(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】施工性および加工性に優れたエチレン/1-ヘキセン共重合体
(51)【国際特許分類】
C08F 210/16 20060101AFI20230111BHJP
C08F 4/76 20060101ALI20230111BHJP
F16L 11/06 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C08F210/16
C08F4/76
F16L11/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523022
(86)(22)【出願日】2021-09-29
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 KR2021013322
(87)【国際公開番号】W WO2022071744
(87)【国際公開日】2022-04-07
(31)【優先権主張番号】10-2020-0127478
(32)【優先日】2020-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0128313
(32)【優先日】2021-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュンス・キム
(72)【発明者】
【氏名】ヨンス・キム
(72)【発明者】
【氏名】チャンスブ・キム
(72)【発明者】
【氏名】ボグ・キ・ホン
(72)【発明者】
【氏名】イェ・ジン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジンモ・キム
【テーマコード(参考)】
3H111
4J015
4J100
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA15
3H111CB02
4J015DA16
4J015DA17
4J100AA02P
4J100AA16Q
4J100CA04
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA09
4J100DA14
4J100DA42
4J100DA49
4J100DA51
4J100FA04
4J100FA10
4J100FA19
4J100FA28
4J100FA30
4J100JA28
(57)【要約】
本発明では、施工性および加工性に優れ、高内圧暖房管またはPE-RTパイプ、または大口径パイプなどの製造に有用なエチレン/1-ヘキセン共重合体を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ASTM D 1505によって測定した密度が0.915g/cm
3~0.935g/cm
3であり、
BOCDインデックス(Broad Orthogonal Co-monomer Distribution Index)が5.5以上であり、
分子量分布(Mw/Mn)が3.5以上である、
エチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項2】
前記BOCDインデックスが5.5~10である、請求項1に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項3】
前記分子量分布(Mw/Mn)が3.5~5である、請求項1または2に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項4】
炭素1000個当りの炭素数2~7個の短鎖分岐(SCB)の含量が9.5個/1000C~20個/1000Cである、請求項1から3のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項5】
ASTM D 1238によって190℃、2.16kg荷重で測定した溶融指数(MI
2.16)が0.50g/10min~0.70g/10minである、請求項1から4のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項6】
ASTM D 1238によって190℃、21.6kg荷重で測定した高荷重溶融指数(HLMI、MI
21.6)が20g/10min~30g/10minである、請求項1から5のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項7】
ASTM D 1238によって190℃で測定した溶融流動率比(MI
21.6/MI
2.16)が30~50である、請求項1から6のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項8】
210℃、せん断速度1/1000秒でキャピラリを用いて測定したせん断粘度(η
1000)が420Pa.s~460Pa.sである、請求項1から7のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項9】
ASTM D 638方法で測定した固有応力が10.0MPa~12.0MPaである、請求項1から8のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項10】
ISO 9080方法で測定した内圧が8.3MPa~9.3MPaである、請求項1から9のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項11】
ASTM D 790方法で測定した屈曲弾性率が4500kg/cm
2~4800kg/cm
2である、請求項1から10のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項12】
前記共重合体内1-ヘキセン含量が共重合体総重量基準5重量%~10重量%である、請求項1から11のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体。
【請求項13】
モノモーダル型重合工程で、下記化学式1で表される第1メタロセン化合物および下記化学式2で表される第2メタロセン化合物を含む触媒組成物の存在下で、水素気体を投入しながらエチレンおよび1-ヘキセンを共重合させる段階を含む、
請求項1から12のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体の製造方法:
[化学式1]
(Cp
1R
a)
n(Cp
2R
b)M
1Z
1
3-n
上記化学式1中、
M
1は4族遷移金属であり;
Cp
1およびCp
2はそれぞれシクロペンタジエニルであり、これらは炭素数1~20の炭化水素で置換されるかまたは非置換され;
R
aおよびR
bは互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル、炭素数1~20のアルコキシ、炭素数2~20のアルコキシアルキル、炭素数6~20のアリール、炭素数6~20のアリールオキシ、炭素数2~20のアルケニル、炭素数7~40のアルキルアリール、炭素数7~40のアリールアルキル、炭素数8~40のアリールアルケニル、炭素数2~20のアルキニル、またはN、OおよびSから構成される群より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリールであり、但し、R
aおよびR
bのうちの少なくとも一つ以上は水素ではなく;
Z
1はそれぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数7~40のアルキルアリール、炭素数7~40のアリールアルキル、炭素数6~20のアリール、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキリデン、置換もしくは非置換のアミノ基、炭素数2~20のアルキルアルコキシ、または炭素数7~40のアリールアルコキシであり;
nは1または0であり;
【化1】
上記化学式2中、
Aは、水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数6~20のアリール、炭素数7~20のアルキルアリール、炭素数7~20のアリールアルキル、炭素数1~20のアルコキシ、炭素数2~20のアルコキシアルキル、炭素数3~20のヘテロシクロアルキル、または炭素数5~20のヘテロアリールであり;
Dは-O-、-S-、-N(R)-または-Si(R)(R’)-であり、ここでRおよびR’は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、または炭素数6~20のアリールであり;
Lは炭素数1~10の直鎖または分岐鎖アルキレンであり;
Bは炭素、ケイ素またはゲルマニウムであり;
Qは水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数6~20のアリール、炭素数7~20のアルキルアリール、または炭素数7~20のアリールアルキルであり;
M
2は4族遷移金属であり;
X
1およびX
2は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数6~20のアリール、ニトロ、アミド、炭素数1~20のアルキルシリル、炭素数1~20のアルコキシ、または炭素数1~20のスルホネートであり;
C
1およびC
2は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、下記化学式2a、化学式2bまたは下記化学式2cのうちの一つで表され、但し、C
1およびC
2が全て化学式2cである場合は除き;
【化2】
上記化学式2a、2bおよび2c中、R
1~R
17およびR
1’~R
9’は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数1~20のアルキルシリル、炭素数1~20のシリルアルキル、炭素数1~20のアルコキシシリル、炭素数1~20のアルコキシ、炭素数6~20のアリール、炭素数7~20のアルキルアリール、または炭素数7~20のアリールアルキルであり、前記R
10~R
17のうちの互いに隣接する2つ以上が互いに連結されて置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族環を形成することができ;
・はBと結合する部位を示したものであり;
*はM
2と結合する部位を示したものである。
【請求項14】
上記化学式1中、R
aおよびR
bがそれぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルコキシアルキル、または炭素数7~20のアリールアルキルであり、
R
aおよびR
bのうちの少なくとも一つが-(CH
2)
p-OR
c(この時、R
cは炭素数1~6の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、pは2~4の整数である)である、
請求項13に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体の製造方法。
【請求項15】
前記第1メタロセン化合物と第2メタロセン化合物は1:2~1:5のモル比で含まれる、請求項13または14に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体の製造方法。
【請求項16】
前記共重合は、一つのループ型スラリー反応器でモノモーダル型重合方法で行われる、請求項13から15のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体の製造方法。
【請求項17】
前記共重合工程で、前記1-ヘキセンはエチレン単量体総重量に対して5重量%~15重量%で含まれる、請求項13から16のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体の製造方法。
【請求項18】
請求項1から12のいずれか一項に記載のエチレン/1-ヘキセン共重合体を含む、パイプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2020年9月29日付韓国特許出願第10-2020-0127478号および2021年9月28日付韓国特許出願第10-2021-0128313号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、施工性および加工性に優れたエチレン/1-ヘキセン共重合体に関するものである。
【背景技術】
【0003】
