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特表2022-551859航空宇宙用部品上に耐コーキング性保護コーティングを堆積させるための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】航空宇宙用部品上に耐コーキング性保護コーティングを堆積させるための方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/40 20060101AFI20221207BHJP
   C23C 28/04 20060101ALI20221207BHJP
【FI】
C23C16/40
C23C28/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520884
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(85)【翻訳文提出日】2022-06-02
(86)【国際出願番号】 US2020042444
(87)【国際公開番号】W WO2021071567
(87)【国際公開日】2021-04-15
(31)【優先権主張番号】62/912,513
(32)【優先日】2019-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ブリッツ, デーヴィッド アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】チャタルジー, スクティ
【テーマコード(参考)】
4K030
4K044
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA16
4K030AA17
4K030AA18
4K030BA01
4K030BA05
4K030BA42
4K030BA43
4K030BA59
4K030CA02
4K030FA01
4K030FA10
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA10
4K030JA11
4K044AA02
4K044AA03
4K044AA06
4K044AB10
4K044BA12
4K044BA13
4K044BB03
4K044CA04
4K044CA07
4K044CA12
4K044CA14
4K044CA41
4K044CA62
(57)【要約】
本開示の実施形態は一般的に、航空宇宙用部品上の保護コーティング、および保護コーティングを堆積させるための方法に関する。保護コーティングは、燃料の存在下で航空宇宙用部品が加熱される時のコークス生成を低減するまたは抑制するための耐コーキング性コーティングであり得る。1つまたは複数の実施形態では、航空宇宙用部品上に保護コーティングを堆積させるための方法は、航空宇宙用部品の表面上にオプションの障壁層を堆積させることと、触媒酸化層を、障壁層上におよび/または航空宇宙用部品上に直接堆積させることとを含む。障壁層は、酸化アルミニウム、マグネシウムをドープした酸化アルミニウム、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。触媒酸化層は、酸化セリウムまたは1つもしくは複数の酸素貯蔵物質とすることができるまたはこれらを含むことができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空宇宙用部品上に保護コーティングを堆積させるための方法であって、
前記航空宇宙用部品の表面上に障壁層を堆積させることと、
前記障壁層上に触媒酸化層を堆積させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記障壁層は、酸化アルミニウム、マグネシウムをドープした酸化アルミニウム、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記障壁層は原子層堆積(ALD)プロセスによって堆積され、前記ALDプロセスは、前記航空宇宙用部品をアルミニウム前駆体および酸化剤に順次さらすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルミニウム前駆体は、トリス(アルキル)アルミニウム、トリス(アルコキシ)アルミニウム、アルミニウムジケトネート、これらの複合体、これらの付加物、これらの塩、またはこれらの任意の組み合わせを含み、前記酸化剤は、水、オゾン、酸素(O)、原子状酸素、亜酸化窒素、過酸化物、アルコール、これらのプラズマ、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記障壁層は約5nm~約250nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒酸化層は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムカルシウムマンガン、酸化イットリウムバリウムマンガン、酸化ランタンロジウムマンガン、酸化ランタン鉄、酸化イットリウムバリウムコバルト、酸化硫酸ランタン、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒酸化層は酸化セリウムおよびドーパントを含み、前記ドーパントは、ガドリニウム、マンガン、ストロンチウム、コバルト、銅、アルミニウム、これらの合金、これらの酸化物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒酸化層は原子層堆積(ALD)プロセスによって堆積される酸化セリウムを含み、前記ALDプロセスは、前記触媒酸化層が約10nm~約500nmの厚さを有するまでALDサイクルを繰り返すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒酸化層は約20nm~約100nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトネート化合物、シクロペンタジエニルセリウム化合物、セリウムアルコキシド化合物、アミドセリウム化合物、アセトアミジナートセリウム化合物、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記セリウム前駆体はセリウムβ-ジケトネート化合物を含み、前記セリウムβ-ジケトネート化合物は、Ce(thd)、Ce(thd)、Ce(thd)(phen)、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記セリウム前駆体はシクロペンタジエニルセリウム化合物を含み、前記シクロペンタジエニルセリウム化合物は、(Cp)Ce、(MeCp)Ce,(EtCp)Ce、(PrCp)Ce、(BuCp)Cp、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記セリウム前駆体はセリウムアルコキシド化合物を含み、前記セリウムアルコキシド化合物は、Ce(mmp)(セリウムテトラ(1-メトキシ-2-メチル-2-プロパノール))、Ce(dmap)(セリウムテトラ(1-(ジメチルアミノ)プロパン-2-オラート))、Ce(dmop)(セリウムテトラ(2-(4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-yl)プロパン-2-オラート))、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記セリウム前駆体はアミドセリウム化合物またはアセトアミジナートセリウム化合物を含み、前記セリウム前駆体は、(hmdsa)Ceまたは(PrCp)Ce(N-Pr-amd)である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記航空宇宙用部品は、燃料ノズル、燃焼器ライナー、燃焼器シールド、熱交換器、燃料配管、燃料弁、またはこれらの任意の組み合わせであり、前記航空宇宙用部品の洗浄された前記表面は、ニッケル、ニッケル超合金、ステンレス鋼、コバルト、クロム、モリブデン、鉄、チタン、これらの合金、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記航空宇宙用部品の前記表面は前記航空宇宙用部品の内面であり、前記航空宇宙用部品の前記表面のアスペクト比は約5~約1,000である、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記保護コーティングは、燃料の存在下で前記航空宇宙用部品が加熱される時のコークス生成を低減するまたは抑制する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記保護コーティングは、約10nm~約5,000nmの厚さ、および5%未満の厚さ変動を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
航空宇宙用部品上に保護コーティングを堆積させるための方法であって、
原子層堆積(ALD)プロセスによって前記航空宇宙用部品の表面上に酸化セリウムを含む触媒酸化層を堆積させることを含み、
前記航空宇宙用部品は、燃料ノズル、燃焼器ライナー、燃焼器シールド、熱交換器、燃料配管、燃料弁、またはこれらの任意の組み合わせであり、前記航空宇宙用部品の前記表面のアスペクト比は約5~約1,000であり、前記触媒酸化層は約10nm~約500nmの厚さを有する、方法。
【請求項20】
航空宇宙用部品であって、
前記航空宇宙用部品の表面上に設けられる保護コーティングを含み、
前記保護コーティングは、前記航空宇宙用部品の前記表面上に設けられる酸化アルミニウムを含む障壁層と、前記障壁層上に設けられる酸化セリウムを含む触媒酸化層とを含む、航空宇宙用部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は一般的に、堆積処理に関し、とりわけ、航空宇宙用部品上に膜を堆積させるための気相堆積処理に関する。
【背景技術】
【0002】
コーキングは、燃料ノズルにおいて、高温(例えば、約600℃~約1,000℃)、ノズルおよび燃焼器における燃料リッチ環境、ならびに、炭素の堆積を核とすることができる金属表面による既知の問題である。燃料ノズルは形状が複雑であり、かつ通路のアスペクト比が高いため、それらの通路を、コーキングに耐えるコーティングでコーティングすることは困難である。
【0003】
タービン産業においてコーキングを低減する現在の手法は、大部分は、一部の温度を制御すること、燃料流量を制御すること、またはインサートを追加することなどの機械技術に基づく。燃料ノズルの出口には、PVDおよび/または溶射プロセスによって形成されるセラミック材料の熱障壁型コーティングであるようなセラミック製インサートが使用される。しかしながら、セラミックは高価であり、クラッキングの傾向がある。セラミックおよび熱障壁コーティングは、高アスペクト比の複雑な構造には好適ではない。酸化防止剤または洗剤などの燃料添加剤は、燃料ノズルのコーキングを低減するために使用可能である。しかしながら、このような燃料添加剤は、コークスの蓄積を低減するだけであり、燃料ノズルは、燃料流量を低減するまたは少なくするコーキング層を必然的に蓄積する。
