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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-27
(54)【発明の名称】光活性組成物
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/60 20230101AFI20230120BHJP
   C08L 65/00 20060101ALI20230120BHJP
   C08K 5/46 20060101ALI20230120BHJP
【FI】
H01L31/08 T
C08L65/00
C08K5/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022530291
(86)(22)【出願日】2020-11-27
(85)【翻訳文提出日】2022-05-24
(86)【国際出願番号】 GB2020053044
(87)【国際公開番号】W WO2021105706
(87)【国際公開日】2021-06-03
(31)【優先権主張番号】1917455.6
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2011798.2
(32)【優先日】2020-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ヤコビ-グロス,ニール
【テーマコード(参考)】
4J002
5F849
【Fターム(参考)】
4J002CE001
4J002EV316
4J002FD206
4J002GP00
4J002HA05
4J002HA08
5F849AB11
5F849BA01
5F849BA05
5F849BA09
5F849FA04
5F849GA02
5F849LA01
5F849XA02
5F849XA13
5F849XA35
5F849XA39
5F849XA40
(57)【要約】
電子供与体材料および第1の電子受容性材料を含み、電子供与体材料がポリマーであり、電子受容性材料が非ポリマー化合物であり、電子供与体材料および電子受容性材料が、共に式(I)、10 Z X Y Ar5 Ar4 Ar1 Ar2A 2 A1 * R1R1 Ar3Ar6 * n(XおよびYが、各々独立して、S、O、またはSeから選択される)の電子供与体基を含む、組成物。Zは、O、S、NR2、またはCR32である。Ar1-Ar6は、各々独立して、非置換もしくは置換ベンゼン、非置換もしくは置換5員もしくは6員のヘテロ芳香族基であるか、または不在である。A1およびA2は、各々独立して、非置換もしくは置換ベンゼン、非置換もしくは置換5員もしくは6員の15ヘテロ芳香族基、C、N、SおよびOから選択される環原子を有する非芳香族6員環であるか、または不在である。nは、1、2、または3である。R1が、各出現時において、独立して、Hまたは置換基である。R2は、Hまたは置換基である。各R3は、独立して、Hまたは置換基である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子供与体材料および第1の電子受容性材料を含み、前記電子供与体材料がポリマーであり、前記電子受容性材料が非ポリマー化合物であり、前記電子供与体材料および電子受容性材料が、共に式(I)の電子供与体基を含み、
【化1】

式中、
XおよびYが、各々独立して、S、O、またはSeから選択され、
Zが、O、S、NR、またはCR であり、
Ar-Arが、各々独立して、非置換もしくは置換ベンゼン、非置換もしくは置換5員もしくは6員のヘテロ芳香族基であるか、または不在であり、
およびAが、各々独立して、非置換もしくは置換ベンゼン、非置換もしくは置換5員もしくは6員のヘテロ芳香族基、C、N、S、およびOから選択される環原子を有する非芳香族6員環であるか、または不在であり、
nが、1、2、または3であり、
が、各出現時において、独立して、Hまたは置換基であり、
が、Hまたは置換基であり、
各Rが、独立して、Hまたは置換基である、組成物。
【請求項2】
前記電子受容体材料が、式(II)の化合物であり、
【化2】

式中、
mおよびoが、各々独立して、0であるか、または1以上の整数であり、
が、mが1以上である場合の架橋基、またはmが0である場合の直接結合であり、
が、oが1以上である場合の架橋基、またはoが0である場合の直接結合であり、
各EAGが、独立して、電子受容性基を表す、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(II)の前記化合物が、式(IIa)を有する、請求項2に記載の組成物。
【化3】
【請求項4】
各EAGが、独立して、式(IVa)の基であり、
【化4】

式中、
10が、各出現時において、Hであるか、またはC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、前記アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)、ならびに芳香族基Ar(非置換であるか、またはFおよびC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよい)から選択される1つ以上の置換基で置換されている)からなる群から選択される置換基であり、
----が、式(II)の前記化合物における連結位置を表し、
各X~Xが、独立して、CR17またはN(R17が、各出現時において、Hであるか、またはC1-20ヒドロカルビルおよび電子求引性基から選択される置換基である)である、請求項2または3に記載の組成物。
【請求項5】
前記電子受容性材料が、COi8DFICである、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【化5】
【請求項6】
前記電子供与体ポリマーが、式(III)の繰り返し構造を含み、
【化6】

式中、EAGが電子受容性基である、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
式(III)の前記繰り返し構造が、式(IIIa)を有し、
【化7】

式中、各Rが、独立して、Hまたは置換基である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記電子供与性ポリマーが、式:
【化8】

