(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-25
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂製造用重合反応器
(51)【国際特許分類】
C08F 2/01 20060101AFI20230118BHJP
【FI】
C08F2/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527815
(86)(22)【出願日】2021-08-10
(85)【翻訳文提出日】2022-05-12
(86)【国際出願番号】 KR2021010600
(87)【国際公開番号】W WO2022080639
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】10-2020-0133710
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ミンス・キム
(72)【発明者】
【氏名】テ・ヨン・ウォン
【テーマコード(参考)】
4J011
【Fターム(参考)】
4J011AA05
4J011AC03
4J011AC04
4J011BB04
4J011BB10
4J011CA08
4J011CC10
4J011DB13
4J011DB18
4J011DB22
(57)【要約】
本発明による高吸水性樹脂製造用重合反応器は、モノマー組成物溶液を供給する組成物供給部と、組成物供給部に連結されている中心配管と、中心配管の排出口に位置する貯水槽、前記貯水槽と連結されている分配管、前記貯水槽内に設けられた超音波装置を含む組成物分配部と、組成物分配部の下に位置し、前記組成物溶液が落下するコンベヤベルトと、コンベヤベルト上の前記組成物溶液に重合用エネルギーを供給するエネルギー供給部とを含み、超音波装置は、前記貯水槽内に流入する前記組成物溶液に気泡を供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー組成物溶液を供給する組成物供給部と、
前記組成物供給部に連結されている中心配管と、
前記中心配管の排出口に位置する貯水槽、前記貯水槽と連結されている分配管、前記貯水槽内に設けられた超音波装置を含む組成物分配部と、
前記組成物分配部の下に位置し、前記組成物溶液が落下するコンベヤベルトと、
前記コンベヤベルト上の前記組成物溶液に重合用エネルギーを供給するエネルギー供給部と
を含み、
前記超音波装置は、前記貯水槽内に流入する前記組成物溶液に気泡を供給する、高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項2】
前記分配管は、前記コンベヤベルトに向けて前記組成物溶液を吐出し、前記コンベヤベルトの幅に沿って一定の間隔で配置された複数の吐出口を含む、請求項1に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項3】
前記分配管の前記吐出口は、前記貯水槽を中心として両側に対称に配置されている、請求項2に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項4】
前記組成物溶液は、前記貯水槽を満たした後、溢れて前記分配管に流れる、請求項1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項5】
前記中心配管は、前記貯水槽の中心に対応して位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項6】
前記分配管は、前記貯水槽の側壁末端より低く位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項7】
前記分配管は、前記貯水槽の側壁に対して傾斜している、請求項1から6のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項8】
前記組成物供給部は、原料物質供給部と、溶媒供給部と、モノマー組成物混合部とをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項9】
前記エネルギー供給部は、光エネルギーを供給する、請求項1から8のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年10月15日付の大韓民国特許出願第10-2020-0133710号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂製造用重合反応器に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百から1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なる名前で名付けられている。このような高吸水性樹脂は生理用品として実用化され始め、現在は、幼児用紙おむつなどの衛生用品のほか、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、およびシップ用などの材料に幅広く使用されている。
