(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-21
(54)【発明の名称】レベルセンサ付き昇華アンプル
(51)【国際特許分類】
C23C 16/448 20060101AFI20221214BHJP
【FI】
C23C16/448
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523929
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-30
(86)【国際出願番号】 US2020054826
(87)【国際公開番号】W WO2021080783
(87)【国際公開日】2021-04-29
(32)【優先日】2019-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】グレッグ、ジョン エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ナイトー、ドン ケイ.
(72)【発明者】
【氏名】バトル、スコット エル.
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA03
4K030AA16
4K030BA02
4K030BA10
4K030BA12
4K030BA20
4K030BA22
4K030EA01
(57)【要約】
固体送達アンプルは、内部空間を画定するアンプル本体を含む。内部空間は1以上の固体支持体を収容し、各固体支持体はある量の昇華固体を支持するように構成される。固体送達アンプルは、蒸気出口と、1以上のレベルセンサポートと、1以上のレベルセンサも含む。1以上のレベルセンサの各々は1以上のレベルセンサポートを通じて内部空間内に延びている。1以上のレベルセンサの各々は、各固体支持体中の昇華固体の量を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定するアンプル本体及び蓋であって、前記内部空間は1以上の固体支持体を収容し、各前記固体支持体はある量の昇華固体を支持するように構成される、アンプル本体及び蓋と、
蒸気出口と、
1以上のレベルセンサポートと、
1以上のレベルセンサであって、当該1以上のレベルセンサの各々が、1以上の前記レベルセンサポートを通じて前記内部空間内に延びている、レベルセンサと、
を備え、
1以上の前記レベルセンサの各々は、各固体支持体中の前記昇華固体の量を測定する、
固体送達アンプル。
【請求項2】
1以上の前記レベルセンサが、リードスイッチセンサ、光学センサ、超音波センサ、静電容量センサ、赤外線センサ、又はレーダセンサから選択される、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項3】
1以上の前記レベルセンサの各々は、磁気ディスクとロッドとを含むリードスイッチセンサであり、
前記ロッドは1以上のリードスイッチを含み、
前記磁気ディスクは、前記レベルセンサによって測定される、前記ある量の昇華固体の表面上に載っている、請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項4】
1以上の前記固体支持体がトレイである、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項5】
1以上の前記固体支持体は、1以上の仕切りによって画定されるトレイ内の1以上のスペースである、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項6】
1以上の前記固体支持体の少なくとも1つから上方に蒸気を運ぶように構成された1以上の通気管をさらに備える、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項7】
1以上の前記固体支持体が1以上のトレイである、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項8】
キャリヤガス入口をさらに含む、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項9】
前記レベルセンサポートを複数含み、複数の前記レベルセンサポートの全てが1つの直線に沿って分布している、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項10】
前記レベルセンサポートを複数含み、複数の前記レベルセンサポートの全てが1つの直線を形成しないように分布している、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項11】
コントローラをさらに含み、前記コントローラが、
1以上の前記レベルセンサの各々からレベル信号を受信するように構成されるとともに、
1以上の前記レベルセンサの各々から受信した前記レベル信号に基づいて、前記固体送達アンプルを交換すべきか否かを決定するように構成される、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項12】
固体送達アンプルを提供することであって、前記固体送達アンプルが、
1以上の固体支持体を収容する内部空間を画定するアンプル本体と、
蒸気出口と、
1以上のレベルセンサポートと、を有する、ことと、
1以上の前記固体支持体の各々に1以上の昇華固体を加えることと、
1以上の前記レベルセンサポートの各々を通じてレベルセンサを提供することと、
を含む、固体送達アンプルの準備方法。
【請求項13】
前記レベルセンサは、ロッドと磁気ディスクとを含むリードスイッチセンサであり、
前記レベルセンサを提供することは、1以上の前記昇華固体のうちの1つの表面上に前記磁気ディスクを置くことを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記1以上の前記レベルセンサポートの各々を通じて前記レベルセンサを提供することは、正圧の下で行われる、
請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記固体送達アンプルをシールすることをさらに含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項16】
固体送達アンプルを加熱することと、
前記固体送達アンプル内に配置されたレベルセンサを介して固体支持体中の昇華固体のレベルを測定することと、
前記昇華固体のレベルに基づいてメッセージを提供することと、
を含む、蒸気送達方法。
【請求項17】
前記固体送達アンプル内にキャリヤガスの流れを提供することをさらに含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記レベルセンサが、磁気ディスクと、ロッド上に配置された1以上のリードスイッチとを含むリードスイッチセンサである、
請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記固体送達アンプル内に配置された第2レベルセンサを介して、第2固体支持体中の前記昇華固体の第2レベルを測定することをさらに含み、
前記警告が前記第2昇華固体の前記第2レベルにさらに基づく、
請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記固体送達アンプルが複数の固体支持体を含み、
前記昇華固体のレベルが測定される1以上の固体支持体が、1以上の前記昇華固体の各々の予測消費量に基づいて選択される、
請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸着のための昇華固体を提供するアンプル、特に昇華固体のためのレベルセンサを含むアンプルに関する。
【背景技術】
【0002】
昇華固体を含むアンプルは、いくつかの蒸着ツールにおいて蒸気を供給するために使用される。蒸着ツールは、例えば、半導体ウエハの製造中に材料を蒸着させるために、供給された蒸気を使用する。蒸着ツールは、例えば、原子層蒸着(ALD)、プラズマ増強化学蒸着(PECVD)、低圧化学蒸着(LPCVD)、又は蒸着方法の任意の組み合わせなどの蒸着技術を使用してもよい。現在のアンプルは、アンプルが加熱されると蒸気に昇華する昇華固体の粉末、多結晶、又は圧縮形態を支持するために、1以上の面、トレイ、又は区画を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
蒸着ツールに蒸気が供給されると、昇華固体が消費される。典型的には、アンプルは、その中に含まれる固体の消費量の予測又はモデルに基づく時間量のために使用される。昇華固体がウエハ処理中になくなると、そのウエハは廃棄されることになってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、蒸着のための昇華固体を提供するアンプル、特に、昇華固体のためのレベルセンサを含むアンプルに関する。
