(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-14
(54)【発明の名称】モリブデン充填
(51)【国際特許分類】
C23C 16/14 20060101AFI20221207BHJP
【FI】
C23C16/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522581
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(85)【翻訳文提出日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 US2020055596
(87)【国際公開番号】W WO2021076636
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シュロス・ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】ソンベア・シュルティ・ヴィヴェク
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ゾンボ
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン・クリーンプト・パトリック・エイ.
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ・ジョシュア
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA02
4K030AA17
4K030BA12
4K030CA11
4K030DA04
4K030FA01
4K030FA10
(57)【要約】
【解決手段】フィーチャをモリブデン(Mo)で充填する方法の実施形態は、開口部および内部を有するフィーチャに第1のMo層を堆積する工程と、開口部付近の領域が内部の領域に対して優先的に処理されるように、第1の層を非共形に処理する工程と、を含む。いくつかの実施形態では、処理された第1の層の上に第2のMo層が堆積される。フィーチャをMoで充填する方法の実施形態は、共形充填と非共形充填との間で移行するようにMo前駆体流束を制御する工程を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
1つ以上のフィーチャを有する基板を提供する工程であって、前記1つ以上のフィーチャの各々は、少なくとも1つの開口部と、前記少なくとも1つの開口部を通じて流体的にアクセス可能な内部領域とを有する、工程と、
前記1つ以上のフィーチャにモリブデンの第1の層を堆積する工程と、
前記第1の層を非共形に処理する工程であって、前記処理は、前記1つ以上のフィーチャの前記少なくとも1の開口部付近の前記第1の層の部分に、前記フィーチャの前記内部領域よりも深い前記第1の層の部分に対して優先的に施される、工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の層を非共形に処理する工程は、前記第1の層を非共形に抑制する工程を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記第1の層を非共形に処理する工程は、前記第1の層を非共形にエッチングする工程を含む、方法。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、モリブデンの前記第1の層を堆積する間に実施される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、
モリブデン前駆体の流束または集結が、前記1つ以上のフィーチャの前記少なくとも1つの開口部寄りになるような条件下で、前記1つ以上のフィーチャを前記前駆体に曝露する工程を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記モリブデン前駆体は、モリブデンオキシハライドである、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記モリブデンオキシハライドは、エッチング反応により、前記1つ以上のフィーチャの前記1つ以上の開口部付近で前記内部領域よりも低い成長速度を有する、方法。
【請求項8】
請求項6に記載の方法であって、
前記モリブデンオキシハライドは、抑制処理により、前記1つ以上のフィーチャの前記1つ以上の開口部付近で前記内部領域よりも低い成長速度を有する、方法。
【請求項9】
請求項2または請求項3に記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、モリブデンの前記第1の層が堆積した後に実施される、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、前記第1の層を抑制化学物質に曝露する工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記抑制化学物質は、窒素含有化学物質である、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、前記第1の層を窒素含有化学物質に曝露した後に、前記第1の層を水素ガスおよびモリブデン前駆体のうちのいずれかまたは両方に曝露する工程を含む、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、前記第1の層をエッチング化学物質に曝露する工程を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記エッチング化学物質は、ハロゲン含有化学物質である、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、前記第1の層をハロゲン含有化学物質に曝露した後に、前記基板を収容するチャンバをパージする工程を含む、方法。
【請求項16】
請求項1~9のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、前記第1の層を窒素含有化合物に曝露する工程を含む、方法。
【請求項17】
請求項1~9のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、前記第1の層をハロゲン含有化合物に曝露する工程を含む、方法。
【請求項18】
請求項1~9のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、前記第1の層をアンモニアまたは三フッ化窒素に曝露する工程を含む、方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、非プラズマ熱プロセスである、方法。
【請求項20】
請求項1~18のいずれかに記載の方法であって、
前記第1の層を処理する工程は、プラズマプロセスである、方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれかに記載の方法であって、
モリブデンの前記第1の層を堆積する工程は、モリブデンオキシハライド前駆体またはモリブデンハライド前駆体の還元剤としてH
2を用いる原子層堆積プロセスを含む、方法。
【請求項22】
請求項1~21のいずれかに記載の方法であって、さらに、
前記第1の層を非共形に処理した後に、モリブデンの第2の層を堆積する工程を含む、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、
前記第2の層を堆積する工程は、モリブデンオキシハライド前駆体またはモリブデンハライド前駆体の還元剤としてH
2を用いる原子層堆積プロセスを含む、方法。
【請求項24】
請求項1~23のいずれかに記載の方法であって、
前記基板は、側壁を有する3D構造を備え、前記1つ以上のフィーチャの前記1つ以上の開口部は、前記側壁における開口部である、方法。
【請求項25】
請求項1~23のいずれかに記載の方法であって、
前記1つ以上のフィーチャは、閉端を有する、方法。
【請求項26】
方法であって、
(a)第1のモリブデン(Mo)前駆体流量、Mo前駆体分圧、およびMo前駆体ドーズ時間でMo前駆体を用いて、フィーチャにMoの共形層を堆積する工程と、
(b)Mo前駆体流量、Mo前駆体分圧、およびMo前駆体ドーズ時間のうちの少なくとも1つを増加させて、前記フィーチャの開口部における前記Mo前駆体の流束を増加させ、それにより前記Moの共形層の上に第2のMoの層を堆積する工程と、
を含む、方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、
前記Mo前駆体は、モリブデンオキシクロライドである、方法。
【請求項28】
装置であって、
各々が基板を保持するように構成された1つ以上のステーションを有する処理チャンバと、
水素(H
2)ガス源、モリブデン前駆体ガス源、不活性パージガス源、および処理ガス源に接続するための1つ以上の処理ガス入口と、
前記装置における動作を制御するためのコントローラであって、
(a)基板上に第1のモリブデンの層を堆積するために、前記1つ以上の処理ガス入口を通じて、前記処理チャンバへのH
2パルスおよびモリブデン前駆体パルスを交互に繰り返し、
(b)(a)の後に、前記第1のモリブデンの層を処理するために処理ガスを注入し、
(c)(b)の後に、基板上に第1のモリブデンの層を堆積させるために、前記1つ以上の処理ガス入口を通じて、前記処理チャンバへのH
2パルスおよびモリブデン前駆体パルスを交互に繰り返すための機械可読命令を備えるコントローラと、
を備える、装置。
【請求項29】
装置であって、
各々が基板を保持するように構成された1つ以上のステーションを有する処理チャンバと、
水素(H
2)ガス源、モリブデン前駆体ガス源、不活性パージガス源、および処理ガス源に接続するための1つ以上の処理ガス入口と、
前記装置における動作を制御するためのコントローラであって、
(a)基板上に第1のモリブデンの層を堆積するために、前記1つ以上の処理ガス入口を通じて、前記処理チャンバにH
2およびモリブデン前駆体を注入し、
(b)(a)の後に、基板上に第1のモリブデンの層を堆積するために、Mo前駆体の流量およびドーズ時間のいずれかまたは両方を変更するための機械可読命令を備えるコントローラと、
を備える、装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[参照による援用]
本願の一部として、本明細書と同時にPCT出願書が提出される。同時に出願されたPCT出願書に認められる利益または優先権を本願が主張する各出願は、その全てが全ての目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
タングステン含有材料を含む材料の堆積は、多くの半導体製造プロセスの不可欠な部分である。これらの材料は、水平配線、隣り合う金属層間のビア、および金属層とデバイスとの間のコンタクトに用いられてよい。堆積の例では、タングステン層は、窒化チタン(TiN)バリア層上に堆積して、WF6を用いるCVDプロセスによってTin/W二重層を形成してよい。しかし、デバイスが小型化し、業界内ではより複雑なパターニング法が用いられるため、タングステン薄膜の堆積は課題になっている。フィーチャサイズおよび膜厚の継続的な減少は、TiN/W積層膜に様々な課題をもたらす。それらは、薄膜の高抵抗およびTiNバリア特性の劣化を含む。3D NAND構造などの複雑な高アスペクト比構造における堆積は、特に難しい。
【0003】
本明細書に記載の背景技術は、本開示の内容を一般的に提示するためである。現在名前が挙げられている発明者の発明は、本背景技術欄、および出願時の先行技術に該当しない説明の態様において記載される範囲で、本開示に対する先行技術として明示的にも黙示的にも認められない。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様は方法に関し、この方法は、1つ以上のフィーチャを有する基板を提供する工程であって、1つ以上のフィーチャの各々は、少なくとも1つの開口部と、少なくとも1つの開口部を通って流体的にアクセス可能な内部領域とを有する、工程と、1つ以上のフィーチャにモリブデンの第1の層を堆積する工程と、1つ以上のフィーチャの少なくとも1つの開口部付近の第1の層の部分が、そのフィーチャの内部領域におけるより深い第1の層の部分に対して優先的に処理されるように、第1の層を非共形に処理する工程と、を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の層を非共形に処理する工程は、第1の層を非共形に抑制する工程を含む。いくつかの実施形態では、第1の層を非共形に処理する工程は、第1の層を非共形にエッチングする工程を含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、第1の層を処理する工程は、モリブデンの第1の層を堆積する間に実施される。いくつかのかかる実施形態では、この方法は、前駆体の流束または集結が1つ以上のフィーチャの少なくとも1つの開口部付近になるような条件下で、1つ以上のフィーチャをモリブデン前駆体に曝露する工程を含む。いくつかのかかる実施形態では、モリブデン前駆体は、モリブデンオキシハライドである。いくつかのかかる実施形態では、モリブデンオキシハライドは、エッチング反応により、1つ以上のフィーチャの1つ以上の開口部付近では内部領域よりも低い成長速度を有する。いくつかのかかる実施形態では、モリブデンオキシハライドは、抑制処理により、1つ以上のフィーチャの1つ以上の開口部付近では内部領域よりもより低い成長速度を有する。
