(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】新規な化合物およびそれを用いた有機発光素子
(51)【国際特許分類】
C07D 487/04 20060101AFI20230207BHJP
H10K 50/00 20230101ALI20230207BHJP
C09K 11/06 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
C07D487/04 137
C07D487/04 CSP
H05B33/14 B
C09K11/06 650
C09K11/06 635
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022534808
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(85)【翻訳文提出日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 KR2021002030
(87)【国際公開番号】W WO2021177633
(87)【国際公開日】2021-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0026670
(32)【優先日】2020-03-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ビョン・ユン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ジェチョル・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ハ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨンウク・キム
(72)【発明者】
【氏名】シン・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】イヒョン・ペク
(72)【発明者】
【氏名】クンス・イ
【テーマコード(参考)】
3K107
4C050
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107CC04
3K107CC12
3K107CC21
3K107DD59
3K107DD69
3K107DD70
4C050AA01
4C050AA08
4C050BB04
4C050CC04
4C050EE02
4C050FF05
4C050GG04
4C050HH02
4C050HH04
(57)【要約】
本発明は新規な化合物およびそれを用いた有機発光素子を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
前記化学式1において、
Aは隣り合う2個の五員環と融合したベンゼン環であり、
L
1~L
3はそれぞれ独立して、単結合;置換または非置換のC
6-60アリーレン;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC
2-60ヘテロアリーレンであり、
Ar
1~Ar
3はそれぞれ独立して、置換または非置換のC
6-60アリール;または置換または非置換のN、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC
2-60ヘテロアリールであり、
R
1~R
3はそれぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ;置換または非置換のC
1-60アルキル;置換または非置換のC
6-60アリール;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC
2-60ヘテロアリールであり、
aおよびbはそれぞれ独立して、0~6の整数であり、
cは0~2の整数である。
【請求項2】
前記化合物は下記化学式1-1~1-5のいずれか一つで表される、請求項1に記載の化合物:
【化2】
【化3】
前記化学式1-1~1-5において、
L
1~L
3、Ar
1~Ar
3、R
1~R
3、a、bおよびcは請求項1で定義したとおりである。
【請求項3】
L
1~L
3はそれぞれ独立して、単結合、フェニレン、ビフェニルジイル、ナフチレン、または9,9-ジ(C
1-10アルキル)フルオレニレンである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Ar
1~Ar
3はそれぞれ独立して、非置換であるか、または重水素、C
1-10アルキル、C
6-20アリール、Si(C
1-10アルキル)
3およびSi(C
6-20アリール)
3で構成される群より選ばれる1個以上の置換基で置換されたC
6-20アリール;または非置換であるか、または重水素、C
1-10アルキル、C
6-20アリール、Si(C
1-10アルキル)
3およびSi(C
6-20アリール)
3で構成される群より選ばれる1個以上の置換基で置換された、N、OおよびSのうち1個または2個のヘテロ原子を含むC
2-20ヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Ar
1はそれぞれ独立して、下記で構成される群より選ばれるいずれか一つである、請求項4に記載の化合物:
【化4】
前記において、
Z
1およびZ
2はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、またはフェニルである。
【請求項6】
Ar
2およびAr
3はそれぞれ独立して、下記で構成される群より選ばれるいずれか一つである、請求項4に記載の化合物:
【化5】
前記において、
Z
3およびZ
4はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、またはフェニルである。
【請求項7】
Ar
2およびAr
3の一つはフェニル、C
1-10アルキルで置換されたフェニル、ナフチル、またはベンゾフラニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
R
1~R
3はそれぞれ独立して、水素または重水素である、請求項1に記載の化合物
【請求項9】
L
1は互いに同一であり、L
2は互いに同一であり、L
3は互いに同一であり、
Ar
1は互いに同一であり、Ar
2は互いに同一であり、Ar
3は互いに同一である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物は下記化学式1-1-1~1-5-1のいずれか一つで表される、請求項1に記載の化合物:
【化6】
【化7】
前記化学式1-1-1~1-5-1において、
L
1はそれぞれ独立して、単結合、または下記で構成される群より選ばれるいずれか一つであり、
【化8】
L
2およびL
3はそれぞれ独立して、単結合、または下記で構成される群より選ばれるいずれか一つであり、
【化9】
Ar
1~Ar
3は請求項1で定義したとおりである。
【請求項11】
前記化合物は下記化合物で構成される群より選ばれるいずれか一つである、請求項1に記載の化合物:
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
。
【請求項12】
第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極の間に備えられた発光層を含む有機発光素子であって、前記発光層は請求項1ないし11のいずれか一項の記載による化合物を含むものである、有機発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2020年3月3日付韓国特許出願第10-2020-0026670号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は新規な化合物およびそれを含む有機発光素子に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に有機発光現象とは有機物質を用いて電気エネルギーを光エネルギーに変換させる現象をいう。有機発光現象を用いる有機発光素子は広い視野角、優れたコントラスト、速い応答時間を有し、輝度、駆動電圧および応答速度の特性に優れるため多くの研究が進行している。
【0004】
有機発光素子は一般に陽極と陰極および前記陽極と陰極の間に有機物層を含む構造を有する。前記有機物層は有機発光素子の効率と安全性を高めるためにそれぞれ異なる物質で構成された多層の構造からなる場合が多く、例えば正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層などからなる。このような有機発光素子の構造で二つの電極の間に電圧をかけると陽極では正孔が、陰極では電子が有機物層に注入され、注入された正孔と電子が接した時エキシトン(exciton)が形成され、このエキシトンが再び基底状態に落ちる時に光を生成する。
【0005】
前記のような有機発光素子に使用される有機物に対して新しい材料の開発が持続的に求められている。
【0006】
