(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-26
(54)【発明の名称】クライオポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 19/04 20060101AFI20230119BHJP
【FI】
F04D19/04 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022527164
(86)(22)【出願日】2020-11-06
(85)【翻訳文提出日】2022-05-11
(86)【国際出願番号】 IB2020060471
(87)【国際公開番号】W WO2021094886
(87)【国際公開日】2021-05-20
(32)【優先日】2019-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517316096
【氏名又は名称】エドワーズ バキューム リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】カセロ ジョン ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マホーニー ポール ケイ
(72)【発明者】
【氏名】スザレック ジェラルド エム
【テーマコード(参考)】
3H131
【Fターム(参考)】
3H131AA03
3H131BA01
3H131CA01
3H131CA31
3H131CA35
(57)【要約】
クライオポンプは、前面開放部を有する容器であって、前面開放部は容器への入口を含む容器と、輻射シールドと、容器内に延びる2段冷凍機であって、この冷凍機の第1ステージは輻射シールドに熱的に結合される2段冷凍機とを備える。第1ステージのアレイは容器内に配置され、同様に第1ステージの冷凍機と熱的に結合される。クライオパネル構造体は、冷凍機の第2ステージに結合される。第1ステージアレイは、入口からの距離が増加するように配置された複数の要素を備え、入口に最も近い要素は、クライオパネル構造と入口との間にあり、入口から遠い要素は、中心部を貫通する通路を有する。入口に最も近い要素は、入口から遠い要素よりも小さい外周を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライオポンプであって、
前面開放領域を含む容器であって、前記前面開放領域は前記容器への入口を含む、容器と、
輻射シールドと、
前記入口から離れた側壁の部分で前記容器の側壁の中に延びる2段式冷凍機であって、前記側壁の部分は、前記入口よりも前記容器の閉鎖端に近い点であり、前記冷凍機の第1ステージは、前記輻射シールドに熱的に結合される、2段式冷凍機と、
前記容器内に配置され、前記冷凍機の前記第1ステージに熱的に結合された第1ステージアレイと、
前記冷凍機の第2ステージに結合されたクライオパネル構造体と、
を備え、
前記第1ステージアレイは、前記入口からの距離が増加するように配置された複数の要素を備え、前記入口に最も近い要素は、前記入口と前記クライオパネル構造体との間に位置し、前記入口から遠い要素よりも小さい外周を有し、前記入口から遠い要素の各々は、中心部を貫通する通路を有する、クライオポンプ。
【請求項2】
前記クライオパネル構造体は、最も広い点での直径が前記容器の直径の70%未満であり、好ましくは55%未満である、請求項1に記載のクライオポンプ。
【請求項3】
前記冷凍機は、前記入口から前記容器の長さの少なくとも60%の距離にある前記側壁の部分で前記容器の中に延びる、請求項1又は2に記載のクライオポンプ。
【請求項4】
前記クライオパネル構造体は、前記容器の長さの70%より大きい長さを有する、請求項1から3のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項5】
前記第1ステージアレイは、マウント要素に取り付けられており、前記マウント要素は、前記第1ステージ冷凍機及び前記第1ステージアレイの前記複数の要素の各々に結合された熱伝導性材料から形成されている、請求項1から4のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項6】
前記クライオパネル構造体の一端は、前記第1ステージアレイの中に延び、前記要素の少なくとも1つは、さらに前記入口から前記クライオパネル構造体の前記一端の外周を囲むようになっている、請求項1から5のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項7】
前記第1ステージアレイの隣接する要素は、前記入口に最も近い前記要素の少なくともいくつかに関して、1つの要素の外周が、前記ポンプ入口からさらに離れて位置する後続の要素の内周と実質的に等しいか、又は小さいように構成される、請求項1から6のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項8】