【0004】
高吸水性樹脂は、逆相懸濁重合による方法または水溶液重合による方法などが知られている。逆相懸濁重合については、例えば、特開昭56-161408号公報(JPS56161408A;1981.12.11)、特開昭57-158209号公報(JPS57158209A;1982.09.30)、および特開昭57-198714号公報(JPS57198714A;1982.12.06)などに開示されている。
【0005】
水溶液重合による方法としてはさらに、複数の軸を備えた練合機内で含水ゲル状重合体を破断、冷却しながら重合する熱重合方法、および高濃度水溶液をベルト上で紫外線などを照射して重合と乾燥を同時に行う光重合方法などが知られている。
【0006】
このような、高吸水性樹脂は、一般に樹脂用モノマーを重合し、これを乾燥および粉砕して粉末状の製品に製造され、モノマーを重合する段階は、樹脂の物性を決定する重要な段階である。
【0007】
高吸水性樹脂の物性のうち速やかな吸水速度は重要な物性で、吸水速度を増加させるために化学的発泡剤(chemical foaming agent)を添加させている。
【0008】
しかし、化学的発泡剤は、生産された高吸水性樹脂の吸水速度を増加させるのに効果的ではあるが、化学的発泡剤の使用によって高吸水性樹脂の粒子形状が非常に不規則に形成される。
【0009】
このように、粒子形状が不規則であれば、生産された樹脂は粉砕/分級過程を経る時、破砕強度が安定的でなく、所望する粒度と物性の高吸水性樹脂が得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭56-161408号公報
【特許文献2】特開昭57-158209号公報
【特許文献3】特開昭57-198714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、気泡を含ませて吸水速度を向上させながらも、高吸水性樹脂の粒子形状が均一な高吸水性樹脂を生産できる高吸水性樹脂用重合反応器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による高吸水性樹脂製造用重合反応器は、モノマー組成物溶液を供給する組成物供給部と、組成物供給部に連結されている中心配管と、中心配管の排出口に位置する貯水槽、貯水槽と連結されている分配管、貯水槽内に設けられた超音波装置を含む組成物分配部と、組成物分配部の下に位置し、組成物溶液が落下するコンベヤベルトと、コンベヤベルト上の組成物溶液に重合用エネルギーを供給するエネルギー供給部とを含み、超音波装置は、貯水槽内に流入する組成物溶液に気泡を供給する。
【0013】
前記分配管は、コンベヤベルトに向けて組成物溶液を吐出し、コンベヤベルトの幅に沿って一定の間隔で配置された複数の吐出口を含むことができる。
【0014】
前記分配管の吐出口は、貯水槽を中心として両側に対称に配置される。
【0015】
前記組成物溶液は、貯水槽を満たした後、溢れて分配管に流れることができる。
【0016】
前記中心配管は、貯水槽の中心に対応して位置することができる。
【0017】
前記分配管は、貯水槽の側壁末端より低く位置することができる。
【0018】
前記分配管は、貯水槽の側壁に対して傾斜することができる。
【0019】
前記組成物供給部は、原料物質供給部と、溶媒供給部と、モノマー組成物混合部とをさらに含むことができる。
【0020】
前記エネルギー供給部は、光エネルギーを供給することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の重合反応器は、超音波発生器により組成物溶液に微細気泡を十分に含ませることによって、組成物溶液に発泡剤を追加する工程を省略または減少させることができる。
【0022】
また、微細気泡を均一に含ませることによって、高吸水性樹脂の粒子形状も均一に形成され、発泡剤による物性の不均一性と微粉発生量を低減して、高品質の高吸水性樹脂を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施例による高吸水性樹脂製造用重合反応器を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の一実施例による重合反応器の組成物分配部を概略的に示す図である。
【
図3】本発明の一実施例による重合反応器の組成物分配部を概略的に示す図である。
【
図4】
図3に示した組成物分配部内の組成物溶液の流れを説明するための図である。
【
図5】本発明の他の実施例による高吸水性樹脂製造用重合反応器の一部分を拡大して示す図である。
【
図6】本発明の他の実施例による高吸水性樹脂製造用重合反応器の一部分を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施例による高吸水性樹脂製造用重合反応器を概略的に示す図である。
【0027】
図1に示すように、本発明の一実施例による重合反応器100は、重合用原料を供給する組成物供給部30と、組成物分配部40と、コンベヤベルト50と、エネルギー供給部60とを含む。
