IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.の特許一覧

特表2023-503306NF-κB移行アッセイを使用したMALT1阻害剤の有効性を評価するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】NF-κB移行アッセイを使用したMALT1阻害剤の有効性を評価するための方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20230120BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230120BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230120BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230120BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 19/06 20060101ALI20230120BHJP
   A61P 9/12 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
G01N33/68
A61P35/00
A61K45/00
A61K31/4725
A61P35/02
A61P19/02
A61P1/04
A61P25/00
A61P37/02
A61P37/08
A61P17/00
A61P17/06
C12Q1/02
A61P11/06
A61P11/00
A61P21/04
A61P19/06
A61P9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022529675
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2020082968
(87)【国際公開番号】W WO2021099609
(87)【国際公開日】2021-05-27
(31)【優先権主張番号】62/939,022
(32)【優先日】2019-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】397060175
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカ エヌ.ベー.
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196966
【弁理士】
【氏名又は名称】植田 渉
(72)【発明者】
【氏名】バビック,アレキサンダー
(72)【発明者】
【氏名】バラスブラマニアン,スリラム
(72)【発明者】
【氏名】カオ,ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョーダリー,ゴウラヴ
(72)【発明者】
【氏名】フォーク,ブラッドリー ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】イザック,リアット
(72)【発明者】
【氏名】フィリッパー,ウルリケ
(72)【発明者】
【氏名】ブローマンズ,ネレ
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
2G045CA18
2G045DA36
2G045FA37
2G045FB03
2G045FB12
4B063QA01
4B063QA05
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ08
4B063QQ79
4B063QR48
4B063QR66
4B063QS10
4B063QS13
4B063QS33
4B063QS39
4B063QX02
4C084AA17
4C084MA52
4C084MA55
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC36
4C086GA07
4C086GA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB26
4C086ZB27
(57)【要約】
ヒト対象におけるMALT1阻害剤の治療有効性を決定するための方法及び試薬が記載されている。本方法は、対象から得た血液試料の刺激されたPBMCにおいてNF-κB核移行を決定することを含む。本方法は、MALT1阻害剤療法を受けている対象について治療決定を誘導するための情報を提供し、療法を最適化する精度を改善し、毒性を低下させ、かつ/又は治療的処置の有効性を監視する。
【選択図】図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
MALT1阻害剤を必要とする対象においてMALT1阻害剤に対する応答を予測する方法であって、
(a)前記MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(b)前記MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における前記変化したNF-kB核移行のレベルを(b)における前記変化したNF-kB核移行のレベルと比較することであって、(a)における前記変化したNF-kB核移行のレベルの減少が、前記対象における前記MALT1阻害剤に対するポジティブな応答を予測する、比較することと、を含む、方法。
【請求項2】
MALT1阻害剤療法を必要とする対象において進行中のMALT1阻害剤療法の有効性を監視する方法であって、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における前記変化したNF-kB核移行のレベルを(b)における前記変化したNF-kB核移行のレベルと比較することであって、(a)における前記変化したNF-kB核移行のレベルの減少が、前記対象における前記MALT1阻害剤療法の有効性を示す、比較することと、を含む、方法。
【請求項3】
癌又はMALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象において癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法であって、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における前記変化したNF-kB核移行のレベルを(b)における前記変化したNF-kB核移行のレベルと比較することと、
(d)前記試験試料が前記変化したNF-kB核移行のレベルにおいて減少を示す場合は、前記対象により低用量のMALT1阻害剤を投与し、前記試験試料が前記変化したNF-kB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合は、前記対象により高用量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む、方法。
【請求項4】
癌又はMALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象において癌又はMALT1媒介性疾患を治療するための薬物レジメンを設計する方法であって、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(c)前記対象の試験試料における前記変化したNF-kB核移行のレベルを、前記対象の対照試料における前記変化したレベルと比較することと、
(d)前記試験試料が前記変化したNF-kB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合に、前記対象に第2の治療薬を投与することと、を含む、方法。
【請求項5】
癌又はMALT1媒介性疾患に罹患している対象におけるMALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度を修正する方法であって、
(a)前記MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(b)前記MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、
(c)前記対象の試験試料における前記変化したNF-kB核移行のレベルを、前記対照試料の前記変化したレベルと比較することと、
(d)前記試験試料が前記変化したNF-kB核移行のレベルにおいて減少を示す場合は、前記MALT1阻害剤の投与頻度を減少させ、前記試験試料が前記変化したNF-kB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合は、前記MALT1阻害剤の前記投与頻度を増大させることと、を含む、方法。
【請求項6】
前記対象の試験試料における前記変化したNF-kB核移行のレベルを測定することが、
a)前記試験試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された試験試料を得ることと、前記1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない前記試験試料の第2の部分を未刺激の試験試料として保持することと、
b)前記刺激された試験試料の細胞質から核への第1のNF-kB核移行のレベルを測定することと、
c)前記未刺激の試験試料の細胞質から核への第2のNF-kB核移行のレベルを測定することであって、前記刺激された試料及び前記未刺激の試料からの細胞が、同じ細胞型のものである、測定することと、
d)前記第1のNF-kB核移行のレベルを前記第2のNF-kB核移行のレベルと比較することによって、前記試験試料における前記変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記対象の対照試料における前記変化したNF-kB核移行のレベルを測定することが、
a)前記対照試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された対照試料を得ることと、前記1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない前記対照試料の第2の部分を未刺激の対照試料として保持することと、
b)前記刺激された対照試料の細胞質から核への第3のNF-kB核移行のレベルを測定することと、
c)前記未刺激の対照試料の細胞質から核への第4のNF-kB核移行のレベルを測定することであって、前記刺激された試料及び前記未刺激の試料からの細胞が、同じ細胞型のものである、測定することと、
d)前記第3のNF-kB核移行のレベルを前記第4のNF-kB核移行のレベルと比較することによって、前記対照試料における前記変化したNF-kB核移行のレベルを測定することと、を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記癌が、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、脳(神経膠腫)、膠芽腫、乳癌、結腸直腸癌/結腸癌、前立腺癌、非小細胞肺癌を含む肺癌、胃癌、子宮内膜癌、黒色腫、膵臓癌、肝癌、腎臓癌、扁平上皮癌、卵巣癌、肉腫、骨肉腫、甲状腺癌、膀胱癌、頭頸部癌、精巣癌、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、髄芽腫、神経芽腫、子宮頸癌、腎癌、尿路上皮癌、外陰癌、食道癌、唾液腺癌、上咽頭癌、口腔癌、口の癌、及びGIST(消化管間質腫瘍)から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記MALT1媒介性疾患が、関節炎、炎症性腸疾患、胃炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、膵炎、クローン病、セリアック病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、痛風、臓器若しくは移植片拒絶反応、慢性同種移植拒絶反応、急性若しくは慢性移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、皮膚筋炎、乾癬、ベーチェット病、ブドウ膜炎、重症筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、シェーグレン症候群、水疱形成障害、抗体媒介性血管炎症候群、免疫複合体性血管炎、アレルギー障害、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、肺炎、肺水腫を含む肺疾患、塞栓症、線維症、サルコイドーシス、高血圧症及び気腫、珪肺症、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群、BENTA病、ベリリウム症、並びに多発性筋炎から選択される免疫疾患である、請求項3に記載の方法。
【請求項10】
前記1つ又は2つ以上の刺激剤が、IL-1α、IL-1β、TNF-α、リポ多糖(LPS)、エキソトキシンB、ホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン、TLRアゴニスト、抗CD3抗体、抗CD8抗体、抗IgM抗体、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記試験試料又は前記対照試料が、前記刺激剤のうちの1つ又は2つ以上と約1~12時間、約1~10時間、約1~9時間、又は約1~8時間接触される、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記対象の試料における細胞の前記細胞質から前記核への前記NF-kB核移行が、フローサイトメトリー、好ましくは画像化フローサイトメトリー(IFC)、発光分析、化学発光分析、組織化学、及び蛍光顕微鏡検査から選択される蛍光に基づくアッセイによって測定される、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記第2の治療薬が、BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)阻害剤、SYK阻害剤、PKC阻害剤、PI3K経路阻害剤、BCLファミリー阻害剤、JAK阻害剤、PIMキナーゼ阻害剤、B細胞抗原結合抗体、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
前記MALT1阻害剤が、式(I)の化合物であって、
【化1】
式中、
は、
i)フルオロ又はアミノ置換基で任意選択で置換されたナフタレン-1-イル、
並びに
ii)O、N、及びSからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する9~10員のヘテロアリール、からなる群から選択され、その結果、1個以下のヘテロ原子がO又はSであり、前記ii)のヘテロアリールは、任意選択で、独立して、重水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、メトキシメチル、ジフルオロメチル、1,1-ジフルオロエチル、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、1-エトキシエチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチルチオ、シアノ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、4-オキソテトラヒドロフラン-2-イル、5-オキソピロリジン-2-イル、1,4-ジオキサニル、アミノカルボニル、メチルカルボニル、メチルアミノカルボニル、オキソ、1-(t-ブトキシカルボニル)アゼチジン-2-イル、N-(メチル)ホルムアミドメチル、テトラヒドロフラン-2-イル、3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、3-ヒドロキシアゼチジニル、アゼチジン-3-イル、又はアゼチジン-2-イルから選択される1つ又は2つの置換基で置換され、
は、C1~4アルキル、1-メトキシ-エチル、ジフルオロメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、及びトリフルオロメチルからなる群から選択され、
は、N又はC(R)であり、
は、N又はC(R)であり、その結果、いかなる場合にも、G及びGのうちの1つのみがNであり、
は、独立して、トリフルオロメチル、シアノ、C1~4アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチルカルボニル、メチルチオ、メチルスルフィニル、及びメタンスルホニルからなる群から選択され、又はGがNである場合、Rは、C1~4アルコキシカルボニルから更に選択され、
は、
i)GがNである場合、水素、
ii)C1~4アルコキシ、
iii)シアノ、
iv)シクロプロピルオキシ、
v)トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、2-アミノ-ピリミジン-4-イル、2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-2-イル、2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-2-イル、3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル、1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-1-イルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、前記ヘテロアリールは、独立して、オキソ、C1~4アルキル、カルボキシ、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、ヒドロキシメチル、アミノメチル、(ジメチルアミノ)メチル、アミノ、メトキシメチル、トリフルオロメチル、アミノ(C2~4アルキル)アミノ、又はシアノから選択される1つ又は2つの置換基で任意選択で置換される、ヘテロアリール、
vi)1-メチル-ピペリジン-4-イルオキシ、
vii)4-メチル-ピペラジン-1-イルカルボニル、
viii)(4-アミノブチル)アミノカルボニル、
ix)(4-アミノ)ブトキシ、
x)4-(4-アミノブチル)-ピペラジン-1-イルカルボニル、
xi)メトキシカルボニル、
xii)5-クロロ-6-(メトキシカルボニル)ピリジン-3-イルアミノカルボニル、
xiii)1,1-ジオキソ-イソチアゾリジン-2-イル、
xiv)3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾール-1-イル、
xv)2-オキソピロリジン-1-イル、
xvi)(E)-(4-アミノブタ-1-エン-1-イル-アミノカルボニル、
xvii)ジフルオロメトキシ、及び
xviii)モルホリン-4-イルカルボニル、からなる群から選択され、
は、独立して、水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、メトキシ、メチルスルホニル、シアノ、C1~4アルキル、エチニル、モルホリン-4-イル、トリフルオロメチル、ヒドロキシエチル、メチルカルボニル、メチルスルフィニル、3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、3-ヒドロキシアゼチジニル、アゼチジン-3-イル、アゼチジン-2-イル、メチルチオ、及び1,1-ジフルオロエチルからなる群から選択されるか、
あるいは、R及びRが、一緒になって、8-クロロ-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、8-クロロ-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、2-メチル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル、4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル、2,3-ジヒドロ-[1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-5-イル、1,3-ジオキソロ[4,5]ピリジン-5-イル、1-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル、2,2-ジメチルベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル、1-オキソイソインドリン-5-イル、又は2-メチル-1-オキソイソインドリン-5-イル、1H-インダゾール-5-イルを形成することができ、
は、水素、C1~4アルキル、フルオロ、2-メトキシ-エトキシ、クロロ、シアノ、又はトリフルオロメチルであり、
は、水素又はフルオロであり、
但し、式(I)の化合物は、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、2H-1,2,3-トリアゾール-2-イルであり、Gが、Nであり、Rが、水素である、化合物、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、1H-イミダゾール-1-イルであり、Gが、Nであり、Rが、クロロである、化合物、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、1H-1,2,3-トリアゾール-1-イルであり、Gが、Nであり、Rが、水素である、化合物、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、水素であり、Gが、Nであり、Rが、フルオロである、化合物、以外であることを条件とする、式(I)の化合物、
又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、若しくは医薬的に許容される塩形態である、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記MALT1阻害剤が、式(II)で表される、1-(1オキソ-1,2ジヒドロイソキノリン-5イル)-5(トリフルオロメチル)-N-[2(トリフルオロメチル)ピリジン-4イル]-1H-ピラゾール-4カルボキサミド、
【化2】
又はその溶媒和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