の繰り返し構造を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、第2の電子受容性材料をさらに含む、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記第2の電子受容性材料が、フラーレンまたはその誘導体である、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
1つ以上の溶媒と、前記1つ以上の溶媒中に溶解または分散されている、先行請求項のいずれか一項に記載の組成物と、を含む、調合物。
【請求項12】
アノードと、カソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された感光層と、を含む、光応答性デバイスであって、前記感光層が、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物を含む、光応答性デバイス。
【請求項13】
前記光応答性デバイスが、有機光検出器である、請求項12に記載の光応答性デバイス。
【請求項14】
光源と、請求項13に記載の光応答性デバイスと、を備え、前記光源から放出された光を検出するように構成されている、光センサ。
【請求項15】
前記光源が、750nmを超えるピーク波長を有する光を放出する、請求項14に記載の光センサ。
【請求項16】
前記有機光検出器と前記光源との間の光路において、サンプルを受容するように構成されている、請求項14または15に記載の光センサ。
【請求項17】
請求項12または13に記載の有機光応答性デバイスを形成する方法であって、前記アノードおよびカソードのうちの一方の上への前記感光性有機層の形成と、前記感光性有機層の上への前記アノードおよびカソードのうちの他方の形成と、を含む、方法。
【請求項18】
前記感光性有機層の形成が、請求項9に記載の調合物の堆積を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
サンプル中の標的材料の存在および/または濃度を判定する方法であって、前記方法が、前記サンプルを照射することと、請求項13に記載の有機光検出器の応答を測定することと、を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、光活性化合物に関し、より具体的には、限定するものではないが、光応答性デバイス内の電子供与性材料または電子受容性材料として我々に好適な電子供与性単位を含む光活性材料に関する。
【背景技術】
【0002】
有機光応答性デバイスが既知である。
【0003】
EP3121211は、式:
【化1】

のポリマーを開示している。
WO2012008556A1は、式(I):
【化2】

で表される反復単位を有するポリマーを含む光電変換素子を開示している。
WO2011052712は、式(1):
【化3】

で表される構造単位を有するポリマー化合物を含む光電変換素子を開示している。
Liu et al,“Ternary Blend Strategy for Achieving High-Efficiency Organic Solar Cells with Nonfullerene Acceptors Involved”Adv.Func.Mat.,2018,28 (29),1-20は、非フラーレン受容体COi8DFICを開示している。
【0004】
彼らの“A-D-A small molecule acceptors with ladder-type arenes for solar cell”J.of Mat.Chem.A,2018,6,8839-8854は、1.26Vの超狭バンドギャップを有するCOi8DFICを開示している。
【0005】
Xu et al “The progress and prospects of non-fullerene acceptors in ternary blend organic solar cells”Mat.Horizons,2018,5,206-221は、COi8DFICを開示している。
【0006】
Xiao et al,“26 mA cm2 Jsc from organic solar cells with a low-bandgap nonfullerene acceptor”Sci.Bull.,2017,62,1494は、1.26eVの狭い光学バンドギャップを有するA-D-A非フラーレン受容体COi8DFICを開示している。
【発明の概要】
【0007】
本開示のいくつかの実施形態によれば、電子供与体材料および第1の電子受容性材料を含む組成物が提供される。電子供与体材料は、ポリマーである。電子受容性材料は、非ポリマー化合物である。電子供与体材料および電子受容性材料は共に、式(I):
【化4】

(式中、
XおよびYが、各々独立して、S、O、またはSeから選択され、
Zが、O、S、NR、またはCR であり、
Ar-Arが、各々独立して、非置換もしくは置換ベンゼン、非置換もしくは置換5員もしくは6員のヘテロ芳香族基であるか、または不在であり、
およびAが、各々独立して、非置換もしくは置換ベンゼン、非置換もしくは置換5員もしくは6員のヘテロ芳香族基、C、N、S、およびOから選択される環原子を有する非芳香族6員環であるか、または不在であり、
nが、1、2、または3であり、
が、各出現時において、独立して、Hまたは置換基であり、
が、Hまたは置換基であり、
各Rが、独立して、Hまたは置換基である)の電子供与体基を含む。
【0008】
任意選択的に、電子受容体材料は、式(II):
【化5】

(式中、
mおよびoが、各々独立して、0であるか、または1以上の整数であり、
が、mが1以上である場合の架橋基、またはmが0である場合の直接結合であり、
が、oが1以上である場合の架橋基、またはoが0である場合の直接結合であり、
各EAGが、独立して、電子受容性基を表す)の化合物である。
【0009】
任意選択的に、式(II)の化合物は、式(IIa):
【化6】

を有する。
任意選択的に、各EAG1は、独立して、式(IVa):
【化7】

(式中、
10が、各出現時において、Hであるか、またはC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)、ならびに芳香族基Ar(非置換であるか、またはFおよびC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよい)から選択される1つ以上の置換基で置換されている)からなる群から選択される置換基であり、
----が、式(II)の化合物における連結位置を表し、
各X~Xが、独立して、CR17またはN(R17が、各出現時において、Hであるか、またはC1-20ヒドロカルビルおよび電子求引性基から選択される置換基である)である)の基である。
【0010】
任意選択的に、電子受容性材料は、COi8DFIC:
【化8】

