一片構造)であってもよい。例えば、鋳造または付加製造された単一片部品は、その部品が物理的に別々の層を実際に接合することによって作成されていなくても、その異なる「層」に特徴を有すると考えられる場合がある(ただし、ほとんどの付加製造部品は、通常一度に1つの薄層が印刷されるので、本質的に層構造を有するという主張がなされ得る)。また、実際に積層体として(すなわち、個別の層から)製造される部品の「層」は、必ずしもこれらの個別の層のうちの1つと一致しない場合があることを認識されたい。例えば、ある部品のある層は、そのような個別の層部分の一部のみ、2つの隣接する個別の層部分の一部、または1つもしくは2つの隣接していない個別の層部分およびそれらの間の個別の層部分の一部を含むように定義されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
供給層120は、例えば、第1の供給通路124および第2の供給通路126を含む層116bを含んでもよい。これらの層はそれぞれ、層116b内において、第1のプレナム入口102または第2のプレナム入口104の1つを、それぞれ対応する第1の供給ライザーポート138または第2の供給ライザーポート140と流体的に接続してもよい。層116bにおける第1の供給ライザーポート138および第2の供給ライザーポート140は、層116bの底部を通過するとともに、それぞれ第1の供給通路124または第2の供給通路126の1つを、層116cにおける第1の供給プレナム130または第2の供給プレナム132と流体的に接続してもよい。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
各第1の供給プレナム130は、その第1の供給プレナム130から外側に放射状に延びる複数の第1の供給スポーク通路134を有してもよい。各第1の供給スポーク通路134は、すぐ下流の層116(例えば、層116d)につながる層116c内の対応する第1の供給ライザーポート138にて終端してもよい。同様に、各第2の供給プレナム132は、その第2の供給プレナム132から外側に放射状に延びる複数の第2の供給スポーク通路136を有してもよい。各第2の供給スポーク通路136は、すぐ下流の層116につながる層116c内の対応する第2の供給ライザーポート140にて終端してもよい。層116cの各第1の供給ライザーポート138および第2の供給ライザーポート140は、すぐ下流の層の対応するプレナム構造の上に略中心を置く位置に配置されてもよい。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
この特性により、DPFシャワーヘッド内の各プレナムのガス分配通路は「フラクタル」な外観を有し、これが、「二重プレナムフラクタルシャワーヘッド」という名称の由来となる。なお、いくつかの実装形態において、各径方向対称ガス分配構造における特定のサブ構造は、すぐ上流の層の径方向対称ガス分配構造における対応する構造から拡大または縮小されてもよいことに留意されたい。例えば、例示的なDPFシャワーヘッド100では、所与の径方向対称ガス分配構造のライザーポート間の中心間距離は、この所与の径方向対称ガス分配構造のすぐ
上流の径方向対称ガス分配構造のライザーポート間の対応する中心間距離の50%である。ただし、各スポーク通路の断面幅は、すぐ
上流の径方向対称ガス分配構造における中心間間隔に対して実際に増加してもよい。
図9は、そのような特性に関する追加の理解を提供する図である。
図9において、各々が1つの第1の径方向対称ガス分配構造146および4つの隣接する第2の径方向対称ガス分配構造148からなる3つのセット(3つのフラクタル層122の各々からのセット)は、それぞれの垂直孔間の中心間距離がすべて同一であり、かつ互いに中心が合うように拡縮されている。図から分かるように、層116eの第1および第2の径方向対称ガス分配構造146’および148’(点線の輪郭で示す)は、対応する第1および第2の径方向対称ガス分配構造146および148よりも(垂直孔間の中心間距離に対して)わずかに幅が広いスポーク通路を有する。同様に、層116fの第1および第2の径方向対称ガス分配構造146”および148”(破線の輪郭で示す)は、対応する第1および第2の径方向対称ガス分配構造146’および148’よりも(垂直孔間の中心間距離に対して)わずかに幅が広いスポーク通路を有する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
いくつかの実装形態において、コントローラが設けられてもよい。コントローラはシステムの一部であってもよい。システムは、上述した例を含んでもよく、さらに、各種のバルブ、マスフローコントローラ、ポンプなどに動作可能に接続され、これらの機器から情報を受信し、かつ/またはこれらの機器を制御することが可能であってもよい。このようなシステムは、1つ以上の処理ツール、1つ以上のチャンバ、1つ以上の処理用プラットフォーム、および/または特定の処理用コンポーネント(ウエハ台座やガス流量システムなど)を含む半導体処理装置を含むことができる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、処理後におけるシステムの動作を制御するための電子機器と一体化されてもよい。電子機器は「コントローラ」と呼ぶこともでき、1つ以上のシステムの様々なコンポーネントまたはサブ部品を制御してもよい。コントローラは、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、本明細書に開示したいずれのプロセスも制御するようにプログラムされてもよい。これらのプロセスには、本明細書に記載のDPFまたはSPFシャワーヘッドなどへの各種ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、流量設定、流体供給設定、ならびに位置および動作設定が含まれる。
【国際調査報告】