(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-11
(54)【発明の名称】二次電池用正極活物質前駆体、正極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/525 20100101AFI20221228BHJP
H01M 4/505 20100101ALI20221228BHJP
C01G 53/00 20060101ALI20221228BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/505
C01G53/00 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022526460
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(85)【翻訳文提出日】2022-05-09
(86)【国際出願番号】 KR2021001203
(87)【国際公開番号】W WO2021154024
(87)【国際公開日】2021-08-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0010701
(32)【優先日】2020-01-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ホ・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サン・ウォン・ウ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ヒュン・シム
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ウク・チュ
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB02
4G048AC06
4G048AD04
4G048AD06
4G048AE05
5H050AA02
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
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5H050CB02
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5H050CB09
5H050CB11
5H050FA17
5H050FA19
5H050GA02
5H050GA10
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA13
(57)【要約】
本発明は、二次電池用正極活物質前駆体及びその製造方法に関する。本発明の正極活物質前駆体は、複数の1次粒子が凝集した2次粒子の形態であり、前記1次粒子の長軸が前記2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列され、前記1次粒子は、(001)面が前記1次粒子の長軸方向に対して20°~160°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の1次粒子が凝集した2次粒子の形態の二次電池用正極活物質前駆体であって、
前記1次粒子の長軸が前記2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列され、
前記1次粒子は、(001)面が前記1次粒子の長軸方向に対して20°~160°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含む、二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項2】
前記1次粒子は、(001)面が前記1次粒子の長軸方向に対して40°~140°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含む、請求項1に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項3】
前記二次電池用正極活物質前駆体は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、及びアルミニウム(Al)を含む水酸化物である、請求項1に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項4】
前記二次電池用正極活物質前駆体は、全金属元素中でアルミニウム(Al)を1モル%以上含有する、請求項3に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項5】
前記二次電池用正極活物質前駆体は、全金属元素中でアルミニウム(Al)を1~10モル%含有する、請求項3に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項6】
前記1次粒子のアスペクト比が3~15である、請求項1に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項7】
前記アルミニウム(Al)は、前記2次粒子内に一定の濃度で含まれる、請求項3に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項8】
前記二次電池用正極活物質前駆体は、下記化学式1で表され、
[化学式1]
Ni
x1Co
y1Mn
z1Al
s1(OH)
2
前記化学式1において、0.7≦x1≦0.99、0<y1<0.3、0<z1<0.3、0.01≦s1≦0.1である、請求項1に記載の二次電池用正極活物質前駆体。
【請求項9】
請求項1に記載の二次電池用正極活物質前駆体を製造するための方法であって、
反応器に、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びマンガン(Mn)の陽イオンを含む遷移金属含有溶液、アルミニウム(Al)の陽イオンを含むアルミニウム含有溶液、塩基性水溶液、及びアンモニウム溶液を投入しながら共沈反応させて正極活物質前駆体を形成し、
前記アルミニウム含有溶液は、アルミン酸ナトリウム(NaAlO
2)を含む、二次電池用正極活物質前駆体の製造方法。
【請求項10】
前記アルミン酸ナトリウム(NaAlO
2)で共沈反応させてAlO(OH)を形成する、請求項9に記載の二次電池用正極活物質前駆体の製造方法。
【請求項11】
請求項1に記載の正極活物質前駆体とリチウムソースとを混合して焼成し、リチウム遷移金属酸化物を形成する二次電池用正極活物質の製造方法。
【請求項12】
複数の1次粒子が凝集した2次粒子の形態の二次電池用正極活物質であって、
前記1次粒子の長軸が前記2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列され、
前記1次粒子は、(003)面が前記1次粒子の長軸方向に対して20°~160°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含む、二次電池用正極活物質。
【請求項13】
前記1次粒子は、(003)面が1次粒子の長軸方向に対して40°~140°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含む、請求項12に記載の二次電池用正極活物質。
【請求項14】
請求項12に記載の二次電池用正極活物質を含む二次電池用正極。
【請求項15】