である。
任意選択的に、電子供与体ポリマーは、式(III)
【化9】

(式中、EAGが、電子受容性基である)の繰り返し構造を含む。
【0011】
任意選択的に、式(III)の繰り返し構造が、式(IIIa):
【化10】

(式中、各Rが、独立して、Hまたは置換基である)を有する。
【0012】
任意選択的に、電子供与性ポリマーは、式:
【化11】

の繰り返し構造を含む。
【0013】
任意選択的に、組成物は、第2の電子受容性材料をさらに含む。
【0014】
任意選択的に、第2の電子受容性材料はフラーレンまたはその誘導体である。
【0015】
本開示のいくつかの実施形態によれば、1つ以上の溶媒と、1つ以上の溶媒に溶解または分散されている本明細書に記載される組成物と、を含む調合物が提供される。
【0016】
本開示のいくつかの実施形態によれば、アノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配置された感光層と、を含む、光応答性デバイスであって、感光層が、本明細書に記載される組成物を含む、光応答性デバイスが提供される。
【0017】
任意選択的に、光応答性デバイスは、有機光検出器である。
【0018】
本開示のいくつかの実施形態によれば、光源と、本明細書に記載される光応答性デバイスと、を備える光センサであって、光源から放出された光を検出するように構成されている、光センサが提供される。
【0019】
任意選択的に、光源は、750nmを超えるピーク波長を有する光を放出する。
【0020】
任意選択的に、光センサは、有機光検出器と光源との間の光路において、サンプルを受容するように構成されている。
【0021】
本開示のいくつかの実施形態によれば、アノードおよびカソードのうちの一方の上への感光性有機層の形成と、感光性有機層の上へのアノードおよびカソードのうちの他方の形成と、を含む、本明細書に記載される有機光応答性デバイスを形成する方法が提供される。
【0022】
任意選択的に、感光性有機層の形成は、本明細書に記載される調合物の堆積を含む。
【0023】
本開示のいくつかの実施形態によれば、サンプル中の標的材料の存在および/または濃度を判定する方法であって、方法が、サンプルを照射することと、本明細書に記載の有機光検出器の応答を測定することと、を含む、方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
開示される技術および添付の図は、開示される技術のいくつかの実施態様を記載する。
【0025】
図1】いくつかの実施形態による有機光応答性デバイスを示す。
図2】いくつかの実施形態による有機光検出器および比較非フラーレン電子受容体IEICO-4Fを含む比較有機光検出器の外部量子効率対波長を示す。
図3A】いくつかの実施形態による有機光検出器および比較非フラーレン電子受容体IEICO-4CNを含む比較有機光検出器の外部量子効率対波長を示す。
図3B】光に露出していない図3Aの有機光検出器の電流密度対電圧を示す。
図4A】いくつかの実施形態による有機光検出器および比較電子供与体を含む比較有機光検出器の外部量子効率対波長を示す。
図4B】光に露出していない図4Aの有機光検出器の電流密度対電圧を示す。
【0026】
図面は、縮尺通りに描かれておらず、様々な視点および斜視図を有する。図面は、いくつかの実施態様および実施例である。加えて、いくつかの構成要素および/または操作は、開示される技術のいくつかの実施形態の考察の目的のために、異なるブロックに分離され得るか、または単一のブロックに組み合わされ得る。さらに、本技術は、様々な変更や代替形式に対応可能であるが、具体的な実施形態は、例として図面に示されており、以下に詳細に記載される。しかしながら、意図は、記載される特定の実施態様に本技術を限定することではない。対照的に、本技術は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような技術の範囲内に入るすべての変更物、同等物、および代替物を包含することが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0027】
文脈上明らかに別段の要求がない限り、本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの単語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に、包括的な意味、すなわち、「含むが、これらに限定されない」という意味で解釈されるべきである。加えて、「本明細書」、「上記」、「下記」という単語、および同様の意味の単語は、本出願で使用される場合、本出願全体を指し、本出願の任意の特定の部分を指すものではない。文脈が許容する場合、「発明を実施するための形態」の中で単数または複数を使用する単語は、それぞれ複数または単数も含み得る。「または」という単語は、2つ以上の項目のリストに関連して、リスト内のいずれかの項目、リスト内のすべての項目、およびリスト内の項目の任意の組み合わせ、という単語の解釈のすべてを包含する。本出願で使用される場合、別の層の「上方の」層への言及は、層が直接接触してもよく、または1つ以上の介在層が存在してもよいことを意味する。別の層の「上の」層への言及は、本出願で使用される場合、層が直接接触していることを意味する。特定原子への言及は、特に明記しない限り、その原子の任意の同位体を含む。
【0028】
本明細書に提供される技術の教示は、必ずしも以下に記載されるシステムではなく、他のシステムに適用され得る。以下に記載される様々な実施例の要素および行為は、組み合わされて、技術のさらなる実施態様を提供し得る。本技術のいくつかの代替の実施態様は、以下に記述されるこれらの実施態様に追加の要素を含み得るだけでなく、より少ない要素も含み得る。
【0029】
これらおよび他の変更は、以下の詳細な記載を考慮して、本技術に対して行われ得る。本明細書では、本技術の特定の実施例を記載し、企図される最良のモードを記載するが、記載がどれほど詳細に表示されても、本技術は多くの方法で実施され得る。上記のように、本技術の特定の特徴または態様を記載する場合に使用される特定の用語は、その用語に関連付けられた本技術の任意の具体的な特性、特徴、または態様に制限されるように、その用語が本明細書で再定義されることを意味するものと解釈されるべきではない。概して、以下の特許請求の範囲で使用される用語は、「発明を実施するための形態」の項でそのような用語を明示的に定義しない限り、本技術を本明細書に開示された具体的な実施例に限定するものと解釈されるべきではない。したがって、本技術の実際の範囲は、開示された実施例だけでなく、特許請求の範囲下の技術の実践または実施態様のすべての同等の方法も包含する。
【0030】
特許請求の範囲の数を低減するために、本技術の特定の態様は、特定の特許請求の範囲の形態で以下に提示されるが、出願人は、任意の数の特許請求の範囲の形態における本技術の様々な態様を企図する。
【0031】
以下の記載では、説明の目的で、開示された技術の実施態様の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。しかしながら、当業者には、開示された技術の実施形態は、これらの具体的な詳細のいくつかがなくても実施され得ることは明らかであろう。
【0032】
図1は本開示のいくつかの実施形態による有機光応答性デバイスを示している。有機光応答性デバイスは、カソード103と、アノード107と、アノードとカソードとの間に配置されたバルクヘテロ接合層105と、を備える。有機光応答性デバイスは、基板101、任意選択的にガラスまたはプラスチック基板上に支持され得る。
【0033】
バルクヘテロ接合層は、電子供与体材料と、第1の電子受容体材料と、を備える。
【0034】
電子供与体(p型)材料は、第1の電子受容体(n型)材料のLUMOよりも深い(真空からさらに遠い)HOMOを有する。任意選択的に、p型供与体材料のHOMO順位と、n型受容体材料のLUMO順位との間のギャップは、1.4eV未満である。特に断りのない限り、本明細書に記載される材料のHOMO順位およびLUMO順位は、方形波ボルタメトリによって測定されたものである。
【0035】
電子供与体材料および第1の電子受容体材料は共に、式(I):
【化12】

