(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】耐火真空断熱グレージング
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20221215BHJP
C03C 27/12 20060101ALI20221215BHJP
E06B 3/663 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
C03C27/06 101Z
C03C27/12 D
E06B3/663 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022522833
(86)(22)【出願日】2020-10-02
(85)【翻訳文提出日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 EP2020077743
(87)【国際公開番号】W WO2021073903
(87)【国際公開日】2021-04-22
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-05-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507090421
【氏名又は名称】エージーシー フラット グラス ノース アメリカ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AGC FLAT GLASS NORTH AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】11175 Cicero Dr. Suite 400, Alpharetta, GA 30022, U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】518428303
【氏名又は名称】エージーシー ビードロス ド ブラジル エルティーディーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】マティ, バートランド
(72)【発明者】
【氏名】レスコ, トーマス
(72)【発明者】
【氏名】シュナイダー, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ジャンフィル, ジュリアン
【テーマコード(参考)】
2E016
4G061
【Fターム(参考)】
2E016AA01
2E016BA01
2E016CA01
2E016CB01
2E016CC04
2E016EA01
4G061AA02
4G061AA28
4G061BA01
4G061CB03
4G061CB16
4G061CB19
4G061CD18
4G061CD21
(57)【要約】
本発明は、i.少なくとも1つの真空断熱グレージングユニットであって、a.内側ペイン面(11)及び外側ペイン面(12)を有する第1ガラスペインGP1並びに内側ペイン面(21)及び外側ペイン面(22)を有する第2ガラスペインGP2、b.第1ガラスペインと第2ガラスペインの間に所定の距離を維持する、第1ガラスペインと第2ガラスペインの間に位置決めされた一組の離散ピラー(4)、c.第1ガラスペインと第2ガラスペインの間の距離をその周囲にわたって封止する密封接合封止体(5)、d.第1ガラスペインと第2ガラスペインによって画定され、且つ密封接合封止体によって閉鎖された内部容積Vであって、0.1mbar未満の絶対圧力の真空が存在し、内側ペイン面は、内部容積Vに対向する、内部容積Vを含む少なくとも1つの真空断熱グレージングユニットと、ii.少なくとも1つの膨張ユニット(60)であって、-膨張材料の層(61)、-膨張材料の層と接触する膨張ユニットガラスペインGPiuを含む少なくとも1つの膨張ユニット(60)とを含む耐火真空断熱グレージング組立体(10)であって、膨張材料の層は、第1ガラスペイン(GP1)又は第2ガラスペイン(GP2)の外側ペイン面(12、22)の1つに対向しており、且つその周囲にわたって取り囲む膨張ユニット周辺スペーサを有さない、耐火真空断熱グレージング組立体(10)に関する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.少なくとも1つの真空断熱グレージングユニットであって、
a.内側ペイン面(11)及び外側ペイン面(12)を有する第1ガラスペインGP1並びに内側ペイン面(21)及び外側ペイン面(22)を有する第2ガラスペインGP2、
b.第1ガラスペインと第2ガラスペインの間に所定の距離を維持する、第1ガラスペインと第2ガラスペインの間に位置決めされた一組の離散ピラー(4)、
c.第1ガラスペインと第2ガラスペインの間の距離をその周囲にわたって封止する密封接合封止体(5)、
d.第1ガラスペインと第2ガラスペインによって画定され、且つ密封接合封止体によって閉鎖された内部容積Vであって、0.1mbar未満の絶対圧力の真空が存在し、内側ペイン面は、内部容積Vに対向する、内部容積V
を含む少なくとも1つの真空断熱グレージングユニットと、
ii.少なくとも1つの膨張ユニット(60)であって、
- 膨張材料の層(61)、
- 膨張材料の層と接触する膨張ユニットガラスペインGPiu
を含む少なくとも1つの膨張ユニット(60)と
を含む耐火真空断熱グレージング組立体(10)であって、
膨張材料の層は、第1ガラスペイン(GP1)又は第2ガラスペイン(GP2)の外側ペイン面(12、22)の1つに対向しており、且つその周囲にわたって取り囲む膨張ユニット周辺スペーサを有さない、耐火真空断熱グレージング組立体(10)。
【請求項2】
膨張材料の層は、外側ペイン面(12、22)と接触する、請求項1に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項3】
膨張材料の層は、ポリマー中間層(7)によって外側ペイン面(12、22)にラミネートされた追加のガラスペインGP3によって外側ペイン面(12、22)から分離される、請求項1に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項4】
ポリマー中間層は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリビニルブチラール(PVB)などのポリアセタール、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー(COP)、イオノマー及び/又は紫外線活性化接着剤からなる群から選択される材料を含む、請求項3に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項5】
a.別のガラスペインGP2b、
b.膨張ユニットガラスペインGPiuと追加のガラスペインGP2bとの間に位置決めされ、且つその間の距離を維持する別の一組の離散ピラー(4b)、
c.膨張ユニットガラスペインと追加のガラスペインの間の距離をその周囲にわたって封止する別の密封接合封止体(5b)、
d.膨張ユニットガラスペイン及び追加のガラスペインによって画定され、且つ追加の密封接合封止体によって閉鎖された別の内部容積Vbであって、0.1mbar未満の圧力の絶対真空が存在する、別の内部容積Vb
を更に含む、請求項2に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項6】
膨張材料の層は、
