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特表2023-506150パラレル干渉測定による物体を加工または測定するためのアセンブリでの光学系の素子の位置および前記アセンブリに対する前記物体の位置を決定するための方法およびシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-15
(54)【発明の名称】パラレル干渉測定による物体を加工または測定するためのアセンブリでの光学系の素子の位置および前記アセンブリに対する前記物体の位置を決定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01B 9/0209 20220101AFI20230208BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20230208BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20230208BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230208BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20230208BHJP
【FI】
G01B9/0209
G01C3/06 120Z
B23K26/00 A
B23K26/00 M
B33Y10/00
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022533648
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(85)【翻訳文提出日】2022-08-02
(86)【国際出願番号】 IB2020061513
(87)【国際公開番号】W WO2021111399
(87)【国際公開日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】102019000023229
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508138955
【氏名又は名称】アディジェ ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100100479
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 三喜夫
(72)【発明者】
【氏名】ドナデッロ,シモーネ
(72)【発明者】
【氏名】プレヴィターリ,バルバラ
(72)【発明者】
【氏名】コロンボ,ダニエーレ
【テーマコード(参考)】
2F064
2F112
4E168
【Fターム(参考)】
2F064AA01
2F064EE01
2F064GG02
2F064GG12
2F064GG22
2F064GG49
2F112AD10
2F112CA04
2F112FA03
2F112FA07
2F112FA21
2F112FA41
4E168AD07
4E168AD11
4E168BA35
4E168BA81
4E168CB12
4E168EA17
4E168FB01
4E168JA02
(57)【要約】
光学系に設けられた予め定めた測定ラインに沿った物体の加工または測定のためアセンブリの光学系の素子の相対位置の決定のため、および加工ツールまたは測定機器とその外部にある物体との間の分離距離の決定のための方法およびシステムが記載されている。これらは、低コヒーレンス光放射の測定ビームおよび基準ビームの発生を含み、測定ビームおよび基準ビームは、代替または組合せで、メインビームおよび多重化追加ビームを含む。測定ビームは、光学系の素子に向けてまたは物体に向けて導かれ、そこで後方反射され、干渉光学センサ配列の共通入射領域において基準ビームに重畳される。メイン干渉縞パターンおよび追加の干渉縞パターンの位置または周波数しそこで検出され、これらの関数として、(a)光学系の素子の位置、または加工ツールまたは測定機器とその外部にある物体との間の分離距離と、(b)公称所定位置、または公称分離距離との間の差が決定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系に設けられた予め定めた測定ラインに沿って物体を加工または測定するためのアセンブリの光学系の素子の相対位置を決定する方法であって、
・測定低コヒーレンス光放射ビームを発生するステップであって、前記測定ビームを前記測定ラインに沿って前記素子に向けて導いて、前記測定ビームが少なくとも部分後方反射とともに入射する前記素子の後方反射表面によって反射または拡散した前記測定ビームを、光干渉センサ手段に向けて導いて、測定ビームは、個々の光源から前記光干渉センサ手段までの測定光学経路を進行し、該測定光学経路は、前記光源と前記素子の前記後方反射表面との間の第1セクションと、前記素子の前記背面反射面と干渉センサ手段との間の第2セクションとを含み、前記素子が前記システムの予め定めた動作条件に対応する予め定めた公称位置にある場合、個々の予め定めた公称幾何学的長さを有する、ステップと、
・前記低コヒーレンス光放射の個々の基準ビームを発生するステップであって、前記基準ビームを前記光干渉センサ手段に向けて導いて、前記基準ビームは、前記素子の位置が予め定めた公称位置である公称動作条件において測定光学経路の光学長に相当する光学長を有するメイン基準光学経路の進行から生ずるメイン基準ビームと、前記素子の位置が予め定めた修正位置である動作条件において、前記メイン基準光学経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の基準光学経路の進行から生ずる少なくとも1つの追加の多重化基準ビームとを含む、ステップと、
・測定ビームおよび基準ビームを、予め定めた照射軸に沿って前記光干渉センサ手段の少なくとも共通入射領域上に重畳させるステップと、
・前記共通入射領域上の前記照射軸に沿って、測定ビームとメイン基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの位置を検出するステップであって、照射軸に沿った前記干渉縞パターンの延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長に対応しており、測定ビームと追加の基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのものは、(i)メイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線の強度のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンの光放射の強度包絡線の固有位置からのオフセットした光放射の強度包絡線の固有位置、または、(iii)メイン干渉縞メインパターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を有する、ステップ、あるいは、
・前記共通入射領域において、前記ビームの波長分散によって測定ビームとメイン基準ビームとの間のメイン干渉から得られる、波長スペクトルにおける縞パターンの周波数を検出するステップであって、周波数ドメインにおけるその延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長によって決定され、測定ビームと追加の基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのものは、(i)メイン干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有し、または、(ii)測定ビームとメイン基準ビームの重複エリアとは異なる前記共通領域のエリア上で測定ビームおよび追加の基準ビームの重畳によって決定される、ステップと、
