(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-10
(54)【発明の名称】熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 25/12 20060101AFI20230203BHJP
C08L 55/02 20060101ALI20230203BHJP
C08L 33/06 20060101ALI20230203BHJP
C08L 67/00 20060101ALI20230203BHJP
C08L 71/02 20060101ALI20230203BHJP
【FI】
C08L25/12
C08L55/02
C08L33/06
C08L67/00
C08L71/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022521700
(86)(22)【出願日】2021-08-19
(85)【翻訳文提出日】2022-04-11
(86)【国際出願番号】 KR2021011001
(87)【国際公開番号】W WO2022092512
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0141893
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0107006
(32)【優先日】2021-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】スンフン・ハン
(72)【発明者】
【氏名】ジノ・ナム
(72)【発明者】
【氏名】ソン・リョン・キム
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BC06W
4J002BG03X
4J002BN155
4J002BN15Y
4J002CF055
4J002CF104
4J002CH025
4J002GN00
(57)【要約】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品に関し、より詳細には、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品に関する。
本発明によれば、流動性及び耐衝撃性、引張強度などの機械的物性に優れながら、耐化学性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品を提供する効果がある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と、
(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と、
(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%とを含むベース樹脂100重量部に、
(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部、及び
(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含み、
前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(A)グラフト共重合体は、共役ジエン化合物を含んでなる平均粒径0.2~0.5μmの共役ジエンゴム45~75重量%、芳香族ビニル化合物15~45重量%、及びビニルシアン化合物1~25重量%を含んでなることを特徴とする、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物35~60重量%、α-メチルスチレン系化合物30~50重量%、及びビニルシアン化合物10~20重量%を含んでなることを特徴とする、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂は、ASTM D1238に準拠して230℃、2.16kg下で測定した溶融指数が0.1~10g/10分であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体;脂肪族ジオール;及びポリアルキレンオキシド;を溶融重合した後、生成物を固相重合させて収得された樹脂であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(E)変性ポリエステル樹脂は、1,4-シクロヘキサンジメタノール由来の単位が50重量%以上であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項7】
前記ベース樹脂は、(A)グラフト共重合体、(B)共重合体、(C)共重合体、及び(G)塊状重合ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体を合わせた総重量に対して、前記(G)共重合体1~20重量%を含むことを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項8】
前記(G)塊状重合ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム5~20重量%、芳香族ビニル化合物55~85重量%及びビニルシアン化合物5~25重量%を含んで塊状重合された塊状共重合体であることを特徴とする、請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項9】
前記ベース樹脂100重量部に対して(F)アルキレンオキシド共重合体0.3~5重量部を含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項10】
2.0%のひずみ(strain)を有する曲率ジグ(jig)に160×10×4mmの試験片を固定し、アムウェイ社の芳香剤であるアロマナチュラル(製品名)を0.1cc塗布した後、試験片にクラックが発生する時間を測定する耐化学性評価において、24時間後にクラックが発生しないことを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項11】
ISO 179/1eAに準拠して厚さ4mmの試験片にノッチ(notch)を付けて測定したシャルピー衝撃強度が26kJ/m
2以上であることを特徴とする、請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項12】
ISO 1133に準拠して220℃、10kg下で測定した溶融流れ指数(MFR)が15g/10分以上であることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
【請求項13】
(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と、(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と、(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%とを含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含んで200~300℃及び200~700rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含み、