対象において癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法であって、
a)対象の試験血液試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された試料を得、前記1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない対象の試験血液試料の第2の部分を未刺激の試料として保持することであって、前記試験血液試料は、MALT1阻害剤に以前に曝露されている、ことと、
b)前記刺激された試料中のPBMCの細胞質から核への第1のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)前記未刺激の試料中のPBMCの細胞質から核への第2のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、前記未刺激の試料及び前記刺激された試料中の前記PBMCが、同じ細胞型のものである、測定することと、
d)前記第1のレベルを前記第2のレベルと比較して、前記試験血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルを得ることと、
e)前記試験血液試料における前記変化したNF-κB核移行のレベルを、対照血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、
f)前記試験試料が、前記変化したNF-kB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、前記対象に約1mg~約1000mgの用量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む、方法。
【請求項17】
癌又はMALT1媒介性疾患に罹患している対象におけるMALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度を修正する方法であって、
a)対象の試験血液試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された試料を得、前記1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない対象の試験血液試料の第2の部分を未刺激の試料として保持することであって、前記試験血液試料は、MALT1阻害剤に以前に曝露されている、ことと、
b)前記刺激された試料中のPBMCの細胞質から核への第1のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)前記未刺激の試料中のPBMCの細胞質から核への第2のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、前記未刺激の試料及び前記刺激された試料中の前記PBMCが、同じ細胞型のものである、測定することと、
d)前記第1のレベルを前記第2のレベルと比較して、前記試験血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルを得ることと、
e)前記試験血液試料における前記変化したNF-κB核移行のレベルを、対照血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、
f)前記試験試料が、前記変化したNF-kB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、前記対象に約1mg/日~約1000mg/日の有効量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2019年11月22日出願の米国特許仮出願第62/939,022号の優先権を主張し、参照によりその開示の全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本出願は、NF-κB移行アッセイ、並びにMALT1(mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma translocation 1、粘膜関連リンパ組織リンパ腫転座1)阻害剤の有効性を予測し、対象における治療方法を設計する際における、そのようなアッセイの使用に関する。具体的には、本出願は、対象の刺激された末梢血単核細胞(peripheral blood mononuclear cell、PBMC)におけるNF-κB核移行の抑制を測定することによって、対象におけるMALT1阻害剤の薬力学的効果を評価するためのアッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
核因子-カッパB転写因子(nuclear factor-kappaB、NF-κB)複合体は、細胞増殖、生存、及び薬物耐性において重要な遺伝子を調節する。哺乳動物におけるNF-κB転写因子ファミリーは、5つのタンパク質、p50、p52、p65、Rel-B、及びc-Relからなり、互いに会合して、別個の転写活性のあるホモ及びヘテロ二量体複合体を形成する。未刺激の細胞では、NF-κB複合体は、κBの阻害剤(inhibitor of κB、IκB)によって血漿中で不活性化状態に保持される。通常、細胞の外側から来るシグナルによって活性化される場合、IκBキナーゼ(IκB kinase、IKK)は、IκBをリン酸化し、IκBの分解と、核への移行及び標的遺伝子の活性化のためのNF-κB複合体の放出とにつながる。NF-κB複合体の核移行は、細胞外刺激を特異的標的遺伝子の転写活性化に連結させる重要なステップである。
【0004】
NF-κB経路の異常な活性は、異なる種類のB細胞非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma、NHL)及び慢性リンパ性白血病(chronic lymphocytic leukemia、CLL)などの多くの疾患の病因と一体であることが知られている。NF-κBシグナル伝達の構成的活性化は、活性化B細胞様サブタイプのびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma of the activated B cell-like、ABC-DLBCL)の特徴であり、このサブタイプは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma、DLBCL)のより攻撃的な形態である。DLBCLは、リンパ腫症例の約25%を占める非ホジキンリンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma、NHL)の最も一般的な形態であり、ABC-DLBCLはDLBCLの約40%を構成する。NF-κB経路の活性化は、ABC-DLBCL患者におけるCD79A、CD79B、CARD11、MYD88、及びA20の1つ又は2つ以上の遺伝子における変異などのシグナル伝達成分の変異によって駆動され得る。
【0005】
MALT1(粘膜関連リンパ組織リンパ腫転座1)は、古典的なNF-κBシグナル伝達経路の重要なメディエーターである。MALT1は、次の2つの機序によってNF-κBシグナル伝達に影響を与える:(1)MALT1は、足場タンパク質として機能し、TRAF6、TAB-TAK1、又はNEMO-IKKα/βなどのNF-κBシグナル伝達タンパク質を動員し、(2)MALT1は、システインプロテアーゼとして、RelB、A20、又はCYLDなどのNFKBシグナル伝達の負の調節因子を開裂し、それにより、それらを非活性化する。MALT1活性の最終的なエンドポイントは、NF-κB転写因子複合体の核移行及びNF-κBシグナル伝達の活性化である。
【0006】
API2-MALT1癌タンパク質は、NF-κB経路の強力な活性化剤である。それは、MALT1のカルボキシ末端に融合したアポトーシス2(API2又はcIAP2)の阻害剤のアミノ末端を含み、MALTリンパ腫における染色体転座によって作成される。API2-MALT1は、リガンド結合TNF受容体を模倣し、標準的NF-κBシグナル伝達を活性化するための足場として作用するRIP1のTRAF2依存性ユビキチン化を促進する。更に、API2-MALT1は、NF-κB誘導性キナーゼ(NF-κB-inducing inase、NIK)の安定した構成的に活性な断片を開裂及び生成し、それにより非標準的なNF-κB経路を活性化することが示されている。
【0007】
MALT1阻害は、1)代替的な経路阻害薬に耐性のある腫瘍を有する参加者におけるNF-κB活性の抑制を可能にし、2)他のNF-κB阻害剤と組み合わせたときに抑制を増強し、3)特定の遺伝的変異を伴う悪性腫瘍において殺腫瘍性である、可能性があると考えられている。BTκ阻害剤、例えばイブルチニブの使用は、ABC-DLBCLにおけるNF-κBシグナル伝達の阻害が有効であるとの臨床的な概念実証を提供する。MALT1は、NF-κBシグナル伝達経路においてBTKの下流にあり、MALT1阻害剤は、イブルチニブに応答しないABC-DLBCL患者、例えば、CARD11変異を有する患者を標的化し、かつイブルチニブに対する耐性を獲得した患者を治療することができる。MALT1の小分子阻害剤は、ABC-DLBCLの前臨床モデルにおいて有効性を示した。
【0008】
リンパ腫に加えて、MALT1は、先天性免疫及び適応免疫において重要な役割を果たすことも示されている。研究は、MALT1の阻害が自己免疫疾患の治療に役立ち得ることを示唆している。例えば、MALT1プロテアーゼ活性の薬理学的阻害は、多発性硬化症のマウスモデルにおいてマウスを保護することが報告された。
【0009】
MALT1阻害剤(MI-2)は、CLL細胞におけるNF-κBタンパク質の核移行を抑制することが示された。アッセイは、酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunosorbent assay、ELISA)を介して、インビトロにてMALT1阻害剤で処理したCLL細胞におけるNF-κBタンパク質(p50及びRelB)の核レベルを測定することによって実施された。MALT1阻害剤(MI-2)は、定量的RT-PCRによって測定して、インビトロにてMALT1阻害剤で処理したCLL細胞における6つの既知のNF-κB標的遺伝子(CCND2、BCL2A、CCL3、CCL4、RGS1、及びTNF)の発現を有意に低減することも示された。MALT1阻害剤による治療は、試験した2つのABC-DLBCL株におけるNF-κB標的遺伝子シグネチャにおいて有意な減少を示した。しかしながら、臨床的な文脈では、正常細胞と比較した場合に腫瘍細胞の数が少ないこと、及び癌細胞の不均一性を考慮すると、腫瘍細胞におけるNF-κBの核移行の検出又はNF-κB標的遺伝子発現の測定は、大きな課題を提示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
臨床的な文脈においてMALT1阻害剤の薬力学的効果を評価し、対象がMALT1阻害剤治療に応答するかどうかを決定するための再現可能かつ比較的安価な方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願は、対象の試料におけるNF-κB核移行の程度を測定することによって、MALT1阻害剤の薬力学的効果を評価する方法に関する。核移行は、MALT1阻害剤に曝露された対象の細胞の核におけるNF-κBサブユニットp50、p52、RelA、RelB、及びc-Relのうちのいずれか1つのレベルを決定することによって測定され得る。本明細書に開示される方法は、リンパ腫又は自己免疫疾患などのMALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象におけるMALT1阻害剤に対する応答を決定又は予測するために使用され得る。したがって、本出願の方法は、MALT1阻害剤に応答する対象を特定し、MALT1阻害剤療法を受けている対象についての治療決定を誘導し、かつ/又は進行中のMALT1阻害剤療法の有効性を監視するための情報を提供する。
【0012】
本出願の一般的な一態様では、対象におけるMALT1阻害剤に対する応答を予測する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することであって、試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルの減少が、対象におけるMALT1阻害剤に対するポジティブな応答を予測するものである、比較することと、を含む。
【0013】
別の実施形態では、対象における進行中のMALT1阻害剤療法の有効性を監視する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することであって、試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルの減少が、対象におけるMALT1阻害剤療法の有効性を示す、比較することと、を含む。
【0014】
別の実施形態では、対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することと、(d)試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合は、対象により低用量のMALT1阻害剤を投与し、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合は、対象により高用量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む。
【0015】
別の実施形態では、対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することと、(d)試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合は、対象に有効量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む。
【0016】
別の実施形態では、対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療するための薬物レジメンを設計する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することと、(d)試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合は、対象に第2の治療薬を投与することと、を含む。
【0017】
別の実施形態では、癌又はMALT1媒介性疾患に罹患している対象におけるMALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度を修正する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することと、(d)試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合は、MALT1阻害剤の投与頻度を減少させ、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合は、MALT1阻害剤の投与頻度を増大させることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
上記の概要、及び本出願の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読むことでより良く理解されるであろう。しかしながら、本出願は、図面に示される実施形態そのものに限定されないことを理解するべきである。
図1A】化合物A対対照(DMSO)で処理した細胞における、抗CD3及び抗CD-28抗体による刺激時の、経時的な、正常血液(図1A)又はNHL血液(図1B)中のCD69を発現するT細胞のパーセンテージを示すグラフである。
図1B】化合物A対対照(DMSO)で処理した細胞における、抗CD3及び抗CD-28抗体による刺激時の、経時的な、正常血液(図1A)又はNHL血液(図1B)中のCD69を発現するT細胞のパーセンテージを示すグラフである。
図2】化合物Aの濃度を増加させて処理したNHL血液試料における、p50(NF-κBのサブユニット)の核濃縮による全T細胞の頻度の倍率変化を示すグラフである。
図3】化合物A対対照(DMSO)で処理された、未刺激の、及び抗IgMで刺激されたB細胞のp50核インデックスを示すグラフである。
図4】化合物A対対照(DMSO)で処理された、未刺激の、及び抗IgMで刺激された細胞の、CLL B細胞における核p50のパーセンテージを示すグラフである。
図5】化合物A対対照(DMSO)で処理された、未刺激の、及び抗IgMで刺激された細胞の、CLL T細胞における核p50のパーセンテージを示すグラフである。
図6A】化合物Aで処理したNHL(図6A)及びCLL(図6B)ドナー試料におけるCXCL10発現レベルを示すグラフである。
図6B】化合物Aで処理したNHL(図6A)及びCLL(図6B)ドナー試料におけるCXCL10発現レベルを示すグラフである。
図7】化合物Aで処理したNHLドナー試料からの精製されたT細胞及び精製された末梢血単核細胞(PBMC)中のIL2発現レベルを示すグラフである。
図8A】化合物Aで処理したNHLドナー試料からの精製されたPBMCにおけるNF-κB2(図8A)、TNFSF10(図8B)、APOE(図8C)、及びPYCARD(図8D)発現レベルを示すグラフである。PBMCは、未刺激であった。
図8B】化合物Aで処理したNHLドナー試料からの精製されたPBMCにおけるNF-κB2(図8A)、TNFSF10(図8B)、APOE(図8C)、及びPYCARD(図8D)発現レベルを示すグラフである。PBMCは、未刺激であった。
図8C】化合物Aで処理したNHLドナー試料からの精製されたPBMCにおけるNF-κB2(図8A)、TNFSF10(図8B)、APOE(図8C)、及びPYCARD(図8D)発現レベルを示すグラフである。PBMCは、未刺激であった。
図8D】化合物Aで処理したNHLドナー試料からの精製されたPBMCにおけるNF-κB2(図8A)、TNFSF10(図8B)、APOE(図8C)、及びPYCARD(図8D)発現レベルを示すグラフである。PBMCは、未刺激であった。
図9A】異なる刺激剤によるエクスビボでの刺激時の、NHLを有するドナーの末梢血からのT細胞におけるNF-κB移行を示すグラフである。NF-κB核移行についてのT細胞における核インデックスは、DSMOで処理した対照血液試料(対照)、並びに抗CD3及び抗CD28抗体(図9A)並びにホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン(図9B)で刺激された化合物Aで処理した試験血液試料(化合物A)におけるT細胞について、未刺激の試料におけるベースラインレベルに対して補正される(NF-κB Δ核インデックス)。化合物Aで処理した試料におけるNF-κB Δ核インデックスの平均値は、対照のものに対して正規化され、抗CD3及び抗CD28抗体(図9C)並びにホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン(図9D)で刺激された試料についての阻害のパーセンテージとして表される。C及びDのデータは、平均の標準誤差を伴う平均である。
図9B】異なる刺激剤によるエクスビボでの刺激時の、NHLを有するドナーの末梢血からのT細胞におけるNF-κB移行を示すグラフである。NF-κB核移行についてのT細胞における核インデックスは、DSMOで処理した対照血液試料(対照)、並びに抗CD3及び抗CD28抗体(図9A)並びにホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン(図9B)で刺激された化合物Aで処理した試験血液試料(化合物A)におけるT細胞について、未刺激の試料におけるベースラインレベルに対して補正される(NF-κB Δ核インデックス)。化合物Aで処理した試料におけるNF-κB Δ核インデックスの平均値は、対照のものに対して正規化され、抗CD3及び抗CD28抗体(図9C)並びにホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン(図9D)で刺激された試料についての阻害のパーセンテージとして表される。C及びDのデータは、平均の標準誤差を伴う平均である。
図9C】異なる刺激剤によるエクスビボでの刺激時の、NHLを有するドナーの末梢血からのT細胞におけるNF-κB移行を示すグラフである。NF-κB核移行についてのT細胞における核インデックスは、DSMOで処理した対照血液試料(対照)、並びに抗CD3及び抗CD28抗体(図9A)並びにホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン(図9B)で刺激された化合物Aで処理した試験血液試料(化合物A)におけるT細胞について、未刺激の試料におけるベースラインレベルに対して補正される(NF-κB Δ核インデックス)。化合物Aで処理した試料におけるNF-κB Δ核インデックスの平均値は、対照のものに対して正規化され、抗CD3及び抗CD28抗体(図9C)並びにホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン(図9D)で刺激された試料についての阻害のパーセンテージとして表される。C及びDのデータは、平均の標準誤差を伴う平均である。
図9D】異なる刺激剤によるエクスビボでの刺激時の、NHLを有するドナーの末梢血からのT細胞におけるNF-κB移行を示すグラフである。NF-κB核移行についてのT細胞における核インデックスは、DSMOで処理した対照血液試料(対照)、並びに抗CD3及び抗CD28抗体(図9A)並びにホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン(図9B)で刺激された化合物Aで処理した試験血液試料(化合物A)におけるT細胞について、未刺激の試料におけるベースラインレベルに対して補正される(NF-κB Δ核インデックス)。化合物Aで処理した試料におけるNF-κB Δ核インデックスの平均値は、対照のものに対して正規化され、抗CD3及び抗CD28抗体(図9C)並びにホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン(図9D)で刺激された試料についての阻害のパーセンテージとして表される。C及びDのデータは、平均の標準誤差を伴う平均である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
