(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】マーブル模様の成形部品を製造する方法及び装置ならびに該装置を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 45/16 20060101AFI20221213BHJP
B29C 45/20 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2022522864
(86)(22)【出願日】2020-10-13
(85)【翻訳文提出日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2020078776
(87)【国際公開番号】W WO2021074150
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【氏名又は名称】江藤 聡明
(74)【代理人】
【識別番号】100167106
【氏名又は名称】倉脇 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100194135
【氏名又は名称】山口 修
(74)【代理人】
【識別番号】100206069
【氏名又は名称】稲垣 謙司
(74)【代理人】
【識別番号】100185915
【氏名又は名称】長山 弘典
(72)【発明者】
【氏名】ヤコビ,ラインハルト
(72)【発明者】
【氏名】ホメス,アンゲリカ
(72)【発明者】
【氏名】ツァイハー,ズザンネ
(72)【発明者】
【氏名】ロイツ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マイアーヘファー,ナターシャ マヌエラ
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス カサート,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】イモ,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】シュヴェンディ,ザシャ ティム
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,レオンハルト
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206AB12
4F206AF10
4F206JA07
4F206JB28
4F206JL02
4F206JM01
4F206JN04
4F206JQ57
4F206JQ81
(57)【要約】
本発明は、第1成形コンパウンド(1)と少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)が、スクリュー射出成形機(7)の射出ユニット(5)から射出成形型(9)に射出されるマーブル模様の成形品を製造する方法であって、
前記射出ユニット(5)はバレル(11)と、スクリュー先端部(15)を有するスクリュー(13)と、ノズル(17)とを有し、前記スクリュー(13)は回転可能であり、後方位置(23)に比べて前記スクリュー先端部(15)と前記ノズル(17)との間の距離が短い前方位置(21)と前記後方位置(23)の間で、前記バレル(11)の縦軸(19)の方向に移動可能なように前記バレル(11)内に配置され、前記第1成形コンパウンド(1)は第1ポリマーコンパウンドと第1着色剤とを有し、前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)はさらなるポリマーコンパウンドと任意の少なくとも1つのさらなる着色剤とを有する方法に関する。
本発明はさらに、マーブル模様の成形品を製造する装置と、該装置を製造する方法に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成形コンパウンド(1)と少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)が、スクリュー射出成形機(7)の射出ユニット(5)から射出成形型(9)に射出されるマーブル模様の成形品を製造する方法であって、
前記射出ユニット(5)はバレル(11)と、スクリュー先端部(15)を有するスクリュー(13)と、ノズル(17)とを有し、前記スクリュー(13)は回転可能であり、後方位置(23)に比べて前記スクリュー先端部(15)と前記ノズル(17)との間の距離が短い前方位置(21)と前記後方位置(23)の間で、前記バレル(11)の縦軸(19)の方向に移動可能なように前記バレル(11)内に配置され、前記第1成形コンパウンド(1)は第1ポリマーコンパウンドと第1着色剤とを有し、前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)はさらなるポリマーコンパウンドと任意の少なくとも1つのさらなる着色剤とを有し、
前記方法は、
a)前記スクリュー(13)が前記後方位置(23)にあるときに、前記スクリュー(13)に前記第1成形コンパウンド(1)の第1量を任意に供給するステップと、
b)前記スクリュー(13)を、前記後方位置(23)から前記前方位置(21)へ任意に前進させるステップと、
c)前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)の第2量を、前記スクリュー(13)に供給するステップと、
d)前記スクリュー(13)を回転させ、前記第1成形コンパウンド(1)と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)の少なくとも一部を、前記ノズル(17)と前記スクリュー先端部(15)の間の前記バレル(11)内の空きスペース(27)に搬送し、及び、前記スクリュー(13)を前記前方位置(21)から前記後方位置(23)に移動させ、前記スクリュー(13)の前記バレル(11)内の前記第1成形コンパウンド(1)及び前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)を可塑化するステップと、
e)前記スクリュー(13)が前記後方位置(23)にあるときに、前記第1成形コンパウンド(1)の新たな第1量を前記スクリュー(13)に任意に供給するステップと、
f)前記スクリュー(13)を前記後方位置(23)から前記前方位置(21)に前進させることにより、前記第1成形コンパウンド(1)と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)を前記バレル(11)内の空きスペース(27)から前記射出成形型(9)のキャビティ(29)に射出するステップと、
g)マーブル模様の成形品を得るように、前記射出成形型(9)内の前記第1成形コンパウンド(1)と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)を冷却するステップと、
h)前記射出成形型(9)から前記マーブル模様の成形品を取り出すステップと、
を含み、
ステップc)~h)は繰り返され、ステップe)はステップf)の前に実施され、ステップa)は任意にステップb)の前に実施され、
ステップe)における前記第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給及び任意のステップa)における前記第1成形コンパウンドの第1量の供給は、ステップc)における前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の供給とは時間的又は空間的に分離されて実施される、方法。
【請求項2】
ステップc)における前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)の第2量の供給は、ステップb)における前記前進の後に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キャビティ(29)の内部容積(33)に対する、前記成形コンパウンド(1)と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)によって占有され得る前記バレル(11)の最大内部空き容積(31)の比率は10以下である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記マーブル模様の成形品の質量に対する、前記第1成形コンパウンド(1)の第1量の質量と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)の第2量の質量の合計の比率は、0.5~1.5である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第2量に対する前記第1量の質量比は、0.1未満、特に0.001未満である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)中の少なくとも1つのさらなる着色剤のさらなる濃度に対する前記第1成形コンパウンド(1)中の第1着色剤の第1濃度の比率は、20超、特に、50超である、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1ポリマーコンパウンド(1)及び/又は前記少なくとも1つのさらなるポリマーコンパウンド(3)は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリールエーテルスルホン(PSU、PESU、PPSU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリラクチド(PLA)、ポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)のようなスチレン含有ポリマー、又はそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1成形コンパウンド(1)及び/又は前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)は、それぞれペレットの形で供給される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
内部(35)を有するバレル(11)とスクリュー(13)とノズル(17)とを有する正確に1つの射出ユニット(5)を有する、マーブル模様の成形品を製造する装置であって、
前記スクリュー(13)は回転可能であり、後方位置(23)に比べてスクリュー先端部(15)と前記ノズル(17)との間の距離が短い前方位置(21)と前記後方位置(23)の間で、前記バレル(11)の縦軸(19)の方向に移動可能なように前記バレル(11)内に配置され、
ノズルヘッド(37)とノズル本体(39)とを有する前記ノズル(17)は、前記バレル(11)に解放可能に接続され、前記ノズルヘッド(37)は、各ダクト(41)の第1端部(43)において前記ノズル(17)の出口開口部(40)に、及び、各ダクト(41)の第2端部(45)において前記バレル(11)の前記内部(35)に接続された少なくとも2つのダクト(41)を有し、
前記少なくとも2つのダクト(41)は、前記ノズルヘッド(37)を通って湾曲した態様で延びている、装置。
【請求項10】
前記ノズルヘッド(37)が3つ~8つのダクト(41)を有している、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ダクト(41)は、それらの第1端部(43)と第2端部(45)の間で、互いから分離されている、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
前記ダクト(41)は、前記ノズルヘッド(37)の半径横断面で、それぞれ円形、楕円形又は三角形の横断面(63)を有している、請求項9~11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記ノズルヘッド(37)はインサート(42)を有し、前記少なくとも2つのダクト(41)は前記インサート(42)に配置されている、請求項9~12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
