(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-08
(54)【発明の名称】締結具試験システム及び装置
(51)【国際特許分類】
G01M 7/02 20060101AFI20221201BHJP
G01M 13/00 20190101ALI20221201BHJP
【FI】
G01M7/02 Z
G01M13/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520462
(86)(22)【出願日】2020-10-05
(85)【翻訳文提出日】2022-05-27
(86)【国際出願番号】 US2020054206
(87)【国際公開番号】W WO2021067910
(87)【国際公開日】2021-04-08
(32)【優先日】2019-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ショー、 ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】バックリー、 トーマス
(72)【発明者】
【氏名】フーバー、 フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】テンポ、 オルネラ
(72)【発明者】
【氏名】ダンケル、 ロバート
(72)【発明者】
【氏名】カールソン、 ジェス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】フックス、 ドナルド
(72)【発明者】
【氏名】スタンカ、 ニコラス イー.
(72)【発明者】
【氏名】ステファンス、 ポール ディー.
(72)【発明者】
【氏名】シュパーク、 ジェームス イー.
【テーマコード(参考)】
2G024
【Fターム(参考)】
2G024AA02
2G024BA25
2G024CA11
2G024CA13
2G024DA12
2G024EA06
2G024FA02
(57)【要約】
締結具試験システムは、試験ステーションと準備ステーションとを含む振動試験装置を含む。準備ステーションは、その中で複数のテストピースを順次組み立てるように構成されている。試験ステーションは、複数のテストピースのうちの各々の組立て済みのテストピースを順次受け入れて振動させるように構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中にテストピースを受け入れるように構成された開口を画定する第1の部材及び第2の部材を含む試験ステーションであって、前記第2の部材は前記第1の部材に対して往復横行運動でスライドするように構成されている、前記試験ステーションと、
モータ式駆動アセンブリであって、前記第2の部材を前記第1の部材に対して前記往復横行運動で駆動させるように構成されている、前記モータ式駆動アセンブリと、
を備えた振動試験装置。
【請求項2】
準備ステーションをさらに備え、前記準備ステーションは、前記試験ステーションとは別個であり、前記テストピースを中に受け入れ、かつ前記テストピースの第1の結合部材を前記テストピースの第2の結合部材に対して適切な位置合わせで位置決めするように構成された開口を含む、請求項1に記載の振動試験装置。
【請求項3】
前記第1の部材に対する前記試験ステーションの前記第2の部材の前記往復横行運動は、前記テストピースが前記試験ステーション内に配置されている間に、前記テストピースの前記第2の結合部材を前記第1の結合部材に対して相対的に振動させる、請求項2に記載の振動試験装置。
【請求項4】
モータ制御入力部と、
コントローラであって、前記モータ制御入力部と前記モータ式駆動アセンブリとに動作可能に接続され、前記モータ制御入力部からの信号に応答して前記モータ式駆動アセンブリを作動させるように構成された、前記コントローラと、
さらに備えた、請求項1に記載の振動試験装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記テストピースのセンサに動作可能に接続可能である、請求項4に記載の振動試験装置。
【請求項6】
表示部をさらに備え、
前記コントローラは、前記テストピースの締結具が破損したときに前記表示部上に表示を行うように構成されている、請求項5に記載の振動試験装置。
【請求項7】
前記表示は、前記センサによって検出されたクランプ荷重に基づいている、請求項6に記載の振動試験装置。
【請求項8】
前記コントローラは、遠隔装置と通信するように構成された送信モジュールをさらに備え、前記コントローラは、前記センサによって検出されたクランプ荷重を示す信号を前記遠隔装置に提供するように構成されている、請求項6に記載の振動試験装置。
