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特表2022-552984計測光に関する物体の反射率を計測するための方法およびその方法を実行するための計量システム
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  • 特表-計測光に関する物体の反射率を計測するための方法およびその方法を実行するための計量システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】計測光に関する物体の反射率を計測するための方法およびその方法を実行するための計量システム
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/84 20120101AFI20221214BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20221214BHJP
【FI】
G03F1/84
G01N21/956 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522862
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2020078215
(87)【国際公開番号】W WO2021073993
(87)【国際公開日】2021-04-22
(31)【優先権主張番号】102019215972.9
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】カペッリ レンツォ
(72)【発明者】
【氏名】コッホ マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ヘルヴェク ディルク
(72)【発明者】
【氏名】ポールズ ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】カースティーン グリゼルダ
(72)【発明者】
【氏名】グウォッシュ クラウス
【テーマコード(参考)】
2G051
2H195
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA56
2G051AB20
2G051BB01
2G051BB07
2G051BB11
2G051CA01
2G051CB01
2G051CC07
2G051CC09
2G051CC11
2H195BD02
2H195BD11
2H195BD14
2H195BD17
(57)【要約】
計測光(1)に関する物体(12)の反射率を計測する場合、初めに物体(12)および反射率計測装置(2)が用意される。反射率計測装置(2)は、計測光源(3)と、物体を保持するための物体保持具(12a)と、物体(12)によって反射された計測光(1)を捕捉するための空間分解検出器(16)と、を含む。計測光ビームが計測装置(2)の視野(10)内の物体(12)のセクションに照射される。物体(12)の照射されたセクションから到来した反射された計測光(1)が捕捉される。捕捉されるセクションの表面積は最大で50μm×50μmである。検出器(16)によって計測が実行される。次に、捕捉された計測光(1)の強度に基づいて、物体(12)の少なくとも1つの反射率パラメータが求められる。結果は、特に非常に微細な構造化物体の、たとえばリソグラフィマスクなどの反射率を十分な精度で計測することができる計測方法およびそれを用いて動作する計量システムである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造化リソグラフィマスクの形態で、または非構造化マスクブランクとして具現化される物体(12)の、計測光(1)に関する反射率を計測するための方法であって、
前記物体(12)を用意するステップと、
計測光源(3)を有し、
前記物体(12)を保持するための物体保持具(12a)を有し、
前記物体保持具(12a)内の前記物体(12)によって反射された計測光(1)を捕捉するための空間分解検出器(16)を有する、
反射率計測装置(2)を用意するステップと、
前記計測装置(2)の視野(10)内の前記物体(12)のセクションへの計測光ビームの照射のステップと、
前記物体(12)の前記照射されたセクションから到来した前記反射された計測光(1)を前記検出器(16)で捕捉するステップであって、前記捕捉されるセクションの表面積は最大で50μm×50μmである、捕捉するステップと、
前記捕捉された計測光(1)の強度に基づいて前記物体(12)の少なくとも1つの反射率パラメータを決定するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記空間分解検出器(16)による、前記物体(12)のただ1つの捕捉されるセクションから到来した前記計測光(1)の前記捕捉の結果を比較することによって、前記物体(12)の前記反射率の局所的な変化を決定することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記空間分解検出器(16)による、前記物体(12)の異なるセクションから到来した前記計測光(1)の前記捕捉の結果を比較することによって、前記計測装置(2)の前記視野(10)よりも大きい前記物体(12)の表面セクションにわたる前記反射率の変化を決定することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記空間分解検出器(16)による、異なる入射角で前記物体(12)のただ1つの捕捉されるセクションに照射された前記計測光(1)の前記捕捉の結果を比較することによって、前記反射率の角度変化を決定することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記反射率の前記角度変化は、異なる入射角での前記捕捉されるセクションへの順次的な照射によって決定されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記反射率の前記角度変化は、異なる入射角での前記捕捉されるセクションへの同時の照射によって決定されることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記物体(12)に照射された前記計測光(1)の信号強度を正規化することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
