(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(54)【発明の名称】プラズマチャンバコンポーネントの無機コーティング
(51)【国際特許分類】
C23C 4/11 20160101AFI20221219BHJP
C23C 4/18 20060101ALI20221219BHJP
C23C 4/02 20060101ALI20221219BHJP
C23C 14/48 20060101ALI20221219BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20221219BHJP
【FI】
C23C4/11
C23C4/18
C23C4/02
C23C14/48 D
H01L21/302 101G
H01L21/302 101B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521215
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-06-06
(86)【国際出願番号】 US2020054728
(87)【国際公開番号】W WO2021072040
(87)【国際公開日】2021-04-15
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スミス・ジェレミー・ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ウェツェル・デヴィッド・ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ミトロビック・スロボダン
(72)【発明者】
【氏名】コーシー・ロビン
(72)【発明者】
【氏名】エリクソン・アン
【テーマコード(参考)】
4K029
4K031
5F004
【Fターム(参考)】
4K029DE01
4K031AA04
4K031AB02
4K031BA05
4K031CB41
4K031CB42
4K031CB43
4K031FA05
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004BB29
5F004CA04
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネントを提供する。コンポーネント本体は、導電性材料で作製される。コンポーネント本体の表面上に、第1のセラミック材料からなる第1のセラミックコーティングがあり、第1のセラミックコーティングは、コンポーネント本体に隣接する第1の側面およびコンポーネント本体から離れた第2の側面を有し、第1のセラミック材料は誘電体材料である。第1のセラミックコーティングの第2の側面に第2のセラミック材料からなる第2のセラミックコーティングがあり、第1のセラミックコーティングと第2のセラミックコーティングの間に間隙があり、その間隙は、ポリマー材料またはガスの少なくとも1つで充填されており、第2のセラミック材料は、誘電体材料である。
【選択図】
図2D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネントであって、
導電性材料からなるコンポーネント本体と、
前記コンポーネント本体の表面上の、第1のセラミック材料からなる第1のセラミックコーティングであって、前記第1のセラミック材料が、前記コンポーネント本体に隣接する第1の側面と、前記コンポーネント本体から離れた第2の側面を有し、前記第1のセラミック材料は誘電体材料である、第1のセラミックコーティングと、
前記第1のセラミックコーティングの前記第2の側面の、第2のセラミック材料からなる第2のセラミックコーティングであって、前記第1のセラミックコーティングと前記第2のセラミックコーティングの間に間隙があり、前記間隙がポリマー材料またはガスの少なくとも1つにより充填されており、前記第2のセラミック材料が誘電体材料である、第2のセラミックコーティングと
を備える、コンポーネント。
【請求項2】
請求項1に記載のコンポーネントであって、
前記第1のセラミックコーティングおよび前記第2のセラミックコーティングが、アルミナ、イットリア、ジルコニア、安定化ジルコニア、イットリウム・アルミニウム混合物、酸化エルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化セリウム、酸化ガドリニウム、酸化マグネシウムアルミニウムスピネル、および酸化イッテルビウムのうちの少なくとも1つを含む、コンポーネント。
【請求項3】
請求項1に記載のコンポーネントであって、