【請求項9】
複数のテストピースが適切な位置合わせで中で順次組み立てられるように構成された準備ステーションと、
前記複数のテストピースのうちの各々の組立て済みのテストピースを順次受け入れて振動させるように構成された試験ステーションと、
前記試験ステーションの少なくとも一部を振動させるように構成されたモータ式駆動アセンブリと、
を備えた振動試験装置。
【請求項10】
前記モータ式駆動アセンブリに動作可能に接続されたコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記試験ステーションの第1の部材を前記試験ステーションの第2の部材に対して往復横行運動で駆動させることによって前記試験ステーションの少なくとも一部を振動させるために前記モータ式駆動アセンブリに電力を供給する、請求項9に記載の振動試験装置
【請求項11】
前記テストピースが前記試験ステーション内で振動している間、各々の組立て済みのテストピースの一部を前記試験ステーションの前記第2の部材に固定するように構成された固定システムをさらに備えている、請求項10に記載の振動試験装置。
【請求項12】
前記複数のテストピースのうちの組立て済みのテストピースを前記試験ステーション内へ受け入れるために前記試験ステーションの前記第1の部材と前記第2の部材とを位置合わせするために、前記モータ式駆動アセンブリを手動で駆動する手動入力部をさらに備えている、請求項10に記載の振動試験装置。
【請求項13】
前記準備ステーションは、前記試験ステーションとは別個であり、かつ前記試験ステーションに隣接している、請求項9に記載の振動試験装置。
【請求項14】
前記準備ステーション又は前記試験ステーションの少なくとも一方から前記複数のテストピースのテストピースを排出させるように構成された排出システムをさらに備えている、請求項9に記載の振動試験装置。
【請求項15】
複数のテストピースと、
前記複数のテストピースのうちのテストピースを受け入れて振動させるように構成された試験ステーションと、前記複数のテストピースのうちの各々のテストピースを組み立てる準備ステーションであって、前記試験ステーションに隣接している前記準備ステーションと、を含む振動試験装置と、
を備えた締結具試験システム。
【請求項16】
前記試験ステーションは、中にテストピースを受け入れるように構成された開口を画定する第1の部材及び第2の部材を含み、前記第2の部材は、前記第1の部材に対して往復横行運動でスライドするように構成されている、請求項15に記載の締結具試験システム。
【請求項17】
前記振動試験装置は、前記第2の部材を前記第1の部材に対して前記往復横行運動で駆動させるように構成されたモータ式駆動アセンブリをさらに備える、請求項16に記載の締結具試験システム。
【請求項18】
前記複数のテストピースの各々のテストピースは、第1の結合部材と第2の結合部材とを含む、請求項15に記載の締結具試験システム。
【請求項19】
前記複数のテストピースの各々のテストピースは、前記第1の結合部材を前記第2の結合部材に結合する締結具をさらに含む、請求項18に記載の締結具試験システム。
【請求項20】
前記準備ステーションは、前記複数のテストピースのうちの1つのテストピースを中に受け入れ、かつ前記テストピースの前記第1の結合部材を前記テストピースの前記第2の結合部材に対して位置決めするように構成された開口を含む、請求項19に記載の締結具試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、締結具の試験に関する。
【背景技術】
【0002】
ユンカー試験は、横振動によるせん断荷重を受けたときに、ねじ式締結具で固定された結合部がねじ式締結具の自己緩みにより予荷重を喪失する時点を判定するために用いられる機械試験である。ユンカー振動試験の基準は、「New Criteria for Self-Loosening of Fasteners Under Vibration(振動下の締結具の自己緩みに関する新基準)」と題するSAEペーパー690055において見ることができる。ユンカー試験を行うための既知の機械は、機械が大きく、したがって容易に移動できないため、実証目的には実用的でない。さらに、既知のユンカー試験機を用いて、例えば実証目的で短時間に複数の締結具を試験することは、既知の機械が一度に1つの締結具しか収容できず、1つの締結具が試験前に適切な予荷重で機械に適切に取り付けられる必要があるため、問題がある。そのため、種々の締結具及び/又は締結具に塗布される種々のネジロック剤を比較して、それらの種々の性能を実証することは困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示は、ねじ式締結具によって固定された結合部の振動試験を行うための、及びそのようなねじ式締結具に塗布されるねじロック接着剤を試験し、かつ比較するための、改良されたシステムを提供する。