背景技術において、また、本明細書全体を通じて各種刊行物、論文及び特許を引用又は記載し、これら参照文献の各々はその全容が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に含まれる文書、操作、材料、デバイス、物品などの考察は、本発明のコンテキストを与えるためのものである。かかる考察は、これらの事物のいずれか又は全てが、開示又は特許請求されるいずれかの発明に対する先行技術の一部を構成することを容認するものではない。
【0020】
特に規定のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者に一般的に理解されるのと同じ意味を有する。そうでない場合、本明細書で使用される特定の用語は、本明細書に記載される意味を有するものである。
【0021】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、単数形「a」、「an」及び「the」は、特に文脈上明らかでない限り、複数の指示対象物を含むことに留意する必要がある。
【0022】
本明細書で使用するとき、「約」という用語は、当業者によって決定される特定の値について許容される誤差範囲内であることを意味し、これは、その値が測定又は決定される方法、すなわち、測定システムの制限事項にある程度依存する。特定のアッセイ、結果、又は実施形態の文脈において実施例又は明細書のその他の箇所に別途明示的に記載のない限り、「約」は、当該技術分野の実施に従う1つの標準偏差又は10%までの範囲のいずれか大きい方の範囲内であることを意味する。
【0023】
本明細書で使用するとき、複数の列挙された要素間の「及び/又は」という接続的な用語は、個々の及び組み合わされた選択肢の両方を包含するものとして理解される。例えば、2つの要素が「及び/又は」によって接続される場合、第1の選択肢は、第2の要素なしに第1の要素が適用可能であることを指す。第2の選択肢は、第1の要素なしに第2の要素が適用可能であることを指す。第3の選択肢は、第1及び第2の要素が一緒に適用可能であることを指す。これらの選択肢のうちのいずれか1つは、意味に含まれ、したがって、本明細書で使用するとき、「及び/又は」という用語の要件を満たすことが理解される。選択肢のうちの2つ以上の同時適用性もまた、意味に含まれ、したがって、「及び/又は」という用語の要件を満たすことが理解される。
【0024】
本明細書で使用するとき、一連の要素に先行する「少なくとも」という用語は、一連の全ての要素を指すと理解されるべきである。当業者であれば、単なる通常の実験手順を使用するだけで、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態に対して多くの均等物を認識するか、又は確認することができよう。かかる均等物は、本発明によって包含されることが意図される。
【0025】
本明細書で使用するとき、用語「備える(comprises)、「備える(comprising)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contains)」、若しくは「含有する(containing)」、又はこれらの任意の他の変形形態は、述べられている整数又は整数群を含むことが意図されるが、これら以外の他の整数又は整数群を除外するものではなく、非排他的又は非制限的であることが意図されることが理解されよう。例えば、一連の要素を含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの要素のみに限定されるものではなく、明示的に列挙されない、又はそのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、又は装置に本来存在しない他の要素を含んでもよい。更に、明示的に反対に明記されない限り、「又は」は包括的な「又は」を指すものであり、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、Aが真であり(又は存在する)かつBが偽である(又は存在しない)場合、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)場合、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)場合、のいずれか1つによって充足される。
【0026】
本明細書で使用するとき、用語「からなる(consists of)」又は「からなる(consist of)」若しくは「からなる(consisting of)」などの変形は、明細書及び特許請求の範囲全体にわたって使用するとき、任意の列挙された整数又は整数群を包含するが、追加の整数又は整数群が、指定の方法、構造、又は組成物に追加されることはないことを示す。
【0027】
本明細書で使用するとき、用語「から本質的になる(consists essentially of)」又は「から本質的になる(consist essentially of)」若しくは「から本質的になる(consisting essentially of)」などの変形は、明細書及び特許請求の範囲全体にわたって使用するとき、任意の列挙された整数又は整数群を包含し、任意選択で、指定の方法、構造、又は組成物の基本的又は新規の特性を実質的に変化させない任意の列挙された整数又は整数群も包含することを示す。M.P.E.P.§2111.03を参照されたい。
【0028】
「予測する」という用語は、本明細書では、患者が薬物(治療薬)又は薬物のセット又は治療レジメンに対して良好又は非良好に応答する可能性を指すために使用される。一実施形態では、予測は、患者が治療、例えば、特定の治療薬による治療の後に生存又は改善する可能性及び/又は確率に関する。
【0029】
本明細書で使用するとき、「試料」という用語は、例えば、物理的、生化学的、化学的、及び/又は生理学的特性に基づいて、特徴付け及び/又は特定される細胞及び/又は他の分子実体を含有する目的とする対象から得られるか又は由来する組成物を指す。
【0030】
本明細書で使用するとき、「対象」は、任意の動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを意味する。本明細書で使用するとき、「哺乳動物」という用語は、あらゆる哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、これらに限定されるものではないが、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、サル、ヒトなど、より好ましくはヒトが挙げられる。
【0031】
本明細書で使用するとき、「刺激された細胞」、「刺激された試料」、「刺激された試験血液試料」、又は「刺激された対照血液試料」は、本出願の方法によって分析又は測定される前に、インビトロで1つ又は2つ以上の刺激剤に曝露されたか、又はそれらで処理された細胞、試料、試験血液試料、又は対照血液試料をそれぞれ指す。刺激剤は、NF-κB経路を活性化する任意の薬剤であり得る。
【0032】
本明細書で使用するとき、「試験試料」又は「試験血液試料」は、MALT1阻害剤に曝露された試料又は血液試料を指す。本明細書で使用するとき、「対照試料」又は「対照血液試料」は、MALT1阻害剤に曝露されていないか、又はMALT1阻害剤によってもはや影響を受けないことが知られている試料又は血液試料を指す。
【0033】
本明細書で使用するとき、癌などの疾患又は障害についての「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、以下のうちの1つ又は2つ以上を達成することを指す:障害の重篤度及び/若しくは期間を低減する、治療される障害に特徴的な症状の悪化を阻害する、以前に障害を有していた対象における障害の再発を制限若しくは予防する、又は以前に障害について症候性であった対象における症状の再発を制限若しくは予防する。
【0034】
本明細書で使用するとき、「未刺激の細胞」、「未刺激の試料」、「未刺激の試験血液試料」、又は「未刺激の対照血液試料」は、本出願の方法によって分析又は測定される前に、インビトロで1つ若しくは2つ以上の刺激剤に曝露されないか、又はそれらで処理されていない細胞、試料、試験血液試料、又は対照血液試料をそれぞれ指す。刺激剤は、NF-κB経路を活性化する任意の薬剤であり得る。
【0035】
「全血」という用語は、個体から得られた任意の全血試料を指す。典型的には、全血は、全ての血液成分、例えば、細胞成分及び血漿を含有する。哺乳動物から全血を得るための方法は、当該技術分野で周知である。
【0036】
方法
MALT1阻害剤を投与された対象におけるNF-κB核移行を監視する方法が本明細書に開示される。本発明はまた、治療又は診断の方法で使用するためのMALT1阻害剤を提供する。本開示のそれぞれの及び全ての方法について、本発明は、その治療方法又は診断方法で使用するためのMALT1阻害剤に関する更なる実施形態を提供する。
【0037】
そのような方法を用いることにより、MALT1阻害剤に対する応答、あるいはMALT1阻害剤の薬力学的効果(例えば、薬物濃度又は用量と、薬物学的反応又は毒物学的反応との関係)を対象において評価することができる。本明細書に開示される方法は、迅速で、高度に再現性があり、比較的安価である。更に、本出願に開示される方法は、MALT1阻害剤での治療に適した対象を特定し、MALT1阻害剤療法を受けている対象についての治療決定を誘導し、かつ/又は進行中のMALT1阻害剤療法の有効性を監視するために使用することができる。更に、本明細書に開示される方法は、腫瘍細胞におけるNF-κBの核移行を監視することに限定されない。
【0038】
NF-κB核移行とは、p50、p52、p65、Rel-B、及びc-Relからなる群から選択される1つ又は2つ以上のNF-κBタンパク質の、対象の細胞の細胞質から核への移行を指す。NF-κBの移行は、細胞外刺激を特異的標的遺伝子の転写活性化に連結させる重要なステップである。NF-κB核移行のレベルは、ハイコンテントスクリーニング(high content screening、HCS)、ハイコンテント分析(HCS)、ハイコンテントイメージング(High Content Imaging、HCI)、又はイメージサイトメトリー(Image Cytometry、IC)としてより良好に知られている自動蛍光顕微鏡コンピュータ支援画像分析技術など、本開示を考慮して、任意の好適な方法を使用して測定することができる。
【0039】
いくつかの実施形態では、対象におけるMALT1阻害剤に対する応答を予測する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することであって、試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルの減少が、対象におけるMALT1阻害剤に対するポジティブな応答を予測するものである、比較することと、を含む。
【0040】
別の実施形態では、対象における進行中のMALT1阻害剤療法の有効性を監視する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することであって、試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルの減少が、対象におけるMALT1阻害剤療法の有効性を示す、比較することと、を含む。
【0041】
本明細書で開示される方法のうちのいずれにおいても、対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することは、
a)対象の試験試料を得ることと、
b)試験試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された試験試料を得ることと、
c)1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない試験試料の第2の部分を、未刺激の試験試料として保持することと、
d)刺激された試験試料の細胞質から核への第1のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
e)未刺激の試験試料の細胞質から核への第2のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、刺激された試料及び未刺激の試料からの細胞が、同じ細胞型のものである、測定することと、
e)第1のNF-κB核移行のレベルを第2のNF-κB核移行のレベルと比較することによって、試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、を含む。
【0042】
本明細書に開示される方法のうちのいずれにおいても、対照試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを測定することは、上記と同様のステップを含み、以下:
a)対象の対照試料を得ることと、
b)対照試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された対照試料を得ることと、
c)1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない対照試料の第2の部分を、未刺激の対照試料として保持することと、
c)刺激された対照試料の細胞質から核への第3のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
d)未刺激の対照試料の細胞質から核への第4のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、刺激された試料及び未刺激の試料からの細胞が、同じ細胞型のものである、測定することと、
e)第3のNF-κB核移行のレベルを第4のNF-κB核移行のレベルと比較することによって、対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、対照試料中の変化したNF-κB核移行のレベルが保存され、その情報は引き出され、本出願の方法における対照として使用されることができる。ある特定の実施形態では、対照血液試料における変化したNF-κB核移行の決定されたレベルは、対象の医療記録の一部として保存され得る。
【0044】
試験試料及び対照試料中の変化したNF-κB核移行のレベルが得られると、変化したレベルをその2つの間で比較することができる。対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料と比較することにより、当業者は、
・対象におけるMALT1阻害剤に対する応答を予測することができる。
・対象における進行中のMALT1阻害剤療法の有効性を監視することができる。
・対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療することができる。
・対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療するための薬物レジメンを設計することができる。
・対象におけるMALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度を修正することができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、対照試料と比較した場合の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルにおける減少は、対象におけるMALT1阻害剤に対するポジティブな応答を予測する。
【0046】
いくつかの実施形態では、対照試料と比較した場合の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルにおける減少は、対象におけるMALT1阻害剤療法の有効性を示す。
【0047】
いくつかの実施形態では、対照試料と比較した場合に、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合、より低用量のMALT1阻害剤を対象に投与することができる。
【0048】
いくつかの実施形態では、対照試料と比較した場合に、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、より高用量のMALT1阻害剤を対象に投与することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、対照試料と比較した場合に、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、第2の治療薬を対象に投与することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、対照試料と比較した場合に、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合、対象におけるMALT1阻害剤の投与頻度を減少させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、対照試料と比較した場合に、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、MALT1阻害剤の投与頻度を増大させることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、試験試料は、MALT1阻害剤に曝露された対象の試料であり、対照試料は、MALT1阻害剤に曝露されていない対象の試料である。好ましくは、試験試料及び対照試料は、同じ対象、対象に由来する。
【0053】
いくつかの実施形態では、試験試料は、インビトロでMALT1阻害剤に曝露された対象の試料であり得る。例えば、試料は、ヒト対象がMALT1阻害剤を投与される前に当該対象から得られる。そのような試料は、試験試料を得るために、インビトロでMALT1阻害剤に接触させることができる。ある特定の実施形態では、対象の試料は、MALT1阻害剤と、約1~約16時間、約1~約12時間、約1~約10時間、又は約1~約8時間接触又はインキュベートされる。非限定的な例としては、試験試料を得るために、約2、4、8、9、10、11、12、13、14、15、又は16時間、好ましくは、37℃を含む。MALT1阻害剤は、約1~約500マイクロモル、約1~約400マイクロモル、約1~約300マイクロモル、約1~約200マイクロモル、又は約1~約100マイクロモルの濃度で試料と接触させることができる。得られた試験試料は、1つ又は2つ以上の刺激剤に曝露させることができ、変化したNF-κB核移行のレベルは、本明細書に記載されるように測定され得る。試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを測定することにより、対象におけるMALT1阻害剤に対する応答を予測することができる。
【0054】
いくつかの実施形態では、試験試料は、インビボでMALT1阻害剤に曝露される対象の試料であり得る。例えば、試料は、ヒト対象にMALT1阻害剤を投与した後に当該対象から得られる。好ましくは、試料は、対象にMALT1阻害剤を約0.1mg~約3000mg、約1mg~約1000mg、又は約10mg~約500mgの用量で投与した後に、対象から得られる。対象からの試料は、MALT1阻害剤の投与の後、少なくとも3時間、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも24時間、又はそれ以上の後に得ることができる。得られた試験試料は、1つ又は2つ以上の刺激剤に曝露させることができ、変化したNF-κB核移行のレベルは、本明細書に記載されるように測定され得る。試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを測定することにより、対象におけるMALT1阻害剤に対する応答を予測することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、対象の試料は、任意の細胞又は組織であり得る。いくつかの実施形態では、対象の試料は、正常細胞、正常組織、腫瘍細胞、腫瘍組織、又は任意の悪性細胞であり得る。いくつかの実施形態では、対象の試料は、全血である。いくつかの実施形態では、対象の試料は、全血から単離された末梢血単核細胞(PBMC)であり得る。いくつかの実施形態では、試験試料は、MALT1阻害剤を投与された対象から得られた全血又はPBMCである。いくつかの実施形態では、対照試料は、MALT1阻害剤を投与する前に対象から得られた全血又はPBMCである。いくつかの実施形態では、試験試料及び対照試料は、同じ対象からのものである。いくつかの実施形態では、試験試料及び対照試料は、同じ細胞型のものである。
【0056】
本明細書に開示される方法のいずれにおいても、対象の試料(試験又は対照試料)を取得した後、試料を部分に分割し、1つ又は2つ以上の刺激剤で処理して、刺激された試験試料又は刺激された対照試料を得ることができる。未処理のものは、未刺激の試験試料又は未刺激の対照試料としての役割を果たす。
【0057】
NF-κB経路を活性化することができる任意の刺激剤を使用して、対象の試験試料又は対照試料を刺激することができる。一実施形態では、刺激剤は、IL-1α、IL-1β、TNF-αなどの炎症誘発性サイトカイン、リポ多糖(lipopolysaccharide、LPS)、エキソトキシンB、ホルボールミリステートアセテート(phorbol myristate acetate、PMA)/イオノマイシンなどの細菌毒素、CpGなどのTLRアゴニスト、抗CD3抗体、抗CD8抗体、及び抗IgM抗体、又は抗体の抗原結合断片、並びにそれらの組み合わせ、からなる群から選択される。好ましくは、抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つ、より好ましくは、抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片の両方が、対象の試料を活性化するために使用される。別の実施形態では、抗IgM抗体又はその抗原結合断片は、対象の試料を活性化するための刺激剤として使用される。
【0058】
ある特定の実施形態では、試験試料又は対照試料を、刺激剤のうちの1つ又は2つ以上と約1~12時間、約1~10時間、約1~9時間、又は約1~8時間接触させる。非限定的な例は、刺激された試験試料又は刺激された対照試料を得るために、約1、2、3、4、5、6、7、8、又は9時間、好ましくは、37℃を含む。
