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特表2022-552896アラインメント手段を有するマルチビーム荷電粒子源
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-20
(54)【発明の名称】アラインメント手段を有するマルチビーム荷電粒子源
(51)【国際特許分類】
   H01J 37/147 20060101AFI20221213BHJP
   H01J 37/04 20060101ALI20221213BHJP
   H01J 37/141 20060101ALI20221213BHJP
【FI】
H01J37/147 B
H01J37/04 B
H01J37/147 C
H01J37/141 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523677
(86)(22)【出願日】2020-10-20
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 NL2020050645
(87)【国際公開番号】W WO2021080420
(87)【国際公開日】2021-04-29
(31)【優先権主張番号】2024065
(32)【優先日】2019-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508156638
【氏名又は名称】テクニシェ・ウニフェルシテイト・デルフト
【氏名又は名称原語表記】Technische Universiteit Delft
(71)【出願人】
【識別番号】504144253
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ イスラエル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【弁理士】
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】クライト、ピーテル
【テーマコード(参考)】
5C101
【Fターム(参考)】
5C101AA03
5C101AA27
5C101BB04
5C101EE03
5C101EE22
5C101EE32
5C101EE57
5C101EE63
5C101EE65
5C101EE67
5C101GG15
5C101HH03
5C101HH21
5C101HH23
(57)【要約】
本発明は、複数の実質的にコリメートされた荷電粒子ビームレットを生成するための装置及び方法に関する。装置は、拡散荷電粒子ビームを生成するための荷電粒子源と、 拡散荷電粒子ビームを荷電粒子ビームレットのアレイに分割するためのビームスプリッタと、 荷電粒子ビームレットのアレイの荷電粒子ビームレット毎に1つの偏向器を備える偏向器のアレイを備える偏向器アレイと、ここにおいて、偏向器アレイは、拡散荷電粒子ビームレットのアレイを実質的にコリメートするように構成される、 を備える。装置は、少なくとも荷電粒子源と偏向器アレイとの間のエリア中に電場及び/又は磁場を発生させるように構成されたビーム操作デバイスを更に備える。装置は、中心軸を備え、ビーム操作デバイスは、中心軸に対して実質的に平行であり、且つ中心軸に対して実質的に垂直な電場及び/又は磁場を発生させるように構成される。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置であって、
拡散荷電粒子ビームを生成するための荷電粒子源と、
前記拡散荷電粒子ビームを複数の荷電粒子ビームレットのアレイに分割するためのビームスプリッタと、
複数の偏向器のアレイを有する偏向器アレイであって、荷電粒子ビームレットの前記アレイの荷電粒子ビームレット毎に1つの偏向器を備える偏向器アレイと、ここで、前記偏向器アレイは、拡散荷電粒子ビームレットの前記アレイを少なくとも実質的にコリメートするように構成され、
少なくとも前記荷電粒子源と前記偏向器アレイとの間のエリア中に電場及び/又は磁場を発生させるように構成されたビーム操作デバイスと
を備え、
前記装置は、中心軸を備え、前記荷電粒子源と前記ビームスプリッタの中心と前記偏向器アレイの中心とは、前記中心軸上に配置され、前記ビーム操作デバイスは、
前記中心軸に対して実質的に平行及び/若しくは垂直な電場、並びに/又は、
前記中心軸に対して実質的に平行及び/若しくは垂直な磁場
を発生させるように構成される、装置。
【請求項2】
前記装置は、前記ビーム操作デバイスを制御するための制御システムを更に備え、前記制御システムは、センサからの信号に基づいて前記電場及び/又は磁場を調整するように構成され、前記センサは、所望のアラインメントからのずれを測定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ビーム操作デバイスは、前記中心軸に対して実質的に垂直な第1の方向に磁場を発生させるための1つ以上の第1のコイルを備える、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ビーム操作デバイスは、前記中心軸に対して実質的に垂直であり、且つ前記第1の方向に対して実質的に垂直な第2の方向に磁場を発生させるための1つ以上の第2のコイルを備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ビーム操作デバイスは、前記中心軸に沿い、且つ前記中心軸に対して実質的に平行な方向に磁場を発生させるための第3のコイルを備える、請求項1~4のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第3のコイルは、第1の第3のコイルであり、前記ビーム操作デバイスは、磁場に、前記中心軸に対して平行な方向に前記磁場の変動を提供するように構成された第2の第3のコイルを更に備え、第1のコイル及び第2のコイルは、好ましくは前記中心軸を中心とした回転を実質的に調整することなく、荷電粒子ビームレットの前記アレイのビームレット間のピッチを調整するように構成される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ビーム操作デバイスは、前記中心軸に対して実質的に垂直な平面中に四重極磁場を発生させるように構成された1つ以上の第4のコイルを備え、好ましくは、前記ビーム操作デバイスは、4つの第4のコイルのセットを備え、それらのうちの2つは、前記中心軸の両側上に配置され、第1の共通コイル軸を有し、他方の2つは、前記中心軸の両側上に配置され、前記第1の共通コイル軸に対して垂直な第2の共通コイル軸を有し、前記第1及び第2の共通コイル軸は、前記中心軸に対して実質的に垂直な平面中に配置され、好ましくは、前記4つの第4のコイルは、前記中心軸から実質的に同じ距離に配置される、請求項1~6のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記ビーム操作デバイスは、4つのコイルの2つのセットを備え、各セットは、前記中心軸に対して実質的に垂直な平面中に四重極磁場を発生させるように構成され、第1のセットの前記第1の共通コイル軸は、第2のセットの前記第1の共通コイル軸に対して鋭角に配置され、好ましくは、前記第1のセットの前記第1の共通コイル軸と前記第2のセットの前記第1の共通コイル軸との間の前記鋭角は、実質的に45度である、