前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2020年10月29日付の韓国特許出願第10-2020-0141893号及びこれに基づいて2021年08月13日付で再出願された韓国特許出願第10-2021-0107006号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品に関し、より詳細には、流動性及び耐衝撃性、引張強度などの機械的物性に優れながら、耐化学性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品に関する。
【背景技術】
【0003】
アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂に代表されるビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体(以下、「ABS系樹脂」という)は、既存の高強度ポリスチレン(High-Impact PolyStyrene;HIPS)の欠点である低い耐熱性及び剛性を解決したもので、高い耐衝撃性、耐化学性、熱安定性、着色性、耐疲労性、剛性、加工性などの物性に優れるが、特に加工性に優れる。このような特性により、ABS系樹脂は自動車用内/外装材、事務用機器、各種電気/電子製品などの部品または玩具類などの材料として使用されている。
【0004】
特に、自動車用内装材の一種であるカップホルダーなどの場合、芳香剤などの化学製品との接触によりクラックが発生するという問題がある。
【0005】
これを解決するために、分子量の高いスチレン-アクリロニトリル共重合体がグラフトされたアクリレート-スチレン-アクリロニトリル共重合体及び結晶性高分子を適用したが、耐衝撃性及び流動性が低いという問題がある。
【0006】
したがって、耐化学性に優れながらも、耐衝撃性及び流動性に優れた熱可塑性樹脂組成物の開発が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2006-0131373号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の従来技術の問題点を解決するために、本発明は、耐衝撃性、引張強度などの機械的物性及び流動性に優れながら、耐化学性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品を提供することを目的とする。
【0009】
本発明の上記目的及びその他の目的は、以下で説明する本発明によって全て達成することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;(G)塊状重合ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0012】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部、(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部及び(F)アルキレンオキシド共重合体0.3~5重量部を含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0013】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなり、2.0%のひずみ(strain)を有する曲率ジグ(jig)に160×10×4mmの試験片を固定し、アムウェイ社の芳香剤であるアロマナチュラル(製品名)を0.1cc塗布した後、試験片にクラックが発生する時間を測定する耐化学性評価において、24時間後にクラックが発生しないことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物を提供することができる。
【0014】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含んで200~300℃及び200~700rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供する。
【0015】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;(G)塊状重合ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含んで200~300℃及び200~700rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
【0016】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部、(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部及び(F)アルキレンオキシド共重合体0.3~5重量部を含んで200~300℃及び200~700rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
【0017】
また、本発明は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含んで200~300℃及び200~700rpmの条件下で混練及び押出して熱可塑性樹脂組成物を製造するステップを含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなるものであり、製造された熱可塑性樹脂組成物は、2.0%のひずみ(strain)を有する曲率ジグ(jig)に160×10×4mmの試験片を固定し、アムウェイ社の芳香剤であるアロマナチュラル(製品名)を0.1cc塗布した後、試験片にクラックが発生する時間を測定する耐化学性評価において、24時間後にクラックが発生しないことを特徴とする熱可塑性樹脂組成物の製造方法を提供することができる。
【0018】
また、本発明は、前記熱可塑性樹脂組成物を含むことを特徴とする成形品を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、耐衝撃性、引張強度などの機械的物性及び流動性に優れながらも、耐化学性に優れるため自動車内装材用として適用可能な熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品を提供する効果がある。
【0020】
具体的に本発明の熱可塑性樹脂組成物は、アムウェイ社の芳香剤であるアロマナチュラル(製品名)で実験した耐化学性テストにおいて、24時間後にもクラックが発生しないという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及びそれから製造された成形品を詳細に説明する。
【0022】
本発明者らは、ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体と、ビニルシアン化合物を所定の含量で含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体とを所定の含量で含むベース樹脂に、ポリエーテルエステルエラストマー樹脂及び変性ポリエステル樹脂を所定の含量で含む場合、機械的物性、流動性及び耐化学性が著しく改善される効果を確認し、これに基づいてさらに研究に邁進して本発明を完成するようになった。
