(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-13
(54)【発明の名称】着色剤組成物、感光性樹脂組成物、感光材、カラーフィルタおよび液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20221206BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20221206BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20221206BHJP
C09B 67/22 20060101ALI20221206BHJP
C09B 11/28 20060101ALI20221206BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
C09B67/20 F
C09B67/22 Z
C09B11/28 C
C09B11/28 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521750
(86)(22)【出願日】2020-12-02
(85)【翻訳文提出日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 KR2020017447
(87)【国際公開番号】W WO2021112552
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0158334
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ダミ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨウンウーン
(72)【発明者】
【氏名】パイク、キュン リム
(72)【発明者】
【氏名】リー、キ ヨウル
(72)【発明者】
【氏名】パク、ミヒー
(72)【発明者】
【氏名】リー、ウ ラ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒュン スク
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE13
2H148BE14
2H148BE15
2H148BE18
2H148BF16
2H148BG02
2H148BH28
2H225AM13P
2H225AM22P
2H225AM32P
2H225AM39P
2H225AN39P
2H225AN66P
2H225AN94P
2H225BA16P
2H225BA17P
2H225BA32P
(57)【要約】
【要約】
本発明は、第1色材および第2色材を含む着色剤組成物であって、前記第1色材および第2色材は、それぞれ波長490nm以上605nm以下における透過度が60%以下であり、波長470nm以下における透過度が90%以上であり、波長620nm以上における透過度が98%以上である着色剤組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1色材および第2色材を含む着色剤組成物であって、
前記第1色材および前記第2色材は、それぞれ波長490nm以上605nm以下における透過度が60%以下であり、波長470nm以下における透過度が90%以上であり、波長620nm以上における透過度が98%以上である着色剤組成物。
【請求項2】
前記第1色材および前記第2色材は、顔料または染料である、請求項1に記載の着色剤組成物。
【請求項3】
前記第1色材は、最大吸収波長が550nm~580nmの範囲内にある、請求項1または2に記載の着色剤組成物。
【請求項4】
前記第1色材は、波長480nm以下および波長610nm以上における透過度が85%以上である、請求項1から3のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項5】
前記第2色材は、最大吸収波長が530nm~560nmの範囲内にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項6】
前記第2色材は、波長470nm以下および波長580nm以上における透過度が85%以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項7】
前記第1色材および前記第2色材は、キサンテン系色材である、請求項1から6のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項8】
前記第1色材:前記第2色材の重量比は、1:9~9:1である、請求項1から7のいずれか一項に記載の着色剤組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の着色剤組成物を含む感光性樹脂組成物。
【請求項10】
前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂;レベリング剤;接着助剤;開始剤;および溶媒のうちの1種以上をさらに含む、請求項9に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項11】
請求項9に記載の感光性樹脂組成物を用いて形成された感光材。
【請求項12】
請求項11に記載の感光材を用いて製造されたカラーフィルタ。
【請求項13】
請求項12に記載のカラーフィルタを含む液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年12月2日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2019-0158334号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、着色剤組成物、感光性樹脂組成物、感光材、カラーフィルタおよび液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
感光性樹脂組成物は基板上にスピンコーティングし、加熱乾燥することにより溶剤を除去して平滑な塗膜を得ることができる。
【0004】