【0007】
いくつかの実施形態では、第1の層を処理する工程は、モリブデンの第1の層が堆積した後に実施される。
【0008】
いくつかの実施形態では、第1の層を処理する工程は、第1の層を抑制化学物質に曝露する工程を含む。いくつかの実施形態では、抑制化学物質は、窒素含有化学物質である。いくつかのかかる実施形態では、第1の層を処理する工程は、第1の層を窒素含有化学物質に曝露した後に、第1の層を水素ガスおよびモリブデン前駆体のいずれかまたは両方に曝露する工程を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、第1の層を処理する工程は、第1の層をエッチング化学物質に曝露する工程を含む。いくつかのかかる実施形態では、エッチング化学物質はハロゲン含有化学物質である。いくつかのかかる実施形態では、第1の層は、第1の層をハロゲン含有化学物質に曝露した後に、基板を収容するチャンバをパージする工程を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1の層を処理する工程は、第1の層を窒素含有化合物に曝露する工程を含む。いくつかの実施形態では、第1の層を処理する工程は、第1の層をハロゲン含有化合物に曝露する工程を含む。いくつかの実施形態では、第1の層を処理する工程は、第1の層をアンモニアまたは三フッ化窒素に曝露する工程を含む。いくつかの実施形態では、第1の層を処理する工程は、非プラズマ熱プロセスである。いくつかの実施形態では、第1の層を処理する工程は、プラズマプロセスである。
【0011】
上記方法のいずれかにおいて、モリブデンの第1の層を堆積する工程は、モリブデンオキシハライド前駆体またはモリブデンハライド前駆体の還元剤としてH2を用いる原子層堆積プロセスを含んでよい。
【0012】
上記方法のいずれかにおいて、この方法はさらに、第1の層を非共形に処理した後に、モリブデンの第2の層を堆積する工程を含んでよい。いくつかのかかる実施形態では、第2の層を堆積する工程は、モリブデンオキシハライド前駆体またはモリブデンハライド前駆体の還元剤としてH2を用いる原子層堆積プロセスを含む。
【0013】
様々な実施形態により、基板は側壁を有する3D構造を有し、1つ以上のフィーチャの1つ以上の開口部は、側壁の開口部である。様々な実施形態により、1つ以上のフィーチャは閉端を有する。
【0014】
本開示の別の態様は方法に関し、この方法は、第1のモリブデン(Mo)前駆体流量、Mo前駆体分圧、およびMo前駆体ドーズ時間のMo前駆体を用いて、フィーチャにMo共形層を堆積する工程と、Mo前駆体流量、Mo前駆体分圧、およびMo前駆体ドーズ時間の少なくとも1つを増加させて、フィーチャ開口部におけるMo前駆体流束を増加させ、それによりMo共形層上に第2のMo層を堆積する工程と、を含む。
【0015】
本開示の別の態様は装置に関し、この装置は、各々が基板を保持するように構成された1つ以上のステーションを有する処理チャンバと、水素(H2)ガス源、モリブデン前駆体ガス源、不活性パージガス源、および処理ガス源に接続するための1つ以上の処理ガス入口と、装置における動作を制御するためのコントローラであって、(a)基板上に第1のモリブデン層を堆積するために、1つ以上の処理ガス入口を通じて処理チャンバにH2およびモリブデン前駆体のパルスを交互に流し、(b)(a)の後に、処理ガスを注入して第1のモリブデン層を処理し、(c)(b)の後に、基板上に第1のモリブデン層を堆積するために、1つ以上の処理ガス入口を通じて処理チャンバにH2およびモリブデン前駆体のパルスを交互に流すための機械可読命令を備えるコントローラと、を備える。
【0016】
本開示のさらに別の態様は装置に関し、この装置は、各々が基板を保持するように構成された1つ以上のステーションを有する処理チャンバと、水素(H2)ガス源、モリブデン前駆体ガス源、不活性パージガス源、および処理ガス源に接続するための1つ以上の処理ガス入口と、装置における動作を制御するためのコントローラであって、(a)基板上に第1のモリブデン層を堆積するために、1つ以上の処理ガス入口を通じて処理チャンバにH2およびモリブデンの前駆体を注入し、(b)(a)の後に、基板上に第1のモリブデン層を堆積するために、Mo前駆体の流量またはドーズ時間のいずれかまたは両方を変更するための機械可読命令を備えるコントローラと、を備える。
【0017】
これらの態様および他の態様は、図を参照して以下にさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A】様々な実施形態によるモリブデン(Mo)を含む例示的な材料積層の図。
【
図1B】様々な実施形態によるモリブデン(Mo)を含む例示的な材料積層の図。
【0019】
【
図2A】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2B】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2C】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2D】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2E】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2F】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2G】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2H】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【0020】
【
図3】様々な実施形態により構造をモリブデンで充填する動作を示すプロセス図。
【0021】
【
図4】3D NAND構造をモリブデンで充填するために実施される例示的なプロセス。
【0022】
【
図5】3D NAND構造をモリブデンで充填するために実施される別の例示的なプロセス。
【0023】
【
図6A】様々な実施形態によるモリブデン膜の処理における動作を示すプロセス図。
【0024】
【
図6B】幅狭で高密のフィーチャおよび幅広で低密のフィーチャを備える例示的な構造、ならびに、モリブデン前駆体流束を制御することでモリブデン膜のステップカバレッジがどのように変化できるかを示す図。
【0025】
【
図6C】様々な実施形態による構造のモリブデン充填における動作を示すプロセス図。
【0026】
【
図6D】モリブデン前駆体流量を関数とする堆積したモリブデンの厚さを示すグラフ。
【0027】
【
図7】本明細書に記載の方法を実施するために用いられうる例示的な装置。
【0028】
【
図8】モリブデン膜を形成するALD法における動作を示すプロセス図。
【0029】
【
図9】還元剤層を用いてモリブデン層を形成するプロセスにおける動作を示すプロセス図。
【0030】
【
図10】本明細書に記載の方法を実施するために用いられうる例示的な装置。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の説明では、本実施形態の十分な理解を提供するためにいくつかの特定の詳細が記載される。開示の実施形態は、これらの特定の詳細の一部または全てなしで実施されてよい。他の例では、開示の実施形態を必要以上に分かりにくくしないように、周知のプロセス動作は詳細には説明されていない。開示の実施形態は、特定の実施形態と共に説明されるが、開示の実施形態を限定する意図はないことが理解されるだろう。
【0032】
以下の説明では、本実施形態の十分な理解を提供するためにいくつかの特定の詳細が記載される。開示の実施形態は、これらの特定の詳細の一部または全てなしで実施されてよい。他の例では、開示の実施形態を必要以上に分かりにくくしないように、周知のプロセス動作は詳細には説明されていない。開示の実施形態は、特定の実施形態と共に説明されるが、開示の実施形態を限定する意図はないことが理解されるだろう。
【0033】
本明細書には、ロジックおよびメモリの用途で用いられうるフィーチャをモリブデン(Mo)で充填する方法が提供される。
図1Aおよび
図1Bは、様々な実施形態によるMoを含む例示的な材料積層の図である。
図1Aおよび
図1Bは、特定の積層における材料の順序を示し、
図2A~2Jに関して以下にさらに説明されるように、適した構造および用途で用いられてよい。
図1Aの例では、基板102は、その上に堆積したMo層108を有する。基板102は、1つ以上の材料層(堆積した誘電材料、導電性材料、または半導電性材料など)を有するウエハを含む、シリコン半導体ウエハまたは他の半導体ウエハ(例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、または450mmウエハ)であってよい。この方法は、ガラス、プラスチックなどの他の基板上に金属積層構造を形成するために用いられてもよい。
【0034】
図1Aでは、基板102の上には誘電体層104がある。誘電体層104は、基板102の半導体(例えば、Si)面上に直接堆積されてよい、または、任意の数の介在層があってよい。誘電体層の例は、ドープおよび非ドープの酸化シリコン層、窒化シリコン層、および酸化アルミニウム層を含み、特定の例は、ドープまたは非ドープのSiO
2層およびAl
2O
3層を含む。また、
図1Aでは、Mo層108と誘電体層104との間に拡散バリア層106が配置されている。拡散バリア層の例は、窒化チタン(TiN)、チタン/窒化チタン(Ti/TiN)、窒化タングステン(WN)、および炭窒化タングステン(WCN)を含む。さらなる拡散バリアの例は、以下にさらに説明されるような多成分Mo含有膜である。Mo層108は、この構造の主導体である。いくつかの実施形態では、Mo層108は、異なる条件で堆積した複数のバルク層を含んでよい。Mo層108は、Mo核形成層を含んでよい、または含まなくてよい。さらに、いくつかの実施形態では、Mo層108は、タングステン(W)成長開始層またはW含有成長開始層などの別の材料を含む成長開始層の上に堆積されてよい。
【0035】
図1Bは、材料積層の別の例を示す。この例では、積層は、基板102、誘電体層104、および、介在する拡散バリア層なしで誘電体層104の上に直接堆積したMo層108を含む。Mo層108は、
図1Aに関して説明された通りである。Wよりも短い電子平均自由行程を有するMoを主導体として用いることで、低抵抗の薄膜が得られる。
【0036】
図1Aおよび
図1Bは金属積層の例を示すが、この方法および結果として生じる積層は、これに限定されない。例えばいくつかの実施形態では、Moは、開始層を用いて、または用いずに、Siまたは他の半導体基板上に直接堆積されてよい。
図1Aおよび
図1Bは、特定の積層における材料の順序の例を示し、
図2A~2Jに関して以下にさらに説明されるように、任意の適した構造および用途で用いられてよい。
【0037】
本明細書に記載の方法は、チャンバ内に収容されうる基板上で実施される。基板は、その上に堆積した誘電材料、導電性材料、または半導電性材料などの1つ以上の材料層を有するウエハを含む、シリコン半導体ウエハまたは他の半導体ウエハ(例えば、200mmウエハ、300mmウエハ、または450mmウエハ)であってよい。これらの方法は、半導体基板に限定されず、あらゆるフィーチャをモリブデンで充填するために実施されてよい。
【0038】
基板は、ビアまたはコンタクトホールなどのフィーチャを有してよく、フィーチャは、幅狭および/または凹状の開口部、フィーチャ内のくびれ部、ならびに高アスペクト比のうちの1つ以上によって特徴付けられてよい。フィーチャは、上記の層のうちの1つ以上に形成されてよい。例えば、フィーチャは、誘電体層に少なくとも部分的に形成されてよい。いくつかの実施形態では、フィーチャは、少なくとも約2:1、少なくとも約4:1、少なくとも約6:1、少なくとも約10:1、少なくとも約25:1、またはそれ以上のアスペクト比を有してよい。フィーチャの一例は、半導体基板または基板上の層における穴またはビアである。
【0039】
図2Aは、シリコン基板202にMo埋め込み型ワード線(bWL)208を有する例示的なDRAM構造の図を表す。Mo bWLは、シリコン基板202にエッチングされたトレンチに形成される。トレンチに沿って、共形バリア層206、および、共形バリア層206とシリコン基板202との間に配置された絶縁層204がある。