【0023】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と;(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と;(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%と;を含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする。このような場合、耐衝撃性、引張強度などの機械的物性及び流動性に優れながらも、耐化学性に優れるという効果がある。
【0024】
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物を構成別に詳細に説明する。
【0025】
(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体
本発明の(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、一例として、ベース樹脂中に10~40重量%、好ましくは15~40重量%、より好ましくは20~35重量%であってもよく、この範囲内で、機械的強度、流動性及び物性バランスに優れるという効果がある。
【0026】
前記(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、好ましくは、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム40~80重量%、芳香族ビニル化合物10~40重量%、及びビニルシアン化合物1~20重量%を含んでグラフト重合されたグラフト共重合体であってもよく、この場合、耐衝撃性に優れるという効果がある。
【0027】
より好ましくは、前記ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム45~70重量%、芳香族ビニル化合物20~40重量%、及びビニルシアン化合物5~20重量%を含んでグラフト重合されたグラフト共重合体であってもよく、この場合、耐衝撃性に優れるという効果がある。
【0028】
さらに好ましくは、前記ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム50~65重量%、芳香族ビニル化合物20~35重量%、及びビニルシアン化合物5~15重量%を含んでグラフト重合されたグラフト共重合体であってもよく、この場合、耐衝撃性に優れるという効果がある。
【0029】
前記共役ジエンゴムは、好ましくは平均粒径が50~500nmであってもよく、より好ましくは100~500nm、さらに好ましくは150~400nm、より一層好ましくは200~350nm、最も好ましくは250~320nmであり、この範囲内で、熱可塑性樹脂組成物の機械的物性、着色性などの物性に優れるという効果がある。
【0030】
本発明において、共役ジエンゴムの平均粒径は、動的光散乱法(dynamic light scattering)を用いて測定することができ、詳細には、粒子測定器(製品名:Nicomp380、製造社:PSS)を用いてガウス(Gaussian)モードで強度(intensity)値で測定する。このとき、具体的な測定例として、サンプルは、ラテックス(TSC35~50wt%)0.1gを脱イオン水又は蒸留水で1,000~5,000倍希釈し、すなわち、Intensity Setpoint 300kHzを大きく外れないように適切に希釈し、ガラス管(glass tube)に入れて準備し、測定方法は、自動希釈(Auto-dilution)してフローセル(flow cell)で測定し、測定モードは、動的光散乱法(dynamic light scattering)/強度(Intensity) 300KHz/強度-重量ガウス分析(Intensity-weight Gaussian Analysis)とし、設定(setting)値は、温度23℃、測定波長632.8nm、チェンネル幅(channel width) 10μsecとして測定することができる。
【0031】
前記共役ジエン化合物は、一例として、1,3-ブタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、イソプレン、クロロプレン及びピペリレンからなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0032】
前記芳香族ビニル化合物は、一例として、スチレン、α-メチルスチレン、ο-メチルスチレン、ρ-メチルスチレン、m-メチルスチレン、エチルスチレン、イソブチルスチレン、t-ブチルスチレン、ο-ブロモスチレン、ρ-ブロモスチレン、m-ブロモスチレン、ο-クロロスチレン、ρ-クロロスチレン、m-クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、フルオロスチレン及びビニルナフタレンからなる群から選択される1種以上であってもよい。
【0033】
前記ビニルシアン化合物は、一例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリル及びこれらの誘導体からなる群から選択された1種以上であってもよい。
【0034】
前記共役ジエンゴムは、好ましい実施例としては、ブタジエン重合体、ブタジエン-スチレン共重合体、ブタジエン-アクリロニトリル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体及びこれらから誘導された重合体のうちの1種以上であってもよいが、これに限定されるものではないことを明示する。
【0035】
本発明において、誘導された重合体というのは、元々共重合体に含まれていない他の単量体や重合体が共に共重合されたもの、またはその単量体の誘導体で共重合されたものを意味する。
【0036】
本発明において、誘導体は、原化合物の水素原子又は原子団が他の原子又は原子団で置換された化合物であり、一例として、ハロゲン又はアルキル基で置換された化合物を意味する。
【0037】
前記ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体は、一例として、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などを含む公知の重合方法により製造可能であり、好ましくは乳化重合で製造されてもよい。
【0038】
前記ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体を乳化重合により製造する方法は、好ましくは、前記グラフト共重合体に含まれる共役ジエンゴム、芳香族ビニル化合物及びビニルシアン化合物の総100重量部を基準として、共役ジエンゴム40~80重量%、乳化剤0.1~5重量部、分子量調節剤0.1~3重量部及び重合開始剤0.05~1重量部からなる混合溶液に、ビニルシアン化合物1~20重量%及び芳香族ビニル化合物10~40重量%を含む単量体混合物を連続又は一括投入して重合するステップを含むことができる。
【0039】
前記乳化剤は、一例として、アリルアリールスルホネート、アルカリメチルアルキルスルホネート、スルホン化アルキルエステル、脂肪酸石鹸及びロジン酸アルカリ塩からなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、重合反応の安定性に優れるという効果がある。
【0040】
