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特表2022-553428新規クロチアニジン組成物およびその使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-22
(54)【発明の名称】新規クロチアニジン組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A01N 51/00 20060101AFI20221215BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20221215BHJP
   A01N 61/00 20060101ALI20221215BHJP
【FI】
A01N51/00
A01P7/04
A01N61/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022524967
(86)(22)【出願日】2020-10-27
(85)【翻訳文提出日】2022-06-07
(86)【国際出願番号】 US2020057450
(87)【国際公開番号】W WO2021086807
(87)【国際公開日】2021-05-06
(31)【優先権主張番号】62/926,642
(32)【優先日】2019-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520062557
【氏名又は名称】バレント・ユーエスエイ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】VALENT U.S.A. LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(72)【発明者】
【氏名】リウ,ジェイン
【テーマコード(参考)】
4H011
【Fターム(参考)】
4H011AC01
4H011BA01
4H011BB11
4H011BC19
4H011DH02
4H011DH03
(57)【要約】
本発明は、クロチアニジン、グラフトコポリマー、カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマー、および任意に、平均分子量が約4950から約6500であり、親水性重量パーセントが約30%~約50%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーを含む殺虫組成物に関する。本発明はさらに、害虫駆除を必要とする領域に本発明の組成物を適用することを含む、害虫を駆除する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロチアニジン、グラフトコポリマーおよびカルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマーを含む殺虫組成物。
【請求項2】
平均分子量が約4950から約6500であり、親水性重量パーセントが約30%~約50%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
スリップ剤、液体保湿剤、消泡剤、ポリマーエマルジョン、防腐剤および増粘剤からなる群から選択される賦形剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
スリップ剤が、25%カルナバワックス水中エマルジョンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
液体保湿剤が、グリセロールである、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
消泡剤が、シリコーンエマルジョンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項8】
ポリマーエマルジョンが、水性エマルジョン中のアクリルコポリマーである、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
防腐剤が、19.3% 1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンである、請求項4に記載の組成物。
【請求項10】
増粘剤が、キサンタンガムである、請求項4に記載の組成物。
【請求項11】
約10%~約60% w/wのクロチアニジン;
約1%~約10% w/wのグラフトコポリマー;および
約0.1%~約10% w/wのカルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマー;
を含み、ここで、w/wは、組成物の総重量に対する重量を意味する、殺虫組成物。
【請求項12】
約0.1%~約10% w/wの、平均分子量が約4950であり、親水性重量パーセントが30%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーをさらに含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
約40%~約60% w/wのクロチアニジン;
約3%~約7% w/wのグラフトコポリマー;
約0.5%~約2.5% w/wのカルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマー;
を含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
約0.1%~約1% w/wの平均分子量が4950であり、親水性重量パーセントが30%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーをさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
約47.8% w/wのクロチアニジン;
約5.0% w/wのグラフトコポリマー;
約1.5% w/wのカルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマー;および
約0.5% w/wの、平均分子量が約4950であり、親水性重量パーセントが30%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマー;