【0004】
本開示によれば、振動試験装置は、中にテストピースを受け入れるように構成された開口を画定する第1の部材及び第2の部材を含む試験ステーションを備え得る。第2の部材は、第1の部材に対して往復横行運動でスライドするように構成されてもよく、モータ式駆動アセンブリが、第2の部材を第1の部材に対して往復横行運動で駆動させるように構成されてもよい。
【0005】
本開示によれば、振動試験装置は、試験ステーションとは別個である準備ステーションをさらに備えてもよい。準備ステーションは、テストピースを中に受け入れ、かつテストピースの第1の結合部材をテストピースの第2の結合部材に対して適切な位置合わせで位置決めするように構成された開口を含み得る。
【0006】
本開示によれば、第1の部材に対する試験ステーションの第2の部材の往復横行運動は、テストピースが試験ステーション内に配置されている間に、テストピースの第2の結合部材を第1の結合部材に対して相対的に振動させ得る。
【0007】
本開示によれば、振動試験装置は、モータ制御入力部と、モータ制御入力部とモータ式駆動アセンブリとに動作可能に接続されたコントローラとをさらに備えてもよい。コントローラは、モータ制御入力部からの信号に応答してモータ式駆動アセンブリを作動させるために電力を供給し得る。
【0008】
本開示によれば、コントローラは、テストピースのセンサに動作可能に接続可能であってもよい。
【0009】
本開示によれば、振動試験装置は表示部をさらに備えていてもよく、コントローラは、テストピースの締結具が破損したときに表示部上に表示を行うように構成されてもよい。表示は、センサによって検出された力に基づいてもよく、その力はクランプ荷重を示すものである。表示部は、複数の発光ダイオード等として振動試験装置の筐体に内蔵されてもよく、あるいは、表示部は、有線接続又はBluetooth等の無線接続を介して振動試験装置と通信するコンピュータ、タブレット、携帯電話等の遠隔装置上のスクリーン等であってもよい。
【0010】
本開示によれば、コントローラは、遠隔装置と通信するように構成された送信モジュールをさらに備えてもよい。コントローラは、クランプ荷重を示す信号を遠隔装置に提供することが可能であり、クランプ荷重はセンサによって検出された力から推論されるものである。
【0011】
本開示によれば、振動試験装置は、複数のテストピースが中で順次組み立てられるように構成された準備ステーションと、複数のテストピースのうちの各々の組立て済みのテストピースを順次受け入れて振動させるように構成された試験ステーションとを備えてもよい。振動試験装置は、試験ステーションの少なくとも一部を振動させるように構成されたモータ式駆動アセンブリをさらに備えてもよい。
【0012】
本開示によれば、振動試験装置は、モータ式駆動アセンブリに動作可能に接続されたコントローラをさらに備えてもよい。コントローラは、試験ステーションの少なくとも一部を振動させるためにモータ式駆動アセンブリに電力を供給し得る。モータ式駆動アセンブリは、試験ステーションの第1の部材を試験ステーションの第2の部材に対して往復横行運動で駆動させることによって、上記少なくとも一部を振動させ得る。
【0013】
本開示によれば、振動試験装置は、テストピースが試験ステーション内で振動している間、各々の組立て済みのテストピースの一部を試験ステーションの第2の部材に固定するように構成された固定システムをさらに備えてもよい。
【0014】
本開示によれば、振動試験装置は、複数のテストピースのうちの組立て済みのテストピースを試験ステーション内へ受け入れるために、例えば、試験ステーションの第1の部材と第2の部材とを位置合わせするために、モータ式駆動アセンブリを手動で駆動する手動入力部をさらに備えてもよい。
【0015】
本開示によれば、準備ステーションは、試験ステーションとは別個であり、かつ試験ステーションに隣接していてもよい。
【0016】
本開示によれば、振動試験装置は、準備ステーション又は試験ステーションの少なくとも一方から複数のテストピースのテストピースを排出させるように構成された排出システムをさらに備えてもよい。
【0017】
本開示によれば、締結具試験システムは、複数のテストピースと振動試験装置とを備えてもよい。振動試験装置は、互いに隣接している試験ステーションと準備ステーションとを含み得る。試験ステーションは、複数のテストピースのうちのテストピースを受け入れて振動させるように構成されてもよい。複数のテストピースのうちのテストピースは、準備ステーションにおいて組み立てられ得る。