- 水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層、
- 有機ヒドロゲルの層、
- 混合物の形態又は異なるサブ層の形態で存在する水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物及び有機ヒドロゲルを含む層
から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項7】
膨張材料の層は、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層である、請求項1~6のいずれか一項に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項8】
膨張材料の層は、膨張材料の層の18~50重量%の含水量を有する、請求項7に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項9】
膨張材料の層は、2.5~8のSiO
2/M
2Oモル比率を有する、請求項7又は8に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項10】
膨張材料の層は、膨張材料の層の0~22重量%の範囲の濃度でポリオールを更に含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項11】
膨張材料の層は、少なくとも1種のケイ酸塩安定化剤を更に含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項12】
膨張材料の層は、1~10mmの範囲の厚さを有する、請求項7~11のいずれか一項に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項13】
膨張材料の層は、
- 膨張材料前駆体溶液を調製するステップ、
- 水平方向位置に位置決めされた耐火真空断熱組立体のガラスペイン上に膨張材料前駆体溶液を塗布するステップ、
- ガラスペインと接触する第1側を有する膨張材料の層を形成するために、膨張材料前駆体溶液を乾燥させるステップ
を含むプロセスによって得られる、請求項1~12のいずれか一項に記載の耐火真空断熱組立体。
【請求項14】
膨張材料の層を取得するためのプロセスは、膨張材料前駆体溶液を調製するステップと耐火真空断熱組立体のガラスペイン上に膨張材料前駆体溶液を塗布するステップとの間に部分的脱水ステップを更に含む、請求項13に記載の耐火真空断熱組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された熱性能を有する耐火グレージングに関する。
【背景技術】
【0002】
耐火グレージングは、当技術分野で周知であり、且つ壁のための欧州規格EN1363-1及び1364-1又はドア及び窓のための1634-1などの規格を含む、明確に定義された仕様を満たすように設計される。これらの特性は、当然のことながら、耐火特性を目的とするが、ユーザー及び/又は製造モードの要件を満たすために更なる技術的特性を追加しなければならない。
【0003】
耐火グレージングを構築する1つの方法は、膨張材料の層によって分離されたいくつかのガラスのペインを組み立てることである。耐火グレージングの重量及び厚さは、ガラスペイン及び膨張材料の層の数を規定する必要とされる耐火性能レベルに応じて大きくなり得る。膨張材料の層は、非常に多くの場合、水和アルカリ金属ケイ酸塩から構成される。例えば、国際公開第2014190144号パンフレットに記述されるものなど、有機ヒドロゲルを代わりに使用することができる。膨張材料は、熱の影響下において、放射に対して不透明な発泡体を形成することによって膨張し、この発泡体は、熱の影響下でガラス壁がフラグメント化される場合でもガラス壁を定位置に維持する。
【0004】
耐火グレージングの製造における水和アルカリ金属ケイ酸塩の使用は、主に2つの個別のモードに従って実行される。
【0005】
「乾燥プロセス」として知られる第1モードでは、ガラスペイン上にこれらのケイ酸塩の溶液を塗布し、且つ固体層が得られる時点までより長い又は短い期間の乾燥ステップを実行することにより、膨張材料の層を取得する。望ましい耐火性能を有する製品を得るために、いくつかの組立体層/ガラスペインを積み重ねることができる。形成されたケイ酸塩の最後の層は、最後のガラスペインによってカバーされる。
【0006】
「キャストインプロセス」として知られる第2モードは、ケイ酸塩溶液が、「硬化剤」、「架橋剤」として適格である製品の追加又は更に別の方法によって改質される製品に関連する。これらの適格性は、一般的には、ケイ酸塩溶液のゲル化を促進する製品を示す。これらは、ケイ酸塩溶液へのその追加後、ケイ酸塩溶液が、休止状態で残されたとき、乾燥ステップの実行を必要とすることなく、より短い時間で自発的に硬化するように慎重に選択される。
【0007】
これらの製品の場合、ゲルの形成前に、溶液及びその最終的な添加剤は、2つのガラスペイン間の空洞内に注入される。これらのガラスペインは、これらを互いに所定の距離に維持し、且つ溶液が注入された密閉空洞を2つのガラスペインで画定するスペーサにより、その周辺部で結合される。この第2モードによって得られる耐火グレージングは、膨張層を取り囲む周辺スペーサを含む。
【0008】
第1モードによって得られる製品では、膨張材料の層は、その周囲にわたって取り囲む周辺スペーサがない。換言すれば、膨張材料の層は、ガラスペインのエッジまで延在する。対照的に、キャストインプレースプロセスは、このような周辺スペーサの存在を意味し、従って、膨張材料の層は、ガラスペインのエッジまで延在しない。
【0009】
近年の気候変動に応答するために、現在の市場の傾向は、建物の熱性能を増大させるというものであり、グレージングは、その重要な一部である。従って、改善された熱性能を示す耐火グレージングを設計する必要性が存在する。
【0010】
耐火グレージングの熱性能を増大させるための1つの解決策は、二重グレージングシステム内に耐火グレージングを含めることである。しかし、このようなシステムは、いくつかの技術的課題を提起する。
【0011】
二重グレージング内の耐火グレージングの設計での第1の課題は、その結果、グレージングの合計厚さ及び重量が更に増大することである。従って、これらのグレージングは、取扱い及び枠加工が更に困難になる。
【0012】
更に、耐火二重グレージングの設計は、その定義上、二重グレージング周辺スペーサの使用を必要とする。しかし、一般的な二重グレージング周辺スペーサは、耐火用途では好ましくない。耐火用途では、ステンレス鋼スペーサなど、火災状態に対して適切に抵抗する特定のスペーサが必要とされる。一般的な二重グレージング周辺スペーサは、乏しい熱封止のみを示し、従って窓の全体的な熱特性を大幅に低減することになる。
【0013】
二重グレージングとしての耐火グレージングの設計は、特に、光学特性がエージング時に変化し得る高温では、膨張材料の層に対して必要な熱保護を提供し得ないことが判明している。
【0014】