請求項9~13のいずれか1項による装置を製造する方法であって、
少なくとも前記ノズルヘッド(37)又は少なくとも前記インサート(42)は、付加製造法、特に3D印刷の手段によって製造される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーブル模様の成形品を製造するための方法に関し、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドが、スクリュー射出成形機の射出ユニットから射出成形型(injection mold)に射出され、該射出ユニットは、バレルと、スクリュー先端部を有するスクリューと、ノズルとを備え、該スクリューは、回転可能であり、後方位置に比べてスクリュー先端部とノズルとの間の距離が短い前方位置と後方位置の間で、バレルの縦軸方向に移動可能なようにバレル内に配置され、該第1成形コンパウンドは第1ポリマーコンパウンド及び第1着色剤を含み、該少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、さらなるポリマーコンパウンドと、任意の少なくとも1つのさらなる着色剤とを含む。
【0002】
本発明はさらに、内部を有するバレルと、スクリューと、ノズルヘッド及びノズル本体を有するノズルとを備える射出ユニットを含み、該スクリュー(搬送スクリューとも呼ばれ得る)は回転可能であり、前方位置と後方位置との間でバレルの縦軸の方向に移動可能なようにバレル内に配置されている、マーブル模様の成形品の製造装置、及び該装置を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
マーブル模様の成形品は、通常、少なくとも1つのマーブル模様の見える面、すなわち模様化された、色の影、色のすじ、線及び構造などの表面効果を示す見える面を有している。マーブル模様の成形品では、存在する着色剤の少なくとも一部は均質に分布(distributed)されていない。マーブル模様の効果の形成は、異なる色と成形品のメインカラーの割合に依存する。マーブル模様の成形品は、視覚的に完全に同一ではないことがよくある。それらが色構造において繰り返しの認識パターンを示す場合、それらは再現可能マーブル模様を有する成形品と呼ばれることもできる。特に、メインカラー、影、及びメインパターンは、色の明るさにはばらつきが生じる(occur)可能性はあるが、再現性のあるマーブル模様の成形品で繰り返しの形で存在する。
【0004】
成形品の製造、特に粉末、ペレット、又は成形コンパウンド(それぞれ混合物の形態をとることがある)から作られるポリマー成形品の製造は、スクリュー射出成形機を用いて実現されることがよくある。着色ポリマー製品の製造のために、着色ポリマーペレットがよく使用され、又は、色中性ペレットが、押出機におけるポリマーの液化前又は液化中に、高顔料濃度を有する着色ポリマーペレットと混合される。通常、射出ユニットで使用される混合要素は、着色されていないベース材料と高濃度の着色剤を含むカラーペレットとからなる混合物が最大限の均質性で混合し、表面にすじがない部品が製造されることを確かにする。
【0005】
スクリュー射出成形機は、通常は、均一な可塑化を可能にし、そこでは、射出される成形コンパウンドは均質な温度を有する。マーブル模様の成形品の製造では、温度が均質であるにも拘わらず、射出される成形コンパウンドがまだ十分に混合されておらず、変化する色成分が完成品で見えるままであるということのために、この均質化は望ましくない。
【0006】
具体的には、色の進行及び色の分布の均一な繰り返しが狙いである再現性のあるマーブル模様の生成のために、使用される機械は、典型的には、マーブル模様を生成する少なくとも2つの成分が、別々に例えば2つの別々の射出ユニットで射出成形型に供給されるものである。
【0007】
また、マーブル模様の成形品を製造するためのものとして知られているのは、1つの射出成形型において2つの別々の射出ユニットからの成形コンパウンドを組み合わせることを可能にする装置、特にノズルである。
【0008】
2成分射出成形機での再現性のあるマーブル模様の成形品の製造は、2つの射出ユニットが必要であり、それぞれがスクリュー、バレル、供給装置、及びスクリューを動かすための対応する油圧装置を有する射出ユニットを作動させるため、複雑である。
【0009】
さらに、一成分射出成形機でマーブル模様の成形品を製造することは可能であるが、マーブル模様の再現性は保証されない、既知の射出成形機のインサート又はバレル、典型的には改変されたスクリューがある。
【0010】
AT406753Bは、ノズルの上流での変位体(トーピードとして知られている)の使用を記載している。変位体は、異なる表面構成を有し、マーブル模様効果を創出するために使用される。トーピードを有する短いスクリューの使用は、マーブル模様効果の効果を生じる不均質な溶融を生成する。
【0011】
DE2714509A1は、ポリマー材料から作られるマーブル模様の成形品を製造するための装置を主題としており、そこでは、バレルの加熱可能部中の変位体が続いている1ゾーンショートスクリューが使用される。
【0012】
US4,176,152は、前後に回転するバレルとスクリューを有する射出成形機を記載している。伝熱成層体がスクリューとバレルからの出口との間に配置されている。本体は、特に、その外周にフィン構造を有している。
【0013】
DE4204015A1は、ノズルヘッドとベース部分からなる熱可塑性コンパウンドの射出ノズルを開示している。ノズルヘッドは、軸孔に開口する第2孔又は第2熱可塑性成形コンパウンドの供給を開閉することができるように、軸方向に移動可能である。
【0014】
DE102004053575A1は、同様に、射出成形機用のノズルに関連し、ここでは、2つの異なる組成と異なる色の樹脂が処理される。ノズル内の第1通路が、第1射出ユニットと連通し、ノズル内の第2通路が、第2射出ユニットと連通している。
【0015】
JP2003 200456及びJP2005 262759も、2つの別々の可塑化ユニットから来る2つの異なる樹脂を射出するためのノズルを記載している。
【0016】
TW411314Bは、円錐形ノズルが使用される、色進行を有するポリマー物品の製造方法を主題としている。
【0017】
DE4332242A1は、射出成形法によってマーブル模様のポリマー物体を製造するための方法及び装置を開示しており、そこでは、色顔料はスクリューフライトの開始時に導入口に供給される。
【0018】
DE10013617A1は、少なくとも1つのマーブル模様の可視面を有するポリマー物品を製造するための方法に関する。この目的のために、磁場の作用によって整列可能な固体粒子が、液化前又は液化中に熱可塑性ポリマーのコンパウンドに加えられる。
【0019】
EP1556198B1は、射出成形機のスクリュー先端部にある逆止弁を置き換えることができる混合要素を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の目的は、マーブル模様の成形品の製造方法を提供することであり、発生したマーブル模様のパターンは再現性があることである。また、提案されているのは、マーブル模様の成形品を製造するための装置であって、マーブル模様の構成が制御された態様で可変であり、同時に、マーブル模様の高精細性及び再現性が達成され、異なる変更複雑さを有するが異なる模様に対して同じスクリュー射出成形機の使用が可能である、マーブル模様の成形品を製造するための装置である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この目的は、マーブル模様の成形品を製造する方法であって、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドがスクリュー射出成形機の射出ユニットから射出成形型に射出され、該射出ユニットは、バレルと、スクリュー先端部を有するスクリューと、ノズルとを備え、該スクリューは、回転可能であり、後方位置に比べてスクリュー先端部と前記ノズルとの間の距離が短い前方位置と後方位置の間で、前記バレルの縦軸方向に移動可能なように前記バレル内に配置され、該第1成形コンパウンドは第1ポリマーコンパウンド及び第1着色剤を含み、該少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、さらなるポリマーコンパウンドと、任意の少なくとも1つのさらなる着色剤とを含む、方法によって達成され、該方法は:
a)前記スクリューが前記後方位置にあるときに、前記スクリューに前記第1成形コンパウンドの第1量を任意に供給するステップと、
b)前記スクリューを、前記後方位置から前記前方位置へ任意に前進させるステップと、
c)前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量を、前記スクリューに供給するステップと、
d)前記スクリューを回転させ、前記第1成形コンパウンドと前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの少なくとも一部を、前記ノズルと前記スクリュー先端部との間の前記バレル内の空きスペースに搬送し、及び、前記スクリューを前記前方位置から前記後方位置に移動させ、前記バレル内の前記第1成形コンパウンド及び前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドを可塑化するステップと、
e)前記スクリューが前記後方位置にあるときに、前記第1成形コンパウンドの新たな第1量を前記スクリューに任意に供給するステップと、
f)前記スクリューを前記後方位置から前記前方位置に前進させることにより、前記第1成形コンパウンドと前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドを前記バレル内の空きスペースから前記射出成形型のキャビティに射出するステップと、
g)マーブル模様の成形品を得るように、前記射出成形型内の前記第1成形コンパウンドと前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドを冷却するステップと、
h)前記射出成形型から前記マーブル模様の成形品を取り出すステップと、
を含み、
ここで、ステップc)~h)は繰り返され、ステップe)はステップf)の前に実施され、ステップa)は任意にステップb)の前に実施され、ステップe)における前記第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給及び任意でステップa)における前記第1成形コンパウンドの第1量の供給は、ステップc)における前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の供給とは時間的又は空間的に分離されて実施される。
【0022】
さらに提案されているのは、内部を有するバレルと、スクリューと、ノズルを含む正確に1つの射出ユニットを備え、前記スクリューは、回転可能であり、後方位置に比べてスクリュー先端部と前記ノズルとの間の距離が短い前方位置と後方位置の間で、前記バレルの縦軸方向に移動可能なように前記バレル内に配置され、ノズルヘッド及びノズル本体を含む前記ノズルが、前記バレルに解放可能に接続され、前記ノズルヘッドは、各ダクトの第1端部で前記ノズルの出口開口部に接続され及び各ダクトの第2端部で前記バレルの前記内部に接続された少なくとも2つのダクトを有し、前記少なくとも2つのダクトは前記ノズルヘッドを通って湾曲に延びている、マーブル模様の成形品の製造装置である。ノズルヘッドは、ノズルキャップと呼ばれることもある。出口開口部は、射出成形型に面するノズルの側面に配置される。出口開口部を通して、第1成形コンパウンドと少なくとも1つの成形コンパウンドは、射出成形型に射出される。
【0023】
マーブル模様の成形品を製造するために、本発明の方法を実行するための装置を使用することが優先される。本装置は、射出成形機、すなわち、一成分射出成形機である。
【0024】