前記第1ステージアレイは、実質的にイグルー形状を有し、前記要素は、同心円状であり、前記入口に最も近い前記要素は、最小の外周を有し、後続の複数の要素は、前記入口からの距離とともに増大する大きさの外周を有する、請求項1から7のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項9】
前記要素は、実質的に平らであり、前記入口に最も近い要素は、ディスク形状を有し、後続の要素は、リングである、請求項1から8のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項10】
前記入口に面する前記要素の前記表面は、前記入口の平面に対して0度から30度の間の角度を成し、前記平面に対して平行であるか、又は前記入口に最も近い表面が前記輻射シールドに面するように傾斜している、請求項1から9のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項11】
前記第1ステージアレイは、マウント要素に取り付けられており、前記マウント要素は、前記第1ステージ冷凍機及び前記第1ステージアレイの前記複数の要素の各々に結合された熱伝導性材料から形成されている、請求項1から10のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項12】
前記入口から最も遠い前記第1ステージアレイの前記要素は、前記冷凍機の前記第1ステージの最も近くに取り付けられ、前記入口に最も近い前記第1ステージアレイの表面は、前記容器の中に5から15%の間で入る、請求項1から11のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項13】
前記第1ステージアレイは、前記容器の中への5と15%の間の点から、前記容器の中への25から40%の間の点まで延びる、請求項12に記載のクライオポンプ。
【請求項14】
前記クライオパネル構造体は、中心軸から延び、少なくとも1つのテーパー端部を有する実質的に円筒形の外皮を有する複数のパネルを備え、前記少なくとも1つのテーパー端部のうちの1つは、前記第1ステージ入口アレイの中に延びる、請求項6に記載の,又は請求項6に従属する場合は請求項6から13のいずれかに記載のクライオポンプ。
【請求項15】
前記第1ステージアレイの中に延びる前記クライオパネル構造体の一部は、前記クライオパネル構造体の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%を構成する、請求項14に記載のクライオポンプ。
【請求項16】
前記輻射シールドは、実質的に円筒形であり、前記冷凍機に結合するために前記シリンダの中に延びる平らな部分を備え、前記平らな部分は、前記シリンダの直径の8%未満、好ましくは6%未満だけ前記シリンダの中に延びる、請求項1から15のいずれかに記載のクライオポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、クライオポンプに関し、特に、水蒸気などのI型ガスを捕捉するための温度の第1ステージと、窒素などのII型ガスを捕捉するための及びいくつかの実施形態では水素などのIII型ガスをクライオ吸着するための低温の第2ステージとを有する2段式クライオポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
2段式クライオポンプは、4から25Kの範囲で動作する低温の第2ステージクライオパネルアレイで形成されており、これはチャコールなどの捕捉材料でコーティングすることができる。このクライオパネルアレイは、一次ポンプ表面として機能し、40から130Kの温度範囲で動作し、低温アレイに輻射シールドを提供し、これらのガス分子をシールドに接触する場所で捕捉することによって水蒸気などのI型ガスから遮蔽する第1ステージ輻射シールドによって取り囲まれている。
【0003】
輻射シールドはポンプハウジング内にあり、クライオパネルアレイと排気室との間に位置する入口を除いて、通常、閉鎖されている。この入口は、第1ステージの前面クライオパネルによって部分的に隠されており、クライオパネルは、輻射シールドと熱的に結合され、水蒸気などの高沸点のI型ガスのポンピング部位として機能する。
【0004】
動作時、ガスが入口からポンプ容器に入ると、水蒸気などのI型ガスの少なくとも一部は、前面アレイ上で凝縮される。低沸点ガスは、前面アレイを通り、輻射シールド内部に入る。一方で、水素、ヘリウム、ネオンなど、4Kでかなりの蒸気圧を有するIII型ガスは、第2ステージのクライオパネルを覆う、活性炭、ゼオライト、分子ふるいなどの吸着剤で吸着される。
【0005】
このように、排気室からポンプに流入するガスが捕捉され、真空は、ポンプ容器の中に発生する。クライオポンプの1つの問題点は、動作時、ガス分子が捕捉面で飽和状態に達し、捕捉能力が低下することである。従って、クライオポンプは、定期的に再生して、捕捉したガス分子を放出する必要がある。
【0006】
