(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】石油化学製品中の金属成分の除去方法
(51)【国際特許分類】
C10G 32/02 20060101AFI20230201BHJP
B01D 35/06 20060101ALI20230201BHJP
B01D 15/04 20060101ALI20230201BHJP
B01D 15/00 20060101ALI20230201BHJP
C10G 31/09 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
C10G32/02 B
B01D35/06 A
B01D15/04
B01D15/00 J
C10G31/09
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022523020
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-04-15
(86)【国際出願番号】 KR2021010713
(87)【国際公開番号】W WO2022097885
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0148768
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】テ・ウ・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・キョ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・ハ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ソ・ジョ
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・ウ・チェ
【テーマコード(参考)】
4D017
4H129
【Fターム(参考)】
4D017AA03
4D017AA04
4D017AA06
4D017BA13
4D017CA13
4D017CA17
4D017DA01
4D017EA03
4H129AA02
4H129CA04
4H129CA19
4H129DA09
4H129DA10
4H129NA05
4H129NA21
4H129NA44
4H129NA45
(57)【要約】
本発明は、石油化学製品中の金属成分の除去方法に関し、石油化学製品ストリームを供給配管を介して入庫タンクに供給し、入庫タンク循環配管を介して循環させ、磁気フィルタを用いて石油化学製品ストリーム中に含まれた金属成分を除去するステップと、前記入庫タンク循環配管から分岐して出庫タンクに連結される入庫タンク排出配管を介して石油化学製品ストリームを出庫タンクに移送するステップと、前記出庫タンクに備えられた出庫タンク循環配管を介して石油化学製品ストリームを循環させ、磁気フィルタを用いて石油化学製品ストリーム中に含まれた金属成分を除去するステップと、前記出庫タンク循環配管から分岐した分岐配管に石油化学製品ストリームを移送し、イオン交換樹脂フィルタを用いて金属成分を除去するステップとを含む、石油化学製品中の金属成分の除去方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石油化学製品ストリームを供給配管を介して入庫タンクに供給し、入庫タンク循環配管を介して循環させ、前記供給配管および入庫タンク循環配管のうち何れか1つ以上に備えられた1器以上の磁気フィルタを用いて石油化学製品ストリーム中に含まれた金属成分を除去するステップと、
前記入庫タンク循環配管から分岐して出庫タンクに連結される入庫タンク排出配管を介して石油化学製品ストリームを出庫タンクに移送するステップと、
前記出庫タンクに備えられた出庫タンク循環配管を介して石油化学製品ストリームを循環させ、前記出庫タンク循環配管に備えられた1器以上の磁気フィルタを用いて石油化学製品ストリーム中に含まれた金属成分を除去するステップと、
前記出庫タンク循環配管から分岐した分岐配管に石油化学製品ストリームを移送し、前記分岐配管に備えられた1器以上のイオン交換樹脂フィルタを用いて金属成分を除去するステップと
を含む、石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項2】
前記分岐配管においてイオン交換樹脂フィルタを通過した石油化学製品ストリームは、出庫タンク循環配管と合流させた後、出庫タンクに循環させるか、または前記出庫タンク循環配管から分岐する出荷配管を介して排出するステップをさらに含む、請求項1に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項3】
前記磁気フィルタは、
磁性部と、
前記磁性部を収容するメッシュ網状の収容部とを含む、請求項1に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項4】
前記磁性部は、配管断面を基準として、一定間隔をおいて配置された複数の磁石バーを含む、請求項3に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項5】
前記磁性部は、流体の流れを変換させる凹凸部を含む、請求項3に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項6】
前記磁性部は、磁性物質から製作されたスタティックミキサーを含む、請求項5に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項7】
前記石油化学製品ストリームの流れ方向を基準として、磁気フィルタの前段にスタティックミキサーをさらに含む、請求項3に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項8】
