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特表2023-504914IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド
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  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図1
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図2
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図3
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図4
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図5
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図6
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図7
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図8
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図9
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図10
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図11
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図12
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図13
  • 特表-IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド 図14
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-07
(54)【発明の名称】IL-13およびTSLPを標的化する免疫グロブリン単一可変ドメインを含むポリペプチド
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20230131BHJP
   C07K 16/24 20060101ALI20230131BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20230131BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20230131BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20230131BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20230131BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20230131BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20230131BHJP
   C12P 21/08 20060101ALI20230131BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230131BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20230131BHJP
   A61K 47/62 20170101ALI20230131BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20230131BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20230131BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230131BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20230131BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20230131BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230131BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/24
C07K16/46
C12N15/62 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
C12P21/08
C12P21/02 C
A61K39/395 U
A61K48/00
A61K47/60
A61K47/62
A61K47/68
A61K47/65
A61P11/06
A61P17/00
A61P37/08
A61P29/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534664
(86)(22)【出願日】2020-12-09
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 EP2020085304
(87)【国際公開番号】W WO2021116182
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】62/945,391
(32)【優先日】2019-12-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】20305064.6
(32)【優先日】2020-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】517123807
【氏名又は名称】アブリンクス・エヌ・フェー
(71)【出願人】
【識別番号】504456798
【氏名又は名称】サノフイ
【氏名又は名称原語表記】SANOFI
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】ハイディ・ロメラエレ
(72)【発明者】
【氏名】アン・ブリジュ
(72)【発明者】
【氏名】ジーグリット・コルネリス
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ・ドンブレヒト
(72)【発明者】
【氏名】エリク・ローレン
(72)【発明者】
【氏名】メラニー・リーガー
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー・スース
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・パーク
(72)【発明者】
【氏名】ベルント・ヴァイクレ
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・エルプ
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B064AG27
4B064CA02
4B064CA19
4B064CE12
4B064DA01
4B065AA26X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA25
4B065CA44
4C076AA94
4C076CC04
4C076CC15
4C076CC18
4C076CC41
4C076EE59Q
4C076FF65
4C084AA13
4C084ZA59
4C084ZA89
4C084ZB11
4C084ZB13
4C085AA14
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA22
4H045EA28
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
本技術は、炎症性疾患に罹っている対象を処置するための新規のタイプの薬物を提供することを目的とする。具体的には、本技術は、少なくとも2つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)がIL-13に結合し、少なくとも2つのISVDがTSLPに結合することを特徴とする少なくとも4つのISVDを含むポリペプチドを提供する。本技術はまた、核酸、ベクターおよび組成物も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬としての使用のための、ポリペプチド、該ポリペプチドを含む組成物、または該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む組成物であって、該ポリペプチドは、IL-13またはTSLPに特異的に結合する少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなり、前記ISVDは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、
b)配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、
c)配列番号9のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号14のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号19のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、または
d)配列番号11のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号16のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号21のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含む、前記ポリペプチドまたは組成物。
【請求項2】
IL-13に特異的に結合する少なくとも1つのISVDまたはTSLPは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3、
b)配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3、
c)配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3、または
d)配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3
を含む、請求項1に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項3】
IL-13またはTSLPに特異的に結合する少なくとも1つのISVDのアミノ酸配列は:
a)配列番号2と90%を超える配列同一性、
b)配列番号3と90%を超える配列同一性、
c)配列番号4と90%を超える配列同一性、または
d)配列番号6と90%を超える配列同一性
を含む、請求項1または2に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項4】
前記IL-13またはTSLPに特異的に結合する少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号2のアミノ酸配列、
b)配列番号3のアミノ酸配列、
c)配列番号4のアミノ酸配列、または
d)配列番号6のアミノ酸配列
を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項5】
ポリペプチドは、少なくとも2つのISVDを含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも2つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1および第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
b)第1および第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
c)第1のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
iv.配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
d)第1のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
iv.配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
e)第1のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
i.配列番号11のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号16のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号21のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
iv.配列番号9のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号14のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号19のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むか、または
f)第1のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
i.配列番号9のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号14のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号19のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
iv.配列番号11のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号16のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号21のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
ISVDの順番は、前記ポリペプチドのN末端からC末端への方向で考えられるそれらの互いに対する相対的な位置を示す、請求項1に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項6】
a)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
b)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
c)IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
d)IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
e)TSLPに特異的に結合する第1のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含むか、または
f)TSLPに特異的に結合する第1のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む、請求項5に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項7】
a)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、
b)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、
c)IL-13に特異的に結合する第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、
d)IL-13に特異的に結合する第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、
e)TSLPに特異的に結合する第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号6と90%を超える配列同一性を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み、
f)TSLPに特異的に結合する第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号6と90%を超える配列同一性を含む、請求項5または6に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項8】
a)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
b)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
c)IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
d)IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
e)TSLPに特異的に結合する第1のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または
f)TSLPに特異的に結合する第1のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項5~7のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項9】
ポリペプチドは:
a)配列番号148のアミノ酸配列、
b)配列番号149のアミノ酸配列、
c)配列番号150のアミノ酸配列、
d)配列番号151のアミノ酸配列、
e)配列番号152のアミノ酸配列、
f)配列番号153のアミノ酸配列、
g)配列番号154のアミノ酸配列、
h)配列番号155のアミノ酸配列、
i)配列番号156のアミノ酸配列、
j)配列番号157のアミノ酸配列、
k)配列番号158のアミノ酸配列、または
l)配列番号159のアミノ酸配列
を含むかまたはそれからなる、請求項5~8のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項10】
ポリペプチドは、少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも4つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
b)第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
iv.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
c)第3のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
vii.配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
viii.配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
ix.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
d)第4のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
x.配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
xi.配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
xii.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
ISVDの順番は、前記ポリペプチドのN末端からC末端への方向で考えられるそれらの互いに対する相対的な位置を示す、請求項1または5に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含み、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む医薬組成物である、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【請求項12】
a)前記第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
d)前記第4のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む、請求項10または11に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項13】
a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号90%を超える配列同一性を含み;
d)前記第4のISVDのアミノ酸配列は、配列番号90%を超える配列同一性を含む、請求項10~12のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項14】
a)前記第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み;
d)前記第4のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項10~13のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項15】
前記ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する、請求項1~14のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項16】
増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそれらの断片、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群から選択される、請求項15に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項17】
増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の結合単位は、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンのような)または血清免疫グロブリン(IgGのような)に結合することができる結合単位からなる群から選択される、請求項15または16に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項18】
増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができるISVDである、請求項17に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項19】
ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、
i.配列番号10のアミノ酸配列であるかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号15のアミノ酸配列であるかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号20のアミノ酸配列であるかまたは配列番号20と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含む、請求項18に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項20】
ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号10のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号15のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号20のアミノ酸配列であるCDR3を含む、請求項18または19に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項21】
前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える配列同一性を含む、請求項18~20のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項22】
前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項18~21のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項23】
ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1と90%を超える配列同一性を含む、請求項10~22のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項24】
ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項10~23のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項25】
2型炎症性疾患のような炎症性疾患の処置における使用のための、請求項1~24のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項26】
2型炎症性疾患は、喘息およびアトピー性皮膚炎から選択される、請求項25に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【請求項27】
IL13またはTSLPに特異的に結合する少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなるポリペプチドであって、前記ISVDは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み;該少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、
b)配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、
c)配列番号9のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号14のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号19のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、または
d)配列番号11のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号16のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号21のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含む、前記ポリペプチド。
【請求項28】
IL-13に特異的に結合する少なくとも1つのISVDまたはTSLPは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3、
b)配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3、
c)配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3、または
d)配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3
を含む、請求項27に記載のポリペプチド。
【請求項29】
IL-13またはTSLPに特異的に結合する少なくとも1つのISVDのアミノ酸配列は:
a)配列番号2と90%を超える配列同一性、
b)配列番号3と90%を超える配列同一性、
c)配列番号4と90%を超える配列同一性、または
d)配列番号6と90%を超える配列同一性
を含む、請求項27または28に記載のポリペプチド。
【請求項30】
前記IL-13またはTSLPに特異的に結合する少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号2のアミノ酸配列、
b)配列番号3のアミノ酸配列、
c)配列番号4のアミノ酸配列、または
d)配列番号6のアミノ酸配列
を含む、請求項27~29のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項31】
ポリペプチドは、少なくとも2つのISVDを含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも2つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1および第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
b)第1および第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
c)第1のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
iv.配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
d)第1のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
iv.配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
e)第1のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
i.配列番号11のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号16のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号21のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
iv.配列番号9のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号14のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号19のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むか、または
f)第1のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
i.配列番号9のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号14のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号19のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
iv.配列番号11のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号16のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号21のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
ISVDの順番は、前記ポリペプチドのN末端からC末端への方向で考えられるそれらの互いに対する相対的な位置を示す、請求項27に記載のポリペプチド。
【請求項32】
a)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
b)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
c)IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
d)IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
e)TSLPに特異的に結合する第1のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含むか、または
f)TSLPに特異的に結合する第1のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む、請求項31に記載のポリペプチド。
【請求項33】
a)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、
b)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、
c)IL-13に特異的に結合する第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、
d)IL-13に特異的に結合する第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、