高内圧暖房管、またはPE-RTパイプに使用されるポリオレフィン樹脂は施工性改善のために高い弾力(flexibility)特性と共に優れた加工性が要求される。しかし、製品物性面で高い弾力(flexibility)特性と加工性はトレードオフ(trade off)関係である。高い弾力(flexibility)特性は製品の密度を低めなければならず、これによって内圧が落ちるようになり、これは加工性低下を招く。また、加工性確保のために機械的物性を増加させ製品密度を増加させる場合には、弾力(flexibility)特性が低下して施工性が落ちるようになる。
【0004】
米国特許第6,180,736号は1種のメタロセン触媒を使用して単一気相反応器または連続スラリー反応器でポリエチレンを製造する方法について記載している。この方法を用いる時、ポリエチレン製造原価が低くファウリングがほとんど発生しなく重合活性が安定的であるという長所がある。また、米国特許第6,911,508号は新たなメタロセン触媒化合物を使用し、1-ヘキセンを共単量体にして単一気相反応器で重合した流変物性の改善されたポリエチレン製造について記載している。しかし、前記特許で生成されたポリエチレンも狭い分子量分布を有して、十分な衝撃強度および加工性を示しにくいという短所を有している。
【0005】
また、米国特許第4,935,474号には2種またはそれ以上のメタロセン化合物を使用して広い分子量分布を有するポリエチレンを製造する方法が記載されている。
【0006】
一方、米国特許第6,841,631号、米国特許第6,894,128号には少なくとも2種の金属化合物が使用されたメタロセン系触媒でバイモーダル型またはマルチモーダル型分子量分布を有するポリエチレンを製造して、前記ポリエチレンがフィルム、パイプ、中空成形品などの製造への適用が可能であると記載されている。しかし、このように製造されたポリエチレンは改善された加工性を有するが、単位粒子内の分子量別分散状態が均一でなくて比較的に良好な加工条件でも外観が粗く物性が安定的でないという問題点がある。
【0007】
このような背景で施工性改善のために高い弾力(flexibility)特性と共に優れた加工性のための内圧確保特性の間の均衡の取れた、より優れた樹脂の製造が絶えず要求されており、これに対する研究がさらに必要な状態である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,180,736号
【特許文献2】米国特許第6,911,508号
【特許文献3】米国特許第4,935,474号
【特許文献4】米国特許第6,841,631号
【特許文献5】米国特許第6,894,128号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前記従来の技術の問題点を解決するために、本発明は施工性および加工性に優れたエチレン/1-ヘキセン共重合体を提供する。
【0010】
本発明はまた、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体を用いて製造したパイプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、本発明の一実施形態によれば、ASTM D 1505によって測定した密度が0.915g/cm3~0.935g/cm3であり、BOCDインデックス(Broad Orthogonal Co-monomer Distribution Index)が5.5以上であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.5以上である、エチレン/1-ヘキセン共重合体を提供する。
【0012】
本発明の他の一実施形態によれば、モノモーダル型重合工程で、下記化学式1で表される第1メタロセン化合物および下記化学式2で表される第2メタロセン化合物を含む触媒組成物の存在下で、水素気体を投入しながらエチレンおよび1-ヘキセンを共重合させる段階を含む、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の製造方法を提供する。
【0013】
[化学式1]
(Cp1Ra)n(Cp2Rb)M1Z1
3-n
【0014】
上記化学式1中、
M1は4族遷移金属であり;
Cp1およびCp2はそれぞれシクロペンタジエニルであり、これらは炭素数1~20の炭化水素で置換されるかまたは非置換され;
RaおよびRbは互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル、炭素数1~20のアルコキシ、炭素数2~20のアルコキシアルキル、炭素数6~20のアリール、炭素数6~20のアリールオキシ、炭素数2~20のアルケニル、炭素数7~40のアルキルアリール、炭素数7~40のアリールアルキル、炭素数8~40のアリールアルケニル、炭素数2~20のアルキニル、またはN、OおよびSから構成される群より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリールであり、但し、RaおよびRbのうちの少なくとも一つ以上は水素ではなく;
Z1はそれぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数7~40のアルキルアリール、炭素数7~40のアリールアルキル、炭素数6~20のアリール、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキリデン、置換もしくは非置換のアミノ基、炭素数2~20のアルキルアルコキシ、または炭素数7~40のアリールアルコキシであり;
nは1または0であり;
【0015】
【0016】
上記化学式2中、
Aは、水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数6~20のアリール、炭素数7~20のアルキルアリール、炭素数7~20のアリールアルキル、炭素数1~20のアルコキシ、炭素数2~20のアルコキシアルキル、炭素数3~20のヘテロシクロアルキル、または炭素数5~20のヘテロアリールであり;
Dは-O-、-S-、-N(R)-または-Si(R)(R’)-であり、ここでRおよびR’は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、または炭素数6~20のアリールであり;
Lは炭素数1~10の直鎖または分岐鎖アルキレンであり;
Bは炭素、ケイ素またはゲルマニウムであり;
Qは水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数6~20のアリール、炭素数7~20のアルキルアリール、または炭素数7~20のアリールアルキルであり;
M2は4族遷移金属であり;
X1およびX2は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数6~20のアリール、ニトロ、アミド、炭素数1~20のアルキルシリル、炭素数1~20のアルコキシ、または炭素数1~20のスルホネートであり;
C1およびC2は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、下記化学式2a、化学式2bまたは下記化学式2cのうちの一つで表され、但し、C1およびC2が全て化学式2cである場合は除き;
【0017】
【0018】
上記化学式2a、2bおよび2c中、R1~R17およびR1’~R9’は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数1~20のアルキルシリル、炭素数1~20のシリルアルキル、炭素数1~20のアルコキシシリル、炭素数1~20のアルコキシ、炭素数6~20のアリール、炭素数7~20のアルキルアリール、または炭素数7~20のアリールアルキルであり、前記R10~R17のうちの互いに隣接する2つ以上が互いに連結されて置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族環を形成することができ;
・はBと結合する部位を示したものである。
【0019】
*はM2と結合する部位を示したものである。
【0020】
本発明のまた他の一実施形態によれば、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体を用いて製造したパイプを提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によるエチレン/1-ヘキセン共重合体は、分子内高分子重合体と低分子重合体の比率を制御することによって、施工性および加工性が向上し、結果として高内圧暖房管、PE-RTパイプまたは大口径パイプなどに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】発明の一実施形態による実施例1で製造したエチレン/1-ヘキセン共重合体のGPCカーブ(実線)およびSCB含量グラフ(四角ブロック点線)を示したものである。
【
図2】発明の一実施形態による実施例2で製造したエチレン/1-ヘキセン共重合体のGPCカーブ(実線)およびSCB含量グラフ(四角ブロック点線)を示したものである。
【
図3】比較例1によるエチレン/1-オクテン共重合体のGPCカーブ(実線)およびSCB含量グラフ(四角ブロック点線)を示したものである。
【
図4】比較例2によるエチレン/1-オクテン共重合体のGPCカーブ(実線)およびSCB含量グラフ(四角ブロック点線)を示したものである。
【
図5】比較例3によるエチレン/1-オクテン共重合体のGPCカーブ(実線)およびSCB含量グラフ(四角ブロック点線)を示したものである。
【
図6】比較例4によるエチレン/1-ヘキセン共重合体のGPCカーブ(実線)およびSCB含量グラフ(四角ブロック点線)を示したものである。
【
図7】比較例5によるエチレン/1-ヘキセン共重合体のGPCカーブ(実線)およびSCB含量グラフ(四角ブロック点線)を示したものである。
【
図8】比較例6で製造したエチレン/1-ヘキセン共重合体のGPCカーブ(実線)およびSCB含量グラフ(四角ブロック点線)を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明において、第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明することに使用され、前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的としてのみ使用される。
【0024】
また、本明細書で使用される用語は単に例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0025】
本発明は多様な変更を加えることができ様々な形態を有することができるところ、特定実施形態を例示して下記で詳細に説明しようとする。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0026】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0027】
発明の一実施形態によるエチレン/1-ヘキセン共重合体は、ASTM D 1505によって測定した密度が0.915g/cm3~0.935g/cm3であり、BOCDインデックス(Broad Orthogonal Co-monomer Distribution Index)が5.5以上であり、分子量分布(Mw/Mn)が3.5以上である。
【0028】
一般に、ポリオレフィン樹脂を適用した高内圧暖房管、またはPE-RTパイプで施工性改善のためには、高い弾力(flexibility)特性と共に優れた加工性が要求される。しかし、製品物性面で高い弾力(flexibility)特性と加工性はトレードオフ(trade off)関係である。高い弾力(flexibility)特性は製品の密度を低めなければならず、これによって内圧が落ちるようになり、これは加工性低下を招く。また、加工性確保のために機械的物性を増加させ製品密度を増加させる場合には弾力(flexibility)特性が低下し、施工性が落ちるようになる。
【0029】
これに対し、本発明では1-ヘキセンに対して低分子量領域では低共重合性を示し、高分子量領域では高共重合性を示す2種のメタロセン化合物を含む混成担持メタロセン触媒を使用して重合体内低分子と高分子の比率を同時に制御する。また、このような共重合工程は、単一反応器を使用するモノモーダル型重合工程、即ち、ユニモーダル(Uni-modal)重合工程を通じて、マルチモーダル重合工程によって製造されるエチレン/1-ヘキセン共重合体と同等水準の機械的物性と共にBOCD構造を強化することによって高い弾力(flexibility)特性を確保し、同時に加工性を改善させた。
【0030】