【0018】
本開示によれば、複数のテストピースの各々のテストピースは、第1の結合部材と第2の結合部材とを含んでもよい。各々のテストピースは、第1の結合部材を第2の結合部材に結合する締結具をさらに含んでもよい。
【0019】
本開示によれば、試験ステーションは、中にテストピースを受け入れるように構成された開口を画定する第1の部材及び第2の部材を含んでもよい。第2の部材は、第1の部材に対して往復横行運動でスライドするように構成されてもよい。振動試験装置は、第2の部材を第1の部材に対して往復横行運動で駆動させるように構成されたモータ式駆動アセンブリをさらに備えてもよい。
【0020】
本開示によれば、準備ステーションは、複数のテストピースのうちの1つのテストピースを中に受け入れ、かつテストピースの第1の結合部材をテストピースの第2の結合部材に対して位置決めするように構成された開口を含んでもよい。
【0021】
本発明のこれらの特徴及び利点並びに他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を図面とともに読むことにより、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示に係る締結具試験システムの斜視図である。
【
図2】
図1に示した締結具試験システムの振動試験装置を部分的に分解して示した側面断面の斜視図である。
【
図3】
図2に示した振動試験装置の側面断面の斜視図である。
【
図5】
図2に示した振動試験装置の正面断面の斜視図である。
【
図6】
図1に示した締結具試験システムのテストピースを部分的に分解して示した斜視図である。
【
図7】
図6に示したテストピースの側面断面図である。
【
図8】
図6に示したテストピースの正面断面図である。
【
図9】動作中の
図1に示した締結具試験システムの斜視図である。
【
図10】テストピースの準備中の
図9に示した締結具試験システムの拡大正面断面図である。
【
図11】テストピースの準備中の
図9に示した締結具試験システムの拡大斜視図である。
【
図12】テストピースの準備中の
図9に示した締結具試験システムの拡大斜視図である。
【
図13】
図9に示した締結具試験システムの正面断面図である。
【
図14】動作中の
図1に示した締結具試験システムの斜視図である。
【
図15】テストピースの試験中の
図14に示した締結具試験システムの側面断面図である。
【
図16】
図1の締結具試験システムの概略構成図である。
【
図17】本開示に係る締結具試験システムの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
様々な実施形態がさらに詳細に説明される前に、本発明は、説明される特定の実施形態に限定されないことを理解されたい。また、使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、本願の特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0024】
図面では、特定の記述が特定の図及び参照番号のみを参照し得るが、そのような記述は、他の図における同様の参照番号にも同じように適用され得ることが理解されるべきである。さらに、様々な特徴が簡略化のために種々の図に示されているが、様々な特徴が本開示の範囲から逸脱することなく組み合わされ得ることは、当業者にとって容易に明らかであるはずである。
【0025】
図1は、本開示に係る締結具試験システム10を示す。締結具試験システム10は、振動試験装置12と、1つ又は複数のテストピース14とを含む。振動試験装置12は、本体20内に配置された試験ステーション16及び準備ステーション18を含む。振動試験装置12はまた、試験ステーション16及び/又は準備ステーション18からのテストピース14の取り外しを補助する排出システム21と、本体20の端部に設けられた安定化ハンドル22とを含んでもよい。
【0026】
試験ステーション16は、固定されたベース部材24と、中にテストピース14を受け入れるように構成された試験キャビティ27を画定する上側部材26とを含む。上側部材26は、ベース部材24上に配置され、かつベース部材24に対して往復横行運動でスライドするように構成されている。
【0027】