一方、最近では工程コスト削減のために既存の蒸着工程の代わりに溶液工程、特にインクジェット工程を用いた有機発光素子が開発されている。初期にはすべての有機発光素子層を溶液工程でコートして有機発光素子を開発しようとしたが、現在の技術では限界があり、正構造形態でHIL、HTL、EMLのみ溶液工程で行い、後の工程は既存の蒸着工程を活用するハイブリッド(hybrid)工程が研究中である。
【0007】
そこで本発明では有機発光素子に使用でき、かつ同時に溶液工程に使用可能な新規の有機発光素子の素材を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国公開特許第10-2000-0051826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は新規な化合物およびそれを含む有機発光素子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は下記化学式1で表される化合物を提供する:
【化1】
【0011】
前記化学式1において、
Aは隣り合う2個の五員環と融合したベンゼン環であり、
L1~L3はそれぞれ独立して、単結合;置換または非置換のC6-60アリーレン;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC2-60ヘテロアリーレンであり、
Ar1~Ar3はそれぞれ独立して、置換または非置換のC6-60アリール;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC2-60ヘテロアリールであり、
R1~R3はそれぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ;置換または非置換のC1-60アルキル;置換または非置換のC6-60アリール;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC2-60ヘテロアリールであり、
aおよびbはそれぞれ独立して、0~6の整数であり、
cは0~2の整数であり、
a、bおよびcが2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または相異なり、
化合物内の同一名称の置換基は互いに同一または相異なる。
【0012】
また、本発明は第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極の間に備えられた発光層を含む有機発光素子であって、前記発光層は前記化学式1で表される化合物を含む、有機発光素子を提供する。
【発明の効果】
【0013】
上述した化学式1で表される化合物は、有機発光素子の有機物層の材料として使用でき、また、溶液工程に使用が可能であり、有機発光素子で効率および寿命特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】基板1、陽極2、発光層3、陰極4からなる有機発光素子の例を示す図である。
【
図2】基板1、陽極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層3、電子注入および輸送層7および陰極4からなる有機発光素子の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の理解を深めるためにより詳細に説明する。
【0016】
(用語の意義)
本明細書で、
【化2】
は他の置換基に連結される結合を意味し、Dは重水素を意味し、phはフェニル基を意味し、Bocはtert-ブチルオキシカルボニル保護基(tert-butyloxycarbonyl protecting group)を意味する。
【0017】
本明細書で「置換または非置換の」という用語は、重水素;ハロゲン基;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;カルボニル基;エステル基;イミド基;アミノ基;ホスフィンオキシド基;アルコキシ基;アリールオキシ基;アルキルチオキシ基;アリールチオキシ基;アルキルスルホキシ基;アリールスルホキシ基;シリル基;ホウ素基;アルキル基;シクロアルキル基;アルケニル基;アリール基;アラルキル基;アラルケニル基;アルキルアリール基;アルキルアミン基;アラルキルアミン基;ヘテロアリールアミン基;アリールアミン基;アリールホスフィン基;またはN、OおよびS原子のうち1個以上を含むヘテロアリールからなる群より選ばれた1個以上の置換基で置換されているかまたは非置換であり、前記例示した置換基のうち2以上の置換基が連結された置換基で置換されているかまたは非置換であることを意味する。例えば、「2以上の置換基が連結された置換基」はビフェニル基であり得る。すなわち、ビフェニル基はアリール基であり得、2個のフェニル基が連結された置換基と解釈されることもできる。
【0018】
本明細書でカルボニル基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~40であることが好ましい。具体的には下記のような構造の基であり得るが、これに限定されるものではない。
【化3】
【0019】
本明細書において、エステル基はエステル基の酸素が炭素数1~25の直鎖、分枝鎖または環鎖アルキル基または炭素数6~25のアリール基で置換され得る。具体的には、下記構造式の基であり得るが、これに限定されるものではない。
【化4】
【0020】
本明細書において、イミド基の炭素数は特に限定されないが、炭素数1~25であることが好ましい。具体的には下記のような構造の基であり得るが、これに限定されるものではない。
【化5】
【0021】
本明細書において、シリル基は具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、ジフェニルシリル基、フェニルシリル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0022】
本明細書において、ホウ素基は具体的にはトリメチルホウ素基、トリエチルホウ素基、t-ブチルジメチルホウ素基、トリフェニルホウ素基、フェニルホウ素基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本明細書において、ハロゲン基の例としてはフッ素、塩素、臭素またはヨウ素がある。
【0024】
本明細書において、前記アルキル基は直鎖または分枝鎖であり得、炭素数は特に限定されないが1~40であることが好ましい。一実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~20である。また一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~10である。また一つの実施態様によれば、前記アルキル基の炭素数は1~6である。アルキル基の具体的な例としてはメチル、エチル、プロピル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、sec-ブチル、1-メチル-ブチル、1-エチル-ブチル、ペンチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、n-ヘキシル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3,3-ジメチルブチル、2-エチルブチル、ヘプチル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、オクチル、n-オクチル、tert-オクチル、1-メチルヘプチル、2-エチルヘキシル、2-プロピルペンチル、n-ノニル、2,2-ジメチルヘプチル、1-エチル-プロピル、1,1-ジメチル-プロピル、イソヘキシル、2-メチルペンチル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0025】
本明細書において、前記アルケニル基は直鎖または分枝鎖であり得、炭素数は特に限定されないが、2~40であることが好ましい。一実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~20である。また一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~10である。また一つの実施態様によれば、前記アルケニル基の炭素数は2~6である。具体的な例としてはビニル、1-プロペニル、イソプロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、3-ペンテニル、3-メチル-1-ブテニル、1,3-ブタジエニル、アリル、1-フェニルビニル-1-イル、2-フェニルビニル-1-イル、2,2-ジフェニルビニル-1-イル、2-フェニル-2-(ナフチル-1-イル)ビニル-1-イル、2,2-ビス(ジフェニル-1-イル)ビニル-1-イル、スチルベニル基、スチレニル基などがあるが、これに限定されるものではない。
【0026】