請求項14に記載の二次電池用正極を含むリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年1月29日に出願された韓国特許出願第10-2020-0010701号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、二次電池用正極活物質前駆体、正極活物質、その製造方法及びそれを含むリチウム二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、携帯電話、ノートパソコン、電気自動車など、電池を使用する電子器具の急速な普及に伴い、小型軽量でありながらも相対的に高容量である二次電池の需要が急速に増大されている。特に、リチウム二次電池は、軽量で、かつ高エネルギー密度を有しているので、携帯機器の駆動電源として脚光を浴びている。これに伴い、リチウム二次電池の性能を向上させるための研究/開発の努力が活発に進められている。
【0004】
リチウム二次電池は、リチウムイオンの挿入(intercalation)及び脱離(deintercalation)が可能な活物質からなる正極と負極との間に有機電解液又はポリマー電解液を充填させた状態で、リチウムイオンが正極及び負極において挿入/脱離される際の酸化と還元反応によって電気エネルギーが生産される。
【0005】
リチウム二次電池の正極活物質としては、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)、リチウムニッケル酸化物(LiNiO2)、リチウムマンガン酸化物(LiMnO2又はLiMn2O4など)、リン酸鉄リチウム化合物(LiFePO4)などが使用されていた。中でも、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)は、作動電圧が高くて容量特性に優れるという利点があるため広く使用されており、高電圧用正極活物質として適用されている。しかし、コバルト(Co)の価格の上昇及び供給の不安定のため、電気自動車などのような分野の動力源として大量で使用するには限界があるので、これを代替することができる正極活物質の開発が必要とされている。
【0006】
これに伴い、コバルト(Co)の一部をニッケル(Ni)とマンガン(Mn)で置換したニッケルコバルトマンガン系リチウム複合遷移金属酸化物(以下、簡単に「NCM系リチウム複合遷移金属酸化物」と記す)が開発された。
【0007】
一般的には、NCM系正極活物質前駆体は、共沈法により合成され、共沈条件に応じて前駆体1次粒子の形状が異なって形成される。1次粒子の形状が球形や立方体状である前駆体を用いて正極活物質を製造する場合、正極活物質の1次粒子も球形や立方体状に形成されるが、この場合、リチウムの移動経路が長くなるので、リチウム移動性が低下する。そこで、前駆体1次粒子の形状を棒(Rod)や柱(Columnar)状のような形態に合成する技術が開発された。前駆体1次粒子の形状が棒(Rod)や柱(Columnar)状の場合、1次粒子が2次粒子の中心から表面方向に向かって放射状に配列された形態に形成され、このような1次粒子の配列を有する前駆体を用いて正極活物質を製造する場合、1次粒子の界面に沿ってリチウムイオンの移動距離が短くなるので、リチウム移動性が改善する効果が得られる。しかし、1次粒子が放射状配列を有するように形成された従来の正極活物質の場合、リチウムの挿入/脱離が不可能な(003)面が1次粒子の長軸方向と平行に形成され、容量や出力特性が低下するという問題があった。
【0008】
よって、リチウム二次電池に適用する際に、優れた放電容量及び出力特性を示し得る配向性を示す正極活物質前駆体及び正極活物質の開発が必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】韓国公開特許第2013-0138073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、正極活物質前駆体段階において1次粒子の結晶構造配向性を特定して制御した正極活物質前駆体及びその製造方法の提供を目的とする。
【0011】
また、本発明は、結晶構造の配向性が制御された前駆体を用いて製造された正極活物質及びそれを含むリチウム二次電池の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、複数の1次粒子が凝集した2次粒子の形態の二次電池用正極活物質前駆体であって、前記1次粒子の長軸が前記2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列され、前記1次粒子は、(001)面が前記1次粒子の長軸方向に対して20°~160°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含む、二次電池用正極活物質前駆体を提供する。
【0013】
また、本発明は、反応器にニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びマンガン(Mn)の陽イオンを含む遷移金属含有溶液、アルミニウム(Al)の陽イオンを含むアルミニウム含有溶液、塩基性水溶液、及びアンモニウム溶液を投入しながら共沈反応させて正極活物質前駆体を形成し、前記アルミニウム含有溶液は、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2)を含む、前記二次電池用正極活物質前駆体の製造方法を提供する。
【0014】
また、本発明は、複数の1次粒子が凝集した2次粒子の形態の二次電池用正極活物質であって、前記1次粒子の長軸が前記2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列され、前記1次粒子は、(003)面が前記1次粒子の長軸方向に対して20°~160°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含む、二次電池用正極活物質を提供する。
【0015】
また、本発明は、前記正極活物質を含む正極及びリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る正極活物質前駆体は、結晶粒の(001)面が1次粒子の長軸方向と平行ではなくずれて形成されているので、これを用いて正極活物質を製造すると、リチウムの移動経路である1次粒子の界面とリチウムの挿入/脱離が不可能な(003)面の接触面積が減少する。
【0017】
したがって、本発明の正極活物質前駆体を用いて製造された正極活物質は、従来の正極活物質に比べて優れたリチウム移動性を有し、これをリチウム二次電池に適用すると、容量特性及び出力特性の改善効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(003)面が1次粒子の長軸と平行な方向に形成された従来の正極活物質の断面STEM(Scanning Transmission Electron Microscopy)画像である。図中の矢印は、(003)面方向を示す。
図1の左側上端の画像は、STEM‐EDX(Energy Dispersive X‐ray)マッピング(Mapping)画像である。
【
図2】本発明の一実施形態による正極活物質前駆体1次粒子の結晶構造及び1次粒子のアスペクト比による(001)面の表面積比を示すグラフである。
【
図3】本発明の一実施形態による正極活物質の断面STEM(Scanning Transmission Electron Microscopy)画像である。図中の短い矢印は、(003)面方向を示し、長い矢印は、1次粒子の長軸方向を示す。図面に図示されたように、本発明に係る正極活物質は、(003)面が1次粒子の長軸に平行ではなく、20°~160°の角度を有するように配列される。