(式中、
XおよびYが、各々独立して、S、O、またはSeから選択され、
Zが、O、S、NR、またはCR であり、
Ar-Arが、各々独立して、非置換もしくは置換ベンゼン、非置換もしくは置換5員もしくは6員のヘテロ芳香族基であるか、または不在であり、
およびAが、各々独立して、非置換もしくは置換ベンゼン、非置換もしくは置換5員もしくは6員のヘテロ芳香族基、C、N、S、およびOから選択される環原子を有する非芳香族6員環であるか、または不在であり、
nが、1、2、または3であり、
が、各出現時において、独立して、Hまたは置換基であり、
が、Hまたは置換基であり、
各Rが、独立して、Hまたは置換基である)の電子供与体基を含む。
【0036】
nが2または3の場合、n個の単位の各々は任意の向きで連結されていてもよい。例えば、n=2の場合、式(I)は、
【化13】

のいずれであってもよい。
【0037】
nが2または3である場合、Ar-Ar、R、A、A、X、Y、およびZの各々は、同じであるかまたは異なっている。
【0038】
いくつかの実施形態では、各Zは、同じである。いくつかの実施形態では、1つのZは、O、S、NR、またはCR のうちの1つであり、別のZは、O、S、NR、またはCR のうちの別のものである。
【0039】
本発明者らは、供与体材料と第1の受容体材料との両方が式(I)の供与体基を含む有機光検出器のバルクヘテロ接合層が、供与体および受容体のうちの一方が式(I)の供与体基を含まない供与体-受容体系と比較して、より低い暗電流、すなわち、デバイス上に電磁放射線が入射していないときの電流をもたらし得ることを見出した。
【0040】
本発明者らは、供与体材料と式(I)の供与体基との両方を含む受容体材料を含む有機光検出器が、例えば、約850nm超、任意選択的に、850~1500nmの範囲、任意選択的に約850~1000nmの範囲の長波長の光の検出に特に好適であり得ることを見出した。
【0041】
電子供与体材料および第1の電子受容体材料は、各々、式(I)の電子供与体基および電子受容性基(EAG)を含有してもよい。
【0042】
式(I)の電子供与体基および電子受容性基を含む各電子供与体材料および電子受容体材料について、EAGは、式(I)の基よりも深い(すなわち、真空からさらに遠い)LUMO準位、好ましくは少なくとも1eV深いLUMO準位を有する。EAGおよび式(I)のLUMO準位は、EAG-HまたはH-EAG-HのLUMO準位をH-[式(I)]-HのLUMO準位とモデル化することによって、すなわち、EAGと式(I)との間の結合を水素原子への結合に置き換えることによって判定されるとおりであってよい。モデル化は、B3LYP(汎関数)およびLACVP*(基底関数系)を有するGaussian09を使用して、Gaussianから入手可能なGaussian09ソフトウェアを使用して実施されてもよい。
【0043】
好ましくは、第1の電子受容体は、5,000ダルトン未満、任意選択的に、3,000ダルトン未満の分子量を有する。好ましくは、第1の電子受容体は、式(I)の3個以下の基を含む。
【0044】
好ましくは、本明細書に記載される電子供与体ポリマーのゲル浸透クロマトグラフィーによって測定されるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)は、約5×10~1×108、好ましくは1×10~5×10の範囲にある。本明細書に記載されるポリマーのポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は、1×10~1×10、好ましくは1×10~1×10であり得る。
【0045】
好ましくは、第1の電子受容体は非ポリマー化合物である。好ましくは、第1の電子受容体は、式(I)のうちの1つの基のみを含む。
【0046】
第1の電子受容体材料は、より好ましくは、式(II):
【化14】

(式中、
mおよびoが、各々独立して、0であるか、または1以上の整数であり、
が、mが1以上である場合の架橋基、またはmが0である場合の直接結合であり、
が、oが1以上である場合の架橋基、またはoが0である場合の直接結合であり、
各EAGが、独立して、電子受容性基を表す)の化合物である。
【0047】
好ましくは、mおよびoは、0、1、または2である。好ましくは、mとoとは同じである。
【0048】
好ましくは、式(II)の化合物は、式(IIa)
【化15】

