(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-14
(54)【発明の名称】犠牲キャッピング層としての自己組織化単分子層
(51)【国際特許分類】
H01L 21/316 20060101AFI20230207BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20230207BHJP
C23C 16/42 20060101ALI20230207BHJP
【FI】
H01L21/316 X
H01L21/88 B
C23C16/42
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535046
(86)(22)【出願日】2020-12-08
(85)【翻訳文提出日】2022-07-12
(86)【国際出願番号】 US2020063770
(87)【国際公開番号】W WO2021118993
(87)【国際公開日】2021-06-17
(32)【優先日】2019-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ロモ ネグレイラ,アイノア
(72)【発明者】
【氏名】河野 有美子
(72)【発明者】
【氏名】トリヨソ,ディーナ
【テーマコード(参考)】
4K030
5F033
5F058
【Fターム(参考)】
4K030AA09
4K030BA44
4K030BB14
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4K030JA10
4K030LA15
5F033HH07
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5F058BJ02
(57)【要約】
基板処理方法は、金属表面及び誘電材料表面を含む基板を提供することと、金属表面上において、自己組織化単分子層を含む犠牲キャッピング層を選択的に形成することと、犠牲キャッピング層を除去して、金属表面を復元させることと、復元された金属表面及び誘電材料表面を処理することとを含む。犠牲キャッピング層は、基板の更なる処理を待っている間、誘電材料中への金属の拡散を防止し、且つ金属表面の酸化及び汚染を防止するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理方法であって、
金属表面及び誘電材料表面を含む基板を提供するステップと、
前記金属表面上において、自己組織化単分子層を含む犠牲キャッピング層を選択的に形成するステップと、
前記犠牲キャッピング層を除去して、前記金属表面を復元させるステップと、
前記復元された金属表面及び前記誘電材料表面を処理するステップと、
を含む、基板処理方法。
【請求項2】
前記金属表面及び前記復元された金属表面は、化学的に改質されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記金属表面及び前記復元された金属表面は、酸化されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属表面は、酸化されておらず、及び前記犠牲キャッピング層は、前記金属表面の酸化を防止する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記金属表面上に前記犠牲キャッピング層を前記選択的に形成するステップは、
前記基板を回転させながら、前記基板上に化学溶液を分配するステップであって、前記化学溶液は、炭素基、前記炭素基に結合された結合基、前記結合基の反対側にある、前記炭素基に結合された末端基を含む化合物、ならびに溶媒溶液を含む、ステップと、
前記基板上への前記化学溶液の前記分配後、前記基板をアニーリングするステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記基板をアニーリングする前に、前記基板上にリンス溶液を分配して、前記誘電材料表面から前記化学溶液を除去するステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記犠牲キャッピング層を選択的に形成する前に、酸化された金属を前記金属表面から除去するステップを更に含む、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記結合基は、チオール、シラン又はホスホネートを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記化合物は、1-オクタデカンチオール(CH
3(CH
2)
16CH
2SH)、パーフルオロデシルトリクロロシラン(CF
3(CF
2)
7CH
2CH
2SiCl
3)、パーフルオロデカンチオール(CF
3(CF
2)
7CH
2CH
2SH)、クロロデシルジメチルシラン(CH
3(CH
2)