図3の左側上端の画像は、STEM‐EDX(Energy Dispersive X‐ray)マッピング(Mapping)画像である。
【
図4】実施例1で製造した正極活物質前駆体の断面TEM写真である。
【
図5】実施例2、比較例3、4で製造した正極活物質を使用したリチウム二次電池の容量及び出力特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に対する理解を助けるために、本発明をさらに詳細に説明する。ここで、本明細書及び特許請求の範囲に用いられる用語や単語は、通常的かつ辞典的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるとの原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念に解釈されなければならない。
【0020】
本発明において、「結晶粒(Crystalline)」は、規則的な原子配列を有する単結晶粒子単位を意味し、正極活物質前駆体及び正極活物質の結晶粒構造は、透過電子顕微鏡(TEM/STEM)分析により確認することができる。
【0021】
本発明において、「1次粒子」は、走査透過電子顕微鏡(Scanning Transmission Electron Microscopy、STEM)を介して正極活物質粒子又は正極活物質前駆体粒子の断面を観察した際、一つの塊に区別される最小粒子単位を意味するものであって、一つの結晶粒からなってもよく、複数の結晶粒からなってもよい。本発明において、前記1次粒子の平均粒径は、正極活物質粒子の断面STEM画像から区別されるそれぞれの粒子サイズを測定し、これらの算術平均値を求める方法により測定されてよい。
【0022】
本発明において、「2次粒子」は、複数の1次粒子が凝集して形成される2次構造体を意味する。前記2次粒子の平均粒径は、粒度分析器を用いて測定されてよく、本発明においては、粒度分析器としてMicrotrac社のs3500を使用した。
【0023】
本発明において、正極活物質の「粒径Dn」は、粒径による体積累積分布のn%地点での粒径を意味する。すなわち、D50は、粒径による体積累積分布の50%地点での粒径であり、D90は、粒径による体積累積分布の90%地点での粒径を、D10は、粒径による体積累積分布の10%地点での粒径である。前記Dnは、レーザー回折法(laser diffraction method)を用いて測定してよい。具体的には、測定対象粉末を分散媒(蒸留水)中に分散させた後、市販のレーザー回折粒度測定装置(例えば、Microtrac S3500)に導入して粒子がレーザービームを通過する際、粒子サイズによる回折パターンの差を測定して粒度分布を算出する。測定装置における粒径による体積累積分布の10%、50%及び90%となる地点での粒子直径を算出することにより、D10、D50及びD90を測定することができる。
【0024】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0025】
<正極活物質前駆体>
本発明に係る正極活物質前駆体は、複数の1次粒子が凝集した2次粒子の形態の正極活物質前駆体であり、前記1次粒子は、長軸が前記2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列され、前記1次粒子が、(001)面が前記1次粒子の長軸方向に対して20°~160°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含むことを特徴とする。
【0026】
従来の正極活物質前駆体は、球形の1次粒子が配向性なしにランダム(random)に配列された形態で製造されていた。このように、1次粒子が配向性なしにランダムに配列された構造の正極活物質前駆体を用いて正極活物質を製造する場合、正極活物質の1次粒子も整列されない形態で存在することになる。一方、正極活物質粒子の内部からリチウムイオンは1次粒子間の界面に沿って移動するので、正極活物質粒子で1次粒子がランダムに配列された形態の場合、1次粒子間のリチウムの移動経路が長くなり、出力特性が減少するという問題がある。
【0027】
このような問題を解決するために、
図1に示されたように、棒状又は柱状の1次粒子が2次粒子の中心から表面方向に放射状に配列された構造の正極活物質前駆体が開発された。このように1次粒子が放射状に配列された正極活物質前駆体を用いて正極活物質を製造する場合、正極活物質の1次粒子も放射状配列を維持し、これにより、1次粒子間のリチウムの移動経路が最小化され、リチウム移動性が改善する効果が得られる。しかし、現在まで開発された正極活物質の場合、前駆体での(001)面が1次粒子の長軸方向と平行に成長した形態であった。前駆体の(001)面は、焼成後に正極活物質の(003)面に転換されるようになるので、このような前駆体を用いて正極活物質を製造する場合、正極活物質の(003)面が1次粒子の長軸方向と平行に配置されるようになる。正極活物質の(003)面の場合、リチウムイオンの挿入/脱離が不可能な面であるため、リチウムの移動経路に露出する(003)面の面積が広いと、容量特性及び出力特性が低下するという問題がある。
【0028】
このような問題を改善するために、本発明は、1次粒子の長軸が前記2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列されるが、1次粒子内の結晶粒の(001)面が1次粒子の長軸方向に平行ではないように形成することにより、1次粒子の界面に露出する(001)面の面積を最小化して、容量、充放電の効率及び出力特性を改善した。
【0029】
具体的には、本発明に係る正極活物質前駆体において、前記1次粒子は、(001)面が1次粒子の長軸方向と平行ではない方向に配置された結晶粒を含み、より具体的には(001)面が1次粒子の長軸方向に対して20°~160°、より好ましくは40°~140°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含む。
【0030】
一方、本発明の正極活物質前駆体は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)を含む水酸化物からなってよい。より好ましくは、前記正極活物質前駆体は、全金属元素中でアルミニウム(Al)を1モル%以上含有してよく、さらに好ましくは、前記アルミニウム(Al)を1~10モル%含有してよい。前記濃度範囲でアルミニウム(Al)が含有される場合、カチオンディスオーダー化(Cation Disordering)及び酸素空孔(Oxygen Vacancy)の形成を抑制し得る。
【0031】
一方、前記アルミニウム(Al)は、2次粒子内に濃度勾配なしに、すなわち、粒子内の位置に関係なく一定の濃度で含まれてよい。アルミニウム(Al)が2次粒子内に濃度勾配なしに一定の濃度で分布することにより、アルミニウム(Al)凝集現象を抑制して容量減少を最小化し、少量のアルミニウム(Al)で寿命特性及び抵抗増加率特性の改善効果を高めることができる。
【0032】
好ましくは、本発明に係る正極活物質前駆体は、下記化学式1で表される遷移金属水酸化物であってよい。
【0033】
[化学式1]
Nix1Coy1Mnz1Als1(OH)2
【0034】
前記化学式1において、前記x1は、遷移金属水酸化物内の全金属元素中のニッケルのモル比を示すものであって、0.7≦x1≦0.99、0.8≦x1≦0.99、0.85≦x1≦0.99、又は0.88≦x1≦0.99であってよい。
【0035】