少なくとも臨界レベル又はアンプル内の区画のためのセンサを提供することによって、製造中に昇華固体を浪費したり、消耗したり、昇華固体を半導体ウエハ上に適切に堆積させ損なったりすることを回避するために、アンプルの交換をより正確なタイミングで行うことができる。さらに、アンプル内の昇華固体のレベルを実際に感知することによって、交換時間をより正確に測定することができ、又は、アンプルの材料が少ないときに警告を発することができる。警告レベルは、例えば、材料残量の50%、20%、及び/又は、10%で提供することができる。
【0005】
一実施形態では、固体送達アンプルは、内部空間を画定するアンプル本体及び蓋を含む。内部空間は1以上の固体支持体を収容し、各固体支持体はある量の昇華固体を支持するように構成される。固体送達アンプルは、また、蒸気出口と、1以上のレベルセンサポートと、1以上のレベルセンサと、を含む。1以上のレベルセンサの各々は、1以上のレベルセンサポートを通じて内部空間に延びている。1以上のレベルセンサの各々は、各固体支持体中の昇華固体の量を測定する。
【0006】
一実施形態では、1以上のレベルセンサは、リードスイッチセンサ、光学センサ、超音波センサ、静電容量センサ、赤外線センサ、又はレーダセンサから選択される。
一実施形態では、1以上のレベルセンサの各々は、磁気ディスクとロッドとを含むリードスイッチセンサであり、ロッドは1以上のリードスイッチを含み、磁気ディスクは、レベルセンサによって測定される昇華固体の表面上に載っている。一実施形態において、リードスイッチセンサの各々のロッドは、少なくとも2つのリードスイッチを含む。
【0007】
一実施形態では、1以上の固体支持体がトレイである。
一実施形態では、1以上の固体支持体は、1以上の仕切りによって画定されるトレイ内の1以上のスペースである。
【0008】
一実施形態では、固体送達アンプルは、1以上の固体支持体の少なくとも1つから上方に蒸気を運ぶように構成された1以上の通気管をさらに含む。
一実施形態では、1以上の固体支持体は1以上のトレイである。一実施形態では、1以上のレベルセンサは、1以上のトレイから選択された1以上のトレイ中の昇華固体の量を測定し、1以上のトレイは、1以上のトレイの各々における昇華固体の消費率に基づいて選択される。一実施形態では、昇華固体の消費率は、昇華固体及び昇華固体の蒸気を提供する際に固体送達アンプルに適用される温度に基づいて判断される。一実施形態では、固体送達アンプルは、トレイの数よりも少ないレベルセンサを含む。
【0009】
一実施形態において、固体送達アンプルは、キャリヤガス入口をさらに含む。
一実施形態では、レベルセンサポートを複数含み、当該複数のレベルセンサポートの全てが1つの直線に沿って分布している。
【0010】
一実施形態では、レベルセンサポートを複数含み、当該複数のレベルセンサポートの全てが1つの直線を形成しないように分布している。
一実施形態では、固体送達アンプルは、コントローラをさらに備える。コントローラは、1以上のレベルセンサの各々からレベル信号を受信するように構成されるとともに、1以上のレベルセンサの各々から受信したレベル信号に基づいて、固体送達アンプルを交換すべきか否かを決定するように構成される。一実施形態では、コントローラは、さらに、固体送達アンプルが交換されるべき時にメッセージの提示を指示するように構成される。一実施形態において、コントローラは、さらに、別のアンプルを予熱するようにヒーターに指示するように構成される。一実施形態では、コントローラは、さらに、固体送達アンプルから別のアンプルへの自動切り替えを指示するように構成される。一実施形態では、コントローラは、さらに、固体送達アンプルに対して実行されるべきパージシーケンス又は冷却シーケンスを指示するように構成される。
【0011】
一実施形態では、固体送達アンプルの準備方法は、固体送達アンプルを提供することであって、固体送達アンプルが、1以上の固体支持体を収容する内部空間を画定するアンプル本体及び蓋と、蒸気出口と、1以上のレベルセンサポートと、を有する、ことと、1以上の固体支持体の各々に1以上の昇華固体を加えることと、1以上のレベルセンサポートの各々を通じてレベルセンサを提供することと、を含む。
【0012】
一実施形態では、レベルセンサは、ロッド及び磁気ディスクを含むリードスイッチセンサであり、レベルセンサを提供することは、1以上の昇華固体のうちの1つの表面上に磁気ディスクを置くことを含む。
【0013】
一実施形態では、1以上のレベルセンサポートの各々を介してレベルセンサを提供することは、正圧下で行われる。
一実施形態において、本方法は、固体送達アンプルをシールすることをさらに含む。
【0014】
一実施形態では、固体支持体よりも少ないレベルセンサポートがある。一実施形態では、レベルセンサは1以上の固体支持体に提供され、各固体支持体に対する昇華固体の消費率に基づいて1以上の固体支持体が選択される。
【0015】
一実施形態では、蒸気送達方法は、固体送達アンプルを加熱することと、固体送達アンプル内に配置されたレベルセンサを介して固体支持体中の昇華固体のレベルを測定することと、昇華固体のレベルに基づいてメッセージを提供することと、を含む。
【0016】
一実施形態において、本方法は、固体送達アンプル内にキャリヤガスの流れを提供することをさらに含む。
一実施形態では、レベルセンサは、磁気ディスクと、ロッド上に配置された1以上のリードスイッチとを含むリードスイッチセンサである。
【0017】
一実施形態において、本方法は、固体送達アンプル内に配置された第2レベルセンサを介して、第2固体支持体中の昇華固体の第2レベルを測定することをさらに含み、警告が第2昇華固体の第2レベルにさらに基づく。
【0018】
一実施形態では、メッセージがユーザに提供される警告を含む。
一実施形態では、メッセージは、別のアンプルを予熱するようにヒーターに指示するコマンドを含む。
【0019】
一実施形態では、メッセージは、固体送達アンプルから別のアンプルへの自動切り替えを指示するコマンドを含む。
一実施形態では、メッセージは、固体送達アンプルに対して実行されるべきパージシーケンス又は冷却シーケンスを指示するコマンドを含む。
【0020】
一実施形態では、固体送達アンプルは複数の固体支持体を備え、昇華固体のレベルが測定される1以上の固体支持体は、1以上の昇華固体の各々の予測消費量に基づいて選択される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係る固体送達アンプルの断面図を示す。
【
図2】一実施形態に係る固体送達アンプルの断面図を示す。
【
図3】一実施形態に係る固体送達アンプルの上面図を示す。
【
図4】一実施形態に係る固体送達アンプルの上面図を示す。
【
図5】一実施形態に係る固体送達アンプルの準備方法のフローチャートを示す。
【
図6】一実施形態に係る蒸気送達方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本開示は、蒸着のための昇華固体を提供するアンプル、特に、昇華固体のためのレベルセンサを含むアンプルに関する。
図1は、一実施形態に係る、固体送達アンプルの断面図を示す。アンプル100は蓋102を含み、蓋102は蒸気出口104及び1以上のセンサ開口106を含む。アンプル蓋102はアンプル本体108に接合されている。アンプル本体108は、1以上の固体支持体110を含む。センサ開口106の各々は、センサ112が1以上の固体支持体110のうちの1つに提供されることを可能にする。センサ112の各々は、リードスイッチセンサであってもよく、リードスイッチセンサは、シャフト114と、シャフトに沿って配置された1以上のリードスイッチ116と、磁気ディスク118とを含む。アンプル本体は、さらに、蒸気がアンプル100を通じて蒸気出口104に向かって循環することを可能とするように構成された1以上の蒸気通気導管120を含んでもよい。
【0023】
アンプル100は、固体材料から誘導される蒸気を提供するために蒸着システムと共に使用されるアンプルである。アンプル100は、1以上の固体支持体110の中に1以上の昇華固体を含む。アンプル100は、アンプル100内の条件が1以上の昇華固体の昇華を可能とするように、蒸着ツールに接続されると加熱されるように構成される。
【0024】
蓋102はアンプル本体108の端部を覆う。蓋102及びアンプル本体108は、内部空間を画定する。蓋102は、内部空間に出入りする全ての流れが蒸気出口104を通じて生じるようにアンプル本体108にシールされていてもよい。蓋102は、蒸気出口104と、1以上のセンサ開口106とを含む。