を有する。
【0049】
好ましくは、式(IIa)のnは1である。式(IIa)の例示的な化合物は、COi8DFIC:
【化16】

である。
【0050】
架橋基LおよびLが存在する場合、LおよびLは、各々独立して、式(XV)または式(XVI)の基であってもよい。
【化17】

(式中、
、X、およびXが、各々独立して、S、O、またはSeであり、
*が、式(I)への結合点を表し、
**が、EAGへの結合点を表し、
、R7、、およびRが、各々独立して、Hまたは置換基、任意選択的に、F、C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)、およびフェニル(非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されている)、任意選択的に、1つ以上のC1-12アルキル基(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置換されていてもよい)から選択される置換基である。
【0051】
本明細書で使用される場合、アルキル基の「非末端の」C原子とは、直鎖(n-アルキル)鎖のメチルC原子または分岐アルキル鎖のメチルC原子以外のアルキルのC原子を意味する。
【0052】
好ましくは、LおよびLは、各々独立して、下式:
【化18】

(式中、Rは、C1-12ヒドロカルビル基、任意選択的に、C1-12アルキルである)から選択される。
【0053】
好ましくは、式(I)の基を含む電子供与体材料は、式(I)の繰り返し単位を含むポリマーであり、より好ましくは、式(III):
【化19】

(式中、EAGが、電子受容性基である)の繰り返し構造を含むポリマーである。
【0054】
好ましくは、式(III)の繰り返し構造が、式(IIIa):
【化20】

(式中、X、Y、Z、R1、およびEAG2は上述したとおりであり、Rが、各出現時において、独立して、Hまたは置換基である)を有する。好ましくは、各Rは、独立して、R、R、RおよびRに関して記載されるHまたは置換基から選択される。より好ましくは、各Rは、Hである。
【0055】
好ましくは、電子供与性ポリマーの式(I)は、式:
【化21】

を有する。
【0056】
任意選択的に、電子供与体材料または電子受容体材料の式(I)の基のRは、各出現時において、独立して、H、F、C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)、およびフェニル(非置換であるか、または1つ以上の置換基、任意選択的に、1つ以上のC1-12アルキル基(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子がFで置換されていてもよい)で置換されている)から選択される。
【0057】
任意選択的に、電子供与体材料または電子受容体材料の式(I)の基のRは、各出現時において、独立して、H、C1-30アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)、および芳香族基Ar、任意選択的に、フェニル(非置換であるか、またはFおよびC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよい)から選択される1つ以上の置換基で置換されている)から選択される。
【0058】
好ましくは、Rは、H、C1-30アルキル、非置換フェニル、またはC1-12アルキルおよびC1-12アルコキシから選択される1つ以上の置換基で置換されるフェニルから選択される。
【0059】
任意選択的に、電子供与体材料または電子受容体材料の式(I)の基のRは、各出現時において、独立して、H、F、C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)、Si(R、および芳香族基Ar、任意選択的に、フェニル(非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されている)から選択される。同じ炭素原子に結合した2つのR基を連結して、環、例えば、シクロアルキル環、または芳香族もしくはヘテロ芳香族環、例えば、フルオレンを形成してもよい。
【0060】
Arの置換基は、F、C1-30アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられてもよい)、およびCOOHまたはその塩から選択されてもよい。
【0061】
電子供与体材料または電子受容体材料の式(I)の基のAr-Arは、各出現時において、独立して、好ましくは、ベンゼンまたはチオフェンであり、それらの各々は、任意選択的に、独立して、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換される。
【0062】
好ましくは、電子供与体材料または電子受容体材料の式(I)の基のAおよびAは、各出現時において、独立して、シクロヘキサンであり、任意選択的に、1つ以上の炭素原子は、S、NR、またはOで置き換えられる。
【0063】
好ましくは、A1およびA2は各々独立して、式:
【化22】

(式中、ZおよびRは、上述したとおりである)を有する。
【0064】
が存在する場合、好ましくは、Ar~Arのうちの少なくともArおよびArが存在する。
【0065】
が存在する場合、好ましくは、Ar~Arのうちの少なくともArおよびArが存在する。
【0066】
Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、Ar、およびAは、各々独立して、任意選択的に、非置換であるか、または1つ以上の置換基、任意選択的に、F、C1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられてもよい)、および-B(R14(R14が、各出現時において、置換基、任意選択的に、C1-20ヒドロカルビル基である)から選択される1つ以上の置換基で置換される。
【0067】
Zは、好ましくは、OまたはNRである
【0068】
XおよびYは、各々、好ましくはSである。
【0069】
式(II)の一価のEAG基は、同じであっても異なっていてもよく、好ましくは同じであってもよい。任意選択的に、式(II)の各EAGは、式(IV)~(XIV):
【化23】
(---は、L、Lへの結合、または式(I)の*で示される位置を表す)から選択される。
【0070】
Aは、非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されており、1つ以上のさらなる環に縮合されていてもよい5員または6員環である。
【0071】
10は、Hまたは置換基、好ましくは、C1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)、および芳香族基Ar、任意選択的に、フェニル(非置換であるか、またはFおよびC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていている)から選択される1つ以上の置換基で置換されてもよい)からなる群から選択される置換基である。
【0072】
好ましくは、R10は、Hである。
【0073】
Jは、OまたはSである。
【0074】
13は、各出現時において、置換基、任意選択的にC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)である。
【0075】
15は、各出現時において、独立して、C1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)、または芳香族基Ar、任意選択的に、フェニル(非置換であるか、またはFおよびC1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていている)から選択される1つ以上の置換基で置換されてもよい)からなる群から選択される。
【0076】
16は、置換基であり、好ましくは、
-(Ar(式中、Arは、各出現時において、独立して、非置換または置換アリールまたはヘテロアリール基、好ましくはチオフェンであり、wは、1、2、または3である)、
【化24】

