(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】撓み可能なプラテン及び関連する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20221214BHJP
H02N 13/00 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
H01L21/68 R
H02N13/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522257
(86)(22)【出願日】2020-09-10
(85)【翻訳文提出日】2022-06-09
(86)【国際出願番号】 US2020050087
(87)【国際公開番号】W WO2021076247
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】M/S 1269,3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イン, ミン
(72)【発明者】
【氏名】スン, ダーウェイ
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131CA07
5F131EB15
5F131EB58
5F131EB78
(57)【要約】
第1の熱膨張係数(CTE)を有する材料から形成された第1の層と、第1の層に結合され、第1のCTEとは異なる第2のCTEを有する第2の層とを含む、撓み可能なプラテンであって、第2の層は、第2の層へのウエハの静電クランプを促進するために埋め込まれた複数の電極を含む、撓み可能なプラテン。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の熱膨張係数(CTE)を有する材料から形成された第1の層と、
前記第1の層に結合され、前記第1のCTEとは異なる第2のCTEを有する第2の層であって、前記第2の層へのウエハの静電クランプを促進するために内部に埋め込まれた複数の電極を含む、第2の層と、
を備える、撓み可能なプラテン。
【請求項2】
前記第2のCTEは、前記第1のCTEよりも大きい、請求項1に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項3】
前記第1のCTEが、2.0×10
-7/℃~4.0×10
-7/℃の間であり、前記第2のCTEが、6.0×10
-7/℃~8.0×10
-7/℃の間である、請求項2に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項4】
前記第1の層は、石英、炭素、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、INVAR、KOVAR、モリブデン、タングステン、タンタル、及びチタンのうちの少なくとも1つから形成されている、請求項2に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項5】
前記第2の層は、セラミック、アルミニウム、銀、及び銅のうちの少なくとも1つから形成されている、請求項2に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項6】
前記第1のCTEは、前記第2のCTEよりも大きい、請求項1に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項7】
前記第2のCTEが、2.0×10
-7/℃~4.0×10
-7/℃の間であり、前記第1のCTEが、6.0×10
-7/℃~8.0×10
-7/℃の間である、請求項6に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項8】
前記第2の層は、石英、炭素、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、INVAR、KOVAR、モリブデン、タングステン、タンタル、及びチタンのうちの少なくとも1つから形成されている、請求項6に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項9】
前記第1の層は、セラミック、アルミニウム、銀、及び銅のうちの少なくとも1つから形成されている、請求項6に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項10】
前記第1の層と前記第2の層との間に配置され、前記第1の層と前記第2の層とを制御可能に加熱するように適合されたヒートトレースをさらに備える、請求項1に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項11】
