(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】磁性体、それを含む硬化性組成物及び前記磁性体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 1/36 20060101AFI20230111BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230111BHJP
C08K 9/04 20060101ALI20230111BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20230111BHJP
H01F 1/34 20060101ALI20230111BHJP
H01F 1/37 20060101ALI20230111BHJP
C01G 49/08 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H01F1/36
C08L101/00
C08K9/04
C08K3/22
H01F1/34 140
H01F1/37
C01G49/08 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525342
(86)(22)【出願日】2020-10-08
(85)【翻訳文提出日】2022-05-10
(86)【国際出願番号】 KR2020013751
(87)【国際公開番号】W WO2021112389
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】10-2019-0158213
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0158214
(32)【優先日】2019-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヨン ファ
(72)【発明者】
【氏名】アン、サン バム
(72)【発明者】
【氏名】ジェオン、ウーン チャン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジン キュ
【テーマコード(参考)】
4G002
4J002
5E041
【Fターム(参考)】
4G002AA04
4G002AB02
4G002AD04
4G002AE02
4J002AA021
4J002BB001
4J002BG021
4J002CD001
4J002CF211
4J002CK021
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4J002DE096
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4J002DE116
4J002FD206
4J002GQ00
5E041AB12
5E041BD12
5E041CA09
5E041HB15
5E041NN06
5E041NN18
(57)【要約】
本出願は、磁性体、これを含む硬化性組成物及び前記磁性体の製造方法に関する。本出願の磁性体は、優れた発熱量を有すると同時にその発熱量が均一に維持され得る。本出願の磁性体は、前記発熱量特性が自由に調節され得る。本出願の硬化性組成物は、前記特性を全て満たす磁性体を用いて容易に硬化可能である。本出願の方法は、前記特性を全て満たす磁性体を簡便に製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子及び前記磁性粒子の表面に導入されている表面処理剤を含み、
前記磁性粒子は、サイズが10nm~40nmの範囲内である結晶を含み、
前記磁性粒子の平均粒径は、20nm~300nmの範囲内であり、
前記磁性粒子の粒径の変動係数は、5%~30%の範囲内である、磁性体。
【請求項2】
前記磁性粒子の結晶のサイズ(A)と前記磁性粒子の平均粒径(B)の割合(B/A)は、1.5~10の範囲内である、請求項1に記載の磁性体。
【請求項3】
前記磁性粒子は、下記化学式1で表示される化合物を含む、請求項1又は2に記載の磁性体:
[化学式1]
MX
aO
b
化学式1で、Mは、金属又は金属酸化物であり、Xは、Fe、Mn、Co、Ni又はZnを含み、|aXc|=|bXd|を満足し、前記cは、Xの陽イオン電荷であり、前記dは、酸素の陰イオン電荷である。
【請求項4】
前記表面処理剤は、酸価が10mgKOH/g~400mgKOH/gの範囲内であるか、又はアミン価が0mgKOH/g超過20mgKOH/g以下の範囲内である、請求項1から3のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項5】
前記表面処理剤は、重量平均分子量が20,000以下である、請求項1から4のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項6】
前記磁性粒子100重量部に対して0.01重量部~30重量部の範囲内の含量で前記表面処理剤を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項7】
粉末形態である、請求項1から6のいずれか一項に記載の磁性体。
【請求項8】
下記数式2によるSARの値が60W/g以上である、請求項1から7のいずれか一項に記載の磁性体:
[数式2]
SAR=CiXmX△T/△t
前記数式2で、SARは、前記磁性体を水に溶解させた磁性流体の発熱量を意味し、Ciは、前記磁性流体の溶媒である水の比熱として4.184J(gXK)であり、mは、前記磁性流体の溶媒である水の重量(mi、単位:g)と前記磁性体の重量(ma、単位:g)の割合(mi/ma)であり、△Tは、294Kの温度で前記磁性流体0.35mLに120.4Aの電流310kHzの条件で60秒間交流磁場を印加したときの前記磁性流体の温度増加量(単位:K)であり、△tは、前記磁性流体に前記条件の交流磁場を印加した時間として60秒である。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の磁性体及び硬化性樹脂を含む、硬化性組成物。
【請求項10】
前記硬化性樹脂は、アルケニル基、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタン基、アルケニル基、ケイ素原子に結合された水素原子、イソシアネート基、ヒドロキシ基、フタロニトリル基又はカルボキシ基を含む、請求項9に記載の硬化性組成物。
【請求項11】
前記硬化性樹脂は、ポリシリコン樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、アクリル樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フタロニトリル樹脂、ポリアミド酸、ポリアミド又はエポキシ樹脂である、請求項9又は10に記載の硬化性組成物。
【請求項12】
磁性粒子の前駆体及び有機溶媒を含む原料を加熱して結晶を生成させる第1段階;
前記第1段階で生成された結晶をクラスト化する第2段階;及び
前記第2段階を経た原料を表面処理剤と混合する第3段階を含む、磁性体の製造方法。
【請求項13】
前記原料で前記磁性粒子の前駆体の含量は、0.025M~0.125Mの範囲内である、請求項12に記載の磁性体の製造方法。
【請求項14】
前記原料は、塩基をさらに含み、
前記原料で前記塩基の含量は、0.4M~2.0Mの範囲内である、請求項13に記載の磁性体の製造方法。
【請求項15】
前記原料は、水性溶媒をさらに含み、
前記原料で前記水性溶媒の含量は、前記有機溶媒に対して1体積%~30体積%の範囲内である、請求項12から14のいずれか一項に記載の磁性体の製造方法。
【請求項16】
前記第1段階を50℃~90℃の範囲内の温度で進行する、請求項12から15のいずれか一項に記載の磁性体の製造方法。
【請求項17】
前記第1段階は、(1-a)前記原料を50℃~90℃の範囲内の温度まで昇温する過程及び(1-b)前記昇温された原料の温度を30分~120分の範囲内の時間の間維持する過程を含む、請求項16に記載の磁性体の製造方法。
【請求項18】
前記(1-a)過程を0.5℃/min~2℃/minの範囲内の昇温速度で進行する、請求項17に記載の磁性体の製造方法。
【請求項19】
前記第2段階を170℃~210℃の範囲内の温度で進行する、請求項12から18のいずれか一項に記載の磁性体の製造方法。
【請求項20】
前記第2段階は、(2-a)前記第1段階を経た原料を170℃~210℃の範囲内の温度まで昇温する過程及び(2-b)前記昇温された原料の温度を12時間~80時間の範囲内の時間の間維持する過程を含む、請求項19に記載の磁性体の製造方法。
【請求項21】
前記(2-a)過程を1.5℃/min~5℃/minの範囲内の昇温速度で進行する、請求項20に記載の磁性体の製造方法。
【請求項22】
前記第3段階を50℃~90℃の範囲内の温度で進行する、請求項12から21のいずれか一項に記載の磁性体の製造方法。
【請求項23】
前記第3段階は、(3-a)前記第2段階を経た原料を前記表面処理剤と混合する過程、(3-b)前記表面処理剤と混合された原料を50℃~90℃の範囲内の温度まで冷却する過程及び(3-c)前記冷却された原料を30分~120分の範囲内の時間の間維持する過程を含む、請求項22に記載の磁性体の製造方法。
【請求項24】
前記(3-b)過程を1.5℃/min~5℃/minの範囲内の減温速度で進行する、請求項23に記載の磁性体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
【0002】
本出願は、2019年12月2日に出願された大韓民国特許出願第10-2019-0158213号及び2019年12月2日に出願された大韓民国特許出願第10-2019-0158214号に基づく優先権の利益を主張し、該当大韓民国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0003】
技術分野
【0004】
本出願は、磁性体、それを含む硬化性組成物及び前記磁性体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0005】
磁性体(具体的に、数十~数百ナノメートルのサイズを有する、いわゆる「ナノ磁性体」)は、交流磁場が印加されると発熱する特性を有する。したがって、磁性体は、熱硬化性樹脂の速成硬化、高分子の熱処理又は温熱(hyperthermia)抗癌治療などの多様な分野で用いられる。
【0006】
磁性体の発熱特性は、前記磁性体に印加される交流磁場の強さ、出力又は周波数などの外部条件によって変わる。また、前記発熱特性は、磁性体のサイズ、形状、そのサイズの分布、組成及び磁性と関連した特性(保磁力、飽和磁化値及び残留磁化値など)などの磁性体自体の固有の特性によっても変わる。そして、同一の組成と粒子特性を有する磁性体であっても相異なる発熱特性を有することができる。
【0007】
誘導加熱による発熱量を容易に制御するためには、磁性体が優れた発熱効率を有することも重要であるが、その発熱特性が均一に具現される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願では、優れた発熱量を有すると同時にその発熱量が均一に維持され得る磁性体を提供することを一つの目的とする。
【0009】
本出願では、前記発熱量特性が自由に調節され得る磁性体を提供することを一つの目的とする。
【0010】
本出願では、前記特性を全て満たす磁性体を用いて容易に硬化可能な硬化性組成物を提供することを一つの目的とする。
【0011】
本出願では、前記特性を全て満たす磁性体を簡便に製造し得る方法を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本出願で言及する物性のうち測定温度及び/又は圧力がその物性に影響を及ぼす場合に、前記物性は、特に別に言及しない限り、常温及び/又は常圧で測定した物性を意味する。
【0013】
本出願で用語「常温」は、特に加温及び/又は減温しない自然そのままの温度であって、約10℃~30℃の範囲内のいずれか一つの温度、25℃又は23℃程度の温度であってもよい。
【0014】
本出願で用語「常圧」は、特に加圧及び/又は減圧しない自然そのままの圧力であって、通常、大気圧のような1気圧程度であってもよい。
【0015】
本出願は、磁性体(magnetic body)に関する。
【0016】
