(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-18
(54)【発明の名称】半導体チップの分離装置およびそれを用いた半導体チップの分離方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20230111BHJP
H01L 21/52 20060101ALI20230111BHJP
H01L 21/67 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H01L21/78 Y
H01L21/52 F
H01L21/68 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022528275
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-05-16
(86)【国際出願番号】 KR2021001495
(87)【国際公開番号】W WO2021158042
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0014526
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ウン・ブム・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ヒョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ジュ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ハク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユン・スン・ジャン
【テーマコード(参考)】
5F047
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F047AA11
5F047AA17
5F047BA21
5F047BB03
5F047BB19
5F047FA04
5F047FA08
5F063AA33
5F063DD87
5F063EE17
5F131AA04
5F131BA54
5F131DA03
5F131DB22
(57)【要約】
本発明の一実施例は、接着部材を介在してベース部材上に配置された半導体チップを前記ベース部材から分離する装置および方法であって、前記ベース部材の前記半導体チップが配置された側の反対側にプッシュ部材を提供して、前記半導体チップに隣接する方向に移動させるステップと、ピックアップユニットを介して、前記プッシュ部材とともに移動した前記半導体チップを前記ベース部材から分離させるステップと、を含み、前記接着部材と前記プッシュ部材は、それぞれ互いに斥力が作用するように磁化されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着部材を介在してベース部材上に配置された半導体チップを前記ベース部材から分離する方法であって、
前記ベース部材の前記半導体チップが配置された側の反対側にプッシュ部材を提供して、前記半導体チップに隣接する方向に移動させるステップと、
ピックアップユニットを介して、前記プッシュ部材とともに移動した前記半導体チップを前記ベース部材から分離させるステップと、を含み、
前記接着部材と前記プッシュ部材は、それぞれ互いに斥力が作用するように磁化されている、半導体チップの分離方法。
【請求項2】
前記接着部材および前記プッシュ部材は、厚さ方向に磁化されている、請求項1に記載の半導体チップの分離方法。
【請求項3】
前記プッシュ部材の上面は、前記半導体チップの下面の大きさより小さいものである、請求項1または2に記載の半導体チップの分離方法。
【請求項4】
前記接着部材は、ダイアタッチフィルム(DAF)である、請求項1に記載の半導体チップの分離方法。
【請求項5】
前記ダイアタッチフィルムは、
高分子を含む液状混合物に磁性体物質を提供し、前記磁性体物質が予め定めた方向に整列できるように磁化させた後、前記液状混合物を乾燥させることにより製造されたものである、請求項4に記載の半導体チップの分離方法。
【請求項6】
前記ピックアップユニットは、内部に真空を形成して前記半導体チップを吸着するものである、請求項1に記載の半導体チップの分離方法。
【請求項7】
接着部材を介在してベース部材上に配置された半導体チップを前記ベース部材から分離する半導体チップの分離装置において、
前記ベース部材から半導体チップに隣接する方向に移動することにより、前記半導体チップを移動させるプッシュ部材と、
前記プッシュ部材とともに移動した前記半導体チップをピックアップして、前記ベース部材から前記半導体チップを分離するピックアップユニットと、を含み、
前記接着部材と前記プッシュ部材は、それぞれ互いに斥力が作用するように磁化され、
前記プッシュ部材は、前記ベース部材の前記半導体チップが配置された側の反対側に提供される、半導体チップの分離装置。
【請求項8】
前記接着部材および前記プッシュ部材は、厚さ方向に磁化されているものである、請求項7に記載の半導体チップの分離装置。