本明細書において、シクロアルキル基は特に限定されないが、炭素数3~60であることが好ましく、一実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~30である。また一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~20である。また一つの実施態様によれば、前記シクロアルキル基の炭素数は3~6である。具体的にはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、3-メチルシクロペンチル、2,3-ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、3-メチルシクロヘキシル、4-メチルシクロヘキシル、2,3-ジメチルシクロヘキシル、3,4,5-トリメチルシクロヘキシル、4-tert-ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどがあるが、これらに限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、アリール基は特に限定されないが、炭素数6~60であることが好ましく、単環式アリール基または多環式アリール基であり得る。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~30である。一実施態様によれば、前記アリール基の炭素数は6~20である。前記アリール基が単環式アリール基としてはフェニル基、ビフェニリル基、テルフェニリル基などであり得るが、これに限定されるものではない。前記多環式アリール基としてはナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ピレニル基、ペリレニル基、クリセニル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基などであり得るが、これらに限定されるものではない。
【0028】
本明細書において、フルオレニル基は置換され得、置換基2個が互いに結合してスピロ構造を形成することができる。前記フルオレニル基が置換される場合、
【化6】
などになる。ただし、これらに限定されるものではない。また、ベンゾフルオレニル基も前記フルオレニル基と同様に置換されたり、2個が互いに結合してスピロ構造を形成することができる。
【0029】
本明細書において、ヘテロアリールは異種元素としてO、N、SiおよびSのうち1個以上を含むヘテロアリールであって、炭素数は特に限定されないが、炭素数2~60であることが好ましい。ヘテロアリールの例としてはキサンテン(xanthene)、チオキサンテン(thioxanthen)、チオフェン基、フラン基、ピロール基、イミダゾール基、チアゾール基、オキサゾール基、オキサジアゾール基、トリアゾール基、ピリジル基、ビピリジル基、ピリミジル基、トリアジン基、アクリジル基、ピリダジン基、ピラジニル基、キノリニル基、キナゾリン基、キノキサリニル基、フタラジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピラジノピラジニル基、イソキノリン基、インドール基、カルバゾール基、ベンゾキサゾール基、ベンゾイミダゾール基、ベンゾチアゾール基、ベンゾカルバゾール基、ベンゾチオフェン基、ジベンゾチオフェン基、ベンゾフラニル基、フェナンスロリン基(phenanthroline)、イソオキサゾリル基、チアジアゾリル基、フェノチアジニル基およびジベンゾフラニル基などがあるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
本明細書において、アラルキル基、アラルケニル基、アルキルアリール基、アリールアミン基、アリールシリル基のうちのアリール基は前述したアリール基の例示と同じである。本明細書において、アラルキル基、アルキルアリール基、アルキルアミン基のうちアルキル基は前述したアルキル基の例示と同じである。本明細書において、ヘテロアリールアミン基のうちヘテロアリールは前述したヘテロアリールに係る説明が適用され得る。本明細書において、アラルケニル基のうちアルケニル基は前述したアルケニル基の例示と同じである。本明細書において、アリーレンは2価基であることを除いては前述したアリール基に係る説明が適用され得る。本明細書において、ヘテロアリーレンは2価基であることを除いては前述したヘテロアリールに係る説明が適用され得る。
【0031】
(化合物)
本発明は前記化学式1で表される化合物を提供する。
前記化学式1で表される化合物は、2個のベンゾ[g]インドール構造がベンゼン環によって融合したコア両側にアミノ基が置換されたジアミン化合物構造を有する。特に、前記化学式1で表される化合物は、下記化学式X1で表される化合物と同じカルバゾロ[4,3-c]カルバゾールコアを有するジアミン化合物と比較して合成が容易なだけでなく溶液工程に使用される有機溶媒に対して高い溶解度を示すことができ、さらに、前記化学式1で表される化合物を発光層のドーパントとして採用した有機発光素子は下記化学式X1で表される化合物をドーパントとして採用した有機発光素子に比べて、発光効率および寿命特性が同時に向上することができる。
【化7】
【0032】
前記化学式X1において、
各置換基に係る説明は前記化学式1で定義したとおりである。
【0033】
特に、前記化学式1で表される化合物は溶液工程に使用される有機溶媒、例えばシクロヘキサノンのような有機溶媒に対する溶解度が高く、高い沸点の溶媒を使用するインクジェット塗布法などの大面積溶液工程への使用に好適である。
【0034】
さらに、前記化学式1で表される化合物は、下記コアの*1~*4番炭素のうち一つおよび*1’~*4’番炭素のうち一つにアミノ基が結合された構造を有するが、このような化合物を発光層のドーパントとして採用した有機発光素子は下記化学式X2で表される化合物のように本願と同じコアを有するが、2個のアミノ基の置換位置が本願とは相異なる化合物をドーパントとして採用した有機発光素子に比べても、優れた発光効率および寿命特性を示すことができる。
【0035】
【0036】
前記化学式X2において、
各置換基に係る説明は前記化学式1で定義したとおりである。
【0037】
一方、前記化合物は下記化学式1’で表されることができる:
【化9】
前記化学式1’において、
L
1~L
3、Ar
1~Ar
3、R
1~R
3、a、bおよびcは前記化学式1で定義したとおりである。
【0038】
具体的には、前記化学式1’で表される化合物は、2個のベンゾ[g]インドール構造がベンゼン環によって融合する位置によって、下記化学式化学式1-1~1-5のいずれか一つで表されることができる:
【0039】
【0040】
【0041】
前記化学式1-1~1-5において、
L1~L3、Ar1~Ar3、R1~R3、a、bおよびcは前記化学式1で定義したとおりである。
【0042】
一方、前記化学式1において、L1~L3はそれぞれ独立して、単結合;または非置換であるか、または重水素、C1-10アルキルおよびC6-20アリールで構成される群より選ばれる1個以上の置換基で置換されたC6-20アリーレンであり得る。
【0043】
具体的には、前記化学式1において、L1~L3はそれぞれ独立して、単結合、フェニレン、ビフェニルジイル、ナフチレン、または9,9-ジ(C1-10アルキル)フルオレニレンであり得る。
【0044】
より具体的には、L1はそれぞれ独立して、単結合、ビフェニルジイル、ナフチレン、または9,9-ジメチルフルオレニレンであり、
L2およびL3はそれぞれ独立して、単結合、フェニレン、ナフチレン、または9,9-ジメチルフルオレニレン、または9,9-ジヘキシルフルオレニレンであり得る。
【0045】
例えば、L
1はそれぞれ独立して、単結合、または下記で構成される群より選ばれるいずれか一つであり、
【化13】
L
2およびL
3はそれぞれ独立して、単結合、または下記で構成される群より選ばれるいずれか一つであり得る:
【化14】
【0046】
また、前記化学式1において、Ar1~Ar3はそれぞれ独立して、非置換であるか、または重水素、C1-10アルキル、C6-20アリール、Si(C1-10アルキル)3およびSi(C6-20アリール)3で構成される群より選ばれる1個以上の置換基で置換されたC6-20アリール;または非置換であるか、または重水素、C1-10アルキル、C6-20アリール、Si(C1-10アルキル)3およびSi(C6-20アリール)3で構成される群より選ばれる1個以上の置換基で置換された、N、OおよびSのうち1個または2個のヘテロ原子を含むC2-20ヘテロアリールであり得る。
【0047】
具体的には、Ar1~Ar3はそれぞれ独立して、フェニル、ナフチル、フルオレニル、ベンゾフルオレニル基、カルバゾリル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、またはベンゾチオフェニルであり、
ここで、Ar1~Ar3は非置換であるか、または重水素、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、フェニル、またはSi(フェニル)3で構成される群より選ばれる1個~5個の置換基で置換され得る。
【0048】
例えば、Ar
1はそれぞれ独立して、下記で構成される群より選ばれるいずれか一つであり得る:
【化15】
前記において、
Z
1およびZ
2はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、またはフェニルである。
【0049】
また、例えば、Ar
2およびAr
3はそれぞれ独立して、下記で構成される群より選ばれるいずれか一つであり得る:
【化16】
前記において、
Z
3およびZ
4はそれぞれ独立して、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、またはフェニルである。