別の課題は、水和アルカリ金属ケイ酸塩の湿度に対する感度である。膨張材料の層の面がガラスペインによって保護される場合、雰囲気湿度の吸収及び層透明性の変化を回避するためにそのエッジを保護しなければならない。キャストインプレースプロセスによって得られる耐火グレージングの場合、この保護は、層を取り囲む周辺スペーサによって提供される。対照的に、乾燥プロセスによって得られる耐火グレージングは、この技術的課題の影響を特に受けやすい。雰囲気との接触から層エッジを保護し、且つ湿気の貫通に対する障害物を生成する薄いアルミニウムストリップが一般に使用される。これらの接着ストリップは、より脆いという欠点を有する。これらは、グレージングの取り扱い時、その保管時又はその後続の使用時に損傷され得る。剥がれた又は部分的に剥がれた場合、これらは、その役割を十分に満たすことができず、これにより膨張材料の層の保護の消失及び経時的なグレージングのエッジにおけるヘイズとしての欠陥の出現をもたらす。これらの欠陥は、耐火グレージングを二重グレージングシステム内に包含しなければならない場合に特に問題となる。実際に、二重グレージングを製造するためのプロセスは、耐火グレージングが大量の水と接触する洗浄装置内での洗浄ステップを含む。保護ストリップが損傷した場合、膨張材料の層の一部分が水中で分解される可能性があり、これによりそのエッジにおける層の劣化及び洗浄装置の汚れをもたらす。
【0015】
一方では、真空断熱グレージングユニット(VIG)は、高断熱窓の市場における最近の技術である。真空断熱グレージングユニットは、その高性能の断熱に起因して推奨されている。VIGユニットは、通常、真空が生成された内部空間によって分離された少なくとも2つのガラスペインから構成される。一般に、高性能の断熱(熱貫流率UがU<1.2W/m2Kである)を実現するために、グレージングユニットの内側の絶対圧力は、通常、0.1mbar以下であり、一般的に2つのガラスペインの少なくとも1つが低放射率層によってカバーされる。グレージングユニットの内側でこのような圧力を得るために、密封接合封止体が2つのガラスペインの周辺部に配置され、且つ真空がポンプによってグレージングユニットの内側で生成される。グレージングユニットが(グレージングユニットの内部と外部との間の圧力差に起因して)大気圧下で陥没することを防止するために、離散ピラーが2つのガラスペイン間に配置される。
【0016】
しかし、二重グレージングの技術的課題を回避しつつ、非常に優れた熱性能を示す耐火グレージングを提供する必要性が依然として存在する。
【発明の概要】
【0017】
この背景に照らして、本発明者らは、本明細書により、
i.少なくとも1つの真空断熱グレージングユニットであって、
a.内側ペイン面及び外側ペイン面を有する第1ガラスペインGP1並びに内側ペイン面及び外側ペイン面を有する第2ガラスペインGP2、
b.第1ガラスペインと第2ガラスペインの間に所定の距離を維持する、第1ガラスペインと第2ガラスペインの間に位置決めされた一組の離散ピラー、
c.第1ガラスペインと第2ガラスペインの間の距離をその周囲にわたって封止する密封接合封止体、
d.第1ガラスペインと第2ガラスペインによって画定され、且つ密封接合封止体によって閉鎖された内部容積Vであって、0.1mbar未満の絶対圧力の真空が存在し、内側ペイン面は、内部容積Vに対向する、内部容積V
を含む少なくとも1つの真空断熱グレージングユニットと、
ii.少なくとも1つの膨張ユニットであって、
- 膨張材料の層、
- 膨張材料の層と接触する膨張ユニットガラスペインGPiu
を含む少なくとも1つの膨張ユニットと
を含む耐火真空断熱グレージング組立体であって、
膨張材料の層は、第1ガラスペイン又は第2ガラスペインの外側ペイン面の1つに対向しており、且つその周囲にわたって取り囲む膨張ユニット周辺スペーサを有さない、耐火真空断熱グレージング組立体を提供する。
【0018】
本発明は、膨張材料の層が、
- 膨張材料前駆体溶液を調製するステップ、
- 水平方向位置に位置決めされた耐火真空断熱組立体のガラスペイン上に膨張材料前駆体溶液を塗布するステップ、
- 前記ガラスペインと接触する第1側を有する膨張材料の層を形成するために、膨張材料前駆体溶液を乾燥させるステップ
を含むプロセスによって得られる、耐火真空断熱組立体に更に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】1つの真空断熱グレージングユニット及び1つの膨張ユニットを含む、本発明の一実施形態による耐火真空断熱組立体の断面図を示す。
【
図2】真空断熱グレージングユニットと、真空断熱グレージングユニットのそれぞれの側における膨張ユニットとを含む、本発明の更なる実施形態による耐火真空断熱組立体の断面図を示す。
【
図3】1つの真空断熱グレージングユニットと、真空断熱グレージングユニットにラミネートされた追加のガラスペインを介して追加された1つの膨張ユニットとを含む、本発明の一実施形態による耐火真空断熱組立体の断面図を示す。
【
図4】1つの真空断熱グレージングと、真空断熱グレージングユニットにラミネートされた追加のガラスペインを介してそれぞれが追加された2つの膨張ユニットとを含む、本発明の一実施形態による耐火真空断熱組立体の断面図を示す。
【
図5】1つの真空断熱グレージングユニットと、真空断熱グレージングに直接的に追加された1つの膨張ユニット及び真空断熱グレージングユニットにラミネートされた追加のガラスペインを介して追加された1つの2つの膨張ユニットとを含む、本発明の一実施形態による耐火真空断熱組立体の断面図を示す。
【
図6】1つの真空断熱グレージングと、両方が真空断熱ユニットの同一の側に追加された2つの膨張ユニットとを含む、本発明の一実施形態による耐火真空断熱組立体の断面図を示す。
【
図7】膨張材料の層を取り囲む2つの真空断熱グレージングユニットを含む、本発明の一実施形態による耐火真空断熱組立体の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、「耐火真空断熱グレージング組立体」に関する。このような物品は、以下で同様に全体として「FR-VIG」と呼称される。これは、以下で同様に「VIG」と呼称される真空断熱グレージングユニットと、以下で同様に「IU」と呼称される1つ又は複数の膨張ユニットとを含む。
【0021】
本発明の目的は、その重量及び厚さを極小化しつつ、改善された熱性能を示し、経時的に持続可能であり、且つ費用効率に優れた方式において、特に製造プロセスで水との接触による膨張材料の層のエッジの劣化を回避することにより製造することが可能である耐火グレージングを提供することである。
【0022】
本発明のFR-VIGは、二重グレージングシステムの技術的欠点又は二重グレージングプロセスの洗浄ステップの負の影響を回避しつつ、優れた熱性能を示すことが驚くべきことに判明した。本発明のFR-VIGは、特に、光学特性がエージング時に変化する傾向を有することが判明している高温において、膨張材料の層の改善された熱保護を提供する。本発明のFR-VIGは、金属スペーサが使用される場合、乏しい性能のみ有する二重グレージング周辺スペーサに起因した熱性能の損失を回避する。本発明のFR-VIGは、二重グレージングを製造するためのプロセスの一部である洗浄のステップを回避することにより、膨張材料の層の劣化を回避する。更に、FR-VIGの大きい厚さの低減に起因して、その重量の大きい低減及びより容易な取り扱い、フレーム寸法の大きい低減がもたらされ、これらのすべてが大きい費用節約を提供する。更に、非常に高度な耐火性能及び/又は高度な熱性能を伴ういくつかの特定の用途では、適合するフレームが現時点で存在しない。従って、本発明は、このような特定のFR-VIGに対する技術的解決策を提供する。更に、対応するフレームの溝の幅を同様に低減することが可能であり、従って、その結果、火災の危険に曝露された際のグレージング組立体の完全性の維持及び保持を改善する。
【0023】