前記ヒートトレースは、電源に接続されたワイヤ、ケーブル、プレート、及びテープのうちの少なくとも1つを備える、請求項10に記載の撓み可能なプラテン。
【請求項12】
第1の熱膨張係数(CTE)を有する材料で形成された第1の層と、
前記第1の層に結合され、前記第1のCTEよりも大きい第2のCTEを有する第2の層であって、前記第2の層へのウエハの静電クランプを促進するために内部に埋め込まれた複数の電極を含む、第2の層と、
前記第1の層と前記第2の層との間に配置され、前記第1の層と前記第2の層とを制御可能に加熱するように適合されたヒートトレースと、
を備える、撓み可能なプラテン。
【請求項13】
第1の熱膨張係数(CTE)を有する材料で形成された第1の層を提供することと、
前記第1の層に結合され、前記第1のCTEとは異なる第2のCTEを有する第2の層を提供することであって、前記第2の層は、前記第2の層へのウエハの静電クランプを促進するために内部に埋め込まれた複数の電極を含む、第2の層を提供することと、
を含む、プラテンを撓ませる方法であって、
前記第1の層と前記第2の層とを200℃~600℃の範囲の温度に加熱することと、
前記第1の層と前記第2の層とを-50℃~-150℃の範囲の温度に冷却することと、
のうちの1つを含む、プラテンを撓ませる方法。
【請求項14】
前記第2のCTEは、前記第1のCTEよりも大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のCTEが、2.0×10
-7/℃~4.0×10
-7/℃の間であり、前記第2のCTEが、6.0×10
-7/℃~8.0×10
-7/℃の間である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の層と前記第2の層との間にヒートトレースを配置することをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の層と前記第2の層との間に配置されたヒートトレースを作動して、前記第1の層と前記第2の層とを加熱することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のCTEは、前記第2のCTEよりも大きい、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第2のCTEが、2.0×10
-7/℃~4.0×10
-7/℃の間であり、前記第1のCTEが、6.0×10
-7/℃~8.0×10
-7/℃の間である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の層と前記第2の層とを冷却することは、前記第1の層と前記第2の層とを液体窒素中に少なくとも部分的に浸漬することを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示の実施形態は、概して、半導体デバイス製造の分野に関し、より具体的には、半導体ウエハの効果的な静電クランプを促進するための撓み可能なプラテンに関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 半導体ウエハは、典型的には、イオン注入中に平坦なプラテン上に配置され、他の特定のプロセスが半導体デバイスの製造中に実行される。一般的に、半導体ウエハは、静電クランプを介してプラテンに固定され、ここで、電圧がプラテン内の埋め込まれた電極間に印加され、結果として生じる電場が、半導体ウエハをプラテンに保持する。機械的クランプは半導体ウエハを損傷及び/又は汚染することがあるため、機械的クランプよりも静電クランプの方が好ましい。
【0003】
[0003] プラテンが静電クランプを介して半導体ウエハをプラテンにしっかりと固定する能力は、半導体ウエハ底面のプラテン上面への近接性に大きく依存する。理想的には、これらの表面は共に平面であり、互いに平坦で連続的に接触して配置される。場合によっては、半導体ウエハは、反り返っている(例えば、20thou(thouは1000分の1インチ)まで反り返っている)ことがあり、その結果、半導体ウエハの底面とプラテンの上面との間に比較的大きな間隙が生じる。これにより、静電クランプが弱くなる、又は無効になることがある。この問題は、半導体ウエハ及びプラテンが高温処理(例えば、高温イオン注入の間)に曝される場合に悪化することがあり、半導体ウエハ及びプラテンの一貫性のない撓みが、両者の間の間隙を増大させる可能性がある。
【0004】
[0004] したがって、半導体ウエハとプラテンとの間の面と面との近接性を最小化することは、両者の間の確実な静電クランプを促進するために望ましい。これら及びその他の考慮事項に関しては、本発明の改良は有用でありうる。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 本概要は、概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。本概要は、特許請求される主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではなく、特許請求される主題の範囲を決定する際の補助として意図したものでもない。