【0050】
また、前記化学式1において、Ar2およびAr3の一つはフェニル、C1-10アルキルで置換されたフェニル、ナフチル、またはベンゾフラニルであり得る。
【0051】
また、前記化学式1において、R1~R3はそれぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ;C1-10アルキル;またはC6-20アリールであり得る。この時、R1の個数を意味するaは0、1、2、3、4、5、または6であり、R2の個数を意味するbは0、1、2、3、4、5、または6であり、R3の個数を意味するcは0、1、または2である。
【0052】
例えば、R1~R3はそれぞれ独立して、水素または重水素であり得、aは0または6であり、bは0または6であり、cは0または2であり得るが、これに限定されるものではない。
【0053】
また、前記化学式1において、
L1は互いに同一であり得、L2は互いに同一であり得、L3は互いに同一であり得、Ar1は互いに同一であり得、Ar2は互いに同一であり得、Ar3は互いに同一であり得、R1は互いに同一であり得、R2は互いに同一であり得、R3は互いに同一であり得、aは互いに同一であり得、bは互いに同一であり得、cは互いに同一であり得る。
【0054】
例えば、L1は互いに同一であり、L2は互いに同一であり、L3は互いに同一であり、Ar1は互いに同一であり、Ar2は互いに同一であり、Ar3は互いに同一であるか;またはL1およびL2は互いに同一であるかまたは相異なり、L3は相異なり、Ar1は相異なり、Ar2は互いに同一であり、Ar3は互いに同一であり得る。
【0055】
また、前記化合物は下記化学式1-1-1~1-5-1のいずれか一つで表されることができる:
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
前記化学式1-1-1~1-5-1において、
L
1はそれぞれ独立して、単結合、または下記で構成される群より選ばれるいずれか一つであり、
【化20】
L
2およびL
3はそれぞれ独立して、単結合、または下記で構成される群より選ばれるいずれか一つであり、
【化21】
Ar
1~Ar
3は 化学式1で定義したとおりである。
【0060】
前記化学式1で表される化合物の代表的な例は下記のとおりである:
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
一方、前記化学式1で表される化合物は一例として下記反応式1のような製造方法で製造することができる。
【化28】
【0068】
前記反応式1において、Xはそれぞれ独立して、ハロゲンであり、好ましくはブロモ、またはクロロであり、他の置換基に対する定義は先立って説明したとおりである。
【0069】
具体的には、前記化学式1で表される化合物はアミン置換反応により出発物質SM1およびSM2が結合して製造される。このようなアミン置換反応はそれぞれパラジウム触媒と塩基の存在下に行うことが好ましい。また、前記アミン置換反応のための反応基は適宜変更でき、化学式1で表される化合物の製造方法は後述する製造例でより具体化される。
【0070】
(コーティング組成物)
一方、本発明による化合物は溶液工程で有機発光素子の有機物層、特に発光層を形成することができる。具体的には、前記化合物は発光層のドーパント材料として使用できる。このために、本発明は上述した本発明による化合物および溶媒を含むコーティング組成物を提供する。
【0071】
前記溶媒は本発明による化合物を溶解または分散させ得る溶媒であれば、特に制限されず、一例としてクロロホルム、塩化メチレン、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼンなどの塩素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒;トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン、1-メチルナフタレン、2-メチルナフタレンなどの芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、n-ノナン、n-デカンなどの脂肪族炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセロソルブアセテートなどのエステル系溶媒;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2-ヘキサンジオールなどの多価アルコールおよびその誘導体;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノールなどのアルコール系溶媒;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒;およびN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒;ブチルベンゾエート、メチル-2-メトキシベンゾエート、エチルベンゾエートなどのベンゾエート系溶媒;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジフェニルフタレートなどのフタレート系溶媒;テトラリン;3-フェノキシトルエンなどの溶媒が挙げられる。また、上述した溶媒を1種単独で使用してもよく2種以上の溶媒を混合して使用してもよい。好ましくは前記溶媒としてエチルベンゾエートを使用することができる。
【0072】
また、前記コーティング組成物はホスト材料に用いられる化合物をさらに含み得、前記ホスト材料に用いられる化合物に係る説明は後述する。
【0073】
また、前記コーティング組成物の粘度は1cP~10cPが好ましく、前記の範囲でコーティングが容易である。また、前記コーティング組成物内の本発明による化合物の濃度は0.1wt/vol%~20wt/vol%であり得る。
【0074】
また、前記化学式1で表される化合物の常温/常圧での溶解度(wt%)は溶媒シクロヘキサノンを基準として0.1wt%以上であり得る。そのため、前記化学式1で表される化合物および溶媒を含むコーティング組成物は溶液工程に使用できる。
【0075】
また、本発明は上述したコーティング組成物を使用して発光層を形成する方法を提供する。具体的には、陽極上に、または陽極上に形成された正孔輸送層上に上述した本発明による発光層を溶液工程でコートする段階;および前記コートされたコーティング組成物を熱処理する段階を含む。
【0076】
前記溶液工程は上述した本発明によるコーティング組成物を使用する工程であって、スピンコート、ディップコート、ドクターブレーディング、インクジェットプリンティング、スクリーン印刷、スプレー法、ロールコートなどを意味するが、これらだけに限定されるものではない。
【0077】
前記熱処理段階で熱処理温度は150~230℃が好ましい。また、前記熱処理時間は1分~3時間であり、より好ましくは10分~1時間である。また、前記熱処理はアルゴン、窒素などの不活性気体の雰囲気で行うことが好ましい。
【0078】
(有機発光素子)
また、本発明は前記化学式1で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。一例として、本発明は第1電極;前記第1電極と対向して備えられた第2電極;および前記第1電極と前記第2電極の間に備えられた発光層を含む有機発光素子であって、前記発光層は前記化学式1で表される化合物を含む有機発光素子を提供する。
【0079】
また、本発明による有機発光素子は、第1電極が陽極であり、第2電極が陰極である、基板上に陽極、1層以上の有機物層および陰極が順次積層された構造(normal type)の有機発光素子であり得る。また、本発明による有機発光素子は第1電極が陰極であり、第2電極が陽極である、基板上に陰極、1層以上の有機物層および陽極が順次積層された逆方向構造(inverted type)の有機発光素子であり得る。例えば、本発明の一実施例による有機発光素子の構造は
図1および2に例示している。
【0080】
図1は基板1、陽極2、発光層3、陰極4からなる有機発光素子の例を示す図である。このような構造において、前記化学式1で表される化合物は前記発光層に含まれ得る。
【0081】
図2は基板1、陽極2、正孔注入層5、正孔輸送層6、発光層3、電子注入および輸送層7および陰極4からなる有機発光素子の例を示す図である。このような構造において、前記化学式1で表される化合物は前記発光層に含まれ得る。
【0082】
本発明による有機発光素子は、前記発光層が本発明による化合物を含み、上述した方法のように製造されることを除いては当技術分野に知られている材料と方法により製造することができる。
【0083】
例えば、本発明による有機発光素子は基板上に陽極、有機物層および陰極を順次積層させて製造することができる。この時、スパッタ法(sputtering)や電子ビーム蒸発法(e-beam evaporation)のようなPVD(physical Vapor Deposition)方法を用いて、基板上に金属または伝導性を有する金属酸化物またはこれらの合金を蒸着させて陽極を形成し、その上に正孔注入層、正孔輸送層、発光層および電子輸送層を含む有機物層を形成した後、その上に陰極として使用できる物質を蒸着させて製造することができる。
【0084】
