(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物及びその外装材
(51)【国際特許分類】
C08L 25/04 20060101AFI20221223BHJP
C08L 33/08 20060101ALI20221223BHJP
C08L 77/00 20060101ALI20221223BHJP
C08L 51/06 20060101ALI20221223BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20221223BHJP
E04F 13/08 20060101ALI20221223BHJP
E04F 15/02 20060101ALI20221223BHJP
【FI】
C08L25/04
C08L33/08
C08L77/00
C08L51/06
C08K3/013
E04F13/08 A
E04F15/02 A
E04F15/02 J
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525078
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(85)【翻訳文提出日】2022-04-27
(86)【国際出願番号】 KR2020018191
(87)【国際公開番号】W WO2022019407
(87)【国際公開日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】10-2020-0091648
(32)【優先日】2020-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】デウン・スン
(72)【発明者】
【氏名】テ・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】チュン・ホ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨン・ヒ・アン
(72)【発明者】
【氏名】ワンレ・ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ホ・フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジョンミン・ジャン
【テーマコード(参考)】
2E110
2E220
4J002
【Fターム(参考)】
2E110AA41
2E110AA57
2E110AB02
2E110AB05
2E110AB22
2E110GB43W
2E110GB55W
2E220AA33
2E220AA51
2E220GB33X
2E220GB39X
4J002BC06W
4J002BN12X
4J002CL01X
4J002CL03X
4J002CL05Y
4J002DA026
4J002DA036
4J002DE106
4J002DE136
4J002FD096
4J002GL00
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその外装材に関し、より詳細には、DLS平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴムをスチレン系樹脂の総重量に対して5~30重量%含むスチレン系樹脂90~99.5重量%と;ポリアミド樹脂0.5~10重量%とを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物及びその外装材に関する。
本発明によれば、従来のASA樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れた低光沢熱可塑性樹脂組成物及びその外装材を提供する効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DLS平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴムをスチレン系樹脂の総重量に対して5~30重量%含むスチレン系樹脂90~99.5重量%と、ポリアミド樹脂0.5~10重量%とを含むことを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
下記式1で計算される換算体積(reduced volume)が15~40であることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物:
[式1]
換算体積=[1/6Π(R
A)
3(A/A+B+C)+1/6Π(R
B)
3(B/A+B+C)+1/6Π(R
C)
3(C/A+B+C)]/[1/6(R
C)
3]
(前記式1において、R
Aは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も大きい平均粒径を有するゴムの平均粒径(nm)であり、前記R
Bは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で中間サイズの平均粒径を有するゴムの平均粒径(nm)であり、前記R
Cは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も小さい平均粒径を有するゴムの平均粒径(nm)であり、前記Aは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も大きい平均粒径を有するグラフト重合体の重量%であり、前記Bは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で中間サイズの平均粒径を有するグラフト重合体の重量%であり、前記Cは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も小さい平均粒径を有するグラフト重合体の重量%である)。
【請求項3】
オプティカルプロファイラーシステムにより5ポイントを測定して平均した表面粗さ(Ra)が2.2以下であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記スチレン系樹脂は、第1スチレン系樹脂、第2スチレン系樹脂及び第3スチレン系樹脂からなる群から選択された2種以上を含み、
前記第1スチレン系樹脂は、平均粒径0.25~0.32μmのアクリレートゴムを30~50重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体であり、
前記第2スチレン系樹脂は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体であり、
前記第3スチレン系樹脂は、i)DLS平均粒径0.05~0.2μm又はTEM平均粒径0.04~0.14μmのアクリレートゴムを45~65重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、ii)DLS平均粒径0.33~0.5μm又はTEM平均粒径0.28~0.45μmのアクリレートゴムを45~65重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、iii)耐熱スチレン系樹脂、及びiv)メタクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体からなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記スチレン系樹脂は、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して、第1スチレン系樹脂20~50重量%、第2スチレン系樹脂10~60重量%及び第3スチレン系樹脂1~30重量%を含むことを特徴とする、請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