第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの供給を時間的又は空間的に分離させることにより、可塑化中に第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの均質化は制限され、定義された色の境界と再現性のあるマーブル模様のパターンが製造される成形品で見える。第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの添加は、連続的又は離散的(discrete)を指すことができる。したがって、第1成形コンパウンドは、ノズルとスクリュー先端部の間の空きスペースに射出される前に、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド中に不均質に分布される。
【0025】
ノズルの形状に応じて、定義された、再現性のある、つまり繰り返し製造可能なパターンが、製造されるマーブル模様の成形品の少なくとも1つの可視面で確立される。
【0026】
再現性のあるマーブル模様のパターンとは、異なる成形品が互いに比較されたときに、それらが同じ方法及び同じ装置によって製造された場合に差異が人間の目では明確に違いとして感受されないパターンを意味すると理解される。本発明に従って製造される成形品は、確実に再現され、明白なパターンを有する。これは、特に、成形コンパウンドの定義された供給によって達成される。
【0027】
本発明に従って製造されるマーブル模様の成形品は、特に消費財分野における装飾目的に有用である。マーブル模様の成形品は、完全にマーブル模様付けされてもよく、又は、少なくとも1つのマーブル模様の可視面を含んでいてもよい。マーブル模様の成形品は、3次元であってもよく、又は平面的であってもよい。マーブル模様の成形品は、好ましくは、ボウル、皿、カップ、ハンドルもしくはトイレの便座などの家庭用品、ノートパソコンのカバー又は電話もしくはスマートフォンの保護ケースなどの消費財、回転ディスクもしくは回転コマなどの玩具、ボタンなどのファッション業界のアクセサリー、又は、バイザーもしくはカバーなどの車内装飾品である。
【0028】
第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、射出ユニットのバレルに供給され、スクリューの回転によって搬送方向にノズルに向かって前方に搬送される。これは、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドを可塑化する。少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドと、任意に第1成形コンパウンドは、ノズルとスクリュー先端部の間の空きスペースに蓄積し、スクリューをバレル内の後方位置に軸方向に後方に移動させる。好ましくは、本発明の方法で使用されるスクリュー射出成形機は、正確に1つの射出ユニットと、より好ましくは正確に1つのバレルと、さらに好ましくは正確に1つのスクリューを備える。本発明の装置は、好ましくは、正確に1つのバレルと、さらに好ましくは正確に1つのスクリューを備える。
【0029】
供給は、第1成形コンパウンド又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドが、例えば漏斗を介してバレルに、特にスクリューに到達することにより、計量としても参照される。第1成形コンパウンドと少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、時間的又は空間的に互いに分離して、部分として供給される。「部分として」とは、第1成形コンパウンド及び好ましくは少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドも、離散的な部分の形態で、すなわち第1量又は第2量の形態で不連続的にバレルに供給されることを意味する。
【0030】
可塑化は、スクリューによって第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドをノズル方向に搬送し分配すること、及び、少なくとも一部がそこで溶融することをも指す。好ましくは、第1成形コンパウンドの少なくとも一部と、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの少なくとも一部は、ステップd)の可塑化中に、完全に溶融される。
【0031】
ステップc)における少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の供給は、ステップb)におけるスクリューの前進の後に実施されることが好ましい。
【0032】
さらに好ましくは、ステップc)における第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給、及び任意でステップa)における第1成形コンパウンドの第1量の供給は、ステップb)の前進が開始される前に完了される。さらに、ステップb)における前進は、好ましくは、ステップc)における少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の供給が開始される前に、完了される。
【0033】
第1成形コンパウンドは、好ましくは、最初にスクリューと接触し、次に、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドと接触する。
【0034】
第1成形コンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、別々に、直接バレルに、特に計量システムを備えたスクリューに直接供給されることができる。
【0035】
さらに好ましくは、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の供給は、スクリューが前方位置にあるときに開始される。スクリューは、好ましくは、ノズル方向に最大限に動かされたときに、前方位置にある。
【0036】
少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド、特に少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量は、連続的に供給されることができる。好ましくは、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量は、少なくともステップd)における可塑化中は、連続的に供給される。
【0037】
特に、ステップe)における第1成形コンパウンドの新たな第1量及び任意でステップa)における第1成形コンパウンドの第1量が、ステップc)における少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の供給から空間的に分離されて供給される場合、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量は、ステップe)における第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給中、及び、任意にステップa)における第1成形コンパウンドの第1量の供給中は、連続して供給されることが可能である。
【0038】
ステップe)における第1成形コンパウンドの新たな第1量及び任意にステップa)における第1成形コンパウンドの第1量が、ステップc)における少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の供給から空間的に分離されて実施される場合、第1成形コンパウンドの第1量又は新たな第1量は、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量よりノズルからより長い距離で供給されることが好ましい。
【0039】
可塑化後、スクリューの回転は好ましくは停止され、そしてスクリューは搬送方向の前方位置に前進され、可塑化された第1成形コンパウンド及び可塑化された少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドが、ノズルを通して、射出成形型の内部としても参照されるキャビティに押し出される。
【0040】
スクリューが後方位置にある時におけるスクリューへの第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給は、射出の操作のリズム又はタイミングによってパターン形成の同期を実現し、したがって、連続的に製造されるマーブル模様の成形品のパターンの再現性を確かにする。より好ましくは、第1成形コンパウンドの第1量が供給される間、スクリューは後方位置に静止している。
【0041】
空きスペースへの射出前のノズルとスクリュー先端部の間に存在する、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド及び任意の第1成形コンパウンドを含む可塑化成形されたコンパウンドの体積は、ショット体積とも呼ばれる。
【0042】
ステップf)における射出の後、バレルは再び充填される。少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量が供給され、再び可塑化が行われ、スクリューが後方位置に戻る。その後、第1成形コンパウンドの第1量が供給され、再び射出が行われる。
【0043】
可塑化は、好ましくは、ステップa)において第1成形コンパウンドの第1量が供給されるときに、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド及び任意の第1成形コンパウンドについて、少なくとも1回、より好ましくは少なくとも2回、特に少なくとも4回完了されている。好ましくは、ステップa)において第1成形コンパウンドの第1量が供給されるときに、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド及び任意に第1成形コンパウンドはバレル内に存在する。
【0044】
好ましくは、第1成形コンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、バレルの後方部分に供給される。後方部分は、好ましくはバレルの全長の50%以下、より好ましくはバレルの全長の20%以下の、ノズルから離れたバレルの端部を意味すると理解される。第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、同じ位置又は異なる位置もしくは供給開口部でバレルに供給されることができる。より具体的には、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、同じ供給開口部の様々な位置でバレルに供給される。
【0045】
第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、粉末、ペレット又はプラスチックコンパウンドの形態で供給されてよい。第1成形コンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、それぞれ、均質な混合物及び/又は不均質な混合物の形態をとってよい。
【0046】
好ましくは、第1成形コンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、ペレットとして供給される。ペレットは、一般に、例えば円柱状又はレンズ状であり、好ましくは1mm~10mm、より好ましくは3mm~6mmの最大長を有する、自由流動性固体状態材料を指す。
【0047】
第1成形コンパウンドは、第1ポリマーコンパウンドと第1着色剤を含む第1ペレット材料を含んでいることが好ましい。第1ペレット材料は、着色ペレット材料とも呼ばれることがあり、好ましくは上流ステップで製造される。第1成形コンパウンドは、マーブル模様付けバッチ又はマーブル模様付け濃縮物とも呼ばれることがある。
【0048】
特に、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、供給される前、少なくとも2つのさらなるペレット材料、特に第2ペレット材料及び第3ペレット材料を含む混合物を含むことができる。少なくとも1つのさらなるポリマーコンパウンドは、第2ペレット材料中に存在してよく、少なくとも1つのさらなる着色剤は、第3ペレット材料中に存在してよい。
【0049】
好ましくは、マーブル模様の成形品は、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドとから構成される。