計測光源(3)を有し、
指定された照明設定で、構造化リソグラフィマスクまたは非構造化マスクブランクとして具現化される計測対象の前記物体(12)を照明するための照明光学ユニット(4a)を有し、
検査対象の前記物体(12)のセクションで反射された計測光(1)を計測面(15)に送るための結像光学ユニット(8)を有し、
前記計測面(15)に配置された空間分解検出デバイス(16)を有する、
請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行するための計量システム(2)。
【請求項9】
前記計測光源(3)は、EUV計測光源の形態で設計されることを特徴とする、請求項8に記載の計量システム。
【請求項10】
前記照明光学ユニット(4a)の構成部品としてのピンホール絞り(6、22)を特徴とする、請求項8または9に記載の計量システム。
【請求項11】
前記物体(12)と前記検出デバイス(16)との間の前記計測光ビーム経路内のベルトラン光学ユニット(17)を特徴とする、請求項8~10のいずれか1項に記載の計量システム。
【請求項12】
前記物体(12)への照射前の、ビーム経路における前記計測光(1)の信号強度を決定するための少なくとも1つのエネルギーセンサ(21a)を特徴とする、請求項8~11のいずれか1項に記載の計量システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、ドイツ特許出願第DE10 2019 215 972.9号の優先権を主張し、その内容は引用により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、計測光に関する物体の反射率を計測するための方法に関する。本発明はさらに、この方法を実行するための計量システムに関する。
【背景技術】
【0003】
物体の反射率を計測するために、反射率に関する決定対象となる物体の拡張された(extended)セクションを照明する反射率計が知られている。様々な用途向けの種々の設計の反射率計が知られている。ドイツ物理工学研究所(Physikalisch-Technische Bundesanstalt)(ドイツの計量標準機関:National Metrology Institute of Germany)によって発行されたPTBニュースエディション03.1、2003から、EUVリソグラフィ用の反射率計が知られている。
【発明の概要】
【0004】
本発明の目的は、計測光に関する物体の反射率を計測するための方法を開発することによって、特に非常に微細な構造化物体の、たとえばリソグラフィマスクなどの反射率を十分な精度で計測できるようにすることである。
【0005】
この目的は、本発明によれば、請求項1に記載した特徴を有する計測方法によって達成される。
【0006】
本発明によれば、反射率パラメータを十分に正確に決定するには、50μm×50μm以下の非常に小さい範囲の物体表面セクションを計測する必要があるということを見出した。このようにして、特に、計測対象の物体の機能にとって決定的に重要であり得る局所的な反射率の変化を正確に決定することができる。
【0007】
反射率計測装置による反射された計測光の捕捉(キャプチャ)領域は、視野とも呼ばれる。捕捉の視野は50μm×50μmより小さくすることができ、たとえば、40μm×40μm、30μm×30μm、25μm×25μm、20μm×20μm、15μm×15μm、または10μm×10μm、あるいはさらに小さくすることができる。視野は通常、1μm×1μmより大きい。物体セクションに照射される(impinge:当たる)計測光ビームは、それに応じて1μm~100μmの範囲のより大きい直径を有することができる。視野は通常、計測光ビームの直径内にある。計測光が照射される物体セクションは、視野と一致するか、または視野内にすることができる。
【0008】
計測光ビームが物体セクションに照射される前に、処理対象となる物体セクションの選択を、その物体の構造の詳細に基づいて行うことができ、たとえば、吸収性セクションも有する物体の反射性セクションへのターゲットを絞った照射、または特定の、場合によっては繰り返しの物体構造のターゲットを絞った選択などである。物体は、構造化リソグラフィマスク、または未構造化マスク(マスクブランク)である。リソグラフィマスクが物体として使用される場合、ペリクルがある場合とない場合とがある。特に、EUV投影露光リソグラフィに使用されるリソグラフィマスクを計測することができる。
【0009】
検出器はフィールド面に配置され得る。この場合、視野は検出面または計測面に結像される(imaged)。
【0010】
反射率パラメータは、ただ1つの物体に対して、特に、ただ1つの物体の1つまたは複数の規定のセクションに対して個別に決定することができる。あるいは、異なる物体の、特に、異なるリソグラフィマスクまたはレチクルの反射率パラメータの比較を行うこともできる。この目的で、計測対象の物体を事前に較正された較正物体と比較することができる。決定される反射率パラメータは、たとえば、絶対物体反射率とすることができる。この目的で、較正物体または正規化物体の対応する反射率パラメータとの比較を行うことができる。リソグラフィマスクを計測する場合、マスクのペリクルの透過率を、とりわけ局所的に決定することもできる。ペリクルがある場合およびない場合での物体の対応する反射計測値の比較を、1つまたは複数の物体のペリクルのセクションでとりわけ局所的に行うことができる。物体セクションの反射率へのペリクルの影響を決定することができる。
【0011】
視野内の検出器の空間分解能は、100nmよりも良好にすることができ、80nmよりも良好にすることができ、60nmよりも良好にすることができ、50nmよりも良好にすることができ、40nmよりも良好にすることができ、30nmよりも良好にすることができ、25nmよりも良好にすることができ、20nmよりも良好にすることができ、たとえば、1nm~10nmの範囲にすることができる。
【0012】
特に、計測対象の物体の一例としてのリソグラフィマスクに対して、その反射率が特定の均質性基準に合致するという認定を行うことができる。これは、投影露光中の反射照明光の強度変動が、実現可能な限界寸法の、すなわち、投影露光の実現可能な空間分解能におけるばらつき(variation)内に線形に包含されることを考慮に入れる。対応する強度変動ΔIと実現可能な限界寸法のばらつきΔCDとの間のそのような依存関係は、次のように記述することができる。