【請求項9】
前記プッシュ部材の上面は、前記半導体チップの下面の大きさより小さいものである、請求項7または8に記載の半導体チップの分離装置。
【請求項10】
前記接着部材は、ダイアタッチフィルム(DAF)である、請求項7に記載の半導体チップの分離装置。
【請求項11】
前記ダイアタッチフィルムは、
高分子を含む液状混合物に磁性体物質を提供し、前記磁性体物質が予め定めた方向に整列できるように磁化させた後、前記液状混合物を乾燥させることにより製造されたものである、請求項10に記載の半導体チップの分離装置。
【請求項12】
前記ピックアップユニットは、内部に真空を形成して前記半導体チップを吸着するものである、請求項7に記載の半導体チップの分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2020年2月6日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0014526号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本発明に組み込まれる。本発明は、半導体チップの分離装置およびそれを用いた半導体チップの分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、半導体製造工程において、ウエハ上に一体にくっついている複数の半導体チップをチップレベルで切断する工程をソーイング(Sawing)工程といい、前記ソーイング工程のために、ウエハの下面には、切断される半導体チップを固定させるベース部材、いわゆるダイシングテープ(Dicing Tape)が付着する。
【0003】
前記ソーイング工程によりチップレベルで分離された各半導体チップは半導体チップアタッチ(Die attach)工程に投入され、前記半導体チップアタッチ工程では、ピックアップユニットなどを用いて各半導体チップを前記ベース部材から分離およびピックアップして、基板およびリードフレームのような電気的連結手段に搬送する。
【0004】
一方、最近のトレンドにより、半導体チップの大きさは次第に小さくなり、厚さも薄くなっている。また、このようなトレンドにより、半導体チップとベース部材との間に介在するDAF(Die Attach Flim)の厚さも薄くなっている。
【0005】
このように半導体チップおよびDAFのスケール変化により、半導体チップの分離およびピックアップ工程でクラックの発生および半導体チップのピックアップミス(miss)の発生頻度が高くなっているのが現状であり、これは歩留まりが低下する結果をもたらす。
【0006】
従来は、ピックアップ対象物体のピックアップ性を向上させるために、複数のエジェクタ(Ejector)で押し上げる方式、すなわちピックアップ対象物体の下端からエジェクタで押し上げると同時に、前記ピックアップ対象物体の上端でピックアップユニットが真空で前記押し上げられたピックアップ対象物体を固定してピックアップを行っていたが、エジェクタを用いる場合、ピックアップ対象物体に局所的に力が加わる問題点があり、これによって厚さの薄いピックアップ対象物体が割れる問題が発生した。
【0007】
上述した背景技術は、発明者が本発明の実施例の導出のために保有していたり、導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本発明の実施例の出願の前に一般の公衆に公開された公知技術であるとは限らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであって、接着部材を介在してベース部材上に配置された半導体チップをベース部材から容易に分離する装置および方法を提供しようとする。
ただし、本発明が解決しようとする課題は上記に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施例は、接着部材を介在してベース部材上に配置された半導体チップを前記ベース部材から分離する方法であって、前記ベース部材の前記半導体チップが配置された側の反対側にプッシュ部材を提供して、前記半導体チップに隣接する方向に移動させるステップと、ピックアップユニットを介して、前記プッシュ部材とともに移動した前記半導体チップを前記ベース部材から分離させるステップと、を含み、前記接着部材と前記プッシュ部材は、それぞれ互いに斥力が作用するように磁化されている、半導体チップの分離方法を提供する。
【0010】
本発明の一実施例によれば、前記接着部材および前記プッシュ部材は、厚さ方向に磁化されているものであってもよい。
【0011】
本発明の一実施例によれば、前記プッシュ部材の上面は、前記半導体チップの下面の大きさより小さいものであってもよい。
【0012】
本発明の一実施例によれば、前記接着部材は、ダイアタッチフィルム(DAF)であってもよい。
【0013】
本発明の一実施例によれば、前記ダイアタッチフィルムは、高分子を含む液状混合物に磁性体物質を提供し、前記磁性体物質が予め定めた方向に整列できるように磁化させた後、前記液状混合物を乾燥させることにより製造されたものであってもよい。