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ビーム操作デバイスは、前記中心軸に対して実質的に垂直な第1の方向に静電場を発生させるための1つ以上の第1の電極を備える、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記ビーム操作デバイスは、前記中心軸に対して実質的に垂直であり、且つ前記第1の方向に対して実質的に垂直な第2の方向に静電場を発生させるための1つ以上の第2の電極を備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記ビーム操作デバイスは、前記中心軸に沿い、且つ前記中心軸に対して実質的に平行な方向に静電場を発生させるための1つ以上の第3の電極を備え、前記1つ以上の第3の電極は、荷電粒子ビームレットの前記アレイのビームレット間のピッチを調整するために、静電場に、前記中心軸に対して平行な方向に前記静電場の変動を提供するように構成される、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記ビーム操作デバイスは、前記中心軸に対して実質的に垂直な平面中に四重極静電場を発生させるための1つ以上の第4の電極を備え、好ましくは、前記ビーム操作デバイスは、4つの第4の電極のセットを備え、それらのうちの2つは、前記中心軸の両側上及び第1の共通電極軸上に配置され、他方の2つは、前記中心軸の両側上及び前記第1の共通電極軸に対して垂直な第2の共通電極軸上に配置され、前記第1及び第2の共通電極軸は、前記中心軸に対して実質的に垂直な平面中に配置され、好ましくは、前記4つの第4の電極は、前記中心軸から実質的に同じ距離に配置される、請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記ビーム操作デバイスは、4つの電極の2つのセットを備え、各セットは、前記中心軸に対して実質的に垂直な平面中に四重極静電場を発生させるように構成され、第1のセットの前記第1の共通電極軸は、第2のセットの前記第1の共通電極軸に対して鋭角に配置され、好ましくは、前記第1のセットの前記第1の共通電極軸と前記第2のセットの前記第1の共通電極軸との間の前記鋭角は、実質的に45度である、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記ビームスプリッタは、荷電粒子ビームレット毎に1つのレンズを備える複数のレンズを有するレンズアレイを備え、
前記装置は、荷電粒子ビームレット毎に1つのレンズを備える複数のレンズを有するレンズアレイを備え、前記レンズアレイは、前記ビームスプリッタと前記偏向器アレイとの間又は前記ビームスプリッタとコリメータレンズとの間に配置される、
請求項1~13のうちのいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
複数の荷電粒子ビームレットを生成するための方法であって、
荷電粒子源を使用して拡散荷電粒子ビームを生成するためのステップと、
ビームスプリッタを使用して前記拡散荷電粒子ビームを複数の荷電粒子ビームレットのアレイに分割するステップと、
複数の偏向器のアレイを有する偏向器アレイであって、荷電粒子ビームレット毎に1つの偏向器を備える偏向器アレイを使用して荷電粒子ビームレットの前記アレイの実質的に各荷電粒子ビームレットを偏向させるステップと、ここで、前記偏向器アレイは、拡散荷電粒子ビームレットの前記アレイを少なくとも実質的にコリメートするように構成され、
前記偏向器アレイの偏向器の前記アレイに対して荷電粒子ビームレットの前記アレイをアラインするために、ビーム操作デバイスを使用して少なくとも前記荷電粒子源と前記偏向器アレイとの間のエリア中に電場及び/又は磁場を発生させるステップと
を備え、
装置が、中心軸を備え、前記荷電粒子源と前記ビームスプリッタの中心と前記偏向器アレイの中心とは、前記中心軸上に配置され、前記ビーム操作デバイスは、
前記中心軸に対して実質的に平行及び/若しくは垂直な電場、並びに/又は、
前記中心軸に対して実質的に平行及び/若しくは垂直な磁場
を発生させる、方法。
【請求項16】
前記装置は、前記ビーム操作デバイスのための制御システムを更に備え、前記制御システムは、センサからの信号に基づいて前記電場及び/又は磁場を調整し、前記センサは、所望のアラインメントからのずれを決定するように構成され、好ましくは、前記センサは、前記偏向器アレイ若しくはコリメータレンズに配置されるか、又はその近くに配置される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ビームスプリッタは、荷電粒子ビームレット毎に1つのレンズを備える複数のレンズを有するレンズアレイを備え、荷電粒子ビームレットの前記アレイの各荷電粒子ビームレットは、前記レンズアレイのレンズによって屈折されるか、又は、
前記装置は、荷電粒子ビームレット毎に1つのレンズを備える複数のレンズを有するレンズアレイを備え、前記レンズアレイは、前記ビームスプリッタと前記偏向器アレイ又はコリメータレンズとの間に配置され、荷電粒子ビームレットの前記アレイの各荷電粒子ビームレットは、前記レンズアレイのレンズによって屈折される、
請求項15又は16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビームは、リソグラフィ、検査及び撮像システムのような様々なシステム中で使用される。これらのシステムのうちのいくつかは、1つの荷電粒子ビームを生成するために単一の荷電粒子源を使用し、1つの荷電粒子ビームは、その後、複数の荷電粒子ビームレットに分割される。
【0003】
特に、US 2004/0232349 A1は、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置であって、拡散荷電粒子ビームを生成するための荷電粒子源と、前記拡散荷電粒子ビームを屈折させるための収束手段と、複数のレンズを備えるレンズアレイとを備える、装置を説明している。前記レンズアレイは、前記荷電粒子源と前記収束手段との間に配置される。
【0004】
コリメータの平面における複数の荷電粒子ビームレットのアレイのサイズが大きい用途では、コリメーションのために単一の電子レンズを使用することは実際的でなくなる。US 2004/0232349 A1に説明されているように、偏向器アレイは、収束手段として、特に拡散荷電粒子ビームレットをコリメートするために使用することができる。前記偏向器アレイは、前記ビームレットを偏向させるために、荷電粒子ビームレット毎に偏向器を備える。
【発明の概要】
【0005】
複数の荷電粒子ビームレットを生成するための既知の装置の欠点は、荷電粒子ビームレットのアレイの位置が偏向器アレイの偏向器のアレイなどのコリメートデバイスの位置と正確にアラインされる必要があることである。
【0006】
偏向器のアレイとの不正確なアラインメントは、とりわけ、全てのビームレットが偏向器のアレイの対応する偏向器の中心を通って横断するわけではなく、このことから、不正確なアラインメントは、ビームレット毎に所望の偏向からのずれを発生させ得ることをもたらすか、又は前記ビームレットが対応する偏向器のアパーチャを外すときにビームレットの遮断さえもたらすであろう。
【0007】
上記で特定された欠点のうちの少なくとも1つを少なくとも部分的に解決すること、及び/又は複数の荷電粒子ビームレットを生成するための代替の装置を少なくとも部分的に提供することが目的であり、それは、偏向器のアレイに対する荷電粒子ビームレットのアラインメントを可能にする。