e)TSLPに特異的に結合する第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号6と90%を超える配列同一性を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み、
f)TSLPに特異的に結合する第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号6と90%を超える配列同一性を含む、請求項31または32に記載のポリペプチド。
【請求項34】
a)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
b)IL-13に特異的に結合する第1および第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
c)IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
d)IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
e)TSLPに特異的に結合する第1のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または
f)TSLPに特異的に結合する第1のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み、TSLPに特異的に結合する第2のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項31~33のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項35】
a)配列番号148のアミノ酸配列、
b)配列番号149のアミノ酸配列、
c)配列番号150のアミノ酸配列、
d)配列番号151のアミノ酸配列、
e)配列番号152のアミノ酸配列、
f)配列番号153のアミノ酸配列、
g)配列番号154のアミノ酸配列、
h)配列番号155のアミノ酸配列、
i)配列番号156のアミノ酸配列、
j)配列番号157のアミノ酸配列、
k)配列番号158のアミノ酸配列、または
l)配列番号159のアミノ酸配列
を含むかまたはそれからなる、請求項31~34のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項36】
ポリペプチドは、少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも4つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
b)第2のISVDは、IL-13に特異的に結合し、
iv.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
c)第3のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
vii.配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
viii.配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
ix.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
d)第4のISVDは、TSLPに特異的に結合し、
x.配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
xi.配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
xii.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
ISVDの順番は、前記ポリペプチドのN末端からC末端への方向で考えられるそれらの互いに対する相対的な位置を示す、請求項27または31に記載のポリペプチド。
【請求項37】
a)前記第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
d)前記第4のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む、請求項36に記載のポリペプチド。
【請求項38】
a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み;
d)前記第4のISVDのアミノ酸配列は、配列番号6と90%を超える配列同一性を含む、請求項36または37に記載のポリペプチド。
【請求項39】
a)前記第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み;
d)前記第4のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む、請求項36~38のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項40】
前記ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する、請求項27~39のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項41】
増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそれらの断片、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる低分子量タンパク質またはペプチドからなる群から選択される、請求項40に記載のポリペプチド。
【請求項42】
増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンのような)または血清免疫グロブリン(IgGのような)に結合することができる結合単位からなる群から選択される、請求項40または41に記載のポリペプチド。
【請求項43】
増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができるISVDである、請求項42に記載のポリペプチド。
【請求項44】
ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、
i.配列番号10のアミノ酸配列であるかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号15のアミノ酸配列であるかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号20のアミノ酸配列であるかまたは配列番号20と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含む、請求項43に記載のポリペプチド。
【請求項45】
ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号10のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号15のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号20のアミノ酸配列であるCDR3を含む、請求項43または44に記載のポリペプチド。
【請求項46】
前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える配列同一性を含む、請求項43~45のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項47】
前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を含む、請求項43~46のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項48】
ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1と90%を超える配列同一性を含む、請求項36~47のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項49】
配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、請求項36~48のいずれか1項に記載のポリペプチド。
【請求項50】
請求項27~49のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項36~49のいずれか1項に記載のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【請求項51】
請求項50に記載の核酸を含む宿主または宿主細胞。
【請求項52】
請求項27~49のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項36~49のいずれか1項に記載のポリペプチドを生産するための方法であって、少なくとも:
a)好適な宿主細胞もしくは宿主生物中で、または別の好適な発現系中で、請求項50に記載の核酸を発現させる工程;場合により、それに続いて:
b)請求項27~49のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項36~49のいずれか1項に記載のポリペプチドを単離および/または精製する工程
を含む、前記方法。
【請求項53】
少なくとも1つの請求項27~49のいずれか1項に記載のポリペプチド、または少なくとも1つの請求項36~49のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項50に記載の核酸を含む組成物。
【請求項54】
少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含み、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む医薬組成物である、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
炎症性疾患、好ましくは2型炎症性疾患を処置する方法であって、医薬的に活性な量の、請求項27~49のいずれか1項または請求項36~49のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項53~54のいずれか1項に記載の組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項56】
2型炎症性疾患は、喘息およびアトピー性皮膚炎から選択される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
2型炎症性疾患のような炎症性疾患を処置するための医薬組成物の調製における、請求項27~49のいずれか1項に記載のポリペプチド、好ましくは請求項36~49のいずれか1項に記載のポリペプチド、または請求項53~54のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【請求項58】
2型炎症性疾患は、喘息およびアトピー性皮膚炎から選択される、請求項57に記載のポリペプチドまたは組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
1 本技術の分野
本技術は、IL-13およびTSLPを標的化するポリペプチドに関する。本技術はまた、ポリペプチドをコードする核酸分子および核酸を含むベクター、ならびにポリペプチド、核酸またはベクターを含む組成物にも関する。本技術はさらに、炎症性疾患に罹っている対象を処置する方法における使用のためのこれらの製品に関する。さらに、本技術は、これらの製品を生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2 技術背景
抑制されていない免疫応答は、宿主の防御に必要な一方で、喘息、アトピー性皮膚炎およびリウマチ様関節炎などの様々な炎症性疾患を引き起こす可能性がある。免疫系の自然および適応アームによって媒介される免疫応答のカスケード(例えば、抗原認識、抗原プロセシング、抗原提示、サイトカイン生産、抗体生産、標的細胞死滅)は、様々な免疫疾患の始まりと蔓延を促進する。炎症性疾患は慢性であることが多く、生命を脅かす可能性さえある。アレルギー性およびアトピー性疾患、例えば喘息およびアトピー性皮膚炎は、2型免疫応答によって優勢に促進され、高いIgE生産および好酸球増加症のような2型免疫性の顕著な特色によって特徴付けられる。
【0003】
胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)およびインターロイキン-13(IL-13)は、間質および/または免疫細胞によって生産される可溶性サイトカイン標的である(非特許文献1、非特許文献2)。ヒトTSLPおよびIL-13は、2型免疫性、2型炎症性疾患、例えば喘息およびアトピー性皮膚炎、加えて様々な免疫疾患の別個のオーバーラップする相乗的な態様を促進する。
【0004】
TSLPのシグナル伝達は、胸腺間質性リンパ球新生因子受容体(TSLPR)およびIL-7Rアルファ鎖(IL-7Rα)で構成されるヘテロ二量体の受容体複合体を介して始まる。同様に、IL-13シグナル伝達は、アルファIL-4受容体(IL-4Rα)およびアルファインターロイキン-13受容体(IL-13R1α)からなるヘテロ二量体の受容体複合体に結合することによって始まる。IL-13のIL-13R1への高い親和性は、それらの複合体形成をもたらし、これがさらに、IL-4Rαへのヘテロ二量体形成の可能性を増加させる。
【0005】
TSLPは、樹状細胞の成熟、肥満細胞の発達および増殖を促進させ、加えて好塩基球や自然リンパ球系細胞(ILC2)などの他の免疫細胞を活性化する。同様に、IL-13は、上皮バリアの崩壊、粘膜から上皮表面による粘液生産、気道リモデリングなどの様々な免疫病理、加えてエオタキシンなどのケモカインを補充する好酸球の誘導を起こす。これらのメカニズムは、2型炎症性応答の始まりと蔓延の中核をなし、アトピー性皮膚炎および喘息などの疾患における様々な免疫病理の発症の中核をなす。
【0006】
現在、軽度/重度の喘息を有する患者は、特に低い好酸球性表現型を有する喘息患者において、抗IL4Rαモノクローナル抗体であるデュピクセント(Dupixent)(デュピルマブ;市販)、抗IL5(市販)、抗IgEモノクローナル抗体であるゾレア(Xolair)(オマリズマブ;市販)のような生物製剤などの現在利用可能な標準的治療処置に対して不適切に応答する。TSLP(テゼペルマブ)およびIL-13(レブリキズマブ)に対するアンタゴニストモノクローナル抗体は現在臨床治験中であるが、TSLPとIL-13の両方を標的化する活発な臨床開発プログラムはない。単一の薬剤を用いたTSLPとIL-13の二重標的化は、低2型および高2型喘息に加えてアトピー性皮膚炎の両方において効能を付与する可能性を有し、この可能性とは、単回の単一特異性薬剤療法がそれほど有効ではないこれらの徴候の範囲内の部分集団において効能を付与することである。したがって、より有効であることに加えて患者にうまく適用することもできる喘息およびアトピー性皮膚炎などの2型炎症性疾患の処置への、それでもなお未だ満たされていない医学的な必要性がある。
【0007】
このような療法は、複数の疾患因子、例えばIL-13およびTSLPを標的化することを含んでいてもよい。
【0008】
複数の疾患因子を標的化することは、例えば、異なる治療標的に結合する2つの別々の生物学的製剤、例えば抗体の共投与またはコンビナトリアルな使用によって達成することができる。しかしながら、別々の生物学的製剤の共投与またはコンビナトリアルな使用は、実用面と商業面両方の視点から問題がある可能性がある。例えば、別々の製品の2回の注射は、患者にとってより不便でより苦痛を伴う処置レジメンをもたらし、これは、コンプライアンスに負の影響を与える可能性がある。2つの別々の製品の単回注射に関して、必要な濃度での許容できる粘度と両方の製品の好適な安定性を可能にする配合物を提供することは、難しいかまたは不可能であり得る。加えて、共投与および共配合物は、2つの別々の薬物の生産を必要とすることから、全体コストを増加させる可能性がある。
【0009】
別々の生物製剤、例えば抗体の共投与またはコンビナトリアルな使用に関連するこのような制限に対処するための1つの戦略として、2つの異なる抗原に結合することができる二重特異性抗体が示唆されてきた。
【0010】
二重特異性抗体構築物が複数の様式で提唱されている。例えば、二重特異性抗体様式は、2つの抗体の化学的コンジュゲーションまたはそれらの断片を含んでいてもよい(非特許文献3;非特許文献4)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】ZieglerおよびArtis、Nat Rev Immunol(2010)11:289
【非特許文献2】Gieseck IIIら、Nat Rev Immunol(2018)18:62
【非特許文献3】Brennan,Mら、Science、1985.229(4708):81~83頁
【非特許文献4】Glennie、M.J.ら、J Immunol、1987.139(7):2367~2375頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、このような二重特異性抗体様式の不利益は、高濃度での高い粘性を含み、それにより例えば皮下投与は難しくなり、特異的および高親和性結合のために、各結合単位が2つの可変ドメインの相互作用を必要とするという点で、ポリペプチドの安定性および生産効率への影響を含む。このような二重特異性抗体様式はまた、軽鎖の誤対合または重鎖の誤対合に関する化学、製造および品質管理(CMC)の問題を引き起こす可能性が潜在的にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
3 本技術の要約
一部の実施形態において、本技術は、同時にIL-13およびTSLPを特異的に標的化して、インビトロにおいて、単一特異性抗IL-13または抗TSLPポリペプチドと比較して、2型炎症性応答をモジュレートする効率の増加をもたらすポリペプチドに関する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、効率的に生産される(例えば微生物宿主で)。さらに、一部の実施形態において、このようなポリペプチドは、処置しようとする対象において、既存の抗体(すなわち、抗体構築物での第1の処置の前に対象に存在する抗体)には限定的な反応性しかない。他の実施形態において、このようなポリペプチドは、処置しようとする対象において、連続する処置間にうまく間隔をあけることができるように十分長い半減期を呈示する。
【0014】
一実施形態において、本技術は、IL-13に特異的に結合する少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなるポリペプチドを提供する。さらなる実施形態において、本技術のポリペプチドは、IL-13に特異的に結合する少なくとも2つのISVDを含むかまたはそれからなり、2つのISVDは、場合により、ペプチド性リンカーを介して連結されている。一実施形態において、IL-13に特異的に結合する2つのISVDは、別個のISVDである。さらに、一実施形態において、ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する。例えば、結合単位は、(ヒト)血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンに結合するISVDであり得る。
【0015】
別の態様において、本技術のポリペプチドは、TSLPに特異的に結合する少なくとも1つのISVDを含むかまたはそれからなる。さらなる実施形態において、本技術のポリペプチドは、TSLPに特異的に結合する少なくとも2つのISVDを含むかまたはそれからなり、2つのISVDは、場合により、ペプチド性リンカーを介して連結されている。一実施形態において、TSLPに特異的に結合する2つのISVDは、別個のISVDである。さらに、一実施形態において、ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する。例えば、結合単位は、(ヒト)血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンに結合するISVDであり得る。
【0016】
別の実施形態において、本技術のポリペプチドは、少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなり、少なくとも2つのISVDは、IL-13に特異的に結合し、少なくとも2つのISVDは、TSLPに特異的に結合する。一実施形態において、IL-13に特異的に結合する少なくとも2つのISVDは、ヒトIL-13に特異的に結合し、TSLPに特異的に結合する少なくとも2つのISVDは、ヒトTSLPに特異的に結合する。一実施形態において、IL-13に特異的に結合する少なくとも2つのISVDは、別個のISVDであり、TSLPに結合する少なくとも2つのISVDは、別個のISVDである。別の実施形態において、少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなるポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する。例えば、結合単位は、(ヒト)血清タンパク質、例えばヒト血清アルブミンに結合するISVDであり得る。
【0017】
本技術のポリペプチドを発現することが可能な核酸分子、核酸または核酸を含むベクター、およびポリペプチド、核酸またはベクターを含む組成物も提供される。一実施形態において、組成物は、医薬組成物である。
【0018】
本技術によるポリペプチドをコードする核酸またはベクターを含む宿主または宿主細胞も提供される。
【0019】
さらに、本技術によるポリペプチドを生産するための方法であって、少なくとも:
a.好適な宿主細胞もしくは宿主生物中で、または別の好適な発現系中で、本技術のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を発現させる工程;場合により、それに続いて:
b.本技術によるポリペプチドを単離および/または精製する工程
を含む、前記方法が提供される。
【0020】
さらに、本技術は、医薬としての使用のための、ポリペプチド、ポリペプチドを含む組成物、またはポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸もしくはベクターを含む組成物を提供する。一実施形態において、ポリペプチドまたは組成物は、2型炎症性疾患のような炎症性疾患の処置における使用のためである。一実施形態において、2型炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎および喘息から選択される。
【0021】
加えて、2型炎症性疾患のような炎症性疾患を処置する方法であって、医薬的に活性な量の本技術によるポリペプチドまたは組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法が提供される。一実施形態において、2型炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎および喘息から選択される。一実施形態において、本方法は、1種またはそれ以上の追加の治療剤を投与することをさらに含む。
【0022】
さらに、2型炎症性疾患のような炎症性疾患を処置するための医薬組成物の調製における本技術のポリペプチドまたは組成物の使用が提供される。一実施形態において、2型炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎および喘息から選択される。
【0023】
特に、本技術は以下の実施形態を提供する:
【0024】
実施形態1.医薬としての使用のための、ポリペプチド、該ポリペプチドを含む組成物、または該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸を含む組成物であって、該ポリペプチドは、少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなり、前記ISVDは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、
b)配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、
c)配列番号9のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号14のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号19のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、または
d)配列番号11のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号16のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号21のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含む、前記ポリペプチドまたは組成物。
【0025】
実施形態2.少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3、
b)配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3、
c)配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3、または
d)配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3
を含む、実施形態1に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0026】
実施形態3.少なくとも1つのISVDのアミノ酸配列は:
a)配列番号2と90%を超える配列同一性、
b)配列番号3と90%を超える配列同一性、
c)配列番号4と90%を超える配列同一性、または
d)配列番号6と90%を超える配列同一性
を含む、実施形態1または2のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0027】
実施形態4.前記少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号2のアミノ酸配列、
b)配列番号3のアミノ酸配列、
c)配列番号4のアミノ酸配列、または
d)配列番号6のアミノ酸配列
を含む、実施形態1~3のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0028】
実施形態5.ポリペプチドは、少なくとも2つのISVDを含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも2つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1および第2のISVDは、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
b)第1および第2のISVDは、
i.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
c)第1のISVDは、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、
iv.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
d)第1のISVDは、
i.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、
iv.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
e)第1のISVDは、
i.配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、
iv.配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、または
f)第1のISVDは、
i.配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、
iv.配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
ISVDの順番は、前記ポリペプチドのN末端からC末端への方向で考えられるそれらの互いに対する相対的な位置を示す、実施形態1に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0029】
実施形態6.a)第1および第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
b)第1および第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
c)第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
d)第1のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
e)第1のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含むか、または
f)第1のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む、実施形態5に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0030】
実施形態7.a)第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、
b)第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、
c)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、
d)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、
e)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号6と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み、
f)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号6と90%を超える配列同一性を含む、実施形態5または6のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0031】
実施形態8.a)第1および第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
b)第1および第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
c)第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
d)第1のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
e)第1のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または
f)第1のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む、実施形態5~7のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0032】
実施形態9.ポリペプチドは:
a)配列番号148のアミノ酸配列、
b)配列番号149のアミノ酸配列、
c)配列番号150のアミノ酸配列、
d)配列番号151のアミノ酸配列、
e)配列番号152のアミノ酸配列、
f)配列番号153のアミノ酸配列、
g)配列番号154のアミノ酸配列、
h)配列番号155のアミノ酸配列、
i)配列番号156のアミノ酸配列、
j)配列番号157のアミノ酸配列、
k)配列番号158のアミノ酸配列、または
l)配列番号159のアミノ酸配列
を含むかまたはそれからなる、実施形態5~8のいずれかに記載のポリペプチド。
【0033】
実施形態10.ポリペプチドは、少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも4つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1のISVDは、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
b)第2のISVDは、
iv.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
c)第3のISVDは、
vii.配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
viii.配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
ix.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
d)第4のISVDは、
x.配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
xi.配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
xii.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
ISVDの順番は、前記ポリペプチドのN末端からC末端への方向で考えられるそれらの互いに対する相対的な位置を示す、実施形態1または5のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0034】
実施形態11.少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含み、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む医薬組成物である、実施形態1~10のいずれか1つに記載の使用のための組成物。