ならびに
1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、COO、またはCOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)から選択された置換基である。
【0077】
Ar10は、5員ヘテロアリーレン基、好ましくは非置換であるか、または1つ以上の置換基で置換されている、チオフェンまたはフランである。
【0078】
ArおよびAr10の置換基は、存在する場合、任意選択的に、C1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、CO、またはCOOで置き換えられていてもよく、アルキルの1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)から選択される。
【0079】
は、NまたはPである
、T、およびTは、各々独立して、1つ以上のさらなる環に縮合され得るアリールまたはヘテロアリール環を表す。T、T、およびTの置換基は、存在する場合、任意選択的に、R15の非H基から選択される。
【0080】
Arは、非置換であるか、または1つ以上の非H置換基R10で置換されている縮合ヘテロ芳香族基である。
【0081】
式(IV)の好ましい基は式(IVa)である。
【0082】
好ましくは少なくとも1つ、より好ましくは各々、EAGは、式(IVa):
【化25】

(式中、
10が、上述したとおりであり、
----が、式(I)のL、L、または*への連結位置を表し、
各X~Xが、独立して、CR17またはN(R17が、各出現時において、Hであるか、またはC1-20ヒドロカルビルおよび電子求引性基から選択される置換基である)である)の基である。任意選択的に、電子求引性基は、F、Cl、Br、またはCNである。
【0083】
1-20ヒドロカルビル基R17は、C1-20アルキル、非置換フェニル、および1つ以上のC1-12アルキル基で置換されたフェニルから選択されてもよい。
【0084】
式(Va)または(Vb)の例示的なEAG基としては、
【化26】

(式中、Akが、C1-12アルキレン鎖(1つ以上のC原子が、O、S、CO、またはCOOで置き換えられていてもよい)であり、Anは、アニオンであり、任意選択的に、-SO であり、各ベンゼン環が、独立して、非置換であるか、またはR10に関して説明されている置換基から選択される1つ以上の置換基で置換されている)が挙げられる。
【0085】
式(X)の例示的なEAG基は、
【化27】

である。
【0086】
式(XII)の例示的なEAG基は、
【化28】

である。
【0087】
少なくとも1つのEAGが式(XIV)の基である場合、式(I)の基は、式-B(R14(式中、R14が、各出現時において、置換基であるか、任意選択的に、C1-20ヒドロカルビル基であり、---は、式(I)の*で示される位置への結合であり、→は、-B(R14のホウ素原子への結合である)の基で置換される。
【0088】
任意選択的に、R14は、C1-12アルキル、非置換フェニル、および1つ以上のC1-12アルキル基で置換されたフェニルから選択される。
【0089】
式(I)の基、式(XIV)の基および式(I)のB(R14置換基は、互いに連結して5員または6員環を形成していてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、式(XIV)のEAGは、式(XIVa)、(XIVb)、および(XIVc):
【化29】

から選択される。
【0091】
式(III)の二価のEAG基は、好ましくは、
-式(IX)~(XI)の二価の類似体(R16が式(I)の*への結合である)、ならびに
-式(XII)および(XIII)の二価の類似体(XIIa)および(XIIIa)、それぞれ:
【化30】

から選択される。
好ましい二価のEAG基は、
【化31】

(式中、XはSであり、YはHまたは置換基、例えば、C1-12アルキルまたはFであり、RはR13である)である。
【0092】
いくつかの実施形態では、バルクヘテロ接合層は、電子供与体材料および第1の電子受容体材料からなる。いくつかの実施形態では、バルクヘテロ接合層は、電子供与体材料、第1の電子受容体材料、および1つ以上のさらなる電子供与体および/または電子受容体材料を含むかまたはそれらからなる。いくつかの実施形態では、バルクヘテロ接合層は、電子供与体材料、第1の(非フラーレン)電子受容体材料、および第2のフラーレン電子受容体材料を含むか、またはそれらからなる。
【0093】
例示的なフラーレン電子受容体材料は、C60、C70、C76、C78、およびC84フラーレン、またはその誘導体であり、その誘導体は、限定されないが、PCBM型フラーレン誘導体(フェニル-C61-ブチル酸メチルエステル(C60PCBM)、TCBM型フラーレン誘導体(例えば、トリル-C61-ブチル酸メチルエステル(C60TCBM))、およびThCBM型フラーレン誘導体(例えば、チエニル-C61-ブチル酸メチルエステル(C60ThCBM)を含む。
【0094】
フラーレン誘導体は、式(III):
【化32】

を有してもよい。
【0095】
(式中、Aが、フラーレンのC~C基とともに、非置換であってもよいか、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい単環式または縮合環基を形成する)を有してもよい。
【0096】
例示的なフラーレン誘導体としては、式(IIIa)、(IIIb)および(IIIc):
【化33】