【0059】
刺激された対照の試料及び未刺激の対照の試料が得られたら、対象の試料における細胞の細胞質から核へのNF-κB核移行のレベルが、フローサイトメトリー、好ましくは画像化フローサイトメトリー(imaging flow cytometry、IFC)、発光分析、化学発光分析、組織化学、蛍光顕微鏡検査などの任意の蛍光に基づくアッセイによって測定され得る。
【0060】
ある特定の実施形態では、対象の細胞の細胞質から核へのNF-κB核移行は、a)細胞を固定することと、b)任意選択で、細胞に特異的な表面抗原に対して少なくとも1つの蛍光抗体で細胞を染色することと、c)細胞を透過処理することと、d)細胞を核染色で染色することと、e)細胞をNF-κBサブユニットに特異的な抗体と接触させることと、f)蛍光画像化システムを利用して、細胞の細胞質から核へのNF-κB核移行のレベルを決定することと、を含む方法を使用して決定される。
【0061】
いくつかの実施形態では、蛍光タグ付き抗体は、B細胞表面抗原又はB細胞マーカーに対する抗体であり得る。いくつかの実施形態では、蛍光タグ付き抗体は、T細胞表面抗原又はT細胞マーカーに対する抗体であり得る。ある特定の実施形態では、蛍光タグ付き細胞表面抗体は、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD5抗体、抗CD8抗体、抗CD19抗体、及び抗CD20抗体、又は抗体の抗原結合断片からなる群から選択される。
【0062】
ある特定の実施形態では、細胞は、TritonX-100、Tween20、サポニン、ジギトニン、及びメタノールからなる群から選択される試薬で透過処理される。他の試薬もまた、本開示の観点から使用することができる。
【0063】
ある特定の実施形態では、核染色は、4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール(DAPI)、ヨウ化プロピジウム、DRAQ5、DRAQ7、及びHoescht染色などのDNA染色からなる群から選択される。他の好適な核株もまた、本開示の観点から使用することができる。
【0064】
ある特定の実施形態において、NF-κBに特異的な抗体は、p50、p52、p65、Rel-B又はc-Rel、好ましくはp50に特異的な抗体である。
【0065】
いくつかの実施形態では、NF-κBの核移行は、フローサイトメトリー、好ましくは画像化フローサイトメトリー(IFC)、発光分析、化学発光分析、組織化学、蛍光顕微鏡検査などの当該技術分野における任意の蛍光に基づくアッセイによって分析され得る。
【0066】
いくつかの実施形態では、試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを、対照試料中の変化したNF-κB核移行のレベルと比較することは、対象におけるMALT1阻害剤の有効性に関する情報を提供し得る。例えば、対照試料と比較した場合の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルの減少は、MALT1阻害剤が対象において有効であることを示し得る。ある特定の実施形態では、対照試料と比較した場合の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルの減少は、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.9%、若しくはそれ以上、又はそれらの間の任意の範囲(複数可)である。
【0067】
ある特定の実施形態では、本方法は、PBMCの核へのNF-κB核移行のレベルを測定する前に、血液試料からPBMCを濃縮又は単離することを含む。PBMCは、本開示を考慮して、当該技術分野で既知の方法を使用して、全血試料から濃縮又は単離され得る。例えば、血液試料中のPBMCは、PBMCが低密度画分(上限画分)中に残り、赤血球及び顆粒球がより高密度画分(下限画分)中に残る密度勾配遠心分離によって、赤血球及び顆粒球(好中球、好塩基球及び好酸球)から分離され得る。PBMCはまた、目的とするPBMCにおけるNF-κB核移行のレベルの測定の前に、血液試料中の赤血球を溶解することによって富化され得る。
【0068】
PBMCは、細胞の異種集団であり、典型的には、70~90%の範囲のリンパ球、10~20%の単球、1~2%の樹状細胞を含む。リンパ球集団内の細胞型の頻度は、例えば、70~85%のCD3+T細胞、5~10%のB細胞、及び5~20%のNK細胞を含む。1つ又は2つ以上の刺激剤に応答する末梢血中に存在する任意のPBMCは、本明細書に記載の方法で刺激及び分析され得る。ある特定の実施形態では、PBMCは、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、単球、及び樹状細胞からなる群から選択される細胞である。好ましい実施形態では、PBMCはT細胞であり、例えば、CD3+、CD4+及び/又はCD8+であるT細胞であり得る。別の実施形態では、PBMCはB細胞であり、これは、例えば、CD19+B細胞であり得る。
【0069】
ある特定の実施形態では、血液試料のPBMCにおけるNF-κB核移行のレベルは、PBMCの濃縮又は単離をいずれも伴うことなく測定される。他の実施形態では、血液試料のPBMCにおけるNF-κB核移行のレベルは、PBMCが血液試料から濃縮又は単離された後、PBMCから測定される。
【0070】
例示的な一実施形態では、DLBCL又はCLL患者からの全血試料は、抗CD3/抗CD28抗体で刺激される。固定後、細胞表面マーカーCD4、CD8(例えば、DLBCL患者の血液中のT細胞の場合)、及びCD19/CD20(例えば、CLL患者の血液中のB細胞の場合)を蛍光抗体で染色し、続いて細胞透過処理及びHoechst33342及びp50抗体での染色を行い、核及びNF-κBをそれぞれ特定する。MALT1阻害剤が有効である場合、p50核移行は、DLBCL患者から得られた刺激されたT細胞、及びCLL患者由来の悪性B細胞において劇的に遮断されることが見出される。
【0071】
いくつかの実施形態では、対象におけるMALT1阻害剤の有効性はまた、T細胞上のCD69マーカーの発現を測定することによって監視され得る。活性化NF-κB経路はT細胞におけるCD69の発現をもたらすことが知られている。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、MALT1阻害剤を投与された対象のT細胞におけるCD69の発現を監視するために使用され得る。いくつかの実施形態では、方法は、刺激された試験試料中のT細胞からの第1のCD69発現レベルを測定することと、b)未刺激の試験試料中のT細胞から第2のCD69発現レベルを測定することと、c)第1のCD69発現レベルを第2のCD69発現レベルと比較して、試験試料中の変化したCD69発現のレベルを決定することと、d)試験試料中の変化したCD69発現のレベルを対照試料と比較することと、を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、対照試料における変化したCD69発現のレベルは、以下:a)刺激された対照試料中のT細胞からの第3のCD69発現レベルを測定することと、b)未刺激の対照試料中のT細胞からの第4のCD69発現レベルを測定することと、c)第3のCD69発現レベルを第4のCD69発現レベルと比較し、それによって、対照試料中の変化したCD69発現のレベルを決定することと、を含む方法によって、測定される。対照試料における変化したCD69発現のレベルを保存させることができ、保存された情報を取得し、本出願の方法における対照として使用することができる。
【0073】
いくつかの実施形態では、MALT1非依存性マーカーの核移行を監視して、試料中のNF-κB経路の活性化を確認することができる。MALT1非依存性マーカーの例としては、活性化T細胞の核因子(nuclear factor of activated T-cell、NFAT)及びSTAT3が挙げられるが、これらに限定されない。NFATは、免疫応答の調節に関与する転写因子のファミリーである。標準的なNFAT経路は、カルシウム依存性であり、活性化時に、NFATは、ホスファターゼ、カルシニューリンによって脱リン酸化される。これにより、細胞質から核への移行、及びサイトカインIL-2、IL-10、及びIFNγを含む下流の標的遺伝子の転写がもたらされる。対象の試料中の変化したMALT1非依存性マーカーのレベルは、例えば、MALT1阻害剤の存在下又は不在下で、刺激された試料及び未刺激の試料中のMALT1非依存性マーカーの第1のレベル及び第2のレベルをそれぞれ測定し、第1のレベルと第2のレベルを比較することによって決定することができる。ある特定の実施形態では、変化したMALT1非依存マーカーのレベルは、対象の医療記録の一部として保存することができ、本出願の一実施形態による方法における対照として使用することができる。
【0074】
本明細書には、対象を治療するための方法も開示される。いくつかの実施形態では、癌又はMALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象において癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することと、(d)試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合は、対象により低用量のMALT1阻害剤を投与し、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合は、対象により高用量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む。
【0075】
別の実施形態では、対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することと、(d)試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合は、対象に有効量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む。
【0076】
いくつかの実施形態では、癌又はMALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象において癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することと、(d)試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合は、その治療方法を継続し、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合は、その治療方法を中断することと、を含む。
【0077】
いくつかの実施形態では、対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療するための薬物レジメンを設計する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することと、(d)試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合は、対象に第2の治療薬を投与することと、を含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、癌又はMALT1媒介性疾患に罹患している対象におけるMALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度を修正する方法は、(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、(c)対象の試験試料中の変化したNF-κB核移行のレベルを対照試料中の変化したレベルと比較することと、(d)試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合は、MALT1阻害剤の投与頻度を減少させ、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合は、MALT1阻害剤の投与頻度を増大させることと、を含む。
【0079】
いくつかの実施形態では、MALT1媒介性疾患は、癌である。ある特定の実施形態では、癌は、リンパ腫、白血病、癌腫、及び肉腫からなる群から選択される。癌は、例えば、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma、MCL)、濾胞性リンパ腫(follicular lymphoma、FL)、粘膜関連リンパ組織(mucosa-associated lymphoid tissue、MALT)リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(chronic myelogenous leukemia、CML)、小リンパ球性リンパ腫(small lymphocytic lymphoma、SLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、脳(神経膠腫)、膠芽腫、乳癌、結腸直腸癌/結腸癌、前立腺癌、非小細胞肺癌を含む肺癌、胃癌、子宮内膜癌、黒色腫、膵臓癌、肝癌、腎臓癌、扁平上皮癌、卵巣癌、肉腫、骨肉腫、甲状腺癌、膀胱癌、頭頸部癌、精巣癌、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、髄芽腫、神経芽腫、子宮頸癌、腎癌、尿路上皮癌、外陰癌、食道癌、唾液腺癌、上咽頭癌、口腔癌、口の癌、及びGIST(消化管間質腫瘍)からなる群から選択され得る。
【0080】
一実施形態では、ヒト対象は、ホジキンリンパ腫又は非ホジキンリンパ腫(NHL)、好ましくは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、より好ましくは、DLBCLの活性化B細胞様(activated B-cell-like、ABC)サブタイプなどのリンパ腫の治療を必要とする。別の実施形態では、ヒト対象は、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病(CLL)、急性骨髄性白血病、又は慢性骨髄性白血病、好ましくはCLLなどの白血病の治療を必要とする。
【0081】
更に別の実施形態では、MALT1媒介性疾患は、自己免疫疾患及び炎症性疾患、例えば、関節炎、炎症性腸疾患、胃炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、膵炎、クローン病、セリアック病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、痛風、臓器若しくは移植片拒絶反応、慢性同種移植拒絶反応、急性若しくは慢性移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、皮膚筋炎、乾癬、ベーチェット病、ブドウ膜炎、重症筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、シェーグレン症候群、水疱形成障害、抗体媒介性血管炎症候群、免疫複合体性血管炎、アレルギー障害、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease、COPD)、嚢胞性線維症、肺炎、肺水腫を含む肺疾患、塞栓症、線維症、サルコイドーシス、高血圧症及び気腫、珪肺症、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群、BENTA病、ベリリウム症、並びに多発性筋炎を含むがこれらに限定されない免疫疾患である。
【0082】
いくつかの実施形態では、対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法は、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合、より低用量のMALT1阻害剤を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、約1mg、約10mg、約50mg、約100mg、約150mg、約200mg、又は約250mgから選択されるより低用量のMALT1阻害剤を投与され得る。
【0083】
いくつかの実施形態では、対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法は、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、より高用量のMALT1阻害剤を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、対象は、約500mg、約1000mg、又は約3000mgから選択されるより高用量のMALT1阻害剤を投与され得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法は、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合、有効量のMALT1阻害剤を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、MALT1阻害剤の有効量は、約0.1mg~約3000mg、約1mg~約1000mg、又は約10mg~約500mgである。
【0085】
いくつかの実施形態では、対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療するための薬物レジメンを設計する方法は、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、第2の治療薬を対象に投与することを含む。例えば、投与されてもよい第2の治療薬は、イブルチニブなどのBTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)阻害剤、SYK阻害剤、PKC阻害剤、PI3K経路阻害剤、BCLファミリー阻害剤、JAK阻害剤、PIMキナーゼ阻害剤、リツキシマブ又は他のB細胞抗原結合抗体、並びに免疫細胞リダイレクション(redirection)剤(例えば、ブリナツモマブ又はCAR T細胞)、並びにダラツマブ、抗PD1抗体、及び抗PD-L1抗体などの免疫調節剤から選択される。
【0086】
いくつかの実施形態では、癌又はMALT1媒介性疾患に罹患している対象におけるMALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度を修正する方法は、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示す場合、MALT1阻害剤の投与頻度を減少させることを含む。いくつかの実施形態では、対象は、1日1回などのより低い投与頻度でMALT1阻害剤を投与されてもよい。投与され得るMALT1阻害剤の有効量は、約1mg~約1000mgであり得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、癌又はMALT1媒介性疾患に罹患している対象におけるMALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度を修正する方法は、試験試料が変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、MALT1阻害剤の投与頻度を増大させることを含む。いくつかの実施形態では、対象は、1日2回又は1日3回又は1日4回などのより高い投与頻度でMALT1阻害剤を投与され得る。投与され得るMALT1阻害剤の有効量は、約1mg~約1000mgであり得る。
【0088】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるMALT1阻害剤の組成物は、皮下、局所、経口、及び筋肉内などの様々な経路によって対象に投与され得る。組成物の投与は、経口的又は非経口的に達成され得る。非経口送達の方法としては、局所、動脈内(組織へ直接)、筋肉内、皮下、髄内、髄腔内、脳室内、静脈内、腹腔内、又は鼻腔内投与が挙げられる。
【0089】
ある特定の実施形態では、方法は、対象がCD79B遺伝子に変異を有するかどうかを決定することを更に含み得る。ある特定の実施形態では、方法は、対象がCARD11遺伝子に変異を有するかどうかを決定することを更に含む。対象がCD79B又はCARD11遺伝子に変異を有するかどうかを決定する方法は、当該技術分野で既知である。非限定的な例として、遺伝子(例えば、CD79B又はCARD11)を配列決定し、遺伝子の野生型バージョンと比較することができる。
【0090】
本出願の実施形態はまた、MALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象においてMALT1媒介性疾患を治療するのに使用するためのMALT1阻害剤を含み、ここで、MALT1阻害剤は、本出願の実施形態による方法を使用して、対象におけるMALT1媒介性疾患に対して有効であると決定される。
【0091】
本発明は、他の実施形態のうちのいずれか1つに記載の方法で使用するためのMALT1阻害剤に関する。
【0092】
本発明は、他の実施形態のうちのいずれか1つに記載のMALT1媒介性疾患を治療する方法で使用するためのMALT1阻害剤に関する。
【0093】
本発明は、他の実施形態のうちのいずれか1つに記載のMALT1媒介性疾患の治療に使用するためのMALT1阻害剤に関する。
【0094】
本発明は、他の実施形態のうちのいずれか1つに記載のMALT1媒介性疾患の治療に使用するためのMALT1阻害剤に関する。
【0095】
本明細書で提供されるインビボでの診断方法で使用するためのMALT1阻害剤は、ヒト又は動物の身体に対して実施される診断方法で使用するためのMALT1阻害剤を包含し得ることが理解されよう。
【0096】
組成物
本明細書では、MALT1阻害剤の組成物も開示される。いくつかの実施形態では、MALT1阻害剤は、式(I)の化合物であって、
【0097】
【化1】
式中、
は、
i)フルオロ又はアミノ置換基で任意選択で置換されたナフタレン-1-イル、
並びに