図2の例では、絶縁層204は、酸化シリコン材料または窒化シリコン材料などのhigh-k誘電材料から形成されたゲート酸化物層であってよい。本明細書に開示のいくつかの実施形態では、共形バリア層は、TiN層、または、WNもしくはWCNなどのタングステン含有層である。いくつかの実施形態では、TiNがバリアとして用いられた場合は、共形バリア層206とMo bWL208との間に共形タングステン含有成長開始層が存在してよい。あるいは、Mo bWL208は、TiNまたは他の拡散バリア上に直接堆積されてよい。いくつかの実施形態では、層204および層206のいずれかまたは両方は存在しない。
【0040】
図2Aに示されたbWLは、Mo充填層を含む構造の一例である。bWL製造の間、Moは、層206および層204が存在する場合は、それらに共形に沿うシリコン基板202のエッチング凹部によって規定されうるフィーチャに堆積される。
【0041】
図2B~2Hは、開示の実施形態によりMoが堆積されうる様々な例示的な構造のさらなる図である。
図2Bは、Moで充填される垂直フィーチャ201の例示的な断面図を示す。このフィーチャは、基板202にフィーチャ穴205を備えうる。穴205または他のフィーチャは、開口部付近で一定の寸法(例えば、約10nm~500nm(約25nm~約300nmなど)の開口径または線幅)を有してよい。フィーチャ穴205は、未充填フィーチャ、または単にフィーチャと呼ばれうる。フィーチャ201およびあらゆるフィーチャは、フィーチャの長さを通じて延びる軸218によって部分的に特徴付けられてよく、垂直方向のフィーチャは垂直軸を有し、水平方向のフィーチャは水平軸を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、フィーチャは、3D NAND構造におけるワード線フィーチャである。例えば基板は、垂直チャネルが少なくとも200Åの深さの任意数(例えば、50~150)のワード線を有するワード線構造を備えてよい。別の例は、基板または層におけるトレンチである。フィーチャは、任意の深さを有してよい。様々な実施形態では、フィーチャは、バリア層または接着層などの下層を有してよい。下層の非限定的な例は、誘電体層および導電層(例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および金属層)を含む。
【0043】
図2Cは、凹入形状を有するフィーチャ201の例を示す。凹入形状とは、フィーチャの底部、閉端、または内部からフィーチャ開口部に向かって細くなる形状である。様々な実施形態により、この形状は、フィーチャ開口部において徐々に細くなってよい、および/または、突出部を備えてよい。
図2Cは後者の例を示し、下層213は、フィーチャ穴105の側壁または内面に沿っている。下層213は、例えば、拡散バリア層、接着層、核形成層、これらの組み合わせ、または他の適用可能な材料であってよい。下層の非限定的な例は、誘電体層および導電層(例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、および金属層)を含むことができる。特定の実施形態では、下層は、チタン、窒化チタン、窒化タングステン、チタンアルミナイド、タングステン、およびモリブデンのうちの1つ以上であってよい。いくつかの実施形態では、下層はタングステンを含まない。いくつかの実施形態では、下層はモリブデンを含まない。下層213は、フィーチャ201の内側よりもフィーチャ201の開口部付近で厚くなるようにオーバーハング215を形成する。
【0044】
いくつかの実施形態では、内側に1つ以上のくびれ部を有するフィーチャが充填されてよい。
図2Dは、くびれ部を有する様々な充填フィーチャの例示的な図を示す。
図2Dの例(a)、例(b)、および例(c)は各々、フィーチャの中間点にくびれ部209を有する。くびれ部209は、例えば約15nm~20nmの幅であってよい。くびれ部は、従来の技術を用いるフィーチャへのタングステンまたはモリブデンの堆積中にピンチオフを引き起こす可能性があり、堆積した金属は、フィーチャの一部が充填される前にくびれ部を越えてさに堆積することを阻止して、フィーチャ内にボイドをもたらす。例(b)は、フィーチャ開口部にライナ/バリアオーバーハング215をさらに有する。このような突出部は、潜在的なピンチオフ点となる可能性もある。例(c)は、例(b)のオーバーハング215よりもフィールド領域から離れてくびれ部212を有する。
【0045】
3Dメモリ構造などの水平フィーチャも充填できる。
図2Eは、くびれ部251を有する水平フィーチャ250の例を示す。例えば、水平フィーチャ250は、3D NAND(垂直NANDまたはVNANDとも呼ばれる)構造におけるワード線であってよい。いくつかの実施形態では、くびれ部は、3D NAND構造または他の構造におけるピラーの存在が原因となりうる。
図2Fは、VNAND積層(左225および右226)、中央垂直構造230、および、中央垂直構造230の対向側壁240に開口部222を備える複数の積層水平フィーチャ220を有する、(シリコン基板202上に形成された)3D NAND構造210の断面側面図を表す。
図2Fは、共に「トレンチ状」中央垂直構造230を形成する、示された3D NAND構造210の2つの「積層」を表すが、特定の実施形態では、並んで配置され、互いに空間的に平行に延びた2以上の「積層」があってよく、各隣接する対の「積層」間のギャップは、
図2Fに明示されたように中央垂直構造230を形成することに注意されたい。この実施形態では、水平フィーチャ120は、開口部222を通って中央垂直構造230から流体的にアクセス可能な3Dメモリワード線フィーチャである。図には明示されていないが、
図2Fに示された3D NAND積層225および226(すなわち、左3D NAND積層225および右3D NAND積層226)の両方に存在する水平フィーチャ220も、積層の他方側(それぞれ左端および右端)から追加の3D NAND積層によって形成された同様の垂直構造を通じて(図示されていないが、左端および右端に)アクセス可能である。つまり、3D NAND積層225および226は各々、中央垂直構造1230を通じて3D NAND積層の両側から流体的にアクセス可能なワード線フィーチャの積層を含む。
図2Fで概略的に示された特定の例では、各3D NAND積層は6対の積層ワード線を含むが、他の実施形態では、3D NANDメモリレイアウトは、任意の数の対の垂直積層ワード線を含んでよい。
【0046】
3D NAND積層におけるワード線フィーチャは通常、シリコン酸化物層およびシリコン窒化物層の交互積層を堆積し、次に、間にギャップを有する酸化物層の積層を残して窒化物層を選択的に除去することにより形成される。これらのギャップは、ワード線フィーチャである。形成することが可能な技術がある限り、また、垂直フィーチャの(実質的に)ボイドフリーの充填をうまく達成するのに役立つ技術がある限り、任意の数のワード線がそのような3D NAND構造に垂直積層されてよい。そのため、例えばVNAND積層は、2~256の水平ワード線フィーチャ、または8~128の水平ワード線フィーチャ、または16~64の水平ワード線フィーチャなどを有してよい(記載の範囲は、その終点を含むことが理解される)。
【0047】
図2Gは、
図2Fの水平破線で示された水平部分260で切り取った断面の、
図2Fの側面図に示されたのと同じ3D NAND構造の断面上面図を表す。
図2Gの断面は、
図1Fに示された、半導体基板202のベースから3D NAND積層210の上部まで垂直に延びる数列のピラー255を表す。いくつかの実施形態では、これらのピラー255は、ポリシリコン材料で形成され、3D NAND構造210に対して構造的および機能的に重要である。いくつかの実施形態では、このようなポリシリコンピラーは、ピラー内に形成された積層メモリセルのゲート電極として機能してよい。
図2Gの上面図は、ピラー255がワード線フィーチャ220に対して開口部222にくびれ部を形成することを表す。すなわち、開口部222を通る中央垂直構造230からのワード線フィーチャ220の流体アクセスの可能性(
図2Gの矢印で示されている)は、ピラー255によって抑制されている。いくつかの実施形態では、隣り合うポリシリコンピラー間の水平ギャップサイズは、約1~20nmである。この流体のアクセス可能性の減少によって、ワード線フィーチャ120を材料で均一に充填する難しさが増加する。ワード線フィーチャ220の構造、および、ピラー255の存在によりそれらをモリブデン材料で均一に充填することの課題については、
図2H、
図2I、および
図2Jでさらに説明される。
【0048】
図2Hは、
図2Fに示された3D NAND構造と同様の3D NAND構造の垂直切断面を示すが、ここでは1対のワード線フィーチャ220に特化し、さらに充填ワード線フィーチャ120のボイド275の形成をもたらす充填プロセスを概略的に示す。
図1Iもボイド175を概略的に示すが、この図では、
図2Gに示された水平断面と同様に、水平切断されたピラー155を用いて示されている。
図2Jは、くびれ部が形成されたピラー255の周囲のモリブデン材料の堆積を示す。この堆積は、開口部222のピンチオフをもたらし、ボイド275の領域にさらなるモリブデン材料は堆積できない。
図2Hおよび
図2Iから明らかなのは、ボイドフリーのモリブデン充填は、ピラー255の周りにモリブデンが堆積して開口部222のピンチオフを引き起こし、ワード線フィーチャ220へのさらなる前駆体移動を妨げる前に、十分な量の堆積前駆体が垂直構造230を通り、開口部222を通り、くびれたピラー255を越えて、最も遠いワード線フィーチャ220に到達する移動に依存することである。同様に
図2Jは、上から断面的に見た1つのワード線フィーチャ220を示し、大幅のピラー255が、そうでなければワード線フィーチャ220に通じる開放路だった経路を部分的に防ぐ、および/または狭める、および/または収縮させることにより、一般に共形のモリブデン材料の堆積が、どのようにワード線フィーチャ220の内部をピンチオフし始めるかを表している(
図2Jの例は、
図2Iに示されたピラーくびれ構造の3Dフィーチャの2Dレンダリングと理解できるため、断面図ではなく平面図で見られるくびれ部を表すことに注意されたい)。
【0049】
3次元構造は、最も奥の最低部の領域を充填するために、前駆体へのより長時間および/またはより集中した曝露を必要とするかもしれない。モリブデンハライドおよび/またはモリブデンオキシハライドの前駆体を用いたときは、そのエッチング特性により3次元構造が特に困難である可能性があり、より長時間でより集中した曝露で、構造の一部としてより多くのエッチングが可能になる。
【0050】
以下に、水平方向フィーチャおよび垂直方向フィーチャのフィーチャ充填の例が説明される。少なくともほとんどの場合では、この例は、水平方向フィーチャおよび垂直方向フィーチャの両方に適用可能であることに注意されたい。また、以下の説明では、「横方向」という用語は、一般にフィーチャ軸に対して直交方向を意味し、「垂直」という用語は、一般にフィーチャ軸に沿った方向を意味するように用いられてよい。
【0051】
フィーチャ内の材料分配は、そのステップカバレッジによって特徴付けられてよい。この説明を目的として、「ステップカバレッジ」は、2つの厚さの比率として定義される(すなわち、フィーチャ内部の材料の厚さ÷開口部付近の材料の厚さ)。本文書を目的として、「フィーチャ内部」という用語は、フィーチャ軸に沿ったフィーチャの中間点付近に位置するフィーチャの中央部分を表す(例えば、距離の約25%~75%の領域、または、特定の実施形態では、フィーチャの開口部から測定したフィーチャの深さに沿った距離の約40%~60%の領域、または、開口部から測定したフィーチャ軸に沿った距離の約75%~95%に位置するフィーチャの端部)。「フィーチャ開口部付近」または「フィーチャの開口部付近」という用語は、25%以内に位置するフィーチャの上部、またはいくつかの実施形態では、開口部の端、もしくは開口部の端を表す他の要素の10%以内に位置するフィーチャの上部を表す。共形膜は、約100%のステップカバレッジを有するだろう。100%を超えるステップカバレッジは、例えば、フィーチャ開口部よりもフィーチャの中央部または底部付近により多くの材料でフィーチャを充填することにより実現できる。
【0052】
図3は、様々な実施形態による、モリブデンによる構造の充填における動作を示すプロセス図である。まず、動作302において、モリブデン(Mo)膜が構造内に堆積される。この動作は、Dep1と呼ばれてよい。多くの実施形態では、動作302は一般に、構造の露出面に沿う共形堆積である。例えば、
図2Fに示されたような3D NAND構造では、Mo膜はワード線フィーチャ220に沿っている。様々な実施形態により、Mo膜は、優れた共形性を実現するためにALDプロセスを用いて堆積される。以下に、MoのALDプロセスのさらなる説明が記載される。いくつかの実施形態では、動作302の後に、フィーチャはMoで閉じられず、続く堆積においてさらなる反応ガスがフィーチャに入ることができるように十分に開いている。