本出願で、磁性体は、磁性を示す物質であって、外部から所定条件の電磁気場が印加されたときに発熱し得る物質を意味することができる。
【0017】
本出願では、場合によって、前記磁性体を「ナノ磁性体」と呼称することができる。これは、前記磁性体がナノメートル単位のサイズ、具体的に、数~数百ナノメートルのサイズを有することを意味することができる。
【0018】
本出願で、前記磁性体は、磁性粒子と前記磁性粒子の表面に導入されている表面処理剤を含む複合体である。本出願では、適切な磁性粒子の特性及び/又は表面処理剤の選択、組み合わせ及びそれらの組成を調節することで、目的に適合する磁性体を提供することができる。
【0019】
本発明者らは、前記磁性粒子のサイズと関連した特性を特定条件で規定し、これを表面処理剤と配合すると、前記磁性体に電磁気場が印加されたときに優れた発熱量を示すことができ、その発熱量が均一に維持され得ることを確認し、本発明に至った。
【0020】
前記磁性粒子は、そのサイズが特定範囲内である結晶を含む。前記磁性粒子が含む前記結晶のサイズは、10nm~40nmの範囲内である。前記結晶のサイズは、他の例示で、15nm以上又は20nm以上であってもよく、37nm以下又は35nm以下であってもよい。
【0021】
一つの例示で、前記磁性粒子の平均粒径が一定である場合、前記結晶のサイズが前記範囲内では、前記結晶サイズが増加するほど前記磁性粒子を含む磁性体の発熱量が高くなり得る。
【0022】
前記磁性粒子に存在する複数の結晶のサイズが一定ではない場合、前記結晶のサイズは、前記結晶の最大サイズ、最小サイズ又は平均サイズを意味することができる。前記結晶のサイズは、前記磁性粒子又は磁性粉末のX線回折分析を通じて測定することができ、具体的な測定法としては、後述する実施例での方式を適用することができる。
【0023】
また、前記磁性粒子は、特定範囲内の平均粒径を有する。具体的に、本出願の磁性体は、平均粒径が20nm~300nmの範囲内である磁性粒子を含む。このとき、前記磁性体は、外部磁場の印加時に高い発熱量を示し得、その発熱量が均一に維持され得る。
【0024】
前記磁性粒子の平均粒径は、他の例示で、30nm以上、40nm以上、50nm以上、60nm以上、70nm以上又は80nm以上であってもよく、290nm以下、280nm以下、270nm以下、260nm以下、250nm以下、240nm以下、230nm以下、220nm以下、210nm以下、200nm以下、190nm以下、180nm以下、170nm以下、160nm以下、150nm以下、140nm以下、130nm以下又は120nm以下であってもよい。
【0025】
前記磁性粒子の平均粒径を測定する方式は、特に制限されない。例えば、前記磁性粒子の平均粒径は、前記磁性粒子を含む磁性体を製造した後、前記磁性体に対して撮影した電子顕微鏡写真を分析して測定することができる。
【0026】
また、本出願の磁性体は、粒径の変動係数が特定範囲内である磁性粒子を含む。これによって、外部磁場の印加時に高い発熱量を均一に有することができる。具体的に、前記磁性粒子の粒径の変動係数は、5%~30%の範囲内である。本出願で、ある因子の変動係数は、その因子の平均に対するその因子の標準偏差の割合を百分率で示したものを意味することができる。すなわち、前記磁性体で、前記磁性粒子の粒径の平均(M)に対する前記粒子の粒径の標準偏差(SV)の割合(SV/M)を意味することができる。前記磁性粒子の粒径の変動係数は、前記磁性体に対して得た電子顕微鏡写真を通じて推算され得る。
【0027】
このように、(1)サイズが特定範囲内である結晶を有し、(2)平均粒径が特定範囲内であるとともに、(3)その粒径の変動係数が特定範囲内である磁性粒子と、(4)その粒子の表面に導入されている表面処理剤を含む本出願の磁性体は、外部磁場が印加されると、高い発熱量で発熱することができ、その発熱量が均一に維持され得る。
【0028】
前記磁性粒子としては、二つ以上の磁区を含むマルチドメイン(multi-magnetic domain)型磁性粒子を適用することができる。マルチドメイン型磁性粒子は、外部磁場が印加されないときには、前記磁区(あるいは結晶)がランダム(random)に配列されており、外部磁場が印加されるときには、印加された磁場の方向に沿って磁化され得る性質を有する磁性粒子である。上記で、磁区(あるいは結晶)がランダムに配列されるという意味は、磁力の方向が互いに異なり、整列されない状態であるが、磁化のネット(net)値が実質的に0に近接して巨視的には磁性がない状態であると認識されることを意味することができる。前記磁性粒子は、超常磁性粒子(super-paramagnetic particle)であってもよい。
【0029】
本出願で適用される用語「磁区(magnetic domain)」とは、一般的に磁性粒子の内部に磁化の方向が互いに異なるように区別されている領域を意味する。本出願で、前記磁性粒子が2以上の磁区を有するとき、外部交流磁場によって磁区が強く磁化されて振動熱を発生させ得、磁場を無くすと、本来の状態の磁区に戻り、これによって、ヒステリシス損失の残留磁化が低い磁性粒子が形成され得る。
【0030】
磁性粒子がマルチドメイン型磁性粒子であるか否かは、通常、その磁性粒子の粒径を通じて確認できる。例えば、磁性粒子が下記数式1を満足するDs以上の粒径を有する場合に、その磁性粒子は、通常、マルチドメイン型磁性粒子であると予想される:
【0031】
【0032】
数式1で、各変数の意味は次の通りである:
【0033】
*μ0:真空下での磁気透過率定数(magnetic permittivity constant in vacuum、1.26γ10-6H/m)
【0034】
*Ms:磁性粒子の飽和磁化度(saturation magnetization、単位:A/m又はemu/g)
【0035】
*A:磁性粒子の交換硬度(exchange stiffness、単位:J/m)
【0036】
*a:磁性粒子の格子定数(lattice constant、単位:m)
【0037】
数式1で、真空下での磁気透過率定数を除いた変数、すなわち、前記磁性粒子の飽和磁化度(saturation magnetization)、交換硬度及び格子定数は、その磁性粒子を構成する具体的種類によって変更され得る。したがって、適用しようとする磁性粒子に対して前記各数値を確認した後、その数値を数式1に代入して求められたDs以上に磁性粒子のサイズを制御することで、マルチドメインを有する磁性粒子を形成することができる。
【0038】
すなわち、本出願で適用する磁性粒子がマルチドメイン型磁性粒子である場合、その磁性粒子は、前記数式1によって求められるDs以上の粒径を有することができる。通常、磁性粒子の粒径がDsを超えると、該当磁性粒子の保磁力は減少する傾向を示し、本出願で適用される磁性粒子は、後述する保磁力を有し得る範囲内の粒径を有することができる。
【0039】
上記のような磁性粒子は、外部磁場が印加されなかったときには、磁性がない状態と類似に行動するため、前記磁性粒子を含む磁性体を、例えば、組成物などに適用すると、前記磁性体は、その組成物内で均一に分散された状態で存在してもよい。
【0040】
前記磁性粒子は、いわゆる渦電流(eddy current)又はヒステリシス損失(hysteresis loss)によって熱を発生させるものではなく、磁性粒子自体のヒステリシス損失は小さく、飽和磁化値(saturation magnetization value)のみが実質的に存在し、振動熱を発生させるように調節され得る。例えば、外部電磁気場が印加されると、前記磁性粒子は、その保磁力(coercive force)により磁性粒子が振動することになり、その結果、熱が発生できる。
【0041】
前記磁性体が前記条件、具体的に、磁性粒子と、前記磁性粒子の表面に導入されている表面処理剤を含み、前記磁性粒子のサイズが前記範囲内にある結晶及び/又は磁区を含み、前記磁性粒子の平均粒径が前記範囲内にあり、その粒子の粒径の変動係数が上述した条件を全て満たす場合、前記磁性体又は前記磁性体を含む磁性粉末は、優れた発熱量を示すと同時に前記優れた発熱量が均一に発揮され得る長所がある。具体的に、前記条件を満たす磁性体は、適正数の磁区と適正サイズの保磁力を有することができ、その結果、低い保磁力と多数の磁区を通じて電磁気場が印加されたときに振動熱を発生させ得、磁性粒子自体のヒステリシス損失を減少させると共に飽和磁化値のみが存在するようにすることができるので、電磁気場が印加されたときに安定的で且つ均一な発熱が可能である。一方、前記条件のうちいずれか一つでも満足しない場合、例えば、磁性体が表面処理剤を含まないか、表面処理剤を含んでいてもその表面処理剤が前記磁性粒子ではない、前記磁性粒子を構成する結晶の表面に先に導入されているか、あるいは上述した結晶のサイズと磁性粒子の平均粒径、あるいはその粒径の変動係数の範囲を脱する粒子特性を有する場合には、一定磁場の印加条件で低い発熱量を有するか、その発熱量が高くても均一に維持されない問題が発生し得る。
【0042】
磁性体の発熱特性の制御において、磁性体が有する磁性粒子自体のサイズと、その粒子を構成する結晶及び/又は磁区のサイズも重要であるが、これらの間の割合も適切に制御された方が良い。例えば、前記磁性粒子の結晶サイズ(A)と前記磁性粒子の平均粒径(B)の割合(B/A)は、1.5~10の範囲内であってもよい。前記割合は、他の例示で、2以上又は2.5以上であってもよく、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3.5以下又は3.3以下であってもよい。
【0043】
前記磁性粒子は、電磁気場の印加、すなわち、誘導加熱を通じて熱を発生することができるものであれば、その化学的組成は特に制限されない。例えば、前記磁性粒子は、下記化学式1で表示される化合物を含むことができる:
【0044】
[化学式1]
MXaOb
【0045】
化学式1で、Mは、金属又は金属酸化物であり、Xは、Fe、Mn、Co、Ni又はZnを含み、|aXc|=|bXd|を満足し、前記cは、Xの陽イオン電荷であり、前記dは、酸素の陰イオン電荷である。一つの例示で、前記化学式1のMは、Fe、Mn、Mg、Ca、Zn、Cu、Co、Sr、Si、Ni、Ba、Cs、K、Ra、Rb、Be、Li、Y、B又はこれらの酸化物であってもよい。例えば、XaObがFe2O3である場合、cは、+3であり、dは、-2であってもよい。また、例えば、XaObがFe3O4である場合、これは、FeOFe2O3で表現され得るので、cは、それぞれ+2及び+3であり、dは、-2であってもよい。前記磁性粒子が有する化合物の構造は、前記化学式1を満足する限り、特に制限されず、例えば、FeOFe2O3であってもよい。
【0046】
前記磁性粒子は、前記化学式1の化合物からなってもよく、又は前記化学式1の化合物に無機物がドーピングされた化合物を含んでいてもよい。前記無機物は、1価~3価の陽イオン金属又はこれらの酸化物を含むことができ、2種以上の複数の陽イオン金属を用いてもよい。
【0047】
上述したように、前記磁性粒子は、クラスト化された形態で存在することができる。具体的に、前記磁性粒子は、上述したように、特定範囲内のサイズを有する複数の結晶を含むが、このような結晶がクラスト化して前記磁性粒子を形成することができる。すなわち、前記磁性粒子は、前記磁性体内で結晶(又は磁区)のクラストを形成した形態で存在することができる。この場合、前記磁性粒子間の凝集によって発生する発熱量の低下を予防することができる。
【0048】
前記磁性体内で、前記磁性粒子は、適切な表面処理剤により表面処理されている。前記磁性粒子の表面処理は、前記磁性粒子の表面に導入され得る化合物(表面処理剤)を用いて行われ得る。すなわち、上述したように、前記磁性体は、磁性粒子と前記磁性粒子の表面に導入されている表面処理剤を含む。
【0049】
本出願で、前記磁性体の表面処理に対して言及しながら用いる用語「導入」、「アンカリング(anchoring)」、「相互作用」又は「結合」は、磁性粒子と表面処理剤の間、又は表面処理剤どうしの間の結合が形成されている場合を意味する。そして、上記で結合は、共有結合、イオン結合、水素結合、配位結合及び/又はファンデルワールス結合などのように2個の成分を互いに連結させ得ることが知られた全ての結合を含む意味で用いられ得る。
【0050】