ii)O、N、及びSからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する9~10員のヘテロアリール、からなる群から選択され、その結果、1個以下のヘテロ原子がO又はSであり、当該ii)のヘテロアリールは独立して、重水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、メトキシメチル、ジフルオロメチル、1,1-ジフルオロエチル、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、1-エトキシエチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチルチオ、シアノ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、4-オキソテトラヒドロフラン-2-イル、5-オキソピロリジン-2-イル、1,4-ジオキサニル、アミノカルボニル、メチルカルボニル、メチルアミノカルボニル、オキソ、1-(t-ブトキシカルボニル)アゼチジン-2-イル、N-(メチル)ホルムアミドメチル、テトラヒドロフラン-2-イル、3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、3-ヒドロキシアゼチジニル、アゼチジン-3-イル、又はアゼチジン-2-イルから選択される1つ又は2つの置換基で任意選択で置換され、
は、C1-4アルキル、1-メトキシ-エチル、ジフルオロメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、及びトリフルオロメチルからなる群から選択され、
は、N又はC(R)であり、
は、N又はC(R)であり、その結果、いかなる場合にも、G及びGのうちの1つのみがNであり、
は、独立して、トリフルオロメチル、シアノ、C1-4アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチルカルボニル、メチルチオ、メチルスルフィニル、及びメタンスルホニルからなる群から選択され、又はGがNである場合、Rは、C1-4アルコキシカルボニルから更に選択され、
は、
i)GがNである場合、水素、
ii)C1-4アルコキシ、
iii)シアノ、
iv)シクロプロピルオキシ、
v)トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、2-アミノ-ピリミジン-4-イル、2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-2-イル、2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-2-イル、3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル、1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-1-イルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、ヘテロアリールは、独立して、オキソ、C1-4アルキル、カルボキシ、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、ヒドロキシメチル、アミノメチル、(ジメチルアミノ)メチル、アミノ、メトキシメチル、トリフルオロメチル、アミノ(C2-4アルキル)アミノ、又はシアノから選択される1つ又は2つの置換基で任意選択で置換される、ヘテロアリール、
vi)1-メチル-ピペリジン-4-イルオキシ、
vii)4-メチル-ピペラジン-1-イルカルボニル、
viii)(4-アミノブチル)アミノカルボニル、
ix)(4-アミノ)ブトキシ、
x)4-(4-アミノブチル)-ピペラジン-1-イルカルボニル、
xi)メトキシカルボニル、
xii)5-クロロ-6-(メトキシカルボニル)ピリジン-3-イルアミノカルボニル、
xiii)1,1-ジオキソ-イソチアゾリジン-2-イル、
xiv)3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾール-1-イル、
xv)2-オキソピロリジン-1-イル、
xvi)(E)-(4-アミノブタ-1-エン-1-イル-アミノカルボニル、
xvii)ジフルオロメトキシ、及び
xviii)モルホリン-4-イルカルボニル、からなる群から選択され、
は独立して、水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、メトキシ、メチルスルホニル、シアノ、C1-4アルキル、エチニル、モルホリン-4-イル、トリフルオロメチル、ヒドロキシエチル、メチルカルボニル、メチルスルフィニル、3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、3-ヒドロキシアゼチジニル、アゼチジン-3-イル、アゼチジン-2-イル、メチルチオ、及び1,1-ジフルオロエチルからなる群から選択されるか、
あるいは、R及びRが、一緒になって、8-クロロ-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、8-クロロ-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、2-メチル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル、4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル、2,3-ジヒドロ-[1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-5-イル、1,3-ジオキソロ[4,5]ピリジン-5-イル、1-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル、2,2-ジメチルベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル、1-オキソイソインドリン-5-イル、又は2-メチル-1-オキソイソインドリン-5-イル、1H-インダゾール-5-イルを形成することができ、
は、水素、C1-4アルキル、フルオロ、2-メトキシ-エトキシ、クロロ、シアノ、又はトリフルオロメチルであり、
は、水素又はフルオロであり、
但し、式(I)の化合物は、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、2H-1,2,3-トリアゾール-2-イルであり、Gが、Nであり、Rが、水素である、化合物、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、1H-イミダゾール-1-イルであり、Gが、Nであり、Rが、クロロである、化合物、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、1H-1,2,3-トリアゾール-1-イルであり、Gが、Nであり、Rが、水素である、化合物、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、水素であり、Gが、Nであり、Rが、フルオロである、化合物、以外であることを条件とする、式(I)の化合物、
又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、若しくは医薬的に許容される塩形態である。
【0098】
ある特定の実施形態では、本発明に有用なMALT1阻害剤、並びにその構造、生産、生物学的活性、治療用途、投与若しくは送達などの関連する情報は、米国特許出願公開第2018/0170909号及び国際公開第2018/119036号に記載されており、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0099】
いくつかの実施形態では、MALT1阻害剤は、「化合物A」であり、以下の式(II)の構造:
【0100】
【化2】
を有する1-(1-オキソ-1,2ジヒドロイソキノリン-5-イル)-5(トリフルオロメチル)-N-[2(トリフルオロメチル)ピリジン-4-イル]-1H-ピラゾール-4カルボキサミドの化合物、又はその溶媒和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩を指す。ある特定の実施形態では、化合物Aは、式(II)の化合物の一水和物形態である。
【0101】
化合物Aは、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2018/0170909号の実施例158に記載されるように調製することができる。実施例158の手順は、式(II)の化合物の水和物形態を提供すると決定されている。
【0102】
化合物Aは、経口的に生物学的に利用可能であり、強力であり、混合型機構でアロステリック部位に結合する選択的なMALT1阻害剤である。非臨床研究では、化合物Aは、ブルトン型チロシンキナーゼ(Bruton tyrosine kinase、BTK)C481S又はカスパーゼ動員ドメイン含有タンパク質11(CARD11)変異を有する分化抗原群(cluster of differentiation、CD)79b-変異DLBCL及びイブルチニブ耐性DLBCL細胞株の成長をインビトロで阻害することが示されており、インビボでのCD79b及びCARD11-変異ABC-DLBCL異種移植モデルにおける有効性を示している。1μM又は10μMのいずれかの単回用量で、化合物Aは、プロテアーゼ、カスパーゼ、タンパク質キナーゼ、及びGタンパク質共役受容体の有意な結合阻害を示さなかった。
【0103】
化合物Aは、溶媒和物として存在し得る。「溶媒和物」は、水(すなわち、水和物)、又は共通の有機溶媒を伴う溶媒和物であり得る。医薬的に許容される溶媒和物であって、当該溶媒和物が水和物を含み、当該水和物が一水和物を含む、医薬的に許容される溶媒和物の使用は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0104】
化合物Aは、例えば、限定するものではないが、非晶質形態又は溶解状態で製剤化することができ、化合物Aは、ポリエチレングリコール(polyethylene glycol、PEG)ポリマーを用いて非晶質形態で製剤化することができる。
【0105】
当業者は、化合物Aが互変異性体として存在し得ることを認識するであろう。全ての互変異性体形態は、具体的に示されていない場合であっても、化合物の群のうちの1つの可能な互変異性配置が記載されている構造によって包含されることが理解される。
【0106】
例えば、以下:
【0107】
【化3】
は、以下の構造:
【0108】
【化4】
も包含することを理解されたい。
【0109】
任意の好都合な互変異性配置を、化合物を説明する際に利用することができる。
【0110】
MALT1阻害剤は、任意の好適な医薬組成物にて対象に投与することができる。任意の好適な結合剤(複数可)、潤滑剤(複数可)、懸濁剤(複数可)、コーティング剤(複数可)、可溶化剤(複数可)、及びそれらの組み合わせと混合することができる。例えば、本発明の化合物を含む固体経口剤形、例えば、錠剤又はカプセルを、必要に応じて1回につき少なくとも1つの剤形で投与することができる。持続放出性製剤で化合物を投与することも可能である。本発明の化合物が投与され得る追加の経口形態としては、エリキシル剤、液剤、シロップ剤、及び懸濁剤が挙げられ、各々任意選択で香味剤及び着色剤を含有する。あるいは、MALT1阻害剤は、吸入(気管内又は経鼻的に)により、又は座薬若しくはペッサリーの形態で投与することができる。あるいは、ローション、溶液、クリーム、軟膏若しくは散布剤の形態で局所的に塗布することもできる。例えば、当該化合物は、ポリエチレングリコール又は流動パラフィンの水性エマルジョンを含む、それからなる、かつ/又はそれから本質的になるクリームに添加することができる。当該化合物は、クリームの約1重量%~約10重量%の濃度で、必要に応じて任意の安定剤及び保存剤とともにワックス又は軟パラフィン基剤を含む、それからなる、かつ/又はそれから本質的になる軟膏に添加することもできる。投与の代替手段としては、皮膚又は経皮貼付剤を使用することによる経皮投与が挙げられる。
【0111】
MALT1阻害剤の医薬組成物(並びに本発明の化合物単独)は、非経口的に、例えば、陰茎海綿体内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、又は髄腔内に注入することができる。この場合、組成物はまた、好適な担体、適切な賦形剤、及び好適な希釈剤のうちの少なくとも1つを含む。
【0112】
非経口投与について、本発明の医薬組成物は、例えば、溶液を血液と等張にするうえで十分な塩及び単糖などの他の物質を含んでもよい滅菌水溶液の形態で最もよく使用される。口腔又は舌下投与では、本発明の医薬組成物を錠剤又はトローチ剤の形態で投与してもよく、これは従来法で製剤化することができる。
【0113】
更なる例として、活性成分として式(I)又は式(II)の化合物などのMALT1阻害剤を含有する医薬組成物を、従来の製薬学的配合技術に従って、化合物と、医薬的に許容される担体、医薬的に許容される希釈剤、及び/又は医薬的に許容される賦形剤とを混合することによって調製することができる。担体、賦形剤、及び希釈剤は、所望の投与経路(例えば、経口、非経口など)に応じ、広範な形態をとることができる。それゆえに、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤及び溶液などの液体経口製剤の場合、適切な担体、賦形剤及び希釈剤としては、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、防腐剤、安定剤、着色剤及びこれらに類するものが挙げられる。散剤、カプセル剤、及び錠剤などの固体経口製剤の場合、適切な担体、賦形剤及び希釈剤としては、デンプン、糖類、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤及びこれらに類するものが挙げられる。吸収及び崩壊の主要部位を調節するために、固体経口製剤を糖などの物質で任意選択でコーティングするか、又は腸溶性コーティングを施すことができる。非経口投与の場合、担体、賦形剤及び希釈剤は、通常、滅菌水を含み、組成物の溶解度及び保存性を高めるために他の成分を添加してもよい。注射用懸濁剤又は溶剤はまた、水性担体を、適切な添加剤、例えば、可溶化剤及び保存剤とともに使用して、調製することもできる。
【0114】
式(I)若しくは(II)の化合物又はその医薬組成物の治療有効量としては、平均的な(70kgの)ヒトについて1日当たり、約1~約4回のレジメンで、約0.1mg~約3000mgの用量範囲、又はこれに含まれる任意の特定の量若しくは範囲、特に、約1mg~約1000mg、又はこれに含まれる任意の特定の量若しくは範囲、又は更に特定的には、約10mg~約500mg、又はこれに含まれる任意の特定の量若しくは範囲の活性成分を含む用量を含むが、式(I)の化合物の治療有効量は、治療される疾患、症候群、病状、及び障害によって変動することが当業者には明らかである。
【0115】
経口投与では、医薬組成物は、式(I)の化合物を約1.0、約10、約50、約100、約150、約200、約250、及び約500mg含む錠剤の形態で提供されることが好ましい。
【0116】
本発明の一実施形態は、約25mg~約500mgの量で式(I)の化合物を含む、経口投与用医薬組成物を対象とする。
【0117】
有利なことに、式(I)の化合物は、1日用量を単回で投与してもよく、1日の総投与量を1日に2回、3回、及び(4回)での分割用量で投与してもよい。
【0118】
投与される式(I)の化合物の最適な投与量は決定することができ、用いられる具体的な化合物、投与モード、調製物の強度、及び疾患、症候群、病状、又は障害の進行状態によって変動する。加えて、治療される具体的な対象に関連する要因、例えば、対象の性別、年齢、体重、食事及び投与タイミングにより、適切な治療レベル及び所望の治療効果を得るために用量を調節する必要が生じる。したがって、上記の投与量は平均的な場合の例である。当然、これより高いか低い投与量範囲が有効である個々の例が存在する場合があり、これらも本発明の範囲内に含まれる。
【0119】
NF-κBの核移行を測定するためのキットも本明細書に開示される。いくつかの実施形態では、キットは、以下:
・血液試料中のPBMCを刺激するための1つ又は2つ以上の薬剤と、
・PBMCを固定するための1つ又は2つ以上の薬剤と、
・PBMCに特異的な表面抗原に対する1つ又は2つ以上の標識された抗体と、
・PBMCを透過処理するための1つ又は2つ以上の薬剤と、
・PBMCの核を染色するための1つ又は2つ以上の薬剤と、
・NF-κBに特異的な1つ又は2つ以上の標識された抗体と、を含む。
【実施例
【0120】
実施例1:NFκB核移行アッセイのためのT細胞活性化及びPBMC単離
全血(40mL)の試料を、4~10mLのヘパリンチューブにて、リンパ腫ドナーから得た。試料は、Conversant Bio(Huntsville,AL)の収集場所から周囲温度で一晩輸送された。しかしながら、実験室における後続の証拠は、4℃での輸送によって、細胞の応答性をより良好に維持することができることを示唆した。
【0121】
全血試料の6.5mLの各々を、2つの50mLのコニカルチューブ(Corning、カタログ番号430290、Corning,NY)へ移し、10%のHIブーイン胎仔血清(Fetal Bowine Serum、FBS)(Life Technologies、カタログ番号16140~071、Carlsbad,CA)を補充した25mMのHEPES(Life Technologies、カタログ番号72400~047)を伴う室温のRPMI1640培地(Roswell Park Memorial Institute)(RPMI)と1:1で混合した。50mLの試料を含有するコニカルチューブのうちの1つを、200μMの化合物A(200mMのストック;1000X)で処理し、他の50mLのコニカルチューブを、同等の体積のビヒクル対照DMSO(Life Technologies、カタログ番号L34957)で処理した。両方のチューブを十分に混合した。処理された血液混合物を、1ウェルあたり3mLで、6ウェルポリスチレン培養プレート(Falcon、カタログ番号353046)に移し、37℃、5%のCOの加湿インキュベーター内で一晩インキュベートした。
【0122】
一晩インキュベートした後、抗CD3(UCHT1クローン、BioLegend、カタログ番号300465、San Diego,CA)及び抗CD28(ANC28.1クローン、Ancell、カタログ番号177~024、British Columbia,Canada)抗体を、各1μg/mLの最終濃度(1mg/mLのストック;1000X)で、T細胞刺激を必要とするウェルに加えた。1mLのピペットを用いてピペッティングすることによって、溶液を混合した。プレートを、37℃、5%のCOの加湿インキュベーター内で、更に6時間インキュベートした。
【0123】
インキュベーション後、血液混合物を50mLのコニカルチューブに収集し、4℃で5分間1,500rpmで遠心分離した。注意深く、1~2mLの上清(血漿及び培養培地の混合物)を収集し、小さなアリコートで-80℃で凍結した。
【0124】
残りの試料中の末梢血単核細胞(PBMC)を密度勾配遠心分離によって単離した。より具体的には、滅菌リン酸緩衝生理食塩水(PBS(phosphate buffer saline)、Ca++/Mg++フリー、ThermoFisher Scientific、カタログ番号14190~144、Waltham,MA)(10mL)を残りの試料に添加し、混合して、血球を再構成した。次いで、17mLのFicoll Paque(GE Healthcare、カタログ番号17-1440-03、Chicago,IL)を50mLのSepMateチューブ(STEMCELL Technologies、カタログ番号85450、Vancouver,Canada)の下部チャンバに添加し、試料混合物をゆっくりと重層した。SepMateチューブを4℃で10分間2000rpmで遠心分離し、ブレーキをかけた。PBMCを含有する上清を新しい50mLのコニカルチューブに添加し、PBSで1回洗浄した。上清を、4℃で5分間、1,500rpmで遠心分離した。
【0125】
PBMCペレットが大量の赤血球(red blood cell、RBC)を含有する場合、ペレットを10mLの1×RBC溶解緩衝液(Invitrogen、カタログ番号00-4300-54、Carlsbad,CA)中で再構成し、3分間インキュベートし、その後、4℃で1,500rpmで5分間、遠心分離した。上清を吸引し、細胞ペレットが無傷であることを確認した。ペレットを1mLの凍結培地(Life Technologies、カタログ番号12648-010)中で再構成し、後で実施するNF-κB核移行の分析のために、液体窒素で凍結し、次いで、貯蔵した。あるいは、ペレットをPBS中で再構成し、直接、NF-κB核移行分析に供した。
【0126】
実施例2:画像化フローサイトメトリーによるT細胞又はB細胞におけるNF-κB核移行
実験条件で処理した凍結又は新鮮な細胞を得た。例えば、血液試料中のT細胞を活性化し、活性化T細胞を含有するPBMCを、実施例1に記載の方法を使用して単離することができた。あるいは、血液試料中のPBMCを活性化し、単離することなく、直接、画像化フローサイトメトリー分析に供することができた。試料が全血であった場合、この実験における各試験に最低1mLの血液を使用した。しかしながら、1mL未満の全血をアッセイで使用することもできる。試料を凍結した場合、試料を37℃で解凍し、室温のPBS(Life Technologies、カタログ番号14190-136)中、1350rpmで5分間遠心分離することにより、かるく洗浄した。
【0127】
CD4(Miltenyi、カタログ番号130-092-373、Bergisch Gladbach,Germany)及びCD8(BioLegend、カタログ番号301050)(T細胞用)又はCD19(BioLegend、カタログ番号302206)(B細胞用)などの表面マーカー、並びにviability色素(Life Technologies、カタログ番号L10119)について、FACS染色緩衝液(BD、カタログ番号554657)中、室温で15分間、細胞を染色した。細胞を室温で5分間、1350rpmで遠心分離し、上清を廃棄し、細胞をFACS緩衝液で洗浄した。細胞を、室温で5分間、1350rpmで再び遠心分離し、上清を廃棄した。
【0128】
細胞を、CytoFix緩衝液、4.2%のホルムアルデヒド(BD、カタログ番号554655、Franklin Lakes,NJ)中、暗所にて室温で15分間、固定した。固定した細胞を3分間、1350rpmで遠心分離し、上清を廃棄し、固定した細胞をFACS緩衝液で洗浄した。固定した細胞を、室温で5分間、1350rpmで再び遠心分離し、上清を廃棄した。