【0035】
実施形態12.a)前記第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
d)前記第4のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む、実施形態10または11に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0036】
実施形態13.a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み;
d)前記第4のISVDのアミノ酸配列は、配列番号6と90%を超える配列同一性を含む、実施形態10~12のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0037】
実施形態14.a)前記第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み;
d)前記第4のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む、実施形態10~13のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0038】
実施形態15.前記ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する、実施形態1~14のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0039】
実施形態16.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそれらの断片、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群から選択される、実施形態15に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0040】
実施形態17.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の結合単位は、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンのような)または血清免疫グロブリン(IgGのような)に結合することができる結合単位からなる群から選択される、実施形態15~16のいずれか1つに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0041】
実施形態18.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができるISVDである、実施形態17に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0042】
実施形態19.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、
i.配列番号10のアミノ酸配列であるかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号15のアミノ酸配列であるかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号20のアミノ酸配列であるかまたは配列番号20と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含む、実施形態18に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0043】
実施形態20.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号10のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号15のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号20のアミノ酸配列であるCDR3を含む、実施形態18~19のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0044】
実施形態21.前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える配列同一性を含む、実施形態18~20のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0045】
実施形態22.前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を含む、実施形態18~21のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0046】
実施形態23.ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1と90%を超える配列同一性を含む、実施形態10~22のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0047】
実施形態24.ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態10~23のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0048】
実施形態25.2型炎症性疾患のような炎症性疾患の処置における使用のための、実施形態1~24のいずれかに記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0049】
実施形態26.2型炎症性疾患は、喘息およびアトピー性皮膚炎から選択される、実施形態25に記載の使用のためのポリペプチドまたは組成物。
【0050】
実施形態27.少なくとも1つの免疫グロブリン単一可変ドメイン(ISVD)を含むかまたはそれからなるポリペプチドであって、前記ISVDは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み;少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号12のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号17のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、
b)配列番号8のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号13のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号18のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、
c)配列番号9のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号14のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号19のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3、または
d)配列番号11のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
配列番号16のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
配列番号21のアミノ酸配列であるかもしくは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含む、前記ポリペプチド。
【0051】
実施形態28.少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3、
b)配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3、
c)配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3、または
d)配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3
を含む、実施形態27に記載のポリペプチド。
【0052】
実施形態29.少なくとも1つのISVDのアミノ酸配列は:
a)配列番号2と90%を超える配列同一性、
b)配列番号3と90%を超える配列同一性、
c)配列番号4と90%を超える配列同一性、または
d)配列番号6と90%を超える配列同一性
を含む、実施形態27または28のいずれかに記載のポリペプチド。
【0053】
実施形態30.前記少なくとも1つのISVDは:
a)配列番号2のアミノ酸配列、
b)配列番号3のアミノ酸配列、
c)配列番号4のアミノ酸配列、または
d)配列番号6のアミノ酸配列
を含む、実施形態27~29のいずれかに記載のポリペプチド。
【0054】
実施形態31.ポリペプチドは、少なくとも2つのISVDを含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも2つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1および第2のISVDは、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
b)第1および第2のISVDは、
i.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
c)第1のISVDは、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、
iv.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
d)第1のISVDは、
i.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、
iv.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
e)第1のISVDは、
i.配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、
iv.配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含む、または
f)第1のISVDは、
i.配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
第2のISVDは、
iv.配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
ISVDの順番は、前記ポリペプチドのN末端からC末端への方向で考えられるそれらの互いに対する相対的な位置を示す、実施形態1または27に記載のポリペプチド。
【0055】
実施形態32.a)第1および第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
b)第1および第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
c)第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
d)第1のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、
e)第1のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含むか、または
f)第1のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む、実施形態31に記載のポリペプチド。
【0056】
実施形態33.a)第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、
b)第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、
c)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、
d)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、
e)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号6と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み、
f)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号6と90%を超える配列同一性を含む、実施形態31または32のいずれかに記載のポリペプチド。
【0057】
実施形態34.a)第1および第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
b)第1および第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
c)第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、
d)第1のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、
e)第1のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含むか、または
f)第1のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む、実施形態31~33のいずれかに記載のポリペプチド。
【0058】
実施形態35.a)配列番号148のアミノ酸配列、
b)配列番号149のアミノ酸配列、
c)配列番号150のアミノ酸配列、
d)配列番号151のアミノ酸配列、
e)配列番号152のアミノ酸配列、
f)配列番号153のアミノ酸配列、
g)配列番号154のアミノ酸配列、
h)配列番号155のアミノ酸配列、
i)配列番号156のアミノ酸配列、
j)配列番号157のアミノ酸配列、
k)配列番号158のアミノ酸配列、または
l)配列番号159のアミノ酸配列
を含むかまたはそれからなる、実施形態31~34のいずれかに記載のポリペプチド。
【0059】
実施形態36.ポリペプチドは、少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、該少なくとも4つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1のISVDは、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
b)第2のISVDは、
iv.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
v.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
vi.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
c)第3のISVDは、
vii.配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
viii.配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
ix.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み;
d)第4のISVDは、
x.配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
xi.配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
xii.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含み、
ISVDの順番は、前記ポリペプチドのN末端からC末端への方向で考えられるそれらの互いに対する相対的な位置を示す、実施形態27または31のいずれかに記載のポリペプチド。
【0060】
実施形態37.a)前記第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
d)前記第4のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む、実施形態36に記載のポリペプチド。
【0061】
実施形態38.a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み;
d)前記第4のISVDのアミノ酸配列は、配列番号6と90%を超える配列同一性を含む、実施形態36または37のいずれかに記載のポリペプチド。
【0062】
実施形態39.a)前記第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み;
d)前記第4のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む、実施形態36~38のいずれかに記載のポリペプチド。
【0063】
実施形態40.前記ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含み、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する、実施形態27~39のいずれかに記載のポリペプチド。
【0064】
実施形態41.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそれらの断片、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群から選択される、実施形態40に記載のポリペプチド。
【0065】
実施形態42.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の結合単位は、血清アルブミン(ヒト血清アルブミンのような)または血清免疫グロブリン(IgGのような)に結合することができる結合単位からなる群から選択される、実施形態40~41のいずれか1つに記載のポリペプチド。
【0066】
実施形態43.増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができるISVDである、実施形態42に記載のポリペプチド。
【0067】
実施形態44.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、
i.配列番号10のアミノ酸配列であるかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号15のアミノ酸配列であるかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号20のアミノ酸配列であるかまたは配列番号20と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含む、実施形態43に記載のポリペプチド。
【0068】
実施形態45.ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号10のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号15のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号20のアミノ酸配列であるCDR3を含む、実施形態43~44のいずれかに記載のポリペプチド。
【0069】
実施形態46.前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と90%を超える配列同一性を含む、実施形態43~45のいずれかに記載のポリペプチド。
【0070】
実施形態47.前記ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を含む、実施形態43~46のいずれかに記載のポリペプチド。
【0071】
実施形態48.ポリペプチドのアミノ酸配列は、配列番号1と90%を超える配列同一性を含む、実施形態36~47のいずれかに記載のポリペプチド。
【0072】
実施形態49.配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる、実施形態36~48のいずれかに記載のポリペプチド。
【0073】
実施形態50.実施形態27~49のいずれかによるポリペプチド、または実施形態36~49によるポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む核酸。
【0074】
実施形態51.実施形態50による核酸を含む宿主または宿主細胞。
【0075】
実施形態52.実施形態27~49のいずれかによるポリペプチド、または実施形態36~49によるポリペプチドを生産するための方法であって、少なくとも:
a)好適な宿主細胞もしくは宿主生物中で、または別の好適な発現系中で、実施形態50による核酸を発現させる工程;場合により、それに続いて:
b)実施形態27~49のいずれかによるポリペプチド、または実施形態36~49によるポリペプチドを単離および/または精製する工程
を含む、前記方法。
【0076】
実施形態53.少なくとも1つの実施形態27~49のいずれかによるポリペプチド、または少なくとも1つの実施形態36~49によるポリペプチド、または実施形態50による核酸を含む組成物。
【0077】
実施形態54.少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含み、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む医薬組成物である、実施形態53に記載の組成物。
【0078】
実施形態55.2型炎症性疾患のような炎症性疾患を処置する方法であって、医薬的に活性な量の、実施形態27~49のいずれかによるポリペプチド、または実施形態36~49によるポリペプチド、または実施形態53~54のいずれかによる組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法。
【0079】
実施形態56.2型炎症性疾患は、喘息およびアトピー性皮膚炎から選択される実施形態55に記載の方法。
【0080】
実施形態57.2型炎症性疾患のような炎症性疾患を処置するための医薬組成物の調製における、実施形態27~49のいずれかによるポリペプチド、または実施形態36~49によるポリペプチド、または実施形態53~54のいずれかによる組成物の使用。
【0081】
実施形態58.2型炎症性疾患は、喘息およびアトピー性皮膚炎から選択される、実施形態57に記載のポリペプチドまたは組成物の使用。
【図面の簡単な説明】
【0082】
図1】TSLPを介して捕獲されたF027400161へのIL13およびHSAの同時の結合を示すセンサーグラムである。
図2】VHH F027400161ならびに参照化合物抗hIL-13mAb1および抗hIL-13mAb2によるエオタキシン放出アッセイにおけるヒト、カニクイザルおよびアカゲザルIL13の阻害を示す図である。
図3】F027400161ならびに参照化合物抗hIL-13mAb1および抗hIL-13mAb2によるSEAPレポーターアッセイにおけるヒトおよびカニクイザルIL13の阻害を示す図である。
図4】ヒトおよびカニクイザルTSLPの阻害は、F027400161および参照化合物抗hTSLP mAb1によってBaF3増殖を誘導したことを示す図である。IRR00096は、陰性対照Nbである。
図5】対照F027301186と比較した、96種のヒト血清サンプルに存在する既存の抗体の、F027400161、163および164への結合を示す箱ひげ図である。
図6】ヒトDCにおけるTSLPによって誘導されたCCL17応答に対するF-27400161(F027400161とも称される)およびコンパレーター抗体である抗hTSLP参照mAb1の用量応答阻害プロファイルである。濃縮されたヒトDCを4ng/mLのTSLPで処置し、8種の濃度のISVD構築物および抗hTSLP参照mAb1と共に36時間インキュベートした。新たに収集された上清中のCCL17濃度をELISAによって測定した。IC50値を、Graphpad Prism 8.0で、非線形回帰(log阻害剤対応答-可変勾配の4パラメーターの最小二乗フィッティング)によって制約なしで計算した。データは、8回の個々の実験から組み合わされた全8人のドナーの平均±標準誤差(SEM)として表される。
図7】ヒトPBMCにおけるCCL17の0.5ng/mLのIL-13およびTSLPによって誘導された相乗的な生産に対する、F-27400161(F027400161とも称される)およびコンパレーター抗hIL-13参照mAb1および抗hTSLP参照mAb1の用量阻害応答を示す図である。健康なドナーPBMCを、0.5ng/mLの組換えIL-13+TSLPで刺激し、10用量のISVD構築物(Nb)およびコンパレーターと共に20時間インキュベートした。細胞培養上清中のCCL17濃度をMSD V-Plexキットによって測定した。IC50値を、Graphpad Prism 8.0で、非線形回帰(log阻害剤対応答-可変勾配の4パラメーターの最小二乗フィッティング)によって制約なしで計算した。データは、8回の個々の実験から組み合わせた全てのドナーの平均±標準誤差(SEM)として表される。
図8】ヒトPBMCにおけるCCL17の5ng/mLのIL-13およびTSLPによって誘導された相乗的な生産に対するF-27400161(F027400161とも称される)ならびにコンパレーター抗体である抗hIL-13参照mAb1および抗hTSLP参照mAb1の用量阻害応答を示す図である。健康なドナーPBMCを、5ng/mLの組換えIL-13+TSLPで刺激し、10用量のISVD構築物(Nb)およびコンパレーター抗体と共に20時間インキュベートした。新たに収集された上清中のCCL17濃度をMSD V-Plexキットによって測定した。IC50値を、Graphpad Prism 8.0で、非線形回帰(log阻害剤対応答-可変勾配の4パラメーターの最小二乗フィッティング)によって制約なしで計算した。データは、8回の個々の実験から組み合わせた全てのドナーの平均±標準誤差(SEM)として表される。
図9】3つの培養物のアッセイにおける、ヒトPBMCによるアレルゲンDer Pによって誘導されたIL-5、CCL17、およびCCL26生産に対する、F-27400161(F027400161とも称される)ならびにコンパレーター抗体である抗hIL-13参照mAb1および抗hTSLP参照mAb1の阻害プロファイルを示す図である。MRC5線維芽細胞およびA549上皮細胞と共に培養された正常ドナーPBMCを、37℃の細胞培養インキュベーター中で、3mg/mLのDer Pで刺激し、11.1nMのISVD、抗hIL-13参照mAb1、または抗hTSLP参照mAb1と共に24ウェルプレート中で6日間インキュベートした。新たに収集された上清中のIL-5、CCL17、およびCCL26濃度をヒト磁気Luminexアッセイ(Human Magnetic Luminex Assay)によって測定した。ISVDポリペプチドまたは抗体のどちらも受けなかった刺激されていない(最小)および刺激した(最大)対照サンプルに対する阻害のパーセンテージを計算した。全ての計算を、GraphPad Prism 8.0を使用して実行した。データは、3つの独立した実験から組み合わされた全てのドナーの平均±標準誤差(SEM)として表される。
図10】F027400161は、NSG-SGM3マウスの血漿中のヒトTSLPの検出可能なレベルを有意に低下させた。ビヒクルで処置したマウス(376.166pg/ml)と比較したところ、ヒト血漿TSLPレベルが、0.1mg/kgのF027400161用量(45.772pg/ml)および10mg/kgのF027400161用量(0.072pg/ml)で低下したことから、F027400161のTSLPアームは、ヒト化NSG-SGM3マウスの血漿中のヒトTSLPに結合できることが実証される。
図11】F027400161は、NSG-SGM3マウスの血漿中のヒトIL-13の検出可能なレベルを有意に低下させた。ビヒクルで処置したマウス(274.052pg/ml)と比較したところ、ヒトIL-13レベルが、0.01mg/kgのF027400161用量(201.286pg/ml)、0.05mg/kgのF027400161用量(22.028pg/ml)、0.1mg/kgのF027400161用量(40.740pg/ml)、および10mg/kgのF027400161用量(1.777pg/ml)で低下したことから、F27400161のIL-13アームは、ヒト化NSG-SGM3マウスの血漿中のヒトIL-13に結合できることが実証される。
図12】F027400161は、hTSLPおよびhIL-4の流体力学的な送達を受けたNSG-SGM3マウスの肺におけるマウスRetnlaおよびClca1転写発現を有意に低下させた。NSG-SGM3マウスにおけるヒトTSLPおよびIL-4の過剰発現は、前駆体CD34由来のヒト免疫細胞からのhIL-13の生産を誘導する。F027400161によるヒトIL-13の中和は、10mg/Kgの用量でマウスRetnlaおよびClca1マーカー遺伝子の阻害をもたらした。
図13】F027400161は、hTSLPおよびhIL-4の流体力学的な送達を受けたNSG-SGM3マウスの肺におけるマウスRetnlaおよびClca1転写発現を有意に低下させた。NSG-SGM3マウスにおけるヒトTSLPおよびIL-4の過剰発現は、前駆体CD34由来のヒト免疫細胞からのhIL-13の生産を誘導する。F027400161によるヒトIL-13の中和は、10mg/Kgの用量でマウスRetnlaおよびClca1マーカー遺伝子の阻害をもたらした。
図14】ISVD構築物F027400161の概略的な提示であり、N末端からC末端へ1価ビルディングブロック/ISVD 4B02、4B06、501A02、529F10、加えてアルブミンバインダーALB23002を示す。それに対して4B02および4B06は、35GSリンカーを介して接続され、残りのビルディングブロックは、9GSリンカーを介して連結される。
【発明を実施するための形態】
【0083】
5 本技術の詳細な説明
本技術は、アトピー性皮膚炎および喘息などの炎症性疾患を処置するための新規のタイプの薬物を提供することを目的とする。
【0084】
一部の実施形態において、本技術は、インビトロおよび/またはインビボにおいて、同時にIL-13およびTSLPを標的化して、単一特異性抗IL-13または抗TSLPポリペプチドと比較して、2型炎症性応答をモジュレートする効率の増加をもたらすポリペプチドに関する。一部の実施形態において、ポリペプチドは、効率的に生産される(例えば微生物宿主で)。さらに、一部の実施形態において、このようなポリペプチドは、処置しようとする対象における既存の抗体(すなわち抗体構築物での第1の処置の前に対象に存在する抗体)に対して限定的な反応性しかないことを示すことができた。他の実施形態において、このようなポリペプチドは、処置しようとする対象において、連続する処置間にうまく間隔をあけることができるように十分長い半減期を呈示する。
【0085】
5.1 本技術のポリペプチド
単一特異性1価ポリペプチド
一実施形態において、本技術のポリペプチドは、単一特異性であり、1価である。
【0086】
用語「単一特異性」は、1種の(特異的な)タイプの標的分子に結合することを指す。したがって、本技術の単一特異性のポリペプチドは、IL-13に特異的に結合する。他方の本技術の単一特異性のポリペプチドは、TSLPに特異的に結合する。
【0087】
用語「1価」は、分子、例えばISVDを(特異的に)標的化する結合単位/ビルディングブロックが1つのみ存在することを示す。
【0088】
したがって、一態様において、本技術は、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含むIL-13に特異的に結合する1つのISVDを含むかまたはそれからなる単一特異性1価ポリペプチドを提供する。ISVDは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3;または
b)配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVDから選択することができる。
【0089】
本技術のこの態様の一実施形態において、ISVDは、ヒトIL-13に特異的に結合する。
【0090】
さらなる実施形態において、IL-13に特異的に結合するISVDは:
a)配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3;または
b)配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVDから選択される。
【0091】
本技術のこの態様のさらなる実施形態において、IL-13に特異的に結合するISVDは:
a)配列番号2と90%を超える配列同一性;または
b)配列番号3と90%を超える配列同一性
を含むISVDから選択される。
【0092】
一実施形態において、IL-13に特異的に結合するISVDは、配列番号2のアミノ酸配列;または配列番号3のアミノ酸配列を含むISVDから選択される。
【0093】
別の態様において、本技術は、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含む、TSLPに特異的に結合する1つのISVDを含むかまたはそれからなる単一特異性1価ポリペプチドを提供する。ISVDは:
a)配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3;または
b)配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVDから選択することができる。
【0094】
本技術のこの態様の一実施形態において、ISVDは、ヒトTSLPに特異的に結合する。
【0095】