【0004】
したがって、改善された保護コーティング、および航空宇宙用部品上に該保護コーティングを堆積させるための方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の実施形態は、一般的に、航空宇宙用部品上の保護コーティング、および該保護コーティングを堆積させるための方法に関する。保護コーティングはまた、還元性環境における燃料の存在下で航空宇宙用部品が加熱される時のコークス生成を低減するまたは抑制するための耐コーキング性コーティングである。1つまたは複数の実施形態では、航空宇宙用部品上に保護コーティングを堆積させるための方法は、航空宇宙用部品の表面上にオプションの障壁層を堆積させることと、触媒酸化層を、障壁層上におよび/または航空宇宙用部品上に直接堆積させることとを含む。障壁層は、酸化アルミニウム、マグネシウムをドープした酸化アルミニウム、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。触媒酸化層は、酸化セリウムまたは1つもしくは複数の酸素貯蔵物質とすることができるまたはこれらを含むことができる。
【0006】
他の実施形態では、航空宇宙用部品上に保護コーティングを堆積させるための方法は、原子層堆積(ALD)プロセスによって航空宇宙用部品の表面上に酸化セリウムを含有する触媒酸化層を堆積させることを含む。航空宇宙用部品は、燃料ノズル、燃焼器ライナー、燃焼器シールド、熱交換器、燃料配管、燃料弁、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つまたは複数とすることができるまたはこれらを含むことができる。いくつかの例では、航空宇宙用部品の表面のアスペクト比は約5~約1,000である。触媒酸化層は約10nm~約500nmの厚さを有することができる。
【0007】
いくつかの実施形態では、航空宇宙用部品には、航空宇宙用部品の表面上に設けられる保護コーティングを有する。保護コーティングは、障壁層および触媒酸化層を含有する。障壁層は、酸化アルミニウムを含有し、かつ航空宇宙用部品の表面上に設けられる。触媒酸化層は、酸化セリウムを含有し、かつ障壁層上に設けられる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態は一般的に、航空宇宙用部品上の保護コーティング、および該保護コーティングを堆積させるための方法に関する。保護コーティングはまた、燃料の存在下で航空宇宙用部品が加熱される時のコークス生成を低減するまたは抑制するための耐コーキング性コーティングである。保護コーティングは、単層膜および/もしくは多層膜とすることができるまたはこれらを含むことができる。1つまたは複数の例では、保護コーティングは、航空宇宙用部品の表面上に堆積させる1つまたは複数の障壁層、および障壁層上に堆積させる1つまたは複数の触媒酸化層を含有する。他の例では、保護コーティングは、航空宇宙用部品の表面上に直接堆積させる1つまたは複数の触媒酸化層を含有する。
【0009】
いくつかの実施形態では、本明細書に説明されかつ論じられる航空宇宙用部品は、燃料ノズル、燃焼器ライナー、燃焼器シールド、熱交換器、燃料配管、燃料弁、燃料にさらされる任意の他の一部もしくは一部分(例えば、航空燃料もしくはジェット燃料)、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つもしくは複数とすることができるまたはこれらを含むことができる。他の実施形態では、本明細書に説明されかつ論じられる航空宇宙用部品は、1つもしくは複数のタービン羽根、タービン翼、小骨、垂直安定板、ピンフィン、もしくは、保護コーティングを堆積させることによって利益を得ることができる任意の他の航空宇宙用部品もしくは一部とすることができるまたはこれらを含むことができる。保護コーティングは、航空宇宙用部品の内面および/または外面上に堆積可能あるいは形成可能である。
【0010】
洗浄プロセス
保護コーティングをもたらす前に、航空宇宙用部品には、オプションとして、1つまたは複数の洗浄プロセスが行われ得る。洗浄プロセス中に洗浄された表面をもたらすために航空宇宙用部品から1つまたは複数の汚染物質が除去される。汚染物質は、酸化物、有機化合物もしくは有機残さ、炭素、油、土、微粒子、残骸、および/もしくは他の汚染物質またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。これらの汚染物質は、航空宇宙用部品上に保護コーティングをもたらす前に除去される。
【0011】
洗浄プロセスは、1つもしくは複数の適合(basting)もしくはテクスチャリングプロセス、真空パージ、溶剤洗浄、酸洗浄、基本もしくは腐食洗浄、湿式洗浄、オゾン洗浄、プラズマ洗浄、超音波処理、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。洗浄および/またはテクスチャード加工されると、その後に堆積させる保護コーティングは、別の状況で洗浄プロセスが行われない場合よりも、航空宇宙用部品の洗浄された表面、あるいは変質した表面への接着がより強力になる。
【0012】
1つもしくは複数の例では、航空宇宙用部品の表面は、ビード、砂、炭酸塩、または、酸化物および他の汚染物質を除去する、および/または航空宇宙用部品の表面にテクスチャリングを与える他の微粒子によりブラスト処理可能であるか、あるいはこれらにさらされ得る。いくつかの例では、航空宇宙用部品は、パルスプッシュプルシステム内のチャンバに入れられ、かつパージガスまたは液体(例えば、N、Ar、He、1つもしくは複数のアルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、および/もしくはその他)、水、またはこれらの任意の組み合わせ)のサイクルにさらされ得、真空パージを行って、航空宇宙用部品上の小さい穴から残骸を除去することができる。他の例では、航空宇宙用部品の表面は、水素プラズマ、酸素もしくはオゾンプラズマ、および/または窒素プラズマにさらされ得、これらはプラズマチャンバにおいてまたは遠隔プラズマシステムによって生成可能である。
【0013】
いくつかの例では、有機物除去または酸化物除去などのために、航空宇宙用部品の表面は水素プラズマにさらされた後、ガス抜きされ、その後オゾン処理にさらされ得る。他の例では、有機物除去などのために、航空宇宙用部品の表面は、アルカリ脱脂液に浸漬すること、すすぐこと、表面を酸洗浄すること(例えば、硫酸、リン酸、塩酸、フッ化水素酸、またはこれらの任意の組み合わせ)、すすぐこと、および表面を脱イオン水の超音波処理浴にさらすことを含む湿式洗浄にさらされ得る。いくつかの例では、酸化物除去などのために、航空宇宙用部品の表面は、表面を希酸液(例えば、酢酸、塩酸、フッ化水素酸、またはこれらの任意の組み合わせ)にさらすこと、すすぐこと、および表面を脱イオン水の超音波処理浴にさらすことを含む湿式洗浄が行われ得る。1つもしくは複数の例では、粒子除去などのために、航空宇宙用部品の表面は、超音波処理(例えば、メガソニック処理)および/または超臨界流体(二酸化炭素、水、1つもしくは複数のアルコール)での水洗浄にさらされた後、パージガスまたは液体(例えば、N、Ar、He、1つもしくは複数のアルコール、HO、またはこれらの任意の組み合わせ)のサイクルにさらされ得、真空パージを行って表面から粒子を除去しかつ表面を乾燥させる。いくつかの例では、航空宇宙用部品は、航空宇宙用部品を約50℃、約65℃、または約80℃から約100℃、約120℃、または約150℃の温度まで加熱すること、および表面をパージガスにさらすことなど、加熱プロセスまたは乾燥プロセスにさらされ得る。航空宇宙用部品は、加熱プロセスまたは乾燥プロセスのために、オーブンで加熱され得るまたはランプにさらされ得る。オプションとして、高温ガスは内部通路を通して押し出されて乾燥を加速させることができる。オプションとして、部品は加熱しなくても加熱しても減圧雰囲気で乾燥させることができる。
【0014】
さまざまな実施形態では、航空宇宙用部品の洗浄された表面は、航空宇宙用部品の1つもしくは複数の内面および/または1つもしくは複数の外面とすることができる。航空宇宙用部品の洗浄された表面は、ニッケル、ニッケル超合金、ステンレス鋼、コバルト、クロム、モリブデン、鉄、チタン、これらの合金、またはこれらの任意の組み合わせなどの1つもしくは複数の物質とすることができるまたはこれらを含むことができる。1つまたは複数の例では、洗浄された表面は、航空宇宙用部品の空洞内にあり、この空洞は、約5~約1,000など、約20~約500など、1を上回るアスペクト比を有することができる。
【0015】
いくつかの例では、保護コーティングは、約10nm~約5,000nm、約100nm~約4,000nm、または約500nm~約2,000nmの厚さを有する。また、保護コーティングは、200%未満、100%未満、25%未満、5%未満、または0.5%未満の厚さ変動を有することができる。
【0016】
障壁層
保護コーティングは、航空燃料、ジェット燃料、またはケロシンなどの燃料の存在下で航空宇宙用部品が加熱される時のコークス生成を低減するまたは抑制する。1つまたは複数の実施形態では、保護コーティングは、航空宇宙用部品の表面上に堆積させる1つまたは複数の障壁層、および、障壁層上に堆積させる1つまたは複数の触媒酸化層を含有する。障壁層は、酸化アルミニウム、マグネシウムをドープした酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、アルミニウム酸窒化物、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ素酸窒化物、酸化クロム、酸化タンタル、窒化タンタル、タンタル酸窒化物、これらの合金、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせなどの1つもしくは複数の物質とすることができるまたはこれらを含むことができる。
【0017】
1つまたは複数の実施形態では、航空宇宙用部品の表面上に障壁層を堆積させるための方法は、原子層堆積(ALD)プロセスによって、航空宇宙用部品が、アルミニウム前駆体、1つまたは複数の酸化剤、および/あるいはオプションとして、1つまたは複数の試薬もしくはドーパント源に順次さらされて、航空宇宙用部品の表面上に酸化アルミニウム材料または層を形成することを含む。いくつかの例では、反応物、前駆体、試薬、またはドーパント源は、マグネシウム源もしくはマグネシウム前駆体とすることができるまたはこれを含有することができる。酸化剤は、水(例えば、蒸気)、オゾン、酸素(O)、原子状酸素、亜酸化窒素、1つもしくは複数の過酸化物(例えば、過酸化水素、他の無機過酸化物、有機過酸化物)、1つもしくは複数のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、もしくは高級アルコール)、これらのプラズマ、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含有することができる。