前記y1は、遷移金属水酸化物内の全金属元素中のコバルトのモル比を示すものであって、0<y1<0.3、0<y1<0.2、0<y1<0.15、又は0<y1<0.12であってよい。
【0036】
前記z1は、遷移金属水酸化物内の全金属元素中のマンガンのモル比を示すものであって、0<z1<0.3、0<z1<0.2、0<z1<0.15、又は0<z1<0.12であってよい。
【0037】
前記s1は、遷移金属水酸化物内の全金属元素中のアルミニウムのモル比を示すものであって、0.01≦s1≦0.1、0.01≦s1≦0.08又は0.01≦s1≦0.05であってよい。
【0038】
一方、前記正極活物質前駆体の1次粒子は、柱(columnar)状であってよく、この際、1次粒子のアスペクト比が3以上であってよい。より好ましくは、前記正極活物質前駆体1次粒子のアスペクト比は3~15であってよく、さらに好ましくは5~8であってよい。正極活物質前駆体1次粒子のアスペクト比が前記範囲を満たすと、リチウムの移動通路である1次粒子間の界面にリチウムの挿入/脱離が可能な結晶面の表面積が増加して、容量及び出力特性に優れた正極活物質を製造することができる。
【0039】
図2には、本発明の一実施形態による正極活物質前駆体の結晶粒構造と、アスペクト比による1次粒子の外部表面でリチウムイオンの挿入/脱離が可能な結晶面と(001)面の表面積比を図示したグラフが図示されている。
【0040】
図2に図示されたように、本発明に係る正極活物質前駆体は、(001)面が結晶構造の成長方向(1次粒子の長軸方向)と平行ではない方向(例えば、垂直方向)に配置され、これにより、従来の正極活物質前駆体に比べて(001)面ではない結晶面が1次粒子間の界面に露出する面積が広がる。また、1次粒子のアスペクト比が大きくなるほど、1次粒子の外部表面で(001)面以外の結晶面の露出割合が高くなる。よって、前記のような正極活物質前駆体を用いて正極活物質を製造する場合、1次粒子の外部表面に露出する(003)面の表面積を最小化することができるので、容量及び出力特性を向上させることができる。
【0041】
次に、本発明の正極活物質前駆体の製造方法を説明する。
【0042】
本発明の正極活物質前駆体は、反応器にニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びマンガン(Mn)の陽イオンを含む遷移金属含有溶液、アルミニウム(Al)の陽イオンを含むアルミニウム含有溶液、塩基性水溶液及びアンモニウム溶液を投入しながら共沈反応させて正極活物質前駆体を形成し、前記アルミニウム含有溶液は、アルミン酸ナトリウム(NaAlO2)を含んで製造する。
【0043】
前記正極活物質前駆体の製造方法を段階別に具体的に説明する。
【0044】
先ず、反応器にニッケル(Ni)、コバルト(Co)、及びマンガン(Mn)の陽イオンを含む遷移金属陽イオンを含む遷移金属含有溶液、アルミニウム(Al)の陽イオンを含むアルミニウム含有溶液、塩基性溶液、及びアンモニウム溶液を投入しながら共沈反応させて正極活物質前駆体を製造する。
【0045】
前記遷移金属含有溶液は、例えば、ニッケル(Ni)含有原料物質、コバルト(Co)含有原料物質、及びマンガン(Mn)含有原料物質を含んでよい。
【0046】
前記ニッケル(Ni)含有原料物質は、例えば、ニッケル含有酢酸塩、窒酸塩、硫酸塩、ハライド、硫化物、水酸化物、酸化物、又はオキシ水酸化物などであってよく、具体的には、Ni(OH)2、NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2・4H2O、NiC2O2・2H2O、Ni(NO3)2・6H2O、NiSO4、NiSO4・6H2O、脂肪酸ニッケル塩、ニッケルハロゲン化物、又はこれらの組み合わせであってよいが、これに限定されるものではない。
【0047】
前記コバルト(Co)含有原料物質は、コバルト含有酢酸塩、窒酸塩、硫酸塩、ハライド、硫化物、水酸化物、酸化物、又はオキシ水酸化物などであってよく、具体的には、Co(OH)2、CoOOH、Co(OCOCH3)2・4H2O、Co(NO3)2・6H2O、CoSO4、Co(SO4)2・7H2O、又はこれらの組み合わせであってよいが、これに限定されるものではない。
【0048】
前記マンガン(Mn)含有原料物質は、例えば、マンガン含有酢酸塩、窒酸塩、硫酸塩、ハライド、硫化物、水酸化物、酸化物、オキシ水酸化物、又はこれらの組み合わせであってよく、具体的には、Mn2O3、MnO2、Mn3O4などのようなマンガン酸化物;MnCO3、Mn(NO3)2、MnSO4、酢酸マンガン、ジカルボン酸マンガン塩、クエン酸マンガン、脂肪酸マンガン塩のようなマンガン塩;オキシ水酸化マンガン、塩化マンガン、又はこれらの組み合わせであってよいが、これに限定されるものではない。
【0049】
前記遷移金属含有溶液は、ニッケル(Ni)含有原料物質、コバルト(Co)含有原料物質、及びマンガン(Mn)含有原料物質を溶媒、具体的には、水、又は水と均一に混合され得る有機溶媒(例えば、アルコールなど)の混合溶媒に添加して製造されるか、又はニッケル(Ni)含有原料物質の水溶液、コバルト(Co)含有原料物質の水溶液、及びマンガン(Mn)含有原料物質を混合して製造されたものであってよい。
【0050】
前記アルミニウム含有溶液は、アルミニウム(Al)含有原料物質としてアルミン酸ナトリウム(NaAlO2)を含む。前記アルミン酸ナトリウム(NaAlO2)は、共沈反応時にAl(OH)3ではなくAlO(OH)を形成するようになる。AlO(OH)は、Al(OH)3とは異なる立体構造(Steric Effect)を有することにより、前駆体の製造時にAl含有原料物質としてアルミン酸ナトリウムを使用する場合、(001)面が1次粒子の長軸方向に平行ではない方向、具体的には、1次粒子の長軸方向に対して20°~160°の角度を有する方向に位置した形態の結晶粒が形成される。
【0051】
前記アンモニウム溶液は、錯体形成剤として、例えば、NH4OH、(NH4)2SO4、NH4NO3、NH4Cl、CH3COONH4、NH4CO3、又はこれらの組み合わせを含んでよいが、これに限定されるものではない。一方、前記アンモニウム溶液は、水溶液の形態で使用されてもよく、この際、溶媒としては、水、又は水と均一に混合可能な有機溶媒(具体的には、アルコールなど)と水の混合物が使用されてよい。
【0052】
前記塩基性溶液は、沈澱剤としてNaOH、KOH、又はCa(OH)2などのようなアルカリ金属、又はアルカリ土類金属の水酸化物、これらの水化物又はこれらの組み合わせのアルカリ化合物を含んでよい。前記塩基性溶液も水溶液の形態として使用されてもよく、この際、溶媒としては、水、又は水と均一に混合可能な有機溶媒(具体的には、アルコールなど)と水の混合物が使用されてよい。
【0053】
前記塩基性化合物は、反応溶液のpHを調節するために添加されるものであって、金属溶液のpHが11~13になる量で添加されてよい。
【0054】
一方、前記共沈反応は、窒素又はアルゴンなどの不活性雰囲気下で、40℃~70℃の温度で行われてよい。
【0055】
前記のような工程により本発明の特定の配向性を有する遷移金属水酸化物、例えば、ニッケル‐コバルト‐マンガン‐アルミニウム水酸化物の粒子が生成され、反応溶液内に沈澱される。沈澱された遷移金属水酸化物粒子を通常の方法により分離させ、乾燥させることにより、正極活物質前駆体が得られる。
【0056】
<正極活物質>
また、本発明は、前記正極活物質前駆体を使用して製造された正極活物質を提供する。
【0057】
具体的には、前記正極活物質前駆体とリチウムソースとを混合して焼成し、リチウム遷移金属酸化物を形成する段階を経て、正極活物質を製造してよい。
【0058】