【0006】
[0006] 本開示の非限定的な実施形態による撓み可能なプラテンは、第1の熱膨張係数(CTE)を有する材料で形成された第1の層と、第1の層に結合され、第2のCTEを有する第2の層とを含むことができ、第2の層は、第2の層へのウエハの静電クランプを促進するために、内部に埋め込まれた複数の電極を含み、第2のCTEは、第1のCTEとは異なる。
【0007】
[0007] 本開示の別の非限定的な実施形態による撓み可能なプラテンは、第1のCTEを有する材料で形成された第1の層と、第1の層に結合され、第1のCTEよりも大きい第2のCTEを有する第2の層と、第2の層へのウエハの静電クランプを促進するために内部に埋め込まれた複数の電極を含む第2の層と、第1の層と第2の層との間に配置され、第1の層と第2の層とを制御可能に加熱するように適合されたヒートトレースと、を含みうる。
【0008】
[0008] 本開示の非限定的な実施形態によるプラテンを撓ませる方法は、第1のCTEを有する材料で形成された第1の層を提供することと、第1の層に結合され、第1のCTEとは異なる第2のCTEを有する第2の層を提供することであって、第2の層は、第2の層へのウエハの静電クランプを促進するために内部に埋め込まれた複数の電極を含む、第2の層を提供することとを含み、第1の層と第2の層とを摂氏300度から摂氏600度の範囲の温度に加熱することと、第1の層と第2の層とを摂氏-50度から摂氏-150度の範囲の温度に冷却することと、のうちの1つを含みうる。
【0009】
[0009] 例として、開示された装置の様々な実施形態が、添付の図面を参照して、以下で説明される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】半導体ウエハが配置された、本開示による撓み可能なプラテンの例示的な実施形態を示す側断面図である。
【
図1B】半導体ウエハが配置され、撓み状態にある
図1Aの撓み可能なプラテンを示す側断面図である。
【
図1C】非撓み状態に弾性的に戻されている
図1Aの撓み可能なプラテンを示す側断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態による、プラテンを撓ませる方法を示すフロー図である。
【
図3A】半導体ウエハが配置された、本開示による撓み可能なプラテンの別の例示的な実施形態を示す側断面図である。
【
図3B】半導体ウエハが配置され、撓み状態にある
図3Aの撓み可能なプラテンを示す側断面図である。
【
図3C】撓み状態に塑性的に維持された、
図3Aの撓み可能なプラテンを示す側断面図である。
【
図4】本開示の一実施形態による、プラテンを撓ませる別の方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[0018] いくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、本実施形態をより完全に説明する。本開示の主題は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、主題の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。図面では、全体を通して、同様の番号は同様の要素を指す。
【0012】
[0019]
図1Aを参照すると、本開示の例示的な実施形態による撓み可能なプラテン10(以下、「プラテン10」)を示す側断面図が示されている。プラテン10の上面と、プラテン10の上に配置された反り返った又は湾曲した半導体ウエハの底面との間に近接したクリアランス関係(clearance relationship)を設けて、両者の間の効果的な静電クランプを促進するため、プラテン10は、(以下にさらに説明するように)弾性変形可能であってもよい。
【0013】
[0020] プラテン10は、第1の材料で形成された概して平坦な第1の層12と、第1の層12の上に配置された第2の材料で形成された概して平坦な第2の層14とを含みうる。第1の材料は第1の熱膨張係数(CTE)を有してよく、第2の材料は第2のCTEを有してよく、第2のCTEは、第1のCTEよりも大きくなりうる。第1の層12と第2の層14とは、第1の材料と第2の材料を共に結合するのに適したろう付け、又は他の技法などによって、共に平坦に結合されうる。様々な実施形態では、プラテン10は、第1の層12と第2の層14との間に配置された、又は「挟まれた」ヒートトレース15を含みうる。ヒートトレース15は、電源(図示せず)に接続された電気加熱要素(例えば、1つ又は複数のワイヤ、ケーブル、プレート、テープなど)を含みうる。ヒートトレース15は、可撓性であってもよく、例えば、少なくとも20thou(以下で説明されるように)までのプラテン10の撓みに耐えるように適合されてもよい。ヒートトレース15を作動することによって、プラテン10の隣接する第1の層12及び第2の層14は、以下でさらに説明されるように制御可能に加熱されてもよい。