【0008】
第1の態様によると、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置が提供され、その装置は、
拡散荷電粒子ビームを生成するための荷電粒子源と、
拡散荷電粒子ビームを複数の荷電粒子ビームレットのアレイに分割するためのビームスプリッタと、
複数の偏向器を有する偏向器アレイであって、荷電粒子ビームレットのアレイの荷電粒子ビームレット毎に1つの偏向器を備える偏向器アレイと、ここで、偏向器アレイは、拡散荷電粒子ビームレットのアレイを少なくとも実質的にコリメートするように構成され、
少なくとも荷電粒子源と偏向器アレイとの間のエリア中に電場及び/又は磁場を発生させるように構成されたビーム操作デバイスと
を備え、装置は、中心軸を備え、荷電粒子源とビームスプリッタの中心と偏向器アレイの中心とは、中心軸上に配置され、ビーム操作デバイスは、
中心軸に対して実質的に平行及び/若しくは垂直な電場、並びに/又は、
中心軸に対して実質的に平行及び/若しくは垂直な磁場
を発生させるように構成される。
【0009】
本発明の装置では、ビーム操作デバイスは、偏向器アレイ上の荷電粒子ビームレットのアラインメントを最適化するために、荷電粒子ビームレットを操作することを可能にする。操作デバイスの存在に起因して、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置の要素の機械的アラインメントは、あまり正確でない可能性がある。より重要なことに、荷電粒子ビームレットのアラインメントは、例えば、装置の要素の任意の熱膨張を補正するために、及び/又は任意のドリフトを補正するために、装置の動作中に調整することができる。
【0010】
中心軸に対して平行なZ軸と、中心軸に対して垂直な平面中のX軸及びY軸とを有する装置に関するデカルト座標系を考えると、ビーム操作デバイスによって生成される電場及び/又は磁場は、以下のように割り当てることができる:
【0011】
Y軸に沿って延在する磁場及び/又はX軸に沿って延在する電場を使用して、荷電粒子ビームレットのアレイをX軸に沿った方向に移動させることができる。磁場及び/又は電場の大きさを慎重に制御することによって、偏向器アレイ上の荷電粒子ビームレットのアレイのX軸に沿った実際の位置は、荷電粒子ビームレットのアレイを偏向器アレイとアラインさせるように制御することができる。
【0012】
X軸に沿って延在する磁場及び/又はY軸に沿って延在する電場を使用して、荷電粒子ビームレットのアレイをY軸に沿った方向に移動させることができる。磁場及び/又は電場の大きさを慎重に制御することによって、偏向器アレイ上の荷電粒子ビームレットのアレイのY軸に沿った実際の位置は、荷電粒子ビームレットのアレイを偏向器アレイとアラインさせるように制御することができる。
【0013】
Z軸に少なくとも部分的に沿って延在する磁場を使用して、荷電粒子ビームレットのアレイをZ軸を中心として回転させることができる。磁場の大きさを慎重に制御することによって、偏向器アレイ上の荷電粒子ビームレットのアレイのZ軸を中心とした実際の位置は、荷電粒子ビームレットのアレイを偏向器アレイとアラインさせるように制御することができる。そのような磁場は、一般に、XY平面中に配置された導電性ワイヤのコイルを使用して、好ましくはコイルの中心軸がZ軸上に配置されて作成されることに留意されたい。そのようなコイルの磁場は、コイルの導電性ワイヤの周りを反るため、コイルの前後の磁場は、Z軸に沿って見ると、Z軸に対して完全に平行ではない。それ故に、そのような磁場は、レンズ効果も提供する。このレンズ効果は、荷電粒子源からの荷電粒子ビームの発散を制御することによって、例えば、引出し電極上の電圧などの荷電粒子源の電極上の電圧を調整することによって補償され得る。
【0014】
加えて、中心軸に対して平行な方向に場の変動を提供するように構成された静電場及び/又は磁場を使用することによって、荷電粒子ビームレットのアレイのビームレット間のピッチを調整することができる。
【0015】
好ましい実施形態では、ビーム操作デバイスは、以下に説明する実施形態のうちの1つ以上を組み合わせることによって、これらの磁場及び/又は電場のうちのいくつかを組み合わせるように構成される。これは、1つよりも多くの方向/回転アラインメントにおいて荷電粒子ビームレットのずれを調整することを可能にする。ビーム操作デバイスの特定の配置は、とりわけ、装置の特定の使用及び/又は複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置の特定の用途におけるアラインメントの必要とされる精度に依存する。
【0016】
実施形態では、ビーム操作デバイスは、中心軸に対して実質的に垂直な第1の方向に磁場を発生させるための1つ以上の第1のコイルを備える。この実施形態による装置は、比較的単純なビーム操作デバイスを提供し、それは、ずれ及び/又はドリフトが主に中心軸及び第1の方向に対して垂直な方向にある場合に、荷電粒子ビームレットのアレイのアラインメントを調整することを可能する。
【0017】
実施形態では、ビーム操作デバイスは、1つ以上の第1のコイルに加えて、中心軸に対して実質的に垂直であり、且つ第1の方向に対して実質的に垂直な第2の方向に磁場を発生させるための1つ以上の第2のコイルを備える。この実施形態による装置は、ビーム操作デバイスを提供し、それは、中心軸に対して垂直な平面中で荷電粒子ビームレットのアレイのアラインメントを、特に2つの直交方向に沿った、例えば上記で定義されたX軸及びY軸に沿った方向に調整することを可能にする。
【0018】
実施形態では、ビーム操作デバイスは、中心軸に少なくとも部分的に沿い、且つ中心軸に対して実質的に平行な方向に磁場を発生させるための第3のコイルを備える。この実施形態による装置は、ビーム操作デバイスを提供し、それは、中心軸を中心とした回転に対して荷電粒子ビームレットのアレイのアラインメントを調整することを可能にする。
【0019】
第3のコイルによる磁場はまた、荷電粒子ビームレットのアレイのビームレット間のピッチの変化を提供し得ることに留意されたい。それ故に、実施形態では、第3のコイルは、第1の第3のコイルであり、ビーム操作デバイスは、磁場に、中心軸に対して平行な方向に磁場の変動を提供するように構成された第2の第3のコイルを更に備え、第1のコイル及び第2のコイルは、好ましくは中心軸を中心とした回転を実質的に調整することなく、荷電粒子ビームレットのアレイのビームレット間のピッチを調整するように構成される。2つの第3のコイルを使用することによって、回転とピッチの変化との組み合わされた効果を少なくとも部分的に解きほぐすことができる。
【0020】
実施形態では、ビーム操作デバイスは、中心軸に対して実質的に垂直な第1の方向に磁場を発生させるための1つ以上の第1の電極を備える。この実施形態による装置は、比較的単純なビーム操作デバイスを提供し、それは、ずれ及び/又はドリフトが主に中心軸に対して垂直であり、且つ第1の方向に対して平行な方向にある場合に、荷電粒子ビームレットのアレイのアラインメントを調整することを可能する。
【0021】
荷電粒子がそれに沿って移動する経路に対して実質的に垂直な第1の方向の静電場は、第1の方向に対して実質的に平行な力を荷電粒子に提供するのに対して、荷電粒子がそれに沿って移動する経路に対して実質的に垂直な第1の方向の磁場は、第1の方向に対して実質的に垂直な力を荷電粒子に提供することに留意されたい。