準備ステーション18は、試験ステーション16とは別個のものであり、試験ステーション16における後続の試験のためにテストピース14を準備するための、中にテストピース14を受け入れるように構成されたキャビティ28を含む。キャビティ28を画定する準備ステーション18の内壁29は、キャビティ28の下側部分30がキャビティ28の上側部分31よりも小さくなるような段差形状を有していてもよい。
【0028】
図2及び
図3を参照すると、振動試験装置12はまた、本体20内に配置されたモータ式駆動アセンブリ32も含む。モータ式駆動アセンブリ32は、
図2に示すモータ34又は他の同様の駆動機構と、モータ34を試験ステーション16の上側部材26に連結する歯車式動力伝達装置36とを含む。歯車式動力伝達装置36は、
図2に示したモータ34の回転運動を往復運動に変換して、軸38に沿ってベース部材24に対して上側部材26を往復横行運動で駆動するように構成されている。
図3に見られるように、振動試験装置12は、モータ式駆動アセンブリ32の動力作動を制御するコントローラ40と、コントローラ40に動作可能に結合されたモータ制御入力部42とを含む。
【0029】
図4を参照すると、振動試験装置12は、
図3に示したコントローラ40に動作可能に結合された表示部44及びセンサポート46を含むこともできる。振動試験装置12は、
図2に示したモータ34をユーザが手動で回転させることを可能にする手動入力部48も含んでもよい。手動入力部48は、例えば、モータ34のシャフトに結合されたノブ等であってよく、そのノブ等は、回転させられるとシャフトの対応する回転を生じさせる。この回転により、
図2に示したモータ式駆動アセンブリ32及び試験ステーション16の上側部材26の手動作動がもたらされ、これは、
図1に示されたテストピース14が試験ステーション16内に挿入され得るように、ベース部材24に対する上側部材26の位置合わせを促進する。
【0030】
図3及び
図4ではモータ制御入力部42は簡略化のためにボタンとして示されているが、モータ制御入力部42は、スイッチ、ダイヤル、レバー、タッチパネル等及び/又はそれらの任意の組み合わせ等の任意の他のタイプの既知の入力デバイスであってもよい。
【0031】
図5を参照すると、
図1に示したテストピース14を試験ステーション16及び/又は準備ステーション18から取り外すのを補助する排出システム21が示されている。排出システム21は、本体20の下側にベアリング54によって回転可能に結合された軸52に固定されたハンドル50を含む。軸52は、試験ステーション16に近接して軸52に固定され、かつ試験ステーション16の底面を貫通して形成された開口58と協働する第1のカム部材56を含む。軸52はまた、準備ステーション18に近接して軸52に固定され、かつ準備ステーション18の底面を貫通して形成された開口62と協働する第2のカム部材60を含む。排出システム21はまた、
図5に示す非作動位置に向かって排出システム21を付勢する、ばね等の付勢部材64を含んでもよい。ハンドル50は、
図5に示された非作動位置から排出位置まで方向66に移動可能である。ハンドル50が移動すると、軸52が回転し、第1のカム部材56は開口58を通って試験ステーション16の中へ上方に移動し、第2のカム部材60は開口62を通って準備ステーション18の中へ上方に移動する。
【0032】
図6~
図8を参照すると、締結具試験システム10の各テストピース14は、下側結合部材68と、上側結合部材70と、下側結合部材68と上側結合部材70とを一緒に固定する締結具72とを含む。テストピース14は、下側結合部材68が上側結合部材70よりも小さい段差のある構成を有していてもよい。
【0033】
図7に見られるように、締結具72に加えて、アライメントボルト73も、上側結合部材70を下側結合部材68に固定し得る。アライメントボルト73は、上側結合部材70又は下側結合部材68の一方にねじ係合し、上側結合部材70又は下側結合部材68の他方と隙間嵌めされて、下側結合部材68に対する上側結合部材70の横方運動を許容するようになっている。例えば、
図7に示すように、上側結合部材70は位置合わせボルト73と隙間嵌めされており、下側結合部材68はアライメントボルト73とねじ係合している。
図8に見られるように、テストピース14は、下側結合部材68と上側結合部材70との間に配置されたニードルベアリング等のベアリング74を含むこともできる。ベアリング74は、下側結合部材68と上側結合部材70との間の摩擦を低減し、それによって、より少ない電力で済むように上側結合部材70が試験中に下側結合部材68に対して横行運動で移動し易くなる。
【0034】