一つの例示で、前記表面処理剤としては、前記磁性粒子の前駆体又は前記磁性粒子の表面に強い結合力で結合できる官能基を有する化合物を適用することができる。前記官能基を有する化合物としては、リン酸基(phosphoric acid group)、カルボキシル基(carboxyl group)、スルホン酸基(sulfonic acid group)、アミノ基(amino group)及び/又はシアノ基(cyano group)を有する化合物を適用することができる。したがって、前記磁性粒子又は磁性粒子の前駆体は、上記のような官能基を有する物質、すなわち、表面処理剤により表面処理されている。
【0051】
本出願で表面処理剤として適用できる化合物としては、ポリオール系化合物、ポリシロキサン系化合物、アルキルリン酸(alkyl phosphoric acid)系表面処理剤(例えば、下記化学式Aの化合物)、アルキルカルボン酸(alkyl carboxylic acid)系表面処理剤(例えば、下記化学式Bの化合物、スルホン酸(alkyl sulfonic acid)系表面処理剤、その他長鎖アルキル基を含む酸化合物、酸性官能基又はアミノ基を含むアクリル共重合体、芳香族酸系表面処理剤、酸性官能基又はアミノ基を含むブロック共重合体などを適用することができる。
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
化学式A~Cで、R1~R3は、それぞれ独立的に、アルキル基、アリールアルキル基、アルコキシ基又はアリールアルコキシ基である。
【0056】
前記化学式A~Cに含まれ得るアルキル基又はアルコキシ基としては、炭素数が6~24の範囲内であるアルキル基又はアルコキシ基が例示され得る。また、前記アルキル基又はアルコキシ基の炭素数は、他の例示で、7個以上、8個以上、9個以上、10個以上、11個以上、12個以上、13個以上、14個以上、15個以上、16個以上、17個以上、18個以上、19個以上、20個以上、21個以上、22個以上又は23個以上であるか、23個以下、22個以下、21個以下、20個以下、19個以下、18個以下、17個以下、16個以下、15個以下、14個以下、13個以下、12個以下、11個以下、10個以下、9個以下、8個以下又は7個以下程度であってもよい。
【0057】
前記化学式A~Cに含まれ得るアルキル基又はアルコキシ基としては、炭素数6~13程度のアリール基が例示され得、例えば、ベンジル基又はフェニル基などが適用され得る。
【0058】
また、他の例示で、前記表面処理剤としては、(a)任意的に脂肪酸-改質された又はアルコキシ化(特にエトキシ化)されたポリアミンのリン酸エステル塩、エポキシド-ポリアミン付加物のリン酸エステル塩、アミノ基を含むアクリレート又はメタクリレート共重合体のリン酸エステル塩又はアクリレート-ポリアミン付加物のリン酸エステル塩などのようなアミノ基を含むオリゴマー又はポリマーのリン酸エステル塩;(b)アルキル、アリール、アラルキル又はアルキルアリールアルコキシレートを有するリン酸塩のモノエステル又はジエステル(例:ノニルフェノールエトキシレート、イソトリデシルアルコルエトキシレート、ブタノール-出発アルキレンオキシドポリエーテルのリン酸モノエステル又はジエステル)、ポリエステルを有するリン酸のモノエステル又はジエステル(例:カプロラクトンポリエステル又はカプロラクトン/バレロラクトンが混合されたポリエステルのようなラクトンポリエステル)などのようなリン酸のモノエステル又はジエステル;(c)アルキル、アリール、アラルキル又はアルキルアリールアルコキシレートを有する酸性ジカルボキシモノエステル(特に、コハク酸、マレイン酸又はフタル酸)(例:ノニルフェノールエトキシレート、イソトリデシルアルコルエトキシレート又はブタノール-開始アルキレンオキシドポリエーテル)などのような酸性ジカルボキシモノエステル;(d)ポリウレタン-ポリアミン付加物;(e)ポリアルコキシ化モノアミン又はジアミン(例:エトキシ化オレイルアミン又はアルコキシ化エチレンジアミン)又は(f)モノアミン、ジアミン、ポリアミン、アミノアルコールと不飽和脂肪酸の反応生成物及び不飽和1,2-ジカルボン酸及びこれらの無水物及びこれらの塩及びアルコール及び/又はアミンとの反応生成物なども適用され得る。
【0059】
上記のような表面処理剤は、市販の製品として公知となっているが、例えば、BYK-220 S、BYK-P 9908、BYK-9076、BYK-9077、BYK-P 104、BYK-P 104 S、BYK-P 105、BYK-W 9010、BYK-W 920、BYK-W 935、BYK-W 940、BYK-W 960、BYK-W 965、BYK-W 966、BYK-W 975、BYK-W 980、BYK-W 990、BYK-W 995、BYK-W 996、BYKUMEN、BYKJET 9131、LACTIMON、ANTI-TERRA-202、ANTI-TERRA-203、ANTI-TERRA-204、ANTI-TERRA-205、ANTI-TERRA-206、ANTI-TERRA-207、ANTI-TERRA-U 100、ANTI-TERRA-U 80、ANTI-TERRA-U、LP-N-21201、LP-N-6918、DISPERBYK、DISPERBYK-101、DISPERBYK-102、DISPERBYK-103、DISPERBYK-106、DISPERBYK-107、DISPERBYK-108、DISPERBYK-109、DISPERBYK-110、DISPERBYK-111、DISPERBYK-112、DISPERBYK-115、DISPERBYK-116、DISPERBYK-118、DISPERBYK-130、DISPERBYK-140、DISPERBYK-142、DISPERBYK-145、DISPERBYK-160、DISPERBYK-161、DISPERBYK-162、DISPERBYK-163、DISPERBYK-164、DISPERBYK-165、DISPERBYK-166、DISPERBYK-167、DISPERBYK-168、DISPERBYK-169、DISPERBYK-170、DISPERBYK-171、DISPERBYK-174、DISPERBYK-176、DISPERBYK-180、DISPERBYK-181、DISPERBYK-182、DISPERBYK-183、DISPERBYK-184、DISPERBYK-185、DISPERBYK-187、DISPERBYK-190、DISPERBYK-191、DISPERBYK-192、DISPERBYK-193、DISPERBYK-194、DISPERBYK-2000、DISPERBYK-2001、DISPERBYK-2008、DISPERBYK-2009、DISPERBYK-2010、DISPERBYK-2020、DISPERBYK-2025、DISPERBYK-2050、DISPERBYK-2070、DISPERBYK-2090、DISPERBYK-2091、DISPERBYK-2095、DISPERBYK-2096、DISPERBYK-2150、DISPERBYK-2151、DISPERBYK-2152、DISPERBYK-2155、DISPERBYK-2163、DISPERBYK-2164、DISPERBLAST-1010、DISPERBLAST-1011、DISPERBLAST-1012、DISPERBLAST-1018又はDISPERBLAST-I、DISPERBLAST-Pなどのような製品名(ベゼルのBYK-Chemie)で知られた表面処理剤が用いられ得る。
【0060】
適切な表面処理のために前記表面処理剤としては、酸価又はアミン価が特定範囲内である表面処理剤を適用することができる。一つの例示で、前記表面処理剤は、酸価が10~400mgKOH/gの範囲内にある表面処理剤であるか、あるいはアミン価が5~400mgKOH/gの範囲内にある表面処理剤であってもよい。
【0061】
前記表面処理剤の酸価は、他の例示で、約20mgKOH/g以上、30mgKOH/g以上、40mgKOH/g以上、50mgKOH/g以上、60mgKOH/g以上、70mgKOH/g以上、80mgKOH/g以上又は90mgKOH/g以上であるか、約390mgKOH/g以下、380mgKOH/g以下、370mgKOH/g以下、360mgKOH/g以下、350mgKOH/g以下、340mgKOH/g以下、330mgKOH/g以下、320mgKOH/g以下、310mgKOH/g以下、300mgKOH/g以下、290mgKOH/g以下、280mgKOH/g以下、270mgKOH/g以下、260mgKOH/g以下、250mgKOH/g以下、240mgKOH/g以下、230mgKOH/g以下、220mgKOH/g以下、210mgKOH/g以下、200mgKOH/g以下、190mgKOH/g以下、180mgKOH/g以下、170mgKOH/g以下、160mgKOH/g以下、150mgKOH/g以下、140mgKOH/g以下、130mgKOH/g以下、120mgKOH/g以下、110mgKOH/g以下又は100mgKOH/g以下程度であってもよい。
【0062】
前記表面処理剤のアミン価は、他の例示で、約10mgKOH/g以上、約15mgKOH/g以上、約20mgKOH/g以上、30mgKOH/g以上、40mgKOH/g以上、50mgKOH/g以上、60mgKOH/g以上、70mgKOH/g以上、80mgKOH/g以上又は90mgKOH/g以上であるか、約390mgKOH/g以下、380mgKOH/g以下、370mgKOH/g以下、360mgKOH/g以下、350mgKOH/g以下、340mgKOH/g以下、330mgKOH/g以下、320mgKOH/g以下、310mgKOH/g以下、300mgKOH/g以下、290mgKOH/g以下、280mgKOH/g以下、270mgKOH/g以下、260mgKOH/g以下、250mgKOH/g以下、240mgKOH/g以下、230mgKOH/g以下、220mgKOH/g以下、210mgKOH/g以下、200mgKOH/g以下、190mgKOH/g以下、180mgKOH/g以下、170mgKOH/g以下、160mgKOH/g以下、150mgKOH/g以下、140mgKOH/g以下、130mgKOH/g以下、120mgKOH/g以下、110mgKOH/g以下又は100mgKOH/g以下程度であってもよい。
【0063】
本出願で、用語「アミン価(amine value)」は、表面処理剤が含有するアミノ基(-NH2、-NHR又は-NR2)をKOHで滴定したとき、その滴定に用いられたKOHの量の割合(表面処理剤1gを滴定したときに消費したKOHの量をmgで示した数値)を意味する。
【0064】
本出願で、用語「酸価(acid value)」は、表面処理剤が含有する酸性官能基(-COOHなど)をKOHで滴定したとき、その滴定に用いられたKOHの量の割合(表面処理剤1gを滴定したときに消費したKOHの量をmgで示した数値)を意味する。
【0065】
前記酸価は、試料を(ジエチルエーテルとエタノールを2:1(ジエチルエーテル:エタノール)の体積比で混合した混合溶剤)に溶解し、電位差自動滴定装置(メトラー、G10S)を用いて測定することができる。前記試料に対して濃度が約0.1mol/LとなるようにKOHを溶解したエタノール溶液(水酸化カリウム-エタノール溶液)で電位差の滴定を行い、試料を中和するために要求される前記水酸化カリウム-エタノール溶液の量を測定した後、下記式Aを通じて酸価を計算することができる:
【0066】
[式A]
酸酸=(B×f×5.611)/S
【0067】
式Aで、Bは、滴定に用いられた水酸化カリウム-エタノール溶液の量(単位:mL)であり、fは、0.1mol/Lの水酸化カリウム-エタノール溶液のファクターであり、Sは、試料の固形分の質量(g)である。
【0068】
前記アミン価は、フラスコに試料を約0.5gの量で入れ、アセトン(acetone)で溶解させた後、その溶液を冷凍させ、ブロモフェノールブルー(bromophenol blue)指示薬を用いて青色から黄色に変わるまで0.1N HClで滴定した後、次の式Bを通じて求めることができる:
【0069】
[式B]
アミン価=0.1N HCl溶液のモル数×100×5.61/試料重さ×NV
【0070】
前記式Bで、NVは、Non volatile、すなわち、固形分であって、次の方式で求めることができる。
【0071】
7.5cm Diameter Tin lid上に試料を約0.8~1.0gの量で坪量し、均一に広げた後、125℃で60分間Air Circulator drying ovenで乾燥させた後、下記式Cによって求めることができる。
【0072】
[式C]