【0129】
細胞を、室温のPBS中の0.1%のTriton(登録商標)X-100溶液(VWR、カタログ番号0694-1L、Radnor,PA)中で、透過処理した。試料を室温でインキュベートし、光から5分間覆った。細胞を、4℃で5分間、1800rpmで遠心分離した。ペレットを検査し、上清を廃棄した。
【0130】
細胞を、1.5%のBSA(画分V、7.5%の溶液、Life Technologies、カタログ番号15260-037)を伴う冷FACS緩衝液で、15分間、ブロックした。次いで、細胞を、4℃で5分間、1800rpmで遠心分離し、上清を廃棄した。
【0131】
染色溶液は、FACS緩衝液中、Hoechst33342(Thermo Scientific、カタログ番号62249)を10nMに希釈し、p50抗体(クローン2J10D7、Novus、カタログ番号NB100-56583C)を50μg/mLとすることにより、調製した。細胞を染色溶液中、暗所にて室温で30分間インキュベートした。細胞を室温で5分間、1350rpmで遠心分離することにより洗浄し、上清を廃棄し、ペレットをFACS緩衝液中で再構成した。洗浄ステップを2回繰り返し、25μLのPBS中5~20×10細胞/mLの最終濃度で、細胞をPBS中で再懸濁した。
【0132】
試料をAMNIS(登録商標)IMAGESTREAM(登録商標)X Mark II画像化フローサイトメーター(MilliporeSigma、Burlington,MA)で直ちに60倍の倍率を使用して画像化し、例えば、p50の核濃縮を伴うCD4+及びCD8+T細胞又はCLL細胞の頻度を評価するために、内在化モジュールを使用するIDEASソフトウェアにて、データを分析した。
【0133】
NF-κB核移行はまた、p65の核濃縮の測定について上記のものと同様の方法を使用して、p65抗体を用いて、p65(NF-κBの他のサブユニット)の核濃縮によっても測定することができる。
【0134】
実施例3:正常及びNHL患者の末梢全血試料からのT細胞に対するCD69発現分析
正常及びNHLドナーからの末梢全血を200μMの化合物Aで処理するか、又は未処理のままにしておき、37℃で一晩インキュベートした。翌日、血液を、実施例1に記載されるように、抗CD3及び抗CD28刺激抗体で6時間処理するか、又は未処理のままにした。刺激抗体で処理した後、多種溶解緩衝液を使用して赤血球を溶解し、白血球を抗CD4抗体及び抗CD8抗体で染色して、T細胞及び抗CD69抗体を標識して初期T細胞活性化を測定した。CD69陽性T細胞(CD4+及びCD8+)の頻度を、IFCによって測定した。
【0135】
図1Aに示されるように、抗CD3及び抗CD28刺激抗体とともに正常な血液試料をインキュベートすることにより、CD4+及びCD8+T細胞におけるCD69の表面発現の増大がもたらされ、そのような増大は、化合物Aでの処理によって影響を受けなかった。しかし、図1Bに示されるように、NHL血液試料では、化合物Aでの処理は、抗CD3及び抗CD28刺激抗体によって活性化されたT細胞上のCD69の表面発現を有意に阻害した。
【0136】
実施例4:NHL患者の末梢全血試料からのT細胞におけるNF-κB核移行
NHLドナーからの末梢全血試料を、10%の熱不活性化ウシ胎仔血清を補充した25mMのHEPESを伴う等量の室温RPMI1640と混合し、96ウェルU底プレートに分注し、その後、化合物Aの連続希釈液で処理した。次いで、血液混合物試料を37℃で一晩インキュベートした。翌日、混合物試料を、実施例1に記載される手順に従って抗CD3及び抗CD28刺激抗体で処理した。6時間のインキュベーション後、多種溶解緩衝液を使用して、試料中の赤血球を溶解した。白血球を、CytoFix緩衝液を使用して固定し、0.1%のTriton X-100溶液を使用して透過処理した。次いで、細胞を抗CD4抗体及び抗CD8抗体で染色して、T細胞を標識し、Hoechst33342で染色して、核を標識し、抗p105/p50(クローン2J10D7、Novus Biologicals)で染色して、NF-κBサブユニットを標識した。試料をImageStreamXで分析して、CD4及びCD8陽性T細胞におけるNF-κB核局在を評価した。相対的な移行が実証され、対応するIC50値は、非線形回帰適合を使用して計算された。
【0137】
抗CD3(UCHT1)及び抗CD28(ANC28.1)が、正常及びリンパ腫対象からの血液試料中のT細胞を活性化したことが示された(データは示さず)。TCR及びCD28経路は、MALT1シグナル伝達を含む。図2に示されるように、化合物Aは、投与量依存的な様式で、NHL血液試料において、CD3/CD28刺激によって活性化されたT細胞において、標準的なNF-κBシグナル伝達、例えば、NFκB核移行を完全に遮断した(IC50約9.5μM)。
【0138】
実施例5:慢性リンパ球性白血病(CLL)患者の末梢全血試料からのB細胞におけるNF-κB核移行
CLLドナーからの凍結した末梢血単核細胞(PBMC)を解凍し、示された濃度の化合物Aとともに37℃で6時間インキュベートした。次いで、細胞を刺激可溶性抗IgM F(ab’)断片抗IgM(Jackson ImmunoResearchカタログ109-006-129)で30分間処理するか、又は未処理のままにした。あるいは、B細胞はまた、抗IgM抗体でコーティングされたビーズによって活性化され得る。刺激後、PBMCを、CytoFix緩衝液を使用して固定し、0.1%のTriton X-100溶液を使用して透過処理した。次いで、細胞を抗CD19で染色して、B(CLL)細胞を標識し、Hoechst33342で染色して核を標識し、抗p105/p50で染色して、NF-κBサブユニットを標識した。試料をImageStreamXで分析して、CD19陽性細胞におけるNF-κB核局在を評価した。p105/p50染色及びHoechst33342染色についての移行指数(類似性スコア)を実証した。統計的有意性は、Microsoft Excelでスチューデントのt検定を使用して決定された。
【0139】
図3に示されるように、抗IgMでのPBMCの刺激は、CLL血液試料中において活性化B細胞をもたらし、これは、p50の核濃縮を示し、例えば、活性化B細胞は、細胞質から核へのNF-κB核移行を増加させた。また、化合物Aは、活性化B細胞におけるNF-κB核移行を阻害したことも示された。
【0140】
実施例6:CLL患者の全血試料からのB細胞及びT細胞におけるNF-κB核移行
CLLドナーからの凍結したPBMCを解凍し、示された濃度の化合物Aとともに37℃で一晩インキュベートした。次いで、細胞を抗IgMで6時間処理するか、又は未処理のままにした。刺激後、PBMCを、CytoFix緩衝液を使用して固定し、0.1%のTriton X-100溶液を使用して透過処理した。次いで、細胞を抗CD19で染色して、B(CLL)細胞を標識し、抗CD4及び抗CD8で染色して、T細胞を標識し、Hoechst33342で染色して核を標識し、抗p105/p50で染色して、NF-κBサブユニットを標識した。試料をImageStreamXで分析して、B細胞又はT細胞におけるNF-κB核局在を評価した。NF-κBの核濃縮を伴う細胞の頻度を図4及び図5に示した。統計的有意性は、Microsoft Excelでスチューデントのt検定を使用して決定された。
【0141】
化合物Aは、抗IgMによって活性化されたB細胞ではNF-κB核移行を阻害したが、抗IgMで処理されたT細胞中では阻害しないことが示された。しかしながら、T細胞におけるNF-κB移行は、抗CD3/抗CD28で処理したCLL血液試料中では化合物Aによって抑制された(データは示さず)。
【0142】
実施例7:化合物Aで処理したNHL及びCLL試料からの全血試料に対するCXCL10発現分析
遺伝子発現シグネチャは、NHL患者及びCLL患者の溶解全血からのMALT阻害剤の効果を実証することが求められた。末梢血を3人のNHL患者及び2人のCLL患者から収集した。末梢血を室温で一晩放置し、次いで、化合物A(200μM)又はDMSO対照で、血液を24時間処理した。次いで、実施例1に記載されたものと同様の方法を使用して、血液をCD3及びCD28に対するモノクローナル抗体で4時間刺激した。刺激前及び刺激後に、処理された血液をPAXgeneチューブ(Qiagen、Hilden,Germany)へ移し、RNAを、PAXgene RNAキットを使用して抽出した。Pan-Cancer Immune Profilingキット(NanoString、Seattle,WA)を製造業者の指示に従って使用して、全血から抽出した100ngのRNAを使用して、遺伝子発現を測定した。
【0143】
図6A図6Bは、NHL(図6A)及びCLL(図6B)試料におけるCXCL10、NF-κB調節遺伝子の発現レベルを示す。抗CD3及び抗CD28を用いた血液試料の刺激は、全てのNHL及びCLL患者からのDMSO対照試料(塗りつぶしのない記号)においてCXCL10の上方制御をもたらしたが、一方で、CXCL10の刺激誘導性上方制御は、MALT1阻害剤の存在下で(塗りつぶしのある記号)抑制された。
【0144】
CXCL10の発現は、代表的な遺伝子として提供される。表1~表4は、MALT阻害剤によるMALT1阻害の指標として使用することができる追加の遺伝子のリストを示す。表は、DMSO対照と比較して、MALT阻害剤で処理された試料において2倍超、上方制御又は下方制御された遺伝子を含む。
【0145】
【表1】
【0146】
【表2】
【0147】
【表3-1】
【0148】
【表3-2】
【0149】
【表4-1】
【0150】
【表4-2】
【0151】
実施例8:化合物Aで処理したNHL試料からの精製されたT細胞に対するIL2発現分析
MALT阻害剤の効果は、非ホジキンリンパ腫患者からの精製されたT細胞及びPBMCからの遺伝子発現シグネチャを利用して分析された。末梢血を5人のNHL患者から収集し、末梢血を一晩放置した。次いで、末梢血をMALT阻害剤又はDMSO対照で24時間処理した。次いで、血液をCD3及びCD28に対するモノクローナル抗体で6時間刺激した。刺激の前及び刺激後に、フィコール密度勾配を使用して、処理した血液からPBMCを精製し、製造業者のプロトコルを使用して、CD3ビーズ(Miltenyi)を使用して、T細胞を精製した。精製した細胞を、RLTplus(Qiagen)中で溶解し、AllPrepkit(Qiagen)を使用して、精製した細胞からRNAを抽出した。遺伝子発現は、製造業者の指示に従って、Pan-Cancer Immune Profilingキット(NanoString)中のRNA100ngを使用して、測定した。
【0152】
図7は、刺激前及び刺激後の血液のT細胞及びPBMC画分における、IL2、NF-κB調節遺伝子の発現レベルを示す。DMSO対照(図7では、上部パネル)では、血液の刺激は、ほとんどのドナーについて、T細胞及びPBMCの両方においてIL2の上方制御をもたらしたが、IL2の刺激誘導性上方制御は、MALT阻害剤の存在下で抑制される(図7、下部パネル)。精製されたT細胞におけるIL2発現の分析は、試験した全ての患者試料からのDMSO対照試料におけるIL2発現のより均一な誘導を実証した。これは、IL2などの特定のマーカー遺伝子について、刺激及びMALT阻害剤での処理後に、PBMCを更に分離することができ(例えば、T細胞を精製することができ)、遺伝子発現分析においてより再現性のある結果を提供することができることを示している。
【0153】
IL2遺伝子は、代表的な遺伝子として提供される。他のマーカー遺伝子の発現は、CLL又はNHL患者の血液試料から精製されたT細胞と同様の方法で分析することができる。
【0154】
実施例9:PBMCの刺激なしに化合物Aで治療されたNHL患者から精製されたPBMCの遺伝子発現分析
MALT阻害剤の効果は、血球の刺激なしにNHL患者から精製されたPBMCからの遺伝子発現シグネチャを分析することによって実証された。末梢血を5人のNHL患者から収集し、末梢血を一晩放置した。次いで、末梢血をMALT阻害剤又はDMSO対照で24時間処理した。フィコール密度勾配を使用して、未刺激の血液からPBMCを精製し、製造業者のプロトコルを使用して、CD3ビーズ(Miltenyi)を使用して、T細胞を精製した。精製した細胞を、RLTplus(Qiagen)中で溶解し、AllPrepキット(Qiagen)を使用して、精製した細胞からRNAを抽出した。遺伝子発現は、製造業者の指示に従って、Pan-Cancer Immune Profilingキット(NanoString)中のRNA100ngを使用して、測定した。遺伝子発現シグネチャを、MALT阻害剤で処理した試料とDMSOで処理した試料との間で比較した。
【0155】
図8A図8Dは、精製されたT細胞(図8A及び図8B)及び精製されたPBMC(図8C及び図8D)における細胞刺激の不在下でMALT阻害によって抑制された遺伝子(例えば、NF-κB2(図8A)、TNFSF10(図8B)、APOE(図8C)、及びPYCARD(図8D))を示す。これらの結果は、MALT1阻害剤の有効性が、インビトロでのT細胞又はPBMCの追加の刺激なしに、患者の血液から精製されたT細胞又はPBMCからの、NF-κB2、TNFSF10、APOE、及びPYCARDなどの特定のマーカー遺伝子に対する遺伝子発現分析によって評価され得ることを示す。しかしながら、患者間で大きな変動が観察された。
【0156】
図8A図8Dに示される遺伝子は、代表例として提供される。他のマーカー遺伝子の発現は、CLL又はNHL患者の血液試料から精製されたT細胞又はPBMCと同様の方法で分析することができる。
【0157】
実施例10:異なる薬剤でのエクスビボでの刺激を受けた際の、NHL患者の末梢血からのT細胞におけるNF-κB移行
10人のB細胞NHL患者の全血試料を、血液試料を異なる薬剤、例えば、CD3/CD28又はPMA/イオノマイシン、又は対照としてPBSでの刺激に供した場合で、試験した。簡潔には、NHLドナー血液を、10mLのNaHepチューブに収集し、冷蔵された状態(コールドパック)で輸送した。実験室に到着すると、血液のアリコートをRPMI1640+10%のFBS培地で希釈し、化合物A(100μM)又はDMSO(対照)で2時間処理した。次いで、血液を、各々1μg/mLの最終濃度の抗CD3(UCHT1クローン、BioLegend、カタログ番号300465、San Diego,CA)及び抗CD28抗体(ANC 28.1クローン、Ancell、カタログ番号177~024、British Columbia,Canada)抗体か、又はPMA(20ng/mL)及びイオノマイシン(1μg/mL)のいずれかで4時間刺激するか、あるいは未刺激(PBSのみの対照)で放置した。刺激後、血液をRBC溶解緩衝液で溶解し、白血球を4.2%のパラホルムアルデヒド(paraformaldehyde,PFA)中で固定した。固定したら、細胞を0.1%のTritonX-100で透過処理し、それぞれの抗体でCD3、NF-κB(p65及びp50/p105)について染色し、核をHoechst33342で染色した。試料をImageStream MkII(Luminex)で収集し、画像をIDEASソフトウェア(Luminex)で分析した。
【0158】
T細胞のデルタ核インデックスは、未刺激の条件(対照)及び刺激された(CD3/CD28刺激又はPMA/Iono刺激)条件からのCD3+T細胞の核インデックスの中央値の差を計算することによって、NF-κB核移行について得られ、得られた値は、未刺激の試料におけるベースラインレベルについて補正された(図9A及び図9B)。デルタ核インデックスの平均値は、対照(DMSO処理)に対して正規化され、阻害のパーセンテージとして表された(図9C及び図9D)。DMSOで処理した細胞におけるNF-κB移行のデルタ核インデックス値に対して、化合物Aで処理した細胞におけるNF-κB移行のデルタ核インデックス値を正規化することによって、阻害の相対パーセンテージを得た。図9C及び図9Dのデータは、平均の標準誤差を伴う平均である。
【0159】
この研究の結果は、MALT1(化合物A)が、抗CD3及び抗CD28抗体又はPMA及びイオノマイシンによって活性化されたNHL患者のT細胞におけるNF-κB核移行を阻害したことを示した。
【0160】
実施例11:末梢血がリンパ球刺激剤で処理される場合のMALTi活性の遺伝子発現シグネチャ。
異なる薬剤でのT細胞の刺激が、MALT1阻害剤の活性を実証するための異なる最適な遺伝子発現シグネチャを生成し得ることが、可能である。MALT1阻害剤活性の堅牢な遺伝子シグネチャを得るために、CD3/CD28、PMA/イオノマイシン、又は対照としてPBSで刺激された9人のNHL患者の全血を試験した。簡潔には、NHLドナー血液を、10mLのヘパリンナトリウムチューブに収集し、冷蔵された状態(コールドパック)で輸送した。実験室に到着すると、血液のアリコートをRPMI+10%のFBS培地で希釈し、100μMの化合物A又はDMSO(対照)で2時間処理した。次いで、アリコートをCD3及びCD28抗体(各1ug/mL)、PMA(20ng/mL)及びイオノマイシン(1μg/mL)で4時間刺激するか、又は未刺激(PBS)とした。刺激後に、処理された血液をPAXgeneチューブ(Qiagen、Hilden,Germany)へ移し、RNAを、PAXgene RNAキットを使用して抽出した。
【0161】
Pan-Cancer Immune Profilingキット(NanoString、Seattle、WA)を製造業者の指示に従って使用して、全血から抽出した100ngのRNAを用いて、遺伝子発現を測定した。遺伝子発現は、NanoString nSolverソフトウェアを使用して試料にわたって正規化された。Nanostring遺伝子発現データの分析は、「limma」パッケージを使用して、R統計的環境で実行され、いずれかの刺激条件の後、化合物Aの存在下で、特定の遺伝子がそれらの発現レベルにおいて有意に異なるかどうかを決定した。簡単に説明すると、logに変換された正規化されたNanoStringカウントは、関連するBenjamini-Hochberg(BH)補正p値とともに、線形モデル(元の患者を組み込んだ)及び調整されたt統計に適合され、一般的な値に対する標準誤差の経験的ベイズ調整によって計算された。
【0162】
以下の遺伝子は、試料をCD3/CD28刺激の後に化合物Aで処理した場合に、1.5未満の倍率変化及び0.05未満の調整されたp値を有した:IL2、TNFRSF18、CD40LG、ICOS、CCL4、CTLA4、CCL20、CCL1、TNFRSF4、CCL3L1、IL6、CCL3、TNF、IL4、FEZ1、LTA、IL9、IFNG、IL3、IL1A、CCL8、CD163、CSF2、MRC1、IL22、及びIL13。一方で、以下の遺伝子は、1.5超の倍率変化及び0.05未満の調整されたp値を有した:IL19、THBS1、ADA、及びPECAM1。
【0163】
PMA刺激された試料では、試料を化合物Aで処理した場合に、以下の遺伝子は、以前に指定されたカットオフレベルで下方制御された:ICOS、POU2F2、CCR4、及びCTLA4。一方で、どの遺伝子も、有意には上方制御されなかった。PBSのみで処理した試料の分析は、(a)以下の遺伝子:SPP1及びFN1は、1.5未満の倍率変化及び0.05未満の調整されたp値を有し、一方で、以下の遺伝子:THBS1、SERPINB2、MME、及びIL10は、1.5超の倍率変化及び0.05未満の調整されたp値を有することを示した。
【0164】
これらの結果に基づいて、MALT1阻害剤で処理され、次いで、リンパ球刺激剤に曝露された患者試料において差次的に発現した遺伝子のリストは、PMA/イオノマイシン及びCD3/CD28実験に関連する遺伝子を組み合わせ、次いで、PBSのみの実験に関連する任意の遺伝子を差し引くことによって、編集し直された。したがって、分類及び/又は回帰に基づくアプローチを使用して、末梢血がリンパ球刺激剤で処理される場合に、以下の遺伝子のうちの1つ又は2つ以上の発現レベルに基づいて、MALT1阻害剤活性の程度を決定することができる:IL2、TNFRSF18、CD40LG、ICOS、CCL4、CTLA4、CCL20、CCL1、TNFRSF4、CCL3L1、IL6、CCL3、TNF、IL4、FEZ1、LTA、IL9、IFNG、IL3、IL1A、CCL8、CD163、CSF2、MRC1、IL22、IL13、POU2F2、CCR4、IL19、ADA、及びPECAM1。
【0165】
実施例12:臨床試験
ヒト初回投与試験(first in human、FIH)、非盲検、多施設、第1相研究では、標準的な治療選択肢を既に受けたか、又は不適格とされた進行性Bリンパ球性悪性腫瘍を有する成人参加者に投与される化合物A単剤療法の安全性、PK、PD、及び予備臨床活性を評価するために実施される。化合物Aは、外来患者基準で1日1回経口投与される。治療投与を通して、安全性を監視するため、並びに臨床活性、PK、及びPDエンドポイントを評価するために、慣用的な研究手順及び実験室評価が行われる。
【0166】
バイオマーカー試料は、化合物Aの薬理学(Pharmacodynamic、PD)を評価するために収集される。バイオマーカー評価のために収集された試料には、例えば、連続血液試料が含まれる。化合物AによるMALT1阻害の効果を決定するためにPDマーカーについて試料を評価することができる。血液からの免疫細胞サブセットのフローサイトメトリーに基づく評価も実行されて、探索バイオマーカーを決定する。全血は、ベースライン評価のためにサイクル1の1日目の投与前に収集される。
【0167】
全血試料は、必要に応じて標的遺伝子パネル及び全エクソーム配列決定を使用してDNA配列決定に使用される。変異状態を臨床応答と相関させるための遡及的分析は、TNFAIP3/A20欠失又は変異を含む、臨床応答及び耐性の潜在的なメカニズムの予測バイオマーカーを特定するために行われる。DLBCLコホートからの全ての試料は、CD79b及びCARD11における突然変異についての次世代配列決定(next-generation sequencing、NGS)分析を使用して試験のために中央実験室に送られる。中央実験室の結果は、局所試験の結果と中央実験室との間に不一致がある場合に、最終的に考慮される。
【0168】
エクスビボでの試験を意図した血液は、MALT1阻害剤治療を受けているB-NHL対象から10mLのヘパリンナトリウムチューブ中に収集され、翌日の送達のために周囲温度で臨床研究機構に輸送される。受領時に、血液試料を2つの15mLのコニカルチューブ(Corning、カタログ番号430052)に等分のアリコートに分け、10%の熱不活性化ウシ胎仔血清(Life Technologies、カタログ番号16140~071)を補充した等量の室温RPMI1640培地+25mMのHEPES(Life Technologies、カタログ番号72400~047)と混合した。1つのチューブは「刺激した」とラベル付けされ、別のチューブには「対照」とラベル付けする。