図6に戻ると、上側結合部材70は、上側結合部材70に固定された歪みゲージ等のセンサ75を有する。上側結合部材70はまた、締結具72に近接する横溝76を含んでもよく、横溝76はひずみ集中を生じさせるので、センサ75によって読み取られる読取値を増幅するために、センサ75は横溝76を跨ぐように配置されている。テストピース14の試験前に、センサ送信機78を1つ以上のねじ80によってテストピース14に取り付けてもよい。センサ75と
図3に示した振動試験装置12のコントローラ40との間の通信を容易にするように、センサ送信機78は、ワイヤ82等によってセンサ75に接続され、かつ
図4に示した振動試験装置12のセンサポート46に
図4に示したケーブル84によって接続され得る。
【0035】
下側結合部材68は、
図1に示した振動試験装置12の位置決めねじ部材88によって係合され、試験中に
図1に示した試験ステーション16内でテストピース14を位置合わせ及び/又は固定するように構成された位置決め穴86を含んでもよい。さらに、テストピース14が向きに関係なく試験ステーション16内で位置合わせ及び/又は固定されるように、下側結合部材68は、
図7に見られるように、下側結合部材68の両側面に位置決め穴86を含んでもよい。
【0036】
図9を参照すると、動作中、各テストピース14は、試験のために準備ステーション18において準備される。例えば、各テストピース14は、準備ステーション18において組み立てられてもよく、あるいは代替的に、各テストピース14は、準備ステーション18に挿入する前に、
図8に示した下側結合部材68及び上側結合部材70を一緒に保持するが、その最終的な所望のトルク規格値までトルクがまだ加えられておらず、それによって下側結合部材68と上側結合部材70との間である程度の相対移動を許容している締結具72によって、予備的に組み立てられてもよい。ねじロック剤の性能及び/又は特性が振動試験装置12において試験される場合、ねじロック剤は組立中又は予備組立中に締結具72に塗布され得る。
【0037】
図10を参照すると、下側結合部材68及び上側結合部材70が、組立中又は予備組立済みテストピース14として、準備ステーション18のキャビティ28に挿入されるとき、内壁29の段差構成により、上側結合部材70が下側結合部材68に対して適切に位置決めされることを確実にする。その後、締結具72は、下側結合部材68及び上側結合部材70を一緒に結合させるために、その最終的な所望のトルク規格値までトルクが加えられ得る。
【0038】
図11を参照すると、テストピース14が準備ステーション18内にある間、センサ75は、例えば、ねじ等によってテストピース14に固定されてもよい。上述したように、センサ75は、テストピース14の試験中にセンサ75によって読み取られる読取値を増幅するために、上側結合部材70に形成された横溝76を跨ぐように配置されてもよい。
【0039】
図12を参照すると、テストピース14が準備ステーション18内にある間、センサ送信機78は、
図6に示したワイヤ82等によってセンサ75に接続されてもよく、さらに、ねじ80によってテストピース14に取り付けられてもよい。センサ送信機78は、テストピース14上に取り付けられると、センサ75の保護カバーを有利に形成する。
【0040】
図13を参照すると、準備ステーション18においてテストピース14が準備されると、排出システム21を用いて準備ステーション18からテストピース14を取り外すことができる。具体的には、ハンドル50は、
図11に示した非作動位置から排出位置まで、
図5に示した方向66に引くことができる。ハンドル50が移動すると、軸52が回転し、第2のカム部材60が開口部62を通って準備ステーション18内へ上方に移動し、テストピース14を上方に押し上げる。これにより、テストピース14を上方に移動させて、キャビティ28から排出させる。その後、ハンドル50は、非作動位置に戻すことができる。例えば、排出システム21が付勢部材64を含む場合、ハンドル50は、付勢部材64が排出システム21を非作動位置に戻すことを可能にするために、単にリリースされてもよい。
【0041】
更なるテストピース14を上述と同様の方法で準備することができる。例えば、種々のねじロック剤を試験して比較する場合、各テストピース14がテストピース14の締結具72に種々のねじロック剤を塗布された状態で、複数のテストピース14を上述した方法で準備してもよい。
【0042】
図6に示したセンサ75及びセンサ送信機78は、テストピース14が準備ステーション18内に配置されている間にテストピース14上に設置されるものとして上述したが、その代わりに、センサ75及びセンサ送信機78は、テストピース14が上述した方法で準備ステーション18から取り外された後にテストピース14上に設置されてもよい。
【0043】