本発明に適したガラスペインは、フロートガラスペイン又は代わりに鋳造若しくは延伸ガラスペインなどの任意のタイプであり得、且つフロートクリア、エクストラクリア若しくは着色ガラス、(部分的に)酸エッチング加工若しくは(部分的に)サンドブラスト加工されたガラス又はこれらの組合せなど、すべてのガラス技術の中で選択することができる。ガラスは、ソーダ-石灰-ケイ酸塩ガラス、アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリフリーガラス、ボロ-ケイ酸塩ガラス及び同様のものであり得る。これは、クリア、エクストラクリア/低鉄又は着色ガラスシートであり得る。好ましくは、本発明のガラスペインは、ソーダ-石灰ガラス又はアルミノケイ酸塩ガラスから製造される。ガラスペインの非限定的な例は、Planibel(登録商標)Clear、Linea Azzura(登録商標)、Dragontrail(登録商標)、Tirex(登録商標)、Falcon(登録商標)、Clearvision(登録商標)、Clearlite(登録商標)である。
【0024】
ガラスペインは、少なくとも部分的に被覆することができる。「部分的に被覆される」は、その面の少なくとも1つの少なくとも一部分が、例えば、低放射率被覆、太陽光制御被覆、エナメル又はこれらの任意の組合せなど、必要に応じた任意の適切な被覆によって被覆され得ることを意味する。被覆が膨張材料の層と接触する特定の場合、適切な被覆は、例えば、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の強力なアルカリ特性に対する適合性を有するものなど、膨張材料の層との適合性を有するものである。
【0025】
熱処理又は化学強化ガラスペインを使用することができる。熱処理ガラスペインは、熱強化(EN1863-1:2011によるもの)、熱強靭化(EN12150-2:2015によるもの)又は熱強靭化及び熱浸漬(EN14179-2:2005)など、当業者に既知の任意の熱処理によって処理することができる。これらの規格に従って熱処理されたガラスペインは、安全ガラスとして適切である。化学的な強化は、薄いガラスペインの場合に特に適している。
【0026】
本発明の耐火真空断熱グレージング組立体は、耐火真空断熱グレージングユニットVIGを含み、これは、第1ガラスペインGP1及び第2ガラスペインGP2を含み、これらは、一組の離散ピラー、密封接合封止体及び内部容積によって離間される。一組の離散ピラーは、前記ペインを特定の距離だけ離間して保持する。この距離は、通常、50μm~1000μm、好ましくは50μm~500μm、より好ましくは50μm~150μmの範囲である。前記ガラスペイン間に0.1mbar未満の絶対圧力の真空が存在する内部容積Vは、前記内部空間の周りでガラスペインの周辺部に配置された密封接合封止体によって閉鎖される。
【0027】
第1及び第2ガラスペインは、それぞれ内側ペイン面及び外側ペイン面を有する。それぞれの内側ペイン面は、内部容積Vに対向する。一実施形態では、第1ガラスペインの厚さZ1は、第2ガラスペインの厚さZ2と同一である(Z1=Z2)。別の実施形態では、第1ガラスペインの厚さZ1は、第2ガラスペインの厚さZ2超又は未満である(Z1>Z2又はZ1<Z2)。VIGユニットの第1及び/又は第2ガラスペインの厚さZ1、Z2は、通常、2mm以上(Z1、Z2≧2mm)、好ましくは3mm以上(Z1、Z2≧3mm)、より好ましくは4mm以上(Z1、Z2≧4mm)、より好ましくは6mm以上(Z1、Z2≧6mm)である。通常、第1及び第2ガラスペインの厚さは、12mm、好ましくは10mm、より好ましくは8mm以下となる。
【0028】
本発明のVIGは、内部容積Vを維持するようにGP1とGP2との間に挟持された一組の離散ピラーを含む。離散ピラーは、GP1とGP2との間に位置決めされ、これによりその間に所定の距離を維持し、且つ10mm~100mmに含まれるピッチλを有するアレイを形成する(10mm≦λ≦100mm)。ピッチは、離散スペーサ間の間隔を意味する。好適な一実施形態では、ピッチは、20mm~80mm(20mm≦λ≦80mm)、より好ましくは20mm~50mm(20mm≦λ≦50mm)に含まれる。アレイは、通常、正三角形、正方形、六角形の方式、好ましくは正方形の方式に基づく規則的なアレイである。
【0029】
離散ピラーは、円筒形、球状、糸状、砂時計、C形状、十字形、プリズム形などの異なる形状を有し得る。小さいピラーを使用することが好ましく、即ち5mm2以下、好ましくは3mm2以下、より好ましくは1mm2以下の、その外周によって画定されたガラスペインに対する接触表面を一般に有するピラーを使用することが好ましい。これらの値は、美的でありつつ、良好な機械的抵抗力を提供し得る。離散スペーサは、通常、燃焼及び焼成などの高温プロセスに耐える能力を有し、且つガラスペインが製造された後にガスを放出しにくい、ガラスペインの表面から圧力された圧力に抗して耐えることができる強度を有する材料から製造される。このような材料は、好ましくは、硬質金属材料、石英ガラス又はセラミックガラス、特に鉄、タングステン、ニッケル、クローム、チタニウム、モリブデン、炭素鋼、クローム鋼、ニッケル鋼、ステンレス鋼、ニッケル-クローム鋼、マンガン鋼、クロミウム-マンガン鋼、クロミウム-モリブデン鋼、シリコン鋼、ニクローム、ジュラルミン若しくは同様のものなどの金属材料又はコランダム、アルミナ、ムライト、マグネシア、イットリア、窒化アルミニウム、窒化ケイ素若しくは同様のものなどのセラミック材料である。
【0030】
VIGのガラスペイン間に境界が定められた内部容積Vは、前記内部容積の周りでガラスの周辺部に配置された密封接合封止体によって閉鎖される。前記密封接合封止体は、不透過性を有し、且つ硬質である。「不透過性」という用語は、本明細書では、空気又は大気中に存在する任意の他のガスに対する不透過性を有することを意味するものと理解されたい。
【0031】
様々な密封接合封止体技術が存在する。第1のタイプの封止体(最も広範に使用されるもの)は、溶融点がグレージングユニットのガラスペインのガラスの溶融点未満である、はんだガラスに基づく封止体である。このタイプの封止体の使用は、はんだガラスを実装するために必要とされる熱サイクルによって劣化しないもの、即ち場合により250℃の高い温度に耐えることができるものに低E層の選択肢を限定する。
【0032】
第2のタイプの封止は、例えば、ソフトすず合金はんだなどのはんだ付け可能な材料の層によって少なくとも部分的にカバーされたタイ下層によってグレージングユニットの周辺部にはんだ付けされた、小さい厚さ(<500μm)の金属ストリップなどの金属封止体を含む。第1タイプの封止に対するこの第2タイプの封止の1つの大きい利点は、これが、2つのガラスペイン間に生成される膨張差を部分的に吸収するように部分的に変形し得ることである。ガラスペイン上に様々なタイプのタイ下層が存在する。
【0033】
特許出願国際公開第2011/061208A1号パンフレットは、真空断熱グレージングユニットのための第2のタイプの周辺不透過性封止体の例示的な一実施形態について記述している。この実施形態では、封止体は、例えば、はんだ付け可能な材料を利用して、ガラスペインの周辺部に提供された接着帯にはんだ付けされた、銅から製造された金属ストリップである。
【0034】
