(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 55/02 20060101AFI20221215BHJP
C08L 25/12 20060101ALI20221215BHJP
C08L 51/06 20060101ALI20221215BHJP
C08L 23/06 20060101ALI20221215BHJP
C08L 25/16 20060101ALI20221215BHJP
C08J 5/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C08L55/02
C08L25/12
C08L51/06
C08L23/06
C08L25/16
C08J5/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022520518
(86)(22)【出願日】2021-07-06
(85)【翻訳文提出日】2022-04-01
(86)【国際出願番号】 KR2021008533
(87)【国際公開番号】W WO2022065640
(87)【国際公開日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】10-2020-0124006
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0086462
(32)【優先日】2021-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュンホ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ソン・リョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】デ・サン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ホ・ナムグン
(72)【発明者】
【氏名】ソクヒ・ジョ
【テーマコード(参考)】
4F071
4J002
【Fターム(参考)】
4F071AA13
4F071AA13X
4F071AA16
4F071AA22
4F071AA22X
4F071AA34
4F071AA34X
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4F071AA81
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4F071AE05
4F071AE11
4F071AF15Y
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4F071AH07
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4F071BB05
4J002BB03Z
4J002BC04X
4J002BC05X
4J002BC065
4J002BC06X
4J002BC06Y
4J002BC10Z
4J002BN124
4J002BN15W
4J002GN00
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品に関し、より詳細には、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品に関する。
本発明によれば、ブロー成形性に優れ、広い成形温度範囲を有する熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品を提供する効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と、
(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と、
(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と、
(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と、
(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%とを含むベース樹脂100重量部に、
(F)密度が0.9~1.5g/cm
3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含むことを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、ビニルシアン化合物1~25重量%、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム45~75重量%及び芳香族ビニル化合物15~45重量%を含んでグラフト重合されたグラフト共重合体であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム5~20重量%、芳香族ビニル化合物55~85重量%及びビニルシアン化合物5~25重量%を含んでなることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(C)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、平均粒径が300~600nmであるアクリレート系ゴム20~60重量%、芳香族ビニル化合物10~50重量%及びビニルシアン化合物5~30重量%を含んでなることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(D)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、ビニルシアン化合物10~40重量%及び芳香族ビニル化合物60~90重量%を含んでなることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、多分散指数(Polydispersity index、PDI)が3.5~6であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記ベース樹脂は、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体を合わせた総重量に対して、(G)共重合体5~25重量%を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記ベース樹脂は、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体を合わせた総重量に対して、(H)共重合体5~30重量%を含むことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
ISO 1133に準拠して220℃で測定した流動指数に対する、240℃で測定した流動指数の比(240℃での流動指数/220℃での流動指数)が4.5以下であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
ブロー成形機のバレル温度220℃で長さ500mm、厚さ0.5mm、及び重量500gのパリソン(parison)を吐出し、全長の1%以上が伸びるのにかかる時間を測定したパリソン垂れが40秒以上であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
酸化防止剤、滑剤及び成形補助剤からなる群から選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と、(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と、(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と、(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と、(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%とを含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm
3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含んで200~300℃及び200~300rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含むことを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品に関し、より詳細には、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張された熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2020年09月24日付の韓国特許出願第10-2020-0124006号及びこれに基づいて2021年07月01日付で再出願された韓国特許出願第10-2021-0086462号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0003】