【0169】
抗CD3抗体(UCHT1クローン)及び抗CD28抗体(ANC28.1クローン)を、それぞれ1μg/mLの最終濃度で「刺激した」チューブに加える。当量のビヒクル対照(dPBS、Life Technologies、カタログ番号14190144)を「対照」チューブに加える。チューブをしっかりとキャップし、数回反転させることによって十分に混合する。チューブを、振とう器上で穏やかに混合しながら、5%のCOを含む37℃の加湿インキュベーター内で6時間インキュベートする。
【0170】
インキュベーション後、2.5mLの「刺激した」及び「対照」血液混合物を、標識したPAXgeneチューブ(BD Biosciences、カタログ番号762165、Plymouth Meeting,PA)に移し、1mLの「刺激した」及び「対照」血液混合物を、標識したスマートチューブ(Fisher Scientific、カタログ番号501351690、Waltham,MA)に移し、各条件について2つのチューブを得る。固定剤は、3回反転させることによって、スマートチューブ内で十分に混合される。PAXgeneチューブ及びスマートチューブを、ベンチトップ上で室温で10分間インキュベートする。次いで、チューブを-80℃の冷凍庫に迅速に移す。試料分析まで、試料を-80℃又はドライアイスで常に維持する。
【0171】
エクスビボでの試験を意図した血液は、MALT1阻害剤治療を受けているCLL対象から10mLのヘパリンナトリウムチューブ中に収集され、翌日の送達のために周囲温度で臨床研究機構に輸送される。受領時に、血液試料を2つの15mLのコニカルチューブに等分のアリコートに分け、10%の熱不活性化ウシ胎仔血清を補充した25mMのHEPESを含む等量の室温RPMI1640培地と混合する。1つのチューブは「刺激した」とラベル付けされ、別のチューブには「対照」とラベル付けする。抗ヒトIgM(F(ab’)2断片、Jackson ImmunoResearch、カタログ番号109-006-129)を、15μg/mLの最終濃度で「刺激した」チューブに加える。当量のビヒクル対照(dPBS)を、「対照」チューブに加える。チューブをしっかりとキャップし、数回反転させることによって十分に混合する。チューブを、振とう器上で穏やかに混合しながら、5%のCOを含む37℃の加湿インキュベーター内で30分間インキュベートする。
【0172】
インキュベーション後、2.5mLの「刺激した」及び「対照」血液混合物を、標識したPAXgeneチューブに移し、1mLの「刺激した」及び「対照」血液混合物を、標識されたスマートチューブに移し、各条件について2つのチューブを得る。固定剤は、3回反転させることによって、スマートチューブ内で十分に混合される。PAXgeneチューブ及びスマートチューブを、ベンチトップ上で室温で10分間インキュベートする。次いで、チューブを-80℃の冷凍庫に迅速に移す。試料分析まで、試料を-80℃又はドライアイス上で常に維持する。
【0173】
CLL血液試料はまた、B-NHL血液試料について上述したものと同様の方法を使用して、末梢T細胞の活性化を誘導するために、抗ヒトCD3及び抗ヒトCD28で刺激され得る。
【0174】
活性化された末梢T細胞又は循環B-CLL細胞を含有する試料は、本明細書に記載の方法に従って、NF-κB核移行アッセイ及び/又はマーカー遺伝子発現アッセイにおいて使用される。
【0175】
実施形態
1.MALT1阻害剤を必要とする対象においてMALT1阻害剤に対する応答を予測する方法であって、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することであって、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルの減少が、対象におけるMALT1阻害剤に対するポジティブな応答を予測する、比較することと、を含む、方法。
【0176】
1a.対象においてインビボでMALT1媒介性疾患を治療及び/又は診断する方法で使用するためのMALT1阻害剤であって、対象が、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することであって、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルの減少が、対象におけるMALT1阻害剤に対するポジティブな応答を予測する、比較することと、を含む方法によってMALT1阻害剤に応答すると予測される、MALT1阻害剤。
【0177】
2.MALT1阻害剤療法を必要とする対象において進行中のMALT1阻害剤療法の有効性を監視する方法であって、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することであって、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルの減少が、対象におけるMALT1阻害剤療法の有効性を示す、比較することと、を含む、方法。
【0178】
2a.対象においてインビボでMALT1媒介性疾患を治療及び/又は診断する方法で使用するためのMALT1阻害剤であって、対象が、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することであって、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルの減少が、対象におけるMALT1阻害剤療法の有効性を示す、比較することと、を含む、方法によって進行中のMALT1阻害剤治療の有効性について監視される、MALT1阻害剤。
【0179】
3.癌又はMALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象において癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法であって、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、
(d)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル未満である場合、対象により低用量のMALT1阻害剤を投与し、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル以上である場合、対象により高用量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む、方法。
【0180】
3a.対象においてインビボで癌又はMALT1媒介性疾患を治療及び/又は診断する方法であって、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、を含む、方法、で使用するためのMALT1阻害剤であって、方法が、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル未満である場合、より低用量のMALT1阻害剤を対象に投与することと、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル以上である場合、対象により高用量のMALT1阻害剤を投与することと、を更に含む、MALT1阻害剤。
【0181】
4.癌又はMALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象において癌又はMALT1媒介性疾患を治療するための薬物レジメンを設計する方法であって、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、
(d)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル以上である場合、第2の治療薬を対象に投与することと、を含む、方法。
【0182】
4a.対象においてインビボでMALT1媒介性疾患を治療及び/又は診断する方法で使用するためのMALT1阻害剤であって、MALT1阻害剤についての薬物レジメンが、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、を含む方法により設計され、方法が、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル以上である場合、対象への第2の治療薬の投与を更に更に含む、MALT1阻害剤。
【0183】
5.癌又はMALT1媒介性疾患に罹患している対象におけるMALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度を修正する方法であって、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、
(d)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル未満である場合、MALT1阻害剤の投与頻度を減少させ、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル以上である場合、MALT1阻害剤の投与頻度を増大させることと、を含む、方法。
【0184】
5a.対象においてインビボで癌又はMALT1媒介性疾患を治療及び/又は診断する方法で使用するためのMALT1阻害剤であって、MALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度が、
(a)MALT1阻害剤に以前に曝露された対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(b)MALT1阻害剤に以前に曝露されていない対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、
(c)(a)における変化したNF-κB核移行のレベルを(b)における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、を含む方法によって修正され、方法が、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル未満である場合、MALT1阻害剤の投与頻度を減少させ、(a)における変化したNF-κB核移行のレベルが(b)における変化したNF-κB核移行のレベル以上である場合、MALT1阻害剤の投与頻度を増大させることと、を含む、MALT1阻害剤。
【0185】
6.対象の試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することが、
a)試験試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された試験試料を得ることと、1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない試験試料の第2の部分を未刺激の試験試料として保持することと、
b)刺激された試験試料の細胞質から核への第1のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)未刺激の試験試料の細胞質から核への第2のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、刺激された試料及び未刺激の試料からの細胞が、同じ細胞型のものである、測定することと、
d)第1のNF-κB核移行のレベルを第2のNF-κB核移行のレベルと比較することによって、試験試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法又は実施形態1a~5aのいずれか1つに記載の使用のためのMALT1阻害剤。
【0186】
7.対象の対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することが、
a)対照試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された対照試料を得ることと、1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない対照試料の第2の部分を未刺激の対照試料として保持することと、
b)刺激された対照試料の細胞質から核への第3のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)未刺激の対照試料の細胞質から核への第4のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、刺激された試料及び未刺激の試料からの細胞が、同じ細胞型のものである、測定することと、
d)第3のNF-κB核移行のレベルを第4のNF-κB核移行のレベルと比較することによって、対照試料における変化したNF-κB核移行のレベルを測定することと、を含む、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法又は実施形態1a~5aのいずれか1つに記載の使用のためのMALT1阻害剤。
【0187】
8.癌が、非ホジキンリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、慢性リンパ球性白血病(CLL)、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病(CML)、有毛細胞白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、免疫芽球性大細胞白血病、巨核芽球性白血病、急性巨核球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、脳(神経膠腫)、膠芽腫、乳癌、結腸直腸癌/結腸癌、前立腺癌、非小細胞肺癌を含む肺癌、胃癌、子宮内膜癌、黒色腫、膵臓癌、肝癌、腎臓癌、扁平上皮癌、卵巣癌、肉腫、骨肉腫、甲状腺癌、膀胱癌、頭頸部癌、精巣癌、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、髄芽腫、神経芽腫、子宮頸癌、腎癌、尿路上皮癌、外陰癌、食道癌、唾液腺癌、上咽頭癌、口腔癌、口の癌、及びGIST(消化管間質腫瘍)から選択される、実施形態3~5のいずれか1つに記載の方法又は実施形態3a~5aのいずれか1つに記載の使用のためのMALT1阻害剤。
【0188】
9.MALT1媒介性疾患が、関節炎、炎症性腸疾患、胃炎、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、膵炎、クローン病、セリアック病、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、痛風、臓器若しくは移植片拒絶反応、慢性同種移植拒絶反応、急性若しくは慢性移植片対宿主病、アトピー性皮膚炎を含む皮膚炎、皮膚筋炎、乾癬、ベーチェット病、ブドウ膜炎、重症筋無力症、グレーブス病、橋本甲状腺炎、シェーグレン症候群、水疱形成障害、抗体媒介性血管炎症候群、免疫複合体性血管炎、アレルギー障害、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、嚢胞性線維症、肺炎、肺水腫を含む肺疾患、塞栓症、線維症、サルコイドーシス、高血圧症及び気腫、珪肺症、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群、BENTA病、ベリリウム症、並びに多発性筋炎から選択される免疫疾患である、実施形態3~5のいずれか1つに記載の方法又は実施形態3a~5aのいずれか1つに記載の使用のためのMALT1阻害剤。
【0189】
10.1つ又は2つ以上の刺激剤が、IL-1α、IL-1β、TNF-α、リポ多糖(LPS)、エキソトキシンB、ホルボールミリステートアセテート(PMA)/イオノマイシン、TLRアゴニスト、抗CD3抗体、抗CD8抗体、抗IgM抗体、及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態6又は7に記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0190】
11.試験試料又は対照試料が、刺激剤のうちの1つ又は2つ以上と約1~12時間、約1~10時間、約1~9時間、又は約1~8時間接触される、実施形態6又は7に記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0191】
12.対象の試料における細胞の細胞質から核へのNF-κB核移行が、フローサイトメトリー、好ましくは画像化フローサイトメトリー(IFC)、発光分析、化学発光分析、組織化学、及び蛍光顕微鏡検査から選択される蛍光に基づくアッセイによって測定される、実施形態6又は7に記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0192】
13.第2の治療薬が、BTK(ブルトン型チロシンキナーゼ)阻害剤、SYK阻害剤、PKC阻害剤、PI3K経路阻害剤、BCLファミリー阻害剤、JAK阻害剤、PIMキナーゼ阻害剤、B細胞抗原結合抗体、抗PD1抗体、抗PD-L1抗体、及びそれらの組み合わせから選択される、実施形態4に記載の方法又は実施形態4aに記載の使用のためのMALT1阻害剤。
【0193】
14.MALT1阻害剤が、式(I)の化合物であって、
【0194】
【化5】
式中、
は、
i)フルオロ又はアミノ置換基で任意選択で置換されたナフタレン-1-イル、
並びに
ii)O、N、及びSからなる群から選択される1~4個のヘテロ原子を含有する9~10員のヘテロアリール、からなる群から選択され、その結果、1個以下のヘテロ原子がO又はSであり、ii)のヘテロアリールは、任意選択で、独立して、重水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、トリフルオロメチル、シクロプロピル、メトキシメチル、ジフルオロメチル、1,1-ジフルオロエチル、ヒドロキシメチル、1-ヒドロキシエチル、1-エトキシエチル、ヒドロキシ、メトキシ、エトキシ、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチルチオ、シアノ、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、4-オキソテトラヒドロフラン-2-イル、5-オキソピロリジン-2-イル、1,4-ジオキサニル、アミノカルボニル、メチルカルボニル、メチルアミノカルボニル、オキソ、1-(t-ブトキシカルボニル)アゼチジン-2-イル、N-(メチル)ホルムアミドメチル、テトラヒドロフラン-2-イル、3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、3-ヒドロキシアゼチジニル、アゼチジン-3-イル、又はアゼチジン-2-イルから選択される1つ又は2つの置換基で置換され、
は、C1-4アルキル、1-メトキシ-エチル、ジフルオロメチル、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、及びトリフルオロメチルからなる群から選択され、
は、N又はC(R)であり、
は、N又はC(R)であり、その結果、いかなる場合にも、G及びGのうちの1つのみがNであり、
は、独立して、トリフルオロメチル、シアノ、C1-4アルキル、フルオロ、クロロ、ブロモ、メチルカルボニル、メチルチオ、メチルスルフィニル、及びメタンスルホニルからなる群から選択され、又はGがNである場合、Rは、C1-4アルコキシカルボニルから更に選択され、
は、
i)GがNである場合、水素、
ii)C1~4アルコキシ、
iii)シアノ、
iv)シクロプロピルオキシ、
v)トリアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、ピロリル、チアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、イミダゾリル、2-アミノ-ピリミジン-4-イル、2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-2-イル、2H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-2-イル、3H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-b]ピリジン-3-イル、1H-[1,2,3]トリアゾロ[4,5-c]ピリジン-1-イルからなる群から選択されるヘテロアリールであって、ヘテロアリールは、独立して、オキソ、C1-4アルキル、カルボキシ、メトキシカルボニル、アミノカルボニル、ヒドロキシメチル、アミノメチル、(ジメチルアミノ)メチル、アミノ、メトキシメチル、トリフルオロメチル、アミノ(C2-4アルキル)アミノ、又はシアノから選択される1つ又は2つの置換基で任意選択で置換される、ヘテロアリール、
vi)1-メチル-ピペリジン-4-イルオキシ、
vii)4-メチル-ピペラジン-1-イルカルボニル、
viii)(4-アミノブチル)アミノカルボニル、
ix)(4-アミノ)ブトキシ、
x)4-(4-アミノブチル)-ピペラジン-1-イルカルボニル、
xi)メトキシカルボニル、
xii)5-クロロ-6-(メトキシカルボニル)ピリジン-3-イルアミノカルボニル、
xiii)1,1-ジオキソ-イソチアゾリジン-2-イル、
xiv)3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾール-1-イル、
xv)2-オキソピロリジン-1-イル、
xvi)(E)-(4-アミノブタ-1-エン-1-イル-アミノカルボニル、
xvii)ジフルオロメトキシ、及び
xviii)モルホリン-4-イルカルボニル、からなる群から選択され、
は独立して、水素、クロロ、フルオロ、ブロモ、メトキシ、メチルスルホニル、シアノ、C1-4アルキル、エチニル、モルホリン-4-イル、トリフルオロメチル、ヒドロキシエチル、メチルカルボニル、メチルスルフィニル、3-ヒドロキシ-ピロリジン-1-イル、ピロリジン-2-イル、3-ヒドロキシアゼチジニル、アゼチジン-3-イル、アゼチジン-2-イル、メチルチオ、及び1,1-ジフルオロエチルからなる群から選択されるか、