【0018】
航空宇宙用部品は、気相堆積処理によって、第1の前駆体(例えば、アルミニウム前駆体)および第1の反応物(例えば、酸化剤)にさらされて、航空宇宙用部品上に第1の堆積層(例えば、酸化アルミニウム)を形成することができる。気相堆積処理は、ALDプロセス、プラズマ強化ALD(PE-ALD)プロセス、熱化学気相堆積(CVD)プロセス、プラズマ強化CVD(PE-CVD)プロセス、パルスCVDプロセス、またはこれらの任意の組み合わせとすることができる。
【0019】
1つもしくは複数の実施形態では、気相堆積処理はALDプロセスであり、方法は、航空宇宙用部品の表面が第1の前駆体および第2の反応物に順次さらされて、障壁層または第1の堆積層を形成することを含む。例えば、ALDプロセスは、航空宇宙用部品がアルミニウム前駆体および酸化剤を順次さらされて、障壁層または第1の堆積層内に酸化アルミニウムを堆積させるあるいは形成することを含む。ALDプロセスのそれぞれのサイクルは、航空宇宙用部品の表面が第1の前駆体にさらされることと、ポンプパージを行うことと、航空宇宙用部品が第1の反応物にさらされることと、ポンプパージを行って障壁層または第1の堆積層を形成することとを含む。ALDサイクルが、航空宇宙用部品の表面が第1の反応物にさらされることと、ポンプパージを行うことと、航空宇宙用部品が第1の前駆体にさらされることと、ポンプパージを行って障壁層または第1の堆積層を形成することとを含むように、第1の前駆体および第1の反応物の順序は逆にすることができる。
【0020】
いくつかの例では、それぞれのALDサイクルの間、航空宇宙用部品は、約0.1秒~約10秒間第1の前駆体に、約0.1秒~約10秒間第1の反応物に、約0.5秒~約30秒間ポンプパージにさらされる。他の例では、それぞれのALDサイクルの間、航空宇宙用部品は、約0.5秒~約3秒間第1の前駆体に、約0.5秒~約3秒間第1の反応物に、約1秒~約10秒間ポンプパージにさらされる。
【0021】
それぞれのALDサイクルは、障壁層または第1の堆積層を形成するために、2、3、4、5、6、8、約10、約12、または約15回から、約18、約20、約25、約30、約40、約50、約65、約80、約100、約120、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約500、約800、約1,500、約2,000、約2,500、約3,000回またはそれ以上の回数まで繰り返される。例えば、それぞれのALDサイクルは、障壁層または第1の堆積層を形成するために、2回~約3,000回、2回~約2,000回、2回~約1,500回、2回~約1,000回、2回~約800回、2回~約500回、2回~約300回、2回~約250回、2回~約200回、2回~約150回、2回~約120回、2回~約100回、2回~約80回、2回~約50回、2回~約30回、2回~約20回、2回~約15回、2回~約10回、2回~5回、約8回~約1,000回、約8回~約800回、約8回~約500回、約8回~約300回、約8回~約250回、約8回~約200回、約8回~約150回、約8回~約120回、約8回~約100回、約8回~約80回、約8回~約50回、約8回~約30回、約8回~約20回、約8回~約15回、約8回~約10回、約20回~約1,000回、約20回~約800回、約20回~約500回、約20回~約300回、約20回~約250回、約20回~約200回、約20回~約150回、約20回~約120回、約20回~約100回、約20回~約80回、約20回~約50回、約20回~約30回、約50回~約1,000回、約50回~約500回、約50回~約350回、約50回~約300回、約50回~約250回、約50回~約150回、または約50回~約100回繰り返される。
【0022】
他の実施形態では、気相堆積処理はCVDプロセスであり、方法は、同時に、航空宇宙用部品が第1の前駆体および第1の反応物にさらされて第1の堆積層を形成することを含む。ALDプロセスまたはCVDプロセスの間、第1の前駆体および第1の反応物のそれぞれは、1つまたは複数のキャリアガスを独立して含む。1つまたは複数のパージガスは、第1の前駆体および第1の反応物にさらす間に、航空宇宙用部品にわたって、ならびに/または処理チャンバ全体を通して流され得る。いくつかの例では、キャリアガスおよびパージガスとして同じガスが使用されてよい。例示のキャリアガスおよびパージガスは、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素(H)、またはこれらの任意の組み合わせのうち独立して1つもしくは複数であるかまたは1つまたは複数を含み得る。
【0023】
障壁層または第1の堆積層は、約0.1nm、約0.2nm、約0.3nm、約0.4nm、約0.5nm、約0.8nm、約1nm、約2nm、約3nm、約5nm、約8nm、約10nm、約12nm、約15nm、約18nm、約20nm、約25nm、約30nm、約40nm、約50nm、または約60nmから、約70nm、約80nm、約100nm、約120nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約400nm、または約500nmまでの厚さを有することができる。例えば、障壁層または第1の堆積層は、約0.1nm~約500nm、約0.1nm~約300nm、約0.1nm~約250nm、約0.1nm~約200nm、約0.1nm~約150nm、約0.2nm~約150nm、約0.2nm~約120nm、約0.2nm~約100nm、約0.2nm~約80nm、約1nm~約500nm、約1nm~約300nm、約1nm~約250nm、約1nm~約200nm、約1nm~約150nm、約1nm~約120nm、約1nm~約100nm、約1nm~約80nm、約1nm~約50nm、約1nm~約40nm、約1nm~約30nm、約1nm~約20nm、約1nm~約10nm、約1nm~約5nm、約1nm~約3nm、約5nm~約250nm、約10nm~約500nm、約10nm~約300nm、約10nm~約250nm、約10nm~約200nm、約10nm~約150nm、約10nm~約120nm、約10nm~約100nm、約10nm~約80nm、約10nm~約50nm、約10nm~約40nm、約10nm~約30nm、約10nm~約20nm、約10nm~約15nm、約50nm~約500nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約150nm、約50nm~約120nm、約50nm~約100nm、約50nm~約80nm、約60nm~約100nm、または約60nm~約80nmの厚さを有することができる。
【0024】
1つまたは複数の実施形態では、第1の前駆体は、1つもしくは複数のアルミニウム前駆体、1つもしくは複数のマグネシウム前駆体、1つもしくは複数のクロム前駆体、および/または1つもしくは複数のハフニウム前駆体などの1つもしくは複数のALD前駆体もしくはCVD前駆体とすることができるまたはこれらを含有することができる。例示のマグネシウム前駆体は、(Cp)Mg、(MeCp)Mg、(MeCp)Mg、PrMg、BuMg、これらの付加物、これらの溶液、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。第1の反応物は、1つもしくは複数の酸化剤、1つもしくは複数の窒化剤、1つもしくは複数の還元剤、1つもしくは複数のシリコン前駆体、1つもしくは複数の炭素前駆体、またはこれらの任意の組み合わせを含有する。いくつかの例では、第1の堆積層は、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、アルミニウムをドープした酸化物(例えば、マグネシウムをドープした酸化アルミニウム)、窒化アルミニウム、ケイ化アルミニウム、炭化アルミニウム、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができるアルミニウム含有層である。
【0025】
アルミニウム前駆体は、1つもしくは複数のアルキルアルミニウム化合物、1つもしくは複数のアルコキシアルミニウム化合物、1つもしくは複数のアセチルアセトネートアルミニウム化合物、これらの代用品、これらの複合体、これらの付加物、これらの塩、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。例えば、アルミニウム前駆体は、(トリス)アルキルアルミニウム、トリス(アルコキシ)アルミニウム、アルミニウムジケトネート、これらの複合体、これらの付加物、これらの塩、またはこれらの任意の組み合わせの1つまたは複数とすることができるまたはこれらを含むことができる。例示のアルミニウム前駆体は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリブトキシアルミニウム、アルミニウムアセチルアセトナート(トリス(2、4-ペンタンジオナト)アルミニウムとしても既知のAl(acac))、ヘキサフルオロアセチルアセトナートアルミニウム(Al(hfac))、トリスジピバロイルメタナトアルミニウム(DPMAl;(C1119Al)、これらの異性体、これらの複合体、これらの付加物、これらの塩、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。
【0026】
1つまたは複数の例では、前駆体は、トリメチルアルミニウム(TMA)などの1つまたは複数のアルキルアルミニウム化合物であるまたはこれを含有する。アルキルアルミニウム化合物(例えば、TMA)は、約99.3%、約99.5wt%、約99.7wt%、または約99.9wt%から、約99.95wt%、約99.99wt%、約99.995wt%、約99.999wt%、約99.9999wt%、またはそれ以上までなど、95%を上回る、97%を上回る、または99%を上回る純度を有する。1つまたは複数の例では、アルキルアルミニウム化合物(例えば、TMA)は、約99.9wt%~約99.999wt%など、99.5wt%以上の純度を有する。
【0027】
触媒酸化層
触媒酸化層は、酸化セリウム、1つもしくは複数のセリウムをドープした酸化物、および/または1つもしくは複数の酸素貯蔵材料(OSM)などの1つもしくは複数の材料とすることができるまたはこれらを含むことができる。例示の酸素貯蔵材料は、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムカルシウムマンガン、酸化イットリウムバリウムマンガン、酸化ランタンロジウムマンガン、酸化ルテチウム鉄、酸化イットリウムバリウムコバルト、酸化硫酸ランタン、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。1つまたは複数の例では、触媒酸化層は、酸化セリウムおよび1つまたは複数のドーパントを含有する。セリウムをドープした酸化物内の例示のドーパントは、ガドリニウム、マンガン、ストロンチウム、コバルト、銅、アルミニウム、これらの合金、これらの酸化物、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。