クライオポンプを設計する場合に考慮すべき競合要因があり、ポンプへのガスの高い伝導性はポンプ速度を改善するが、クライオパネルの熱負荷を軽減するための熱輻射からの及びI型ガスからの、第2ステージクライオパネルの何らかの遮蔽をもたらすことが好都合である。クライオパネルに到達したI型ガスは、クライオパネルの上で凝縮し、III型ガスがクライオア吸着されるのを妨げる。さらに、長鎖炭化水素などの一部のI型ガスは再生時にアレイ表面から離れないため、ポンプの残存寿命を通してポンプ性能の低下をもたらす。しかしながら、ガス分子からのクライオパネルの遮蔽は、伝導性の低下をもたらす。
【0007】
国際公開第2019/099728号には、これらの要因のいくつかが、クライオパネルのための遮蔽を提供するイグルー形状の前面アレイで対処された2段式クライオポンプが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
II型及び/又はIII型のガスに対する高い伝導性を有し、さらにI型のガスからの第2ステージ表面の効果的な遮蔽を有する2段式クライオポンプを提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の態様は、クライオポンプを提供し、クライオポンプは、前面開放領域を含む容器であって、前面開放領域は容器へ入口を含む容器と;輻射シールドと;入口から離れた側壁の部分で容器の側壁の中に延びる2段式冷凍機であって、側壁の部分は、入口よりも容器の閉鎖端に近い点であり、冷凍機の第1ステージは、輻射シールドに熱的に結合される、2段式冷凍機と;容器内に配置され、冷凍機の第1ステージに熱的に結合された第1ステージアレイと;冷凍機の第2ステージに結合されたクライオパネル構造体と、を備え、第1ステージアレイは、入口からの距離が増加するように配置された複数の要素を備え、入口に最も近い要素は、入口とクライオパネル構造体との間に位置し、入口から遠い要素よりも小さい外周を有し、入口から遠い要素の各々は、中心部を貫通する通路を有する。
【0011】
本発明者は、II型及び/又はIII型ガスを効果的に捕捉するために、これらのガスが良好な伝導性で第2ステージのクライオパネルに到達する必要があるという点で、クライオポンプに関する競合する要求が存在することを認識した。しかしながら、これらのクライオパネルは、温度を最適な状態に長く維持し、その有効性を低下させるI型ガスでクライオパネルが過負荷になることから保護するめに、熱輻射及びI型ガスの両方から効果的に遮蔽する必要がある。従来、I型ガスがクライオパネルに到達するのを妨げるために、ポンプの入口に前面アレイが配置されており、このような従来の前面アレイは、ガス分子をポンプに入れるための開口を備え、これらの開口はシェブロン型の配置である。入口に到着したガス分子は、前面アレイの開口を直接通過する、表面で捕捉される、ポンプ側壁の輻射シールドの方向に偏向して捕捉される、又は排気室の方向に偏向して戻されるかのいずれかである。このようなアレイの1つの欠点は、入口の表面積の少なくとも一部について、入口の平面に対して垂直に移動する分子が前面アレイを通ってクライオパネルに直接向かう直接見通し経路があることであり、適切な軌道を有するI型ガスが、クライオパネルに直接移動する可能性がある。さらに、入口でのアレイによるガス分子の偏向は、II型及びIII型のガス分子の一部がポンプ入口から遠ざかり、ポンプに入らず、第2ステージアレイに到達して、その伝導性及びポンプのポンピング速度を減少させるという結果をもたらす。
【0012】
本発明者は、第1ステージアレイを入口から異なる距離に位置する複数の要素で形成し、入口の平面に垂直に進む少なくとも一部の分子に対して障壁を設け、側壁によって偏向された分子など、入口の平面に平行な成分を有する一部の分子に対して貫通経路を設けることによってこれらの問題を解決する。
【0013】
さらに、冷凍機は、クライオポンプの入口から離れた部分に設けられ、これは、ガス分子が冷凍機エレメントに衝突して入口に向かって偏向される可能性を低減する。また、この配置は、冷凍機要素がクライオパネル構造体の上部の大部分を遮蔽することも阻止し、II型及びIII型ガスが遭遇する面積が増大し、クライオパネル構造体によるこれらのガスの捕捉の均一性が向上する。
【0014】
このようにして、I型ガスからの直接の影響からクライオパネルを保護しながら、高速ポンピングを可能にする効果的な的を絞った遮蔽が提供される。実際には、第1ステージアレイは、入口から異なる距離にある要素で構成され、それらの間には容器の輻射シールドから反射された分子に適したガス流路が存在するが、直接見通し経路は妨げられるようになっており、第1ステージアレイは、第2ステージクライオパネル及びクライオ吸着材料を遮蔽しながら水素ガスの高い捕捉率を可能にする良い方法である。さらに、冷凍機を入口から離して設けることで、クライオパネル構造体の水素ガスからの不要な遮蔽が減る。
【0015】
これらのアイデアが協働することで、効果的な遮蔽及び速度向上の両方が可能になる。いくつかの実施形態では、クライオ吸着アレイを不要なガスから依然として遮蔽しながら、ポンピング速度を15,000L/s以上の水素速度まで増加させることができる。
【0016】