(式中、R20~R32が、各々独立して、Hまたは置換基である)が挙げられる。
【0097】
置換基R20~R32は、任意選択的に、独立して、各出現時において、アリールまたはヘテロアリール、任意選択的に、フェニル(非置換であってもよいか、または1つ以上の置換基で置換されていてもよい)、ならびにC1-20アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子が、O、S、CO、またはCOOで置き換えられていてもよく、1つ以上のH原子が、Fで置き換えられていてもよい)からなる群から選択される。
【0098】
アリールまたはヘテロアリールの置換基は、存在する場合、任意選択的に、C1-12アルキル(1つ以上の隣接していない、非末端のC原子は、O、S、CO、またはCOOで置き換えられていてもよく、1つ以上のH原子は、Fで置き換えられていてもよい)から選択される。
【0099】
いくつかの実施形態では、1つ以上の受容体に対する供与体の重量は、約1:0.5~約1:2である。
【0100】
好ましくは、1つ以上の受容体に対する供与体の重量比は、約1:1.1~約1:2である。
【0101】
任意選択的に、第1の受容体の重量は、供与体の重量を超える。
【0102】
アノードおよびカソードのうちの少なくとも一方は、デバイスに入射する光がバルクヘテロ接合層に到達できるように透明である。いくつかの実施形態では、アノードおよびカソードの両方が透明である。
【0103】
各透明電極は、好ましくは、400~750nmまたは750~1000nmの範囲の波長に対して、少なくとも70%、任意選択的に少なくとも80%の透過率を有する。透過率は、有機光検出器で使用するための光源の放出波長に応じて選択されてもよい。
【0104】
図1は、カソードが基板とアノードとの間に配置される構成を示す。他の実施形態では、アノードは、カソードと基板との間に配置され得る。
【0105】
OPDの面積は、約3cm未満、約2cm未満、約1cm未満、約0.75cm未満、約0.5cm未満、または約0.25cm未満であってもよい。基板は、限定されないが、ガラスまたはプラスチック基材であってもよい。基板は、無機半導体であってもよい。いくつかの実施形態では、基板は、シリコンであってもよい。例えば、基板は、シリコンのウエハであってもよい。使用時に、入射光が基板および基板によって支持される電極を通って透過される場合、基板は透明である。
【0106】
バルクヘテロ接合層は、熱蒸発および溶液堆積法を含むが、これらに限定されない、任意のプロセスによって形成されてもよい。
【0107】
好ましくは、バルクヘテロ接合層は、電子供与体材料、第1の電子受容体材料、および溶媒または2つ以上の溶媒の混合物に溶解または分散されたバルクヘテロ接合層の他の任意の成分を含む調合物を堆積させることによって形成される。調合物は、スピンコーティング、ディップコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング、ドクターブレードコーティング、ワイヤーバーコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、およびフレキソ印刷を含むが、これらに限定されない任意のコーティングまたは印刷方法によって堆積されてもよい。
【0108】
調合物の1つ以上の溶媒は、任意選択的に、塩素、C1-10アルキル、およびC1-10アルコキシ(2つ以上の置換基が連結されて、非置換であってもよいか、または1つ以上のC1-6アルキル基で置換されていてもよい環を形成する)、任意選択的に、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン、アニソール、インダン、およびそのアルキル置換誘導体、ならびにテトラリンおよびそのアルキル置換誘導体から選択される1つ以上の置換基で置換されたベンゼンを含むか、またはそれらからなり得る。
【0109】
調合物は、2つ以上の溶媒、好ましくは、上述したように1つ以上の置換基で置換された少なくとも1つのベンゼンと、1つ以上のさらなる溶媒とを含む混合物を含んでもよい。1つ以上のさらなる溶媒は、アルキルまたはアリールカルボン酸のエステル、任意選択的にアルキルまたはアリールエステル、任意選択的にC1-10アルキル安息香酸塩、ベンジル安息香酸塩、またはジメトキシベンゼンから選択されてもよい。好ましい実施形態では、トリメチルベンゼンと安息香酸ベンジルの混合物を溶媒として使用する。他の好ましい実施形態では、トリメチルベンゼンおよびジメトキシベンゼンとの混合物を溶媒として使用する。
【0110】
調合物は、電子受容体、電子供与体、および1つ以上の溶媒に加えて、さらなる成分を含んでもよい。そのような成分の例として、接着剤、消泡剤、脱気剤、粘度増強剤、希釈剤、補助剤、流れ改良剤、着色剤、染料または顔料、増感剤、安定剤、ナノ粒子、表面活性化合物、潤滑剤、湿潤剤、分散剤、および阻害剤が言及され得る。
【0111】
アノードおよびカソードの各々は、独立して、単一の導電性層であってもよいか、または、複数の層を含んでもよい。
【0112】
有機光応答性デバイスは、図1に示すアノード、カソード、およびバルクヘテロ接合層以外の層を含んでもよい。いくつかの実施形態では、正孔輸送層は、アノードとバルクヘテロ接合層との間に配置される。いくつかの実施形態では、電子輸送層は、カソードとバルクヘテロ接合層との間に配置される。いくつかの実施形態では、仕事関数修正層は、バルクヘテロ接合層とアノードとの間、および/またはバルクヘテロ接合層とカソードとの間に配置される。
【0113】
回路は、デバイスおよび/または光電流を測定するように構成されたデバイスに逆バイアスを印加するための電圧源に接続されたOPDを含み得る。光検出器に印加される電圧は可変であり得る。いくつかの実施形態では、光検出器は、使用時に連続的にバイアスがかけられてもよい。
【0114】
いくつかの実施形態では、光検出器システムは、本明細書に記載される複数の光検出器、例えば、カメラの画像センサを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、センサは、本明細書に記載されるOPDと、光源と、を含んでいてもよく、OPDは、光源から放出された光を受け取るように構成されている。
【0116】
いくつかの実施形態では、光源からの光は、OPDに到達する前に変更されてもよいか、または変更されなくてもよい。例えば、光がOPDに到達する前に、反射、フィルタリング、ダウン変換、またはアップ変換されてもよい。
【0117】
本明細書に記載される有機光応答性デバイスは、有機光起電力デバイスまたは有機光検出器であり得る。本明細書に記載される有機光検出器は、周囲光の存在および/または明るさの検出を含むがこれらに限定されない広範囲の用途で、ならびに有機光検出器および光源を含むセンサで使用されてもよい。光検出器は、光源から放出された光が光検出器に入射し、光の波長および/または明るさの変化が、例えば、光源と有機光検出器との間の光路に配置された物体、例えば、サンプル中の標的材料による光の吸収、反射、および/またはそれからの光の放出に起因して検出され得るように構成されてもよい。サンプルは、非生物学的サンプル、例えば、水サンプル、またはヒトもしくは動物対象から採取された生物学的サンプルであってもよい。センサは、ガスセンサ、バイオセンサ、X線撮像デバイス、カメラ画像センサなどの画像センサ、モーションセンサ(例えば、セキュリティアプリケーションで使用するための)、近接センサ、または指紋センサであってもよいが、これらに限定されない。1Dまたは2D光センサアレイは、画像センサ内に本明細書に記載される複数の光検出器を含んでもよい。
【実施例
【0118】
調合物実施例1
半導性ポリマー1(電子供与体)、COi8DFIC(非フラーレン電子受容体)、およびPCBM(フラーレン電子受容体)を、1,2,4-トリメチルベンゼン中に溶解し、ポリマー中の1,2-ジメトキシベンゼン(95:5v/v):COi8DFIC:PCBMを1重量比で:1.05:0.45とした。
【化34】
【0119】
半導性ポリマー実施例1
【化35】