前記分子量調節剤は、一例として、t-ドデシルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン及び四塩化炭素からなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはt-ドデシルメルカプタンである。
【0041】
前記重合開始剤は、一例として、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、及び過硫酸アンモニウムからなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、重合効率及び製造される重合体の物性が優れるという効果がある。
【0042】
前記乳化重合により収得されたラテックスは、一例として、硫酸、MgSO4、CaCl2及びAl2(SO4)3からなる群から選択された1種以上の凝集剤で凝集した後、熟成、脱水及び乾燥して粉末状態で得ることができる。
【0043】
前記ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体の製造方法は、本発明の定義に従う限り、本発明の属する技術分野で通常使用される条件、方法及び装置などを用いる場合、特に制限されない。
【0044】
(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体
本発明の(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、一例として、ベース樹脂中に18~52重量%、好ましくは20~50重量%、より好ましくは25~45重量%であってもよく、この範囲内で、耐衝撃性、流動性及び耐化学性がいずれも優れるという利点がある。
【0045】
前記(B)共重合体は、一例として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物30~55重量%、α-メチルスチレン系化合物25~50重量%及びビニルシアン化合物10~30重量%を含んでなるものであり、この範囲内で、耐衝撃性、耐熱度及び流動性に優れるという利点がある。
【0046】
前記(B)共重合体は、好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物35~50重量%、α-メチルスチレン系化合物30~45重量%及びビニルシアン化合物12~27重量%を含んでなるものであってもよく、この範囲内で、耐衝撃性、耐熱度及び流動性に優れるという利点がある。
【0047】
前記(B)共重合体は、より好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物40~45重量%、α-メチルスチレン系化合物35~40重量%及びビニルシアン化合物17~22重量%を含んでなるものであってもよく、この範囲内で、耐衝撃性、耐熱度及び流動性に優れるという利点がある。
【0048】
前記(B)共重合体は、一例として、重量平均分子量が50,000~200,000g/mol、好ましくは70,000~150,000g/mol、より好ましくは80,000~120,000g/molであってもよく、この範囲内で、衝撃強度及び引張強度などの機械的物性に優れ、射出成形性に優れるという効果がある。
【0049】
本発明において、重量平均分子量及び数平均分子量は、別途に定義しない限り、GPC(Gel Permeation Chromatography、waters breeze)を用いて測定することができ、具体例として、溶出液としてTHF(テトラヒドロフラン)を用い、GPC(Gel Permeation Chromatography、waters breeze)を通じて、標準PS(標準ポリスチレン:standard polystyrene)試料に対する相対値として測定することができる。このとき、具体的な測定例として、溶媒:THF、カラム温度:40℃、流速:0.3ml/分、試料の濃度:20mg/ml、注入量:5μl、カラムモデル:1×PLgel 10μm MiniMix-B(250×4.6mm)+1×PLgel 10μm MiniMix-B(250×4.6mm)+1×PLgel 10μm MiniMix-B Guard(50×4.6mm)、装置名:Agilent 1200シリーズシステム、屈折率検出器(Refractive index detector):Agilent G1362 RID、RI温度:35℃、データの処理:Agilent ChemStation S/W、試験方法(Mn、Mw及びPDI):OECD TG 118の条件で測定することができる。
【0050】
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体は、一例として、アルキル基の炭素数が1~20個、好ましくは1~10個であるメタクリル酸アルキルエステルまたはアクリル酸アルキルエステルから選択された1種以上であってもよく、好ましくはメチルメタクリレートであってもよい。
【0051】
前記α-メチルスチレン系化合物は、一例として、α-メチルスチレン及びその誘導体からなる群から選択された1種以上であってもよく、この場合、耐熱性に優れるという効果がある。
【0052】
前記α-メチルスチレンの誘導体は、好ましくは、その水素のうち1又は2以上が炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン基などの置換基で置換された化合物であってもよく、より好ましくは、その芳香族環(aromatic ring)中の水素のうち1又は2以上が炭素数1~10のアルキル基、ハロゲン基などの置換基で置換された化合物であってもよい。
【0053】
前記(B)共重合体に含まれたビニルシアン化合物の種類は、本発明の(A)グラフト共重合体に含まれるビニルシアン化合物の種類と同じ範疇内のものであってもよい。
【0054】
前記(B)共重合体は、一例として、溶液重合、塊状重合、乳化重合または懸濁重合により製造されてもよく、好ましくは塊状重合であってもよい。
【0055】
前記溶液重合、塊状重合、乳化重合及び懸濁重合は、それぞれ本発明の属する技術分野で通常行われる乳化重合及び懸濁重合方法による場合、特に制限されない。
【0056】
(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体
本発明の(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、一例として、ベース樹脂中に13~55重量%、好ましくは15~50重量%、より好ましくは20~45重量%含まれてもよく、この範囲内で、機械的強度、流動性及び物性バランスに優れるという効果がある。
【0057】
前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、好ましくは、芳香族ビニル化合物75~90重量%及びビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなってもよく、この場合、熱可塑性樹脂組成物の流動性の向上により加工性及び生産性に優れるという利点がある。
【0058】
前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、より好ましくは、芳香族ビニル化合物75~85重量%及びビニルシアン化合物15~25重量%を含んでなってもよく、この場合、熱可塑性樹脂組成物の加工性及び生産性に優れながらも、衝撃強度などの機械的物性、耐熱性及び着色性などに優れるという利点がある。