【0028】
航空宇宙用部品は、気相堆積処理によって、第2の前駆体(例えば、セリウム前駆体)および第2の反応物(例えば、酸化剤)にさらされて、障壁層および/または航空宇宙用部品の表面上に第2の堆積層(例えば、酸化セリウム、セリウムをドープした酸化物、またはOSMを含有する触媒酸化層)を形成することができる。気相堆積処理は、熱ALDプロセス、PE-ALDプロセス、熱CVDプロセス、PE-CVDプロセス、パルスCVDプロセス、またはこれらの任意の組み合わせとすることができる。例示の酸化剤は、水(例えば、蒸気)、オゾン、酸素(O)、原子状酸素、亜酸化窒素、1つもしくは複数の過酸化物(例えば、過酸化水素、他の無機過酸化物、有機過酸化物)、1つもしくは複数のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、または高級アルコール)、これらのプラズマ、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。
【0029】
1つまたは複数の例では、第2の前駆体は、1つもしくは複数のセリウム前駆体および/または1つもしくは複数の他の前駆体とすることができるまたはこれらを含むことができる。ALDプロセスの間、第2の前駆体および第2の反応物のそれぞれは、1つまたは複数のキャリアガスを独立して含むことができる。1つもしくは複数のパージガスは、第2の前駆体および第2の反応物にさらす間に、航空宇宙用部品にわたって、および/または処理チャンバ全体を通して流され得る。いくつかの例では、キャリアガスおよびパージガスとして同じガスが使用されてよい。例示のキャリアガスおよびパージガスは、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、ネオン、水素(H)、またはこれらの任意の組み合わせのうち独立して1つまたは複数であり得るかまたは1つもしくは複数を含み得る。
【0030】
ALDプロセスのそれぞれのサイクルは、航空宇宙用部品を第2の前駆体にさらすことと、ポンプパージを行うことと、航空宇宙用部品を第2の反応物にさらすことと、ポンプパージを行って触媒酸化層または第2の堆積層を形成することとを含む。ALDサイクルが、航空宇宙用部品の表面を第2の反応物にさらすことと、ポンプパージを行うことと、航空宇宙用部品を第2の前駆体にさらすことと、ポンプパージを行って第2の堆積層を形成することとを含むように、第2の前駆体および第2の反応物の順序は逆にすることができる。いくつかの例では、ALDプロセスは、ALDサイクルの間、障壁層および/または航空宇宙用部品を1つもしくは複数のセリウム前駆体、パージガス、1つもしくは複数の酸化剤、およびパージガスに順次さらすことを含む。ALDサイクルは、触媒酸化層または第2の堆積層内に酸化セリウムを堆積させるあるいは形成するために繰り返される。
【0031】
1つまたは複数の例では、それぞれのALDサイクルの間、航空宇宙用部品は、約0.1秒~約10秒間第2の前駆体に、約0.1秒~約10秒間第2の反応物に、約0.5秒~約30秒間ポンプパージにさらされる。他の例では、それぞれのALDサイクルの間、航空宇宙用部品は、約0.5秒~約3秒間第2の前駆体に、約0.5秒~約3秒間第2の反応物に、約1秒~約10秒間ポンプパージにさらされる。
【0032】
それぞれのALDサイクルは、触媒酸化層または第2の堆積層を形成するために、2、3、4、5、6、8、約10、約12、または約15回から、約18、約20、約25、約30、約40、約50、約65、約80、約100、約120、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約500、約800、約1,000、約1,500、約2,000、約2,500、約3,000、またはそれ以上の回数、繰り返される。例えば、それぞれのALDサイクルは、触媒酸化層または第2の堆積層を形成するために、2回~約3,000回、2回~約2,500回、2回~約2,000回、2回~約1,500回、2回~約1,000回、2回~約800回、2回~約500回、2回~約300回、2回~約250回、2回~約200回、2回~約150回、2回~約120回、2回~約100回、2回~約80回、2回~約50回、2回~約30回、2回~約20回、2回~約15回、2回~約10回、2回~5回、約8回~約1,000回、約8回~約800回、約8回~約500回、約8回~約300回、約8回~約250回、約8回~約200回、約8回~約150回、約8回~約120回、約8回~約100回、約8回~約80回、約8回~約50回、約8回~約30回、約8回~約20回、約8回~約15回、約8回~約10回、約20回~約1,000回、約20回~約800回、約20回~約500回、約20回~約300回、約20回~約250回、約20回~約200回、約20回~約150回、約20回~約120回、約20回~約100回、約20回~約80回、約20回~約50回、約20回~約30回、約50回~約1,000回、約50回~約500回、約50回~約350回、約50回~約300回、約50回~約250回、約50回~約150回、または約50回~約100回、繰り返される。
【0033】
触媒酸化層または第2の堆積層は、約0.1nm、約0.2nm、約0.3nm、約0.4nm、約0.5nm、約0.8nm、約1nm、約2nm、約3nm、約5nm、約8nm、約10nm、約12nm、約15nm、約18nm、約20nm、約25nm、約30nm、約40nm、約50nm、または約60nmから、約70nm、約80nm、約100nm、約120nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約400nm、または約500nmまでの厚さを有することができる。例えば、触媒酸化層または第2の堆積層は、約0.1nm~約500nm、約0.1nm~約300nm、約0.1nm~約250nm、約0.1nm~約200nm、約0.1nm~約150nm、約0.2nm~約150nm、約0.2nm~約120nm、約0.2nm~約100nm、約0.2nm~約80nm、約1nm~約500nm、約1nm~約300nm、約1nm~約250nm、約1nm~約200nm、約1nm~約150nm、約1nm~約120nm、約1nm~約100nm、約1nm~約80nm、約1nm~約50nm、約1nm~約40nm、約1nm~約30nm、約1nm~約20nm、約1nm~約10nm、約1nm~約5nm、約1nm~約3nm、約5nm~約250nm、約10nm~約500nm、約10nm~約300nm、約10nm~約250nm、約10nm~約200nm、約10nm~約150nm、約10nm~約120nm、約10nm~約100nm、約10nm~約80nm、約10nm~約50nm、約10nm~約40nm、約10nm~約30nm、約10nm~約20nm、約10nm~約15nm、約50nm~約500nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約150nm、約50nm~約120nm、約50nm~約100nm、約50nm~約80nm、約60nm~約100nm、または約60nm~約80nmの厚さを有することができる。
【0034】
1つまたは複数の実施形態では、セリウム前駆体は、1つもしくは複数のセリウムβ-ジケトネート化合物、1つもしくは複数のシクロペンタジエニルセリウム化合物、1つもしくは複数のセリウムアルコキシド化合物、1つもしくは複数のアミドセリウム化合物、1つもしくは複数のアセトアミジナートセリウム化合物(cerium acetamidinate compound)、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。
【0035】
いくつかの例では、セリウム前駆体は、1つもしくは複数のセリウムβ-ジケトネート化合物とすることができるまたはこれらを含むことができる。セリウムβ-ジケトネート化合物は、セリウム原子、および、少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つのβ-ジケトネート配位子を含有し、かつオプションとして、1つまたは複数の他のタイプの配位子を有することができる。1つの例示のβ-ジケトネート配位子は、「thd」としても既知の2、2、6、6-テトラメチル-3、5-ヘプタンジオナトである。thdを含有する例示のセリウムβ-ジケトネート化合物は、Ce(thd)、Ce(thd)、Ce(thd)(phen)、これらの任意の付加物、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。「phen」配位子は1、10-フェナントロリンとしても既知である。いくつかの例示のセリウムβ-ジケトネート化合物の完全な化学名の一覧の表1を参照されたい。
【0036】
いくつかの例では、セリウム前駆体は、1つもしくは複数のシクロペンタジエニルセリウム化合物とすることができるまたはこれらを含むことができる。シクロペンタジエニルセリウム化合物は、セリウム原子、および少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つのシクロペンタジエニル配位子を含有し、かつ、オプションとして、1つまたは複数の他のタイプの配位子を有することができる。例示のシクロペンタジエニルセリウム化合物は、(Cp)Ce、(MeCp)Ce,(EtCp)Ce、(PrCp)Ce、(BuCp)Cp、これらの任意の付加物、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。「Cp」としても既知のシクロペンタジエニル配位子は、アルキル群およびアルキル群のさまざまな異性体などの1つ、2つ、または3以上の群と非置換とすることまたは置換とすることができる。例えば、MeCp配位子はメチルシクロペンタジエニルであり、EtCp配位子はエチルシクロペンタジエニルであり、PrCp配位子はプロピルシクロペンタジエニルであって、この場合、Prはn-プロピルおよび/またはイソプロピルを含み、BuCp配位子はブチルシクロペンタジエニルであって、この場合、Buはn-ブチル、sec-ブチル、および/またはtert-ブチルを含む。いくつかの例示のシクロペンタジエニルセリウム化合物の完全な化学名の一覧の表1を参照されたい。
【0037】
いくつかの例では、セリウム前駆体は、1つもしくは複数のセリウムアルコキシド化合物とすることができるまたはこれらを含むことができる。セリウムアルコキシド化合物は、セリウム原子、および少なくとも1つ、2つ、3つ、または4つのアルコキシド配位子を含有し、かつオプションとして、1つまたは複数の他のタイプの配位子を有することができる。例示のセリウムアルコキシド化合物は、Ce(mmp)(セリウムテトラ(1-メトキシ-2-メチル-2-プロパノール))、Ce(dmap)(セリウムテトラ(1-(ジメチルアミノ)プロパン-2-オラート))、Ce(dmop)(セリウムテトラ(2-(4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-yl)プロパン-2-オラート))、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。いくつかの例示のセリウムアルコキシド化合物の完全な化学名の一覧の表1を参照されたい。