0.1mbar未満、好ましくは0.01mber未満の絶対圧力の真空は、GP1及びGP2によって画定され、且つ密封接合封止体によって閉鎖された内部容積V内に生成される。VIGを通したエネルギー伝達は、真空によって大幅に低減される。グレージングユニットの内部空間内に真空を生成するために、一般的に、内部空間を外部と連通させる中空ガラスチューブがガラスペインの1つの主面上に提供される。従って、ガラスチューブの外部端部に接続されたポンプを利用して、内部容積内に存在するガスをポンプ排出することにより、部分的な真空が内部空間内に生成される。
【0035】
VIG内で所与の真空レベルを経時的に維持するために、ゲッタをグレージングユニット内に使用することができる。具体的には、グレージングユニットを構成するガラスペインの内部表面は、ガラス中に予め吸収されたガスを経時的に放出する場合があり、これにより真空断熱グレージングペイン内の内部圧力を増大させ、且つ従って真空性能を低減する。一般に、このようなゲッタは、ジルコニウム、バナジウム、鉄、コバルト、アルミニウムなどの合金から構成され、且つ薄い層(厚さが数ミクロン)の形態又は見られないようにグレージングペインのガラスペイン間に配置されたブロックの形態で堆積される(例えば、外部エナメル又は周辺不透過性封止体の一部分によって隠蔽される)。ゲッタは、その表面上に室温でパッシベーション層を形成し、従ってパッシベーション層を消失させ、且つ従ってその合金ゲッタ除去特性を活性化するために加熱しなければならない。ゲッタは、「熱活性化される」ものと表現される。
【0036】
本発明のFR-VIGは、膨張材料の層と、IUガラスペインGPiuとを含む少なくとも1つの膨張ユニットIUを更に含む。
【0037】
膨張材料は、100℃の温度超に加熱した場合に膨らむことになる材料を意味する。この膨張は、通常、膨張材料内の液相から気相への間質水の相遷移の結果である。前記水の関連する容積膨張は、ゲルの発泡をもたらす。この結果、ゲル層の厚さは、2~数十の範囲の倍率で増大し得る。
【0038】
GPiuは、膨張材料の層と接触する。膨張材料の層は、VIGの第1又は第2ガラスペインの外側ペイン面の1つに対向している。換言すれば、膨張材料の層は、FR-VIGの外部に対向しない。FR-VIGの異なるガラスペインは、互いに実質的に平行である。
【0039】
膨張材料の層は、更に、その周囲にわたって取り囲む周辺スペーサを有さない。換言すれば、本発明の膨張材料の層は、GPiuのエッジまで延在する。膨張材料の層を取り囲む周辺スペーサを有さない膨張ユニットは、通常、詳細に後述することになる乾燥プロセスによって得られる。逆に、キャストインプレースプロセスによって得られた膨張ユニットは、このような周辺スペーサの存在を意味し、その結果、膨張材料の層は、GPiuのエッジまで延在しない。
【0040】
膨張材料の層は、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層であり得る。これは、代わりに、例えば国際特許出願公開第2014190444号パンフレットに記述されるものなど、有機ヒドロゲルの層であり得る。代わりに、膨張材料の層は、混合物の形態又は異なるサブ層の形態で存在する有機ヒドロゲル及び水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の両方を含む層であり得る。この最後の変形形態は、膨張材料の層が有機ヒドロゲルの少なくとも1つのサブ層及び水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の1つのサブ層を含み得ることを意味する。
【0041】
本発明の好適な一実施形態では、膨張材料の層は、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層である。有機ヒドロゲルと比較して、水和アルカリ金属ケイ酸塩は、より良好な熱安定性と、黄変に対するより良好な抵抗力などのより良好なエージング抵抗力とを有する。例えば、欧州特許出願公開第EP3395928A1号明細書は、有機ヒドロゲルの黄変問題について開示している。
【0042】
本発明に適した膨張材料の層は、通常、1~30mmの範囲の厚さを有する。1mm未満では耐火性能が限定され、且つ30mm超では層を得るための乾燥時間が過剰に長くなる。有機ヒドロゲルの層の厚さは、更に、通常、5~30mmの範囲である。水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層の厚さは、更に、通常、1~10mm、好ましくは1.2~6mmの範囲である。
【0043】
水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物に使用されるアルカリ金属ケイ酸塩は、一般に、ケイ酸カリウム、ナトリウム及びリチウムの中で選択される。これらのケイ酸塩の混合物を様々な割合で有することができる。しかし、ケイ酸ナトリウム若しくはケイ酸カリウム又はこれらの混合物が好ましい。
【0044】
アルカリ金属ケイ酸塩は、一般に、SiO2/M2Oモル比率を特徴とし、これは、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物中に存在するシリカのモル数とアルカリ金属酸化物とのモル数の比率である。
【0045】
本実施形態では、モル比率SiO2/M2Oは、好ましくは、2.5~8の範囲である。これは、更に好ましくは、少なくとも3、最も好ましくは少なくとも3.2である。更に好ましくは、これは、最大で6、最も好ましくは最大で5.3である。
【0046】
含水量の値の選択肢は、耐火性のみならず、得られるグレージングの光学品質の関数である。より大きい含水量の場合、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層は、エージング時により安定性を欠く傾向を有する。これらの製品が完全に透明な状態に留まることを保証することは、困難である。これは、多くの場合、経時的により顕著になるヘイズを形成する。
【0047】
この理由のため、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層の含水量は、通常、層の合計重量で18~50重量%の範囲であり、好ましくは、これは、最大で45重量%、最も好ましくは最大で42重量%である。
【0048】
水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の好適な層は、2.5~8の範囲のモル比率SiO2/M2Oを有し、且つ18~50重量%の含水量を有するケイ酸カリウム及び/又はナトリウムを含む水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物である。
【0049】
アルカリ金属ケイ酸塩及び水に加えて、ポリオール及び特にエチレングリコール又はグリセロールなどの様々な添加剤が水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物中に存在し得る。ポリオールは、水和アルカリ金属ケイ酸塩の可塑性の欠如を補償することを意図したものである。その代償として、ポリオールの存在は、組成物の乾燥速度に対して悪影響を及ぼす。そのため、その含有量を慎重に制御しなければならない。ポリオールは、一般に、0~22重量%の範囲の濃度で水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層内に存在する。好適なグリコールのレベルは、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層の3~18重量%である。
【0050】