【0050】
スクリューは、好ましくは、取入れ部、圧縮部及び計量部(排出部又は均質化部とも呼ばれることがある)を有する。
【0051】
スクリューは、好ましくは、シングルフライトスクリューである。スクリューは、特に、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドが搬送される、正確に1つのフライトを有する。さらに好ましくは、スクリューは、フラットスクリューフライトを有する。
【0052】
取入れ部のフライト深さはスクリュー外径の0.05~0.15倍、計量部のフライト深さはスクリュー外径の0.025~0.075倍が好ましい。圧縮率(スクリューの取入れ部のフライト容積対スクリューの計量部のフライト容積の間の比率を指す)は、好ましくは少なくとも2、より好ましくは2を超える。スクリューは、好ましくはスクリュー外径の20倍から23倍の範囲内の長さを有する。低スクリューフライトは、同じ直径に対して少ない材料が収容されるという利点を有する。
【0053】
本発明の装置のスクリューは、好ましくはノズルとスクリューフライトの間に配置された逆止弁を備えてよい。スクリュー先端部は、羽根、特に3~4つの羽根を有していてよい。
【0054】
射出ユニットは、好ましくは、加熱装置を備える。加熱装置は、バレルを完全に、好ましくは部分的に取り囲むことができる。ノズルもまた、加熱装置を含んでよい。加熱装置は、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの溶融を助ける。
【0055】
好ましくは、射出成形ステップg)における第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの冷却は、ステップd)におけるバレル内の第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの可塑化と同時に行われ、及び任意に、ステップc)における少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の供給と少なくとも部分的に同時に行われる。
【0056】
好ましくは、ステップc)~h)は、複数のマーブル模様の成形品を連続的に製造するために、1回より多く、より好ましくは3回以上、さらに好ましくは4回以上、特に好ましくは5回以上繰り返される。好ましくは、ステップa)~f)は、指定された順序で実施される。
【0057】
さらに、ステップf)における射出は、好ましくはある射出頻度で繰り返され、各射出又は前進は1ショットと呼ばれることがある。さらに、ステップe)における第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給は、好ましくはある供給頻度で繰り返される。供給頻度は、好ましくは、射出頻度から変化するが、10%以下、さらに好ましくは5%以下、特に好ましくは1%以下だけ変化するように選択される。これに対応して、ステップe)における第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給は、特に好ましくは、ステップf)における射出のサイクルで実施される。この場合、ステップe)における第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給は、好ましくは、ステップf)における射出から時間遅れで行われる。より好ましくは、供給頻度は、射出頻度と等しい。この場合、第1成形コンパウンドの第1量の供給は、常に、射出又は前進から同じ時間遅れで行われる。
【0058】
マーブル模様の成形品(単数)の場合、ステップe)における第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給及び/又はステップa)における第1成形コンパウンドの第1量の供給は、ステップc)における少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量を供給する前又は後に実施され得る。
【0059】
第1成形コンパウンドと同様に、バレルは、少なくとも2つのさらなる成形コンパウンドを供給されることができ、それによってさらにマーブル模様のパターン(単数)を有する多色の成形品を製造することが可能である。少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、複数の部分に分割されてよく、この場合、該複数の部分はそれぞれ連続的又は段階的に供給されることが好ましい。
【0060】
射出成形型は、様々な種類のゲートを含むことができる。好ましくは、射出成形型は、ホットランナー、スプルーゲート、フィルムゲート、ディストリビューター及びトンネルゲートからなる群から選択されるゲートを備える。射出成形型は、好ましくは、スプルーゲートを有する。
【0061】
ステップf)での射出後、保持圧力は、射出成形型内の成形品上のスクリューによって加えられ得る。保持圧力は、好ましくはステップd)での可塑化の前に加えられる。射出成形型の成形品上のスクリューによって保持圧力が加えられている間は、スクリューは、バレル内の前方位置にあるか、又は成形品の冷却過程における材料の収縮を補うように、より多くの可塑化された成形コンパウンドを射出成形型に押し込むために、搬送方向にまだ移動中であるのが好ましい。
【0062】
少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量は、好ましくは、保持圧力が射出成形型に加えられている間に、ステップc)で供給される。より好ましくは、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量は、保持圧力の作用開始時にステップc)で供給される。
【0063】
好ましくは、キャビティの内部容積に対する、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドによって占有され得るバレルの最大内部空き容積の比率は、15以下、より好ましくは10以下、さらに好ましくは5以下、特に2~5である。バレルの最大内部空き容積は、メルトダクトと呼ばれることがある。バレルの最大内部空き容積は、好ましくは、バレルのシリンダー内部容積から、バレル内に存在するスクリューによって占有される容積を差し引いたものを表す。
【0064】
好ましくは、供給開口部の下、特にスクリュー上の内部空き容積は、第1成形コンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド、又は、第1成形コンパウンドのペレット及び/又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドのペレットによって、0体積%~80体積%、より好ましくは10体積%~50体積%の範囲でのみ満たされる。これは、アンダーフィードとも呼ばれることができ、そこでは、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、スクリューによって搬送可能な最大質量流量と比較して減少した質量流量で供給される。
【0065】
これに対応して、バレル及びスクリューは、特に射出の前では、射出ユニットにおいて好ましくは15ショット以下、より好ましくは10ショット以下、さらに好ましくは5ショット以下、特に2~5ショットであるように設計される。
【0066】
小さいバレルの内部空き容積は、射出ユニットにおける第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの短い滞留時間を生じ、これは第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの均質な混合を妨げ、したがって、マーブル模様のパターンの生成を促進する。バレル内の第1成形コンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの滞留時間は、好ましくは1秒~15分、より好ましくは0.1分~4分、特に好ましくは0.5分~2分の範囲内である。
【0067】
本発明の方法の利点により、第1成形コンパウンドは、混合の程度をできるだけ制限するために、バレル内の少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドとできるだけ遅く接触する。対応するバレル小さな内部空き容積により、滞留時間の減少も、第1成形コンパウンドと少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの混合を最小限にする。
【0068】
好ましくは、マーブル模様の成形品の質量に対する、第1成形コンパウンドの第1量の質量と少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の質量の合計の比率は、0.5~1.5、より好ましくは0.8~1.2、さらに好ましくは0.9~1、特に好ましくは1である。この比率は、例えば、マーブル模様の成形品の製造において、少なくとも1つのスプルーが存在し、このスプルーも第1成形コンパウンド及びさらなる成形コンパウンドを含むが、製造後にマーブル模様の成形品から除去されてマーブル模様の成形品の一部ではない場合に、1よりも大きくなる。1未満の比率は、例えば、インサート、特に金属インサートが成形品に組み込まれる場合、又は異なる硬度を有し得る2成分成形品が製造され、最初に第1成分、次に第2成分(第1成分及び/又は第2成分がマーブル模様を有する)がキャビティに射出される場合に存在し得る。1に近い比率のおかげで、マーブル模様、特にリング又は頂点などのマーブル模様のパターンの個々の要素が、連続して製造されるマーブル模様の成形品において比較可能な位置に配置され、つまり、異なるマーブル模様の成形品にわたるマーブル模様の再現性が、特に特定の質量比が成形品のサイズ及び射出のリズムに一致するため、最適化されることを意味する。異なる射出操作による異なるパターンの隠蔽が回避される。
【0069】
これに対応して、各ショットは個別に添加されることが好ましく、1ショットの第1成形コンパウンドと同じショットの少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、空間的又は位置的に分離したステップe)及び任意にa)又はc)において供給される。第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの添加は、好ましくは特定の量で行われ、すなわち、第1量及び第2量は、正確に1ショットのために十分である。
【0070】
好ましくは、第1量の第2量に対する質量比は、0.1未満、より好ましくは0.01未満、特に0.001未満である。第1成形コンパウンドは、ベースコンパウンドを構成する少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドにおいて、マーブル模様のパターンを形成する役割を果たす。
【0071】
好ましくは、第1成形コンパウンド中の第1着色剤の第1濃度の、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド中の少なくとも1つのさらなる着色剤のさらなる濃度に対する比率は、20超、より好ましくは50超、特に100超である。これに対応して、第1着色剤が、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド中に任意に存在する少なくとも1つのさらなる着色剤よりも、第1成形コンパウンド中でより高い濃度である場合が好ましい。少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドが第1成形コンパウンドと接触する前に、少なくとも1つのさらなる着色剤で既に着色されていてよい。
【0072】
好ましくは、第1成形コンパウンドは、第1成形コンパウンドに基づいて、10質量%~60質量%、より好ましくは20質量%~40質量%の第1着色剤を含んでいる。少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドに基づいて、好ましくは0.1質量%~6質量%、より好ましくは0.2質量%~4質量%の少なくとも1つのさらなる着色剤を含んでいる。
【0073】