8CH
2Si(CH
3)
2Cl)又はtertブチル(クロロ)ジメチルシラン((CH
3)
3CSi(Cl)(CH
3)
2))を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記金属表面は、Cu、Al、Ta、Ti、W、Ru、Co、Ni及びMoからなる群から選択される金属を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記犠牲キャッピング層を前記除去するステップは、前記基板から前記犠牲キャッピング層を脱離させる温度で前記基板をアニーリングするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記誘電材料表面は、SiO
2又はlow-k材料を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記処理することは、気相曝露により、前記誘電材料表面上に誘電体膜を選択的に堆積するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記選択的に堆積するステップは、
前記誘電材料表面上に金属含有触媒層を吸着させるステップと、
いかなる酸化剤及び加水分解剤もない状態で、約150℃以下の基板温度において、前記基板を、シラノールガスを含むプロセスガスに曝露させて、前記金属表面に対して前記誘電材料表面上にSiO
2膜を選択的に堆積させるステップと、
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記シラノールガスは、トリス(tert-ペントキシ)シラノール、トリス(tert-ブトキシ)シラノール及びビス(tert-ブトキシ)(イソプロポキシ)シラノールからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記犠牲キャッピング層を選択的に形成する前に、酸化された金属を前記金属表面から除去するステップを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記金属表面上に前記犠牲キャッピング層を前記選択的に形成するステップは、
炭素基、前記炭素基に結合された結合基、前記結合基の反対側にある、前記炭素基に結合された末端基を含む化合物、ならびに不活性ガスを含む反応ガスに、前記基板を曝露させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
基板を処理する方法であって、
金属表面及び誘電材料表面を含む基板を提供するステップであって、前記金属表面は、酸化されていない、ステップと、
前記金属表面上において、自己組織化単分子層を含む犠牲キャッピング層を選択的に形成するステップであって、前記犠牲キャッピング層は、前記金属表面の酸化を防止する、ステップと、
前記犠牲キャッピング層を除去して、前記金属表面を復元させるステップと、
前記復元された金属表面及び前記誘電材料表面を処理するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記犠牲キャッピング層を前記選択的に形成するステップの前に、酸化された金属を前記金属表面から除去するステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記金属表面上に前記犠牲キャッピング層を前記選択的に形成するステップは、
前記基板を回転させながら、前記基板上に化学溶液を分配するステップであって、前記化学溶液は、炭素基、前記炭素基に結合された結合基、前記結合基の反対側にある、前記炭素基に結合された末端基を含む化合物、ならびに溶媒溶液を含み、前記結合基は、チオール、シラン又はホスホネートを含む、ステップと、
前記基板上にリンス溶液を分配して、前記誘電材料表面から前記化学溶液を除去するステップと、
前記基板上にリンス溶液を分配するステップの後、前記基板をアニーリングするステップと、
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記化合物は、1-オクタデカンチオール(CH
3(CH
2)
16CH
2SH)、パーフルオロデシルトリクロロシラン(CF
3(CF
2)
7CH
2CH
2SiCl
3)、パーフルオロデカンチオール(CF
3(CF
2)
7CH
2CH
2SH)、クロロデシルジメチルシラン(CH
3(CH
2)
8CH
2Si(CH
3)
2Cl)又はtertブチル(クロロ)ジメチルシラン((CH
3)
3CSi(Cl)(CH
3)