このように得られた塗布膜に、所望の画像を形成するためのネガマスクを介して紫外線を照射して露光部を硬化した後、非露光部を現像液に溶解させて現像する。
【0005】
このような過程を感光性樹脂組成物を用いて同一に繰り返して行うことにより、目的とする画素(パターン)としての各色の感光性樹脂組成物を用いて製造した塗膜を形成することができる。
【0006】
前記方法でカラーフィルタを形成するために同一の工程を3回繰り返さなければならない場合、工程費用が上昇する部分があり、熱処理工程を繰り返さなければならず、透過度は高いが熱に弱い染料は使用できない問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本明細書は、着色剤組成物、感光性樹脂組成物、感光材、カラーフィルタおよび液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書の一実施態様は、第1色材および第2色材を含む着色剤組成物であって、前記第1色材および第2色材は、それぞれ波長490nm以上605nm以下における透過度が60%以下であり、波長470nm以下における透過度が90%以上であり、波長620nm以上における透過度が98%以上である着色剤組成物を提供する。
【0009】
本明細書の一実施態様は、前記着色剤組成物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0010】
本明細書の一実施態様は、前記感光性樹脂組成物を用いて形成された感光材を提供する。
【0011】
本明細書の一実施態様は、前記感光材を用いて製造されたカラーフィルタを提供する。
【0012】
本明細書の一実施態様は、前記カラーフィルタを含む液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本明細書に係る着色剤組成物およびこれを含む感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルタを製造する場合、透過度に優れ、工程費用を節減できる効果がある。
【0014】
また、前記着色剤組成物およびこれを含む感光性樹脂組成物を用いてカラーフィルタを製造する場合、1つのカラーフィルタで赤色および青色の実現が可能な効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施態様は、第1色材および第2色材を含む着色剤組成物であって、前記第1色材および第2色材は、それぞれ波長490nm以上605nm以下における透過度が60%以下であり、波長470nm以下における透過度が90%以上であり、波長620nm以上における透過度が98%以上である着色剤組成物を提供する。
【0016】
前記第1色材および第2色材が前述した波長範囲および透過度範囲を満足する場合、光を出す光源の範囲とマッチング性が高くて透過度向上の効果がある。
【0017】
本明細書の一実施態様において、前記第1色材および第2色材は、顔料または染料である。
【0018】
前記顔料または染料は、本明細書に係る波長範囲および透過度範囲を満足すれば、種類は特に限定されない。
【0019】
本明細書において、前記顔料または染料は、「化合物」で表されてもよい。
【0020】
本明細書の一実施態様において、前記第1色材は、最大吸収波長が550nm~580nmの範囲内にある。
【0021】
本明細書の一実施態様において、前記第1色材は、波長480nm以下および波長610nm以上における透過度が85%以上である。
【0022】
具体的には、前記第1色材は、680nm以上で最大透過度を示すものである。
【0023】
本明細書の一実施態様において、前記第2色材は、最大吸収波長が530nm~560nmの範囲内にある。
【0024】
本明細書の一実施態様において、前記第2色材は、波長470nm以下および波長580nm以上における透過度が85%以上である。
【0025】
具体的には、前記第2色材は、470nm以下で最大透過度を示すものである。
【0026】
本明細書の一実施態様において、前記第1色材および第2色材は、キサンテン系色材である。
【0027】
本明細書の一実施態様において、前記第1色材および第2色材は、それぞれ波長490nm以上605nm以下における透過度が60%以下である。具体的には、前記第1色材および第2色材は、それぞれ波長501nm以上601nm以下における透過度が60%以下である。より具体的には、前記第1色材および第2色材は、それぞれ波長516nm以上574nm以下における透過度が60%以下である。
【0028】
前記第1色材および第2色材は、前述した波長範囲および透過度範囲を満足するものであれば、制限なく採用可能である。
【0029】
本明細書の一実施態様において、前記透過度は、前記第1色材、第2色材、または前記着色剤組成物を基材上にスピンコーティングし、熱処理してカラー基板を形成した後、形成されたカラー基板を分光器(MCPD、大塚社)を用いて測定した値である。
【0030】
本明細書の一実施態様において、前記基材は、支持体としての作用をするものであれば、制限なく使用可能である。例えば、ガラスであってもよい。
【0031】
本明細書の一実施態様において、前記第1色材:第2色材の重量比は、1:9~9:1である。具体的には、前記第1色材:第2色材の重量比は、3:7~6:4である。
【0032】
前記着色剤組成物が前記重量比範囲を満足することにより、1回のコーティングで赤色と青色の実現が可能なカラーフィルタ層を形成することができる。
【0033】
本明細書の一実施態様において、前記着色剤組成物は、前記第1色材および第2色材のほかに、追加の色材をさらに含む。すなわち、前記着色剤組成物は、2種以上の色材を含む。
【0034】
本明細書の一実施態様において、前記追加の色材は、当業界にて使用する色材であれば、制限なく適用可能である。
【0035】
本明細書の一実施態様において、前記着色剤組成物は、バインダー樹脂;レベリング剤;接着助剤;開始剤;および溶媒のうちの1種以上をさらに含むことができる。
【0036】
本明細書において、着色剤組成物が前記物質のうちの1種以上をさらに含む場合、着色剤組成物は、感光性樹脂組成物で表現される。すなわち、着色剤組成物が前記物質のうちの1種以上をさらに含む場合、「着色剤組成物」と「感光性樹脂組成物」の用語の混用が可能である。
【0037】