具体的に、発明の一実施形態によるエチレン/1-ヘキセン共重合体は、ASTM D 1505によって測定した密度が0.915g/cm3~0.935g/cm3である。特に、密度が0.915g/cm3未満であれば内圧効果低下の恐れがあり、0.935g/cm3を超過する場合には耐応力亀裂性(FNCT、full notch creep test)低下の恐れがある。前記範囲の密度を有することによって内圧効果低下または問題発生に対する恐れなくFNCTの改善効果を示すことができる。より具体的に、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の密度は0.918g/cm3以上、または0.920g/cm3以上であり、0.934g/cm3以下、または0.932g/cm3以下である。特に、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の密度は、パイプ加工時施工性(flexibility)を向上させると同時に優れた内圧を確保する側面から前述の範囲を維持することができる。
【0031】
また、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、BOCDインデックス(Broad Orthogonal Co-monomer Distribution Index)が5.5以上または5.5~10である。
【0032】
本明細書で使用されるBOCD構造とは、アルファオレフィンなどの共単量体の含量が高分子量主鎖に集中されている構造、即ち、短鎖分岐(Short Chain Branch、SCB)含量が高分子量側に行くほど多くなる構造を意味する。
【0033】
ここで、短鎖分岐、即ち、短い鎖分岐(SCB、Short Chain Branch)とは、炭素数2~7個からなる分岐鎖(branch)を称するものである。
【0034】
BOCDインデックスは、GPC-FTIR装置を用いて重量平均分子量、分子量分布およびSCB含量を同時に連続的に測定し、重量平均分子量(M)のログ値(log M)をx軸とし、前記ログ値に対する分子量分布(dwt/dlog M)をy軸として分子量分布曲線を描いた時、全体面積に対する左右端20%を除いた中間60%の左側および右側境界でSCB(Short Chain Branch)含量(炭素1,000個当りの炭素数2~7個の側鎖(branch)含量、単位:個/1,000C)を測定した後、測定値を用いて下記数式1によって計算して求めることができる。この時、高分子量側SCB含量と、低分子量側SCB含量は左右端20%を除いた中間60%範囲でそれぞれ右側境界および左側境界でのSCB含量値を意味する。
【0035】
【0036】
この時、BOCD Indexが0以下である場合、BOCD構造の高分子でなく、0より大きい場合、BOCD構造の高分子と見ることができ、その値が大きいほど高分子量領域でSCB(Short Chain Branch)含量の高い構造を有する。
【0037】
発明の一実施形態による前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、5.5~10の高いBOCDインデックスを有することによって、高分子量部分に高い共単量体含量を有し、結果として優れた内圧特性および耐応力亀裂性を示すことができる。より具体的に、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は6以上、または6.5以上であり、9.5以下、または9以下のBOCDインデックスを有する。前記エチレン/1-ヘキセン共重合体のBOCDインデックスはパイプ加工時、施工性(flexibility)を向上させると同時に優れた内圧を確保する側面から前述の範囲を維持することができる。
【0038】
具体的に、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、3.5以上または3.5~5の広い分子量分布(Mw/Mn、PDI)を示し、結果として優れた物性および加工性を示すことができる。より具体的に、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は分子量分布が約3.52以上、あるいは約3.55以上、あるいは約3.6以上、あるいは約3.62以上、あるいは約3.65以上であってもよく、場合によって約4.98以下、あるいは約4.95以下、あるいは約4.92以下、あるいは約4.9以下、あるいは約4.88以下、あるいは4.85以下であってもよい。前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の分子量分布は、パイプ加工時、施工性(flexibility)および加工性を向上させると同時に優れた内圧を確保する側面から前述の範囲を維持することができる。
【0039】
また、前記分子量分布と共に、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、重量平均分子量(Mw)が10,000g/mol以上、あるいは100,000g/mol以上であり、400,000g/mol以下、あるいは300,000g/mol以下を示す。
【0040】
一般にメタロセン触媒で製造される高分子は、重量平均分子量によって加工性と機械的物性が互いにトレードオフ(trade off)関係にある。即ち、重量平均分子量が高まれば機械的物性は改善されるが加工性は減少し、逆に重量平均分子量が低まれば加工性は改善されるが機械的物性は減少するようになる。これに対し、前記エチレン-1-ヘキセン共重合体は前記範囲内の重量平均分子量を有することによって、バランス良く改善された加工性と機械的物性を示すことができる。
【0041】
一方、本発明において分子量分布は、エチレン/1-ヘキセン共重合体の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)をそれぞれ測定した後、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)を計算することによって決定できる。また、前記重量平均分子量および数平均分子量はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができ、具体的な測定方法は以下の試験例でより詳しく説明する。
【0042】
また、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、短鎖分岐(SCB、Short Chain Branch)含量、即ち、炭素1000個当りの炭素数2~7個の側鎖(branch)含量(単位:個/1000C)が9.5個~20個である。より具体的に、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体はSCB(Short Chain Branch)含量10個/1000C以上、あるいは10.5個/1000C以上であり、19個/1000C以下、あるいは18個/1000C以下である。一例として、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の短鎖分岐含量は前述のBOCDインデックス測定方法と同様な方法で測定することができ、具体的な測定方法は以下の試験例でより詳しく説明する。
【0043】
また、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、ASTM D 1238により190℃、2.16kg荷重で測定した溶融指数(MI2.16)が0.50g/10min~0.70g/10minである。溶融指数が0.50g/10min未満であれば加工性低下の恐れがあり、0.70g/10minを超過する場合、FNCT低下の恐れがある。本発明では前記範囲の溶融指数を有することによってFNCT低下なく優れた加工性改善効果を示すことができる。より具体的に、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の溶融指数(MI2.16)は0.52g/10min以上、または0.54g/10min以上であり、0.69g/10min以下、または0.68g/10min以下であってもよい。
【0044】
また、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、ASTM D 1238により190℃、21.6kg荷重で測定した高荷重溶融指数(HLMI、MI21.6)が20g/10min~30g/10minである。高荷重溶融指数は加工性を示すものであって、高荷重溶融指数が20g/10min未満であれば(加工性)効果低下の恐れがあり、30g/10minを超過する場合、FNCT低下の恐れがある。本発明では前記範囲の高荷重溶融指数を有することによってFNCT低下に対する恐れなく加工性面で改善効果を示すことができる。より具体的に、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の高荷重溶融指数は20.5g/10min以上、または21g/10min以上であり、29g/10min以下、または28g/10min以下であってもよい。
【0045】
また、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、ASTM D 1238により190℃で測定した溶融流動率比(MI21.6/MI2.16)が30~50である。前記のような範囲の溶融流動率比を有することによって各荷重での流れ性が適切に調節され、加工性および機械的物性が同時に向上できる。より好ましくは、前記溶融流動率比は31以上、または32以上であり、48以下、または46以下であってもよい。
【0046】
また、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、210℃、せん断速度1/1000秒でキャピラリ(capillary)を用いて測定したせん断粘度(η1000)が420Pa.s~460Pa.sであってもよい。
【0047】
前記せん断速度とは重合体の加工時適用されるせん断速度であって、加工方法によって調節できる。また、前記温度とは重合体の加工温度であって、例えば重合体を押出しまたは射出に用いる場合、押出または射出工程に適用される温度を意味する。前記温度は適用される重合体によって調節でき、本発明においてエチレン/1-ヘキセン共重合体に対する前記温度は190~230℃であってもよく、より具体的には210℃であってもよい。
【0048】
このような加工時の温度およびせん断速度の条件で測定されるせん断粘度はパイプ押出時加工性と関係がある。せん断粘度が低いほど加工性が優れることを意味する。但し、せん断粘度が過度に低い場合、FNCT低下の恐れがある。また、せん断粘度が高ければ押出時加工負荷、トルクなどが高まってRPMを上げることができず線束が落ちる。また、過度に高いせん断粘度はメルトフラクチャー(melt fracture)を発生させパイプ製品外観に光沢低下、突起生成などを招く。これに対し、発明の一実施形態によるエチレン/1-ヘキセン共重合体は製造時、水素投入の条件制御を通じて分子量を調節して前記範囲のせん断粘度を示す。その結果、FNCT効果の低下に対する恐れなく優れた加工性を示すことができる。より具体的に、425Pa.s以上、あるいは430Pa.s以上、あるいは440Pa.s以上であり、または455Pa.s以下、あるいは453Pa.s以下、あるいは450Pa.s以下のせん断粘度を示すことができる。前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の粘度は、パイプ加工時施工性(flexibility)を向上させると同時に優れた内圧を確保する側面から前述の範囲を維持することができる。特に、本発明のエチレン/1-ヘキセン共重合体は加工領域で粘度が低くて押出圧力およびトルクなどで優れた特徴を有することができる。
【0049】
一例として、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体のせん断粘度は210℃、せん断速度1/1000秒でキャピラリ(capillary)を用いて測定することができ、具体的な測定方法は以下の試験例でより詳しく説明する。
【0050】
また、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、ASTM D 638方法で固有応力(Characteristic Stress、C.S.)が10.0MPa~12.0MPaであってもよく、具体的に10.5MPa以上、あるいは11.0MPa以上であるか、または11.9MPa以下、あるいは11.7MPa以下であってもよい。前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の固有応力はパイプ加工時施工性(flexibility)を向上させると同時に優れた内圧を確保する側面から前述の範囲を維持することができる。