を含み、ここで、w/wは、組成物の総重量に対する重量を意味する殺虫組成物。
【請求項16】
約3.0% w/wの25%カルナバワックス水中エマルジョン;
約0.3% w/wのシリコーンエマルジョン;
約3.0% w/wの水性エマルジョン中のアクリルコポリマー;
約0.25% w/wの19.3% 1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オン;
約0.1% w/wのキサンタンガム;
約6.0% w/wのグリセロール;および
約32.6% w/wの水;
をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
害虫駆除を必要とする領域に請求項1に記載の組成物を適用することを含む、害虫を駆除する方法。
【請求項18】
害虫が、アブラムシまたはワイヤーワームである、請求項17に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クロチアニジン、グラフトコポリマー、カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマー、および任意に、平均分子量が約4950から約6500であり、親水性重量パーセントが約30%~約50%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーを含む殺虫組成物に関する。本発明はさらに、害虫駆除を必要とする領域に本発明の組成物を適用することを含む、害虫を駆除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昆虫およびダニを含む節足動物の害虫は、人間の福祉に対する主要な脅威の1つであり、食糧供給に継続的なストレスを与え、さまざまな医学的および獣医学的疾患を伝染させる。害虫は、作物、観賞植物および保存食品に深刻で費用のかかる損害を与える可能性がある。さらに、昆虫およびダニの害虫は人間の内外で病気を伝染させ、平均余命の低下、生活の質の低下および医療費の増加をもたらす。
【0003】
アブラムシは、栽培植物に対して非常に問題があり、費用のかかる害虫である。作物、樹木および観賞植物を食べることが知られているアブラムシの記載されている種は約250種である。アブラムシは植物の蜜を食べ、成長速度の低下、低収量および死を引き起こす。アブラムシは、植物から植物へと病気を拡散する多くの微細な植物病原体の媒介動物でもある。アブラムシを駆除するための取り組みには、合成農薬の散布と天然の捕食者の導入が含まれる。アブラムシには、テントウムシおよび寄生ハチなどの多くの自然の捕食者を有するが、捕食者と捕食寄生者だけでは、アブラムシによる作物の被害を防ぐには効果的ではない。残念なことに、アブラムシは、多くの一般的な農薬に対する耐性も発達させている。
【0004】
もう一つの費用のかかる害虫はワイヤーワームである。ワイヤーワームは、主に飼料用農作物を食べる。ワイヤーワームの蔓延は、深刻な作物被害を引き起こしうる。ワイヤーワームは、特にトウモロコシを破壊する。トウモロコシにワイヤーワームがはびこると、作物が大幅に失われることが多い。
【0005】
クロチアニジンは、NipsIt INSIDE(登録商標)の有効成分として利用することができる。NipsIt INSIDE(登録商標)は、47.8% w/wのクロチアニジンを含む種子処理製品であり、Valent U.S.A. LLCの登録商標を用いて、Valent U.S.A. LLCから市販されている。NipsIt INSIDE(登録商標)は、アブラムシおよびワイヤーワームの駆除に効果的であることが証明されている。一方、NipsIt INSIDE(登録商標)は、さらに長期の保存性は安定的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当技術分野では、安定したクロチアニジン組成物が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概略
本発明は、クロチアニジン、グラフトコポリマー、カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマー、および任意に、平均分子量が約4950から約6500であり、親水性重量パーセントが約30%~約50%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーを含む殺虫組成物に関する。
【0008】
本発明はさらに、害虫駆除を必要とする領域に本発明の組成物を適用することを含む、害虫を駆除する方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
発明の詳細な記載
出願人は、クロチアニジンの常温保存可能組成物を形成することができる界面活性剤のユニークな混合物を発見している。
【0010】
1つの実施形態では、本発明は、クロチアニジン、グラフトコポリマー、カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマー、および、平均分子量が約4950から約6500であり、親水性重量パーセントが約30%~約50%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーを含む殺虫組成物に関する。
【0011】
好ましい実施形態では、本発明は、
約10%~約60% w/wのクロチアニジン;
約1%~約10% w/wのグラフトコポリマー;
約0.1%~約10% w/wのカルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマー;
任意に、約0.1%~約10% w/wの、平均分子量が約4950であり、親水性重量パーセントが30%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマー;
を含む殺虫組成物に関する。
【0012】
より好ましい実施形態では、本発明は、
約47.8% w/wのクロチアニジン;
約5.0% w/wのグラフトコポリマー;
約1.5% w/wのカルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマー;および