【0028】
組成物供給部30は、高吸水性樹脂の原料物質を供給する複数の原料物質供給部11、12、13と、溶媒を供給する溶媒供給部32と、原料物質と溶媒とを混合するモノマー組成物混合部34とを含む。
【0029】
高吸水性樹脂の原料物質は、例えば、モノマー、モノマーの中和のための塩基性化合物、光重合開始剤、架橋剤および各種添加剤であってもよいし、溶媒は、原料物質を溶解できる液体であれば制限されない。図面では、原料物質供給部11、12、13を3つのみ示したが、これらに限定されず、原料物質の個数に応じて多様に変形可能である。また、溶媒は、別途に溶媒供給部32を介して供給される。
【0030】
このような高吸水性樹脂の原料物質および溶媒は、モノマー組成物混合部34で均一に混合されてモノマー組成物溶液に製造された後、組成物分配部40を介してコンベヤベルト50上に排出される。
【0031】
組成物分配部40は、モノマー組成物混合部34で混合されたモノマー組成物をコンベヤベルト50上に均一に排出させる。
【0032】
モノマー組成物混合部34から混合された組成物が組成物分配部40の上部に供給され、重力によって落下しながら組成物分配部40の下部に排出されて、組成物がコンベヤベルト50上に吐出される。
【0033】
図2および
図3は、本発明の一実施例による重合反応器の組成物分配部を概略的に示す図であり、
図4は、
図3に示した組成物分配部内の組成物溶液の流れを説明するための図であり、
図5および
図6は、本発明の他の実施例による高吸水性樹脂製造用重合反応器の一部分を拡大して示す図である。
【0034】
図2および
図3を参照すれば、組成物分配部40は、中心配管41と、中心配管41に連結された分配管43とを含む。
【0035】
中心配管41は、重力方向に長さの長い管状で、コンベヤベルト50の上面に対して垂直に設けられる。組成物混合部34が中心配管41の上部に連結(
図1参照)され、組成物溶液が排出される中心配管の下部に分配管43が連通するように連結される。
【0036】
分配管43は、中心配管41の下部に連結され、中心配管41と連通可能であり、中心配管41は、分配管43の長さを二等分する地点であってもよい。
【0037】
つまり、組成物溶液が分配管43の中心を基準として両側に同一に供給できるように、中心配管41は、分配管43の中心に連結される。
【0038】
分配管43は、コンベヤベルト50の幅W方向に長い管状で、コンベヤベルト50に対向する分配管43の一側には複数の吐出口45が形成される。吐出口45は、コンベヤベルト50の幅W方向に沿って一定の間隔をおいて配置される。
【0039】
一方、分配管43の中心には貯水槽47が連結され、中心配管41を介して落下する組成物溶液は貯水槽47に落下する。この時、分配管43の吐出口45は、貯水槽47を中心として両側に位置し、貯水槽47を中心として対称に配置される。
【0040】
組成物溶液は、貯水槽47に落下して貯水槽47を満たし、連続して供給される組成物溶液は、貯水槽47から溢れる組成物溶液は両側の分配管43に流れる。
【0041】
貯水槽47内には超音波発生器49が設けられ、超音波発生器49は、気泡を発生させるためのもので、超音波発生器49により生成された気泡は組成物溶液に含まれている状態で、貯水槽47から溢れて分配管43に伝達される。
【0042】
超音波発生器49は、貯水槽47の中央に位置し、発生する気泡が貯水槽のいずれか一方に偏らずに均一な微細気泡が組成物溶液に含まれるようにする。超音波発生器49がいずれか一方に偏る場合、発生する気泡によって分配管43に供給される組成物溶液の量が異なる。
【0043】
図4のように、本発明は、組成物溶液が落下しながら貯水槽47を満たす時間の間一定時間留まるため、超音波発生器49を介して発生した微細気泡が十分に組成物溶液に含まれている状態で分配管43に移動する。また、満たした後に供給される組成物溶液は貯水槽の下部に移動し、既に貯蔵された組成物溶液は、気泡が含まれている状態で貯水槽の上部に移動した後、貯水槽の側壁を越えて分配管43に流れる。
【0044】
この時、必要とする微細気泡の量に応じて、貯水槽47の容量を選択することができる。
【0045】
このように、本発明では、超音波発生器49を介して組成物溶液に微細気泡を十分に含ませることによって、組成物溶液に発泡剤を追加する工程を省略または減量させることができる。したがって、発泡剤による物性の不均一性と微粉発生量を低減して、高品質の高吸水性樹脂を提供することができる。
【0046】
一方、貯水槽47を溢れる組成物溶液が分配管43に容易に移動し、逆流して貯水槽47に再び移動するのを防止するために、
図5のように、分配管43は、貯水槽47の側壁4より下に連結可能である。また、
図6のように、貯水槽の側壁4に対して傾斜して連結可能である。
【0047】
再び
図1を参照すれば、コンベヤベルト50は、組成物分配部40を介して組成物溶液が排出される箇所で、コンベヤベルト50で組成物溶液が移動しながら重合反応が起こる。
【0048】