前記リチウムソースは、リチウム含有硫酸塩、窒酸塩、酢酸塩、炭酸塩、シュウ酸塩、クエン酸塩、ハライド、水酸化物、又はオキシ水酸化物などが使用されてよく、水に溶解され得る限り、特に限定されない。具体的には、前記リチウムソースは、Li2CO3、LiNO3、LiNO2、LiOH、LiOH・H2O、LiH、LiF、LiCl、LiBr、LiI、CH3COOLi、Li2O、Li2SO4、CH3COOLi、又はLi3C6H5O7などであってよく、これらのうちいずれか一つ又は二つ以上の混合物が使用されてよい。
【0059】
前記正極活物質前駆体とリチウムソースとを混合した後、730℃~830℃で焼成してリチウム遷移金属酸化物を形成してよい。より好ましくは、750℃~810℃、さらに好ましくは780~800℃で焼成してよく、5時間~20時間、より好ましくは8時間~15時間焼成してよい。
【0060】
一方、必要に応じて、前記焼成時にドーピング元素M1を含有する原料物質をさらに混合してよい。前記M1は、例えば、Zr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P、及びSからなる群から選択される1種以上であってよく、ドーピング元素M1を含有する原料物質は、M1含有酢酸塩、窒酸塩、硫酸塩、ハライド、硫化物、水酸化物、酸化物、オキシ水酸化物、又はこれらの組み合わせであってよい。焼成時にM1をさらに混合する場合、焼成によりM1元素がリチウム遷移金属酸化物の内部に拡散してドーピングされ、正極活物質の構造安定性を改善する効果が得られる。
【0061】
このように製造された本発明の正極活物質は、複数の1次粒子が凝集した2次粒子の形態であり、前記1次粒子の長軸が前記2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列され、前記1次粒子が(003)面が前記1次粒子の長軸方向に対して20°~160°、好ましくは40°~140°の角度を有する方向に配置された結晶粒を含むものであってよい。
【0062】
本発明の正極活物質は、1次粒子の長軸が2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列されたものであり、前記1次粒子は、柱(columnar)状であってよい。正極活物質粒子の内部からリチウムイオンが1次粒子間の界面に沿って移動するので、1次粒子が長軸が2次粒子の中心から表面に向かう方向に配列される場合、1次粒子がランダムに配列された場合に比べてリチウムの移動経路が短くなり、リチウム移動性が向上する。
【0063】
一方、正極活物質前駆体での(001)面は、焼成により正極活物質の(003)面に転換されるが、(003)面は、リチウムイオンの挿入/脱離が不可能である。よって、リチウムの移動経路に露出する(003)面の面積が広いと、容量特性及び出力特性が低下する。
【0064】
しかし、本発明の正極活物質は、(001)面が1次粒子の長軸方向に対して20°~160°、好ましくは40°~140°の角度に配置された正極活物質前駆体を用いて製造されるので、正極活物質の結晶粒で(003)面が1次粒子の長軸方向に対して20°~160°、好ましくは40°~140°の角度を有する方向に配置される。
【0065】
これにより、本発明の正極活物質は、1次粒子の表面にリチウム挿入/脱離が不可能な(003)面の露出が最小化され、優れた容量、充放電効率及び出力特性を示す。
【0066】
図3は、本発明の一実施形態による正極活物質を示したものであって、図面に図示された短い矢印は、(003)面が配置された方向を意味する。
図3により、本発明の正極活物質は、(003)面が1次粒子の長軸方向と平行ではない方向、具体的には、20°~160°、又は40°~140°の角度を有する方向に配置されたことを確認することができる。
【0067】
本発明の正極活物質は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)を含むリチウム遷移金属酸化物からなってよい。より好ましくは、前記リチウム遷移金属酸化物は、リチウムを除いた全金属元素中でアルミニウム(Al)を1モル%以上、好ましくは1~10モル%で含有してよい。前記濃度範囲でアルミニウム(Al)が含有される場合、カチオンディスオーダー化(Cation Disordering)及び酸素空孔(Oxygen Vacancy)の形成を抑制させることができ、これにより、寿命特性及び抵抗増加率特性を改善することができる。
【0068】
前記アルミニウム(Al)は、正極活物質の2次粒子内に濃度勾配なしに含有されてよい。アルミニウム(Al)が2次粒子内に濃度勾配なしに均一に分布することにより、アルミニウム(Al)凝集現象を抑制して容量減少を最小化し、少量のアルミニウム(Al)で寿命特性及び抵抗増加率特性の改善効果を高めることができる。
【0069】
本発明に係る正極活物質は、下記[化学式2]で表されるリチウム遷移金属酸化物であってよい。
【0070】
[化学式2]
Lia[Nix1Coy1Mnz1Als1]1-bM1
bO2
【0071】
前記化学式2において、前記aは、リチウム遷移金属酸化物において、遷移金属に対するリチウムのモル比を示すものであって、0.8≦a≦1.2、0.9≦a≦1.2、又は0.9≦a≦1.1であってよい。
【0072】
前記x1は、リチウム遷移金属酸化物において、全遷移金属元素中のニッケルのモル比を示すものであって、0.7≦x1≦0.99、0.8≦x1≦0.99、0.85≦x1≦0.99、又は0.88≦x1≦0.99であってよい。
【0073】
前記y1は、リチウム遷移金属酸化物において、全遷移金属元素中のコバルトのモル比を示すものであって、0<y1<0.3、0<y1<0.2、0<y1<0.15、又は0<y1<0.12であってよい。
【0074】
前記z1は、リチウム遷移金属酸化物において、全遷移金属元素中のマンガンのモル比を示すものであって、0<z1<0.3、0<z1<0.2、0<z1<0.15、又は0<z1<0.12であってよい。
【0075】
前記s1は、リチウム遷移金属酸化物において、全遷移金属元素中のアルミニウムのモル比を示すものであって、0.01≦s1≦0.1、0.01≦s1≦0.08又は0.01≦s1≦0.05であってよい。
【0076】
前記M1は、リチウム遷移金属酸化物にドーピングされたドーピング元素であって、例えば、Zr、B、W、Mg、Ce、Hf、Ta、La、Ti、Sr、Ba、F、P及びSからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0077】
前記bは、リチウム遷移金属酸化物において、遷移金属サイトに置換されたドーピング元素M1のモル比を示すものであって、0≦b≦0.1、又は0≦b≦0.05であってよい。
【0078】
<正極及びリチウム二次電池>
本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記のように製造された正極活物質を含む二次電池用正極及びリチウム二次電池を提供する。
【0079】
具体的には、前記正極は、正極集電体及び前記正極集電体上に形成され、前記正極活物質を含む正極活物質層を含む。
【0080】
前記正極において、正極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく、導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、又はアルミニウムやステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したものなどが使用されてよい。また、前記正極集電体は、通常3~500umの厚さを有してよく、前記正極集電体の表面上に微細な凹凸を形成して正極活物質の接着力を高めることもできる。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用されてよい。