2))を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記処理するステップは、気相曝露により、前記金属表面に対して前記誘電材料表面上に誘電体膜を選択的に堆積するステップを含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年12月10日に出願された「Self-Assembled Monolayers as Sacrificial Capping Layers」という名称の米国仮特許出願第62/946,243号明細書に対する優先権を主張するものであり、この出願の開示は、その全体が参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体処理及び半導体処理システムに関し、より具体的には、露出した材料を半導体処理中に保護するための犠牲キャッピング層として自己組織化単分子層を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの金属は、熱的及び/又は電気的ストレス下で誘電材料中に容易に拡散し、それにより絶縁破壊が生じる。半導体デバイスでは、デバイス内での電気抵抗を低くするために、相互接続のための導体として銅(Cu)金属が使用される。金属の拡散を防止するために、凹型フィーチャ内に堆積されたCu金属は、凹型フィーチャの側面及び底面上で1つ以上の拡散バリア層によって取り囲まれる。凹型フィーチャへのCu金属充填は、多くの場合、化学機械研磨(CMP)プロセスが続いて、隣接する誘電材料に対して過剰なCu金属を除去し、凹型フィーチャ内のCu金属を平坦化する。CMPプロセス後、平坦化されたCu金属上にキャッピング層が堆積され得る。Ta/TaN又はCoWPキャッピング層が使用されているが、Cu金属上に金属キャッピング層を選択的に堆積し、続いて金属キャッピング層を除去するプロセスは、問題があり、Cu金属相互接続の信頼性に影響を与える可能性がある。更に、誘電体キャッピング層及び誘電体エッチストップ層(例えば、SiN、SiC、SiCN及びSiCO)が使用されているが、Cu金属表面上に選択的に堆積することは、困難である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
基板の更なる処理を待っている間、誘電材料中への金属の拡散を防止し、且つ金属表面の酸化及び汚染を防止するために、金属表面上に犠牲キャッピング層を選択的に堆積する基板処理方法が記載される。次いで、犠牲キャッピング層が除去されて、基板を更に処理するための清浄な金属表面が提供され得る。
【0005】
一実施形態によれば、基板処理方法は、金属表面及び誘電材料表面を含む基板を提供することと、金属表面上において、自己組織化単分子層を含む犠牲キャッピング層を選択的に形成することと、犠牲キャッピング層を除去して、金属表面を復元させることと、復元された金属表面及び誘電材料表面を処理することとを含む。
【0006】
金属表面上に犠牲キャッピング層を選択的に形成することは、基板を回転させながら、基板上に化学溶液を分配することであって、化学溶液は、炭素基を含む化合物、炭素基に結合された結合基、結合基の反対側にある、炭素基に結合された末端基及び溶媒溶液を含み得る、分配することと、基板上への化学溶液の分配後、基板をアニーリングすることとを含み得る。
【0007】
以下の詳細な説明を参照して、特に添付図面と併せて検討すると、本発明の実施形態のより詳細な理解及びそれらの付随する利点の多くが容易に明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】スピンコーティング処理システムのコーティングモジュールの断面図を含む、スピンコーティング処理システムの代表的実施形態の図である。
【
図2】自己組織化単分子層の基の代表的実施形態の図である。
【
図3A】本発明の一実施形態による、基板を処理する方法の概略断面図である。
【
図3B】本発明の一実施形態による、基板を処理する方法の概略断面図である。
【
図3C】本発明の一実施形態による、基板を処理する方法の概略断面図である。
【
図3D】本発明の一実施形態による、基板を処理する方法の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
基板処理方法について記載される。基板は、デバイス、特に半導体デバイス又は他の電子デバイスの任意の材料群又は構造を含み得、例えば半導体基板などのベース基板構造であり得るか、又は薄膜など、ベース基板構造上若しくはベース基板構造上を覆う層であり得る。したがって、基板は、パターン形成された又はパターン形成されていない任意の特定のベース構造、下位層又は上位層に限定されることを意図されず、むしろ任意のこのような層又はベース構造並びに層及び/又はベース構造の任意の組み合わせを含むことが企図される。以下の記載は、特定の種類の基板を参照し得るが、この記載は、例示を目的としたものに過ぎず、限定を目的としない。基板は、少なくとも150mm、200mm、300mm又は450mmの直径を有する円形基板(ウェハー)を含み得る。
【0010】