【0051】
一例として、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の固有応力(Characteristic Stress、C.S.)はASTM D 638方法で応力-変形率(Stress-strain)の引張試験(Tensil Test)を通じて測定することができ、具体的な測定方法は以下の試験例でより詳しく説明する。
【0052】
また、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、ISO 9080方法で測定した内圧が8.3MPa~9.3MPaであってもよく、具体的に8.5MPa以上、あるいは8.9MPa以上であるか、または9.28MPa以下、あるいは9.24MPa以下であってもよい。前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の内圧はパイプ加工時施工性(flexibility)を向上させると同時に優れた内圧を確保する側面から前述の範囲を維持することができる。
【0053】
また、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体は、ASTM D 790方法で測定した屈曲弾性率(F.M.)が4500kg/cm2~4800kg/cm2であってもよく、具体的に4600kg/cm2以上、あるいは4650kg/cm2以上であるか、または4780kg/cm2以下、あるいは4750kg/cm2以下であってもよい。前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の屈曲弾性率(F.M.)はパイプ加工時施工性(flexibility)を向上させると同時に優れた内圧を確保する側面から前述の範囲を維持することができる。
【0054】
また、前記共重合体内1-ヘキセン含量が共重合体総重量を基準にして5重量%~10重量%であってもよい。より具体的に、共重合体内1-ヘキセン共単量体の含量は共重合体総重量を基準にして5重量%~9.5重量%、あるいは5重量%~9重量%、あるいは5重量%~7重量%であるエチレン/1-ヘキセン共重合体であってもよい。
【0055】
一方、前記のような物性的特徴を有するエチレン/1-ヘキセン共重合体は、モノモーダル型重合工程で、下記化学式1で表される第1メタロセン化合物および下記化学式2で表される第2メタロセン化合物を含む触媒組成物の存在下で、水素気体を投入しながらエチレンおよび1-ヘキセンを共重合させる段階を含む、製造方法によって製造できる。
【0056】
これにより、本発明の他の一実施形態では、前記エチレン/1-ヘキセン共重合体の製造方法が提供される:
【0057】
[化学式1]
(Cp1Ra)n(Cp2Rb)M1Z1
3-n
【0058】
上記化学式1中、
M1は4族遷移金属であり;
Cp1およびCp2はそれぞれシクロペンタジエニルであり、これらは炭素数1~20の炭化水素で置換されるかまたは非置換され;
RaおよびRbは互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル、炭素数1~20のアルコキシ、炭素数2~20のアルコキシアルキル、炭素数6~20のアリール、炭素数6~20のアリールオキシ、炭素数2~20のアルケニル、炭素数7~40のアルキルアリール、炭素数7~40のアリールアルキル、炭素数8~40のアリールアルケニル、炭素数2~20のアルキニル、またはN、OおよびSから構成される群より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換の炭素数2~20のヘテロアリールであり、但し、RaおよびRbのうちの少なくとも一つ以上は水素ではなく;
Z1はそれぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数7~40のアルキルアリール、炭素数7~40のアリールアルキル、炭素数6~20のアリール、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキリデン、置換もしくは非置換のアミノ基、炭素数2~20のアルキルアルコキシ、または炭素数7~40のアリールアルコキシであり;
nは1または0であり;
【0059】
【0060】
上記化学式2中、
Aは、水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数6~20のアリール、炭素数7~20のアルキルアリール、炭素数7~20のアリールアルキル、炭素数1~20のアルコキシ、炭素数2~20のアルコキシアルキル、炭素数3~20のヘテロシクロアルキル、または炭素数5~20のヘテロアリールであり;
Dは-O-、-S-、-N(R)-または-Si(R)(R’)-であり、ここでRおよびR’は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、または炭素数6~20のアリールであり;
Lは炭素数1~10の直鎖または分岐鎖アルキレンであり;
Bは炭素、ケイ素またはゲルマニウムであり;
Qは水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数6~20のアリール、炭素数7~20のアルキルアリール、または炭素数7~20のアリールアルキルであり;
M2は4族遷移金属であり;
X1およびX2は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数6~20のアリール、ニトロ、アミド、炭素数1~20のアルキルシリル、炭素数1~20のアルコキシ、または炭素数1~20のスルホネートであり;
C1およびC2は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、下記化学式2a、化学式2bまたは下記化学式2cのうちの一つで表され、但し、C1およびC2が全て化学式2cである場合は除き;
【0061】
【0062】
上記化学式2a、2bおよび2c中、R1~R17およびR1’~R9’は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、炭素数1~20のアルキルシリル、炭素数1~20のシリルアルキル、炭素数1~20のアルコキシシリル、炭素数1~20のアルコキシ、炭素数6~20のアリール、炭素数7~20のアルキルアリール、または炭素数7~20のアリールアルキルであり、前記R10~R17のうちの互いに隣接する2つ以上が互いに連結されて置換もしくは非置換の脂肪族または芳香族環を形成することができ;
・はBと結合する部位を示したものである。
【0063】
*はM2と結合する部位を示したものである。
【0064】
一方、本明細書で特別な制限がない限り次の用語は下記のように定義することができる。
【0065】
ハロゲン(halogen)は、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)またはヨウ素(I)であってもよい。
【0066】
炭素数1~30のアルキル基は、直鎖、分岐鎖または環状アルキル基であってもよい。具体的に、炭素数1~20のアルキル基は炭素数1~15の直鎖アルキル基;炭素数1~10の直鎖アルキル基;炭素数1~5の直鎖アルキル基;炭素数3~20の分岐鎖または環状アルキル基;炭素数3~15の分岐鎖または環状アルキル基;または炭素数3~10の分岐鎖または環状アルキル基であってもよい。より具体的に、炭素数1~20のアルキル基はメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、iso-ペンチル基、neo-ペンチル基またはシクロヘキシル基などであってもよい。
【0067】
炭素数2~30のアルケニル基は、直鎖、分岐鎖または環状アルケニル基であってもよい。具体的に、炭素数2~30のアルケニル基は炭素数2~20の直鎖アルケニル基、炭素数2~10の直鎖アルケニル基、炭素数2~5の直鎖アルケニル基、炭素数3~20の分岐鎖アルケニル基、炭素数3~15の分岐鎖アルケニル基、炭素数3~10の分岐鎖アルケニル基、炭素数5~20の環状アルケニル基または炭素数5~10の環状アルケニル基であってもよい。より具体的に、炭素数2~20のアルケニル基はエテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基またはシクロヘキセニル基などであってもよい。
【0068】
炭素数6~30のアリールはモノサイクリック、バイサイクリックまたはトリサイクリック芳香族炭化水素を意味し、単環または縮合環のアリールを含む。具体的に、炭素数6~30のアリールはフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、またはフルオレニル基などであってもよい。
【0069】
炭素数7~40のアルキルアリールは、アリールの1以上の水素がアルキルによって置換された置換基を意味することができる。具体的に、炭素数7~40のアルキルアリールは、メチルフェニル、エチルフェニル、n-プロピルフェニル、iso-プロピルフェニル、n-ブチルフェニル、iso-ブチルフェニル、tert-ブチルフェニルまたはシクロヘキシルフェニルなどであってもよい。
【0070】
炭素数7~40のアリールアルキルは、アルキルの1以上の水素がアリールによって置換された置換基を意味することができる。具体的に、炭素数7~40のアリールアルキルはベンジル基、フェニルプロピルまたはフェニルヘキシルなどであってもよい。
【0071】
炭素数6~10のアリールオキシとしては、フェノキシ、ビフェノキシ、ナフトキシなどが挙げられるが、これらにのみ限定されるのではない。
【0072】
前記炭素数1~20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェニルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基などが挙げられるが、これらにのみ限定されるのではない。
【0073】
前記炭素数2~20のアルコキシアルキル基は前述のようなアルキル基の1つ以上の水素がアルコキシ基で置換された官能基であり、具体的に、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、iso-プロポキシメチル基、iso-プロポキシエチル基、iso-プロポキシヘキシル基、tert-ブトキシメチル基、tert-ブトキシエチル基、tert-ブトキシヘキシル基などのアルコキシアルキル基が挙げられるが、これらにのみ限定されるのではない。
【0074】
前記炭素数1~20のアルキルシリル基または炭素数1~20のアルコキシシリル基は-SiH3の1~3個の水素が1~3個の前述のようなアルキル基またはアルコキシ基で置換された官能基であり、具体的に、メチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、ジメチルエチルシリル基、ジエチルメチルシリル基またはジメチルプロピルシリル基などのアルキルシリル基;メトキシシリル基、ジメトキシシリル基、トリメトキシシリル基またはジメトキシエトキシシリル基などのアルコキシシリル基;メトキシジメチルシリル基、ジエトキシメチルシリル基またはジメトキシプロピルシリル基などのアルコキシアルキルシリル基が挙げられるが、これにのみ限定されるのではない。
【0075】
前記炭素数1~20のシリルアルキル基は前述のようなアルキル基の1以上の水素がシリル基で置換された官能基であり、具体的に、-CH2-SiH3、メチルシリルメチル基またはジメチルエトキシシリルプロピル基などが挙げられるが、これらにのみ限定されるのではない。
【0076】
前記スルホネート基は-O-SO2-R’の構造であって、R’は炭素数1~20のアルキル基であってもよい。具体的に、炭素数1~20のスルホネート基はメタンスルホネート基またはフェニルスルホネート基などが挙げられるが、これらにのみ限定されるのではない。
【0077】
前記ヘテロアリールはヘテロ元素としてN、O、およびSのうちの1つ以上を含む炭素数2~20のヘテロアリールであって、単環または縮合環のヘテロアリールを含む。具体的な例としては、キサンテン(xanthene)、チオキサンテン(thioxanthen)、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジン基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリン基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾオキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナントロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらに限定されるのではない。