従来、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層は、小さい割合でケイ酸塩安定化剤などの他の添加剤も含む。これらは、例えば、均一な泡の発生に好適である窒素製品(ウレア、アミンなど)又は水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層が接触するガラスペインの湿潤を促進する界面活性剤である。有利には、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層は、層の重量において最大で2重量%の含有量でテトラ-メチルアンモニウムヒドロキシ(TMAH)を含む。
【0051】
ガラスペインに対する水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層の接着を改善するために、例えば、シラン及びアミノシランなどの官能化されたシランなどの接着促進剤が存在し得る。
【0052】
本発明の第1の特定の実施形態では、FR-VIGの膨張材料の層は、第1ガラスペイン(GP1)又は第2ガラスペイン(GP2)の外側ペイン面に対向しており、且つそれと接触する。従って、この実施形態では、膨張材料の層は、GP1の外側ペイン面と接触するか、又はGP2の外側ペイン面と接触する。
【0053】
本発明で使用される「接触する」という用語は、ガラスペインの一部分であると本明細書で見なされる(低放射率、太陽光制御被覆、エナメルなどの)上述のものなどの被覆の存在又はガラスペインの表面上の接着促進剤の存在を排除しない。
【0054】
図1は、FR-VIG(10)がVIG及び1つのIU(60)を含む、この実施形態の図を提供する。VIGは、内側ペイン面(11)及び外側ペイン面(12)を有するGP1と、内側ペイン面(21)及び外側ペイン面(22)を有するGP2とを含む。GP2の内側ペイン面(21)には、被覆(8)が提供される。VIGは、GP1及びGP2と、GP1及びGP2間の距離をその周囲にわたって封止する密封接合封止体(5)との間の距離を維持する、GP1及びGP2間に位置決めされた一組の離散ピラー(4)を更に含む。内部容積Vは、GP1及びGP2によって画定され、且つ密封接合封止体(5)によって閉鎖される。内側ペイン面(11、21)は、内部容積Vに対向する。膨張ユニット(60)は、一方の側でGP2の外側ペイン面(22)と、且つ他方の側で膨張ユニットガラスペイン(GPiu)と接触する膨張材料(61)の層を含む。膨張材料の層(61)は、その周囲にわたって取り囲む周辺スペーサがない。
【0055】
この実施形態の一変形形態では、FR-VIGは、少なくとも第2膨張ユニットを更に含み得、この第2IUの膨張材料の層は、GP1又はGP2の他方の外側ペイン面に対向しており、且つそれと接触する。この特定の場合、GP1及びGP2のそれぞれの外側ペイン面は、膨張層と接触する。換言すれば、FR-VIGは、VIGのそれぞれの側に膨張ユニットを含む。
【0056】
図2は、この変形形態の図を提供し、ここで、FR-VIG(10)は、
図1を参照して既に記述されているように、VIG及びIU(60)を含む。FR-VIGは、膨張材料の層(61b)及びIUガラスペイン(GPiub)を含む別のIU(60b)を更に含み、膨張材料の層(61b)は、一方の側でGP1の外側ペイン面(12)と接触し、且つ他方の側で膨張ユニットガラスペイン(GPiub)と接触する。膨張材料の層(61b)は、その周囲にわたって取り囲む周辺スペーサを有さない。
【0057】
本発明の第2の特定の実施形態では、膨張材料の層は、第1ガラスペイン(GP1)又は第2ガラスペイン(GP2)の外側ペイン面に対向しており、且つポリマー中間層によって前記外側ペイン面にラミネートされた追加のガラスペインGP3によってそれから分離される。以前の実施形態とは対照的に、膨張材料の層は、この場合、ポリマー中間層及びGP3により、GP1又はGP2の外側ペイン面から分離される。この実施形態は、このようなFR-VIGが、例えば、
- 既存のVIG、及び
- 膨張材料の層によって分離された2つのガラスペインから通常構成された既存の耐火グレージング
のポリマー中間層を伴うラミネーションによって容易な方式で製造され得ることから、特に興味深い。
【0058】
この構造は、任意選択により、個々のコンポーネントが処理される場所と同一の又は異なる場所において、既存のVIGコンポーネントを既存の耐火グレージングに結合することを可能にする。
【0059】
このような構造の利点は、EN12600(安全グレージングのための欧州規格)によるグレージングの機械的補強による、より高いクラスの安全グレージングへの到達を含む。更なる利点は、反りの場合におけるコンポーネント間の機械的応力の改善された吸収である。
【0060】
この実施形態で使用されるポリマー中間層は、通常、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリビニルブチラール(PVB)などのポリアセタール、ポリウレタン(PU)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー(COP)、イオノマー及び/又は紫外線活性接着剤並びにガラスラミネートの製造の技術分野で既知の他のものからなる群から選択される材料を含む。これらの材料の任意の適合性を有する組合せを使用するブレンドされた材料も同様に適し得る。好ましくは、ポリマー中間層は、エチレン酢酸ビニル及び/又はポリビニルブチラールからなる群から選択される材料を含む。より好ましくは、ポリマー中間層は、エチレン酢酸ビニルなど、より低い圧力で処理される能力を有する材料を含む。
【0061】
ポリマー中間層は、「接合中間層」として機能する。なぜなら、ポリマー中間層及びガラスペインは、ガラスペインとポリマー中間層との間の接着を結果的にもたらす接合を形成するからである。
【0062】
本発明で使用されるポリマー中間層は、透明又は半透明ポリマー中間層であり得る。しかし、装飾用途の場合、ポリマー中間層は、着色又はパターン化することができる。
【0063】
ポリマー中間層のための通常の厚さは、0.15mm~3.5mm、好ましくは0.30mm~1.75mm、より好ましくは0.5mm~1.75mmである。通常の市販のポリマーフィルムは、0.38mm及び0.76mm、1.52mm、2.28mm及び3.04mmのポリビニルブチラール(PVB)層である。望ましい厚さを実現するために、これらのフィルムの1つ又は複数を使用することができる。
【0064】
例えば、EastmanのSaflex(登録商標)音響PVB中間層又はKurarayのTrosifol(登録商標)音響PVB層などの特定のPVBなど、特定の音響性能を有するポリマー中間層を使用することより、補強された防音を提供することができる。
【0065】
ポリマー中間層を適切に選択することにより、膨張材料のUV保護を提供することもできる。
【0066】
いくつかのポリマー中間層がFR-VIG内に存在する場合、これらは、同一の又は異なる材料から製造することができる。実際的な理由から、これらは、好ましくは、同一の材料から製造される。
【0067】
図3は、この実施形態の図を提供し、ここで、FR-VIG(10)は、
図1を参照して既に記述されているように、VIG及びIU(60)を含むが、ここでは、被覆(8)は、GP1の内側ペイン面(11)上に提供される。