・測定光学経路と基準光学経路または追加の基準光学経路との間の光学長の差を、前記入射領域の前記照射軸に沿った前記干渉縞パターンまたは前記追加の干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける前記干渉縞パターンまたは前記追加の干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)前記素子の現在位置と、(b)測定ビームの軸に沿った前記素子の予め定めた公称位置または予め定めた修正位置との間の差を示す、ステップと、を含む方法。
【請求項2】
物体の表面を基準として、ツールまたは機器の少なくとも近位部分と関連付けられた予め定めた測定ラインに沿って、加工ツールまたは測定機器と、その外部にある物体の少なくとも部分反射表面との間の分離距離を決定するための方法であって、
・測定低コヒーレンス光放射ビームを発生するステップであって、前記測定ビームを、ツールまたは機器の前記近位部分を経由して前記物体表面に向けて導いて、物体の表面で反射または拡散した測定ビームを、ツールまたは機器の前記近位部分を経由して光干渉センサ手段に向けて導いて、測定ビームは、個々の光源から前記光干渉センサ手段までの測定光学経路を進行し、該測定光学経路は、前記光源とツールまたは機器の前記近位部分との間の第1セクションと、ツールまたは機器の前記近位部分と干渉センサ手段との間の第2セクションとを含み、個々の予め定めた不変の幾何学的長さを有する、ステップと、
・前記低コヒーレンス光放射の個々の基準ビームを発生ステップであって、前記基準ビームを前記光干渉センサ手段に向けて導いて、前記基準ビームは、ツールまたは機器の前記近位部分と物体の表面との間の距離が予め定めた公称分離距離に対応する公称動作条件において測定光学経路の光学長に相当する光学長を有するメイン基準光学経路の進行から生ずるメイン基準ビームと、ツールまたは機器の近位部分と物体の表面との間の距離が予め定めた修正分離距離に対応する動作条件において前記メイン基準光学経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の基準光学経路の進行から生ずる少なくとも1つの追加の多重化基準ビームとを含む、ステップと、
・測定ビームおよび基準ビームを、予め定めた照射軸に沿って前記光干渉センサ手段の少なくとも共通入射領域上に重畳させるステップと、
・前記共通入射領域上の前記照射軸に沿って、測定ビームとメイン基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの位置を検出するステップであって、
照射軸に沿った前記干渉縞パターンの延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長に対応しており、測定ビームと追加の基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのものは、(i)メイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線の強度のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンの光放射の強度包絡線の固有位置からのオフセットした光放射の強度包絡線の固有位置、または、(iii)メイン干渉縞メインパターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を有する、ステップ、あるいは、
・前記共通入射領域において、前記ビームの波長分散によって測定ビームとメイン基照ビームとの間のメイン干渉から得られる、波長スペクトルにおける縞パターンの周波数を検出するステップであって、周波数ドメインにおけるその延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長によって決定され、測定ビームと追加の基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのものは、(i)メイン干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有し、または、(ii)測定ビームとメイン基準ビームの重複エリアとは異なる前記共通領域のエリア上で測定ビームおよび追加の基準ビームの重畳によって決定される、ステップと、
・測定光学経路と基準光学経路または追加の基準光学経路との間の光学長の差を、前記入射領域の前記照射軸に沿った前記干渉縞パターンまたは前記追加の干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける前記干渉縞パターンまたは前記追加の干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)ツールまたは機器の近位部分と物体の表面との間の現在の分離距離と、(b)予め定めた公称分離距離または予め定めた修正分離距離との間の差を示す、ステップと、を含む方法。
【請求項3】
前記メイン基準光学経路および前記追加の基準光学経路は、少なくとも一部について重畳され、前記光干渉センサ手段の共通入射領域上に共線的に入射する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記追加の基準光学経路は、メイン基準ビームの光学経路に沿って介在する光学素子の表面に少なくとも部分後方反射を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記追加の基準光学経路は、メイン基準ビームの光学経路に沿って介在する光学素子の内部にある少なくとも後方反射を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記追加の基準光学経路は、メイン基準ビームの光学経路に対して偏向した経路セクションを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記偏向した経路セクションは、メイン基準ビームの光学経路から基準ビームの部分抽出のための光学素子および、抽出された基準ビームの、メイン基準ビームの光学経路内のビームへの再導入のための光学素子を介在させることによって得られる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
ビーム部分抽出のための前記光学素子は、ビーム分割光学デバイスである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ビーム部分抽出のための前記光学素子は、偏向した経路のセクションの光学長を連続性で制御するように構成されたプリズムである、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記メイン基準光学経路および前記追加の基準光学経路は、光干渉センサ手段の前記共通入射領域のそれぞれ異なるエリアに入射する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
前記光干渉センサ手段は、前記照射軸に沿った光検出器の配列を備え、
光検出器の前記配列は、光検出器のリニア配列である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記光干渉センサ手段は、前記照射軸に沿った光検出器の配列を備え、