さらなる実施形態において、TSLPに特異的に結合するISVDは:
a)配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3;または
b)配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVDから選択される。
【0096】
本技術のこの態様のさらなる実施形態において、TSLPに特異的に結合するISVDは:
a)配列番号4と90%を超える配列同一性;または
b)配列番号6と90%を超える配列同一性
を含むISVDから選択される。
【0097】
一実施形態において、TSLPに特異的に結合するISVDは、配列番号4のアミノ酸配列;または配列番号6のアミノ酸配列を含むISVDから選択される。
【0098】
単一特異性多価ポリペプチド
別の態様において、本技術のポリペプチドは、単一特異性であり、少なくとも2価であるが、例えば、3価、4価、5価、6価などであってもよい。
【0099】
用語「2価」、「3価」、「4価」、「5価」、または「6価」は全て用語「多価」に該当し、それぞれ2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの結合単位/ビルディングブロック、例えばISVDの存在を示す。
【0100】
したがって、一態様において、本技術は、IL-13に特異的に結合する2つのISVDを含むかまたはそれからなる単一特異性2価ポリペプチドであって、2つのISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、2つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1および第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み;
b)第1および第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み;
c)第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み、
第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み;または
d)第1のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み、
第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含む、
単一特異性2価ポリペプチドを提供する。
【0101】
本技術のこの態様の一実施形態において、ISVDは、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されている。一実施形態において、2つのISVDは、ヒトIL13に特異的に結合する。
【0102】
さらなる実施形態において、単一特異性2価ポリペプチドは、IL-13に特異的に結合する2つのISVDを含むかまたはそれからなり:
a)第1および第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
b)第1および第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
c)第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み;または
d)第1のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0103】
本技術のこの態様のさらなる実施形態において、単一特異性2価ポリペプチドは、IL-13に特異的に結合する2つのISVDを含むかまたはそれからなり:
a)第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み;
b)第1および第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み;
c)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み;または
d)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号2と90%を超える配列同一性を含む。
【0104】
一実施形態において、単一特異性2価ポリペプチドは、IL-13に特異的に結合する2つのISVDを含むかまたはそれからなり:
a)第1および第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み;
b)第1および第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み:
c)第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み;または
d)第1のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含む。
【0105】
別の態様において、本技術は、TSLPに特異的に結合する2つのISVDを含むかまたはそれからなる単一特異性2価ポリペプチドであって、2つのISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、2つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み、
第2のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含むか、または
b)第1のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み、
第2のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含む、単一特異性2価ポリペプチドを提供する。
【0106】
本技術のこの態様の一実施形態において、ISVDは、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されている。一実施形態において、2つのISVDは、ヒトTSLPに特異的に結合する。
【0107】
さらなる実施形態において、単一特異性2価ポリペプチドは、TSLPに特異的に結合する2つのISVDを含むかまたはそれからなり:
a)第1のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含むか、または
b)第1のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み、第2のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0108】
本技術のこの態様のさらなる実施形態において、単一特異性2価ポリペプチドは、TSLPに特異的に結合する2つのISVDを含むかまたはそれからなり:
a)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号6と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号4と90%を超える配列同一性を含むか、または
b)第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み、第2のISVDは、配列番号6と90%を超える配列同一性を含む。
【0109】
一実施形態において、単一特異性2価ポリペプチドは、TSLPに特異的に結合する2つのISVDを含むかまたはそれからなり:
a)第1のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み;または
b)第1のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み、第2のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0110】
これに関して、用語「第1のISVD」および「第2のISVD」は、IL-13/TSLPに結合する具体的に列挙されたISVDの互いの相対的な位置のみを示し、番号付けは、本技術のポリペプチドのN末端から開始される。したがって「第1のISVD」は、「第2のISVD」よりN末端に近い。それに応じて、「第2のISVD」はしたがって、「第1のISVD」よりC末端により近い。したがって番号付けは、絶対ではなく、2つのISVDの相対的な位置を示すに過ぎないため、それぞれIL-13およびTSLPに結合する追加の結合単位/ビルディングブロック、例えばISVDがポリペプチド中に存在し得る可能性を排除しない。さらにそれは、他の結合単位/ビルディングブロック、例えばISVDがその間に配置され得る可能性を排除しない。例えば、下記でさらに記載されるように(特に、セクション「多重特異性多価ポリペプチド」および5.4「(インビボでの)半減期の延長」を参照)、ポリペプチドは、別のヒト血清アルブミンに結合するISVDをさらに含んでいてもよく、これも「第1のISVD」と「第2のISVD」の間に配置されていてもよい(そのためこのような構築物は、後続のセクションで説明されるように多重特異性と称される)。
【0111】
一実施形態において、単一特異性多価ポリペプチドの、特に上述した単一特異性2価ポリペプチドの(少なくとも2つの)ISVDは、ペプチド性リンカーを介して連結されている。2またはそれ以上の(ポリ)ペプチドを接続するためのペプチド性リンカーの使用は当業界において周知である。単一特異性多価ポリペプチドと共に、特に上述した単一特異性2価ポリペプチドと共に使用できる例示的なペプチド性リンカーは、表A-5に示される。使用されることが多いペプチド性リンカーのクラスの一つは、「Gly-Ser」または「GS」リンカーとして公知である。これらは、グリシン(G)およびセリン(S)残基から本質的になるリンカーであり、通常、GGGGS(配列番号73)モチーフ(例えば、式(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)を含み、nは、1、2、3、4、5、6、7またはそれより多くであり得る)などのペプチドモチーフの1つまたはそれ以上の反復を含む。このようなGSリンカーの一部の使用されることが多い例は、9GSリンカー(GGGGSGGGS、配列番号76)15GSリンカー(n=3)および35GSリンカー(n=7)である。Chenら、Adv.Drug Deliv.Rev.2013年10月15日;65(10):1357~1369;およびKleinら、Protein Eng.Des.Sel.(2014)27(10):325~330が参照される。本技術の一実施形態において、単一特異性多価ポリペプチドの、特に、本技術の単一特異性2価ポリペプチドのISVDは、表A-5に記載のリンカーを介して連結されている。一実施形態において、(少なくとも)2つのISVDは、35GSリンカーを介して連結されている。
【0112】
したがって、一実施形態において、単一特異性2価ポリペプチドは:
a)配列番号148のアミノ酸配列、
b)配列番号149のアミノ酸配列、
c)配列番号150のアミノ酸配列、
d)配列番号151のアミノ酸配列、
e)配列番号152のアミノ酸配列、
f)配列番号153のアミノ酸配列、
g)配列番号154のアミノ酸配列、
h)配列番号155のアミノ酸配列、
i)配列番号156のアミノ酸配列、
j)配列番号157のアミノ酸配列、
k)配列番号158のアミノ酸配列、または
l)配列番号159のアミノ酸配列
を含むかまたはそれからなる。
【0113】
多重特異性多価ポリペプチド
さらなる態様において、本技術のポリペプチドは、少なくとも二重特異性であるが、例えば、三重特異性、四重特異性、五重特異性などであってもよい。さらに、ポリペプチドは、少なくとも2価であるが、例えば、3価、4価、5価、6価などであってもよい。
【0114】
用語「二重特異性」、「三重特異性」、「四重特異性」、「五重特異性」などは全て用語「多重特異性を有する」に該当し、それぞれ2種、3種、4種、5種などの異なる標的分子に結合することを指す。
【0115】
用語「2価」、「3価」、「4価」、「5価」、「6価」などは全て用語「多価」に該当し、それぞれ2種、3種、4種、5種、6種などの結合単位/ビルディングブロック、例えばISVDの存在を示す。
【0116】
例えば、ポリペプチドは、二重特異性4価、例えば少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなるポリペプチドであってもよく、この場合、少なくとも2つのISVDは、IL-13に特異的に結合し、少なくとも2つのISVDは、TSLPに特異的に結合する。一実施形態において、IL-13およびTSLPは、ヒトIL-13およびヒトTSLPである。別の例において、ポリペプチドは、三重特異性5価、例えば5つのISVDを含むかまたはそれからなるポリペプチドであってもよく、この場合、2つのISVDは、ヒトIL-13に特異的に結合し、2つのISVDは、ヒトTSLPに特異的に結合し、1つのISVDは、ヒト血清アルブミンに結合する。このようなポリペプチドは、例えば2つのISVDがヒトIL-13またはヒトTSLP上の2つの異なるエピトープと結合する場合、同時にバイパラトピックであり得る。用語「バイパラトピック」は、同じ標的分子の2つの異なる部分(例えば、エピトープ)に結合することを指す。一実施形態において、本技術の三重特異性5価ポリペプチドは、例えば、ISVD構築物F027400161であり、これは、ヒトIL-13に特異的に結合する2つのISVD、ヒトTSLPに特異的に結合する2つのISVD、1つのヒト血清アルブミンに結合するISVDを含み、IL-13およびTSLPの両方に結合することに関してバイパラトピックである。
【0117】
一実施形態において、多重特異性多価ポリペプチドは、少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなり、前記ISVDのそれぞれは、3つの相補性決定領域(それぞれCDR1~CDR3)を含み、少なくとも4つのISVDは、場合により、1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結されており:
a)第1のISVDは、IL-13と特異的に結合し、配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み;
b)第2のISVDは、IL-13と特異的に結合し、配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み;
c)第3のISVDは、TSLPと特異的に結合し、配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含み、
d)第4のISVDは、TSLPと特異的に結合し、配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2、および配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0118】
一実施形態において、前記ポリペプチドによって結合されるIL-13およびTSLPは、それぞれヒトIL-13およびヒトTSLPである。
【0119】
多重特異性多価ポリペプチドのさらなる実施形態において:
a)前記第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
b)前記第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
c)前記第3のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含み;
d)前記第4のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0120】
多重特異性多価ポリペプチドのさらなる態様において:
a)前記第1のISVDのアミノ酸配列は、配列番号2と90%を超える配列同一性を含み;
b)前記第2のISVDのアミノ酸配列は、配列番号3と90%を超える配列同一性を含み;
c)前記第3のISVDのアミノ酸配列は、配列番号4と90%を超える配列同一性を含み;
d)前記第4のISVDのアミノ酸配列は、配列番号6と90%を超える配列同一性を含む。
【0121】
多重特異性多価ポリペプチドの一実施形態において:
a)第1のISVDは、配列番号2のアミノ酸配列を含み;
b)第2のISVDは、配列番号3のアミノ酸配列を含み;
c)第3のISVDは、配列番号4のアミノ酸配列を含み;
d)第4のISVDは、配列番号6のアミノ酸配列を含む。
【0122】
これに関して、用語「第1のISVD」、「第2のISVD」、「第3のISVD」などは、ISVDの互いの相対的な位置のみを示し、番号付けは、本技術のポリペプチドのN末端から開始される。したがって「第1のISVD」は、「第2のISVD」よりN末端に近く、それに対して「第2のISVD」は、「第3のISVD」よりN末端に近い。したがって、C末端から考える場合、ISVDの配置は逆である。番号付けは絶対ではなく、少なくとも4つのISVDの相対的な位置を示すに過ぎないため、IL-13またはTSLPに結合する他の結合単位/ビルディングブロック、例えば追加のISVD、または別の標的に結合するISVDがポリペプチド中に存在し得ることは排除されない。さらに、番号付けは、他の結合単位/ビルディングブロック、例えばISVDがその間に配置され得る可能性を排除しない。例えば、下記でさらに記載されるように(特に、下記のセクション5.4「(インビボでの)半減期の延長」を参照)、ポリペプチドは、別のヒト血清アルブミンに結合するISVDをさらに含んでいてもよく、これも例えば「第3のISVD」と「第4のISVD」との間に配置されていてもよい。
【0123】
別の態様において、本技術は、上記(セクション5.1;「単一特異性1価ポリペプチド」)で単一特異性1価ポリペプチドに関して詳細に説明されるIL-13またはTSLPに特異的に結合するISVD、および下記(セクション5.4;「(インビボにおける)半減期の延長」)で詳細に説明されるヒト血清アルブミンに結合するISVDを含む二重特異性2価ポリペプチドを提供する。
【0124】
別の態様において、本技術は、上記の単一特異性2価ポリペプチド(セクション5.1;「単一特異性2価ポリペプチド」)および下記(セクション5.4;「(インビボにおける)半減期の延長」)で詳細に説明されるヒト血清アルブミンに結合するISVDを含む二重特異性3価ポリペプチドを提供する。
【0125】
前記多重特異性多価ポリペプチドの構成要素、例えばISVDは、1つまたはそれ以上の好適なリンカー、例えばペプチド性リンカーによって互いに連結されていてもよい。
【0126】
2またはそれ以上の(ポリ)ペプチドを接続するためのリンカーの使用は当業界において周知である。例示的なペプチド性リンカーは、表A-5に示される。使用されることが多いペプチド性リンカーのクラスの一つは、「Gly-Ser」または「GS」リンカーとして公知である。これらは、グリシン(G)およびセリン(S)残基から本質的になるリンカーであり、通常、GGGGS(配列番号73)モチーフ(例えば、式(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)を含み、nは、1、2、3、4、5、6、7またはそれより多くであり得る)などのペプチドモチーフの1つまたはそれ以上の反復を含む。このようなGSリンカーの一部の使用されることが多い例は、9GSリンカー(GGGGSGGGS、配列番号76)15GSリンカー(n=3)(配列番号78)および35GSリンカー(n=7)(配列番号83)である。Chenら、Adv.Drug Deliv.Rev.2013年10月15日;65(10):1357~1369;およびKleinら、Protein Eng.Des.Sel.(2014)27(10):325~330が参照される。本技術のポリペプチドにおいて、ポリペプチドの構成要素を互いに連結するために、9GS(配列番号76)および35GS(配列番号83)リンカーが使用される。
【0127】
本技術の多重特異性多価ポリペプチドの一態様において、少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなるポリペプチドは、IL-13に特異的に結合する少なくとも2つのISVD、およびTSLPに特異的に結合する少なくとも2つのISVDを含む。本技術のこの態様において、IL-13に結合する少なくとも2つのISVDは、35GSリンカーを介して連結され、それに対してTSLPに特異的に結合する少なくとも2つのISVDは、9GSリンカーを介して連結されている。一実施形態において、TSLPに特異的に結合する少なくとも2つのISVDは、アルブミンに結合するISVDによって分離されている(9GS-Alb-9GS)(下記のセクション5.4「(インビボにおける)半減期の延長」に記載される通り)。発明者らは、驚くべきことに、このような立体配置はポリペプチドの生産収率を増加させることができることを見出した。
【0128】
したがって、一実施形態において、ポリペプチドは、ポリペプチドのN末端から開始する順番で、以下:IL-13に特異的に結合する第1のISVD、IL-13に特異的に結合する第2のISVD、TSLPに特異的に結合する第1のISVD、本明細書で定義される増加した半減期を有するポリペプチドを提供する任意選択の結合単位、およびTSLPに特異的に結合する第2のISVDを含むかまたはそれからなる。一実施形態において、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する結合単位は、ISVDである。
【0129】
さらなる実施形態において、ポリペプチドは、ポリペプチドのN末端から開始する順番で、以下:IL-13に特異的に結合するISVD、リンカー、IL-13に特異的に結合する第2のISVD、リンカー、TSLPに特異的に結合する第1のISVD、リンカー、ヒト血清アルブミンに結合するISVD、リンカー、およびTSLPに特異的に結合する第2のISVDを含むかまたはそれからなる。具体的な一実施形態において、IL-13に結合する2つのISVD間のリンカーが35GSリンカーであり、それに対して、他方のリンカーは9GSリンカーである。
【0130】
ポリペプチドのこのような立体配置は、生産収率の増加、優れたCMC特徴、例えば十分な溶解性および生物物理的安定性、2型免疫応答のモジュレーションに関する強い効力、加えて、既存の抗体への少ない結合をもたらすことができる。
【0131】
一実施形態において、本技術の多重特異性多価ポリペプチドは、ヒト血清中の既存の抗体による結合の低減を呈示する。この目的を達成するために、一実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも1つのISVD中に、アミノ酸11位におけるバリン(V)およびアミノ酸89位におけるロイシン(L)(Kabatの番号付けによる)を含む。一実施形態において、ポリペプチドは、各ISVD中に、アミノ酸11位におけるバリン(V)およびアミノ酸89位におけるロイシン(L)(Kabatの番号付けによる)を含む。別の実施形態において、ポリペプチドは、1~5個の(天然に存在する)アミノ酸の伸長を含み、例えばISVDのC末端における単一のアラニン(A)の伸長を含む。ISVDのC末端は、通常、VTVSS(配列番号138)である。別の実施形態において、ポリペプチドは、少なくとも1つのISVD中に、110位におけるリシン(K)またはグルタミン(Q)(Kabatの番号付けによる)を含む。別の実施形態において、ISVDは、少なくとも1つのISVD中に、112位におけるリシン(K)またはグルタミン(Q)(Kabatの番号付けによる)を含む。これらの実施形態において、単一のアラニンを付加した後、ポリペプチドのC末端が、例えば、配列VTVSSA(配列番号141)、VKVSSA(配列番号142)、VQVSSA(配列番号143)、VTVKSA(配列番号172)、VTVQSA(配列番号173)、VKVKSA(配列番号174)、VKVQSA(配列番号175)、VQVKSA(配列番号176)、またはVQVQSA(配列番号177)を含むように、ISVDのC末端は、VKVSS(配列番号139)、VQVSS(配列番号140)、VTVKS(配列番号166)、VTVQS(配列番号167)、VKVKS(配列番号168)、VKVQS(配列番号169)、VQVKS(配列番号170)、またはVQVQS(配列番号171)である。一実施形態において、C末端は、VTVSSA(配列番号141)を含む。別の実施形態において、ポリペプチドは、各ISVD中に、アミノ酸11位におけるバリン(V)およびアミノ酸89位におけるロイシン(L)(Kabatの番号付けによる)を含み、場合により、少なくとも1つのISVD中に、110位におけるリシン(K)またはグルタミン(Q)(Kabatの番号付けによる)を含み、1~5個の(天然に存在する)アミノ酸の伸長を含み、例えばISVDのC末端における単一のアラニン(A)の伸長を含む(ポリペプチドのC末端が、例えば配列VTVSSA(配列番号141)、VKVSSA(配列番号142)またはVQVSSA(配列番号143)、例えばVTVSSA(配列番号141)を有するように)。これに関するさらなる情報については、例えばWO2012/175741およびWO2015/173325を参照されたい。
【0132】
一実施形態において、本技術の多重特異性多価ポリペプチドは、配列番号1と、90%を超える配列同一性、例えば95%を超える、または99%を超える配列同一性を含むアミノ酸配列を含むかまたはそれからなり、5つのISVDのCDRは、それぞれ下記のセクション「5.2 免疫グロブリン単一可変ドメイン」および「5.4(インビボにおける)半減期の延長」に記載の項目A~E(またはKabatの定義を使用する場合、A’~E’)で定義された通りであり、特に:
・IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を有し;
・IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を有し;
・TSLPに特異的に結合する第3のISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を有し;
・TSLPに特異的に結合する第4のISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を有し;
・ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号10のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号15のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号20のアミノ酸配列であるCDR3を有するか、
または代替としてKabatの定義を使用する場合、:
・IL-13に特異的に結合する第1のISVDは、配列番号37のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号42のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を有し;
・IL-13に特異的に結合する第2のISVDは、配列番号38のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号43のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を有し;
・TSLPに特異的に結合する第3のISVDは、配列番号39のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号44のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を有し;
・TSLPに特異的に結合する第4のISVDは、配列番号41のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号46のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を有し;
・ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号40のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号45のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号20のアミノ酸配列であるCDR3を有する。
【0133】
別の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。別の実施形態において、ポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸配列からなる。
【0134】
一実施形態において、本技術のポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸からなるポリペプチドと比較した場合、ヒトIL-13およびヒトTSLPの少なくとも半分の結合親和性、またはそれと少なくとも同じ結合親和性を有し、この場合、結合親和性は、同じ方法、例えば表面プラズモン共鳴(SPR)を使用して測定される。
【0135】
5.2 免疫グロブリン単一可変ドメイン
用語「免疫グロブリン単一可変ドメイン」(ISVD)は、「単一可変ドメイン」と同義的に使用され、これは、免疫グロブリン分子であって、抗原結合部位が単一の免疫グロブリンドメイン上に存在し、それにより形成されるものを定義する。これは、2つの免疫グロブリンドメイン、特に2つの可変ドメインが相互作用して、抗原結合部位を形成する「従来の」免疫グロブリン(例えばモノクローナル抗体)またはその断片(例えばFab、Fab’、F(ab’)、scFv、ジscFv)とは別にISVDを設定している。典型的には、従来の免疫グロブリンにおいて、重鎖可変ドメイン(V)と軽鎖可変ドメイン(V)とが相互作用して、抗原結合部位を形成する。この場合、VとVの両方の相補性決定領域(CDR)が抗原結合部位に寄与することになり、すなわち合計6つのCDRが、抗原結合部位形成に関与することになる。
【0136】
上記の定義を考慮すれば、従来の4鎖抗体(例えばIgG、IgM、IgA、IgDまたはIgE分子;当業界において公知)の、またはFab断片、F(ab’)断片、Fv断片、例えばジスルフィドで連結されたFvまたはscFv断片、もしくはこのような従来の4鎖抗体由来のダイアボディ(全て当業界において公知)の抗原-結合ドメインは通常、ISVDとみなされないが、これは、これらの場合では、抗原のそれぞれのエピトープに結合することは通常、1つの(単一の)免疫グロブリンドメインによって起こるのではなく、一対の(会合する)免疫グロブリンドメイン、例えば軽鎖および重鎖可変ドメインによって、すなわち連帯してそれぞれの抗原のエピトープに結合する免疫グロブリンドメインのV-V対によって起こるためである。
【0137】
対照的に、ISVDは、追加の免疫グロブリン可変ドメインと対合せずに抗原のエピトープに特異的に結合することが可能である。ISVDの結合部位は、単一のV、単一のVHHまたは単一のVドメインによって形成される。
【0138】
したがって、単一の抗原結合単位(すなわち、機能的な抗原結合単位を形成するのに、単一の抗原結合ドメインが別の可変ドメインと相互作用する必要がないように、単一可変ドメインから本質的になる機能的な抗原結合単位)を形成することが可能である限りは、単一可変ドメインは、軽鎖可変ドメイン配列(例えば、V-配列)もしくはその好適な断片;または重鎖可変ドメイン配列(例えば、V-配列またはVHH配列)もしくはその好適な断片であり得る。
【0139】
ISVDは、例えば重鎖ISVDであってもよく、例えばV、VHH、例えばラクダ化Vまたはヒト化されたVHHなどであってもよい。一実施形態において、ISVDは、VHHであり、例えばラクダ化Vまたはヒト化VHHなどである。重鎖ISVDは、従来の4鎖抗体または重鎖抗体由来であってもよい。
【0140】
例えば、ISVDは、単一ドメイン抗体(または単一ドメイン抗体として使用するのに好適なアミノ酸配列)、「dAb」もしくはdAb(またはdAbとして使用するのに好適なアミノ酸配列)、もしくはNanobody(登録商標)(本明細書で定義される通りであり、その例としては、これに限定されないが、VHHが挙げられる);他の単一可変ドメイン、またはそれらのいずれか1つのあらゆる好適な断片であり得る。
【0141】
特に、ISVDは、Nanobody(登録商標)(例えばVHH、例えばヒト化VHHまたはラクダ化Vなど)またはその好適な断片であり得る。Nanobody(登録商標)、Nanobodies(登録商標)およびNanoclone(登録商標)は、Ablynx N.V.の登録商標である。
【0142】
「VHHドメイン」は、VHH、VHH抗体断片、およびVHH抗体としても公知であり、これは元々、「重鎖抗体」の(すなわち、「軽鎖を欠失した抗体」の;Hamers-Castermanら、Nature 363:446~448、1993)免疫グロブリンの可変ドメインと結合する抗原として説明されていた。用語「VHHドメイン」は、これらの可変ドメインを、従来の4鎖抗体(本明細書では「Vドメイン」と称される)に存在する重鎖可変ドメインおよび従来の4鎖抗体(本明細書では「Vドメイン」と称される)に存在する軽鎖可変ドメインと区別するために選択された。VHHのさらなる説明のために、Muyldermansによる総論(Reviews in Molecular Biotechnology 74:277~302、2001)が参照される。
【0143】
典型的には、免疫グロブリンの生成は、実験動物の免疫化、免疫グロブリンを生産する細胞を融合してハイブリドーマを作り出すこと、および望ましい特異性に関してスクリーニングすることを含む。代替として、免疫グロブリンは、ナイーブまたは合成ライブラリーを、例えばファージディスプレイによってスクリーニングすることによって生成してもよい。
【0144】
免疫グロブリン配列、例えばNanobodies(登録商標)の生成は、様々な出版物で広範囲に説明されおり、そのなかでも、WO94/04678、Hamers-Castermanら、1993およびMuyldermansら、2001を例示することができる。これらの方法において、前記標的抗原に対する免疫応答を誘導するために、ラクダ科動物が標的抗原で免疫化される。前記免疫化から得られたNanobodiesのレパートリーはさらに、標的抗原と結合するNanobodiesに関してスクリーニングされる。
