(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-08
(54)【発明の名称】オリゴマーの製造装置
(51)【国際特許分類】
C07C 2/24 20060101AFI20230201BHJP
B01D 19/00 20060101ALI20230201BHJP
C07C 11/107 20060101ALI20230201BHJP
C07B 61/00 20060101ALI20230201BHJP
【FI】
C07C2/24
B01D19/00 B
C07C11/107
C07B61/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022525432
(86)(22)【出願日】2021-08-12
(85)【翻訳文提出日】2022-04-28
(86)【国際出願番号】 KR2021010716
(87)【国際公開番号】W WO2022097886
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0145157
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ムン・スブ・ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ソク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ホン・ミン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン・ソク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ホ・スン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・フン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ソグ・ユク
【テーマコード(参考)】
4D011
4H006
【Fターム(参考)】
4D011AA03
4D011AC04
4D011AD03
4H006AA04
4H006AB46
4H006AB50
4H006AB60
4H006AB70
4H006AC21
4H006AD18
4H006BA14
4H006BA32
4H006BB11
4H006BD84
(57)【要約】
本発明は、オリゴマーの製造装置に関し、単量体ストリームの供給を受けてオリゴマー化反応させて反応生成物を製造する反応器と、前記反応器から排出される反応生成物ストリームを移送する生成物排出ラインと、前記生成物排出ラインの任意の領域に備えられ、反応生成物ストリーム内に含まれた気泡を除去する気泡捕集器と、を含むオリゴマーの製造装置を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体ストリームの供給を受けてオリゴマー化反応させて反応生成物を製造する反応器と、
前記反応器から排出される反応生成物ストリームを移送する生成物排出ラインと、
前記生成物排出ラインの任意の領域に備えられ、反応生成物ストリーム内に含まれた気泡を除去する気泡捕集器と、を含む、オリゴマーの製造装置。
【請求項2】
前記単量体は、エチレン単量体を含む、請求項1に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項3】
前記生成物排出ラインの任意の領域に備えられた水位調節弁をさらに含む、請求項1または2に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項4】
前記気泡捕集器は、反応生成物ストリームの流れの方向を基準に、水位調節弁の前端に備えられている、請求項3に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項5】
前記気泡捕集器は、内部に備えられた邪魔板をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項6】
前記邪魔板は、気泡捕集器内で反応生成物ストリームの流れの方向に対して垂直に備えられている、請求項5に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項7】
前記邪魔板は、1個~3個備えられている、請求項5または6に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項8】
前記邪魔板は、1個備えられている、請求項7に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項9】
前記気泡捕集器は、前記気泡捕集器内で反応生成物の流れを出口方向に案内する案内部をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項10】
前記気泡捕集器は、内部に備えられたデミスタをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項11】
前記デミスタは、前記気泡捕集器の上部領域に備えられている、請求項10に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項12】
前記気泡捕集器に備えられた圧力計をさらに含み、