前記第1のセラミックコーティングと前記第2のセラミックコーティングの間の前記間隙を維持するために、前記第1のセラミックコーティングと前記第2のセラミックコーティングの間に、少なくとも1つの支持体をさらに備える、コンポーネント。
【請求項4】
請求項1に記載のコンポーネントであって、
前記第1のセラミック材料は前記第2のセラミック材料と同じである、コンポーネント。
【請求項5】
プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネント本体をコーティングする方法であって、
第1のセラミックコーティングを前記コンポーネント本体の表面に形成することであって、前記第1のセラミックコーティングは、前記コンポーネント本体に隣接する第1の側面と、前記コンポーネント本体から離れた第2の側面を有しており、前記コンポーネント本体を導電性材料とするとともに、前記第1のセラミックコーティングを誘電体材料とすることと、
前記第1のセラミックコーティングの前記第2の側面に隣接する第1の側面と前記第1のセラミックコーティングから離れた第2の側面を有するポリマー層を、前記第1のセラミックコーティングの前記第2の側面に形成することと、
前記ポリマー層の前記第2の側面に、誘電体材料からなる第2のセラミックコーティングを形成することと
を含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
前記第2のセラミックコーティングの形成後に、前記ポリマー層を除去することをさらに含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記第1のセラミックコーティングは第1のセラミック材料からなり、前記第2のセラミックコーティングは第2のセラミック材料からなるとともに、前記第1のセラミック材料は前記第2のセラミック材料と同じである、方法。
【請求項8】
プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネント本体をコーティングする方法であって、
導電性材料からなる前記コンポーネント本体の表面に、誘電体材料からなるセラミックコーティングを形成することと、
イオン交換プロセスにより、前記セラミックコーティング中に圧縮層を形成することと
を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、
前記圧縮層の前記形成は、前記セラミックコーティングに真空イオン衝撃を与えることを含む、方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、
前記圧縮層の前記形成は、前記セラミックコーティングを、イオン交換を引き起こすために十分な温度の槽の中に前記セラミックコーティングを浸漬すること、または前記セラミックコーティング中にイオンを注入する拡散工程を含む、方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法により作製される、コンポーネント。
【請求項12】
プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネントであって、
導電性材料を含むコンポーネント本体と、
前記コンポーネント本体の表面上にダイヤモンドライクカーボンコーティングと、
前記ダイヤモンドライクカーボンコーティングの上にセラミックコーティングと
を備える、コンポーネント。
【請求項13】
請求項12に記載のコンポーネントであって、
前記セラミックコーティングが、原子層堆積または化学気相堆積の少なくとも1つにより形成される誘電体コーティングである、コンポーネント。
【請求項14】
プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネント本体をコーティングする方法であって、
導電性材料を含む前記コンポーネント本体の表面にダイヤモンドライクカーボンコーティングを形成することと、
前記ダイヤモンドライクカーボンコーティングの上にセラミックコーティングを堆積することと
を含む、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記セラミックコーティングの前記堆積は、原子層堆積または化学気相堆積の少なくとも1つを含む、方法。
【請求項16】
プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネント本体をコーティングする方法であって、