熱可塑性樹脂組成物の総100重量部に無機顔料を0.1~5重量部で含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記熱可塑性樹脂組成物は、フィルムグロス(film gloss)が15以下である艶消し熱可塑性樹脂組成物であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記第1スチレン系樹脂は、DLS平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴム30~50重量%、芳香族ビニル化合物40~60重量%及びビニルシアン化合物8~18重量%を含んでなるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記第2スチレン系樹脂は、芳香族ビニル化合物65~80重量%及びビニルシアン化合物20~35重量%を含んでなる芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体であることを特徴とする、請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
前記第2スチレン系樹脂は、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して、a)重量平均分子量が90,000~150,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体10~60重量%、及びb)重量平均分子量が150,000g/mol超、200,000g/mol以下である芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体0~40重量%を含むことを特徴とする、請求項4、5又は9に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
前記i)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、DLS平均粒径0.05~0.2μm又はTEM平均粒径0.04~0.14μmのアクリレートゴム45~65重量%、芳香族ビニル化合物25~45重量%及びビニルシアン化合物8~18重量%を含んでなり、
前記ii)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、DLS平均粒径0.33~0.5μm又はTEM平均粒径0.28~0.45μmのアクリレートゴム45~65重量%、芳香族ビニル化合物25~45重量%及びビニルシアン化合物8~18重量%を含んでなり、
前記iii)耐熱スチレン系樹脂は、α-メチルスチレン63~73重量%、スチレン0~10重量%及びビニルシアン化合物25~33重量%を含んでなり、
前記iv)メタクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、メタクリレート系単量体60~80重量%、芳香族ビニル化合物10~30重量%及びビニルシアン化合物5~10重量%を含んでなることを特徴とする、請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
前記i)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は1~20重量%含まれ、前記ii)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は1~20重量%含まれ、前記iii)耐熱スチレン系樹脂は1~25重量%含まれ、前記iv)メタクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は5~30重量%含まれることを特徴とする、請求項4、5又は11に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項13】
前記ポリアミド樹脂は、ポリアミド6、ポリアミド66(PA6.6)、ポリアミド46、ポリアミドll、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6/66、ポリアミド6/612、ポリアミドMXD6、ポリアミド6/MXD6、ポリアミド66/MXD6、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド6/6T、ポリアミド6/6I、ポリアミド66/6T、ポリアミド66/6I、ポリアミド6/6T/6I、ポリアミド66/6T/6I、ポリアミド9T、ポリアミド9I、ポリアミド6/9T、ポリアミド6/9I、ポリアミド66/9T、ポリアミド6/12/9T、ポリアミド66/12/9T、ポリアミド6/12/9I及びポリアミド66/12/6Iからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする、外装材。
【請求項15】
前記外装材は、サイディング(siding)材料、屋根(roofing)材料またはデッキング(decking)材料であることを特徴とする、請求項14に記載の外装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2020年07月23日付の韓国特許出願第10-2020-0091648号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物及びその外装材に関し、より詳細には、従来のASA系樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、低い光沢及び表面の質感の向上により感性品質が優れた低光沢熱可塑性樹脂組成物及びその外装材に関する。
【背景技術】
【0003】
アクリレート化合物-スチレン-アクリロニトリル共重合体(以下、「ASA樹脂」という)は、耐候性、耐老化性、耐化学性、剛性、耐衝撃性及び加工性をすべて備えており、用途が多様であるため、自動車、雑貨及び建材分野などで広範囲に用いられる。
【0004】
外装材分野においてASA樹脂の場合、人為的なプラスチック感から脱した感性樹脂に対するニーズを満たし得る低光沢ASA樹脂に対する開発の必要性が増大している。
【0005】
前記低光沢ASA樹脂として従来にはナイロンなどの結晶性樹脂を用いて低い光沢は実現したが、表面の質感及び感性品質などの向上には限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2009-0095764号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の従来技術の問題点を解決するために、本発明は、従来のASA樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れた低光沢熱可塑性樹脂組成物及びその外装材を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の上記目的及びその他の目的は、以下で説明する本発明によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、DLS平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴムをスチレン系樹脂の総重量に対して5~30重量%含むスチレン系樹脂90~99.5重量%と;ポリアミド樹脂0.5~10重量%とを含むことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0010】
また、本発明は、アクリレートゴムをスチレン系樹脂の総重量に対して5~30重量%含むスチレン系樹脂90~99.5重量%と;ポリアミド樹脂0.5~10重量%とを含み、
下記式1で計算される換算体積(reduced volume)が15~40であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0011】
[式1]
換算体積=[1/6Π(RA)3(A/A+B+C)+1/6Π(RB)3(B/A+B+C)+1/6Π(RC)3(C/A+B+C)]/[1/6(RC)3]
【0012】
ここで、RAは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も大きい平均粒径を有するゴムの平均粒径(nm)であり、前記RBは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で中間サイズの平均粒径を有するゴムの平均粒径(nm)であり、前記RCは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も小さい平均粒径を有するゴムの平均粒径(nm)である。また、Aは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も大きい平均粒径を有するグラフト重合体の重量%であり、前記Bは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で中間サイズの平均粒径を有するグラフト重合体の重量%であり、前記Cは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も小さい平均粒径を有するグラフト重合体の重量%である。