【0059】
前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、さらに好ましくは、芳香族ビニル化合物75~80重量%及びビニルシアン化合物20~25重量%を含んでなってもよく、この場合、熱可塑性樹脂組成物の加工性及び生産性に優れながらも、衝撃強度などの機械的物性、耐熱性及び着色性などに優れるという効果がある。
【0060】
前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、重量平均分子量が、好ましくは50,000~200,000g/molであってもよく、より好ましくは80,000~180,000g/mol、さらに好ましくは100,000~150,000g/mol、より一層好ましくは120,000~150,000g/molであり、この範囲内で、目的とする流動性を獲得して加工性、生産性などに優れ、着色性に優れるという利点がある。
【0061】
前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体は、一例として、塊状重合または乳化重合により製造することができるが、製造コストの面で塊状重合により製造することが好ましい。
【0062】
前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体の製造方法は、本発明の定義に従う限り、本発明の属する技術分野で通常使用される条件、方法及び装置などを用いる場合、特に制限されない。
【0063】
(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂
本発明の(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂は、一例として、ベース樹脂100重量部に対して7~17重量部、好ましくは7~15重量部、より好ましくは9~15重量部含まれてもよく、この範囲内で、機械的物性、耐熱性、流動性及び耐化学性に優れるという効果がある。
【0064】
前記(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂は、一例として、ASTM D1238に準拠して230℃、2.16kg下で測定した溶融指数が0.1~10g/10分、好ましくは1~10g/10分、より好ましくは3~7g/10分であってもよく、この範囲内で、熱可塑性樹脂組成物の成形性及び加工性に優れながらも、耐化学性が改善されるという効果がある。
【0065】
前記(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂は、一例として、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体;脂肪族ジオール;及びポリアルキレンオキシド;を溶融重合した後、生成物を固相重合させて収得することができる。好ましくは、前記樹脂は、芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体と脂肪族ジオール(diol)から形成される硬質分画とポリアルキレンオキシドを主成分とする軟質分画のランダム共重合体である。
【0066】
前記芳香族ジカルボン酸は、一例として、テレフタル酸(terephthalic acid、TPA)、イソフタル酸(isophthalic acid、IPA)、2,6-ナフタレンジカルボン酸(2,6-naphthalene dicarboxylic acid、2,6-NDCA)、1,5-ナフタレンジカルボン酸(1,5-naphthalene dicarboxylic acid、1,5-NDCA)、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸(1,4-cyclohexane dicarboxylic acid、1,4-CHDA)と二酸がジメチル基で置換された芳香族ジカルボキシレート(aromatic dicarboxylate)であるジメチルテレフタレート(dimethyl terephthalate、DMT)、ジメチルイソフタレート(dimethyl isophthalate、DMI)、2,6-ジメチルナフタレンジカルボキシレート(2,6-dimethyl naphthalene dicarboxylate、2,6-NDC)及びジメチル1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート(dimethyl 1,4-cyclohexanedicarboxylate、DMCD)からなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくはジメチルテレフタレートであってもよい。
【0067】
前記芳香族ジカルボン酸またはそのエステル形成誘導体は、一例として、ポリエーテルエステルエラストマー樹脂の総100重量%に対して25~60重量%、好ましくは29~55重量%、より好ましくは34~45重量%であってもよく、この範囲内で、反応バランスに優れるという効果がある。
【0068】
また、前記脂肪族ジオールは、好ましくは、数平均分子量(Mn)300g/mol以下のジオールであってもよく、より好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール(1,4-butane diol、1,4-BG)、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及び1,4-シクロヘキサンジメタノール(1,4-cyclohexanedimethanol、1,4-CHDM)からなる群から選択された1種以上であってもよく、より好ましくは1,4-ブタンジオールであってもよい。
【0069】
前記脂肪族ジオールは、一例として、ポリエーテルエステルエラストマー樹脂の総100重量%に対して10~40重量%、好ましくは15~40重量%、より好ましくは20~30重量%であってもよく、この範囲内で、反応バランスに優れるという効果がある。
【0070】
前記ポリアルキレンオキシドは、軟質分画を構成する単位であって、脂肪族ポリエーテルを構成成分とすることができる。前記ポリアルキレンオキシドは、一例として、ポリオキシエチレングリコール(polyoxyethylene glycol)、ポリプロピレングリコール(polypropylene glycol)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(poly(tetramethylene)glycol、PTMEG)、ポリオキシヘキサメチレングリコール(polyoxyhexamethylene glycol)、エチレンオキシド(ethylene oxide)とプロピレンオキシド(propylene oxide)の共重合体、ポリプロピレンオキシドグリコールのエチレンオキシド付加重合体、及びエチレンオキシドとテトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)の共重合体からなる群から選択される1種以上に由来する単位であってもよく、好ましくは、ポリテトラメチレングリコールまたはポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加重合体に由来する単位であってもよい。
【0071】