光検出器の前記配列は、光検出器の2次元配列である、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
光学系に設けられた予め定めた測定ラインに沿って物体を加工または測定するためのアセンブリの光学系の素子の相対位置を決定する方法であって、
・測定低コヒーレンス光放射ビームを発生するステップであって、前記測定ビームを前記測定ラインに沿って前記素子に向けて導いて、前記測定ビームが少なくとも部分後方反射とともに入射する前記素子の後方反射表面によって反射または拡散した前記測定ビームを、光干渉センサ手段に向けて導いて、測定ビームは、個々の光源から前記光干渉センサ手段までの測定光学経路を進行し、該測定光学経路は、前記光源と前記素子の前記後方反射表面との間の第1セクションと、前記素子の前記背面反射面と干渉センサ手段との間の第2セクションとを含み、前記素子が前記システムの予め定めた動作条件に対応する予め定めた公称位置にある場合、個々の予め定めた公称幾何学的長さを有し、測定ラインに沿って前記素子の上流側に介在する各光学素子を経由した伝送を伴うメイン測定光学経路の進行から生ずるメイン測定ビームと、前記メイン測定光学経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の測定光学経路の進行から生ずる追加の多重化測定ビームとを含む、ステップと、
・前記低コヒーレンス光放射の個々の基準ビームを発生するステップであって、前記基準ビームを前記光干渉センサ手段に向けて導いて、前記基準ビームは、前記素子の位置が予め定めた公称位置である公称動作条件においてメイン測定光学経路の光学長に相当する光学長を有する基準光学経路を進行する、ステップと、
・測定ビームおよび基準ビームを、予め定めた照射軸に沿って前記光干渉センサ手段の少なくとも1つの共通入射領域上に重畳させるステップと、
・前記共通入射領域上の前記照射軸に沿って、メイン測定ビームと基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの位置を検出するステップであって、照射軸に沿った前記干渉縞パターンの延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長に対応しており、追加の測定ビームと基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのものは、(i)メイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線の強度のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンの光放射の強度包絡線の固有位置からのオフセットした光放射の強度包絡線の固有位置、または、(iii)メイン干渉縞メインパターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を有する、ステップ、あるいは、
・前記共通入射領域において、前記ビームの波長分散によってメイン測定ビームと基準ビームとの間のメイン干渉から得られる、波長スペクトルにおける縞パターンの周波数を検出するステップであって、周波数ドメインにおけるその延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長によって決定され、追加の測定ビームと基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのものは、(i)メイン干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有し、または、(ii)メイン測定ビームと基準ビームの重複エリアとは異なる前記共通領域のエリア上で追加の測定ビームおよび基準ビームの重畳によって決定される、ステップと、
・測定光学経路と基準光学経路または追加の基準光学経路との間の光学長の差を、前記入射領域の前記照射軸に沿った前記干渉縞パターンまたは前記追加の干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける前記干渉縞パターンまたは前記追加の干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)前記素子の現在位置と、(b)測定ビームの軸に沿った前記素子の予め定めた公称位置との間の差を示す、ステップと、を含む方法。
【請求項14】
物体の表面を基準として、ツールまたは機器の少なくとも近位部分と関連付けられた予め定めた測定ラインに沿って、加工ツールまたは測定機器と、その外部にある物体の少なくとも部分反射表面との間の分離距離を決定するための方法であって、
・測定低コヒーレンス光放射ビームを発生するステップであって、前記測定ビームを、ツールまたは機器の前記近位部分を経由して前記物体表面に向けて導いて、物体の表面で反射または拡散した測定ビームを、ツールまたは機器の前記近位部分を経由して光干渉センサ手段に向けて導いて、測定ビームは、個々の光源から前記光干渉センサ手段までの測定光学経路を進行し、該測定光学経路は、前記光源とツールまたは機器の前記近位部分との間の第1セクションと、ツールまたは機器の前記近位部分と干渉センサ手段との間の第2セクションとを含み、個々の予め定めた不変の幾何学的長さを有し、測定ラインに沿って前記ツールまたは機器の上流側に介在する各光学素子を経由した伝送を伴うメイン測定光学経路の進行から生ずるメイン測定ビームと、前記メイン測定光学経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の測定光学経路の進行から生ずる追加の多重化測定ビームとを含む、ステップと、
・前記低コヒーレンス光放射の個々の基準ビームを発生ステップであって、前記基準ビームを前記光干渉センサ手段に向けて導いて、前記基準ビームは、ツールまたは機器の前記近位部分と物体の表面との間の距離が予め定めた公称分離距離に対応する公称動作条件においてメイン測定光学経路の光学長に相当する光学長を有する基準光学経路を進行する、ステップと、
・測定ビームおよび基準ビームを、予め定めた照射軸に沿って前記光干渉センサ手段の少なくとも1つの共通入射領域上に重畳させるステップと、
・前記共通入射領域上の前記照射軸に沿って、メイン測定ビームと基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの位置を検出するステップであって、照射軸に沿った前記干渉縞パターンの延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長に対応しており、測定ビームと追加の基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのものは、(i)メイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線の強度のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンの光放射の強度包絡線の固有位置からのオフセットした光放射の強度包絡線の固有位置、または、(iii)メイン干渉縞メインパターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を有する、ステップ、あるいは、