従来の自動車用ブロー成形アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(以下、「ABS」という)樹脂組成物は、ブロー加工性及び耐熱性を確保するために、重量平均分子量が20,000g/mol以上であるスチレン系共重合体及びフェニルマレイミド系共重合体を含む。
【0004】
自動車用ブロー成形ABS樹脂組成物は、分子量が高く、鎖構造が複雑であり、極性が高い樹脂であるほど、重合時に反応熱の調節が難しいため生産性が低いという問題があるだけでなく、分子量が高い樹脂であるほど、ブロー成形工程時に製品の表面にメルトフラクチャー(Melt fracture)を誘発しやすいため過量の滑剤及び離型剤を添加しなければならないという問題がある。
【0005】
反面、分子量が低い樹脂であるほど、ブロー成形加工時にパリソン(parison)垂れが発生しやすいが、これを解決するためにガラス転移温度の高い耐熱樹脂と共に使用して耐熱度及び粘度を向上させる場合、温度による加工性のばらつきが大きいため、製品の重量別の成形温度の設定に困難がある。また、耐熱樹脂の可塑化と分子量が低い樹脂の流動性とはトレードオフ(trade-off)の関係にあるため、成形温度の設定が制限的である。ブロー装備別の温度維持能力及び製品重量スペック(spec.)が異なるため、ブロー成形用樹脂組成物は成形温度範囲が広くなければならない。
【0006】
したがって、ブロー成形性に優れ、広い成形温度範囲を有するブロー成形用樹脂組成物の開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0491031号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来技術の問題点を解決するために、本発明は、ブロー成形性に優れ、広い成形温度範囲を有する熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の上記目的及びその他の目的は、以下で説明する本発明によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体5~25重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0012】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体5~30重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体5~25重量%と;(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体5~30重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0014】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含み、ブロー成形機のバレル温度220℃で長さ500mm、厚さ0.5mm、及び重量500gのパリソン(parison)を吐出し、全長の1%以上が伸びるのにかかる時間を測定したパリソン垂れが40秒以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0015】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含んで200~300℃及び200~300rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0016】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体5~25重量%とを含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含んで200~300℃及び200~300rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
【0017】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体5~30重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含んで200~300℃及び200~300rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
【0018】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体5~25重量%と;(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体5~30重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含んで200~300℃及び200~300rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
【0019】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含んで200~300℃及び200~300rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含み、製造された熱可塑性樹脂組成物は、ブロー成形機のバレル温度220℃で長さ500mm、厚さ0.5mm、及び重量500gのパリソン(parison)を吐出し、全長の1%以上が伸びるのにかかる時間を測定したパリソン垂れが40秒以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
【0020】
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、分子量が低い樹脂とガラス転移温度が高い耐熱樹脂とを共に使用しても、ブロー成形性に優れ、広い温度範囲で成形が可能であるため生産性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品を提供する効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品を詳細に説明する。
【0023】
本発明者らは、ABSグラフト共重合体及びABS非グラフト共重合体に、所定のグラフト率と重量平均分子量を有するアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、所定の重量平均分子量を有するビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体、所定の重量平均分子量を有する分岐状ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体、及び所定の密度と重量平均分子量を有する高密度ポリエチレン樹脂を所定の含量に調整する場合、ブロー成形性に優れ、広い温度範囲で成形が可能であることを確認し、これに基づいてさらに研究に邁進して本発明を完成するようになった。
【0024】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含むことを特徴とする。このような場合、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0025】
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成別に詳細に説明する。
【0026】
(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体
前記(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、一例として、ベース樹脂の総重量に対して10~50重量%、好ましくは15~45重量%、より好ましくは20~42重量%、さらに好ましくは20~35重量%、より一層好ましくは20~30重量%であってもよく、この範囲内で、衝撃強度及び低温での衝撃強度に優れながら、剛性に優れるという効果がある。
【0027】
前記(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、一例として、ビニルシアン化合物1~25重量%、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム45~75重量%及び芳香族ビニル化合物15~45重量%を含んでグラフト重合されたグラフト共重合体であってもよく、この範囲内で、衝撃強度及び低温での衝撃強度に優れながら、剛性に優れるという効果がある。
【0028】
好ましい例として、前記(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、ビニルシアン化合物1~20重量%、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム50~70重量%及び芳香族ビニル化合物20~40重量%を含んでグラフト重合されたグラフト共重合体であってもよく、この範囲内で、衝撃強度及び低温での衝撃強度に優れながら、剛性に優れるという効果がある。
【0029】