前記気泡捕集器の内部で気泡は上昇移動し、上部に停滞している気泡は、圧力計のモニタリングにより必要な時に排出される、請求項1から11のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項13】
前記反応器の上部から排出される気相ストリームは、凝縮器を通過して気液分離装置に供給され、前記気液分離装置で気相ストリームは、上部排出ラインを介して排出される、請求項12に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項14】
前記気泡捕集器の上部から連結されるガス回収ラインをさらに含み、
前記ガス回収ラインは、気泡捕集器から延びて、気液分離装置の上部排出ラインと合流する、請求項13に記載のオリゴマーの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月3日付けの韓国特許出願第10-2020-0145157号に基づく優先権の利益を主張し、該当韓国特許出願の文献に開示されている全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、オリゴマーの製造装置に関し、オリゴマーの製造時に気泡捕集器を用いて、生成物排出ラインを介して排出される反応生成物ストリーム内に含まれた気泡を分離することで、前記生成物排出ラインに備えられた水位調節弁の目詰まりを防止することができるオリゴマーの製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
アルファオレフィン(alpha-olefin)は、共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに使用される重要な物質として商業的に広く使用され、特に、1-ヘキセンと1-オクテンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時に、ポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く使用されている。
【0004】
前記1-ヘキセンおよび1-オクテンのようなアルファオレフィンは、代表的に、エチレンのオリゴマー化反応により製造されている。前記エチレンオリゴマー化反応は、エチレンを反応物として使用して、触媒の存在下で、エチレンのオリゴマー化反応(三量体化反応または四量体化反応)により行われる。
【0005】
前記エチレンオリゴマー化反応は、反応条件に応じて反応器の内部に独立した気体空間形成(Gas Holdup)の割合が5%~40%の範囲で分布し、これにより、前記反応器から排出される反応生成物ストリームは、液相と気相を含む多相(multi-phase)で存在する。
【0006】
この際、反応器生成物排出ラインを介して気体と液体が混合された反応生成物ストリームが排出される場合、前記生成物排出ラインに備えられた水位調節弁(level control valve)の直後端の排出流れが停滞して強い抵抗を受ける臨界流動(choked flow)現象が発生し得る。また、前記水位調節弁の前後の流れがスムーズではなくなり、副反応によって生成された高分子の停滞現象まで加わり、最終的に水位調節弁の目詰まり現象につながる問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、上記発明の背景技術で言及した問題を解決するために、反応器の生成物排出ラインに備えられた水位調節弁での目詰まり現象を防止することができるオリゴマーの製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための本発明の一実施形態によると、本発明は、単量体ストリームの供給を受けてオリゴマー化反応させて反応生成物を製造する反応器と、前記反応器から排出される反応生成物ストリームを移送する生成物排出ラインと、前記生成物排出ラインの任意の領域に備えられ、反応生成物ストリーム内に含まれた気泡を除去する気泡捕集器と、を含むオリゴマーの製造装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のオリゴマーの製造装置によると、反応器の生成物排出ラインに気泡捕集器を備えて、前記生成物排出ラインを介して移送される気体と液体が混合された反応生成物ストリーム内に含まれている気泡を除去することで、生成物排出ラインで反応生成物ストリームの流れをスムーズにし、水位調節弁の目詰まり現象を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態によるオリゴマーの製造装置を含む工程フローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態による気泡捕集器内で反応生成物ストリームの流れを示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態による気泡捕集器内で反応生成物ストリームの流れを示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による気泡捕集器内で反応生成物ストリームの流れを示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による気泡捕集器内で反応生成物ストリームの流れを示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態による気泡捕集器内で反応生成物ストリームの流れを示す図である。