・前記共通入射領域において、前記ビームの波長分散によってメイン測定ビームと基照ビームとの間のメイン干渉から得られる、波長スペクトルにおける縞パターンの周波数を検出するステップであって、周波数ドメインにおけるその延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長によって決定され、追加の測定ビームと基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのものは、(i)メイン干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有し、または、(ii)追加の測定ビームと基準ビームの重複エリアとは異なる前記共通領域のエリア上で追加の測定ビームおよび基準ビームの重畳によって決定される、ステップと、
・測定光学経路または追加の測定光学経路と基準光学経路との間の光学長の差を、前記入射領域の前記照射軸に沿った前記干渉縞パターンまたは前記追加の干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける前記干渉縞パターンまたは前記追加の干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)ツールまたは機器の近位部分と物体の表面との間の現在の分離距離と、(b)予め定めた公称分離距離との間の差を示す、ステップと、を含む方法。
【請求項15】
前記メイン測定光学経路および前記追加の測定光学経路は、少なくとも一部について重畳され、前記光干渉センサ手段の共通入射領域上に共線的に入射する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記追加の測定光学経路は、メイン測定ビームの光学経路に沿って介在する光学素子の表面に少なくとも部分後方反射を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記追加の測定光学経路は、メイン測定ビームの光学経路に沿って介在する光学素子の内部にある少なくとも後方反射を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記追加の測定光学経路は、メイン測定ビームの光学経路から偏向した経路セクションを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記偏向した経路セクションは、メイン測定ビームの光学経路から測定ビームの部分抽出のための光学素子および、抽出された測定ビームの、メイン測定ビームの光学経路内のビームへの再導入のための光学素子を介在させることによって得られる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
ビーム部分抽出のための前記光学素子は、ビーム分割光学デバイスである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ビーム部分抽出のための前記光学素子は、偏向した経路のセクションの光学長を連続性で制御するように構成されたプリズムである、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記メイン測定光学経路および前記追加の測定光学経路は、光干渉センサ手段の前記共通入射領域のそれぞれ異なるエリアに入射する、請求項13または14に記載の方法。
【請求項23】
加工または測定アセンブリの複数の光学コンポーネントを含み、または、加工または測定アセンブリの少なくとも1つの光学素子と、その外部にあり、前記加工または測定の対象である物体とを含む、光学系において光放射を少なくとも部分的に反射する複数の素子の位置を決定する方法であって、
・測定低コヒーレンス光放射ビームを発生するステップであって、前記測定ビームを前記測定ラインに沿って光学系の前記複数の素子に向けて導いて、前記測定ビームが少なくとも部分後方反射とともに入射する前記各素子の後方反射表面から反射または拡散した前記測定ビームを、光干渉センサ手段に向けて導いて、測定ビームは、個々の光源から前記光干渉センサ手段までの測定光学経路を進行し、該測定光学経路は、前記光源と各素子の前記後方反射表面との間の第1セクションと、各素子の前記背面反射面と干渉センサ手段との間の第2セクションとを含み、各素子が前記システムの予め定めた動作条件に対応する個々の予め定めた公称位置にある場合、個々の予め定めた公称幾何学的長さを有し、測定ラインに沿って第1素子からの反射を伴って第1測定光学経路の進行から生ずる第1測定ビームと、前記第1測定光学経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有し、測定ラインに沿って第2素子からの反射を伴って第2測定光学経路の進行から生ずる第2多重化測定ビームとを含む、ステップと、
・前記低コヒーレンス光放射の個々の基準ビームを発生するステップであって、前記基準ビームを前記光干渉センサ手段に向けて導いて、前記基準ビームは、前記第1素子の位置が予め定めた公称位置である公称動作条件において第1測定光学経路の光学長に相当する光学長を有する第1基準光学経路の進行から生ずる第1基準ビームと、前記第2素子の位置が個々の予め定めた公称位置である動作条件において前記第1基準光学経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する第2基準光学経路の進行から生ずる第2多重化基準ビームとを含む、ステップと、
・第1および第2測定ビームを第1および第2基準ビームと、予め定めた照射軸に沿って前記光干渉センサ手段の少なくとも1つの共通入射領域上に重畳させるステップと、
・前記共通入射領域上の前記照射軸に沿って、第1測定ビームと第1基準ビームとの間の第1干渉縞パターンの位置を検出するステップであって、照射軸に沿った前記干渉縞パターンの延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長に対応しており、
第2測定ビームと第2基準ビームとの間の第2干渉縞パターンのものは、(i)第1干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線の強度のピークまたは最大強度、または、(ii)第1干渉縞パターンの光放射の強度包絡線の固有位置からのオフセットした光放射の強度包絡線の固有位置、または、(iii)第1干渉縞メインパターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を有する、ステップ、あるいは、
・前記共通入射領域において、前記ビームの波長分散によって第1測定ビームと第1基準ビームとの間の干渉によって得られる、波長スペクトルにおける第1縞パターンの周波数を検出するステップであって、周波数ドメインにおけるその延長部は、前記低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長によって決定され、第2測定ビームと第2基準ビームとの間の第2干渉縞パターンのものは、(i)第1干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有し、または、(ii)第1測定ビームと第1基準ビームの重複エリアとは異なる前記共通領域のエリア上で第2測定ビームおよび第2基準ビームの重畳によって決定される、ステップと、
・(i)第1測定光学経路と第1基準光学経路との間の光学長の差を、前記入射領域の前記照射軸に沿った前記第1干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける前記第1干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)前記第1素子の現在位置と、(b)測定ビームの軸に沿った前記第1素子の予め定めた公称位置との間の差を示すものであり、ならびに、(ii)第2測定光学経路と第2基準光学経路との間の光学長の差を、前記入射領域の前記照射軸に沿った前記第2干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける前記第2干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)前記第2素子の現在位置と、(b)測定ビームの軸に沿った前記第2素子の予め定めた公称位置との間の差を示す、ステップと、を含む方法。