NV(単位:%)=最終重さ(乾燥後の重さ)/最初重さ(乾燥前の重さ)X100
【0073】
一方、目的とする物性(粘度など)を確保するためには、前記表面処理剤の特性も適切に制御された方が良い。例えば、前記表面処理剤は、重量平均分子量(Mw)が20,000以下であってもよい。「重量平均分子量」は、GPC(Gel Permeation Chromatograph)で測定した標準ポリスチレン換算数値である。前記表面処理剤の重量平均分子量は、他の例示で、約19,000以下、18,000以下、17,000以下、16,000以下、15,000以下、14,000以下、13,000以下、12,000以下、11,000以下、10,000以下、9,000以下、8,000以下、7,000以下、6,000以下、5,000以下、4,000以下、3,000以下、2,000以下又は1,000以下であってもよく、100以上、200以上、300以上、400以上、500以上、600以上、700以上、800以上、900以上又は1,000以上であってもよい。表面処理剤の種類によって変わることはできるが、前記範囲内で適用される表面処理剤の分子量が高いほど前記磁性粒子を構成する結晶のサイズが相対的に減少する傾向を示し得る。
【0074】
本出願では、特定官能基、具体的にアンカリング官能基を有する化合物に存在する前記官能基と磁性粒子を相互作用させる方式を適用するか、又は前記表面処理剤が前記官能基を有しない場合には、公知の化学的方式によって前記表面処理剤に前記官能基を導入した後に前記磁性粒子と相互作用させて前記磁性体を形成してもよい。
【0075】
前記磁性体内で前記表面処理剤の割合は、特に制限されず、上述した条件、例えば、磁区のサイズ及び/又は磁性粒子の平均粒径を満足する磁性体を製造し得る程度に添加され得る。例えば、前記磁性体で前記表面処理剤は、磁性粒子100重量部に対して0.01重量部~30重量部の範囲内の割合で含まれ得る。このような割合下で目的とする発熱特性を有する磁性体を収得することができる。前記割合は、他の例示で、0.1重量部以上、1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上又は4重量部以上であってもよく、27重量部以下、25重量部以下、23重量部以下、21重量部以下又は20重量部以下であってもよい。一方、表面処理剤の割合は、既に形成された磁性粒子の平均粒径には大きく影響を及ぼさないので、前記表面処理剤の割合は、適正範囲を超えると、具体的にその割合が前記範囲を超過しても磁性粒子のサイズなどの物性に影響を及ぼさない。
【0076】
本出願では、特に別に規定しない限り、単位「重量部」は、各成分間の重量の割合を意味する。
【0077】
前記磁性粒子を前記表面処理剤で表面処理して前記磁性体を得る方式は、特に制限されない。例えば、溶媒の存在など適切な環境下で前記磁性粒子と前記表面処理剤を混合することで磁性粒子と前記表面処理剤の間の相互作用を誘導し、上述した磁性粒子と前記表面処理剤の間の結合を形成することができる。このような表面処理剤は、前記磁性粒子の表面、具体的に、前記磁性粒子のまわりに存在することができる。また、前記磁性体は、後述する詳細な本出願の方法を適用して製造されてもよい。
【0078】
前記磁性粒子は、追加的に表面処理されていてもよい。この場合、前記言及された表面処理剤は、1次表面処理剤と呼称され、追加的な表面処理のために適用される表面処理剤は、2次表面処理剤と呼称され得る。すなわち、本出願の磁性体は、一つの例示で、前記表面処理剤(1次表面処理剤)又は前記磁性粒子と結合を形成している2次表面処理剤をさらに含むことができる。すなわち、前記磁性体が2次表面処理剤を追加で含む場合、前記2次表面処理剤は、前記磁性粒子の表面及び/又は前記磁性粒子の表面に処理された1次表面処理剤の表面に導入されていてもよい。
【0079】
このような2次表面処理剤は、磁性体を構成する磁性粒子の粒子特性を制御するよりは、主に前記磁性体を適用するときにその分散安定性、凝集性及び沈降防止性などを付与するために適用されることが一般的である。また、前記2次表面処理剤の特性は、前記磁性体と配合され得る物質との相溶性及び前記物質の機能によって適切に変更され得る。
【0080】
前記2次表面処理剤としては、高分子化合物を用いることができる。例えば、前記2次表面処理剤としては、重量平均分子量が約1,000~500,000の範囲内である高分子化合物が適用され得る。前記2次表面処理剤が高分子化合物である場合、その分子量(Mw)は、他の例示で、約1500以上、2000以上、2500以上、3000以上、3500以上、4000以上、4500以上、5000以上、5500以上、6000以上、6500以上、7000以上、7500以上、8000以上、8500以上、9000以上、9500以上、10000以上、12000以上、14000以上、16000以上、18000以上、19000以上又は20000以上であるか、450000以下、400000以下、350000以下、300000以下、250000以下、200000以下、150000以下、100000以下、90000以下、80000以下、70000以下、60000以下、50000以下、40000以下、30000以下又は25000以下程度であってもよい。
【0081】
2次表面処理剤で用いられ得る高分子化合物としては、ポリウレタン系表面処理剤、ポリウレア系表面処理剤、ポリ(ウレタン-ウレア)系表面処理剤及び/又はポリエステル系(具体的に枝型ポリエステル系)表面処理制であってもよい。前記2次表面処理剤としては、前記言及された高分子化合物に対して前記1次表面処理剤及び/又は前記磁性粒子と相互作用する官能基を含む化合物を適用することができ、又は前記官能基を含まない場合は、そのような官能基を特定高分子化合物に導入して適用することで2次表面処理を行ってもよい。
【0082】
前記2次表面処理剤としては、前記1次表面処理剤及び/又は磁性粒子と相互作用する官能基を有する化合物を適用することができ、このような官能基としては、上述したリン酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、アミノ基及び/又はシアノ基などや、2次又は3次アミン基又はアミノ基や、ウレア結合などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0083】
一つの例示で、前記2次表面処理剤としては、ウレア単位及び/又はウレタン単位を含む高分子を適用してもよい。
【0084】
上記で、ウレア単位は、下記化学式Dで表示され、ウレタン単位は、下記化学式Eで表示され得る:
【0085】
【0086】
化学式Dで、R4~R7は、それぞれ独立的に水素原子又はアルキル基であり、L1及びL2は、それぞれ独立的に脂肪族、脂環族又は芳香族2価残基である。
【0087】
【0088】
化学式Eで、R8及びR9は、それぞれ独立的に水素原子又はアルキル基であり、L3及びL4は、それぞれ独立的に脂肪族、脂環族又は芳香族2価残基である。
【0089】
化学式Dの単位は、いわゆるウレア単位であって、ポリアミン(polyamine)とジイソシアネート化合物の反応生成物であってもよい。したがって、例えば、前記化学式Dで、L1は、前記反応に参加するジイソシアネート化合物に由来した構造であってもよく、L2は、前記反応に参加するポリアミンに由来した構造であってもよい。上記で「由来した構造」とは、L1の場合、前記ジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた構造であってもよく、L2の場合、前記ポリアミン化合物からアミン基(-NH2)を除いた部分の構造であってもよい。
【0090】
化学式Eの単位は、いわゆるウレタン単位であって、ポリオール(polyol)とジイソシアネート化合物の反応生成物であってもよい。したがって、例えば、前記化学式Eで、L3は、前記反応に参加するジイソシアネート化合物に由来した構造であり、L4は、前記反応に参加するポリオールに由来した構造であってもよい。上記で「由来した構造」とは、L3の場合、前記ジイソシアネート化合物からイソシアネート基を除いた構造であってもよく、L4の場合、前記ポリオールからヒドロキシ基(-OH)を除いた部分の構造であってもよい。
【0091】
前記化学式D及びEの構造を形成し得るジイソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソボロンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート又はナフタリンジイソシアネートなどが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0092】
また、前記化学式Dの構造を形成し得るポリアミンとしては、エチレンジアミン又はプロピレンジアミンなどのように炭素数1~20、1~16、1~12、1~8又は1~4のアルキレン単位を有するアルキレンジアミンが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0093】
また、前記化学式Eの構造を形成し得るポリオールとしては、エチレングリコール又はプロピレングリコールなどのように炭素数1~20、1~16、1~12、1~8又は1~4のアルキレン単位を有するアルキレングリコールが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0094】
したがって、上記のような公知の単量体を適切に組み合わせて製造したポリウレタン及び/又はポリウレアあるいはポリ(ウレタン-ウレア)などを前記2次表面処理剤で適用することができる。必要に応じて、公知の化学的方法で前記ポリウレタン及び/又はポリウレアあるいはポリ(ウレタン-ウレア)などに必要な官能基を導入した後に適用してもよい。
【0095】
2次表面処理剤としては、前記磁性体と配合される化合物の種類によっては、適切な酸価及び/又はアミン価を有する化合物を適用するか、あるいはそうではない化合物を適用することができる。一つの例示で、前記2次表面処理剤は、酸価が10mgKOH/g~400mgKOH/gの範囲内であるか、アミン価が5mgKOH/g~400mgKOH/gの範囲内であってもよい。
【0096】
前記表面処理剤の酸価は、他の例示で、約20mgKOH/g以上、30mgKOH/g以上、40mgKOH/g以上、50mgKOH/g以上、60mgKOH/g以上、70mgKOH/g以上、80mgKOH/g以上又は90mgKOH/g以上であるか、約390mgKOH/g以下、380mgKOH/g以下、370mgKOH/g以下、360mgKOH/g以下、350mgKOH/g以下、340mgKOH/g以下、330mgKOH/g以下、320mgKOH/g以下、310mgKOH/g以下、300mgKOH/g以下、290mgKOH/g以下、280mgKOH/g以下、270mgKOH/g以下、260mgKOH/g以下、250mgKOH/g以下、240mgKOH/g以下、230mgKOH/g以下、220mgKOH/g以下、210mgKOH/g以下、200mgKOH/g以下、190mgKOH/g以下、180mgKOH/g以下、170mgKOH/g以下、160mgKOH/g以下、150mgKOH/g以下、140mgKOH/g以下、130mgKOH/g以下、120mgKOH/g以下、110mgKOH/g以下又は100mgKOH/g以下、90mgKOH/g以下、80mgKOH/g以下、70mgKOH/g以下、60mgKOH/g以下、50mgKOH/g以下、40mgKOH/g以下又は30mgKOH/g以下程度であってもよい。
【0097】
前記表面処理剤のアミン価は、他の例示で、約10mgKOH/g以上、約15mgKOH/g以上、約20mgKOH/g以上、30mgKOH/g以上、40mgKOH/g以上、50mgKOH/g以上、60mgKOH/g以上、70mgKOH/g以上、80mgKOH/g以上又は90mgKOH/g以上であるか、約390mgKOH/g以下、380mgKOH/g以下、370mgKOH/g以下、360mgKOH/g以下、350mgKOH/g以下、340mgKOH/g以下、330mgKOH/g以下、320mgKOH/g以下、310mgKOH/g以下、300mgKOH/g以下、290mgKOH/g以下、280mgKOH/g以下、270mgKOH/g以下、260mgKOH/g以下、250mgKOH/g以下、240mgKOH/g以下、230mgKOH/g以下、220mgKOH/g以下、210mgKOH/g以下、200mgKOH/g以下、190mgKOH/g以下、180mgKOH/g以下、170mgKOH/g以下、160mgKOH/g以下、150mgKOH/g以下、140mgKOH/g以下、130mgKOH/g以下、120mgKOH/g以下、110mgKOH/g以下又は100mgKOH/g以下、90mgKOH/g以下、80mgKOH/g以下、70mgKOH/g以下、60mgKOH/g以下、50mgKOH/g以下、40mgKOH/g以下又は30mgKOH/g以下程度であってもよい。