【0013】
【数1】
【0014】
ここで、CDは限界寸法であり、Iは未構造化マスクなどの計測対象の物体によって反射された強度であり、NILSは一定のシステムパラメータ(正規化像対数勾配(normalized image log slope)パラメータ)である。
【0015】
請求項2に記載の局所的な反射率の変化の決定により、計測対象の物体の一例としてのリソグラフィマスクの機能に悪影響を与え得る反射率の事前指定値のずれを見つけることが可能になる。
【0016】
請求項3に記載の異なる物体セクションの反射率の変化の決定は、異なるセクションを順次捕捉することによって実現することができ、物体を計測面へのビーム方向に対して横方向に、計測光ビームに対して変位させる。このようにして、計測対象の計測対象となる物体の表面全体を計測することも可能である。異なる物体セクションは、構造化および/または非構造化物体セクションとすることができる。
【0017】
請求項4に記載の反射率の角度変化の決定により、特に計測対象の物体の一例としてのリソグラフィマスクの投影露光中に使用される特定の照明設定の、その設定の特定の照明方向でのマスクの反射率に関するテストが可能になる。これにより、特定の照明設定に関してリソグラフィマスクを認定することが可能になる。
【0018】
請求項5に記載の順次的な照射は、反射率計測装置の照明光学ユニットの照明瞳内で変位可能なピンホール絞りによって実現することができる。
【0019】
請求項6に記載の同時の照射は、計測光が物体で反射された後の瞳の像を捕捉することによって実現することができる。視野を計測面に結像可能なことに加えて、計測面での瞳像の捕捉を可能にするために、反射率計測装置は、物体と検出器との間の計測光ビーム経路にベルトラン(Bertrand)光学ユニットを有することができ、これは無効位置と有効位置との間で変位させることができる。
【0020】
請求項7に記載の信号強度の正規化により、反射率パラメータ値の絶対的な決定が可能になる。正規化中に、既知の反射率パラメータを有する較正物体または正規化物体を使用することができる。
【0021】
請求項8に記載の計量システムの利点は、上記で反射率計測方法に関して既に説明したものに一致する。従来技術から一般に知られている計量システムをマスクの認定に使用することができる。このタイプの計量システムについては、たとえば、“Actinic review of EUV masks: Performance data and status of the AIMSTM EUV system”, Proc. SPIE 10143, Extreme Ultraviolet (EUV) Lithography VIII, 101430J (March 24, 2017) by D. Hellweg et alという技術論文に記載されている。
【0022】
請求項9に記載のEUV計測光源を使用して、計測光の波長が、リソグラフィマスクの投影露光中にも使用される波長と一致するアクティニック(actinic)計測を行うことができる。
【0023】
特に計量システムの照明光学ユニットの照明瞳内で変位可能になるように配置される、請求項10に記載のピンホール絞りにより、特定の照明角度に関する反射率の計測が可能になる。
【0024】
請求項11に記載のベルトラン光学ユニットの利点は、上記で計測方法に関連して既に説明している。
【0025】
請求項12に記載のエネルギーセンサまたは複数のエネルギーセンサにより、計測光の信号強度の正規化が可能になる。特に、信号強度への光源および照明光学ユニットの影響を排除することができる。あるいは、またはそれに加えて、信号強度への照明設定の影響を排除することができる。マスクおよび/またはペリクルの効果を正確に計測することができる。異なる構造化マスクセクションの間での構造の効果の割り当てを、厄介な装置の影響をここに存在させずに行うこともできる。
【0026】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施形態をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】リソグラフィマスクの形態の計測対象の物体の反射率を計測するための反射率計測装置として具現化される、照明システム、結像光学ユニット、および空間分解検出デバイスを有する計量システムを概略的に示す図である。
図2】リソグラフィマスクを例とした計測対象の構造化物体の平面図である。
図3】同じく平面図で計測対象の物体を概略的に示す図であり、反射率計測のために計測装置の視野内のその物体のセクションに計測ビームが照射される。
図4】計測装置の照明光学ユニットの瞳面に配置可能な、変位可能なピンホール絞りの平面図を概略的に示す図である。
図5図4のタイプのピンホール絞りを使用した計測の結果として照明角度に応じて異なる物体セクションに対してプロットした、物体反射率の計測値としての、構造化物体に照射された計測光の正規化された信号強度の図である。
図6】照明システムの瞳面の領域に配置されたエネルギーセンサを有する計量システムのさらなる実施形態を同様に概略的に示す図であり、ペリクルを有さないリソグラフィマスクが物体として計測される。
図7】ペリクルを有するリソグラフィマスクの形態の物体を計測している間の図6の計量システムを、図6と同様の図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、反射率計測装置の形態で具現化された計量システム2におけるEUV照明光またはEUV結像光1のビーム経路を、子午線断面に対応する断面図で示している。照明光1はEUV光源3によって生成される。照明光1を計測光とも呼ぶ。
【0029】
位置関係の表現を容易にするために、以下ではデカルトxyz座標系を使用する。図1のx軸は、図面の平面に垂直に伸びており、図面の平面外にある。図1のy軸は右向きに伸びている。図1のz軸は上向きに伸びている。
【0030】