【請求項24】
光学系を備え、レーザビームを伝送する光学経路に沿って案内される加工レーザビームを用いて動作する材料のレーザ加工機械であって、
請求項1または13に記載の方法を実行するように構成され、前記光学系の素子の相対位置を決定するためのシステムを備えることを特徴とするレーザ加工機械。
【請求項25】
加工ツールまたは測定機器を備え、レーザビームを伝送する光学経路に沿って案内される加工レーザビームを用いて動作する材料のレーザ加工機械であって、
請求項2または14に記載の方法を実行するように構成され、前記加工ツールまたは前記測定機器と、その外部にある物体の少なくとも部分反射表面との間の分離距離を決定するためのシステムを備えることを特徴とするレーザ加工機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、例えば、材料のレーザ加工、例えば、前記材料のレーザ切削、穿孔または溶接のため、あるいは、前記材料の予め定めた構造の積層造形(additive manufacture)のための制御において、例えば、予め定めた分離距離に、あるいは物体または材料に接触して配置されたツール、機器またはプローブを用いて実行される、物体または材料の工業的加工または測定方法に関する。
【0002】
特に、本発明は、加工または測定アセンブリの対応する予め定めた基準に関して、光学系の素子またはその外部にある少なくとも部分反射表面の相対位置の決定に関する。光学系の素子が、例えば、レーザ加工機械のヘッドなど、加工アセンブリのレーザビームの伝搬方向に沿って、または、工作機械の測定アセンブリに光学測定放射の伝搬方向に沿って位置する素子である。その相対位置は、予め定めた基準素子、例えば、放射源または、加工ツールもしくは測定機器の一端)との比較によって決定される。加工または測定アセンブリの光学系の外部にある少なくとも部分反射表面が、例えば、加工または測定を受ける物体の表面であり、その相対位置は、予め定めた基準素子、例えば、加工または測定のための光放射源または、ある動作条件で物体と対面する加工ツールまたは測定機器の一端との比較によって決定される。
【0003】
本発明はさらに、光学系の複数の素子の位置、または光学系の外部にある複数の反射表面の位置のパラレル測定の実施、または、光学系の素子および光学系の外部にある反射表面の位置のパラレル測定の実施に関する。
【0004】
より詳細には、本発明は、請求項1,13の前文に規定されているように、光学系に設けられた予め定めた測定ラインに沿って物体を加工または測定するためのアセンブリの光学系の素子の相対位置の決定のための方法に関する。
【0005】
他の態様によれば、本発明は、請求項24の前文に記載の材料のレーザ加工のための機械に関する。
【0006】
本発明はまた、請求項2,14の前文に規定されているように、物体の表面を基準としてツールまたは機器の少なくとも近位部分に設けられた予め定めた測定ラインに沿って、加工ツールまたは測定機器と、その外部にある物体の少なくとも部分反射表面との間の分離距離の決定のための方法に関する。
【0007】
更なる態様によれば、本発明は、請求項25の前文に記載の材料のレーザ加工のための機械に関する。
【0008】
さらに他の態様によれば、本発明は、加工または測定のためのアセンブリの複数の光学コンポーネントを含むシステム、あるいは、加工または測定のためのアセンブリの少なくとも1つの光学素子と、前記加工または測定の対象であり、その外部にある1つの物体とを含むシステムにおいて、光放射に対して少なくとも部分反射性の複数の素子の位置の決定のための方法に関する。前記複数の部分反射性の素子は、請求項23の前文に規定されているように、予め定めた共通の測定ライン線に沿って配置される。
【背景技術】
【0009】
下記の明細書および請求項では、用語「物体」は、加工対象の完成した製品またはワークピースを示す。工作機械に適用され、特にレーザ加工のための機械に適用される場合、用語「ワークピース」、好ましい実施形態では「金属ワークピース」は、閉じた断面(例えば、中空の円形、長方形または正方形の形状)、または開いた断面(例えば、平坦な断面、またはL字状、C字状またはU字状、その他の断面など)を有する、例えば、シートまたは細長いプロファイル(輪郭)などの任意の製品を特定するために使用される。積層造形において、用語「材料」は、レーザビームを用いて局所的な焼結または溶融に曝される原料(一般にパウダー(粉末))を特定する。
【0010】
下記の明細書および請求項では、用語「材料」、好ましい実施例での「金属材料」は、閉じた断面(例えば、中空の円形、長方形または正方形の形状)、または開いた断面(例えば、平坦な断面、またはL字状、C字状またはU字状、その他の断面など)を有する、例えば、シートまたは細長いプロファイル(輪郭)などの任意の製品を特定するために使用される。積層造形における用語「材料」は、レーザビームを用いて局所的な焼結または溶融に曝される原料(一般にパウダー(粉末))を特定する。
【0011】
工業プロセスでは、例えば、作動流体または放射線の放出によって、遠隔加工を生成するために、加工ツールが物体(それに接触することなく)または材料に接近するのが一般的である。また、製造プロセスの中断、途中または終了時に、その幾何学的特性または物理的特性を検出するために、測定機器が、製品の製造プロセスの過程で加工対象であるワークピースまたは材料、または完成した製品に接近することも既知である。
【0012】
工業的加工方法の一例として、材料、金属シートおよびプロファイルのレーザ加工のプロセスにおいて、特に、レーザ放射は、広範囲の用途のための加熱ツールとして使用され、これは、レーザビームと加工対象のピースとの間の相互作用のパラメータ、詳細には、ピースへのレーザビームの入射の体積当りのエネルギー密度、および相互作用時間の範囲に依存する。
【0013】
例えば、金属ピースに低密度エネルギー(表面1mm当り数十Wのオーダー)を長時間(数秒の範囲)向けることによって、焼き戻しプロセスが実現され、一方、同じ金属ピースにフェムト秒またはピコ秒のオーダーの時間で高エネルギー密度(表面1mm当り数十MWのオーダー)を向けることによって、光アブレーションプロセスが実現される。
増加しているエネルギー密度および減少している処理時間の中間範囲では、これらのパラメータの制御により、溶接、切削、穿孔、彫刻、マーキングのプロセスを実行することが可能になる。これらのプロセスは、加工対象のピースからの距離で動作する加工ヘッドからレーザビームを放出することによって生じる。
【0014】
穿孔および切削による加工プロセス含む多くのプロセスでは、レーザビームと材料との相互作用が生ずる加工領域内にアシストガスの流れを提供することも必要である。これは、溶融物の推進の機械的機能、または燃焼を補助する化学的機能、または加工領域の周囲エリアを遮蔽する技術的機能を有する。アシストガス流は、製造されているピースからある距離にある個々のノズルによって放出される。
【0015】
積層造形では、材料は、例えば、フィラメントの形態、またはノズルから放出されるパウダーの形態で、アシストガスの流れによって供給されてもよく、あるいは、パウダー床の形態で存在してもよい。そして、材料は、レーザ放射によって溶融され、材料自体の再凝固後に3次元モールドが得られる。
【0016】