図1は、1種以上の液体化学物質を分配することができる液体送達システム106と流体連通するコーティングモジュール104を使用して、化学物質を基板102上に分配するためのスピンコーティング処理システム100を示す。システム100は、コーティングモジュール104にガスを供給し得るガス送達システム108も含み得、ガスは、排気システム110を介して除去され得る。コーティングモジュール104から液体を除去するために、排気システムに液体ドレン(図示せず)を組み込み得る。システム100は、化学物質が分配された後、基板102をベークするか又は光放射を適用することができるアニールモジュール112も含み得る。コントローラ114を使用して、システム100の構成要素間でコンピュータ実行可能命令又は電気信号を送受信することができる電気通信ネットワークを使用して、システム100の構成要素を制御し得る。コントローラ114は、1つ以上のコンピュータプロセッサ116及びメモリ118を含み得、メモリは、コンピュータプロセッサ又は他のロジック/処理デバイスによって実行され得るコンピュータ実行可能命令を記憶し得る。コントローラ114は、システム100の構成要素を制御するか又はそれに指示して、コーティングモジュール104及び/又はアニールモジュール112内の特定の条件を取得することによって実装され得るレシピ又はプロセス条件ルーチンを含み得るプロセス構成要素136を記憶することができる。構成要素間の通信は、破線120によって表されるような、当業者に知られている処理及び電気通信技術によって実装され得る。
【0011】
コンピュータプロセッサ116は、1つ以上の処理コアを含み得、1つ以上のメモリに記憶されたコンピュータ可読命令に(少なくとも部分的に)アクセスし、且つそれを実行するように構成され得る。1つ以上のコンピュータプロセッサ116は、限定するわけではないが、中央処理装置(CPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、複雑命令セットコンピュータ(CISC)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はこれらの任意の組み合わせを含み得る。コンピュータプロセッサ116は、システム100の構成要素間の通信を制御するためのチップセット(図示せず)も含み得る。特定の実施形態では、コンピュータプロセッサは、インテル(商標)アーキテクチャ又はARM(商標)アーキテクチャに基づき得、プロセッサ及びチップセットは、インテル(商標)プロセッサ及びチップセットのファミリからのものであり得る。1つ以上のコンピュータプロセッサは、特定のデータ処理機能又はタスクを取り扱うための1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)又は特定用途向け標準製品(ASSP)も含み得る。
【0012】
メモリ118は、1つ以上の非一時的コンピュータ可読記憶媒体(「CRSM」)を含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のメモリは、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)、フラッシュRAM、磁気媒体、光学媒体、ソリッドステート媒体などの非一時的媒体を含み得る。1つ以上のメモリは、揮発性(電力が供給されている間、情報が保持される点において)又は不揮発性(電力が供給されていなくても情報が保持される点において)であり得る。追加の実施形態も、非一時的機械可読信号(圧縮又は非圧縮形式)を含むコンピュータプログラム製品として提供され得る。機械可読信号の例は、インターネット又は他のネットワークによって伝達される信号を含むが、これらに限定されない。例えば、インターネットを介するソフトウェアの配布は、非一時的機械可読信号を含み得る。加えて、メモリは、複数のコンピュータ実行可能命令を含むオペレーティングシステムを記憶し得、コンピュータ実行可能命令は、プロセッサによって実装されて、システム100を動作させるための様々なタスクを実行し得る。
【0013】
図1は、基板102上に化学物質を分配することができるコーティングモジュール104の一実施形態の代表的な
図122も含む。システム100は、基板102全体に分散され得る1種以上の液体化学物質を、基板102を回転させるか、基板102を並進移動させるか、又は液体ディスペンサの位置を回転又は並進移動させるかのいずれかで分配するために使用され得る。基板102上に配置された液体ディスペンサ124、126は、位置決め機構128を使用して、基板102の上の又は基板102に隣接する任意の位置にわたって又はその周辺で移動させることができる。
図1の実施形態では、位置決め機構128は、位置決め機構128に隣接する矢印によって示されるように、水平面及び/又は垂直面内で前後に移動し得る。位置決め機構128は、位置決め機構128の垂直軸130の周りでも回転され得る。位置決め機構128は、基板102全体にわたって個々の位置に化学物質を分配し得るか、又は位置決め機構128が基板102にわたって移動するときに化学物質が分配され得る。化学物質は、連続的に又は非連続的に基板上に配置され得る。化学物質は、基板102にわたる複数回の移動で一度に1回ずつ分配され得るか、又は化学物質は、同じ場所において、しかし異なる時間に分配され得る。