【0014】
本発明の一実施例によれば、前記ピックアップユニットは、内部に真空を形成して前記半導体チップを吸着するものであってもよい。
【0015】
本発明の一実施例は、接着部材を介在してベース部材上に配置された半導体チップを前記ベース部材から分離する半導体チップの分離装置において、前記ベース部材から半導体チップに隣接する方向に移動することにより、前記半導体チップを移動させるプッシュ部材と、前記プッシュ部材とともに移動した前記半導体チップをピックアップして、前記ベース部材から前記半導体チップを分離するピックアップユニットと、を含み、前記接着部材と前記プッシュ部材は、それぞれ互いに斥力が作用するように磁化され、前記プッシュ部材は、前記ベース部材の前記半導体チップが配置された側の反対側に提供される、半導体チップの分離装置を提供する。
【0016】
本発明の一実施例によれば、前記接着部材および前記プッシュ部材は、厚さ方向に磁化されているものであってもよい。
【0017】
本発明の一実施例によれば、前記プッシュ部材の上面は、前記半導体チップの下面の大きさより小さいものであってもよい。
【0018】
本発明の一実施例によれば、前記接着部材は、ダイアタッチフィルム(DAF)であってもよい。
【0019】
本発明の一実施例によれば、前記ダイアタッチフィルムは、高分子を含む液状混合物に磁性体物質を提供し、前記磁性体物質が予め定めた方向に整列できるように磁化させた後、前記液状混合物を乾燥させることにより製造されたものであってもよい。
【0020】
本発明の一実施例によれば、前記ピックアップユニットは、内部に真空を形成して前記半導体チップを吸着するものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の実施例による半導体チップの分離装置およびそれを用いた半導体チップの分離方法は、分離およびピックアップしようとする特定の半導体チップの周辺にある他の半導体チップに影響を与えずに特定の半導体のみをベース部材から容易に分離およびピックアップ可能にする。
本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、言及されていない効果は本願明細書および添付した図面から当業者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施例により接着部材を介在してベース部材上に配置された半導体チップの構造を簡略に示す図である。
【
図2】本発明の一実施例によりプッシュ部材およびピックアップユニットによって半導体チップを分離する工程を簡略に示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による半導体チップの分離方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、添付した図面とともに詳細に後述する実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は以下に開示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現され、単に本実施例は本発明の開示が完全になるようにし、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によってのみ定義される。一方、本明細書で使われた用語は実施例を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、文言で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使われる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作および/または素子は、1つ以上の他の構成要素、段階、動作および/または素子の存在または追加を排除しない。第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するのに使われるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の一実施例により接着部材を介在してベース部材上に配置された半導体チップの構造を簡略に示す図であり、
図2は、本発明の一実施例によりプッシュ部材およびピックアップユニットによって半導体チップを分離する工程を簡略に示す図である。
【0025】
図1および2を参照すれば、本発明の一実施例は、接着部材2を介在してベース部材1上に配置された半導体チップ3をベース部材1から分離する方法に関する。
図1および
図2には、半導体チップ3がウエハ上に一体にくっついている複数の半導体チップがソーイング工程によりチップレベルで切断されている状態で示されている。
【0026】
ウエハの下面には、ソーイング工程の前に、切断される半導体チップを固定させるベース部材1、いわゆるダイシングテープ(Dicing Tape)が予め付着しており、これによって、ソーイング工程後にも、
図1および2に示されるように、半導体チップ3は、ベース部材1上に接着部材2を介在して付着している。