【
図7】比較例によるオリゴマーの製造装置を含む工程フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の説明および特許請求の範囲にて使用されている用語や単語は、通常的または辞書的な意味に限定して解釈してはならず、発明者らは、自分の発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に則って、本発明の技術的思想に合致する意味と概念に解釈すべきである。
【0012】
本発明において、用語「上部」は、容器内の装置の全高から50%以上の高さに該当する部分を意味し、「下部」は、容器もしくは装置の全高から50%未満の高さに該当する部分を意味し得る。
【0013】
本発明において、用語「ストリーム(stream)」は、工程内の流体(fluid)の流れを意味し得、また、配管内で流れる流体自体を意味し得る。具体的には、前記「ストリーム」は、各装置を連結する配管内で流れる流体自体および流体の流れを同時に意味し得る。また、前記流体は、気体(gas)、液体(liquid)などを意味し得る。前記流体に固体成分(sоlid)が含まれている場合を除くものではない。
【0014】
以下、本発明に関する理解を容易にするために、下記
図1~
図6を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0015】
本発明によると、オリゴマーの製造装置が提供される。前記オリゴマーの製造装置として、単量体ストリームの供給を受けてオリゴマー化反応させて反応生成物を製造する反応器10と、前記反応器10から排出される反応生成物ストリームを移送する生成物排出ライン11と、前記生成物排出ライン11の任意の領域に備えられ、反応生成物ストリーム内に含まれた気泡を除去する気泡捕集器20とを含むオリゴマーの製造装置を提供することができる。
【0016】
本発明の一実施形態によると、前記反応器10は、単量体ストリームの供給を受けてオリゴマー化反応させて、目的とするオリゴマー生成物を含む反応生成物を製造するためのものであることができる。
【0017】
前記反応器10でのオリゴマー化反応は、液相の反応媒体で行われることができる。前記液相の反応媒体は、反応器10の下部側面に供給されることができ、溶媒、触媒および助触媒からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0018】
前記溶媒は、例えば、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、シクロオクタン、デカン、ドデカン、ベンゼン、キシレン、1,3,5-トリメチルベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンおよび卜リクロロベンゼンからなる群から選択される1種以上を含むことができる。前記溶媒は、場合に応じて、2種を混合して使用することができる。
【0019】
前記触媒は、例えば、遷移金属供給源を含むことができる。前記遷移金属供給源は、例えば、クロム(III)アセチルアセトネート、クロム(III)クロライドテトラヒドロフラン、クロム(III)2-エチルヘキサノエート、クロム(III)トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオネート)、クロム(III)ベンゾイルアセトネート、クロム(III)ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオネート、クロム(III)アセテートヒドロキシド、クロム(III)アセテート、クロム(III)ブチレート、クロム(III)ペンタノエート、クロム(III)ラウレートおよびクロム(III)ステアレートからなる群から選択される1種以上を含む化合物であることができる。
【0020】
前記助触媒は、例えば、トリメチルアルミニウム(trimethyl aluminium)、トリエチルアルミニウム(triethyl aluminium)、トリイソプロピルアルミニウム(triisopropyl aluminium)、トリイソブチルアルミニウム(triisobutyl aluminum)、エチルアルミニウムセスキクロライド(ethylaluminum sesquichloride)、ジエチルアルミニウムクロライド(diethylaluminum chloride)、エチルアルミニウムジクロライド(ethyl aluminium dichloride)、メチルアルミノキサン(methylaluminoxane)、修飾メチルアルミノキサン(modified methylaluminoxane)およびボレート(Borate)からなる群から選択される1種以上を含むことができる。
【0021】
前記単量体は、エチレンを含むことができる。具体的には、エチレン単量体を含む単量体ストリームが反応器10に供給されて、オリゴマー化反応を経て、目的とするオリゴマーであるアルファオレフィンを製造することができる。この際、前記オリゴマー化反応は、反応器10の下部もしくは中部領域の反応媒体で行われ、触媒の存在下で、溶媒に溶解された液体状態で単量体のオリゴマー化反応が行われることができる。前記オリゴマー化反応は、単量体が小重合される反応を意味し得る。重合される単量体の個数に応じて、三量化(trimerization)、四量化(tetramerization)と称し、これをまとめて多量化(multimerization)とする。