前記スタティックミキサーは、流体の流れを変換させる凹凸部を含み、前記凹凸部は、磁性部の方向に移送される石油化学製品ストリームの渦流を増加させる、請求項7に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項9】
前記入庫タンク内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量が100ppb以下である場合、前記入庫タンク排出配管を介して石油化学製品ストリームを出庫タンクに移送する、請求項1に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項10】
前記出庫タンク内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量が50ppb以下である場合、前記分岐配管に石油化学製品ストリームを移送する、請求項1に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【請求項11】
前記入庫タンクおよび出庫タンクは、1つのタンク内に隔壁をおいて形成される、請求項1に記載の石油化学製品中の金属成分の除去方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月09日付けの韓国特許出願第10-2020-0148768号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、石油化学製品中の金属成分の除去方法に関し、より詳しくは、石油化学製品ストリーム中に含まれた金属成分を低費用且つ高効率で除去する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
石油化学工程で生産される石油化学製品ストリーム中には、後段工程の工程設備を腐食させたり、製品の品質に影響を与えたりする異質物である金属成分を一部含んでいる。
【0004】
例えば、半導体の洗浄用溶媒として用いられる石油化学製品としてイソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、IPA)の場合、前記イソプロピルアルコール中に含まれた金属成分は、半導体の腐食に致命的な影響を与え得る。
【0005】
また、石油化学製品としてブタジエン(butadiene、BD)、スチレンモノマー(styrene monomer、SM)、およびアクリル酸(acrylic acid、AA)などのように高反応性モノマーの場合、金属成分が触媒の役割をし、保管ないし移送中に意図しない反応を誘導して製品の品質を低下させ得る。
【0006】
これに対し、従来は、石油化学工程で生産されて排出される前記石油化学製品ストリーム中の金属成分を除去するための方法として、蒸留により沸かして除去する蒸留方法、イオン交換樹脂フィルタ(ion exchange filter)を用いた除去方法、および磁気フィルタ(magnetic filter)を用いた除去方法が主をなしていた。
【0007】
しかし、蒸留方法の場合は、全ての製品を気化後に液化させなければならない工程を経るため、エネルギー消費が相当に増加するだけでなく、追加的な装置の設置および運用が必要であるため装置費用が増加するという問題があった。
【0008】
また、イオン交換樹脂フィルタを用いた方法の場合は、イオン交換樹脂フィルタの価格が相当に高く、特に、金属の含量が多い石油化学製品ストリーム中の金属成分を除去するのに用いる場合、非常に高い維持費が必要であるという問題があった。
【0009】
また、磁気フィルタを用いた方法の場合は、磁気フィルタの価格が安い方ではあるが、金属成分の除去効果が相対的に低いため十分な金属成分の除去能を確保し難いという問題があった。
したがって、石油化学製品ストリーム中の金属成分を低費用且つ高効率で除去するための方法に対する研究が必要な状態である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、上記の発明の背景技術において言及した問題を解決するために、石油化学製品中の金属成分の含量を低費用且つ高効率で除去し、目的とするレベルに容易に制御可能な方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、石油化学製品ストリームを供給配管を介して入庫タンクに供給し、入庫タンク循環配管を介して循環させ、前記供給配管および入庫タンク循環配管のうち何れか1つ以上に備えられた1器以上の磁気フィルタを用いて石油化学製品ストリーム中に含まれた金属成分を除去するステップと、前記入庫タンク循環配管から分岐して出庫タンクに連結される入庫タンク排出配管を介して石油化学製品ストリームを出庫タンクに移送するステップと、前記出庫タンクに備えられた出庫タンク循環配管を介して石油化学製品ストリームを循環させ、前記出庫タンク循環配管に備えられた1器以上の磁気フィルタを用いて石油化学製品ストリーム中に含まれた金属成分を除去するステップと、前記出庫タンク循環配管から分岐した分岐配管に石油化学製品ストリームを移送し、前記分岐配管に備えられた1器以上のイオン交換樹脂フィルタを用いて金属成分を除去するステップとを含む、石油化学製品中の金属成分の除去方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の石油化学製品中の金属成分の除去方法によると、前記石油化学製品ストリームが入庫タンクと出庫タンクを順次経るように設計し、前記入庫タンクと出庫タンクそれぞれの循環配管において、磁気フィルタを用いて石油化学製品ストリーム中の金属成分を低費用で最大限除去することができる。
【0013】