【0053】
次に、動作304において、堆積した膜は非共形に処理される。ここでの非共形処理とは、フィーチャの内部よりもフィーチャの開口部、または開口部付近で優先的に施される処理を意味する。3D NAND構造において、底部のワード線フィーチャが上部のワード線フィーチャとほぼ同じ範囲で処理されるように、この処理は垂直方向に共形であってよいが、ワード線フィーチャの内部が処理されない、または、フィーチャ開口部よりも大幅に少ない範囲で処理される点で非共形である。
【0054】
核形成の抑制は、処理表面におけるその後のモリブデン核形成を抑制する。核形成の抑制は、抑制膜の堆積、化合物膜(例えば、Mo2N)を形成するための処理種とMo膜との反応、抑制種の吸着のうちの1つ以上を含む。続く堆積動作の間に、非抑制部分または少抑制部分に対して下地膜の抑制部分に核形成遅延がある。エッチングは、処理表面で堆積膜を除去する。これは、エッチング種をモリブデン膜と反応させて気体副生成物を形成し、次にその副生成物を除去することを含む。原子層エッチングを含む他のエッチング法が実施されてよい。動作304は、プラズマ動作または非プラズマ動作であってよい。非プラズマ動作である場合は、完全な熱動作であってよい、または、UVなどのいくつかの他のエネルギによって活性化されてよい。
【0055】
窒素は抑制種として機能し、ハロゲン(例えば、フッ素および塩素)種はエッチング剤として機能する。完全抑制処理を実施するために、動作304は、ハロゲンを含まない窒素含有化学物質にMo膜を曝露する工程を含みうる。完全エッチング処理を実施するために、動作304は、窒素を含まないハロゲン含有化学物質にMo膜を曝露する工程を含みうる。いくつかの実施形態では、他の抑制化学物質(例えば、酸素含有化学物質)が用いられてよい。窒素含有化学物質およびハロゲン含有化学物質(例えば、三フッ化窒素(NF3)またはアンモニア/フッ素(NH3/F2))の両方に膜を曝露する工程は、抑制およびエッチングの両方を可能にする。
【0056】
様々な実施形態により、動作302は、同じ処理チャンバまたは異なる処理チャンバで実施されてよい。同じチャンバで実施された場合、動作302は、単一ステーションチャンバまたはマルチステーションチャンバで実施されてよい。マルチステーションチャンバでは、いくつかの実施形態において、動作302は第1のステーションで実施され、動作304は第2のステーションで実施されてよい。以下にさらに説明されるように、動作304は、連続フロープロセスまたはパルスプロセスであってよい。後者の場合は、処理を調節するために異なるガスが連続してパルス化されてよい。
【0057】
動作304の後に、動作306において第2の堆積が実施される。第2の堆積は、ALDプロセスまたはCVDプロセスで実施されてよい。ALDプロセスは、以下で
図8に関連してさらに説明され、一般に、表面媒介反応のために反応剤のパルスを交互に繰り返す工程を含む。CVD法では、反応剤は一般に、反応チャンバにおいて気相で存在するように流される。CVDは、気相反応を含んでよい。3D NAND構造への堆積において、ALDプロセスは、構造全体の優れたステップカバレッジを可能にするために用いられてよい。ガスは、処理の効果によりさらに容易にフィーチャ内部に到達する。エッチングプロセスの後に、フィーチャの入口付近に堆積した膜は除去されて、ガスがフィーチャの内部に到達できるようにより多くの空間を可能にし、ピンチオフを防ぐ。いくつかの実施形態では、下地表面が完全にまたは部分的に曝露されて、これらの領域での核形成遅延が増加するように、十分なMo膜が除去されてよい。抑制プロセスの後は、核形成遅延が増し、インサイドアウト充填プロセスが可能になる。動作306は、Dep2プロセスと呼ばれ、いくつかの実施形態では構造の充填を完了してよい。他の実施形態では、もう1つの追加の処理/堆積動作が実施されてよい。ワード線における横方向の非共形性を調整するために、圧力および処理ガス流量が調節されてよい。高チャンバ圧および低処理ガス流量(および/または、濃度)は、ワード線フィーチャの内部の処理に対してワード線フィーチャの開口部における処理を促進する。よっていくつかの実施形態では、チャンバ圧は、動作602から動作604に向けて低下してよい。チャンバ圧の例は、3トル~40トルである。
【0058】
横方向の非共形性を実現しながら上下の均一性を有するために、ガスの供給に充填容器が用いられてよい。これらは以下に
図7に関連して説明され、深い構造(例えば、7~10ミクロンの深さ)に特に有効でありうる。いくつかの実施形態では、堆積および非共形処理は、同時に実施されてよい。例えば、
図3の動作302および動作304は、同時に実施されてよい。様々な実施形態により、次の堆積(例えば、Dep2)が実施されてよい、または、フィーチャを充填するのに動作302および動作304で十分であってよい。上記のように、モリブデンハライドおよびモリブデンオキシライドがエッチングガスとして用いられてよい。いくつかの実施形態では、これらは堆積ガスおよびエッチングガスとして用いられてよい。フィーチャ内の堆積反応剤の濃度を適切に制御することにより、堆積およびエッチングの量は、フィーチャの様々な段階で制御できる。特定の例では、モリブデン酸塩化物(MoO
xCl
y(xおよびyは、安定化合物を形成する0よりも大きい数字))は、フィーチャの内部に向かう純堆積量および低堆積量またはフィーチャ開口部に向かう純エッチング量を伴うMo堆積ガスおよびエッチングガスの両方として用いられてよい。以下に
図6Dに関連してさらに説明されるように、全成長速度は、表面における前駆体の流束または濃度に影響される。高いMoO
xCl
y流束は、いくつかの実施形態ではより多くのエッチングをもたらすことができる。高いMoO
xCl
y流束では、フィーチャ内部の前駆体濃度は、開口部付近またはフィールド領域よりも低く、ボトムアップ型成長を可能にする。前駆体流束を調節するために、前駆体ドーズ時間、前駆体流量、チャンバ圧、前駆体分圧を用いることができる。
【0059】
抑制処理は、Mo堆積の間に非共形に実施されてもよい。例えば、Mo前駆体は、完全に低減されない場合は堆積を抑制してよい。一例では、高いMoO2Cl2流束において、MoO2Cl2の濃度は、フィーチャの内部よりもフィーチャの開口部で高い。MoO2Cl2がフィーチャ開口部で低減できないほどH2共反応剤流が十分に低い場合は、MoO2Cl2が抑制剤として機能できる。
【0060】
図4は、3D NAND構造をモリブデンで充填するように実施される例示的プロセスを表す。
図4には、3D NAND構造の単一ワード線の断面図が示されている(
図2Jの例のように、
図4のワード線フィーチャは、くびれ部を示すために断面図ではなく平面図で見られるピラーのくびれ部を示す)。470では、Dep1プロセス後のワード線フィーチャが示されている。下層406が示されており、これは例えばバリア層であってよい。Mo共形膜405は、フィーチャ表面に沿っている。いくつかの実施形態では、Mo共形膜405は、酸化アルミニウム表面または酸化シリコン表面などの誘電体表面上に直接堆積される。Mo層405は、核形成層、核形成バルク層、またはバルク層であってよい。次にフィーチャは、471において部分465を抑制するために抑制化学物質に曝露される。この例では、452の内部表面が抑制されない一方で、部分465からピラーのくびれ部451までが抑制される。抑制は、例えば、NH
3ガスへの曝露、または、ガス(N
2、H
2、フォーミングガス、NH
3、O
2、CH
4など)から生成されるリモートプラズマまたは直接(in-situ)プラズマへの曝露を含みうる。次に、抑制プロファイルに応じてモリブデンを選択的に堆積させるようにプロセスが実施される。バルクMo408は、472において、くびれ部後方の充填が難しい領域が充填されるように、Mo層405の非抑制部分に優先的に堆積される。この例では、バルク堆積は継続し、473においてフィーチャの残りをバルクMo408で充填する。
【0061】
いくつかの実施形態では、471および472に示されたシーケンスは、堆積中にフィーチャ開口部で抑制剤として機能できるMo前駆体を用いて、上記された一動作において実施されてよい。
【0062】
図5は、3D NAND構造をモリブデンで充填するために実施される別の例示的なプロセスを表す。
図5の例では、下層506が示されており、これは例えばバリア層であってよい。Mo共形膜505は、フィーチャ表面に沿っている。いくつかの実施形態では、Mo共形膜505は、酸化アルミニウム表面または酸化シリコン表面などの誘電体表面上に直接堆積される。Mo層505は、核形成層、核形成バルク層、またはバルク層であってよい。次に571において、非共形エッチング(下層506が存在する場合はそれを保護するために高選択率で)が続く。例えば、TiN下層のために高いMo:TiN選択率を有する非共形エッチングが実施されてよい。非共形エッチングの結果、Mo層505がフィーチャ開口部522では薄くなりながら、または完全に除去されながら、フィーチャの内部552では完全な状態で残される。次に、バルクMo508は、572において、くびれ部後方の充填が難しい領域が充填されるように、Mo層405の残りの部分に堆積する。この例では、バルク堆積は継続し、573においてフィーチャの残りをバルクMo508で充填する。いくつかの実施形態では、堆積-エッチング-堆積の動作は、フィーチャを充填するために繰り返されうる。様々な実施形態により、続く堆積動作は各々、核形成層の堆積を含んでよい、または含まなくてよい。いくつかの実施形態では、この処理は、抑制効果を含んでもよい。
【0063】
いくつかの実施形態では、571および572に示されたシーケンスは、堆積中にフィーチャ開口部でエッチング剤として機能できるMo前駆体を用いて、上記された一動作において実施されてよい。
【0064】
いくつかの実施形態では、Dep1およびDep2は各々、バルクMo層を堆積するために用いられ、
図4および
図5の例においてDep1は共形層を堆積するため、Dep2はフィーチャを充填するために用いられる。
【0065】
いくつかの実施形態では、Mo共形層は、低抵抗として特徴付けられてよく、いくつかの実施形態では、低応力および/または低フッ素として特徴付けられてよい。ワード線フィーチャが充填されない(核形成層が堆積された場合はそれを除いて)ため、比較的高速の堆積技術が用いられてよい。いくつかの実施形態では、これには、ALDプロセスにおいて第1のタングステン層を堆積するために、Mo含有前駆体および水素(H2)または他の還元剤のパルスを交互に繰り返す工程を含む。パージ動作は、パルスを分離してよい。スループットを増加させるために、比較的短いパルス時間が堆積に用いられてよい。
【0066】
第2のバルク層は、第2セットの条件を用いて堆積されてよい。第1のバルク層と同様に、第2のバルク層は低抵抗層であってよく、いくつかの実施形態では、低応力および/または低フッ素層であってよい。いくつかの実施形態では、動作306は、動作302よりも長いパルス時間および長いパージ時間を含む。特定の実施形態では、Mo含有前駆体のパルス時間が長くてよい。パルス時間および/またはパージ時間の増加は、ワード線への反応剤の拡散を促進できる。いくつかの実施形態では、動作302から動作306に向けて温度が変化してもよい(例えば、反応時間を速めるために高温が用いられてよい)。いくつかの実施形態では、反応前に反応剤がワード線フィーチャに拡散できるように低温が用いられてよい。いくつかの実施形態では、第2セットの条件は、流量の変更を含んでよい。例えば、Mo含有前駆体および/または還元剤の流量は増加してよい。
【0067】
第3のバルクMo層は、異なる条件で堆積されてよい。この層は、次の工程で除去され、
図2Fの3D NAND構造において側壁240などの側壁に堆積されうる被覆層として特徴付けられてよい。この層は、低粗度を特徴としてよい。モリブデンが除去されるため、高抵抗および/または高フッ素濃度が許容されうる。第3セットの条件は、動作405よりも短いパルス時間でALDが用いられた場合は、より速いタイミング、ALDではなくCVDの使用、および、1つ以上の反応ガスを流す間、またはそれらの流れの間の窒素(N
2)の導入のいずれかを含みうる。
【0068】
図6Aは、様々な実施形態によるMo膜の処理における動作を示すプロセス図である。まず、動作602において、表面はハロゲン含有化学物質および/または窒素含有化学物質に曝露される。動作602では、窒素は抑制化学物質であり、必要に応じて、窒素に加えて、または窒素に代えて、他の抑制化学物質が用いられてよい。エッチングのために、フッ素含有化学物質および塩素含有化学物質が用いられる。動作602は、連続フロー動作またはパルス動作であってよく、プラズマ動作、または熱動作、または非プラズマ動作であってよい。他の活性化エネルギが加えられてもよい。
【0069】