材料のレーザ加工の分野では、レーザ切削、穿孔および溶接は、同じ機械で実行できるプロセスであり、これは、予め定めた横方向パワー分布を有する集光した高出力レーザビーム、典型的には1~10000kW/mmのパワー密度を有するレーザビームを材料の少なくとも1つの加工面上に発生でき、そして、材料に沿ってビームの入射の方向および位置を制御で、必要であれば、アシストガス流の方向も制御できる。材料上で実施できる種々のタイプの加工の差は、使用するレーザビームのパワーと、レーザビームと加工対象の材料との間の相互作用時間に基本的に帰着する。
【0017】
加工対象のピースに作用する工作機械を図1に示す。
【0018】
図1は、加工対象の材料WPから分離距離dに位置する、ピースまたは材料のレーザ加工のための機械などの工作機械の加工ヘッド10と、関連するプロセス制御ユニットECUとを示す。加工または測定機器は、符号12で示しており、例えば、加工用ツール、作動流体を放出するためのノズル、例えば、材料の硬化、溶接、切削、穿孔、彫刻、マーキング、光アブレーションまたは焼結のための高出力レーザ放射などの加工放射のための出力、または測定プローブである。
【0019】
加工または測定機器12は、機械全体を基準として、加工ヘッドの遠位セクションとして考えることができ、あるいは、加工対象のピースまたは材料の近位端としてと考えることができ、これらの用語は、本明細書において互換的に使用されるべきである。
【0020】
レーザ加工のための機械では、加工放射の出力または「ビーム出力」は、加工ヘッドのセクションであり、そこから加工レーザビームが自由空間の中に出現し、あるいは、ヘッドの空間の外側に伝搬し、加工対象の材料ピースに向かう。それは、集光光学系の末端セクションまたはその保護構造、または、加工用ガスの供給を必要とする用途のためにアシストガス流を供給するノズルのテーパ状端部でもよい。
【0021】
加工ヘッド10に接続されているのは、プロセス制御ユニットECUによってサーボモータ16を介して制御される移動アクチュエータ手段14であり、加工の機械的パラメータの制御のため、例えば、ピースまたは材料上のプログラムされた加工軌跡Tに追従するように、機械の特定の実施形態によって許容される自由度に沿った加工ヘッドの移動の制御のため、特に、Z軸に沿った移動のために、そのプロファイルまたは加工プロファイルに応じてピースまたは材料に接近したり、そこから遠くに移動したりするためである。
【0022】
図2は、レーザ加工のための先行技術に係る加工ヘッド10を例示する。管状チャネルが符号30として表し、Bで示すレーザビームが伝送されるシリンドリカル形状または円錐形状のセクションを有する。レーザビームBは、光源(不図示)によって発生し、多重反射を備えた空中の光学経路によって加工ヘッドに伝送され、あるいは、光ファイバの中で伝送され、その光学伝搬軸を加工対象のピースまたは材料への入射方向に偏向させる反射偏向素子32にコリメートされるように入射する。光学集光系20は、反射偏向素子32と、下流側に位置して、溶融スパッタから集光系を保護できる保護ガラス34との間の中間である。それは、ビームの伝搬方向に対して横方向に(X-Y軸)およびビームの伝搬方向(Z軸)にレンズの位置決めを較正するための機械調整機構38が接続されたレンズホルダ36を備える。
【0023】
図2は、高出力レーザビームを使用する加工ヘッドの図を示すが、本発明の目的のために、図に示す光学アセンブリまたは光学的連鎖は、物体または材料に入射する低出力光放射のビームを用いて動作する測定プローブの光学アセンブリに実質的に対応していると考えることができ、そこからビームは、先行技術の方法の1つに従って反射または散乱され、そして処理される。
【0024】
加工または測定機器が、加工対象の物体または材料に接近する工業プロセスでは、加工または測定の結果は、加工機器と物体または材料との間の正しい距離に依存する。例えば、ピースまたは材料のレーザ加工において、詳細には、レーザ切削、穿孔または溶接のための金属ピースのレーザ加工、またはパウダー前駆体材料から予め定めた構造体の積層造形の制御において、加工機器が、ピースまたは材料から制御された距離に維持されることが重要である。同じ例では、伝搬方向の制御またはレーザビームのパワーの横方向分布の形態、例えば、アシストガスの制御された分布に関して、または、加工ヘッドとピースまたは材料との間の分離距離の関数として、追従すべき加工軌跡、行われる加工のタイプは、加工プロセスに利点を提供する。例えば、レーザビームのパワー分布の制御は、加工ヘッドとピースまたは材料との間の分離距離および加工軌跡との関係において、パワー分布の局在化または拡大を可能にする。同じことは、ピースまたは材料の物理的特性または寸法の測定のための光ビームの照射の場合にも言える。
【0025】
明らかに、加工または測定機器と、加工対象の物体または材料との間の距離の制御、そして光学加工または測定ビーム、例えば、レーザビームの伝搬方向および横方向分布の制御は、効率的で正確な加工または正確な測定を得るために、可能な限り正確で反復可能であるべきである。このため加工ヘッドの移動および、ピースまたは材料を基準としたその近位端の位置、例えば、レーザ加工ビームの出力の位置およびこれを必要とする加工のアシストガス出口ノズルの位置、または、ピースまたは材料を基準とした、特に材料へのビームの入射ポイントを基準とした光学測定ビームのそれは、現在の加工条件および加工軌跡に沿った現在位置の関数として、極端な精度かつリアルタイムで制御できる。そうでない場合、加工レーザビームのパワーをピースまたは材料の厚さにおいて、望ましくない加工面に集光させるリスク、そして、ピースまたは材料の表面において過剰または不充分であるアシストガス圧を使用するリスクを冒すようになる。測定の際、物体上の光学測定放射を適切に集光せずに、現実を表現しない測定値を得るリスクを冒す。
【0026】
同様に、機械の加工または測定ヘッド内の光ビームの光学伝送経路に設けられた光学素子の位置(光学経路に沿って配置され、またはそれに並んで対面または配置される)が、極端な精度かつリアルタイムで制御されることが必要である。そうでない場合、例えば、レーザ加工において、レーザパワーを材料の厚さにおいて望ましくない加工面に集光するリスクを冒す。
【0027】
光学素子の位置は、光学素子の現在の温度と、高出力レーザ加工ビームが通過するゾーンと、アシストガスノズルに対向する光学素子に作用するアシストガスの圧力と、光学ビーム伝送経路(ファイバ、ミラー、レンズ)に設けられた光学素子の可能性のある機械的変形とを含み、また、設置時の技術者による部品での素子の位置決め誤差、または組立プロセスにおける設計許容誤差および不要な遊びの存在に起因している、機械の現在の動作条件の関数として変化してもよい。
【0028】
予想される公称位置を基準とした光学素子の位置の変化が、プロセス中に制御されない変化を生成することがあり、または、プロセスの測定、例えば、ピースまたは材料から加工ヘッドの分離距離の測定、またはこれを必要とする加工におけるレーザビーム出力およびアシストガス出口ノズルの位置の測定に影響を及ぼすことがある。
【0029】
これらの理由のために、工業加工の分野では、加工ヘッド、またはピースまたは材料を基準とした加工ヘッドの近位端と、ピースまたは材料自体の表面との間の分離距離、そして、光学加工または測定ビームの光学伝送経路に設けられた光学素子の局所位置を正確に決定できることが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明の目的は、光放射ビームを用いてピースまたは材料の加工または測定のプロセスを効果的に、必要ならばリアルタイムで監視するための方法を提供することである。
【0031】
特に、本発明の目的は、光放射ビームによるピースまたは材料の加工または測定のための機械の光学系の素子の相対位置を決定するための方法、例えば、正確かつ堅牢である方法を提供することである。