【0022】
実施形態では、ビーム操作デバイスは、1つ以上の第1の電極に加えて、中心軸に対して実質的に垂直であり、且つ第1の方向に対して実質的に垂直な第2の方向に静電場を発生させるための1つ以上の第2の電極を備える。この実施形態による装置は、ビーム操作デバイスを提供し、それは、中心軸に対して垂直な平面中で荷電粒子ビームレットのアレイのアラインメントを、特にX軸及びY軸に沿った方向に調整することを可能にする。
【0023】
実施形態では、ビーム操作デバイスは、中心軸に沿い、且つ中心軸に対して実質的に平行な方向に静電場を発生させるための1つ以上の第3の電極を備え、1つ以上の第3の電極は、荷電粒子ビームレットのアレイのビームレット間のピッチを調整するために、静電場に、中心軸に対して平行な方向に静電場の変動を提供するように構成される。
【0024】
この後者の実施形態は、有利には、上記で説明したように、ビーム操作デバイスが中心軸に少なくとも部分的に沿い、且つ中心軸に対して実質的に平行な方向に磁場を発生させるための第3のコイルを備える実施形態と組み合わせることができることに留意されたい。既に上記で示したように、第3のコイルによる磁場は、中心軸を中心とした荷電粒子ビームレットのアレイの回転、及び荷電粒子ビームレットのアレイのビームレット間のピッチの変化を提供し得る。1つ以上の第3の電極をコイルと組み合わせることによって、第3のコイルによる回転とピッチの変化との組み合わされた効果を、少なくとも部分的に解きほぐすことができる。
【0025】
上記で説明したような磁場及び/又は電場の発生に加えて又はその代替として、操作デバイスは、四重極場又は八重極場などの多重極場を発生させるように構成することもできる。例えば、四重極磁場及び/又は電場を使用することによって、荷電粒子ビームレットのアレイは、例えば、第1の方向に共により密に詰め込まれ、第2の方向に広がることができ、第2の方向は、第1の方向に対して実質的に垂直であり得る。それ故に、第1の方向への荷電粒子ビームレット間のピッチを減少させることができるのに対して、第2の方向への荷電粒子ビームレット間のピッチを増加させことができる。
【0026】
これらの四重極磁場及び/又は四重極電場のうちの1つ以上は、以下に説明する実施形態のうちの1つ以上を使用して発生させることができる:
【0027】
実施形態では、ビーム操作デバイスは、中心軸に対して実質的に垂直な平面中に四重極磁場を発生させるための1つ以上の第4のコイルを備える。実施形態では、ビーム操作デバイスは、4つの第4のコイルを備え、それらのうちの2つは、中心軸の両側上に配置され、第1の共通コイル軸を有し、他方の2つは、中心軸の両側上に配置され、第1の共通コイル軸に対して垂直な第2の共通コイル軸を有し、第1及び第2の共通コイル軸は、中心軸に対して実質的に垂直な平面中に配置される。好ましくは、4つの第4のコイルは、中心軸から実質的に同じ距離に配置される。
【0028】
更なる実施形態では、ビーム操作デバイスは、第4のコイルの2つのセットを備え、各セットは、中心軸に対して実質的に垂直な平面中に四重極磁場を発生させるように構成され、第1のセットの第1の共通コイル軸は、第2のセットの第1の共通コイル軸に対して鋭角に配置される。実施形態では、第1のセットの第1の共通コイル軸と第2のセットの第1の共通コイル軸との間の角度は、実質的に45度である。
【0029】
実施形態では、ビーム操作デバイスは、中心軸に対して実質的に垂直な平面中に四重極静電場を発生させるための1つ以上の第4の電極を備える。実施形態では、ビーム操作デバイスは、4つの第4の電極を備え、それらのうちの2つは、中心軸の両側上及び第1の共通電極軸上に配置され、他方の2つは、中心軸の両側上及び第1の共通電極軸に対して垂直な第2の共通電極軸上に配置され、第1及び第2の共通電極軸は、中心軸に対して実質的に垂直な平面中に配置される。好ましくは、4つの第4の電極は、中心軸から実質的に同じ距離に配置される。
【0030】
更なる実施形態では、ビーム操作デバイスは、第4の電極の2つのセットを備え、各セットは、中心軸に対して実質的に垂直な平面中に四重極静電場を発生させるように構成され、第1のセットの第1の共通電極軸は、第2のセットの第1の共通電極軸に対して鋭角に配置される。実施形態では、第1のセットの第1の共通電極軸と第2のセットの第1の共通電極軸との間の角度は、実質的に45度である。
【0031】
加えて又は代替として、前記更なる実施形態では、ビーム操作デバイスは、第4のコイルのセットを備え、それは、中心軸に対して実質的に垂直な平面中に四重極磁場を発生させるように構成され、第4のコイルのセットの第1の共通コイル軸は、第4の電極のセットの第1の共通電極軸に対して実質的に平行に配置される。
【0032】
更なる実施形態では、ビーム操作デバイスはまた、荷電粒子源と偏向器アレイとの間又は荷電粒子源とコリメータレンズとの間に配置された、より高次の多重極磁場及び/又は静電場を発生させるための更なるコイル及び/又は電極を備え得ることに留意されたい。
【0033】
実施形態では、装置は、ビーム操作デバイスのための制御システムを更に備え、制御システムは、センサからの信号に基づいて電場及び/又は磁場を調整するように構成され、センサは、所望のアラインメントからの荷電粒子ビームレットのアレイの1つ以上の荷電粒子ビームレットのずれを測定するように構成される。それ故に、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置は、荷電粒子ビームレットの所望のアラインメントを維持するように能動的に制御することができる。実施形態では、センサは、偏向器アレイ又はコリメータレンズに又はその近くに配置される。
【0034】
実施形態では、ビームスプリッタは、荷電粒子ビームレット毎に1つのレンズを備える複数のレンズを備えるレンズアレイを備える。
【0035】
代替の実施形態では、装置は、荷電粒子ビームレット毎に1つのレンズを備える複数のレンズを備えるレンズアレイを備え、レンズアレイは、ビームスプリッタと偏向器アレイとの間に配置される。
【0036】
実施形態では、装置は、ビームスプリッタと荷電粒子源との間に配置されたコリメータレンズと、ビームスプリッタと偏向器アレイとの間に配置された収束レンズとを備え、収束レンズは、収束レンズと偏向器アレイとの間中に複数の荷電粒子ビームレットの共通クロスオーバを提供するように構成される。好ましくは、収束レンズ及び偏向器アレイは、ビームエキスパンダを提供するように構成される。
【0037】
代替の実施形態では、装置は、ビームスプリッタと荷電粒子源との間に配置されたコリメータレンズと、ビームスプリッタと偏向器アレイとの間に配置された拡散レンズとを備える。好ましくは、拡散レンズ及び偏向器アレイは、ビームエキスパンダを提供するように構成される。この実施形態では、複数の荷電粒子ビームレットの共通クロスオーバを回避することができる。
【0038】
コリメータを使用することによって、ビームスプリッタに当たる荷電粒子ビームが実質的にコリメートされた荷電粒子ビームであることを保証することができる。この更なるコリメータは、例えばUS 2004/0232349 A1に説明されているように、到来するビームが平面のアパーチャプレート又は電極プレートの平面に対して垂直な電極プレートのアパーチャプレートを通過していない実質的に平面のアパーチャプレート又は電極プレートで拡散荷電粒子ビームを分割するときに生じる問題を少なくとも実質的に防止する。
【0039】