【0081】
また、前記正極活物質層は、前述した正極活物質とともに、導電材及びバインダーを含んでよい。
【0082】
ここで、前記導電材は、電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こすことなく電子伝導性を有するものであれば、特別な制限なしに使用可能である。具体的な例としては、天然黒鉛や人造黒鉛などの黒鉛;カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、炭素繊維などの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などの金属粉末又は金属繊維;酸化亜鉛、チタン酸カリウムなどの導電性ウィスカー;酸化チタンなどの導電性金属酸化物;又はポリフェニレン誘導体などの伝導性高分子などが挙げられ、これらのうち1種単独又は2種以上の混合物が使用されてよい。前記導電材は、通常、正極活物質層の総重量に対して1重量%~30重量%で含まれてよい。
【0083】
また、前記バインダーは、正極活物質粒子間の付着及び正極活物質と正極集電体との接着力を向上させる役割を果たす。具体的な例としては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ビニリデンフルオライド‐ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(PVDF‐co‐HFP)、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース、再生セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレン‐ジエンモノマーゴム(EPDM rubber)、スルホン化EPDM、スチレンブタジエンゴム(SBR)、フッ素ゴム、又はこれらの多様な共重合体などが挙げられ、これらのうち1種単独又は2種以上の混合物が使用されてよい。前記バインダーは、正極活物質層の総重量に対して1重量%~30重量%で含まれてよい。
【0084】
前記正極は、前述した正極活物質を用いる以外は、通常の正極の製造方法により製造されてよい。具体的には、前述した正極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を含む正極合材を正極集電体上に塗布した後、乾燥及び圧延することにより製造されてよい。この際、前記正極活物質、バインダー、導電材の種類及び含量は、前述したとおりである。
【0085】
前記溶媒としては、当該技術分野において一般的に使用される溶媒であってよく、ジメチルスルホキシド(dimethyl sulfoxide、DMSO)、イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol)、N‐メチルピロリドン(NMP)、アセトン(acetone)又は水などが挙げられ、これらのうち1種単独又は2種以上の混合物が使用されてよい。前記溶媒の使用量は、スラリーの塗布厚さ、製造歩留まりを考慮して、前記正極活物質、導電材及びバインダーを溶解又は分散させ、その後、正極製造のための塗布時に優れた厚さ均一度を示し得る粘度を有するようにする程度であれば十分である。
【0086】
また、他の方法で、前記正極は、前記正極合材を別途の支持体上にキャスティングした後、この支持体から剥離して得たフィルムを正極集電体上にラミネーションすることにより製造されてもよい。
【0087】
本発明のさらに他の一実施形態によれば、前記正極を含む電気化学素子が提供される。前記電気化学素子は、具体的には、電池又はコンデンサなどであってよく、より具体的には、リチウム二次電池であってよい。
【0088】
前記リチウム二次電池は、具体的には、正極、前記正極と対向して位置する負極、前記正極と負極との間に介在するセパレーター及び電解質を含み、前記正極は、前述したとおりである。また、前記リチウム二次電池は、前記正極、負極、セパレーターの電極組立体を収納する電池容器、及び前記電池容器を封止する封止部材を選択的にさらに含んでよい。
【0089】
前記リチウム二次電池において、前記負極は、負極集電体及び前記負極集電体上に位置する負極活物質層を含む。
前記負極集電体は、電池に化学的変化を誘発することなく、高い導電性を有するものであれば、特に制限されるものではなく、例えば、銅、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレス鋼の表面に炭素、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム‐カドミウム合金などが使用されてよい。また、前記負極集電体は、通常3~500umの厚さを有してよく、正極集電体と同様に、前記集電体の表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させてもよい。例えば、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体などの多様な形態で使用されてよい。
【0090】
前記負極活物質層は、負極活物質とともに選択的にバインダー及び導電材を含む。前記負極活物質層は、一例として、負極集電体上に負極活物質、及び選択的にバインダー及び導電材を含む負極合材を塗布して乾燥するか、又は前記負極合材を別途の支持体上にキャスティングした後、この支持体から剥離して得たフィルムを負極集電体上にラミネーションすることにより製造されてもよい。
【0091】
前記負極活物質としては、リチウムの可逆的なインターカレーション及びデインターカレーションの可能な化合物が使用されてよい。具体的な例としては、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などの炭素質材料;Si、Al、Sn、Pb、Zn、Bi、In、Mg、Ga、Cd、Si合金、Sn合金、又はAl合金など、リチウムと合金化が可能な金属質化合物;SiOβ(0<β<2)、SnO2、バナジウム酸化物、リチウムバナジウム酸化物のようにリチウムをドープ及び脱ドープすることができる金属酸化物;又はSi‐C複合体又はSn‐C複合体のように前記金属質化合物と炭素質材料とを含む複合物などが挙げられ、これらのうちいずれか一つ又は二つ以上の混合物が使用されてよい。また、前記負極活物質として金属リチウム薄膜が使用されてもよい。また、炭素材料は、低結晶炭素及び高結晶炭素などのいずれも使用されてよい。低結晶性炭素としては、軟化炭素(soft carbon)及び硬化炭素(hard carbon)が代表的であり、高結晶性炭素としては、無定形、板状、麟片状、球状又は繊維状の天然黒鉛、又は人造黒鉛、キッシュ黒鉛(Kish graphite)、熱分解炭素(pyrolytic carbon)、メソ相ピッチ系炭素繊維(mesophase pitch based carbon fiber)、メソ炭素微小球体(meso‐carbon microbeads)、メソ相ピッチ(Mesophase pitches)、及び石油と石炭系コークス(petroleum or coal tar pitch derived cokes)などの高温焼成炭素が代表的である。
【0092】
また、前記バインダー及び導電材は、前記正極で説明したものと同様であってよい。
【0093】