図14を参照すると、テストピース14が準備されると、各テストピース14は次に、図示のように、試験のために振動試験装置12の試験ステーション16内に挿入される。テストピース14の試験ステーション16への挿入の間、
図4に示した手動入力部48は、テストピース14が試験ステーション16に挿入され得るようにテストピース14の段差形状に適応させるために、ベース部材24に対して上側部材26を適切に位置合わせするように試験ステーション16の上側部材26をベース部材24に対してスライド移動させるために使用されてもよい。テストピース14が試験ステーション16に挿入されると、センサ送信機78は、ケーブル84によってセンサポート46に接続され、それらの間の通信を可能にすることができる。さらに、
図15に関連して、振動試験装置12の位置決めねじ88は、下側結合部材68を試験ステーション16内に固定するために、テストピース14の下側結合部材68に形成された位置決め穴86に係合するように締め付けられてもよい。
【0044】
図15を参照すると、テストピース14が試験ステーション16内に設置されると、モータ制御入力部42を作動させることによって試験を開始することができ、モータ制御入力部42は、コントローラ40に、軸38に沿ってベース部材24に対して上側部材26を往復横行運動で駆動するためにモータ式駆動アセンブリ32に電力を供給するように信号を送る。モータ式駆動アセンブリ32は、モータ制御入力部42の作動に応答して、様々な方法でコントローラ40によって制御され得る。例えば、モータ制御入力部42が作動されると、コントローラ40は、30秒、1分、5分、又は他の任意の所望の持続期間等の予め設定された時間の間、モータ式駆動アセンブリ32を作動させてもよい。あるいは、コントローラ40は、センサ75からの信号が、テストピース14の締結具72及び/又は締結具72に塗布されたねじロック剤の破損を示すまで、モータ式駆動アセンブリ32を作動させてもよい。振動試験装置12はまた、モータ制御入力部42が押されている間だけコントローラ40がモータ式駆動アセンブリ32を作動させるように、あるいは、モータ制御入力部42が最初に押されたときにモータ式駆動アセンブリ32を作動させ、モータ制御入力42が次に押されたときにモータ式駆動アセンブリ32を非作動にするように構成されてもよい。
【0045】
図16は、締結具試験システム10の概略構成を示す図である。図示のように、テストピース14上のセンサ75は、振動試験装置12のコントローラ40にケーブル84によって動作可能に接続されている。コントローラ40は、上述したように、モータ制御入力部42及びモータ駆動アセンブリ32と、振動試験装置12に電力を供給する電源90とに動作可能に接続されている。コントローラ40は、Bluetoothモジュール、無線ルータ、セルラーモジュール等の送受信機92を含むこともできる。さらに、無線送信機として説明したが、送受信機92は、USBポート等の有線接続ポートを備えてもよい。
【0046】
テストピース14が試験されると、モータ式駆動アセンブリ32は、
図15に示した上側部材26を、
図15に示したベース部材24に対して往復横行運動で駆動させ、センサ75からのデータがコントローラ40に供給される。ユーザは、
図15に示した上側部材26の往復横行運動を打ち消す対抗力(カウンターレバレッジ)を生じさせるために、試験中に
図1に示した安定化ハンドル22を保持してもよい。データは、コントローラ40によって表示部44上に視覚的に表示されてもよく、及び/又は、モータ式駆動アセンブリ32を上述したように非作動化するために、
図15に示した締結具72及び/又は締結具72に塗布されるねじロック剤の破損を判定するためにコントローラ40によって使用されてもよい。例えば、センサ75は、センサの力データから締め付け荷重の喪失を検出し得るように、締結具72によってもたらされる締め付け荷重を示す力を測定することが可能である。表示部44は、数値データを表示してもよいし、表示部44は、締め付け荷重の喪失の視覚的な表示を単に提供してもよい。例えば、表示部44は、締め付け荷重が失われると第1の色から第2の色に変化する発光ダイオード(LED)を含んでいてもよい。コントローラ40は、更なる処理及び/又は表示のために、コンピュータ、タブレット、携帯電話等の遠隔装置94にデータを送信するために、送信機/受信機92を使用してもよい。テストピース14の試験が完了すると、例えば、センサ75からのデータが、締結具72及び/又は締結具72に塗布されたねじロック剤の緩みを示す締め付け荷重の喪失を示すような場合に、モータ式駆動アセンブリ32は、コントローラ40によって自動的に、又はユーザによって手動で非作動化され得る。