第2の態様によると、本発明は、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための方法を提供し、方法は、
荷電粒子源を使用して拡散荷電粒子ビームを生成するためのステップと、
ビームスプリッタを使用して拡散荷電粒子ビームを荷電粒子ビームレットのアレイに分割するステップと、
荷電粒子ビームレット毎に1つの偏向器を備える偏向器のアレイを備える偏向器アレイを使用して荷電粒子ビームレットのアレイの実質的に各荷電粒子ビームレットを偏向させるステップと、ここにおいて、偏向器アレイは、拡散荷電粒子ビームレットのアレイを少なくとも実質的にコリメートするように構成される、
偏向器のアレイに対して荷電粒子ビームレットのアレイをアラインするために、ビーム操作デバイスを使用して少なくとも荷電粒子源と偏向器アレイとの間のエリア中に電場及び/又は磁場を発生させるステップと
を備え、装置は、中心軸を備え、荷電粒子源とビームスプリッタの中心と偏向器アレイの中心とは、中心軸上に配置され、ビーム操作デバイスは、
中心軸に対して実質的に平行及び/若しくは垂直な電場、並びに/又は、
中心軸に対して実質的に平行及び/若しくは垂直な磁場
を発生させる。
【0040】
本発明の方法では、ビーム操作デバイスは、偏向器アレイ上の荷電粒子ビームレットのアラインメントを最適化するために、荷電粒子ビームレットを操作する。操作デバイスの存在に起因して、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置の要素の機械的アラインメントは、あまり正確でない可能性がある。より重要なことに、荷電粒子ビームレットのアラインメントは、例えば、装置の要素の任意の熱膨張を補正するために、及び/又は任意のドリフトを補正するために、装置の動作中に調整することができる。特に、電場及び/又は磁場は、以下のうちの1つ以上を提供することによって、荷電粒子ビームレットのアレイのアラインメントを調整するために生成される:
中心軸に対して実質的に垂直な第1の方向への荷電粒子ビームレットのアレイの偏向と、
第1の方向及び中心軸に対して実質的に垂直な第2の方向への荷電粒子ビームレットのアレイの偏向と、
中心軸を中心とした荷電粒子ビームレットのアレイの回転と、
中心軸に対して実質的に垂直な第1の方向への伸び、並びに第1の方向及び荷電粒子ビームレットのアレイの中心軸に対して実質的に垂直な第2の方向への縮みと、
中心軸に対する半径方向への荷電粒子ビームレットのアレイの伸び又は縮み(それによって、荷電粒子ビームレットのアレイのビームレット間のピッチを変化させる)。
【0041】
実施形態では、装置は、ビーム操作デバイスのための制御システムを更に備え、制御システムは、センサからの信号に基づいて電場及び/又は磁場を調整し、センサは、荷電粒子ビームレットのアレイの1つ以上の荷電粒子ビームレットの所望のアラインメントからのずれを決定する。それ故に、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置は、荷電粒子ビームレットの所望のアラインメントを維持するように能動的に制御される。実施形態では、センサは、偏向器アレイ又はコリメータレンズに又はその近くに配置される。
【0042】
実施形態では、ビームスプリッタは、荷電粒子ビームレット毎に1つのレンズを備える複数のレンズを備えるレンズアレイを備え、荷電粒子ビームレットのアレイの各荷電粒子ビームレットは、レンズアレイのレンズによって屈折される。
【0043】
実施形態では、装置は、荷電粒子ビームレット毎に1つのレンズを備える複数のレンズを備えるレンズアレイを備え、レンズアレイは、ビームスプリッタと偏向器アレイとの間に配置され、荷電粒子ビームレットのアレイの各荷電粒子ビームレットは、レンズアレイのレンズによって屈折される。
【0044】
本明細書に説明し且つ示す様々な態様及び特徴は、可能な限り、個々に適用することができる。これらの個々の態様、特に添付の従属請求項に説明する態様及び特徴は、分割特許出願の主題とすることができる。
【0045】
本発明は、添付の図面に示す例証的な実施形態に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1A】中心軸に対して実質的に垂直な磁場を発生させるように構成されたビーム操作デバイスを有する、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置の例を概略的に示す。
図1B】中心軸に対して垂直な平面中の図1Aの装置を概略的に示す。
図2A】中心軸に対して実質的に垂直な磁場を発生させるように構成されたビーム操作デバイスを有する、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置の例を概略的に示す。
図2B】中心軸に対して垂直な平面中の図1A及び2Aのビーム操作デバイスを組み合わせる装置を概略的に示す。
図3A】中心軸に対して少なくとも部分的に平行な磁場を発生させるように構成されたビーム操作デバイスを有する、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置の更なる例を概略的に示す。
図3B】中心軸に対して垂直な平面中の図3Aの装置を概略的に示す。
図4A】中心軸に対して実質的に垂直な電場を発生させるように構成されたビーム操作デバイスを有する、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置の更なる例を概略的に示す。
図4B】中心軸に対して垂直な平面中の図4Aの装置を概略的に示す。
図5A】中心軸に対して実質的に垂直な四重極磁場又は静電場を発生させるように構成されたビーム操作デバイスを有する、複数の荷電粒子ビームレットを生成するための装置の更なる例を概略的に示す。
図5B】中心軸に対して垂直な平面中の図5Aの装置の第1の例を概略的に示し、コイルが、四重極磁場を発生させるためにX及びY軸上に配置される。
図5C】中心軸に対して垂直な平面中の図5Aの装置の第2の例を概略的に示し、コイルは、XY平面中に配置され、図5Bにおけるコイルの位置に対して時計回り方向に45度にわたって回転される。
図5D】中心軸に対して垂直な平面中の図5Aの装置の第3の例を概略的に示し、電極は、四重極静電場を発生させるためにX及びY軸上に配置される。
図5E】中心軸に対して垂直な平面中の図5Aの装置の第4の例を概略的に示し、電極は、XY平面中に配置され、図5Dにおける電極の位置に対して時計回り方向に45度にわたって回転される。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明によるビーム操作デバイスは、好ましくは、いくつかの磁場及び/又は電場を組み合わせるように構成されることに留意されたい。これは、1つよりも多くの方向/回転アラインメントにおいて荷電粒子ビームレットのずれを調整することを可能にする。ビームレットのアラインメントを調整することを可能にするビーム操作デバイスの例をより明確に説明するために、これらの様々な例を以下で別々に説明するが、本発明によるビーム操作デバイスでは、以下で説明する実施形態のうちの1つ以上が組み合わされることが理解されるべきである。
【0048】
図1は、複数の荷電粒子ビームレット16を生成するための装置10の第1の例を示す。装置10は、拡散荷電粒子ビーム12を生成するための引出し電極19を有する荷電粒子源11を備える。拡散荷電粒子ビーム12は、コリメートレンズ13上に向けられ、その後、少なくとも実質的にコリメートされた荷電粒子ビーム12は、前記荷電粒子ビーム12を荷電粒子ビームレット16のアレイに分割するためのビームスプリッタ14上に向けられる。