【0013】
前記Bは、本発明の樹脂組成物中に中間サイズの平均粒径を有するゴムを含まない場合に“0”値を有する。
【0014】
参考に、体積は、下記式2で定義することができる。
【0015】
[式2]
体積=4/3Πr3=1/6ΠR3
(式2において、rは半径であり、Rは直径である。)
【0016】
前記スチレン系樹脂は、好ましくは、第1スチレン系樹脂、第2スチレン系樹脂及び第3スチレン系樹脂からなる群から選択された2種以上を含み、第1スチレン系樹脂は、好ましくは、平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴムを30~50重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体であり、第2スチレン系樹脂は、好ましくは、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体であり、第3スチレン系樹脂は、好ましくは、i)DLS平均粒径0.05~0.2μm又はTEM平均粒径0.04~0.14μmのアクリレートゴムを45~65重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、ii)DLS平均粒径0.33~0.5μm又はTEM平均粒径0.28~0.45μmのアクリレートゴムを45~65重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、iii)耐熱スチレン系樹脂、及びiv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体からなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0017】
前記スチレン系樹脂は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して、第1スチレン系樹脂20~50重量%、第2スチレン系樹脂10~60重量%及び第3スチレン系樹脂1~30重量%を含むことができる。
【0018】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、換算体積(reduced volume)が15~40であってもよい。
【0019】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、熱可塑性樹脂組成物の総100重量部に無機顔料を0.1~5重量部で含むことができる。
【0020】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、オプティカルプロファイラーシステムにより5ポイントを測定して平均した表面粗さ(Ra)が2.2以下であってもよい。
【0021】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、60°フィルムグロス(film gloss)が15以下である艶消し熱可塑性樹脂組成物であってもよい。
【0022】
前記第1スチレン系樹脂は、好ましくは、DLS平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴム30~50重量%、芳香族ビニル化合物40~60重量%及びビニルシアン化合物8~18重量%を含んでなるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体であってもよい。
【0023】
前記第2スチレン系樹脂は、好ましくは、芳香族ビニル化合物65~80重量%及びビニルシアン化合物20~35重量%を含んでなる芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体であってもよい。
【0024】
前記第2スチレン系樹脂は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して、a)重量平均分子量が90,000~160,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体10~60重量%、及びb)重量平均分子量が160,000g/mol超、200,000g/mol以下である芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体0~40重量%を含むことができ、このような場合、機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れるという効果がある。
【0025】
前記i)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、好ましくは、DLS平均粒径0.05~0.2μm又はTEM平均粒径0.04~0.14μmのアクリレートゴム45~65重量%、芳香族ビニル化合物25~45重量%及びビニルシアン化合物8~18重量%を含んでなり、前記ii)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、好ましくは、DLS平均粒径0.33~0.5μm又はTEM平均粒径0.28~0.45μmのアクリレートゴム40~60重量%、芳香族ビニル化合物25~45重量%及びビニルシアン化合物10~20重量%を含んでなり、前記iii)耐熱スチレン系樹脂は、好ましくは、α-メチルスチレン63~73重量%、スチレン0~10重量%及びビニルシアン化合物25~33重量%を含んでなり、前記iv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体は、好ましくは、メタクリレート系単量体65~85重量%、芳香族ビニル化合物10~30重量%及びビニルシアン化合物5~10重量%を含んでなることができる。
【0026】
前記i)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、好ましくは1~20重量%含まれ、前記ii)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、好ましくは1~20重量%含まれ、前記iii)耐熱スチレン系樹脂は、好ましくは1~25重量%含まれ、前記iv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体は、好ましくは5~30重量%含まれてもよい。
【0027】
前記ポリアミド樹脂は、好ましくは、ポリアミド6、ポリアミド6.6、またはこれらの混合物であってもよい。
【0028】
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする外装材を提供する。
【0029】
前記外装材は、好ましくは、サイディング(siding)材料、屋根(roofing)材料、またはデッキング(decking)材料であってもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、従来のASA樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れた低光沢熱可塑性樹脂組成物及びその外装材を提供する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】実施例で使用したフィルム押出機を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその外装材を詳細に説明する。
【0033】
本発明者らは、ASA樹脂及びポリアミド樹脂を含む低光沢ASA樹脂組成物の感性品質を改善するために鋭意努力した結果、所定の粒径範囲の中粒径のASA樹脂などを所定の含量で投入する場合、従来のASA樹脂組成物と比較して機械的物性、耐候性及び加工性などが低下しないながらも、光沢が低くかつ均一であり、表面の質感がプラスチック感とは異なって自然で高級なことを確認し、これに基づいてさらに研究に邁進して本発明を完成するようになった。