【0032】
特に、本発明の他の目的は、光放射ビームによるピースまたは材料の加工または測定のための工作機械の加工ツールまたは測定機器と、その外部にある物体の表面との間の分離距離を決定するための正確かつ堅牢な方法を提供することである。
【0033】
本発明の他の目的は、光放射ビームによるピースまたは材料の加工または測定のプロセスを効果的に、必要ならばリアルタイムで監視する方法を提供することであり、物体の加工または測定のためのアセンブリの光学系の素子の相対位置、または、加工ツールまたは測定機器とその外部にある物体の表面との間の分離距離を、測定の精度を犠牲にすることなく測定可能な広範囲の距離で決定する。
【0034】
本発明のさらに他の目的は、光学素子の相対位置、または加工ツールまたは測定機器とその外部にある物体の表面との間の分離距離における測定摂動を補償できる方法を提供することである。
【0035】
本発明のさらに他の目的は、より短時間で、光学素子の相対位置、または、加工ツールまたは測定機器とその外部にある物体の表面との間の分離距離の複数の測定を実施できる方法を提供することである。
【0036】
本発明の他の目的は、ワークピースまたは材料のレーザ加工のための機械に適用可能な上記目的のための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明によれば、これらの目的は、請求項1に提示された特徴を有する、光学系に設けられた予め定めた測定ラインに沿って物体の加工または測定のためのアセンブリの光学系の素子の相対位置の決定のための方法、そして請求項2に提示された特徴を有する、物体の表面に対してツールまたは機器の近位部分に設けられた予め定めた測定ラインに沿って、加工ツールまたは測定機器とその外部にある物体の少なくとも部分反射表面との間の分離距離の決定のための方法により達成される。
【0038】
本発明の他の目的は、請求項13に提示された特徴を有する、光学系に設けられた予め定めた測定ラインに沿って物体の加工または測定のためのアセンブリの光学系の素子の相対位置の決定のための方法、そして請求項14に提示された特徴を有する、物体の表面に対してツールまたは機器の少なくとも1つの近位部分に設けられた予め定めた測定ラインに沿って、加工ツールまたは測定機器とその外部にある物体の少なくとも部分反射表面との間の分離距離の決定のための方法である。
【0039】
特定の実施形態は、従属請求項の主題であり、その内容は、本明細書の一体部分であるものとして理解されるべきである。
【0040】
本発明の更なる主題は、請求項24,25に記載の材料のレーザ加工のための機械である。
【0041】
簡潔には、本発明は光干渉の原理の応用をベースとしている。
【0042】
用語「光干渉」は、光学測定ビームと光学基準ビームとの間の干渉の現象を利用する複数の手法を意味しており、これらは重畳されると、干渉縞を発生する。コヒーレント光における光干渉の理論はよく知られており、距離の相対的比較での用途が見られるが、これは、例えば、光信号の一時的中断の後、前記距離の絶対的測定について明確な情報を提供できるものでない。
【0043】
本発明は、低コヒーレンス干渉手法を採用することによって、距離の絶対測定が光学的に実現できるという考察によって着想される。低コヒーレンス干渉法は、プローブとターゲットとの間の距離を高精度に測定するための簡単な手法であり、光源から検出アセンブリへ伝搬し、この経路中にプローブから放射され、ターゲットから後方反射する光学測定ビームが進行した距離と、光源から検出アセンブリへ、プローブとターゲットとの間の既知の公称距離条件で測定経路に調整された基準経路を通って伝搬する光学基準ビームが進行した距離との間の比較をベースとしている。
【0044】
低コヒーレンス干渉法では、光学測定ビームおよび光学基準ビームは、低コヒーレンス光源、例えば、LEDまたはスーパールミネッセントダイオードによって発生し、上述のビーム間の干渉縞は、個々の光学経路または光学経路の長さの間の対応条件下でのみ現れる。光学経路は、進行する光学経路全体に沿った各セグメント間の幾何学的長さおよび個々の屈折率との積の和として定義され、即ち、測定経路の長さがコヒーレンス長の間隔での基準経路の長さに対応する場合である。基準経路の長さが既知であるとすると、干渉縞の包絡線の存在を、マイクロメータのオーダー(5μm~100μm)であるコヒーレンス長のオーダーの分解能で検出することによって、測定経路の長さを取得することが可能である。
【0045】
この手法は、他の光源からまたは前記レーザ加工プロセスから到来する光は、干渉縞パターンを変更することなく、干渉信号にインコヒーレント(非干渉性)で加算されるため、光学ノイズに関して特に堅牢である。測定の適用は、光学測定ビームが方向付けられるポイントにおいて局所的であり、周囲の形態から独立している。これはまた、レーザ加工と実質的に同軸である分布において絶対的に正確な距離測定を可能にする。
【0046】
時間ドメイン、周波数ドメインおよび空間ドメインで干渉縞パターンを検出するための様々な手法が知られている。好都合には、空間ドメインおよび周波数ドメインでの干渉縞パターンの検出を用いた低コヒーレンス干渉の手法は、時間ドメインでの検出と比較して、動作柔軟性の観点で最も有望でより効率的であるように見える。
【0047】
時間ドメインでの検出を用いた低コヒーレンス干渉法では、干渉縞パターンは、フォトダイオードまたはフォトダイオードのアレイによって、または類似の獲得スクリーンによって検出され、基準経路の長さを適合させて、コヒーレンス長のオーダーの許容範囲を除いて、基準経路の長さと測定経路の長さとの間の対応条件を達成する。この場合、利用可能な測定の間隔の制限は、基準経路の長さの適合に起因しており、これは、例えば、上述の経路に沿って配置された後方反射素子の並進を用いて行われる。基準経路の後方反射素子の並進移動の空間範囲は、数ミクロンから数ミリメートルの間であり、並進範囲の幅は、駆動速度または動作の複雑さの不利益になる。
【0048】
時間ドメインでの検出手法は、測定経路および基準経路の絶対的光学長の間の対応を比較的簡単に実行し、容易に達成できる。これは、工業プロセスの過程のリアルタイムでの測定用途の実装には不向きである。実際に、動的測定では、基準経路の長さは、干渉縞パターンの出現を決定する現在の測定経路の長さに対応条件を見つけるために、連続的に変調する必要がある。これは、屈折率変調器または高速動作機械アクチュエータ、例えば、圧電タイプのものなどを含む種々のタイプの制御デバイスを用いて取得できる。しかしながら、これらのタイプのデバイスは、かなり高価で非常にデリケートである。その理由は、距離の測定のためのサンプリングレートよりもはるかに大きい駆動速度(典型的にはkHzよりも高い)で動作する必要があるためであり、特に大きな変位の範囲では容易に得られない条件である。
【0049】
異なる検出手法が、スペクトル密度関数と、測定ビームおよび基準ビームの相互相関との間のフーリエ変換関係をベースとしており、これにより、2つの干渉ビームの波長のスペクトルプロファイルから実空間における差分距離測定値を抽出することが可能である。こうして基準経路の長さを測定経路の長さに整合さるための機械的アクチュエータが必要でない。重畳された測定ビームおよび基準ビームの単一のスペクトル取得は、回折格子およびその下流側の集光レンズを用いて可能であり、干渉ビームのスペクトル分布をリニアセンサデバイス、例えば、ビデオカメラに投影できる。2つの干渉ビームのスペクトルは、周期的変調を示し、波長空間におけるこの変調の周期性(周波数)は、測定経路の光学長と基準経路の光学長との間の差で変化する。フーリエ変換、例えば、FFTアルゴリズムを計算するためのアルゴリズムが、実空間における光学経路間の差に関連して信号強度ピークの測定値を抽出するために適用される。