【0014】
基板102は、基板102を支持する回転チャック132に固定され得、化学物質の分配中に基板102を回転させ得る。基板102は、最大2200回転/分(rpm)の速度で回転軸134の周りを回転し得る。化学物質の分配は、基板102が回転を始める前、その間及び/又はその後に行われ得る。
【0015】
化学物質の分配前又は後、基板102は、アニールモジュール112内で処理され得、アニールモジュールは、基板102を加熱して、化学物質の分配前に基板102から水分を除去し得るか、又はコーティングモジュール104によって基板102上に堆積された膜を処理し得る。アニールモジュール112は、伝導によって基板102に熱を伝達する抵抗性加熱要素(図示せず)を含み得るが、これに限定されない。別の実施形態では、アニールモジュール112は、基板102を放射線に曝露させる放射線源(図示せず)を含み得る。放射線源は、紫外線(UV)源(図示せず)を含み得るが、これに限定されない。アニールモジュール112は、ガス送達システム108から加熱されたガスを受け取ることにより、対流を介して基板102を加熱することもできる。アニールモジュール112は、基板102又は堆積された膜に対して、基板102を比較的不活性なガスで処理して、周囲環境又は取り囲んでいる環境(例えば、酸素、水分など)との化学反応を防止することもできる。ガスは、アニール処理中、堆積された膜からアウトガスされたガス又は流体を除去するためにも使用され得る。アウトガスされた化学物質は、アニールモジュール112からガスを除去する排気システム110によって除去され得る。
【0016】
図2は、基板102上に形成され得る自己組織化単分子層(SAM)200の基の代表的な実施形態の図である。SAMは、表面改質剤及び接着層として広く知られている。
図2に示すSAM200は、SAM200の構成要素を例示する目的を意図している。適用において、SAM200は、基板102上に体系的に配置される複数のSAM200と共に使用され得る。簡単に言えば、複数のSAM200は、基板102の表面上に三次元結晶又は半結晶構造を形成し得る。SAM200は、1nm未満の厚さを有し得る。SAM200は、末端基202、鎖基204及び結合基206を含む化合物を含み得る。これらの基は、SAM200のビルディングブロックを形成し得、これらの基と基板102との間の相互作用が三次元構造を形成し得る。分子自己組織化は、ファンデルワールス相互作用、疎水性相互作用及び/又は基板102若しくは上位膜(図示せず)上において、高度に規則的な低次元構造を自発的に形成する分子-基板相互作用の組み合わせに起因し得る。
【0017】
概して、結合基206は、基板102に結合又は化学吸着され得る。結合基206は、基板102又は基板102上の膜若しくは層、例えば金属層に化学的に引き付けられ得る。しかしながら、末端基202及び鎖基204は、基板102に結合又は化学吸着されない場合があるか、又は少なくとも結合基206と同様に結合されない場合がある。鎖基204及び末端基202は、
図2に示すように、それ自体で集合し得る。この選択的集合の結果として、SAM200は、結合基206が基板102に固定され、末端基202及び鎖基206が結合基206を介して基板102につながれた状態で立っているように見える場合がある。
【0018】
SAM200は、様々な用途に使用することができ、これらの基の組成物、すなわちビルディングブロックは、所望の構造及び基板102のタイプに応じて変化し得る。一実施形態によれば、結合基206は、基板102上の所望の材料層、例えば金属層と結合するか又は化学的に反応することができ、異なる材料、例えば誘電材料に弱くのみ結合することができる任意の反応性要素であり得る。金属層の場合、いくつかの例では、結合基206は、チオール、シラン又はホスホネートを含み得る。鎖基204は、一緒に接続又は結合され得る炭素元素の鎖を含み得る。
図2は、SAM200の1つの基を示すが、鎖基204は、より大きいSAM構造(図示せず)を形成し得る隣接する鎖基と結合され得る。鎖基204は、一緒に結合されて、基板102の表面全体にわたってSAM200の三次元構造を形成し得るC
xH
y分子を含み得る。末端基202は、鎖基204の上に組み立てることができ、SAM200の用途に基づいて選択することができる。SAM200の例は、1-オクタデカンチオール(CH
3(CH
2)
16CH
2SH)、パーフルオロデシルトリクロロシラン(CF
3(CF
2)
7CH
2CH
2SiCl
3)、パーフルオロデカンチオール(CF
3(CF
2)
7CH
2CH
2SH)、クロロデシルジメチルシラン(CH