より好ましい例として、前記(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、ビニルシアン化合物5~15重量%、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム55~65重量%及び芳香族ビニル化合物25~35重量%を含んでグラフト重合されたグラフト共重合体であってもよく、この範囲内で、衝撃強度及び低温での衝撃強度に優れながら、剛性に優れるという効果がある。
【0030】
本発明において、ある化合物を含んでなる重合体とは、その化合物を含んで重合された重合体を意味するもので、重合された重合体内の単位体がその化合物に由来する。
【0031】
前記(A)グラフト共重合体は、一例として、共役ジエンゴムの平均粒径が150~450nm、好ましくは200~400nm、より好ましくは250~350nmであってもよく、この範囲内で、衝撃強度などの機械的物性に優れるという効果がある。
【0032】
本発明において、平均粒径は、動的光散乱法(dynamic light scattering)を用いて測定することができ、詳細には、粒子測定器(製品名:Nicomp380、製造社:PSS)を用いてガウス(Gaussian)モードで強度(intensity)値で測定する。このとき、具体的な測定例として、サンプルは、ラテックス(TSC35~50wt%)0.1gを脱イオン水又は蒸留水で1,000~5,000倍希釈し、すなわち、Intensity Setpoint 300kHzを大きく外れないように適切に希釈し、ガラス管(glass tube)に入れて準備し、測定方法は、自動希釈(Auto-dilution)してフローセル(flow cell)で測定し、測定モードは、動的光散乱法(dynamic light scattering)/強度(Intensity) 300KHz/強度-重量ガウス分析(Intensity-weight Gaussian Analysis)とし、設定(setting)値は、温度23℃、測定波長632.8nm、チャンネル幅(channel width) 10μsecとして測定することができる。
【0033】
前記(A)グラフト共重合体は、一例として、グラフト率が32~50%であり、好ましくは35~45%であってもよく、この範囲内で、熱可塑性樹脂組成物の流動指数が適切に維持され得るので、ブロー成形性に優れるという効果がある。
【0034】
本発明において、グラフト率は、グラフト共重合体の一定量を溶媒に投入し、振動機を用いて溶解させ、遠心分離機で遠心分離し、乾燥して不溶分を収得した後、下記数式1を用いて算出することができる。
【0035】
詳細には、グラフト共重合体の一定量をアセトンに投入し、振動機(商品名:SI-600R、製造社:Lab.companion)で24時間振動させて遊離したグラフト共重合体を溶解させ、遠心分離機で14,000rpmで1時間遠心分離し、真空乾燥機(商品名:DRV320DB、製造社:ADVANTEC)を用いて140℃で2時間乾燥させた後、不溶分を収得し、その後、下記数式1を用いて算出することができる。
【0036】
[数式1]
グラフト率(%)=[(Y-(X×R))/(X×R)]×100
Y:不溶分の重量
X:不溶分の収得時に投入されたグラフト共重合体の重量
R:不溶分の収得時に投入されたグラフト共重合体中の共役ジエン系重合体の分率
【0037】
前記(A)グラフト共重合体は、一例として、重量平均分子量が50,000~200,000g/mol、好ましくは60,000~150,000g/mol、より好ましくは70,000~100,000g/molであってもよく、この範囲内で、機械的物性に優れるという効果がある。
【0038】
本発明の重量平均分子量は、溶出液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、GPC(Gel Permeation Chromatography、waters breeze)を通じて標準PS(標準ポリスチレン:standard polystyrene)試料に対する相対値として測定することができ、詳細には、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography、PL GPC220、Agilent Technologies)によりポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を求めたものを適用した値である。より具体的には、GPC(Gel Permeation Chromatography、Waters 2410 RI Detector、515 HPLC pump、717 Auto Sampler)を用いて測定する。各重合体0.02gにTHF(tetrahydrofuran)20mlを入れて溶かした後、0.45μmのフィルターで濾過し、GPCバイアル(4ml)に入れて各サンプルを作る。測定1時間前から溶媒(THF)を1.0mL/分の速度で注入させ、測定時間25分、注入体積150μL、流動速度1.0ml/分、イソクラティック(isocratic)ポンプモード、RIディテクターで40℃の条件で測定する。このとき、PS(Polystyrene)スタンダードを用いてキャリブレーションし、ChemStationを用いてデータを加工したものであってもよい。
【0039】
本発明において、共役ジエン化合物は、一例として、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、イソプレン、クロロプレン及びピペリレンからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは1,3-ブタジエンであってもよい。
【0040】
本発明において、ビニルシアン化合物は、一例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチルアクリロニトリル及びイソプロピルアクリロニトリルからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはアクリロニトリルであってもよい。
【0041】
本発明において、芳香族ビニル化合物は、一例として、スチレン、α-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、ρ-メチルスチレン、m-メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t-ブチルスチレン、ο-ブロモスチレン、ρ-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、ο-クロロスチレン、ρ-クロロスチレン、m-クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、フルオロスチレン及びビニルナフタレンからなる群から選択される1種以上であってもよく、好ましくはスチレンであってもよい。
【0042】
前記(A)グラフト共重合体は、一例として、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などを含む公知の重合方法により製造可能であり、好ましくは乳化重合であってもよい。
【0043】
前記(A)グラフト共重合体を乳化グラフト重合する方法は、一例として、共役ジエンゴム45~75重量%、乳化剤0.1~5重量部、分子量調節剤0.1~3重量部及び重合開始剤0.05~1重量部からなる混合溶液に、ビニルシアン化合物1~25重量%及び芳香族ビニル化合物15~45重量%を含む単量体混合物を連続又は一括投入して行うことができる。
【0044】
ここで、重量%は、共役ジエンゴム、ビニルシアン化合物及び芳香族ビニル化合物の総重量を100重量%として基準としたものであり、重量部は、共役ジエンゴム、ビニルシアン化合物及び芳香族ビニル化合物の総重量を100重量部として基準としたものである。
【0045】
前記乳化剤は、一例として、アリルアリールスルホネート、アルカリメチルアルキルスルホネート、スルホン化アルキルエステル、脂肪酸石鹸及びロジン酸アルカリ塩からなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、重合反応の安定性に優れるという効果がある。
【0046】
前記分子量調節剤は、一例として、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン及び四塩化炭素からなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはt-ドデシルメルカプタンである。
【0047】
前記重合開始剤は、一例として、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムからなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、乳化重合が効率的に行われ得る。
【0048】
前記グラフト乳化重合により収得されたラテックスは、一例として、硫酸、MgSO4、CaCl2及びAl2(SO4)3からなる群から選択された1種以上の凝集剤で凝集した後、脱水、乾燥して粉末状態で得ることができる。
【0049】
(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体
前記(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、一例として、ベース樹脂の総重量に対して10~55重量%、好ましくは20~50重量%、より好ましくは25~47重量%、さらに好ましくは25~40重量%、より一層好ましくは25~35重量%であってもよく、この範囲内で、パリソン垂れが発生せず、剛性に優れるので、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0050】