図3のFR-VIGは、追加のガラスペインGP3及びポリマー中間層(7)を更に含む。GP3及びポリマー中間層(7)は、VIG及びIUを分離する。ガラスペインGP3は、一方の側でGP2の外側ペイン面(22)にラミネートされ、且つ他方の側で膨張層(61)と接触する。
【0068】
この第2の実施形態の一変形形態では、FR-VIGは、少なくとも第2膨張ユニットを更に含み得、膨張材料の層は、GP1又はGP2の外側ペイン面の他方に対向しており、且つポリマー中間層によって前記外側ペイン面にラミネートされた追加のガラスペインGP4によってそれから分離される。換言すれば、FR-VIGは、VIGのそれぞれの側に膨張ユニットを含む。
【0069】
図4は、この変形形態の図を提供し、ここで、FR-VIG(10)は、
図1を参照して既に記述されているように、VIG及びIU(60)を含む。
図4では、膨張材料(61)の層は、ガラスペインGP3及びポリマー中間層(7)によってVIGから分離される。加えて、
図4のFR-VIGは、膨張材料の層(61b)及び膨張ユニットガラスペイン(GPiub)を有する別の膨張ユニット(60b)を含み、膨張材料の層(61b)は、GP1の外側ペイン面(12)に対向しており、且つポリマー中間層(7b)によって前記外側ペイン面にラミネートされた追加のガラスペインGP4によってそれから分離される。換言すれば、FR-VIGは、VIGのそれぞれの側に膨張ユニットを含む。
【0070】
本発明の第3の特定の実施形態は、2つの第1実施形態の組合せであり、FR-VIGのVIGは、それぞれの側で膨張ユニットによって取り囲まれる。一方の側では、GP1又はGP2の1つは、第1膨張ユニットの膨張材料の層と接触するその外側ペイン面を有し、且つ他方の側では、GP1又はGP2の他方は、ポリマー中間層によって前記外側ペイン面にラミネートされたガラスペインによって第2膨張ユニットの膨張材料の層から分離されたその外側ペイン面を有する。
【0071】
図5は、この実施形態の図を提供し、ここで、FR-VIG(10)は、
図2を参照して既に記述されているように、VIG及び2つの膨張ユニット(60、60b)を含む。
図5のFR-VIGは、GP1の外側ペイン面(12)から膨張ユニット(60b)を分離する追加のガラスペインGP3及びポリマー中間層(7)を更に含む。
【0072】
3つの先行するものにも適用可能である本発明の第4の特定の実施形態では、FR-VIGは、少なくとも1つの追加の膨張ユニットを含み、追加の膨張ユニットの膨張層は、先行する膨張ユニットのIUガラスペインに対向している。追加の膨張ユニットは、先行する膨張ユニットのIUガラスペインに対向しており、且つそれと接触し得るか、又はそれは、先行する膨張ユニットのIUガラスペインに対向しており、且つポリマー中間層によって前記IUガラスペインにラミネートされた追加のガラスペインによってそれから分離され得る。この実施形態におけるFR-VIGは、いくつかの追加の膨張ユニットも含み得る。FR-VIGがいくつかの膨張ユニットを含む場合、FR-VIGの防火性能は、有利には、膨張ユニットの数の増大に伴って改善するが、FR-VIGの厚さ及び重量も増大し、従って必要に応じて正しいバランスを実現しなければならない。本実施形態では、IUの数は、通常、2~15、好ましくは2~6の範囲である。
【0073】
図6は、この実施形態の図を提供し、ここで、FR-VIG(10)は、
図1を参照して既に記述されているように、VIG及びIU(60)を含む。
図6のFR-VIGは、1つの追加の膨張ユニット(60b)を更に含み、膨張材料の層(61b)は、先行する膨張ユニットのGPiuと接触する。
【0074】
本発明の第5の特定の実施形態では、FR-VIGの膨張材料の層は、第1ガラスペイン(GP1)又は第2ガラスペイン(GP2)の外側ペイン面の1つに対向しており、且つそれと接触し、FR-VIGは、
i.別のガラスペインGP2b、
ii.膨張ユニットガラスペインGPiu及びGP2b間に位置決めされ、GPiu及びGP2b間に所定の距離を維持する、別の一組の離散ピラー、
iii.GPiu及びGP2b間の距離をその周囲にわたって封止する別の密封接合封止体、
iv.GPiu及び他方のガラスペインGP2bによって画定され、且つ他方の密封接合封止体によって閉鎖された別の内部容積Vbであって、0.1mbar未満の圧力の絶対真空が存在する、内部容積Vb
を更に含む。
【0075】
従って、この実施形態では、第2VIGは、GP2b、IUガラスペイン、一組の離散ピラー、密封接合封止体及び内部容積を含んで形成される。GPiuは、同時に膨張ユニット及び第2VIGのガラスペインである。
【0076】
この変形形態のFR-VIGは、例えば、2つのVIGを膨張材料の層と結合することにより得ることができる。
【0077】
図7には、本実施形態によるFR-VIGが示されており、ここで、FR-VIG(10)は、
図1を参照して既に記述されているように、VIG及びIU(60)を含む。
図7のFR-VIGは、追加のガラスペインGP2b、IUガラスペインGPiu及びGP2b間の追加の組の離散ピラー(4b)、追加の密封接合封止体(5b)及びGPiu及びGP2bによって画定され、且つ接合封止体(5b)によって閉鎖された追加の内部容積Vbを更に含む。従って、第2VIGは、GP2b、GPiu、一組の離散ピラー(4b)、密封接合封止体(5b)及び内部容積Vbによって形成される。GPiuは、同時に膨張ユニット(60)及び第2VIGのガラスペインであり、膨張材料の層(61)は、第1及び第2VIG間に取り囲まれる。
【0078】
FR-VIGがいくつかの膨張ユニットを含む本発明の実施形態では、膨張材料の層は、同一であるか又は異なり得る。膨張材料の異なる層の使用のすべてを網羅しないいくつかの例は、異なる組成物の水和アルカリ金属ケイ酸塩の層を有するFR-VIG、異なる組成物の有機ヒドロゲルの層を有するFR-FIG、水和アルカリ金属ケイ酸塩のいくつかの層及び有機ヒドロゲルのいくつかを有するFR-VIGである。いくつかの膨張ユニットが存在する場合、膨張材料の層は、好ましくは、そのいずれもその周囲にわたって取り囲む周辺スペーサを有さない。これらは、好ましくは、そのいずれも同一の又は異なる組成を有する水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物の層である。
【0079】
FR-VIGがいくつかの膨張ユニットを含む本発明の実施形態では、すべての膨張ユニットは、好ましくは、VIGの同一のガラスペインに対向している。換言すれば、VIGは、膨張ユニット間に挟持されない。
【0080】
これは、パーティション内で開口部を閉鎖するためにFR-VIGが使用される場合に特に興味深い。このパーティションは、内部空間から外部空間を分離し、通常、パーティションは、建物の内部空間から外部雰囲気を分離する。実際に、この場合、1つ又は複数の膨張ユニットは、外部環境及び高温から保護しなければならず、従って、FR-VIGは、好ましくは、膨張ユニットが内部空間に対向しており、及びVIGが外部雰囲気に対向しているように位置決めされる。同一の理由から、建物の内部空間から外部雰囲気を分離するパーティションの開口部を閉鎖するために使用される単一の膨張ユニットを含むFR-VIGも、好ましくは、膨張ユニットが内部空間に対向しており、及びVIGが外部雰囲気に対向している状態で位置決めされる。
【0081】
本発明のFR-VIGは、1つ又は複数のポリマー中間層によってラミネートされた1つ又は複数の追加のガラスペインも1つ又は両方の先端に含み得る。ポリマー中間層については、上述されている。これは、防犯及び防弾性能、デフェネストレーションからの保護などの安全性能を改善するために特に有利である。