本明細書の一実施態様において、前記着色剤組成物は、バインダー樹脂;レベリング剤;および溶媒をさらに含む。
【0038】
本明細書の一実施態様は、前述した着色剤組成物を含む感光性樹脂組成物を提供する。
【0039】
本明細書の一実施態様において、前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂;レベリング剤;接着助剤;開始剤および溶媒のうちの1種以上をさらに含む。
【0040】
本明細書の一実施態様において、前記感光性樹脂組成物は、バインダー樹脂;レベリング剤;および溶媒をさらに含む。
【0041】
一実施態様において、前記感光性樹脂組成物は、光開始剤をさらに含むことができる。
【0042】
前記バインダー樹脂は、樹脂組成物で製造された膜の強度、現像性などの物性を示すことができれば、特に限定しない。
【0043】
前記バインダー樹脂は、機械的強度を付与する多官能性モノマーとアルカリ溶解性を付与するモノマーとの共重合樹脂を用いることができ、当技術分野にて一般的に使用するバインダーをさらに含むことができる。
【0044】
前記膜の機械的強度を付与する多官能性モノマーは、不飽和カルボン酸エステル類;芳香族ビニル類;不飽和エーテル類;不飽和イミド類;および酸無水物のうちのいずれか1つ以上であってもよい。
【0045】
前記不飽和カルボン酸エステル類の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、アシルオクチルオキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、メチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、エチルα-ヒドロキシメチルアクリレート、プロピルα-ヒドロキシメチルアクリレート、およびブチルα-ヒドロキシメチルアクリレートからなるグループより選択されてもよいが、これらのみに限定されるものではない。
【0046】
前記芳香族ビニル類の具体例としては、スチレン、α-メチルスチレン、(o,m,p)-ビニルトルエン、(o,m,p)-メトキシスチレン、および(o,m,p)-クロロスチレンからなるグループより選択されてもよいが、これらのみに限定されるものではない。
【0047】
前記不飽和エーテル類の具体例としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、およびアリルグリシジルエーテルからなるグループより選択されてもよいが、これらのみに限定されるものではない。
【0048】
前記不飽和イミド類の具体例としては、N-フェニルマレイミド、N-(4-クロロフェニル)マレイミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド、およびN-シクロヘキシルマレイミドからなるグループより選択されてもよいが、これらのみに限定されるものではない。
【0049】
前記酸無水物としては、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、テトラヒドロフタル酸無水物などがあるが、これらのみに限定されるものではない。
【0050】
前記アルカリ溶解性を付与するモノマーは、酸基を含めば特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、モノメチルマレイン酸、5-ノルボルネン-2-カルボン酸、モノ-2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ-2-((メタ)アクリロイルオキシ)エチルスクシネート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上を使用することが好ましいが、これらのみに限定されるものではない。
【0051】
本明細書の一実施態様によれば、前記バインダー樹脂の酸価は、50~130KOHmg/gであり、重量平均分子量は、1,000g/mol~50,000g/molである。
【0052】
前記レベリング剤としては、ポリマー性であるか、非ポリマー性であってもよい。ポリマー性のレベリング剤の具体例としては、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン、アミンとエポキシドとの反応生成物が挙げられ、非ポリマー性のレベリング剤の具体例としては、非-ポリマー硫黄含有および非-ポリマー窒素含有化合物を含むが、これに限定されず、当業界にて一般的に用いられるものがすべて使用可能である。
【0053】
前記接着助剤としては特に限定されず、当技術分野にて一般的に用いる接着助剤が使用可能である。
【0054】
本明細書に係る感光性樹脂組成物は、光開始剤を追加的に含むことができる。
【0055】
前記光開始剤としては、2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシフェニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(フィプロニル)-6-トリアジン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル(2-ヒドロキシ)プロピルケトン、ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルアミノベンゾフェノンなどから選択される1種以上の化合物が使用できるが、これのみに限定されるものではない。
【0056】
前記光開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として0.1~5重量%であることが好ましいが、これのみに限定されるものではない。
【0057】
本明細書に係る感光性樹脂組成物において、前記溶媒としては、メチルエチルケトン、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどから選択される1種以上の化合物が使用できるが、これのみに限定されるものではない。
【0058】
前記溶媒の含有量は、感光性樹脂組成物の総重量を基準として45重量%~95重量%であることが好ましいが、これのみに限定されるものではない。
【0059】