本発明において、パリソン(parison)は、ダイレクトブローモールディング(Direct Blow Molding)で容器の成形のためのチューブ(tube)状の溶融された予備成形品を指す。具体的にパリソンは、ブロー成形において空気を吸入する前のチューブ又はパイプ状であって、ブロー成形用ダイに挿入して吸入空気で均一に膨らむように予備成形した成形材料(主に熱可塑性樹脂)をいう。
【0051】
本発明において、パリソン垂れは、押出工程においてパリソンが重力によって垂れる現象であり、このような場合、成形品の厚さが変わるようになる問題が発生する。
【0052】
本発明の(B)共重合体は、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム、ビニルシアン化合物及び芳香族ビニル化合物を含んで塊状重合された塊状共重合体であって、(A)グラフト共重合体と比較して非グラフト共重合体と称することができる。
【0053】
前記(B)共重合体は、好ましくは、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム5~20重量%、芳香族ビニル化合物55~85重量%及びビニルシアン化合物5~25重量%を含んでなるものであってもよく、より好ましくは、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム8~15重量%、芳香族ビニル化合物65~78重量%及びビニルシアン化合物13~22重量%を含んでなるものであってもよく、この範囲内で、パリソン垂れが発生せず、剛性に優れるという効果がある。
【0054】
前記(B)共重合体中に含まれる共役ジエンゴムは、一例として、平均粒径が1,000~2,000nm、好ましくは1,000~1,800nmであってもよく、この範囲内で、機械的物性に優れるという効果がある。
【0055】
(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体
前記(C)グラフト共重合体は、一例として、ベース樹脂の総重量に対して4~11重量%、好ましくは4.5~10.5重量%、より好ましくは5~10重量%であってもよく、この範囲内で、パリソン垂れが発生せず、剛性に優れるので、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0056】
前記(C)グラフト共重合体は、好ましくは、グラフト率が40~55%であってもよく、この範囲内で、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0057】
前記(C)グラフト共重合体は、好ましくは、重量平均分子量が160,000~190,000g/molであってもよく、この範囲内で、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0058】
前記(C)グラフト共重合体は、一例として、平均粒径が300~600nmであるアクリレート系ゴムを含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体であってもよく、この場合、衝撃強度、引張強度などの機械的物性に優れながら、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0059】
前記(C)グラフト共重合体は、一例として、平均粒径が300~600nmであるアクリレート系ゴム20~60重量%、芳香族ビニル化合物10~50重量%及びビニルシアン化合物5~30重量%を含んでなる共重合体であってもよく、この範囲内で、機械的物性及び耐熱性に優れ、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0060】
前記(C)グラフト共重合体に含まれたアクリレート系ゴムは、一例として、平均粒径が300~600nm、好ましくは300~500nm、より好ましくは350~450nmであってもよく、この範囲内で、衝撃強度、引張強度などの機械的物性に優れるという効果がある。
【0061】
前記(C)グラフト共重合体に含まれたアクリレート系ゴムは、一例として、前記(C)グラフト共重合体の総重量に対して20~60重量%、好ましくは30~55重量%、より好ましくは40~55重量%であってもよく、この範囲内で、衝撃強度、引張強度などの機械的物性に優れるという効果がある。
【0062】
前記アクリレート系ゴムは、一例として、アクリレート系単量体を乳化重合して製造することができ、具体例として、アクリレート系単量体、乳化剤、開始剤、グラフト剤、架橋剤、電解質及び溶媒を混合して乳化重合して製造することができ、この場合、グラフティング効率が優れるので耐衝撃性などの物性に優れるという効果がある。
【0063】
本発明において、アクリレート系単量体は、アクリレートとこれに含まれた1又は2以上の水素がアルキル基もしくはハロゲンで置換された化合物を全て含むものと定義される。
【0064】
前記アクリレート系単量体は、好ましくは、アルキルアクリレート系単量体であってもよく、前記アルキルアクリレート系単量体は、一例として、炭素数1~10のアルキル基が置換されたアクリル系化合物、メタクリル系化合物、またはこれらの混合物であってもよく、具体的な一例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート及びブチルメタクリレートからなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、耐衝撃性及び耐候性が向上するという効果がある。
【0065】
前記乳化剤は、一例として、炭素数12~20の脂肪酸金属塩、炭素数12~20のロジン酸金属塩、またはこれらの混合物であってもよく、前記炭素数12~20の脂肪酸金属塩は、一例として、脂肪酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム及びオレイン酸カリウムから選択された1種以上であってもよく、前記炭素数12~20のロジン酸金属塩は、一例として、ロジン酸ナトリウム、ロジン酸カリウム、またはこれらの混合物であってもよい。
【0066】
前記乳化剤は、一例として、アクリレート系単量体100重量部に対して1~4重量部、好ましくは1.5~3重量部であってもよく、この範囲内で、アクリレート系ゴムの構成成分を容易に混ざるようにし、本発明の目的とする効果が良好に奏されるようにする。
【0067】
前記開始剤は、一例として、無機過酸化物、有機過酸化物、またはこれらの混合物であってもよく、具体例として、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム又は過硫酸アンモニウムなどの水溶性開始剤、またはクメンヒドロペルオキシド又はベンゾイルペルオキシドなどの脂溶性開始剤であってもよく、この場合、重合反応を容易にし、本発明の目的とする効果が良好に奏されるようにする。
【0068】
前記開始剤は、一例として、アクリレート系単量体100重量部に対して0.05~1重量部、好ましくは0.1~0.5重量部であってもよく、この範囲内で、重合反応を容易にし、本発明の目的とする効果が良好に奏されるようにする。
【0069】
前記架橋剤は、一例として、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート及びトリメチロールメタントリアクリレートからなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、アクリレート系ゴムの弾性がさらに増加し、衝撃強度、引張強度などの機械的物性が改善されるという効果がある。
【0070】
前記架橋剤は、一例として、アクリレート系単量体100重量部に対して0.02~0.3重量部であってもよく、この範囲内で、アクリレート系ゴムの弾性がさらに増加し、衝撃強度、引張強度などの機械的物性が改善されるという効果がある。
【0071】
前記電解質は、一例として、炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)、二硫酸ナトリウム(Na2S2O7)及び炭酸カリウム(K2CO3)からなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0072】
前記電解質は、一例として、アクリレート系単量体100重量部に対して0.01~0.5重量部であってもよい。
【0073】
前記アクリレート系ゴムは、一例として分子量調節剤をさらに含むことができ、前記分子量調節剤は、一例として、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン、またはこれらの混合物であってもよく、この場合、アクリレート系ゴムの重量平均分子量を調節することで、組成物の耐衝撃性及び耐候性を向上させるという効果がある。
【0074】
前記分子量調節剤は、一例として、アクリレート系単量体100重量部に対して0.01~1重量部、好ましくは0.01~0.3重量部であってもよく、この範囲内で、耐衝撃性及び耐候性を向上させるという効果がある。
【0075】