【0022】
前記アルファオレフィンは、共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに使用される重要な物質として商業的に広く使用され、特に、1-ヘキセンと1-オクテンは、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時に、ポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く使用される。前記1-ヘキセンおよび1-オクテンのようなアルファオレフィンは、例えば、エチレンの三量体化反応または四量体化反応により製造することができる。
【0023】
前記反応器10は、例えば、連続攪拌槽型反応器(continuous stirred-tank reactor)、プラグ流反応器(plug flow reactor)および気泡塔反応器(bubble column reactor)からなる群から選択される1種以上の反応器を含むことができる。具体的な例として、前記反応器は、気泡塔反応器であることができる。
【0024】
前記反応器10において、単量体ストリームが供給されて行われるオリゴマー化反応は、10℃~180℃、30℃~150℃または50℃~120℃の温度下で行われることができる。また、前記オリゴマー化反応は、10bar.g~70bar.g、20bar.g~65bar.gまたは20bar.g~40bar.gの圧力下で行われることができる。前記温度範囲および圧力範囲内でエチレンをオリゴマー化反応させる時に、所望のアルファオレフィンに対して優れた選択度を有することができ、高分子副生成物の量が低減することができ、連続工程の運用上効率を上昇させ、費用を低減することができる。
【0025】
前記単量体ストリームは、気相で反応器10の下部に備えられた単量体供給ラインを介して反応器10に供給されることができる。この際、前記気相の単量体ストリームは、反応器10の下部に設置された多孔分散板を介して気体分散されて溶媒を含む液相の反応媒体に流入され、分散する力によって自然にミキシング(mixing)されてオリゴマー化反応が起こることができる。この際、反応条件に応じて、反応器10の内部に独立した気体空間形成(Gas Holdup)の割合が5%~40%の範囲で分布し、これにより、反応生成物は、液相と気相を含む多相(multi-phase)として存在する。
【0026】
前記反応器10で生成された反応生成物は、生成物排出ライン11を介して反応器10から排出されることができる。この際、反応器10から生成物排出ライン11を介して気体と液体が混合された反応生成物ストリームが排出される場合、前記生成物排出ライン11に備えられた水位調節弁12(level control valve)の直後端の排出流れが停滞し、強い抵抗を受ける臨界流動(choked flow)現象が発生し得る。また、前記水位調節弁12の前後の流れがスムーズではなくなり、副反応によって生成された高分子の停滞現象まで加わり、最終的に、水位調節弁12の目詰まり現象につながる問題がある。
【0027】
これに対して、本発明では、前記生成物排出ライン11の任意の領域に気泡捕集器20(bubble catcher)を備えて、前記反応生成物ストリーム内に含まれた気泡を除去することで、流れをスムーズにすることができる。
【0028】
本発明の一実施形態によると、前記気泡捕集器20は、内部に備えられた圧力計22をさらに含むことができる。前記圧力計22は、気泡捕集器20の内部で気泡は上昇移動し、上部に停滞している気泡は、圧力計22のモニタリングにより必要な時にガス回収ライン21に排出されることができる。具体的には、前記圧力計22は、気泡捕集器20の内部で上昇移動して停滞している気泡に応じて変化する気泡捕集器20の内部の圧力を測定し、前記気泡捕集器20の内部の圧力が、例えば、反応器10の圧力との差が1bar.g以下、0.1bar.g~1bar.gまたは0.3bar.g~1bar.gに減少する場合、気泡が気泡捕集器20の内部空間を充分に満たしたと判断し、満たされた気泡が液相の反応生成物の流れを妨げないように、前記気泡捕集器20の上部から連結されるガス回収ライン21を介して停滞していた気泡を排出することができる。この際、前記ガス回収ライン21に遮断弁(block valve)を備えて、圧力計22のモニタリングにより開放(open)または遮断(close)作動させて、必要に応じて、気泡捕集器20の内部に停滞している気泡を排出することができる。
【0029】
本発明の一実施形態によると、前記気泡捕集器20は、内部に備えられた邪魔板23(baffle)をさらに含むことができる。具体的には、前記気泡捕集器20の下部の両側面には、それぞれ、入口および出口が形成されることができ、前記反応生成物ストリームは、気泡捕集器20の入口に供給されることができ、気泡捕集器20内部から移送されて出口に排出されることができる。この際、前記邪魔板23は、気泡捕集器20の底面から垂直に備えられることができ、これにより、前記反応生成物ストリームは、気泡捕集器20内の入口から出口まで直線に流れず、屈曲をもって流れることができる。この場合、前記反応生成物ストリームが邪魔板23によって移送される経路が長くなり、これにより、前記気泡捕集器20内での滞留時間が長くなり、気泡は上昇し、液相の反応生成物は出口に向かって流れることで、前記反応生成物ストリーム内に含まれた気泡の除去がより容易になることができる。