このような方法の他にも、基板上に陰極物質から有機物層、陽極材料を順に蒸着させて有機発光素子を製造することができる(WO2003/012890)。ただし、製造方法はこれに限定されるものではない。
【0085】
一例として、前記第1電極は陽極であり、前記第2電極は陰極であるか、または前記第1電極は陰極であり、前記第2電極は陽極である。
【0086】
前記陽極材料としては通常有機物層への正孔注入が円滑になるように仕事関数が大きい物質が好ましい。前記陽極材料の具体的な例としてはバナジウム、クロム、銅、亜鉛、金のような金属またはこれらの合金;亜鉛酸化物、インジウム酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような金属酸化物;ZnO:AlまたはSnO2:Sbのような金属と酸化物の組み合わせ;ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ[3,4-(エチレン-1,2-デオキシ)チオフェン](PEDOT)、ポリピロールおよびポリアニリンのような伝導性高分子などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0087】
前記陰極物質としては通常有機物層への電子注入が容易なように仕事関数が小さい物質であることが好ましい。前記陰極物質の具体的な例としてはマグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、チタン、インジウム、イットリウム、リチウム、ガドリニウム、アルミニウム、銀、スズおよび鉛のような金属またはこれらの合金;LiF/AlまたはLiO2/Alのような多層構造物質などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0088】
前記正孔注入層は電極から正孔を注入する層であり、正孔注入物質としては正孔を輸送する能力を有して陽極での正孔注入効果、発光層または発光材料に対して優れた正孔注入効果を有し、発光層で生成された励起子の電子注入層または電子注入材料への移動を防止し、また、薄膜形成能力に優れた化合物が好ましい。正孔注入物質のHOMO(highest occupiedmolecular orbital)が陽極材料の仕事関数と周辺有機物層のHOMOの間であることが好ましい。正孔注入物質の具体的な例としては金属ポルフィリン(porphyrin)、オリゴチオフェン、アリールアミン系の有機物、ヘキサニトリルヘキサアザトリフェニレン系の有機物、キナクリドン(quinacridone)系の有機物、ペリレン(perylene)系の有機物、アントラキノンおよびポリアニリンとポリチオフェン系の伝導性高分子などがあるが、これらだけに限定されるものではない。
【0089】
前記正孔輸送層は正孔注入層から正孔を受け取って発光層まで正孔を輸送する層であり、正孔輸送物質としては陽極や正孔注入層から正孔の輸送を受けて発光層に移し得る物質として正孔に対する移動性が大きい物質が好適である。前記正孔輸送物質として前記化学式1で表される化合物を使用するか、またはアリールアミン系の有機物、伝導性高分子、および共役部分と非共役部分が共にあるブロック共重合体などを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0090】
一方、前記有機発光素子には前記正孔輸送層と発光層の間に電子抑制層が備えられている。前記電子抑制層は前記正孔輸送層上に形成され、好ましくは発光層に接して備えられ、正孔移動度を調節し、電子の過度な移動を防止して正孔-電子間の結合確率を高めることによって有機発光素子の効率を改善する役割をする層を意味する。前記電子抑制層は電子阻止物質を含み、このような電子阻止物質の例として前記化学式1で表される化合物を使用するか、またはアリールアミン系の有機物などを使用できるが、これに限定されるものではない。
【0091】
前記発光層はホスト材料およびドーパント材料を含むことができる。ドーパント材料としては上述した化学式1で表される化合物が使用できる。また、ホスト材料としては縮合芳香族環誘導体またはヘテロ環含有化合物などを使用することができる。具体的には縮合芳香族環誘導体としてはアントラセン誘導体、ピレン誘導体、ナフタレン誘導体、ペンタセン誘導体、フェナントレン化合物、フルオランテン化合物などがあり、ヘテロ環含有化合物としてはカルバゾール誘導体、ジベンゾフラン誘導体、梯子型フラン化合物、ピリミジン誘導体などがあるが、これに限定されるものではない。
【0092】
一方、前記有機発光素子には前記発光層と電子輸送層の間に正孔阻止層が備えられている。前記正孔阻止層は発光層上に形成され、好ましくは発光層に接して備えられ、電子移動度を調節して正孔の過度な移動を防止して正孔-電子間の結合確率を高めることによって有機発光素子の効率を改善する役割をする層を意味する。前記正孔阻止層は正孔阻止物質を含み、このような正孔阻止物質の例としてトリアジンを含むアジン類誘導体;トリアゾール誘導体;オキサジアゾール誘導体;フェナントロリン誘導体;ホスフィンオキシド誘導体などの電子吸引基が導入された化合物を使用できるが、これに限定されるものではない。
【0093】
前記電子注入および輸送層は電極から電子を注入し、受け取った電子を発光層まで輸送する電子輸送層および電子注入層の役割を同時に行う層であり、前記発光層または前記正孔阻止層上に形成される。このような電子注入および輸送物質としては陰極からの電子を注入をよく受けて発光層に移し得る物質として、電子に対する移動性が大きい物質が好適である。具体的な電子注入および輸送物質の例としては8-ヒドロキシキノリンのAl錯体;Alq3を含む錯体;有機ラジカル化合物;ヒドロキシフラボン-金属錯体;トリアジン誘導体などがあるが、これらだけに限定されるものではない。またはフルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントロンなどとその誘導体、金属錯体化合物、または窒素含有5員環誘導体などと共に使用することもできるが、これに限定されるものではない。
【0094】
前記電子注入および輸送層は電子注入層および電子輸送層のような別個の層で形成されることもできる。このような場合、電子輸送層は前記発光層または前記正孔阻止層上に形成され、前記電子輸送層に含まれる電子輸送物質としては上述した電子注入および輸送物質が使用できる。また、電子注入層は前記電子輸送層上に形成され、前記電子注入層に含まれる電子注入物質としてはLiF、NaCl、CsF、Li2O、BaO、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントロンなどとその誘導体、金属錯体化合物および窒素含有5員環誘導体などが使用できる。
【0095】
前記金属錯体化合物としては8-ヒドロキシキノリナトリチウム、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナト)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナト)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナト)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナト)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(1-ナフトラート)アルミニウム、ビス(2-メチル-8-キノリナト)(2-ナフトラート)ガリウムなどがあるが、これに限定されるものではない。
【0096】
本発明による有機発光素子は使用される材料によって前面発光型、後面発光型または両面発光型であり得る。
【0097】
また、本発明による化合物は有機発光素子の他にも有機太陽電池または有機トランジスタに含まれ得る。
【0098】
前記化学式1で表される化合物およびそれを含む有機発光素子の製造は以下実施例で具体的に説明する。しかし、下記の実施例は本発明を例示するためであり、本発明の範囲はこれらによって限定されない。
【0099】
製造例1:化合物1の製造
段階1-1:中間体化合物1-cの合成
【化29】
【0100】
N2(g)で充填された丸底フラスコに化合物1-a(1.0eq.)、化合物1-b(1.03eq.)、Cs2CO3、(1.4eq.)、P(t-Bu)3・HBF4(10mol%)を入れて無水トルエンに溶解した。Bath温度を110℃に上げた後、Pd(OAc)2(5mol%)を滴加して4時間の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物1-c(収率81%)を得た。
m/z[M+H]+=393。
【0101】
【0102】
N2(g)で充填された丸底フラスコに化合物1-d(1.0eq.)、化合物1-c(2.2eq.)、Cs2CO3、(2.2eq.)、P(t-Bu)3・HBF4(20mol%)を入れて無水トルエンに溶解した。Bath温度を110℃に上げた後、Pd(OAc)2(10mol%)を滴加して一晩の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物1-e(収率93%)を得た。
m/z[M+H]+=861。
【0103】
【0104】