【0145】
これらの例において、抗体の生成は、免疫化および/またはスクリーニングのために精製した抗原を必要とする。抗原は、天然源から精製してもよいし、または組換え体生産の過程で精製してもよい。
【0146】
免疫グロブリン配列の免疫化および/またはスクリーニングは、このような抗原のペプチド断片を使用して実行することができる。
【0147】
本技術は、マウス、ラット、ウサギ、ロバ、ヒトおよびラクダ免疫グロブリン配列を含む異なる起源の免疫グロブリン配列を使用することができる。本技術はまた、完全ヒト、ヒト化またはキメラ配列も含む。例えば、本技術は、ラクダ免疫グロブリン配列およびヒト化ラクダ免疫グロブリン配列、またはラクダ化ドメイン抗体、例えば、Wardら(例えばWO94/04678およびDaviesおよびRiechmann(1994および1996)を参照)によって記載されるようなラクダ化dAbを含む。さらに、本技術はまた、融合した免疫グロブリン配列、例えば、多価および/または多重特異性構築物(1つまたはそれ以上のVHHドメインを含有する多価および多重特異性ポリペプチドならびにそれらの調製のため、Conrathら、J.Biol.Chem.、第276巻、10.7346~7350、2001、加えて例えばWO96/34103およびWO99/23221が参照される)、ならびにタグまたは他の機能的部分、例えば毒素、標識、放射化学物質などを含む免疫グロブリン配列を形成する融合した免疫グロブリン配列も使用し、これらは本技術の免疫グロブリン配列から誘導可能である。
【0148】
「ヒト化VHH」は、天然に存在するVHHドメインのアミノ酸配列に対応するが、「ヒト化」されている、すなわち、前記天然に存在するVHH配列のアミノ酸配列中の(特にフレームワーク配列中の)1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を、ヒトからの従来の4鎖抗体(例えば上記で示された)からのVドメイン中の対応する位置に存在するアミノ酸残基の1つまたはそれ以上によって置き換えることによってヒト化されているアミノ酸配列を含む。これは、例えば本明細書や先行技術(例えばWO2008/020079)に記載のさらなる説明に基づき、当業者には明らかであるそれ自体公知の方式で実行することができる。ここでも注目すべきことに、このようなヒト化VHHは、それ自体公知のあらゆる好適な方式で得ることができ、したがって、厳密には、出発材料として天然に存在するVHHドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに限定されない。
【0149】
「ラクダ化V」は、天然に存在するVドメインのアミノ酸配列に対応するが、「ラクダ化」されている、すなわち、従来の4鎖抗体からの天然に存在するVドメインのアミノ酸配列中の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を、重鎖抗体のVHHドメインにおける対応する位置に存在するアミノ酸残基の1つまたはそれ以上によって置き換えることによってラクダ化されているアミノ酸配列を含む。これは、例えば本明細書や先行技術(例えばWO2008/020079)に記載のさらなる説明に基づき、当業者には明らかであるそれ自体公知の方式で実行することができる。このような「ラクダ化」置換は通常、V-Vの境界を形成する、および/またはそこに存在するアミノ酸位置に、および/または本明細書で定義されるようないわゆるラクダの特徴的な残基に挿入される(例えばWO94/04678ならびにDaviesおよびRiechmann(1994および1996)、上記を参照)。一実施形態において、ラクダ化Vを生成または設計するための出発材料または開始点として使用されるV配列は、哺乳動物からのV配列、またはヒトのV配列、例えばV3配列である。しかしながら、注目すべきことに、このようなラクダ化Vは、それ自体公知のあらゆる好適な方式で得ることができ、したがって、厳密には、出発材料として天然に存在するVドメインを含むポリペプチドを使用して得られたポリペプチドに限定されない。
【0150】
ISVD配列の構造は、4つのフレームワーク領域(「FR」)で構成されるとみなすことができ、これらは、当業界および本明細書ではそれぞれ「フレームワーク領域1」(「FR1」);「フレームワーク領域2」(「FR2」);「フレームワーク領域3」(「FR3」);および「フレームワーク領域4」(「FR4」)として言及され;これらのフレームワーク領域は、3つの相補性決定領域(「CDR」)が途中に存在し、これらは、当業界および本明細書ではそれぞれ「相補性決定領域1」(「CDR1」);「相補性決定領域2」(「CDR2」);および「相補性決定領域3」(「CDR3」)として言及される。
【0151】
WO08/020079の58頁および59頁段落q)でさらに記載されるように、ISVDのアミノ酸残基は、RiechmannおよびMuyldermans、2000(J.Immunol.Methods 240(1~2):185~195;例えばこの出版物の図2を参照)の論文に記載のラクダ科動物からのVHHドメインに適用された通り、Kabatら(「Sequence of proteins of immunological interest」、US Public Health Services、NIH Bethesda、MD、Publication No.91)によって付与されるVドメインの一般的な番号付けに従って番号付けすることができる。注目すべきことに、VドメインおよびVHHドメインに関して当業界において周知の通り、CDRのそれぞれにおけるアミノ酸残基の総数は変化することがあり、Kabatの番号付けによって示されたアミノ酸残基の総数に対応していなくてもよい(すなわち、Kabatの番号付けによる1つまたはそれ以上の位置が実際の配列において占有されていなくてもよいし、または実際の配列がKabatの番号付けによって許容される数より多くのアミノ酸残基を含有していてもよい)。これは、一般的に、Kabatによる番号付けは、実際の配列におけるアミノ酸残基の実際の番号付けに対応していてもよいし、または対応していなくてもよいことを意味する。VドメインおよびVHHドメインにおけるアミノ酸残基の総数は、通常、110~120の範囲となり、112~115となることが多い。しかしながら、注目すべきことに、それより短い配列およびそれより長い配列も、本明細書に記載される目的にとって好適であり得る。
【0152】
本出願において、別段の指定がない限り、CDR配列は、KontermannおよびDubel(2010年編、Antibody Engineering、第2巻、Springer Verlag Heidelberg Berlin、Martin、第3章、33~51頁)に記載されたように、AbMの定義に従って決定された。この方法によれば、FR1は、1~25位にアミノ酸残基を含み、CDR1は、26~35位にアミノ酸残基を含み、FR2は、36~49位にアミノ酸残基を含み、CDR2は、50~58位にアミノ酸残基を含み、FR3は、59~94位にアミノ酸残基を含み、CDR3は、95~102位にアミノ酸残基を含み、FR4は、103~113位にアミノ酸残基を含む。
【0153】
CDR領域の決定は、異なる方法に従って行ってもよい。KabatによるCDR決定において、ISVDのFR1は、1~30位にアミノ酸残基を含み、ISVDのCDR1は、31~35位にアミノ酸残基を含み、ISVDのFR2は、36~49位にアミノ酸残基を含み、ISVDのCDR2は、50~65位にアミノ酸残基を含み、ISVDのFR3は、66~94位にアミノ酸残基を含み、ISVDのCDR3は、95~102位にアミノ酸残基を含み、ISVDのFR4は、103~113位にアミノ酸残基を含む。
【0154】
このような免疫グロブリン配列において、フレームワーク配列は、あらゆる好適なフレームワーク配列であってもよく、好適なフレームワーク配列の例は、例えば標準的な教本、および本明細書で述べられたさらなる開示および先行技術に基づき当業者には明らかであろう。
【0155】
フレームワーク配列は、免疫グロブリンフレームワーク配列または免疫グロブリンフレームワーク配列から得られた(例えば、ヒト化またはラクダ化によって)フレームワーク配列の好適な組合せである。例えば、フレームワーク配列は、軽鎖可変ドメイン(例えばV配列)および/または重鎖可変ドメイン(例えばV配列またはVHH配列)から得られたフレームワーク配列であり得る。一態様において、フレームワーク配列は、VHH配列から得られたフレームワーク配列(それにおいて、前記フレームワーク配列が、場合により、部分的または完全にヒト化されていてもよい)であるか、または従来のラクダ化V配列(本明細書で定義される通り)であるかのいずれかである。
【0156】
特に、本技術で使用されるISVD配列に存在するフレームワーク配列は、ISVD配列が、Nanobody(登録商標)、例えばヒト化VHHまたはラクダ化Vを含むVHHになるように、特徴的な残基(本明細書で定義される通り)の1つまたはそれ以上を含有していてもよい。このようなフレームワーク配列の一部の非限定的な例(その好適な組合せ)は、本明細書に記載のさらなる開示から明確になるであろう。
【0157】
ここでも、本明細書において免疫グロブリン配列に関して一般的に記載される通り、また、前述のもののいずれかの好適な断片(または断片の組合せ)、例えば、好適には1つまたはそれ以上のフレームワーク配列が隣接する、および/またはそれを介して連結された1つまたはそれ以上のCDR配列を含有する断片(例えば、これらのCDRおよびフレームワーク配列は、断片がそれから得られた完全サイズの免疫グロブリン配列において生じ得る同じ順番で)を使用することも考えられる。
【0158】
しかしながら、注目すべきことに、本技術は、ISVD配列(またはそれを発現させるのに使用されるヌクレオチド配列)の起源にも、ISVD配列またはヌクレオチド配列が生成される(または生成された)または得られる方法にも限定されない。したがって、ISVD配列は、天然に存在する配列(あらゆる好適な種からの)であってもよいし、または合成もしくは半合成の配列であってもよい。具体的な、ただし非限定的な態様において、ISVD配列は、天然に存在する配列(あらゆる好適な種からの)または合成もしくは半合成の配列であり、その例としては、これらに限定されないが、「ヒト化」(本明細書で定義される通り)免疫グロブリン配列(例えば部分的または完全にヒト化されたマウスまたはウサギ免疫グロブリン配列、特に、部分的または完全にヒト化されたVHH配列)、「ラクダ化」(本明細書で定義される通り)免疫グロブリン配列、加えて、親和性成熟(例えば、合成、ランダムまたは天然に存在する免疫グロブリン配列から開始する)、CDRグラフティング、ベニアリング(veneering)、異なる免疫グロブリン配列から得られた断片を組み合わせること、オーバーラップするプライマーを使用したPCRアセンブリ、および当業者周知の免疫グロブリン配列を操作するための類似の技術;または前述のもののいずれかのあらゆる好適な組合せなどの技術により得られた免疫グロブリン配列が挙げられる。
【0159】
同様に、ヌクレオチド配列は、天然に存在するヌクレオチド配列または合成もしくは半合成の配列であってもよく、例えば、好適な天然に存在するテンプレートからPCRによって単離される配列(例えば細胞から単離したDNAまたはRNA)、ライブラリー(特に、発現ライブラリー)から単離されたヌクレオチド配列、天然に存在するヌクレオチド配列に突然変異を導入すること(それ自体公知のあらゆる好適な技術、例えばミスマッチPCRを使用して)によって調製されるヌクレオチド配列、オーバーラップするプライマーを使用するPCRによって調製されたヌクレオチド配列、またはそれ自体公知のDNA合成のための技術を使用して調製されたヌクレオチド配列であり得る。
【0160】
上述したように、ISVDは、Nanobody(登録商標)またはその好適な断片であり得る。Nanobodiesの一般的な説明のために、以下のさらなる説明、加えて本明細書において引用された先行技術が参照される。しかしながら、この点において、この説明および先行技術は、主として、いわゆる「V3クラス」のNanobodies(すなわち、DP-47、DP-51またはDP-29などのV3クラスのヒト生殖細胞系配列に対して高度な配列相同性を有するNanobodies)を説明したものであることに留意すべきである。しかしながら、本技術は、その最も広い意味で、一般的にあらゆるタイプのNanobodyを使用することができ、例えば、例えばWO2007/118670に記載されたように、いわゆる「V4クラス」に属するNanobodies(すなわち、DP-78などのV4クラスのヒト生殖細胞系配列に対して高度な配列相同性を有するNanobodies)も使用することに留意すべきである。
【0161】
一般的に、Nanobodies(特にVHH配列、例えば(部分的に)ヒト化VHH配列およびラクダ化V配列など)は、フレームワーク配列(ここでも本明細書にさらに記載される通り)の1つまたはそれ以上における1つまたはそれ以上の「特徴的な残基」(本明細書に記載される通り)の存在によって特徴付けることができる。したがって、一般的に、Nanobodyは、(一般)構造
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4
を有する免疫グロブリン配列と定義することができ、式中、FR1~FR4は、それぞれフレームワーク領域1~4を指し、CDR1~CDR3は、それぞれ相補性決定領域1~3を指し、特徴的な残基の1つまたはそれ以上は、さらに本明細書で定義される通りである。
【0162】
詳細には、Nanobodyは、(一般)構造
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4
を有する免疫グロブリン配列であってもよく、式中、FR1~FR4は、それぞれフレームワーク領域1~4を指し、CDR1~CDR3は、それぞれ相補性決定領域1~3を指し、フレームワーク配列は、さらに本明細書で定義される通りである。
【0163】
より詳細には、Nanobodyは、(一般)構造
FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4
を有する免疫グロブリン配列であってもよく、式中、FR1~FR4は、それぞれフレームワーク領域1~4を指し、CDR1~CDR3は、それぞれ相補性決定領域1~3を指し:
Kabatの番号付けに従って11、37、44、45、47、83、84、103、104および108位におけるアミノ酸残基の1つまたはそれ以上が、以下の表A-0に記載した特徴的な残基から選択される。
【0164】
【表1-1】
【表1-2】
【0165】
本技術はとりわけ、IL-13またはTSLPに結合することができるISVDを使用する。本技術に関して、特定の標的分子「に結合すること」は、抗体およびそのそれぞれの抗原に関して理解される通り当業界における通常の意味を有する。
【0166】
本技術の多重特異性多価ポリペプチドは、IL-13に特異的に結合する2つまたはそれ以上のISVD、およびTSLPに特異的に結合する2つまたはそれ以上のISVDを含んでいてもよい。例えば、ポリペプチドは、IL-13に特異的に結合する2つのISVD、およびTSLPに特異的に結合する2つのISVDを含んでいてもよい。
【0167】
一部の実施形態において、少なくとも1つのISVDは、その標的分子を機能的にブロックすることができる。例えば、標的化部分は、IL-13とIL-13Rα1(インターロイキン13受容体、アルファ1)との相互作用、および/またはIL-13/IL-13Rα1複合体とIL-4Rα(アルファインターロイキン-4受容体)との相互作用をブロックすることができ、またはTSLPとTSLPR(TSLP受容体)との相互作用、および/またはTSLP/TSLPR複合体とIL-7Rα(インターロイキン-7受容体サブユニットアルファ)との相互作用をブロックすることができる。したがって、一実施形態において、本技術のポリペプチドは、IL-13に特異的に結合し、それとIL-13Rα1との相互作用および/またはIL-13/IL-13Rα1複合体とIL-4Rαとの相互作用を機能的にブロックする少なくとも2つのISVD、ならびにTSLPに特異的に結合し、それとTSLPRとの相互作用、および/またはTSLP/TSLPR複合体とIL-7Rαとの相互作用を機能的にブロックする2つのISVDを含む。
【0168】
本技術で使用されるISVDは、ポリペプチドがIL-13およびTSLPに特異的に結合することができるように、少なくとも4つのISVDを含むかまたはそれからなる本技術のポリペプチドの一部を形成する。
【0169】
したがって、本技術のポリペプチドで使用される少なくとも4つのISVDの標的分子は、IL-13およびTSLPである。その例は、哺乳類のIL-13およびTSLPである。ヒトIL-13(Uniprot受託番号P35225)およびヒトTSLP(Uniprot受託番号Q969D9)の他にも、他の種からのバージョンも本技術に適しており、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、非ヒト霊長類、例えばカニクイザル(本明細書では「cyno」としても言及される)、またはラクダ科動物、例えばラマもしくはアルパカからのIL-13およびTSLPが挙げられる。
【0170】
本技術で使用できるIL-13に特異的に結合するISVDの具体的な例は、以下の項目AおよびBに記載される通りである:
A.ヒトIL-13に特異的に結合し、
i.配列番号7のアミノ酸配列であるかまたは配列番号7と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号12のアミノ酸配列であるかまたは配列番号12と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0171】
一実施形態において、ISVDは、配列番号7のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号12のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0172】
B.ヒトIL-13に特異的に結合し、
i.配列番号8のアミノ酸配列であるかまたは配列番号8と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号13のアミノ酸配列であるかまたは配列番号13と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0173】
一実施形態において、ISVDは、配列番号8のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号13のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0174】
このようなヒトIL-13に特異的に結合するISVDの例は、それぞれ表A-2に記載の構築物4B02または4B06に関して示されるように、1つまたはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有する(それぞれ前述の項目AおよびBで定義されたCDRに加えて)。一実施形態において、これは、構築物4B02または構築物4B06(それぞれ配列番号2および3;表A-1およびA-2を参照)の全長アミノ酸配列を含むかまたはそれからなるISVDである。
【0175】
別の実施形態において、ヒトIL-13に特異的に結合するISVDのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号2または3と、90%を超える、例えば95%を超える、または99%を超える配列同一性を有していてもよく、CDRは、それぞれ前述の項目AまたはBで定義された通りである。一実施形態において、IL-13に特異的に結合するISVDは、配列番号2または3のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0176】
このようなIL-13に結合するISVDが、対応する参照CDR配列(上記の項目AまたはB)と比べて少なくとも1つのCDRにおいて2または1つのアミノ酸の差異を有する場合、ISVDは、それぞれ配列番号2または3に記載の構築物4B02または4B06のように、ヒトIL-13の少なくとも半分の結合親和性、またはそれと少なくとも同じ結合親和性を有し、この場合、結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0177】
本技術で使用できるTSLPに特異的に結合するISVDの具体的な例は、以下の項目CおよびDに記載される通りである:
C.ヒトTSLPに特異的に結合し、
i.配列番号9のアミノ酸配列であるかまたは配列番号9と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号14のアミノ酸配列であるかまたは配列番号14と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0178】
一実施形態において、ISVDは、配列番号9のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号14のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0179】
D.ヒトTSLPに特異的に結合し、
i.配列番号11のアミノ酸配列であるかまたは配列番号11と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号16のアミノ酸配列であるかまたは配列番号16と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0180】
一実施形態において、ISVDは、配列番号11のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号16のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0181】
このようなヒトTSLPに特異的に結合するISVDの例は、それぞれ表A-2に記載の構築物501A02および529F10に関して示されるように、1つまたはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有する(前述の項目CおよびDで定義されたCDRに加えて)。一実施形態において、これは、構築物501A02または529F10(配列番号4または6、表A-1およびA-2を参照)の全長アミノ酸配列を含むかまたはそれからなるISVDである。
【0182】
別の実施形態において、ヒトTSLPに特異的に結合するISVDのアミノ酸配列は、それぞれ配列番号4または6と、90%を超える、例えば95%を超える、または99%を超える配列同一性を有していてもよく、CDRは、前述の項目CまたはDで定義された通りである。一実施形態において、ヒトTSLPに結合するISVDは、配列番号4または6のアミノ酸配列を含むかまたはそれからなる。
【0183】
このようなヒトTSLPに結合するISVDが、対応する参照CDR配列(上記の項目CまたはD)と比べて少なくとも1つのCDR中に2または1つのアミノ酸の差異を有する場合、ISVDは、それぞれ配列番号4および6に記載の構築物501A02または529F10のように、ヒトTSLPの少なくとも半分の結合親和性、またはそれと少なくとも同じ結合親和性を有し、この場合、結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0184】
一実施形態において、上記の項目A~Dで定義されるISVDのそれぞれは、本技術のポリペプチドに含まれる。
【0185】
このような上記の項目A~Dで定義されるISVDのそれぞれを含む本技術のポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸からなるポリペプチドのように、ヒトIL-13およびヒトTSLPの少なくとも半分の結合親和性、またはそれと少なくとも同じ結合親和性を有し、この場合、結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0186】
上記の項目A~Dおよび下記の項目Eで言及される配列番号(セクション5.4「(インビボにおける)半減期の延長」を参照)は、AbMの定義によるCDRの定義(表A-2を参照)に基づく。Kabat定義により同じCDRを定義する配列番号(表A-2.1を参照)は、同様に、上記の項目A~Dおよび下記の項目Eで使用することができることに留意する(セクション5.4「(インビボにおける)半減期の延長」を参照)。
【0187】
したがって、本技術で使用できるIL-13またはTSLPに特異的に結合するISVDの具体的な例は、AbMの定義を使用して上述した通りであり、下記の項目A’~D’に記載の通りKabat定義を使用して記載することもできる:
A’.ヒトIL-13に特異的に結合し、
i.配列番号37のアミノ酸配列であるかまたは配列番号37と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号42のアミノ酸配列であるかまたは配列番号42と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号17のアミノ酸配列であるかまたは配列番号17と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0188】
一実施形態において、ISVDは、配列番号37のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号42のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号17のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0189】
B’.ヒトIL-13に特異的に結合し、
i.配列番号38のアミノ酸配列であるかまたは配列番号38と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号43のアミノ酸配列であるかまたは配列番号43と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号18のアミノ酸配列であるかまたは配列番号18と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0190】
一実施形態において、ISVDは、配列番号38のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号43のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号18のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0191】
このようなヒトIL-13に特異的に結合するISVDの例は、それぞれ表A-2-1に記載の構築物4B02または4B06に関して示されるように、1つまたはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有する(それぞれ前述の項目A’およびB’で定義されたCDRに加えて)。一実施形態において、これは、構築物4B02または構築物4B06(それぞれ配列番号2および3;表A-1およびA-2-1を参照)の全長アミノ酸配列を含むかまたはそれからなるISVDである。
【0192】
C’.ヒトTSLPに特異的に結合し、
i.配列番号39のアミノ酸配列であるかまたは配列番号39と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号44のアミノ酸配列であるかまたは配列番号44と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号19のアミノ酸配列であるかまたは配列番号19と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0193】
一実施形態において、ISVDは、配列番号39のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号44のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号19のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0194】
D’.ヒトTSLPに特異的に結合し、
i.配列番号41のアミノ酸配列であるかまたは配列番号41と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号46のアミノ酸配列であるかまたは配列番号46と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号21のアミノ酸配列であるかまたは配列番号21と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0195】
一実施形態において、ISVDは、配列番号41のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号46のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号21のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0196】
このようなヒトTSLPに特異的に結合するISVDの例は、それぞれ表A-2-1に記載の構築物501A02および529F10に関して示されるように、1つまたはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有する(前述の項目C’およびD’で定義されたCDRに加えて)。一実施形態において、これは、構築物501A02または529F10(配列番号4または6、表A-1およびA-2-1を参照)の全長アミノ酸配列を含むかまたはそれからなるISVDである。
【0197】
第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列との「配列同一性」のパーセンテージは、[第2のアミノ酸配列中の対応する位置におけるアミノ酸残基と同一な、第1のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の数]を[第1のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の総数]で割り、[100%]を掛けることによって計算することができ、この場合、第1のアミノ酸配列と比較した場合の第2のアミノ酸配列中のアミノ酸残基の欠失、挿入、置換または付加のそれぞれは、単一のアミノ酸残基(すなわち単一の位置)における差としてみなされる。
【0198】
通常、上記で概説した計算方法に従って2つのアミノ酸配列間の「配列同一性」のパーセンテージを決定する目的のために、最大数のアミノ酸残基を有するアミノ酸配列が「第1の」アミノ酸配列として取り扱われることになり、その他のアミノ酸配列が「第2の」アミノ酸配列として取り扱われることになる。
【0199】
「アミノ酸の差異」は、本明細書で使用される場合、参照配列に相対する単一のアミノ酸残基の欠失、挿入または置換を指す。一実施形態において、「アミノ酸の差異」は、置換である。
【0200】
一実施形態において、アミノ酸置換は、保存的置換である。このような保存的置換は、以下のグループ(a)~(e)内の1つのアミノ酸が、同じグループ内の別のアミノ酸残基で置換されている置換である:(a)小さい脂肪族の、非極性の、またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、ProおよびGly;(b)極性の負電荷を有する残基およびその(非荷電性)アミド:Asp、Asn、GluおよびGln;(c)極性の正電荷を有する残基:His、ArgおよびLys;(d)大きい脂肪族の、非極性の残基:Met、Leu、Ile、ValおよびCys;および(e)芳香族残基:Phe、TyrおよびTrp。
【0201】
一実施形態において、保存的置換は、以下の通りである:AlaからGlyへの、またはSerへの;ArgからLysへの;AsnからGlnへの、またはHisへの;AspからGluへの;CysからSerへの;GlnからAsnへの;GluからAspへの;GlyからAlaへの、またはProへの;HisからAsnへの、またはGlnへの;IleからLeuへの、またはValへの;LeuからIleへの、またはValへの;LysからArgへの、Glnへの、またはGluへの;MetからLeuへの、Tyrへの、またはIleへの;PheからMetへの、Leuへの、またはTyrへの;SerからThrへの;ThrからSerへの;TrpからTyrへの;TyrからTrpへの;および/またはPheからValへの、Ileへの、またはLeuへの置換。
【0202】
5.3 特異性
用語「特異性」、「特異的に結合する」または「特異的な結合」は、特定の結合単位、例えばISVDが十分に高い親和性で結合することができる、同じ生物からの抗原などの異なる標的分子の数を指す(下記を参照)。「特異性」、「特異的に結合する」または「特異的な結合」は、本明細書において、「選択性」、「選択的に結合する」または「選択的な結合」と同義的に使用される。結合単位、例えばISVDは、その指定された標的に特異的に結合する。
【0203】
結合単位の特異性/選択性は、親和性に基づいて決定することができる。親和性は、分子相互作用の強度または安定性を表す。親和性は、一般的に、モル/リットル(またはM)の単位を有するKD、または解離定数によって示される。親和性はまた、1/KDに等しく、(モル/リットル)-1(またはM-1)の単位を有する会合定数、KAとして表すこともできる。
【0204】
親和性は、部分と標的分子上の結合部位との間の結合強度の尺度であり:KD値が低いほど、標的分子と標的化部分との間の結合強度はより強くなる。
【0205】
典型的には、本技術で使用される結合単位(例えばISVD)は、その標的に、10-5~10-12モル/リットルまたはそれ未満、または10-7~10-12モル/リットルまたはそれ未満、または10-8~10-12モル/リットルの解離定数(KD)で(すなわち10~1012リットル/モルまたはそれより多く、または10~1012リットル/モルまたはそれより多く、または10~1012リットル/モルの会合定数(KA)で)結合する。