【0078】
そして、4族遷移金属は、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、またはラザホージウム(Rf)であってもよく、具体的に、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、またはハフニウム(Hf)であってもよく、より具体的に、ジルコニウム(Zr)またはハフニウム(Hf)であってもよく、これらにのみ限定されるのではない。
【0079】
また、13族元素は、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、またはタリウム(Tl)であってもよく、具体的に、ホウ素(B)、またはアルミニウム(Al)であってもよく、これらにのみ限定されるのではない。
【0080】
前述の置換基は目的とする効果と同一乃至類似の効果を発揮する範囲内で任意的にヒドロキシ基;ハロゲン;アルキル基またはアルケニル基、アリール基、アルコキシ基;14族~16族のヘテロ原子のうちの一つ以上のヘテロ原子を含むアルキル基またはアルケニル基、アリール基、アルコキシ基;シリル基;アルキルシリル基またはアルコキシシリル基;ホスフィン基;ホスフィド基;スルホネート基;およびスルホン基からなる群より選択された1以上の置換基で置換できる。
【0081】
また、互いに隣接する2個の置換基が互いに連結されて脂肪族または芳香族環を形成するということは2個の置換基の原子および前記2個の置換基が結合された原子が互いに連結されて環を成すことを意味する。具体的に、-NR9R10のR9およびR10が互いに連結されて脂肪族環を形成した例としてはピペリジニル(piperidinyl)基などが挙げられ、-NR9R10のR9およびR10が互いに連結されて芳香族環を形成した例としてはピロリル(pyrrolyl)基などを例示することができる。
【0082】
前記触媒組成物において、前記化学式1で表される第1メタロセン化合物はCp1およびCp2のリガンドを含む非架橋化合物であって、主に低いSCB(Short Chain Branch)含量を有する低分子量の共重合体を作ることに有利である。
【0083】
具体的に前記化学式1中、Cp1およびCp2のリガンドは互いに同一であるか異なってもよく、それぞれシクロペンタジエニルであり、炭素数1~10のアルキルで1以上または1~3置換されてもよい。このように前記Cp1およびCp2のリガンドがルイス塩基として作用できる非共有電子対を有することによって高い重合活性を示すことができ、特に前記Cp1およびCp2のリガンドが相対的に立体障害の少ないシクロペンタジエニルであるため、高い重合活性と低い水素反応性を示して低分子量のオレフィン重合体を高活性で重合することができる。
【0084】
また、前記Cp1およびCp2のリガンドは、例えば、置換された官能基の種類によって立体障害効果の程度を調節して製造されるオレフィン重合体の化学的構造、分子量、分子量分布、機械的物性、透明度などの特性を容易に調節することができる。具体的に、前記Cp1およびCp2のリガンドはそれぞれRaおよびRbで置換され、この時、前記RaおよびRbは互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して、水素、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルコキシアルキル、炭素数7~40のアリールアルキル、またはN、OおよびSから構成される群より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換の炭素数2~12のヘテロアリールであってもよく、より具体的に、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルコキシアルキル、炭素数7~20のアリールアルキル、またはN、OおよびSから構成される群より選択される一つ以上のヘテロ原子を含む置換もしくは非置換の炭素数4~12のヘテロアリール;であってもよい。
【0085】
また、前記Cp1およびCp2のリガンドの間にはM1Z1
3-nが存在し、M1Z1
3-nは金属錯体の保管安定性に影響を与えることがある。このような効果をさらに効果的に担保するためにZ1はそれぞれ独立してハロゲンまたは炭素数1~20のアルキルであってもよく、より具体的に、それぞれ独立してF、Cl、BrまたはIであってもよい。また、前記M1はTi、ZrまたはHfであるか;ZrまたはHfであるか;またはZrであってもよい。
【0086】
前記第1遷移金属化合物の中でも、前記化学式1においてCp1およびCp2がそれぞれ置換もしくは非置換のシクロペンタジエニル基であり、RaおよびRbがそれぞれ独立して水素、炭素数1~10のアルキル、炭素数2~10のアルコキシアルキル、または炭素数7~20のアリールアルキルであり、RaおよびRbのうちの少なくとも一つがt-ブトキシヘキシル基などのアルコキシアルキル、より具体的に、-(CH2)p-ORc(この時、Rcは炭素数1~6の直鎖または分岐鎖アルキル基であり、pは2~4の整数である。)の置換基である化合物であってもよい。この場合、共単量体を用いたポリオレフィン製造時、前記置換基を含まない他のCp系触媒に比べて共単量体に対する低い転換率を示して共重合度または共単量体分布が調節された低分子量のポリオレフィンを製造することができる。また、前記のような構造の第1遷移金属化合物は担体に担持された時、置換基の中の-(CH2)p-ORc基が担持体として使用されるシリカ表面のシラノール基と密接な相互作用を通じて共有結合を形成することができて安定した担持重合が可能である。
【0087】
前記化学式1で表される第1メタロセン化合物としては例えば下記構造式のうちの一つで表される化合物であってもよいが、これらにのみ限定されるのではない。
【0088】
【0089】
前記化学式1で表される第1メタロセン化合物は公知の反応を応用して合成でき、より詳細な合成方法は実施例を参照することができる。
【0090】
本発明によるポリエチレンの製造方法は、モノモーダル型重合工程で、前述のような化学式1で表される第1メタロセン化合物1種以上を、後述の第2メタロセン化合物1種以上と共に使用することによって、エチレン/1-ヘキセン共重合体の分子内高分子重合体と低分子重合体の比率を制御し、高内圧暖房管、PE-RTパイプまたは大口径パイプなどに適用時、施工性および加工性を向上させることができる。
【0091】
一方、前記第2メタロセン化合物は、前記化学式2のLは炭素数4~8の直鎖または分岐鎖アルキレンであることがさらに好ましいが、これにのみ限定されるのではない。また、前記アルキレン基は、炭素数1~20のアルキル、炭素数2~20のアルケニル、または炭素数6~20のアリールで置換または非置換されてもよい。
【0092】
また、前記化学式2のAは水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、tert-ブチル、メトキシメチル、tert-ブトキシメチル、1-エトキシエチル、1-メチル-1-メトキシエチル、テトラヒドロピラニル、またはテトラヒドロフラニルであることが好ましいが、これらにのみ限定されるのではない。
【0093】
また、前記化学式2のBはケイ素であることが好ましいが、これにのみ限定されるのではない。
【0094】
前記化学式2の第2メタロセン化合物はインデノインドール(indeno indole)誘導体および/またはフルオレン(fluorene)誘導体がブリッジによって架橋された構造を形成し、リガンド構造にルイス塩基として作用できる非共有電子対を有することによって担体のルイス酸特性を有する表面に担持されて担持時にも高い重合活性を示す。また、電子的に豊富なインデノインドール基および/またはフルオレン基を含むことによって活性が高く、適切な立体障害とリガンドの電子的な効果によって水素反応性が低いだけでなく、水素が存在する状況でも高い活性が維持される。また、インデノインドール誘導体の窒素原子が成長する高分子鎖のベータ-水素(beta-hydrogen)を水素結合によって安定化させてベータ-水素除去反応(beta-hydrogen elimination)を抑制して超高分子量のエチレン/1-ヘキセン共重合体を重合することができる。
【0095】
本発明の一実施形態によれば、前記化学式2aで表される置換基の具体的な例としては下記構造式のうちの一つで表されるものが挙げられるが、本発明がこれらにのみ限定されるのではない。
【0096】
【0097】
本発明の一実施形態によれば、前記化学式2bで表される置換基の具体的な例としては下記構造式のうちの一つで表されるものが挙げられるが、本発明がこれらにのみ限定されるのではない。
【0098】
【0099】
本発明の一実施形態によれば、前記化学式2cで表される置換基の具体的な例としては下記構造式のうちの一つで表されるものが挙げられるが、本発明がこれらにのみ限定されるのではない。
【0100】
【0101】
本発明の一実施形態によれば、前記化学式2で表される第2メタロセン化合物の具体的な例としては下記構造式のうちの一つで表される化合物が挙げられるが、これらにのみ限定されるのではない。
【0102】
【0103】
前記化学式2で表される第2メタロセン化合物は公知の反応を応用して合成することができ、より詳細な合成方法は実施例を参照することができる。
【0104】
前記化学式2の第2メタロセン化合物は活性に優れて高分子量のエチレン/1-ヘキセン共重合体を重合することができる。特に、担体に担持して使用する場合にも高い重合活性を示して、超高分子量のエチレン/1-ヘキセン共重合体を製造することができる。
【0105】
また、高分子量と同時に広い分子量分布を有するエチレン/1-ヘキセン共重合体を製造するために水素を含んで重合反応を行う場合にも、本発明による化学式2の第2メタロセン化合物は低い水素反応性を示して依然として高い活性で超高分子量のエチレン/1-ヘキセンの共重合が可能である。したがって、異なる特性を有する触媒との混成で使用する場合にも活性の低下なく高分子量の特性を満足させるエチレン/1-ヘキセン共重合体を製造することができて、高分子のエチレン/1-ヘキセン共重合体を含みながら広い分子量分布を有するエチレン/1-ヘキセン共重合体を容易に製造することができる。
【0106】
前記化学式2の第2メタロセン化合物はインデノインドール誘導体および/またはフルオレン誘導体をブリッジ化合物で連結してリガンド化合物に製造した後、金属前駆体化合物を投入してメタレーション(metallation)を行うことによって得ることができる。前記第2メタロセン化合物の製造方法は、後述の実施例に具体化して説明する。
【0107】
前記のように前記触媒組成物において、前記化学式1で表される第1メタロセン化合物は主に低いSCB含量を有する低分子量の共重合体を作ることに寄与し、前記化学式2で表される第2メタロセン化合物は主に高いSCB含量を有する高分子量の共重合体を作ることに寄与できる。より具体的に、前記触媒組成物は第2メタロセン化合物によって高分子量領域の共重合体では1-ヘキセンに対して高い共重合性を示し、また前記第1メタロセン化合物によって低分子量領域での共重合体では1-ヘキセンに対して低い共重合性を示す。その結果、1-ヘキセン共単量体の含量が高分子量主鎖に集中されている構造、即ち、側鎖含量が高分子量側に行くほど多くなる構造であるBOCD(Broad Orthogonal Co-monomer Distribution)構造を有し、同時に分子量分布が広くて物性に優れるだけでなく加工性も優れたオレフィン重合体を製造することができる。
【0108】
また、前記触媒組成物内第1および第2メタロセン化合物の含量比制御を通じて前記物性実現を容易にし、改善効果をさらに増進させることができる。これにより本発明での前記触媒組成物内第2メタロセン化合物が第1メタロセン化合物より高い含量で含まれることが好ましく、具体的には前記第1および第2メタロセン化合物は1:2~1:5のモル比で含まれてもよい。
【0109】
一方、触媒組成物は担体をさらに含むことができ、この場合、第1および第2メタロセン化合物は前記担体に担持された状態で使用される。担持触媒状態で使用時、製造される重合体の粒子形態およびバルク密度が優れ、従来のスラリー重合またはバルク重合、気相重合工程に適するように使用可能である。
【0110】