【0014】
[0021] 一実施例では、プラテン10の第1の層12は、6.0×10-7/℃未満(例えば、2.0×10-7/℃~4.0×10-7/℃)のCTEを有する材料から形成されてもよい。特定の実施例では、第1の層12は、石英で形成されてもよい。本開示は、この点に関して限定されない。第1の層12は、代替的に、炭素、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、INVAR、KOVAR、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、及びそれらの合金を含むが、これらに限定されない、他の比較的低いCTE材料で形成されてもよい。一実施例では、プラテン10の第2の層14は、第1の層12よりも比較的高いCTEを有する材料(例えば、6.0×10-7/℃~8.0×10-7/℃の範囲のCTEを有する材料)から形成されてもよい。特定の実施例では、第2の層14は、酸化アルミニウムを含むがこれに限定されないセラミックで形成されてもよい。本開示は、この点に関して限定されない。代替的に、第2の層14は、アルミニウム、銀、銅、及びそれらの合金を含むがこれらに限定されない、他の比較的高いCTEの材料から形成されてもよい。
【0015】
[0022] プラテン10の第2の層14は、内部に埋め込まれた複数の電極16を有することができる。電極16は、電源(図示せず)に接続されてもよく、当業者によく知られている従来の静電クランプの方法で動作するように配置及び構成されてもよい。特に、電極16の両端に電圧を印加することによって、電界を発生させることができ、静電力を介して半導体ウエハ18(以下、「ウエハ18」という)をプラテン10に保持することができる。ウエハ18に作用する静電力の強度は、ウエハ18の電極16への近接性に部分的に依存する。理想的には、ウエハ18の底面の輪郭は、プラテン10の上面の輪郭に適合するか、又はほぼ適合し(例えば、両者の表面が平坦であるか、又はほぼ平坦である場合)、これにより、電極16とウエハ18との間に可能な限り短い距離を確立し、それらの間に強い静電結合を提供する。場合によっては、
図1Aに示されているウエハ18のようなウエハは、反り返ったり湾曲したり(例えば、最大で20thou、場合によってはそれ以上に撓み)、プラテン10の概して平坦な上面に凹状の底面を呈することがある(
図1Aに示されているようなウエハ18の撓みは、説明のため誇張されている)。結果として生じるウエハ18とプラテン10との間の間隙20は、ウエハ18に作用する静電力を減衰させ、その結果、プラテン10とウエハ18との間の静電クランプは低下する。
【0016】
[0023]
図1Bを参照すると、プラテン10は撓んだ状態で示されている。特に、ヒートトレース15は作動しており、その結果、プラテン10の第1の層12及び第2の層14を加熱する。第2の層14のCTEは第1の層12のCTEよりも大きいため、加熱された第2の層14は、加熱された第1の層12よりも大きく(すなわち、より迅速且つ/又はより大きな程度に)膨張し、プラテン10の凸状の撓みをもたらすことができる。したがって、プラテン10の上面の輪郭は、ウエハ18の底面の輪郭とより密接に適合され、
図1Aに示したプラテン10の非撓み状態と比較して、両者の間隙20のサイズを小さくすることができる。様々な実施例では、プラテン10は、300℃~600℃の温度に加熱されることがある。特定の非限定的な実施例では、プラテン10は、500℃の温度まで加熱されると、18thouの撓みを示すことがある。本開示は、この点に関して限定されない。撓んだプラテン10によって促進される、より小さな間隙20及び電極16のウエハ18への近接性は、
図1Aに示された撓んでいないプラテン10によって印加される静電力と比較して、ウエハ18に作用するより強い静電力を提供し、その結果、プラテン10とウエハ18との間により良い静電結合をもたらす。
【0017】