【0206】
一般的に、10-4モル/リットルより大きいあらゆるKD値(または10リットル/molより低いあらゆるKA値)が、非特異的な結合を示すとみなされる。
【0207】
生物学的な相互作用のKD、例えば、特異的とみなされる免疫グロブリン配列の抗原への結合のKDは、典型的には、10-5モル/リットル(10000nMまたは10μM)~10-12モル/リットル(0.001nMまたは1pM)またはそれ未満の範囲内である。
【0208】
したがって、特異的/選択的な結合は、同じ測定方法、例えばSPRを使用した場合、結合単位(またはそれを含むポリペプチド)は、10-5~10-12モル/リットルまたはそれ未満のKD値で、IL13および/またはTSLPに結合し、関連するサイトカインに10-4モル/リットルより大きいKD値で結合することを意味する場合がある。IL13に関連する標的の例は、ヒトIL4である。TSLPに関連するサイトカインの例は、ヒトIL7である。したがって、本技術の一実施形態において、ポリペプチド中に含まれる少なくとも2つのISVDは、IL13に、10-5~10-12モル/リットルまたはそれ未満のKD値で結合し、同じ種のIL4に、10-4モル/リットルより大きいKD値で結合し、ポリペプチド中に含まれる少なくとも2つのISVDは、TSLPに、10-5~10-12モル/リットルまたはそれ未満のKD値で結合し、同じ種のヒトIL7に、10-4モル/リットルより大きいKD値で結合する。
【0209】
したがって、本技術のポリペプチドは、配列番号1のアミノ酸からなるポリペプチドと比較した場合、ヒトIL13およびヒトTSLPの少なくとも半分の結合親和性、またはそれと少なくとも同じ結合親和性を有し、この場合、結合親和性は、同じ方法、例えばSPRを使用して測定される。
【0210】
特定の種からの特定の標的への特異的な結合は、結合単位が、異なる種からの類似した標的にも特異的に結合する可能性があることを排除しない。例えば、ヒトIL13への特異的な結合は、結合単位(またはそれを含むポリペプチド)が、カニクイザルからのIL13にも特異的に結合する可能性があることを排除しない。同様に、例えば、ヒトTSLPへの特異的な結合は、結合単位(またはそれを含むポリペプチド)が、カニクイザル(「cyno」)からのTSLPにも特異的に結合する可能性があることを排除しない。
【0211】
結合単位の、その指定された標的への特異的な結合は、それ自体公知のあらゆる好適な方式、例えば、スキャッチャード分析および/または競合結合アッセイ、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素免疫検査法(EIA)およびサンドイッチ競合アッセイ、ならびにそれ自体当業界において公知のそれらの様々な改変法;加えて本明細書で述べられる他の技術で決定することができる。
【0212】
解離定数は、当業者には明らかであろうが、実際の解離定数であってもよいし、または見かけの解離定数であってもよい。解離定数を決定するための方法は、当業者には明らかであり、その例としては、下記で述べられる技術が挙げられる。この点において、10-4モル/リットルまたは10-3モル/リットルより大きい(例えば10-2モル/リットルの)解離定数を測定できない可能性があることも明らかであろう。場合により、当業者には明らかであろうが、(実際の、または見かけの)解離定数は、[KD=1/KA]という関係によって、(実際の、または見かけの)会合定数(KA)に基づき計算することができる。
【0213】
2つの分子間の分子相互作用の親和性は、それ自体公知の様々な技術、例えば周知の表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサー技術を介して測定することができる(例えばOberら、2001、Intern.Immunology 13:1551~1559を参照)。用語「表面プラズモン共鳴」は、本明細書で使用される場合、バイオセンサーマトリックス内のタンパク質濃度の変化の検出によってリアルタイムの生体特異的な相互作用の分析を可能にする光学現象を指し、この場合、一方の分子がバイオセンサーチップに固定され、他方の分子が流動条件下で固定された分子上を通過することで、kon、koff測定値、したがってK(またはK)値が得られる。これは、例えば、周知のBIAcore(登録商標)システム(BIAcore International AB、GE Healthcare社、Uppsala、SwedenおよびPiscataway、NJ)を使用して実行することができる。さらなる説明に関しては、Jonssonら(1993、Ann.Biol.Clin.51:19~26)、Jonssonら(1991 Biotechniques 11:620~627)、Johnssonら(1995、J.Mol.Recognit.8:125~131)、およびJohnnsonら(1991、Anal.Biochem.198:268~277)を参照されたい。
【0214】
生体分子の相互作用の親和性を決定するための別の周知のバイオセンサー技術は、バイオレイヤー干渉法(BLI)である(例えばAbdicheら、2008、Anal.Biochem.377:209~217を参照)。用語「バイオレイヤー干渉法」または「BLI」は、本明細書で使用される場合、2つの表面:内部参照層(参照ビーム)およびバイオセンサーチップ上の固定されたタンパク質の層(シグナルビーム)から反射した光の干渉縞を分析する、標識なしの光学技術を指す。バイオセンサーのチップに結合した分子の数の変化は、波長シフト(nm)として報告される干渉縞におけるシフトを引き起こし、その規模が、バイオセンサーチップ表面に結合した分子の数の直接の尺度である。相互作用はリアルタイムで測定できるため、会合および解離速度ならびに親和性を決定することができる。BLIは、例えば、周知のOctet(登録商標)システム(ForteBio、Pall Life Sciences、Menlo Park、USAの一部門)を使用して実行することができる。
【0215】
代替として、親和性は、KinExA(登録商標)プラットフォーム(Sapidyne Instruments Inc、Boise、USA)を使用する反応速度論除外アッセイ(Kinetic Exclusion Assay;KinExA)(例えばDrakeら、2004、Anal.Biochem.、328:35~43を参照)で測定することができる。用語「KinExA」は、本明細書で使用される場合、改変されていない分子の真の平衡結合親和性および速度論を測定するための溶液ベースの方法を指す。抗体/抗原複合体の平衡化溶液を、抗原(または抗体)でプレコーティングされたビーズを有するカラム上に通過させることで、遊離の抗体(または抗原)をコーティングされた分子に結合させることができる。このようにして捕獲された抗体(または抗原)の検出は、抗体(または抗原)と結合する蛍光標識したタンパク質を用いて達成される。
【0216】
GYROLAB(登録商標)イムノアッセイシステムは、自動化された生物学的な分析および迅速なサンプルの回転のためのプラットフォームを提供する(Fraleyら、2013、Bioanalysis 5:1765~74)。
【0217】
5.4 (インビボにおける)半減期の延長
ポリペプチドは、場合により1つまたはそれ以上のペプチド性リンカーを介して連結された、1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位をさらに含んでいてもよく、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位を有さない対応するポリペプチドと比較して、増加した(インビボにおける)半減期を有するポリペプチドを提供する。インビボにおける半減期の延長は、例えば、ポリペプチドが、投与された後、哺乳動物、例えばヒト対象において増加した半減期を有することを意味する。半減期は、例えばt1/2ベータとして表することができる。
【0218】
基、残基、部分または結合単位のタイプは、一般的に制限されず、例えば、ポリエチレングリコール分子、血清タンパク質またはそれらの断片、血清タンパク質に結合することができる結合単位、Fc部分、および血清タンパク質に結合することができる小タンパク質またはペプチドからなる群から選択することができる。
【0219】
より具体的には、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の基、残基、部分または結合単位は、血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン、または血清免疫グロブリン、例えばIgGに結合することができる結合単位からなる群から選択することができる。一実施形態において、増加した半減期を有するポリペプチドを提供する前記1つまたはそれ以上の他の結合単位は、ヒト血清アルブミンに結合することができる結合単位である。一実施形態において、結合単位は、ISVDである。
【0220】
例えば、WO04/041865は、血清アルブミンに結合する(特にヒト血清アルブミンに対する)Nanobodies(登録商標)であって、前記タンパク質の半減期を増加させるために他のタンパク質(例えば望ましい標的に結合する1種またはそれ以上の他のNanobodies)に連結されていてもよいものを記載している。
【0221】
国際出願WO06/122787は、(ヒト)血清アルブミンに対する多数のNanobodies(登録商標)を記載している。これらのNanobodies(登録商標)としては、Alb-1(WO06/122787では配列番号52)およびそれらのヒト化バリアント、例えばAlb-8(WO06/122787では配列番号62)と称されるNanobody(登録商標)が挙げられる。これらもまた、治療用タンパク質およびポリペプチドならびに他の治療的な実体または部分の半減期を延長するのに使用することができる。
【0222】
さらに、WO2012/175400は、Alb-23と称されるAlb-1のさらに改善されたバージョンを記載している。
【0223】
一実施形態において、ポリペプチドは、Alb-1、Alb-3、Alb-4、Alb-5、Alb-6、Alb-7、Alb-8、Alb-9、Alb-10およびAlb-23から選択される血清アルブミン結合部分を含む。一実施形態において、血清アルブミン結合部分は、WO2012/175400の7~9頁で示されるようなAlb-8もしくはAlb-23またはそのバリアント、およびWO2012/175741、WO2015/173325、WO2017/080850、WO2017/085172、WO2018/104444、WO2018/134235、WO2018/134234に記載されるアルブミンバインダーである。一部の血清アルブミンバインダーは、表A-4にも示される。一実施形態において、本技術のポリペプチドのさらなる構成要素は、項目Eに記載される通りである:
E.ヒト血清アルブミンに結合し、
i.配列番号10のアミノ酸配列であるかまたは配列番号10と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号15のアミノ酸配列であるかまたは配列番号15と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号20のアミノ酸配列であるかまたは配列番号20と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0224】
一実施形態において、ISVDは、配列番号10のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号15のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号20のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0225】
このようなヒト血清アルブミンに結合するISVDの例は、表A-2に記載の構築物ALB23002に関して示されるように、1つまたはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有する(前述の項目Eで定義されたCDRに加えて)。一実施形態において、これは、構築物ALB23002(配列番号5、表A-1およびA-2を参照)の全長アミノ酸配列を含むかまたはそれからなるISVDである。
【0226】
項目Eはまた、Kabat定義を使用して以下のように記載することもできる:
E’.ヒト血清アルブミンに結合し、
i.配列番号40のアミノ酸配列であるかまたは配列番号40と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR1;
ii.配列番号45のアミノ酸配列であるかまたは配列番号45と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR2;および
iii.配列番号20のアミノ酸配列であるかまたは配列番号20と2もしくは1つのアミノ酸の差異を有するアミノ酸配列であるCDR3
を含むISVD。
【0227】
一実施形態において、ISVDは、配列番号40のアミノ酸配列であるCDR1、配列番号45のアミノ酸配列であるCDR2および配列番号20のアミノ酸配列であるCDR3を含む。
【0228】
このようなヒト血清アルブミンに結合するISVDの例は、表A-2-1に記載の構築物ALB23002に関して示されるように、1つまたはそれ以上の、または全てのフレームワーク領域を有する(前述の項目E’で定義されたCDRに加えて)。一実施形態において、これは、構築物ALB23002(配列番号5、表A-1およびA-2-1を参照)の全長アミノ酸配列を含むかまたはそれからなるISVDである。
【0229】
さらなる実施形態において、ヒト血清アルブミンに結合するISVDのアミノ酸配列は、配列番号5と、90%を超える、例えば95%を超える、または99%を超える配列同一性を有していてもよく、CDRは、前述の項目EまたはE’で定義された通りである。一実施形態において、ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、配列番号5のアミノ酸配列を有する。
【0230】
このようなヒト血清アルブミンに結合するISVDが、対応する参照CDR配列(上記の項目E)と比べて少なくとも1つのCDR中に2または1つのアミノ酸の差異を有する場合、ISVDは、配列番号5に記載の構築物ALB23002のように、ヒト血清アルブミンの少なくとも半分の結合親和性、またはそれと少なくとも同じ結合親和性を有し、この場合、結合親和性は、SPRなどの同じ方法を使用して測定される。
【0231】
一実施形態において、このようなヒト血清アルブミンに結合するISVDは、C末端の位置を有する場合、C末端アラニン(A)またはグリシン(G)の伸長を呈示する。一実施形態において、このようなISVDは、配列番号59、60、62、64、65、66、67、68、69および71から選択される(下記の表A-4を参照)。一実施形態において、ヒト血清アルブミンに結合するISVDは、C末端の位置とは別の位置にある(すなわち、本技術のポリペプチドのC末端のISVDではない)。一実施形態において、このようなISVDは、配列番号5、57、58、61、および63から選択される(下記の表A-4を参照)。
【0232】
5.5 核酸分子
本技術のポリペプチドをコードする核酸分子も提供される。
【0233】
「核酸分子」(「核酸」と同義的に使用される)は、ヌクレオチド配列を形成するためにリン酸主鎖を介して互いに連結されたヌクレオチド単量体の鎖である。核酸は、例えばポリペプチドの発現および/または生産のために、宿主細胞または宿主生物を形質転換/トランスフェクトするのに使用することができる。生産目的のための好適な宿主または宿主細胞は当業者には明らかであり、例えば、あらゆる好適な真菌、原核もしくは真核細胞もしくは細胞株、またはあらゆる好適な真菌、原核もしくは真核生物であり得る。本技術のポリペプチドをコードする核酸を含む宿主または宿主細胞も、本技術に包含される。
【0234】
核酸は、例えばDNA、RNA、またはそれらのハイブリッドであってもよいし、PNAのような(例えば化学的に)修飾されたヌクレオチドを含んでいてもよい。核酸は、一本鎖であってもよいし、または二本鎖であってもよい。一実施形態において、核酸は、二本鎖DNAの形態である。例えば、本技術のヌクレオチド配列は、ゲノムDNA、cDNAであってもよい。
【0235】
本技術の核酸は、それ自体公知の方式で調製するかまたは得てもよいし、および/または好適な天然源から単離してもよい。天然に存在する(ポリ)ペプチドをコードするヌクレオチド配列は、例えば、配列変化を有するポリペプチドをコードする核酸分子が提供されるように、部位特異的変異誘発に供してもよい。また当業者には明らかであろうが、核酸を調製するために、いくつかのヌクレオチド配列、例えば標的化部分をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列、例えば1つまたはそれ以上のリンカーをコードする核酸も、好適な方式で一緒に連結されていてもよい。
【0236】
核酸を生成するための技術は当業者には明らかであり、その例としては、これらに限定されないが、自動DNA合成;部位特異的変異誘発;2つまたはそれ以上の天然に存在する配列および/または合成配列(または2つまたはそれ以上のそれらの一部)を組み合わせること、短縮化された発現産物の発現をもたらす突然変異の導入;1つまたはそれ以上の制限部位の導入(例えば、好適な制限酵素を使用して容易に消化および/またはライゲートすることができるカセットおよび/または領域を作り出すため)、ならびに/または1つまたはそれ以上の「ミスマッチ」プライマーを使用するPCR反応による突然変異の導入を挙げることができる。
【0237】
5.6 ベクター
本技術のポリペプチドをコードする核酸分子を含むベクターも提供される。本明細書で使用されるベクターは、遺伝物質を細胞に運ぶのに好適な媒体である。ベクターとしては、裸の核酸、例えばプラスミドまたはmRNA、またはより大きい構造に埋め込まれた核酸、例えばリポソームもしくはウイルスベクターが挙げられる。
【0238】
ベクターは、一般的に、場合により、1つまたはそれ以上の調節エレメント、例えば1つまたはそれ以上の好適なプロモーター、エンハンサー、ターミネーターなどに連結された少なくとも1つの核酸を含む。一実施形態において、ベクターは、発現ベクターであり、すなわち、好適な条件下で、例えばベクターが(例えばヒト)細胞に導入されたときに、コードされたポリペプチドまたは構築物を発現させるのに好適なベクターである。DNAベースのベクターの場合、これは通常、転写のためのエレメントの存在(例えばプロモーターおよびポリAシグナル)および翻訳のためのエレメントの存在(例えばコザック配列)を含む。
【0239】
一実施形態において、ベクター中において、前記少なくとも1つの核酸および前記調節エレメントは、互いに「作動可能に連結」しており、これは、一般的に、それらが互いに機能的な関係にあることを意味する。例えば、プロモーターは、前記プロモーターがコード配列の転写および/または発現を開始させるかまたはそれ以外の方法でそれらを制御/調節することができる場合、コード配列に「作動可能に連結している」とみなされる(ここで前記コード配列は、前記プロモーターの「制御下」にあると理解されるべきである)。一般的に、2つのヌクレオチド配列が作動可能に連結している場合、それらは同じ方向となり、また通常は同じリーディングフレーム内にある。それらはまた通常は本質的に連続しているが、これもまたそうである必要はない場合もある。
【0240】
一実施形態において、ベクターのいずれの調節エレメントも、それらが意図した宿主細胞または宿主生物においてそれらの意図した生物学的機能を提供できるようなものである。
【0241】
例えば、プロモーター、エンハンサーまたはターミネーターは、意図した宿主細胞または宿主生物において「作動可能である」はずであり、これは、例えば前記プロモーターが、ヌクレオチド配列、例えばそれに作動可能に連結したコード配列の転写および/または発現を開始させること、またはそれ以外の方法でそれらを制御/調節することが可能であるはずであることを意味する。
【0242】
5.7 組成物
本技術はまた、少なくとも1つの本技術のポリペプチド、本技術のポリペプチドをコードする少なくとも1つの核酸分子、またはこのような核酸分子を含む少なくとも1つのベクターを含む組成物も提供する。組成物は、医薬組成物であり得る。組成物は、少なくとも1種の医薬的に許容される担体、希釈剤または賦形剤および/もしくはアジュバントをさらに含んでいてもよく、場合により、1種またはそれ以上のさらなる医薬的に活性なポリペプチドおよび/または化合物を含む。
【0243】
5.8 宿主生物
本技術はまた、本技術のポリペプチド、本技術のポリペプチドをコードする核酸、および/または本技術のポリペプチドをコードする核酸分子を含むベクターを含む宿主細胞または宿主生物にも関する。
【0244】
好適な宿主細胞または宿主生物は当業者に明らかであり、例えば、あらゆる好適な真菌、原核もしくは真核細胞もしくは細胞株、またはあらゆる好適な真菌、原核もしくは真核生物である。具体的には例としては、HEK293細胞、CHO細胞、大腸菌(Escherichia coli)またはピチア・パストリス(Pichia pastoris)が挙げられる。一実施形態において、宿主は、ピチア・パストリスである。
【0245】
5.9 ポリペプチドの方法および使用
本技術はまた、本技術のポリペプチドを生産するための方法も提供する。本方法は、宿主細胞または宿主生物を、ポリペプチドをコードする核酸で形質転換/トランスフェクトすること、宿主中でポリペプチドを発現させること、場合により、それに続いて、1つまたはそれ以上の単離および/または精製工程を含んでいてもよい。
具体的には、本方法は、:
a)好適な宿主細胞もしくは宿主生物中で、または別の好適な発現系中で、ポリペプチドをコードする核酸配列を発現させること;場合により、それに続いて:
b)ポリペプチドを単離および/または精製すること
を含んでいてもよい。
【0246】
生産目的のための好適な宿主細胞または宿主生物は当業者には明らかであり、例えば、あらゆる好適な真菌、原核もしくは真核細胞もしくは細胞株、またはあらゆる好適な真菌、原核もしくは真核生物であり得る。具体的な例としては、HEK293細胞、CHO細胞、大腸菌またはピチア・パストリスが挙げられる。一実施形態において、宿主は、ピチア・パストリスである。
【0247】
記載される本技術のポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、または本技術のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物は、医薬として有用である。
【0248】
したがって、本技術は、医薬としての使用のための、記載される本技術のポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、または本技術のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物を提供する。
【0249】
また、炎症性疾患の(予防的または治療的な)処置における使用のための、記載される本技術のポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、または本技術のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物も提供される。
【0250】
さらに、炎症性疾患を処置する(予防的および/または治療的な)方法であって、医薬的に活性な量の、記載される本技術のポリペプチド、核酸分子またはベクター、または本技術のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、前記方法が提供される。
【0251】
さらに、医薬組成物の調製における、本技術のポリペプチド、記載される核酸分子もしくはベクター、または本技術のポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物の使用が提供される。一実施形態において、調製された医薬組成物は、炎症性疾患を処置するためのものである。
【0252】
炎症性疾患は、2型炎症性疾患、例えばアトピー性皮膚炎および喘息である。
【0253】
「対象」は、本技術に関して言及される場合、あらゆる動物であってもよく、より具体的には哺乳動物であってもよい。哺乳動物のなかでも、ヒトと非ヒト哺乳動物との区別がなされる場合がある。非ヒト動物は、例えばコンパニオンアニマル(例えばイヌ、ネコ)、家畜(例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、またはブタ動物)、または一般的に調査目的および/または抗体生産のために使用される動物(例えばマウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、非ヒト霊長類、例えばカニクイザル、またはラクダ科動物、例えばラマまたはアルパカ)であり得る。
【0254】
予防および/または治療目的に関して、対象は、あらゆる動物であってもよく、より具体的には、あらゆる哺乳動物であってもよい。一実施形態において、対象は、ヒト対象である。
【0255】
物質(例えばポリペプチド、核酸分子およびベクターなど)または組成物は、あらゆる好適な投与経路によって、例えば経腸(例えば経口または直腸)または非経口(例えば皮膚上、舌下、頬側、経鼻、関節内、皮内、筋肉内、腹膜内、静脈内、皮下、真皮下、または経粘膜)投与によって対象に投与することができる。一実施形態において、物質は、非経口投与、例えば筋肉内、皮下または皮内投与によって投与される。一実施形態において、皮下投与が使用される。
【0256】
有効量の記載されるポリペプチド、核酸分子もしくはベクター、またはポリペプチド、核酸分子もしくはベクターを含む組成物は、意図した処置結果を提供するために、対象に投与することができる。
【0257】
1つまたはそれ以上の用量が投与されてもよい。1つより多くの用量が投与される場合、用量は、ポリペプチド、組成物、核酸分子またはベクターの作用を最大化するために、好適な間隔で投与されてもよい。
【0258】
【表2】
【0259】
【表3】
【0260】
【表4】
【0261】
【表5】
【0262】
【表6-1】
【表6-2】
【0263】
【表7】
【0264】
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【実施例
【0265】
6 実施例
6.1 それぞれIL-13およびTSLPに特異的に結合する1価ISVDの生成
6.1.1 実施例1:免疫化
重鎖抗体依存性体液性免疫応答を誘発させる目的で、3匹のラマを標準的なプロトコールに従って組換えヒトIL-13(Peprotech、カタログ番号200-13、大腸菌(E.coli)由来)で免疫化した。加えてこれらのラマを別の源からのヒト/カニクイザルIL-13(Sino Biological、カタログ番号10369-HNACおよび11057-CNAH、哺乳類細胞由来)でブーストした。
【0266】
別の3匹のラマを、組換えhTSLP-Fcで免疫化した。加えてこれらのラマをカニクイザルTSLP-Fcでブーストした。2匹の追加のラマを、hTSLPで、カニクイザルTSLP-Fcと交互に免疫化した。
【0267】
免疫血液(PBL)サンプルを定期的に採取し、全RNAを単離したB細胞から調製した。免疫化プロセス中に、免疫化開始前に収集されたサンプルと、複数回の抗原投与後に通常通り収集された血清サンプルとの抗原特異的な血清力価を比較することによって、体液性免疫応答をモニターした。簡単に言えば、96ウェルのMaxisorpプレートを、ヒトIL-13(Sino Biological、カタログ番号10369-HNAC)またはヒトTSLPでコーティングした。組換えヒトTSLPは、商業的に入手可能であり、例えばR&D Systems(カタログ番号1398-TS)から入手可能である。ブロッキングし、希釈した血清サンプルを添加した後、HRP(ホースラディッシュペルオキシダーゼ)結合ヤギ抗ラマ免疫グロブリン(Bethyl Laboratories Inc.)および後続の基質TMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)の存在下での酵素反応を使用することによって、抗IL-13および抗TSLP ISVDの存在が実証された。
【0268】
6.1.2 実施例2:ライブラリー構築およびファージディスプレイ選択
末梢血単核細胞を、血液サンプルから、フィコール-ハイパック(Ficoll-Hypaque)を製造元の説明書に従って使用して調製した。これらの細胞およびリンパ節から抽出した全RNAを、ISVDをコードする遺伝子断片を増幅するためのRT-PCRの出発材料として使用した。これらの断片をファージミドベクターpAX212にクローニングした。ファージを、標準的なプロトコール(Antibody Phage Display:Methods and Protocols(第1版、2002、O’BrianおよびAitken編、Humana Press、Totowa、NJ)に従って調製し、4℃での濾過滅菌の後、さらなる使用まで貯蔵した。IL13のための5つのファージライブラリーを構築し、ライブラリーサイズは6.1×10~1.3×10であり、挿入物のパーセンテージは87~96%の範囲であった。TSLPのための5つのファージライブラリーを構築し、ライブラリーサイズは4.2×10~9.8×10であり、挿入物のパーセンテージは91~100%の範囲であった。
【0269】
ヒトおよびカニクイザルIL-13を認識するISVDを同定するために、ファージライブラリーを、ヒト血清からのIgG(Sigma、I4506)の存在下で、50nMの可溶性ビオチン化hIL13-Fcと共にインキュベートした。hIL-13-Fcおよびファージの複合体を、溶液からストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズ上に捕獲した。PBS/0.05%Tween20で十分に洗浄した後、結合したファージをトリプシン(1mg/ml)の添加によって溶出させた。これらのラウンド1の選択のアウトプットを、0.05、0.5または5nMの可溶性ビオチン化hIL-13-FcまたはカニクイザルIL-13-Fcと共にインキュベートした。ラウンド3で、ラウンド2の選択からの濃縮されていないアウトプットをさらに0.005、0.05、0.5または5nMの可溶性ビオチン化ヒトまたはカニクイザルIL-13-Fcと共にインキュベートした。濃縮されたラウンド2およびラウンド3の選択からの個々のクローンを選別した。
【0270】
ヒトおよびカニクイザルTSLPを認識するISVDを同定するために、ファージライブラリーを、ヒト血清からのIgG(Sigma、I4506)の存在下で、50nMの可溶性ビオチン化hTSLP-Fcと共に、または500nMのビオチン化hTSLPと共に、または500nMのビオチン化カニクイザルTSLPと共にインキュベートした。ヒトおよびカニクイザルTSLP配列は公知である(それぞれUniprot受託番号Q969D9およびNCBI参照配列XP_005557555.1)。組換えタンパク質を使用して、アッセイを実行した。TSLPおよびファージの複合体を、溶液からストレプトアビジンでコーティングされた磁気ビーズ上に捕獲した。PBS/0.05%Tween20で十分に洗浄した後、結合したファージをトリプシン(1mg/ml)の添加によって溶出させた。これらのラウンド1の選択のアウトプットを、5nMの可溶性ビオチン化hILTSLP-FcまたはカニクイザルTLSP-Fcまたは0.5nMビオチン化hTSLPと共にインキュベートした。ラウンド2の選択からのアウトプットを、0.05、0.5または5nMの可溶性ビオチン化ヒトTSLP、TSLP-FcまたはカニクイザルTSLP-Fcと共にインキュベートした。各ラウンドにつき、濃縮されたアウトプットからの個々のクローンを選別した。
【0271】
全ての個々のクローンを96ディープウェルプレート(1ml体積)中で増殖させた。IPTGを1mMの最終濃度まで添加することによって、ISVD発現を誘導した。細胞ペレットを凍結し、100μlのPBS中でそれを溶解させることによって、ペリプラズム抽出物を調製した。死細胞片を遠心分離によって除去した。
【0272】
対照として、選択されたペリプラズム抽出物を、ELISAで、それぞれヒトおよびカニクイザルIL13-Fc、TSLP-Fcへの結合に関してスクリーニングした。Spectraplate 384-HB(PerkinElmer)で、25μlの様式で評価を行った。抗原を、4℃で、PBS中の1μg/mlで一晩コーティングした。ウェルをカゼイン溶液(1%)でブロックした。ペリプラズム抽出物の5倍希釈物の添加後、ISVD結合を、マウス抗Flag-HRP(Sigma)および後続の基質esTMB(3,3’,5,5’-テトラメチルベンジジン)の存在下での酵素反応を使用して検出した。
【0273】
6.1.3 実施例3:ヒトIL13およびヒトTSLPを使用するAlphaScreenアッセイによってペリプラズム抽出物中のISVDをブロックすることに関してスクリーニングすること
ISVDのブロック能力を決定するために、粗製ペリプラズム抽出物を、AlphaScreen技術(PerkinElmer、Waltham、MA USA)を使用する異なるタンパク質ベースの競合アッセイでスクリーニングした。蛍光を、680nmの励起波長および520nmの発光波長を使用するEnVisionマルチラベルプレートリーダー(PerkinElmer)を使用して測定した。
【0274】
hIL-13:hIL-13Rα1二元複合体AlphaScreenにおいて、ISVDがhIL-13とhIL-13Rα1細胞外ドメインとの相互作用をブロックできるかどうかを調査した。この目的を達成するために、ペリプラズム抽出物の希釈物を、ビオチン化hIL-13(Peprotechカタログ番号200-13)と共にプレインキュベートした。この混合物に、hIL-13Rα1-hFc(R&D Systems;カタログ番号146-IR)および抗hFc結合アクセプタービーズを添加し、さらに室温で1時間インキュベートし、続いてストレプトアビジン結合ドナービーズを添加し、追加の1時間インキュベートした。二元複合体が形成されたら、アクセプターおよびドナービーズを近接させ、レーザー励起させると、検出可能なシグナルが生成する。AlphaScreenシグナルの減少は、ビオチン化hIL-13のhIL-13Rα1への結合がペリプラズム抽出物中のISVDによってブロックされていることを示す。類似の設定で、ISVDが、hTSLP(eBioscience、カタログ番号10-8499)とhTSLPR細胞外ドメイン(R&D Systemsカタログ番号981-TR)との相互作用をブロックできるかどうかを調査した。