3(CH
2)
8CH
2Si(CH
3)
2Cl)及びtertブチル(クロロ)ジメチルシラン((CH
3)
3CSi(Cl)(CH
3)
2))を含むが、これらに限定されない。
【0019】
一実施形態によれば、基板102は、誘電材料中に形成された金属配線を有し、金属配線は、少なくとも部分的に露出される。本発明のいくつかの実施形態は、金属表面上において、自己組織化単分子層を含む犠牲キャッピング層を選択的に形成するための方法を説明し、犠牲キャッピング層を使用して、誘電材料への金属拡散を防止し、露出した金属表面の酸化を防止し、それにより基板102をQ時間に制約されることなく処理することが可能になり得る。ここで、「Q時間」とは、ドライエッチングによって露出した金属配線の酸化等を基板102の更なる処理前に防止するために、基板102が例えばドライエッチングされた後の時間間隔に対して設定される制限時間を指す。Q時間を設定するとき、Q時間に準拠するために時間管理が必要である。したがって、処理時間の増加に起因して、生産性が低下し得るリスクがある。更に、設定したQ時間が短いと、ライン管理が困難になる。また、ライン管理の複雑化に起因して、生産性が低下する場合もある。
【0020】
図3A~
図3Dは、本発明の一実施形態による、犠牲キャッピング層として自己組織化単分子層を使用するための方法を概略的に示す。
図3Aにおける概略断面図では、基板3は、パターン形成され、誘電材料300中に凹型フィーチャを含み、凹型フィーチャは、凹型フィーチャの側壁及び底部の金属304を取り囲むバリア/ライナー層302を含む。基板3は、露出した金属表面303及び露出した誘電材料表面301を含む。一例では、金属表面303は、Cu、Al、Ta、Ti、W、Ru、Co、Ni及びMoからなる群から選択される金属を含み得る。一例では、誘電材料表面は、シリコンを含む。別の例では、誘電材料表面は、SiO
2又はlow-k材料を含む。
【0021】
例示的な基板3は、金属表面303及び誘電材料表面301と共に同じ水平面内で平坦化される。平坦化は、CMPプロセスを利用し得、その後、基板3の表面からのあらゆる不純物及び酸化物を除去するためのクリーニングプロセスが続き得る。いくつかの例では、基板3は、Cu金属表面303及びSiO2又はlow-k表面301を含み得る。一例では、水性クエン酸溶液を使用するウェットクリーニングプロセスを使用して、酸化されたCu金属をCu金属表面303から除去し得る。別の例では、クリーニングプロセスは、ドライクリーニングプロセスを含み得る。
【0022】
クリーニングプロセスに続く、基板3のクリーニングプロセスと更なる処理との間の時間は、Cu金属304から誘電材料300への基板3の上部に沿ったCu金属の拡散を回避し、且つ酸素含有バックグラウンドガスへの曝露によるCu金属表面303の酸化を回避するために短くする必要がある。一例では、更なる処理は、気相曝露によって誘電体膜を誘電材料表面301上に選択的に堆積することを含み得、誘電材料表面301とCu金属表面303との間で必要な堆積選択性を実現するために、清浄で酸化されていないCu金属表面303が必要である。Cu金属表面303上において、完全に自己整合化されたビア(FSAV)を形成するために、誘電材料表面301上への誘電体膜の選択的堆積が使用され得る。
【0023】
本方法は、
図3Bに概略的に示すように、誘電材料表面301に対して、露出された金属表面303上において、自己組織化単分子層を含む犠牲キャッピング層306を選択的に形成することを更に含む。犠牲キャッピング層306は、
図1で説明したスピンコーティング処理システム100を使用して形成され得る。SAM化学物質(例えば、1-オクタデカンチオール)を含む化学溶液は、コーティングモジュール104によって基板3上に分配され得る。化学溶液は、溶媒、例えば有機溶媒を更に含み得る。分配される化学溶液の量は、基板3の少なくとも大部分が化学溶液で覆われることを可能にする量でなければならない。一例では、化学溶液中のSAM化学物質の濃度は、約5mM以下であり得る。基板3は、化学溶液の塗布中、例えば約800rpm~約2200rpmの回転速度で回転され得る。
【0024】
SAM化学物質の結合基は、金属304の露出した金属表面303と結合し得るか又は化学的に反応し得るが、誘電材料300の誘電材料表面301と弱くのみ相互作用し得る反応性要素(例えば、チオール基)を含む。その後、コーティングモジュール104によってリンス溶液(例えば、イソプロピルアルコール(IPA))が基板3上に分配されて、誘電材料300の誘電材料表面301からの弱く結合されたSAM化学物質を含む、基板3からのいかなる過剰な化学溶液も除去され得る。
【0025】
