(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-15
(54)【発明の名称】短絡耐量が改善された半導体デバイスおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/78 20060101AFI20221208BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20221208BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20221208BHJP
【FI】
H01L29/78 652C
H01L29/78 652T
H01L29/78 652B
H01L29/78 658A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521259
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 US2020054115
(87)【国際公開番号】W WO2021071758
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592054856
【氏名又は名称】ウルフスピード インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】WOLFSPEED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100162846
【氏名又は名称】大牧 綾子
(72)【発明者】
【氏名】リュー,セイ-ヒュン
(57)【要約】
半導体デバイス(10)は、基板(12)と、ドリフト層(14)と、ウェル領域(16)と、ソース領域(18)とを備える。基板(12)は、第1の導電型を有する。ドリフト層(14)は、第1の導電型を有し、基板(12)上にある。ウェル領域(16)は、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有し、チャネル領域(28)を提供する。ソース領域(18)は、ウェル領域(16)内にあり、第1の導電型を有する。基板(12)に対向するドリフト層(14)の表面に沿ったウェル領域(16)のドーピング濃度は、ウェル領域(16)がソース領域(18)とウェル領域(16)との間の接合部から離れた位置にドーピング濃度増加領域(30)を含むように可変である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電型を有する基板と
前記基板上の、前記第1の導電型を有するドリフト層と、
前記ドリフト層内のウェル領域であって、
前記第1導電型とは反対の第2の導電型を有し、
チャネル領域を提供する、
ウェル領域と、
前記ウェル領域内のソース領域であって、
前記ウェル領域が前記ソース領域と前記ドリフト層との間にあり、
前記第1の導電型を有し、
前記基板に対向する前記ドリフト層の表面に沿った前記ウェル領域のドーピング濃度が、前記基板に対向する前記ドリフト層の前記表面に沿って変化するように不均一である、
ソース領域と、
を備える、半導体デバイス。
【請求項2】
前記基板に対向する前記ドリフト層の前記表面に沿った前記ウェル領域の前記ドーピング濃度が、前記ソース領域と前記ウェル領域との界面との間の距離に比例して増加し、ドーピング濃度の前記増加が前記基板に対向する前記ドリフト領域の前記表面に沿った前記ウェル領域と前記ドリフト領域との界面に向かうようになっている、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項3】
前記ウェル領域が、ドーピング濃度増加領域が前記ウェル領域と前記ドリフト領域との界面に沿って位置するように、前記ソース領域と前記ウェル領域との界面からある距離だけ分離された前記ドーピング濃度増加領域を含む、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項4】
前記ウェル領域内の前記ドーピング濃度増加領域のドーピング濃度が、前記ウェル領域の残りの部分のドーピング濃度よりも1.1~250倍高い、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項5】
前記ウェル領域内の前記ドーピング濃度増加領域の前記ドーピング濃度が、2×10
17~5×10
19cm
-3である、請求項4に記載の半導体デバイス。
【請求項6】
前記ウェル領域の前記残りの部分の前記ドーピング濃度が、5×10
15~5×10
17cm
-3である、請求項5に記載の半導体デバイス。
【請求項7】
前記ドーピング濃度増加領域と、前記ソース領域と前記ウェル領域との間の前記界面との間の前記距離が、0.2~2μmである、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項8】
前記基板に対向する前記ドリフト層の前記表面に沿った前記ウェル領域の前記ドーピング濃度が、前記ソース領域と前記ウェル領域との間の前記界面と、前記ウェル領域と前記ドリフト領域との間の前記界面との間で直線的に変化する、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項9】
前記基板に対向する前記ドリフト層の前記表面に沿った前記ウェル領域の前記ドーピング濃度が、前記ソース領域と前記ウェル領域との間の前記界面と、前記ウェル領域と前記ドリフト領域との間の前記界面との間で階段状に変化する、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項10】
前記基板に対向する前記ドリフト層の前記表面に沿った前記ウェル領域の前記ドーピング濃度が、前記ソース領域と前記ウェル領域との間の前記界面と、前記ウェル領域と前記ドリフト領域との間の前記界面との間で指数関数的に変化する、請求項3に記載の半導体デバイス。
【請求項11】
前記半導体デバイスが、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項12】
前記ドリフト層に対向する前記基板の表面上のドレインコンタクトと、
前記ソース領域および前記ウェル領域と接触するような、前記基板に対向する前記ドリフト層の前記表面上のソースコンタクトと、
前記ウェル領域および前記ソース領域と接触し、前記ソースコンタクトから分離されるような、前記基板に対向する前記ドリフト層の前記表面上のゲート酸化物であって、前記MOSFETのチャネル領域が前記ウェル領域内で前記ゲート酸化物の下にある、ゲート酸化物と、
前記ゲート酸化物上のゲートコンタクトと、