【0275】
hIL-13:hIL-13Rα1:hIL4Rα三元複合体であるAlphaScreenにおいて、ISVDがhIL4RαのhIL13:hIL13Rα1二元複合体への補充をブロックできるかどうかをスクリーニングした。hIL-13は、hIL-13Rα1に結合し、この二元複合体はhIL4Rαを補充し、結果として三元複合体hIL-13:hIL-13Rα1:hIL4Rαの形成をもたらす。ペリプラズム抽出物の希釈物を、hIL-13(Peprotechカタログ番号200-13)およびビオチン化huIL4Rα(R&D Systems;カタログ番号230-4R/CF)と共にプレインキュベートした。この混合物に、hIL-13Rα1-hFc(R&D Systems;カタログ番号146-IR)および抗hFc結合アクセプタービーズを添加し、さらに室温で1時間インキュベートし、続いてストレプトアビジン結合ドナービーズを添加し、追加の1時間インキュベートした。三元複合体が形成されたら、アクセプターおよびドナービーズを近接させ、レーザー励起させると、検出可能なシグナルが生成する。AlphaScreenシグナルの減少は、三元複合体の形成がペリプラズム抽出物中のISVDによってブロックされていることを示す。同様に、ISVDが、hTSLP:hTSLPR:hIL7Rα複合体(hIL7Rα源=Sino Biologicalカタログ番号1095-H08H)の形成をブロックできるかどうかを調査した。
【0276】
AlphaScreen分析(表3および表4)に基づいて、多数のブロックするISVDを選択し、シーケンシングした(表1および表2)。
【0277】
【表9】
【0278】
【表10】
【0279】
6.1.4 実施例4:IL13およびTSLPにおけるペリプラズム抽出物の表面プラズモン共鳴分析
抗IL13または抗TSLP ISVDを含有するペリプラズム抽出物のオフレートを、Proteon XPR36機器(Bio-Rad Laboratories,Inc.)を使用する表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定した。0.005%Tween20が補充されたリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、pH7.4をランニング緩衝液として使用し、実験を25℃で実行した。
【0280】
hIL13-Fc、カニクイザルIL13-Fc、hTSLP-FcおよびカニクイザルTSLP-Fcを、活性化のために、30μl/分の流速でEDCおよびNHSを使用するアミンカップリングによってProteOn GLCセンサーチップ上に固定した。IL13タンパク質を、pH5.0で、ProteOn酢酸緩衝液中の10μg/mlで注入した。TSLPタンパク質を、pH5.5で、ProteOn酢酸緩衝液中の5μg/mLで注入した。固定した後、表面をエタノールアミンで不活性化した。
【0281】
ISVD候補のペリプラズム抽出物をPBS-Tween20(0.1%)で10倍希釈し、2分にわたり45μl/分で注入し、900秒間解離させた。異なるサンプル間で、IL13の場合、45μl/分でのリン酸(0.425%)の2分の注入により、またはTSLPの場合、45μL/分でのグリシンpH3.0(5mM)/SDS(0.25%)の1分の注入により、表面を再生した。異なるペリプラズム抽出物について得られたセンサーグラムからオフレートを計算した。
【0282】
hIL-13-FcおよびカニクイザルIL-13-Fcにおけるオフレート分析は、表3に示される。
【0283】
【表11】
hTSLP-FcおよびカニクイザルTSLP-Fcにおけるオフレート分析は、表4に示される。
【0284】
【表12】
【0285】
6.1.5 実施例5:抗IL-13および抗TSLP ISVDの発現および精製
抗IL-13 ISVDおよび抗TSLP ISVDを、AlphaScreenアッセイおよびオフレート値におけるそれらのブロック能力に基づいて、発現および精製のために選択した。配列は、表1および2に示される。
【0286】
ISVDを大腸菌TG1細胞でc-myc、His6でタグ付けされたタンパク質として発現させた。1mMのIPTGの添加により発現を誘導し、そのまま37℃で3時間継続した。細胞培養物をスピンさせた後、ペリプラズム抽出物を、ペレットを凍結融解しdPBSに再懸濁することによって調製した。これらの抽出物を、ニッケルセファロースTM6 FFカラム(Atoll)を使用する固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)のための出発材料として使用した。ISVDを、250mMイミダゾールでカラムから溶出させ、その後、dPBSに対して脱塩した。後述される細胞ベースのアッセイのために、内毒素を、50mMのオクチルβ-D-グルコピラノシド(OGP、Sigma)の存在下でのゲル濾過によって除去した。内毒素レベルを、標準的なLAL-アッセイを使用して決定した。
【0287】
6.1.6 実施例6:AlphaScreenアッセイにおける精製した抗IL13および抗TSLP ISVDのブロック能力
二元および三元複合体AlphaScreenアッセイを、実施例3に記載した通りに使用して、抗IL-13および抗TSLP ISVDのIC50値を決定し、実施例5に記載した通りに精製した。ペリプラズム抽出物の希釈物の代わりに、精製したISVDそれぞれの500nMから開始して1.8pMまでの一連の希釈物を、IL-13またはTSLPと共にプレインキュベートした。
【0288】
試験した抗IL-13 ISVDは、表5に示した通りのIC50値で、三元複合体の形成を阻害し、二元複合体を部分的にブロックした。
【0289】
【表13】
【0290】
試験した抗TSLP ISVDは、表6に示した通りのIC50値で、三元複合体の形成を完全に阻害し、二元複合体の形成も阻害した。
【0291】
【表14】
【0292】
6.1.7 実施例7:細胞ベースのアッセイにおける精製した抗IL-13および抗TSLP ISVDのブロック能力
抗IL-13 ISVDの阻害効力を、TF-1細胞のIL-13によって媒介される増殖をモニターする細胞ベースのアッセイで決定した。この目的を達成するために、TF-1細胞を、1/5のHEPES、1/500のNa-ピルビン酸塩、1/500のGlutamaxおよび2ng/mLの組換えヒトGM-CSFを添加したRPMI1640培地中で培養した。TF-1細胞を、GM-CSF非含有の増殖培地中ウェル当たり細胞40,000個で植え付けた。精製した抗IL-13 ISVDの一連の希釈物または参照化合物を添加した。37℃で15分のインキュベーションの後、200pMのIL-13(Peprotechカタログ番号200-13)を添加した。96時間後、EnVisionマルチラベルリーダー(Perkin Elmer)上のCell Titer 96 Aqueous One Solution(Promega #G3580)で、TF-1細胞の増殖を決定した。
【0293】
表7に示されるISVDは、IL-13によって誘導されたTF1増殖を阻害する。
【0294】
【表15】
【0295】
抗TSLP ISVDのブロック効力を、hTSLPRおよびhIL7RaをコードするプラスミドでトランスフェクトされたBaF3細胞のTSLPによって媒介される増殖をモニターする細胞ベースのアッセイで決定した。細胞培養処理した白色の96ウェルプレートにおいて、細胞をRPMI1640増殖培地中細胞20,000個/ウェルの密度で植え付けた。抗TSLP ISVDの一連の希釈物を添加し、続いて細胞の刺激のために50pMのhTLSP-Fcまたは50pMのカニクイザルTSLP-Fcを添加した。ヒトおよびカニクイザルTSLP配列は公知である(それぞれUniprot受託番号Q969D9およびNCBI参照配列XP_005557555.1)。組換えタンパク質を使用して、アッセイを実行した。
【0296】
72時間のインキュベーション後、細胞密度および生存率を、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega、G7571/G7572/G7573)を使用してモニターし、EnVisionマルチラベルリーダー(Perkin Elmer)で読み出した。結果は、表8に示される。
【0297】
【表16】
【0298】
6.1.8 実施例8:精製した抗IL-13および抗TSLP ISVDの、ヒトおよびカニクイザルIL-13およびTSLPへの結合親和性
SPRによる完全結合反応速度論研究を、BIAcore T100機器(GE Healthcare)で実行した。
【0299】
IL-13の場合、約2000RUのhIL13-Fcまたは4000RUのカニクイザルIL13-FcをCM5センサーチップ上に直接固定した。次いでISVDを異なる濃度(3μM~12nM)で120秒に間わたり注入し、900秒間解離させた。hIL-13-FcおよびカニクイザルIL-13-Fc表面の再生を、0.85%HPO:MilliQ(1:1)の47秒の注入を使用して実行した。
【0300】
TSLPの場合、約8000RUの抗huIgG抗体(GE Healthcare)をCM5センサーチップ上に直接固定した。hTSLP-Fc(1μg/mLで)またはカニクイザルTSLP-Fc(0.75μg/mLで)を浮遊させ、120秒間にわたりチップ上に捕獲した。次いでISVDを異なる濃度(0.4nM~3000nM)で120秒間にわたり注入し、900秒間解離させた。
【0301】
結合曲線の評価を、BIAcore T100評価ソフトウェアV2.0.3を使用して行った。動態分析を、1:1の相互作用モデル(ラングミュア結合)(Rmax=グローバル;RI=定数=0、オフセット=0)をフィッティングすることによって実行した。1:1の相互作用モデルの承認基準を満たさない可能性がある相互作用は、ヘテロジニアスリガンドフィッティングモデル(RI=定数=0、オフセット=0)を使用してフィッティングした。
【0302】
動態データは、IL-13 ISVDに関して表9に、TSLP ISVDに関して表10に示される。
【0303】
【表17】
【0304】
【表18】
【0305】
6.2 それぞれIL-13およびTSLPに結合する単一特異性多価ポリペプチドの生成
6.2.1 実施例10:野生型抗IL-13の2価またはバイパラトピックISVD構築物の生成およびインビトロでの特徴付け
選択された抗IL-13 ISVD(F0107004B02およびF0107004B06)を、バイパラトピックおよび2価ISVD構築物にフォーマット化した。構築物中のビルディングブロックは、フレキシブルな35GS(GlySer)リンカーによって遺伝学的に連結される。ISVDを、ピチア・パストリス中でFLAG3-HIS6でタグ付けされたタンパク質として発現させた(アミノ酸配列は、表14に示される)。ISVD構築物発現の誘導は、メタノールの段階的な添加によって起こった。分泌されたISVD構築物を含む透明化した培地を、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)のための出発材料として使用し、続いて脱塩を行い、結果としてSDS-PAGEによって評価したところ90%純度を得た。
【0306】
バイパラトピックおよび2価IL-13構築物を、二元および三元複合体をブロックするAlphaScreenアッセイ(実施例6に記載される通り)、加えてTF-1増殖アッセイ(実施例7に記載される通り)で特徴付けた。二成分および三成分AlphaScreenアッセイおよびTF-1増殖アッセイにおける生成した構築物およびそれらのブロック効力の概要は、表11に示される。バイパラトピック構築物は、抗hIL-13参照mAb1の効力と同様の、hIL-13およびcyIL-13に対して優れた効力を示した。2価構築物も効力を改善したが、TF1増殖アッセイにおいてバイパラトピック構築物F010700029と同じ程度ではなかった。加えて、2価構築物は、IL13-IL13Rα1のAlphaScreenにおいて完全阻害に到達しない。
【0307】
【表19】
【0308】
最も有力な抗IL-13バイパラトピックISVD構築物を、IL-13によって誘導されたA549エオタキシン放出アッセイで試験した。この目的を達成するために、A549懸濁細胞を、10%FCSが補充されたHam’s F12K培地中で培養した。細胞を、細胞200,000個/ウェルで96ウェルプレートに植え付けた。次の日、200pMのhIL-13(Sino Biologicalカタログ番号10369-HNAC)またはカニクイザルIL-13(Sino Biologicalカタログ番号11057-CNAH)、続いてISVD構築物の一連の希釈物を添加した。24時間後、エオタキシン-3を、MSD ELISA(ヒトエオタキシン-3組織培養キット(Meso Scale、K151ABB-1))を使用して、上清中で決定した。結果は、表12に示される。
【0309】
【表20】
【0310】
競合ELISAを使用して、抗IL-13 1価およびバイパラトピックISVD構築物が、hIL-13のIL13Rα2への結合を阻害するかどうかを試験した。IL13Rα2(SinoBiologicalカタログ番号10350-H08H)を、384ウェルのSpectraplate(Perkin Elmer)上にコーティングした。hIL13-Fc(SinoBiological、カタログ番号10369-H01H)を、ISVD構築物の連続希釈物または陽性対照化合物IL-13Rα2と混合し、1時間インキュベートした。洗浄およびブロッキングの後、コーティングされた受容体をIL13-Fc ISVD/対照ミックスと共にインキュベートし、1時間インキュベートした。洗浄の後、結合したIL-13-Fcの存在を、抗ヒトIgG-ペルオキシダーゼ抗体を使用して検出し、続いて基質esTMBの存在下で酵素反応を行った。ISVDがIL-13-IL-13Rα2相互作用を阻害する場合、IL-13-Fcの検出は用量依存的に消失する。結果は、表13に示される。
【0311】
【表21】
【0312】
【表22】
【0313】
6.2.2 実施例11:野生型バイパラトピック抗TSLP ISVD構築物の生成および特徴付け
選択されたTSLPRブロッカー(F0107501A02およびF0107529F10)を、バイパラトピックISVD構築物に組み合わせた。構築物を、ピチア・パストリス中でFLAG3-HIS6でタグ付けされたタンパク質として発現させた(アミノ酸配列は、表16に示される)。ISVD構築物発現の誘導は、メタノールの段階的な添加によって起こった。分泌されたISVD構築物を含む透明化した培地を、固定化金属アフィニティークロマトグラフィー(IMAC)のための出発材料として使用し、続いて脱塩を行い、結果としてSDS-PAGEによって評価したところ90%純度を得た。
【0314】
BaF3増殖アッセイ(実施例7に記載される通り)において、バイパラトピック構築物を、精製したタンパク質として、50または5pMのhTSLPおよび50または5pMのカニクイザルTSLPに対して滴定し、異なる抗TSLP参照化合物(抗hTSLP参照mAb2および抗hTSLP参照mAb1)と比較した。データは、表15に要約される(hTSLPおよびカニクイザルTSLP)。バイパラトピック構築物は明らかに、参照mAbより性能が優れている。N末端にF0107501A02を有するバイパラトピック構築物は、C末端にF0107501A02を有する構築物と比較して、改善されたカニクイザルTSLPに対する反応性を示す。
【0315】
【表23】
【0316】
【表24】
【0317】
6.3 抗IL-13および抗TSLP 1価ISVDの配列最適化
6.3.1 実施例12:抗IL-13および抗TSLP 1価ISVDの配列最適化
抗IL-13 ISVD F0107004B02およびF0107004B06および抗TSLP ISVD F0107501A02およびF0107529F10をさらに配列最適化した。
【0318】
配列最適化は、ISVDの1つまたはそれ以上の(望ましい)特性を改善するために、配列中の1つまたはそれ以上の特異的なアミノ酸残基を置き換えることを含む。
【0319】
このような配列最適化の一部の例は、本明細書に記載のさらなる説明で述べられており、その例としては、これらに限定されないが、以下が挙げられる:
1)ヒトVH3-JH生殖細胞系コンセンサス配列とより同一なISVD配列を得るための、親野生型ISVD配列における置換であり、これは、ヒト化と称されるプロセスである。この目的を達成するために、いわゆる特徴的な残基を除き、ISVDとヒトVH3-JH生殖細胞系コンセンサスとの間で異なるFR中の特定のアミノ酸が、タンパク質構造、活性および安定性が無傷のまま維持されるような方法でヒト対応物に変更される。
【0320】
2)ISVDの安定性を増加させるための、ラマ生殖細胞系に対する置換であり、これは、ラクダ化と定義される。この目的を達成するために、親野生型ISVDアミノ酸配列を、ISVDのラマIGHV生殖細胞系アミノ酸配列に対してアライメントする(ラマIGHV生殖細胞系に対するISVDのBlastP分析から上位のヒットとして同定された)。
【0321】
3)ここでも望ましい宿主細胞または宿主生物に応じて、貯蔵下での長期の安定性または特性を改善する置換、望ましい宿主細胞または宿主生物における発現レベルを増加させる置換、および/または(望ましくない)翻訳後修飾(例えばグリコシル化またはリン酸化)を除去または低減する置換。N末端のピログルタメート形成を回避するために、標準的に、E1D突然変異が、効力または安定性に影響を与えることなく、多価NbのN末端ビルディングブロック中に導入される。したがって、ビルディングブロックの配列最適化の間、E1D突然変異は、一貫して導入されない。
【0322】
4)11位におけるValに対する突然変異および89位におけるLeuに対する突然変異は、あらゆる天然に存在する既存の抗体活性の結合を最小化する。
【0323】
F0107004B02およびF0107004B06
抗IL-13 ISVD F0107004B02の配列最適化は、親ISVD F107004B02と比較して8つのアミノ酸置換(すなわちE1D、L11V、A14P、N64K、S65G、A74S、K83R、I89L)を含む最終的な配列最適化されたバリアントF027100019をもたらした。抗IL-13 ISVD F0107004B06の配列最適化は、親ISVD F107004B06と比較して4つのアミノ酸置換(すなわちL11V、R74S、K83R、V89L)を含む最終的な配列最適化されたバリアントF027100183をもたらした。
【0324】
配列最適化されたバリアントを、PCRオーバーラップ伸長方法を使用してオリゴヌクレオチドから組み立てた。バリアントを大腸菌で発現させ、IMACおよび脱塩によって精製した。F027100019およびF027100183を、PeprotechからのhIL-13(カタログ番号200-13)を使用する表面プラズモン共鳴によって、それらのhIL-13結合能力に関して評価した。加えて、F027100019を、エオタキシン放出アッセイにおけるその中和活性に関して試験した。両方のバリアントの単量体の挙動をサイズ排除HPLC(SE-HPLC)によってモニターした。バリアントの熱安定性を、Lightcycler(Roche)を使用するサーマルシフトアッセイ(TSA)で試験した。このアッセイにおいて、親ISVDおよびそのバリアントは、異なるpHで、サイプロオレンジの存在下でインキュベートされ、温度勾配が適用される。ISVDが変性を開始させたら、サイプロオレンジが結合し、測定された蛍光が突然増加することから、融解温度は、特定のpHにつき決定することができる。結果は、表17および表18に要約される。
【0325】
【表25】
【0326】
F027100019は、エオタキシン放出アッセイにおいて優れた効力を呈示し、そのhIL-13に対する親和性は、SPRにおいて34nMと決定された。F027100019のTmは、親ISVD F0107004B2の場合より3℃高い。F027100019のフレームワーク領域におけるフレームワーク同一性%は、AbMの定義に基づいて85%であり(KontermannおよびDubel(編)による、Antibody Engineering、第2巻、Springer Verlag Heidelberg Berlin、2010を参照)、Kabatの定義に基づいて86%である。
【0327】
【表26】
【0328】
F027100183の親和性は、WT配列と比較して類似しており、バリアントは、61℃のTmを有する。バリアントは、SE-HPLCにおいて100%の単量体ピークとして溶出する。F027100183のフレームワーク領域におけるフレームワーク同一性%は、AbMの定義に基づいて94.4%であり、Kabatの定義に基づいて93.1%である。
【0329】
F0107529F10
抗TSLP ISVD F0107529F10の配列最適化は、親ISVD F0107529F10と比較して8つのアミノ酸置換(すなわち、L11V、A14P、T60A、S71R、A74S、S79Y、K83R、V89L)を含む最終的な配列最適化されたバリアントF027400021をもたらした。抗TSLP ISVD F0107501A02の配列最適化は、親ISVD F0107501A02と比較して6つのアミノ酸置換(すなわち、L11V、A14P、E16G、A74S、K83R、V89L)を含む最終的な配列最適化されたバリアントF027400160をもたらした。
【0330】
配列最適化されたバリアントを、PCRオーバーラップ伸長方法を使用してオリゴヌクレオチドから組み立てた。構築物を大腸菌で発現させ、IMACおよび脱塩によって精製した。バリアントを、表面プラズモン共鳴によってヒトおよびカニクイザルTSLPへのその結合能力に関して評価した。全てのバリアントの単量体の挙動をサイズ排除HPLC(SE-HPLC)によってモニターし、熱安定性をサーマルシフトアッセイ(TSA)でモニターした。加えて、F0107501A02のバリアントを、三元複合体Alphascreenで、hTSLPに対するそのブロック活性に関して試験した。結果は、表19および表20に要約される。
【0331】
【表27】
【0332】
突然変異A14P、T60A、S71R、A74S、S79Y、K83Rを有する中間体バリアントF010704099は、親ISVD F0107529F10と比較して、hTSLPに対して類似の親和性を示し、カニクイザルTSLPに対して2分の1の親和性を示した。Tmは、親ISVDと比較して11.4℃の全体的な増加を示した。2つの追加の突然変異、すなわちL11VおよびV89LをバリアントF010704099に導入して、既存の抗体結合を最小化し、最終的なバリアントF027400021を得た。F027400021のフレームワーク領域におけるフレームワーク同一性%は、AbMの定義に基づいて89.9%であり、Kabatの定義に基づいて88.5%である。
【0333】
【表28】
【0334】
突然変異A14P、E16G、A74S、K83Rを有する中間体バリアントF010704076は、親ISVD F0107501A02と比較して、hTSLPおよびカニクイザルTSLPに対して類似のオフレートを示し、三元複合体Alphascreenにおいて類似の効力を示した。Tmは、親ISVDと比較して12.3℃の全体的な増加を示した。2つの追加の突然変異、すなわちL11VおよびV89LをバリアントF010704076に導入して、既存の抗体結合を最小化し、最終的なバリアントF027400160を得た。
【0335】
F027400160のフレームワーク領域におけるフレームワーク同一性%は、AbMの定義に基づいて83.1%であり、Kabatの定義に基づいて80.5%である。
【0336】
【表29】
【0337】
6.4 多重特異性ISVD構築物F027400161
上記で同定された最適化されたISVD F027100019(F0107004B02の最適化されたバリアント)、F027100183(F0107004B06の最適化されたバリアント)、F027400021(F0107529F10の最適化されたバリアント)、およびF027400160(F0107501A02の最適化されたバージョン)を、多重特異性ISVD構築物F027400161の生成のために使用した。F027400161で使用された最適化された1価ビルディングブロックは、以下において、それらのISVD起源に従って、それぞれ04B02、04B06、529F10、および501A02として略記される形態で名付けられる。
【0338】
6.4.1 実施例15:多重特異性ISVD構築物の生成
IL-13およびTSLPに結合するISVDを含有するポリペプチドF027400161(配列番号1)の同定は、数種の抗TLSPビルディングブロック、数種の抗IL13ビルディングブロックおよび抗HSAビルディングブロックALB23002が含まれるデータ駆動型の二重特異性操作およびフォーマット化戦略によって達成された。ビルディングブロックの異なる位置/方向および異なるリンカー長さ(9GS対35GS)が適用され、異なるパラメーター(効力、交差反応性、発現収量など)にとって重要であることを証明した。
【0339】
異なるISVD構築物の大きいパネルを、小さいスケールの生産のために、ピチア・パストリスで形質転換した。ISVD発現の誘導は、メタノールの段階的な添加によって起こった。分泌されたISVDを含む透明化した培地を、プロテインAアフィニティークロマトグラフィーを介した精製とそれに続く脱塩のための出発材料として使用した。精製したサンプルを、機能的な特徴付けおよび発現評価のために使用した。
【0340】
一部の構築物は、リンカー長さおよびISVDビルディングブロックの相対的な位置に応じて損なわれた効力を示した。例えば:抗TSLPのバイパラトピックな組合せである501A02-529F10のカニクイザルTSLPの効力は、短い9GSリンカーで連結された場合、強く損なわれる。一部の構築物は、ビルディングブロックの組合せおよび順番に応じて低い発現レベルを示した。4B02-4B06を含む二重特異性の場合、発現は、501A02-529F10と組み合わせると最も良好であった。
【0341】
【表30】
表23は、同じビルディングブロックを含むが異なるように並べられ、異なるリンカー長さで接続された6つの構築物で低い力価から高い力価の範囲の異なる収量を得たことを例示する。最も高い発現力価は、35GSリンカーを介して連結されたIL-13 ISVD 4B02および4B06を含む構築物(F027400161およびF027400163)で得られる。加えて、F027400161およびF027400163の溶解性は、ビルディングブロックが4つの9GSリンカーで連結され、ALBがC末端に位置するそれらそれぞれの対応物F027400296および298より一層高かった。
【0342】
その後、大きい二重特異性パネルを、予備的な収量の推測に基づいて、両方の標的(ヒトおよびカニクイザル)に対して有力であることが証明され、高い発現レベルの可能性を有するISVD構築物F027400161およびF027400163からなる2つの二重特異性構築物のパネルに縮小した。
【0343】
発現収量決定と生物物理学的特性および既存の抗体反応性の評価のために、ピチア・パストリスにおけるより大きいスケールの2Lおよび5L生産を行った。
【0344】
表24および実施例22は、既存の抗体反応性が、ビルディングブロックの方向とリンカー長さによって促進されることを実証する。
【0345】
【表31】
【0346】
【表32】
【0347】
最終的に、効力、既存の抗体への結合の低減、ならびに優れた発現レベルおよびCMC特徴に基づいて、ISVD構築物F027400161を選択した。
【0348】
6.4.2 実施例16:TSLP、IL13および血清アルブミンに対する多重特異性ISVD構築物の結合親和性
ヒトおよびカニクイザルTSLPに対するF027400161の、平衡解離定数(K)として表される親和性(ヒトおよびカニクイザルTSLP配列は公知である(それぞれUniprot受託番号Q969D9およびNCBI参照配列XP_005557555.1)。組換えタンパク質を使用してアッセイを実行し、ヒトIL-13(Sino Biologicalカタログ番号10369-HNAC)、カニクイザルIL-13(Sino Biologicalカタログ番号11057-CNAH)およびアカゲザルIL-13(R&D Systemsカタログ番号2674-RM)、ならびにヒト(Sigma Aldrich、カタログ番号A8763)、カニクイザルおよびマウス(Albumin Bioscienceカタログ番号N1204H1CM)血清アルブミンを、Gyrolab xPワークステーション(Gyros)で、溶液中の親和性測定によって定量化した。
【0349】
によって制御される測定で、TSLPまたはIL-13(1μM~0.25fMの範囲)または血清アルブミン(100μM~320pMの範囲)の連続希釈物、および固定した量のF027400161(TSLPおよびIL13の場合、5pMまたは10pM、および血清アルブミンの場合、20nM)を混合して相互作用させ、48時間または72時間のいずれか(TSLPおよびIL13の場合)または2時間(血清アルブミンの場合)にわたりインキュベートして、平衡に到達させた。
【0350】
受容体によって制御される測定で、TSLPまたはIL-13(1μM~0.25fMの範囲)または血清アルブミン(100μM~320pMの範囲)の連続希釈物、および固定した量のF027400161(TSLPの場合、250pM、IL-13の場合、10nM、および血清アルブミンの場合、1μM)を混合して相互作用させ、48または72時間いずれか(TSLPおよびIL-13の場合)または2時間(血清アルブミンの場合)にわたりインキュベートして、平衡に到達させた。
【0351】
ビオチン化ヒトTSLP/IL-13/血清アルブミンを、ビーズのカラムを含有し、平衡化した溶液から遊離のF027400161を捕獲するための分子プローブとして使用されるGyrolab Bioaffy 1000CDの微細構造に捕獲した。TLSP/IL-13/血清アルブミンおよびF027400161の混合物(遊離のTLSP/IL-13/血清アルブミン、遊離のF027400161およびTLSP/IL-13/血清アルブミン-F027400161複合体を含有する)を、ビーズを通って流動させ、遊離のISVD濃度に比例する小さいパーセンテージの遊離のF027400161を捕獲した。次いで蛍光標識した抗VHH抗体、ABH0086-Alexa647を注入して全ての捕獲されたF027400161を標識し、過量の蛍光プローブを濯ぎ落とした後、蛍光の変化を決定した。一連の希釈物のフィッティングを、Gyrolab Analysisソフトウェアを使用して行い、Kおよび受容体によれば制御される曲線を分析して、KD値を決定した。
【0352】
結果(表25)は、多重特異性ISVD構築物が、高親和性でヒト/カニクイザルTSLPおよびヒト/カニクイザル/アカゲザルIL13と結合することを実証する。
【0353】
【表33】
【0354】
6.4.3 実施例17:多重特異性ISVD構築物はTSLPおよびIL13と選択的に結合する
IL13およびTSLP関連サイトカインとしてIL-4およびIL-7に結合するF027400161の非存在を、それぞれSPR(Proteon XPR36)によって評価した。
【0355】
活性化のためにEDC/NHSを80秒間注入し、非活性化のために1MのエタノールアミンHClを150秒間注入するアミンカップリング(ProteOnアミンカップリングキット。カタログ番号176-2410)を使用して、サイトカインをproteon GLCセンサーチップ上に25μg/mLで、600秒間にわたり固定した。活性化および非活性化中の流速を30μl/分に設定し、リガンド注入中の流速を25μl/分に設定した。10mMの酢酸固定緩衝液のpHは、IL13およびIL4(Peprotechカタログ番号200-07)のためには6.0であり、TSLPおよびIL7(R&D Systemsカタログ番号204-IL/CF)のためには5.5であった。
【0356】
次に、1μMのF027400161を2分にわたり注入し、45μL/分の流速で600秒間解離させた。ランニング緩衝液としてPBS(pH7.4)+0.005%Tween20を使用した。陽性対照として、100nMのα-hIL4 Abおよび100nMのα-IL7 Abを注入した。F027400161および陽性対照と固定した標的との相互作用を、結合するとチップ上の質量変化の結果として生じる免疫性指標における増加の検出によって測定した。
【0357】
全ての陽性対照は、それらそれぞれの標的に結合しなかった。F027400161のヒトIL4およびIL7への結合は検出されなかった。
【0358】
加えて、F027400161がTSLPの短い形態に結合できるかどうかを調査した。この目的を達成するために、TSLPおよびTSLPの短い形態(Fornasa、2015に記載される通り)を、それぞれ上述したようにアミンカップリングを5μg/mlで150秒間使用して、10μg/mLでproteon GLCセンサーチップ上に固定した。10mMの酢酸固定緩衝液のpHは、TSLPのためには5.5であり、TSLPの短い形態のためには4.0であった。
【0359】
次に、500nMのF027400161を2分にわたり注入し、45μL/分の流速で600秒間解離させた。ランニング緩衝液として、PBS(pH7.4)+0.005%Tween20を使用した。参照化合物として、500nMの抗hTSLP参照mAb1を注入し、陽性対照として、500nMのα-hTSLP pAb(Abcam ab47943)を注入した。
【0360】
それに対して陽性対照は、TSLPの長い(正常な)形態と短い形態の両方に結合せず、F027400161および抗hTSLP参照mAb1のTSLPの短い形態への結合は検出されなかった。
【0361】
6.4.4 実施例18:多重特異性ISVD構築物のIL13、TSLPおよびHSAへの同時の結合