接着部材2は、接着テープ、例えば、ダイアタッチフィルム(DAF;Die Attach Film)からなる。
【0027】
一方、
図3は、本発明の一実施例による半導体チップの分離方法のフローチャートである。
図3を参照すれば、本発明の一実施例による半導体チップの分離方法は、ベース部材1の半導体チップが配置された側1aの反対側1bにプッシュ部材4を提供して、半導体チップ3に隣接する方向に移動させるステップS11と、ピックアップユニット5を介して、プッシュ部材4とともに移動した半導体チップ3をベース部材1から分離させるステップS13と、を含む。
【0028】
本発明の一実施例によれば、接着部材2とプッシュ部材4は、それぞれ互いに斥力が作用するように磁化されている。
具体的には、接着部材2とプッシュ部材4は、厚さ方向に磁化されている。例えば、
図1および2に示されるように、接着部材2は、厚さ方向を基準として、上側がN極、下側がS極となるように磁化され、プッシュ部材4は、接着部材2に対して斥力が作用するように、厚さ方向を基準として、上側がS極、下側がN極となるように磁化されている。これとは逆に、接着部材2は、厚さ方向を基準として、上側がS極、下側がN極となるように磁化され、プッシュ部材4は、接着部材2に対して斥力が作用するように、厚さ方向を基準として、上側がN極、下側がS極となるように磁化されていてもよい。
【0029】
本発明の一実施例によれば、前記プッシュ部材4は、電磁石を用いて前記接着部材2が磁化された方向の反対方向に磁場を発生させることにより、目的とする方向である厚さ方向に磁化させることができる。具体的には、前記プッシュ部材の厚さ方向にコイルが巻かれた部材である電磁石を具備し、前記電磁石に電流を印加して電磁誘導原理によって磁場を発生させる。前記予め定められた接着部材の磁化方向と斥力が発生するように前記電流の方向を調節することにより、前記プッシュ部材と前記接着部材との間の斥力でベース部材から分離させることができる。さらに、前記プッシュ部材自体を磁化させて前記接着部材と斥力を発生させることができ、前記プッシュ部材を導電性材質で使用し、電磁石と連結して電流を印加する間に磁場を発生させて前記接着部材と斥力を発生させることができる。上述した方法で前記プッシュ部材を磁化させることにより、容易にベース部材から半導体チップを分離させることができる。
【0030】
これにより、プッシュ部材4を半導体チップ3に隣接する方向に移動させる場合、斥力によって、接着部材2は、半導体チップ3とともにプッシュ部材4と離隔する方向に移動して、ベース部材1から半導体チップ3の分離が容易に行われるようにする。
【0031】
本発明の一実施例によれば、プッシュ部材4の上面4aは、半導体チップ3の下面3aより小さいことが好ましい。プッシュ部材4と接着部材2との間の斥力が周辺に配置された接着部材2に影響を与えることを低減するためである。
【0032】
本発明の実施例によれば、ダイアタッチフィルム(DAF)は、高分子を含む液状混合物に磁性体物質を提供し、磁性体物質が予め定めた方向に整列できるように磁化させた後、液状混合物を乾燥させることにより製造されたものであってもよい。
【0033】
本発明の一実施例によれば、高分子を含む液状混合物に磁性体物質を分散させ、前記磁性体が分散した液状混合物をコーティングして、前記コーティング層の下面に磁場を印加することにより、目的とする方向である厚さ方向を磁化方向に整列させることができる。具体的には、磁性体を、高分子を含む液状混合物に分散させ、前記磁性体が分散した液状混合物でコーティング層を形成した後、前記コーティング層の下面に磁場を印加して磁場方向と平行な方向に前記分散した磁性体を整列させることができる。上述した方法で前記磁性体を整列させることにより、前記接着部材が厚さ方向に磁性を有するように実現することができる。
【0034】
一方、本発明の実施例によれば、ピックアップユニット5は、内部に真空を形成して半導体チップ3を吸着する手段であってもよい。具体的には、ピックアップユニット5は、半導体チップと接触する面で内部に湾曲して空間を形成し、前記空間を真空条件で形成することにより、前記半導体チップを吸着することができる。
【0035】
本発明の一実施例は、接着部材2を介在してベース部材1上に配置された半導体チップ3を前記ベース部材1から分離する半導体チップの分離装置10において、前記ベース部材1から半導体チップ3に隣接する方向に移動することにより、前記半導体チップを移動させるプッシュ部材4と、前記プッシュ部材4とともに移動した前記半導体チップ3をピックアップして、前記ベース部材1から前記半導体チップ3を分離するピックアップユニット5と、を含み、前記接着部材2と前記プッシュ部材4は、それぞれ互いに斥力が作用するように磁化され、前記プッシュ部材4は、前記ベース部材1の前記半導体チップ3が配置された側の反対側に提供される、半導体チップの分離装置を提供する。
【0036】
本発明の実施例による半導体チップの分離装置は、分離およびピックアップしようとする特定の半導体チップの周辺にある他の半導体チップに影響を与えずに特定の半導体のみをベース部材から容易に分離およびピックアップ可能にする。
【0037】