【0038】
いくつかの例では、セリウム前駆体は、1つもしくは複数のアミドセリウム化合物または1つもしくは複数のアセトアミジナートセリウム化合物とすることができるまたはこれらを含むことができる。アミドセリウム化合物およびアセトアミジナートセリウム化合物は、セリウム原子、およびアミド、アミン、ならびに/またはアセトアミジナートなど、少なくとも1つ、2つ、3つ、もしくは4つの含窒素配位子を含有する。アミドセリウム化合物およびアセトアミジナートセリウム化合物は、β-ジケトネート、シクロペンタジエニル、アルコキシド、または他の配位子などの1つもしくは複数の他のタイプの配位子を有することもできる。例示のアミドセリウム化合物は(hmdsa)Ceとすることができ、例示のアセトアミジナートセリウム化合物は(PrCp)Ce(N-Pr-amd)とすることができる。「hmdsa」配位子はヘキサメチルジシラミドとしても既知である。「N-Pr-amd」配位子はジイソプロピルアセトアミジナートとしても既知である。例示のセリウム前駆体である、いくつかの例示のアミドセリウム化合物およびアセトアミジナートセリウム化合物の完全な化学名の一覧の表1を参照されたい。
【0039】
1つまたは複数の実施形態では、セリウム前駆体は1つもしくは複数の溶剤とすることができるまたはこれらを含むことができる。溶剤は、トルエン、ベンジン、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、もしくは他のエーテルのうちの1つもしくは複数、1つもしくは複数のアルカン(例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、へプタン、および/もしくはオクタン)、1つもしくは複数のアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、および/またはブタノール)、あるいはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。
【0040】
ALDプロセス全体を通して、1つまたは複数のセリウム前駆体、1つまたは複数の酸化剤、ならびにパージおよび/もしくはキャリアは、処理チャンバに順次取り込まれる。それぞれのALDサイクルの間、チャンバ表面および/またはチャンバ部品は、1つもしくは複数のセリウム前駆体および1つもしくは複数の酸化剤に順次さらされる。酸化剤は、水、酸素(O)、原子状酸素、オゾン、亜酸化窒素、1つもしくは複数の過酸化物(例えば、過酸化水素および/もしくは有機過酸化物)、これらのプラズマ、またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。パージガスおよび/またはキャリアガスは、窒素(N)、アルゴン、ヘリウム、水素(H)、酸素(O)、またはこれらの任意の組み合わせのうちの1つもしくは複数とすることができるまたはこれらを含むことができる。
【0041】
航空宇宙用部品は、ALDプロセスの間、約30℃、約50℃、約80℃、約100℃、または約120℃から、約150℃、約180℃、約200℃、約250℃、約300℃、約350℃、約400℃、約500℃、またはそれ以上の温度に加熱される。例えば、航空宇宙用部品は、ALDプロセスの間、約30℃~約500℃、約30℃~約400℃、約30℃~約350℃、約30℃~約300℃、約30℃~約250℃、約30℃~約200℃、約30℃~約150℃、約30℃~約100℃、約50℃~約500℃、約50℃~約400℃、約50℃~約350℃、約50℃~約300℃、約50℃~約250℃、約50℃~約200℃、約50℃~約150℃、約50℃~約100℃、約100℃~約500℃、約100℃~約400℃、約100℃~約350℃、約100℃~約300℃、約100℃~約250℃、約100℃~約200℃、約100℃~約150℃、約150℃~約500℃、約150℃~約400℃、約150℃~約350℃、約150℃~約300℃、約150℃~約250℃、または約150℃~約200℃の温度に加熱される。
【0042】
1つまたは複数の実施形態では、気相堆積処理はALDプロセスであり、方法は、航空宇宙用部品をセリウム前駆体および酸化剤に順次さらして、酸化セリウム層を形成することを含む。ALDプロセスのそれぞれのサイクルは、航空宇宙用部品の表面をセリウム前駆体にさらすことと、ポンプパージを行うことと、航空宇宙用部品を酸化剤にさらすことと、ポンプパージを行って酸化セリウム層を形成することとを含む。ALDサイクルが、航空宇宙用部品の表面を酸化剤にさらすことと、ポンプパージを行うことと、航空宇宙用部品をセリウム前駆体にさらすことと、ポンプパージを行って酸化セリウム層を形成することとを含むように、セリウム前駆体および酸化剤の順序は逆にすることができる。
【0043】
いくつかの例では、それぞれのALDサイクルの間、航空宇宙用部品は、約0.1秒~約10秒間セリウム前駆体に、約0.1秒~約10秒間酸化剤に、約0.5秒~約30秒間ポンプパージにさらされる。他の例では、それぞれのALDサイクルの間、航空宇宙用部品は、約0.5秒~約3秒間セリウム前駆体に、約0.5秒~約3秒間酸化剤に、約1秒~約10秒間ポンプパージにさらされる。
【0044】
それぞれのALDサイクルは、酸化セリウム層を形成するために、2、3、4、5、6、8、約10、約12、または約15回から、約18、約20、約25、約30、約40、約50、約65、約80、約100、約120、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約500、約800、約1,000、約1,500、約2,000、約2,500、約3,000、約4,000、約5,000回、またはそれ以上の回数まで繰り返される。例えば、それぞれのALDサイクルは、酸化セリウム層を形成するために、2回~約5,000回、2回~約3,000回、2回~約2,500回、2回~約2,000回、2回~約1,500回、2回~約1,000回、2回~約800回、2回~約500回、2回~約300回、2回~約250回、2回~約200回、2回~約150回、2回~約120回、2回~約100回、2回~約80回、2回~約50回、2回~約30回、2回~約20回、2回~約15回、2回~約10回、2回~5回、約20回~約5,000回、約20回~約3,000回、約20回~約2,500回、約20回~約2,000回、約20回~約1,500回、約20回~約1,000回、約20回~約800回、約20回~約500回、約20回~約300回、約20回~約250回、約20回~約200回、約20回~約150回、約20回~約120回、約20回~約100回、約20回~約80回、約20回~約50回、約20回~約30回、約50回~約5,000回、約50回~約3,000回、約50回~約2,500回、約50回~約2,000回、約50回~約1,500回、約50回~約1,000回、約50回~約500回、約50回~約350回、約50回~約300回、約50回~約250回、約50回~約150回、約50回~約100回、約100回~約5,000回、約100回~約3,000回、約100回~約2,500回、約100回~約2,000回、約100回~約1,500回、約100回~約1,000回、約100回~約500回、約100回~約350回、約100回~約300回、約100回~約250回、約100回~約150回、約100回~約100回、約500回~約5,000回、約500回~約3,000回、約500回~約2,500回、約500回~約2,000回、約500回~約1,500回、約500回~約1,000回繰り返される。
【0045】
1つまたは複数の実施形態では、ALDサイクルは、酸化セリウム層が所定のまたは所望の厚さを有するまで繰り返され得る。酸化セリウム層は、約0.5nm、約1nm、約2nm、約5nm、約8nm、約10nm、約12nm、約15nm、約18nm、または約20nmから、約22nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約50nm、約60nm、約80nm、約100nm、約150nm、約200nm、またはそれ以上の厚さを有することができる。例えば、酸化セリウム層は、約1nm~約200nm、約1nm~約150nm、約1nm~約100nm、約1nm~約80nm、約1nm~約50nm、約1nm~約30nm、約1nm~約20nm、約1nm~約10nm、約1nm~約5nm、約10nm~約200nm、約10nm~約150nm、約10nm~約100nm、約10nm~約80nm、約10nm~約50nm、約10nm~約30nm、約10nm~約20nm、約20nm~約200nm、約20nm~約150nm、約20nm~約100nm、約20nm~約80nm、約20nm~約50nm、約20nm~約30nm、または約20nm~約25nmの厚さを有することができる。
【0046】
保護コーティング
保護コーティングは、約1nm、約2nm、約3nm、約5nm、約8nm、約10nm、約12nm、約15nm、約20nm、約30nm、約50nm、約60nm、約80nm、約100nm、または約120nmから、約150nm、約180nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約500nm、約800nm、約1,000nm、約2,000nm、約3,000nm、約4,000nm、約5,000nm、約6,000nm、約7,000nm、約8,000nm、約9,000nm、約10,000nm、またはそれ以上の厚さを有することができる。いくつかの例では、保護コーティングは10μm未満(10,000nm未満)の厚さを有することができる。例えば、保護コーティングは、約1nm~10,000nm未満、約1nm~約8,000nm、約1nm~約6,000nm、約1nm~約5,000nm、約1nm~約3,000nm、約1nm~約2,000nm、約1nm~約1,500nm、約1nm~約1,000nm、約1nm~約500nm、約1nm~約400nm、約1nm~約300nm、約1nm~約250nm、約1nm~約200nm、約1nm~約150nm、約1nm~約100nm、約1nm~約80nm、約1nm~約50nm、約10nm~10,000nm未満、約10nm~約8,000nm、約10nm~約6,000nm、約10nm~約5,000nm、約10nm~約3,000nm、約10nm~約2,000nm、約10nm~約1,500nm、約10nm~約1,000nm、約10nm~約800nm、約10nm~約500nm、約10nm~約400nm、約10nm~約300nm、約10nm~約250nm、約10nm~約200nm、約10nm~約150nm、約10nm~約100nm、約10nm~約80nm、約10nm~約50nm、約30nm~約400nm、約30nm~約200nm、約50nm~約500nm、約50nm~約400nm、約50nm~約300nm、約50nm~約250nm、約50nm~約200nm、約50nm~約150nm、約50nm~約100nm、約80nm~約250nm、約80nm~約200nm、約80nm~約150nm、約80nm~約100nm、約50nm~約80nm、約100nm~約500nm、約100nm~約400nm、約100nm~約300nm、約100nm~約250nm、約100nm~約200nm、または約100nm~約150nmの厚さを有することができる。