【0049】
この例では、ビームスプリッタ14は、各荷電粒子ビームレット16を集束させるように構成されたレンズアレイを備える。加えて、レンズアレイは、荷電粒子ビームレット16の発散アレイを生成するための拡散レンズを提供するために、電極141と組み合わされる。拡散荷電粒子ビームレット16は、荷電粒子ビームレット16毎に1つの偏向器を備える偏向器のアレイを備える偏向器アレイ15に向けられる。装置10は、中心軸CAを備え、荷電粒子源11とビームスプリッタ14の中心と偏向器アレイ15の中心とは、中心軸CA上に配置される。偏向器アレイ15は、荷電粒子ビームレット16の実質的にコリメートされたアレイを提供するために、実質的に各荷電粒子ビームレット16を偏向させるように構成される。ビームスプリッタ14及び電極141によって提供される拡散レンズと、偏向器アレイ15とは、ビームエキスパンダを共に形成することに留意されたい。図1に示す例では、レンズアレイは、各荷電粒子ビームレット16を実質的に偏向器アレイ15の平面に集束させるように構成される。
【0050】
拡散荷電粒子ビームレット16のアレイの位置は、偏向器アレイ15の偏向器のアレイの位置と正確にアラインされる必要がある。アラインメントを支援及び/又はアラインメントを調整するために、本発明の装置10は、中心軸CAの両側に配置された第1のコイル17及び第2のコイル18を備えるビーム操作デバイスを備える。コイル17、18は、荷電粒子源11と偏向器アレイ15との間のエリア中、特にビームスプリッタ14と偏向器アレイ15との間のエリア中に磁場BXを発生させるように構成される。
【0051】
図1に概略的に示すように、磁場BXは、X軸に対して平行であり、且つ中心軸CAに対して実質的に垂直な方向に実質的に延在する。荷電粒子ビームレット16が正の荷電粒子を備え、磁場BXが正のX軸の方向に延在する場合、図1Bに概略的に示すように、磁場BXは、正の荷電粒子に対して力を発生させ、それは、正の荷電粒子を正のY軸の方向に移動させる。
【0052】
図では、白丸は、操作デバイスの磁場又は静電場がオフにされたときの荷電粒子ビームレットの位置を表し、黒丸は、操作デバイスの磁場又は静電場がオンにされたときの荷電粒子ビームレットの位置を表す。
【0053】
ビームスプリッタ14と電極141との組み合わせは、中心軸に沿い、且つ中心軸に対して実質的に平行な方向に静電場を発生させるように構成され、このことから、上記で識別された1つ以上の第3の電極として動作するように構成されることに留意されたい。ビームスプリッタ14及び電極141は、特に偏向器アレイ15において、荷電粒子ビームレットのアレイのビームレット間のピッチを調整するために、静電場に、中心軸に対して平行な方向に静電場の変動を提供するように構成することができる。
【0054】
図2Aは、複数の荷電粒子ビームレット16’を生成するための装置10’の代替の第1の例を示す。装置10’は、拡散荷電粒子ビーム12’を生成するための引出し電極19’を有する荷電粒子源11’を備える。拡散荷電粒子ビーム12’は、前記拡散荷電粒子ビーム12’を荷電粒子ビームレット16’のアレイに分割するためのビームスプリッタ14’上に向けられる。荷電粒子ビームレット16’は、荷電粒子ビームレット16’毎に1つの偏向器を備える偏向器のアレイを備える偏向器アレイ15’に向けられる。装置10’は、中心軸CAを備え、荷電粒子源11’とビームスプリッタ14’の中心と偏向器アレイ15’の中心とは、中心軸CA上に配置される。偏向器アレイ15’は、実質的に各荷電粒子ビームレット16’を中心軸CAに向かって偏向させるように構成され、偏向は、中心軸CAまでの距離と共に増加するように構成される。特に、偏向器アレイ15’は、荷電粒子ビームレット16’の実質的にコリメートされたアレイを提供するために、実質的に各荷電粒子ビームレット16’を偏向させるように構成される。図2Aに示す例では、ビームスプリッタ14’は、各荷電粒子ビームレット16’を実質的に偏向器アレイ15’の平面に集束させるように構成されたレンズアレイを備える。そのようなシステムは、例えばUS 2004/0232349 A1、特にその図7にも説明されている。
【0055】
ここでも、荷電粒子ビームレット16’のアレイの位置は、偏向器アレイ15’の偏向器のアレイの位置と正確にアラインされる必要がある。アラインメントを支援及び/又はアラインメントを調整するために、本発明の装置10’は、中心軸CAの両側に配置された第1のコイル17’及び第2のコイル18’を備えるビーム操作デバイスを備える。コイル17’、18’は、荷電粒子源11’と偏向器アレイ15’との間のエリア中、特にビームスプリッタ14’と偏向器アレイ15’との間のエリア中に磁場BYを発生させるように構成される。
【0056】
荷電粒子ビームレット16’が正の荷電粒子を備え、磁場BYが正のY軸の方向に延在する場合、磁場BYは、正の荷電粒子に対して力を発生させ、それは、正の荷電粒子を負のX軸の方向に移動させる。
【0057】
偏差ΔXの量は、とりわけ、磁場BYの強度に依存する。それ故に、磁場BYの強度を制御することによって、偏差ΔXの量を、荷電粒子ビームレット16’のアレイが偏向器アレイ15’中の開口部と正確にアラインされるように制御することができる。
【0058】
負の荷電粒子は反対方向、正のX軸の方向に移動することに留意されたい。
【0059】
図1Aに概略的に示すように、コイル17、18は、X軸に対して平行であり、且つ中心軸CAに対して実質的に垂直な方向に磁場BXを提供するように構成することができる。図2Aに概略的に示すように、コイル17’、18’は、Y軸に対して平行であり、且つ中心軸CAに対して実質的に垂直な方向に磁場BYを提供するように構成することができる。図1Aの例及び図2Aの例のビーム操作デバイスを組み合わせることによって、ビームレット16’のアラインメントは、図2Bに概略的に示すように、X方向及びY方向の両方に調整することができる。
【0060】
図3Aに示すような本発明の装置20の第2の例では、装置20は、拡散荷電粒子ビーム22を生成するための引出し電極29を有する荷電粒子源21と、拡散荷電粒子ビーム22を拡散荷電粒子ビームレット24のアレイに分割するためのビームスプリッタ23と、荷電粒子ビームレット24毎に1つの偏向器を備える偏向器のアレイを備える偏向器アレイ25とを備え、荷電粒子源21とビームスプリッタ23の中心と偏向器アレイ25の中心とは、中心軸CA上に配置される。偏向器アレイ25は、実質的に各荷電粒子ビームレット24を中心軸CAに向かって偏向させるように構成され、偏向は、好ましくは、荷電粒子ビームレット26の実質的にコリメートされたアレイを提供するように構成される。好ましくは、ビームスプリッタ23は、各拡散荷電粒子ビームレット24を実質的に偏向器アレイ25の平面に集束させるように構成されたレンズアレイを備える。
【0061】