上述の濃度比により、マーブル模様のパターンの良好な視認性と鮮明さが確保され、パターンの再現性を助ける。
【0074】
第2量は、1つ又は複数のさらなる成形コンパウンドを含んでよい。第1ポリマーコンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなるポリマーコンパウンドは、好ましくは熱可塑性成形コンパウンドである。より好ましくは、第1ポリマーコンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなるポリマーコンパウンドは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリールエーテルスルホン(PSU、PESU、PPSU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリラクチド(PLA)、ポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)などのスチレン含有ポリマー、又はそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーを含む。少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド及び任意で第1成形コンパウンドは、充填された又は強化された成形コンパウンドであってよい。より具体的には、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド及び任意で第1成形コンパウンドは、タルク、ガラスビーズ、又は、ガラス繊維又は炭素繊維などの繊維、などの少なくとも1つの充填材を含んでいてよい。
【0075】
より好ましくは、第1ポリマーコンパウンド中に存在するポリマーは、少なくとも1つのさらなるポリマーコンパウンド中にも存在する。さらに好ましくは、第1ポリマーコンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなるポリマーコンパウンドはPBTを含み;より好ましくは、第1ポリマーコンパウンド及び少なくとも1つのさらなるポリマーコンパウンドはPBTを含む。
【0076】
第1着色剤及び/又は少なくとも1つのさらなる着色剤は、処理中に、第1成形コンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドに可溶であってよく、又は不溶であってもよい。第1着色剤及び/又は少なくとも1つのさらなる着色剤は、好ましくは着色顔料である。第1着色剤は、好ましくは、黒色着色剤である。第1着色剤は、好ましくは、カーボンブラック又はニグロシンなどのジアミノフェナジンコンパウンドを含む。より好ましくは、第1着色剤は、カーボンブラック又はニグロシンなどの少なくとも1つのジアミノフェナジンコンパウンドからなる。少なくとも1つのさらなる着色剤は、好ましくは、青色着色剤、緑色着色剤、黄色着色剤、赤色着色剤、ベース着色剤、オレンジ色着色剤、白色着色剤、灰色着色剤、茶色着色剤、又は金色着色剤である。
【0077】
第1成形コンパウンド及び/又は少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの(それぞれが可塑化された形態における)粘度は、50Pa・s~1000Pa・sの範囲内であることが好ましい。
【0078】
ノズルの上流における可塑化された成形コンパウンドの射出成形型への射出速度は、好ましくは25cm3/s超、より好ましくは50cm3/s~100cm3/s、特に60cm3/s~80cm3/s、例えば70cm3/sである。背圧(典型的にはバレル内の空きスペースの圧力を指す)は、好ましくは1バール~100バール、より好ましくは10バール~70バール、さらに好ましくは20バール~50バールである。
【0079】
ノズル温度は、好ましくは150℃~450℃であり、より好ましくは180℃~400℃である。スクリュー先端における第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドは、好ましくは150℃~450℃、より好ましくは180℃~400℃の範囲の温度を有する。射出圧力は、好ましくは400バール~1000バールである。
【0080】
ノズルヘッドは、好ましくは2つ~8つ、さらに好ましくは3つ~8つ、より好ましくは3つ~6つ、例えば3つ、4つ又は6つのダクトを有し、これらは、孔、通路又はボアとも呼ばれ得る。好ましくは、ダクトの半径横断面の中心は、互いに等距離にある。ダクトの形状、数及び配置は、生成されるマーブル模様パターンの幾何学形状に影響を与える。好ましくは、少なくとも2つのダクトは、ノズル本体の通路ボアによって各ダクトの第1端部に接続され、ノズル本体の通路ボアは、バレルの内部に接続される。これに関連して、「接続される」とは、流体的に接続されていることを意味すると理解され、これはまた、連通していると呼ばれ得る。
【0081】
好ましくは、ダクトは、その第1端部と第2端部との間では互いに離間している。より具体的には、少なくとも2つのダクトはそれぞれ、その第1端部によってノズルヘッドの前端面へ、及び、その第2端部によってノズルヘッドの後端面へ別々に開口している。より具体的には、少なくとも2つのダクトは、それらの第1端部とそれらの第2端部との間では、互いへの通路及び/又は開口を有していない。これに対応して、好ましくは、ダクト間で可塑化された成形コンパウンドの交換はノズルヘッド内で行われず、代わりに、第1成形コンパウンド及び少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドを含む可塑化された成形コンパウンドは、個々のダクトを通って別々に押し出される。これに応じて、好ましくは、ダクトを通して追加の混合は行われない。2つの別々のダクトは、このように、第1成形コンパウンドとさらなる成形コンパウンドの均質な混合を妨げ、したがって、再現性が支援される。
【0082】
少なくとも2つのダクトは、少なくとも本発明の方法において、ノズルヘッドを通って直線状及び/又は湾曲状の軌道で延びていてよく、又はそれぞれが特に少なくとも一部においてスパイラルを形成してもよい。マーブル模様の成形品を製造するための本発明の装置では、少なくとも2つのダクトは、ノズルヘッドを通って湾曲状に延びている。好ましくは、本発明の方法における少なくとも2つのダクトは、ノズルヘッドを通って湾曲状に延びている。さらに好ましくは、少なくとも2つのダクトは、ノズルヘッドを通って少なくとも部分的に湾曲状に、すなわち単に部分的に又は完全に湾曲状に延びている。
【0083】
少なくとも2つのダクトが、ノズルヘッドを通って真っ直ぐに延びている場合、ダクトはストレートボアと呼ばれることもできる。ここで、ダクトは、好ましくはノズルヘッドの縦軸に平行に延び、及び、好ましくはバレルの縦軸に平行に延びる。これらがヘッドの縦軸に対して傾斜して延びる少なくとも2つの直線ダクトの進行も可能である。傾斜は、可塑化された成形コンパウンドにわずかなねじれを与える(impose)。
【0084】
ダクトはまた、異なる横断面形状及び/又は異なる横断面サイズを有することもできる。
【0085】
好ましい実施形態では、少なくとも2つのダクトは、それぞれ少なくとも部分的にスパイラルを形成している。本発明の文脈におけるスパイラルは、ヘリカルラインとも呼ばれ得る3次元のスパイラルを意味すると理解される。少なくとも2つのダクトによってそれぞれ形成されたスパイラルのおかげで、可塑化された成形コンパウンドにねじれが課され、このねじれは、製造される成形品のマーブル模様のパターンに反映される。より具体的には、少なくとも2つのダクトはそれぞれ中心軸を有し、各ダクトの中心軸は、スパイラル形態でノズルヘッドの縦軸の周りに配置されている。さらに好ましくは、各位置における少なくとも2つのダクトの中心軸は、互いから同じ距離で配置され、さらに好ましくは、ノズルヘッドの縦軸からも同じ距離で配置される。あるいは、少なくとも2つのダクトの中心軸間の距離も変化してよく、搬送方向に増加又は減少してもよい。それぞれの場合における中心軸は、それぞれのダクトの横断面の中心を通る。スパイラルは、搬送方向に右巻きであっても左巻きであってもよい。
【0086】
少なくとも2つのダクトのうちの1つによってそれぞれ形成されるスパイラルは、好ましくは、同じ幾何学形状、例えば同じ傾斜及び巻数を有し、及び、ノズルヘッドの縦軸に関して半径角だけ互いにオフセットされている。前述の傾斜は、特に、例えば一定の傾斜及び一定の直径を有し、次のように定義される傾斜角である:
【数1】
【0087】
式中、α:傾斜角、S:完全に巻線で覆われたノズルヘッドの縦軸方向の距離であって、ピッチ高さとも呼ばれる、D:スパイラルの直径、である。
【0088】
スパイラルは、好ましくは、少なくとも1つの位置での70°未満の傾斜を有する。
【0089】
少なくとも2つのダクトのうちの1つによって形成されるスパイラルは、それぞれの場合において、一定の傾斜を有していてよい。一定の傾斜は、好ましくは5°~60°未満、さらに好ましくは10°~40°、特に好ましくは15°~30°の範囲内である。例えば、一定の傾斜は、20°である。
【0090】
好ましくは、スパイラルは、少なくとも2つの異なる位置のそれぞれで異なる傾斜を有する。スパイラル上の少なくとも2つの異なる位置は、好ましくは、ノズルの出口開口部から異なる距離を有する。好ましくは、第1位置におけるスパイラルの第1傾斜は、第2位置におけるスパイラルの第2傾斜と少なくとも20°異なり;好ましくは、第1傾斜と第2傾斜の差、特に最大差は、30°超90°未満であり、例えば60°である。
【0091】
好ましくは、スパイラルの傾斜は、ノズルの出口開口部の方向に向かって減少する。例えば、スパイラルの傾斜は、例えば、可塑化された成形コンパウンドの搬送方向において、例えば、70℃を超えるバレルに比較的近い第2端面における第1位置から、30°未満のノズルの出口開口部に近い第1端面における第2位置へ、変化することができる。可塑化された成形コンパウンドの搬送方向での急傾斜から緩傾斜への変化、特に連続的な変化は、流れに関する好ましい進入と、同時に、少なくとも2つのダクトからの出口における顕著なねじりの適用を可能にする。
【0092】
好ましくは、スパイラルは旋回数(rotations)とも呼ばれる巻数を有し、巻数はさらに好ましくは0.25超~5の範囲内である。これに対応して、スパイラルは、好ましくは、90°超~1800°の旋回角をカバーする。さらに好ましくは、巻数は0.25超~3の範囲内であり、特に0.50超~3の範囲内、例えば0.51~2の範囲内である。
【0093】
少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは正確に3つのダクトがスパイラル形態である場合、各ダクトの第1端部は、さらなる実施形態において、好ましくは、ダクトの第2端部に対して45°~180°、より好ましくは90°~180°、特に好ましくは110°~130°、例えば120°の角度だけ半径方向にオフセットされている。スパイラル形態のダクトは、巻きボアと呼ばれることもある。
【0094】
少なくとも2つのダクトがそれぞれ少なくとも部分的にスパイラルを形成している場合、少なくとも2つのダクトはそれぞれ、例えば、スクリューフライト、又は、湾曲ボアとも呼ばれる巻きボアとして設計されることができる。
【0095】
少なくとも2つのダクトがスクリューフライトとして設計されている場合、少なくとも2つのダクトを互いから分離するノズルヘッドの一部は、複数の羽根を形成することができる。より具体的には、羽根の数は、少なくとも2つのダクトの数に等しく、この場合、ダクトは横断面においてランドによって互いから分離される。
【0096】
スクリューフライトとしての、少なくとも2つのダクト、好ましくは少なくとも3つのダクト、より好ましくは正確に3つのダクトの設計は、いずれの場合も、ノズルの中心縦軸に沿って半径方向に旋回する多羽根、好ましくは3羽根ランドが円筒形ボア、特に円筒形フローダクトボア内に配置されているように説明されることもできる。さらに好ましくは、少なくとも2つのダクトは、それぞれがそれぞれの外面の一部である、同心円状に配置された2つのシリンダーによって囲まれている。より具体的には、少なくとも2つのダクトは、同心円状に配置された同じ2つのシリンダーによって囲まれている。