【0047】
1つまたは複数の実施形態では、保護コーティングは、比較的高い均等度を有することができる。保護コーティングは、それぞれの保護コーティングの厚さの50%未満、40%未満、また30%未満の均一性を有することができる。保護コーティングは、厚さの、約0%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約5%、約8%、または約10%から、約12%、約15%、約18%、約20%、約22%、約25%、約28%、約30%、約35%、約40%、約45%、または50%未満までの均一性を有することができる。例えば、保護コーティングは、厚さの、約0%~約50%、約0%~約40%、約0%~約30%、約0%~30%未満、約0%~約28%、約0%~約25%、約0%~約20%、約0%~約15%、約0%~約10%、約0%~約8%、約0%~約5%、約0%~約3%、約0%~約2%、約0%~約1%、約1%~約50%、約1%~約40%、約1%~約30%、約1%~30%未満、約1%~約28%、約1%~約25%、約1%~約20%、約1%~約15%、約1%~約10%、約1%~約8%、約1%~約5%、約1%~約3%、約1%~約2%、約5%~約50%、約5%~約40%、約5%~約30%、約5%~30%未満、約5%~約28%、約5%~約25%、約5%~約20%、約5%~約15%、約5%~約10%、約5%~約8%、約10%~約50%、約10%~約40%、約10%~約30%、約10%~30%未満、約10%~約28%、約10%~約25%、約10%~約20%、約10%~約15%、または約10%~約12%の均一性を有することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、保護コーティングは、1つもしくは複数のドーピング金属(例えば、ガドリニウム、マンガン、ストロンチウム、コバルト、銅、アルミニウム、これらの合金)、および/または卑金属内に含有される1つもしくは複数の傾斜金属(grading metal)などの金属全体を通して異なる割合の金属を含有し得る、該金属で形成され得る、あるいは該金属でもたらされ得、この場合、金属のいずれかは、任意の化学的に酸化した形態または状態(例えば、酸化物、窒化物、ケイ化物、炭化物、またはこれらの組み合わせ)である可能性がある。1つまたは複数の例では、第1の堆積層は第1の厚さに堆積させ、第2の堆積層は第2の厚さに堆積させる。第1の厚さは第2の厚さと同じであるか、または第1の厚さは第2の厚さと異なる(を下回るまたは上回る)可能性がある。例えば、第1の堆積層は、それぞれ同じ量の副層(例えば、それぞれのALDサイクルで1つの副層)をもたらすように2またはそれ以上(3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上)のALDサイクルによって堆積可能であり、その後、第2の堆積層は、1ALDサイクル、もしくは第1の堆積層を堆積させるために使用されるALDサイクル数を下回るまたは上回るALDサイクル数で堆積可能である。他の例では、第1の堆積層はCVDによって第1の厚さに堆積させ得、第2の堆積層はALDによって第1の厚さを下回る第2の厚さに堆積させる。
【0049】
他の実施形態では、ALDプロセスは、第1の堆積層(例えば、障壁層)および/または第2の堆積層(例えば、触媒酸化層)を堆積させるために使用可能であり、この場合、堆積材料は、ALDプロセスの間ドーパント前駆体を含むことによってドープされる。いくつかの例では、ドーパント前駆体は、卑金属を堆積させるために使用されるALDサイクルに対する別個のALDサイクルに含まれ得る。他の例では、ドーパント前駆体は、ALDサイクルの間に使用される化学前駆体のいずれかと同時注入され得る。さらなる例では、ドーパント前駆体は、ALDサイクルの間に化学前駆体と別個に注入可能である。例えば、1ALDサイクルは、航空宇宙用部品を:第1の前駆体、ポンプパージ、ドーパント前駆体、ポンプパージ、第1の反応物、およびポンプパージにさらして堆積層を形成することを含むことができる。いくつかの例では、1ALDサイクルは、航空宇宙用部品を:ドーパント前駆体、ポンプパージ、第1の前駆体、ポンプパージ、第1の反応物、およびポンプパージにさらして堆積層を形成することを含むことができる。他の例では、1ALDサイクルは、航空宇宙用部品を:第1の前駆体、ドーパント前駆体、ポンプパージ、第1の反応物、およびポンプパージにさらして堆積層を形成することを含むことができる。
【0050】
ドーピング物質は、障壁層(もしくは第1の堆積層)、触媒酸化層(もしくは第2の堆積層)、および/または保護コーティング内に、約0.01原子百分率(at%)、約0.05at%、約0.08at%、約0.1at%、約0.5at%、約0.8at%、約1at%、約1.2at%、約1.5at%、約1.8at%、または約2at%から、約2.5at%、約3at%、約3.5at%、約4at%、約5at%、約8at%、約10at%、約15at%、約20at%、約25at%、または約30at%の濃度を有することができる。例えば、ドーピング物質は、障壁層(もしくは第1の堆積層)、触媒酸化層(もしくは第2の堆積層)、および/または保護コーティング内に、約0.01at%~約30at%、約0.01at%~約25at%、約0.01at%~約20at%、約0.01at%~約15at%、約0.01at%~約12at%、約0.01at%~約10at%、約0.01at%~約8at%、約0.01at%~約5at%、約0.01at%~約4at%、約0.01at%~約3at%、約0.01at%~約2.5at%、約0.01at%~約2at%、約0.01at%~約1.5at%、約0.01at%~約1at%、約0.01at%~約0.5at%、約0.01at%~約0.1at%、約0.1at%~約30at%、約0.1at%~約25at%、約0.1at%~約20at%、約0.1at%~約15at%、約0.1at%~約12at%、約0.1at%~約10at%、約0.1at%~約8at%、約0.1at%~約5at%、約0.1at%~約4at%、約0.1at%~約3at%、約0.1at%~約2.5at%、約0.1at%~約2at%、約0.1at%~約1.5at%、約0.1at%~約1at%、約0.1at%~約0.5at%、約1at%~約30at%、約1at%~約25at%、約1at%~約20at%、約1at%~約15at%、約1at%~約12at%、約1at%~約10at%、約1at%~約8at%、約1at%~約5at%、約1at%~約4at%、約1at%~約3at%、約1at%~約2.5at%、約1at%~約2at%、または約1at%~約1.5at%の濃度を有することができる。
【0051】
航空宇宙用部品を含んで、本明細書に説明されかつ論じられる航空宇宙用部品は、燃料システム、タービン、航空機、宇宙船、または1つもしくは複数のタービン(例えば、圧縮器、ポンプ、ターボファン、および過給機など)を含むことができる他のデバイスの1つもしくは複数の部品もしくはこの部分とすることができるまたはこれらを含むことができる。例示の航空宇宙用部品は、燃料ノズル、燃焼器ライナー、燃焼器シールド、熱交換器、燃料配管、燃料弁、燃料(例えば、航空燃料もしくはジェット燃料)にさらされる任意の他の一部もしくは一部分、および、1つもしくは複数のタービン羽根、タービン翼、小骨、垂直安定板、ピンフィン、内部冷却チャネル、もしくは保護コーティングを堆積させることによって利益を得ることができる任意の他の航空宇宙用部品または部分、あるいは、これらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。
【0052】
航空宇宙用部品は、1つ、2つ、もしくはそれ以上の外表面または外面、および1つもしくは複数の内表面または内面を有する。保護コーティングは、航空宇宙用部品の内面上および/または外面上に堆積あるいは形成可能である。内面は、航空宇宙用部品内に延在するかまたは含有される1つまたは複数の空洞を画定することができる。空洞は、内面の間に設けられるチャネル、通路、または空間などとすることができる。空洞は、1つまたは複数の開口部を有することができる。航空宇宙用部品内の空洞のそれぞれは、典型的には、1を上回るアスペクト比(例えば、長さを幅で除算)を有する。本明細書に説明されかつ論じられる方法の実施形態は、空洞内の表面を清浄にすることと、(1を上回る)高いアスペクト比を有するこれらの空洞内の洗浄された表面を含む内面上に保護コーティングを堆積させることおよび/あるいは形成することとを提供する。
【0053】
航空宇宙用部品内の空洞のアスペクト比は、1より大きい、約1.5、約2、約3、約5、約8、約10、または約12から、約15、約20、約25、約30、約40、約50、約65、約80、約100、約120、約150、約200、約250、約300、約500、約800、約1,000、またはそれ以上までとすることができる。例えば、航空宇宙用部品内の空洞のアスペクト比は、約2~約1,000、約2~約500、約2~約200、約2~約150、約2~約120、約2~約100、約2~約80、約2~約50、約2~約40、約2~約30、約2~約20、約2~約10、約2~約8、約5~約1,000、約5~約500、約5~約200、約5~約150、約5~約120、約5~約100、約5~約80、約5~約50、約5~約40、約5~約30、約5~約20、約5~約10、約5~約8、約10~約1,000、約10~約500、約10~約200、約10~約150、約10~約120、約10~約100、約10~約80、約10~約50、約10~約40、約10~約30、約10~約20、約20~約1,000、約20~約500、約20~約200、約20~約150、約20~約120、約20~約100、約20~約80、約20~約50、約20~約40、または約20~約30とすることができる。
【0054】
航空宇宙用部品、ならびに、1つもしくは複数の外表面または外面および/あるいは1つもしくは複数の内表面または内面を含むこのいずれかの表面は、ニッケル、クロム、コバルト、クロム-コバルト合金、モリブデン、鉄、チタン、1つもしくは複数のニッケル超合金、1つもしくは複数のインコネル合金、1つもしくは複数のハステロイ合金、1つもしくは複数のインバー合金、1つもしくは複数のInovoco合金、これらの合金、またはこれらの任意の組み合わせなどの1つもしくは複数の金属から作られ得る、これらを含有し得る、あるいはこれらを含み得る。保護コーティングは、1つもしくは複数の外表面または外面および/あるいは1つもしくは複数の内表面または内面を含む航空宇宙用部品のいずれかの表面上に堆積させ、形成され、あるいはもたらされ得る。