【0025】
蒸気出口104は、蒸気がアンプル100から出ることを可能とするように構成された蓋102に設けられた出口である。蒸気出口104は、蒸着ツールとの接続、例えば蒸着ツールの蒸気ラインへの接続を確立するための構成要素を含んでもよい。蒸気出口104は、蒸気出口104を通る流れを調整するように構成された弁を含んでもよい。一実施形態では、蒸気出口104に含まれる弁は、アンプル100に含まれるコントローラによって制御されてもよい。一実施形態では、蒸気出口104に含まれる弁は、アンプル100と共に使用される蒸着ツールによって制御されてもよい。蒸気出口104は、アンプル100の使用時に、昇華された昇華固体を含む蒸気が蒸着ツール内に通過することを可能にする。
【0026】
また、蓋102は、1以上のセンサ開口106を含む。センサ開口106は、例えば、溶接又は他の適切な漏れ止め可能な接合部によって蓋102に接合されてもよい。センサ開口106の各々は、センサ112が、蓋102とアンプル本体108とによって画定される内部空間内にあるように挿入されることを可能にする。センサ開口は、センサ112がセンサ開口106に固定されることを可能にする構成要素、例えば、ねじ部を含んでもよい。センサ開口は、センサがセンサ開口106に固定されるときに、例えば、Oリング、金属又はエラストマーガスケット、又は任意の他の適切な漏れ止めシールなど、シールを可能にする構成要素をさらに含んでもよい。一実施形態では、センサ112がセンサ開口106に固定されるねじ部にシールを形成してもよい。センサ開口106にあるシール、及び、蓋102とアンプル本体108との間のシールを含め、アンプル100に使用されるシールは、半導体加工に適していなければならない。このようなアンプルの適切な漏出率は、4.0×10-9sccsヘリウム未満であってもよい。リーク率は、質量分析計を用いたヘリウムリーク検出器によって測定してもよい。
【0027】
アンプル本体108は、蓋102に接合されたときに内部空間を画定する。アンプル本体108は、例えば、円筒形状であってもよい。アンプル本体108は、ヒーター、例えば専用オーブン、加熱ジャケット、又は他の適切なヒーターによって加熱されてもよい。ヒーターは、蒸着ツールに含まれてもよいし、別のシステムの一部に含まれてもよい。ヒーターからの熱は、放射、伝導、対流、又はそれらの組み合わせによって伝導されてもよい。ヒーターは、アンプル100の1以上の区域に1以上の温度を提供してもよい。アンプル本体108は、アンプル本体108の加熱が、アンプル本体108によって画定される内部空間内の温度を上昇させ、内部空間内の昇華固体が加熱されるように、熱伝導性材料から形成されてもよい。アンプル本体108は、蓋102がアンプル本体108に接合されるように、1以上のフランジ、リップ、ねじ等の構成要素を含んでもよい。これらの構成要素は、アンプル本体108の開放端部に設けられてもよい。蓋102がアンプル本体108に接合される箇所にシールを設けてもよい。シールは、別個の構成要素であってもよいし、蓋102及びアンプル本体108のうち一方又は両方に一体化されていてもよい。シールは、非限定的な例として、Oリングか、金属又はエラストマーフラットガスケットのような、任意の適切なシールとしてもよい。
【0028】
アンプル本体108及び蓋102によって画定される内部空間は、1以上の固体支持体110を収容している。一実施形態において、アンプル100は、1以上の固体支持体110を含む。固体支持体110の各々は、プラットフォーム、トレイ、分割トレイの一部、又は昇華固体のための他の任意の適切な支持体であってもよい。昇華固体は、昇華されて、アンプル100が接続される蒸着によっても実施される蒸着プロセスのための蒸気を提供する固体であってもよい。蒸着ツールは、蒸気出口104を通じて蒸気を受容してもよい。昇華固体は、非限定的な例として、AlCl3、ハロゲン化・オキシハロゲン化タングステン(WCl5、WCl6及びWOCl4を含むがこれらに限定されない)、ハロゲン化・オキシハロゲン化モリブデン(MoCl5、MoOCl4及びMoO2Cl2を含むがこれらに限定されない)、ZrCl4を含む塩化・オキシハロゲン化ジルコニウム、及び、HfCl4を含む塩化・オキシハロゲン化ハフニウムを含む。一実施形態では、昇華固体は、粉末、結晶、ペレット、又はパックの形態であってもよい。複数の固体支持体110が互いに積み重ねられている実施形態では、固体支持体110のうち少なくともいくつかは、センサ112の1つが固体支持体110を通じて延び、別の固体支持体110の昇華固体のレベルを測定することを可能にする1以上の開口部をそれぞれ含んでもよい。固体支持体110に形成された開口は、蒸気が内部空間を通じて、例えば蒸気出口104に向かって移動することも可能にする。センサ開口106は、センサ112がセンサ開口106を通じて同センサ開口から延びるように、固体支持体110内のこれらの開口と位置合わせされていてもよい。
【0029】
蓋102及びアンプル本体108によって画定される内部空間内には、1以上のセンサ112が設けられる。1以上のセンサ112の各々は、1以上の固体支持体110のうちの1つにおける昇華固体のレベルを測定する。センサ112は、各センサ開口106を貫通して設けられている。センサ112の各々は、センサ開口106において蓋102に固定されていてもよい。センサ112がセンサ開口106に固定されているところには、シール、例えばOリング、フラットガスケット、又は他の任意の適切なシールが含まれてもよい。シールは、センサ112とセンサ開口106との接合部に取り付けられた別個の構成要素であってもよいし、センサ112に一体化された構成要素であってもよいし、センサ開口106に一体化された構成要素であってもよいし、そのような構造の組み合わせを含んでもよい。
【0030】
1以上のセンサ112のそれぞれは、蓋102に含まれる1以上のセンサ開口106の1つから延びているか、あるいは、センサ開口106を通じて延びている。各センサ112が固体支持体110に設けられた1以上の開口を通って延在することにより、センサ112は、そのセンサ112が昇華固体のレベルを測定することを可能にするのに適した固体支持体にアクセスするようになっている。固体支持体110へアクセスすることは、センサ112と測定される昇華固体との間に物理的障害物がないことを意味してもよい。固体支持体110へアクセスは、センサが昇華固体に到達してセンサ112に戻るための排出経路を含んでもよい。
【0031】
1以上のセンサ112は、例えば、光学センサを含んでもよい。一実施形態では、1以上のセンサ112は超音波センサを含んでもよい。一実施形態では、1以上のセンサは、静電容量センサを含んでもよい。一実施形態では、1以上のセンサは、赤外線センサを含んでもよい。一実施形態では、1以上のセンサはレーダセンサを含んでもよい。
【0032】
一実施形態では、センサ112の各々はリードスイッチセンサである。センサ112がリードスイッチセンサである場合、各センサは、シャフト114と、シャフトに沿って配置された1以上のリードスイッチ116と、磁気ディスク118とを含む。
【0033】
シャフト114は、センサ112の端部からセンサ開口106又はその付近で固体支持体に向かって延びており、そこでセンサ112は昇華固体のレベルを測定する。シャフト114は、センサ112が昇華固体のレベルを測定する固体支持体110に向かって延びるように、固体支持体110に形成された1以上の開口を通って延びていてもよい。シャフト114は端部又はその近くにリテーナを含んでもよく、これにより、シャフト114の端部を磁気ディスク118が通過することを防止するか、あるいは、その端部に近くにあるリードスイッチ116を磁気ディスク118が通過することを防止するように構成される。一実施形態では、シャフト114は、磁気ディスク118を移動させるように構成された電磁石を含んでもよく、これにより、センサ112が昇華固体のレベルを測定していないときに、センサ開口106の位置又はその近傍で、磁気ディスク118を(例えばセンサ112の端部に向かって)移動させる。
【0034】