前記ポリテトラメチレングリコール由来の単位は、数平均分子量が、一例として600~3,000g/mol、好ましくは1,000~2,500g/mol、より好ましくは1,800~2,200g/molであってもよい。
【0072】
前記ポリプロピレングリコールのエチレンオキシド付加重合体由来の単位は、一例として、末端がエチレンオキシドでキャッピングされたポリプロピレングリコール由来の単位であってもよく、好ましくは、重量平均分子量が2,000~3,000g/molであってもよい。
【0073】
前記ポリアルキレンオキシドは、一例として、ポリエーテルエステルエラストマー樹脂の総100重量%に対して10~60重量%、好ましくは15~55重量%、より好ましくは25~45重量%であってもよく、この範囲内で、反応バランスに優れるという効果がある。
【0074】
前記(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂は、好ましくは分岐剤を含むことができ、この場合、エラストマー樹脂の溶融粘度及び溶融張力を高めることができる。
【0075】
前記分岐剤は、一例として、グリセロール(glycerol)、ペンタエリスリトール(pentaerythritol)、無水トリメリット酸(trimellitic anhydride)、トリメリット酸(trimellitic acid)、トリメチロールプロパン(trimethylol propane)及びネオペンチルグリコール(neopentyl glycol)からなる群から選択された1種以上であってもよく、好ましくは無水トリメリット酸であってもよい。
【0076】
前記分岐剤は、一例として、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂の総100重量%に対して0.05~0.1重量%、好ましくは0.05~0.09重量%、より好ましくは0.06~0.09重量%であってもよく、この範囲内で、溶融粘度を上昇させることによってエラストマー樹脂の溶融粘度を調節し、結果的に溶融重合時に固有粘度を調節するのが容易であるという利点がある。
【0077】
本発明の前記(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂は、一例として、溶融縮重合した後、固相重合して収得することができる。
【0078】
好ましくは、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジオール、ポリアルキレンオキシドを、チタンブトキシド(titaniumbutoxide、TBT)触媒下で140~215℃で約100~150分間、具体例として120分間、エステル交換反応によってBHBT(bis(4-hydroxy)butyl terephthalate)オリゴマーを生成した後、TBT触媒を再投入し、溶融重縮合反応を215~245℃で100~150分間、具体例として120分間、700~800torrから、具体例として760torrから0.1~1torrまで、具体例として0.3torrまで段階的に減圧しながら行うことができる。前記溶融重縮合反応は、ASTM D1238に準拠して230℃、荷重2.16kg下で測定したメルトフローインデックス(MFI)が20g/10分又はそれ以下になるまで行うことができる。反応終結後、窒素圧で反応器内から吐出し、ストランドのペレタイジングを通じてペレット(pellet)化することができる。
【0079】
その次に、前記ペレットを、固相重合反応器、あるいは回転可能な真空乾燥機にて140~200℃の温度範囲で約10~24時間にわたって、真空下、窒素などの不活性気流下で固相重合を行うことができる。前記固相重合は、ASTM D1238に準拠して230℃、荷重2.16kgで測定したメルトフローインデックス(MFI)が10g/10分以下、好ましくは1~10g/10分(230℃、2.16kg)、より好ましくは3~8g/10分(230℃、2.16kg)になるまで高粘度化することができる。
【0080】
前記固相重合時に適用される真空は、本発明の属する技術分野で通常適用する真空の程度であれば、特に制限されない。
【0081】
前記(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂の硬度は、ISO 868に準拠して測定したショア硬度-D(shore D)で表し、ポリアルキレンオキシドの含量によって硬度が決定され得る。前記(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂のショア硬度が35~50D、好ましくは40~50Dになるように、ポリアルキレンオキシドをポリエーテルエステルエラストマー樹脂の総100重量%に対して10~60重量%、好ましくは15~55重量%、より好ましくは25~45重量%使用することができる。前記範囲内で、ポリエーテルエステルエラストマー樹脂の硬度が低いので柔軟性が良く、樹脂自体の耐熱性及び相溶性も優れる。
【0082】
(E)変性ポリエステル樹脂
本発明の(E)変性ポリエステル樹脂は、一例として、ベース樹脂100重量部に対して1.1~10重量部、好ましくは1.5~8重量部、より好ましくは2~7重量部であってもよく、この範囲内で、衝撃強度、引張強度などの機械的物性、耐化学性及び流動性がいずれも優れるという効果がある。
【0083】
前記(E)変性ポリエステル樹脂は、一例として、1,4-シクロヘキサンジメタノール(CHMD)をポリエステル樹脂の一種であるポリエチレンテレフタレートの重合時に50%以上添加して共重合した非結晶樹脂であって、透明であるという特徴があり、好ましくは、1,4-シクロヘキサンジメタノール由来の単位が50重量%以上であってもよく、この場合、耐衝撃性及び耐化学性に優れ、広い条件で成形加工が可能であり、2次加工性が容易であるだけでなく、環境ホルモン物質を含有しないという利点がある。
【0084】
本発明において、A化合物由来の単位重量%とは、本発明の属する技術分野で通常定義されるA化合物由来の単位重量%であれば、特に制限されず、一例として、重合体中のA化合物由来の単位の総重量%、または重合に参加したA化合物の総重量%を意味することができる。
【0085】
前記(E)変性ポリエステル樹脂は、具体的にグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂(Glycol modified Polyethylene Terephthalate、PETG)であってもよく、この場合、透明性、流動性、耐化学性及び機械的物性に優れるという効果がある。
【0086】
(F)アルキレンオキシド共重合体
前記(F)アルキレンオキシド共重合体は、一例として、ベース樹脂100重量部に対して0.3~5重量部、好ましくは0.5~4重量部、より好ましくは0.5~2重量部含むことができ、この範囲内で、機械的物性、耐衝撃性及び流動性がさらに改善されるという効果がある。前記範囲未満では、引張強度及び耐化学性が低下する。
【0087】
前記(F)アルキレンオキシド共重合体は、一例として、エチレンオキシド由来の単位を含む第1ブロック及びプロピレンオキシド由来の単位を含む第2ブロックを含むブロック共重合体であってもよい。
【0088】
前記(F)アルキレンオキシド共重合体は、一例として、前記エチレンオキシド由来の単位とプロピレンオキシド由来の単位を50:50~3:97、好ましくは40:60~5:95、より好ましくは30:70~10:90の重量比で含むことができ、この範囲内で、機械的物性に優れるという利点がある。