あるいは、R及びRが、一緒になって、8-クロロ-4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、8-クロロ-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、2-メチル-1-オキソ-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-7-イル、4-メチル-3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、3-オキソ-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ[b][1,4]オキサジン-6-イル、1-メチル-1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル、1H-ピラゾロ[3,4-b]ピリジン-5-イル、2,3-ジヒドロ-[1,4]ジオキシノ[2,3-b]ピリジン-5-イル、1,3-ジオキソロ[4,5]ピリジン-5-イル、1-オキソ-1,3-ジヒドロイソベンゾフラン-5-イル、2,2-ジメチルベンゾ[d][1,3]ジオキソール-5-イル、2,3-ジヒドロベンゾ[b][1,4]ジオキシン-6-イル、1-オキソイソインドリン-5-イル、又は2-メチル-1-オキソイソインドリン-5-イル、1H-インダゾール-5-イルを形成することができ、
は、水素、C1-4アルキル、フルオロ、2-メトキシ-エトキシ、クロロ、シアノ、又はトリフルオロメチルであり、
は、水素又はフルオロであり、
但し、式(I)の化合物は、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、2H-1,2,3-トリアゾール-2-イルであり、Gが、Nであり、Rが、水素である、化合物、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、1H-イミダゾール-1-イルであり、Gが、Nであり、Rが、クロロである、化合物、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、1H-1,2,3-トリアゾール-1-イルであり、Gが、Nであり、Rが、水素である、化合物、
が、イソキノリン-8-イルであり、Rが、トリフルオロメチルであり、Gが、C(R)であり、Rが、水素であり、Gが、Nであり、Rが、フルオロである、化合物、以外であることを条件とする、式(I)の化合物、
又はそのエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物、若しくは医薬的に許容される塩形態である、実施形態1~7及び実施形態1a~5aのいずれか1つに記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0195】
15.MALT1阻害剤が、式(II)で表される、1-(1オキソ-1,2ジヒドロイソキノリン-5 イル)-5(トリフルオロメチル)-N-[2(トリフルオロメチル)ピリジン-4- イル]-1H-ピラゾール-4カルボキサミド、
【0196】
【化6】
又はその溶媒和物、互変異性体、若しくは医薬的に許容される塩である、実施形態14に記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0197】
16.癌又はMALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象において癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法、あるいは対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法で使用するためのMALT1阻害剤であって、
a)対象の試験血液試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された試料を得、1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない対象の試験血液試料の第2の部分を未刺激の試料として保持することであって、試験血液試料が、MALT1阻害剤に以前に曝露されている、ことと、
b)刺激された試料中のPBMCの細胞質から核への第1のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)未刺激の試料中のPBMCの細胞質から核への第2のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、未刺激の試料及び刺激された試料中のPBMCが、同じ細胞型のものである、測定することと、
d)第1のレベルを第2のレベルと比較して、試験血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルを得ることと、
e)試験血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルを、対照血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、
f)試験試料が、変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、対象に約1mg~約1000mgの用量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む、方法又はMALT1阻害剤。
【0198】
17.癌又はMALT1媒介性疾患に罹患している対象におけるMALT1阻害剤、あるいは対象における癌又はMALT1媒介性疾患を治療する方法で使用するためのMALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度を修正する方法であって、MALT1阻害剤の用量及び/又は投与頻度が、
a)対象の試験血液試料の第1の部分を1つ又は2つ以上の刺激剤と接触させて、刺激された試料を得、1つ又は2つ以上の刺激剤と接触しない対象の試験血液試料の第2の部分を未刺激の試料として保持することであって、試験血液試料は、MALT1阻害剤に以前に曝露されている、ことと、
b)刺激された試料中のPBMCの細胞質から核への第1のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)未刺激の試料中のPBMCの細胞質から核への第2のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、未刺激の試料及び刺激された試料中のPBMCが、同じ細胞型のものである、測定することと、
d)第1のレベルを第2のレベルと比較して、試験血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルを得ることと、
e)試験血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルを、対照血液試料における変化したNF-κB核移行のレベルと比較することと、
f)試験試料が、変化したNF-κB核移行のレベルにおいて減少を示さない場合、対象に約1mg/日~約1000mg/日の有効量のMALT1阻害剤を投与することと、を含む、方法によって修正される、方法。
【0199】
18.MALT1媒介性疾患の治療を必要とするヒト対象におけるMALT1阻害剤の薬力学的効果を評価する方法であって、対象の血液試料の刺激された末梢血単核細胞(PBMC)におけるNF-κB核移行のMALT1阻害剤による抑制を検出することを含み、血液試料が、抑制の検出前にインビトロで1つ又は2つ以上の刺激剤で治療されている、方法。
【0200】
19.ヒト対象におけるMALT1媒介性疾患をインビボで治療及び/又は診断する方法で使用するためのMALT1阻害剤であって、方法であって、
対象の血液試料の刺激された末梢血単核細胞(PBMC)におけるNF-κB核移行のMALT1阻害剤による抑制を検出することを含み、血液試料が、抑制の検出前にインビトロで1つ又は2つ以上の刺激剤で治療されており、
抑制が検出された場合、MALT1阻害剤は、対象におけるMALT1媒介性疾患の治療に有効であると決定されるか、又は対象が、MALT1阻害剤による治療に応答すると決定される、ことを含む、方法、によって、MALT1阻害剤が、対象において有効であると決定されるか、又は対象が、MALT1阻害剤に応答すると決定される、MALT1阻害剤。
【0201】
20.MALT1媒介性疾患の治療を必要とする対象におけるMALT1阻害剤の薬力学的効果を評価するための方法であって、
a)対象の血液試料の第1の部分に1つ又は2つ以上の刺激剤を投与し、それにより、刺激された試料を得、1つ又は2つ以上の刺激剤を投与されない血液試料の第2の部分を未刺激の試料として保持することであって、MALT1阻害剤は、対象又は対象の血液試料に投与されている、ことと、
b)刺激された試料中の刺激されたPBMCの細胞質から核への第1のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)未刺激の試料中の未刺激のPBMCの細胞質から核への第2のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、未刺激のPBMCが、刺激されたPBMCと同じ細胞型である、測定することと、
d)第1のレベルを第2のレベルと比較し、それによってMALT1阻害剤の存在下で1つ又は2つ以上の刺激剤による刺激時に刺激されたPBMCにおける変化したNF-κB核移行のレベルを決定することと、
e)刺激されたPBMCにおけるNF-κB核移行のMALT1阻害剤による抑制を検出するために、対照と、変化したNF-κB核移行のレベルを比較することと、を含み、
抑制が検出された場合、MALT1阻害剤は、対象におけるMALT1媒介性疾患の治療に有効であると決定されるか、又は対象が、MALT1阻害剤による治療に応答すると決定される、方法。
【0202】
21.ヒト対象におけるMALT1媒介性疾患をインビボで治療及び/又は診断する方法で使用するためのMALT1阻害剤であって、方法であって、
a)対象の血液試料の第1の部分に1つ又は2つ以上の刺激剤を投与し、それにより、刺激された試料を得、1つ又は2つ以上の刺激剤を投与されない血液試料の第2の部分を未刺激の試料として保持することであって、MALT1阻害剤は、対象又は対象の血液試料に投与されている、ことと、
b)刺激された試料中の刺激されたPBMCの細胞質から核への第1のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)未刺激の試料中の未刺激のPBMCの細胞質から核への第2のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、未刺激のPBMCが、刺激されたPBMCと同じ細胞型である、測定することと、
d)第1のレベルを第2のレベルと比較し、それによってMALT1阻害剤の存在下で1つ又は2つ以上の刺激剤による刺激時に刺激されたPBMCにおける変化したNF-κB核移行のレベルを決定することと、
e)刺激されたPBMCにおけるNF-κB核移行のMALT1阻害剤による抑制を検出するために、対照と、変化したNF-κB核移行のレベルを比較することと、を含み、
抑制が検出された場合、MALT1阻害剤は、対象におけるMALT1媒介性疾患の治療に有効であると決定されるか、又は対象が、MALT1阻害剤による治療に応答すると決定される、方法、によって、MALT1阻害剤が、対象において有効であると決定されるか、又は対象が、MALT1阻害剤に応答すると決定される、MALT1阻害剤。
【0203】
22.対照が、MALT1阻害剤の非存在下で、1つ又は2つ以上の刺激剤による刺激時に、刺激された対照PBMCにおける変化したNF-κB核移行のレベルに対応し、好ましくは、対照は、方法であって、
a)対象の対照血液試料の第1の部分に1つ又は2つ以上の刺激剤を投与し、それにより、刺激された対照試料を得、1つ又は2つ以上の刺激剤を投与されない対照血液試料の第2の部分を未刺激の試料として保持することであって、MALT1阻害剤は、対照血液試料にインビボ又はインビトロのいずれでも投与されない、ことと、
b)刺激された対照試料中の刺激された対照PBMCの細胞質から核への第3のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)未刺激の対照試料中の未刺激の対照PBMCの細胞質から核への第4のNF-κB核移行のレベルを測定することであって、刺激された対照PBMC及び未刺激の対照PBMCが、刺激されたPBMCと同じ細胞型のものである、測定することと、
d)第3のレベルを第4のレベルと比較し、それによってMALT1阻害剤の不在下で1つ又は2つ以上の刺激剤による刺激時に刺激された対照PBMCにおける変化したNF-κB核移行のレベルを決定することと、を含む、方法、によって測定される、実施形態20に記載の方法又は実施形態21に記載の使用のためのMALT1阻害剤。
【0204】
23.刺激されたPBMCが、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、単球、又は樹状細胞である、実施形態18~22のいずれか1つに記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0205】
24.MALT1媒介性疾患が、非ホジキンリンパ腫(NHL)などのリンパ腫、好ましくは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、より好ましくは、活性化B細胞様(ABC)サブタイプのDLBCLであるか、又はMALT1媒介性疾患は、白血病、好ましくは、慢性リンパ性白血病(CLL)である、実施形態18~23のいずれか1つに記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0206】
25.MALT1媒介性疾患をインビボで治療及び/又は診断する方法で使用するためのMALT1阻害剤であって、MALT1媒介性疾患が、ヒト対象におけるNHLなどのリンパ腫、又はCLLなどの白血病であり、方法であって、
a)対象の血液試料の第1の部分に、抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つ、好ましくは、抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの両方を投与し、それによって、第1の刺激された試料を得、抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つが投与されない血液試料の第2の部分を第1の未刺激の試料として保持することであって、MALT1阻害剤は、対象又は対象の血液試料に投与されている、ことと、
b)第1の刺激された試料中の刺激されたT細胞の細胞質から核への第1のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)第1の未刺激の試料中の未刺激のT細胞の細胞質から核への第2のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
d)第1のレベルを第2のレベルと比較し、それによってMALT1阻害剤の存在下で抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つによる刺激時に刺激されたT細胞における変化したNF-κB核移行のレベルを決定することと、
e)刺激されたT細胞におけるNF-κB核移行のMALT1阻害剤による抑制を検出するために、第1の対照と、変化したNF-κB核移行のレベルを比較することと、を含み、
抑制が検出された場合、MALT1阻害剤は、対象におけるMALT1媒介性疾患の治療に有効であると決定されるか、又は対象が、MALT1阻害剤による治療に応答すると決定される、方法、によって、MALT1阻害剤が、対象において有効であると決定されるか、又は対象が、MALT1阻害剤に応答すると決定される、MALT1阻害剤。
【0207】
26.第1の対照が、MALT1阻害剤の非存在下で、抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つによる刺激時に、刺激された対照T細胞における変化したNF-κB核移行のレベルに対応し、好ましくは、第1の対照は、方法であって、
a)対象の第1の対照血液試料の第1の部分に、抗CD3及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つを投与し、それにより、第1の刺激された対照試料を得、1つ又は2つ以上の刺激剤を投与されない第1の対照血液試料の第2の部分を第1の未刺激の試料として保持することであって、MALT1阻害剤は、第1の対照血液試料にインビボ又はインビトロのいずれでも投与されていない、ことと、
b)第1の刺激された対照試料中の刺激された対照T細胞の細胞質から核への第3のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
c)第1の未刺激の対照試料中の未刺激の対照T細胞の細胞質から核への第4のNF-κB核移行のレベルを測定することと、
d)第3のレベルを第4のレベルと比較し、それによってMALT1阻害剤の不在下で抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つによる刺激時に刺激された対照T細胞における変化したNF-κB核移行のレベルを決定することと、を含む、方法、によって測定される、実施形態25に記載の使用のためのMALT1阻害剤。
【0208】
27.抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片が、血液試料の第1の部分又は対照血液試料の第1の部分に投与され、それらとともに約1~9時間、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8又は9時間、好ましくは、約5~6時間、37℃でインキュベートされて、第1の刺激された試料又は第1の刺激された対照試料をそれぞれ得る、実施形態25~26のいずれか1つに記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0209】
28.MALT1媒介性疾患が、NHLであり、方法が、
a)第1の刺激された試料中の刺激されたT細胞からの第1のCD69発現レベルを測定することと、
b)第1の未刺激の試料中の未刺激のT細胞から第2のCD69発現レベルを測定することと、
c)第1のCD69のレベルを第2のCD69のレベルと比較し、それによってMALT1阻害剤の存在下で抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つによる刺激時に刺激されたT細胞における変化したCD69発現のレベルを決定することと、
d)(c)で決定された変化したCD69発現レベルのレベルを第2の対照と比較して、対象におけるMALT1阻害剤の薬力学的効果を更に評価することと、を更に含み、
MALT1阻害剤の存在下で、抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つによる刺激時の刺激されたT細胞における変化したCD69発現のレベルが、第2の対照よりも小さい場合、MALT1阻害剤が、対象におけるNHLの治療において有効であると更に決定されるか、又は対象が、MALT1阻害剤による治療に応答すると更に決定され、
好ましくは、CD69発現レベルは、フローサイトメトリーによって決定され、より好ましくは、CD69発現レベルは、画像化フローサイトメトリーによって決定される、実施形態25~27のいずれか1つに記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0210】
29.抑制が検出された場合、MALT1阻害剤は、対象におけるMALT1媒介性疾患の治療に有効であると決定されるか、又は対象が、MALT1阻害剤による治療に応答すると決定される、他の実施形態のいずれか1つに記載の方法又は使用のためのMALT1阻害剤。
【0211】
30.MALT1媒介性疾患の治療を必要とするヒト対象におけるMALT1阻害剤の薬力学的効果を評価するためのキット又は組み合わせであって、
(1)血液試料中のPBMCを刺激するための1つ又は2つ以上の薬剤と、
(2)PBMCを固定するための薬剤と、
(3)PBMCに特異的な表面抗原に対する標識された抗体と、
(4)PBMCを透過処理するための薬剤と、
(5)PBMCの核を染色するための薬剤と、
(6)NF-κBに特異的な標識された抗体と、を含む、キット又は組み合わせ。
【0212】
31.NHL、好ましくは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、より好ましくは、活性化B細胞様(ABC)サブタイプのDLBCL、又は白血病、好ましくは、CLLの治療を必要とするヒト対象におけるMALT1阻害剤の薬力学的効果を評価するための実施形態30に記載のキットであって、
(1)血液試料中のT細胞を刺激するための抗CD3抗体及び抗CD28抗体又はそれらの抗原結合断片のうちの少なくとも1つと、
(2)抗CD3抗体及び抗CD8抗体のうちの少なくとも1つによって活性化されたT細胞を検出するための蛍光標識された抗CD4抗体及び蛍光標識された抗CD8抗体と、
(3)T細胞を固定するための薬剤、好ましくは、4.21%のホルムアルデヒド(BD Pharmingen、カタログ554655)と、
(4)好ましくはTritonX-100、Tween20、サポニン、ジギトニン、及びメタノールからなる群から選択される、T細胞を透過処理するための薬剤と、
(5)好ましくはDAPI、ヨウ化プロピジウム、DRAQ5、DRAQ7、及びHoescht染色からなる群から選択される、T細胞の核を染色するための薬剤と、
(6)p50、p65、RelB、c-Rel、p105/p50又はp100/52に特異的な蛍光標識された抗体、好ましくは、蛍光標識された抗p50抗体と、を含む、キット。
【0213】
32.CD69発現レベルを測定するための蛍光標識された抗CD69抗体を更に含む、NHLの治療を必要とするヒト対象におけるMALT1阻害剤の薬力学的効果を評価するための実施形態30又は31に記載のキット。
【0214】
33.CLLの治療を必要とするヒト対象におけるMALT1阻害剤の薬力学的効果を評価するための、実施形態30又は31に記載のキットであって、
(1)血液試料中のB細胞を刺激するための抗IgM抗体又はその抗原結合断片と、
(2)活性化されたB細胞を検出するための蛍光標識された抗CD19抗体又は抗CD20抗体と、を更に含む、キット。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図9A
図9B
図9C
図9D
【国際調査報告】