リードスイッチ116は、磁石がシャフト114に沿ったその位置にあるかその近くにあるときに信号を提供するように操作されるように構成されたスイッチである。リードスイッチ116は、磁気ディスク118の磁界が作用すると電気的接続を形成する。特定のリードスイッチ116からの電気信号は、磁気ディスク118が近くにあることを示す。磁気ディスクがリードスイッチ116の各々を通過すると、磁気ディスク118はリードスイッチ116を閉じ、回路を完成する。リードスイッチ116は、シャフト114上に位置決めされている。一実施形態において、シャフト114は、その長手方向に沿って配置された1以上のリードスイッチを有する。一実施形態では、1以上のリードスイッチは、センサ開口106の反対側となるセンサ112の端部にある、シャフト114の端部近傍に配置される。リードスイッチは、例えば、蒸着システムにおけるアンプル100を交換又は使用を終了すべき差し迫った必要性を示す、重要な固体支持体110内の昇華固体の特定のレベルに対応するシャフト114に沿う位置に配置してもよい。これらの位置は、固体支持体110及びセンサ112がそれぞれの動作位置にあるときに固体支持体110から所定距離をとるように、アンプル100の組み立て時に設定されてもよい。所定距離は、固体支持体110内の特定の残り動作期間又は特定のセンサ112によって測定される昇華固体の量に対応するレベルに基づいて計算してもよい。一実施形態では、センサ112は、1つのリードスイッチを含む。一実施形態において、センサ112は、複数のリードスイッチを含む。一実施形態では、センサ112は、3つのリードスイッチ116を含む。一実施形態では、複数のリードスイッチ116の各々は、昇華固体の異なるレベルに対応してもよい。一実施形態では、各リードスイッチ116は、蒸着システムのユーザに提供される異なるステータス、メッセージ、又は警告に関連付けられてもよい。
【0035】
磁気ディスク118は、シャフト114を取り囲んでシャフトの長手方向に対してスライドできるように、シャフト114を収容する大きさの開口部を含む。磁気ディスク118は、センサ112がレベルを測定する固体支持体110内の昇華固体の表面上に配置してもよい。昇華固体が蒸着プロセス中に消費され、昇華固体の上面が下降すると、磁気ディスクはシャフト114に沿って移動し、1以上のリードスイッチ116に対するその位置が変化する。磁気ディスク118の移動は、磁気ディスク118の位置又は移動に基づいて、昇華固体のレベルを提供する1以上のリードスイッチ116によって検出される。磁気ディスク118は、例えばスナップリング又は螺旋ばね形状を有することによって、センサ開口106を通過すると拡大するように構成されてもよい。
【0036】
一実施形態では、スクリーン又は金属オープンメッシュなどのオープンメッシュ122を固体材料上に配置してもよく、磁気ディスク118をメッシュ122上に置いてもよい。メッシュ122は昇華固体上に置いてもよく、昇華固体が消費されるにつれて低くなる。メッシュ122は、部分的に又は全体的に昇華固体の上面を覆ってもよい。メッシュ122は、磁気ディスク118の昇華固体中への埋没を防止することができる。メッシュ122のレベルは、磁気ディスク118の面積よりも大きい昇華固体の面積の関数としてもよい。磁気ディスク118と比較してメッシュ122で覆われる領域が大きいほど、より安定したレベルの測定が可能になる。
【0037】
1以上のセンサ112の各々は、コントローラへの有線接続又は無線接続を含んでもよい。コントローラは、例えば、昇華固体レベルを閾値と比較し、その比較に基づいて警告を発してもよく、こうした警告の非限定的な例は、表示、音声メッセージの再生、別の装置への通信、又はそれらの組み合わせである。一実施形態において、コントローラは、アンプル100と共に使用される蒸着ツールのコントローラである。一実施形態において、コントローラはアンプル100に含まれる。有線接続又は無線接続は、1以上のセンサが、そのセンサ112によって測定された昇華固体のレベルを通信することを可能にする。コントローラは、さらに、蒸気出口104における弁を通る流れを制御するなど、アンプル100の追加の態様の制御を提供してもよい。一実施形態では、コントローラは、1以上のセンサ112の各々からレベル信号を受信し、1以上のレベルセンサの各々から受信したレベル信号に基づいて、固体送達アンプルを交換すべきか否かを決定するように構成される。一実施形態では、コントローラは、固体送達アンプル100が交換されるべきときにメッセージの提示を指示してもよい。一実施形態では、コントローラは、交換アンプルの加熱を指示してもよい。一実施形態では、コントローラは、交換アンプルへの自動切り替えを指示してもよい。一実施形態では、コントローラは、固体送達アンプル100が消尽された後に、そのパージ及び/又は冷却処理を指示してもよい。
【0038】
蒸気通気導管120を内部空間内に設けてもよい。蒸気通気導管は、蒸気がアンプル100を通って蒸気出口104に向かって循環することを可能とするように構成される。一実施形態では、蒸気通気導管は、固体支持体110の1以上に含まれる。一実施形態では、蒸気通気導管120は、固体支持体110の各々に含まれる。一実施形態では、蒸気通気導管120は、開放端部を有する中空管であり、蒸気は、第1端部から入り、第2端部から蒸気通気導管120を出ることができる。蒸気通気導管120は、アンプル本体108によって画定される内部空間内の蒸気の流れをさらに促進するための追加の開口部を含んでもよい。一実施形態では、蒸気通気導管120は多孔質金属で形成されてもよい。一実施形態では、蒸気通気導管120は、各蒸気通気導管120を通る流れを可能にするためにドリル加工された穴を備えて、一端又は両端が閉じられていてもよい。一実施形態では、蒸気通気導管は、開口部を提供するために3D印刷されてもよい。
【0039】
図2は、一実施形態による固体送達アンプルの断面図を示す。アンプル200は、蒸気出口204及び1以上のセンサ開口206を含む蓋202を含む。
図2に示す実施形態では、アンプル200は、キャリヤガス入口208をさらに含む。アンプル蓋202はアンプル本体210に接合される。アンプル本体は、1以上の固体支持体212を含む。センサ開口206の各々は、センサ212が1以上の固体支持体212の1つに提供されることを可能にする。センサ214の各々は、リードスイッチセンサであってもよく、リードスイッチセンサは、シャフト216と、シャフトに沿って配置された1以上のリードスイッチ218と、磁気ディスク220とを含む。アンプル本体は、蒸気及びキャリヤガスがアンプル200を通って蒸気出口204に向かって循環することを可能とするように構成された1以上の蒸気通気導管222をさらに含んでもよい。
【0040】
アンプル200は、固体材料から誘導される蒸気を提供するために蒸着システムと共に使用されるアンプルである。アンプル200は、1以上の固体支持体212中に1以上の昇華固体を含む。アンプル200は、アンプル200内の条件が1以上の昇華固体の昇華を可能とするように、蒸着ツールに接続されると加熱されるように構成される。
【0041】
蓋202はアンプル本体210の端部を覆う。蓋202及びアンプル本体210は、内部空間を画定する。蓋202は、内部空間に出入りする全ての流れが蒸気出口204又はキャリヤガス入口208を通じて生じるように、アンプル本体210にシールされてもよい。蓋202は、蒸気出口204と、キャリヤガス入口208と、1以上のセンサ開口206とを含む。
【0042】
蒸気出口204は、蒸気及びキャリヤガスがアンプル200から出ることを可能とするように構成された蓋202に設けられた出口である。蒸気出口204は、蒸着ツールとの接続、例えば蒸着ツールの蒸気ラインへの接続を確立するための構成要素を含んでもよい。蒸気出口204は、蒸気出口204を通る流れを調整するように構成された弁を含んでもよい。一実施形態では、蒸気出口204に含まれる弁は、アンプル200に含まれるコントローラによって制御されてもよい。一実施形態では、蒸気出口204に含まれる弁は、アンプル200と共に使用される蒸着ツールによって制御されてもよい。蒸気出口204は、アンプル200が使用されているときに、昇華固体を含む蒸気が蒸着ツール内に通過することを可能にする。
【0043】
また、蓋202は1以上のセンサ開口206を含む。センサ開口206の各々は、センサ214が、蓋202とアンプル本体210とによって画定される内部空間内にあるように挿入されることを可能にする。センサ開口は、センサがセンサ開口206に固定されることを可能にする構成要素、例えば、ねじ部を含んでもよい。センサ開口は、センサがセンサ開口206内に固定されるときに、例えば、Oリング、ガスケット、又は他の任意の適切なシールなど、シールを可能にする構成要素をさらに含んでもよい。センサ開口206にあるシール、及び、蓋202とアンプル本体210との間のシールを含め、アンプル200に使用されるシールは、半導体加工に適していなければならない。このようなアンプルの適切な漏出率は、4.0×10-9sccsヘリウム未満であってもよい。リーク率は、質量分析計を用いたヘリウムリーク検出器によって測定してもよい。アンプル200では、センサ開口206は、センサ214が内部空間内に配置されてキャリヤガスの流れが妨げられないように分布されてもよい。
【0044】