抑制のための窒素含有ガスの例は、NF3、NH3、窒素(N2)、およびヒドラジン(N2H4)を含む。他の窒素含有ガスが用いられてよいが、多くの実施形態では、酸素含有化合物(例えは、NO2)は避けられる。ガスは、非プラズマの熱プロセスでチャンバに流されてよい、または、リモートプラズマ発生器もしくはin-situプラズマ発生器でプラズマを生成するために用いられてよい。いくつかの実施形態では、少ない反応ガス(例えば、N2)が効果的な抑制のためのプラズマの活性化を必要としてよい。
【0070】
エッチングのためのハロゲン含有ガスの例は、NF3、F2、フッ化水素(HF)、塩素(Cl2)、三フッ化塩素(ClF3)、および他のCl含有ガスまたはF含有ガスを含む。モリブデンハライドガスおよびモリブデンオキシハライドガスが用いられてもよい。反応する還元剤がない場合は、これらのガスが膜をエッチングするだろう。
【0071】
次に動作604において、非ハロゲンガスによるパージがあってよい。ArまたはHeなどの不活性ガスが用いられてよい。N2が用いられてもよい。パージは、表面の塩素種またはフッ素種を除去できる非プラズマプロセスである。いくつかの実施形態(例えば、動作602において基板が塩素種またはフッ素種に曝露されない実施形態)では、動作604は省略されてよい。
【0072】
次に動作606において、表面は表面形態処理ガスに曝露されてよい。抑制処理は、Dep2で堆積した膜の品質に悪影響を及ぼしうる「粗い」表面をもたらす可能性があることが分かっている。表面形態処理ガスは、モリブデン前駆体、還元剤(例えば、H2)、もしくはその両方のパルス流または連続流であってよい。
【0073】
いくつかの実施形態では、動作602~606は1回以上繰り返される。例えば、各動作は、複数サイクルシーケンスのパルスの1パルスとして実施されうる。別の実施形態では、動作602は、複数サイクルのパルスとして実施されてよく、動作604および動作606のいずれかまたは両方は、複数サイクルの終了時にのみ実施されてよい。動作604および動作606の順序は、いくつかの実施形態では逆であってよい。いくつかの実施形態では、モリブデンのフィーチャ充填は、結果として生じる充填のステップカバレッジを制御するように前駆体流束を制御することにより実施されてよい。
図6Bは、幅狭で高密のフィーチャ610、および幅広で低密のフィーチャ620を備える例示的な構造、ならびに、モリブデン前駆体流束を適切に制御することによりモリブデン膜635のステップカバレッジがどのように変化できるかの図を示す(流束は単位面積あたりの流量であるため、チャンバへの流量を増加または低減することにより流束は増加または低減してよい)。比較的低い前駆体流束ではステップカバレッジは低く、フィーチャの内部640よりもフィーチャの上部付近およびフィールド領域630に多くのMoが堆積する。
【0074】
前駆体流束が増加するにつれて、フィーチャ全体に共形に堆積したMoとほぼ同じ量で堆積が共形になる。増加した前駆体流束で見られたこのステップカバレッジの増加は、物質移動限定成長から表面反応限定成長への移行によるものであってよい。
【0075】
さらに高い前駆体流束では、幅狭で高密のフィーチャ610において超共形となる。幅広で低密のフィーチャ620で見られるようなボトムアップ成長は、Mo膜635がフィーチャ620の底部にあるがそれらフィーチャの側面には余り堆積しないことを示す。
【0076】
いくつかの実施形態では、Moフィーチャ充填の間に前駆体流束は変化してよい。例えば、Mo充填の第1段階では、抑制されたフィールド領域における成長と共に共形成長条件が用いられてよい。次の段階において、前駆体流束は、超共形およびボトムアップ成長と共に増加する。多段階プロセスは、異なるサイズのフィーチャを充填する上で有利に用いられてよい。
図6Cは、様々な実施形態による構造のモリブデン充填における動作を表すプロセス図である。
図6Cのプロセスでは、Mo共形層がフィーチャに堆積される(652)。CVDまたはALDが用いられてよい。次に動作654において、ボトムアップ充填に移行するために前駆体流束が増加される。前駆体流束を増加するために、Mo前駆体分圧、Mo前駆体流量、およびMo前駆体ドーズ時間のうちの1つ以上を増加させてよい。充填は、動作656で完了できる。いくつかの実施形態では、動作656は、動作654の条件を継続する。他の実施形態では、フィーチャがある地点まで充填されると、前駆体流束は減少してよい。
【0077】
Moの成長速度は、表面の前駆体流束および前駆体濃度に影響される。いくつかの実施形態では、フィーチャの内部深くの前駆体濃度が、フィールド領域における前駆体濃度およびフィーチャ上部付近の前駆体濃度よりも低い高前駆体流束条件において、ボトムアップ成長が見られる。これは、堆積反応に対して高前駆体流束が好都合であり、低成長速度をもたらすことができるからである。塩素含有Mo前駆体は、例えば次の堆積反応およびエッチング反応をもたらしうる:
MoOxCly+H2→Mo(s)+HCl+H2O(亜塩化物によるMoバルク堆積)、
Mo+Cl2→MoCly(Moエッチング)、および
Mo+MoCly→MozCly(Moエッチング)。
下層(例えば、W下層)が存在する場合は、次の特定の条件下でエッチングされうる:
W+Cl2→WCly(Wエッチング)、および
W+WCly→WzCly(Wエッチング)。
【0078】
上記の反応は、高Mo前駆体条件下で起こりうる反応の例である。
図6Dは、モリブデン前駆体の流量を関数とする堆積したモリブデンの厚さを示すグラフである。
図6Dは、MoOCl
4を用いる高前駆体流束条件で、Moの純堆積量がどのように減少するかを示す(
図6Dのデータは、MoのCVD堆積によるものだが、ALDでも同様の傾向が見られる。低周囲温度と高周囲温度の差は10℃)。3つの堆積状態:悪いステップカバレッジ、共形成長、およびボトムアップ成長が示されている。
図6Dから分かるように、高前駆体流量では、純堆積量は減少する。これは、フィーチャの上部で高い前駆体濃度(低堆積速度をもたらす)、および、フィーチャ内で低い前駆体濃度(高堆積速度をもたらす)のボトムアップ充填を引き起こしうる。上記のように、
図4および
図5のような横向きフィーチャにおいて、ボトムアップ充填(すなわち、非共形充填)はインサイドアウト充填であり、フィーチャは内側から外側に充填される。
【0079】
この方法は、複数の充填容器を用いて実施されてよい。
図7には、3つのガス源(処理ガス1、処理ガス2、およびパージガス)が充填容器に接続された例示的な装置が概略的に示されている。いくつかの実施形態では、1つ以上のガス源が複数の充填容器に接続されてよい。この装置は、様々なガス分配ラインにライン充填を提供するガスマニホールドシステムを備える。マニホールドは、弁付きの充填容器を通じて、処理ガスおよびパージガスを堆積チャンバに提供する。様々な弁は、開閉してライン充填を提供(すなわち、分配ラインを加圧)する。
【0080】
充填容器を使用することで、高アスペクト比構造の底部(例えば、3D NAND構造の底部ワード線)への処理ガスの供給が可能になる。加圧されたガスは、シャワーヘッドを通って流れ、処理されるべきウエハまたは他のワークピースに到達する。
【0081】
処理シーケンスの例は、
例1:(NF3+Ar/パージ/H2+Ar)の1または複数サイクル(+は、ガスがチャンバに同時に流されることを示し、「/」は、時間的分離を示す)、
例2:(NH3+Ar/H2+Ar)の1または複数サイクル、
例3:(NH3+Ar/Mo前駆体+H2+Ar)の1または複数サイクル、および
例4:(NH3+Ar/Mo前駆体+Ar)の1または複数サイクル
を含む。
Mo堆積
【0082】
上記の方法でモリブデンを堆積するために、六フッ化モリブデン(MoF6)、五塩化モリブデン(MoCl5)、二酸化二塩化モリブデン(MoO2Cl2)、四塩化酸化モリブデン(MoOCl4)、およびモリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)を含むMo含有前駆体が用いられてよい。Mo含有前駆体は、MoF6およびMoCl5を含むハロゲン化物前駆体だけでなく、安定分子を形成できる2つ以上のハロゲンを有する混合ハロゲン化物前駆体であってもよい。混合ハロゲン化物前駆体の例は、MoClxBryである(xおよびyは、安定分子を形成できる0よりも大きい任意の数)。有機金属前駆体は、Mo(X)m(L)n前駆体を含む(米国仮特許出願第62/816,648号に開示されるように、各Xは、F、Cl、Br、およびIからなる群より独立して選択されたハロゲンであり、各Lは、N、O、およびSからなる群より選択された元素を含む有機配位子であり、mは1~4より選択され、nは1~3より選択される)。モリブデンシリルシクロペンタジエニル錯体およびモリブデンシリルアリル錯体などの有機金属前駆体が用いられてもよい。
Mo成膜
【0083】
図8は、Mo膜を形成するALD法の例を示す。
図8による方法は、例えば、
図3の動作302および動作306のいずれかまたは両方、ならびに
図6Cの動作のいずれかにおいて用いられてよい。まず動作805では、Mo前駆体がパルス化される。Mo前駆体がパルス化された後に、必要に応じてパージ815が生じてよい。未吸着前駆体をチャンバからパージするために、アルゴンまたは任意の不活性ガスが用いられてよい。基板は、Mo前駆体を還元するための還元剤であってよい共反応剤825、または他の共反応剤に曝露されて、Mo前駆体と反応してMo元素を形成する。反応剤は、水素含有反応剤であってよい。いくつかの実施形態では、水素含有反応剤は、熱(非プラズマ)水素(H
2)であってよい。プラズマによるプロセスでは、H
2から生成されたリモートプラズマまたはin-situプラズマが用いられてよい。必要に応じて835でパージが実施されてよく、続いて、膜が完全に成長するまで動作805~835が繰り返される。これは、例えばMo共形膜405もしくは505、または、フィーチャの全てまたは一部を充填するバルク層(バルクMo408もしくは508など)の、フィーチャに沿った共形膜であってよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、図の動作302は、バルクMoが堆積する共形層として、または、その共形層の一部として、Mo核形成層を堆積することを含む。
【0085】
いくつかの実施形態では、Mo核形成層は、ホウ素含有還元剤(例えば、B2H6)およびシリコン含有還元剤(例えば、SiH4)のいずれかまたは両方を共反応剤として用いて堆積される。例えば、1サイクル以上のS/Moサイクル(S/Moは、シランパルスの次にMo含有前駆体パルスが続くことを意味する)は、バルクMo層が堆積するMo核形成層を堆積するために用いられてよい。別の例では、1サイクル以上のB/Moサイクル(B/Moは、ジボランパルスの次にMo含有前駆体パルスが続くことを意味する)は、バルクMo層が堆積するMo核形成層を堆積するために用いられてよい。B/MoサイクルおよびS/Moサイクルは共に、Mo核形成層を堆積するために用いられてよい(例えば、x(B/Mo)+y(S/Mo)(xおよびyは整数))。B含有還元剤およびS含有還元剤の例は、以下に示される。Mo核形成層の堆積において、いくつかの実施形態では、Mo含有前駆体は、非酸素含有前駆体(例えば、MoF6またはMoCl5)であってよい。酸素含有前駆体中の酸素は、シリコン含有還元剤またはホウ素含有還元剤と反応して、不純で高抵抗の膜であるMoSixOyまたはMoBxOyを形成してよい。酸素含有前駆体は、最小限の酸素混入で用いられてよい。いくつかの実施形態では、ホウ素含有還元ガスまたはシリコン含有還元ガスの代わりに、H2が還元ガスとして用いられてよい。Mo核形成層の堆積厚さの例は、5Å~30Åである。この範囲の下限の膜は連続的ではないが、連続的なバルクMo成長を開始するのに役立つ限り、この厚さで十分であってよい。いくつかの実施形態では、還元剤パルスは、Mo前駆体パルスよりも低い基板温度で行われてよい。例えば、B2H6またはSiH4(または、他のホウ素含有還元剤もしくは他のシリコン含有還元剤)のパルスは、300℃未満の温度で実施されてよく、Moパルスは300℃よりも高い温度で実施されてよい。
【0086】
共形堆積は、
図9に示されたプロセスによって、誘電体表面およびTiN表面などの表面上で直接実施されてもよい。共形堆積は、W含有開始表面またはMo核形成層で用いられてもよい。動作902では、基板は還元剤ガスに曝露されて、還元剤層を形成する。いくつかの実施形態では、還元剤ガスは、シラン、ボラン、またはシランおよびジボランの混合物であってよい。シランの例は、SiH
4およびSi
2H
6を含み、ボランの例は、ジボラン(B
2H
6)だけでなく、B
nH
n+4、B
nH
n+6、B
nH
n+8、B
nH
mを含む(nは1~10の整数、mはmとは異なる整数)。他のホウ素含有化合物(例えば、アルキルボラン、アルキルホウ素、アミノボラン(CH
3)
2NB(CH
2)
2、カルボラン(C
2B
nH