[0024] 加熱されたプラテン10での撓みの程度は、第1の層12及び第2の層14のCTE、第1の層12及び第2の層14に加えられる熱の量、第1の層12及び第2の層14の直径、ならびに第1の層12及び第2の層14の厚さを含むが、これらに限定されない、多くの要因に依存するであろう。非限定的な実施形態では、第1の層12の厚さは4ミリメートルであってよく、第2の層14の厚さは4ミリメートルであってよい。別の非限定的な実施形態では、第1の層12の厚さは6ミリメートルであってよく、第2の層14の厚さは4ミリメートルであってよい。別の非限定的な実施形態では、第1の層12の厚さは8ミリメートルであってよく、第2の層14の厚さは4ミリメートルであってよい。本開示は、この点に関して限定されず、第1の層12及び第2の層14の厚さは、上述のものと異なってもよい。さらに、プラテン10を制御可能に加熱するための一体化されたヒートトレース15を含むものとしてプラテン10を説明したが、ヒートトレース15が省略され、プラテン10が外部熱源(例えば、オーブン)によって加熱されるプラテン10の実施形態も考えられる。
【0018】
[0025] 様々な実施形態では、加熱中のプラテン10の撓み応力は、第1の層12及び/又は第2の層14の材料の降伏強度未満であってもよい。したがって、ヒートトレース15(又は他の熱源)が停止され、プラテン10を室温まで冷却することが可能になると、プラテン10は、
図1Cに示したように、元のほぼ平坦な状態に戻ることができる。したがって、第1の層12及び第2の層14に印加される熱量を変化させることによって、プラテン10は、その上に配置される様々な程度の撓みを有するウエハの輪郭に適合又は近接して、その間に効果的な静電クランプを提供するように、様々な程度(例えば、0~20thou)に制御可能に撓みうる。
【0019】
[0026]
図2を参照すると、本開示によるプラテンを撓ませるための例示的な方法を示す流れ図が示されている。次に、この方法を、
図1A~
図1Cに示したプラテン10の図解に関連して説明する。
【0020】
[0027] 例示的な方法のブロック100では、第1の層12を設けることができ、第1のCTEを有する材料から形成されてもよい。この方法のブロック110では、第2の層14を設けることができ、第2のCTEを有する材料から形成されてもよく、第2の層14を、ろう付け又は上述のような他の適切な技法などによって、第1の層12に平坦に結合することができる。第2のCTEは、第1のCTEよりも大きくてもよい。様々な実施例において、第1の層12は、6.0×10-7/℃未満(例えば、2.0×10-7/℃~4.0×10-7/℃)のCTEを有する材料から形成されてもよく、第2の層14は、6.0×10-7/℃~8.0×10-7/℃の範囲のCTEを有してもよい。第2の層14には、複数の電極16が埋め込まれていてもよい。電極16は、電源に接続されてもよく、当業者によく知られている従来の静電クランプの方法で動作するように配置及び構成されてもよい。
【0021】
[0028] 例示的な方法のブロック120では、ヒートトレース15は、第1の層12と第2の層14との間に配置されてもよい(例えば、挟まれてもよい)。これは、第2の層14を第1の層12に結合する前に、又は結合中に行うことができる。ヒートトレース15は、電源に接続された電気加熱要素(例えば、1つ又は複数のワイヤ、ケーブル、プレート、テープなど)を含んでもよい。
【0022】
[0029] 例示的な方法のブロック130では、ヒートトレース15を作動させ、それによって第1の層12及び第2の層14を加熱することができる。第2の層14のCTEは第1の層12のCTEよりも大きいため、加熱された第2の層14は、加熱された第1の層12よりも大きく(すなわち、より迅速且つ/又はより大きな程度に)膨張し、プラテン10の凸状の撓みをもたらすことができる。したがって、
図1Bに示したように、プラテン10の上面の輪郭は、ウエハ18の底面の輪郭とより密接に適合され、
図1Aに示したプラテン10の非撓み状態と比較して、両者の間隙20のサイズを小さくすることができる。
【0023】
[0030]
図3Aを参照すると、本開示の別の例示的な実施形態による撓み可能なプラテン200(以下、「プラテン200」)を示す側断面図が示されている。プラテン200の上面と、プラテン200の上に配置された反り返った又は湾曲した半導体ウエハの底面との間に近接したクリアランス関係を設けて、両者の間の効果的な静電クランプを促進するため、プラテン200は、(以下にさらに説明するように)塑性変形可能であってもよい。
【0024】
[0031] プラテン200は、第1の材料で形成された概して平坦な第1の層212と、第1の層212の上に配置された第2の材料で形成された概して平坦な第2の層214とを含みうる。第1の材料は、第1の熱膨張係数(CTE)を有してよく、第2の材料は、第2のCTEを有してよく、第1のCTEは、第2のCTEよりも大きくなりうる。第1の層212と第2の層214とは、第1の材料及び第2の材料を共に結合するのに適したエポキシ又は他の技法などによって、共に平坦に結合されうる。
【0025】