N2(g)で充填された丸底フラスコに化合物1-e(1.0eq.)、ZnCl2(2.2eq.)を入れて無水1,4-ジオキサンに溶解した。Bath温度を90℃に上げた後、1時間の間攪拌した。反応後、飽和Na2CO3水溶液を滴加して反応を終結させて、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離した。MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物1-f(収率89%)を得た。
m/z[M+H]+=427。
【0105】
【0106】
N2(g)で充填された丸底フラスコに化合物1-f(1.0eq.)、DDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン、6.0eq.)を入れて無水ベンゼンに溶解した。常温下で、反応物を24時間の間攪拌した。反応後減圧下に溶媒を除去して、反応物にK2CO3(6.0eq.)、MeOH、H2Oを滴加した。Bath温度を60℃に上げた後、反応物を30分間攪拌した。反応後、沈殿物をMeOHとH2Oで洗浄して濾過して濾過ケーキを得た。十分に乾燥した濾過ケーキを1,2-ジクロロベンゼンに入れて加熱下に溶解させた。溶解した反応物をcelite-silica padに通過させた。通過した溶液にn-ヘキサンを過量滴加して沈殿を得た。沈殿物をn-ヘキサンとMeOHで洗浄して濾過して濾過ケーキを得て十分に乾燥させて化合物1-g(76%収率)を製造した。
m/z[M+H]+=425。
【0107】
【0108】
化合物1-g(1.0eq.)、NaOt-Bu(6.05eq.)を丸底フラスコに入れて無水PhMe(0.03M)に溶解した。化合物1-h(7.1eq.)を反応物に滴加した。Bath温度110℃下で反応物にPd(P(t-Bu)3)2(20mol%)を滴加して、22時間の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物1-i(収率89%)を得た。
m/z[M+H]+=577。
【0109】
【0110】
化合物1-j(1.0eq.)、化合物1-k(1.2eq.)、NaOt-Bu(2.0eq.)を丸底フラスコに入れて無水トルエンに溶解した。
Bath温度を110℃に上げた後、Pd((t-Bu)3P)2(3mol%)を滴加して4時間の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物1-l(収率81%)を得た。
m/z[M+H]+=274。
【0111】
【0112】
化合物1-i(1.0eq.)、化合物1-l(2.2eq.)、P(t-Bu)3HBF4(10mol%)、そしてNaOt-Bu(2.2eq.)を丸底フラスコに入れて無水PhMe(0.02M)に溶解した。Bath温度105℃下で反応物にPd2(dba)3(5mol%)を滴加して一晩の間攪拌した。反応後、反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。反応物にn-ヘキサンを過量滴加して沈殿を得た。前記沈殿物をMeOHとH2Oで洗浄して濾過して濾過ケーキを得た。十分に乾燥した濾過ケーキを1,2-ジクロロベンゼンに入れて加熱下に溶解させた。溶解した反応物をcelite-silica padに通過させた。通過した溶液にn-ヘキサンを過量滴加して沈殿を得た。沈殿物をn-ヘキサンとMeOHで洗浄して濾過して濾過ケーキを得て十分に乾燥させて化合物1(64%収率)を製造した。
m/z[M+H]+=1051。
【0113】
製造例2:化合物2の製造
段階2-1:中間体化合物2-bの合成
【化36】
【0114】
化合物1-dの代わりに化合物2-aを使用したことを除いては前記段階1-2と同様に中間体化合物2-b(収率71%)を製造した。
m/z[M+H]+=861。
【0115】
【0116】
化合物1-eの代わりに化合物2-bを使用したことを除いては前記段階1-3と同様に中間体化合物2-c(収率73%)を製造した。
m/z[M+H]+=427。
【0117】
【0118】
化合物1-fの代わりに化合物2-cを使用したことを除いては前記段階1-4と同様に中間体化合物2-d(収率78%)を製造した。
m/z[M+H]+=425。
【0119】
【0120】
化合物1-gの代わりに化合物2-dを使用したことを除いては前記段階1-5と同様に中間体化合物2-e(収率91%)を製造した。
m/z[M+H]+=577。
【0121】
【0122】
化合物1-iの代わりに化合物2-eを使用したことを除いては前記段階1-7と同様に化合物2(収率67%)を製造した。
m/z[M+H]+=1051。
【0123】
製造例3:化合物2の製造
段階3-1:中間体化合物3-bの合成
【化41】
【0124】
化合物1-dの代わりに化合物3-aを使用したことを除いては前記段階1-2と同様に中間体化合物3-b(収率74%)を製造した。
m/z[M+H]+=861。
【0125】
【0126】
化合物1-eの代わりに化合物3-bを使用したことを除いては前記段階1-3と同様に中間体化合物3-c(収率76%)を製造した。
m/z[M+H]+=427。
【0127】
段階3-3:中間体化合物3-dの合成
【化43】
化合物1-fの代わりに化合物3-cを使用したことを除いては前記段階1-4と同様に中間体化合物3-d(収率83%)を製造した。
m/z[M+H]
+=425。
【0128】
【0129】
化合物1-gの代わりに化合物3-dを使用したことを除いては前記段階1-5と同様に中間体化合物3-e(収率86%)を製造した。
m/z[M+H]+=577。
【0130】
【0131】
化合物1-iの代わりに化合物3-eを使用したことを除いては前記段階1-7と同様に化合物3(収率74%)を製造した。
m/z[M+H]+=1051。
【0132】
製造例4:化合物4の製造
段階4-1:中間体化合物4-bの合成
【化46】
【0133】
化合物1-dの代わりに化合物4-aを使用したことを除いては前記段階1-2と同様に中間体化合物4-b(収率74%)を製造した。
m/z[M+H]+=861。
【0134】
段階4-2:中間体化合物4-cの合成
【化47】
化合物1-eの代わりに化合物4-bを使用したことを除いては前記段階1-3と同様に中間体化合物4-c(収率74%)を製造した。
m/z[M+H]
+=427。
【0135】
段階4-3:中間体化合物4-dの合成
【化48】
化合物1-fの代わりに化合物4-cを使用したことを除いては前記段階1-4と同様に中間体化合物4-d(収率88%)を製造した。
m/z[M+H]
+=425。
【0136】
段階4-4:中間体化合物4-eの合成
【化49】
化合物1-gの代わりに化合物4-dを使用したことを除いては前記段階1-5と同様に中間体化合物4-e(収率79%)を製造した。
m/z[M+H]
+=577。
【0137】
【0138】
化合物1-iの代わりに化合物4-eを使用したことを除いては前記段階1-7と同様に化合物4(収率79%)を製造した。
m/z[M+H]+=1051。
【0139】
製造例5:化合物5の製造
段階5-1:中間体化合物5-bの合成
【化51】
【0140】
化合物1-dの代わりに化合物5-aを使用したことを除いては前記段階1-2と同様に中間体化合物5-b(収率78%)を製造した。
m/z[M+H]+=861。
【0141】
【0142】
化合物1-eの代わりに化合物5-bを使用したことを除いては前記段階1-3と同様に中間体化合物5-c(収率81%)を製造した。
m/z[M+H]+=427。
【0143】
【0144】
化合物1-fの代わりに化合物5-cを使用したことを除いては前記段階1-4と同様に中間体化合物5-d(収率82%)を製造した。
m/z[M+H]+=425。
【0145】
【0146】
化合物1-gの代わりに化合物5-dを使用したことを除いては前記段階1-5と同様に中間体化合物5-e(収率87%)を製造した。
m/z[M+H]+=577。
【0147】
【0148】
化合物1-iの代わりに化合物5-eを使用したことを除いては前記段階1-7と同様に化合物5(収率73%)を製造した。
m/z[M+H]+=1051。
【0149】
製造例6:化合物6の合成
段階6-1:中間体化合物6-cの合成
【化56】
【0150】
化合物6-a(1.0eq.)、化合物6-b(1.2eq.)、NaOt-Bu(2.0eq.)を丸底フラスコに入れて無水トルエンに溶解した。Bath温度を110℃に上げた後、Pd((t-Bu)3P)2(3mol%)を滴加して4時間の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物6-c(収率89%)を得た。
m/z[M+H]+=461。
【0151】
【0152】
化合物1-lの代わりに化合物6-cを使用したことを除いては前記段階1-7と同様に化合物6(収率78%)を製造した。
m/z[M+H]+=1426。
【0153】
製造例7:化合物7の合成
段階7-1:化合物7の合成
【化58】
【0154】
化合物1-lの代わりに化合物6-cを使用したことを除いては前記段階2-5と同様に化合物7(収率78%)を製造した。
m/z[M+H]+=1426。
【0155】
製造例8:化合物8の合成
段階8-1:化合物8の合成
【化59】
【0156】
化合物1-lの代わりに化合物6-cを使用したことを除いては前記段階3-5と同様に化合物8(収率80%)を製造した。