また、本発明は、前記出庫タンク循環配管から分岐した分岐配管にイオン交換樹脂フィルタを備えることで、イオン交換樹脂フィルタを通過する石油化学製品ストリーム中の金属成分の含量制御が可能であり、これにより、優れた金属成分の除去能を確保するとともに、イオン交換樹脂フィルタの維持費用を節減することができる。
【0014】
また、本発明は、前記磁気フィルタに流体の流れを変換させる凹凸部を含ませることで、金属成分の除去能を向上させた。
また、本発明は、前記磁気フィルタの前段にスタティックミキサーを備えることで、磁気フィルタの金属成分の除去能を向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態における石油化学製品中の金属成分の除去方法による工程フローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態における石油化学製品中の金属成分の除去方法による工程フローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態における石油化学製品中の金属成分の除去方法による工程フローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態における石油化学製品中の金属成分の除去方法による工程フローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態における石油化学製品中の金属成分の除去方法による工程フローチャートである。
【
図6】比較例における石油化学製品中の金属成分の除去方法による工程フローチャートである。
【
図7】比較例における石油化学製品中の金属成分の除去方法による工程フローチャートである。
【
図8】比較例における石油化学製品中の金属成分の除去方法による工程フローチャートである。
【
図10】スタティックミキサーを示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の説明および請求の範囲で用いられている用語や単語は、通常的もしくは辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために、用語の概念を適切に定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念で解釈すべきである。
【0017】
本発明において、用語「上部」は、容器内の装置の全体高さから50%以上の高さに該当する部分を意味し、「下部」は、容器ないし装置の全体高さから50%未満の高さに該当する部分を意味し得る。
【0018】
本発明において、用語「ストリーム(stream)」は、工程中の流体(fluid)の流れを意味し得るし、また、配管内に流れる流体自体を意味し得る。具体的に、前記「ストリーム」は、各装置を連結する配管内に流れる流体自体および流体の流れを同時に意味し得る。また、前記流体は、気体(gas)および液体(liquid)などを意味し得る。前記流体に固体成分(solid)が含まれている場合に対して排除するものではない。
【0019】
以下、本発明が容易に理解されるように、
図1~
図5および
図9~
図10を参照して本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明によると、石油化学製品中の金属成分の除去方法が提供される。より具体的に、石油化学製品中の金属成分を除去するにおいて、石油化学製品ストリームを供給配管110を介して入庫タンク100に供給し、入庫タンク循環配管120を介して循環させ、前記供給配管110および入庫タンク循環配管120のうち何れか1つ以上に備えられた1器以上の磁気フィルタ300を用いて石油化学製品ストリーム中に含まれた金属成分を除去するステップと、前記入庫タンク循環配管120から分岐して出庫タンク200に連結される入庫タンク排出配管130を介して石油化学製品ストリームを出庫タンク200に移送するステップと、前記出庫タンク200に備えられた出庫タンク循環配管210を介して石油化学製品ストリームを循環させ、前記出庫タンク循環配管210に備えられた1器以上の磁気フィルタ300を用いて石油化学製品ストリーム中に含まれた金属成分を除去するステップと、前記出庫タンク循環配管210から分岐した分岐配管220に石油化学製品ストリームを移送し、前記分岐配管220に備えられた1器以上のイオン交換樹脂フィルタ400を用いて金属成分を除去するステップとを含む、石油化学製品中の金属成分の除去方法を提供することができる。
【0020】
具体的に、石油化学工程で生産される石油化学製品ストリーム中には、後段工程の工程設備を腐食させたり、製品の品質に影響を与えたりする異質物である金属成分を一部含んでいる。この際、前記金属成分は、例えば、鉄、ニッケル、モリブデン、およびヒ素からなる群から選択された1種以上を含むことがでいる。
【0021】
前記石油化学製品ストリームは、石油化学工程で製造された生成物を含むものであれば、特に限定されず、例えば、前記生成物は、イソプロピルアルコール、ブタジエン、スチレンモノマー、およびアクリル酸ストリームなどであってもよい。
【0022】
前記イソプロピルアルコール(isopropyl alcohol、IPA)の場合、半導体の洗浄用溶媒として用いられる石油化学製品であって、前記イソプロピルアルコール中に含まれた金属成分は、半導体の腐食に致命的な影響を与え得る。また、ブタジエン(butadiene、BD)、スチレンモノマー(styrene monomer、SM)、およびアクリル酸(acrylic acid、AA)などのように高反応性モノマーの場合、金属成分が触媒の役割をし、保管ないし移送中に意図しない反応を誘導して製品の品質を低下させ得る。
【0023】
このように、石油化学製品中に含まれた金属成分を除去するために、従来は、蒸留により沸かして除去する蒸留方法、イオン交換樹脂フィルタ400(ion exchange filter)を用いた除去方法、および磁気フィルタ300(magnetic filter)を用いた除去方法が主をなしていた。