約0.5% w/wの、平均分子量が約4950であり、親水性重量パーセントが30%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマー;
を含む組成物に関する。
【0013】
クロチアニジンは、約1%~約60% w/w、好ましくは約10%~約60% w/w、さらにより好ましくは約40%~約60% w/wおよび最も好ましくは約47.8% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0014】
グラフトコポリマーは、約1%~約20% w/w、好ましくは約1%~約10% w/w、さらにより好ましくは約3%~約7% w/wおよび最も好ましくは約5.0% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。好ましい実施形態では、グラフトコポリマーは、Tersperse(登録商標)2500、Atlox(登録商標)4913またはStepflow(登録商標)4000である。
【0015】
カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマーは、約0.1%~約20% w/w、好ましくは約0.1%~約10% w/w、さらにより好ましくは約0.5%~約2.5% w/wおよび最も好ましくは約1.5% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。好ましい実施形態では、カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマーは、Envi-pol(登録商標)871である。
【0016】
平均分子量が約4950から約6500であり、親水性重量パーセントが約30%~約50%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーは、約0.1%~約20% w/w、好ましくは約0.1%~約10% w/w、さらにより好ましくは約0.1%~約1% w/wおよび最も好ましくは約0.5% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。好ましい実施形態では、非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび平均分子量が4950であり、親水性重量パーセントが30%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーは、Pluronic(登録商標)P103である。
【0017】
本発明の組成物はさらに、スリップ剤、液体保湿剤、消泡剤、ポリマーエマルジョン、防腐剤および増粘剤からなる群から選択される1つまたは複数の賦形剤を含むことができる。
【0018】
本発明における使用に適したスリップ剤として、25%カルナバワックス水中エマルジョンおよびNPIRIグラインドゲージの読み取り値が1.0~1.5の微粉化ポリエチレングリコールワックスが挙げられるが、これらに限定されない。MPP-611XFは、NPIRIグラインドゲージの読み取り値が1.0~1.5の微粉化ポリエチレングリコールワックスの1つの供給源であり、Micro Powders, Inc.から入手可能である。
【0019】
スリップ剤は、約1%~約10% w/w、好ましくは約1%~約5% w/w、より好ましくは約2%~約4% w/wおよびさらにより好ましくは約3% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0020】
本発明における使用に適した液体保湿剤として、グリセロール、ポリプロピレングリコールおよびジエチレングリコールまたはポリエチレングリコール、エチルヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレン-5-ラウレス-5、ポリグリセリロールココエート、ソルビトール、フルクトース、グリシン、イノシトール、パンテノールおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、液体保湿剤は、グリセロールである。
【0021】
液体保湿剤は、約1%~約20% w/w、好ましくは約1%~約10% w/w、より好ましくは約5%~約7% w/wおよびさらにより好ましくは約6% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0022】
本発明における使用に適した消泡剤として、シリコーンエマルジョンを含むシリコーン消泡剤、植物油、アセチレングリコール、およびプロピレンオキシドと低級ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンブロックポリマーの高分子量付加物(ここで、オクチル-、ノニル-およびフェニルポリオキシエチレン/エチレンオキシドユニットの数は>5である)および長鎖アルコール、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール(Surfynol(登録商標)104PG-50 (CAS# 126-86-3)は、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオールの1つの供給源であって、登録商標であり、Air Products and Chemicals Inc.から入手可能である)ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、消泡剤は、シリコーンエマルジョンである。
【0023】
消泡剤は、約0.01%~約1% w/w、好ましくは約0.05%~約0.5% w/w、より好ましくは約0.2%~約0.4% w/wおよびさらにより好ましくは約0.3% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0024】
本発明における使用に適したポリマーエマルジョンとして、水溶液中のアクリルコポリマーおよび水中の酢酸ビニル-エチレンコポリマーそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。Emulson AG Coat USおよびEmulson STFSは、水性エマルジョン中のアクリルコポリマーのそれぞれの供給源である。Emulson AG Coat USおよびEmulson STFSは、Lamberti SPAから入手可能である。Eco VAE 401は、水中の酢酸ビニル-エチレンコポリマーの1つの供給源であり、Celelaneseから入手可能である。