300℃未満の温度で、金属酸化物化学気相堆積またはプラズマ励起気相堆積の少なくとも1つを行うことにより、前記コンポーネント本体の上に金属酸化物コーティングを堆積することを含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記コンポーネント本体はアルミニウムを含み、かつ導電性を有する、方法。
【請求項18】
請求項16に記載の方法により作製される、コンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2019年10月10日に出願された、米国特許出願第62/913,619号の優先権の利益を主張し、上記の出願は参照により、あらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、半導体デバイスの製造に関する。より具体的には、本開示は、半導体デバイスの製造において使用されるチャンバ表面のコーティングに関する。
【背景技術】
【0003】
ここで提供される背景の説明は、本開示の内容を概ね提示することを目的とする。この背景技術のセクションにおける記載のすべて、および記載された説明において存在し得る態様は、明示または暗示を問わず、本出願に関する先行技術として認められない。
【0004】
半導体ウエハを処理する際には、プラズマ処理チャンバを使用して半導体デバイスを処理する。チャンバ表面を保護するために、コーティングが使用される。
【0005】
半導体デバイスの形成においては、プラズマ処理チャンバを用いて基板を処理する。一部のプラズマ処理チャンバは、プラズマ処理チャンバ内のライナ等にアルミニウム合金の部品を有する。このようなコンポーネントは、プラズマの維持に有用な電気的・熱的特性を提供するためにアルミニウムであってもよい。アルミニウムはまた、重量、コストの削減を可能にする。このようなアルミニウム部品は、プラズマ処理中に使用されるプラズマによって腐食する場合がある。アルミニウムのコンポーネントを保護するために、コーティングが使用され得る。
【0006】
プラズマ腐食から保護するために、プラズマ処理チャンバのコンポーネントの上に、セラミックコーティングが形成される。このようなコーティングは、熱膨張率の不整合およびフッ素プラズマへの曝露によるフッ素化のためにストレスに曝され、その結果、部品の故障または部品からの汚染物質の生成をもたらす可能性がある。一般に、アルミニウムESC体の熱膨張率(CTE)は、セラミック保護コーティングの熱膨張率よりも大きい。ESC体と保護コーティングのCTEの違いにより、保護コーティングに亀裂が生じる場合がある。
【発明の概要】
【0007】
前述の課題を解決するため、また本開示の目的に従って、プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネントが提供される。コンポーネント本体は、導電性材料で作製される。コンポーネント本体の表面上に、第1のセラミック材料からなる第1のセラミックコーティングがあり、第1のセラミックコーティングは、コンポーネント本体に隣接する第1の側面と、コンポーネント本体から離れた第2の側面を有し、第1のセラミック材料は誘電体材料である。第2のセラミック材料からなる第2のセラミックコーティングが、第1のセラミックコーティングの第2の側面にあり、第1のセラミックコーティングと第2のセラミックコーティングの間に間隙があり、その間隙はポリマー材料またはガスの少なくとも1つで充填されており、第2のセラミック材料は誘電体材料である。
【0008】
別の態様において、プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネント本体をコーティングする方法が提供される。第1のセラミックコーティングが、コンポーネント本体の表面上に形成され、第1のセラミックコーティングはコンポーネント本体に隣接する第1の側面と、コンポーネント本体から離れた第2の側面を有し、コンポーネント本体は導電性材料からなり、第1のセラミックコーティングは誘電体材料からなる。第1のセラミックコーティングの第2の側面にポリマー層が形成され、ポリマー層は、第1のセラミックコーティングの第2の側面に隣接する第1の側面と、第1のセラミックコーティングから離れた第2の側面を有する。ポリマー層の第2の側面に、第2のセラミックコーティングが形成され、第2のセラミックコーティングは、誘電体材料からなる。
【0009】
別の態様において、プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネント本体をコーティングする方法が提供される。コンポーネント本体の表面にセラミックコーティングが形成され、コンポーネント本体は導電性材料からなり、セラミックコーティングは誘電体材料からなる。イオン交換プロセスにより、セラミックコーティング中に圧縮層が形成される。