【0098】
他の例示では、前記2次表面処理剤は、酸価及び/又はアミン価がない化合物であってもよい。本出願で「酸価又はアミン価がない」とは、前記酸価又はアミン価が約5mgKOH/g以下、4mgKOH/g以下、3mgKOH/g以下、2mgKOH/g以下、1mgKOH/g以下又は0.5mgKOH/g以下であるか、実質的に0mgKOH/gである場合を意味する。このように酸価及び/又はアミン価がない表面処理剤は、前記磁性体が特にエポキシ樹脂などと配合されたときに効果的である。
【0099】
前記2次表面処理剤としては、いわゆる超分岐ポリエステル系(branched polyester-based)分散剤などとして知られた枝型ポリエステル表面処理剤も適用可能である。
【0100】
前記2次表面処理剤は、前記磁性体で、前記磁性粒子100重量部に対して約0.01~30重量部の割合で含まれ得る。このような割合下で目的とする性能を有する磁性体を形成してもよい。前記割合は、他の例示で、約0.5重量部以上、1重量部以上、1.5重量部以上、2重量部以上、2.5重量部以上、3重量部以上、3.5重量部以上、4重量部以上、4.5重量部以上又は5重量部以上であるか、約25重量部以下、20重量部以下、15重量部以下、約13重量部以下、約12重量部以下又は10重量部以下程度であってもよい。
【0101】
磁性粒子を前記2次表面処理剤で表面処理する方式は、特に制限されない。例えば、溶媒の存在などの適切な環境内で前記磁性粒子(あるいは1次表面処理剤で処理された磁性粒子)と前記2次表面処理剤を混合する方式で前記磁性体を製造することができる。
【0102】
本出願の磁性体は、複数の磁性粒子を含むため、一つの例示では、粉末形態で存在することができる。この場合、本出願の磁性体を、例えば、硬化性(具体的には熱硬化性)樹脂の硬化に適用する場合、磁性体が粉末形態で存在するとき、その樹脂と磁性体を有する組成物内で優秀に分散された状態を維持することができ、その結果、樹脂の硬化が一層円滑に進行され得る利点がある。
【0103】
本出願の磁性体は、優れた磁気的特性と発熱特性を示すことができる。
【0104】
一つの例示で、前記磁性体は、特定範囲内の飽和磁化値を有することができる。前記磁性体の飽和磁化値は、20emu/g~150emu/gの範囲内であってもよい。磁性体の飽和磁化値が前記範囲内にある場合、前記記磁性体に電磁気場が印加されたとき、前記磁性体の渦電流ではない磁性体、具体的に、前記磁性体が含む磁性粒子の間の振動によって熱を発生することができ、その結果、高い量の熱が均一に生成され得る。
【0105】
一つの例示で、前記磁性体は、特定範囲内の保磁力を有することができる。具体的に、前記磁性体の保磁力は、1kOe~200kOeの範囲内であってもよい。上記で、用語「保磁力」とは、磁性粒子の磁化を0に減少させるために必要な臨界磁場の強さを意味することができる。すなわち、外部磁場により磁化された磁性体は、磁場を除去してもある程度の磁化された状態を維持するが、そのように磁化された磁性体に逆方向の磁場を印加して磁化度を0にできるその磁場の強さを保磁力と言う。前記保磁力は、軟磁性物質又は硬磁性物質を区分する基準となり得、本出願の磁性体は、例えば、軟磁性粉末であってもよい。本出願では、前記磁性体の保磁力を前記範囲に調節することで、磁性体の磁性転換をより容易に具現することができ、その結果、本出願で目的とする程度の振動熱を発生させ得る。
【0106】
本出願では、磁性体の物性をVSM(Vibrating Sample Magnetometer)を用いて測定することができる。VSMは、Hall probeにより印加された磁場を記録し、試料の磁化値は、ファラデーの法則によって試料に振動を加えるときに得られる起電力を記録して試料の磁化値を測定する装置である。ファラデー(Faraday)の法則によって棒磁石のN極をコイル側に向けるようにしてコイルの方に押すと、検流計が動いてコイルに電流が流れことが分かる。このような結果から現われる電流を誘導電流と言い、誘導起電力により作られたと言う。VSMは、このような基本作動原理によって試料に振動を加えるときに発生する誘導起電力をsearch coilで検出してその起電力により試料の磁化値を測定する方法である。材料の磁気的特性を磁場、温度及び時間の関数により簡単に測定することができ、最大2テスラ(Tesla、T)の磁力と2K~1,273K温度範囲の速い測定が可能である。
【0107】
また、本出願の磁性体は、特定範囲内の比表面積を有することができる。具体的に、本出願の磁性体は、BET比表面積が3m2/g~25m2/gの範囲内であってもよい。
【0108】
本出願でBET比表面積は、BET(Brunauer-Emmett-Teller equation)吸着等温(adsorption isotherm)式、具体的に、多分子層吸着を模型として導入した吸着等温式によって測定した前記磁性粒子の比表面積であってもよい。BET式の媒介変数とBET式を通じて比表面積を測定する方法は、業界に多様に公知となっている。BET比表面積を通じて前記磁性体内の磁性粒子が形成する気孔のサイズ、磁性粒子のサイズ、前記磁性粒子の粒径分布などを確認することができる。
【0109】
また、本出願の磁性体は、優れた発熱特性を有することができる。例えば、前記磁性体は、下記数式2によって算出されたSARの値が60W/g以上であってもよい:
【0110】
[数式2]
SAR=CiXmX△T/△t
【0111】
前記数式2で、SARは、前記磁性体を水に溶解させた磁性流体の発熱量を意味し、Ciは、前記磁性流体の溶媒である水の比熱として4.184J(gXK)であり、mは、前記磁性流体の溶媒である水の重量(mi、単位:g)と前記磁性体の重量(ma、単位:g)の割合(mi/ma)であり、△Tは、294Kの温度で前記磁性流体0.35mLに120.4Aの電流310kHzの条件で60秒間交流磁場を印加したときの前記磁性流体の温度増加量(単位:K)であり、△tは、前記磁性流体に前記条件の交流磁場を印加した時間として60秒である。
【0112】
前記SAR値は、特定量の磁性体に一定の強さの交流磁場を印加したとき、その磁性体が発熱する熱を標準化したものである。前記値が少なくとも60W/gになると本出願で目的とする発熱特性を具現し得ると理解される。前記SAR値は、他の例示で、63W/g以上、65W/g以上、67W/g以上又は70W/g以上であってもよく、120W/g以下、115W/g以下又は110W/g以下であってもよい。特に、前記SAR値の上限は、前記値を測定するために適用された溶媒の種類によって変わってもよい。また、本出願では前記SAR値を測定するために溶媒として水を適用したが、前記数値の上限(120W/g)は、前記値を測定するために適用された溶媒が水であるときに最大に現われ得るSAR値を意味することができる。
【0113】
前記磁性体は、外力、具体的に、外部磁場が印加されたときに優れた発熱特性を示すので、熱硬化性高分子(又は樹脂)などの硬化に有利であり得る。
【0114】
したがって、本出願は、他の側面で硬化性組成物に関する。
【0115】
硬化性組成物は、外力、例えば、熱の印加又は光の照射などによって硬化可能な組成物を意味することができる。したがって、本出願の硬化性組成物は、外力により硬化可能な物質を少なくとも含む。
【0116】
硬化性組成物は、硬化性樹脂(curable resin)及び磁性体を含む。また、前記硬化性組成物に適用された磁性体は、本出願の磁性体である。したがって、本出願の硬化性組成物に対する説明においても上述した磁性体の特性に対する説明が全て適用され得る。このとき、前記組成物で前記磁性体は、適切な分散度を示すようにすることができ、その結果、前記硬化性組成物は、低い粘度及び流動性を有するにもかかわらず硬化工程に適用可能である。
【0117】
例えば、前記硬化性組成物は、せん断速度(shear ratio)100s-1の条件で測定した常温粘度が10,000cP以下であってもよい。他の例示で、前記硬化性組成物の粘度は、9500cP以下、9,000cP以下、8500cP以下、8,000cP以下、7500cP以下、7,000cP以下、6500cP以下、6,000cP以下、5500cP以下、5,000cP以下、4500cP以下、4,000cP以下、3,000cP以下、2,000cP以下、1,000cP以下、900cP以下又は800cP以下であるか、1cP以上、2cP以上、3cP以上、4cP以上、5cP以上、6cP以上、7cP以上、8cP以上、9cP以上、10cP以上、15cP以上、20cP以上、25cP以上、30cP以上、35cP以上、40cP以上、45cP以上、50cP以上、55cP以上、60cP以上、65cP以上、70cP以上、75cP以上、80cP以上、85cP以上、90cP以上、95cP以上又は100cP以上、1000cP以上、1500cP以上、2000cP以上、2500cP以上、3000cP以上、3500cP以上又は4000cP以上であってもよい。
【0118】
前記硬化性組成物は、絶縁性組成物であってもよい。すなわち、前記硬化性組成物は、絶縁性であるか、硬化後に絶縁性を示す硬化物を形成することができる。本出願で用語「絶縁性」は、ASTM D149規格によって確認した絶縁破壊強度が10kV/mm以上、11kV/mm以上、12kV/mm以上、13kV/mm以上、14kV/mm以上、15kV/mm以上、16kV/mm以上、17kV/mm以上、18kV/mm以上、19kV/mm以上又は20kV/mm以上である場合を意味する。したがって、本出願の硬化性組成物は、それ自体として前記絶縁破壊強度を示すか、あるいは硬化されて前記絶縁破壊強度を示す硬化物を形成することができる。前記絶縁破壊強度は、その数値が高いほど優れた絶縁性を意味するもので、その上限は、特に制限されるものではないが、一つの例示では、約50kV/mm以下、45kV/mm以下、40kV/mm以下、35kV/mm以下、30kV/mm以下、25kV/mm以下又は20kV/mm以下であってもよい。前記絶縁破壊強度は、フィルム形態の前記硬化性組成物又はその硬化性組成物のフィルム形態の硬化物に対してASTM D149規格によって測定した数値であり、特に別に規定しない限り、単位は、kV/mmである。絶縁破壊強度は、硬化性組成物の成分である硬化性樹脂及び/又は磁性体の種類及び/又は割合の調節を通じて達成され得る。
【0119】
硬化性組成物に含まれ得る硬化性樹脂の種類は、特に制限されない。例えば、前記硬化性樹脂としては、熱の印加によって硬化反応に参加する、いわゆる「熱硬化性樹脂」を適用することができる。また、前記硬化性樹脂としては、いわゆる絶縁性樹脂として、硬化前及び/又は硬化後に上述した絶縁性(絶縁破壊強度)を示すことができる樹脂が適用され得る。
【0120】
硬化性樹脂は、硬化性官能基を有することができる。具体的に、硬化性官能基としては、アルケニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシアルキル基、メタクリロイルオキシアルキル基、エポキシ基、オキセタン基、アルケニル基、ケイ素原子に結合された水素原子、イソシアネート基、ヒドロキシ基、フタロニトリル基又はカルボキシル基などが例示され得るが、これに制限されるものではない。
【0121】
「アルケニル基」は、特に別に規定しない限り、炭素数2~20、2~16、2~12、2~8又は2~4のアルケニル基を意味する。前記アルケニル基は、直鎖状、分枝鎖状又は環状であってもよく、任意に一つ以上の置換基によって置換されていてもよい。
【0122】
「エポキシ基」は、特に別に規定しない限り、3個の環構成原子を有する環状エーテル(cyclic ether)又は前記環状エーテルを含む化合物から誘導された1価残基を意味することができる。エポキシ基としては、グリシジル基、エポキシアルキル基、グリシドキシアルキル基又は脂環式エポキシ基などが例示され得る。上記で脂環式エポキシ基は、脂肪族炭化水素環構造を含み、また、前記脂肪族炭化水素環を形成している2個の炭素原子がまたエポキシ基を形成している構造を含む化合物に由来する1価残基を意味することができる。脂環式エポキシ基としては、6個~12個の炭素原子を有する脂環式エポキシ基が例示され得、例えば、3,4-エポキシシクロへキシルエチル基などが例示され得る。