【0025】
ポリマーエマルジョンは、約1%~約10% w/w、好ましくは約1%~約5% w/w、より好ましくは約2%~約4% w/wおよびさらにより好ましくは約3% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0026】
本発明における使用に適した増粘剤として、ヒドロキシエチルセルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、アタパルジャイト、親水性ヒュームドシリカ、酸化アルミニウム、キサンタンガムおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、増粘剤は、ケイ酸アルミニウムマグネシウムとキサンタンガムの混合物である。
【0027】
増粘剤は、約0.01%~約5% w/w、好ましくは約0.01%~約1% w/w、より好ましくは約0.05%~約0.5% w/wおよびさらにより好ましくは約0.1% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0028】
本発明における使用に適した防腐剤として、Kathon(登録商標)CG/ICP (Rohm and Haas Companyから入手可能)およびLegend MK(登録商標)(Rohm and Haas Companyから入手可能)などの1.15% 5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンおよび0.35% 2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの水溶液、19.3% 1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンおよびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい実施形態では、防腐剤は、19.3% 1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンである
【0029】
防腐剤は、約0.01%~約5% w/w、好ましくは約0.1%~約5% w/w、より好ましくは約0.2%~約0.4% w/wおよびさらにより好ましくは約0.25% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0030】
水は、約1%~約99% w/w、好ましくは約10%~約89% w/w、より好ましくは約20%~約40% w/wおよびさらにより好ましくは約30%~約35% w/wおよび最も好ましくは約32.6% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。
【0031】
もう1つの実施形態では、本発明は、害虫駆除を必要とする領域に本発明の組成物を適用することを含む、害虫を駆除する方法に関する。
【0032】
本発明の組成物によって駆除されうる害虫は、限定的ではないが、アブラムシおよびワイヤーワームを含む。
【0033】
本明細書で使用される場合、「アブラムシ」とは、半翅目のアブラムシ上科に属する害虫を意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「ワイヤーワーム」とは、コメツキムシ目のコメツキムシ科に属する害虫を意味する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「害虫を駆除する」とは、植物または動物に対する害虫の悪影響を、栽培者または動物にとって望ましいレベルまで減少させることを意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「害虫駆除を必要とする領域」とは、あらゆるライフステージで害虫が存在するあらゆる領域を意味する。本発明の方法によって処理される可能性が高い1つの環境には、植物、植物繁殖材料、および害虫が周囲の土壌上/中に生息していることが含まれる。害虫の環境には、収穫された植物、庭、畑、温室、またはその他の建物、およびベッドなどの家具、本や衣類などの調度品などの、さまざまな屋内の表面や構造物も含まれうる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「植物繁殖材料」という用語は、あらゆる種類の種子および実生(果実、塊茎、および穀物)、クローン植物および微小繁殖植物などを意味する。
【0038】
本願全体を通して、単数形の「a」、「an」、および「the」には、文脈で明確に別段の指示がない限り、複数形の参照が含まれる。
【0039】
本明細書で使用される場合、量、重量パーセントなどに関連するすべての数値は、それぞれの特定の値の「約」または「おおよそ」、プラスまたはマイナス10%として定義される。たとえば、「少なくとも5.0重量%」という語句は、「少なくとも4.5重量%~5.5重量%」と理解されるべきである。したがって、特許請求の範囲に記載された値の10%以内の量は、特許請求の範囲に含まれる。
【0040】
これらの代表的な実施形態は、決して限定的なものではなく、本発明のいくつかの態様を説明するためのみに説明されている。
【0041】
さらに、以下の実施例は、例示としてのみ提供され、限定として提供されるものではない。
【0042】
実施例
表1
【表1】
【0043】
Tersperse(登録商標)2500は、グラフトコポリマーの供給源として使用された(Tersperseは、Huntsman Petrochemical Corporationの登録商標であり、Huntsman Petrochemical Corporationから入手可能である)。
【0044】
Envi-pol(登録商標)871は、カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマーの供給源として使用された(Envi-polは、Lamberti SPAの登録商標であり、Lamberti SPAから入手可能である)
【0045】