装置20は、中心軸CAを中心として配置されたコイル27を備えるビーム操作デバイスを更に備え、好ましくは、中心軸CA及びコイル27の中心軸は、実質的に一致する。コイル27は、コイル27の周りを取り巻く磁場Bを発生させるように構成され、少なくともコイル27内のエリア中及び荷電粒子源21と偏向器アレイ25との間のエリア中、特にビームスプリッタ23と偏向器アレイ25との間のエリア中に磁場BZを発生させるように構成される。使用中、磁場BZは、荷電粒子に対して力を発生させ、それは、図3Bに概略的に示すように、中心軸CAを中心とした荷電粒子ビームレット24のアレイの回転ΔRZを提供する。回転ΔRZの量は、とりわけ、磁場BZの強度に依存する。それ故に、磁場BZの強度を制御することによって、回転ΔRZの量を、荷電粒子ビームレット26のアレイが偏向器アレイ25中の開口部と正確にアラインされるように制御することができる。
【0062】
図3Bに示すように、負の荷電粒子を有する荷電粒子ビームレットのアレイは、正の荷電粒子を有する荷電粒子ビームレットのアレイの回転に対して反対方向に回転することに留意されたい。
【0063】
コイル27に隣接する一方の側上の磁場は、中心軸CAに向かって取り巻き、コイル27に隣接する他方の側上の磁場は、中心軸CAから離れるように取り巻くことに更に留意されたい。それ故に、コイル27の前後の磁場は、Z軸に沿って見ると、Z軸に対して完全に平行ではない。そのような磁場は、追加のレンズ効果を提供する。このレンズ効果は、荷電粒子源21からの荷電粒子ビーム22の発散を制御することによって、例えば、引出し電極29上の電圧などの荷電粒子源21の電極上の電圧を調整することによって補償され得る。
【0064】
本発明の装置30の第3の例では、図4Aに示すように、装置30は、拡散荷電粒子ビーム32を生成するための引出し電極39を有する荷電粒子源31と、拡散荷電粒子ビーム32を拡散荷電粒子ビームレット34のアレイに分割するためのビームスプリッタ33と、荷電粒子ビームレット34毎に1つの偏向器を備える偏向器のアレイを備える偏向器アレイ35とを備える。荷電粒子源31とビームスプリッタ33の中心と偏向器アレイ35の中心とは、中心軸CA上に配置される。偏向器アレイ35は、実質的に各荷電粒子ビームレット34を中心軸CAに向かって偏向させるように構成され、偏向は、好ましくは、荷電粒子ビームレット36の実質的にコリメートされたアレイを提供するように構成される。好ましくは、ビームスプリッタ33は、各拡散荷電粒子ビームレット34を実質的に偏向器アレイ35の平面に集束させるように構成されたレンズアレイを備える。
【0065】
アラインメントを支援及び/又はアラインメントを調整するために、この例の装置30は、中心軸CAの両側に配置された第1の電極37及び第2の電極38を備えるビーム操作デバイスを備える。電極37、38は、荷電粒子源31と偏向器アレイ35との間のエリア中、特にビームスプリッタ33と偏向器アレイ35との間のエリア中に電場EXを発生させるように構成される。
【0066】
図4Aに概略的に示すように、電極37、38は、X軸に対して平行であり、且つ中心軸CAに対して実質的に垂直な方向に電場EXを提供するように構成することができる。荷電粒子ビームレット34が正の荷電粒子を備え、電場EXが正のX軸の方向に延在する場合、図4Bに概略的に示すように、電場EXは、正の荷電粒子に対して力を発生させ、それは、正の荷電粒子を正のX軸の方向に移動させる。偏差ΔXの量は、とりわけ、電場EXの強度に依存する。それ故に、電場EXの強度を制御することによって、偏差ΔXの量を、荷電粒子ビームレット36のアレイが偏向器アレイ35中の開口部と正確にアラインされるように制御することができる。
【0067】
負の荷電粒子は、反対方向、負のX軸の方向に移動することに留意されたい。
【0068】
同様に、装置30には、Y方向、例えば正のY軸の方向に電場を発生させる電極を設けることもできることに更に留意されたい。荷電粒子ビームレット34が正の荷電粒子を備える場合、正のY軸の方向に延在する電場は、正の荷電粒子に対して力を発生させ、それは、正の荷電粒子を正のY軸の方向に移動させる。
【0069】
図5Aに示すような本発明の装置40の第4の例では、装置40は、拡散荷電粒子ビーム42を生成するための荷電粒子源41と、拡散荷電粒子ビーム42を拡散荷電粒子ビームレット44のアレイに分割するためのビームスプリッタ43と、荷電粒子ビームレット44毎に1つの偏向器を備える偏向器のアレイを備える偏向器アレイ45とを備え、荷電粒子源41とビームスプリッタ43の中心と偏向器アレイ45の中心とは、中心軸CA上に配置される。偏向器アレイ45は、実質的に各荷電粒子ビームレット44を中心軸CAに向かって偏向させるように構成され、偏向は、好ましくは、荷電粒子ビームレット46の実質的にコリメートされたアレイを提供するように構成される。好ましくは、ビームスプリッタ43は、各拡散荷電粒子ビームレット44を実質的に偏向器アレイ45の平面に集束させるように構成されたレンズアレイを備える。
【0070】
アラインメントを支援及び/又はアラインメントを調整するために、この例の装置40は、四重極偏向器47を備えるビーム操作デバイスを備える。この特定の例では、四重極偏向器47は、コイルのセット、特に、図5Bに概略的に示すように、中心軸CAを中心として、且つ中心軸CAに対して垂直な平面中に、特に全てが中心軸CAから同じ距離に配置されたコイル48、49、50、51を備える。コイル48、49、50、51は、荷電粒子源41と偏向器アレイ45との間のエリア中、特にビームスプリッタ43と偏向器アレイ45との間のエリア中に四重極磁場を発生させるように構成される。
【0071】
図5Bに概略的に示すように、コイル48、49、50、51は、各々が荷電粒子46のアレイに向かう方向又はそれから離れる方向に磁場Bを提供するように構成することができる。コイル48、49、50、51の組み合わされた磁場Bは、以下を生成する:
a.正の荷電粒子に対する第1のコイル48と第2のコイル49との間の力F1であって、正の荷電粒子を+X、+Y方向の対角線に対して実質的に平行な方向に押す力F1と、
b.正の荷電粒子に対する第2のコイル49と第3のコイル50との間の力F2であって、正の荷電粒子を-X、+Y方向の対角線に対して実質的に平行な方向に押す力F2と、
c.正の荷電粒子に対する第3のコイル50と第4のコイル51との間の力F3であって、正の荷電粒子を-X、-Y方向の対角線に対して実質的に平行な方向に押す力F3と、
d.正の荷電粒子に対する第4のコイル51と第1のコイル48との間の力F4であって、正の荷電粒子を+X、-Y方向の対角線に対して実質的に平行な方向に押す力F4。
【0072】
それ故に、四重極偏向器47は、図5Bに概略的に示すように、+X、+Y方向の対角線に対して平行な方向に(F1、F3方向に沿って)アレイの圧縮を、及び-X、Y方向の対角線に対して平行な方向に(F2、F4方向に沿って)アレイの膨張を提供する。伸長及び圧縮の量は、とりわけ、磁場Bの強度に依存する。それ故に、磁場Bの強度を制御することによって、伸長及び圧縮の量を、荷電粒子ビームレット46のアレイが偏向器アレイ45中の開口部と正確にアラインされるように制御することができる。
【0073】
コイル48、49、50、51が図5Bに示す磁場とは反対方向に磁場Bを提供するように駆動されるとき、荷電粒子に対する力もまた、図5Bに示す力とは反対方向に作用することに留意されたい。
【0074】
負の荷電粒子は反対方向に移動し、このことから、伸長はF1、F3方向に対して平行になり、圧縮はF2、F4方向に対して平行になることに更に留意されたい。
【0075】
加えて又は代替として、四重極偏向器47は、コイルの第2のセット、特に、図5Cに概略的に示すように、中心軸CAを中心として、特に全てが中心軸CAから同じ距離に配置されたコイル48’、49’、50’、51’を備える。コイル48’、49’、50’、51’は、荷電粒子源41と偏向器アレイ45との間のエリア中、特にビームスプリッタ43と偏向器アレイ45との間のエリア中に四重極磁場を発生させるように構成される。