前記担体の具体的な例としてはシリカ、アルミナ、マグネシア、シリカ-アルミナ、シリカ-マグネシアなどが挙げられ、これらは通常Na2O、K2CO3、BaSO4、およびMg(NO3)2などの酸化物、炭酸塩、硫酸塩、および硝酸塩成分をさらに含むことができる。この中でもシリカ担体を使用する場合、前記遷移金属化合物がシリカ担体の表面に存在するシロキサン基などの反応性官能基と化学的に結合して担持されるため、プロピレン重合工程で担体表面から遊離されて出る触媒が殆どなく、その結果、スラリーまたは気相重合でポリプロピレンを製造する時、反応器壁面や重合体粒子同士が付着するファウリングを最少化することができる。
【0111】
また、前記担体は、担持効率を高め、リーチングおよびファウリングを最少化するために、か焼(calcination)または乾燥工程を通じて表面改質できる。前記のような表面改質段階を通じて、担持成分との反応を阻害する担体表面の水分は除去し、その代わりに担持成分との化学的結合の可能な反応性官能基、一例としてヒドロキシ基とシロキサン基の含量を増加させることができる。
【0112】
具体的に、前記担体に対するか焼または乾燥工程は、担体表面で水分がなくなる温度から表面に存在する反応性官能基、特にヒドロキシ基(OH基)が完全になくなる温度以下の範囲で行うことができる。具体的に、前記温度は150~600℃、あるいは200~500℃であってもよい。前記担体に対するか焼または乾燥時の温度が150℃未満で低い場合には水分除去効率が低く、結果として担体に残留する水分が助触媒と反応して担持効率を低下させる恐れがある。反面、乾燥またはか焼温度が600℃を超過して過度に高い場合には、担体表面に存在する気孔が合わされながら比表面積が減少し、また表面に存在するヒドロキシ基またはシラノール基などの反応性官能基が多くなくなって、シロキサン基のみ残るようになって助触媒との反応部位が減少する恐れがある。
【0113】
前記第1および第2メタロセン化合物が担体に担持される場合、例えば、前記担体がシリカである場合、前記第1およびメタロセン化合物は合計量で、シリカ1gを基準にして40μmol以上、または80μmol以上であり、240μmol以下、または160μmol以下の含量範囲で担持されてもよい。前記含量範囲で担持される時、適切な担持触媒活性を示して触媒の活性維持および経済性面で有利であり得る。
【0114】
また、前記触媒組成物は、高い活性と工程安定性を向上させる側面から助触媒を追加的に含むことができる。
【0115】
前記助触媒は下記化学式3で表される化合物、化学式4で表される化合物、および化学式5で表される化合物のうちから選択される1種以上を含むことができる:
【0116】
[化学式3]
-[Al(R31)-O]m-
【0117】
上記化学式3中、
R31は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1~20の炭化水素;またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素であり;
mは2以上の整数であり;
【0118】
[化学式4]
J(R41)3
【0119】
上記化学式4中、
R41は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立してハロゲン;炭素数1~20の炭化水素;またはハロゲンで置換された炭素数1~20の炭化水素であり;
Jはアルミニウムまたはホウ素であり;
【0120】
[化学式5]
[E-H]+[ZD4]-または[E]+[ZD4]-
【0121】
上記化学式5中、
Eは中性または陽イオン性ルイス塩基であり;
Hは水素原子であり;
[E-H]+はブレンステッド酸であり;
Zは13族元素であり;
Dは互いに同一であるか異なり、それぞれ独立して炭素数6~20のアリールまたは炭素数1~20のアルキルであり、ここで前記炭素数6~20のアリールまたは炭素数1~20のアルキルは非置換されるかまたはハロゲン、炭素数1~20のアルキル、炭素数1~20のアルコキシおよび炭素数6~20のアリールオキシから構成される群より選択される一つ以上の置換基で置換される。
【0122】
前記化学式3で表される化合物の例としては、メチルアルミノキサン、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサンまたはブチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサン系化合物が挙げられ、これらのうちのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用できる。
【0123】
また、前記化学式4で表される化合物の例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ-s-ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ-p-トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、またはトリブチルボロンなどが挙げられ、これらのうちのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用できる。
【0124】
また、前記化学式5で表される化合物の例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N-ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p-トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p-ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラ(p-トリフルオロメチルフェニル)ボロン、またはトリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルボロンなどが挙げられ、これらのうちのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用できる。
【0125】
前記化合物の中でも、前記助触媒はより具体的に、メチルアルミノキサンなどのアルキルアルミノキサン系助触媒であってもよい。
【0126】
前記アルキルアルミノキサン系助触媒は、前記メタロセン化合物を安定化させ、またルイス酸として作用し、また前記第2メタロセン化合物のブリッジグループ(bridge group)に導入された官能基とルイス酸-塩基相互作用による結合を形成することができる金属元素を含むことによって触媒活性をさらに増進させることができる。
【0127】
また、前記助触媒の使用含量は、目的とする触媒と樹脂組成物の物性または効果によって適切に調節することができる。例えば、前記担体としてシリカを使用する場合、前記助触媒は担体重量当り、例えば、シリカ1gを基準にして8mmol以上、または10mmol以上であり、25mmol以下、または20mmol以下の含量で担持できる。
【0128】
前記構成を有する触媒組成物は、担体に助触媒化合物を担持させる段階、および前記担体に前記化学式1で表される遷移金属化合物を担持させる段階を含む製造方法によって製造することができ、この時、助触媒と化学式1で表される遷移金属化合物の担持順序は必要によって変えることができる。担持順序によって決定された構造の担持触媒の効果を考慮する時、この中でも担体に対する助触媒担持後に遷移金属化合物を担持することが、製造された担持触媒がポリプロピレンの製造工程で高い触媒活性と共により優れた工程安定性を実現することができる。
【0129】
また、前記触媒組成物は、それ自体で重合に使用されてもよく、または重合反応に使用前にプロピレン単量体との接触を通じて予備重合された(prepolymerization)状態で使用されてもよい。この場合、発明の一実施形態による製造方法は、重合反応によるホモポリプロピレンの製造前、触媒組成物をプロピレン単量体と接触させて予備重合(または前重合)する段階をさらに含むことができる。
【0130】
また、前記触媒組成物は、炭素数5~12の脂肪族炭化水素溶媒、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ノナン、デカン、およびこれらの異性体とトルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、クロロベンゼンなどの塩素原子で置換された炭化水素溶媒などに溶解するか希釈して後述の重合反応に投入することができる。ここに使用される溶媒は少量のアルキルアルミニウム処理することによって触媒毒として作用する少量の水または空気などを除去して使用することが好ましく、助触媒をさらに使用して実施することも可能である。
【0131】
一方、前記重合工程は、前述の触媒組成物の存在下で、エチレン、および1-ヘキセンを接触させることによって行うことができる。
【0132】
特に、前記重合反応はモノモーダル型重合工程で行うことを特徴とする。ここで、モノモーダル型重合工程は単一重合反応器で共重合工程を行うことを意味し、好ましくは、一つのループ型スラリー反応器で行うことができる。
【0133】
一般に、従来のマルチモーダル型重合反応は触媒の個数によって2つ以上の複数個の反応器を使用し、2つ以上の反応器ごとにそれぞれの触媒を投入して重合反応を行うことによって、分子量が互いに異なる高分子を製造後、これを混合する方式である。しかし、この場合、互いに異なる分子量によって均一性が低下される問題がある。これに対して本発明では一つの担体に二種類の触媒を混成担持し、単一反応器で行われるモノモーダル型重合反応を行うことによって、低分子と高分子が同時に重合され、結果として均一性に優れた重合体を製造することができる。
【0134】
そして、前記重合温度は25℃~500℃、好ましくは25℃~200℃、より好ましくは50℃~150℃であってもよい。また、重合圧力は1kgf/cm2~100kgf/cm2、好ましくは1kgf/cm2~50kgf/cm2、より好ましくは5kgf/cm2~30kgf/cm2であってもよい。
【0135】
そして、前記共重合工程で共単量体である1-ヘキセンの投入量は、エチレン投入量総重量基準にして約5重量%~約15重量%であってもよい。より具体的に、前記1-ヘキセン共単量体の投入量は約5重量%~約10重量%、あるいは約5重量%~約9.5重量%、あるいは約5重量%~約9重量%、あるいは約5.1重量%~約8.8重量%、あるいは約5.2重量%~約8.5重量%、あるいは5.2重量%~約8.2重量%であってもよい。
【0136】
一方、本発明によるエチレン/1-ヘキセン共重合体は、前述のモノモーダル型重合工程で、前述の触媒組成物の存在下で、水素気体を投入してエチレン、および1-ヘキセンを共重合して製造することができる。
【0137】
一例として、前記水素気体は、エチレン重量に対して35ppm~250ppmの含量、または40ppm~200ppmの含量、または50ppm~190ppm、または55ppm~180ppm、または58ppm~170ppm、または60ppm~145ppmの含量であってもよい。前記水素気体含量は鎖伝播(chain propagation)および鎖転移比率(chain transfer rate)をほとんど一定に維持しながら広い分子量分布でポリマーの高分子領域および低分子領域の含量を最適化して、パイプ加工時に施工性(flexibility)および加工性を向上させると同時に優れた内圧を確保する側面から前述の範囲で行うことができる。
【0138】
前記製造方法を通じて製造されるエチレン/1-ヘキセン共重合体は、広い分子量分布による優れた耐応力亀裂性と、高分子量領域での高いSCB含量による優れた加工性を示すことができる。前記のような物性充足によって、本発明によるエチレン/1-ヘキセン共重合体は加工性および押出特性が良好であり、耐応力亀裂性に優れて高内圧暖房管、PE-RTパイプまたは大口径パイプなどに好ましく適用できる。
【0139】
一方、本発明は、前述のようなエチレン/1-ヘキセン共重合体を含むパイプを提供する。
【0140】
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用および効果をより詳しく述べることにする。但し、このような実施例は発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が決定されるのではない。
【実施例】
【0141】
[触媒前駆体の製造]
合成例1:第1メタロセン化合物(1)の製造
6-クロロヘキサノール(6-chlorohexanol)を使用して文献(Tetrahedron Lett.2951(1988))に提示された方法でt-ブチル-O-(CH2)6-Clを製造し、ここにシクロペンタジエニルナトリウム(NaCp)を反応させてt-ブチル-O-(CH2)6-C5H5を得た(収率60%、b.p.80℃/0.1mmHg)。