【0034】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、DLS平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴムをスチレン系樹脂の総重量に対して5~30重量%含むスチレン系樹脂90~99.5重量%と;ポリアミド樹脂0.5~10重量%とを含むことを特徴とし、このような場合、従来のASA系樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れた低光沢熱可塑性樹脂組成物及びその外装材を提供するという利点がある。
【0035】
前記DLS平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴムは、好ましくは、スチレン系樹脂の総重量に対して10~25重量%、より好ましくは10~20重量%、さらに好ましくは12~18重量%、最も好ましくは14~16重量%含まれてもよく、この範囲内で、機械的物性、加工性及び着色性を満たしながら、光沢が低く、柔らかさ及び高級感などの感性品質が優れるという効果がある。
【0036】
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成する各成分を詳細に説明すると、次の通りである。
【0037】
<スチレン系樹脂>
本発明のスチレン系樹脂は、好ましくは、第1スチレン系樹脂、第2スチレン系樹脂及び第3スチレン系樹脂からなる群から選択された2種以上を含むことができ、より好ましくは、第1スチレン系樹脂、第2スチレン系樹脂及び第3スチレン系樹脂を含むことができる。
【0038】
本発明において、‘スチレン系樹脂’は、本発明の属する技術分野で通常認められるスチレン系樹脂の定義に従い、一例として、芳香族ビニル化合物由来の単位を含む樹脂を意味することができる。
【0039】
前記スチレン系樹脂は、好ましくは90~99重量%、より好ましくは90~97重量%、さらに好ましくは90~65重量%、最も好ましくは94~95重量%であり、この範囲内で、耐候性、耐老化性、耐化学性、剛性、耐衝撃性及び加工性がいずれも優れるという効果がある。
【0040】
前記第1スチレン系樹脂は、好ましくは、DLS平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴムを30~50重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体であり、前記第2スチレン系樹脂は、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体であり、前記第3スチレン系樹脂は、i)DLS平均粒径0.05~0.2μm又はTEM平均粒径0.04~0.14μmのアクリレートゴムを40~60重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、ii)DLS平均粒径0.33~0.5μm又はTEM平均粒径0.28~0.45μmのアクリレートゴムを40~60重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、iii)耐熱スチレン系樹脂、及びiv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体からなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0041】
また、前記スチレン系樹脂は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して、第1スチレン系樹脂20~50重量%、第2スチレン系樹脂10~60重量%及び第3スチレン系樹脂1~30重量%を含むことができる。
【0042】
第1スチレン系樹脂
本発明の第1スチレン系樹脂は、好ましくは、平均粒径0.25~0.32μmのアクリレートゴムを30~50重量%、より好ましくは35~45重量%、さらに好ましくは37~42重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体であり、この範囲内で、従来のASA系樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れるという利点がある。
【0043】
前記アクリレートゴムは、好ましくはDLS平均粒径が0.25~0.32μm、より好ましくは0.25~0.30μm、さらに好ましくは0.26~0.30μm、最も好ましくは0.26~0.29μmであり、この範囲内で、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れるという効果がある。
【0044】
前記アクリレートゴムは、好ましくはTEM平均粒径が0.2~0.27μmであり、この範囲内で、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れるという効果がある。
【0045】
前記第1スチレン系樹脂は、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して、好ましくは25~50重量%、より好ましくは25~45重量%、さらに好ましくは30~45重量%、最も好ましくは30~42重量%であり、この範囲内で、従来のASA系樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れるという利点がある。
【0046】
前記第1スチレン系樹脂は、好ましくは、平均粒径0.25~0.32μmのアクリレートゴム30~50重量%、芳香族ビニル化合物40~60重量%及びビニルシアン化合物10~20重量%を含んでなるアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体であってもよく、この場合、機械的物性及び加工性を満たすと共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れるという効果がある。
【0047】
本発明において、平均粒径は、別途に定義しない限り、DLS平均粒径を意味する。
【0048】
前記芳香族ビニル化合物は、好ましくは、前記アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体の総重量に対して40~55重量%、より好ましくは40~50重量%、さらに好ましくは45~50重量%であり、この範囲内で、加工性及び機械的物性に優れるという効果がある。
【0049】
前記ビニルシアン化合物は、好ましくは、前記アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体の総重量に対して10~18重量%、より好ましくは10~15重量%、さらに好ましくは11~13重量%であり、この範囲内で、加工性及び機械的物性に優れるという効果がある。
【0050】
第2スチレン系樹脂
本発明の第2スチレン系樹脂は、好ましくは、芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体であり、この場合、機械的物性及び加工性に優れるという効果がある。
【0051】
前記第2スチレン系樹脂は、好ましくは、芳香族ビニル化合物65~80重量%及びビニルシアン化合物20~35重量%を含んでなる芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体であってもよく、この範囲内で、機械的物性及び加工性に優れるという効果がある。
【0052】
前記第2スチレン系樹脂は、好ましくは20~60重量%、より好ましくは30~60重量%、さらに好ましくは40~60重量%、最も好ましくは41~56重量%であり、この範囲内で、機械的物性及び加工性に優れるという効果がある。
【0053】
前記第2スチレン系樹脂は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して、a)重量平均分子量が90,000~160,000g/molである芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体10~60重量%、及びb)重量平均分子量が160,000g/mol超~200,000g/mol以下である芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体0~40重量%を含むことができ、この範囲内で、引張強度及び衝撃強度などに優れるという効果がある。