【0076】
図5Cに概略的に示すように、コイル48’、49’、50’、51’は、各々が荷電粒子46のアレイに向かう方向又はそれから離れる方向に磁場Bを提供するように構成することができる。コイル48’、49’、50’、51’の組み合わされた磁場Bは、以下を生成する:
a.正の荷電粒子に対する第1のコイル48’と第2のコイル49’との間の力F1’であって、正の荷電粒子を+X方向に対して実質的に平行な方向に押す力F1’と、
b.正の荷電粒子に対する第2のコイル49’と第3のコイル50’との間の力F2’であって、正の荷電粒子を+Y方向に対して実質的に平行な方向に押す力F2’と、
c.正の荷電粒子に対する第3のコイル50’と第4のコイル51’との間の力F3’であって、正の荷電粒子を-X方向に対して実質的に平行な方向に押す力F3’と、
d.正の荷電粒子に対する第4のコイル51’と第1のコイル48’との間の力F4’であって、正の荷電粒子を-Y方向に対して実質的に平行な方向に押す力F4’。
【0077】
それ故に、四重極偏向器47は、図5Cに概略的に示すように、X軸に対して平行な方向に荷電粒子ビームレット46のアレイの圧縮を、及びY軸に対して平行な方向にアレイの膨張を提供する。伸長及び圧縮の量は、とりわけ、磁場Bの強度に依存する。それ故に、磁場Bの強度を制御することによって、伸長及び圧縮の量を、荷電粒子ビームレット46のアレイが偏向器アレイ45中の開口部と正確にアラインされるように制御することができる。
【0078】
コイル48’、49’、50’、51’が図5Cに示す磁場とは反対方向に磁場Bを提供するように駆動されるとき、荷電粒子ビームレット46に対する力もまた、図5Cに示す力とは反対方向に作用することに留意されたい。
【0079】
負の荷電粒子ビームレットは図5Cの例とは反対方向に移動し、このことから、伸長はX軸に対して平行になり、圧縮はY軸に対して平行になることに更に留意されたい。
【0080】
加えて又は代替として、四重極偏向器47は、4つの電極のセット、特に、図5Dに概略的に示すように、中心軸CAを中心として、特に全てが中心軸CAから同じ距離に配置された電極48’’、49’’、50’’、51’’を備える。電極48’’、49’’、50’’、51’’は、荷電粒子源41と偏向器アレイ45との間のエリア中、特にビームスプリッタ43と偏向器アレイ45との間のエリア中に四重極静電場を発生させるように構成される。
【0081】
図5Dに概略的に示すように、電極48’’、49’’、50’’、51’’は、各々が荷電粒子46’’のアレイに向かう又はそれから離れる方向に静電場Eを提供するように構成することができる。図5Dに概略的に示すような電位を電極に提供するとき、電極48’’、49’’、50’’、51’’の組み合わされた静電場Eは、以下を発生させる:
a.電極48’’の近くの負の荷電粒子を-Y方向に対して実質的に平行な方向に引っ張る力F1’’と、
b.電極49’’の近くの負の荷電粒子を+X方向に対して実質的に平行な方向に押す力F2’’と、
c.電極50’’の近くの負の荷電粒子を+Y方向に対して実質的に平行な方向に引っ張る力F3’’と、
d.電極51’’の近くの負の荷電粒子を-X方向に対して実質的に平行な方向に押す力F4’’。
【0082】
それ故に、四重極偏向器47は、図5Dに概略的に示すように、X軸に対して平行な方向に負の荷電粒子ビームレット46’’のアレイの圧縮を、及びY軸に対して平行な方向にアレイの膨張を提供する。伸長及び圧縮の量は、とりわけ、静電場Eの強度に依存する。それ故に、静電場Eの強度を制御することによって、伸長及び圧縮の量を、荷電粒子ビームレット46のアレイが偏向器アレイ45中の開口部と正確にアラインされるように制御することができる。
【0083】
電極48’’、49’’、50’’、51’’が図5Dに示す静電場とは反対方向に静電場Eを提供するように駆動されるとき、負の荷電粒子ビームレットに対する力もまた、図5Dに示す力とは反対方向に作用することに留意されたい。
【0084】
正の荷電粒子ビームレットは図5Dに示す例とは反対方向に移動し、このことから、図5Dに示すのと同じ静電場Eの配置を使用するとき、伸長はX軸に対して平行になり、圧縮はY軸に対して平行になることに更に留意されたい。
【0085】
加えて又は代替として、四重極偏向器47は、4つの電極のセット、特に、図5Eに概略的に示すように、中心軸CAを中心として、特に全てが中心軸CAから同じ距離に配置された電極48’’’、49’’’、50’’’、51’’’を備える。電極48’’’、49’’’、50’’’、51’’’は、XY平面中に配置され、図5Dにおける電極48’’、49’’、50’’、51’’の位置に対して時計回り方向に45度にわたって回転される。図5Eに示すような電位を電極48’’’、49’’’、50’’’、51’’’に提供するとき、四重極偏向器47は、+X、+Y方向の対角線に対して平行な方向に(F1’’’及びF3’’’方向に対して平行に)アレイの圧縮を、及び-X、+Y方向の対角線に対して平行な方向に(F2’’’及びF4’’’方向に対して平行に)アレイの膨張を提供する。伸長及び圧縮の量は、とりわけ、静電場Eの強度に依存する。それ故に、静電場Eの強度を制御することによって、伸長及び圧縮の量を、荷電粒子ビームレット46’’’のアレイが偏向器アレイ45中の開口部と正確にアラインされるように制御することができる。
【0086】
図5B、5C、5D、及び5Eの例証的な実施形態は、本発明による四重極偏向器47中で個々に又は組み合わせて使用することができることに留意されたい。
【0087】
上記の説明は、好ましい実施形態の動作を例示するために含まれ、本発明の範囲を限定することを意図されないことが理解されるべきである。上記の議論から、本発明の範囲によって更に包含されるであろう多くの変形形態が当業者に明らかとなるであろう。
【0088】
上記で示したように、本発明による操作デバイスは、好ましくは、荷電粒子ビームの軌道を補正するための所望の可能性を提供するために、特に偏向器アレイ上で荷電粒子ビームをアラインするために、上記で提示した例のうちの1つ以上を組み合わせる。
【0089】
更に、図3A、4A、5A、5B、5C、5D、及び5Eの操作デバイス27、38、及び47は、それぞれ、図1のビームエキスパンダ中で使用及び/又は組み合わせることもできる。
【0090】
要約すると、本発明は、複数の実質的にコリメートされた荷電粒子ビームレットを生成するための装置及び方法に関する。装置は、拡散荷電粒子ビームを生成するための荷電粒子源と、 拡散荷電粒子ビームを荷電粒子ビームレットのアレイに分割するためのビームスプリッタと、 荷電粒子ビームレットのアレイの荷電粒子ビームレット毎に1つの偏向器を備える偏向器のアレイを備える偏向器アレイと、ここにおいて、偏向器アレイは、拡散荷電粒子ビームレットのアレイを実質的にコリメートするように構成される、 を備える。装置は、少なくとも荷電粒子源と偏向器アレイとの間のエリア中に電場及び/又は磁場を発生させるように構成されたビーム操作デバイスを更に備える。装置は、中心軸を備え、ビーム操作デバイスは、中心軸に対して実質的に平行であり、且つ中心軸に対して実質的に垂直な電場及び/又は磁場を発生させるように構成される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
【国際調査報告】