をさらに備える、請求項11に記載の半導体デバイス。
【請求項13】
前記ソース領域の深さが不均一である、請求項1に記載の半導体デバイス。
【請求項14】
前記ソース領域の前記深さが、前記チャネル領域からの距離に比例して増加する、請求項13に記載の半導体デバイス。
【請求項15】
第1の導電型を有する基板と
前記基板上の、前記第1の導電型を有するドリフト層と、
前記ドリフト層内のウェル領域であって、
前記第1導電型とは反対の第2の導電型を有し、
チャネル領域を提供する、
ウェル領域と、
前記ウェル領域内のソース領域であって、
前記ウェル領域が前記ソース領域と前記ドリフト層との間にあり、
前記第1の導電型を有し、
前記ソース領域の深さが不均一である、
ソース領域と、
を備える、半導体デバイス。
【請求項16】
前記ソース領域の前記深さが、前記チャネル領域からの距離に比例して増加する、請求項15に記載の半導体デバイス。
【請求項17】
前記チャネル領域に最も近い前記ソース領域の第1のエッジにおける前記ソース領域の前記深さが、前記第1のエッジに対向する前記ソース領域の第2のエッジにおける前記ソース領域の前記深さよりも0.06~0.93倍小さい、請求項16に記載の半導体デバイス。
【請求項18】
前記ソース領域の前記深さが直線的に変化する、請求項16に記載の半導体デバイス。
【請求項19】
前記ソース領域の深さが階段状に変化する、請求項16に記載の半導体デバイス。
【請求項20】
第1の導電型を有する基板を設けるステップと、
前記基板上にドリフト層を設けるステップであって、前記ドリフト層が前記第1の導電型を有する、ステップと、
前記ドリフト層内にウェル領域を設けるステップであって、
前記ウェル領域が前記第1の導電型とは反対の第2の導電型を有し、
前記ウェル領域がチャネル領域を提供する、
ように、ウェル領域を設けるステップと、
前記ウェル領域内にソース領域を設けるステップであって、
前記ウェル領域が前記ソース領域と前記ドリフト層との間にあり、
前記ソース領域が前記第1の導電型を有し、
前記基板に対向する前記ドリフト層の表面に沿った前記ウェル領域のドーピング濃度が、前記ウェル領域が、前記ソース領域と前記ウェル領域との間の接合部から離れた位置にドーピング濃度増加領域を含むように可変である、
ように、ソース領域を設けるステップと、
を含む、半導体デバイスを製造するための方法。
【請求項21】
前記ウェル領域が、前記ドーピング濃度増加領域のドーピング濃度が前記ウェル領域の残りの部分のドーピング濃度よりも1.1~250倍大きくなるように設けられる、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ウェル領域内の前記ドーピング濃度増加領域のドーピング濃度が2×10
17~5×10
19cm
-3である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記ウェル領域の前記残りの部分のドーピング濃度が5×10
15~5×10
17cm
-3である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ドーピング濃度増加領域と、前記ソース領域と前記ウェル領域との間の前記接合部との間の距離が、0.2~2μmである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記ウェル領域を設けるステップが、前記ドリフト層上にウェル注入マスクを設けるステップおよびイオン注入プロセスを実行するステップを含み、
前記ソース領域を設けるステップが、前記ドリフト層上にソース注入マスクを設けるステップおよびイオン注入プロセスを実行するステップを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記ドリフト層を設けるステップが、エピタキシープロセスを介して前記ドリフト層を成長させるステップを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、半導体デバイスに関し、詳細には、短絡耐量(short circuit withstand time)を向上させるための半導体デバイスの改善に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)は、パワーエレクトロニクスにおいて広く使用されている。電力用途に使用されるMOSFETの1つの重要な性能特性は、短絡耐量である。MOSFETの短絡耐量は、故障が発生する前にMOSFETが短絡事象(例えば、ドレイン-ソース間短絡)に耐えることができる時間量である。MOSFETの短絡耐量が長いほど、用途において短絡事象に起因する故障の可能性が低くなる。したがって、短絡耐量が大きいことが望ましい。
【0003】
[0003]最近、炭化ケイ素MOSFETが、電力用途のためにそれらのシリコン対応物に取って代わりつつある。これは、炭化ケイ素MOSFETのオン状態の抵抗およびスイッチング速度などの性能の大幅な改善によるものである。しかしながら、炭化ケイ素MOSFETの短絡耐量は、従来、MOSチャネル特性および短チャネル効果により制限されていた。MOSチャネル特性に関しては、炭化ケイ素MOSFETのしきい値電圧は温度と共に減少し、一方、相互コンダクタンスは温度と共に増加する。これらの特性は、炭化ケイ素MOSFETの短絡耐量を劣化させる。短チャネル効果に関しては、これらの効果により、出力抵抗が比較的低い劣悪な飽和特性がもたらされる。これらの効果は、炭化ケイ素MOSFETの短絡耐量をさらに劣化させる。
【0004】
[0004]従来、炭化ケイ素MOSFETの短絡耐量を向上させるための努力は、デバイスの接合型電界効果トランジスタ(JFET)領域における抵抗を増加させること、および/またはデバイスのソースに外部抵抗器を追加することを伴うものであった。これらの解決策は、実際、炭化ケイ素MOSFETの短絡耐量を向上させるが、そのオン状態の抵抗も増加させ、全体的な性能を劣化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]したがって、他の性能特性を損なわない短絡耐量が改善されたMOSFETおよびその製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]一実施形態では、半導体デバイスは、基板と、ドリフト層と、ウェル領域と、ソース領域と、を含む。基板は、第1の導電型を有する。ドリフト層は、第1の導電型を有し、基板上にある。ウェル領域は、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有し、チャネル領域を提供する。ソース領域は、ウェル領域内にあり、第1の導電型を有する。ウェル領域は、ソース領域とドリフト層との間にある。基板に対向する(opposite)ドリフト層の表面に沿ったウェル領域のドーピング濃度は、横方向寸法において変化するように不均一である。ウェル領域に上述したようなドーピングプロファイルを提供することによって、半導体デバイスの他の性能特性を維持しながら、半導体デバイスの短絡耐量を改善することができる。