光源3は、レーザープラズマ源(LPP;レーザー生成プラズマ(laser produced plasma))または放電源(DPP;放電生成プラズマ(discharge produced plasma))とすることができる。一般に、シンクロトロンベースの光源、たとえば、自由電子レーザー(FEL:free electron laser)を使用することもできる。照明光1の使用波長は、5nm~30nmの範囲にすることができる。投影露光装置2の変形例の場合、一般に、他の使用光波長の、たとえば、193nmの使用波長の光源を使用することも可能である。光源3の計測光1は、集光器3aによって集光される。ここで、集光器は、たとえば、楕円集光器(ellipsoidal collector)または入れ子式(nested)集光器とすることができる。
【0031】
照明光1は、照明の特定の照明設定、すなわち、特定の照明角度分布が提供されるように、光源3もその一部である計量システム2の照明システム4の概略的に図示した照明光学ユニット4aで調整される。照明システム4の照明光学ユニット4aの照明瞳における照明光1の特定の強度分布は、上記照明設定に対応する。
【0032】
照明設定の一例を、ウェブ(web)が設けられた、複数の、具体的には4つの照明極を有する環状照明(annular illumination:輪状照明)設定として、図1に平面図で、図面の平面内に存在するように概略的に示している。照明設定が存在する照明瞳は、実際には図1の図面の平面に垂直に、また、照明瞳を通る照明光1の伝播方向に垂直に配置されている。照明光学ユニット4aの瞳面と一致する照明瞳の配置面は、図1では4bに破線で示しており、図1の図面の平面に垂直である。瞳面4b内の瞳座標kx、kyは、計測光1による物体照明の照明角度に対応する。照明瞳には、照明極の位置に各ケースで事前定義された照明強度が存在し、それ以外の場合は照明強度が存在しない。
【0033】
図1には、挿入図で、瞳面4b内の照明瞳4cの、照明の瞳パラメータの決定に使用される4つの四分円xl、xr、yt、ybへの分割を示している。ここで、xlおよびxrは瞳座標kxに沿った2つの左右の四分円を表し、ytおよびybはさらなる瞳座標kyに沿った上下の四分円を表す。
【0034】
瞳4cの上記四分円xl、xr、yt、ybを通過する照明光1の強度に応じて、照明角度分布を特徴付ける以下の照明パラメータを決定することができる。
【0035】
【数2】
【0036】
ここで、PBxおよびPByは、瞳座標kx、kyに沿った極のバランスを表す。
【0037】
照明極の位置で照明光1を透過し、照明極の周囲で照明光を遮断する設定絞り6によって、照明設定を指定することができる。そのような設定絞り6の一例は、貫通開口を有する金属シートであり、その形状は照明極の形状に正確に一致する。設定絞り6は、計量システム2の照明光学ユニット4aの瞳面4bに配置される。
【0038】
図1に示す交換用保持具(ホルダー)7aを用いて、設定絞り6を、それぞれの計測用照明設定を変更するための交換用設定絞りと交換することができる。あるいは、またはそのような交換用保持具7aに加えて、設定絞りは、変位ドライブ(変位駆動装置)7bを用いて瞳面4b内で変位可能になるように設計することができる。
【0039】
例として示している四重極照明(quadrupole illumination)設定の代わりに、異なる形状および/または分布の貫通開口を有するさらなる設定絞りを使用して、計量システム2内で他の照明設定を指定することも可能であり、たとえば、照明対象物体への垂直または中央入射に近い照明角度をとりわけ除く、実質的に全ての照明角度が物体照明に使用される従来の照明設定、全体的に小さい照明角度、すなわち、垂直または中央入射に近い照明角度を有し、垂直または中央入射自体は省略可能である環状照明設定、あるいは個々の極がそれぞれ「葉(leaflet:リーフレット)」の輪郭、すなわち、両凸レンズ素子の断面に略一致する外周輪郭を有することができる二重極照明(dipole illumination)設定がある。以下で説明するように、そのタイプの設定絞りとしてピンホール絞りを使用することもできる。
【0040】
照明システム4は、結像光学ユニットまたは投影光学ユニット8と共に、計量システム2の光学計測システム9を構成する。
【0041】
それぞれ設定された照明設定により、照明光1は、計量システム2の物体面11の物体フィールド10を照明する。レチクルとも呼ばれるリソグラフィマスク12が、反射性物体の一例として物体面11に配置される。そのような構造化物体の代わりとして、非構造化物体、たとえば、マスクブランクを計測することもできる。また、たとえば、あるセクションは構造化されており、あるセクションは構造化されていない物体12の異なるセクションを計測することも可能である。
【0042】
計量システム2に関連する上記の記述における物体保持具および物体変位ドライブは、図6には示していないが、計量システム25にも対応して存在する。
【0043】
物体面11はx-y平面に平行に広がっている。物体フィールド10は同時に、投影光学ユニット8または計量システム2の視野を構成する。
【0044】
物体12は物体保持具12aによって支持され、これは図1に概略的に示している。物体12は、物体保持具12aと協働する物体変位ドライブ12bを用いて、少なくとも2つの並進自由度で、物体面11内で変位させることができる。このようにして、特に、計測対象となる物体12のセクションの選択を行うことができる。物体変位ドライブ12bによって提供されるさらなる変位自由度が、物体面11に垂直に、すなわち、z方向に沿って存在する。
【0045】
照明光1は、図1に概略的に示すように、リソグラフィマスク12によって反射され、瞳面13内の結像光学ユニット8の入射瞳に入る。瞳面13は、図1の投影光学ユニット8内に概略的に示している。結像光学ユニット8で使用される瞳は、円形または楕円形の境界を有することができる。
【0046】
計量システム2の作動状況において、結像光学ユニット8は、物体フィールド10を計量システム2の像面または計測面15内の像フィールドまたは計測フィールド14に結像する(images)。投影光学ユニット8による結像中の拡大結像スケール(magnifying imaging scale)は500より大きい。投影光学ユニット8の実施形態に応じて、拡大結像スケールは、100より大きくすることができ、200より大きくすることができ、250より大きくすることができ、300より大きくすることができ、400より大きくすることができ、500より著しく大きくすることもできる。投影光学ユニット8の拡大結像スケールは通常、2000未満である。
【0047】
投影光学ユニット8は、物体12のセクションを像面15に結像する(imaging)のに役立ち、そのセクションは物体フィールド10内に配置されている。