【0024】
しかし、蒸留方法の場合は、全ての製品を気化後に液化させなければならない過程を経るため、エネルギー消費が相当に増加するだけでなく、追加の装置の設置および運用が必要であるため装置費用が増加するという問題があった。
【0025】
また、イオン交換樹脂フィルタ400を用いた方法の場合は、イオン交換樹脂フィルタ400の価格が相当に高く、特に、金属の含量が多い石油化学製品ストリーム中の金属成分を除去するのに用いる場合、非常に高い維持費が必要であるという問題があった。
【0026】
また、磁気フィルタ300を用いた方法の場合は、磁気フィルタ300の価格が安い方ではあるが、金属成分の除去効果が相対的に低いため十分な金属成分の除去能を確保し難いという問題があった。
【0027】
これに対し、本発明においては、低費用の磁気フィルタを用いた金属成分の除去能を向上させ、高費用のイオン交換樹脂フィルタ400の使用を最小化するように石油化学製品中の金属成分の除去工程を設計し、低費用且つ高効率で石油化学製品中の金属成分を除去する方法を提供しようとする。
【0028】
本発明の一実施形態によると、石油化学工程で排出される石油化学製品ストリームを入庫タンク100および出庫タンク200を順次経るように移送しつつ、前記石油化学製品ストリーム中の金属成分を除去することができる。
【0029】
前記入庫タンク100および出庫タンク200は、個別的なタンクとして設けるか、または1つのタンク内に隔壁をおいて形成することができる。具体的に、前記入庫タンク100および出庫タンク200を個別的なタンクとして設ける場合、各タンクの大きさを減らすことができ、タンクの修理が必要な場合にも1つのタンクで工程を運営しつつ運転および製品の入出庫を持続することができる。また、前記入庫タンク100および出庫タンク200を1つのタンク内に隔壁をおいて形成する場合、タンクの設置費用を節約することができ、土木および配管作業が単純となるため、工場の面積が小さくても、本発明に係る方法により石油化学製品中の金属成分を除去することができる。
【0030】
前記石油化学製品ストリームは、供給配管110を介して入庫タンク100の上部に供給されることができる。また、前記入庫タンク100から入庫タンク循環配管120を介して石油化学製品ストリームを入庫タンク100の下部に排出し循環させ、再び入庫タンク100に循環させることができる。例えば、前記入庫タンク循環配管は、入庫タンク100の下部から延びて供給配管110と合流するか、または別の配管で入庫タンク100の上部に連結される配管であってもよい。
【0031】
前記供給配管110および入庫タンク循環配管120のうち何れか1つ以上には、1器以上または1器~3器の磁気フィルタ300を備えることができる。具体的に、前記石油化学製品ストリームを入庫タンク100に供給させる供給配管110、および前記石油化学製品ストリームを入庫タンク100から排出して再び入庫タンク100に循環させる入庫タンク循環配管120のうち何れか1つ以上の配管に、1器以上の磁気フィルタ300を備え、石油化学製品ストリーム中の金属成分を除去することができる。例えば、前記磁気フィルタ300は入庫タンク循環配管120に1器以上備えるか、または、供給配管110および入庫タンク循環配管120それぞれの配管には1器以上の磁気フィルタ300を備えることができる。より具体的な例として、前記磁気フィルタ300は、供給配管110に1器、および入庫タンク循環配管120に1器を備えることができる。この場合、供給配管110において一次的に石油化学製品中の金属成分を除去し、入庫タンク循環配管120において連続的に石油化学製品ストリーム中の金属成分を除去することで、入庫タンク100内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量を効果的に下げることができる。この際、前記入庫タンク循環配管は、石油化学製品ストリームの流れ方向を基準として、供給配管110に備えられた磁気フィルタ300の前段において合流して入庫タンク100の上部に連結されることができる。
【0032】
本発明の一実施形態によると、前記入庫タンク100内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量を一定レベルに減少させた場合、前記入庫タンク循環配管120から分岐して出庫タンク200に連結される入庫タンク排出配管130を介して、石油化学製品ストリームを出庫タンク200に移送することができる。
【0033】
前記石油化学製品ストリームを入庫タンク100から出庫タンク200に移送する際の石油化学製品に含まれた金属成分の含量は、石油化学製品の種類と、使用先に求められる金属成分の含量レベルに応じて適宜調節することができる。例えば、前記入庫タンク100内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量が100ppb以下、5ppb~100ppb、または7500ppt~8ppbである場合に、前記入庫タンク排出配管130を介して、石油化学製品ストリームを出庫タンク200に移送することができる。より具体的な例として、イソプロピルアルコールストリーム中の金属成分の除去時、前記入庫タンク100内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量が8ppb以下、7ppb~8ppb、または6500ppt~7500pptである場合に、入庫タンク排出配管130を介して、イソプロピルアルコールストリームを出庫タンク200に移送することができる。また、ブタジエンストリーム、スチレンモノマーストリーム、またはアクリル酸ストリーム中の金属成分の除去時、前記入庫タンク100内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量が100ppb以下、50ppb~80ppb、または10ppb~50ppbである場合に、入庫タンク排出配管130を介して、ブタジエンストリーム、スチレンモノマーストリーム、またはアクリル酸ストリームを出庫タンク200に移送することができる。