Pluronic(登録商標)P103は、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーの供給源として使用された(Pluronicは、BASF Corporationの登録商標であり、BASF Corporationから入手可能である)。Pluronic(登録商標)P103は、平均分子量が4950であり、親水性重量パーセントが30%である。
【0046】
Michem(登録商標)Lube 156PFP (CAS# proprietary)は、カルナバワックス(水中25%エマルジョン)の供給源として使用され、Michelman Inc.の登録商標であり、Michelman Inc.から入手可能である。
【0047】
Xiameter(登録商標)AFE-0010は、シリコーンエマルジョンの供給源として使用された(Xiameterは、Dow Corning Corporationの登録商標であり、Dow Corning Corporationから入手可能である)。
【0048】
Emulson AG Coat USは、水性エマルジョン中のアクリルコポリマーの供給源として使用され、Lamberti SPAから入手可能である。
【0049】
Proxel(登録商標)GXLは、19.3% 1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンの供給源として使用された(Proxelは、Arch UK Biocidesの登録商標であり、Lonzaから入手可能である)。
【0050】
Kelzan(登録商標)CCは、キサンタンガムの供給源として使用された(Kelzanは、CP Kelcoの登録商標であり、CP Kelcoから入手可能である)。
【実施例1】
【0051】
本発明の組成物の調製
方法
液体担体の調製
混合しながらグリセロールを水に加えて、担体を作成した。次に、グラフトコポリマー、ならびにカルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマーを担体に加えた。別の容器にて、加熱または非加熱で、従来の低せん断攪拌機にて、平均分子量が4950であり、親水性重量パーセントが30%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーを水に溶解することにより、20%EO-POブロックコポリマー溶液を作製する。次に、混合しながら、20%EO-POブロックコポリマー溶液を担体に加える。最後に、混合しながら、25%カルナバワックス水中エマルジョンとシリコーンエマルジョンを担体に加える。
【0052】
ミルベースの調製
クロチアニジン粒子が湿って混合物を作成するまで、20分間撹拌しながら、クロチアニジン・テクニカル(99.6%純度、Jiangsu Flag Chemical Industry Co., Ltd.によって供給される)を担体に加える。次に、バスケットミル(TML-1バスケットミリングシステムを備えたDispermat AE-C)を用いて、1.2~1.7mmの酸化ジルコニウムビーズを使用し、1.8~2.8ミクロンの中央値の粒径範囲に混合物を粉砕することによって混合物を製粉した。
【0053】
最終加工製剤の調製
別の容器にて、1.5%のキサンタンガムおよび2.5%の1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンを水に予め溶解して、溶液を作成した。45分~1時間混合しながら、該溶液、水性エマルジョン中のアクリルコポリマー、および残りの水をミルベースに加えた。
【実施例2】
【0054】
界面活性剤スクリーニング
表2
【表2】
【0055】
Selvol(登録商標)24-203 (CAS# 25213-24-5)は、部分加水分解ポリビニルアルコール(24%水溶液)の供給源として使用され、Sekisui Specialty Chemicals America LLCの登録商標であり、Sekisui Specialty Chemicals America LLCから入手可能である。
【0056】
Surfynol(登録商標)104PG-50 (CAS# 126-86-3)は、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール(50%プロピレングリコール溶液)の供給源として使用され、Air Products and Chemicals Inc.の登録商標であり、Air Products and Chemicals Inc.から入手可能である。
【0057】
Kathon(登録商標)CG/ICP (CAS# 26172-55-4 and 2682-20-4)は、5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンおよび2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オンの水溶液の供給源として使用され、それらは、Rohm and Haas Companyの登録商標であり、Rohm and Haas Companyから入手可能である。
【0058】
方法
上記の表2の製剤Aは、追加の界面活性剤なしで、または下記表3の13の界面活性剤のそれぞれの1つと共に、製剤された。これらの14の製剤を、54℃に2週間付した。加速保存条件での保存に続いて、14の製剤をボトムクリア時間、粘度および噴霧性について測定した。この実験の結果を下記表3に示す。
【0059】
ボトムクリア時間は、62.5ミリリットルの組成物を125ミリリットルのプラスチックジャーに入れて横に置いたときに、組成物が容器の底から流れ出るまでの時間である。ボトムクリア時間が長い場合は、流動性安定性が低いことを示す。
【0060】
噴霧性は、以下の試験手順および計算に基づく。100メッシュ(150マイクロメートル)のふるいを秤量し、その重量を風袋重量(W0)として記録する。次に、ふるいを広口ジャーの上に置く。
【0061】
50~60グラムの組成物(W)を秤量し、ふるいに注いだ後、すすいだ。すすぎは、水道水を使用して、毎分約1.5リットルの流量で1分間行った。次に、残留物を含むふるいを乾燥オーブンに入れ、乾燥させて、残留物(W1)を含む乾燥ふるいを作成した。次に、噴霧性パーセントを次の式で計算した:(W1-W0)/W×100。
【0062】
表3
【表3】
【0063】