また、本明細書に係る感光性樹脂組成物は、用途に応じて、硬化促進剤、熱重合抑制剤、界面活性剤、光増感剤、可塑剤、接着促進剤、および充填剤からなる群より選択される1種以上の添加剤を追加的に含むことができる。
【0060】
前記硬化促進剤としては、例えば、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2-メルカプト-4,6-ジメチルアミノピリジン、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールトリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールトリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、およびトリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)からなる群より選択された1種以上を含むことができるが、これらのみに限定されるものではなく、当技術分野にて一般的に知られているものを含むことができる。
【0061】
前記熱重合抑制剤としては、例えば、p-アニソール、ヒドロキノン、ピロカテコール(pyrocatechol)、t-ブチルカテコール(t-butyl catechol)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアンモニウム塩、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、およびフェノチアジン(phenothiazine)からなる群より選択される1種以上を含むことができるが、これらのみに限定されるものではなく、当技術分野にて一般的に知られているものを含むことができる。
【0062】
前記界面活性剤、光増感剤、可塑剤、接着促進剤、充填剤なども、従来の感光性樹脂組成物に含まれるすべての化合物が使用可能である。
【0063】
前記添加剤の含有量は、それぞれ独立して、感光性樹脂組成物の総重量を基準として0.01~5重量%であることが好ましいが、これのみに限定されるものではない。
【0064】
一方、本明細書に係る感光性樹脂組成物は、ロールコーター(roll coater)、カーテンコーター(curtain coater)、スピンコーター(spin coater)、スロットダイコーター、各種印刷、浸漬などの方法を利用して、金属、紙、ガラスプラスチック基板などの支持体上に適用可能である。また、フィルムなどの支持体上に塗布した後、その他の支持体上に転写するか、第1の支持体に塗布した後、ブランケットなどに転写、再度第2の支持体に転写することも可能であり、その適用方法は特に限定されない。
【0065】
前記感光性樹脂組成物は、TFT LCDカラーフィルタ製造用顔料分散型感光材、TFT LCDまたは有機発光ダイオードのブラックマトリックス形成用感光材、オーバーコート層形成用感光材、カラムスペーサ感光材に使用されることが好ましいが、光硬化性塗料、光硬化性インク、光硬化性接着剤、印刷版、印刷配線盤用感光材、その他の透明感光材およびPDPの製造などにも使用することができ、その用途に制限を特に設けない。
【0066】
本明細書の一実施態様は、前記感光性樹脂組成物を用いて形成された感光材を提供する。
【0067】
本明細書の一実施態様は、前記感光性樹脂組成物を用いて製造されたカラーフィルタを提供する。
【0068】
本明細書の一実施態様は、前記感光材を用いて製造されたカラーフィルタを提供する。
【0069】
前記カラーフィルタの製造は、本明細書に係る感光性樹脂組成物を用いることを除けば、当技術分野にて知られた方法で製造することができる。
【0070】
本明細書の一実施態様は、前記カラーフィルタを含むカラー基板を提供する。
【0071】
本明細書の一実施態様において、前記カラー基板は、基材;およびカラーフィルタを含む。
【0072】
本明細書の一実施態様において、前記カラーフィルタは、膜形態に製造できる。
【0073】
本明細書の一実施態様は、前記カラーフィルタを含む液晶表示装置を提供する。
【0074】
本明細書に係る液晶表示装置は、本発明の感光性樹脂組成物を用いることを除けば、当技術分野の技術を利用して製造することができる。
【0075】
例えば、透明基板上にCrなどの金属膜または黒色樹脂(black resin)膜を塗布した後、フォトリソグラフィー方法などでパターニングして、カラーフィルタが形成される画素領域以外の境界として隔壁(Black Matrix)を形成する。
【0076】
隔壁間の透明な開口部として定義される画素領域に赤色、緑色、および青色を呈するカラーフィルタ用インク組成物を注入し硬化して、赤色、緑色、および青色のカラーフィルタを形成することができる。この時、カラーフィルタ用インク組成物として前述した感光性樹脂組成物を用いることができる。
【0077】
本明細書の一実施態様において、前記液晶表示装置は、カラーフィルタおよび液晶が備えられた液晶パネルを含み、前記カラーフィルタは、第1色材および第2色材を含み、前記第1色材および第2色材は、それぞれ波長490nm以上605nm以下における透過度が60%以下であり、波長470nm以下における透過度が90%以上であり、波長620nm以上における透過度が98%以上である。
【実施例】
【0078】
以下、本発明の理解のために好ましい実施例を提示する。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためのものであり、これによって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0079】
<製造例>
【0080】
化合物A~Gの製造
表1において、特許JP2016-170282の合成例2の化合物1-32と同様に合成して化合物Aを得、化合物Ayと同様に合成して化合物Bを得た。
【0081】
特許KR2015-0055895の化学式3と同様に合成して化合物Cを得、化学式5と同様に合成して化合物Dを得た。
【0082】
特許JP2014-056214の化合物3と同様に合成して化合物Eを得た。
【0083】
特許WO2019-082593の化合物A-1と同様に合成して化合物Fを得、化合物A-2と同様に合成して化合物Gを得た。
【0084】
化合物組成物の製造
【0085】
化合物組成物1.