【0010】
別の態様において、プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネントが提供される。コンポーネント本体は、導電性材料で作製されている。コンポーネントの表面上に、ダイヤモンドライクカーボンコーティングがある。ダイヤモンドライクカーボンコーティングの上に、セラミックコーティングがある。
【0011】
別の態様において、プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネント本体をコーティングする方法が提供される。ダイヤモンドライクカーボンコーティングがコンポーネント本体の表面上に形成され、コンポーネント本体は、導電性材料からなる。セラミックコーティングが、ダイヤモンドライクカーボンコーティングの上に堆積される。
【0012】
別の態様において、プラズマ処理チャンバで使用するためのコンポーネント本体をコーティングする方法が提供される。300℃未満の温度で、金属酸化物化学気相堆積またはプラズマ励起気相堆積の少なくとも1つを行うことにより、コンポーネント本体の上に金属酸化物コーティングが堆積される。
【0013】
本開示のこれらおよび他の特徴を、以下の本開示の詳細な説明および以下の図面と合わせて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
限定するためではなく、例示のために示される以下の添付図面において、本開示を説明する。なお、図中の同様の参照番号は、同様の要素を指す。
【0015】
【
図1】
図1は、実施形態の高レベルのフローチャートである。
【0016】
【0017】
【
図3】
図3は、実施形態において使用され得るプラズマ処理システムの概略図である。
【0018】
【
図4】
図4は、別の実施形態の高レベルのフローチャートである。
【0019】
【0020】
【
図6】
図6は、別の実施形態の高レベルのフローチャートである。
【0021】
【0022】
【
図8】
図8は、別の実施形態の高レベルのフローチャートである。
【0023】
【
図9】
図9は、
図8に示す実施形態に従って処理される基板の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示を、添付の図面に示されているいくつかの好ましい実施形態を参照しながら、詳細に説明する。以下の説明において、本開示を完全に理解できるように多くの具体的な詳細を記載する。しかしながら、これらの具体的な詳細の一部またはすべてがなくとも、本開示が実施され得ることが、当業者には明らかである。他の例では、本開示を不必要に曖昧にしないために、周知のプロセス工程および/または構造は、詳細には記載されていない。
【0025】
プラズマ処理チャンバ内の静電チャック(ESC)において、プラズマ条件によってESCの腐食が引き起こされる。ESCの表面に、保護コーティングを施すことができる。通常、セラミック保護コーティングよりもアルミニウムESC体の方が、熱膨張率(CTE)が大きい。ESC体と保護コーティングのCTEの違いにより、保護コーティングに亀裂が生じる場合がある。
【0026】
改善された保護コーティングを提供するための、いくつかの実施形態が提供される。実施形態を理解しやすくするために、
図1はコンポーネント本体をコーティングする実施形態で使用されるプロセスの高レベルのフローチャートを示す。コンポーネント本体を設置する(工程104)。この例では、コンポーネント本体は、表面が陽極酸化処理されたアルミニウムなど、導電性の材料で作製されている。セラミック材料からなる第1のセラミックコーティングを、コンポーネント本体の表面に施す(工程108)。
図2Aは、表面に第1のセラミックコーティング208を有するコンポーネント本体204の部分概略断面図である。この実施形態では、第1のセラミックコーティング208が、溶射堆積により堆積される。他の実施形態では、第1のセラミックコーティングはプラズマ気相堆積(PVD)、化学気相堆積(CVD)またはエアロゾル堆積により、堆積され得る。この実施形態では、セラミック材料は、イットリアである。コンポーネント本体204は、第1のセラミックコーティング208の第1の側面にある。
【0027】