【0097】
少なくとも2つのダクトは、異なる横断面形状及び/又は異なる横断面サイズを有していてよい。少なくとも2つのダクトは、好ましくは、同じ横断面形状及び同じ横断面サイズを有している。
【0098】
ダクトは、好ましくは、それぞれ、ノズルヘッドの半径横断面において、円形、楕円形、リングセグメント形、又は多角形、例えば六角形もしくは三角形などの横断面、好ましくは三角形横断面を有する。三角形横断面は、少なくとも1つの湾曲した側辺を有し得る。少なくとも1つの湾曲した側辺を有する三角形横断面は、例えば、少なくとも2つのダクト、好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは正確に3つのダクトでの実施において、それぞれの場合に、1つのスクリューフライトの形をとる。リングセグメントは、好ましくは、100°~180°の範囲内の角度をカバーする。特に、少なくとも2つのダクトの数が少なくとも4つである場合、リングセグメントの角度は100°未満であり得る。ダクトが三角形横断面を有し、少なくとも2つのダクトの間に介在する壁がスクリューフライトとして形成されている場合、これは、ホットランナーが、円筒形の中央メルトダクトボア(その中に少なくとも2つのダクトを互いから分離する羽根に対応するスピンドルが配置されている)を有しているというように説明されることもできる。少なくとも2つのダクトがそれぞれ巻きボアとして設計されている場合、少なくとも2つのダクトはそれぞれ、好ましくは円形、楕円形又は多角形、例えば六角形の横断面を有する。
【0099】
少なくとも2つのダクトが配置されたノズルヘッドのセクションの横断面は、好ましくは、総面積に対する流動可能な面積の比率であって、40%~80%、さらに好ましくは50%~75%である開口率を有している。開口率の計算は、好ましくは、横断面、特に円形横断面に基づいており、その半径はノズルヘッドの縦軸から少なくとも2つのダクトの壁の最大距離に対応する。開口率は、例えば、それぞれが90°~30°の可変傾斜を有するスクリューフライトの形のスパイラルを形成する2つのダクトの場合には、68%であり得、それぞれが90°~30°の可変傾斜を有するスクリューフライトの形のスパイラルを形成する3つのダクトの場合には、51%であり得る。好ましくは、第1端面及び第2端面において、少なくとも2つのダクトに流入又は少なくとも2つのダクトから流出するのに利用可能な面積は、本質的に同じである。これに対応して、少なくとも2つのダクトの入口面積及び出口面積は、好ましくは、それぞれの場合において、入口面積に基づいて、好ましくは30%未満、より好ましくは10%未満、特に好ましくは5%未満だけ、互いに異なっている。これは、少なくとも2つのダクトの個々のダクトと、少なくとも2つのダクトの入口面積と出口面積の合計とに関連する。
【0100】
ノズルヘッドは、ワンピース型であってもよいし、マルチピース型であってもよい。「ワンピース型で」とは、より具体的には、ワンピース型部品が連続材料から製造され、特にいかなる結合も、例えば溶接継ぎ目及び/又ははんだ継ぎ目を有しないことを意味する。例えば、少なくとも2つのダクトの壁は、特にそれらが羽根の形態である場合、インサートの中空円筒形基本形状に、又は中央配置のインサートの完全な円筒形の部分に成形することができる。連続材料とは、ワンピース型部品全体にわたって均質な組成を有する材料を意味すると理解される。ワンピース型部品は、特に複数の層又は複数の部分で構成されておらず、及び/又は、さらなる材料のコーティングを有していない。
【0101】
ノズルヘッドは、好ましくは円筒形であるインサートを含み、少なくとも2つのダクトは、さらに好ましくはインサート内に配置される。したがって、異なるダクト進行を有し得る様々なインサートを有するノズルヘッドを使用することが可能であり、これにより、1マシーンにおけるマーブル模様パターンの構成の高い柔軟性を可能にする。異なるインサートは、ノズルヘッドにおいて必要に応じて交換され得る。インサートは、好ましくはノズルヘッド内の好ましくは中央の円筒形ボアと正確にフィットするように設計される。インサートの使用は、同じスクリュー射出成形機において迅速なシーケンスで異なるマーブル模様パターンの作成を可能にする。
【0102】
インサートは、さらに好ましくは、ワンピース型である。特に、好ましくは完全に閉じている少なくとも2つのダクトの外面、好ましくは全ての外面は、ワンピース型のインサートによって囲まれている。少なくとも2つのダクトの横断面において、第1端面及び第2端面は、インサートの材料を含まず、したがって、可塑化された成形コンパウンドは第1端面及び第2端面を通過できる。
【0103】
さらに、提案されているのは、本発明の装置を製造するための方法であり、そこでは、少なくともノズルヘッド又は少なくともインサートが、付加製造法、特に3D印刷の手段によって製造される。付加製造法による少なくとも2つのダクトの製造は、より複雑な、特に湾曲したスパイラル状の進行、例えばスクリューフライトを有するダクトの製造を可能にする。さらに、この製造は、鋳造部品の場合と同様に、マーブル模様パターンに好影響を与える表面粗さをもたらす。好ましくは、付加製造法は、それぞれの場合で0.08mm~0.2mm、例えば0.1mmの層高さを有する層を生成する。
【0104】
さらに、本発明の装置、又は少なくともノズルヘッド、もしくは少なくともインサートの製造は、付加製造法により、少なくとも2つのダクトを通る流れに利用され得るより大きな面積を達成するために、アンダーカットを生成することを可能にする。本発明の文脈でアンダーカットとは、インサートメルトダクトの直径が搬送方向で増加することを意味する。より具体的には、第2端面に配置される中央配置のインサートメルトダクトは、搬送方向に増大する直径を有することができる。
【0105】
付加製造法はまた、少なくとも2つのダクトがアンダーカットを有し、それぞれが特に0.5超の巻きを有するダクトの製造を可能にする。少なくとも2つのダクトに関するアンダーカットは、ダクトの横断面が軸方向投影で第1端面及び第2端面において重ならないことを意味すると、特に理解される。
【0106】
使用される付加製造法は、レーザー溶接法、又は、溶融堆積モデリング(FDM)もしくは溶融フィラメント製造(FFF)などの溶融積層法を含んでよい。ノズル又はノズルの部品、特に少なくともノズルヘッド又は少なくともインサートの製造のために、材料として、金属射出成形供給材料(MIM供給材料)、例えばCatamold(登録商標)などを使用することが可能である。MIM供給材料は、様々な鋼種、例えばステンレス鋼又は工具鋼などを含み、その結果、製造されるワンピース型部品、特にインサートは最終用途に特に適合させることができる。
【0107】
好ましくは、ノズル、ノズルヘッド及び/又は少なくともインサートは、金属含有粉末から製造される。さらに好ましくは、ノズル、ノズルヘッド及び/又は少なくともインサートは、組成物に基づいて、30体積%~70体積%、より好ましくは40体積%~60体積%の少なくとも1つの無機粉末と、30体積%~70体積%、より好ましくは40%~60体積%の少なくとも1つのバインダーを含む組成物から製造される。少なくとも1つの無機粉末の粒径は、好ましくは0.5μm~50μm、より好ましくは0.1μm~30μmである。さらに、少なくとも1つの無機粉末は、好ましくは、金属、金属合金、セラミック材料の前駆体コンパウンド、又はそれらの混合物を含む。より好ましくは、少なくとも1つの無機粉末は、金属、金属合金、セラミック材料の前駆体コンパウンド、又はこれらの混合物からなる。少なくとも1つのバインダーは、好ましくは、ポリマー組成物、特にPOMを含む。さらに好ましくは、少なくとも1つのバインダーは、POMからなる。組成物は、ペレット又はフィラメントの形態で使用されることができる。
【0108】
ノズルは、ニードルバルブノズル又はオープンノズルとして設計されることができる。オープンノズルは、ノズルヘッドと、単一の直線状の中央ボアを有するノズル本体とを含む。ニードルバルブノズルのノズル本体は、ニードル用の受容装置を備えており、該受容装置は、好ましくは、2つのランドを介してノズル本体に接続されている。
【0109】
インサートと同様に、ノズルヘッドは、ノズルヘッド内のインサートの位置決め及び固定に役立ち得る1つ、2つ又はそれ以上のディスクを有してよい。より好ましくは、インサートは2つのディスクの間に配置される。ディスクは、好ましくは、中央ボアを有する。
【0110】
再現性あるようにマーブル模様の成形品を製造するための本発明の方法の実施のためには、任意の種類のノズルが使用可能である。モデルの構成に応じて、異なるモデリングパターンが成形品に生成される。
【0111】
例えば、ニードルバルブノズルの使用は、非常に顕著なマーブル模様パターンさえもたらす。マーブル模様パターンの特定の形状は、ニードルバルブノズルのホルダの形状、及び同様にスクリュー先端部の形状によって影響される。スクリュー射出成形機の内部の異なる形状構成のために、可塑化された成形コンパウンドに異なるウェルドラインが発生し、これはマーブル模様パターンを決定的に決定する。
【0112】
少なくとも2つのダクトを有するノズルヘッドは、オープンノズルと組み合わせて使用されることができる。中央ボアを有するノズルヘッドは、ニードルバルブモデルと組み合わせて使用されることができる。
【0113】
より具体的には、ノズルは、バレルよりも小さい外径を有する。ノズルは、特に、ねじ接続によってバレルに解放可能に接続されている。さらに、少なくとも1点において、ノズルの内部空き横断面は、バレルの内部空き横断面より小さい。バレルは、製造される製品に依存して異なる内径を有する。内径は、例えば、10mm~150mmの範囲内、又は25mm~50mmの範囲内、例えば25mm又は30mmの範囲内である。出口開口部は、例えば、1.5mm~10mm、又は3mm~6mm、例えば5mmの直径を有する通路を有する。
【0114】
少なくとも2つのダクトがないオープンノズルを使用した場合、円形の均一な色分布を見ることができる。オープンノズルのみを使用することによって発生する光学効果は、同心円と表され得る。少なくとも2つ、例えば3つ、4つ、又は6つのダクトが使用される場合、円形構造は妨げられ、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド中に第1成形コンパウンドのわずかな渦を見ることができる。ウェルドラインを発生させるダクトの数に対応する縞の数は明らかである。
【0115】
少なくとも2つのダクトを、円形又は楕円形の半径横断面を有するスパイラルとして実行することにより、少なくとも1つのさらなる成形組成物における第1成形組成物の渦が強化される。少なくとも2つのダクトがそれぞれスクリューフライトとして実行される場合、縞の形態の波が、非常に良好な再現性を有するマーブル模様パターンとして形成される。
【0116】
バレルに、第1成形コンパウンドだけでなく、少なくとも2つのさらなる成形コンパウンドを供給される場合、各さらなる成形コンパウンドは、さらなるポリマーコンパウンド及び任意の少なくとも1つのさらなる着色剤を含んでよい。さらなる成形コンパウンドは、少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドとともに、又はその前又はその後に、任意に直前又は直後にバレルに添加されることができる。少なくとも2つのさらなる成形コンパウンドは、連続的に供給されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0117】
本発明の実施例は図面に示され、続く記載でさらに具体的説明される。本発明はここに記載された実施例及びそこで強調された面に限定されない。むしろその代わりに、請求項に記載された範囲内で、当業者の能力範囲内の多くの可能な変形が存在する。
【0118】
【
図3】スクリュー射出成形機の詳細を示す図である。
【
図7】ノズルヘッドの詳細のさらなる半径断面図である。
【
図8】ノズルヘッドのさらなる実施形態を示す図である。
【
図9】ノズルヘッドのさらなる実施形態の詳細の半径横断面図である。
【
図10】ノズルヘッドのさらなる実施形態の詳細を示す図である。
【
図11】ノズルヘッドのさらなる実施形態の詳細の半径横断面図である。
【
図12】少なくとも2つのダクトの実施形態の正面図である。
【