【0055】
本明細書に説明されかつ論じられる保護コーティングは、航空宇宙用部品のいずれかの表面上に堆積させるあるいは形成される、単層膜、2つもしくはそれ以上の層状膜(例えば、多層膜)、モノリシックの膜、積層膜スタック、接合膜(coalesced film)、結晶膜、傾斜組成、および/またはこれらの任意の組み合わせとすることができるまたはこれらを含むことができる。いくつかの例では、保護コーティングは、1つまたは複数の触媒酸化層、および、オプションとして、航空宇宙用部品と触媒酸化層との間に設けられる1つまたは複数の障壁層を含有する。保護コーティングは、等角であり、かつ開放気孔、止まり穴、および表面の見通し外領域を含む、表面トポロジに従う粗面特徴を実質的にコーティングする。保護コーティングは、表面粗さを実質的に増大させることはなく、いくつかの実施形態では、保護コーティングは、結合するまで等角的に粗さをコーティングすることによって表面粗さを低減し得る。保護コーティングは、航空宇宙用部品の粗さより実質的に大きい堆積からの粒子を含有し得るが、モノリシックの膜とは別個とみなされる。保護コーティングは、実質的に良好に付着し微小な穴はない。保護コーティングの厚さは、40%の1シグマ以内で変化し得る。1つまたは複数の実施形態では、厚さは、20%、10%、5%、1%、または0.1%の1シグマ未満で変化する。
【0056】
コークス沈着に対する保護を提供することに加えて、保護コーティングは、航空宇宙用部品が、空気、酸素、硫黄、および/もしくは硫黄化合物、酸、塩基、塩(例えば、Na、K、Mg、Li、またはCa塩)、またはこれらの任意の組み合わせにさらされる時の腐食および酸化保護を提供する。航空宇宙用部品は、通常の動作中、または任意のカーボン堆積を除去するための清浄プロセス中にこれらの状態にさらされる場合がある。
【0057】
保護コーティングを含有する航空宇宙用部品は、動作(例えば、航空宇宙用部品のうちの1つもしくは複数を有するジェットまたはタービンエンジンを作動)中に航空宇宙用部品上のコークス、燃料、微粒子、および/または他の望ましくない物質もしくは残骸を焼き払う、酸化させる、あるいは除去するために使用する間の動作温度まで加熱される。保護コーティングを含有する航空宇宙用部品の動作温度は、動作または使用中、約200℃、約300℃、約400℃、約500℃、または約550℃から、約600℃、約650℃、約700℃、約750℃、約800℃、約900℃、約1,000℃、またはそれ以上までである。例えば、保護コーティングを含有する航空宇宙用部品は、動作または使用中、約200℃~約1,000℃、約200℃~約900℃、約200℃~約800℃、約200℃~約700℃、約200℃~約650℃、約200℃~約600℃、約200℃~約550℃、約200℃~約500℃、約200℃~約450℃、約200℃~約400℃、約200℃~約300℃、約400℃~約1,000℃、約400℃~約900℃、約400℃~約800℃、約400℃~約700℃、約400℃~約650℃、約400℃~約600℃、約400℃~約550℃、約400℃~約500℃、約400℃~約450℃、約500℃~約1,000℃、約500℃~約900℃、約500℃~約800℃、約500℃~約700℃、約500℃~約650℃、約500℃~約600℃、または約500℃~約550℃の温度まで加熱される。
【0058】
本開示の実施形態は、以下の段落1~34のうちのいずれか1つまたは複数にさらに関連する。
【0059】
1.航空宇宙用部品上に保護コーティングを堆積させるための方法であって、航空宇宙用部品の表面上に障壁層を堆積させることと、障壁層上に触媒酸化層を堆積させることとを含む、方法。
【0060】
2.原子層堆積(ALD)プロセスによって航空宇宙用部品の表面上に酸化セリウムを含む触媒酸化層を堆積させることであって、航空宇宙用部品は、燃料ノズル、燃焼器ライナー、燃焼器シールド、熱交換器、燃料配管、燃料弁、またはこれらの任意の組み合わせであり、航空宇宙用部品の表面のアスペクト比は約5~約1,000であり、触媒酸化層は約10nm~約500nmの厚さを有する、触媒酸化層を堆積させることを含む、航空宇宙用部品上に保護コーティングを堆積させるための方法。
【0061】
3.航空宇宙用部品の表面上に設ける保護コーティングを含み、保護コーティングは、航空宇宙用部品の表面上に設けられる、酸化アルミニウム、マグネシウムをドープした酸化アルミニウム、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせを含む障壁層と、障壁層上に設けられる、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムカルシウムマンガン、酸化イットリウムバリウムマンガン、酸化ランタンロジウムマンガン、酸化ルテチウム鉄、酸化イットリウムバリウムコバルト、酸化硫酸ランタン、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせを含む触媒酸化層と、を含む、航空宇宙用部品。
【0062】
4.航空宇宙用部品の表面上に設けられる保護コーティングを含み、保護コーティングは、航空宇宙用部品の表面上に設けられる酸化アルミニウムを含む障壁層と、障壁層上に設けられる酸化セリウムを含む触媒酸化層とを含む、航空宇宙用部品。
【0063】
5.障壁層は、酸化アルミニウム、マグネシウムをドープした酸化アルミニウム、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせを含む、段落1~4のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0064】
6.障壁層はALDプロセスによって堆積される、段落1~5のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0065】
7.ALDプロセスは、航空宇宙用部品をアルミニウム前駆体および酸化剤に順次さらすことを含む、段落6による方法および/または航空宇宙用部品。
【0066】
8.アルミニウム前駆体は、トリス(アルキル)アルミニウム、トリス(アルコキシ)アルミニウム、アルミニウムジケトネート、これらの複合体、これらの付加物、これらの塩、またはこれらの任意の組み合わせを含む、段落7による方法および/または航空宇宙用部品。
【0067】
9.酸化剤は、水、オゾン、酸素(O)、原子状酸素、亜酸化窒素、過酸化物、アルコール、これらのプラズマ、またはこれらの任意の組み合わせを含む、段落7による方法および/または航空宇宙用部品。
【0068】
10.障壁層は約1nm~約500nmの厚さを有する、段落1~9のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0069】
11.障壁層は約5nm~約250nmの厚さを有する、段落1~10のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0070】
12.障壁層は約10nm~約100nmの厚さを有する、段落1~11のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0071】
13.触媒酸化層は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムカルシウムマンガン、酸化イットリウムバリウムマンガン、酸化ランタンロジウムマンガン、酸化ルテチウム鉄、酸化イットリウムバリウムコバルト、酸化硫酸ランタン、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせを含む、段落1~12のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0072】
14.触媒酸化層は酸化セリウムおよびドーパントを含み、ドーパントは、ガドリニウム、マンガン、ストロンチウム、コバルト、銅、アルミニウム、これらの合金、これらの酸化物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、段落1~13のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0073】
15.触媒酸化層はALDプロセスによって堆積される酸化セリウムを含む、段落1~14のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0074】
16.ALDプロセスは、触媒酸化層が約10nm~約500nmの厚さを有するまでALDサイクルを繰り返すことを含む、段落15による方法および/または航空宇宙用部品。
【0075】
17.触媒酸化層は約20nm~約100nmの厚さを有する、段落1~16のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0076】
18.触媒酸化層は約50nm~約80nmの厚さを有する、段落1~17のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0077】
19.セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトネート化合物、シクロペンタジエニルセリウム化合物、セリウムアルコキシド化合物、アミドセリウム化合物、アセトアミジナートセリウム化合物、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、段落1~18のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0078】
20.セリウム前駆体はセリウムβ-ジケトネート化合物を含む、段落19による方法および/または航空宇宙用部品。
【0079】
21.セリウムβ-ジケトネート化合物は、Ce(thd)、Ce(thd)、Ce(thd)(phen)、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせである、段落20による方法および/または航空宇宙用部品。
【0080】
22.セリウム前駆体はシクロペンタジエニルセリウム化合物を含む、段落19による方法および/または航空宇宙用部品。
【0081】
23.シクロペンタジエニルセリウム化合物は、(Cp)Ce、(MeCp)Ce,(EtCp)Ce、(PrCp)Ce、(BuCp)Cp、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせである、段落22による方法および/または航空宇宙用部品。
【0082】
24.セリウム前駆体はセリウムアルコキシド化合物を含む、段落19による方法および/または航空宇宙用部品。
【0083】