いくつかの実施形態では、クライオパネル構造体は、最も広い点での直径が容器の直径の70%未満、好ましくは55%未満である。
【0017】
クライオパネル構造体は、従来のクライオパネル構造よりも狭くすること又はより長くすることができる。これにより、ガス分子がクライオパネル構造体の下部に到達する可能性は高くなり、それによって、クライオパネル構造体によって捕捉される分子の均一性が向上し、その有効性が高まる。
【0018】
いくつかの実施形態では、冷凍機は、入口から容器の長さの60%以上の距離にある側壁の部分で容器の中に延びる。
【0019】
ガス伝導性を改善し、容器の中に延びる冷凍機がもたらし得るガス流に対する抵抗性を低減するために、これは入口から最も遠い容器の半分、好ましくは容器の中に60%以上である。容器の中に60%以上とは、入口の平面に垂直で、入口から容器の底部又は閉鎖端まで続く軸に沿った60%以上である。冷凍機要素を容器内の奥深くに設けることで、冷凍機要素に衝突したII型又はIII型の粒子が容器の外に偏向される又はクライオパネルから偏向される可能性が低減する。さらに、第1ステージアレイを冷凍機要素の上方に取り付け、構造体の大部分が冷凍機の上方にあり、従って冷凍機によって遮蔽されないようにクライオパネルを取り付けることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、クライオパネル構造体は、容器の長さの70%よりも大きい長さを有する。
【0021】
ポンプ容器の長さの大部分にわたって広がる長さを有するクライオパネル構造体を設けることは、粒子が衝突して捕捉されるための大きな表面積を提供し、それによって再生の間のクライオパネル構造体の有効性及び寿命を向上させることができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1ステージアレイは、マウント要素に取り付けられており、マウント要素は、第1ステージ冷凍機及び第1ステージアレイの複数の要素の各々に結合された熱伝導性材料で形成される。
【0023】
第1ステージアレイは、冷凍機の第1ステージの温度まで冷却され、この温度は、I型ガスを捕捉するのに適している。この冷却は、いくつかの実施形態では、容器内の第1ステージアレイを、冷凍機の第1ステージから第1ステージアレイの各要素に延びる熱伝導性要素に取り付けることによって効果的に提供され、それによってアレイを第1ステージ冷凍機の温度又はそれに近い温度に維持する。他の実施形態では、第1ステージアレイは、それ自体が第1ステージ冷凍機に熱的に結合される輻射シールドに取り付けることができる。このような配置では、第1ステージアレイは、熱伝導性マウント要素に取り付けられた場合のように、第1ステージ冷凍機の温度の近くに一貫して維持されない可能性がある。
【0024】
入口に最も近い要素以外の要素は、中心部分を貫通する有し、場合によっては、環状又はリング状の形態を有する。クライオパネル構造体と入口との間に位置する入口に最も近い要素は、環状形態ではなく、中実断面を有することができ、熱輻射及び入口からクライオパネル構造体に向かって直接移動する少なくとも一部のガス分子の両方からの、クライオパネル構造体の入口からの遮蔽を提供することができる。もしくは、要素を貫通する通路を規定するいくつかの開口を有することができ、開口は、分子を側壁の方に偏向させるための傾斜したフラップタイプの表面によって少なくとも部分的に覆うことができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、クライオパネル構造体の一端は、第1ステージアレイの中に延び、要素の少なくとも1つは、さらに入口からクライオパネル構造体の一端の外周を囲むようになっている。
【0026】
入口から異なる距離に位置する複数の要素で形成された第1ステージアレイを有することは、それが平らな構造でないことを意味し、これにより、クライオパネル構造体は、アレイの中に延びることができ、クライオパネル構造体のその部分に対する遮蔽の向上につながる。これは、クライオパネルアレイの入口に最も近い部分であり、この部分は、従来、最も高い割合のガス分子を受ける部分である。この部分に、入口から離れたクライオパネル構造体の部分と比較して向上した遮蔽を提供することにより、ガス分子をクライオパネル構造体の長さに沿ってより均一に捕捉することができる。
【0027】
いくつかの実施形態では、第1ステージアレイの隣接する要素は、入口に最も近い要素の少なくともいくつかに関して、1つの要素の外周が、ポンプ入口からさらに離れて位置する後続の要素の内周と実質的に等しいか又は小さいように構成される。
【0028】
要素の配置は、1つの要素の外周が、入口からさらに離れている後続の要素の内周と実質的に同じとすることができる。このような配置は、入口を通して垂直に見たときに実質的に中実の表面を提供し、実質的に中実の表面は、入口から最も離れた要素の外周の寸法を有する。これは、入口から見たときに光学的に隙間がない構造を提供し、これは好都合であり、クライオパネルの効果的な遮蔽を提供する。実際には、要素は、垂直に見たときに実質的に中実の表面を提供し、これらの要素が入口から所定の距離でポンプ内に位置する場合、入口から見たときに垂線の周りの更なる角度からクライオパネルを遮蔽する。