Pluronic(登録商標)P103は、平均分子量が4950であり、親水性重量パーセントが30%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーである。
【0064】
Pluronic(登録商標)P104は、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーである(Pluronicは、BASF Corporationの登録商標であり、BASF Corporationから入手可能である)。Pluronic(登録商標)P104の平均分子量は5900であり、親水性重量パーセントは40%である。
【0065】
Pluronic(登録商標)P105は、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーである(Pluronicは、BASF Corporationの登録商標であり、BASF Corporationから入手可能である)。Pluronic(登録商標)P105の平均分子量は6500であり、親水性重量パーセントは50%である。
【0066】
Tersperse(登録商標)4894は、アルキルフェノールエトキシレートフリーの非イオン性湿潤分散剤パッケージである(Tersperseは、Huntsman Petrochemical Corporationの登録商標であり、Huntsman Petrochemical Corporationから入手可能である)。
【0067】
Tersperse(登録商標)2500は、グラフトコポリマーである。
【0068】
Reax(登録商標)907は、ホルムアルデヒドと二亜硫酸ナトリウムとの、リグニンアルカリ反応生成物である(Reaxは、Ingevityの登録商標であり、Ingevityから入手可能である)。
【0069】
Reax(登録商標)85Aは、亜硫酸ナトリウムとホルムアルデヒドとの、リグニンアルカリ反応生成物である
【0070】
EasysperseTM P20は、噴霧乾燥され、最適化された、ポリビニルピロリドンとメチルビニルエーテル/マレイン酸ハーフエステル分散剤の複合体である(Easysperseは、Ashlandの登録商標であり、Ashlandから入手可能である)。
【0071】
Agrilan(登録商標)755は、PEGでグラフト化されたメチルメタクリレート骨格をベースにしたソフトアニオンポリマーである(Agrilanは、Nouryonの登録商標であり、Nouryonから入手可能である)。
【0072】
Envi-pol(登録商標)871は、カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマーである。
【0073】
Selvol(登録商標)24-203は、部分加水分解ポリビニルアルコール(24%水溶液)であり、Sekisui Specialty Chemicals America LLCの登録商標であり、Sekisui Specialty Chemicals America LLCから入手可能である。
【0074】
結果
上記の表2に示されるように、カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーおよび非カルボキシル化エチレン性不飽和モノマーを含む骨格を有するアクリル(系)コポリマーの添加は、25秒未満のボトムクリア時間によって証明されるように、沈降をもたらさなかった。製剤の他の特性は、以下のとおりである:比重は1.26であり、pHは約6であり、粘度は50 S-1で200cP~300cpの範囲であり、100メッシュふるい(150ミクロン開口)での噴霧性は0~0.1%である。
【実施例3】
【0075】
本発明の組成物の流動性
方法
上記の表1の製剤#1および#2を、市販のNipsIt(登録商標)INSIDE製剤と比較した(NipsIt(登録商標)INSIDE成分については、下記の表5を参照)。具体的には、以下の表3に詳細に示すように、製剤#1と#2およびNipsIt(登録商標)INSIDEをさまざまな条件で保存した。加速条件での保存を追跡して、ボトムクリア時間を評価した。この実験の結果は、以下の表4に見い出すことができる。
【0076】
表4
【表4】
表5
【表5】
【0077】
結果
上記の表4に示すように、製剤#1および#2は、試験したすべての保存条件下でNipsIt(登録商標)INSIDEよりも優れたボトムクリア時間を示した。このように、製剤#1および#2の賦形剤の特定の組み合わせは、市販のNipsIt(登録商標)INSIDEよりも優れた安定性を提供する。
【手続補正書】
【提出日】2022-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
平均分子量が約4950から約6500であり、親水性重量パーセントが約30%~約50%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーは、約0.1%~約20% w/w、好ましくは約0.1%~約10% w/w、さらにより好ましくは約0.1%~約1% w/wおよび最も好ましくは約0.5% w/wの濃度で、本発明の組成物中に存在することができる。好ましい実施形態では、ポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーの平均分子量が4950であり、親水性重量パーセントが30%であるポリ(エチレンオキシド)-ポリ(プロピレンオキシド)-ポリ(エチレンオキシド)ブロックコポリマーは、Pluronic(登録商標)P103である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0075
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0075】
本発明の組成物の流動性
方法
上記の表1の製剤#1および#2を、市販のNipsIt(登録商標)INSIDE製剤と比較した(NipsIt(登録商標)INSIDE成分については、下記の表5を参照)。具体的には、以下の表4に詳細に示すように、製剤#1と#2およびNipsIt(登録商標)INSIDEをさまざまな条件で保存した。加速条件での保存を追跡して、ボトムクリア時間を評価した。この実験の結果は、以下の表4に見い出すことができる。
【国際調査報告】