溶射は、プラズマ溶射、アーク溶射、フレーム/燃焼溶射およびサスペンション溶射などの様々なコーティングプロセスの説明に使用される、一般的な用語である。すべての溶射はエネルギーを使用して固体を加熱し、溶融または可塑化状態にする。溶融または可塑化材料は、基板の表面をコーティングするために、基板に向かって加速され、その後冷却される。これらのプロセスは、溶融材料の代わりに気化された材料を使用する気相堆積プロセスとは異なっている。この実施形態では、セラミックコーティングの厚さは25~500ミクロンである。第1のセラミックコーティングは、0.5%~20%の範囲の空隙率を有する。本明細書および特許請求の範囲では、空隙率は、標準試験法ASTM E2109-01(2014)に従って測定される。
【0028】
ポリマー材料からなるポリマー層が、第1のセラミックコーティング208の上に堆積される。ポリマーは、原子層堆積(ALD)、化学気相堆積(CVD),プラズマ気相堆積(PVD)、プラズマ励起気相堆積(PEVD)、スピンオンプロセス、または他のポリマー堆積方法のうち少なくとも1つにより堆積され得る。
図2Bは、ポリマー層212が堆積された後の、第1のセラミックコーティング208を有するコンポーネント本体204の部分概略断面図である。この実施形態では、ポリマー層212がパリレンから形成されている。この実施形態では、ポリマー層212は25~500ミクロンの厚さを有する。
【0029】
セラミック材料からなる第2のセラミックコーティングを、ポリマー層212の上に堆積する(工程116)。この実施形態では、第2のセラミックコーティングは、化学気相堆積(CVD)により堆積される。他の実施形態では、第2のセラミックコーティングは、プラズマ気相堆積(PVD)またはエアロゾル堆積により、堆積され得る。この実施形態では、セラミック材料はイットリアである。この実施形態では、第2のセラミックコーティングの厚さは25~500ミクロンである。第2のセラミックコーティングは、0.5%未満の空隙率を有する。
【0030】
図2Cは、第2のセラミックコーティング216を堆積した(工程116)後の、コンポーネント本体204の部分概略断面図である。この例では、第2のセラミックコーティング216がポリマー層212を囲み、第1のセラミックコーティング208まで延びている。
【0031】
ポリマー層212を除去する(工程120)。この実施形態では、酸素を含む燃焼ガスが提供される。燃焼ガスはプラズマに変換される。プラズマが燃焼してポリマー層212を除去し、空隙が残される。
図2Dは、ポリマー層212が燃焼した(工程120)後、間隙220が残されたコンポーネント本体204の部分概略断面図である。他の実施形態では、ポリマー層212は融解する。
【0032】
コンポーネントを、プラズマ処理チャンバの一部として実装する(工程124)。この実施形態では、コンポーネントは静電チャック(ESC)である。
図3は、基板をプラズマ処理するためのプラズマ処理チャンバ300の概略図であり、実施形態においてコンポーネントが設置され得る。1つまたは複数の実施形態において、プラズマ処理チャンバ300は、チャンバ壁350により囲まれたプラズマ処理チャンバ304内に、ガス入口を備えたガス分配プレート306とESCコンポーネント316を含む。プラズマ処理チャンバ304内で、ESCコンポーネント316の上面に、基板307が配置される。ESCコンポーネント316は、ESC電源348からのバイアスを供給し得る。ガス源310は、ガス分配プレート306を介してプラズマ処理チャンバ304に接続される。ESC温度コントローラ351がESCコンポーネント316に接続され、ESCコンポーネント316の温度制御を行う。高周波(RF)電源330が、ESCコンポーネント316および上部電極にRF電力を提供する。この実施形態では、上部電極はガス分配プレート306である。好ましい実施形態では、400キロヘルツ(kHz)、13.56メガヘルツ(MHz)、1MHz、2MHz、60MHzおよび/または任意選択で27MHzの電源が、RF電源330およびESC電源348を構成する。コントローラ335がRF電源330、ESC電源348、排気ポンプ320およびガス源310に、制御可能に接続される。高流量ライナ360は、プラズマ処理チャンバ304内のライナであり、溝362を有する構造であり、ガス源からのガスを閉じ込める。溝362は、ガス源310から排気ポンプ320にガスを通過させるように制御されたガス流量を維持する。このようなプラズマ処理チャンバの一例としては、Lam Research Corporation(Fremont、CA)製のFlex(登録商標)エッチングシステムがある。様々な実施形態において、処理チャンバはCCP(容量結合プラズマ)反応器またはICP(誘導結合プラズマ)反応器であってもよい。
【0033】