【0054】
より具体的な例として、前記第2スチレン系樹脂は、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して、a)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体10~30重量%、好ましくは15~25重量%、及びb)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体25~45重量%、好ましくは30~40重量%を含むことができ、この範囲内で、加工性、引張強度及び衝撃強度などに優れるという効果がある。
【0055】
前記芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、好ましくはスチレン-アクリロニトリル共重合体であってもよく、この場合、機械的強度及び加工性に優れるという利点がある。
【0056】
前記第2スチレン系樹脂は、一例として、懸濁重合、乳化重合、溶液重合または塊状重合で製造されてもよく、この場合、加工性及び流動性などに優れるという効果がある。
【0057】
前記懸濁重合、乳化重合、溶液重合及び塊状重合は、それぞれ、本発明の属する技術分野で通常行われる溶液重合及び塊状重合方法による場合、特に制限されない。
【0058】
第3スチレン系樹脂
本発明の第3スチレン系樹脂は、好ましくは、i)DLS平均粒径0.05~0.2μm又はTEM平均粒径0.04~0.14μmのアクリレートゴムを45~65重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、ii)DLS平均粒径0.33~0.5μm又はTEM平均粒径0.28~0.45μmのアクリレートゴムを45~65重量%含むアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体、iii)耐熱スチレン系樹脂、及びiv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体からなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0059】
前記第3スチレン系樹脂は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物の総重量に対して1~20重量%、より好ましくは3~20重量%、さらに好ましくは5~20重量%であり、この範囲内で、機械的物性、加工性、耐熱度及び表面の質感に優れるという効果がある。
【0060】
i)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体
前記i)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、好ましくは、DLS平均粒径0.05~0.2μm又はTEM平均粒径0.04~0.14μmのアクリレートゴム45~65重量%、芳香族ビニル化合物25~45重量%及びビニルシアン化合物8~18重量%を含んでなり、この範囲内で、耐候性、流動性、加工性、着色性、引張強度及び衝撃強度に優れるという効果がある。
【0061】
好ましい例として、前記i)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、アクリレートゴム45~65重量%、芳香族ビニル化合物30~40重量%及びビニルシアン化合物10~20重量%を含んでなることができ、この範囲内で、耐候性、流動性、引張強度及び衝撃強度に優れるという効果がある。
【0062】
本発明において、ある化合物を含んでなる重合体とは、その化合物を含んで重合された重合体を意味するもので、重合された重合体内の単位体がその化合物に由来する。
【0063】
前記i)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、一例として乳化重合で製造されてもよく、この場合、耐化学性、耐候性、流動性、引張強度及び衝撃強度に優れるという効果がある。
【0064】
前記乳化重合は、本発明の属する技術分野で通常行われる乳化グラフト重合方法による場合、特に制限されない。
【0065】
本発明において、アクリレートは、一例として、アルキル基の炭素数が2~8個であるアルキルアクリレートからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、アルキル基の炭素数が4~8個であるアルキルアクリレートであり、さらに好ましくは、ブチルアクリレートまたはエチルヘキシルアクリレートであってもよい。
【0066】
本発明において、芳香族ビニル化合物は、一例として、スチレン、α-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン及びp-tert-ブチルスチレンからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはスチレンである。
【0067】
本発明において、ビニルシアン化合物は、一例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチルアクリロニトリル及びイソプロピルアクリロニトリルからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはアクリロニトリルである。
【0068】
前記i)グラフト共重合体のアクリレートゴムは、好ましくは平均粒径が0.05~0.2μmであり、より好ましくは0.05~0.15μm、さらに好ましくは0.08~0.15μm、最も好ましくは0.08~0.12μmであるが、この範囲内で、最終製造される熱可塑性樹脂組成物に、優れた耐候性、着色性、衝撃強度、耐化学性及び加工性を付与することができる。
【0069】
本発明において、DLS平均粒径は、動的光散乱法(Dynamic Light Scattering)を用いて測定することができ、詳細には、Nicomp380装置(製品名、製造社:PSS)を用いてガウス(Gaussian)モードでインテンシティ(intensity)値で測定することができる。このとき、具体的な測定例として、試料(sample)は、ラテックス(TSC35~50wt%)0.1gを蒸留水で1,000~5,000倍希釈して準備し、測定方法は、自動希釈(Auto-dilution)してフローセル(flow cell)で測定し、測定モードは、動的光散乱法(dynamic light scattering)/強度(Intensity) 300KHz/強度荷重ガウス分析(Intensity-weight Gaussian Analysis)とすることができる。
【0070】
また、本発明において、DLS平均粒径は、動的光散乱法により測定される粒度分布における算術平均粒径、具体的には散乱強度平均粒径を意味することができる。
【0071】
本発明において、TEM平均粒径は、TEM(透過型電子顕微鏡;transmission electron microscope)分析を用いて測定することができ、具体例として、TEMの高倍率イメージ上の粒子サイズを数値的に測定し、平均を出した値を意味する。このとき、具体的な測定例は、次の通りである。
【0072】
-試料(sample)の準備:押出混練機で製造された熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂組成物
-試料の前処理:トリミング(Trimming)(23℃)→ヒドラジン処理(72℃、5日)→セクショニング(Sectioning)(-120℃)→OsO4 揮発染色(vapor staining) 2時間
-分析機器:TEM(Jeol、JEM-1400)
-分析条件:Acc.Volt 120KV、SPOT Size 1(×10K、×25K、×50K)
-サイズ(平均粒径)の測定:直径の大きさが上位10%である直径の平均
【0073】
前記i)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、好ましくは3~15重量%、より好ましくは5~13重量%含まれてもよく、この範囲内で、耐候性、流動性、引張強度、衝撃強度及び着色性に優れるという効果がある。
【0074】
ii)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体