【0029】
この関連で、入口に最も近い第1ステージアレイの要素は、この表面に衝突する分子がすでにポンプ入口を過ぎて、排気室に偏向して戻る可能性が低くなるように、ポンプ内で所定の距離にあることができる。他の実施形態では、入口に最も近い第1ステージアレイの要素は、入口に隣接して位置することができる。
【0030】
いくつかの実施形態では、1つの要素の外周は、後続の要素の内周よりもわずかに小さく、入口の平面に対して垂直に移動する分子のための隙間を提供する。このような場合、一般に内周と外周との間の差は小さく、この差は約10%以下の大きさであり、アレイの入口に垂直に移動する少数の分子がアレイを通過することができる。
【0031】
垂直に見たときに要素の間に何らかの隙間を設けると、III型ガスのポンピングに有利な伝導性が増大するが、I型ガスによるクライオパネルの汚染及び熱遮蔽の低下により上昇する第2ステージの熱負荷に対して何らかの悪影響がある。
【0032】
いくつかの実施形態では、第1ステージアレイは、実質的にイグルー形状を有し、要素は、同心円状であり、入口に最も近い要素は、最小の外周を有し、後続の複数の要素は、入口からの距離とともに増大する大きさの外周を有する。
【0033】
第1ステージのレイは、同心円状の要素のサイズが増加する実質的にイグルー形状を有することができる。場合によっては、要素は、入口に最も近い要素から入口から最も遠い要素までサイズが増加することができ、他の実施形態では、入口に最も近い複数の要素のサイズが増加し、特定の位置で同じサイズの要素を使用することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、要素は実質的に平らであり、入口に最も近い要素はディスクで構成され、後続の要素はリングで構成される。
【0035】
要素は多くの形態を有することができ、例えば角のある外周を有することができ、ディスク及びリングで構成されることが好都合な場合がある。これは、断面での対称性を提供し、輻射シールドが実質的に円筒形の形態を有する場合に特に好都合である。
【0036】
いくつかの実施形態では、ディスクは中実断面を有し、他の実施形態では、ディスクは、ディスクを貫通するいくつかの貫通通路を提供するいくつかの開口を有する。これらの開口は、衝突する分子を輻射シールドに向かって偏向させるように配置された傾斜面によって少なくとも部分的に隠すことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、入口に面する要素の表面は、入口の平面に対して0度から30度の間の角度を成し、平面に対して平行であるか、又は入口に最も近い表面が輻射シールドに面するように傾斜している。いくつかの実施形態では、要素のいくつかが角度付きの場合、入口に最も近い要素は0度の角度を成し、さらなる要素は傾斜することができる。
【0038】
場合によっては、表面に衝突する粒子が輻射シールドに向かって偏向されるように要素の表面を傾斜させることが好都合であり、他の実施形態では、入口に面する要素の表面は、入口の平面に実質的に平行である。要素の傾斜は、クライオパネル構造体のより良い遮蔽を提供するが、伝導性を低下させるので、平らな要素及びわずかに傾斜した要素のどちらが好ましいかは、ポンプの要件に依存する。いずれの場合も、第1ステージアレイがポンプ内にあるため、垂直に偏向する平らな要素であっても、そのような偏向した分子が入口に到達する前に他の分子に衝突する場合があるので、ポンプ内に垂直に到達した分子を依然として保持する可能性がある。
【0039】
いくつかの実施形態では、入口から最も遠い第1ステージアレイの要素は、冷凍機の第1ステージの最も近くに取り付けられ、入口に最も近い第1ステージアレイの要素は、容器内に5から15%の間で入る。
【0040】
いくつかの実施形態では、第1ステージアレイは、容器の中への5から15%の間の点から、容器の中への25から40%の間の点まで延びる。
【0041】
上述のように、第1ステージアレイは平らなアレイではなく、むしろポンプ内で長手方向に、場合によっては容器の長さの10から35%の長さに沿って広がる。アレイの長手方向の広がりは、その長さのかなりの部分に沿ってクライオパネル構造体の効果的な遮蔽を提供し、クライオパネル構造体の表面上のより均一な捕捉分子の分布につながる。
【0042】
いくつかの実施形態では、クライオパネル構造体は、中心軸から延び、少なくとも1つのテーパー端部を有する実質的に円筒形の外皮を有する複数のパネルを備え、少なくとも1つのテーパー端部のうちの1つは、第1ステージ入口アレイの中に延びる。
【0043】
クライオパネル構造体は多くの形態を有することができるが、好都合な形態は、中心軸から延びる複数のパネルを有する形態であり、構造体の外皮は、円筒形輻射シールドの形状に一致するがそれよりも小さい実質的に円筒形の形状を有する。構造体は、第1ステージアレイに延びる少なくとも1つのテーパー付き端部を有することができ、いくつかの実施形態では、両端部をテーパー付きとすることができる。