【0034】
本発明の一実施形態によると、前記入庫タンク100から出庫タンク200に供給される石油化学製品ストリームは、前記出庫タンク200の下部から延びて出庫タンク200の上部に連結される出庫タンク循環配管210を介して、出庫タンク200から排出され、再び出庫タンク200に循環されることができる。
【0035】
前記出庫タンク循環配管210には、1器以上の磁気フィルタ300を備えることができる。例えば、前記磁気フィルタ300は、出庫タンク循環配管210に1器以上、1器~3器、または1器~2器が備えられることができる。より具体的な例として、前記磁気フィルタ300は、出庫タンク循環配管210に1器を備えることができる。この場合、出庫タンク循環配管210において連続的に石油化学製品ストリーム中の金属成分を除去することで、出庫タンク200内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量をさらに下げることができる。
【0036】
本発明の一実施形態によると、前記出庫タンク200内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量を一定レベルに減少させた場合、前記出庫タンク循環配管210から分岐した分岐配管220に石油化学製品ストリームを移送することができる。この際、前記分岐配管220には、1器以上または1器~2器のイオン交換樹脂フィルタ400が備えられることができる。このように、前記出庫タンク200から一定レベル以下に金属成分が除去された石油化学製品ストリームを分岐配管220に移送し、イオン交換樹脂フィルタ400を用いて、石油化学製品ストリーム中の大半の残留金属成分を除去することができる。
【0037】
前記石油化学製品ストリームを出庫タンク循環配管210から分岐配管220に移送する時点は、石油化学製品の種類と、使用先に求められる金属成分の含量レベルに応じて適宜調節することができる。例えば、前記出庫タンク200内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量が50ppb以下、5ppb~50ppb、または2ppb~5ppbである場合に、前記分岐配管220に石油化学製品ストリームを移送することができる。より具体的な例として、イソプロピルアルコールストリーム中の金属成分の除去時、前記出庫タンク200内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量が3ppb以下、2ppb~3ppb、または2.3ppb~2.8ppbである場合に、分岐配管220を介して、イソプロピルアルコールストリームを移送することができる。また、ブタジエンストリーム、スチレンモノマーストリーム、またはアクリル酸ストリーム中の金属成分の除去時、前記出庫タンク200内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量が50ppb以下、40ppb~45ppb、または43ppb~50ppbである場合に、分岐配管220を介して、ブタジエンストリーム、スチレンモノマーストリーム、またはアクリル酸ストリームを出庫タンク200に移送することができる。
【0038】
具体的に、前記イソプロピルアルコールの場合、半導体の腐食なしに前記半導体の洗浄用溶媒として用いるためには、金属成分の含量が3ppb以下であることが好ましく、ブタジエン、スチレンモノマー、およびアクリル酸の場合、保管ないし移送中に追加の反応を防止するためには、100ppb以下であることが好ましい。
【0039】
これと関わり、本発明においては、石油化学製品ストリームの入庫タンク100および出庫タンク200それぞれへの供給量、入庫タンク100および出庫タンク200それぞれでの循環量、および分岐配管220への移送量の制御が容易であるため、石油化学製品の種類、目的とする金属成分の含量に応じて、低費用且つ高効率で石油化学製品中の金属成分の含量制御が可能である。具体的に、石油化学製品ストリームに対して供給配管110、入庫タンク循環配管120、および出庫タンク循環配管210に備えられた磁気フィルタ300を用いて順次金属成分の含量を制御し、前記石油化学製品ストリームの種類に応じて金属成分の含量が目的とする範囲に下がった場合に限って分岐配管220に移送し、イオン交換樹脂フィルタ400を用いて残留金属成分を除去する。その結果、石油化学製品中の金属成分の除去能を向上させるとともに、高費用のイオン交換樹脂フィルタ400の寿命を大幅に増加させることができる。
【0040】
本発明の一実施形態によると、前記分岐配管220においてイオン交換樹脂フィルタ400を通過した石油化学製品ストリームは、出庫タンク循環配管210と合流させた後、出庫タンク200に循環させるか、または前記出庫タンク循環配管210から分岐する出荷配管230を介して排出するステップをさらに含むことができる。
【0041】
具体的に、前記分岐配管220においてイオン交換樹脂フィルタ400を通過した石油化学製品ストリームに含まれた金属成分の含量が目的とするレベルに達していない場合には、出庫タンク循環配管210と合流させた後、出庫タンク200に循環させることができる。これに対し、前記分岐配管220においてイオン交換樹脂フィルタ400を通過した石油化学製品ストリームに含まれた金属成分の含量が目的とするレベルに達した場合には、前記出庫タンク循環配管210から分岐する出荷配管230を介して排出して製品化することができる。具体的な例として、前記出庫タンク循環配管210において磁気フィルタ300を用いて目的とするレベルに最大限金属成分を除去した後、分岐配管220に移送してイオン交換樹脂フィルタ400を介して目的とする金属成分の含量に達するようにし後、前記出庫タンク循環配管210から分岐する出荷配管230を介して排出することができる。この場合、出庫タンク200からさらに循環させることでイオン交換樹脂フィルタ400の使用を減らし、これにより、イオン交換樹脂フィルタ400の使用を最小化し、金属成分の除去容量が低く、取替え費用が1回当たりに約0.5億ウォン~1億ウォンに達するイオン交換樹脂フィルタ400の取替え周期を延長して維持費用を節減させることができる。