【化36】
【0120】
比較調合物1A
比較の目的のために、COi8DFICを非フラーレン受容体IEICO-4Fに置き換えた以外は、調合物実施例1に記載したように調合物を調製した。
【化37】
【0121】
比較調合物1B
比較の目的のために、COi8DFICを非フラーレン受容体のIEICO-4CNに置き換えた以外は、調合物実施例1に記載したように調合物を調製した。
【化38】
【0122】
比較調合物2
比較の目的のために、半導性ポリマー実施例1を比較ポリマー実施例1であるPTB7-Thに置き換えた以外は、調合物実施例1に記載したように調合物を調製した。
【化39】
【0123】
IEICO-4F、IEICO-4CN、およびCOi8DFICのHOMO、LUMO、およびバンドギャップ値を表1に提供される。
【0124】
HOMOおよびLUMOの測定は、ソフトウェア(IJ Cambria Scientific Ltd)、CHI104 3mmガラス製炭素ディスク作動電極(IJ Cambria Scientific Ltd)、白金線補助電極および参照電極(Ag/AgCl)(Havard Apparatus Ltd)を備えたCHI660D電気化学ワークステーションを使用して、正方形波ボルタメトリによって実施した。アセトニトリル(Hi-乾燥無水グレード-ROMILとして入手可能)を、細胞溶液溶媒として使用した。フェロセン(FLUKAから入手可能)を基準規格として使用することができる。テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート(FLUKAから入手可能)は、細胞溶液塩として使用され得る。HOMOおよびLUMO値は、トルエン中の希釈溶液(0.3重量%)から測定した。測定セルは、電解質、ガラス状炭素作用電極、白金対電極、およびAg/AgCl参照ガラス電極を含有する。フェロセンは、参照材料(LUMO(フェロセン)=-4.8eV)として実験の終わりにセルに添加する。
【表1】
【0125】
デバイス実施例1
以下の構造を有するデバイスを調製した。
カソード/供与体:受容体層/アノード
インジウム-スズ酸化物(ITO)でコーティングされたガラス状基板をポリエチレンイミン(PEIE)で処理して、ITOの作業機能を修飾した。
【0126】
調合物実施例1の厚さ約600nmのバルクヘテロ接合層を、バーコーティングによって改変ITO層上に堆積させた。結果として得られた層を80℃で真空下で乾燥させた。
【0127】
Heraeusから入手可能なアノード(Clevios HIL-E100)を、スピンコーティングによって供与体/受容体混合物層上に形成した。
【0128】
比較デバイス1A、1Bおよび2
調合物実施例1の代わりに比較調合物1A、1B、2をそれぞれ使用した以外は、デバイス実施例1に記載したように比較デバイス1A、1B、2を調製した。
【0129】
比較デバイス1Aで使用されるIEICO-4Fは、デバイス実施例1で使用されるCOi8DFICよりも小さいバンドギャップを有し、これは、比較デバイス1が長波長の光を吸収することにより効果的であることを示唆するであろう。しかし、図2を参照すると、約900~1000nmの範囲の波長において、デバイス実施例1の外部量子効率は、比較デバイス1の外部量子効率を超えることに驚かされる。
【0130】
比較デバイス1Bでは、受容体IEICO-4CNは、IEICO-4Fよりもさらに小さいバンドギャップを有する。図3Aおよび3Bを参照すると、このデバイスは、デバイス実施例1と比較して、約1000nmを超える波長でより高い外部量子効率を有するが、比較デバイス1Bは、著しく高い暗電流を有する。
【0131】
図4Aを参照すると、デバイス実施例1の外部量子効率は、約900nmを超える波長において、比較デバイス2の外部量子効率を超える。
【0132】
図4Bを参照すると、デバイス実施例1は、比較デバイス2よりも低い暗電流を有する。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
【国際調査報告】