前記ii)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、好ましくは、DLS平均粒径0.33~0.5μm又はTEM平均粒径0.28~0.45μmのアクリレートゴム40~60重量%、芳香族ビニル化合物25~45重量%及びビニルシアン化合物10~20重量%を含んでなり、この範囲内で、耐候性、流動性、引張強度及び衝撃強度に優れるという効果がある。
【0075】
前記ii)グラフト共重合体のアクリレートゴムは、好ましくはDLS平均粒径が0.35~0.5μmであってもよく、より好ましくは0.35~0.45μm、さらに好ましくは0.38~0.45μm、最も好ましくは0.38~0.42μmであり、この範囲内で、耐候性が良いながらも、流動性、引張強度及び衝撃強度などの機械的強度に優れるという効果がある。
【0076】
好ましい例として、前記ii)グラフト共重合体は、アクリレートゴム45~55重量%、芳香族ビニル化合物30~40重量%及びビニルシアン化合物10~20重量%を含んでなることができ、この範囲内で、耐候性、流動性、引張強度及び衝撃強度に優れるという効果がある。
【0077】
前記ii)アクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体は、好ましくは5~15重量%、より好ましくは10~15重量%含まれてもよく、この範囲内で、耐候性、流動性、引張強度及び衝撃強度に優れるという効果がある。
【0078】
前記ii)グラフト共重合体は、一例として乳化重合で製造されてもよく、この場合、耐候性、流動性、引張強度及び衝撃強度に優れるという効果がある。
【0079】
前記乳化重合は、本発明の属する技術分野で通常行われる乳化グラフト重合方法による場合、特に制限されない。
【0080】
iii)耐熱スチレン系樹脂
前記iii)耐熱スチレン系樹脂は、好ましくは、α-メチルスチレン-ビニルシアン化合物共重合体であってもよく、この場合、機械的物性及び耐熱性に優れるという利点がある。
【0081】
前記iii)耐熱スチレン系樹脂は、好ましくは、α-メチルスチレン63~73重量%、スチレン0~10重量%及びビニルシアン化合物25~33重量%を含んでなり、この範囲内で、機械的物性及び耐熱性などに優れるという利点がある。
【0082】
前記iii)耐熱スチレン系樹脂は、好ましくは1~20重量%、より好ましくは5~17重量%、さらに好ましくは5~15重量%含まれてもよく、この範囲内で、機械的物性及び耐熱性などに優れるという利点がある。
【0083】
前記α-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体は、α-メチルスチレン70~75重量%及びアクリロニトリル25~30重量%を含んでなることが好ましく、より好ましくは、α-メチルスチレン60~75重量%、スチレン0~10重量%及びアクリロニトリル20~30重量%を含んでなるか、またはα-メチルスチレン65~75重量%、スチレン0~10重量%及びアクリロニトリル25~30重量%を含んでなることができ、さらに好ましくは、α-メチルスチレン60~75重量%、スチレン5~10重量%及びアクリロニトリル20~30重量%を含んでなるか、またはα-メチルスチレン60~70重量%、スチレン5~10重量%及びアクリロニトリル25~30重量%を含んでなることができ、この範囲内で、耐熱度などに優れるという効果がある。
【0084】
前記α-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体は、好ましくは重量平均分子量が80,000~120,000g/mol、より好ましくは80,000~100,000g/molであり、この範囲内で、機械的物性、耐熱度などに優れるという効果がある。
【0085】
本発明において、重量平均分子量は、別途に定義しない限り、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー;Gel Permeation Chromatography、waters breeze)を用いて測定することができ、具体例として、溶出液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、GPC(Gel Permeation Chromatography、waters breeze)を通じて、標準PS(標準ポリスチレン;standard polystyrene)試料に対する相対値として測定することができる。このとき、具体的な測定例として、溶媒:THF、カラム温度:40℃、流速:0.3ml/分、試料の濃度:20mg/ml、注入量:5μl、カラムモデル:1×PLgel 10μm MiniMix-B(250×4.6mm)+1×PLgel 10μm MiniMix-B(250×4.6mm)+1×PLgel 10μm MiniMix-B Guard(50×4.6mm)、装置名:Agilent 1200シリーズシステム、屈折率検出器(Refractive index detector):Agilent G1362 RID、RI温度:35℃、データの処理:Agilent ChemStation S/W、試験方法(Mn、Mw及びPDI):OECD TG 118の条件で測定することができる。
【0086】
前記iii)耐熱スチレン系樹脂は、一例として、懸濁重合、乳化重合、溶液重合または塊状重合で製造されてもよく、この場合、耐熱性及び流動性などに優れるという効果がある。
【0087】
前記懸濁重合、乳化重合、溶液重合及び塊状重合は、それぞれ、本発明の属する技術分野で通常行われる溶液重合及び塊状重合方法による場合、特に制限されない。
【0088】
iv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体
前記iv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体は、好ましくは、メタクリレート系単量体65~85重量%、芳香族ビニル化合物10~30重量%及びビニルシアン化合物5~10重量%を含んでなることができ、この範囲内で、耐候性、機械的物性、着色性及び加工性に優れるという効果がある。
【0089】
前記iv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体は、好ましくは10~25重量%、より好ましくは10~20重量%、さらに好ましくは12~18重量%含まれてもよく、この範囲内で、耐候性、機械的物性、着色性及び加工性に優れるという利点がある。
【0090】
本発明において、メタクリレート単量体は、一例として、アルキル基の炭素数が1~15であるアルキルメタクリレートであってもよく、具体例として、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2-エチルブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート及びラウリルメタクリレートからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、炭素数1~4個の鎖アルキル基を含むアルキルメタクリレートであってもよく、より好ましくはメチルメタクリレートであってもよい。
【0091】
前記iv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体は、好ましくは、重量平均分子量が70,000~200,000g/mol、または70,000~190,000g/molであってもよく、より好ましくは100,000~150,000g/molであってもよく、さらに好ましくは120,000~140,000g/molであってもよく、この範囲内で、耐候性がさらに優れ、また、流動性、引張強度及び衝撃強度も優れるという利点がある。
【0092】
前記iv)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物-メタクリレート共重合体は、一例として、溶液重合、塊状重合、乳化重合または懸濁重合で製造されてもよく、好ましくは、溶液重合または塊状重合で製造されるものであり、前記溶液重合、塊状重合、乳化重合及び懸濁重合は、それぞれ、本発明の属する技術分野で通常行われる重合方法による場合、特に制限されない。
【0093】
ポリアミド樹脂