【0042】
本発明の一実施形態によると、前記出庫タンク循環配管210を介して循環される石油化学製品ストリームの一部のストリームは、出庫タンク200内の石油化学製品に含まれた金属成分の含量を下げるために入庫タンク循環配管120に移送されることができる。
【0043】
本発明の一実施形態によると、前記磁気フィルタ300は、磁性部310と、前記磁性部310を収容するメッシュ網状の収容部320とを含むことができる。具体的に、前記磁気フィルタ300は、配管内に設けられ、前記配管内で石油化学製品ストリームの流れ方向に磁性部310が位置し、前記収容部320は、石油化学製品ストリームの流れ方向を基準として、磁性部310の前段を包む構造に形成されることができる。この場合、前記石油化学製品ストリームに含まれた金属成分を前記磁性部310に付着させて除去する前に、メッシュ網状の収容部320に先行的に濾過されるようにし、流体の流れを停滞させて磁気フィルタ300の金属成分の除去能を向上させ、磁気フィルタ300の磁性部310に付着される金属成分の量が増加する場合に、前記磁気フィルタ300の解体後に洗浄して金属成分を除去しなければならない洗浄周期を延長させることができる。
【0044】
本発明の一実施形態によると、前記磁性部310は、配管断面を基準として、一定間隔をおいて配置された複数の磁石バー(bar)を含む構造に形成されることができる。例えば、前記磁石バーは、配管の長さ方向に長軸を有し、配管の直径方向に短軸を有するステンレススチール材質の円形の棒状を有することができる。
【0045】
前記磁性部310は、例えば、磁石バーを1個~10個、2個~6個、または2個~4個を含むことができる。この場合、配管内に移送される石油化学製品ストリームと磁石バーとの接触面積を増加させ、前記磁気フィルタ300を用いた金属成分の除去能を向上させることができる。
【0046】
本発明の一実施形態によると、前記磁性部310は、流体の流れを変換させる凹凸部を含むことができる。具体的に、前記凹凸部の形態は、流体の流れに影響を与える形態であれば、特に限定されない。前記磁性部310は、凹凸部を含むことで、磁性部310の表面積が増加するため、石油化学製品ストリームとの接触面積が増加し、流体の流れの変換による渦流が形成されて流体と磁性部との接触頻度が増加することで、磁気フィルタ300の金属成分の除去能を向上させることができる。
【0047】
前記磁性部310は、凹凸部を有する複数の磁石バーを含むか、または磁性物質から製作されたスタティックミキサー500(static mixer)を用いることができる。
【0048】
前記スタティックミキサー500は、下記
図10の(a)および(b)のように、本体に、凹凸部510として、流体の流れを変換させる構造のエレメント(element)が備えられた混合撹拌装置であって、具体的に、配管に移送される石油化学製品ストリームが前記スタティックミキサー500のエレメントを連続的に通過しつつ、渦流が形成されることができる。
【0049】
前記スタティックミキサー500を磁性部310として用いるためには、前記スタティックミキサー500を磁性物質から製作することができる。例えば、前記スタティックミキサー500をネオジム、フェライト、およびアルニコからなる群から選択された1種以上の磁性物質を用いて製作することができる。
【0050】
このように、スタティックミキサー500は、形態的特性による石油化学製品ストリームとの接触面積の増加およびこれに応じた金属成分の除去能の向上効果とともに、磁性物質から製作されたスタティックミキサーの表面に金属成分を付着させて除去する効果を向上させることができる。
【0051】
本発明の一実施形態によると、前記石油化学製品ストリームの流れ方向を基準として、磁気フィルタ300の前段にスタティックミキサー500をさらに含むことができる。具体的に、前記スタティックミキサー500は、石油化学製品ストリームの流れ方向を基準として、磁気フィルタ300前段の配管内に設置および固定されることができる。これにより、石油化学製品ストリームが磁気フィルタ300を経る前に渦流を引き起こすことで、磁気フィルタ300の金属成分の除去能を向上させることができる。
【0052】
前記磁気フィルタ300の前段に備えられるスタティックミキサー500は、流体の流れを変換させる凹凸部510を含み、前記凹凸部510は、磁気フィルタ300の方向に移送される石油化学製品ストリームの渦流を形成することができる。具体的に、前記スタティックミキサー500は、本体に、凹凸部510として、流体の流れを変換させる構造のエレメントが備えられた混合撹拌装置であって、前記エレメントにより変換された石油化学製品ストリームの流れが磁気フィルタ300の磁性部310方向にガイドされるようにエレメントの形態を選択することができる。例えば、磁性部310が、配管断面を基準として、一定間隔をおいて配置された複数の磁石バーを含む場合、エレメントにより変換された石油化学製品ストリームの流れが前記複数の磁石バーに向かって流れるようにエレメントの形態を選択することができる。この場合、前記磁性部310と石油化学製品ストリームとの接触をさらに増加させ、磁気フィルタ300の金属成分の除去能をさらに向上させることができる。
【0053】
本発明の一実施形態によると、イオン交換樹脂フィルタ400の種類は、金属成分の除去が可能であれば、特に限定されず、例えば、SO4