【0123】
硬化性樹脂の具体的な種類は、特に限定されない。例えば、前記硬化性樹脂としては、上述した硬化性官能基を含む直鎖状又は分枝鎖状構造の樹脂であってもよく、具体的には、ポリシリコン樹脂、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、アクリル樹脂、ビニル系樹脂、オレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、イソシアネート樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フタロニトリル樹脂、ポリアミド酸、ポリアミド又はエポキシ樹脂などが例示され得る。
【0124】
硬化性組成物で前記磁性体の含量は、特に制限されない。前記磁性体の硬化性組成物での含量は、該当硬化性組成物、具体的には、前記硬化性樹脂の硬化のために必要な熱などを考慮して適切に調節され得る。一つの例示で、前記硬化性組成物は、前記硬化性樹脂100重量部に対して0.01重量部~60重量部の含量で前記磁性体を含むことができる。前記磁性体の割合は、他の例示で、約0.5重量部以上又は約1重量部以上、約3重量部以上又は約5重量部以上であるか、約55重量部以下、約50重量部以下、約45重量部以下、約40重量部以下、約35重量部以下、約30重量部以下、約25重量部以下、約20重量部以下、約15重量部以下又は約10重量部以下程度であってもよい。前記磁性体の含量計算において基準となる硬化性樹脂とは、樹脂状態である成分はもちろん、樹脂状態ではないが、硬化により樹脂を形成し得る成分も含まれる。
【0125】
硬化性組成物は、上述した成分に追加で硬化性組成物において要求される任意の添加剤をさらに含むことができる。このような添加剤としては、例えば、硬化性樹脂の硬化を補助する硬化剤や、触媒又はラジカル開始剤や陽イオン開始剤などの開始剤、揺変性付与剤、レベリング剤、消泡剤、酸化防止剤、ラジカル生成物質、有無基顔料または染料、分散剤、熱伝導性フィラーや絶縁性フィラーなどの各種フィラー、機能性高分子又は光安定剤などが例示され得る。
【0126】
上述した特性を満たす磁性体は、優れた発熱特性を有するので、このように硬化性組成物に適用すると、前記硬化性組成物の硬化に多様な利点を提供することができる。例えば、上記の磁性体の適用を通じて、本出願の硬化性組成物は速い速度で硬化され得、また、狭い硬化空間内でも優れた充填率で硬化され得る。
【0127】
次に、前記磁性体の製造方法に対してより詳細に説明する。
【0128】
本発明者らは、特定方式を適用して磁性体を製造すると、上述した特性を示す磁性体をより高い収率、容易な方式などで収得できる点を確認して、本発明に至った。
【0129】
本出願の磁性体の製造方法は、特定原料を用いて磁性粒子が有する結晶を生成する第1段階;前記第1段階で生成された結晶をクラスト化する第2段階;及び前記クラスト化された結晶を有する原料を表面処理剤と混合する第3段階を少なくとも含む。本出願の方法は、少なくとも前記段階を上記の順序で進行する。
【0130】
第1段階では、磁性粒子の前駆体と極性溶媒を含む原料を加熱して結晶を生成させる。少なくとも磁性粒子の前駆体と極性溶媒を含む原料を加熱すると、前記磁性粒子を構成する結晶が形成される。具体的に、前記原料を加熱すると、前記極性溶媒が還元剤の役目をして前記磁性粒子の前駆体の加水分解及び凝縮反応を誘導することになり、その結果、前記磁性粒子の前駆体が非結晶性の固体を形成することになる。続けて加熱を持続すると、その非結晶性の固体が相変化を起こして結晶性を帯びることになる。
【0131】
磁性粒子の前駆体は、特定反応を通じて磁性粒子を形成し得る物質を意味することができる。磁性粒子の前駆体で磁性粒子を生成する反応は、少なくとも前記磁性粒子の前駆体と有機溶媒を含む原料の加熱により進行する。
【0132】
磁性粒子に対する説明は、上述した通りである。磁性粒子の前駆体は、前記前駆体の加水分解、脱水、還元及び相転移などを経て前記磁性粒子を形成し得る化合物であれば、制限なしに適用可能である。例えば、前記磁性粒子がFeOFe2O3である場合、前記磁性粒子の前駆体は、FeCl3、Fe(NO3)3、Fe(CO)5、Fe(NO3)2、Fe(SO4)3又はFe(AcAc)3{鉄(III)アセチルアセトネート}などであってもよい。
【0133】
磁性粒子の前駆体の含量も適切に調節され得る。例えば、前記原料で前記磁性粒子の前駆体の含量は、0.025M~0.125Mの範囲内であってもよい。前記含量は、他の例示で、0.03M以上、0.04M以上又は0.05M以上であってもよく、0.120M以下、0.115M以下又は0.1M以下であってもよい。
【0134】
原料に含まれる有機溶媒は、例えば、極性有機溶媒であってもよい。極性有機溶媒としては、磁性粒子の前駆体を適切なレベルで溶解させ得るものであれば、公知の極性溶媒を制限なしに適用可能である。
【0135】
極性有機溶媒は、前記磁性粒子の前駆体の還元剤として適用可能である。したがって、前記極性有機溶媒は、場合によって「還元性極性溶媒」とも呼ばれ得る。「極性溶媒」は、特定温度、例えば、25℃での誘電定数(dielectric constant)が約75~85の範囲内である溶媒を意味することができる。原料で磁性粒子の前駆体が円滑に溶解されるようにし、その磁性粒子の前駆体の磁性粒子への相転移(phase transition)、具体的に、磁性粒子の前駆体の還元反応のための還元剤として適用する観点では、前記有機溶媒としては、ポリオールを適用することが有利である。したがって、前記原料は、磁性粒子の前駆体とポリオールを含むことができる。ポリオールは、ヒドロキシ基(-OH)を2個以上有する化合物である。
【0136】
ポリオールとしては、エチレングリコール(ethylene glycol)、グリセリン(glycerine)、ブタンジオール(butanediol)及びトリメチロールプロパン(trimethylol propane)などの、いわゆる低分子量ポリオール;及びポリエチレングリコール(polyethylene glycol)及びメトキシポリエチレングリコール(methoxypolyethylene glycol)などの高分子量ポリオールなどを適用することができる。上記で低分子量ポリオールは、単分子型ポリオールを意味することができ、高分子量ポリオールは、高分子型ポリオールの中でも分子量(重量平均分子量)が2,000以下であるポリオールを意味することができる。
【0137】
原料は、有機溶媒(例えば、ポリオール)を主成分で含むことができる。すなわち、前記原料において前記有機溶媒の含量が、重量を基準として、50%以上、55%以上、60%以上、65%以上、70%以上、75%以上、80%以上、85%以上又は90%以上であり、約100%、99%以下、98%以下、97%以下、96%以下又は95%以下であってもよい。
【0138】
本出願の方法は、前記第1段階で生成された結晶をクラスト化する段階(第2段階)を含む。クラスト化は、前記結晶又は磁区(magnetic domain)が稠密に団結して(あるいは凝集して)一つの粒子単位を形成する単位を指称することができる。本出願の方法は、前記第1段階で磁性粒子の前駆体で磁性粒子の結晶を形成し、第2段階で結晶をクラスト化することで磁性粒子を形成する。
【0139】
結晶をクラスト化する方式は、特に制限されない。例えば、第1段階の結果物、すなわち、結晶が形成された原料を所定の温度で熱処理(又は加熱)することで前記結晶のクラスト化を進行することができる。熱処理結果によって、第1段階で形成された結晶がクラストを形成して磁性粒子を構成するようになる。第2段階の具体的過程は後述する。
【0140】
本出願の方法は、第1段階と第2段階を経た原料を表面処理剤と混合する段階(第3段階)を含む。表面処理剤としては、上述したものを全て適用することができる。第1段階と第2段階を経た原料を表面処理剤と混合すると、特定サイズの結晶を有し、その平均粒径と粒径の変動係数が特定範囲内である磁性粒子とその粒子の表面に導入された表面処理剤を含む磁性体が生成される。
【0141】
原料を表面処理剤と混合しないか、仮に混合してもその時点が前記第2段階以前、具体的に、第1段階あるいは前記第1段階で生成された結晶をクラスト化する過程で原料に表面処理剤を混合すると、上述した特性の磁性体が製造されない。この方式で製造した磁性体は、表面処理剤が導入されていないか、導入されても磁性粒子の表面ではない磁性粒子を構成する結晶の表面に導入された形態を有する。この磁性体は、本出願で目的とする発熱特性を発揮しない。
【0142】
一方、本出願の方法では、表面処理剤を混合する時点を具体的に特定する。これを通じて前述した特性を有する磁性体を製造することができる。すなわち、前記第3段階のように、磁性粒子の前駆体を通じて結晶を形成し、その結晶をクラスト化した後に、表面処理剤と混合すると、本出願で目的とする発熱特性を有する磁性体を製造することができる。
【0143】
以下では、本出願の各方法の各段階をより詳細に説明する。
【0144】
本出願の方法は、第1段階で磁性粒子の前駆体の磁性粒子への相転移反応、具体的に、還元反応を進行することができる。磁性粒子への反応は、磁性粒子の前駆体の加水分解、脱水及び還元過程などで進行される。したがって、前記第1段階で適用される原料には、前記磁性粒子の前駆体と極性溶媒外にも追加の物質が含まれ得る。
【0145】
第1段階では、磁性粒子の加水分解が進行され得る。したがって、磁性粒子の前駆体が結晶を形成する反応は、少なくとも水性溶媒の存在下で進行され得る。すなわち、前記第1段階に適用された原料は、水性溶媒をさらに含むことができる。
【0146】
水性溶媒としては、水又はその他極性溶媒を適用することができ、代表的には、水を例示することができる。
【0147】
水性溶媒の割合は、制限されない。例えば、前記原料は、前記水性溶媒を前記有機溶媒の体積に対して1体積%~30体積%の範囲内の含量で含むことができる。前記含量は、他の例示で、2体積%以上、3体積%以上、4体積%以上又は5体積%以上であってもよく、25体積%以下、20体積%以下又は15体積%以下であってもよい。
【0148】
磁性粒子の前駆体の磁性粒子への相転移、具体的に、還元反応は、磁性粒子の前駆体と塩基の反応を通じて進行され得る。したがって、前記原料は、磁性粒子の前駆体、有機溶媒及び水性溶媒に加えて塩基(塩基性化合物)をさらに含むことができる。
【0149】
本出願の方法で適用する塩基の種類は、特に制限されない。塩基としては、当業界で塩基性を示すものとして知られた化合物、すなわち、水溶液で水酸化イオン(-OH)を示すか、水素イオン(H+)を吸収し得る化合物であるか、又はpHが約7を超える化合物を制限なしに適用することができる。前記塩基は、例えば、酸化ナトリウム及び水酸化カリウムなどの強塩基性化合物;又は炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸セシウム、炭酸カルシウム、アンモニア水又は酢酸ナトリウムなどの弱塩基性化合物などを適用することができ、本出願の実施例では、前記塩基として酢酸ナトリウム(Sodium Acetate)を適用した。
【0150】
原料内での塩基の含量も非制限的である。前記原料は、塩基を0.4M~2.0Mの範囲内の含量で含むことができる。前記含量は、他の例示で、0.5M以上、0.6M以上又は0.7M以上であってもよく、1.9M以下、1.8M以下、1.7M以下、1.6M以下、1.5M以下、1.4M以下、1.3M以下、1.2M以下又は1.1M以下であってもよい。
【0151】
本出願の方法は、前記段階、具体的に、磁性結晶を形成する段階、その結晶をクラスト化する段階及び磁性粒子の表面処理段階のそれぞれとして代表化される前記第1~第3段階それぞれを特定範囲内の温度で特定範囲の時間の間進行することができる。
【0152】
本出願の方法は、前記第1段階を50℃~90℃の範囲内の温度で進行することができる。すなわち、前記第1段階は、前記原料を前記範囲内の温度で加熱しながら進行することができる。前記温度範囲内で前記磁性粒子を構成する結晶が適切に形成され得る。前記第1段階の温度条件は、他の例示で、55℃以上、60℃以上、65℃以上又は70℃以上であってもよく、85℃以下、80℃以下、75℃以下又は70℃以下であってもよい。