【0089】
前記(F)アルキレンオキシド共重合体は、好ましくは、下記化学式1で表されるトリブロック共重合体であってもよい。
【0090】
【0091】
前記化学式1において、
x、yまたはzは、x、y及びzの総100モル%に対するそれぞれのモル%であって、x+y+z=100であり、10≦x≦80、10≦y≦50、及び10≦z≦80である。
【0092】
前記(F)アルキレンオキシド共重合体は、重量平均分子量が、一例として7,000~100,000g/mol、好ましくは7,500~9,500g/mol、より好ましくは80,000~90,000g/molであってもよく、この範囲内で、耐化学性がさらに改善されるという効果がある。
【0093】
前記(F)アルキレンオキシド共重合体は、一例として、ASTM D1238に準拠して190℃及び2.16kgの条件下で測定した流動指数が10~15g/10分、好ましくは12~14g/10分であってもよく、この範囲内で、加工性に優れるという効果がある。
【0094】
(G)塊状重合ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体
前記ベース樹脂は、一例として、(A)グラフト共重合体、(B)共重合体、(C)共重合体、(D)樹脂及び(G)塊状重合ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体を合わせた総重量に対して、前記(G)共重合体を1~20重量%、好ましくは3~15重量%、より好ましくは5~10重量%含むことができ、この範囲内で、流動性及び引張強度などの機械的物性がさらに改善されるという効果がある。
【0095】
前記(G)塊状重合ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体は、一例として、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム5~20重量%、芳香族ビニル化合物55~85重量%及びビニルシアン化合物5~25重量%を含んで塊状重合された塊状共重合体、好ましくは、共役ジエン化合物を含んでなる共役ジエンゴム8~15重量%、芳香族ビニル化合物65~78重量%及びビニルシアン化合物13~22重量%を含んで塊状重合された塊状共重合体であってもよく、この範囲内で、流動性及び引張強度がさらに改善されるという効果がある。
【0096】
前記(G)塊状重合ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物共重合体中に含まれる共役ジエンゴムは、一例として、平均粒径が1,000~2,000nm、好ましくは1,000~1,500nmであってもよく、この範囲内で、機械的物性に優れるという効果がある。
【0097】
前記熱可塑性樹脂組成物は、必要に応じて選択的に、難燃剤、加水分解安定剤、染料、顔料、着色剤、帯電防止剤、架橋剤、抗菌剤、加工助剤及びカーボンブラックマスターバッチからなる群から選択された1種以上を、ベース樹脂100重量部に対して、それぞれ0.01~5重量部、好ましくは0.05~3重量部、より好ましくは0.1~2重量部、より一層好ましくは0.5~1重量部さらに含むことができ、この範囲内で、本発明の熱可塑性樹脂組成物本来の物性を低下させないながらも、必要な物性が良好に実現されるという効果がある。
【0098】
熱可塑性樹脂組成物
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、2.0%のひずみ(strain)を有する曲率ジグ(jig)に160×10×4mmの試験片を固定し、アムウェイ社の芳香剤であるアロマナチュラル(製品名)を0.1cc塗布した後、試験片にクラックが発生する時間を測定する耐化学性評価において、24時間後にクラックが発生せず、この場合、物性バランスに優れながら、耐化学性に優れるので、自動車内装材に適用可能であるという効果がある。
【0099】
本発明において、「24時間後にクラックが発生しない」という意味は、24時間が経過した時点までクラックが生成されないことを意味する。
【0100】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 179/1eAに準拠して厚さ4mmの試験片にノッチ(notch)を付けて測定したシャルピー衝撃強度が26kJ/m2以上、好ましくは28kJ/m2以上、より好ましくは30kJ/m2以上、さらに好ましくは30~35kJ/m2であってもよく、この範囲内で、物性バランスに優れ、自動車内装材用として適用可能であるという効果がある。
【0101】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 1133に準拠して220℃、10kg下で測定した溶融流れ指数(MFR)が15g/10分以上、好ましくは20g/10分以上、より好ましくは20~25g/10分であってもよく、この範囲内で、流動性に優れ、様々な形状への成形が容易であるという利点がある。
【0102】
前記熱可塑性樹脂組成物は、一例として、ISO 527に準拠して500mm/分の条件下で厚さ4mmの試験片で測定した引張強度が38MPa以上、好ましくは40MPa以上、より好ましくは40~45MPaであってもよく、この範囲内で、物性バランスに優れるという効果がある。
【0103】
熱可塑性樹脂組成物の製造方法
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、(A)ビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体10~40重量%と、(B)(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体18~52重量%と、(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体13~55重量%とを含むベース樹脂100重量部に、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂7~17重量部及び(E)変性ポリエステル樹脂1.1~10重量部を含んで200~300℃及び200~700rpmの条件下で混練及び押出してペレットに製造するステップを含み、前記(C)芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体はビニルシアン化合物10~25重量%を含んでなることを特徴とする。このような場合、流動性及び耐衝撃性、引張強度などの機械的物性に優れながら、耐化学性に優れるという利点がある。
【0104】
前記混練及び押出は、一例として、一軸押出機、二軸押出機、またはバンバリーミキサを通じて行われてもよく、この場合、組成物が均一に分散されて相溶性に優れるという効果がある。
【0105】
前記混練及び押出は、一例として、バレル温度が、一例として200~300℃、好ましくは210~290℃、より好ましくは220~280℃、さらに好ましくは230~260℃である範囲内で行われてもよく、この場合、単位時間当たりの処理量が適切であると共に、十分な溶融混練が可能となり得、樹脂成分の熱分解などの問題を引き起こさないという効果がある。
【0106】
前記混練及び押出は、一例として、スクリュー回転数が200~700rpm、好ましくは220~650rpm、より好ましくは300~600rpmである条件下で行われてもよく、この場合、単位時間当たりの処理量が適切であるので工程効率に優れながらも、過度の切断を抑制するという効果がある。