2-、Cl-・HCO3-、およびSiO2からなる群から選択された1種以上を含むイオン交換樹脂フィルタ400を用いることができる。
【0054】
以上、本発明に係る石油化学製品中の金属成分の除去方法を記載および図面に図示したが、上記の記載および図面の図示は、本発明を理解するための核心的な構成だけを記載および図示したものであって、上記の記載および図面に図示した工程および装置以外に、別の記載および図示していない工程および装置は、本発明に係る石油化学製品中の金属成分の除去方法を実施するために適宜応用して利用されてもよい。
【0055】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。但し、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範囲および技術思想の範囲内で多様な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白であり、これらにのみ本発明の範囲が限定されるものではない。
【0056】
実施例
実施例1
図1に示されたように、石油化学工程で生産されるイソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0057】
具体的に、前記イソプロピルアルコールストリームを供給配管110を介して磁気フィルタ300を経て金属成分を一部除去した後、入庫タンク100に供給した。前記入庫タンク100からは、磁気フィルタ300が備えられた入庫タンク循環配管120を介してイソプロピルアルコールストリームを循環させつつ、金属成分をさらに除去した。
【0058】
前記入庫タンク100内のイソプロピルアルコールに含まれた金属成分の含量が8ppb以下に減少した場合、前記入庫タンク循環配管120から分岐して出庫タンク200に連結される入庫タンク排出配管130を介して、石油化学製品ストリームを出庫タンク200に移送した。
前記出庫タンク循環配管210を介してイソプロピルアルコールストリームを循環させつつ、金属成分をさらに除去した。
【0059】
前記出庫タンク200内のイソプロピルアルコールに含まれた金属成分の含量が5ppb以下に減少した場合、前記出庫タンク循環配管210から分岐した分岐配管220にイソプロピルアルコールストリームを移送し、前記分岐配管220に備えられたイオン交換樹脂フィルタ400を用いて残留金属成分の除去後に、金属成分の含量を3ppb以下に下げ、前記出庫タンク循環配管210から分岐する出荷配管230を介して排出して製品化した。
【0060】
この際、前記磁気フィルタ300としては、下記
図9のように、3個の磁石バーを含む磁性部310および収容部320を含む構造の磁気フィルタ300を用いた。
【0061】
その結果、運転開始後4時間で、イソプロピルアルコール中に含まれた金属成分の含量を3ppb以下に下げることができた。また、イオン交換樹脂フィルタ400の取替え周期が3ヶ月以上に延びたことを確認することができた。
【0062】
実施例2
図2に示されたように、石油化学工程で生産されるイソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0063】
具体的に、前記実施例1において、磁気フィルタ300として、下記
図10の(a)のようなスタティックミキサー500をネオジム材質から製作して用いたことを除いては、実施例1と同様の方法により、イソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0064】
その結果、運転開始後4時間で、イソプロピルアルコール中に含まれた金属成分の含量を3ppb以下に下げることができた。また、イオン交換樹脂フィルタ400の取替え周期が12ヶ月以上に延びたことを確認することができた。
【0065】
実施例3
図3に示されたように、石油化学工程で生産されるイソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0066】
具体的に、前記実施例1において、磁気フィルタ300の前段に下記
図10の(a)のようなスタティックミキサー500をさらに備えたことを除いては、実施例1と同様の方法により、イソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0067】
その結果、運転開始後4時間で、イソプロピルアルコール中に含まれた金属成分の含量を3ppb以下に下げることができた。また、イオン交換樹脂フィルタ400の取替え周期が8ヶ月以上に延びたことを確認することができた。
【0068】
実施例4
図4に示されたように、石油化学工程で生産されるイソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0069】
具体的に、前記実施例1において、入庫タンク100および出庫タンク200として、隔壁をおいて分離した1つのタンクを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法により、イソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0070】
その結果、運転開始後4時間で、イソプロピルアルコール中に含まれた金属成分の含量を3ppb以下に下げることができた。また、イオン交換樹脂フィルタ400の取替え周期が3ヶ月以上に延びたことを確認することができた。
【0071】
実施例5
図5に示されたように、石油化学工程で生産されるイソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0072】
具体的に、前記実施例4において、磁気フィルタ300の前段に下記