【0153】
本出願の方法は、第1段階を少なくとも二つの過程を経て進行することができる。例えば、前記第1段階は、(1-a)前記原料を50℃~90℃の範囲内の温度まで昇温する過程及び(1-b)前記昇温された原料の温度を30分~120分の範囲内の時間の間維持する過程を含む方式を通じて進行することができる。すなわち、原料を加熱して磁性粒子の前駆体で結晶を形成するとき、特定温度に加熱された状態の原料をその温度で適切な時間の間維持すると、磁区(あるいは結晶)が一層円滑に形成され得る。
【0154】
前記(1-a)過程での原料の昇温温度は、他の例示で、55℃以上、60℃以上、65℃以上又は70℃以上であってもよく、85℃以下、80℃以下、75℃以下又は70℃以下であってもよい。
【0155】
前記(1-b)過程での昇温された原料の温度を維持する時間は、35分以上、40分以上、45分以上、50分以上、55分以上又は60分以上であってもよく、110分以下、100分以下、90分以下、80分以下、70分以下又は60分以下であってもよい。
【0156】
前記(1-a)過程で原料を昇温するための昇温速度も適切に調節され得る。例えば、本出願の方法は、前記第1段階で、前記(1-a)過程を0.5℃/min~2℃/minの範囲内の昇温速度で進行することができる。
【0157】
本出願の方法は、前記第2段階、具体的に、前記第1段階で生成された結晶をクラスト化する段階も特定範囲内の温度で進行することができる。例えば、本出願の方法は、前記第2段階を170℃~210℃の範囲内の温度で進行することができる。前記温度範囲内で上述したサイズの磁区を有するとともに、上述した平均及び変動係数を満たす粒径を有する磁性粒子を適切に形成することができる。前記第2段階の温度条件は、他の例示で、175℃以上、180℃以上、185℃以上又は190℃以上であってもよく、205℃以下、200℃以下、195℃以下又は190℃以下であってもよい。
【0158】
本出願の方法は、前記第2段階も前記第1段階のように少なくとも二つの過程を経て進行することができる。
【0159】
例えば、前記第2段階は、(2-a)前記原料を170℃~210℃の範囲内の温度まで昇温する過程及び(2-b)前記昇温された原料の温度を12時間~80時間の範囲内の時間の間維持する過程を含む方式を通じて進行することができる。すなわち、結晶をクラスト化する過程で、特定温度に加熱された状態の原料をその温度で適切な時間の間維持すると、結晶のクラスト化を一層円滑に進行することができる。
【0160】
前記(2-a)過程での昇温温度は、他の例示で、175℃以上、180℃以上、185℃以上又は190℃以上であってもよく、205℃以下、200℃以下、195℃以下又は190℃以下であってもよい。
【0161】
前記(2-b)過程での昇温された原料の温度を維持する時間は、他の例示で、16時間以上、20時間以上又は24時間以上であってもよく、64時間以下、48時間以下、32時間以下又は24時間以下であってもよい。
【0162】
前記(2-a)過程で原料を昇温するための昇温速度も適切に調節され得る。例えば、本出願の方法は、前記第2段階で、前記(2-a)過程を1.5℃/min~5℃/minの範囲内の昇温速度で進行することができる。
【0163】
本出願の方法は、前記第3段階、具体的に、結晶のクラストを表面処理剤と混合する段階も特定温度範囲内で進行することができる。本出願の方法は、第3段階を50℃~90℃の範囲内の温度で進行することができる。前記温度範囲内で磁性粒子と表面処理剤の相互作用が円滑に行われ得る。前記温度は、他の例示で、55℃以上、60℃以上、65℃以上又は70℃以上であってもよく、85℃以下、80℃以下、75℃以下又は70℃以下であってもよい。
【0164】
表面処理剤としては、例えば、粉末形態の表面処理剤を適用することができる。この場合、表面処理剤を水などの溶媒に溶解させて溶液形態で適用することができるが、粉末形態の表面処理剤が円滑に作用し、反応の安定性を確保する観点で、磁性粒子と混合する前記第3段階を上述した温度範囲内で進行することができる。
【0165】
本出願の方法は、前記第3段階も前記第1段階及び第2段階のように一層詳細な過程で進行することができる。具体的に、本出願の方法は、前記第3段階を少なくとも、前記第2段階を経た原料と表面処理剤を混合し、表面処理剤と混合された原料を特定範囲内の温度まで冷却し、冷却された原料をその温度で特定時間の間維持する過程で進行することができる。すなわち、本出願の方法で、前記第3段階は、(3-a)前記第2段階を経た原料を前記表面処理剤と混合する過程、(3-b)前記表面処理剤と混合された原料を50℃~90℃の範囲内の温度まで冷却する過程及び(3-c)前記冷却された原料を30分~120分の範囲内の時間の間維持する過程を含むことができる。
【0166】
前記(3-a)過程で適用する表面処理剤の種類、適用量などは、特に制限されない。表面処理剤としては、上述した種類の表面処理剤を適用することができる。本出願の方法は、前記(3-a)過程で表面処理剤を前記磁性粒子の前駆体100重量部に対して0.01重量部~30重量部の範囲内の含量で混合することができる。前記表面処理剤の含量は、他の例示で、0.1重量部以上、1重量部以上、2重量部以上、3重量部以上又は4重量部以上であってもよく、27重量部以下、25重量部以下、23重量部以下、21重量部以下又は20重量部以下であってもよい。本出願の方法では、表面処理剤を磁性結晶をクラスト化した以後に添加し、表面処理剤は既に形成された磁性粒子(結晶のクラスト)の平均粒径などのサイズには影響を及ぼさないので、前記表面処理剤の含量が適正値を超過しても磁性粒子のサイズなどの要素には影響を及ぼさない。
【0167】
前記第2段階で結晶をクラスト化するための温度が第3段階で表面処理剤を混合する温度より高いので、前記第3段階では、通常、冷却過程が進行され得る。例えば、前記(3-b)過程での冷却温度は、50℃~90℃の範囲内であってもよい。前記温度は、他の例示で、55℃以上、60℃以上、65℃以上又は70℃以上であってもよく、85℃以下、80℃以下、75℃以下又は70℃以下であってもよい。
【0168】
前記(3-b)過程で原料の温度を減少させるための減温速度も適切に調節され得る。例えば、本出願の方法は、前記第3段階で、前記(3-b)過程を1.5℃/min~5℃/minの範囲内の減温速度で進行することができる。
【0169】
本出願の方法によって製造される磁性体は、上述したように、追加の表面処理剤、例えば、上述した2次表面処理剤をさらに含むことができる。したがって、本出願の方法は、前記第3段階後に2次表面処理剤により2次表面処理する段階をさらに含むことができる。2次表面処理剤としては、前記磁性体に対する説明で言及した2次表面処理剤をそのまま適用することができる。
【0170】
具体的に、本出願の方法は、前記第3段階で表面処理された前記磁性粒子と、前記表面処理剤制と結合し得る2次表面処理剤と混合する段階(第4段階)をさらに含むことができる。例えば、前記第3段階で表面処理された磁性粒子と2次表面処理剤を混合した後、適切な温度で適切な時間の間反応させると、2次表面処理剤により追加表面処理された磁性体を製造することができる。
【0171】
2次表面処理剤の適用量も非制限的である。本出願の方法は、前記第4段階で、前記2次表面処理剤を前記磁性粒子の前駆体100重量部に対して0.01重量部~30重量部の範囲内の含量で混合することができる、前記2次表面処理剤の適用量は、他の例示で、約0.5重量部以上、1重量部以上、1.5重量部以上、2重量部以上、2.5重量部以上、3重量部以上、3.5重量部以上、4重量部以上、4.5重量部以上又は5重量部以上であるか、約25重量部以下、20重量部以下、15重量部以下、約13重量部以下、約12重量部以下又は10重量部以下程度であってもよい。
【0172】
本出願の方法は、前記内容外にもその他磁性体の合成又は製造に必要な公知の過程を進行することができる。例えば、合成が完了した反応生成物が入っている原料から必要な成分(磁性体)のみを濾過又は抽出する過程などが本出願の方法で進行され得る。
【0173】
本出願の方法は、上述した方式を通じて固有の粒子特性(磁区及び/又は結晶のサイズ、磁性粒子の粒径の平均と変動係数など)を満たす磁性体を製造することができる。また、本出願の方法によって製造された磁性体は、上述した保磁力などの特性と、比表面積を有するので、特定電磁気場が印加されたときに優れた発熱特性を有し得る利点がある。
【発明の効果】
【0174】
本出願の磁性体は、優れた発熱量を有すると同時にその発熱量が均一に維持され得る。
【0175】
本出願の磁性体は、前記発熱量特性が自由に調節され得る。
【0176】
本出願の硬化性組成物は、前記特性を全て満たす磁性体を用いて容易に硬化可能である。
【0177】
本出願の方法は、前記特性を全て満たす磁性体を簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0178】
【
図3】実施例1の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図4】実施例2の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図5】比較例1の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図6】比較例2の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【
図7】充填率の測定に用いられたステータの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0179】
以下、実施例を通じて本出願を詳細に説明する。しかし、本発明の保護範囲が下記説明された実施例によって制限されるものではない。
【0180】
1.結晶サイズの測定
【0181】
下記方法によって実施例及び比較例で合成した磁性体内の磁性粒子の結晶サイズを測定した。
【0182】
(1)Brucker社のXRD-07-D8_Endeavor装備を用いて前記装備のマニュアルによって前記磁性体の10度~90度の2Θ回折角度区間での信号強さ(intensity)を測定する。
【0183】
(2)60.824度~94.957度の範囲内、具体的に、62.57度の2Θ範囲内での測定結果を下記数式3に代入して結晶のサイズを測定する。このとき、該当ピークでの半値幅は、約4.133度(=0.0721ラジアン)であった。
【0184】
[数式3]
τ=(K×λ)/(β×cos(θ))
【0185】
数式3で、τは、結晶のサイズであり、Kは、Scherrer定数として0.94であり、λは、印加されたX線の波長(単位:nm)であり、βは、62.57度ピークの半値幅として約0.0721ラジアンであり、θは、ブラッグ(Bragg)回折角度である。
【0186】
2.磁性粒子の平均粒径及び形状の分析
【0187】
次の順序によって磁性粒子の平均粒径と形状の分析などを進行した。
【0188】
(1)磁性体を白金(Pt)基材上にコーティング機(Sputter Coater 108、Cressington社)を用い、Autoモードで、約60~90秒間コーティングし、SEM撮影用試験片を製造する。
【0189】
(2)前記試験片の写真をSEM(FESEM、JSM7610F、JEOL社)を用いて撮影する。
【0190】
(3)前記試験片のSEM写真を通じて磁性体で磁性粒子のクラスト化の有無、粒径特性、変動係数などを評価する。
【0191】
3.磁性体の発熱量の測定
【0192】
磁性体の発熱効率(SAR値)は、次の過程によって測定した。
【0193】
(1)水10gに磁性体0.5g(ただし、表面処理剤の適用量を除いた量)を分散させた溶液(磁性流体)を製造する。
【0194】
(2)前記溶液0.35mLに、市販の磁場印加装置を用いて294Kの温度で、120.4A及び310kHzの電流及び周波数条件の交流磁場を約60秒間印加した後、前記溶液の温度を測定する。
【0195】
(3)前記(2)過程の結果を下記数式2に代入して下記数式2のSAR値を計算する:
【0196】
[数式2]
SAR=CiXmX△T/△t
【0197】