[0032] 一実施例では、プラテン200の第1の層212は、20.0×10-7/℃を超えるCTEを有する材料(例えば、約24.0×10-7/℃のCTEを有する材料)から形成されてもよい。特定の実施例では、第1の層212は、多孔質アルミニウム合金から形成されてもよい。本開示は、この点に関して限定されない。代替的に、第1の層212は、アルミニウム、銀、銅、及びそれらの合金を含むがこれらに限定されない、他の比較的高いCTEの材料から形成されてもよい。一実施例では、プラテン200の第2の層214は、第1の層112よりも比較的低いCTEを有する材料(例えば、6.0×10-7/℃~8.0×10-7/℃の範囲のCTEを有する材料)から形成されてもよい。特定の実施例では、第2の層214は、酸化アルミニウムを含むが、これに限定されないセラミックで形成されてもよい。本開示は、この点に関して限定されない。第2の層214は、代替的に、炭素、ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化アルミニウム、INVAR、KOVAR、モリブデン、タングステン、タンタル、チタン、及びそれらの合金を含むが、これらに限定されない、他の比較的低いCTE材料で形成されてもよい。
【0026】
[0033] プラテン200の第2の層214は、内部に埋め込まれた複数の電極216を有することができる。電極216は、電源(図示せず)に接続されてもよく、当業者によく知られている従来の静電クランプの方法で動作するように配置及び構成されてもよい。特に、電極216の両端に電圧を印加することによって、電界を発生させることができ、静電力を介して半導体ウエハ218(以下、「ウエハ218」という)をプラテン200に保持することができる。ウエハ218に作用する静電力の強度は、ウエハ218の電極216への近接性に部分的に依存する。理想的には、ウエハ218の底面の輪郭は、プラテン200の上面の輪郭に適合するか、又はほぼ適合し(例えば、両方の表面が平坦である場合)、したがって、電極216とウエハ218との間に可能な限り短い距離を確立し、それらの間に強い静電結合を提供する。場合によっては、
図3Aに示されているウエハ218のようなウエハは、反り返ったり湾曲したり(例えば、最大で20thou、場合によってはそれ以上に撓み)、プラテン200の概して平坦な上面に凹状の底面を呈することがある(
図3Aに示されているようなウエハ218の撓みは、説明のため誇張されている)。結果として生じるウエハ218とプラテン200との間の間隙220は、ウエハ218に作用する静電力を減衰させ、その結果、プラテン200とウエハ218との間の静電クランプは低下する。
【0027】
[0034]
図3Bを参照すると、プラテン200は撓み状態で示されている。特に、プラテンは急速且つ大幅に冷却されている。非限定的な実施例では、プラテン200は、液体窒素に浸漬されてもよい。本開示は、この点に関して限定されない。第1の層212のCTEは第2の層214のCTEよりも大きいため、冷却された第1の層212は、冷却された第2の層214よりも収縮し(すなわち、より迅速且つ/又はより大きな程度で)、プラテン200の凸状の撓みをもたらしうる。したがって、プラテン200の上面の輪郭は、ウエハ218の底面の輪郭とより密接に適合され、
図3Aに示したプラテン200の非撓み状態と比較して、両者の間隙220のサイズを小さくすることができる。様々な実施例では、プラテン200は、-50℃~-150℃の間の温度に冷却されてもよい。特定の非限定的な実施例では、プラテン200は、-100℃の温度まで冷却されると、22thouの撓みを呈しうる。本開示は、この点に関して限定されない。撓んだプラテン200によって促進される、より小さな間隙220及び電極216のウエハ218への近接性は、
図3Aに示された撓んでいないプラテン200によって印加される静電力と比較して、ウエハ218に作用するより強い静電力を提供し、その結果、プラテン200とウエハ218との間により良い静電結合をもたらす。
【0028】
[0035] 加熱されたプラテン200における撓みの程度は、第1の層212及び第2の層214のCTE、第1の層212及び第2の層214に加えられる冷却量、第1の層212及び第2の層214の直径、並びに第1の層212及び第2の層214の厚さを含むが、これらに限定されない多くの要因に依存する。非限定的な実施形態では、第1の層212の厚さは4ミリメートルであってよく、第2の層214の厚さは4ミリメートルであってよい。別の非限定的な実施形態では、第1の層212の厚さは6ミリメートルであってよく、第2の層214の厚さは4ミリメートルであってよい。別の非限定的な実施形態では、第1の層212の厚さは8ミリメートルであってよく、第2の層214の厚さは4ミリメートルであってよい。本開示は、この点に関して限定されず、第1の層212及び第2の層214の厚さは、上述のものとは異なってもよい。
【0029】
[0036] 様々な実施形態では、冷却中のプラテン200の撓み応力は、第1の層212の材料の降伏強度及び/又は第2の層214の材料の降伏強度よりも大きくなりうる。このように、プラテン200が室温まで温めることが可能な場合には、プラテン200は