図10の(a)のようなスタティックミキサー500をさらに備えたことを除いては、実施例4と同様の方法により、イソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0073】
その結果、運転開始後4時間で、イソプロピルアルコール中に含まれた金属成分の含量を3ppb以下に下げることができた。また、イオン交換樹脂フィルタ400の取替え周期が8ヶ月以上に延びたことを確認することができた。
【0074】
比較例
比較例1
図6に示されたように、石油化学工程で生産されるイソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0075】
具体的に、前記イソプロピルアルコールストリームを供給配管110を介して磁気フィルタ300を経て金属成分を一部除去した後、入庫タンク100に供給した。前記入庫タンク100からは、磁気フィルタ300が備えられた入庫タンク循環配管120を介してイソプロピルアルコールストリームを循環させつつ、金属成分をさらに除去した。
【0076】
前記入庫タンク100内のイソプロピルアルコールに含まれた金属成分の含量が8ppb以下に減少した場合、前記入庫タンク循環配管120から分岐して出庫タンク200に連結される入庫タンク排出配管130を介して、石油化学製品ストリームを出庫タンク200に移送した。
【0077】
前記出庫タンク循環配管210を介してイソプロピルアルコールストリームを循環させつつ、磁気フィルタ300を用いて金属成分をさらに除去して金属成分の含量を5ppb以下に下げ、前記出庫タンク循環配管210から分岐して備えられた出荷配管230を介して、イソプロピルアルコールストリームを排出して製品化した。
【0078】
この際、前記磁気フィルタ300としては、下記
図9のように、3個の磁石バーを含む磁性部310および収容部320を含む構造の磁気フィルタ300を用いた。
【0079】
その結果、実施例1よりも長い24時間運転しても、磁気フィルタ300だけでは、石油化学製品ストリーム中の金属成分の含量を4ppb~5ppbのレベルにしか減少させることができないことを確認した。
【0080】
比較例2
図7に示されたように、石油化学工程で生産されるイソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0081】
具体的に、前記イソプロピルアルコールストリームを供給配管110を介してイオン交換樹脂フィルタ400を経て金属成分を一部除去した後、入庫タンク100に供給した。前記入庫タンク100からは、イオン交換樹脂フィルタ400が備えられた入庫タンク循環配管120を介してイソプロピルアルコールストリームを循環させつつ、金属成分をさらに除去した。
【0082】
前記入庫タンク100内のイソプロピルアルコールに含まれた金属成分の含量が8ppb以下に減少した場合、前記入庫タンク循環配管120から分岐して出庫タンク200に連結される入庫タンク排出配管130を介して、石油化学製品ストリームを出庫タンク200に移送した。
【0083】
前記出庫タンク循環配管210を介してイソプロピルアルコールストリームを循環させつつ、イオン交換樹脂フィルタ400を用いて金属成分をさらに除去して金属成分の含量を3ppb以下に下げ、前記出庫タンク循環配管210から分岐して備えられた出荷配管230を介して、イソプロピルアルコールストリームを排出して製品化した。
【0084】
その結果、金属成分の除去能は実施例と比べて同等なレベルではあるが、イオン交換樹脂フィルタ400の低い金属成分の除去容量に起因して約15日周期で取替えしなければならないため、時間の面および費用の面で好ましくなく、イソプロピルアルコールの単価を上昇させるという問題がある。
【0085】
比較例3
図8に示されたように、石油化学工程で生産されるイソプロピルアルコールストリーム中に含まれている金属成分を除去した。
【0086】
具体的に、前記イソプロピルアルコールストリームを供給配管110を介して磁気フィルタ300を経て金属成分を一部除去した後、入庫タンク100に供給した。前記入庫タンク100からは、磁気フィルタ300が備えられた入庫タンク循環配管120を介してイソプロピルアルコールストリームを循環させつつ、金属成分をさらに除去した。
【0087】
前記入庫タンク100内のイソプロピルアルコールに含まれた金属成分の含量が8ppb以下に減少した場合、前記入庫タンク循環配管120から分岐して出庫タンク200に連結される入庫タンク排出配管130を介して、石油化学製品ストリームを出庫タンク200に移送した。
【0088】
前記出庫タンク循環配管210を介してイソプロピルアルコールストリームを循環させつつ、磁気フィルタ300およびイオン交換樹脂フィルタ400を用いて金属成分をさらに除去して金属成分の含量を3ppb以下に下げ、前記出庫タンク循環配管210から分岐して備えられた出荷配管230を介して、イソプロピルアルコールストリームを排出して製品化した。
【0089】
この際、前記磁気フィルタ300としては、下記
図9のように、3個の磁石バーを含む磁性部310および収容部320を含む構造の磁気フィルタ300を用いた。
【0090】
その結果、金属成分の除去能は実施例と比べて同等なレベルではあるが、出庫タンク200を循環するイソプロピルアルコールストリーム全量がイオン交換樹脂フィルタ400を循環するため、イオン交換樹脂フィルタ400の取替え周期が約1ヶ月であって、実施例のようなイオン交換樹脂フィルタ400の延長効果を示し難く、これにより、時間の面および費用の面で好ましくなく、イソプロピルアルコールの単価を上昇させるという問題がある。
【符号の説明】
【0091】
100 入庫タンク
110 供給配管
120 循環配管
130 排出配管
200 出庫タンク
210 循環配管
220 分岐配管
230 出荷配管
300 磁気フィルタ
400 イオン交換樹脂フィルタ
500 スタティックミキサー
【国際調査報告】