【0047】
図15に戻って参照すると、テストピース14が試験ステーション16で試験されると、排出システム21を用いて試験ステーション16からテストピース14を取り出すことができる。具体的には、ハンドル50を、
図15に示す非作動位置から排出位置まで方向66に引くことができる。ハンドル50が動くと、軸52が回転し、第1のカム部材56が開口58を通って試験ステーション16内へ上方に移動し、テストピース14を上方に押す。これにより、テストピース14は上方に移動し、試験キャビティ27から排出される。その後、ハンドル50を非作動位置に戻すことができる。例えば、排出システム21が
図13に示した付勢部材64を含む場合、付勢部材64が排出システム21を非作動位置に戻すことを可能にするように、ハンドル50は単にリリースされるだけでよい。
【0048】
更なるテストピース14は、上述と同様の方法で試験することができる。例えば、種々のねじロック剤を試験するために複数のテストピース14が上述の方法で準備された場合、複数のテストピース14は、上述の方法で試験ステーション16において連続的に試験され得る。上述したように、各試験の間、
図16に示したセンサ75からのデータは、
図16に示した遠隔装置94に提供され得る。遠隔装置94は、有利には、比較目的のために複数の試験からのデータを一緒に表示及び/又はプロットしてもよい。
【0049】
図17を参照すると、締結具試験システム110の他の実施形態が示されており、同様の数字が同様の要素を表している。締結具試験システム110は、
図1に示した排出システム21を含まないことを除いて、
図1に示した締結具試験システム10と同一である。したがって、締結具試験システム110は、振動試験装置112と、1又は複数のテストピース114とを含む。振動試験装置112は、本体120内に配置された試験ステーション116及び準備ステーション118を含む。振動試験装置112はまた、本体120の端部に安定化ハンドル122を含んでもよい。
【0050】
テストピース114は、
図1に示した締結具試験システム10に関連して上述したのと同じ方法で、準備ステーション118で準備され、試験ステーション116で試験される。しかしながら、テストピース114を準備ステーション118及び試験ステーション116から取り出すために、ユーザ又はオペレータは、取り出すべきテストピース114を、例えばセンサ送信機178によって単に掴み、次に、テストピース114を上方に引っ張り、テストピース114が配置された準備ステーション118又は試験ステーション116からテストピース114を取り出す。締結具試験システム110は、
図1に示した排出システム21が無いこと以外は、
図1に示した締結具試験システム10と同一であり、
図1に示した締結具試験システム10と同様に動作するので、締結具試験システム110の構成及び動作については、詳細な説明は省略する。
【0051】
本開示の締結具試験システム10,110は、締結具及びそのような締結具に塗布されたねじロック接着剤を試験及び比較するための携帯可能で自己充足型の試験デバイスを有利に提供する。安定化ハンドル22,122は、有利には、振動試験装置12,112を持ち運び、運搬するために使用され得る。準備ステーション18,118及び試験ステーション16,116の両方は、試験の間にねじロック接着剤が硬化するのを待つことなく、かつ、試験の間に新しい締結具を試験装置内に配置するための分解及び/又は組立てを必要とすることなく、交換可能なテストピース14,114を準備及び試験することを可能にする単一ユニット内に有利に含まれる。例えば、複数のテストピース14,114は、試験手順又は実証の前に数時間又は数日をかけて準備され得る。テストピース14,114は、振動試験装置12,112の詰まりを防止する段差構成を有利に有する。締結具試験システム10,110は、有利には、例えば試験される種々のねじロック接着剤の強度の比較を提供するために、改良されたデータの取り込み及び/又は処理を提供するために遠隔装置94と連動してもよい。
【0052】
本明細書では、システム及び装置の原理を説明したが、この説明は例示としてのみなされるものであり、本発明の範囲に関する限定ではないことが当業者に理解されるであろう。該当する技術分野の当業者に認識されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、本開示の上述のシステム及び装置に多数の変更及び修正を加えることができ、それらの変更及び修正は本開示の範囲内にあるとみなされる。したがって、本明細書に記載された例示的な実施形態は、単に例示であって、限定的なものではないとみなされる。
【国際調査報告】