キャリヤガス入口208は、蓋202に設けられた入口である。キャリヤガス入口208は、蒸着ツール又はキャリヤガスタンクからのガスラインなどのキャリヤガス源、又は任意の他の適切なキャリヤガス源に接続してもよい。キャリヤガスは、例えば不活性ガスであってもよい。一実施形態では、キャリヤガスは反応性ガスであってもよい。キャリヤガス入口208は、アンプル200へのキャリヤガスの流れを調節するように構成された弁を含んでもよい。キャリヤガス入口208は、蓋202及びアンプル本体210によって画定される内部空間内でキャリヤガスを運ぶように構成されたキャリヤガス管に接続されてもよい。一実施形態において、キャリヤガス管は、アンプル本体210内の蓋202と反対側の内部空間の端部にキャリヤガスを運ぶように構成される。
【0045】
図2に示す実施形態では、キャリヤガスは、アンプル200の底部からアンプル200の頂部に向かって流れる。
図2に示すキャリヤガス入口208は、キャリヤガスをアンプル200の底部に運ぶディップチューブを含み、蒸気出口204は、蓋202の下方にあるアンプル200の内部空間の上部と連通している。この実施形態では、キャリヤガスは、アンプルの内部空間の底部に供給され、アンプル200を通って上方に移動し、昇華固体の蒸気とともに蒸気出口204を出る。これに代わる実施形態では、キャリヤガス入口として204を、蒸気出口として208を使用してもよく、この実施形態では、キャリヤガスはアンプル200を通って下方に流れ、蒸気及びキャリヤガスはディップチューブによって208に向かって取り込まれ、そこでアンプル200を出る。
【0046】
アンプル本体210は、蓋202に接合されたときに内部空間を画定する。アンプル本体210は、例えば、円筒形状であってもよい。アンプル本体210は、ヒーター、例えば専用オーブン、加熱ジャケット、又は他の適切なヒーターによって加熱されてもよい。ヒーターは、蒸着ツールに含まれてもよいし、別のシステムの一部に含まれてもよい。ヒーターからの熱は、放射、伝導、対流、又はそれらの組み合わせによって伝導されてもよい。ヒーターは、アンプル200の1以上の区域に1以上の温度を提供してもよい。アンプル本体210は、アンプル本体210の加熱が、アンプル本体210によって画定される内部空間内の温度を上昇させ、内部空間内の昇華固体が加熱されるように、熱伝導性材料から形成されてもよい。アンプル本体210は、蓋202がアンプル本体210に接合されるように、1以上のフランジ、リップ、ねじ部等の構成要素を含んでもよい。これらの構成要素は、アンプル本体210の開放端部に設けられてもよい。蓋202がアンプル本体210に接合される場所にシールを設けてもよい。シールは、別個の構成要素であってもよいし、蓋202及びアンプル本体210のうち一方又は両方に一体化されていてもよい。シールは、非限定的な例として、Oリングか、金属又はエラストマーフラットガスケットのような、任意の適切なシールであってもよい。
【0047】
アンプル本体210及び蓋102によって画定される内部空間は、1以上の固体支持体212を収容している。一実施形態において、アンプル200は、1以上の固体支持体212を含む。固体支持体212の各々は、プラットフォーム、トレイ、分割トレイの一部、又は昇華固体のための任意の他の適切な支持体であってもよい。昇華固体は、昇華されて、アンプル200が接続される蒸着によっても実施される蒸着プロセスのための蒸気を提供する固体であってもよい。蒸着ツールは、蒸気出口204を通じて蒸気を受容してもよい。昇華固体は、非限定的な例として、AlCl3、ハロゲン化・オキシハロゲン化タングステン(WCl5、WCl6及びWOCl4を含むがこれらに限定されない)、ハロゲン化・オキシハロゲン化モリブデン(MoCl5、MoOCl4及びMoO2Cl2を含むがこれらに限定されない)、ZrCl4を含む塩化・オキシハロゲン化ジルコニウム、及び、HfCl4を含む塩化・オキシハロゲン化ハフニウムを含む。一実施形態では、昇華固体は、粉末、結晶、ペレット、又はパックの形態であってもよい。複数の固体支持体212が互いに積み重ねられている実施形態では、固体支持体212の少なくともいくつかは、センサ214の1つが固体支持体212を通じて延び、別の固体支持体212の昇華固体のレベルを測定することを可能にする1以上の開口部をそれぞれ含んでもよい。センサ開口206は、センサ214がセンサ開口206を通じて同センサ開口から延びるように、固体支持体212内のこれらの開口と位置合わせされていてもよい。
【0048】
蓋202及びアンプル本体210によって画定される内部空間内には、1以上のセンサ214が設けられる。1以上のセンサ214の各々は、1以上の固体支持体212のうちの1つにおける昇華固体のレベルを測定する。センサ214は、各センサ開口206を貫通して設けられている。センサ214の各々は、センサ開口206において蓋202に固定されていてもよい。センサ214がセンサ開口206に固定されているところには、シール、例えばOリング、フラットガスケット、又は他の任意の適切なシールが含まれてもよい。シールは、センサ214とセンサ開口206との接合部に取り付けられた別個の構成要素であってもよいし、センサ214に一体化された構成要素であってもよいし、センサ開口206に一体化された構成要素であってもよいし、そのような構造の組み合わせを含んでもよい。センサ214又はセンサ214を囲むチューブは、キャリヤガスがアンプル200の内部空間を通る代替経路を有することを防止するために、固体支持体212の各々を通過するところでシールされてもよい。
【0049】
1以上のセンサ214のそれぞれは、蓋202に含まれる1以上のセンサ開口206の1つから延びているか、あるいは、センサ開口206を通じて延びている。各センサ214が固体支持体212に設けられた1以上の開口を通って延在することにより、センサ214は、そのセンサ214が昇華固体のレベルを測定することを可能にするのに適した固体支持体にアクセスするようになっている。固体支持体212へアクセスすることは、センサ214と測定される昇華固体との間に物理的障害物がないことを意味してもよい。固体支持体212へのアクセスは、センサが昇華固体に到達してセンサ214に戻るための排出経路を含んでもよい。
【0050】
1以上のセンサ214は、例えば、光学センサを含んでもよい。一実施形態では、1以上のセンサ214は超音波センサを含んでもよい。一実施形態では、1以上のセンサは、静電容量センサを含んでもよい。一実施形態では、1以上のセンサは、赤外線センサを含んでもよい。一実施形態では、1以上のセンサはレーダセンサを含んでもよい。
【0051】
一実施形態では、センサ214の各々はリードスイッチセンサである。センサ214がリードスイッチセンサである場合、各センサは、シャフト216と、シャフトに沿って配置された1以上のリードスイッチ218と、磁気ディスク220とを含む。
【0052】
シャフト216は、センサ214の端部からセンサ開口206又はその付近で固体支持体に向かって延びており、そこでセンサ214は昇華固体のレベルを測定する。シャフト216は、センサ214が昇華固体のレベルを測定する固体支持体212に向かって延びるように、固体支持体212に形成された1以上の開口を通って延びることができる。一実施形態では、シャフト216は、磁気ディスク220を移動させるように構成された電磁石を含んでもよく、これにより、センサ214が昇華固体のレベルを測定していないときに、センサ開口206の位置又はその近傍で、磁気ディスク220を(例えばセンサ214の端部に向かって)移動させる。
【0053】
リードスイッチ218は、磁石がシャフト216に沿ったその位置にあるかその近くにあるときに信号を提供するように操作されるように構成されたスイッチである。リードスイッチ218は、磁気ディスク220の磁界が作用すると電気的接続を形成する。特定のリードスイッチ218からの電気信号は、磁気ディスク220が近くにあることを示す。リードスイッチ218は、シャフト216上に位置決めされている。一実施形態において、シャフト216は、その長手方向に沿って配置された1以上のリードスイッチを有する。一実施形態では、1以上のリードスイッチは、センサ開口206の反対側となるセンサ214の端部にある、シャフト216の端部近傍に配置される。リードスイッチは、例えば、蒸着システムにおけるアンプル200を交換又は使用を終了すべき差し迫った必要性を示す、重要な固体支持体212内の昇華固体の特定のレベルに対応するシャフト216に沿う位置に配置してもよい。これらの位置は、固体支持体212及びセンサ214がそれぞれの動作位置にあるときに固体支持体212から所定距離を取るように、アンプル100の組み立て時に設定されてもよい。所定距離は、固体支持体212内の特定の残り動作期間又は特定のセンサ214によって測定される昇華固体の量に対応するレベルに基づいて計算してもよい。一実施形態では、センサ214は、1つのリードスイッチを含む。一実施形態において、センサ214は、複数のリードスイッチを含む。一実施形態では、センサ214は、3つのリードスイッチ218を含む。一実施形態では、複数のリードスイッチ218の各々は、昇華固体の異なるレベルに対応してもよい。一実施形態では、各リードスイッチ218は、蒸着システムのユーザに提供される異なるステータス、メッセージ、又は警告に関連付けられてもよい。