【0048】
計量システム2の空間分解検出デバイス16が、像面または計測面15に配置される。この検出デバイスは、CCDカメラであり得る。したがって、以下では、像フィールド14を計測フィールドとも呼ぶ。検出器とも呼ばれる検出デバイス16は、物体12によって反射された計測光1を捕捉するのに役立つ。
【0049】
視野10はx-y平面において50μm×50μmより小さい、たとえば、10μm×10μmの範囲を有する。
【0050】
検出器16は、たとえば、計測フィールド14において、1000×1000ピクセルの解像度を有することができる。
【0051】
視野10内の検出器16の空間分解能は、100nmよりも良好にすることができ、たとえば、1nm~10nmの範囲にすることができる。
【0052】
投影光学ユニット8の機能性を拡張するために、投影光学ユニット8は、図1に概略的に示すベルトラン光学ユニット17を有することができる。ベルトラン光学ユニット17は、ベルトランミラー18を有する。ベルトランミラー18は位置変更ドライブ19と協働することによって、図1に実線で示す無効位置と、図1に破線で示す有効位置との間で位置変更が可能である。図1に示す位置変更は、たとえば、旋回軸20を中心にベルトランミラーの保持具を旋回させることによって行うことができる。
【0053】
ベルトランミラーの無効位置では、ベルトランミラーは計測光1のビーム経路に影響を及ぼさず、その結果、投影光学ユニット8は、物体フィールドまたは視野10を計測面15内の像フィールド14に結像する(images)。その場合、計測面15はフィールド面である。
【0054】
ベルトランミラー18の有効位置では、ベルトランミラー18は、物体フィールドまたは視野10と計測フィールド14との間の計測光1のビーム経路を変化させて、物体面11が計測面15の位置において、フィールド面ではなく瞳面に送られる(transferred)ようにする。その場合、計測フィールド14は瞳を表し、強度を有する空間分解検出器16への照射値は、物体フィールド10内で照明された物体12のセクションの照明角度分布の計測値であるので、その物体セクションの照明角度に応じた反射率の計測値である。
【0055】
基本的な機能に関する限り、そのようなベルトラン光学ユニットは、光学顕微鏡に関する文献から知られている。このタイプのベルトラン光学ユニットは、位相テレスコープ(phase telescope)とも呼ばれている。
【0056】
図2は、計測対象となるリソグラフィマスク12の一実施形態を例として示している。リソグラフィマスク12は中央ゾーン121に分割され、中央ゾーン121では構造化が提供されており、リソグラフィマスクの使用中に投影露光の間に構造化対象のウェハ上に結像される(imaged)。この中央ゾーン121は略正方形である。
【0057】
中央ゾーン121は、中央ゾーン121と比較して低減された、照明光1に関する最大反射率を有する遷移ゾーン122に囲まれている。物体12に照射される計測光1の信号強度を決定するために、遷移ゾーン122の位置に反射セクション21を配置することができる。視野10に照射される計測光束1に加えて、少なくとも1つのさらなる計測光束によって物体12上の反射セクション21の少なくとも1つが照射されるように照明システム4を設計することができる。次いで、計測光の信号強度の決定のために、それぞれのさらなる計測光束が反射セクション21から少なくとも1つのエネルギーセンサ21aに導かれる。
【0058】
図2に概略的に示すそのようなエネルギーセンサ21aは、物体12が変位されたときに変位しない、計測装置2の空間的に固定された構成要素上に配置することができる。
【0059】
遷移ゾーン122は、中央ゾーン121の外周の周りに広がるように設計される。転じて、遷移ゾーン122は、物体12の周辺ゾーン123に囲まれる。周辺ゾーン123は物体保持具12aと恊働するのに役立ち、一般に無反射となるように設計されるが、図2に示すように、反射セクション21を同様に有することができる。
【0060】
中央ゾーン121の最大反射は、入射計測光1の60%~70%の範囲にすることができる。遷移ゾーン122の最大反射は、入射計測光1の55%~65%の範囲にすることができる。
【0061】
図3は、計測光1の入射光束と物体フィールドまたは視野10とのサイズ比を例として示している。図3に破線で示す計測光束1の直径は、視野10が計測光束1内に完全に入るほど大きい。視野10は、図3では正方形で示している。一般に、視野10は異なる外周輪郭、たとえば、長方形の外周輪郭、円形/楕円形の外周輪郭、または投影露光装置の物体フィールドに適合され、これに一致する外周輪郭、たとえば、弧状(arcuate)のフィールド外周輪郭を有することもできる。
【0062】
図3はさらに、物体変位ドライブ12bの並進自由度xおよびyを示している。それによって、計測対象となる物体12上のセクションを選択することができ、そのセクションが視野10内に位置決めされる。
【0063】
図4は、ピンホールの形の貫通開口22を有するピンホール絞りとして設計された設定絞り6の変形例を示している。図4によれば、設定絞り6を介して、視野10が計測光1で照明される特定の照明方向を選択することができる。したがって、これにより、ただ1つの規定の照明方向から、物体12の照明されたセクションの反射率を決定することが可能になる。
【0064】
図4もまた変位自由度xおよびyを示しており、これらを介して、絞り変位ドライブ7bを用いて、設定絞り6を変位させることができる。
【0065】
計測光1に関する物体12の反射率は、反射率計測装置2を用いて以下のように計測することができる。物体12および計測装置2が用意されると、物体12が物体保持具12aに収容される。次いで、視野10内の物体12のセクションに、計測光1のビームまたは光束が照射される。物体12の照射されたセクションによって反射された計測光が捕捉される。
【0066】
物体12の捕捉されるセクションの表面積は、視野10と同じ大きさであり、物体面11において最大で50μm×50μmである。物体12のこのセクションによって反射された計測光は、検出器16によって捕捉される。検出器によって捕捉された計測光1の計測された強度に基づいて、物体12の少なくとも1つの反射率パラメータが求められる。
【0067】