コンベヤベルト50上に供給されるモノマー組成物溶液55は、コンベヤベルト50の移動によりコンベヤベルト50の一側末端から他側末端に移動する。このような移動中に、組成物溶液55は、エネルギー供給部60から供給された重合エネルギーによる架橋重合反応が進行する。
【0049】
エネルギー供給部60は、モノマー重合に必要な光エネルギーまたは熱エネルギーを供給するためのもので、コンベヤベルト50の上部に位置することができる。
【0050】
エネルギー供給部60は、高吸水性樹脂製造のための組成物溶液55に重合エネルギーを伝達できるものであれば、その構成の限定はないが、紫外線照射部、熱風供給部、マイクロ波照射部、および赤外線照射部からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0051】
また、エネルギー供給部60は、場合によっては、コンベヤベルト50の長手方向に沿って複数設けられてもよい。また、エネルギー供給部60の付設位置は、好ましくは、組成物溶液55が供給されて重合が始まるコンベヤベルト50の一側になる。
【0052】
重合されたシート状重合ゲルは、重合ゲル排出部(図示せず)を介して重合反応器の外部に排出され、追加的に連結された重合ゲル粉砕部で粗粉砕を進行させることができる。
【0053】
一方、重合ゲル粉砕部は、シート状重合ゲルを粗粉砕できる粉砕機器を含む形態であれば、その構成の限定はない。
【0054】
具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、シュレッド破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパ(chopper)および円板式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器の群より選択されるいずれか1つを含むことができるが、上述した例に限定されない。
【0055】
この時、粗粉砕段階では、重合ゲルの粒径が約2~約10mmとなるように粉砕することができる。
【0056】
粗粉砕された重合ゲルは、重合体の含水率が約1~約5%となるように乾燥した後、粒子サイズが約150~約850μmとなるように粉砕することができる。
【0057】
乾燥した重合体を粉砕するために用いられる粉砕機は、具体的には、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを用いることができるが、上述した例に本発明が限定されるものではない。
【0058】
また、粉砕後に得られる重合体を粒径に応じて分級する別途の過程を経ることができる。好ましくは、粒径が約150~約850μmの重合体を分級することができる。
【0059】
以上説明した本発明の一実施例による高吸水性樹脂製造用重合反応器を用いて、高吸水性樹脂を製造する方法を説明する。
【0060】
本発明の高吸水性樹脂の製造方法は、水溶性エチレン系不飽和単量体、重合開始剤および溶媒を含む組成物溶液を用意する段階と、
図2および
図3に示した超音波発生器49を含む貯水槽を満たした後、分配管に沿って流れて、コンベヤベルト上に組成物溶液が供給される段階と、重合反応器のコンベヤベルトおよび組成物溶液を移動させながら、組成物溶液に対して熱重合または光重合を進行させて重合する段階とを含む。
【0061】
高吸水性樹脂の原料物質は、モノマー、モノマーの中和のための塩基性化合物、重合開始剤、架橋剤および各種添加剤を含むことができる。
【0062】
モノマーは、高吸水性樹脂の製造に通常使用されるモノマーであれば、その構成の限定なく使用可能である。これには、陰イオン性単量体とその塩、非イオン系親水性含有単量体およびアミノ基含有不飽和単量体およびその4級化物からなる群より選択されるいずれか1つ以上を使用することができる。
【0063】
具体的には、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタアクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性モノマーとその塩;(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有モノマー;および(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和モノマーおよびその4級化物からなる群より選択されたいずれか1つ以上を好ましく使用することができる。
【0064】
モノマーは、濃度は重合時間および反応条件などを考慮して適切に選択して使用可能である。
【0065】
塩基性化合物は、水に溶けて塩基性を示す化合物であれば、その構成の限定なく使用可能である。このような塩基性化合物としては、例えば、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属ヒドロキシド;水素化リチウムおよび水素化ナトリウムなどの水素化物;リチウムアミド、ナトリウムアミドおよびカリウムアミドなどのアミド化合物;ナトリウムメトキシドおよびカリウムメトキシドなどのアルコキシド化合物;およびこれらの組み合わせから選択される。
【0066】