その後、基板3は、コーティングモジュール104から除去され、抵抗性加熱要素又は放射源(例えば、UV光)を含み得るアニールモジュール112に送られ得る。アニールモジュール112では、基板3は、露出した金属表面303上のSAMの脱離温度及び分解温度よりも低い温度でアニールされ得る。一例では、SAM化学物質である1-オクタデカンチオールを使用して、基板3は、160℃未満の温度(分解温度)で約5分以下の時間にわたってアニールされ得る。他の実施形態では、基板3は、システム100から除去され、別個のツール(例えば、ベークオーブン、ファーネス)においてアニールされ得る。アニーリングは、基板3上でのSAM化学構成要素の自己組織化を可能にするか又は改善して、金属304の露出した金属表面303上に犠牲キャッピング層306を形成し得る。その後、基板3は、追加のリンスのためにコーティングモジュール104に移送され、続いてアニールモジュール112においてソフトベークを受け得る。ソフトベークは、160℃未満の温度で実施され得る。この一連のステップにより、露出した金属表面303上に規則的な犠牲キャッピング層306が選択的に形成される一方、誘電材料表面301は、少なくとも実質的にSAM化学物質を含まないままである。
【0026】
犠牲キャッピング層306の特性は、以下の特性の1つ以上を含み得る:基板3全体にわたる1層の単分子層の厚さ範囲内の金属表面303上の均一な厚さ分布及びSAMの末端基に適切な均一な水接触角。犠牲キャッピング層306は、酸化及び金属304から誘電材料300中への金属拡散などの悪影響から金属表面303を保護し、それによりQ時間を設定する必要性がなくなる。Q時間の設定が不要であるため、Q時間に準拠した時間管理が不要になり、Q時間への準拠に起因するライン管理の複雑化が防止され、デバイス製造における生産性の向上につながる。
【0027】
金属表面303上への犠牲キャッピング層306の選択的形成に続いて、犠牲キャッピング層306を基板3から除去し、基板3を更に処理する前に、基板3は、保持パターンに置かれ、且つ保管され得る。
【0028】
別の実施形態によれば、犠牲キャッピング層306は、自己整合単分子層を形成することができる化合物(例えば、1-オクタデカンチオール)を含む反応物ガスに基板3を曝露させることにより、露出した金属表面303上に形成され得る。反応ガスは、不活性ガスを更に含み得る。
【0029】
一例では、基板3は、アニールモジュール112に移送され、基板3からの犠牲キャッピング層306の脱離をもたらす温度でアニールされて、更なる処理前に金属表面303及び誘電材料表面301が復元され得る。得られた基板3を
図3Cに概略的に示す。別の例では、基板3は、別の処理システム又は別の処理プラットフォームに移送され得、そこで犠牲キャッピング層306が除去され得る。代わりに、犠牲キャッピング層306は、プラズマ励起H
2ガスへのガス曝露及び任意選択の基板加熱を使用して除去され得る。犠牲キャッピング層306を除去することに加えて、プラズマ励起H
2ガスへのガス曝露は、誘電材料表面101を損傷することなく、誘電材料表面101を更にクリーニングし得る。
【0030】
本発明のいくつかの実施形態によれば、金属表面及び復元された金属表面は、清浄であり、化学的に改質されていない。一例では、金属表面及び復元された金属表面は、酸化されていない。
【0031】
一例では、更なる処理は、堆積プロセスを含み得、このプロセスは、領域選択的堆積(ASD)プロセスにおいて、露出した誘電材料表面301上に誘電体層308(例えば、SiO
2)を選択的に堆積することを含む。これは、
図3Dに概略的に示されている。一例では、選択的堆積は、金属含有触媒層を誘電材料表面上に吸着させることと、いかなる酸化剤及び加水分解剤もない状態で、約150℃以下の基板温度において、基板を、シラノールガスを含むプロセスガスに曝露させて、金属表面に対して誘電材料表面上にSiO
2膜を選択的に堆積させることとを含む。金属含有触媒層は、例えば、アルミニウム(Al)又はチタン(Ti)を含み得る。一例では、金属含有触媒層は、基板をAlMe
3ガスに曝露することによって形成され得る。一例では、シラノールガスは、トリス(tert-ペントキシ)シラノール、トリス(tert-ブトキシ)シラノール及びビス(tert-ブトキシ)(イソプロポキシ)シラノールからなる群から選択される。
【0032】
露出した材料を半導体処理中に保護するための犠牲キャッピング層として自己組織化単分子層を形成するための複数の実施形態が説明されてきた。本発明の実施形態の上述の説明は、例示及び説明を目的として提示されている。この説明は、網羅的であること又は開示されているまさにその形態に本発明を限定することを意図するものではない。本明細書及び以下の特許請求の範囲は、説明目的でのみ使用され、限定するものとして解釈されるべきではない用語を含む。関連する技術分野の当業者であれば、上記の教示に照らして多くの修正形態及び変形形態が可能であることを理解し得る。したがって、本発明の範囲は、この詳細な説明によってではなく、むしろ本明細書に添付の特許請求の範囲によって限定されることが意図される。
【国際調査報告】