【0007】
[0007]一実施形態では、ウェル領域は、ソース領域とウェル領域との界面(interface)から離れた位置にキャリア濃度増加領域を含む。キャリア濃度増加領域は、チャネル領域と重なっていてもよい。
【0008】
[0008]一実施形態では、半導体デバイスは、基板と、ドリフト層と、ウェル領域と、ソース領域と、を含む。基板は、第1の導電型を有する。ドリフト層は、第1の導電型を有し、基板上にある。ウェル領域は、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有し、チャネル領域を提供する。ソース領域は、ウェル領域内にあり、第1の導電型を有する。ウェル領域は、ソース領域とドリフト層との間にある。ソース領域の深さは、不均一である。説明したように可変の深さを有するソース領域を設けることによって、半導体デバイスの他の性能特性を維持しながら、半導体デバイスの短絡耐量を改善することができる。
【0009】
[0009]一実施形態では、ソース領域の深さが、チャネル領域からの距離に比例して増加する。
[0010]一実施形態では、半導体デバイスを製造するための方法は、基板を設けるステップと、基板上にドリフト層を設けるステップと、ドリフト層内にウェル領域を設けるステップと、ウェル領域内にソース領域を設けるステップと、を含む。基板およびドリフト層は、第1の導電型を有する。ウェル領域は、第1の導電型とは反対の第2の導電型を有し、チャネル領域を提供する。ソース領域は、第1の導電型を有し、ウェル領域がソース領域とドリフト層との間にあるように設けられる。基板に対向するドリフト層の表面に沿ったウェル領域のドーピング濃度は、横方向寸法において変化するように不均一である。ウェル領域に上述したような可変のドーピング濃度を提供することによって、半導体デバイスの他の性能特性を維持しながら、半導体デバイスの短絡耐量を改善することができる。
【0010】
[0011]様々な実施形態において、半導体デバイスは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。
[0012]当業者は、添付の図面と関連した好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、本開示の範囲を理解し、その追加の態様を認識するであろう。
【0011】
[0013]本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する添付の図面は、本開示のいくつかの態様を示し、説明と共に本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】[0014]本開示の一実施形態による半導体デバイスを示す図である。
【
図2】[0015]
図2Aは本開示の一実施形態によるMOSFETのウェル領域のドーピングプロファイルを示す図である。
図2Bは本開示の一実施形態によるMOSFETのウェル領域のドーピングプロファイルを示す図である。
図2Cは本開示の一実施形態によるMOSFETのウェル領域のドーピングプロファイルを示す図である。
図2Dは本開示の一実施形態によるMOSFETのウェル領域のドーピングプロファイルを示す図である。
【
図3】[0016]本開示の一実施形態による半導体デバイスを示す図である。
【
図4】[0017]本開示の一実施形態による半導体デバイスを示す図である。
【
図5】[0018]本発明の一実施形態による半導体デバイスを製造するための方法を示す流れ図である。
【
図6A】[0019]本開示の一実施形態による半導体デバイスを製造するための方法を示す図である。
【
図6B】本開示の一実施形態による半導体デバイスを製造するための方法を示す図である。
【
図6C】本開示の一実施形態による半導体デバイスを製造するための方法を示す図である。
【
図6D】本開示の一実施形態による半導体デバイスを製造するための方法を示す図である。
【
図6E】本開示の一実施形態による半導体デバイスを製造するための方法を示す図である。
【
図7】[0020]本開示の一実施形態による半導体デバイス内にウェル領域を設けるための方法を示す流れ図である。
【
図8】[0021]
図8Aは本開示の一実施形態による半導体デバイス内にウェル領域を設けるための方法を示す図である。
図8Bは本開示の一実施形態による半導体デバイス内にウェル領域を設けるための方法を示す図である。
【
図9】[0022]
図9Aは本開示の一実施形態による半導体デバイス内にウェル領域を設けるための方法を示す図である。
図9Bは本開示の一実施形態による半導体デバイス内にウェル領域を設けるための方法を示す図である。
【
図10】[0023]本開示の一実施形態による半導体デバイス内にソース領域を設けるための方法を示す流れ図である。
【
図11】[0024]
図11Aは本開示の一実施形態による半導体デバイス内にソース領域を設けるための方法を示す図である。
図11Bは本開示の一実施形態による半導体デバイス内にソース領域を設けるための方法を示す図である。
【
図12】[0025]
図12Aは本開示の一実施形態による半導体デバイス内にソース領域を設けるための方法を示す図である。
図12Bは本開示の一実施形態による半導体デバイス内にソース領域を設けるための方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0026]以下に記載される実施形態は、当業者が実施形態を実施することができるようにする必要な情報を表しており、実施形態を実施する最良の様式を例示する。添付の図面に照らして以下の説明を読むと、当業者は、本開示の概念を理解し、本明細書で特に取り扱われないこれらの概念の応用を認識するであろう。これらの概念および応用は、本開示および添付の特許請求の範囲内に含まれることを理解されたい。
【0014】
[0027]第1、第2などの用語は、様々な要素を説明するために本明細書で使用されることがあるが、これらの要素は、これらの用語によって限定されるべきではないことを理解されよう。これらの用語は、ある要素を別の要素と区別するためにのみ使用される。例えば、本開示の範囲から逸脱することなく、第1の要素を第2の要素と呼ぶことができ、同様に、第2の要素を第1の要素と呼ぶことができる。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連付けられた列挙された項目の1つまたは複数の任意のおよびすべての組合せを含む。