計測光1のビームが物体セクションに照射される前に、照射対象となるセクションの選択を、物体12の構造の詳細に基づいて行うことができ、たとえば、吸収性セクションも有する物体の反射性セクションへのターゲットを絞った照射、または特定の、場合によっては繰り返しの物体構造のターゲットを絞った選択などである。
【0068】
それぞれの反射率パラメータは、ただ1つの物体12について個別に決定することができる。あるいは、比較対象の複数の物体12を順次計測することができ、それに対応して計測された異なる物体12の反射率パラメータの比較を行うことができる。この目的で、計測対象の物体12を事前に較正された較正物体と比較することができる。本計測方法中に決定される反射率パラメータは、たとえば、物体12の絶対反射率とすることができる。
【0069】
ペリクルを有するリソグラフィマスクが物体12として計測される限りにおいて、ペリクルの透過率を決定することもできる。そのようなペリクルの透過率は、ペリクルの規定のセクションで局所的に計測することができる。この場合、ペリクルがある場合およびない場合での物体12の反射率計測値の比較を行うことができる。これにより、特に、物体12の反射率へのペリクルの影響を決定することができる。
【0070】
反射率パラメータの決定中に、たとえば、空間分解型検出器による、物体12のただ1つの捕捉されるセクションから到来した計測光1の捕捉の結果を比較することによって、物体12の反射率の局所的な変化を決定することができる。この目的で、空間分解型検出器での捕捉の結果は、たとえば、ピクセル単位で比較される。
【0071】
この場合、たとえば、計測光の捕捉中に、検出器16のピクセルのうちの1つにおける強度最大値を最小値と比較することができる。計測された強度平均値からのそれぞれのピクセル強度値の偏差を表現することによって、ただ1つの捕捉される物体セクション内のそのような局所的な反射率の変化を視覚化することができる。これにより、たとえば、局所的な反射率の変化が、より高いまたはより低い空間周波数のいずれを有する変化であるかを示すことが可能になる。
【0072】
既に構造化されているリソグラフィマスクが計測される場合、リソグラフィマスクの選択された反射性セクションの反射率パラメータ決定を行うことができる。換言すれば、計測光1の照射対象であって、リソグラフィマスクの吸収体構造が配置されていないセクションを、ターゲットを絞って選択することが可能である。
【0073】
計測装置2の視野10よりも大きい物体12の表面セクション上で反射率の変化を決定することもできる。ここで、検出器16で順次捕捉された物体12の異なるセクションから到来した計測光1の捕捉の結果同士が比較される。上記の順次的な捕捉動作間に、物体変位ドライブ12bによって物体12を、ターゲットを絞って変位させる。これにより、正規化の目的で、相互に隣接する物体セクション、または、やはり部分的に重なる物体セクションを計測することが可能になり、物体12の表面全体をこのようにして、たとえば走査動作によって全体的に計測することができる。
【0074】
局所的な反射率の変化は、たとえば、反射率計測のために計測光が順次照射される、計測対象の10×10の物体セクションのグリッドを選択することによって、実現することができる。
【0075】
反射率パラメータとして、物体12またはそのセクションの反射率の角度変化を決定することも可能である。異なる入射角で物体12のただ1つの捕捉されるセクションに照射された計測光1の捕捉の結果がここで比較される。計測光の捕捉は検出器16によって実行される。
【0076】
異なる入射角での物体セクションへの照射のそのような捕捉は、順次的または同時に行うことができる。
【0077】
順次的な捕捉の場合、捕捉される物体セクションが異なる入射角で順次照射されることによって、反射率の角度変化が決定される。この場合、図4の設定絞り6のタイプのピンホールを使用することができる。
【0078】
同時の計測の場合、反射率の角度変化は、異なる入射角での捕捉される物体セクションへの同時の照射によって、決定される。この目的で、計測光1が物体12で反射された後の瞳の像が捕捉される。これは、ベルトランミラーが有効位置にある状態でベルトラン光学ユニット17を使用することによって行うことができる。
【0079】
物体12に照射される計測光1の信号強度を正規化するために、エネルギーセンサ21aの位置での信号強度、ならびに検出器16での信号強度を使用することができる。エネルギーセンサ21aでの信号強度は、光源3の信号強度と、集光器3aの反射率と、設定絞り6を含むさらなる照明光学ユニット4aの透過率とに依存する。検出器16での信号強度はまた、上記パラメータに加えて、決定対象マスクの反射率と、場合によりベルトラン光学ユニット17を含む投影光学ユニット8の透過率とに依存する。場合によりベルトラン光学ユニット17を含む投影光学ユニット8の透過率は、独立した較正によって決定することができる。
【0080】
エネルギーセンサ21aの信号強度に対する検出器デバイス16の信号強度の比率は、決定対象物体12の反射率と、場合によりベルトラン光学ユニット17を含む投影光学ユニット8の透過率との積のみに依存する。事前の較正によってこの透過率が決定されている場合、物体12の正規化された反射率を決定することができる。
【0081】
捕捉される物体セクションの反射率の順次的および/または同時に決定された角度変化を用いて、たとえば、認定される物体12の極のバランスが10%よりも良好になるようにすることが可能である。
【0082】
それに対応して、瞳の楕円率、たとえば、円形などの所望の指定された境界形状からの瞳の外周輪郭のずれが10%よりも良好になるようにすることが可能である。
【0083】
反射率の角度変化の順次的な決定などによって、異なる照明角度での対応する反射率値RK(kx,ky)などが既知である較正マスクの形態などの較正済みの物体を使用することによって、ベルトランミラー18を有効位置で使用して同時の瞳像を決定することにより、計測値PK(kx,ky)(較正マスクの瞳像)およびPO(kx,ky)から、計測対象の物体12の反射率RO(kx,ky)の所望の角度変化を、以下の関係式に従って求めることが可能になる。
【0084】
【数3】
【0085】
図5は、異なる入射角での複数の捕捉される物体セクションへの順次的な照射の結果としての、対応する反射率計測の結果を示している。図5は、照明角度αに応じた強度Iを示している。ここでの照明角度の値「0」は、照明瞳の中心からの、すなわち、照明瞳の中心を通って伸びる主光線CR(図1参照)に沿った照明を表している。合計5つの異なる照明角度での異なる捕捉される物体セクションの計測結果を示している。