塩基性化合物は、モノマー組成物溶液の総含有量に対して7~20重量%含まれる。
【0067】
モノマー組成物溶液は、重合開始剤を含むが、重合エネルギー供給部から紫外線が照射される場合には光重合開始剤を、熱風が供給される場合に熱重合開始剤などを含むことができる。
【0068】
熱重合開始剤として、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素、およびアスコルビン酸からなる開始剤の群より選択される1つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロライド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などを使用することができる。より多様な熱開始剤については、Odian著書の『Principle of Polymerization(Wiley,1981sus)』、p203によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0069】
光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択される1つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体例として、商用のlucirin TPO、つまり、2,4,6-トリメチル-ベンゾイル-トリメチルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethyl-benzoyl-trimethyl phosphine oxide)を使用することができる。より多様な光開始剤については、Reinhold Schwalm著書の『UV Coatings:Basics,Recent Developments and New Application(Elsevier2007年)』、p115によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0070】
架橋剤としては、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレンジアクリレートなどを含むジアクリレート系架橋剤;トリアクリレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤;およびエポキシ系架橋剤などから選択された1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0071】
架橋剤は、モノマー組成物溶液の総含有量に対して約0.01~約0.5重量%含まれる。
【0072】
添加剤としては、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0073】
このようなモノマー、塩基性化合物、重合開始剤、架橋剤および添加剤は、溶媒に溶解した溶液の形態で用意される。
【0074】
この時、使用可能な溶媒は、上述した成分を溶解できれば、その構成の限定なく使用可能であり、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどから選択された1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0075】
溶媒は、組成物溶液の総含有量に対して上述した成分を除いた残量で含まれる。
【0076】
組成物溶液は、重合反応器の組成物混合部34から供給されて、超音波発生器により生成された気泡とともに、分配管43を介してコンベヤベルト50上に落下する。
【0077】
この時、組成物溶液は、コンベヤベルトの幅に沿って一定の間隔をおいて一定の量で供給される。
【0078】
本発明による高吸水性樹脂の製造方法では、上記のように気泡を含む組成物溶液をコンベヤベルトに供給することによって、粒子形状が均一な高吸水性樹脂を生産することができる。
【0079】
重合反応は、光照射部から紫外線などの光を受けて行われる。
【0080】
組成物溶液に対する重合を進行させた後には、重合結果物を粉砕および乾燥するなどの過程を経て高吸水性樹脂を製造することができ、このような粉砕および乾燥などの工程は、通常の高吸水性樹脂の製造方法によることができる。
【0081】
例えば、粉砕段階における重合体シートは、通常、数から数百ミリメートルの大きさに粉砕される。
【0082】
以上、本発明を図面に示された実施例を参照して説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明と均等な範囲に属する多様な変形例または他の実施例が可能である。したがって、本発明の真の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0083】
11、12、13:原料物質供給部
32:溶媒供給部
34:組成物混合部
40:組成物分配部
41:中心配管
43:分配管
45:吐出口
47:貯水槽
49:超音波発生器
50:コンベヤベルト
55:モノマー組成物
60:重合エネルギー供給部
100:重合反応器
【国際調査報告】