【0142】
また、-78℃でt-ブチル-O-(CH2)6-C5H5をテトラヒドロフラン(THF)に溶かし、ノルマルブチルリチウム(n-BuLi)を徐々に加えた後、室温に昇温させた後、8時間反応させた。その溶液を再び-78℃でZrCl4(THF)2(1.70g、4.50mmol)/THF(30mL)のサスペンション(suspension)溶液に既合成のリチウム塩(lithium salt)溶液を徐々に加えて室温で6時間さらに反応させた。全ての揮発性物質を真空乾燥し、得られたオイル性液体物質にヘキサン(hexane)溶媒を加えてろ過した。ろ過した溶液を真空乾燥した後、ヘキサンを加えて低温(-20℃)で沈殿物を誘導した。得られた沈殿物を低温でろ過して白色固体形態の[t-Bu-O-(CH2)6-C5H4]2ZrCl2化合物(1)を得た(収率92%)。
【0143】
【0144】
1H NMR(300MHz、CDCl3):6.28(t、J=2.6Hz、2H)、6.19(t、J=2.6Hz、2H)、3.31(t、6.6Hz、2H)、2.62(t、J=8Hz)、1.7-1.3(m、8H)、1.17(s、9H)。
【0145】
13C NMR(CDCl3):135.09、116.66、112.28、72.42、61.52、30.66、30.61、30.14、29.18、27.58、26.00。
【0146】
合成例2:第2メタロセン化合物(2)の製造
2-1)リガンド化合物の製造
フルオレン(fluorene)2gを5mL MTBE(methyl tertialry butyl ether)、ヘキサン(hexane)100mLに溶かして2.5Mのn-BuLi ヘキサン溶液(hexane solution)5.5mLをドライアイス/アセトンバス(dry ice/acetone bath)で滴加して常温で一晩攪拌した。(6-(tert-ブトキシ)ヘキシル)ジクロロ(メチル)シラン((6-(tert-butoxy)hexyl)dichloro(methyl)silane)3.6gをヘキサン(hexane)50mLに溶かしてドライアイス/アセトンバス(dry ice/acetone bath)下でフルオレン-Liスラリーを30分間トランスファ(transfer)して常温で一晩攪拌した。これと同時に、5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール(5,8-dimethyl-5,10-dihydroindeno[1,2-b]indole)(12mmol、2.8g)もTHF 60mLに溶かして2.5M n-BuLi ヘキサン溶液(hexane solution)5.5mLをドライアイス/アセトンバス(dry ice/acetone bath)で滴加して常温で一晩攪拌した。フルオレン(fluorene)と(6-(tert-ブトキシ)ヘキシル)ジクロロ(メチル)シラン((6-(tert-butoxy)hexyl)dichloro(methyl)silane)との反応溶液をNMRサンプリングして反応完了を確認した後、5,8-ジメチル-5,10-ジヒドロインデノ[1,2-b]インドール-Li溶液(5,8-dimethyl-5,10-dihydroindeno[1,2-b]indole-Li solution)をドライアイス/アセトンバス(dry ice/acetone bath)下でトランスファ(transfer)した。常温で一晩攪拌した。反応後、エーテル/水(ether/water)で抽出(extraction)して有機層の残留水分をMgSO4で除去後、リガンド化合物(Mw 597.90、12mmol)を得て、異性体(isomer)二つが生成されたことを1H-NMRで確認することができた。
【0147】
1H NMR(500MHz、d6-benzene):-0.30~-0.18(3H、d)、0.40(2H、m)、0.65~1.45(8H、m)、1.12(9H、d)、2.36~2.40(3H、d)、3.17(2H、m)、3.41~3.43(3H、d)、4.17~4.21(1H、d)、4.34~4.38(1H、d)、6.90~7.80(15H、m)。
【0148】
2-2)メタロセン化合物の製造
前記2-1で合成したリガンド化合物7.2g(12mmol)をジエチルエーテル(diethylether)50mLに溶かして2.5Mのn-BuLi ヘキサン溶液(hexane solution)11.5mLをドライアイス/アセトンバス(dry ice/acetone bath)で滴加して常温で一晩攪拌した。真空乾燥して茶色(brown color)のsticky oilを得た。トルエンに溶かしてスラリーを得た。ZrCl4(THF)2を準備しトルエン50mLを入れてスラリーとして準備した。ZrCl4(THF)2の50mLトルエンスラリーをドライアイス/アセトンバス(dry ice/acetone bath)でトランスファ(transfer)した。常温で一晩攪拌することによって紫色(violet color)に変化した。反応溶液をフィルターしてLiClを除去した。ろ過液(filtrate)のトルエンを真空乾燥して除去した後、ヘキサンを入れて1時間超音波処理(sonication)した。スラリーをフィルターしてろ過された固体(filtered solid)である濃い紫色(dark violet)のメタロセン化合物6g(Mw758.02、7.92mmol、収率(yield)66mol%)を得た。1H-NMR上で二つの異性体(isomer)が観察された。
【0149】
1H NMR(500MHz、CDCl3):1.19(9H、d)、1.71(3H、d)、1.50~1.70(4H、m)、1.79(2H、m)、1.98~2.19(4H、m)、2.58(3H、s)、3.38(2H、m)、3.91(3H、d)、6.66~7.88(15H、m)。
【0150】
【0151】
合成例3:第3メタロセン化合物(3)の製造
3-1)リガンド化合物の製造
常温で50gのMg(s)を10L反応器に加えた後、THF300mLを加えた。I2 0.5g程度を加えた後、反応器温度を50℃に維持した。反応器温度が安定化された後、250gの6-t-ブトキシヘキシルクロリド(6-t-buthoxyhexyl chloride)をフィーディングポンプ(feeding pump)を用いて5mL/minの速度で反応器に加えた。6-t-ブトキシヘキシルクロリドを加えることによって反応器温度が4℃~5℃程度上昇することを観察した。継続的に6-(t-ブトキシ)ヘキシルクロリドを加えながら12時間攪拌した。反応12時間後、黒色の反応溶液を得た。生成された黒色の溶液2mL取った後、水を加えて有機層を得て1H-NMRを通じて6-t-ブトキシヘキサン(6-t-buthoxyhexane)を確認した。前記6-t-ブトキシヘキサンからグリニャール(Gringanrd)反応がよく行われたことが分かった。これにより6-t-ブトキシヘキシルマグネシウムクロリド(6-t-buthoxyhexyl magnesium chloride)を合成した。
【0152】
メチルシリルトリクロリド(MeSiCl3)500gと1LのTHFを反応器に加えた後、反応器温度を-20℃まで冷却した。合成した6-t-ブトキシヘキシルマグネシウムクロリドの中の560gをフィーディングポンプを用いて5mL/minの速度で反応器に加えた。グリニャール試薬(Grignard reagent)のフィーディング(feeding)が終わった後、反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した。反応12時間後、白色のMgCl2塩が生成されることを確認した。ヘキサン4Lを加えてラブドリ(labdori)を通じて塩を除去してフィルター溶液を得た。得られたフィルター溶液を反応器に加えた後、70℃でヘキサンを除去して薄い黄色の液体を得た。得られた液体を1H-NMRを通じて所望のメチル(6-t-ブトキシヘキシル)ジクロロシラン{Methyl(6-t-buthoxy hexyl)dichlorosilane}化合物であることを確認した。
【0153】
1H-NMR(CDCl3):3.3(t、2H)、1.5(m、3H)、1.3(m、5H)、1.2(s、9H)、1.1(m、2H)、0.7(s、3H)。
【0154】
テトラメチルシクロペンタジエン(tetramethylcyclopentadiene)1.2mol(150g)と2.4LのTHFを反応器に加えた後、反応器温度を-20℃に冷却した。n-BuLi 480mLをフィーディングポンプを用いて5mL/minの速度で反応器に加えた。n-BuLiを加えた後、反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した。反応12時間後、当量のメチル(6-t-ブトキシヘキシル)ジクロロシラン(Methyl(6-t-buthoxy hexyl)dichlorosilane)(326g、350mL)を速やかに反応器に加えた。反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した後、再び反応器温度を0℃に冷却させた後、2当量のt-BuNH2を加えた。反応器温度を徐々に常温に上げながら12時間攪拌した。反応12時間後、THFを除去し4Lのヘキサンを加えてラブドリを通じて塩を除去したフィルター溶液を得た。フィルター溶液を再び反応器に加えた後、ヘキサンを70℃で除去して黄色の溶液を得た。得られた黄色の溶液を1H-NMRを通じてメチル(6-t-ブトキシヘキシル)(テトラメチルCpH)t-ブチルアミノシラン(Methyl(6-t-buthoxyhexyl)(tetramethylCpH)t-Butylaminosilane)化合物であるのを確認した。
【0155】
3-2)メタロセン化合物の製造
n-BuLiと前記3-1で合成したリガンド化合物、メチル(6-t-ブトキシヘキシル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)t-ブチルアミンシラン(Methyl(6-t-buthoxyhexyl)(tetramethylcyclopentadienyl)t-Butylaminosilane)からTHF溶液で合成した-78℃のリガンドのジリチウム塩にTiCl3(THF)3(10mmol)を速やかに加えた。反応溶液を徐々に-78℃から常温に上げながら12時間攪拌した。12時間攪拌後、常温で当量のPbCl2(10mmol)を反応溶液に加えた後、12時間攪拌した。12時間攪拌後、青色を帯びる濃い黒色の溶液を得た。生成された反応溶液からTHFを除去した後、ヘキサンを加えて生成物をフィルターした。得られたフィルター溶液からヘキサンを除去した後、1H-NMRから所望の[メチル(6-t-ブトキシヘキシル)シリル(η5-テトラメチルCp)(t-ブチルアミド)]TiCl2([methyl(6-t-buthoxyhexyl)silyl(η5-tetramethylCp)(t-Butylamido)]TiCl2)である(tBu-O-(CH2)6)(CH3)Si(C5(CH3)4)(tBu-N)TiCl2化合物(3)であることを確認した。
【0156】
【0157】
1H-NMR(CDCl3):3.3(s、4H)、2.2(s、6H)、2.1(s、6H)、1.8~0.8(m)、1.4(s、9H)、1.2(s、9H)、0.7(s、3H)。
【0158】
[担持触媒の製造]
製造例1:混成担持触媒(A)の製造
20Lステンレススチール(sus)高圧反応器にトルエン溶液3.0kgを入れ反応器温度を40℃に維持した。600℃の温度で12時間真空を加えて脱水させたシリカ(Grace Davison、SP2212)500gを反応器に投入し十分に分散させた後、10wt%メチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液2.78kgを投入し、80℃で200rpmで15時間以上攪拌した。
【0159】
反応器温度を40℃に下げた後、前記合成例1で製造した第1メタロセン化合物/トルエン溶液(7.8wt% in toluene)200gを反応器に投入し1時間200rpmで攪拌した。その次に前記合成例2で製造した第2メタロセン化合物/トルエン溶液(7.8wt% in toluene)250gを反応器に投入し1時間200rpmで攪拌した。
【0160】
助触媒(アニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(anilinium tetrakis(pentafluorophenyl)borate))70gをトルエンに希釈して反応器に投入し15時間以上200rpmで攪拌した。反応器温度を常温に下げた後、攪拌を中止し30分間セトリング(settling)させた後、反応溶液をデカンテーション(decantation)した。