【0086】
この目的で各ケースにおいて計測装置2の視野10内へ変位させた物体12の異なるセクションにおいて計測を行った。対応する計測点を、図5に異なる記号を使用してプロットしている。結果は、それぞれ計測された物体セクションの異なる反射率に起因する信号強度の特定の帯域幅である。たとえば、計測された異なる照明角度からの照明中の物体12の平均反射率をここから推定することができる。
【0087】
これはさらに、検出器14によって計測された信号Iの信号強度が、確実に入射角に大きく依存し、詳細には非線形に依存することを示している。絶対入射角が大きくなると、反射率に大きな変化が生じる(図5の左側の計測値)。
【0088】
図6は、計測対象となる、リソグラフィマスク12の形態の物体の反射率を計測するための反射率計測装置として同じく設計された計量システム25のさらなる実施形態を示している。図1図5を参照して既に上記で説明したものに対応する構成要素および機能は、同じ参照符号を有し、再度詳細に論じない。
【0089】
図6は、中央のフィールド点の、実線で描いた主光線CRを通り、破線で示した2つの周辺光線を通る計測光1のビーム経路を示している。上記周辺光線は、各ケースで、計量システム25の瞳面内の瞳の境界を定める。
【0090】
計量システム25の照明光学ユニット4aは、図6にその照射順序でIL1、IL2、およびIL3と示す、合計3つのEUVミラーを有する。光源3と照明光学ユニット4aの第1のミラーIL1との間にフィルタ面26が配置され、光源3から到来し、不所望に導かれる放射成分および/または粒子成分から計測光1のビーム経路の下流の光学部品を保護するフィルタ面、たとえば、デブリフィルタが配置され得る。
【0091】
ミラーIL1とIL2との間に照明システム4の中間焦点面27が配置される。計測光1の中間焦点IFがここに配置される。デブリフィルタの機能に対応する機能を有することができるピンホール絞りを中間焦点面27に配置することができる。
【0092】
中間焦点面27と照明光学ユニット4aのミラーIL2との間に照明光学ユニット4aの瞳面28が配置される。計量システム25の照明設定を指定するための設定絞りを上記瞳面28に配置することができる。
【0093】
瞳面28の領域において、すなわち、瞳面28において、またはそれに隣接して、計測中に物体12に入射する計測光1の照射量を捕捉するための複数のエネルギーセンサまたは照射量センサ29が配置される。構造上、基本的にエネルギーセンサ21aに対応することができるエネルギーセンサ29は、計測光1の光束全体の周辺領域に、その光束の周りの円周方向に分散して配置される。計測光束全体の周りのエネルギーセンサ29の数および円周方向の分布は、エネルギーセンサ29の計測品質に関する要件に応じて、または光源3の特定の特性に応じて選択される。
【0094】
図6による実施形態では、合計3つのエネルギーセンサ29が円周方向に存在し、計測光1の光束全体の周りに均一に分布するようになっている。計量システム25の変形例では、エネルギーセンサ29の数は、3つから異ならせることもでき、たとえば、1~12個の範囲にすることができる。エネルギーセンサ29は、計測光1の光束全体の周りに均一な分布で、または計測光1の光束全体の特定の周囲領域が他の周囲領域よりも強力なセンサ監視を必要とする場合には不均一な分布で、円周方向に配置することができる。
【0095】
エネルギーセンサまたは照射量センサ29は、焦電センサとして設計することができる。
【0096】
照明システム4は、投影光学ユニット8と共に、計量システム25の光学計測システム9を構成する。投影光学ユニット8は、図6にその照射順序でM1、M2、およびM3と示す、合計3つのEUVミラーを有する。
【0097】
検出器16を使用して、計量システム25の実施形態に応じて、物体フィールド10上での計測光1の空間分解捕捉を実現し、図1および図2に関連して既に上記で説明したベルトラン光学ユニットを使用することなどによる照明角度分解捕捉を実現することが可能であり、その結果、各フィールド点において、そのフィールド点での計測光1の照明角度分布を、検出器16を用いて決定することができる。
【0098】
計量システム25の信号捕捉および評価デバイス30が、図示していない方法で、検出器16への信号接続を有する。信号捕捉および評価デバイス30は、計測装置25のさらなる構成要素、具体的には、エネルギーセンサ29、および/または図1および図2の実施形態のエネルギーセンサもしくはエネルギーセンサ21aへの信号接続をさらに有することができる。さらに、信号捕捉および評価デバイス30は、物体変位ドライブへの、その制御用の信号接続を有することができる。
【0099】
計量システム25を使用する場合、物体フィールド10内の物体12の、都度1つのセクションの像の記録が、検出器16を用いて行われる。したがって、検出器16はカメラとして機能する。
【0100】
計量システム25では、物体12の臨界照明が存在する。
【0101】
たとえば、検出器16による異なる焦点面(物体12のz変位またはそれに対応する像面15の変位)での像結果を処理することによって、得ることができる物体12の構造化セクションの結像のピクセル単位の強度結果を、以下では「Plane」とも呼ぶ。このplaneの像の記録時に、エネルギーセンサ29で同時に計測される計測光1の照射量を「PlaneDose」と呼ぶ。
【0102】
さらに、物体フィールド10内の物体12の反射性の非構造化セクションの像が計量システム25によって検出器16を使用して記録され、そのピクセル単位の強度結果を「Clear」とも呼ぶ。エネルギーセンサ29を使用してclear計測と並行して捕捉される計測光の照射量値を「ClearDose」と呼ぶ。
【0103】
このとき、対応する正規化により、物体構造計測の強度結果(plane)と物体ブランク計測の結果(clear)との正規化された比率をピクセル単位で生成することが可能になる。ピクセル単位で正規化されたこの像結果を「NormPlane」とも呼ぶ。
【0104】
【数4】
【0105】
この式(1)による正規化では、ブランク基準位置の強度に対する相対強度がピクセル単位で正規化され、これにより、マスクに応じた結果(「NormPlane」)が得られる。さらに、plane計測はリソグラフィマスク12のペリクルを介して行われるが、clear計測はそのようなペリクルを介して行われない場合があるという事実によって影響が生じ得る。