【0054】
磁気ディスク220は、シャフトを取り囲んでシャフト216の長手方向に対してスライドできるように、シャフト216を収容する大きさの開口部を含む。磁気ディスク220は、センサ214がレベルを測定する固体支持体212内の昇華固体の表面上に配置してもよい。昇華固体が蒸着プロセス中に消費され、昇華固体の上面が下降すると、磁気ディスクはシャフト216に沿って移動し、1以上のリードスイッチ218に対するその位置が変化する。磁気ディスク220の移動は、磁気ディスク220の位置又は移動に基づいて、昇華固体のレベルを提供する1以上のリードスイッチ218によって検出される。磁気ディスク220は、例えばスナップリング又は螺旋ばね形状を有することによって、センサ開口206を通過すると拡大するように構成してもよい。
【0055】
1以上のセンサ214の各々は、コントローラへの有線接続又は無線接続を含んでもよい。コントローラは、例えば、昇華固体レベルを閾値と比較し、その比較に基づいて警告を発してもよく、こうした警告の非限定的な例は、表示、音声メッセージの再生、別の装置への通信、又はそれらの組み合わせである。一実施形態において、コントローラは、アンプル200と共に使用される蒸着ツールのコントローラである。一実施形態において、コントローラはアンプル200上に含まれる。有線接続又は無線接続は、1以上のセンサが、そのセンサ214によって測定された昇華固体のレベルを通信することを可能にする。コントローラは、さらに、蒸気出口204での弁を通る流れを制御すること、キャリヤガス入口208を通る流れを制御すること、又はこれらの組合せなど、アンプル200の追加の態様の制御を提供してもよい。一実施形態では、コントローラは、1以上のセンサ214の各々からレベル信号を受信し、1以上のレベルセンサの各々から受信したレベル信号に基づいて、固体送達アンプルを交換すべきか否かを決定するように構成される。一実施形態では、コントローラは、固体送達アンプル200が交換されるべきときにメッセージの提示を指示してもよい。一実施形態では、コントローラは、交換アンプルの加熱を指示してもよい。一実施形態では、コントローラは、交換アンプルへの自動切り替えを指示してもよい。一実施形態では、コントローラは、固体送達アンプル200が消尽された後に、そのパージ及び/又は冷却処理を指示してもよい。
【0056】
蒸気通気導管222を内部空間内に設けてもよい。蒸気通気導管は、蒸気がアンプル200を通って蒸気出口204に向かって循環することを可能とするように構成される。一実施形態では、蒸気通気導管は、固体支持体212に含まれる。一実施形態では、蒸気通気導管222は、アンプル200内に含まれる最も底部の固体支持体を除いて、各固体支持体212内に含まれる。蒸気通気導管222は、蒸気が第1端部から入り、第2端部から蒸気通気導管222を出るように、開放端部を有する中空管であってもよい。蒸気通気導管222は、アンプル本体210によって画定される内部空間を通る蒸気及びキャリヤガスの流れをさらに促進するための追加の開口部を含んでもよい。一実施形態では、固体支持体212の各々は、固体支持体212の表面積にわたって均一な密度で分布された複数の蒸気通気導管を含む。
【0057】
図3は、一実施形態に係る、固体送達アンプルの上面図を示す。
図3の上面図では、アンプル蓋300が見える。アンプル蓋300は、固体送達アンプルを閉じるためにアンプル本体上に置かれるカバーである。アンプル蓋300は、例えば、上述の蓋102又は蓋202であってもよい。アンプル蓋300は、蒸気出口402と、1以上のセンサ開口304と、キャリヤガス入口306とを含む。
【0058】
蒸気出口302は、上述の蒸気出口104又は蒸気出口204のような、蒸気がアンプル蓋300を通過する出口である。蒸気出口302は、蒸着ツールの蒸気ラインに接続されていてもよい。蒸気出口302は、蒸気出口302を通る流れを調節する制御可能な弁を含んでもよい。一実施形態において、蒸気出口302は、蒸着ツール又は別個の固体送達システムの何れかにおいて、質量流量コントローラ(MFC)又は質量流量計(MFM)に接続される。
【0059】
センサ開口304は、アンプル蓋300内の開口部であり、この開口部を通してセンサは、アンプル蓋300を含むアンプルの内部空間内に延びている。センサ開口304は、上述した1以上のセンサ開口106又は1以上のセンサ開口206であってもよい。センサ開口304は、センサ開口304の外側又は内側表面におけるねじ部など、センサ開口内にセンサを固定するための構成要素を含んでもよい。一実施形態では、センサは溶接接合部に取り付けられ、センサ開口304とセンサは、金属ガスケットを圧縮して漏れ止めシールを形成する嵌合回転可能なねじを有する。
【0060】
キャリヤガス入口306は、上述のキャリヤガス入口208のようなキャリヤガスの入口である。一実施形態では、キャリヤガス入口306は存在していなくてもよいし、別のセンサ開口304に置き換えてもよい。
【0061】
図3に示す実施形態では、蒸気出口302、センサ開口304、及びキャリヤガス入口306は、単一の直線上に配置される。
図3に示される実施形態は、例えば、蒸着ツールの構成並びに蒸着ツールによって提供されるキャリヤガス入口306及び蒸気出口302のための接続点に応じて、特定の蒸着ツール内に、アンプル蓋300を含むアンプルを適合させるために使用されてもよい。
図3に示す実施形態の直線的な配置は、アンプル蓋300を囲む加熱ジャケット及びそれが取り付けられるアンプル本体のようなツーピース型ヒーターの使用を容易にすることができる。
【0062】
図4は、一実施形態による、固体送達アンプルの上面図を示す。
図4の上面図では、アンプル蓋400が見える。アンプル蓋400は、固体送達アンプルを閉じるためにアンプル本体上に置かれるカバーである。アンプル蓋400は、例えば、上述の蓋102又は蓋202であってもよい。アンプル蓋400は、蒸気出口402と、1以上のセンサ開口404と、キャリヤガス入口406とを含む。
【0063】
蒸気出口402は、上述の蒸気出口104又は蒸気出口204のような、蒸気がアンプル蓋400を通過する出口である。蒸気出口402は、蒸着ツールの蒸気ラインに接続してもよい。蒸気出口402は、蒸気出口402を通る流れを調節する制御可能な弁を含んでもよい。
【0064】
センサ開口404は、アンプル蓋400内の開口部であり、この開口部を通してセンサは、アンプル蓋400を含むアンプルの内部空間内に延びている。センサ開口404は、上述した1以上のセンサ開口106又は1以上のセンサ開口206であってもよい。センサ開口404は、センサ開口404の外側又は内側表面におけるねじ部など、センサ開口内にセンサを固定するための構成要素を含んでもよい。一実施形態では、センサは、溶接接合部に取り付けられ、この接合部において、センサ開口404とセンサとは、金属ガスケットを圧縮して漏れ止めシールを形成する回転可能なねじを有して噛み合う。
【0065】
キャリヤガス入口406は、上述のキャリヤガス入口208のようなキャリヤガスの入口である。一実施形態では、キャリヤガス入口406は存在していなくてもよいし、別のセンサ開口404に置き換えてもよい。
【0066】
図4に示す蒸気出口402、1以上のセンサ開口404、及びキャリヤガス入口406の配置は、蒸気出口402、1以上のセンサ開口404、及びキャリヤガス入口406の何れかにおいて構成要素を操作するための空間が存在するようになっていてもよい。例えば、センサがねじ付き接続部によってセンサ開口404内に固定されている場合、蒸気出口402、1以上のセンサ開口404、及びキャリヤガス入口406は、少なくとも2.54センチ(1インチ)離れて配置され、手又はレンチなどの工具がセンサ開口404で接続部にアクセスして操作することを可能にする。
図4に示される実施形態の千鳥状(スタッガード)配置は、センサ開口404の配置に適合するように特注される加熱ジャケットを必要としてもよい。
【0067】
図5は、一実施形態に係る、固体送達アンプルの準備方法のフローチャートを示す。方法500は、固体送達アンプルを取得すること(ステップ502)と、1以上の昇華固体を加えること(ステップ504)と、各レベルセンサポートを通じてレベルセンサを提供すること(ステップ506)とを含む。
【0068】