【0044】
このような一体型構造は、水素のようなIII型ガスが捕捉される場合に、両側にチャコールのような吸着材を有する複数のクライオパネルを有する。このような構造により、特定の用途に必要なII型又はIII型ガスの速度及び容量に応じてパネルの数を変更することができ、特定の用途に最適化できる柔軟な設計を提供する。いくつかのインプラント用途では、パネルの数は、水素の速度及び容量に依存する。
【0045】
いくつかの実施形態では、第1ステージアレイの中に延びるクライオパネル構造体の一部は、クライオパネル構造体の少なくとも20%、好ましくは少なくとも30%を構成する。
【0046】
いくつかの実施形態では、輻射シールドは、実質的に円筒形であり、冷凍機に結合するためにシリンダ内に延びる平らな部分を備え、平らな部分は、シリンダの直径の8%未満、好ましくは6%未満だけシリンダの中に延びる。
【0047】
輻射シールドは円筒形であり、従って、フランジが平らである場合にシールドを冷凍機のフランジに結合するために、輻射シールドは、容器の中に延びるフランジの形状に対応する平らな部分を有する。これは、冷凍機要素の上方で輻射シールドから延びる突出面をもたらす。これは、ガスが衝突して入口に向かって偏向して戻る表面を提供する。本発明者は、この配置の潜在的な問題を認識し、平らな部分を良好な結合のために実現可能な限り小さく維持し、この部分のシリンダ内への伸長部、従って突出面のサイズも小さくして、それによって伝導性を改善する設計を提供した。
【0048】
冷凍機は、クライオパネル構造体の入口から最も遠い部分の中に延びる。
【0049】
冷凍機が入口から離れた位置でクライオパネル構造体の中に延びるように、クライオパネル構造体を冷凍機に取り付けることにより、冷凍機構造体がガス分子の影響を受ける可能性を低減することができる。さらに、クライオパネル構造体の大部分が冷凍機の上にあるため、構造体のかなりの長さが冷凍機によって全く遮蔽されず、これによって伝導性が向上する。冷凍機は、入口から最も遠いクライオパネル構造体の半体の中に延びる。
【0050】
いくつかの実施形態では、クライオパネルは、水素のようないくつかのIII型ガスを吸着するために炭素でコーティングされる。
【0051】
さらなる特定の及び好ましい態様は、独立請求項及び従属請求項に記載されている。従属請求項の特徴は、適宜、独立請求項の特徴と組み合わせること、又は、請求項に明示的に規定されている以外の組み合わせで組み合わせることができる。
【0052】
装置の特徴が、ある機能を提供するために動作可能であると説明される場合、これは、その機能を提供する、又はその機能を提供するように適合又は構成される装置の特徴を含むことを理解されたい。
本発明の実施形態は、以下に、添付の図面を参照してさらに説明される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】一実施形態による第1ステージアレイを示す。
【
図2】一実施形態による、冷凍機要素に取り付けられ、第1ステージアレイに及ぶ第2ステージクライオパネル構造を示す。
【
図4】一実施形態によるクライオポンプを通る断面を示す。
【
図5】一実施形態によるクライオポンプを通るさらなる断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
実施形態を詳細に説明する前に、まず、概要について説明する。
新しいインプラントプロセスが開発され、プロセスの真空状態を維持するために、より一貫した真空環境が必要とされるので、クライオポンプに対する要求は、より厳しくなってきている。
【0055】
本発明者は、クライオポンプのアレイ形状が、クライオポンプが提供する真空条件を向上させるために重要であることを認識している。「インプラント」プロセスを例にとると、クライオポンプは、必要な高真空を生成するためにしばしば使用され、水素は、主要ガス成分であり、フォトレジストからの汚染が大きな問題であり、実施形態は、3つの主要設計改良点のうちの1又は2以上を提供することによって、耐汚染性を与え、水素ポンピング速度を増大させる。
【0056】
1)クライオパネルの最適化:第2ステージアレイの形状を再設計し、従来よりも細長いアレイとすることで、水素のポンピング性能が向上する。第2ステージアレイは、「イグルー」第1ステージアレイでガス汚染及び輻射から保護される。クライオパネル構造体及びイグルーアレイは、互いに補完しあうように幾何学的に設計されており、熱及びI形ガス遮蔽を高めながら、III型ガス伝導性を向上させるように作用する。
【0057】
2)第1ステージ又は「イグルー」入口バッフルの幾何学的設計は、高い水素性能及び第2ステージアレイのガス汚染に対する優れた耐性をもたらす。
【0058】
3)冷凍機の位置:冷凍機は、従来設計に比べ、容器内で戦略的に低く、良好なガス伝導性を可能にし、より少ない最初のストライク(strike)の汚染物質のストライクでもってより長いアレイのポンピング経路を作り出す。容器内で低いことに加えて、冷凍機の貫通断面積は小さく、伝導性が向上する。