【0106】
物体またはリソグラフィマスク12同士、および異なるペリクル構成を比較できるようにするために、計量システム25を使用した計測方法において、絶対基準に対する計測がさらに実行される。前述の像「NormPlane」よりもマスク依存性またはペリクル依存性が低い、対応して後処理された像を、以下では「AbsPlane」と呼ぶ。ここでは、以下が適用される。
【0107】
【数5】
【0108】
さらに、式(2)では、
[Clear]:clear計測の全ピクセル強度計測結果の強度平均値を表し、
CalibrationConstant:光源3の時間変動を排除する較正係数を表す。
【0109】
値「CalibrationConstant」には、上記で既に説明した反射率の較正がさらに組み込まれている。
【0110】
値「CalibrationConstant」には、特に図1および図2の計量システム2の実施形態のベルトラン光学ユニットに関連して、同様に上記で既に説明した、照明設定に応じた較正を組み込むこともできる。
【0111】
値「CalibrationConstant」の決定には、像再構成アルゴリズムの結果を組み込むことができる。この目的で、特に、計測対象の物体セクションにわたる計測光の光学的位相差を決定することができる。ここで、物体の吸収体構造によって反射された計測光の吸収体構造位相と、物体の反射体構造によって反射された計測光の反射体構造位相との位相差を、計測対象の物体構造全体に当てはまる特性として決定することができる。光学的位相差を決定する場合、物体の一連の2D像を都度異なる焦点面で計測して、物体の3D空間像を記録することができ、3D空間像の電界の振幅および位相を含む像側の界分布(field distribution)を3D空間像から再構築することができる。次いで、位相の較正によって、再構築された界(フィールド)分布から位相差を決定することができる。位相計測システムおよびそれを用いて実行できる計測方法については、“Phase-shift/Transmittance measurements in micro pattern using MPM193EX” by H. Nozawa et al., Photomask and Next-Generation Lithography Mask Technology XVI, proceedings of SPIE Vol. 7379, 737925、および“PhameTM: a novel phase metrology tool of Carl Zeiss for in-die phase measurements under scanner relevant optical settings” by S. Perlitz et al., proceedings of SPIE, March 2007, Art. No. 65184 Rという論文から知られている。
【0112】
3D空間像を確認する場合、たとえば瞳面28において、計測用照明設定を、対応する設定絞りを用いて指定することができる。計量システムで反射率値を決定する必要がある製造用(production)照明設定とは異なる計測用照明設定を再構成中に使用することができる。次いで、確認アルゴリズムを用いて、これらの異なる照明設定間の変換を実行することができる。“Method for Retrieval of the Three-Dimensional Object Potential by Inversion of Dynamical Electron Scattering” by Van den Broek et al., Phys.Rev.Lett 109, 245502 (2012)という技術論文、および国際公開第2017/207297号から知られている物体構造の再構成方法をここで使用することが可能である。
【0113】
次いで、構造化物体セクションの実際の反射率に関して、計測結果「AbsPlane」を比較することができる。このようにして、マスクの効果、すなわち、異なるマスクによってもたらされる効果、およびペリクルの効果を決定することが可能になる。
図7は、ペリクル31を有するリソグラフィマスクまたはレチクル12を計測する場合の計測システム25を示している。
【0114】
計量システム25を用いて、ペリクル31の使用に起因する透過率またはアポダイゼーションの変化を計測することなどが可能である。ペリクル31が取り付けられる前に、それぞれのレチクル12が所定の数の走査位置で計測される。これらの走査位置は、異なる構造化物体セクションおよび/または非構造化物体セクションとすることができる。次いで、検出器16を使用して、計測光1の反射光強度をピクセル単位で都度記録する。次に、ペリクル31がレチクル12に取り付けられ、次いで、レチクル12が同じ走査位置で再度計測される。このとき、結果として生じる強度変化から、ペリクル31によって生成される透過率および/またはアポダイゼーションの変化に関する結論に到達することが可能になる。そして、ペリクル31の設計に関する結論を導き出すことができる。
【0115】
計測の変形例では、2つの異なる物体12、たとえば、2つの異なるリソグラフィマスクまたはレチクルの反射率を比較することができる。この場合、上記2つの物体12上の、比較対象の物体12の同一または類似の走査位置にある同じまたは類似の構造が計測される。次いで、上記の式(2)に関する説明に従って計測された「AbsPlane」像を比較することから、2つの物体12間の反射率の相対的または絶対的差異に関する結論が導き出される。そして、物体12を製造するための材料および製造プロセスに関して結論を導き出すことが可能になる。
【0116】
さらなる計測の変形例では、物体12、たとえば、リソグラフィマスクまたはレチクルの反射率が異なる時間に計測される。この場合、物体12の使用期間中の異なる時間に物体12上の同じまたは類似の構造が計測され、このようにして、時間経過に伴う、または多数の使用にわたる、たとえば、多数のウェハの露光にわたる、起こり得る反射率の変化が定量化される。異なる物体(走査)位置での反射率の変化を比較することにより、それに対応して、位置に応じた変化を決定し、それに基づいて将来の物体12の設計に関する結論を導き出すことが可能になる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】