ステップ502において、固体送達アンプルを取得する。固体送達アンプルは、例えば、上述のアンプル100又はアンプル200であってもよい。ステップ502で得られる固体送達アンプルは、上述のセンサ開口104又はセンサ開口204のような1以上のセンサポートを含む。アンプルは、上述の蓋102又は蓋202と、上述のアンプル本体108又はアンプル本体210などのアンプル本体とを含んでもよい。ステップ502で得られるアンプルは、必要に応じて、上述のキャリヤガス入口208のようなキャリヤガス入口を含んでもよい。
【0069】
ステップ504において、1以上の昇華固体をアンプルに加える。昇華固体は、非限定的な例として、AlCl3、ハロゲン化・オキシハロゲン化タングステン(WCl5、WCl6及びWOCl4を含むがこれらに限定されない)、ハロゲン化・オキシハロゲン化モリブデン(MoCl5、MoOCl4及びMoO2Cl2を含むがこれらに限定されない)、ZrCl4を含む塩化・オキシハロゲン化ジルコニウム、及びHfCl4を含む塩化・オキシハロゲン化ハフニウム、のうちの1以上を含んでもよい。一実施形態では、昇華固体は、粉末、結晶、ペレット、又はパックの形態であってもよい。昇華固体は、トレイ、プレート、区画、分割支持体のセグメント、又は任意の他の適切な支持体のような、1以上の固体支持体中に配置されてもよい。固体支持体は、例えば、各固体支持体内が昇華固体で満たされるように、トレイ又は区画の層のように組み立てられてもよい。ステップ504での昇華固体の充填は、既定レベルを達成するように昇華固体を加えること、既定質量の昇華固体を加えること、又は、所望の量の昇華固体をアンプル内の固体支持体に提供する任意の他の適切な方法を含んでもよい。
【0070】
ステップ506において、各レベルセンサポートを通じてレベルセンサが提供される。レベルセンサは、アンプル本体への蓋の取り付けの前又は後に設けるようにしてもよい。ステップ506で提供される各レベルセンサは、アンプル内の昇華固体のレベルを判断することができる位置に提供される。ステップ506で提供される各レベルセンサは、アンプル内の異なる固体支持体におけるレベルを測定してもよい。一実施形態では、複数のレベルセンサは、1つの固体支持体の異なる点で昇華固体のレベルを測定してもよい。レベルセンサは、非限定的な例として、リードスイッチセンサ、光学センサ、超音波センサ、静電容量センサ、赤外線センサ、レーダセンサ、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。一実施形態では、ステップ506で提供されるレベルセンサは、シャフトと、シャフトに沿って配置された1以上のリードスイッチと、磁気ディスクとを含むリードスイッチセンサである。この実施形態では、レベルセンサを提供することは、ステップ504で加えられた昇華固体の表面上に各リードスイッチセンサの磁気ディスクを配置することを含む。ステップ506においてセンサが提供される場合、アンプルの内部をシールするためにシールを提供してもよく、このシールは、例えばOリング、フラットガスケット、又はレベルセンサとレベルセンサポートとの間の接続部に配置された他の適切なシールであってもよい。ステップ506でレベルセンサが提供され、蓋がアンプル本体に取り付けられると、アンプルは密閉され、輸送及び使用に適した態様となり、例えば昇華固体の蒸気を蒸着ツールに提供する。使用中、ステップ506で提供されるセンサは、方法500に従って準備されたアンプル内の昇華固体のレベルの測定を提供してもよい。
【0071】
図6は、一実施形態に係る蒸気送達方法のフローチャートを示す。方法600は、固体送達アンプルを加熱すること(ステップ602)と、固体送達アンプル内のレベルセンサを用いて固体送達アンプル内の昇華固体のレベルを測定すること(ステップ604)と、昇華固体のレベルに基づいて警告を発すること(ステップ606)とを含む。
【0072】
固体送達アンプルの加熱は、ステップ602で行われる。上記のアンプル100又はアンプル200のような固体送達アンプルは、例えばヒーター(例えば専用オーブン、加熱ジャケット、又は他の適切なヒーター)によって加熱される。ヒーターは、蒸着ツールに含まれてもよいし、別のシステムの一部に含まれてもよい。ヒーターからの熱は、放射、伝導、対流、又はそれらの組み合わせによって伝導されてもよい。ヒーターは、アンプルの1以上の区域に1以上の温度を提供してもよい。加熱は、固体送達アンプル内の昇華固体の昇華を可能にするのに十分な固体送達アンプル内の温度を生じさせる。一実施形態において、キャリヤガスは、固体送達アンプルがステップ602で加熱されている間にアンプルに供給されてもよい。昇華固体は、アンプルがステップ602で加熱されている間に、時間とともに蒸気に昇華する。昇華固体の昇華からの蒸気は、例えば、上述した蒸気出口104又は蒸気出口204のような蒸気出口によって、蒸着ツールに供給してもよい。いくつかの実施形態において、蒸気は、アンプルに供給されるキャリヤガスを伴ってもよい。
【0073】
固体送達アンプル中の昇華固体のレベルは、ステップ604において、固体送達アンプル内のレベルセンサを用いて測定される。レベルセンサは、固体送達アンプル内に、アンプルの蓋に設けられた開口を通じて設けられるようにしてもよい。レベルセンサは、固体支持体110又は固体支持体212のような固体支持体中の1つの昇華固体のレベルを測定してもよい。複数の固体支持体が存在し、センサの数が固体支持体の数より少ない場合、レベルセンサによる測定のために選択される固体支持体は、例えば、固体支持体に保持される昇華固体の量及び/又はタイプ、固体支持体に含まれる昇華固体の消費量の予測、又はそのような要因の組み合わせに基づいて選択されてもよい。レベルセンサは、光学センサ、超音波センサ、静電容量センサ、赤外線センサ、又はレーダセンサであってもよい。一実施形態では、レベルセンサは、シャフトと、シャフト上に配置された1以上のリードスイッチと、シャフトを取り囲む磁気ディスクとを含むリードスイッチセンサである。磁気ディスクは、固体支持体中の昇華固体上に置かれてもよい。リードスイッチに対する磁気ディスクの位置は、ステップ604で測定された昇華固体のレベルを提供するものであってもよい。
【0074】
昇華固体のレベルに基づいて、メッセージがステップ606で提供される。一実施形態では、ステップ604で測定された昇華固体のレベルが警告閾値を下回る場合にメッセージが提供されてもよい。一実施形態では、複数の昇華固体のレベルを測定してもよく、何れかの昇華固体が警告閾値を下回る場合には、ステップ606で警告が提供される。一実施形態では、複数の昇華固体の各々は、それ自身の異なる警告閾値を有する。一実施形態では、複数の昇華固体の各々は、同じ警告閾値を有する。一実施形態では、そのレベルが警告閾値と比較される昇華固体は、例えば、固体支持体に保持される昇華固体の量及び/又はタイプ、固体支持体に含まれる昇華固体の消費量の予測、又はそのような要因の組み合わせに基づいて選択される。一実施形態では、警告閾値は、固体送達アンプルを交換する必要性、又は蒸着プロセスを終了する必要性を示す。メッセージを提供することは、アンプルから出る蒸気の流量(たとえば、質量又は体積)、アンプルに提供される温度、アンプルへのキャリヤガスの流量(たとえば、質量又は体積)などの、適用条件及び送達条件に基づいてもよい。一実施形態では、メッセージは、メッセージの表示、音声アラートの再生、及び/又は、タブレット、携帯電話、又は他の携帯型装置のような装置への通知の送信、のうちの1つ又は複数を介してユーザに提供される警告である。複数の固体送達アンプルが蒸着ツールに接続されている実施形態では、警告の発動が設定された場所に接続されたアンプルが、その警告により識別されるようにしてもよい。一実施形態では、メッセージは、例えばその装置で活動を指示する別の装置へのコマンドに対するものであってもよい。非限定的な例として、他の装置へのメッセージは、パージ及び/又は冷却処理を開始するようにアンプルに指示してもよいし、蒸着ツール又は他のシステムに自動アンプル切り替え処理を開始するように指示してもよいし、例えば、警告が発せられたアンプルから切り替えるなどの使用のためにこの他のアンプルを準備するために、別のアンプルを加熱するためにヒーターを作動させるように蒸着ツール又は他のシステムに指示してもよい。
【0075】
態様
任意の態様1~19は、任意の態様20~25又は26~33と組み合わせることができることが理解される。任意の態様20~25は、任意の態様26~33と組み合わせることができることが理解される。
【0076】
態様1:内部空間を画定するアンプル本体及び蓋であって、内部空間は1以上の固体支持体を収容し、各固体支持体はある量の昇華固体を支持するように構成される、アンプル本体及び蓋と、
蒸気出口と、
1以上のレベルセンサポートと、
1以上のレベルセンサであって、当該1以上のレベルセンサの各々が、1以上のレベルセンサポートを通じて内部空間内に延びている、レベルセンサと、