【0030】
前記邪魔板23は、気泡捕集器20内に1個~3個、1個~2個または1個備えられることができる。具体的な例として、前記邪魔板23は、気泡捕集器20内に1個備えられることができる。この場合、前記気体および液体が混在する反応生成物ストリームの流れが大きく停滞しないとともに、気泡が充分に上部領域の空間に排出されるようにすることができる。また、前記反応生成物ストリームに含まれ得る副生成物である高分子による装置のファウリング(fouling)現象を最小化することができる。
【0031】
前記気泡捕集器20は、前記気泡捕集器20内で反応生成物の流れを出口方向に案内する案内部25をさらに含むことができる。具体的には、前記案内部25は、前記気泡捕集器20内で反応生成物の流れが出口方向に案内されるように、気泡捕集器20の底面および邪魔板23と所定の間隔を置いて形成されることができる。例えば、前記案内部25は、気泡捕集器20の入口側の内壁下部から水平に延び、前記水平に延びた端部から上方に垂直に延び、前記垂直に延びた端部からまた水平に延び、邪魔板23と後述するデミスタ24(demister)との間の領域まで連結されることができる。前記案内部25によって気泡捕集器20内で移送される反応生成物を気泡捕集器20の入口から出口方向に案内するとともに、前記案内部25は、前記気泡捕集器20内で移送される反応生成物ストリームが邪魔板23によって流れの方向が変化する時に、渦流が発生することを防止し、気泡とともに飛沫同伴される液体および高分子によるガス回収ライン21の汚染を最小化することができる。
【0032】
本発明の一実施形態によると、前記気泡捕集器20は、内部に備えられたデミスタ24をさらに含むことができる。具体的には、前記デミスタ24は、気泡捕集器20内で気泡とともに上昇移動する液相の反応生成物を分離するための装置であり、気泡捕集器20の内部の上部領域に備えられることができる。
【0033】
前記デミスタ24は、前記気泡捕集器20の内部において、反応生成物ストリームが移送される領域の上部の独立した気体空間に形成されることができる。具体的な例として、前記デミスタ24は、前記邪魔板23によって反応生成物ストリームの流れが変化する領域と対応する上部領域に形成されることができる。この場合、前記邪魔板23によって流れが変化して、反応生成物ストリーム内に含まれていた気泡が排出され上部領域に上昇移動する時に、前記気泡とともに飛沫同伴(entrainment)される液相の反応生成物に対して、デミスタ24を用いて除去することが容易であることができる。
【0034】
本発明の一実施形態によると、前記生成物排出ライン11の任意の領域には、反応器10内の触媒反応を一定に維持するために、液相の水位、すなわち、反応媒体の水位を調節するための水位調節弁12が備えられることができる。例えば、前記水位調節弁12は、生成物排出ライン11を介して排出される反応生成物ストリームの流量を制御することで、反応器10内の液相の水位を一定に維持することができる。
【0035】
この際、前記生成物排出ライン11において、気泡捕集器20は、反応生成物ストリームの流れの方向を基準に、水位調節弁12の前端に備えられることができる。これにより、気体と液体が混在する反応生成物ストリーム内の気体を除去し、前記気体成分が除去された反応生成物ストリームが水位調節弁12を通過するようにすることで、水位調節弁12の直後端の排出流れが停滞することを防止して流れをスムーズにし、水位調節弁12の目詰まり現象を防止することができる。
【0036】
前記水位調節弁12を通過した反応生成物ストリームは、精製部に供給し、通常の分離精製過程を経て目的とするオリゴマーを分離精製した後、製品化することができる。
【0037】
本発明の一実施形態によると、前記反応器10でオリゴマー化反応時に未反応の単量体を含む気相ストリームは、反応器10の上部から排出されることができる。前記反応器10の上部から排出された気相ストリームは、凝縮器30を通過しながら凝縮し、気液分離装置40に供給されることができる。例えば、前記気液分離装置40は、フラッシュドラム(flash drum)であることができる。
【0038】
前記気液分離装置40では、凝縮器30を通過しながら凝縮した凝縮物と未凝縮物とを分離することができる。この際、未凝縮物は、気液分離装置40で気相ストリームとして気液分離装置40の上部排出ライン41を介して排出されることができる。また、前記気液分離装置40から排出された気相ストリームは、未反応単量体を含むものとして、除去するか、反応器10に循環させてオリゴマー反応にまた参加することができる。
【0039】
前記気液分離装置40において、凝縮物は、気液分離装置40で液相ストリームとして気液分離装置40の下部排出ラインを介して排出されることができる。また、前記気液分離装置40から排出された液相ストリームは、反応媒体を含むものであり、除去するか、反応器10に循環させて再使用することができる。
【0040】
本発明の一実施形態によると、前記気泡捕集器20のガス回収ライン21は、気泡捕集器20から延びて、気液分離装置40の上部排出ライン41と合流させることができる。具体的には、前記気泡捕集器20のガス回収ライン21を介して排出される反応生成物ストリームから分離された気泡は、気相の単量体を含むものであり、前記気液分離装置40から排出される気相ストリームと類似した成分を有し、気液分離装置40の上部排出ライン41と合流させて除去するか、反応器10に循環させることができる。