一方、前記リチウム二次電池において、セパレーターは、負極と正極とを分離してリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、通常、リチウム二次電池においてセパレーターとして使用されるものであれば、特別な制限なしに使用可能であり、特に、電解質のイオン移動に対して低抵抗であり、かつ電解液の含湿能に優れたものが好ましい。具体的には、多孔性高分子フィルム、例えば、エチレン単独重合体、プロピレン単独重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体及びエチレン/メタクリレート共重合体などのようなポリオレフィン系高分子で製造した多孔性高分子フィルム、又はこれらの2層以上の積層構造体が使用されてよい。また、通常の多孔性不織布、例えば、高融点のガラス繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などからなる不織布が使用されてもよい。また、耐熱性又は機械的強度の確保のために、セラミックス成分又は高分子物質が含まれたコーティングされたセパレーターが使用されてもよく、選択的に単層又は多層構造で使用されてよい。
【0094】
また、本発明で使用される電解質としては、リチウム二次電池の製造時に使用可能な有機系液体電解質、無機系液体電解質、固体高分子電解質、ゲル型高分子電解質、固体無機電解質、溶融型無機電解質などが挙げられ、これらに限定されるものではない。
【0095】
具体的には、前記電解質は、有機溶媒及びリチウム塩を含んでよい。
【0096】
前記有機溶媒としては、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を果たし得るものであれば、特別な制限なしに使用されてよい。具体的には、前記有機溶媒としては、メチルアセテート(methyl acetate)、エチルアセテート(ethyl acetate)、γ‐ブチロラクトン(γ‐butyrolactone)、ε‐カプロラクトン(ε‐caprolactone)などのエステル系溶媒;ジブチルエーテル(dibutyl ether)又はテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)などのエーテル系溶媒;シクロヘキサノン(cyclohexanone)などのケトン系溶媒;ベンゼン(benzene)、フルオロベンゼン(fluorobenzene)などの芳香族炭化水素系溶媒;ジメチルカーボネート(dimethylcarbonate、DMC)、ジエチルカーボネート(diethylcarbonate、DEC)、メチルエチルカーボネート(methylethylcarbonate、MEC)、エチルメチルカーボネート(ethylmethylcarbonate、EMC)、エチレンカーボネート(ethylenecarbonate、EC)、プロピレンカーボネート(propylenecarbonate、PC)などのカーボネート系溶媒;エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒;R‐CN(Rは、C2~C20の直鎖状、分岐状又は環構造の炭化水素基であり、二重結合方向環又はエーテル結合を含んでよい)などのニトリル類;ジメチルホルムアミドなどのアミド類;1,3‐ジオキソランなどのジオキソラン類;又はスルホラン(sulfolane)類などが使用されてよい。中でも、カーボネート系溶媒が好ましく、電池の充放電性能を高めることができる高いイオン伝導度及び高誘電率を有する環状カーボネート(例えば、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートなど)と、低粘度の線状カーボネート系化合物(例えば、エチルメチルカーボネート、ジメチルカーボネート又はジエチルカーボネートなど)の混合物がより好ましい。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートは、約1:1~約1:9の体積比で混合して使用することが電解液の性能が優れている可能性がある。
【0097】
前記リチウム塩は、リチウム二次電池で使用されるリチウムイオンを提供し得る化合物であれば、特別な制限なしに使用されてよい。具体的には、前記リチウム塩は、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiSbF6、LiAl04、LiAlCl4、LiCF3SO3、LiC4F9SO3、LiN(C2F5SO3)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(CF3SO2)2、LiCl、LiI、又はLiB(C2O4)2などが使用されてよい。前記リチウム塩の濃度は、0.1~2.0Mの範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれると、電解質が適正な伝導度及び粘度を有するので、優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動することができる。
【0098】
前記電解質には、前記電解質の構成成分以外にも、電池の寿命特性の向上、電池容量減少の抑制、電池の放電容量の向上などを目的として、例えば、ジフルオロエチレンカーボネートなどのようなハロアルキレンカーボネート系化合物、ピリジン、トリエチルホスファイト、トリエタノールアミン、環状エーテル、エチレンジアミン、n‐グリム(glyme)、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ニトロベンゼン誘導体、硫黄、キノンイミン染料、N‐置換オキサゾリジノン、N,N‐置換イミダゾリジン、エチレングリコールジアルキルエーテル、アンモニウム塩、ピロール、2‐メトキシエタノールまたは三塩化アルミニウムなどの添加剤が1種以上さらに含まれてもよい。この際、前記添加剤は、電解質の総重量に対して0.1~5重量%で含まれてよい。
【0099】
前記のように、本発明に係る正極活物質を含むリチウム二次電池は、優れた放電容量、出力特性及び容量維持率を安定的に示すので、携帯電話、ノートパソコン、デジタルカメラなどの携帯用機器、及びハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle、HEV)などの電気自動車分野などに有用である。
【0100】
これに伴い、本発明の他の一具現例によれば、前記リチウム二次電池を単位セロで含む電池モジュール及びそれを含む電池パックが提供される。
【0101】
前記電池モジュール又は電池パックは、パワーツール(Power Tool);電気自動車(Electric Vehicle、EV)、ハイブリッド電気自動車、及びプラグインハイブリッド電気自動車(Plug‐in Hybrid Electric Vehicle、PHEV)を含む電気車;又は電力貯蔵用システムのいずれか一つ以上の中大型デバイス電源として用いられてよい。
【0102】
以下、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例に対して詳細に説明する。しかし、本発明は、様々な異なる形態で具現されてよく、ここで説明する実施例に限定されない。
【0103】
実施例1
反応器(容量20L)に蒸留水4リットルを入れた後、58℃の温度を維持させ、NiSO4、CoSO4、MnSO4をニッケル:コバルト:マンガンのモル比が88:5:7になるように混合した2.29mol/L濃度の遷移金属水溶液を500ml/hrで、0.291mol/L濃度のNaAlO2を水酸化ナトリウム溶液に溶解させた溶液を100mL/hrで反応器に投入し、9重量%のアンモニア水溶液を510ml/hrで反応器に連続的に投入した。そして、15重量%の水酸化ナトリウム水溶液を206ml/hrで投入し、pHが11.7を維持するように水酸化ナトリウム水溶液の投入を調節した。