図13】少なくとも2つのダクトの実施形態の斜視図である。
【
図14】少なくとも2つのダクトの実施形態の正面図である。
【
図15】少なくとも2つのダクトの実施形態の斜視図である。
【
図16】少なくとも2つのダクトの実施形態の正面図である。
【
図17】少なくとも2つのダクトの実施形態の斜視図である。
【
図18】少なくとも2つのダクトの実施形態の正面図である。
【
図19】少なくとも2つのダクトの実施形態の斜視図である。
【
図20】少なくとも2つのダクトの実施形態の正面図である。
【
図21】少なくとも2つのダクトの実施形態の斜視図である。
【
図22】少なくとも2つのダクトのさらなる実施形態の正面図である。
【
図23】少なくとも2つのダクトのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図24】少なくとも2つのダクトのさらなる実施形態の縦方向断面図である。
【
図25】少なくとも2つのダクトのさらなる実施形態の正面図である。
【
図26】少なくとも2つのダクトのさらなる実施形態の斜視図である。
【
図27】少なくとも2つのダクトのさらなる実施形態の縦方向断面図である。
【
図28】アンダーカットを有するインサートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
図1は、射出ユニット5を含むスクリュー射出成形機7の概略図を示している。射出ユニット5は、バレル11、スクリュー先端部15を備えたスクリュー13と、ノズルヘッド37及びノズル本体39を有するノズル17を備える。スクリュー13は、は回転可能であり、バレル11の縦軸19の方向に取り付けられている。スクリュー13は、バレル11内の後方位置23にあり、距離25がノズル17とスクリュー先端部15との間に延在し、したがって、バレル11内のノズルとスクリュー先端部15の間に空きスペース27が存在する。
【0120】
ノズルヘッド37、ノズル本体39及び出口開口部40を有するノズル17は、内部容積33を有するキャビティ29を有する射出成形型9によって隣接されている。さらに、射出成形型9は、射出成形型9への入口開口部8と、キャビティ29へのインレット6を有する。
【0121】
スクリュー13は、計量部47、圧縮部49、及び取入れ部51を有する。バレル11は、縦軸19を有する。スクリュー13は、成形コンパウンドを搬送方向52に空きスペース27に搬送するために使用され得る。空きスペース27は、バレル11の内部35の一部であり、バレル11及びスクリュー13に囲まれている。
【0122】
図2は、
図1の図に本質的に対応する射出成形型9を有するスクリュー射出成形機7の第2概略図を示している。しかしながら、
図2によるスクリュー13は、バレル11内の前方位置21にある。
図1と比較して、距離25は、スクリュー13の前進によって減少している。
【0123】
図3は、射出成形機7の詳細を示す。バレル11内に存在するスクリュー13の取入れ部51の一部が示されている。バレル11は、縦軸19を有し、それに沿ってスクリュー13が移動可能である。スクリュー13は、
図3によると図の後方位置23にある。スクリュー13の一部は、供給開口部53の下にある。示された実施形態では、第1成形コンパウンド及びさらなる成形コンパウンド3は、供給開口部53を介してスクリュー13に供給される。供給開口部53は、第1成形コンパウンド1を供給するための第1領域と、さらなる成形コンパウンド3を供給するための第2領域57を有する。カバー59により、第1領域55と第2領域57との間には第2距離61があり、これによって、第1成形コンパウンド1は、さらなる成形コンパウンド3から空間的に分離して供給される。
【0124】
図4は、出口開口部40を有するノズル17のノズルヘッド37を示している。3つのダクト41を有するインサート42はノズルヘッド37には配置されている。ダクト41は、それぞれスクリューフライトとして設計されている。各ダクト41は、第1端部43及び第2端部45を有している。各ダクト41の第1端部43は出口開口部40と連通し、各ダクト41の第2端部45は、ノズル17に解放可能に接続されているバレル11の内部35と連通している。バレル11は、
図4には示されていないが;それは、出口開口部40から離れたノズル17の側でノズル17に隣接している。
【0125】
図5は、
図4によるノズルヘッド37に配置されたインサート42の半断面図を示している。
【0126】
図6は、
図4及び
図5によるノズルヘッド37の詳細の半径横断面図を示している。インサート42は、3つのダクト41を有し、その第1端部43がそれぞれ三角形横断面63で明らかになっている。
【0127】
図7は、
図5によるインサート42の半径断面図を示している。ダクト41の三角形横断面63は、第1観測面において実線の形態で明らかになっている。三角形横断面63を有するダクト41は、第1観測面の下にある平面で点線によっても示され、その結果、インサート42におけるダクト41の進行が明らかになっている。ランド65は、ダクト41を互いに分離する。
【0128】
図8は、ノズルヘッド37のさらなる実施形態を示している。ダクト41として4つの直線ボアを有するインサート42が、ノズルヘッド37内に配置されている。
【0129】
図9は、
図8によるインサート42の半径横断面図を示している。ダクト41は、円形横断面63を有している。
【0130】
図10は、ノズルヘッド37のさらに他の実施形態を示している。詳細は、ノズルヘッド37内に配置され得るさらなるインサート42を示している。インサート42は、3つのダクト41を有している。3つのダクト41は、円形横断面63を有し、それぞれがスパイラル状の湾曲を有している。各ダクト41の第1端部43は、ダクト41の第2端部45に対して120°だけ半径方向にオフセットされている。各ダクト41の第1端部43は、インサート42が配置されているノズル17の出口開口部40に連通し、各ダクト41の第2端部45は、ノズル17に解放可能に接続されているバレル11(
図10には示されていない)の内部35に連通している。
【0131】
図11は、
図10によるインサート42の半径横断面図を示している。3つのダクト41の円形横断面63が見える。
【0132】
図12から
図21は、インサート42のさらなる5つの実施形態を示し、それらのそれぞれは、上面図又は斜視図で示されている。
図12から
図21において、各場合においてダクト41はスパイラル75を形成し、各ダクト41の中心軸67は各場合においてスパイラル75の形態に配置され、巻き50の特定の数を有している。
【0133】
図12及び
図13によれば、インサート42は、固体シリンダー79によって互いに分割された3つのダクト41を有している。スパイラル75の傾斜は、搬送方向52に、すなわち各ダクト41の第2端部45から第1端部43に向かって減少している。第1位置44には、第2位置48よりも大きな傾斜がある。傾斜は、約90°から約30°の比較的緩やかな傾斜に変化する。これは、流れに関して好ましい進入と、出口において、すなわち各ダクト41の第1端部43において、可塑化された成形コンパウンドに加えられる著しいねじれと、を生じる。そこには一定の空き横断面63があり、したがって一定の開口率がある。スパイラル75はそれぞれ、半巻き50を有し、したがって、2つのダクト41の間のランド65は第1端部43及び第2端部45と比較して180°回転している。
【0134】
図14及び
図15によるインサート42は、2つのダクト41のみが存在することを除いて、
図12及び
図13によるインサート42に対応する。
【0135】
図16及び
図17によるインサート42は、スパイラル75が一定の傾斜を有し、それぞれが、ランド65が第1端部43と比較して第2端部45に向かって約120°回転するように、完全な巻き50の約1/3のみを有することを除いて、
図14及び15によるインサート42に本質的に対応する。傾斜は約60°である。
【0136】
図18及び19によるインサート42は、スパイラル75が約20°の傾斜があるように1.5の巻き50を有することを除いて、
図16及び17によるインサート42に本質的に対応する。
【0137】
図20及び
図21によるインサート42は、
図12及び
図13によるインサート42と類似している。第2位置48よりも第1位置44でより大きな傾斜を有するスパイラル75の形態の3つのダクト41がそれぞれ存在する。
図20及び21によるインサート42のダクト41は、それぞれ部分的にスパイラル75を形成し、ダクト41の第1端部43は第1端面83に開口している。ダクト41のさらなる部分は、直線的に延びており、第2端部41によって第2端面81に開口している。さらに、ダクト41は、六角形横断面63を有する。
【0138】
図22、23及び24で上面図、斜視図及び縦方向断面図でそれぞれ示されるインサート42は、ダクト41が一定の楕円横断面63を有することを除いて、
図25、26及び27によるインサート42に本質的に対応する。楕円としての一定の横断面63により、部分的に円形の横断面63と比較して、横断面63におけるより高い開口率が達成される。
【0139】
図25、26及び27によるインサート42は、ダクト41が可変の横断面63を有することを除いて、
図22、23及び24によるインサート42に対応する。ダクト41は、第2端部45において、及びダクト41の直線部分に沿っても円形横断面63を有する。スパイラル75では、横断面63は、ダクト41の中心軸67の傾斜が縦軸19に相関して増加するため、断面63は円形状から扁平な楕円形状に変化する。
【0140】
図28は、アンダーカット91を有するインサート42を示している。インサート42は、3つのダクト41を含み、それぞれのダクト41は、可変傾斜を有するスパイラル75を形成している。インサート42において、インサートメルトダクト85は、搬送方向52にダクト41の第2端面81で終了している。インサートメルトダクト85は、インサートメルトダクト85の第1直径87が、第2端面81において、インサートメルトダクト85の第2直径89よりも小さくなるように、アンダーカット91を有している。これに対応して、インサートメルトダクト85の直径87,89は、搬送方向52において増加する。
【0141】
実施例
実施例1 ボウルの製造
内径30mmのバレルを備えた1000kNのロック力を有する油圧式射出成形機でデザートボウルを製造するために、第1成形コンパウンドの第1量を各ボウルについて、すなわち各ショットについて提供した。第1成形コンパウンドは、PBT中に25質量%の濃度で黒色着色剤としてカーボンブラックを含む黒色ペレットで構成されていた。第1量は、0.03gの質量を有していた。
【0142】
さらに、さらなる成形コンパウンドの第2量を各ボウルについて供給した。第2量は、55.32gの質量を有していた。さらなる成形コンパウンドは、第2量あたり、55gの着色されていないPBTペレット材料と、0.32gの濃縮形態のさらなる着色剤を含有する着色されているPBTペレット材料を含んでいた。さらなる成形コンパウンドはペレット混合物の形態であり、着色されていないPBTペレット及び着色されているPBTペレットはさらなる成形コンパウンド中で予め混合されていた。
【0143】
10個のボウルが連続して製造され、そしてこのように本工程は数回繰り返された。
【0144】
第1成形コンパウンドの第1量は、後方位置(導入口から空のスクリューフライトが見える)にあるスクリューに加えられた。次に、スクリューを、射出用ノズルに向かって前方位置に移動させた。
【0145】
続いて、さらなる成形コンパウンドの第2量がスクリューに加えられた。スクリューがバレル内の前方位置にある間に、さらなる成形コンパウンドの第2量の添加を開始した。スクリューが回転し、第1成形コンパウンドとさらなる成形コンパウンドは、スクリューが後方位置に戻るまで、可塑化された。可塑化が終了したら、スクリューの回転を停止した。
【0146】
次に、第1成形コンパウンドの第1量が再びスクリューに供給された。次に、可塑化された成形コンパウンドが射出成形型に射出され、そのためにスクリューを前方位置に戻した、すなわち前進させた。射出後、さらなる成形コンパウンドの第2量を再び加え、可塑化を再び行った。
【0147】
対応するように製造されたボウルは、比較可能なマーブル模様パターン、すなわち再現性のあるマーブル模様を示した。