【0041】
以上、本発明によるオリゴマーの製造装置について記載および図面に図示しているが、前記の記載および図面の図示は、本発明を理解するための核心的な構成のみを記載および図示したものであり、前記記載および図面に図示した工程および装置の他に、別に記載および図示していない工程および装置は、本発明によるオリゴマーの製造装置を使用するために適切に応用して用いられることができる。
【0042】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。しかし、下記の実施例は、本発明を例示するためのものであって、本発明の範疇および技術思想の範囲内で様々な変更および修正が可能であることは、通常の技術者にとって明白であり、これらのみに本発明の範囲が限定されるものではない。
【0043】
実施例
実施例1
下記
図1のように、気泡塔反応器10にエチレン単量体および反応媒体を供給してオリゴマー化反応させて反応生成物を製造した。
【0044】
前記反応器10から排出される気相ストリームは、凝縮器30を経て気液分離装置40に供給し、未凝縮物を含む気相ストリームは、気液分離装置40の上部排出ライン41を介して排出させた。
【0045】
前記反応器10から排出される反応生成物ストリームは、生成物排出ライン11を介して排出させ、
図2のような流れで1個の邪魔板23を含む気泡捕集器20を通過しながら反応生成物ストリーム内の気泡を除去した。この際、前記気泡捕集器20に供給される反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が約15重量%であると確認され、気泡捕集器20を通過した反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が3重量%以下であると確認された。
【0046】
前記気泡捕集器20から排出される反応生成物は、水位調節弁12を通過させて排出した。この際、圧力計22を介して気泡捕集器20の内部の圧力をモニタリングし、反応器10の圧力との差が1bar.g以下に圧力が減少する場合、前記気泡捕集器20の内部の上部領域に停滞している気泡は、ガス回収ライン21を介して排出し、気液分離装置40の上部排出ライン41に合流させた。
【0047】
結果、前記気泡捕集器20の後端に備えられた水位調節弁12の目詰まりが発生し、洗浄を要する洗浄周期が8時間以上に示された。
【0048】
実施例2
前記実施例1で、前記生成物排出ライン11を介して排出される反応生成物ストリームを、
図3のような流れで2個の邪魔板23を含む気泡捕集器20を通過しながら反応生成物ストリーム内の気泡を除去した以外は、前記実施例1と同じ方法で行った。この際、前記気泡捕集器20に供給される反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が約15重量%であると確認され、気泡捕集器20を通過した反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が3重量%以下であると確認された。
【0049】
結果、前記気泡捕集器20の後端に備えられた水位調節弁12の目詰まりが発生し、洗浄を要する洗浄周期が8時間以上に示され、前記実施例1に比べて邪魔板23の個数が増加して飛沫同伴され、ガス回収ライン21に流出される液体および高分子の量が多少増加したものと示された。
【0050】
実施例3
前記実施例1で、前記生成物排出ライン11を介して排出される反応生成物ストリームを、
図4のような流れで1個の邪魔板23およびデミスタ24を含む気泡捕集器20を通過しながら反応生成物ストリーム内の気泡を除去した以外は、前記実施例1と同じ方法で行った。この際、前記気泡捕集器20に供給される反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が約15重量%であると確認され、気泡捕集器20を通過した反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が3重量%以下であると確認された。
【0051】
結果、前記気泡捕集器20の後端に備えられた水位調節弁12の目詰まりが発生し、洗浄を要する洗浄周期が8時間以上に示され、実施例1に比べてデミスタ24によって飛沫同伴され、ガス回収ライン21に流出される液体および高分子の量が減少したものと示された。
【0052】
実施例4
前記実施例1で、前記生成物排出ライン11を介して排出される反応生成物ストリームを、
図5のような流れで1個の邪魔板23および案内部25を含む気泡捕集器20を通過しながら反応生成物ストリーム内の気泡を除去した以外は、前記実施例1と同じ方法で行った。この際、前記気泡捕集器20に供給される反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が約15重量%であると確認され、気泡捕集器20を通過した反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が3重量%以下であると確認された。
【0053】
結果、前記気泡捕集器20の後端に備えられた水位調節弁12の目詰まりが発生し、洗浄を要する洗浄周期が8時間以上に示され、実施例1に比べて案内部25によって飛沫同伴され、ガス回収ライン21に流出される液体および高分子の量が減少したものと示された。