m/z[M+H]+=1426。
【0157】
製造例9:化合物9の合成
段階9-1:化合物9の合成
【化60】
【0158】
化合物1-lの代わりに化合物6-cを使用したことを除いては前記段階4-5と同様に化合物9(収率75%)を製造した。
m/z[M+H]+=1426。
【0159】
製造例10:化合物10の合成
段階10-1:化合物10の合成
【化61】
【0160】
化合物1-lの代わりに化合物6-cを使用したことを除いては前記段階5-5と同様に化合物10(収率82%)を製造した。
m/z[M+H]+=1426。
【0161】
製造例11:化合物11の合成
段階11-1:中間体化合物11-cの合成
【化62】
【0162】
化合物11-a(1.0eq.)、化合物11-b(1.2eq.)、(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))(Pd(PPh3)4,3mol%)を丸底フラスコに入れて無水トルエン(0.21M)に溶解した。Bath温度を110℃に上げた後、H2Oに溶かしたCs2CO3(3.0eq.)を反応液に滴加した。その後、Bath温度が110℃下で2時間の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物11-c(収率92%)を得た。
m/z[M+H]+=260。
【0163】
段階11-2:中間体化合物11-eの合成
【化63】
化合物11-c(1.0eq.)、化合物11-d(1.2eq.)、NaOt-Bu(2.0eq.)を丸底フラスコに入れて無水トルエンに溶解した。Bath温度を110℃に上げた後、Pd((t-Bu)
3P)
2(3mol%)を滴加して4時間の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO
4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物11-e(収率83%)を得た。
m/z[M+H]
+=336。
【0164】
【0165】
化合物1-lの代わりに化合物11-eを使用したことを除いては前記段階1-7と同様に化合物11(収率82%)を製造した。
m/z[M+H]+=1175。
【0166】
製造例12:化合物12の合成
段階12-1:化合物12の合成
【化65】
【0167】
化合物1-lの代わりに化合物11-eを使用したことを除いては前記段階2-5と同様に化合物12(収率70%)を製造した。
m/z[M+H]+=1175。
【0168】
製造例13:化合物13の合成
段階13-1:化合物13の合成
【化66】
【0169】
化合物1-lの代わりに化合物11-eを使用したことを除いては前記段階3-5と同様に化合物13(収率87%)を製造した。
m/z[M+H]+=1175。
【0170】
製造例14:化合物14の合成
段階14-1:化合物14の合成
【化67】
【0171】
化合物1-lの代わりに化合物11-eを使用したことを除いては前記段階4-5と同様に化合物14(収率77%)を製造した。
m/z[M+H]+=1175。
【0172】
製造例15:化合物15の合成
段階15-1:化合物15の合成
【化68】
【0173】
化合物1-lの代わりに化合物11-eを使用したことを除いては前記段階5-5と同様に化合物15(収率84%)を製造した。
m/z[M+H]+=1175。
【0174】
製造例16:化合物16の合成
段階16-1:中間体化合物16-bの合成
【化69】
【0175】
化合物1-hの代わりに化合物16-aを使用したことを除いては前記段階3-4と同様に中間体化合物16-b(収率89%)を製造した。
m/z[M+H]+=809。
【0176】
【0177】
化合物3-eの代わりに化合物16-bを使用したことを除いては前記段階13-1と同様に化合物16(収率89%)を製造した。
m/z[M+H]+=1408。
【0178】
製造例17:化合物17の合成
段階17-1:中間体化合物17-bの合成
【化71】
【0179】
化合物1-hの代わりに化合物17-aを使用したことを除いては前記段階3-4と同様に中間体化合物17-b(収率89%)を製造した。
m/z[M+H]+=587。
【0180】
【0181】
化合物3-eの代わりに化合物17-bを使用したことを除いては前記段階13-1と同様に化合物17(収率84%)を製造した。
m/z[M+H]+=2107。
【0182】
製造例18:化合物18の合成
段階18-1:中間体化合物18-bの合成
【化73】
【0183】
化合物1-hの代わりに化合物18-aを使用したことを除いては前記段階3-4と同様に中間体化合物18-b(収率89%)を製造した。
m/z[M+H]+=689。
【0184】
段階18-2:中間体化合物18-dの合成
【化74】
【0185】
化合物11-dの代わりに化合物18-cを使用したことを除いては前記段階11-2と同様に中間体化合物18-d(収率81%)を製造した。
m/z[M+H]+=392。
【0186】
【0187】
化合物3-eの代わりに化合物18-bを、化合物11-eの代わりに化合物18-dを使用したことを除いては前記段階13-1と同様に化合物18(収率83%)を製造した。
m/z[M+H]+=1400。
【0188】
比較製造例1:比較化合物Fの合成
段階F-1:中間体化合物F-bの合成
【化76】
【0189】
化合物F-a(1.0eq.)を丸底フラスコに入れて無水CH2Cl2(0.28M)に溶解した。ピリジン(2.5eq.)を反応物に滴加してbath温度を常温から0℃に下げて攪拌した。トリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2,2.0eq.)を滴下ロートを用いて30分間ゆっくり滴加して、bath温度を常温に上げて4時間の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物F-b(収率90%)を得た。
m/z[M+H]+=425。
【0190】
【0191】
化合物F-b(1.0eq.)、ビス(ピナコラト)ジボロン(B2pin2,2.2eq.)、KOAc(6.0eq.)を丸底フラスコに入れて無水ジオキサン(0.2M)に溶解した。Bath温度を常温から100℃に上げた後、(1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II)ジクロリド(Pd(dppf)Cl2,10mol%)を滴加して2時間の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物F-c(収率87%)を得た。
m/z[M+H]+=381。
【0192】
【0193】
化合物F-c(1.0eq.)、化合物F-d(2.2eq.)、(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))(Pd(PPh3)4,12mol%)を丸底フラスコに入れて無水PhMe(トルエン、0.21M)に溶解した。Bath温度を110℃に上げた後、H2Oに溶かしたCs2CO3(5.0eq.)を反応液に滴加した。その後、Bath温度を110℃下で一晩の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物F-e(収率99%)を得た。
m/z[M+H]+=439。
【0194】
【0195】
化合物F-e(1.0eq.)、PPh3(5.0eq.)を丸底フラスコに入れて無水1,2-ジクロロベンゼン(0.075M)に溶解した。Bath温度を180℃下で一夜の間攪拌した。反応後、反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。その後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物F-f(収率85%)を得た。
m/z[M+H]+=375。
【0196】
【0197】
化合物F-f(1.0eq.)、ナトリウムtert-ブトキシド(NaOt-Bu、6.05eq.)を丸底フラスコに入れて無水PhMe(0.03M)に溶解した。その後、化合物F-g(7.1eq.)を反応物に滴加した。次に、Bath温度110℃下で反応物にビス(トリ-tert-ブチルホスフィン)パラジウム(0)(Pd(P(t-Bu)3)2、20mol%)を滴加して、22時間の間攪拌した。反応後、ジクロロメタンと水で水洗して有機層を分離して、MgSO4で水を除去してCelite-Silica padに通過させた。通過した溶液を減圧下に濃縮させた後、カラムクロマトグラフィーにより精製して中間体化合物F-h(収率85%)を得た。
m/z[M+H]+=527。
【0198】
【0199】
化合物F-h(1.0eq.)、化合物1-l(2.3eq.)、P(t-Bu)3HBF4(10mol%)、そしてNaOt-Bu(2.2eq.)を丸底フラスコに入れて無水PhMe(0.02M)に溶解した。Bath温度105℃下で反応物にPd2(dba)3(5mol%)を滴加して一晩の間攪拌した。反応後、反応物を常温下で攪拌しながら冷却させた。反応物にn-ヘキサンを過量滴加して沈殿を得た。沈殿物をMeOHとH2Oで洗浄して濾過して濾過ケーキを得た。十分に乾燥した濾過ケーキを1,2-ジクロロベンゼンに入れて加熱下に溶解させた。溶解した反応物をcelite-silica padに通過させた。通過した溶液にn-ヘキサンを過量滴加して沈殿を得た。沈殿物をn-ヘキサンとMeOHで洗浄して濾過して濾過ケーキを得て十分に乾燥させて比較化合物F(収率71%)を合成した。