25.セリウムアルコキシド化合物は、Ce(mmp)(セリウムテトラ(1-メトキシ-2-メチル-2-プロパノール))、Ce(dmap)(セリウムテトラ(1-(ジメチルアミノ)プロパン-2-オラート))、Ce(dmop)(セリウムテトラ(2-(4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-yl)プロパン-2-オラート))、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせである、段落24による方法および/または航空宇宙用部品。
【0084】
26.セリウム前駆体はアミドセリウム化合物もしくはアセトアミジナートセリウム化合物を含む、段落19による方法および/または航空宇宙用部品。
【0085】
27.セリウム前駆体は、(hmdsa)Ceもしくは(PrCp)Ce(N-Pr-amd)である、段落26による方法および/または航空宇宙用部品。
【0086】
28.航空宇宙用部品は、燃料ノズル、燃焼器ライナー、燃焼器シールド、熱交換器、燃料配管、燃料弁、またはこれらの任意の組み合わせである、段落1~27のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0087】
29.航空宇宙用部品の表面は航空宇宙用部品の内面であり、航空宇宙用部品の表面のアスペクト比は約5~約1,000である、段落1~28のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0088】
30.航空宇宙用部品の洗浄された表面は、ニッケル、ニッケル超合金、ステンレス鋼、コバルト、クロム、モリブデン、鉄、チタン、これらの合金、またはこれらの任意の組み合わせを含む、段落1~29のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0089】
31.保護コーティングは、燃料の存在下で航空宇宙用部品が加熱される時のコークス生成を低減するまたは抑制する、段落1~30のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0090】
32.保護コーティングは、約10nm~約5,000nmの厚さを有する、段落1~31のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0091】
33.保護コーティングは5%未満の厚さ変動を有する、段落1~32のいずれか1つによる方法および/または航空宇宙用部品。
【0092】
34.段落1~33のいずれか1つによる方法によって形成される保護コーティングを含む、航空宇宙用部品。
【0093】
前述の記載事項は、本開示の実施形態に関するが、他のおよびさらなる実施形態は、本発明の基本的な範囲を逸脱せずに考案されてよく、本発明の範囲は、続く請求項によって決定される。本明細書に記載される全ての文献は、いかなる優先権書類もおよび/または試験手順書も含めて、本明細書の本文と矛盾しない程度に、参照により本明細書に組み込まれる。前述の一般的記載および特定の実施態様から明らかであるように、本開示の形態が例証されかつ説明されているが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変形がなされ得る。それ故に、本開示がこれらによって限定されることは意図されていない。同様に、米国法のためには用語「含む(comprising)」は用語「含む(including)」と同義であるとみなされる。同様に、構成物、要素、または要素の群の前に移行句「含む(comprising)」が先行する場合はいつでも、構成物、要素、もしくは複数の要素の列挙の前に移行句「本質的に~から成る」、「~から成る」、「~から成る群から選択される」、または「~である」が先行するものと同じ構成物または要素の群であると想定し、逆もまた同様であることは理解されたい。
【0094】
特定の実施形態および特徴は、数値の上限のセットおよび数値の下限のセットを使用して説明されている。別段指示されない限り、任意の2つの値の組み合わせ、例えば、任意の下限値と任意の上限値との組み合わせ、任意の2つの下限値の組み合わせ、および/または任意の2つの上限値の組み合わせを含む範囲が想定されることは、理解されるべきである。以下の1つまたは複数の請求項には、特定の下限、上限、および範囲が記載されている。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空宇宙用部品上に保護コーティングを堆積させるための方法であって、
前記航空宇宙用部品の表面上に障壁層を堆積させることと、
前記障壁層上に触媒酸化層を堆積させることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記障壁層は、酸化アルミニウム、マグネシウムをドープした酸化アルミニウム、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記障壁層は原子層堆積(ALD)プロセスによって堆積され、前記ALDプロセスは、前記航空宇宙用部品をアルミニウム前駆体および酸化剤に順次さらすことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記アルミニウム前駆体は、トリス(アルキル)アルミニウム、トリス(アルコキシ)アルミニウム、アルミニウムジケトネート、これらの錯体、これらの付加物、これらの塩、またはこれらの任意の組み合わせを含み、前記酸化剤は、水、オゾン、酸素(O)、原子状酸素、亜酸化窒素、過酸化物、アルコール、これらのプラズマ、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記障壁層は約5nm~約250nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記触媒酸化層は、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウムカルシウムマンガン、酸化イットリウムバリウムマンガン、酸化ランタンロジウムマンガン、酸化ランタン鉄、酸化イットリウムバリウムコバルト、酸化硫酸ランタン、これらのドーパント、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒酸化層は酸化セリウムおよびドーパントを含み、前記ドーパントは、ガドリニウム、マンガン、ストロンチウム、コバルト、銅、アルミニウム、これらの合金、これらの酸化物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記触媒酸化層は約20nm~約100nmの厚さを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記触媒酸化層は、酸化セリウムを含み、かつ原子層堆積(ALD)プロセスによって堆積され、前記ALDプロセスは、ALDサイクルの間、前記航空宇宙用部品をセリウム前駆体および酸化剤に順次さらすことを含み、前記ALDプロセスは、前記触媒酸化層が所望の厚さを有するまで前記ALDサイクルを繰り返すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記セリウム前駆体は、セリウムβ-ジケトネート化合物、シクロペンタジエニルセリウム化合物、セリウムアルコキシド化合物、アミドセリウム化合物、アセトアミジナートセリウム化合物、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記セリウム前駆体はセリウムβ-ジケトネート化合物を含み、前記セリウムβ-ジケトネート化合物は、Ce(thd)、Ce(thd)、Ce(thd)(phen)、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記セリウム前駆体はシクロペンタジエニルセリウム化合物を含み、前記シクロペンタジエニルセリウム化合物は、(Cp)Ce、(MeCp)Ce,(EtCp)Ce、(PrCp)Ce、(BuCp)Cp、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記セリウム前駆体はセリウムアルコキシド化合物を含み、前記セリウムアルコキシド化合物は、Ce(mmp)(セリウムテトラ(1-メトキシ-2-メチル-2-プロパノラート))、Ce(dmap)(セリウムテトラ(1-(ジメチルアミノ)プロパン-2-オラート))、Ce(dmop)(セリウムテトラ(2-(4,4-ジメチル-4,5-ジヒドロオキサゾール-2-イル)プロパン-2-オラート))、これらの付加物、またはこれらの任意の組み合わせである、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記セリウム前駆体はアミドセリウム化合物またはアセトアミジナートセリウム化合物を含み、前記セリウム前駆体は、(hmdsa)Ceまたは(PrCp)Ce(N-Pr-amd)である、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記航空宇宙用部品は、燃料ノズル、燃焼器ライナー、燃焼器シールド、熱交換器、燃料配管、燃料弁、またはこれらの任意の組み合わせであり、前記航空宇宙用部品の洗浄された前記表面は、ニッケル、ニッケル超合金、ステンレス鋼、コバルト、クロム、モリブデン、鉄、チタン、これらの合金、またはこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記航空宇宙用部品の前記表面は前記航空宇宙用部品の内面であり、前記航空宇宙用部品の前記表面のアスペクト比は約5~約1,000である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記保護コーティングは、燃料の存在下で前記航空宇宙用部品が加熱される時のコークス生成を低減するまたは抑制する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記保護コーティングは、約10nm~約5,000nmの厚さ、および5%未満の厚さ変動を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
航空宇宙用部品上に保護コーティングを堆積させるための方法であって、
原子層堆積(ALD)プロセスによって前記航空宇宙用部品の表面上に酸化セリウムを含む触媒酸化層を堆積させることを含み、
前記航空宇宙用部品は、燃料ノズル、燃焼器ライナー、燃焼器シールド、熱交換器、燃料配管、燃料弁、またはこれらの任意の組み合わせであり、前記航空宇宙用部品の前記表面のアスペクト比は約5~約1,000であり、前記触媒酸化層は約10nm~約500nmの厚さを有する、方法。
【請求項20】
航空宇宙用部品であって、
前記航空宇宙用部品の表面上に設けられる保護コーティングを含み、
前記保護コーティングは、前記航空宇宙用部品の前記表面上に設けられる酸化アルミニウムを含む障壁層と、前記障壁層上に設けられる酸化セリウムを含む触媒酸化層とを含む、航空宇宙用部品。
【国際調査報告】