【0161】
トルエンスラリーをフィルタードライヤ(filter dryer)に移送してフィルターした。トルエン3.0kgを投入し10分間攪拌した後、攪拌を中止しろ過した。反応器にヘキサン3.0kgを投入し10分間攪拌した後、攪拌を中止しろ過した。50℃で4時間減圧下に乾燥して500g-SiO2担持触媒(A)を製造した。
【0162】
比較製造例1:混成担持触媒(B)の製造
20L sus高圧反応器にトルエン溶液3.0kgを入れ反応器温度を40℃に維持した。600℃の温度で12時間真空を加えて脱水させたシリカ(Grace Davison、SP2212)500gを反応器に投入し十分に分散させた後、10wt%メチルアルミノキサン(MAO)/トルエン溶液2.78kgを投入し、80℃で200rpmで15時間以上攪拌した。
【0163】
反応器温度を40℃に下げた後、前記合成例1で製造した第1メタロセン化合物/トルエン溶液(7.8wt% in toluene)200gを反応器に投入し1時間200rpmで攪拌した。その次に前記合成例3で製造した第3メタロセン化合物/トルエン溶液(7.8wt% in toluene)220gを反応器に投入し1時間200rpmで攪拌した。
【0164】
助触媒(アニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(anilinium tetrakis(pentafluorophenyl)borate))70gをトルエンに希釈して反応器に投入し15時間以上200rpmで攪拌した。反応器温度を常温に下げた後、攪拌を中止し30分間セトリング(settling)させた後、反応溶液をデカンテーション(decantation)した。
【0165】
トルエンスラリーをフィルタードライヤ(filter dryer)に移送してフィルターした。トルエン3.0kgを投入し10分間攪拌した後、攪拌を中止しろ過した。反応器にヘキサン3.0kgを投入し10分間攪拌した後、攪拌を中止しろ過した。50℃で4時間減圧下に乾燥して450g-SiO2担持触媒(B)を製造した。
【0166】
[エチレン/1-ヘキセン共重合体の製造]
実施例1:エチレン/1-ヘキセン共重合体の製造
下記表1に記載された条件で、前記製造例1で製造した混成担持メタロセン触媒(A)を使用し、ヘキサンスラリー攪拌タンクプロセス(hexane slurry stirred tank process)重合器を使用し、前記重合反応器一つでユニモーダル(Uni-modal)運転をしてエチレン/1-ヘキセン共重合体を製造した。
【0167】
実施例2:エチレン/1-ヘキセン共重合体の製造
実施例1と同様な方法で製造し、下記表1に記載された条件で共重合工程で行って、実施例2のエチレン/1-ヘキセン共重合体を製造した。
【0168】
比較例1
メタロセン触媒を使用し、ユニモーダル(Uni-modal)工程で単一重合反応器を使用して製造されたエチレン/1-ヘキセン(1-C6)共重合体市販製品(SP980、LG Chem社)を比較例1として準備した。
【0169】
比較例2
メタロセン触媒を使用し、ユニモーダル(Uni-modal)工程で単一重合反応器を使用して製造されたエチレン/1-ヘキセン(1-C6)共重合体市販製品(SP988、LG Chem社)を比較例2として準備した。
【0170】
比較例3
チーグラーナッタ(Z/N)触媒を使用し、ユニモーダル(Uni-modal)工程で単一重合反応器を使用して製造されたエチレン/1-オクテン(1-C8)共重合体市販製品(Dowlex2344、Dow社)を比較例3として準備した。
【0171】
比較例4
メタロセン触媒を使用し、バイモーダル(Bi-modal)工程で2つ以上の重合反応器を使用して製造されたエチレン/1-オクテン(1-C8)共重合体市販製品(Dowlex2355、Dow社)を比較例4として準備した。
【0172】
比較例5
メタロセン触媒を使用し、バイモーダル(Bi-modal)工程で2つ以上の重合反応器を使用して製造されたエチレン/1-オクテン(1-C8)共重合体市販製品(Dowlex2388、Dow社)を比較例5として準備した。
【0173】
比較例6:エチレン/1-ヘキセン共重合体の製造
実施例1と同様な方法で製造し、前記製造例1で製造した混成担持メタロセン触媒(A)の代わりに前記比較製造例1で製造した混成担持メタロセン触媒(B)を使用して下記表1に示したような条件で共重合工程を行って、比較例6のエチレン/1-ヘキセン共重合体を製造した。
【0174】
【0175】
上記表1で、触媒活性(kgPE/gCat.hr)は実施例および比較例の重合反応に使用された触媒の重量と、重合反応から製造された重合体の重量をそれぞれ測定した後、使用した触媒重量に対する製造された重合体の重量比として触媒の活性(activity)を算出した。
【0176】
試験例1
前記実施例および比較例によるエチレン/1-ヘキセン共重合体またはエチレン/1-オクテン共重合体に対して下記のような方法で物性を測定し、その結果を表2に示した。
【0177】
1)密度
ASTM D 1505方法によってエチレン/1-ヘキセン共重合体の密度を測定した。
【0178】
2)溶融指数(Melt Index)
ASTM D 1238(条件E、190℃、2.16kg荷重)規格により溶融指数MI2.16を測定した。
【0179】
3)高荷重溶融指数(HLMI)
ASTM D 1238(条件E、190℃、21.6kg荷重)規格により高荷重溶融指数MI21.6を測定した。
【0180】
4)溶融流れ指数(MFRR)
前述のように測定した溶融指数MI2.16および高荷重溶融指数MI21.6を用いて、MI21.6溶融指数(MI、21.6kg荷重)をMI2.16(MI、2.16kg荷重)で割った比率を溶融流れ指数MFRR(MI21.6/MI2.16)として示した。
【0181】
5)分子量分布(PDI、polydispersity index)およびGPCカーブ
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC:gel permeation chromatography、Waters社製造)を用いて重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定し、重量平均分子量を数平均分子量で割って分子量分布(PDI、Mw/Mn)を計算した。
【0182】
具体的に、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置としてはWaters PL-GPC220機器を使用し、Polymer Laboratories PLgel MIX-B 300mmの長さカラムを使用した。この時、測定温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)を溶媒として使用し、流速は1mL/minとした。実施例および比較例による重合体のサンプルはそれぞれGPC分析機器(PL-GP220)を用いてジブチルヒドロキシトルエン(BHT、2,6-bis(1,1-dimethylethyl)-4-methylphenol)0.0125%含まれているトリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)で160℃、10時間溶かして前処理し、10mg/10mLの濃度で調製した後、200μLの量で供給した。ポリスチレン標準試片を用いて形成された検量線を用いてMwおよびMnの値を誘導した。ポリスチレン標準試片の重量平均分子量は、2000g/mol、10000g/mol、30000g/mol、70000g/mol、200000g/mol、700000g/mol、2000000g/mol、4000000g/mol、10000000g/molの9種を使用した。
【0183】
6)BOCD IndexおよびSCB含量
重量平均分子量(M)のログ値(log M)をx軸とし、前記ログ値に対する分子量分布(dwt/dlog M)をy軸として分子量分布曲線を描いた時、全体面積に対する左右端20%を除いた中間60%の左側および右側境界でSCB(Short Chain Branch)含量(炭素1,000個当りの炭素数2~7個の側鎖(branch)含量、単位:個/1,000C)を測定して下記数式1に基づいてBOCD Indexを算出した。
【0184】
この時、高分子量側SCB含量と、低分子量側SCB含量はそれぞれ中間60%範囲の右側および左側の境界でのSCB含量値を意味し、試料をPL-SP260を用いてBHT0.0125%が含まれているトリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)で160℃、10時間溶かして前処理した後、高温GPC(PL-GPC220)と連結されたPerkinElmer Spectrum 100 FT-IRを用いて160℃で測定した。
【0185】
【0186】
この時、BOCD indexが0以下であるとBOCD構造の高分子でなく、0より大きいとBOCD構造の高分子と見ることができ、その値が大きいほどBOCD特性が優れたものといえる。
【0187】
7)固有応力(Characteristic Stress、C.S、MPa)
ASTM D 638方法で応力-変形率(Stress-strain)の引張試験(Tensil Test)を通じて固有応力(Characteristic Stress、C.S.)を測定した。
【0188】
具体的に、下記のような試験条件下で引張試験(Tensil Test)を応力-変形率(Stress-strain)カーブを求めた後に、ひずみ速度(Strain rate)によって降伏応力(yield stress)と引抜応力(drawig stress)をプロット(plot)し、低いひずみ速度(strain rate)で外挿(extrapolation)した時、降伏応力(yield stress)と引抜応力(drawing stress)が同一な時の値を固有応力(Characteristic stress)として測定した。
【0189】
試験(Test):D638
試料(Specimen):D638、Type IV
ひずみ速度(Strain rate):0.1、0.05、0.01、0.005mm/mm s
降伏応力(Yield Stress):降伏点(Yield point)での応力(stress)
引抜応力(Drawing Stress):ひずみ(Strain)100%(Dutile deformation)での応力(stress)
x軸:ln(ひずみ速度(strain rate))
y軸:応力(Stress)。
【0190】
8)内圧(MPa)
ISO 9080方法で内圧(MPa)を測定した。
【0191】
9)屈曲弾性率(F.M.)
ASTM D 790方法で屈曲弾性率(F.M.、kg/cm2)を測定した。
【0192】
10)せん断粘度
210℃、せん断速度1/1000秒でキャピラリ(capillary)を用いて測定した。
【0193】
具体的には、GottfertのRHEO-TESTER2000装備を用いて、ダイサイズ(die size)10/2にして温度210℃、せん断速度1/1000秒で粘度(η1000、Pa.s)を測定した。
【0194】
10)加工線束(m/min)
ドイツEmpur/GKS社に依頼して各実施例および比較例共重合体の加工線束(m/min)を測定した。
【0195】
前記結果を下記表2に示した。また、各実施例および比較例共重合体のGPCカーブ(実線、左側Y軸参照)およびSCB含量グラフ(四角ブロック点線、右側Y軸参照)をそれぞれ順に
図1~8に示した。
【0196】
【0197】
上記表2に示したように、本発明による実施例1および2のエチレン/1-ヘキセン共重合体は、比較例と比較して広い分子量分布と共に高いBOCDインデックスおよび低い密度を同時に実現し、高い固有応力と内圧で優れた強度と共に低い屈曲弾性率でパイプ製造時に施工性(flexibility)を向上させることができるだけでなく、低いせん断粘度と優れた加工線束を示し、これから優れた施工性と加工性を全て確保することができるのが分かる。
【0198】
また、
図1および2に示したように、本発明による実施例1および2のエチレン/1-ヘキセン共重合体は比較例と比較して広い分子量分布を有しながら、共単量体の含量が高分子量主鎖に集中されている構造、即ち、短鎖分岐(Short Chain Branch、SCB)含量が高分子量側に行くほど多くなるBOCD構造を示すことが分かる。しかし、比較例1~6のエチレン/1-ヘキセン共重合体またはエチレン/1-オクテン共重合体に関する
図3~8では前述のようなBOCD構造と広い分子量分布を同時に実現することができないのが分かる。
【国際調査報告】