1以上のレベルセンサの各々は、各固体支持体中の昇華固体の量を測定する、
固定送達アンプル。
【0077】
態様2:1以上のレベルセンサが、リードスイッチセンサ、光学センサ、超音波センサ、静電容量センサ、赤外線センサ、又はレーダセンサから選択される、態様1に記載の固体送達アンプル。
【0078】
態様3:1以上のレベルセンサの各々は、磁気ディスクとロッドとを含むリードスイッチセンサであり、ロッドは1以上のリードスイッチを含み、磁気ディスクは、レベルセンサによって測定される、ある量の昇華固体の表面上に載っている、態様1~2の何れかに記載の固体送達アンプル。
【0079】
態様4:リードスイッチセンサの各々のロッドは、少なくとも2つのリードスイッチを含む、態様3に記載の固体送達アンプル。
態様5:1以上の固体支持体がトレイである、態様1~4の何れかに記載の固体送達アンプル。
【0080】
態様6:1以上の固体支持体は、1以上の仕切りによって画定されるトレイ内の1以上のスペースである、態様1~5の何れかに記載の固体送達アンプル。
態様7:1以上の固体支持体の少なくとも1つから上方に蒸気を運ぶように構成された1以上の通気管をさらに備える、態様1~6の何れかに記載の固体送達アンプル。
【0081】
態様8:1以上の固体支持体が1以上のトレイである、態様1~2の何れかに記載の固体送達アンプル。
態様9:1以上のレベルセンサが、1以上のトレイから選択された1以上のトレイ中の昇華固体の量を測定し、1以上のトレイの各々における昇華固体の消費率に基づいて1以上のトレイが選択される、態様8に記載の固体送達アンプル。
【0082】
態様10:昇華固体の消費率は、昇華固体及び昇華固体の蒸気を提供する際に固体送達アンプルに適用される温度に基づいて判断される、態様9に記載の固体送達アンプル。
態様11:固体送達アンプルはトレイの数よりも少ないレベルセンサを含む、態様8~10の何れかに記載の固体送達アンプル。
【0083】
態様12:キャリヤガス入口をさらに含む、態様1~11の何れかに記載の固体送達アンプル。
態様13:レベルセンサポートを複数含み、当該複数のレベルセンサポートの全てが1つの直線に沿って分布している、態様1~12の何れかに記載の固体送達アンプル。
【0084】
態様14:レベルセンサポートを複数含み、当該複数のレベルセンサポートの全てが1つの直線を形成しないように分布している、態様1~13の何れかに記載の固体送達アンプル
態様15:コントローラをさらに備え、当該コントローラは、1以上のレベルセンサの各々からレベル信号を受信するように構成されるとともに、1以上のレベルセンサの各々から受信したレベル信号に基づいて、固体送達アンプルを交換すべきか否かを決定するように構成される、態様1~14の何れかに記載の固体送達アンプル。
【0085】
態様16:コントローラが、さらに、固体送達アンプルが交換されるべき時にメッセージの提示を指示するように構成される、態様15に記載の固体送達アンプル。
態様17:コントローラが、さらに、別のアンプルを予熱するようにヒーターに指示するように構成される、態様15~16の何れかに記載の固体送達アンプル。
【0086】
態様18:コントローラが、さらに、固体送達アンプルから別のアンプルへの自動切り替えを指示するように構成される、態様15~17の何れかに記載の固体送達アンプル。
態様19:コントローラが、さらに、固体送達アンプルに対して実行されるべきパージシーケンス又は冷却シーケンスを指示するように構成される、態様15~18の何れかに記載の固体送達アンプル。
【0087】
態様20:固体送達アンプルの準備方法は、
固体送達アンプルを提供することであって、固体送達アンプルが、
1以上の固体支持体を収容する内部空間を画定するアンプル本体と、
蒸気出口と、
1以上のレベルセンサポートと、を有する、ことと、
1以上の固体支持体の各々に1以上の昇華固体を加えることと、
1以上のレベルセンサポートの各々を通じてレベルセンサを提供することと、を含む。
【0088】
態様21:前レベルセンサは、ロッドと磁気ディスクとを含むリードスイッチセンサであり、レベルセンサを提供することは、1以上の昇華固体のうちの1つの表面上に磁気ディスクを置くことを含む、態様20に記載の方法。
【0089】
態様22:1以上のレベルセンサポートの各々を通じてレベルセンサを提供することは、正圧の下で行われる、態様20~21の何れかに記載の方法。
態様23:固体送達アンプルをシールすることをさらに含む、態様20~22の何れかに記載の方法。
【0090】
態様24:固体支持体よりも少ないレベルセンサポートがある、態様20~23の何れかに記載の方法。
態様25:レベルセンサが1以上の固体支持体に提供され、各固体支持体に対する昇華固体の消費率に基づいて1以上の固体支持体が選択される、態様24に記載の方法。
【0091】
態様26:蒸気送達方法は、
固体送達アンプルを加熱することと、
固体送達アンプル内に配置されたレベルセンサを介して固体支持体中の昇華固体のレベルを測定することと、
昇華固体のレベルに基づいてメッセージを提供することと、を含む。
【0092】
態様27:固体送達アンプル内にキャリヤガスの流れを提供することをさらに含む、態様26に記載の方法。
態様28:レベルセンサが、磁気ディスクと、ロッド上に配置された1以上のリードスイッチとを含むリードスイッチセンサである、態様26~27の何れかに記載の方法。
【0093】
態様29:固体送達アンプル内に配置された第2レベルセンサを介して、第2固体支持体中の昇華固体の第2レベルを測定することをさらに含み、警告が第2昇華固体の第2レベルにさらに基づく、態様26~28の何れかに記載の方法。
【0094】
態様30:固体送達アンプルが複数の固体支持体を備え、昇華固体のレベルが測定される1以上の固体支持体が、1以上の昇華固体の各々の予測消費量に基づいて選択される、態様26~29の何れかに記載の方法。
【0095】
態様31:メッセージがユーザに提供される警告を含む、態様26~30の何れかに記載の方法。
態様32:メッセージが、別のアンプルを予熱するようにヒーターに指示するコマンドを含む、態様26~31の何れかに記載の方法。
【0096】
態様33:メッセージが、固体送達アンプルから別のアンプルへの自動切り替えを指示するコマンドを含む、態様26~32の何れかに記載の方法。
態様34:メッセージが、固体送達アンプルに対して実行されるべきパージシーケンス又は冷却シーケンスを指示するコマンドを含む、態様26~33の何れかに記載の方法。
【0097】
本願に開示される実施例は、あらゆる点で例示的であり、限定的ではないと考えるべきである。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、クレームと均等な意味及び範囲内にある全ての変更は、クレームに包含されることを意図している。
【手続補正書】
【提出日】2022-05-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を画定するアンプル本体及び蓋であって、前記内部空間は1以上の固体支持体を収容し、各前記固体支持体はある量の昇華固体を支持するように構成される、アンプル本体及び蓋と、
蒸気出口と、
1以上のレベルセンサポートと、
1以上のレベルセンサであって、当該1以上のレベルセンサの各々が、1以上の前記レベルセンサポートを通じて前記内部空間内に延びている、レベルセンサと、
を備え、
1以上の前記レベルセンサの各々は、各固体支持体中の前記昇華固体の量を測定する、
固体送達アンプル。
【請求項2】
1以上の前記レベルセンサの各々は、磁気ディスクとロッドとを含むリードスイッチセンサであり、
前記ロッドは1以上のリードスイッチを含み、
前記磁気ディスクは、前記レベルセンサによって測定される、前記ある量の昇華固体の表面上に載っている、請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項3】
1以上の前記固体支持体は、1以上の仕切りによって画定されるトレイ内の1以上のスペースである、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項4】
コントローラをさらに含み、前記コントローラが、
1以上の前記レベルセンサの各々からレベル信号を受信するように構成されるとともに、
1以上の前記レベルセンサの各々から受信した前記レベル信号に基づいて、前記固体送達アンプルを交換すべきか否かを決定するように構成される、
請求項1に記載の固体送達アンプル。
【請求項5】
固体送達アンプルを加熱することと、
前記固体送達アンプル内に配置されたレベルセンサを介して固体支持体中の昇華固体のレベルを測定することと、
前記昇華固体のレベルに基づいてメッセージを提供することと、
を含む、蒸気送達方法。
【国際調査報告】