【0107】
前記熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、前述した熱可塑性樹脂組成物の全ての技術的特徴を共有する。したがって、重複部分についての説明は省略する。
【0108】
成形品
本発明の成形品は本発明の熱可塑性樹脂組成物を含むことができ、この場合、流動性及び耐衝撃性、引張強度などの機械的物性に優れながら、耐化学性に優れるという利点がある。
【0109】
前記成形品は、好ましくは射出成形品であってもよく、より好ましくは自動車内外装材または家電の外装材であってもよく、この場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物によって、市場で求められる品質以上の高品質で提供可能であるという利点がある。
【0110】
本発明の成形品の製造方法は、本発明の定義に従う限り、本発明の属する技術分野で通常使用される条件、方法及び装置などを用いる場合、特に制限されない。
【0111】
本発明の熱可塑性樹脂組成物、その製造方法及び成形品を説明するにおいて、明示的に記載していない他の条件や装置などは、当業界において通常行われる範囲内で適宜選択することができ、特に制限されないことを明示する。
【0112】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、以下の実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変更及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【0113】
[実施例]
*(A-1)ABSグラフト共重合体:LG化学社のDP270
*(A-2)ASAグラフト共重合体:LG化学社のSA927
*(B-1)MMA-α-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体:LG化学社の290UH
*(B-2)α-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体:LG化学社の200UH
*(B-3)PMI系耐熱樹脂:DENKA社のMSNI
*(C-1)SAN共重合体:LG化学社の81HF(アクリロニトリルの含量24重量%)
*(C-2)SAN共重合体:LG化学社の97HC(アクリロニトリルの含量30.5重量%)
*(C-3)SAN共重合体:LG化学社の92RF(アクリロニトリルの含量28重量%)
*(D)ポリエーテルエステルエラストマー(TPEE):LG化学社のKEYFLEX BT2140D(溶融指数(230℃、2.16kg):5g/10分、ショアD硬度:40D)
*(E)変性ポリエステル樹脂(PETG):SK Chemical社のJIN100
*(F)PEO/PPO/PEO共重合体:BASF社のPluronic F68
*(G)塊状重合されたABS共重合体:LG化学社のER400
【0114】
実施例1~7及び比較例1~14
それぞれ、下記表1~表3に記載された成分及び含量を、押出機(SM Twin screw extruder、25φ)にて押出温度250℃、Feed rate 25kg/hr、スクリュー回転数(Screw speed)600rpm下で混練及び押出してペレットを製造した。製造されたペレットを用いて流動指数を測定した。また、製造されたペレットをもって、射出機(ENGEL社、120MT)にて射出温度240℃、金型温度60℃及び射出速度30mm/分の条件下で射出試験片として作製した。
【0115】
[試験例]
前記実施例1~7及び比較例1~14で製造されたペレット及び射出試験片の特性を下記の方法により測定し、その結果を下記の表1~表3に示した。
【0116】
*シャルピー衝撃強度(kJ/m2):ISO 179/1eAに準拠して厚さ4mmの試験片にノッチ(notch)を付けてシャルピー衝撃強度を測定した。
【0117】
*溶融流れ指数(MFR、g/10分):ISO 1133に準拠して220℃、10kg下で測定した。
【0118】
*引張強度(MPa):ISO 527に準拠して50mm/分の条件下で厚さ4mmの試験片を用いて測定した。
【0119】
*耐化学性:2.0%のひずみ(strain)を有する曲率ジグ(jig)に160×10×4mmの試験片を固定し、アムウェイ社の芳香剤であるアロマナチュラル(製品名)を0.1cc塗布した後、試験片にクラックが発生する時間を測定した。24時間経過後、クラックが発生しなければ1dayと記載した。
【0120】
【0121】
【0122】
【表3】
(前記表1~表3において、(A-1)、(A-2)、(B-1)、(B-2)、(B-3)、(C-1)、(C-2)、(C-3)及び(G)の各含量は、これらの総重量を基準とした重量%であり、(D)、(E)及び(F)の各含量は、前記(A-1)、(A-2)、(B-1)、(B-2)、(B-3)、(C-1)、(C-2)、(C-3)及び(G)の総重量100重量部を基準とした重量部である。)前記表1~表3に示したように、本発明に係る熱可塑性樹脂組成物(実施例1~7)は、比較例1~14と比較してシャルピー衝撃強度、流動指数、及び引張強度に優れながら、耐化学性が格段に優れるという効果が確認できた。
【0123】
具体的には、(C)SAN共重合体のアクリロニトリルの含量がそれぞれ30.5重量%及び28重量%である比較例1及び2は、耐化学性が悪くなった。
【0124】
また、(A-2)ASAグラフト共重合体及び(B-2)α-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体を含む比較例3及び4は、シャルピー衝撃強度、溶融流れ指数及び耐化学性が劣悪となった。
【0125】
また、(B-2)α-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体または(B-3)PMI系耐熱樹脂を含む比較例5及び6は、耐化学性が低下した。
【0126】
また、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂、(B-1)MMA-α-メチルスチレン-アクリロニトリル共重合体、(C-1)SAN共重合体、及び(E)変性ポリエステル樹脂のそれぞれを本発明の範囲未満で含む比較例7、8、10及び12は、耐化学性が悪くなった。
【0127】
また、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂を本発明の範囲を超えて含む比較例11は、溶融流れ指数及び引張強度が低下した。
【0128】
また、(D)ポリエーテルエステルエラストマー樹脂を含まない比較例13及び(E)変性ポリエステル樹脂を含まない比較例14はいずれも耐化学性が悪くなった。
【0129】
結論的に、本発明に係るビニルシアン化合物-共役ジエン化合物-芳香族ビニル化合物グラフト共重合体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物-α-メチルスチレン系化合物-ビニルシアン化合物共重合体と、ビニルシアン化合物を所定の含量で含む芳香族ビニル化合物-ビニルシアン化合物共重合体とを所定の含量で含むベース樹脂に、ポリエーテルエステルエラストマー樹脂及び変性ポリエステル樹脂を所定の含量比に調整する場合、機械的物性、流動性及び耐化学性に優れることが確認できた。
【国際調査報告】