【0015】
[0028]層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上に(on)」ある、または「上に(onto)」延在すると呼ばれる場合、要素は、他の要素の直接上にある、または直接上に延在することができ、あるいは介在する要素も存在してもよいことを理解されよう。対照的に、要素が別の要素の「直接上に」ある、または「直接上に」延在すると呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。同様に、層、領域、または基板などの要素が、別の要素の「上にある」または「上に延在する」と呼ばれる場合、要素は、他の要素の直接上にある、または直接上に延在することができ、あるいは介在する要素も存在してもよいことを理解されよう。対照的に、要素が別の要素の「真上に」ある、または「真上に」延在すると呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。ある要素が別の要素に「接続されている」または「結合されている」と呼ばれる場合、要素は、他の要素に直接接続または結合されてもよく、あるいは介在する要素が存在してもよいことも理解されるであろう。対照的に、要素が別の要素に「直接接続されている」または「直接結合されている」と呼ばれる場合、介在する要素は存在しない。
【0016】
[0029]「下」または「上」あるいは「上部」または「下部」あるいは「水平」または「垂直」などの相対的な用語は、本明細書において、図に示されるようなある要素、層、または領域と、別の要素、層、または領域との関係を説明するために使用されることがある。これらの用語および上述された用語は、図に示される配向に加えて、デバイスの異なる配向を包含することが意図されていることを理解されよう。
【0017】
[0030]本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、本開示を限定することは意図されていない。本明細書で使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形も含むことが意図されている。用語「備える(comprises)」、「備えている(comprising)」、「含む(includes)」、および/または「含んでいる(including)」は、本明細書で使用される場合、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在あるいは追加を排除しないことをさらに理解されよう。
【0018】
[0031]別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての用語(技術用語および科学用語を含む)は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、本明細書および関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的に定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式的な意味で解釈されないことをさらに理解されるであろう。
【0019】
[0032]
図1は、本開示の一実施形態による半導体デバイス10を示す。半導体デバイス10は、基板12と、基板12上のドリフト層14と、基板12に対向するドリフト層14の表面におけるウェル領域16と、基板12に対向するドリフト層14の表面におけるソース領域18であって、ウェル領域16内にあるようなソース領域18と、基板12に対向するドリフト層14の表面上の、特にウェル領域16およびソース領域18の一部の上のソースコンタクト20と、ドリフト層14に対向する基板12の表面上のドレインコンタクト22と、基板12に対向するドリフト層14の表面上の、特にウェル領域16およびソース領域18の一部の上のゲート酸化物24と、ゲート酸化物24上のゲートコンタクト26と、を含む。ソースコンタクト20は、基板12に対向するドリフト層14の表面上のゲート酸化物24およびゲートコンタクト26から分離されている。ゲート酸化物24の下の、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16の一部は、半導体デバイス10のチャネル領域28を形成する。
【0020】
[0033]基板12およびドリフト層14は、炭化ケイ素を含むことができる。一実施形態では、基板12、ドリフト層14、およびソース領域18は、すべてnドープされ、ウェル領域16は、pドープされている。しかしながら、本開示の原理は、基板12、ドリフト層14、およびソース領域18がpドープされ、ウェル領域がnドープされている半導体デバイス10にも等しく適用される。基板12は、5×1017~1×1020cm-3のドーピング濃度を有することができる。様々な実施形態では、基板12のドーピング濃度は、5×1017~1×1020cm-3の範囲の任意のドーピング濃度であってもよく、またはこの範囲の任意の部分範囲をカバーしてもよい。ドリフト層14は、5×1013~1×1018cm-3のドーピング濃度を有することができる。様々な実施形態では、ドリフト層14のドーピング濃度は、5×1013~1×1018cm-3の範囲の任意のドーピング濃度であってもよく、またはこの範囲の任意の部分範囲をカバーしてもよい。以下で詳細に説明されるように、ウェル領域16は、2×1017~5×1019cm-3のドーピング濃度を有するドーピング濃度増加領域30を含むことができる。ドーピング濃度増加領域30のドーピング濃度は、2×1017~5×1019cm-3の範囲の任意のドーピング濃度であってもよく、またはこの範囲の任意の部分範囲をカバーしてもよい。例えば、ドーピング濃度増加領域30のドーピング濃度は、5×1017~5×1019cm-3、1×1018~5×1019cm-3、5×1018~5×1019cm-3、1×1019~5×1019cm-3、5×1017~1×1018cm-3、1×1018~1×1019cm-3などであってもよい。ウェル領域16の残りの部分は、5×1015~5×1017cm-3のドーピング濃度を有することができる。ウェル領域16の残りの部分のドーピング濃度は、5×1015~5×1017cm-3の範囲の任意のドーピング濃度であってもよく、またはこの範囲の任意の部分範囲をカバーしてもよい。例えば、ウェル領域16の残りの部分のドーピング濃度は、1×1016~5×1017cm-3、5×1016~5×1017cm-3、1×1017~5×1017cm-3、5×1015~1×1017cm-3、5×1015~5×1016cm-3などであってもよい。ソース領域18は、1×1018~5×1021cm-3のドーピング濃度を有することができる。ソース領域18のドーピング濃度は、1×1018~5×1021cm-3の範囲の任意のドーピング濃度であってもよく、またはこの範囲の任意の部分範囲をカバーしてもよい。例えば、ソース領域18のドーピング濃度は、5×1018~5×1021cm-3、1×1019~5×1021cm-3、5×1019~5×1021cm-3、1×1020~5×1021cm-3、5×1020~5×1021cm-3、1×1021~5×1021cm-3、1×1018~1×1021cm-3、1×1018~5×1020cm-3、1×1018~1×1020cm-3、1×1018~5×1019cm-3、1×1018~1×1019cm-3などであってもよい。