【0054】
実施例5
前記実施例1で、前記生成物排出ライン11を介して排出される反応生成物ストリームを、
図6のような流れで1個の邪魔板23、デミスタ24および案内部25を含む気泡捕集器20を通過しながら反応生成物ストリーム内の気泡を除去した以外は、前記実施例1と同じ方法で行った。この際、前記気泡捕集器20に供給される反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が約15重量%であると確認され、気泡捕集器20を通過した反応生成物ストリームは、全含量に対して気相成分の含量が3重量%以下であると確認された。
【0055】
結果、前記気泡捕集器20の後端に備えられた水位調節弁12の目詰まりが発生し、洗浄を要する洗浄周期が8時間以上に示され、邪魔板23を1個使用し、デミスタ24および案内部25をさらに備えることで、前記気泡捕集器20で飛沫同伴され、ガス回収ライン21に流出される液体および高分子の量を実施例1~実施例4に比べて著しく減少させることで、ガス回収ライン21の目詰まりを防止し、運転がより安定化したことを確認することができた。
【0056】
比較例
比較例1
下記
図7のように、気泡塔反応器10にエチレン単量体および反応媒体を供給してオリゴマー化反応させて反応生成物を製造した。
【0057】
前記反応器10から排出される気相ストリームは、凝縮器30を経て気液分離装置40に供給し、未凝縮物を含む気相ストリームは、気液分離装置40の上部排出ライン41を介して排出させた。
【0058】
前記反応器10から排出される反応生成物ストリームは、水位調節弁12が備えられた生成物排出ライン11を介して排出させた。この際、前記反応生成物ストリームは、全含量に対して、気相成分の含量が約15重量%であると確認された。
【0059】
結果、前記気泡捕集器20の後端に備えられた水位調節弁12の目詰まりが発生し、洗浄を要する洗浄周期が4時間以下となり、実施例1~実施例5に比べて著しく短縮したことを確認することができた。
【手続補正書】
【提出日】2022-04-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単量体ストリームの供給を受けてオリゴマー化反応させて反応生成物を製造する反応器と、
前記反応器から排出される反応生成物ストリームを移送する生成物排出ラインと、
前記生成物排出ラインの任意の領域に備えられ、反応生成物ストリーム内に含まれた気泡を除去する気泡捕集器と、を含む、オリゴマーの製造装置。
【請求項2】
前記単量体
ストリームは、エチレン単量体を含む、請求項1に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項3】
前記生成物排出ラインの任意の領域に備えられた水位調節弁をさらに含む、請求項1または2に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項4】
前記気泡捕集器は、反応生成物ストリームの流れの方向を基準に、水位調節弁の前端に備えられている、請求項3に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項5】
前記気泡捕集器は、内部に備えられた邪魔板をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項6】
前記邪魔板は、気泡捕集器内で反応生成物ストリームの流れの方向に対して垂直に備えられている、請求項5に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項7】
前記邪魔板は、1個~3個備えられている、請求項5または6に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項8】
前記邪魔板は、1個備えられている、請求項7に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項9】
前記気泡捕集器は、前記気泡捕集器内で反応生成物の流れを出口方向に案内する案内部をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項10】
前記気泡捕集器は、内部に備えられたデミスタをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項11】
前記デミスタは、前記気泡捕集器の上部領域に備えられている、請求項10に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項12】
前記気泡捕集器に備えられた圧力計をさらに含み、
前記気泡捕集器の内部で気泡は上昇移動し、上部に停滞している気泡は、圧力計のモニタリングにより必要な時に排出される、請求項1から11のいずれか一項に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項13】
前記反応器の上部から排出される気相ストリームは、凝縮器を通過して気液分離装置に供給され、前記気液分離装置で気相ストリームは、上部排出ラインを介して排出される、請求項12に記載のオリゴマーの製造装置。
【請求項14】
前記気泡捕集器の上部から連結されるガス回収ラインをさらに含み、
前記ガス回収ラインは、気泡捕集器から延びて、気液分離装置の上部排出ラインと合流する、請求項13に記載のオリゴマーの製造装置。
【国際調査報告】