化合物組成物の総重量100重量部を基準として、化合物Aを0.4重量部、バインダー樹脂Aを79.95重量部、レベリング剤F-554を0.68重量部、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(Propylene glycol methyl ether acetate)を18.97重量部混合して、化合物組成物1を製造した。
【0086】
前記バインダー樹脂Aは、質量比がベンジルメタアクリレート:N-フェニルマレイミド:スチレン:メタクリル酸=55:9:11:25の共重合体である。
【0087】
化合物組成物2~9
前記化合物組成物1の製造において、化合物Aの代わりに下記表1の化合物を用いたことを除けば、化合物組成物1の製造と同様の方法で化合物組成物2~9を製造した。
【0088】
下記表1に記載の化合物A~G、R177、およびB15:6の構造は、下記の通りである。
【化1】
【0089】
基板の製造
製造された化合物組成物1~9をそれぞれガラス(5cm×5cm)上にスピンコーティングし、100℃で100秒間前熱処理(pre bake)して基板を製造した。
【0090】
透過度評価
製造された基板を分光器(MCPD、大塚社)を用いて380nm~780nmの波長範囲における吸収スペクトルを測定し、下記表1に記載した。
【表1】
【0091】
前記表1にて、「適用可能」とは、本明細書において目的とする赤色および青色のカラーフィルタの役割を果たせることを意味し、「適用不可能」とは、本明細書において目的とする赤色および青色のカラーフィルタの役割を果たせないことを意味する。
【0092】
前記表1にて、λ*@T=60%は、透過度60%における左側斜面の波長(透過度60%の波長のうちの短い値)を意味し、
λ**@T=60%は、透過度60%における右側斜面の波長(透過度60%波長のうちの長い値)を意味し、
T@λ=470nmは、波長470nmにおける透過度を意味し、
T@λ=620nmは、波長620nmにおける透過度を意味する。
【0093】
前記表1にて、λ*@T=60%とλ**@T=60%との間の波長は、すべて透過度60%以下を示す。
【0094】
着色剤組成物の製造
【0095】
実施例1.
着色剤組成物の総重量100重量部を基準として、化合物組成物1を33重量部、化合物組成物3を67重量部混合して、実施例1の着色剤組成物を製造した。
【0096】
実施例2、3および比較例1~5
前記実施例1において、化合物組成物1および3の代わりに下記表2の化合物組成物を用いたことを除けば、実施例1と同様の方法で実施例2、3および比較例1~5の着色剤組成物を製造した。
【表2】
【0097】
カラー基板の製造
製造された着色剤組成物をガラス(5cm×5cm)上にスピンコーティングし、100℃で100秒間前熱処理(pre bake)した後、230℃で20分間後熱処理(post bake)して基板を製造した。
【0098】
透過度評価
前記後熱処理(post bake1回)された基板を分光器(MCPD、大塚社)を用いて380nm~780nmの波長範囲における吸収スペクトルを測定し、下記表3に記載した。
【0099】
下記表3にて、透過度は380nm~780nmの波長の光が100%通過した時を基準としてそれぞれの透過度を測定した後、実施例3の透過度を100に換算した値を基準としてそれぞれの透過度値を記載した。
【表3】
【0100】
前記表3にて、透過度数値が高いほど透過度が高いことを意味する。前記表3を通して、実施例1~3は、比較例1~5より透過度が高いことを確認することができる。また、比較例1は、青色色材の実現が不可であり、比較例2は、赤色色材の実現が不可であることを確認することができる。
【0101】
これにより、本明細書に係る着色剤組成物およびこれを含む感光性樹脂組成物が透過度に優れていながらも、赤色色材および青色色材の同時発現が可能なため、カラーフィルタの製造時に工程費用を節減できる効果があることを確認することができる。
【国際調査報告】