【0059】
上記の設計変更は、特にIII型ガスのポンピング速度を上げ、第2ステージアレイの汚染を抑え、第2ステージの輻射負荷を下げ、第1ステージ又はイグルー型アレイの温度を下げることを達成しようとするものであり、これらの全てはより安定した真空ポンプに貢献する。
【0060】
真空容器の底部の近くの冷凍機の位置は、ポンプ全体の性能を向上させるための1つの態様である。
1)良好な伝導性:ポンプに入るII型又は水素などのIII型ガスの遮蔽が少なくなり、より多くのガスがクライオパネルに到達することができる。
【0061】
2)第2ステージのクライオパネル/マウントの一体設計が可能になる。クライオパネルの対称性は、クライオパネル表面全体におけるII型/III型ガスのポンピングの均一性を改善する。この均一性は、II型/III型の速度及び容量に極めて重要であり、ガスで何らかのパネルが圧倒されないように、これらのガスをより均一の送給するために全てのパネルを利用できる状態にする。クライオパネルの設計が均一でないために局所的に飽和状態になると、これは、これらのパネルがより多くの分子が流入すると利用できなくなる状態にする。これは、残りのクライオパネルの負荷が高くなり、クライオポンプの圧力上昇が予想以上に早くなり、III型ガスのポンピング速度が急激に低下するため、バランスの悪いポンピング状態をもたらす。
【0062】
3)冷凍機シリンダはポンプ内の低い位置にあり、強化されたイグルー入口アレイと連携して、不要な輻射及び多くの最初のストライクのフォトレジスト汚染からクライオパネルを遮蔽する。入口アレイ設計は、冷凍機の第1ステージから延びる熱伝導性要素に取り付けられており、輻射シールドに結合された通常の入口アレイ構成よりも低温に維持することができる。
【0063】
図1は、一実施形態によるイグルー型の第1ステージアレイ10を示す。アレイは、ポンプへの入口からの距離が増加するように配置される複数の要素12、14で形成される。ポンプに最も近い要素はディスク12であり、サイズが大きくなるさらなる要素14は、ポンプへの入口から距離が大きくなるように配置される。このイグルー型の入口バッフル又はアレイは、冷凍要素の第1ステージに熱伝導性部材36(
図2参照)を介して取り付けられる。この熱伝導性部材は、イグルーが第1ステージの冷凍要素の温度に近い温度に維持されることを可能にし、イグルー表面のホットスポットを低減し、表面を低減した温度に保持することを可能にし、それによってI型ガスに対する改善された捕捉を提供する。また、輻射シールドは、入口を横切って延びる従来の第1ステージアレイに結合された輻射シールドと比較すると、より低い温度になり、従って、同様に、I型ガスに対する改善された捕捉をもたらすことができる。この実施形態では、ディスク12は中実ディスクであり、他の実施形態では、ディスク12は、いくつかの分子の通過を可能にするためにディスクの中に開口を有することができる。場合によっては、これらの開口は、開口を部分的に横切って延び、分子を輻射シールドに向かって偏向させるように傾斜したフラップによって、ある程度遮蔽することができる。
【0064】
図2は、ポンプ容器の側壁に及び、第2ステージクライオパネル構造体20を支持する冷凍機要素30に結合された第1ステージアレイ10を示す。第2ステージクライオパネル構造体20は、第1ステージアレイ10の要素が第2ステージクライオパネル構造体20の入口に最も近い部分を囲むように、第1ステージアレイ10の中に延在する。これにより、クライオパネル構造体のこの部分の遮蔽が改善され、ガス分子が高い部分に接触する確率が減少し、クライオパネル構造体の長さに沿った分子の捕捉の均一性が改善され、それによりクライオパネル構造体の寿命が延び有効性が高くなる。
【0065】
冷凍機要素30は、容器の中に延び、第1ステージの温度で第1ステージの冷凍機要素を構成し、これは、熱伝導性マウント36を介して第1ステージアレイ10に結合され、第1ステージアレイが均一かつ効果的な様式で第1ステージ冷凍機要素の温度又はそれに近い温度に維持されることを可能にする。熱伝導性マウント36は、第1ステージアレイの周囲に延び、2箇所で各要素に接触し、このアレイのための効果的な冷却を提供する。
【0066】
第2ステージクライオパネル構造体は、第2ステージの冷凍機要素に取り付けられ、従って、第2ステージの温度に冷却される。冷凍機要素30は、入口から離れたポンプ容器の下側部分の中に延び、クライオパネル構造の下半分を支持し、この支持は、クライオパネル構造体の上半分をポンプに入るガス分子から隠蔽しないようになっている。これは、同様に、クライオパネル構造体上のガス分子のより良い分布につながる。
【0067】
クライオパネル構造体20は、従来のクライオパネル構造体よりも長くて薄く、これにより、伝導性並びにII型及びIII型ガスの捕捉の均一性が向上し、クライオパネルの下部へのより良いアクセスが可能になる。さらに、冷凍機の位置がポンプ入口に対して低くなっていることは、伝導性を向上させ、ポンプ速度を増大させる。