プラズマ処理チャンバ304は、ESCコンポーネント316を用いて基板307をプラズマ処理する(工程128)。プラズマ処理は、エッチング、堆積、不動態化または別のプラズマ処理の1つまたは複数であってよい。プラズマ処理は、非プラズマ処理と組み合わせて行ってもよい。このような処理では、ESCコンポーネント316をハロゲンおよび/または酸素を含むプラズマに曝露してもよい。
【0034】
プラズマ処理チャンバ304の様々なコンポーネントには、溶射またはプラズマ噴霧プロセスにより堆積された酸化アルミニウムや酸化イットリウムなどの誘電体材料でコーティングされた、導電性の金属母材を使用する。このようなコンポーネントは、ESCのピナクル(登録商標)およびライナ、ならびにガス分配プレート306などを含む。
【0035】
誘電体コーティングに欠陥がないことは、電気的スタンドオフおよび耐薬品性の両方を維持するために、きわめて重要である。誘電体セラミックコーティングが厚くなると、亀裂がより生じやすくなる。誘電体セラミックコーティングが薄くなると、プラズマ処理チャンバ304が使用する電圧によって生じる損傷を防ぐための十分な絶縁性を提供できない。第1のセラミックコーティング208と第2のセラミックコーティング216の2つの薄いセラミックコーティングを使用することにより、より厚いセラミックコーティングと比較して、亀裂を低減できる。さらに、間隙220によって第1のセラミックコーティング208および第2のセラミックコーティング216は、より高い絶縁耐力が与えられ、スタンドオフ電圧を増加させ、電気的損傷を低減させる。
【0036】
他の実施形態では、ポリマー層212を除去した後、壁、プラグ、またはピラーを用いて、第1のセラミックコーティング208と第2のセラミックコーティング216を分離できる。他の実施形態では、他の方法を用いて、支持体を設置することにより間隙220を作成できる。例えば、ポリマー層がリングをポリマーで充填する前に、第1のセラミックコーティング上にリングを配置してもよい。間隙220を、エアーギャップとして作用するように空気で充填してもよい。
【0037】
他の実施形態では、ポリマー層212は、燃えてなくならない。ポリマー層212は、第1のセラミックコーティング208および第2のセラミックコーティング216よりも高い絶縁耐力を有する。しかし、ポリマー層212はプラズマにより急速に腐食する。そのため、第2のセラミックコーティング216がポリマー層を覆い、プラズマから保護する。このような実施形態は、向上したスタンドオフ電圧と向上した断熱性を提供し得る。
【0038】
様々な実施形態において、第1のセラミックコーティング208と第2のセラミックコーティング216は、アルミナ、イットリア、ジルコニア、安定化ジルコニア、イットリウム・アルミニウム混合物(イットリウムアルミニウムガーネットなど)または酸化マグネシウムアルミニウム(MgAl2O4)スピネルから形成されてもよい。他の実施形態では、第1のセラミックコーティング208と第2のセラミックコーティング216は、酸化エルビウム、酸化ジスプロシウム、酸化セリウム、酸化ガドリニウム、および酸化イッテルビウムなどの希土類材料から形成されてもよい。いくつかの実施形態では、第1のセラミックコーティング208は、第2のセラミックコーティング216と同じ材料からなる。第1のセラミックコーティング208と第2のセラミックコーティング216が同じ材料からなる場合、第1のセラミックコーティング208と第2のセラミックコーティングは、同じCTEを有する。
【0039】
図4は、別の実施形態の高レベルのフローチャートである。コンポーネント本体を設置する(工程404)。コンポーネント本体は、導電性材料から作製される。セラミックコーティングは、コンポーネント本体の表面に堆積される(工程408)。
図5Aは、セラミックコーティング508がコンポーネント本体504の表面に堆積された(工程408)後の、コンポーネント本体504の概略断面図である。この実施形態では、コンポーネント本体は、表面が陽極酸化処理されたアルミニウムである。この例では、溶射プロセスを用いて、アルミナのセラミックコーティングが堆積される。
【0040】
イオン交換プロセスにより、セラミックコーティング508中に、圧縮層が形成される(工程412)。この例では、セラミックコーティング508に真空イオン衝撃を与えることにより、イオン交換が行われる。イオン衝撃は、イオンのプラズマにバイアスを与えることにより、行われてもよい。バイアスはイオンを加速させ、セラミックコーティング508中にイオンを注入する。