前記ポリアミドは、アミド結合を含む熱可塑性高分子を意味し、具体例として、ポリアミド6、ポリアミド66(PA6.6)、ポリアミド46、ポリアミドll、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6/66、ポリアミド6/612、ポリアミドMXD6、ポリアミド6/MXD6、ポリアミド66/MXD6、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド6/6T、ポリアミド6/6I、ポリアミド66/6T、ポリアミド66/6I、ポリアミド6/6T/6I、ポリアミド66/6T/6I、ポリアミド9T、ポリアミド9I、ポリアミド6/9T、ポリアミド6/9I、ポリアミド66/9T、ポリアミド6/12/9T、ポリアミド66/12/9T、ポリアミド6/12/9I及びポリアミド66/12/6Iからなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは、ポリアミド6、ポリアミド6.6またはこれらの混合物であり、より好ましくはポリアミド66(PA6.6)である。
【0094】
前記ポリアミド樹脂は、好ましくは1~10重量%、より好ましくは3~10重量%、さらに好ましくは5~10重量%、最も好ましくは5~6重量%含み、この範囲内で、光沢を低下させることで艶消し効果が大きく、物性バランスに優れるという利点がある。
【0095】
前記ポリアミドは、一例として融点が230℃以上、好ましくは240℃以上、より好ましくは250℃以上、さらに好ましくは260~270℃であるものを使用することがよい。
【0096】
前記ポリアミドは、一例として相対粘度(硫酸96%溶液)が2.0~4.0、好ましくは2.0~3.5、より好ましくは2.0~3.0、さらに好ましくは2.4~2.7であるものを使用することがよい。
【0097】
本発明において、相対粘度は、ISO 307硫酸法によりウベローデ(Ubbelohde)粘度計で測定することができる。
【0098】
前記ポリアミドの製造方法は、本発明の属する技術分野で通常行われる重合方法であれば、特に制限されず、本発明に係るポリアミドの定義に符合する場合、商業的に購入して用いても構わない。
【0099】
熱可塑性樹脂組成物
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは換算体積(reduced volume)が15~40、より好ましくは18~40、さらに好ましくは20~35、より一層好ましくは20~30であってもよく、この範囲内で、従来のASA系樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れた外装材を提供するという利点がある。
【0100】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、熱可塑性樹脂組成物の総100重量部に、無機顔料を0.1~5重量部、好ましくは0.1~2重量部、より好ましくは0.1~1重量部、さらに好ましくは0.3~0.6重量部で含むことができ、この範囲内で、耐候性及び隠ぺい力に優れるという効果がある。
【0101】
前記無機顔料は、一例として、Ti、Pb、Fe、Crなどの金属化合物及びカーボンブラックからなる群から選択された1種以上であってもよく、前記金属化合物は、好ましくは、金属酸化物または金属水酸化物であり、前記無機顔料の具体例としては、白色無機顔料としてTiO2、酸化亜鉛(Zinc Oxide);黒色無機顔料としてカーボンブラック、グラファイト;赤色無機顔料としてIOR、カドミウムレッド(Cadmium Red)、レッドリード(Red Lead)(Pb3O4);黄色無機顔料としてクロムイエロー(Chrome Yellow)、ジンククロメート(Zinc Chromate)、カドミウムイエロー(Cadmium Y.);及び緑色無機顔料としてクロムグリーン(Chrome Green)、ジンクグリーン(Zinc Green)からなる群から選択された1種以上があり、最も好ましい無機顔料は、白色無機顔料であるTiO2であってもよい。
【0102】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、オプティカルプロファイラーシステムにより5ポイントを測定して平均した表面粗さ(Ra)が、2.2以下、より好ましくは2.1以下であり、好ましい例としては1.9~2.2、より好ましい例としては1.9~2.1であってもよく、この範囲内で、柔らかさ、高級感及び自然さなどが優れるという効果がある。
【0103】
前記熱可塑性樹脂組成物は、好ましくは、グロスメーターVG7000により60°で測定したフィルムグロス(film gloss)が15以下である艶消し熱可塑性樹脂組成物であってもよく、より好ましくは10以下、さらに好ましくは7以下の艶消し熱可塑性樹脂組成物であってもよく、この範囲内で、艶消し特性に優れながらも、物性バランスに優れるという効果がある。これによって、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、艶消し熱可塑性樹脂組成物とも称することができる。
【0104】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、SAE J1960方法により2000時間測定した耐候性(△E)が5.0以下、好ましくは4.9以下、より好ましくは4.0以下、さらに好ましくは3.5以下であってもよい。
【0105】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ASTM D1238に準拠した流動指数(MI)(220℃、荷重10kg)が4g/10分以上であり、好ましくは5g/10分以上であり、より好ましくは6g/10分以上であり、さらに好ましくは9g/10分以上であり、具体例として4~15g/10分であってもよい。
【0106】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ASTM 638に準拠した引張強度(1/8inch)が350kg/cm2以上であり、好ましくは380kg/cm2以上であり、より好ましくは450kg/cm2以上であり、さらに好ましくは470kg/cm2以上であり、具体例として380~490kg/cm2であってもよい。
【0107】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ASTM 256に準拠したアイゾット衝撃強度(1/4inch)が6kg・cm/cm以上であり、好ましくは7kg・cm/cm以上であり、具体例として6~11kg・cm/cmであってもよい。
【0108】
前記熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて選択的に、熱安定剤、光安定剤、染料、着色剤、離型剤、帯電防止剤、抗菌剤、加工助剤、金属不活性化剤、難燃剤、煙抑制剤、滴下防止剤、耐摩擦剤及び耐摩耗剤からなる群から選択された1種以上を、0.01~5重量部、0.05~3重量部、0.1~2重量部、または0.5~1重量部さらに含むことができ、この範囲内で、本発明の熱可塑性樹脂組成物本来の物性を低下させないながらも、必要な物性が良好に実現されるという利点がある。
【0109】
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、一例として、DLS平均粒径0.25~0.32μm又はTEM平均粒径0.2~0.27μmのアクリレートゴムをスチレン系樹脂の総重量に対して5~30重量%含むスチレン系樹脂90~99.5重量%と;ポリアミド樹脂0.5~10重量%とを含んで混合した後、220~280℃の条件下で押出混練機を用いてペレットを製造するステップを含むことを特徴とし、このような場合、従来のASA系樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上に維持されながらも耐候性に優れ、光沢が低く、表面光沢が均一であり、表面粗さの値が低いため感性的に柔らかい感じを与える熱可塑性樹脂組成物を提供するという利点がある。
【0110】
前記熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、前述した熱可塑性樹脂組成物の全ての技術的特徴を共有する。したがって、重複部分についての説明は省略する。
【0111】