【0068】
図3は、ポンプ注入口40を通る図である。理解できるように、ポンプ容器の内面は、輻射シールドである内側要素42を備える。入口を通して見ると、第1ステージアレイは、入口を通して垂直に見たときに第2ステージアレイを効果的に遮蔽し、輻射負荷及び生成汚染物質によるプロセスから保護する。軸方向における要素間の間隔は、輻射シールド42によって偏向されるような、入口に平行な速度成分を有する分子によるクライオパネルへのアクセスを可能にする。輻射シールドによって偏向された分子は、輻射シールドがI型ガスを捕捉するので、主にタイプII型又はタイプIII型ガスになる。クライオパネル構造体の下部は、前面アレイに囲まれていないため、ポンプ内を深く移動する分子によるこの部分へのアクセスを容易にすることができる。
【0069】
図4は、内部を見ることができるように一部が切り取られたポンプ容器の側面図である。理解できるように、冷凍機30は、入口から離れたポンプ容器の下部に延び、冷凍機要素34の第1ステージは、輻射シールド42及び第1ステージアレイ10を搭載する熱伝導性マウント36に熱的に結合される。
【0070】
熱伝導性マウント36は、イグルー構造の周りに延び、180度反対の2箇所で各要素に接触し、これらの要素と冷凍機要素の第1ステージとの間に良好な熱的結合を提供する。このように、第1ステージの冷凍機要素から第1ステージアレイの各要素への直接的な良好な熱経路が存在し、アレイを低温かつ均一な温度に保持することが可能になる。
【0071】
第2ステージの冷凍機32は、図示しない第2ステージクライオパネルに結合され、これらをより低い第2ステージの温度で維持する。冷凍機要素30はポンプ容器の底部に向かって配置され、このようにして、冷凍機要素のポンプ内への伸長によるガスの遮蔽が低減される。
【0072】
図5は、第1ステージアレイ10、冷凍機要素30、及びそれらがどのように結合されているかを示すポンプの断面図である。特に、冷凍機要素がポンプ容器内に保持され、輻射シールドに結合される様子を示す。輻射シールドは、現段階では平らになっており、冷凍機要素の平らなフランジとのシール結合部を提供し、結合部の上の輻射シールドには、この平らになった部分を反映して、分子が衝突して入口に向かって偏向することができる表面を提供する突出部44が存在する。この実施形態では、突出部は、従来のクライオポンプと比較してサイズが減少し、シリンダ直径の8%未満、多くの実施形態では6%未満だけシリンダ内に延びるような設計である。これにより、ポンプに入るガス分子の妨害物が少なくなり、ポンピング速度が向上する。
【0073】
図5は、第1ステージの異なる部分の間の温度差を示す。第1ステージの冷凍機要素は約65Kの最も低温の部分であり、第1ステージアレイは71~72.5Kの温度に維持され、輻射シールドは冷凍機側に向かって低温となるが、反対側は75K以上の温度に達する。第1ステージアレイが入口に隣接する従来のクライオポンプでは、この入口アレイは、輻射シールドの暖かい部分の温度を反映し、75K以上である。従って、実施形態は、従来のクライオポンプよりも均一な温度のより低温の第1ステージアレイを提供し、I型ガスの捕捉を改善する。
【0074】
従来のクライオポンプの設計を要約すると、第2ステージアレイは、入口に取り付けられた平面輻射バッフル又は前面アレイによって遮蔽される。このバッフルは入口に隣接して、輻射シールドの上部に取り付けられる。大きな傘のように、ガス分子は第2ステージアレイに近づく前にポンプから遮断され、跳ね返される。また、冷凍機シリンダ及び第1ステージマウントは、従来はポンプの高い位置にあり、多くの水素のようなII型及びIII型の分子が第2ステージアレイに到達するのを遮蔽する。
【0075】
対照的に、実施形態は、ポンプ内で入口から異なる距離で配置された複数の要素の入口輻射バッフルで遮蔽された第2ステージアレイを提供する。このアレイ構成は、ポンプの入口においてより少ない分子を妨害し、より多くの分子が第2ステージアレイの表面に衝突する位置に到着することを可能にする。また、この設計により、I型ガスからの第2ステージアレイの遮蔽が改善され、汚染及び第2ステージの輻射暴露が低減される。第2ステージアレイは、第1ステージアレイの形状及び下部冷凍機の配置の組み合わせで、三位一体で強化される。
【0076】
本発明の例示的な実施形態は、添付の図面を参照して本明細書に詳細に開示されているが、本発明は、正確な実施形態に限定されず、添付の請求項及びその均等物によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって様々な変更例及び修正例がもたらされ得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0077】
10 第1ステージアレイ
12 ディスク要素
14 リング状要素
20 クライオパネル構造体
30 冷凍機素子
32 第2ステージ冷凍機素子
34 第1ステージ冷凍機素子
36 第1ステージアレイ用マウント
40 入口
42 輻射シールド
44 輻射シールド突出部
【国際調査報告】