前記(C)グラフト共重合体は、一例として、重合直後のラテックス状態であるとき、pHが5~9、好ましくは6~8であってもよく、この範囲内で、耐衝撃性などの機械的物性に優れながらも、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0076】
本発明において、pHは、別途の記載がない限り、常温(20~25℃)下で一般のpH測定装置を用いて測定することができ、具体的には、サーモサイエンティフィック(Thermo Scientific)社のOrion Star A Seriesを用いて測定することができる。
【0077】
前記(C)グラフト共重合体に含まれた芳香族ビニル化合物は、一例として、(C)グラフト共重合体の総重量に対して10~50重量%、好ましくは20~45重量%、より好ましくは25~40重量%であってもよく、この範囲内で、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0078】
前記(C)グラフト共重合体に含まれたビニルシアン化合物は、一例として、(C)グラフト共重合体の総重量に対して5~30重量%、好ましくは5~25重量%、より好ましくは10~20重量%であってもよく、この範囲内で、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0079】
(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体
前記(D)共重合体は、一例として、ベース樹脂の総重量に対して3.5~9重量%、好ましくは4~8.5重量%、より好ましくは4~8重量%であってもよく、この範囲内で、高温でパリソン垂れが発生しないのでブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張される効果だけでなく、表面品質に優れるという効果がある。
【0080】
前記(D)共重合体は、好ましくは重量平均分子量が1,200,000~2,300,000g/mol、より好ましくは1,500,000~2,000,000g/molであってもよく、この範囲内で、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張される効果に優れる。
【0081】
前記(D)共重合体は、一例として、ビニルシアン化合物10~40重量%及び芳香族ビニル化合物60~90重量%、好ましくは、ビニルシアン化合物15~35重量%及び芳香族ビニル化合物65~85重量%、より好ましくは、ビニルシアン化合物20~30重量%及び芳香族ビニル化合物70~80重量%を含むことができ、この場合、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張される効果に優れる。
【0082】
(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体
前記(E)分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、一例として、ベース樹脂の総重量に対して1~20重量%、好ましくは1~17重量%、より好ましくは2~15重量%、さらに好ましくは2~10重量%であってもよく、この範囲内で、パリソン垂れが発生せず、かつ剛性及び耐熱度に優れるという効果がある。
【0083】
前記(E)分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、分岐化されていない線状ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体を分岐状に改質させるか、またはビニルシアン化合物及び芳香族ビニル化合物共重合体を共重合する際に多官能開始剤を使用して製造したものを意味する。
【0084】
前記(E)分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、一例として、多分散指数(Polydispersity index、PDI)が3.5~6、好ましくは4~5.5であってもよく、この範囲内で、パリソン垂れが発生せず、かつ剛性及び耐熱度に優れるという効果がある。
【0085】
本発明において、多分散指数(Polydispersity index、PDI)は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率(Mw/Mn)を意味し、この値が小さいほど、分子量分布が均一であることを示す。
【0086】
本発明の数平均分子量は、溶出液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、GPC(Gel Permeation Chromatography、waters breeze)を通じて標準PS(標準ポリスチレン:standard polystyrene)試料に対する相対値として測定することができ、詳細には、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography、PL GPC220、Agilent Technologies)によりポリスチレン換算の数平均分子量(Mw)を求めたものを適用した値である。より具体的には、GPC(Gel Permeation Chromatography、Waters 2410 RI Detector、515 HPLC pump、717 Auto Sampler)を用いて測定する。各重合体0.02gにTHF(tetrahydrofuran)20mlを入れて溶かした後、0.45μmのフィルターで濾過し、GPCバイアル(4ml)に入れて各サンプルを作る。測定1時間前から溶媒(THF)を1.0mL/分nの速度で注入させ、測定時間25分、注入体積150μL、流動速度1.0ml/分、イソクラティック(isocratic)ポンプモード、RIディテクターで40℃の条件で測定する。このとき、PS(Polystyrene)スタンダードを用いてキャリブレーションし、ChemStationを用いてデータを加工したものであってもよい。
【0087】
前記(E)分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は延伸特性に優れるので、ブロー成形性を改善させる効果がある。
【0088】
前記(E)分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、一例として、ビニルシアン化合物10~40重量%及び芳香族ビニル化合物60~90重量%、好ましくは、ビニルシアン化合物20~30重量%及び芳香族ビニル化合物70~80重量%を含んでなってもよく、この範囲内で、パリソン垂れが発生せず、かつ剛性及び耐熱度に優れるという効果がある。
【0089】
前記(E)分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、重量平均分子量が、好ましくは400,000~750,000g/mol、より好ましくは500,000~700,000g/molであってもよく、この範囲内で、機械的物性に優れるという効果がある。
【0090】
(F)高密度ポリエチレン樹脂
前記(F)高密度ポリエチレン樹脂は、一例として、ベース樹脂100重量部を基準として0.1~2.5重量部、好ましくは0.5~2重量部、より好ましくは0.7~1.5重量部であってもよく、この範囲内で、表面品質に優れ、パリソン垂れが防止されてブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0091】
前記(F)高密度ポリエチレン樹脂は、一例としてASTM D1505に準拠して測定した密度が0.9~1.5g/cm3、好ましくは0.93~1.4g/cm3、より好ましくは0.95~1.3g/cm3、さらに好ましくは0.97~1.2g/cm3であってもよく、この範囲内で、成形性、作業性及び成形サイクル(Molding cycle)が向上するという効果がある。
【0092】
前記(F)高密度ポリエチレン樹脂は、一例として、重量平均分子量が1,000~6,500g/mol、好ましくは1,500~5,500g/molであってもよく、この範囲内で、成形性、作業性及び成形サイクル(Molding cycle)が向上するという効果がある。
【0093】
(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体
前記(G)共重合体は、一例として、(A)グラフト共重合体、(B)共重合体、(C)グラフト共重合体、(D)共重合体、(E)共重合体及び(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体を合わせた総重量に対して5~25重量%、好ましくは10~20重量%であってもよく、この範囲内で、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0094】
前記(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体は、一例として、芳香族ビニル化合物及びマレイミド化合物を含む共重合体であってもよく、好ましくは、芳香族ビニル化合物、マレイミド化合物及び不飽和ジカルボン酸無水物を含む変性芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体であってもよく、この場合、ブロー成形性に優れ、広い成形温度範囲を有するという効果がある。
【0095】