図5Bは、セラミックコーティング508中に圧縮層512が形成された(工程412)後のコンポーネント本体504の概略断面図である。イオンはより多くの空間を取り込み、圧縮を引き起こす。コンポーネントを、プラズマ処理チャンバ300の一部として実装する(工程416)。コンポーネントを、プラズマ処理チャンバ300内で使用する(工程420)。セラミックコーティング508は、圧縮層512により硬化し、取り扱いおよび温度サイクリング中にストレスにより生じる亀裂に対して、より耐性を有し得ることが見出された。したがって、圧縮層512は高温によって引き起こされる亀裂の防止に役立つ。
【0041】
他の実施形態では、イオン交換を行うために、槽を使用してもよい。イオン交換を促進するために、特定の温度を超える槽温度を使用してもよい。イオン交換槽は、セラミックコーティング508の融点未満の温度の、溶融塩槽であってもよい。セラミックコーティング508のアルカリイオンを、圧縮応力を引き起こす槽からの、より大量のイオンと交換してもよい。他の実施形態では、圧縮層512を形成するために、拡散工程を使用してもよい。
【0042】
図6は、別の実施形態の高レベルのフローチャートである。コンポーネント本体を設置する(工程604)。この実施形態では、コンポーネント本体は、アルミニウムなどの導電性材料からなる。ダイヤモンドライクコーティングが、コンポーネント本体の表面に形成される(工程608)。ダイヤモンドライクコーティングを堆積するプロセスの一例では、熱と圧力の組み合わせを用いて、sp
2結合により結合している炭素を、十分に圧縮してsp
3炭素結合を生成する。この実施形態では、ダイヤモンドライクコーティングは、非晶質炭素材料であり、ダイヤモンドの一部の特性を示す。ダイヤモンドライクカーボンという用語は、当技術分野で公知である。
図7Aは、コンポーネント本体704の表面にダイヤモンドライクカーボン層708が堆積された後の、コンポーネント本体704の概略部分断面図である。
【0043】
セラミックコーティングが、ダイヤモンドライクカーボン層708の上に形成される(工程612)。実施形態では、セラミックコーティングが、原子層堆積または化学気相堆積により形成される。
図7Bは、セラミックコーティング712がダイヤモンドライクカーボン層708の上に形成された後の、コンポーネント本体704の概略断面図である。コンポーネントを、プラズマ処理チャンバ300に実装する(工程616)。コンポーネントは、プラズマ処理チャンバ内で使用される(工程624)。
【0044】
ダイヤモンドライクカーボン層708は、高い絶縁耐力および高い物理的強度を有する。しかし、ダイヤモンドライクカーボン層708は、酸素またはハロゲンを含有するプラズマにより腐食する。そのため、ダイヤモンドライクカーボン層708を、酸素またはハロゲンを含有するプラズマによる腐食から保護するために、セラミックコーティング712が設けられる。セラミックコーティング712は、薄くてもよい。より非多孔質のセラミックコーティング712が望ましい。原子層堆積または化学気相堆積により形成されるセラミックコーティングは、そのような特性を有する。この実施形態では、第2のセラミックコーティングの厚さは、100ナノメートル~500ミクロンである。第2のセラミックコーティングは、0.5%未満の空隙率を有する。
【0045】
図8は、別の実施形態の高レベルのフローチャートである。コンポーネント本体を設置する(工程804)。この例では、コンポーネント本体はアルミニウムである。金属酸化物コーティングが、コンポーネント本体の表面に堆積される(工程808)。この例では、金属酸化物コーティングは酸化アルミニウム(Al
2O
3)である。コンポーネント本体を酸化させる代わりに、金属酸化物が、低温での金属酸化物化学気相堆積(MOCVD)またはプラズマ励起気相堆積(PECVD)により堆積される。この実施形態では、金属酸化物の形成は、300℃未満の温度で行われる。他の実施形態では、金属酸化物の形成は200℃未満の温度で行われる。他の実施形態では、金属酸化物の形成は100℃未満の温度で行われる。
図9は、金属酸化物コーティング908を有するコンポーネント本体904の概略断面図である。コンポーネントは、プラズマ処理チャンバ300内に実装される(工程812)。コンポーネントは、プラズマ処理チャンバ300内で使用される(工程816)。
【0046】
本開示を、いくつかの好ましい実施形態により説明してきたが、本開示の範囲内にある変更、置き換え、修正、および様々な代替の同等物が存在する。また、本開示の方法および装置を実施するための多くの代替の方法があることにも、留意されたい。そのため、以下の添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神および範囲内にあるそのような変更、置き換え、および様々な代替の同等物を含むと解釈されることが意図される。
【国際調査報告】