m/z[M+H]+=1001。
【0200】
【0201】
化合物1-lの代わりに化合物G-aを使用したことを除いては前記比較化合物Fと同様に化合物G(収率74%)を製造した。
m/z[M+H]+=1018。
【0202】
【0203】
化合物1-lの代わりに化合物6-cを使用したことを除いては前記比較化合物Fと同様に比較化合物H(収率68%)を製造した。
m/z[M+H]+=1376。
【0204】
【0205】
化合物1-kの代わりに化合物I-aを使用したことを除いては前記比較化合物Fと同様に化合物I(収率82%)を製造した。
m/z[M+H]+=1258。
【0206】
実験例1:溶解度の実験
前記製造例で製造した化合物および比較化合物の溶液工程に用いられる溶媒に対する溶解度を確認するために、これらをそれぞれ溶媒シクロヘキサノン(CHON)に常温/常圧条件で溶解させた後、0.1wt%以上溶解するのかどうかを確認し、その結果を表1に示した。
【0207】
【0208】
前記表1から確認できるように、前記化学式1に含まれる化合物は比較化合物Iとは異なり、有機発光素子の溶液工程に用いられる溶媒シクロヘキサノンに対する優れた溶解度を示すことがわかる。
【0209】
実施例1:有機発光素子の製造
実施例1
ITO(indium tin oxide)が500Åの厚さで薄膜コートされたガラス基板を、洗剤を溶かした蒸留水に入れて超音波で洗浄した。この際、洗剤としてはフィッシャー社(Fischer Co.)製品を使用し、蒸留水としてはミリポア社(Millipore Co.)製品のフィルター(Filter)で2次濾過された蒸留水を使用した。ITOを30分間洗浄した後、蒸留水で2回繰り返して超音波洗浄を10分間行った。蒸留水洗浄が終わった後、イソプロピル、アセトンの溶剤で超音波洗浄を行い、乾燥させた後、前記基板を5分間洗浄した後、グローブボックスに基板を輸送させた。
【0210】
前記ITO透明電極の上に、下記化合物Bおよび下記化合物C(2:8の重量比)の20wt/v%シクロヘキサノンに溶かしたコーティング組成物をスピンコート(4000rpm)して200℃で30分間熱処理(硬化)して400Åの厚さで正孔注入層を形成した。前記正孔注入層の上に下記化合物A(Mn:27,900;Mw:35,600;Agilent 1200 seriesを用いてPCスタンダード(Standard)を用いたGPCで測定)の6wt/v%トルエンに溶かしたコーティング組成物をスピンコート(4000rpm)して200℃で30分間熱処理して200Åの厚さの正孔輸送層を形成した。
【0211】
前記正孔輸送層の上に前記製造例1で製造した化合物1と下記化合物D(2:98の重量比)の2wt/v%シクロヘキサノンに溶かしたコーティング組成物をスピンコート(4000rpm)して180℃で30分間熱処理して400Åの厚さで発光層を形成した。
【0212】
真空蒸着機に移送した後、前記発光層の上に下記化合物Eを350Åの厚さで真空蒸着して電子注入および輸送層を形成した。
【0213】
前記電子注入および輸送層上に順次に10Åの厚さでLiFと1000Åの厚さでアルミニウムを蒸着してカソードを形成した。
【0214】
【0215】
前記の過程で有機物の蒸着速度は0.4~0.7Å/secを維持し、LiFは0.3Å/sec、アルミニウムは2Å/secの蒸着速度を維持し、蒸着時真空度は2×10-7~5×10-8torrを維持した。
【0216】
実施例2~実施例18
発光層のドーパントとして化合物1の代わりに表2に記載された化合物を使用することを除いては、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0217】
比較例1~比較例3
発光層のドーパントとして化合物1の代わりに表2に記載された化合物を使用することを除いては、前記実施例1と同様の方法で有機発光素子を製造した。
【0218】
前記実施例および比較例で使用された化合物の構造は下記のとおりである:
【化86】
【0219】
【0220】
【0221】
実験例2
前記実施例および比較例で製造した有機発光素子に電流を印加した時、10mA/cm2の電流密度での駆動電圧、外部量子効率(external quantum efficiency,EQE)および寿命を測定した結果を下記表2に示した。この際、外部量子効率(EQE)は「(放出された光子数)/(注入された電電荷キャリア数)*100」で求め、T90は輝度が初期輝度(500nit)から90%に減少するのに所要する時間を意味する。
【0222】
【0223】
前記表2に示すように、本発明の化合物を発光層のドーパントとして使用した有機発光素子は、比較例の化合物F、化合物Gまたは化合物Hを発光層のドーパントとして使用した有機発光素子に比べて、変換効率および寿命の側面で非常に優れた特性を示すことが分かった。
【符号の説明】
【0224】
1 基板
2 陽極
3 発光層
4 陰極
5 正孔注入層
6 正孔輸送層
7 電子注入および輸送層
【手続補正書】
【提出日】2022-06-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物:
【化1】
前記化学式1において、
Aは隣り合う2個の五員環と融合したベンゼン環であり、
L
1~L
3はそれぞれ独立して、単結合;置換または非置換のC
6-60アリーレン;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC
2-60ヘテロアリーレンであり、
Ar
1~Ar
3はそれぞれ独立して、置換または非置換のC
6-60アリール;または置換または非置換のN、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC
2-60ヘテロアリールであり、
R
1~R
3はそれぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ;置換または非置換のC
1-60アルキル;置換または非置換のC
6-60アリール;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC
2-60ヘテロアリールであり、
aおよびbはそれぞれ独立して、0~
5の整数であり、
cは0~2の整数である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
前記化学式1において、
Aは隣り合う2個の五員環と融合したベンゼン環であり、
L1~L3はそれぞれ独立して、単結合;置換または非置換のC6-60アリーレン;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC2-60ヘテロアリーレンであり、
Ar1~Ar3はそれぞれ独立して、置換または非置換のC6-60アリール;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC2-60ヘテロアリールであり、
R1~R3はそれぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ;置換または非置換のC1-60アルキル;置換または非置換のC6-60アリール;または置換または非置換の、N、OおよびSのうち1個以上のヘテロ原子を含むC2-60ヘテロアリールであり、
aおよびbはそれぞれ独立して、0~5の整数であり、
cは0~2の整数であり、
a、bおよびcが2以上である場合、括弧内の置換基は互いに同一または相異なり、
化合物内の同一名称の置換基は互いに同一または相異なる。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0051
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0051】
また、前記化学式1において、R1~R3はそれぞれ独立して、水素;重水素;ハロゲン;シアノ;C1-10アルキル;またはC6-20アリールであり得る。この時、R1の個数を意味するaは0、1、2、3、4、または5であり、R2の個数を意味するbは0、1、2、3、4、または5であり、R3の個数を意味するcは0、1、または2である。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0052
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0052】
例えば、R1~R3はそれぞれ独立して、水素または重水素であり得、aは0または5であり、bは0または5であり、cは0または2であり得るが、これに限定されるものではない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0119
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0119】
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0204
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0204】
【国際調査報告】