【0021】
[0034]一実施形態において、半導体デバイス10は、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)であってもよい。動作において、半導体デバイス10のしきい値電圧を超えてゲートコンタクト26に供給されるバイアス電圧により、デバイスのチャネル領域28が導電性になり、その結果、ドレインコンタクト22からソースコンタクト20に電流が流れることができる。バイアス電圧が半導体デバイス10のしきい値電圧未満である場合、チャネル領域28は、ドレインコンタクト22からソースコンタクト20に電流を流すことができるほどには十分に導電性ではない。したがって、半導体デバイス10は、ドリフト層14にかかるドレイン-ソース間電圧を遮断する。上述したように、一部の用途では、半導体デバイス10は、ドレインコンタクト22が電源に短絡されるような短絡事象に遭遇することがある。これらの短絡事象により、極めて高い電流が半導体デバイス10に流れ、短期間の後にデバイスに損傷および故障を引き起こす可能性がある。上述したように、デバイスが故障することなく短絡事象に耐えることができる時間量は、短絡耐量と呼ばれる。さらに上述したように、従来のMOSFET、特に炭化ケイ素MOSFETは、短絡耐量が比較的低いという弱点があった。
【0022】
[0035]上述したように、炭化ケイ素MOSFETの短絡耐量が比較的低い理由の1つは、温度の上昇に伴って相互コンダクタンスが増加し、しきい値電圧が減少するMOSチャネル特性に起因するものである。半導体デバイス10がオンであるとき、電流は、ドリフト層14から、ウェル領域16の反転層に沿って、ソース領域18に流入し、ソースコンタクト20に至る。この電流の流れにより、ソース領域18の有限の抵抗に起因して、ソース領域18両端間に電圧降下が生じる。ソース領域18の抵抗(Vsp)両端間のこの電圧降下は正であるため、ソース領域18とウェル領域16との間に逆バイアスが加わる。半導体デバイス10のしきい値電圧(Vth)は、式(1)で表すことができる。
【0023】
【0024】
ここで、Vthは半導体デバイス10のしきい値電圧であり、Vth0はVsp(ソース領域18の抵抗両端間の電圧)が0のときの半導体デバイス10のしきい値電圧であり、γは式(2)によって与えられるボディ効果パラメータである。
【0025】
【0026】
φpは式(3)で与えられる。
【0027】
【0028】
ここで、NAはウェル領域16のドーピング濃度である。上記の式に示されるように、Vthは、Vspが増加するにつれて増加する。さらに、Vthは、ウェル領域16のドーピング濃度NAが高いほどより速く増加する。したがって、半導体デバイス10の温度に対する相互コンダクタンスの増加およびしきい値電圧の減少に対抗または相殺する1つの仕方は、ウェル領域16のドーピング濃度を増加させることである。しかしながら、ウェル領域16全体のドーピング濃度を増加させると、通常の動作状態中に許容できないほどしきい値電圧が高くなり、チャネル移動度が低く(または相互コンダクタンスが低く)なる。半導体デバイス10のチャネル領域28を、0.2マイクロメートル(μm)未満の長さを有するように短くして、しきい値電圧を下げ、相互コンダクタンスを増加させることができるが、これらの小さい寸法を有するMOSFETを製造することは非常に困難である可能性がある。
【0029】
[0036]したがって、半導体デバイス10の短絡耐量を向上させるために、ウェル領域16は、横方向寸法において変化する不均一なドーピングプロファイルを有する。具体的には、ウェル領域16は、ドーピング濃度増加領域30を含む。ドーピング濃度増加領域30は、ウェル領域16の残りの部分よりも高くドープされているウェル領域16の部分領域である。ドーピング濃度増加領域30は、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16内に位置し、したがってチャネル領域28にある。ドーピング濃度増加領域30は、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったソース領域18とウェル領域16との間の接合部からある距離Disに位置し、ドーピング濃度増加領域30が後述するようにこの距離だけソース領域18から分離されるようにしている。ドーピング濃度増加領域30を含むことによって、およびウェル領域16の残りの部分をより低いレベルにドープされた状態に保つことによって、短絡耐量と、しきい値電圧と、相互コンダクタンスとの間の好ましいトレードオフがなされる。具体的には、半導体デバイス10のしきい値電圧および相互コンダクタンスへの影響を最小限に抑えながら、短絡耐量を大幅に向上させる。さらに、ドーピング濃度増加領域30は、ウェル領域16の横方向の空乏化を抑制し、したがってチャネル領域28の高電界からの遮蔽を高めることによって、短チャネル効果を低減することもできる。ドーピング濃度増加領域30は、ウェル領域16内の離散的な領域として示されているが、ドーピング濃度増加領域30とウェル領域16の残りの部分との間の線引きは段階的であってもよい。一般に、ウェル領域16のドーピング濃度は、基板12に対向するドリフト領域14の表面に沿ったソース領域18とウェル領域16との界面(点X)から、基板12に対向するドリフト領域14の表面に沿ったウェル領域16とドリフト領域14との界面(点X’’)に向かう距離に比例して増加してもよい。したがって、ウェル領域16の最も高いドーピング濃度は、基板12に対向するドリフト領域14の表面に沿ったウェル領域16とドリフト領域14との界面(点X’’)で生じてもよく、一方、ウェル領域16の最も低いドーピング濃度は、基板12に対向するドリフト領域の表面に沿ったソース領域18とウェル領域14との界面(点X)で生じてもよい。
【0030】
[0037]
図2Aは、本開示の一実施形態による、