Biacore T200機器を使用して、F027400161が、hTSLPとhIL13に同時に結合できるかどうかを決定した。この目的を達成するために、hTSLP(組換えヒトTSLPは、例えばR&D Systemsから商業的に入手可能である(カタログ番号1398-TS)を、アミンカップリングを介してCM5センサーチップ上に固定した。TSLPビルディングブロック501A02-529F10を介してISVD構築物を捕獲するために、100nMのF027400161を、TSLP表面上に10μΙ/分で2分にわたり注入した。その後、100nMのhIL13(Peprotech、カタログ番号200-13)、HSAまたはhOX40Lまたは1000nMのHSAのいずれかを注入するか、または100nMのIL13+100nMのHSA、100nMのIL13+1000nMのHSA、100nMのOX40L+100nMのHSA、100nMのOX40L+1000nMのHSAまたは100nMのIL13+100nMのOX40Lの混合物を10μl/分の流速で2分間注入し、それに続き、後続の300秒の解離工程を行った。TSLP表面を、45μl/分での0.5%SDS+10mMのグリシンpH3の1分の注入で再生した。センサーグラム(図1)は、F027400161が、TSLPでの捕獲後の反応単位の増加によって示された通りヒトIL13、ヒトTSLPおよびHSAと同時に結合することができ:IL13のみで約130RUの増加、100nMのHSAで約60RUの増加、ならびに1000nMのHSAのみで約350RU、IL13と100nMのHSA混合物で約180RUの増加、およびIL13と1000nMのHSA混合物で約500RUであることを実証する。HSAの場合、F027400161の親和性がより低いため、ある程度のRU増加レベルを見るためにはより高い濃度のHSAが必要であった(実施例16を参照)。
【0362】
実施例19:インビトロにおけるIL13によって誘導されたエオタキシン放出の多重特異性ISVD構築物阻害
目的の異なる種(ヒト、アカゲザルおよびカニクイザル)からの可溶性IL13の機能的な活性およびF027400161によるそれらの阻害を、A549ヒト肺癌腫細胞によってエオタキシン放出を調査する細胞ベースのアッセイを使用して研究した。
【0363】
この目的を達成するために、A549懸濁液細胞を、10%FCSが補充されたHam’s F12K培地中で培養し、96ウェルプレートに細胞400,000個/ウェルで植え付けた。24時間のインキュベーションの後、F027100161の一連の希釈物または参照化合物(抗hIL-13参照mAb1および抗hIL-13参照mAb2)を添加した。20分のインキュベーションの後、ヒトIL13(Sino Biologicalカタログ番号10369-HNAC)、カニクイザルIL13(Sino Biologicalカタログ番号11057-CNAH)またはアカゲザルIL13(R&D Systems、カタログ番号2674-RM-025)を、160pMの最終濃度まで添加した。30μMのHSAの存在下でのさらなる24時間のインキュベーションの後、ヘパリンを50μg/mlの最終濃度で添加し、エオタキシン発現を強化した。追加の4時間のインキュベーションの後、細胞上清中に分泌されたエオタキシン-3を、ヒトCCL26/エオタキシン-3 DuoSet ELISA(R&D Systems、DY346)の使用によって定量化した。
【0364】
F027400161は、ヒト、カニクイザルおよびアカゲザルIL13によって誘導されたエオタキシン-3放出を濃度依存性の方式で阻害し、IC50は、194pM(ヒトIL13の場合)、1040pM(カニクイザルIL13の場合)および713pM(アカゲザルIL13の場合)であり、これは参照化合物抗hIL-13参照mAb1に匹敵しており、参照化合物抗hIL-13参照mAb2より優れていた(表26、図2)。
【0365】
【表34】
【0366】
6.4.5 実施例20:HEK-Blue IL4/IL13細胞におけるIL13によって誘導されたSTAT-6活性化の多重特異性ISVD構築物阻害
HEK-Blue(商標)IL-4/IL-13細胞を、ヒトSTAT6遺伝子およびSTAT6誘導性SEAPレポーター遺伝子でのHEK293細胞の安定なトランスフェクションによって生成した。IL-4およびIL-13で刺激すると、細胞は、上清中に分泌されたSTAT6によって誘導されたSEAPを生産し、これをQUANTI-Blue(商標)によって定量化した。
【0367】
HEK-Blue(商標)細胞を、10%FBSが補充されたDMEM中で培養し、96ウェルプレートに細胞50,000個/ウェルで植え付けた。F027100161の一連の希釈物または参照化合物(抗hIL-13参照mAb1および抗hIL-13参照mAb2)を、10pMのhIL13(Sino Biologicalカタログ番号10369-HNAC)またはカニクイザルIL-13(Sino Biologicalカタログ番号11057-CNAH)と共に室温で1時間プレインキュベートし、細胞に添加した。30μMのHSAの存在下での22~24時間のインキュベーションの後、40μlの細胞上清を、160μlのQUANTI-Blue(商標)と混合した。分泌されたSEAPを、Clariostar機器で620nmにおける吸収を測定することによって定量化した。
【0368】
F027400161は、ヒトおよびカニクイザルIL-13によって誘導されたSEAP分泌を濃度依存性の方式で阻害し、IC50は、32.8pM(ヒトIL-13の場合)および53.4pM(カニクイザルIL-13の場合)であり、参照化合物抗hIL-13参照mAb2より優れていた(表27、図3)。
【0369】
【表35】
【0370】
6.4.6 実施例21:インビトロにおけるTSLPによって誘導されたBa/F3細胞増殖の多重特異性ISVD構築物阻害
目的の異なる種(ヒト、アカゲザルおよびカニクイザル)からの可溶性TSLPの機能的な活性およびF027400161によるそれらの阻害を、hTSLPRおよびhIL7RaをコードするプラスミドでトランスフェクトしたBaF3細胞の増殖を調査する細胞ベースのアッセイを使用して研究した。
【0371】
細胞を、細胞培養処理した白色の96ウェルプレートにおいて、RPMI1640増殖培地中細胞15000個/ウェルの密度で植え付けた。F027100161の一連の希釈物または参照化合物(抗hTSLP参照mAb1)を添加し、続いて細胞の刺激のために5pMのヒトまたはカニクイザルTLSPを添加した。ヒトおよびカニクイザルTSLP配列は、公知である(それぞれUniprot受託番号Q969D9およびNCBI参照配列XP_005557555.1)。組換えタンパク質を使用して、アッセイを実行した。30μMのHSAの存在下で48時間のインキュベーションの後、細胞密度および生存率を、CellTiter-Glo(登録商標)Luminescent Cell Viability Assay(Promega、G7571/G7572/G7573)を使用してモニターし、EnVisionマルチラベルリーダー(Perkin Elmer)で読み出した。
【0372】
F027400161は、Ba/F3細胞のヒトおよびカニクイザルTSLP依存性の増殖を濃度依存性の方式で阻害し、IC50は、7.8pM(ヒトTSPの場合)および24pM(カニクイザルTSLPの場合)であり、したがって、参照化合物抗hTSLP参照mAb1より一層優れた性能を示した(表28、図4)。
【0373】
【表36】
【0374】
6.4.7 実施例22:既存の抗体に結合する多重特異性ISVD構築物
ISVD構築物F027400161の既存の抗体反応性を、ProteOn XPR36(Bio-Rad Laboratories,Inc.)を使用して、正常ヒト血清(n=96)中で評価した。PBS/Tween(リン酸緩衝生理食塩水、pH7.4、0.005%Tween20)をランニング緩衝液として使用し、実験を25℃で実行した。
【0375】
ISVDを、チップ上に固定されたHSAへの、ALB23002ビルディングブロックの結合を介してチップ上に捕獲した。HSAを固定するために、ProteOn GLCセンサーチップのリガンドレーンをEDC/NHS(流速30μΙ/分)で活性化し、HSAを、pH4.5のProteOn酢酸緩衝液中の100μl/mlで注入して、およそ2900RUの固定レベルにした。固定した後、表面をエタノールアミンHCl(流速30μΙ/分)で不活性化した。
【0376】
その後、ISVD構築物を、HSA表面上に45μl/分で2分にわたり注入して、ISVD捕獲レベルをおよそ800RUにした。既存の抗体を含有するサンプルを14,000rpmで2分間遠心分離し、上清をPBS-Tween20(0.005%)で1:10希釈し、その後、45μl/分で2分にわたり注入し、それに続き、後続の400秒の解離工程を行った。各サイクルの後(すなわち新しいISVD捕獲および血液サンプル注入工程の前に)、HSA表面を、HCl(100mM)の45μl/分で2分の注入で再生した。1)ISVD-HSA解離および2)参照リガンドレーンへの非特異的な結合を引くことによる二重の参照の後、既存の抗体結合を示すセンサーグラムを得た。125秒(会合終了から5秒後)に報告ポイントを設定することによって、既存の抗体の結合レベルを決定した。参照ISVDの125秒での結合レベルに対する既存の抗体結合におけるパーセンテージの低減を計算した。
【0377】
5価のISVD構築物F027400161は、各ビルディングブロックにおける突然変異L11VおよびV89LならびにC末端アラニンの導入によって既存の抗体結合の低減のために最適化されたことから、既存の抗体への結合は、対照の最適化されていない5価のISVD構築物F027301186と比較してより実質的に少ないことが示される(表24および図5)。
【0378】
既存の抗体結合は、多重特異性構築物に存在するビルディングブロックの方向およびリンカー長さに依存する。表24および図5は、構築物F027400161が、その特定の方向のために構築物F027400163より低い既存の抗体反応性を示すこと、ただしF027400164は、全体的に短いリンカーのためにF027400161より低い反応性を示すことを実証する。
【0379】
6.4.8 実施例23:インビトロにおいてF027400161はヒト樹状細胞においてTSLPによって誘導されたCCL17をブロックする
2型炎症カスケードは、環境依存的に上皮細胞、樹状細胞、2型ヘルパーT細胞(Th2細胞)、肥満細胞および自然リンパ球系細胞の協調した動作によって開始し伝播する。サイトカイン胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)は、樹状細胞(DC)を活性化するその能力を介してアレルギー性炎症の開始および進行に関与することが示されてきた。TSLPによって活性化されると、ヒトDCは、CCL17、Th2関連ケモカインを生産し、ナイーブCD4T細胞からのTh2細胞分化を促進する。F027400161は、TSLPとIL-13の両方を標的化し、TSLPとDCとの相互作用をブロックすることができ、それによってCCL-17生産を低減し、2型炎症性疾患などにおいて効能を付与すると予想される。
【0380】
8人の個々の健康なドナーから単離したヒトDCにおけるTSLPによって誘導されたCCL17生産を阻害するF027400161の能力を、参照単一特異性抗体、抗hTSLP参照mAb1と比較して評価した。ヒトDC(CD3CD14CD11cHLA-DRhigh)を単離し、軟膜(ヒト白血球パック)サンプル中の健康なヒトPBMCから濃縮した。合計0.5~0.8×10個のDC/ウェルを、37℃の細胞培養インキュベーターにおける4ng/mLの組換えヒトTSLPでの36時間の刺激の前に、8つの3倍で連続希釈した濃度のF027400161(400ng/mLまたは5.714nMのトップ濃度)または8つの4倍で連続希釈した濃度の抗hTSLP参照mAb1(4000ng/mLまたは27nMのトップ濃度)と共にインキュベートした。組換えヒトTSLPは、商業的に入手可能であり、例えばR&D Systemsから入手可能である(カタログ番号1398-TS)。新たに収集された細胞培養上清におけるCCL17生産をELISAによって測定し、ISVD構築物および基準抗体のIC50値をGraphpad Prismで計算した。
【0381】
ヒトDCにおけるF027400161および抗hTSLP参照mAb1の用量阻害応答の集合的な結果は、図6に示される。参照単一特異性抗体である抗hTSLP参照mAb1は、TSLPによって誘導されたCCL17生産を793.4pMの平均IC50濃度で阻害したが、F027400161は、TSLPによって誘導されたCCL17生産を53.26pMの平均IC50で阻害した。
【0382】
結論として、これらの結果は、ISVD構築物F027400161は、抗hTSLP参照mAb1と比較して、ヒトDCにおけるTSLPによって誘導されたCCL17応答を阻害することにおいてより有効であることを実証する。
【0383】
6.4.9 実施例24:インビトロにおいて、F027400161は、ヒトPBMCにおいて0.5ng/mLの[IL-13+TSLP]によって誘導された相乗的なCCL17をブロックする
2型サイトカイン、例えば胸腺間質性リンパ球新生因子(TSLP)およびインターロイキン-13(IL-13)は、独特な、相加的および相乗的な応答を働かせ、喘息およびアトピー性皮膚炎(AD)の病態生理を促進する。2型免疫カスケードの上皮細胞由来の開始剤としてのTSLPおよび下流エフェクターサイトカインとしてのIL-13の役割が広範囲にわたり検証されてきた。F027400161は、TSLPとIL-13の両方を標的化し、それによって2型媒介炎症性疾患などにおいて効能を付与すると予想される。
【0384】
CCL17(TARC)の0.5ng/mLのIL-13およびTSLPによって誘導された相乗的な生産を阻害するF027400161の能力を、8人の個々の健康なドナーからのヒトPBMCにおいて評価した。単一特異性生物製剤、抗hTSLP参照mAb1および抗hIL-13参照mAb1に対するISVD構築物の非劣性を評価するように研究を設計した。ウェル当たり細胞100万個のヒトPBMCを、0.5ng/mLの組換えヒトTSLP(組換えヒトTSLPは商業的に入手可能であり、例えばR&D Systemsから入手可能である(カタログ番号1398-TS)、加えて、IL-13(R&D Systems、カタログ番号213-ILB-005/CF)で刺激し、37℃の細胞培養インキュベーター中で、10の3倍で連続希釈した濃度のISVD構築物(10nMのトップ濃度)、抗hIL-13参照mAb1(10nMのトップ濃度)および抗hTSLP参照mAb1(100nMのトップ濃度)と共に96ウェルプレート中で20時間インキュベートした。アッセイを、F027400161に関する各ドナーにつき技術的な3連で実行した。使用されたサイトカインの濃度は、正常なヒト、喘息患者およびアトピー性皮膚炎患者の血清、BAL流体、痰および皮膚からの報告された文献値の標準誤差の2倍以内であった(Berraies Aら、Immunol Letter 178:85~91、2016;Bellini Aら、Mucosal Immunology 5(2):140~9、2012;Davoodi Pら、Cytokine 60(2):431~7、2012;Szegedi Kら、J Eur Acad Dermatol Venereol 29(11):2136~44、2015)。新たに収集された細胞培養上清におけるCCL17生産を、Meso Scale Diagnostics(MSD)V-PLEXヒトTARCキットによって測定した。
【0385】
F027400161ならびに基準抗体、抗hIL-13参照mAb1および抗hTSLP参照mAb1の用量阻害応答の集合的な結果は、図7に示される。F027400161は、0.5ng/mLのIL-13+TSLPによって誘導された相乗的なCCL17生産の100%阻害を0.0061nMの平均IC50で実証した。参照抗体である抗hIL-13mAb1は、0.0028nMのより低い平均IC50を有するにもかかわらず、F027400161の等しいモル用量で相乗的なCCL17応答を完全にブロックすることができず、およそ80%阻害でプラトー状態になった。一方で、抗hTSLP参照mAb1は、2.932nMの平均IC50でCCL17生産のおよそ50%だけブロックすることができた。
【0386】
結論として、これらの結果は、F027400161は、抗hTSLP参照mAb1より有効であり、ヒトPBMCにおける病態生理学的な重要な濃度のIL-13およびTSLPによって誘導された相乗的な応答をブロックすることに関して抗hIL-13参照mAb1と比較して優れていることを実証し、2型炎症性疾患、例えば喘息およびアトピー性皮膚炎の処置のためのその治療上の可能性が強調される。
【0387】
6.4.10 実施例25:インビトロにおいて、F027400161は、ヒトPBMCにおいて5ng/mLの[IL-13+TSLP]によって誘導された相乗的なCCL17をブロックする
5ng/mLのIL-13+TSLPによって誘導されたCCL17生産を阻害するF027400161の能力を、8人の健康な個々のドナーからのヒトPBMCにおいて評価した。単一特異性生物製剤、抗hTSLP参照mAb1および抗IL-13参照mAb1に対するISVD構築物の非劣性を評価するように研究を設計した。使用されたサイトカインの濃度は、一時的な炎症状態中の仮定の濃度として正常なヒト、喘息患者およびアトピー性皮膚炎患者における文献で報告されたTSLPおよびIL-13の病態生理学的な範囲の上限値の約10倍であった(Berraies Aら、Immunol Letter 178:85~91、2016;Bellini Aら、Mucosal Immunology 5(2):140~9、2012;Davoodi Pら、Cytokine 60(2):431~7、2012;Szegedi Kら、J Eur Acad Dermatol Venereol 29(11):2136~44、2015)。ウェル当たり細胞100万個のヒトPBMCを、5ng/mLの組換えヒトTSLP、加えてIL-13(R&D Systems、カタログ番号213-ILB-005/CF)で刺激し、37℃の細胞培養インキュベーター中で、10の3倍で連続希釈した濃度のF-27400161(10nMのトップ濃度)、抗hIL-13参照mAb1(10nMのトップ濃度)および抗hTSLP参照mAb1(100nMのトップ用量)と共に96ウェルプレート中で20時間インキュベートした。アッセイを、F027400161に関する各ドナーにつき技術的な3連で実行した。新たに収集された細胞培養上清におけるCCL17生産を、Meso Scale Diagnostics(MSD)V-PLEXヒトTARCキットによって測定した。
【0388】
F027400161ならびに基準抗体、抗hIL-13参照mAb1および抗hTSLP参照mAb1の用量阻害応答の集合的な結果は、図8に示される。F027400161は、5ng/mLのIL-13+TSLPによって誘導された相乗的なCCL17生産の100%阻害を0.0387nMの平均IC50で実証した。等モル用量のコンパレーター抗体である抗hIL-13参照mAb1で処理したPBMCは0.01339nMのより低い平均IC50を示したが、阻害応答は100%に決して達せず、およそ90%阻害でプラトー状態になった。一方で、抗hTSLP参照mAb1は、CCL17生産のおよそ40%しか19nMの平均IC50で部分的にブロックしなかった。
【0389】
結論として、これらの結果は、ヒトPBMCにおけるIL-13およびTSLPによって誘導された相乗的なCCL17応答を、サイトカインの病態生理学的な範囲の10倍の[TSLP+IL-13]濃度でブロックすることにおいて、F027400161が、抗hTSLP参照mAb1と抗hIL-13参照mAb1の両方より優れていることを実証し、急性または炎症期間中における喘息およびアトピー性皮膚炎の処置のためのその治療上の可能性が強調される。
【0390】
6.4.11 実験27:T027400161は、3つの培養物のアッセイシステムにおいてIL-5、CCL17、およびCCL26のアレルゲンDer Pによって誘導された生産をブロックする
TSLPは、CCL17、IL-5、およびIL-13生産を誘導することによって2型免疫応答を促進させる。その後、IL-13は、局所的な上皮細胞によってCCL26生産を開始させ、2型免疫応答によって媒介される炎症性疾患などの副次的問題を引き起こす。
【0391】
TSLPによって誘導されたIL-5およびCCL17、ならびにIL-13によって誘導されたCCL26の生産を阻害するF027400161の能力を、6人の個々の正常ドナーからのDer P刺激ヒトPBMCと共に6日間培養したMRC5線維芽細胞およびA549上皮細胞を使用する3つの培養物のアッセイシステムで評価した。単一特異性生物製剤、抗hTSLP参照mAb1および抗hIL-13参照mAb1に対するISVDの非劣性を評価するように研究を設計した。Der Pおよび内因性TSLP刺激と共にPBMCによって生産されたIL-13に応答して、MRC5線維芽細胞は、約100pg/mLの内因性TSLPを構成的に生産し、A549上皮細胞は、CCL26を生産した。ヒトPBMCとの共培養の1日前に、ウェル当たり7万5000個のMRC5線維芽細胞およびA549上皮細胞を平板培養した。平板培養したMRC5線維芽細胞およびA549上皮細胞に、ウェル当たり細胞100万個のヒトPBMCを添加し、3μg/mLのDer Pで刺激し、37℃の細胞培養インキュベーター中で、11.1nMのISVD、抗hIL-13参照mAb1、または抗hTSLP参照mAb1と共に24ウェルプレート中で6日間インキュベートした。アッセイを、F027400161に関する各ドナーにつき技術的な3連で実行した。新たに収集された細胞培養上清におけるIL-5、CCL17、およびCCL26の生産を、RnD Systemからのヒト磁気Luminexアッセイによって測定した。
【0392】
F027400161ならびに基準抗体、抗hIL-13参照mAb1および抗hTSLP参照mAb1の阻害応答の集合的な結果は、図9に示される。F027400161は、CCL17生産の60%阻害、IL-5生産の50%阻害、およびCCL26生産の95%阻害を実証した。参照抗体である抗hTSLP参照mAb1は、CCL17生産の50%阻害、IL-5生産の50%阻害、およびCCL26生産のおよそ55%阻害を示した。抗hIL-13参照mAb1は、匹敵するCCL26生産の95%阻害を実証するが、この参照抗体は、CCL17生産のおよそ35%およびIL-5生産の10%未満しかブロックできなかった(図9)。これらの試験した分子による完全なIL-5およびCCL17の阻害の欠如は、Der P刺激が、PBMCによってIL-5およびCCL17の生産を促進するためにTSLPおよびIL-13以外の経路の惹起を開始させることを示唆する可能性がある。
【0393】
結論として、これらの結果は、組織構造的な細胞と共に培養されたヒトPBMCを含む複雑なアッセイシステムにおいて3つのサイトカインおよびケモカイン(CCL17、IL-5およびCCL26)をブロックするその能力によって、抗TSLP/IL-13 ISVD F027400161が、抗hTSLP参照mAb1および抗hIL-13参照mAb1より優れていることを実証し、2型炎症性疾患、例えば喘息およびアトピー性皮膚炎、加えて広範な免疫疾患の徴候の処置のためのその治療上の可能性が強調される。
【0394】
6.4.12 実施例26:インビボにおけるF027400161によって媒介される標的の占有および薬力学を評価するためのNSG-SGM3マウスモデル
F027400161は、ヒトTSLPとIL-13の両方を標的化し、マウスオーソログと反応しない。したがって、F027400161の生物学的活性を評価するために、異種移植されたヒト化モデル系を使用した。雌NSG-SGM3(NOD/SCID-IL2Rγ-/-、NOD.Cg-PrkdcscidIl2rγtm1Wjl/SzJ)を、Jackson labs、Bar Harbor、ME、USAから得た。これらのマウスは、ヒト造血サイトカイン:幹細胞因子(SCF)、顆粒球/マクロファージ刺激因子(GM-CSF)、およびインターロイキン-3(IL-3)を発現し、全てヒトサイトメガロウイルスプロモーター/エンハンサー配列によって促進される。三重トランスジェニックマウスは、上記のサイトカインを構成的に生産し、細胞増殖および生存シグナルを提供し、CD33+骨髄系統、および数種のタイプのリンパ系細胞の安定な生着を維持する。簡単に言えば、生着のために行われるプロトコールは以下の通りである:
研究の0日目に、マウスに、150センチグレイで、120ラド/分の速度で1分および15秒間放射線を照射した。マウスに、200μlのダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)中の1×10個の臍帯血CD34+幹/前駆細胞を、静脈内(IV)経路によって、植え付け後およそ6時間植え付けた。マウスの1つのグループに同じ方式で放射線を照射し、ただし植え付けは行わなかった。これらのマウスは、照射ナイーブマウスとみなした。生着後88日目に、マウスは、生理食塩水(植え付けられた対照マウス)または50μgのIL-4ミニサークルDNAと50μgのTSLPミニサークルDNAの組合せのいずれかの流体力学的な(HDD)i.v.注射を受けた。91日目に、下顎下の採血を実行し、100~150μlの血液を各マウスから収集し、リチウムヘパリンチューブに入れた。生着チェックをフローサイトメトリーによって実行し、IL-4およびTSLPの血漿濃度を評価した。生着チェックおよび/またはサイトカイン決定からの情報を使用して、研究からマウスを選択した(組み入れた、または除外した)。25%未満のヒトCD45+細胞を有する植え付けられた対照グループからのマウスを研究から除外した。同様に、ミニサークルDNAを受け、平均未満の1標準偏差の血漿TSLPレベルを示した植え付けられたマウスも研究から除外した。HDDi.v.注射によってミニサークルDNAを受けたマウスは、95、97、99、および101日目に、ビヒクル(20mMのホスフェート、125mMのL-アルギニンHCL、および0.01%のTween20、pH7.0)またはF027400161(0.01、0.05、0.1、または10mg/kg)のいずれかの皮下投与を受けた。103日目に、イソフルラン麻酔によってマウスを麻酔した。イソフルラン麻酔下の間に、後眼窩での採血によって血液を収集した。血液収集の後、それでもなおイソフルラン麻酔下で、マウスを頸部脱臼によって致死させた。肺の一部を回収し、遺伝子発現評価のためにRNA laterに入れた。103日目の血漿サンプルからのヒトTSLPの血漿濃度を、MSDキット評価(カタログ番号K15067-L-2、Meso Scale Diagnostics、Rockville、MD、USA)によって決定した。103日目の血漿サンプルからのヒトIL-13の血漿濃度を、ELISA(カタログ番号88-7439--88Human IL-13ELISAキット、Invitrogen/Thermo-Fischer、Waltham、MA、USA)によって決定した。内部アッセイ検証実験は、ヒトTSLPおよびIL-13の両方の検出キットが、hTSLPおよびhIL-13に結合したF027400161を検出することができなかったことを実証した。
【0395】
図10および図11で示されるこれらの実験の集合的な結果は、F027400161が、ヒト化NSG-SGM3マウスの血漿中のヒトTSLPおよびIL-13の検出可能なレベルを有意に阻害できることを実証し、これは、ヒトTSLPおよびヒトIL-13の両方についての標的の占有を実証する。
【0396】
NSG-SGM3マウスモデルにおいて、TSLPおよびIL-4のcDNAの流体力学的な送達は、ヒトIL-13の発現を作動させる(図11)。マウスIL-13受容体を介してシグナル伝達するヒトIL-13の能力を利用することによって、NSG-SGM3研究から得られたサンプルを使用してF027400161の薬力学的作用を研究した(Hershey GK.2003、J Allergy Clin Immunol.;111(4):677~90)。これらの研究において、ヒトIL-13によって調節されたマウス遺伝子転写物に対するF027400161処理の影響を研究した。上記の研究からのマウス肺組織をこの分析に使用した。
【0397】
処置した、および対照NSG-SGM3マウスからの肺を回収し、添付されたプロトコールで詳述された通りに処理してRNAを作製した。TaqManによる定量化のためにRNAを処理し、データをプロトコールに記載した通りに分析した。簡単に言えば、マウスから回収した肺をRNALaterに貯蔵し、標準的なプロトコールに従って処理し、精製して、高品質のRNAを生成した。次いで精製した肺RNAを、Quanta Q-Script 5Xマスターミックスを製造元のプロトコールに従って使用してcDNAに逆転写した。得られた肺cDNAを使用して、TaqManアッセイを製造元のプロトコールに従って使用して、ヒトIL-13応答性マウス標的遺伝子(マウスRetnlaおよびマウスClca1)および内因性対照(Rpl37a)の転写発現レベルを定量した。データ分析を、Quantstudio 6&7フレックスソフトウェアで実行した。各プローブにつき、C値およびデルタC値(Rpl37aに対して)をエクセルにエクスポートし、各遺伝子の相対発現値を、以下の式を使用して計算した:
正規化した相対発現=(パワー(2,-(デルタCT)))×1000。
【0398】
評価された2種のヒトIL-13調節マウス遺伝子は、肺血管リモデリングにおいて役割を果たすRetnla(レジスチン様アルファ)およびClca1(塩素チャネルアクセサリー1)(Lewis CC、2009、J Allergy Clin Immunol.;123(4):795~804)であった。
【0399】
図12および13で示されるようなこれらの実験の集合的な結果は、F027400161は、マウスRetnlaおよびマウスClca1転写発現を有意に阻害できたことを実証し、これは、インビボにおけるヒトIL-13によって駆動するマウス転写応答に対するF027400161の薬力学的作用を実証する。
【0400】
方法:
サンプルホモジネートの調製:
肺をマウスから回収し、RNA laterに貯蔵した。次いで肺葉を乾燥させ、1mLのRLT+2-MEを含有するfastprep溶解マトリックスAチューブ(肺をホモジナイズするための)に移した。サンプルを、MP-Bioホモジナイザーでプログラム1(サンプルの加熱を回避するために5分間を挟んで2回の40秒サイクル)を使用してホモジナイズした。次いでサンプルを10,000gで3分間スピンした。350ulの溶解物[RLT+2ME中(1%v/v)]を収集した。マルチチャネルを使用して複数回(約20回)ピペッティングし、細胞を溶解させた。
【0401】
RNA調製:
RNA精製のために、350ulのホモジネートを使用した。1×体積(350ul)の70%エタノールを添加し、ホモジネートを徹底的に混合し、溶出プレート中に置いた96ウェルのRNeasyスピンプレートに移し、以下の改変を施したQiagen RNAミニ組織RNA抽出プロトコールを使用して、RNAを調製した。96ウェルプレートをシール可能なアルミニウム箔で覆い、4000×gで2分間遠心分離した。カラムを洗浄するために、RNeasyスピンカラムに400μlの緩衝液RWTを添加し、スピンカラムプレートを、4000×gで、室温で2分間遠心分離した。80ulの1×DNアーゼIミックスを添加し、室温で15分インキュベートすることによって、DNアーゼI消化を行った。400ulの緩衝液RWTを添加し、プレートを4000×gで2分間スピンさせることによって、DNアーゼIを洗い落とした。これに続いて、それぞれ500ulの緩衝液RPEおよび80%エタノールでスピンプレートを洗浄した。これに続いて、4000×gで4分間スピンさせることによってカラム膜を乾燥させた。次いでRNAを、40μlのトリスHCl(10mM;pH8.0)中で溶出させた。RNAをNanodropを使用して定量化し、500ngのRNAをcDNA調製のために使用した。
【0402】
第1の鎖の合成:
Quanta Q-Script 5Xマスターミックスを使用し、製造元のプロトコールを使用してcDNAを合成した。cDNAの最終濃度は25ng/ulであった。TaqManアッセイを実行するまでcDNAを-20℃で貯蔵した。
【0403】
TaqManアッセイ:
1.5mlのマイクロ遠沈管中で構成要素を以下の順番で添加することによって、TaqManマルチプレックスマスターミックスを調製した。3つの別々のマスターミックスを、内部Rpl37a対照と共に各プローブセットにつき作製した。各マルチプレックスqPCR反応を10μlの反応体積で実行した。
【0404】
【表37】
【0405】
384ウェルの光学プレートの適切なウェルに、各サンプルにつき合計8.8ulのマスターミックスを添加した。各ウェルに30ng(1.2ul)のcDNAサンプルを添加した。TaqManアッセイをQuantStudio 7K上で構成した。サーモサイクラーにおける条件は、以下の通りであった:95℃で3分間の予備変性、40サイクルの95℃で2秒間の変性、ならびに60℃で5秒間のアニーリングおよび伸長。伸長工程中に蛍光測定を行った。
【0406】
データ分析:
データ分析を、Quantstudio 6&7フレックスソフトウェアで実行した。
【0407】
各プローブにつき、CT値およびデルタCT値(Rpl37aに対する)をエクセルにエクスポートし、各遺伝子の相対発現値を、以下の式を使用して計算した:
正規化した相対発現=(パワー(2,-(デルタCT)))×1000
【0408】
参考文献:
Liu, Y.J. 2006, J Exp Med.;203(2):269-73. Thymic stromal lymphopoietin: master switch for allergic inflammation.
Hershey GK. 2003, J Allergy Clin Immunol.;111(4):677-90. IL-13 receptors and signaling pathways: an evolving web.
Lewis CC, Aronow B, Hutton J, Santeliz J, Dienger K, Herman N, Finkelman FD, Wills-Karp M. 2009, J Allergy Clin Immunol.;123(4):795-804. Unique and overlapping gene expression patterns driven by IL-4 and IL-13 in the mouse lung.
【産業上の利用可能性】
【0409】
7 産業上の利用可能性
本明細書に記載されるポリペプチド、それをコードする核酸分子、核酸を含むベクターおよび組成物は、例えば炎症性疾患に罹っている対象の処置において使用することができる。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
2023504914000001.app
【国際調査報告】