前記不飽和ジカルボン酸無水物は、一例として、無水マレイン酸、無水メチルマレイン酸、1,2-ジメチルマレイン酸無水物、エチルマレイン酸無水物及びフェニルマレイン酸無水物からなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは無水マレイン酸であってもよい。
【0096】
具体的な一例として、前記芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体は、芳香族ビニル化合物30~60重量%、マレイミド化合物30~70重量%及び無水マレイン酸0~10重量%を含むことができ、この範囲内で、樹脂組成物の耐熱性が優れながらも、衝撃強度などの機械的強度及び溶融流動指数が優れるという効果がある。
【0097】
好ましい例として、前記芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体は、芳香族ビニル化合物40~55重量%、マレイミド化合物40~60重量%及び無水マレイン酸0超~8重量%を含むことができ、この範囲内で、耐熱性に優れながらも、加工性、耐衝撃性などの物性に優れるという効果がある。
【0098】
より好ましい例として、前記芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体は、芳香族ビニル化合物43~51重量%、マレイミド化合物48~55重量%及び無水マレイン酸0.5~5重量%を含むことができ、この範囲内で、最終樹脂組成物の耐熱特性が優れながらも、耐衝撃性、加工性などが優れるという効果がある。
【0099】
本発明において、マレイミド化合物は、一例として、N-フェニルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-ブチルマレイミド及びN-シクロヘキシルマレイミドからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはN-フェニルマレイミドであってもよい。
【0100】
前記(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体は、一例として、ガラス転移温度が180℃以上、好ましくは180~220℃、より好ましくは190~220℃であってもよく、この範囲内で、最終樹脂組成物の熱変形温度などの耐熱特性が優れながらも、加工性が優れるという利点がある。
【0101】
本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimetry;DSC)を用いて測定することができ、具体例として、TAインスツルメント社の示差走査熱量計を用いて測定することができる。
【0102】
前記(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体は、一例として、重量平均分子量が80,000~200,000g/mol、好ましくは100,000~170,000g/mol、より好ましくは110,000~150,000g/molであってもよく、この範囲内で、樹脂組成物の衝撃強度などの機械的物性が優れながらも、耐熱性が優れるという利点がある。
【0103】
好ましい一例として、(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体は、スチレン-(N-フェニルマレイミド)-無水マレイン酸共重合体であってもよく、この場合、樹脂組成物の耐熱性、機械的強度などの物性バランスが優れながらも、加工性が優れるという利点がある。
【0104】
(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体
前記(H)共重合体は、一例として、(A)グラフト共重合体、(B)共重合体、(C)グラフト共重合体、(D)共重合体、(E)共重合体及び(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体を合わせた総重量に対して5~30重量%、好ましくは5~25重量%、より好ましくは10~22重量%であってもよく、この範囲内で、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという利点がある。
【0105】
前記(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、一例として、α-メチルスチレン系単量体とビニルシアン化合物の共重合体;またはα-メチルスチレン系単量体、ビニルシアン化合物、及びα-メチルスチレンを除いた芳香族ビニル化合物の共重合体;であってもよく、好ましくは、α-メチルスチレン、アクリロニトリル、及びスチレンの共重合体であってもよい。
【0106】
具体的には、前記(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、α-メチルスチレン系単量体50~80重量%、ビニルシアン化合物20~50重量%、及びα-メチルスチレンを除いた芳香族ビニル化合物0~10重量%を含んでなる共重合体であってもよく、この場合、衝撃強度が維持されながら、耐熱度に優れ、ブロー成形性に優れるという効果がある。
【0107】
好ましくは、前記(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、α-メチルスチレン70~80重量%、アクリロニトリル20~30重量%、及びスチレン0~8重量%を含んでなる共重合体であってもよく、この場合、衝撃強度が維持されながら、耐熱度に優れ、ブロー成形性に優れるという効果がある。
【0108】
本発明において、「スチレン0~10重量%」は、好ましくは、スチレン0重量%又は0重量%超~10重量%以下を意味することができる。
【0109】
前記α-メチルスチレン系単量体は、一例として、α-メチルスチレン及びその誘導体からなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、耐熱性に優れるという効果がある。前記α-メチルスチレンの誘導体は、好ましくは、その水素のうち1又は2以上が炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン基などの置換基で置換された化合物であってもよく、より好ましくは、その芳香族環(aromatic ring)中の水素のうち1又は2以上が炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン基などの置換基で置換された化合物であってもよい。
【0110】
前記(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、一例として、重量平均分子量が60,000~180,000g/molであってもよく、好ましくは80,000~120,000g/molであり、この範囲内で、衝撃強度が維持されながら、耐熱度に優れるという効果がある。
【0111】
熱可塑性樹脂組成物
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 1133に準拠して220℃で測定した流動指数に対する、240℃で測定した流動指数の比(240℃での流動指数/220℃での流動指数)が4.5以下、好ましくは4以下であってもよく、この範囲内で、物性バランスに優れながら、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が広くなるという効果がある。
【0112】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ブロー成形機のバレル温度220℃で長さ500mm、厚さ0.5mm、及び重量500gのパリソン(parison)を吐出し、全長の1%以上が伸びるのにかかる時間を測定したパリソン垂れが40秒以上、好ましくは50秒以上、より好ましくは60秒以上、さらに好ましくは60~120秒、より一層好ましくは60~100秒であってもよく、この範囲内で、ブロー成形性に優れるという効果がある。
【0113】
本発明において、パリソン垂れは、ブロー成形機にてバレル温度220℃で長さ500mm、厚さ0.5mm、及び重量500gのパリソン(parison)を吐出しながらカメラで映像を撮影し、全長の1%以上が伸びるのにかかる時間を測定することができる。
【0114】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ブロー成形機のバレル温度240℃で長さ500mm、厚さ0.5mm、及び重量500gのパリソン(parison)を吐出し、全長の1%以上が伸びるのにかかる時間を測定したパリソン垂れが40秒以上、好ましくは50秒以上、より好ましくは60秒以上、さらに好ましくは60~120秒、より一層好ましくは60~100秒であってもよく、この範囲内で、ブロー成形性に優れるという効果がある。
【0115】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、射出成形した試験片(大きさ40×80mm)の表面にメルトフラクチャー(melt-fracture)が発生したか否かを目視で観察したとき、メルトフラクチャーが発生しないことができ、この場合、表面品質に優れるという効果がある。