図1に示す点XとX’’との間の、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16のドーピングプロファイルを示し、点Xは、基板12に対向するドリフト層14の表面に対して垂直に延在するソース領域18のエッジ(ソース領域18とウェル領域16との界面)上にあり、点X’’は、基板12に対向するドリフト層14の表面に対して垂直に延在するウェル領域16のエッジ(ウェル領域16とドリフト層14との界面)上にある。示されるように、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16のドーピング濃度は、点XとX’との間で比較的一定のままであり、この時点で、ドーピング濃度が増加し、ウェル領域16の側面とドリフト層14との界面である点X’’までこのレベルに留まる。ドーピング濃度増加領域30は、点X’とX’’との間にある。
【0031】
[0038]一実施形態では、ドーピング濃度増加領域30は、ウェル領域16の残りの部分のドーピング濃度よりも1.1~250倍高いドーピング濃度を有する。ドーピング濃度増加領域30のドーピング濃度は、ウェル領域16の残りの部分のドーピング濃度よりも、1.1~250の範囲の任意の倍数だけ、またはこの範囲の任意の部分範囲だけ高くてもよい。例えば、様々な実施形態において、ドーピング濃度増加領域30のドーピング濃度は、ウェル領域16の残りの部分のドーピング濃度よりも10~250倍高い、50~250倍高い、100~250倍高い、および200~250倍高い。特に、上述したように、ドーピング濃度増加領域30は、2×1017~5×1019cm-3のドーピング濃度を有することができ、ウェル領域16の残りの部分は、5×1015~5×1017cm-3のドーピング濃度を有することができる。基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったソース領域18とドーピング濃度増加領域30との間の距離である点Xと点X’との間の距離Disは、0.2~2μm、またはこの範囲の任意の部分範囲であってもよい。例えば、様々な実施形態において、点XとX’との間の距離Disは、0.3~2μm、0.4~2μm、0.5~2μm、0.6~2μm、0.7~2μm、0.8~2μm、0.9~2μm、1~2μm、1.1~2μm、1.2~2μm、1.3~2μm、1.4~2μm、1.5~2μm、1.6~2μm、1.7~2μm、1.8~2μm、1.9~2μm、0.5~1μm、0.5~1.5μm、1~1.5μm、または0.2~2μmの任意の他の部分範囲であってもよい。点X’と点X’’との間の距離であるドーピング濃度増加領域30の幅は、0.05μm~0.5μmであってもよく、この範囲の任意の部分範囲を含むことができる。例えば、様々な実施形態では、ドーピング濃度増加領域30の幅は、0.1~0.5μm、0.15~0.5μm、0.2~0.5μm、0.25~0.5μm、0.3~0.5μm、0.35~0.5μm、0.4~0.5μm、0.45~0.5μm、0.1~0.2μm、0.1~0.3μm、0.1~0.4μm、または0.05~0.5μmの任意の他の部分範囲であってもよい。
【0032】
[0039]
図2Bは、本開示の追加の実施形態による、点Xと点X’’との間の、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16のドーピングプロファイルを示す。示されるように、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16のドーピング濃度は、点X’まで比較的一定のままであり、この時点で、ドーピング濃度が階段状に増加し、より高いレベルに達し、点X’’までこのレベルに留まる。
【0033】
[0040]
図2Cは、本開示の追加の実施形態による、点Xと点X’’との間の、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16のドーピングプロファイルを示す。示されるように、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16のドーピング濃度は、点X’まで比較的一定のままであり、この時点で、ドーピング濃度が直線的に増加し、より高いレベルに達し、点X’’までこのレベルに留まる。
【0034】
[0041]
図2Dは、本開示の追加の実施形態による、点Xと点X’’との間の、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16のドーピングプロファイルを示す。示されるように、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16のドーピング濃度は、点X’まで比較的一定のままであり、この時点で、ドーピング濃度が、指数関数的に増加し、より高いレベルに達し、点X’’までこのレベルに留まる。なお、前述の
図2A~
図2Dは例示的なものにすぎず、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16のドーピングプロファイルは、本開示の原理から逸脱することなく、任意の適切な様式で変化してもよい。一般に、ウェル領域16のドーピング濃度は、ドーピング濃度が横方向寸法において変化するように不均一である。ウェル領域16のドーピング濃度は、第1の部分領域(例えば、XとX’との間)で一定で、第2の部分領域(例えば、X’とX’’との間)で可変であってもよく、またはウェル領域16のドーピング濃度は、ウェル領域16の全体(例えば、XとX’’との間)にわたって可変であってもよい。ウェル領域16のドーピング濃度は、任意の適切なやり方(線形、勾配状、階段状、指数関数的など)で変化してもよい。
【0035】
[0042]半導体デバイス10の短絡耐量をさらに向上させるために、ソース領域18の抵抗を高くすることができる。上述したように、これは、従来、ソース領域18に外部抵抗器を追加することによって行われてきた。しかしながら、ソース領域18に外部抵抗器を追加することは、半導体デバイス10の他の性能特性に好ましくない影響がある。ソース領域18の抵抗を増加させる別の仕方は、ソース領域18のドーピング濃度を下げることである。しかしながら、ソース領域18のドーピング濃度を一律に下げると、ソースコンタクト20へのオーミックコンタクトが非線形になる可能性があり、これにより、半導体デバイス10にかなりの量の順方向電圧降下を加える可能性がある。
【0036】
[0043]したがって、
図3は、本開示の追加の実施形態による半導体デバイス10を示す。
図3に示す半導体デバイス10は、ソース領域18の深さが横方向寸法において変化するようにソース領域18の深さが不均一であることを除いて、