n+2など))が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、還元剤層は、タングステン前駆体を還元することができる、シリコン材料またはシリコン含有材料、亜リン酸材料または亜リン酸含有材料、ゲルマニウム材料またはゲルマニウム含有材料、ホウ素材料またはホウ素含有材料、およびこれらの組み合わせを含んでよい。かかる層を形成するために用いられうる還元剤ガスのさらなる例は、PH
3、SiH
2Cl
2、およびGeH
4を含む。様々な実施形態により、水素はバックグラウンドで流されてよい、または流されなくてよい(水素はタングステン前駆体を還元できるが、十分な量のより強い還元剤(シランおよびジボランなど)とのガス混合物では、還元剤として機能しない)。
【0087】
いくつかの実施形態では、還元剤ガスは、少量のホウ素含有ガス(ジボランなど)と別の還元剤とを含む混合物である。少量のホウ素含有ガスの追加は、他の還元剤の分解および付着係数に大きく影響する可能性がある。基板を2つの還元剤(例えば、シランおよびジボラン)に連続して曝露する工程が実施されてよいことに注意されたい。しかし、ガスの混合物を流すことで、ごく少量の少数ガス(例えば、少なくとも100:1のシラン:ジボラン比)の追加を促すことができる。いくつかの実施形態では、キャリアガスが流されてよい。いくつかの実施形態では、キャリアガス(窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、または他の不活性ガスなど)は、動作902の間に流されてよい。
【0088】
いくつかの実施形態では、還元剤層は、ケイ素元素(Si)、ホウ素元素(B)、ゲルマニウム元素(Ge)、またはこれらの混合物を含んでよい。例えば、還元剤層はSiおよびBを含んでよい。Bの量は、高堆積速度だが低抵抗の還元剤層を実現するように調整されてよい。いくつかの実施形態では、還元剤層は、5%~80%のB(例えば、5%~50%のB、5%~30%、または5%~20%のB)を有してよく、残部は主にSi、場合によってはHからなる。水素原子(例えば、SiHx、BHy、GeHz、またはこれらの混合物)が存在してよい(x、y、およびzは独立して、0と、対応する還元剤化合物に相当する化学量よりも小さい数字との間であってよい)。
【0089】
いくつかの実施形態では、還元剤層の厚さによって組成が異なってよい。例えば、還元剤層は、その底部ではBが20%であり、その上部ではBが0%であってよい。還元剤層の全厚さは、10Å~50Åであってよく、いくつかの実施形態では、15Å~40Å、または20Å~30Åであってよい。還元剤層は、フィーチャに共形に沿う。
【0090】
動作902の間の基板温度は、膜が共形になる温度T1に維持されてよい。温度が高すぎると、膜は下にある構造の形状に一致しない。いくつかの実施形態では、90%または95%よりも大きいステップカバレッジが実現される。シラン、ジボラン、およびシラン/ジボラン混合物において、共形性は300℃では優れており、400℃以上の温度では低下するだろう。よって、いくつかの実施形態では、動作902における温度は最高でも350℃、または最高でも325℃、最高でも315℃、または最高でも300℃ですらある。いくつかの実施形態では、300℃未満の温度が用いられる。例えば、温度は200℃もの低温であってよい。
【0091】
動作902は、任意の適した持続期間で実施されてよい。いくつかの例では、例示的期間は、約0.25秒~約30秒、約0.25秒~約20秒、約0.25秒~約5秒、または約0.5秒~約3秒を含む。
【0092】
動作904では、チャンバは必要に応じてパージされて、基板の表面に吸着しなかった余剰の還元剤を除去する。パージは、所定の圧力で不活性ガスを流すことでチャンバ圧を低下させ、別のガス曝露を開始する前にチャンバを再加圧することにより行われてよい。不活性ガスの例は、窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、およびこれらの混合物を含む。パージは、約0.25秒~約30秒、約0.25秒~約20秒、約0.25秒~約5秒、または約0.5秒~約3秒の期間で実施されてよい。
【0093】
動作906では、基板は、基板温度T2でMo含有前駆体に曝露される。Mo含有化合物の例は上記されており、塩化物および酸塩化物を含む。酸素含有前駆体の使用は、不純物の混入および高抵抗をもたらしうる。しかし、酸素が取り込まれた場合は、非常に薄い非連続的な還元剤層が許容可能な抵抗のために用いられてよい。いくつかの実施形態では、動作906の間にキャリアガス(窒素(N2)、アルゴン(Ar)、ヘリウム(He)、または他の不活性ガスなど)が流されてよい。温度の例は、500℃~700℃である。
【0094】
動作906は、任意の適した持続期間で実施されてよい。いくつかの実施形態では、動作906はMo含有前駆体の浸漬を含み、いくつかの実施形態では、Mo含有前駆体の連続パルスを含んでよい。様々な実施形態により、動作906は、H2の存在下で実施されてよい、または実施されなくてよい。H2が用いられた場合、いくつかの実施形態では、H2およびMo含有前駆体は、ALD式モードで加えられてよい。例えば、H2パルス、アルゴンパージ、バックグラウンドにおいてH2あり、またはH2なしのMo含有前駆体パルス、アルゴンパージ、が繰り返される。
【0095】
基板温度T2は、Mo含有前駆体が還元剤層と反応してMo元素を形成するのに十分なほど高い。還元剤層全体がMoに変換される。いくつかの実施形態では、温度は少なくとも450℃であり、100%の、または100%に近い変換を得るために少なくとも550℃であってよい。結果として生じたフィーチャは、ここでMo共形膜に沿う。共形膜は、10Å~50Åであってよく、いくつかの実施形態では、15Å~40Å、または20Å~30Åであってよい。一般に共形膜は、還元剤層とほぼ同じ厚さであるだろう。いくつかの実施形態では、共形膜は、変換中の体積膨張により、還元剤層よりも最大5%厚くなってよい。
【0096】
以下の説明はモリブデン充填に特化しているが、本開示の態様は、他の材料によるフィーチャの充填においても実施されてよい。例えば、
図6において説明された処理シーケンスは、タングステン含有材料、コバルト含有材料、またはルテニウム含有材料を用いるフィーチャ充填プロセスによって実施されてよい。
装置
【0097】
本開示の実施形態を実施するために任意の適したチャンバが用いられてよい。堆積装置の例は、例えば、カリフォルニア州フレモントのラム・リサーチ・コーポレーションから入手可能なALTUS(登録商標)およびALTUS(登録商標) Max、または、様々な他の市販処理システムなど、様々なシステムを含む。
【0098】
いくつかの実施形態では、第1の堆積は、単一堆積チャンバ内に位置する、2つ、5つ、またはそれ以上の堆積ステーションのうちの1つである第1のステーションで実施されてよい。よって、例えば、半導体基板の表面で局所雰囲気を形成する個々のガス供給システムを用いて、第1のステーションにおいて、水素(H2)および塩化タングステン(MoO2Cl2)が交互パルスで基板の表面に導入されてよい。別のステーションは処理に用いられてよく、第3および/または第4のステーションは、続くALDバルク充填に用いられてよい。
【0099】
図10は、実施形態による堆積プロセスを行うのに適したプロセスシステムの図である。システム1000は、搬送モジュール1003を備える。搬送モジュール1003は、清潔な加圧環境を提供して、処理されている基板が様々なリアクタモジュールの間を移動する時の汚染リスクを最小限にする。搬送モジュール1003には、様々な実施形態によりALD、処理、およびCVDを実施することができるマルチステーションリアクタ1109が取り付けられている。マルチステーションリアクタ1009は、開示の実施形態による動作を連続して実施できる複数のステーション1011、1013、1015、および1017を備えてよい。例えば、マルチステーションリアクタ1009は、ステーション1011が、塩素含有モリブデン前駆体、およびホウ素含有還元剤またはシリコン含有還元剤を用いるモリブデン核形成層堆積を実施し、ステーション1013が、H
2を還元剤として用いて共形層のALDモリブデンバルク堆積を実施し、ステーション1015が処理動作を実施し、ステーション1017がバルクALD充填を実施できるように構成されてよい。
【0100】
ステーションは、加熱された台座または基板支持体、1つ以上のガス入口またはシャワーヘッドまたは分散プレートを備えてよい。堆積ステーションの例は、上記の
図7に示されている。
【0101】
図10に戻ると、搬送モジュール1003には、プラズマまたは化学的(非プラズマ)予備洗浄、他の堆積動作、もしくはエッチング動作を実施できる、1つ以上の単一ステーションモジュール1007またはマルチステーションモジュール1007が取り付けられてもよい。このモジュールは、例えば堆積プロセスのための基板準備など、様々な処理のために用いられてもよい。システム1000は、ウエハが処理の前後に格納される1つ以上のウエハソースモジュール1001も備える。大気搬送チャンバ1019の大気ロボット(図示せず)は、最初にソースモジュール1001からロードロック1021にウエハを取り出してよい。搬送モジュール1003のウエハ搬送装置(一般に、ロボットアーム装置)は、ウエハをロードロック1021から、搬送モジュール1003に取り付けられたモジュールに、およびその間に移動させる。
【0102】
様々な実施形態では、堆積中のプロセス条件を制御するためにシステムコントローラ1029が用いられる。コントローラ1029は通常、1つ以上のメモリデバイス、ならびに1つ以上のプロセッサを備えるだろう。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタルの入出力接続、ステッパモータコントローラ基板などを備えてよい。
【0103】
コントローラ1029は、堆積装置の全ての動作を制御してよい。システムコントローラ1029は、時間調整、ガスの混合、チャンバ圧、チャンバ温度、ウエハ温度、高周波(RF)電力レベル、ウエハチャックまたは台座の位置、および、特定のプロセスの他のパラメータを制御するための命令のセットを含む、システム制御ソフトウェアを実行する。いくつかの実施形態では、コントローラ1029に関連付けられたメモリデバイスに記憶された他のコンピュータプログラムが用いられてよい。
【0104】
通常、コントローラ1029に関連付けられたユーザインタフェースがあるだろう。ユーザインタフェースは、表示画面、装置および/またはプロセス条件の画像ソフトウェア画面、ならびにユーザ入力装置(ポインティング装置、キーボード、タッチ画面、マイクなど)を含んでよい。
【0105】
システム制御ロジックは、任意の適した手法で構成されてよい。一般にロジックは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアにおいて設計または構成できる。駆動回路を制御するための命令は、ハードコードされてよい、またはソフトウェアとして提供されてよい。命令は、「プログラミング」によって提供されてよい。かかるプログラミングは、デジタル信号プロセッサ、特定用途向け集積回路、および、ハードウェアとして実行される特定のアルゴリズムを有する他のデバイスにおいてハードコードされたロジックを含む、任意の形のロジックを含むことが理解される。プログラミングは、汎用プロセッサで実行できるソフトウェア命令またはファームウェア命令を含むことも理解される。システム制御ソフトウェアは、任意の適したコンピュータ可読プログラミング言語でコードされてよい。
【0106】
ゲルマニウム含有還元剤パルス、水素流、タングステン含有前駆体パルス、およびプロセスシーケンスにおける他のプロセスを制御するためのコンピュータプログラムコードは、任意の適したコンピュータ可読プログラミング言語(例えば、アセンブリ言語、C、C++、パスカル、フォートラン、またはその他)で書き込まれてよい。コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトは、プログラムで識別されたタスクを実行するためにプロセッサによって実行される。また、プログラムコードは、示されたようにハードコードされてよい。
【0107】
コントローラパラメータは、例えば、処理ガスの組成および流量、温度、圧力、冷却ガス圧、基板温度、ならびにチャンバ壁温度などのプロセス条件に関する。これらのパラメータは、レシピの形でユーザに提供されてよく、ユーザインタフェースを用いて入力されてよい。
【0108】
プロセスを監視するための信号は、システムコントローラ1029のアナログおよび/またはデジタルの入力接続によって提供されてよい。プロセスを制御するための信号は、堆積装置1000のアナログおよびデジタルの出力接続で出力される。
【0109】
システムソフトウェアは、多くの異なる手法で設計または構成されてよい。例えば、様々なチャンバ部品のサブルーチンまたは制御オブジェクトは、開示の実施形態による堆積プロセスを実施するのに必要なチャンバ部品の動作を制御するように書き込まれてよい。このためのプログラムまたはプログラムセクションの例は、基板位置決めコード、処理ガス制御コード、圧力制御コード、およびヒータ制御コードを含む。