【0116】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 075に準拠して1.8MPaの荷重下で試験片の厚さ4mmで測定した熱変形温度が89℃以上、好ましくは90~100℃であり、この範囲内で、物性バランスに優れるという効果がある。
【0117】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 179に準拠して23℃で測定したシャルピー衝撃強度が17kJ/m2以上、好ましくは17~27kJ/m2であり、この範囲内で、物性バランスに優れるという効果がある。
【0118】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 1133に準拠して220℃及び10kg/cm3下で測定した流動指数が0.6g/10分以上、好ましくは0.6~1.5g/10分であり、この範囲内で、物性バランス及び成形性に優れるという効果がある。
【0119】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 527に準拠して200mm/分の条件下で試験片の厚さ2mmで測定した引張強度が37MPa以上、好ましくは37~47MPa、より好ましくは37~43MPaであり、この範囲内で、物性バランスに優れるという効果がある。
【0120】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、酸化防止剤、滑剤及び成形補助剤からなる群から選択された1種以上を含むことができ、この場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物本来の物性を低下させないながらも、必要な物性が良好に実現されるという効果がある。
【0121】
前記酸化防止剤は、一例として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、ホスファイト系酸化防止剤またはこれらの混合物であってもよく、この場合、耐光性及び耐候性が向上するという効果がある。
【0122】
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、一例として、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]及び3,9-ビス[2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]であってもよい。
【0123】
前記ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、一例として、(A)~(H)を含む熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.1~2重量部、好ましくは0.3~1.5重量部、より好ましくは0.3~1重量部含むことができ、この範囲内で、耐熱老化性の向上に寄与するという効果がある。
【0124】
前記ホスファイト系酸化防止剤は、一例として、トリス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジホスファイト、ビス-(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジホスファイト、ジステアリル-ペンタエリスリトール-ジホスファイト、[ビス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェノキシ)ホスフィノ]ビフェニル、及びN,N-ビス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキシホスフェピン-6-イル]オキシ]-エチル]エタンアミンからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、ビス-(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジホスファイトであってもよい。
【0125】
前記ホスファイト系酸化防止剤は、一例として、(A)~(H)を含む熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.1~2重量部、好ましくは0.3~1.5重量部、より好ましくは0.3~1重量部含むことができ、この範囲内で、耐熱老化性の向上に寄与するという効果がある。
【0126】
前記滑剤は、一例として、エステル系滑剤、金属塩系滑剤、カルボン酸系滑剤、炭化水素系滑剤及びアミド系滑剤からなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは金属塩系滑剤、アミド系滑剤またはこれらの混合物であってもよく、この場合、樹脂の機械的物性及び熱安定性を低下させないながらも、滑剤本来の効果が良好に発現されるという利点がある。
【0127】
前記アミド系滑剤は、より好ましくはステアルアミド系滑剤であり、さらに好ましくはアルキレンの炭素数が1~10であるアルキレンビス(ステアルアミド)であり、最も好ましくはエチレンビスステアロアミドであってもよく、この場合、樹脂の機械的物性及び熱安定性を低下させないながらも、滑剤本来の効果が良好に発現されるという利点がある。
【0128】
前記アミド系滑剤は、一例として、(A)~(H)を含む熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.05~2重量部、好ましくは0.1~1.5重量部、より好ましくは0.2~1重量部であってもよく、この範囲内で、樹脂の機械的物性及び熱安定性を低下させないながらも、滑剤本来の効果が良好に発現されるという利点がある。
【0129】
前記金属塩系滑剤は、より好ましくはステアリン酸系の金属塩系滑剤であり、より一層好ましくは、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カリウム及びステアリン酸バリウムからなる群から選択された1種以上であり、最も好ましくはステアリン酸カルシウムであってもよく、この場合、樹脂の機械的物性及び熱安定性を低下させないながらも、滑剤本来の効果が良好に発現されるという利点がある。
【0130】
前記金属塩系滑剤は、一例として、(A)~(H)で構成された熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.05~2重量部、好ましくは0.1~1.5重量部、より好ましくは0.2~1重量部であってもよく、この範囲内で、樹脂の機械的物性及び熱安定性を低下させないながらも、滑剤本来の効果が良好に発現されるという利点がある。
【0131】
前記成形補助剤は、一例として、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、及びテトラフルオロエチレン/エチレン共重合体からなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはポリテトラフルオロエチレンであってもよく、この場合、成形性がさらに改善されるという効果がある。
【0132】
前記成形補助剤は、一例として、(A)~(H)で構成された熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して0.01~2重量部、好ましくは0.05~1重量部であってもよく、この範囲内で、成形性がさらに改善されるという効果がある。
【0133】
前記熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて選択的に、難燃剤、加水分解安定剤、染料、顔料、着色剤、帯電防止剤、架橋剤、抗菌剤、加工助剤及びカーボンブラックマスターバッチからなる群から選択された1種以上を、(A)~(H)で構成された熱可塑性樹脂組成物100重量部に対して、それぞれ0.01~5重量部、好ましくは0.05~3重量部、より好ましくは0.1~2重量部、より一層好ましくは0.5~1重量部さらに含むことができ、この範囲内で、本発明の熱可塑性樹脂組成物本来の物性を低下させないながらも、必要な物性が良好に実現されるという効果がある。
【0134】
熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~50重量%と;(B)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体10~55重量%と;(C)グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体4~11重量%と;(D)重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体3.5~9重量%と;(E)重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体1~20重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(F)密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂0.1~2.5重量部を含んで200~300℃及び200~300rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含むことを特徴とする。このような場合、ブロー成形性に優れ、成形温度範囲が拡張されるという効果がある。
【0135】