【0148】
同じ工程で、射出成形機の構成が、各構成で再現性のあるマーブル模様パターンを有する10個のボウルを製造するために、それぞれの場合で変更された。ニードルバルブノズル又はオープンノズルをそれぞれの場合で使用した。ノズルヘッドは、それぞれの場合で、単一の中央ボア、3つのストレートボア、4つのストレートボア、6つのストレートボア、それぞれがスクリューフライトとして実行された3つのダクト、又はそれぞれがスパイラル状に湾曲した3つのダクトを備えていた。
【0149】
実施例2 測定カップの製造
マルチカラーのマーブル模様の測定カップが、内径40mmのバレルとオープンノズルを備えた、1000kNのロック力の電気射出成形機で製造された。工程手順は、本質的に実施例1の工程手順に対応していた。
【0150】
各計量カップについて、すなわち各ショットについて、第1成形コンパウンドの第1量がそれぞれの場合に供給された。第1成形コンパウンドも、黒色ペレットからなり、第1量は0.07gの質量を有していた。
【0151】
さらに、3つのさらなる成形コンパウンドの第2量が、計量カップごとに供給された。第2量は、3つの部分に分けられた。第2量の第1部分は、68gのPBTペレット材料と0.67gの濃縮青色PBTペレット材料とからなる第2成形コンパウンドを含んでいた。第2量の第2部分は、68gのPBTペレット材料と0.67gの濃縮緑色PBTペレット材料からなる第3成形コンパウンドを含んでいた。第2量の第3部分は、68gのPBTペレット材料と0.67gの濃縮黄色PBTペレット材料からなる第4成形コンパウンドを含んでいた。全体として、供給された成形コンパウンドは、計量カップの質量に相当した。
【0152】
第1成形コンパウンドの第1量は、後方位置(導入口から空のスクリューフライトが見える)にあるスクリューに加えられた。次に、スクリューを、スクリュー上に既に存在する成形コンパウンドの射出のために、ノズルに向かって前方位置に移動させた。
【0153】
射出後、かつ、可塑化開始前に、第2量の第1部分を添加した。可塑化の全期間の最初の1/3が経過した後、第2量の第2部分を添加した。可塑化を継続し、可塑化の全期間の2/3の後に、第2量の第3部分を添加した。
【0154】
第2量の第3部分を添加した後、第1成形コンパウンドの第1量は、スクリューが回転しなくなり後方位置になるとすぐに、再び添加された。
【符号の説明】
【0155】
1 第1成形コンパウンド
3 少なくとも1つの成形コンパウンド
5 射出ユニット
6 インレット
7 スクリュー射出成形機
8 入口開口部
9 射出成形型
10 ゲートランナー
11 バレル
13 スクリュー
15 スクリュー先端部
17 ノズル
19 縦軸
21 前方位置
23 後方位置
25 距離
27 空きスペース
29 キャビティ
31 内部空き容積
33 内部容積
35 内部
37 ノズルヘッド
38 通路ボア
39 ノズル本体
40 出口開口部
41 ダクト
42 インサート
43 第1端部
44 第1位置
45 第2端部
47 計量部
48 第2位置
49 圧縮部
50 巻き
51 取入れ部
52 搬送方向
53 供給開口部
55 第1領域
57 第2領域
59 カバー
61 第2距離
63 横断面
65 ランド
67 中心軸
75 スパイラル
79 固体シリンダー
81 第2端面
83 第1端面
85 インサートメルトダクト
87 第1直径
89 第2直径
91 アンダーカット
【手続補正書】
【提出日】2021-07-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1成形コンパウンド(1)と少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)が、スクリュー射出成形機(7)の射出ユニット(5)から射出成形型(9)に射出されるマーブル模様の成形品を製造する方法であって、
前記射出ユニット(5)は
中空バレル(11)と、スクリュー先端部(15)を有するスクリュー(13)と、ノズル(17)とを有し、前記スクリュー(13)は回転可能であり、後方位置(23)に比べて前記スクリュー先端部(15)と前記ノズル(17)との間の距離が短い前方位置(21)と前記後方位置(23)の間で、前記
中空バレル(11)の縦軸(19)の方向に移動可能なように前記
中空バレル(11)内に配置され、前記第1成形コンパウンド(1)は第1ポリマーコンパウンドと第1着色剤とを有し、前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドはさらなるポリマーコンパウンドと任意の少なくとも1つのさらなる着色剤とを有し、
前記方法は、
a)前記スクリュー(13)が前記後方位置(23)にあるときに、前記スクリュー(13)に前記第1成形コンパウンド(1)の第1量を任意に供給するステップと、
b)前記スクリュー(13)を、前記後方位置(23)から前記前方位置(21)へ前進させるステップと、
c)前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)の第2量を、前記スクリュー(13)に供給するステップと、
d)前記スクリュー(13)を回転させ、前記第1成形コンパウンド(1)と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)の少なくとも一部を、前記ノズル(17)と前記スクリュー先端部(15)の間の前記
中空バレル(11)内の空きスペース(27)に搬送し、及び、前記スクリュー(13)を前記前方位置(21)から前記後方位置(23)に移動させ、前記スクリュー(13)の前記
中空バレル(11)内の前記第1成形コンパウンド(1)及び前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)を可塑化するステップと、
e)前記スクリュー(13)が前記後方位置(23)にあるときに、前記第1成形コンパウンド(1)の新たな第1量を前記スクリュー(13)に任意に供給するステップと、
f)前記スクリュー(13)を前記後方位置(23)から前記前方位置(21)に前進させることにより、前記第1成形コンパウンド(1)と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)を前記
中空バレル(11)内の空きスペース(27)から前記射出成形型(9)のキャビティ(29)に射出するステップと、
g)マーブル模様の成形品を得るように、前記射出成形型(9)内の前記第1成形コンパウンド(1)と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)を冷却するステップと、
h)前記射出成形型(9)から前記マーブル模様の成形品を取り出すステップと、
を含み、
ステップc)~h)は繰り返され、ステップ
c)はステップf)の前に実施され、ステップa)は任意にステップb)の前に実施され、
ステップ
c)における前記第1成形コンパウンドの新たな第1量の供給及び任意のステップa)における前記第1成形コンパウンドの第1量の供給は、ステップc)における前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンドの第2量の供給とは時間的又は空間的に分離されて実施され、
ステップc)における前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)の第2量の供給は、ステップb)における前記前進の後に実施される、方法。
【請求項2】
前記キャビティ(29)の内部容積(33)に対する、前記成形コンパウンド(1)と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)によって占有され得る前記
中空バレル(11)の最大内部空き容積(31)の比率は10以下である、請求項
1に記載の方法。
【請求項3】
前記マーブル模様の成形品の質量に対する、前記第1成形コンパウンド(1)の第1量の質量と前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)の第2量の質量の合計の比率は、0.5~1.5であ
り、
この比率は、前記マーブル模様の成形品の製造において、少なくとも1つゲートが存在する場合は1より大きい、請求項
1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第2量に対する前記第1量の質量比は、0.1未満、特に0.001未満である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)中の少なくとも1つのさらなる着色剤のさらなる濃度に対する前記第1成形コンパウンド(1)中の第1着色剤の第1濃度の比率は、20超、特に、50超である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1ポリマーコンパウンド(1)及び/又は前記少なくとも1つのさらなるポリマーコンパウンド(3)は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリールエーテルスルホン(PSU、PESU、PPSU)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリラクチド(PLA)、ポリブチレンセバケートテレフタレート(PBSeT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアクリルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンコポリマー(ABS)のようなスチレン含有ポリマー、又はそれらの混合物からなる群より選択されるポリマーを含む、請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1成形コンパウンド(1)及び/又は前記少なくとも1つのさらなる成形コンパウンド(3)は、それぞれペレットの形で供給される、請求項1~
6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
内部(35)を有する
中空バレル(11)とスクリュー(13)とノズル(17)とを有する正確に1つの射出ユニット(5)を有する、マーブル模様の成形品を製造する装置であって、
前記装置は正確に1つの中空バレル(11)を有し、
前記スクリュー(13)は回転可能であり、後方位置(23)に比べてスクリュー先端部(15)と前記ノズル(17)との間の距離が短い前方位置(21)と前記後方位置(23)の間で、前記
中空バレル(11)の縦軸(19)の方向に移動可能なように前記
中空バレル(11)内に配置され、
ノズルヘッド(37)とノズル本体(39)とを有する前記ノズル(17)は、前記
中空バレル(11)に解放可能に接続され、前記ノズルヘッド(37)は、各ダクト(41)の第1端部(43)において前記ノズル(17)の出口開口部(40)に、及び、各ダクト(41)の第2端部(45)において前記
中空バレル(11)の前記内部(35)に接続された少なくとも2つのダクト(41)を有し、
前記少なくとも2つのダクト(41)は、前記ノズルヘッド(37)を通って湾曲した態様で延びている、装置。
【請求項9】
前記ノズルヘッド(37)が3つ~8つのダクト(41)を有している、請求項
8に記載の装置。
【請求項10】
前記ダクト(41)は、
前記第1端部(43)と
前記第2端部(45)の間で、互いから分離されている、請求項
8又は
9に記載の装置。
【請求項11】
前記ダクト(41)は、前記ノズルヘッド(37)の半径横断面で、それぞれ円形、楕円形又は三角形の横断面(63)を有している、請求項
8~
10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記ノズルヘッド(37)はインサート(42)を有し、前記少なくとも2つのダクト(41)は前記インサート(42)に配置されている、請求項
8~
11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
請求項
8~
12のいずれか1項による装置を製造する方法であって、
前記ノズルヘッド(37)又は少なくとも前記インサート(42)は、付加製造法、特に3D印刷の手段によって製造される、方法。
【国際調査報告】