本発明の一実施例によれば、前記接着部材および前記プッシュ部材は、厚さ方向に磁化されているものであってもよい。具体的には、接着部材2とプッシュ部材4は、厚さ方向に磁化されている。例えば、
図1および2に示されるように、接着部材2は、厚さ方向を基準として、上側がN極、下側がS極となるように磁化され、プッシュ部材4は、接着部材2に対して斥力が作用するように、厚さ方向を基準として、上側がS極、下側がN極となるように磁化されている。これとは逆に、接着部材2は、厚さ方向を基準として、上側がS極、下側がN極となるように磁化され、プッシュ部材4は、接着部材2に対して斥力が作用するように、厚さ方向を基準として、上側がN極、下側がS極となるように磁化されていてもよい。上述のように、前記接着部材2とプッシュ部材4は、厚さ方向に磁化されて斥力が作用するように実現することにより、プッシュ部材4を半導体チップ3に隣接する方向に移動させる場合、斥力によって、接着部材2は、半導体チップ3とともにプッシュ部材4と離隔する方向に移動して、ベース部材1から半導体チップ3の分離が容易に行われるようにする。
【0038】
本発明の一実施例によれば、前記プッシュ部材4は、電磁石を用いて前記接着部材2が磁化された方向の反対方向に磁場を発生させることにより、目的とする方向である厚さ方向に磁化させることができる。具体的には、前記プッシュ部材の厚さ方向にコイルが巻かれた部材である電磁石を具備し、前記電磁石に電流を印加して電磁誘導原理によって磁場を発生させる。前記予め定められた接着部材の磁化方向と斥力が発生するように前記電流の方向を調節することにより、前記プッシュ部材と前記接着部材との間の斥力でベース部材から分離させることができる。さらに、前記プッシュ部材自体を磁化させて前記接着部材と斥力を発生させることができ、前記プッシュ部材を導電性材質で使用し、電磁石と連結して電流を印加する間に磁場を発生させて前記接着部材と斥力を発生させることができる。上述した方法で前記プッシュ部材を磁化させることにより、容易にベース部材から半導体チップを分離させることができる。
【0039】
本発明の一実施例によれば、前記プッシュ部材の上面は、前記半導体チップの下面の大きさより小さいものであってもよい。上述のように前記プッシュ部材の上面が前記半導体チップの下面の大きさより小さいように実現することにより、プッシュ部材4と接着部材2との間の斥力が周辺に配置された接着部材2に影響を与えることを低減させることができる。
【0040】
本発明の一実施例によれば、前記接着部材は、ダイアタッチフィルム(DAF)であってもよい。上述のように前記接着部材をダイアタッチフィルムとして選択することにより、ウエハに半導体チップを容易に付着させることができる。
【0041】
本発明の一実施例によれば、前記ダイアタッチフィルムは、高分子を含む液状混合物に磁性体物質を提供し、前記磁性体物質が予め定めた方向に整列できるように磁化させた後、前記液状混合物を乾燥させることにより製造されたものであってもよい。上述のように前記ダイアタッチフィルム(DAF)を製造することにより、磁化方向を容易に調節することができる。
【0042】
本発明の一実施例によれば、高分子を含む液状混合物に磁性体物質を分散させ、前記磁性体が分散した液状混合物をコーティングして、前記コーティング層の下面に磁場を印加することにより、目的とする方向である厚さ方向を磁化方向に整列させることができる。具体的には、磁性体を、高分子を含む液状混合物に分散させ、前記磁性体が分散した液状混合物でコーティング層を形成した後、前記コーティング層の下面に磁場を印加して磁場方向と平行な方向に前記分散した磁性体を整列させることができる。上述した方法で前記磁性体を整列させることにより、前記接着部材が厚さ方向に磁性を有するように実現することができる。
【0043】
本発明の一実施例によれば、前記ピックアップユニット5は、内部に真空を形成して前記半導体チップ1を吸着するものであってもよい。具体的には、ピックアップユニット5は、半導体チップと接触する面で内部に湾曲して空間を形成し、前記空間を真空条件で形成することにより、前記半導体チップを吸着することができる。上述のように前記ピックアップユニットが真空を形成して前記半導体チップを吸着することにより、前記半導体チップの表面の損傷を最小化することができ、プッシュ部材とともに用いられて半導体チップのピックアップ性を向上させることができる。
【0044】
本発明の実施例によれば、分離およびピックアップしようとする特定の半導体チップの周辺にある他の半導体チップに影響を与えずに特定の半導体のみをベース部材から容易に分離およびピックアップ可能にする。
【0045】
たとえ本発明が上記に言及された好ましい実施例に関して説明されたが、発明の要旨と範囲を逸脱しない範囲で多様な修正や変形をすることが可能である。したがって、添付した特許請求の範囲には、本発明の要旨に属する限り、このような修正や変形を含む。
【符号の説明】
【0046】
1:ベース部材
2:接着部材
3:半導体チップ
4:プッシュ部材
5:ピックアップユニット
10:半導体チップの分離装置
S11:プッシュ部材移動ステップ
S13:半導体チップ分離ステップ
【国際調査報告】