【0082】
本発明の好適な実施形態によれば、少なくとも1つのVIGの第1及び/又は第2ガラスペインの内側ペイン面には、熱線反射被覆又は低E被覆などの被覆が提供される。これは、例えば、
図1及び
図2の被覆(8)によって示される。
【0083】
FR-VIGの膨張ユニットの数は、通常、1~15、好ましくは1~6の範囲である。
【0084】
周辺スペーサがない膨張材料の層は、通常、
- 膨張材料前駆体溶液を調製するステップ、
- 水平方向位置に位置決めされたFR-VIGのガラスペイン上に膨張材料前駆体溶液を塗布するステップ、
- 前記ガラスペインと接触する第1側を有する膨張材料の層を形成するために、膨張材料前駆体溶液を乾燥させるステップ
を含むプロセスによって得られ得る。
【0085】
膨張材料前駆体溶液を調製するステップは、当業者に既知の任意の方法によって実行することができる。前駆体は、例えば、流量計を介して混合タンク内に導入することができる。
【0086】
膨張材料前駆体溶液は、水和アルカリ金属ケイ酸塩前駆体溶液若しくは有機ヒドロゲル前駆体溶液又は水和アルカリ金属ケイ酸塩前駆体及び有機ヒドロゲル前駆体の両方を含む溶液であり得る。このプロセスは、水和アルカリ金属ケイ酸塩前駆体溶液に特に適している。
【0087】
水和アルカリ金属ケイ酸塩前駆体溶液の場合、溶液は、例えば、アルカリ金属ケイ酸塩の市販の水性溶液若しくはアルカリヒドロキシが追加されたコロイドシリカの混合物又はこれらの両方から開始することにより調製することができる。
【0088】
水和アルカリ金属ケイ酸塩は、上述のものである。アルカリヒドロキシを有するコロイドシリカの混合物は、産業用シリカのものよりも格段に小さい含水量と、従って格段に高いSiO2/M2O比率とを有し得る。従って、これらの使用は、有利には、乾燥時間を低減することができると共に、火災の場合により良好な耐火動作を提供することができる。しかし、経済的理由から、過剰な水の量を除去する必要性を伴うことなく、大きいモル比率を有する溶液が望ましい場合、コロイドシリカが追加された産業用アルカリ金属ケイ酸塩を使用することが好ましい。
【0089】
コロイドシリカ及びアルカリヒドロキシの混合物が使用される場合、膨張材料前駆体溶液の特性は、粒子サイズに依存する。一般に、特定の限度内の粒子サイズの増大は、組立体のガラスペイン上におけるその塗布前の溶液の望ましくないケーキングの遅延を可能にする。換言すれば、シリカ粒子サイズの増大は、更なる処理のために膨張材料前駆体溶液の必要とされる粘度を維持することを可能にする。
【0090】
明らかなように、粒子サイズの増大は、限定され、なぜなら、特定の寸法を超過した場合、混合物は、もはや必要とされる光学特性及び特に透明性を示さないからである。シリカ粒子の過剰に大きい寸法は、光の拡散と、ヘイズの形成とをもたらす。実際に、ケイ酸塩に基づいた膨張材料混合物の形成のために使用されるシリカ粒子は、40nm以下、好ましくは50nm以下の平均直径を有する。これらの粒子は、有利には、150nmを超過しない、好ましくは130nmを超過しない平均寸法も有する。特に好ましい平均直径は、60nm~120nmである。
【0091】
また、水和アルカリ金属ケイ酸塩前駆体溶液のモル比率SiO2/M2Oは、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物について上述したとおりである。
【0092】
水和アルカリ金属ケイ酸塩前駆体溶液の含水量は、通常、溶液の重量で40~65重量%の範囲である。
【0093】
ポリオールは、一般に、溶液の重量で15重量%以下、好ましくは10重量%以下の濃度で水和アルカリ金属ケイ酸塩前駆体溶液に追加される。好適なポリオールは、グリコール、特にエチレングリコール又はクリセリンである。
【0094】
通常、水和アルカリ金属ケイ酸塩前駆体溶液は、水和アルカリ金属ケイ酸塩組成物に関連して上述したように、小さい割合で窒素製品(ウレア、アミンなど)、界面活性剤又はシラン及びアミノシランなどの官能化されたシランなどの接着促進剤などの他の添加剤も含む。有利には、前駆体溶液は、溶液の重量において最大で1.5重量%の含有量でテトラ-メチルアンモニウムヒドロキシ(TMAH)を含む。
【0095】
溶液の水の量を低減するために、膨張材料前駆体溶液の任意選択の脱水のステップは、溶液を調製するステップと組立体のガラスペイン上に膨張材料前駆体溶液を塗布するステップとの間に行われ得る。この脱水ステップは、水平方向ガラスペイン上における溶液の塗布後に行われることになる乾燥ステップと異なる。
【0096】
脱水後の溶液は、通常の周辺温度条件で十分に安定している。これは、必要に応じて、ゲルの形成のリスクを伴うことなしに、冷却により数時間又は場合により数日にわたって保存することができる。溶液の調製時に出現し得る泡を除去するために、この安定性を利用することができる。
【0097】
後続のステップでは、膨張材料前駆体溶液は、水平方向位置に配置された組立体のガラスペイン上に塗布される。
【0098】
膨張材料前駆体溶液を乾燥させるステップは、一般に、温度及び湿度の制御された条件下で加熱されたチャンバ内において、膨張材料前駆体溶液が提供されたガラスペインを導入することにより実行される。乾燥時間は、乾燥条件に応じて変化し得るが、これは、一般に、数時間~48時間の範囲である。乾燥時間は、費用を所要するのみならず、得られる製品の品質に影響を及ぼす。100℃のレベルの温度では、ガラスシートと強力なアルカリ性組成物との長時間にわたる接触は、ガラス表面への攻撃をもたらし得る。乾燥は、加熱されたトンネルなどのオーブン内で移動するコンベア上に被覆されたガラスペインを配置することにより実行することもできる。乾燥は、組立体の前記ガラスペインと接触するその第1側を有する膨張材料の層が形成される時点まで実行される。
【0099】
特定の一実施形態では、膨張材料の層は、同じであるか又は異なり得る膨張材料前駆体溶液から得られたいくつかのサブ層から構成することができる。異なるサブ層から構成された膨張材料の層のすべてを網羅しないいくつかの例は、
- 異なる組成の水和アルカリ金属ケイ酸塩のサブ層、
- 異なる組成の有機ヒドロゲルのサブ層、
- 水和アルカリ金属ケイ酸塩の1つ又は複数のサブ層及び有機ヒドロゲルの1つ又は複数のサブ層
から構成された層である。
【0100】
第1サブ層は、組立体の1つのガラスペイン上に形成され、後続の1つ又は複数は、先行するものの上部に連続的に形成される。
【0101】
当業者は、本発明が決して上述の実施形態又は図に限定されないことを理解するであろう。逆に、多くの変更形態及び変形形態が添付の請求項の範囲内で可能である。本発明は、本明細書で記述され、且つ請求項で記述される特徴及び好適な特徴のすべての可能な組合せに関することに更に留意されたい。図は、正確な縮尺で描かれておらず、且つ例示のみを目的として提示される。
【符号の説明】
【0102】
10 耐火真空断熱グレージング組立体
11 第1ガラスペインの内側ペイン面
12 第1ガラスペインの外側ペイン面
21 第2ガラスペインの内側ペイン面
22 第2ガラスペインの外側ペイン面
4、4b 離散ピラー
5、5b 密封接合封止体
60、60b 膨張ユニット
61、61b 膨張材料の層
7、7b ポリマー中間層
8 熱線反射フィルム又は低放射率フィルム
GP1 第1ガラスペイン
GP2、GP2b 第2ガラスペイン
GP3、GP4 追加のガラスペイン
GPiu、GPiub 膨張ユニットガラスペイン
V、Vb 内部容積
【国際調査報告】