前記数式2で、SARは、前記磁性体を水に溶解させた磁性流体の発熱量を意味し、Ciは、前記磁性流体の溶媒である水の比熱として4.184J(gXK)であり、mは、前記磁性流体の溶媒である水の重量(mi、単位:g)と前記磁性体の重量(ma、単位:g)の割合(mi/ma)であり、△Tは、294Kの温度で前記磁性流体0.35mLに120.4Aの電流310kHzの条件で60秒間交流磁場を印加したときの前記磁性流体の温度増加量(単位:K)であり、△tは、前記磁性流体に前記条件の交流磁場を印加した時間として60秒である。
【0198】
4.硬化性組成物の硬化性能
【0199】
硬化性組成物の硬化性能は、次の順序によって評価した。
【0200】
(1)硬化性組成物を1mL容量の容器に注入する。
【0201】
(2)前記容器に市販のソレノイドコイル(巻線直径:3cm、巻線数:3回)を用いて150Aの電流と310kHz周波数条件の電磁気場を60秒間印加する。
【0202】
(3)組成物の硬化有無は肉眼で確認する。
【0203】
(4)組成物を硬化して形成した硬化物の相対硬化度は、前記硬化物に対するDSC(differential scanning calorimetry)で測定した残留エンタルピーで評価する。DSC装備としては、DSC3+(Mettler-Toledo社)を用いる。
【0204】
5.充填率の測定
【0205】
硬化性組成物の硬化性能のうち充填率は、次の順序によって評価した。
【0206】
(1)
図7に示した形状を有するシリンダー形状のステータを準備する。具体的に、開口部の横長さが5mm、縦長さが20mm程度である長方形のスロットがステータに放射性に形成されている。
【0207】
(2)ステータのスロットに巻線(直径4.5mm程度である円形断面を有する銅線)を一スロット当たり5個ずつ導入する。
【0208】
(3)前記スロットの内部に硬化性組成物を注入し、そのステータを適当に傾けながら前記スロット内部に硬化性組成物を充填させる。
【0209】
(4)スロットを硬化性組成物で充填したステータに市販のソレノイドコイル(巻線直径:3cm、巻線数:3回)を用いて150Aの電流と310kHz周波数条件の電磁気場を60秒間印加する。
【0210】
(5)ステータを長手方向の垂直方向に切断し、その切断面の硬化物が存在する部分をUVランプを用いて確認する。これを通じて硬化物の充填率を算出する。
【0211】
6.ボンディング強度(Bonding Strength)の測定
【0212】
ボンディング強度は、次の順序によって測定した。
【0213】
(1)前記充填率の測定で記載したものと同一の方式で硬化性組成物を硬化する。
【0214】
(2)巻線の一部にPush & Pull Gauge装備を連結した後、前記装備を用いて前記巻線を引っ張った後、前記巻線が切れるときの力を測定する。
【0215】
7.圧縮強度の測定
【0216】
圧縮強度は、次の方式で測定した。
【0217】
(1)前記充填率の測定で記載したものと同一の方式で硬化性組成物を硬化する。
【0218】
(2)硬化物が形成されたステータを万能試験機(UTM、Ultimate Testing Machine)を用いて圧縮した後、これに対してASTM D 695基準によって圧縮強度を評価する。
【0219】
実施例1.磁性体
【0220】
下記過程によって磁性体を製造した。
【0221】
(1)磁性粒子の前駆体(Iron(III) chloride hexahydrate)0.17モル、水性溶媒(蒸溜水)160mL、塩基(sodium acetate)1.80モルを有機溶媒(ethylene glycol)1500mLと混合して原料を製造する。
【0222】
(2)23℃で前記原料をその温度が70℃になるまで約0.8℃/minの昇温速度で加熱する。
【0223】
(3)前記(2)段階の結果物を約70℃の温度で約1時間の間維持する。
【0224】
(4)その後、70℃の温度で前記原料をその温度が190℃になるまで約2℃/minの昇温速度で加熱する。
【0225】
(5)前記(4)段階の結果物を約190℃の温度で約24時間の間維持する。
【0226】
(6)前記(5)段階の結果物と表面処理剤(重量平均分子量が約5,100であるポリアクリル酸、シグマアルドリッチ社)を混合する。このとき、表面処理剤は、前記磁性粒子の前駆体100重量部に対して約4.8重量部で混合する。
【0227】
(7)前記(6)段階の結果物を、190℃でその温度が70℃になるまで約3℃/minの減温速度で冷却する。
【0228】
(8)前記(7)段階の結果物を約70℃の温度で約2時間の間維持する。
【0229】
(9)前記(8)段階の結果物を70℃でその温度が約23℃になるまで約1℃/minの減温速度で冷却し、その原料を適切に濾過して磁性体を得る。
【0230】
実施例2~5.磁性体
【0231】
下記表1のように原料の組成を調節したこと以外は、実施例1と同一の方法で磁性体を製造した。
【0232】
【0233】
比較例1.磁性体
【0234】
下記過程によって磁性体を製造した。
【0235】
(1)磁性粒子の前駆体(Iron(III) chloride hexahydrate)0.08モル、水性溶媒(蒸溜水)80mL、塩基(sodium acetate)1.22モル及び表面処理剤(重量平均分子量が約5,100であるポリアクリル酸、シグマアルドリッチ社)3.5gを有機溶媒(ethylene glycol)1520mLと混合して原料を製造する。
【0236】
(2)23℃で前記原料をその温度が70℃になるまで約0.8℃/minの昇温速度で加熱する。
【0237】
(3)前記(2)段階の結果物を約70℃の温度で約1時間の間維持する。
【0238】
(4)その後、70℃の温度で前記原料をその温度が190℃になるまで約2℃/minの昇温速度で加熱する。
【0239】
(5)前記(4)段階の結果物を約190℃の温度で約24時間の間維持する。
【0240】
(6)前記(5)段階の結果物を、190℃でその温度が70℃になるまで約3℃/minの減温速度で冷却する。
【0241】
(7)前記(6)段階の結果物を約70℃の温度で約2時間の間維持する。
【0242】
(8)前記(7)段階の結果物を70℃でその温度が約23℃になるまで約1℃/minの減温速度で冷却し、その原料を適切に濾過して磁性体を得る。
【0243】
比較例2~6.磁性体
【0244】
下記表2のように原料の組成を調節したこと以外は、比較例1と同一の方法で磁性体を製造した。
【0245】
【0246】
実施例1~5の磁性体と比較例1~6の表面処理剤の投入時点と種類、そしてそれぞれの磁性体特性を評価した事項を下記表3及び表4に整理した。
【0247】
【0248】
【0249】
実施例2及び比較例2の磁性体のXRD分析結果をそれぞれ
図1及び
図2に示した。
図1と
図2によると、実施例2及び比較例2の磁性体は、全て約62.57度の2Θ値で、半値幅が0.0721ラジアンであるピークを示すことが確認できる。該当ピークは、Fe
3O
4(440)結晶面を示す。したがって、実施例2及び比較例2の磁性粒子は全てFe
3O
4を含むことを意味する。前記数値3によって測定した磁性体内の磁区のサイズは、実施例2の場合、28.2nm程度であり、比較例2の場合、10.5nm程度であった。
【0250】
実施例1及び2の磁性体に対して撮影したSEM写真を
図3及び
図4にそれぞれ示し、比較例1及び比較例2の磁性体に対して撮影したSEM写真を
図5及び
図6にそれぞれ示した。
図3~
図6を通じて、実施例の磁性体内の磁性粒子は、SEM写真を確認したとき、比較例の磁性体に比べて一層滑らかな表面を有することが分かる。これを通じて、実施例1及び2の磁性体内の磁性粒子は、結晶がクラスト化された形態を有し、各磁性粒子が表面処理剤により表面処理されており、各磁性粒子の平均粒径が100nm及び85nmであるマルチドメイン型である点が確認できる。しかし、比較例1及び2の磁性体の磁性粒子では、表面処理剤が結晶の表面に導入されて実施例に比べて比較的小さい結晶サイズを有するので、比較的粗い表面を有することが確認できる。すなわち、SEM写真分析を通じて、本出願の磁性体で磁性粒子は、本出願で規定する結晶サイズと平均粒径を有し、その磁性粒子が表面処理剤により表面処理されていることが分かる。
【0251】
また、表3及び表4の結果を通じて、実施例の磁性体が優れた発熱特性(高いSAR値)を有することが分かる。
【0252】
実施例6.硬化性組成物
【0253】
液状のエポキシ樹脂(国都化学社のKSR-177製品とAKEMA社のEH4357を97:3の重量割合で混合した混合物)95重量部に、実施例1の磁性体5重量部を分散させて硬化性組成物を製造した。
【0254】
実施例7.硬化性組成物
【0255】
実施例1の磁性体の代わりに実施例2の磁性体を適用したこと以外は、実施例6と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0256】
実施例8.硬化性組成物
【0257】
実施例1の磁性体の代わりに実施例3の磁性体を適用したこと以外は、実施例6と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0258】
実施例9.硬化性組成物
【0259】
実施例1の磁性体の代わりに実施例4の磁性体を適用したこと以外は、実施例6と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0260】
実施例10.硬化性組成物
【0261】
実施例1の磁性体の代わりに実施例5の磁性体を適用したこと以外は、実施例6と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0262】
実施例11.硬化性組成物
【0263】
不飽和ポリエステルイミド樹脂(Voltatex 4200、Axalta社)95重量部に、実施例2の磁性体5重量部を分散させて硬化性組成物を製造した。
【0264】
実施例12.硬化性組成物
【0265】
実施例2の磁性体の代わりに実施例4の磁性体を適用したこと以外は、実施例11と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0266】
比較例7.硬化性組成物
【0267】
液状のエポキシ樹脂(国都化学社のKSR-177製品とAKEMA社のEH4357を97:3の重量割合で混合した混合物)95重量部に、比較例1の磁性体5重量部を分散させて硬化性組成物を製造した。
【0268】
比較例8.硬化性組成物
【0269】
比較例1の磁性体の代わりに比較例2の磁性体を適用したこと以外は、比較例7と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0270】
比較例9.硬化性組成物
【0271】
比較例1の磁性体の代わりに比較例3の磁性体を適用したこと以外は、比較例7と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0272】
比較例10.硬化性組成物
【0273】
比較例1の磁性体の代わりに比較例4の磁性体を適用したこと以外は、比較例7と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0274】
比較例11.硬化性組成物
【0275】
比較例1の磁性体の代わりに比較例5の磁性体を適用したこと以外は、比較例7と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0276】
比較例12.硬化性組成物
【0277】
比較例1の磁性体の代わりに比較例6の磁性体を適用したこと以外は、比較例7と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0278】
比較例13.樹脂硬化体
【0279】
磁性体を適用しないこと以外は、比較例7と同一の方式で硬化性組成物を製造し、これをオーブン硬化して樹脂硬化体を得た。
【0280】
比較例14.硬化性組成物
【0281】
不飽和ポリエステルイミド樹脂(Voltatex 4200、Axalta社)95重量部に、比較例2の磁性体5重量部を分散させて硬化性組成物を製造した。
【0282】
比較例15.硬化性組成物
【0283】
比較例2の磁性体の代わりに比較例4の磁性体を適用したこと以外は、比較例13と同一の方式で硬化性組成物を製造した。
【0284】
実施例6~12及び比較例7~15の硬化性組成物の組成及びその硬化特性を評価した事項を整理して下記表5及び表6に記載した。表5及び表6においてブランクで記載したことは、十分に硬化されず該当評価方式で評価を受けなかったことを意味する。
【0285】
【0286】
【国際調査報告】