図3Cに示したように、凸状に撓んだ状態に留まりうる。冷却中に、プラテン200が所望の目標量の撓みを超えて撓んだ場合(すなわち、所望よりも凸状になった場合)には、プラテン200は、外部熱源(例えば、オーブン)などによって加熱されてもよい。第1の層212のCTEが第2の層214のCTEよりも大きいため、加熱された第1の層212は、加熱された第2の層214よりも大きく(すなわち、より迅速且つ/又は、より大きな程度で)膨張し、プラテン200の(すなわち、プラテン200が冷却されたときと比較して)逆方向の撓みをもたらし、これにより、プラテン200の凸性を低減することができる。加熱中のプラテン200の撓み応力は、第1の層212の材料の降伏強度よりも大きく、且つ/又は第2の層214の材料の降伏強度よりも大きく、これにより塑性変形をもたらしうる。プラテン200の上述の冷却及び加熱は、プラテン200内の所望の量の撓みが達成されるまで、必要に応じて繰り返されてもよい。したがって、第1の層212及び第2の層214に印加される冷却及び加熱の量を変化させることによって、プラテン200は、その上に配置される様々な程度の撓みを有するウエハの輪郭に適合又は近接して、両者の間に効果的な静電クランプを提供するために、様々な程度(例えば、0~22thou)に制御可能に撓められてもよい。
【0030】
[0037]
図4を参照すると、本開示によるプラテンを撓ませるための例示的な方法を示すフロー図が示されている。次に、この方法を、
図3A~
図3Cに示したプラテン200の図と関連して説明する。
【0031】
[0038] 例示的な方法のブロック300では、第1の層212を設けることができ、第1のCTEを有する材料から形成されてもよい。この方法のブロック310では、第2の層214を設けることができ、第2のCTEを有する材料から形成されてもよく、第2の層214は、エポキシ又は上述のような他の適切な技法などによって第1の層212に平坦に結合されうる。第1のCTEは、第2のCTEより大きくてもよい。様々な実施例において、第1の層212は、6.0×10-7/℃~8.0×10-7/℃の範囲のCTEを有する材料から形成されてもよく、第2の層214は、6.0×10-7/℃未満(例えば、2.0×10-7/℃~4.0×10-7/℃)のCTEを有してもよい。第2の層214には、複数の電極216が埋め込まれていてもよい。電極216は、電源に接続されてもよく、当業者によく知られている従来の静電クランプの方法で動作するように配置及び構成されてもよい。
【0032】
[0039] 例示的な方法のブロック320では、プラテン200を急速且つ大幅に冷却することができる。非限定的な実施例では、プラテン200は、液体窒素に浸漬されてもよい。本開示は、この点に関して限定されない。第1の層212のCTEは第2の層214のCTEよりも大きいため、冷却された第1の層212は、冷却された第2の層214よりも収縮し(すなわち、より迅速且つ/又はより大きな程度で)、プラテン200の凸状の撓みをもたらしうる。したがって、プラテン200の上面の輪郭は、ウエハ218の底面の輪郭とより密接に適合され、
図3Aに示したプラテン200の非撓み状態と比較して、両者の間隙220のサイズを小さくすることができる。
【0033】
[0040] 当業者には理解されるように、上述の撓み可能なプラテン10、200及び関連する方法は、従来のプラテンと比較して明確な利点を提供する。例えば、上述の弾性変形可能なプラテン10の場合には、プラテン10は、(例えば、ヒートトレース15を介した)熱の選択的印加によって動的に撓ませることが可能で、様々な程度の撓みを有するウエハとの効果的な静電クランプを迅速且つ簡便に促進することができる。上述の塑性変形可能なプラテン200の場合には、プラテン200は、(冷却及び加熱の適用を介して)所望の程度の撓みを達成するために一度変形させることが可能で、その後、それ以上の冷却又は加熱がない場合には、同様に撓んだウエハとの効果的な静電クランプを促進するため、その撓み形状を保持する。
【0034】
[0041] 本開示は、本明細書に記載された特定の実施形態によって範囲が限定されるべきではない。実際に、本明細書に記載のものに加えて、本開示の他のさまざまな実施形態及び本開示の変形例は、上述の説明及び添付図面から、当業者には明らかである。したがって、そのような他の実施形態及び変形例は、本開示の範囲に含まれるよう意図されている。さらに、本明細書では、特定の目的のために特定の環境における特定の実装の文脈で本開示を説明したが、当業者は、その有用性がこれに限定されないことを認識するであろう。本開示の実施形態は、任意の数の目的のために、任意の数の環境において有益に実装されうる。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載される本開示の全範囲及び主旨を考慮して解釈されるものとする。
【国際調査報告】