前記押出混練機を用いてペレットを製造するステップは、ナイロンのTmよりも高い温度で加工することが適切であるため、好ましくは220~280℃下で、より好ましくは250~280℃下で行うものであってもよく、このとき、温度は、シリンダーに設定された温度を意味する。
【0112】
前記押出混練機は、本発明の属する技術分野で通常用いられる押出混練機であれば、特に制限されず、好ましくは二軸押出混練機であってもよい。
【0113】
外装材
本発明の外装材は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とし、この場合、従来のASA樹脂と比較して機械的物性及び加工性などが同等以上であると共に、均一でかつ低い光沢及び表面の質感の向上により、柔らかさ、高級感及び自然さなどの感性品質が優れるという利点がある。
【0114】
前記外装材は、一例として、押出成形品または射出成形品であってもよく、好ましくは、サイディング(siding)材料、ルーフィング(roofing)材料またはデッキング(decking)材料であってもよく、より好ましくは、スライディングドアまたは建具であってもよい。
【0115】
前記外装材は、好ましくは、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形温度190~250℃下、好ましくは210~240℃下で押出又は射出するステップを含んで製造されてもよく、この範囲内で、製品に艶消し効果が良好に発現されるという利点がある。
【0116】
本発明の熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及び外装材を説明するにおいて、明示的に記載していない他の条件や装置などは、当業界において通常行われる範囲内で適宜選択することができ、特に制限されないことを明示する。
【0117】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、以下の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0118】
[実施例]
下記の実施例1~8及び比較例1~5で用いられた物質は、次の通りである。
【0119】
A-1)乳化重合方式のグラフト共重合体(平均粒径280nmのブチルアクリレート重合体由来の単位40重量%、スチレン由来の単位48重量%、アクリロニトリル由来の単位12重量%)
A-2)乳化重合方式のグラフト共重合体(平均粒径100nmのブチルアクリレート重合体由来の単位50重量%、スチレン由来の単位36重量%、アクリロニトリル由来の単位14重量%)
A-3)乳化重合方式のグラフト共重合体(平均粒径400nmのブチルアクリレート重合体由来の単位50重量%、スチレン由来の単位37重量%、アクリロニトリル由来の単位13重量%)
B-1)バルク重合方式のSAN樹脂(90RF)
B-2)バルク重合方式のSAN樹脂(97HC)
B-3)バルク重合方式のSAN樹脂(200UH)
C)バルク重合方式のSAMMA樹脂(XT500)
D)PA6.6
【0120】
実施例1~8及び比較例1~5
それぞれ、下記表1に記載された成分及び含量を、280℃下で36ファイの規格で押出混練機を用いてペレットに製造し、これを、フィルム押出機を通じて厚さ0.15Tで均一にフィルムとして作製した後、これを試料(sample)として下記の測定方法により測定した。このとき、フィルム押出機は、シート成形用シングルスクリュー押出機(Collin社製、E20T製品、20ファイ、L/D:25)を用い、温度条件は、押出機の投入口から順にバレル部の温度50、200、210、210℃及びダイ部の温度220、220、230℃にセットした。ペレットは、フィルム押出機に投入する前に80℃のオーブンで3時間以上十分に乾燥させて水分の影響を除去した後、フィルム押出機の投入口に投入し、厚さ0.15Tで均一にフィルムとして作製した。使用された後段ローラ(Roller)の温度は、水を媒質として用いて85℃にセットし、ローラの構成は、下記
図1のように、Tダイ(T-Die)を通じて押し出される樹脂の片面のみがロール(Roll)と接触するタイプを使用した。ここで、フィルム押出機のスクリュー(Screw)のRPMは100に固定し、ロールの線速度を調節してフィルムの厚さが0.15Tになるようにした。ここで、押出されたフィルムの面のうち一番目のロール(Roll)と接触した面に対して表面粗さの値Ra及びフィルム光沢を測定した。参考に、一番目のロールと接触していない面を測定する場合、表面粗さに差が発生することがある。
【0121】
さらに、前記製造されたペレットを成形温度220℃で射出して物性測定用試験片を作製し、これを用いて引張強度及び衝撃強度などを測定した。
【0122】
[試験例]
前記実施例1~8及び比較例1~5で製造されたペレット、シート及び試験片の特性を下記の方法で測定し、その結果を下記の表1に示した。
【0123】
*溶融指数(melt index;MI):製造されたペレットを220℃/10kgの条件下でASTM D1238方法により測定した。
【0124】
*引張強度(kg/cm2):ASTM 638方法により測定した。
【0125】
*アイゾット衝撃強度(kg・cm/cm):試験片の厚さ1/4”でASTM 256方法により測定した。
【0126】
*フィルム光沢(Film Gloss):グロスメーター(gloss meter)VG7000により60°で測定した。
【0127】
*換算体積(reduced volume):下記式1を用いて測定される。
【0128】
[式1]
換算体積=[1/6Π(RA)3(A/A+B+C)+1/6Π(RB)3(B/A+B+C)+1/6Π(RC)3(C/A+B+C)]/[1/6(RC)3]
【0129】
ここで、RAは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も大きい平均粒径を有するゴムの平均粒径(nm)であり、前記RBは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で中間サイズの平均粒径を有するゴムの平均粒径(nm)であり、前記RCは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も小さい平均粒径を有するゴムの平均粒径(nm)である。また、Aは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も大きい平均粒径を有するグラフト重合体の重量%であり、前記Bは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で中間サイズの平均粒径を有するグラフト重合体の重量%であり、前記Cは、樹脂組成物に含まれたゴムの中で最も小さい平均粒径を有するグラフト重合体の重量%である。また、Bは、本発明の樹脂組成物中に中間サイズの平均粒径を有するゴムを含まない場合に“0”値を有する。
【0130】
*表面粗さの値(Ra):オプティカルプロファイラーシステム(Optical profiler system)(NV-2700、(株)ナノシステム)により、対物レンズ(Objective lens)10倍×接眼レンズ1倍(F.O.V:628μm×471μm)、モード:WSI Envelope及びスキャン範囲(Scan range):±30μmの条件下で5ポイントを測定して平均を出した。表面粗さの値が低いと、手で触れたときに柔らかい感じがし、光沢が均一である。
【0131】
*耐候性:SAE J1960方法により2000時間測定した後、下記の数式2で計算される△Eにより評価した。△E値が低いと、耐候性に優れる。
【0132】
【0133】
【0134】
前記表1に示したように、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物(実施例1~8参照)は、本発明に係る第1スチレン系重合体である中粒径のアクリレート-芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物グラフト共重合体を含まない比較例1~5と比較して、流動指数、引張強度及び衝撃強度などの機械的物性は同等又はそれ以上を維持しながらも耐候性に優れ、特に、表面粗さの値が低く、感性品質に適する換算体積を有することにより、自然かつ柔らかいながらも高級感を有することが確認できた。
【0135】
参考に、本発明に従わない比較例4の場合、粗さの値は多少低いと見られるが、衝撃強度などが非常に悪いため、本発明の目的に全く符合しないことが確認できた。
【国際調査報告】