【0110】
いくつかの実施形態では、コントローラ1029は、上述の例の一部でありうるシステムの一部である。かかるシステムは、処理ツール、チャンバ、処理用プラットフォーム、および/または、特定の処理部品(ウエハ台座、ガス流システムなど)を備える半導体処理装置を含みうる。これらのシステムは、半導体ウエハまたは基板の処理前、処理中、および処理後の動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。これらの電子機器は、システムの様々な構成部品または副部品を制御できる「コントローラ」と呼ばれてよい。コントローラ1029は、処理要件および/またはシステムの種類に応じて、処理ガスの供給、温度設定(例えば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、電力設定、いくつかのシステムでは高周波(RF)発生器の設定、RF整合回路の設定、周波数設定、流量設定、流体供給設定、位置動作設定、ツールおよび他の搬送ツールおよび/または特定のシステムに接続もしくは結合されたロードロックに対するウエハ搬入出を含む、本明細書に開示されたあらゆるプロセスを制御するようにプログラムされてよい。
【0111】
概してコントローラは、命令を受信し、命令を発行し、動作を制御し、洗浄動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどの様々な集積回路、論理、メモリ、および/または、ソフトウェアを有する電子機器として定義されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェア形式のチップ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)として定義されるチップ、および/または、プログラム命令(例えば、ソフトウェア)を実行する1つ以上のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、様々な個別設定(または、プログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令であって、特定のプロセスを半導体ウエハ上でもしくは半導体ウエハ向けに、またはシステムに対して実行するための動作パラメータを定義してよい。いくつかの実施形態では、動作パラメータは、1つ以上の層、材料、金属、酸化物、シリコン、二酸化シリコン、表面、回路、および/または、ウエハダイの製造時における1つ以上の処理工程を実現するために、プロセスエンジニアによって定義されるレシピの一部であってよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、コントローラ1029は、システムと統合もしくは結合された、そうでなければシステムにネットワーク接続された、もしくはこれらが組み合わされたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。例えばコントローラ1029は、ウエハ処理のリモートアクセスを可能にする「クラウド」内にあってよい、またはファブホストコンピュータシステムの全てもしくは一部であってよい。コンピュータは、システムへのリモートアクセスを可能にして、製造動作の進捗状況を監視し、過去の製造動作の経歴を調査し、複数の製造動作から傾向または性能の基準を調査して、現行の処理のパラメータを変更してよい、または現行の処理に続く処理工程を設定してよい、または新しいプロセスを開始してよい。いくつかの例では、リモートコンピュータ(例えば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含みうるネットワークを通じて、プロセスレシピをシステムに提供できる。リモートコンピュータは、次にリモートコンピュータからシステムに伝達されるパラメータおよび/もしくは設定のエントリまたはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよい。いくつかの例では、コントローラは、1つ以上の動作中に実施される各処理工程のパラメータを特定するデータ形式の命令を受信する。パラメータは、実施されるプロセスの種類、および、コントローラが接続するまたは制御するように構成されたツールの種類に固有であってよいことを理解されたい。よって、上述のようにコントローラは、例えば互いにネットワーク接続された1つ以上の別々のコントローラを含むことと、本明細書に記載のプロセスや制御などの共通の目的に向けて協働することとによって分散されてよい。かかる目的で分散されたコントローラの例は、遠隔に(例えば、プラットフォームレベルで、またはリモートコンピュータの一部として)設置され、協働してチャンバにおけるプロセスを制御する1つ以上の集積回路と連通する、チャンバ上の1つ以上の集積回路だろう。
【0113】
制限するものではないが、例示のシステムは、プラズマエッチングチャンバまたはプラズマエッチングモジュール、堆積チャンバまたは堆積モジュール、スピンリンスチャンバまたはスピンリンスモジュール、金属めっきチャンバまたは金属めっきモジュール、洗浄チャンバまたは洗浄モジュール、ベベルエッジエッチングチャンバまたはベベルエッジエッチングモジュール、物理蒸着(PVD)チャンバまたはPVDモジュール、CVDチャンバまたはCVDモジュール、ALDチャンバまたはALDモジュール、ALEチャンバまたはALEモジュール、イオン注入チャンバまたはイオン注入モジュール、トラックチャンバまたはトラックモジュール、ならびに、半導体ウエハの製作および/もしくは製造において関連もしくは使用しうる他の半導体処理システムを含んでよい。
【0114】
上述のように、コントローラは、ツールによって実施される処理工程に応じて、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール部品、クラスタツール、他のツールインタフェース、隣接するツール、近接するツール、工場全体に設置されたツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または、半導体製造工場においてツール位置および/もしくはロードポートに対してウエハ容器を搬入出する材料搬送に用いられるツール、のうちの1または複数と連通してよい。
【0115】
コントローラ629は、様々なプログラムを備えてよい。基板位置決めプログラムは、基板を台座またはチャックに載せ、基板とチャンバの他の部品(ガス入口および/または目標物など)との間の間隔を制御するために用いられるチャンバ部品を制御するためのプログラムコードを備えてよい。処理ガス制御プログラムは、ガスの組成、流量、パルス時間を制御するためのコード、および、必要に応じて、チャンバ内の圧力を安定させるために堆積前にチャンバにガスを流すためのコードを備えてよい。圧力制御プログラムは、例えば、チャンバの排気システムのスロットル弁を調節することにより、チャンバ内の圧力を制御するためのコードを備えてよい。ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために用いられる加熱装置への電流を制御するためのコードを備えてよい。あるいは、ヒータ制御プログラムは、ウエハチャックへの伝熱ガス(ヘリウムなど)の供給を制御してよい。
【0116】
堆積中に監視されうるチャンバセンサの例は、マスフローコントローラ、圧力計などの圧力センサ、および、台座またはチャックに設置された熱電対を含む。所望のプロセス条件を維持するために、これらのセンサからのデータと共に適切にプログラムされたフィードバック制御アルゴリズムが用いられてよい。
【0117】
前記は、単一チャンバまたはマルチチャンバの半導体処理ツールにおける開示の実施形態の実施を説明している。本明細書に記載の装置およびプロセスは、例えば、半導体デバイス、表示装置、LED、太陽光発電パネルなどの製作または製造のためのリソグラフィパターニングツールまたはそのプロセスと共に用いられてよい。通常、必ずではないが、かかるツール/プロセスは、共通の製作施設で一緒に用いられる、または実行されるだろう。膜のリソグラフィパターニングは通常、(1)スピンオンツールまたはスプレイオンツールを用いてワークピース(すなわち、基板)にフォトレジストを塗布する工程、(2)ホットプレート、炉、またはUV硬化ツールを用いてフォトレジストを硬化させる工程、(3)ウエハステッパなどのツールを用いて、可視光、UV光、またはX線光にフォトレジストを露光する工程、(4)ウェットベンチなどのツールを用いて、レジストを現像してレジストを選択的に除去することによりレジストをパターニングする工程、(5)ドライエッチングツールまたはプラズマ支援エッチングツールを用いて、レジストパターンを下にある膜またはワークピースに転写する工程、および(6)RFまたはマイクロ波プラズマレジスト剥離剤などのツールを用いてレジストを除去する工程、のいくつかまたは全ての工程を含み、各工程はいくつかの可能なツールによって提供される。
結び
【0118】
前記の実施形態は、明確な理解のためにいくらか詳細に説明されたが、添付の特許請求の範囲内で一定の変更および修正が行われてよいことが明らかだろう。本実施形態のプロセス、システム、および装置の多くの他の手法があることに注意されたい。従って、本実施形態は制限的ではなく例示的とみなされるべきであり、本明細書に記載の詳細に限定されるものではない。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
【
図2A】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2B】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2C】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2D】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2E】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2F】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2G】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2H】開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2I】
開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【
図2J】
開示の実施形態によりモリブデンが堆積されうる例示的な様々な構造の図。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
図2Aは、シリコン基板202にMo埋め込み型ワード線(bWL)208を有する例示的なDRAM構造の図を表す。Mo bWLは、シリコン基板202にエッチングされたトレンチに形成される。トレンチに沿って、共形バリア層206、および、共形バリア層206とシリコン基板202との間に配置された絶縁層204がある。
図2Aの例では、絶縁層204は、酸化シリコン材料または窒化シリコン材料などのhigh-k誘電材料から形成されたゲート酸化物層であってよい。本明細書に開示のいくつかの実施形態では、共形バリア層は、TiN層、または、WNもしくはWCNなどのタングステン含有層である。いくつかの実施形態では、TiNがバリアとして用いられた場合は、共形バリア層206とMo bWL208との間に共形タングステン含有成長開始層が存在してよい。あるいは、Mo bWL208は、TiNまたは他の拡散バリア上に直接堆積されてよい。いくつかの実施形態では、層204および層206のいずれかまたは両方は存在しない。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
図2B~2
Jは、開示の実施形態によりMoが堆積されうる様々な例示的な構造のさらなる図である。
図2Bは、Moで充填される垂直フィーチャ201の例示的な断面図を示す。このフィーチャは、基板202にフィーチャ穴205を備えうる。穴205または他のフィーチャは、開口部付近で一定の寸法(例えば、約10nm~500nm(約25nm~約300nmなど)の開口径または線幅)を有してよい。フィーチャ穴205は、未充填フィーチャ、または単にフィーチャと呼ばれうる。フィーチャ201およびあらゆるフィーチャは、フィーチャの長さを通じて延びる軸218によって部分的に特徴付けられてよく、垂直方向のフィーチャは垂直軸を有し、水平方向のフィーチャは水平軸を有する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
3Dメモリ構造などの水平フィーチャも充填できる。