図1に示す半導体デバイスと実質的に同様である。特に、ソース領域18は、ソース領域18の残りの部分の深さよりも浅い深さを有する深さ減少領域32を含む。深さ減少領域32は、半導体デバイス10のチャネル領域28に隣接するソース領域18のエッジ(ソース領域18とウェル領域16との界面)に位置し、このエッジは、基板12に対向するドリフト層14の表面に対して垂直である。示されるように、ソース領域18は、横方向に点YとY’’との間に設けられてもよく、点Y’’は、チャネル領域28に隣接して基板12に対向するドリフト層14の表面に対して垂直に延在するソース領域18の第1のエッジに位置し、点Yは、第1のエッジに対して平行に延在するソース領域18の第2のエッジに位置する。点Y’において、ソース領域18の深さが減少し、それによって、深さ減少領域32を開始してもよい。一実施形態では、点Yと点Y’との間のソース領域18の幅は、0.1~5μmまたはこの範囲の任意の部分範囲である。例えば、様々な実施形態において、点Yと点Y’との間のソース領域18の幅は、0.2~5μm、0.3~5μm、0.4~5μm、0.5~5μm、1~5μm、1.5~5μm、2~5μm、2.5~5μm、3~5μm、3.5~5μm、4~5μm、4.5~5μm、0.1~1μm、1~2μm、0.1~3μm、1~3μm、1~4μm、2~4μm、3~5μmなどであってもよい。点Y’と点Y’’との間の距離である深さ減少領域32の幅も、0.1~5μmまたはこの範囲の任意の部分範囲である。例えば、深さ減少領域32の幅は、0.2~5μm、0.3~5μm、0.4~5μm、0.5~5μm、1~5μm、1.5~5μm、2~5μm、2.5~5μm、3~5μm、3.5~5μm、4~5μm、4.5~5μm、0.1~1μm、1~2μm、0.1~3μm、1~3μm、1~4μm、2~4μm、3~5μmなどであってもよい。深さ減少領域32内のソース領域18の深さD
epは、0.1~1.0μmまたはこの範囲の任意の部分範囲であってもよく、一方、ソース領域18の残りの部分の深さは、0.2~1.5μmまたはこの範囲の任意の部分範囲であってもよい。例えば、深さ減少領域32内のソース領域18の深さD
epは、0.2~1.0μm、0.3~1.0μm、0.4~1.0μm、0.5~1.0μm、0.6~1.0μm、0.7~1.0μm、0.8~1.0μm、0.9~1.0μm、0.1~0.2μm、0.1~0.3μm、0.1~0.4μm、0.1~0.5μm、0.1~0.6μm、0.1~0.7μm、0.1~0.8μm、0.1~0.9μm、0.2~0.5μm、0.3~0.6μm、0.5~0.8μmなどであってもよい。ソース領域18の残りの部分の深さは、0.3~1.5μm、0.4~1.5μm、0.5~1.5μm、0.6~1.5μm、0.7~1.5μm、0.8~1.5μm、0.9~1.5μm、1.0~1.5μm、1.1~1.5μm、1.2~1.5μm、1.3~1.5μm、1.4~1.5μm、0.5~1.0μm、0.1~1.0μm、0.1~0.5μmなどであってもよい。深さ減少領域32の深さは、ソース領域18の残りの部分の深さの0.06~0.93倍小さくてもよい。深さ減少領域32は、ソース領域18の残りの部分と比較して深さが1段ステップダウン(step down)されるとして示されているが、深さ減少領域32はまた、ソース領域18がチャネル領域28に近づくにつれてソース領域18の深さが減るように、または任意の適切なやり方で減少するように形成されてもよい。一般に、ソース領域18の深さは、チャネル領域に最も近いソース領域18の横方向エッジの距離に比例してソース領域18の深さが増加するように不均一であってよく、横方向エッジは、基板12に対向するドリフト層14の表面に対して垂直である。
【0037】
[0044]
図4は、半導体デバイス10の別の実施形態を示しており、ソース領域18の深さは、チャネル領域28に近づくにつれて先細りになっている。深さ減少領域32は、ソースコンタクト20との線形オーミックコンタクトも維持しながら、ソース領域18の抵抗を増加させることができる。したがって、半導体デバイス10の順方向電圧降下を増大させることなく、短絡耐量が改善される。なお、
図3および
図4に示す実施形態は、単なる例示である。一般に、ソース領域18の深さは、任意の適切な様式で変化してもよい。例えば、ソース領域18の深さは、横方向寸法においてソース領域18の全体にわたって(例えば、YとY’’との間で)、またはその任意の部分領域にわたって(例えば、Y’とY’’との間で)変化してもよい。ソース領域18の深さは、任意の適切なやり方(例えば、線形、勾配状、階段状、指数関数的など)で変化してもよい。
【0038】
[0045]
図5は、本開示の一実施形態による半導体デバイス10を製造するための方法を示す流れ図である。
図6A~
図6Eは、
図5の流れ図のステップを示しており、したがって、
図5と一緒に説明される。最初に、基板12が設けられる(ブロック100および
図6A)。基板12は、炭化ケイ素を含むことができ、特に炭化ケイ素半導体ウエハを含むことができる。ドリフト層14は、基板12上に設けられる(ブロック102および
図6B)。ドリフト層14は、任意の適切なプロセス、例えば、ドリフト層14を基板12上に成長させ、引き続き処理する(例えば、洗浄し、研磨するなど)エピタキシープロセスによって設けられてもよい。ウェル領域16は、基板12に対向するドリフト層14の表面に設けられる(ブロック104および
図6C)。以下でさらに詳細に説明されるように、ウェル領域16は、イオン注入などの注入プロセスを介して設けられてもよい。上述したように、半導体デバイス10の短絡耐量を向上させるためにドーピング濃度増加領域30が設けられるように、専用マスクが前記注入プロセス中に基板12に対向するドリフト層14の表面上に設けられ、ウェル領域16内に所望のドーピングプロファイルを形成することができる。ソース領域18は、基板12に対向するドリフト層14の表面に設けられる(ブロック106および
図6D)。以下でさらに詳細に説明されるように、ソース領域18は、イオン注入などの注入プロセスを介して設けられてもよい。上述したように、半導体デバイス10の短絡耐量を向上させるために深さ減少領域32が設けられるように、専用マスクが前記注入プロセス中に基板12に対向するドリフト層14の表面上に設けられ、ソース領域18の所望の深さプロファイルを形成することができる。ソースコンタクト20、ドレインコンタクト22、ゲート酸化物24、およびゲートコンタクト26が設けられる(ブロック108および
図6E)。
【0039】
[0046]
図7は、本開示の一実施形態によるウェル領域16を設ける詳細を示す流れ図である。