【0104】
最初の30分は、600rpmで撹拌して核生成し、その後、250~600rpmで撹拌して粒子成長させた。20時間共沈反応させてバッチ式反応器の内部が満たされると、撹拌を停止して前駆体粒子を沈澱させ、反応物を4L残して上澄液を除去した後、再び反応を進行した。総40時間反応させて前駆体粒子を形成した。前記前駆体粒子を分離して水に洗浄した後、130℃の温風乾燥機で12時間以上乾燥させ、解砕及び篩分して正極活物質前駆体Ni0.86Co0.05Mn0.07Al0.02(OH)2を製造した。
【0105】
実施例2
実施例1で製造した正極活物質前駆体、LiOH及びZrO2をNi+Co+Mn+Al:Li:Zrが1:1.07:0.0015のモル比になるようにする量で混合し、酸素雰囲気下、790℃で10時間焼成してZrが1,500ppmでドーピングされた正極活物質Li[Ni0.86Co0.05Mn0.07Al0.02]0.9985Zr0.0015O2を製造した。
【0106】
比較例1
反応器(容量20L)に蒸留水4リットルを入れた後、58℃の温度を維持させ、NiSO4、CoSO4、MnSO4をニッケル:コバルト:マンガンのモル比が88:5:7になるように混合した2.29mol/L濃度の遷移金属水溶液を510ml/hrで反応器に投入し、9重量%のアンモニア水溶液を680ml/hrで反応器に連続的に投入した。そして、15重量%の水酸化ナトリウム水溶液を612ml/hrで投入し、pHが11.6を維持するように水酸化ナトリウム水溶液の投入を調節した。
【0107】
最初の30分は、600rpmで撹拌して核生成し、その後、250~600rpmで撹拌して粒子成長させた。20時間共沈反応させてバッチ式反応器の内部が満たされると、撹拌を停止して前駆体粒子を沈澱させ、反応物を4L残して上澄液を除去した後、再び反応を進行した。総40時間反応させて前駆体粒子を形成した。前記前駆体粒子を分離して水に洗浄した後、130℃の温風乾燥機で12時間以上乾燥させ、解砕及び篩分して正極活物質前駆体Ni0.88Co0.05Mn0.07(OH)2を製造した。
【0108】
比較例2
反応器(容量20L)に蒸留水4リットルを入れた後、58℃の温度を維持させ、NiSO4、CoSO4、MnSO4をニッケル:コバルト:マンガンのモル比が88:5:7になるように混合した2.29mol/L濃度の遷移金属水溶液を500ml/hrで、1.145mol/L濃度のAl(NO3)3水溶液を20mL/hrで反応器に投入し、9重量%のアンモニア水溶液を510ml/hrで反応器に連続的に投入した。そして、15重量%の水酸化ナトリウム水溶液を306ml/hrで投入し、pHが11.4を維持するように水酸化ナトリウム水溶液の投入を調節した。
【0109】
最初の30分は、600rpmで撹拌して核生成し、その後、250~600rpmで撹拌して粒子成長させた。20時間共沈反応させてバッチ式反応器の内部が満たされると、撹拌を停止して前駆体粒子を沈澱させ、反応物を4L残して上澄液を除去した後、再び反応を進行した。総40時間反応させて前駆体粒子を形成した。前記前駆体粒子を分離して水に洗浄した後、130℃の温風乾燥機で12時間以上乾燥させ、解砕及び篩分して正極活物質前駆体Ni0.86Co0.05Mn0.07Al0.02(OH)2を製造した。
【0110】
比較例3
比較例1で製造した正極活物質前駆体、LiOH、Al2O3及びZrO2をNi+Co+Mn:Li:Al:Zrが1:1.07:0.02:0.0015のモル比になるようにする量で混合し、酸素雰囲気下、770℃で10時間焼成してZrが1,500ppmでドーピングされた正極活物質Li[Ni0.88Co0.05Mn0.07]0.9785Al0.02Zr0.0015O2を製造した。
【0111】
比較例4
比較例2で製造した正極活物質前駆体、LiOH及びZrO2をNi+Co+Mn+Al:Li:Zrが1:1.07:0.0015のモル比で混合し、酸素雰囲気下、790℃で10時間焼成してZrが1,500ppmでドーピングされた正極活物質Li[Ni0.86Co0.05Mn0.07Al0.02]0.9985Zr0.0015O2を製造した。
【0112】
[実験例1:結晶配向性の確認]
実施例1の正極活物質前駆体に対する透過電子顕微鏡(TEM)分析を行い、1次粒子の長軸と(001)面との間の角度を高分解能画像(High resolution image)の高速フーリエ変換(FFT)パターンにより確認した。実施例1で製造した正極活物質前駆体の断面TEM画像を
図4に図示した。高分解能画像(High resolution image)のFFTパターンを確認した結果、実施例1の正極活物質前駆体で(001)面が1次粒子の長軸となす角度が54°であることが確認された。
【0113】
また、実施例2の正極活物質及び比較例4の正極活物質に対して断面STEM分析を行い、制限視野回折パターン(selected area diffraction pattern、SADP)により1次粒子の長軸と(003)面との間の角度を確認した。
【0114】
図1は、比較例4で製造した正極活物質の断面STEM画像であり、図中の矢印は(003)面方向を示す。
図1に図示されたように、比較例4の正極活物質は、柱(Columnar)状の1次粒子の長軸が2次粒子の中心から表面方向に向かって配列された放射状配列構造を有することが確認される。また、SADPで確認した結果、比較例4の正極活物質で、(003)面が1次粒子の長軸方向と平行な方向に成長したことが確認された。
【0115】
図3は、実施例2で製造した正極活物質の断面STEM画像であり、図中の短い矢印は(003)面方向を示し、長い矢印は1次粒子の長軸方向を示す。
図3に図示されたように、実施例2の正極活物質は、柱(Columnar)状の1次粒子の長軸が2次粒子の中心から表面方向に向かって配列された放射状配列構造を有することが確認される。また、SADPで確認した結果、実施例2の正極活物質で、(003)面が1次粒子の長軸方向となす角度が54°であることが確認された。
【0116】
[実験例2:容量、出力特性]
前記実施例2、比較例3、4で製造した正極活物質、カーボンブラック導電材及びPVDFバインダーを、N‐メチルピロリドン溶媒中、重量比で96:2:2の割合で混合して正極合材を製造し、これをアルミニウム集電体の片面に塗布した後、100℃で乾燥後、圧延して正極を製造した。
【0117】
負極は、リチウムメタルを使用した。
【0118】
前記のように製造された正極と負極との間に、多孔性ポリエチレンのセパレーターを介在して電極組立体を製造し、前記電極組立体をケースの内部に位置させた後、ケース内部に電解液を注入してリチウム二次電池を製造した。この際、電解液は、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート/ジエチルカーボネート/(EC/EMC/DECの混合体積比=3/4/3)からなる有機溶媒に、1.0M濃度のリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF6)を溶解させて製造した。
【0119】
このように製造された各リチウム二次電池ハーフセル(half‐cell)に対して、25℃で1Cの定電流で4.25Vまで3Cカットオフ(cut off)で充電した。その後、0.1Cの定電流で3.0Vになるまで放電をして、容量、効率、及び出力特性を評価した。その結果を下記表1及び
図5に示した。
【0120】
【0121】
前記表1を参照すれば、実施例2の正極活物質が容量や効率が最良に測定され、
図5に示されるように、常温出力特性もまた、実施例2の場合が顕著に良好であった。
【国際調査報告】