図2Eは、くびれ部251を有する水平フィーチャ250の例を示す。例えば、水平フィーチャ250は、3D NAND(垂直NANDまたはVNANDとも呼ばれる)構造におけるワード線であってよい。いくつかの実施形態では、くびれ部は、3D NAND構造または他の構造におけるピラーの存在が原因となりうる。
図2Fは、VNAND積層(左225および右226)、中央垂直構造230、および、中央垂直構造230の対向側壁240に開口部222を備える複数の積層水平フィーチャ220を有する、(シリコン基板202上に形成された)3D NAND構造210の断面側面図を表す。
図2Fは、共に「トレンチ状」中央垂直構造230を形成する、示された3D NAND構造210の2つの「積層」を表すが、特定の実施形態では、並んで配置され、互いに空間的に平行に延びた2以上の「積層」があってよく、各隣接する対の「積層」間のギャップは、
図2Fに明示されたように中央垂直構造230を形成することに注意されたい。この実施形態では、水平フィーチャ
220は、開口部222を通って中央垂直構造230から流体的にアクセス可能な3Dメモリワード線フィーチャである。図には明示されていないが、
図2Fに示された3D NAND積層225および226(すなわち、左3D NAND積層225および右3D NAND積層226)の両方に存在する水平フィーチャ220も、積層の他方側(それぞれ左端および右端)から追加の3D NAND積層によって形成された同様の垂直構造を通じて(図示されていないが、左端および右端に)アクセス可能である。つまり、3D NAND積層225および226は各々、中央垂直構
造230を通じて3D NAND積層の両側から流体的にアクセス可能なワード線フィーチャの積層を含む。
図2Fで概略的に示された特定の例では、各3D NAND積層は6対の積層ワード線を含むが、他の実施形態では、3D NANDメモリレイアウトは、任意の数の対の垂直積層ワード線を含んでよい。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0047
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0047】
図2Gは、
図2Fの水平破線で示された水平部分260で切り取った断面の、
図2Fの側面図に示されたのと同じ3D NAND構造の断面上面図を表す。
図2Gの断面は、図
2Fに示された、半導体基板202のベースから3D NAND積層210の上部まで垂直に延びる数列のピラー255を表す。いくつかの実施形態では、これらのピラー255は、ポリシリコン材料で形成され、3D NAND構造210に対して構造的および機能的に重要である。いくつかの実施形態では、このようなポリシリコンピラーは、ピラー内に形成された積層メモリセルのゲート電極として機能してよい。
図2Gの上面図は、ピラー255がワード線フィーチャ220に対して開口部222にくびれ部を形成することを表す。すなわち、開口部222を通る中央垂直構造230からのワード線フィーチャ220の流体アクセスの可能性(
図2Gの矢印で示されている)は、ピラー255によって抑制されている。いくつかの実施形態では、隣り合うポリシリコンピラー間の水平ギャップサイズは、約1~20nmである。この流体のアクセス可能性の減少によって、ワード線フィーチャ
220を材料で均一に充填する難しさが増加する。ワード線フィーチャ220の構造、および、ピラー255の存在によりそれらをモリブデン材料で均一に充填することの課題については、
図2H、
図2I、および
図2Jでさらに説明される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0048】
図2Hは、
図2Fに示された3D NAND構造と同様の3D NAND構造の垂直切断面を示すが、ここでは1対のワード線フィーチャ220に特化し、さらに充填ワード線フィーチャ
220のボイド275の形成をもたらす充填プロセスを概略的に示す。図
2Iもボイド
275を概略的に示すが、この図では、
図2Gに示された水平断面と同様に、水平切断されたピラー
255を用いて示されている。
図2Jは、くびれ部が形成されたピラー255の周囲のモリブデン材料の堆積を示す。この堆積は、開口部222のピンチオフをもたらし、ボイド275の領域にさらなるモリブデン材料は堆積できない。
図2Hおよび
図2Iから明らかなのは、ボイドフリーのモリブデン充填は、ピラー255の周りにモリブデンが堆積して開口部222のピンチオフを引き起こし、ワード線フィーチャ220へのさらなる前駆体移動を妨げる前に、十分な量の堆積前駆体が垂直構造230を通り、開口部222を通り、くびれたピラー255を越えて、最も遠いワード線フィーチャ220に到達する移動に依存することである。同様に
図2Jは、上から断面的に見た1つのワード線フィーチャ220を示し、大幅のピラー255が、そうでなければワード線フィーチャ220に通じる開放路だった経路を部分的に防ぐ、および/または狭める、および/または収縮させることにより、一般に共形のモリブデン材料の堆積が、どのようにワード線フィーチャ220の内部をピンチオフし始めるかを表している(
図2Jの例は、
図2Iに示されたピラーくびれ構造の3Dフィーチャの2Dレンダリングと理解できるため、断面図ではなく平面図で見られるくびれ部を表すことに注意されたい)。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
動作304の後に、動作306において第2の堆積が実施される。第2の堆積は、ALDプロセスまたはCVDプロセスで実施されてよい。ALDプロセスは、以下で
図8に関連してさらに説明され、一般に、表面媒介反応のために反応剤のパルスを交互に繰り返す工程を含む。CVD法では、反応剤は一般に、反応チャンバにおいて気相で存在するように流される。CVDは、気相反応を含んでよい。3D NAND構造への堆積において、ALDプロセスは、構造全体の優れたステップカバレッジを可能にするために用いられてよい。ガスは、処理の効果によりさらに容易にフィーチャ内部に到達する。エッチングプロセスの後に、フィーチャの入口付近に堆積した膜は除去されて、ガスがフィーチャの内部に到達できるようにより多くの空間を可能にし、ピンチオフを防ぐ。いくつかの実施形態では、下地表面が完全にまたは部分的に曝露されて、これらの領域での核形成遅延が増加するように、十分なMo膜が除去されてよい。抑制プロセスの後は、核形成遅延が増し、インサイドアウト充填プロセスが可能になる。動作306は、Dep2プロセスと呼ばれ、いくつかの実施形態では構造の充填を完了してよい。他の実施形態では、もう1つの追加の処理/堆積動作が実施されてよい。ワード線における横方向の非共形性を調整するために、圧力および処理ガス流量が調節されてよい。高チャンバ圧および低処理ガス流量(および/または、濃度)は、ワード線フィーチャの内部の処理に対してワード線フィーチャの開口部における処理を促進する。よっていくつかの実施形態では、チャンバ圧は、動作
302から動作
304に向けて低下してよい。チャンバ圧の例は、3トル~40トルである。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
図4は、3D NAND構造をモリブデンで充填するように実施される例示的プロセスを表す。
図4には、3D NAND構造の単一ワード線の断面図が示されている(
図2Jの例のように、
図4のワード線フィーチャは、くびれ部を示すために断面図ではなく平面図で見られるピラーのくびれ部を示す)。470では、Dep1プロセス後のワード線フィーチャが示されている。下層406が示されており、これは例えばバリア層であってよい。Mo共形膜405は、フィーチャ表面に沿っている。いくつかの実施形態では、Mo共形膜405は、酸化アルミニウム表面または酸化シリコン表面などの誘電体表面上に直接堆積される。Mo層405は、核形成層、核形成バルク層、またはバルク層であってよい。次にフィーチャは、471において部分
564を抑制するために抑制化学物質に曝露される。この例では、452の内部表面が抑制されない一方で、部分
564からピラーのくびれ部451までが抑制される。抑制は、例えば、NH
3ガスへの曝露、または、ガス(N
2、H
2、フォーミングガス、NH
3、O
2、CH
4など)から生成されるリモートプラズマまたは直接(in-situ)プラズマへの曝露を含みうる。次に、抑制プロファイルに応じてモリブデンを選択的に堆積させるようにプロセスが実施される。バルクMo408は、472において、くびれ部後方の充填が難しい領域が充填されるように、Mo層405の非抑制部分に優先的に堆積される。この例では、バルク堆積は継続し、473においてフィーチャの残りをバルクMo408で充填する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0062
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0062】
図5は、3D NAND構造をモリブデンで充填するために実施される別の例示的なプロセスを表す。
図5の例では、下層506が示されており、これは例えばバリア層であってよい。Mo共形膜505は、フィーチャ表面に沿っている。いくつかの実施形態では、Mo共形膜505は、酸化アルミニウム表面または酸化シリコン表面などの誘電体表面上に直接堆積される。Mo層505は、核形成層、核形成バルク層、またはバルク層であってよい。次に571において、非共形エッチング(下層506が存在する場合はそれを保護するために高選択率で)が続く。例えば、TiN下層のために高いMo:TiN選択率を有する非共形エッチングが実施されてよい。非共形エッチングの結果、Mo層505がフィーチャ開口部522では薄くなりながら、または完全に除去されながら、フィーチャの内部
452では完全な状態で残される。次に、バルクMo508は、572において、くびれ部後方の充填が難しい領域が充填されるように、Mo層
505の残りの部分に堆積する。この例では、バルク堆積は継続し、573においてフィーチャの残りをバルクMo508で充填する。いくつかの実施形態では、堆積-エッチング-堆積の動作は、フィーチャを充填するために繰り返されうる。様々な実施形態により、続く堆積動作は各々、核形成層の堆積を含んでよい、または含まなくてよい。いくつかの実施形態では、この処理は、抑制効果を含んでもよい。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
共形堆積は、
図9に示されたプロセスによって、誘電体表面およびTiN表面などの表面上で直接実施されてもよい。共形堆積は、W含有開始表面またはMo核形成層で用いられてもよい。動作902では、基板は還元剤ガスに曝露されて、還元剤層を形成する。いくつかの実施形態では、還元剤ガスは、シラン、ボラン、またはシランおよびジボランの混合物であってよい。シランの例は、SiH
4およびSi
2H
6を含み、ボランの例は、ジボラン(B
2H
6)だけでなく、B
nH
n+4、B
nH
n+6、B
nH
n+8、B
nH
mを含む(nは1~10の整数、mは
nとは異なる整数)。他のホウ素含有化合物(例えば、アルキルボラン、アルキルホウ素、アミノボラン(CH
3)
2NB(CH
2)
2、カルボラン(C
2B
nH
n+2など))が用いられてもよい。いくつかの実施形態では、還元剤層は、タングステン前駆体を還元することができる、シリコン材料またはシリコン含有材料、亜リン酸材料または亜リン酸含有材料、ゲルマニウム材料またはゲルマニウム含有材料、ホウ素材料またはホウ素含有材料、およびこれらの組み合わせを含んでよい。かかる層を形成するために用いられうる還元剤ガスのさらなる例は、PH
3、SiH
2Cl
2、およびGeH
4を含む。様々な実施形態により、水素はバックグラウンドで流されてよい、または流されなくてよい(水素はタングステン前駆体を還元できるが、十分な量のより強い還元剤(シランおよびジボランなど)とのガス混合物では、還元剤として機能しない)。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0115】
コントローラ1029は、様々なプログラムを備えてよい。基板位置決めプログラムは、基板を台座またはチャックに載せ、基板とチャンバの他の部品(ガス入口および/または目標物など)との間の間隔を制御するために用いられるチャンバ部品を制御するためのプログラムコードを備えてよい。処理ガス制御プログラムは、ガスの組成、流量、パルス時間を制御するためのコード、および、必要に応じて、チャンバ内の圧力を安定させるために堆積前にチャンバにガスを流すためのコードを備えてよい。圧力制御プログラムは、例えば、チャンバの排気システムのスロットル弁を調節することにより、チャンバ内の圧力を制御するためのコードを備えてよい。ヒータ制御プログラムは、基板を加熱するために用いられる加熱装置への電流を制御するためのコードを備えてよい。あるいは、ヒータ制御プログラムは、ウエハチャックへの伝熱ガス(ヘリウムなど)の供給を制御してよい。
【国際調査報告】