図8A~
図8Bならびに
図9A~
図9Bは、
図7の流れ図のステップを示しており、したがって
図7と一緒に説明される。最初に、ウェル領域注入マスク34が、基板12に対向するドリフト層14の表面上に設けられる(ブロック200、
図8Aおよび
図9A)。なお、ウェル領域注入マスク34は、ウェル領域16内に所望のドーピングプロファイルを生成するように構成された専用マスクである。特に、ウェル領域16の所望のドーピングプロファイルを生成するために、ウェル領域注入マスク34の厚さ、ウェル領域注入マスク34の密度、および/またはウェル領域注入マスク34の材料が変えられてもよい。ウェル領域16を生成するためにドリフト層14内に注入するイオンのドーピング深さプロファイルを選択することと共に、ウェル領域注入マスク34の特性を変えることは、イオンが内部にどの程度深く注入されるかを変化させるため、基板12に対向するドリフト層14の表面におけるウェル領域16のドーピング濃度を変化させる。
図8Aにおいて、ウェル領域注入マスク34の厚さを単純にステップダウンさせたものが、イオン注入後にドーピング濃度増加領域30が形成される領域にわたって示されている。ドーピング濃度増加領域30にわたってウェル領域注入マスク34の厚さをステップダウンさせると、イオンは、ドーピング濃度増加領域30内に深く侵入せず、結果として、この領域の基板12に対向するドリフト層14の表面近くのドーピング濃度がより高くなる。
図9Aでは、イオン注入後にドーピング濃度増加領域30が形成される領域にわたってウェル領域注入マスク34の厚さに傾斜がつけられている。ドーピング濃度増加領域30にわたってウェル領域注入マスク34の厚さが傾斜していることにより、この領域の傾斜にわたってイオンが異なる深さに侵入し、結果として、ドーピング濃度増加領域30のドーピング濃度が傾斜して増加(ramped increase)することになる。なお、
図8Aおよび
図9Aに示されるウェル領域注入マスク34は単なる例示である。ウェル領域16を生成するために、ドーピング濃度増加領域30を得るための任意の適切なプロセスが使用されてもよく、そのすべてが本明細書において企図される。次いで、基板12に対向するドリフト層14の表面に、ウェル領域注入マスク34を通してイオンが注入される(ブロック202、
図8Bおよび
図9B)。上述したように、これにより、ウェル領域16およびドーピング濃度増加領域30が形成される。次いで、ウェル領域注入マスク34が除去されてもよい(図示せず)。一実施形態では、注入によるピークのドーピング濃度が注入表面の下のある距離で生じるように、逆行性ドーピングプロファイルを用いてイオンを注入することができる。ウェル領域注入マスク34の特性(例えば、厚さ)と共にイオン注入の逆行性ドーピングプロファイルを制御することにより、上述したように、基板12に対向するドリフト層14の表面に沿ったウェル領域16の所望のドーピングプロファイルを形成することができる。ウェル領域16の所望のドーピングプロファイルを達成するために、1×10
12~5×10
15cm
-2の注入ドーズ量が、10keV~1.5MeVの注入エネルギーと共に使用されてもよい。様々な実施形態において、ウェル領域を形成するために使用されるドーパントは、アルミニウム、ホウ素、またはベリリウムであってもよい。
【0040】
[0047]
図10は、本開示の一実施形態による半導体デバイス10を製造するための方法を示す流れ図である。
図11A~
図11Bおよび
図12A~
図12Bは、
図10の流れ図のステップを示しており、したがって、
図10と一緒に説明される。最初に、ソース領域注入マスク36が、基板12に対向するドリフト層14の表面上に設けられる(ブロック300、
図11Aおよび
図12A)。なお、ソース領域注入マスク36は、ソース領域18内に所望の深さプロファイルを生成するように構成された専用マスクである。特に、ソース領域18の所望の深さプロファイルを生成するために、ソース領域注入マスク36の厚さ、ソース領域注入マスク36の密度、および/またはソース領域注入マスク36の材料が変えられてもよい。ソース領域18を生成するためにドリフト層14内に注入するイオンのドーピング深さプロファイルだけでなく、ソース領域注入マスク36の特性を変えることは、イオンが内部にどの程度深く注入されるかを変化させるため、基板12に対向するドリフト層14の表面におけるソース領域18のドーピング濃度を変化させる。
図11Aにおいて、図示されていないがイオン注入後に形成される深さ減少領域32にわたってソース領域注入マスク36の厚さを単純にステップダウンさせると、イオンは、深さ減少領域32を形成するほどには深く侵入しない。
図12Aにおいて、図示されていないがイオン注入後に形成される深さ減少領域32にわたって設けられるソース領域注入マスク36の厚さを傾斜させることにより、半導体デバイス10のチャネル領域28に向かって傾斜部が厚くなるため、ソース領域18の深さが減少する。なお、
図11Aおよび
図12Aに示されるソース領域注入マスク36は単なる例示である。ソース領域18を生成するために、深さ減少領域32を得るための任意の適切なプロセスが使用されてもよく、そのすべてが本明細書において企図される。次いで、基板12に対向するドリフト層14の表面に、ソース領域注入マスク36を通してイオンが注入される(ブロック302、
図11Bおよび
図12B)。上述したように、この注入は、ソース領域18および深さ減少領域32を生成する。次いで、マスクが除去されてもよい(図示せず)。一実施形態では、イオン注入によるドーピング濃度がイオン注入深さまで比較的一定となるように平坦なドーピングプロファイルを用いてイオンが注入されてもよい。ソース領域注入マスク36の特性(例えば、厚さ)と共にイオン注入の平坦なドーピングプロファイルを制御することにより、ソース領域18の所望の深さプロファイルの生成が可能になる。ソース領域18の所望のドーピングプロファイルを達成するために、1×10
13~5×10
15cm
-2の注入ドーズ量が、10keV~1.5MeVの注入エネルギーと共に使用されてもよい。ソース領域18を形成するために使用されるドーパントは、様々な実施形態において、窒素、リン、およびヒ素であってもよい。
【0041】
[0048]前述の例は、MOSFETデバイスに関連して説明されているが、本開示の原理はそのように限定されない。上述した特徴は、任意のタイプのトランジスタデバイス、任意のタイプのダイオードなどの任意のタイプの半導体デバイスに適用することができる。さらに、当業者は、本開示の好ましい実施形態に対する改善および変更を認識するであろう。このような改善および変更はすべて、本明細書に開示される概念および以下の請求項の範囲内であると見なされる。
【国際調査報告】