前記混練及び押出は、一例として、一軸押出機、二軸押出機、またはバンバリーミキサを通じて行われてもよく、この場合、組成物が均一に分散されて相溶性に優れるという効果がある。
【0136】
前記混練及び押出は、一例として、バレル温度が、一例として200~300℃、好ましくは210~290℃、より好ましくは210~280℃、さらに好ましくは220~250℃である範囲内で行われてもよく、この場合、単位時間当たりの処理量が適切であると共に、十分な溶融混練が可能となり得、樹脂成分の熱分解などの問題を引き起こさないという効果がある。
【0137】
前記混練及び押出は、一例として、スクリュー回転数が200~300rpm、好ましくは220~280rpm、より好ましくは230~270rpmである条件下で行われてもよく、この場合、単位時間当たりの処理量が適切であるので工程効率に優れながらも、過度の切断を抑制するという効果がある。
【0138】
前記熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、前述した熱可塑性樹脂組成物の全ての技術的特徴を共有する。したがって、重複部分についての説明は省略する。
【0139】
成形品
本発明の成形品は本発明の熱可塑性樹脂組成物を含むことができ、この場合、耐熱老化性に優れるという利点がある。
【0140】
前記成形品は、一例として自動車用成形品であってもよく、具体的に車両用スポイラー、トランクガーニッシュまたはバンパーガードであってもよく、この場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物によって、市場で求められる品質以上の高品質で提供可能であるという利点がある。
【0141】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、以下の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0142】
[実施例]
*(A)ABSグラフト共重合体:LG化学社のDP280
*(B)ABS共重合体:塊状重合されたABS共重合体としてLG化学社のER400
*(C-1)ASAグラフト共重合体:LG化学社のSA927(グラフト率40~55%、重量平均分子量150,000~200,000g/mol)
*(C-2)ASAグラフト共重合体:LG化学社のSA130(グラフト率35~44%、重量平均分子量80,000~100,000g/mol)
*(C-3)ASAグラフト共重合体:LG化学社のSA928(グラフト率20~39%、重量平均分子量130,000~160,000g/mol)
*(C-4)ASAグラフト共重合体:LG化学社のSA100(グラフト率15~30%、重量平均分子量100,000~120,000g/mol)
*(D)高分子量SAN:ZIBO HUAXING社のZB869(重量平均分子量1,500,000~2,000,000g/mol、アクリロニトリル25重量%及びスチレン75重量%)
*(E)分岐状SAN:Fine-blend社のEMI-230B(多分散指数4.2、アクリロニトリル25重量%及びスチレン75重量%)
*(F)高密度ポリエチレン樹脂(HDPE):Mitsui社のHI-WAX 400P(密度0.98g/cm3、重量平均分子量1,500~5,500g/mol)
*(G)芳香族ビニル化合物-マレイミド化合物共重合体(PMI-PS):Denka社のMSBB(PMI52重量%、スチレン46重量%、MAH2重量%;重量平均分子量120,000g/mol)
*(H)α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体(AMSAN):LG化学社の99UH(アクリロニトリル28重量%、α-メチルスチレン72重量%;重量平均分子量100,000g/mol)
*ヒンダードフェノール系酸化防止剤:BASF社のIR1010
*ホスファイト系酸化防止剤:ADEKA社のPEP-36
*滑剤:EBA(日本油脂社)
*成形補助剤:POCERA社のXFlon-G
【0143】
実施例1~6及び比較例1~11
それぞれ、下記表1~表3に記載された成分及び含量を、押出機(SM Twin screw extruder、25Φ)にて押出温度230℃、Feed rate 90kg/hr、スクリュー回転数(Screw speed)250rpm下で混練及び押出してペレットに製造した。製造されたペレットを用いて流動指数を測定した。また、製造されたペレットをもって、射出機(ENGEL 120MT)にて射出温度250℃、金型温度60℃及び射出速度30mm/分の条件下で射出試験片として作製した。
【0144】
[試験例]
前記実施例1~6及び比較例1~11で製造されたペレット及び射出試験片の特性を下記の方法により測定し、その結果を下記の表1~表3に示した。
【0145】
*流動指数(MI):ISO 1133に準拠して220℃、10kg/cm3下で測定した。ここで、溶融指数の単位はg/10分である。
【0146】
*流動指数の比:ISO 1133に準拠して220℃で測定した流動指数に対する、240℃で測定した流動指数の比(240℃での流動指数/220℃での流動指数)を計算し、次のような基準により評価した。
上:流動指数の比が4以下
中:流動指数の比が4超~4.5以下
下:流動指数の比が4.5超
【0147】
*パリソン垂れ:ブロー成形機のバレル温度220℃及び240℃のそれぞれで長さ500mm、厚さ0.5mm、及び重量500gのパリソン(parison)を吐出し、全長の1%以上が伸びるのにかかる時間を測定し、下記の基準により評価した。
上:60秒以上
中:40秒以上~60秒未満
下:40秒未満
【0148】
*表面特性:試験片(大きさ40×80mm)の表面にメルトフラクチャー(melt-fracture)が発生したか否かを観察し、次のような基準により評価した。
上:0個発生
下:1個以上発生
【0149】
*シャルピー衝撃強度(kJ/m2):ISO 179に準拠して23℃で測定した。
【0150】
*引張強度(MPa):ISO 527に準拠して、200mm/分の条件下で厚さ2mmの試験片を用いて引張強度を測定した。
【0151】
*熱変形温度(℃):ISO 075に準拠して、1.8MPaの荷重下で厚さ4mmの試験片を用いて熱変形温度を測定した。
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
(前記表1~表3において、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(G)及び(H)の各含量は、これらの総重量を基準とした重量%であり、(F)の含量は、前記(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(G)及び(H)の総重量100重量部を基準とした重量部である。)
【0156】
前記表1~表3に示したように、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物(実施例1~6)は、比較例1~11と比較して、衝撃強度、引張強度などの機械的物性に優れながら、流動指数の比及びパリソン垂れが優れるのでブロー成形性に優れ、成形温度範囲が広くなる効果だけでなく、表面特性も優れるという効果が確認できた。
【0157】
具体的には、(C)ASAグラフト共重合体の含量が本発明の範囲を外れた比較例1及び2の場合、少量で含まれた比較例1は、流動指数の比及びパリソン垂れ(240℃)が低下し、過量で含まれた比較例2は表面特性が悪くなった。
【0158】
また、(C)ASAグラフト共重合体のグラフト率及び重量平均分子量が本発明の範囲を外れる比較例3~5は、流動指数の比、220℃でのパリソン垂れ及び特に240℃でのパリソン垂れが悪くなった。
【0159】
また、(D)高分子量SANの含量が本発明の範囲未満である比較例6は、流動指数の比及びパリソン垂れ(220℃、240℃)が低下し、(D)高分子量SANの含量が本発明の範囲を超える比較例7は、表面特性が悪くなった。
【0160】
また、(F)HDPEを本発明の範囲未満含む比較例8は、表面特性が悪く、(F)HDPEを本発明の範囲を超えて含む比較例9は、流動指数の比及びパリソン垂れが低下した。
【0161】
また、(E)分岐状SAN樹脂を本発明の範囲未満含む比較例10は、パリソン垂れ(220℃、240℃)が劣り、(E)分岐状SAN樹脂を本発明の範囲を超えて含む比較例11は、表面特性が悪くなった。
【0162】
結論的に、本発明に係るABSグラフト共重合体及びABS共重合体に、グラフト率が40~60%であり、重量平均分子量が150,000~200,000g/molであるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、重量平均分子量が1,000,000~2,500,000g/molであるビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体、重量平均分子量が300,000~800,000g/molである分岐状(branched)ビニルシアン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体、及び密度が0.9~1.5g/cm3であり、重量平均分子量が1,000~6,500g/molである高密度ポリエチレン樹脂を所定の含量に調整した熱可塑性樹脂組成物は、ブロー成形性に優れ、広い温度範囲で成形可能であることが確認できた。
【国際調査報告】