【0050】
基準経路の長さの走査が時間的に分布される時間ドメインにおける低コヒーレンス干渉手法に対して、周波数ドメインにおいて、測定経路と基準経路の長さの比較に関する情報は波長の空間においてエンコードされ、空間ドメインでの検出を用いた低コヒーレンス干渉手法は、2つの先行技術を組み合わせて、実空間における測定の結果を直接に可視化することを可能にし、例えば、イメージセンサ、リニアセンサなどの経済的なデバイスを用いて迅速な取得を可能にする。
【0051】
周波数ドメインでの検出を用いた低コヒーレンス干渉計システムの典型的な実施形態では、測定ビームおよび基準ビームは、同じ入射方向に沿って、光学スペクトルの検出のための波長分散光学手段、例えば、回折格子、屈折プリズムまたは類似の光学素子に向けて共線的に重畳され、これは、光干渉センサ手段の共通入射領域上での測定ビームおよび基準ビームの重畳から得られるビーム全体の周波数成分を分離できる。こうした構成では、2つの干渉ビームのスペクトル(干渉縞パターン)は、周期的な変調を示し、波長空間での縞パターンの周期性は、光学測定経路の空間的変化が光学基準経路を基準として変化すると変化し、周波数ドメインでのその延長部(extension)は、低コヒーレンス光放射線のコヒーレンス長によって決定される。従って、光学測定経路の長さと光学基準経路の長さと間の差の測定は、センサ手段によって放出される信号を処理し、測定ビームと基準ビームとの間の干渉縞パターンの周波数を検出することによって抽出できる。
【0052】
空間ドメインでの検出を用いた低コヒーレンス干渉システムの典型的な実施形態では、測定ビームおよび基準ビームは、異なる方向からセンサ手段の表面に重畳されて入射する。センサ手段の表面は、こうした重畳によって生成される干渉縞パターンを直接検出できる。こうした構成では、光学基準経路に対する光学測定経路の空間的変化が、2つのビームの相互傾斜角の結果としてセンサ手段に直接視覚化される。従って、光学測定経路の長さと光学基準経路の長さとの間の差の測定値は、センサ手段上の干渉縞パターンの位置を単に検出することによって抽出できる。センサ手段のリニア寸法における干渉縞パターンの延長部は、ビームの光放射のコヒーレンス長のオーダーである。
【0053】
空間ドメインでの検出を用いた低コヒーレンス干渉の手法では、センサ手段の共通入射領域に斜めに入射する各ビームの光学経路の長さは、センサ手段の照射軸に沿った位置のリニア関数として変化する。そのため、光学測定経路と光学基準経路との間の差もリニア関数として変化する。干渉縞パターンは、センサ手段によって取得される画像の特定のリニア間隔に現れ、これは、光放射のコヒーレンス長内での測定経路および基準経路の光学長の同等性の条件に対応する。一方、センサ手段の他のエリアでは、ビームは、インコヒーレントな方法で重畳される。センサ手段の直線延長部に沿って干渉縞パターンの包絡線の位置を検出することによって、測定経路の個々の長さを抽出することが可能である。
【0054】
この測定は、干渉縞パターンの包絡線が、センサ手段の照射領域内、またはセンサ手段を実現する光検出器デバイスの検知エリア内に確立される条件によってのみ制限される。測定間隔は、入射領域上のビームの傾き、または両者間の入射角によって決定され、同じビーム傾斜では、重畳ビームによって照射される光検出器または光検出エリア(センサ手段の画素としても示される)の数と、センサデバイスの光検出器の合計数との間の最小値、または、センサ手段上で利用可能なエリア(画素)の合計数を基準として干渉縞パターンを復調するために照射される必要があるエリア(画素)の最小数によって決定される。数千個の光検出器を備えるセンサデバイスを備えた共通の条件では、干渉縞パターンのエイリアシング効果の出現前に、ミリメータの数十分の1の測定間隔が得られる。しかしながら、本発明者らは、干渉縞パターンのエイリアシング効果の存在は、測定に対して制限的でないが、測定可能な距離の間隔を増加させるために使用できる。実際に、こうしたアンダーサンプリングは、より低い空間周波数で縞パターンの有効な復調に反映され、復調は、干渉センサデバイスの光検出器のレベルで、追加の素子を介在させる必要なしに、同様に直接に達成される。
【0055】
好都合には、空間ドメインでの検出を用いた干渉手法の使用により、光学測定経路および光学基準経路の静的システムを用いて、センサ手段に入射する重畳された測定ビームおよび基準ビームの光放射の空間分布の個々の取得またはサンプリングのために、正確な距離測定を行うことが可能になる。この種のシステムを実現するために、必要になる全てのものは標準的な光学素子であり、センサ手段によって放出される信号の処理は、簡単な計算アルゴリズムをベースとしており、計算リソースを必要としない。
【0056】
工作機械、例えば、材料のレーザ加工、特にレーザ切削、穿孔または溶接、またはレーザによる3次元構造の積層造形のための機械への上記の考察の適用は、測定のラインまたは方向に沿って配置され、機械の加工ヘッド内に少なくとも部分的に一体化された光学測定経路と、光学測定経路に関連する光学基準経路とを含む干渉計システムの提供により達成され、これは、加工ヘッド内またはその外部に一体化されてもよい。光学測定経路は、工作機械の加工光放射の光学伝送経路、例えば、レーザビームの光学伝送経路に設けられた光学素子の後方反射表面によって、または、機械の外部にある物体、例えば、加工対象のピースまたは材料の表面によって反射または拡散される。
【0057】
メイン光学測定または基準経路と多重化される追加の光学測定または基準経路の実現により、測定可能な距離の範囲の延長が可能になり、または、追加の較正測定を用いて、摂動によって影響されるメイン測定の補償が可能になる。特に、ピースまたは材料のレーザ加工のための機械の文脈において、メイン光学測定または基準経路と多重化される追加の光学測定または基準経路の実現により、測定可能な分離距離の範囲の延長が可能になり、または、加工ヘッドとピースまたは材料の表面との間の分離距離の測定の補償が可能になり、これは、光学測定経路が位置する伝送手段の少なくとも1つの物理的パラメータの変化に起因した摂動によって影響される。
【0058】
より一般には、用語「加工光放射の光学伝送経路に設けられた光学素子」は、光学系に設けられた予め定めた測定ラインに沿って配置された光学素子のシステムの素子を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0059】
本発明の追加の特徴および利点は、添付図面を参照して、非限定的な例として与えられる、一実施形態の下記詳細な説明においてより詳細に説明されるであろう。
【0060】
図1】先行技術に係る、加工対象のピースに近い機械ツールの加工ヘッドおよび個々の制御手段の概略図を示す。
図2】先行技術に係るレーザ機械の加工ヘッドの概略図を示す。
図3a】周波数ドメインでの検出を用いた低コヒーレンス干渉計システムの構成を概略的に示す。
図3b】波長分散前の干渉縞パターンのセンサデバイスの照射軸上に局在している干渉縞パターンFを示す。
図3c】干渉縞の周波数と、測定経路と基準経路の光学長の差との関係を示す。
図4a】空間ドメインでの検出を用いた低コヒーレンスリニア干渉計システムの構成を概略的に示す。
図4b】干渉縞パターンの、センサデバイスの照射軸上の、相対入射ポイントを基準とした測定光学経路および基準光学経路の長さの変化を概略的に示す。
図4c】干渉縞パターンの、センサデバイスの照射軸上の、相対入射ポイントを基準とした測定光学経路の長さと基準光学経路の長さとの間の差の変化(上ダイアグラム)、および測定基準経路と基準光学経路の光学長の同等条件でのセンサデバイスの照射軸上の干渉縞パターンの局在(下ダイアグラム)を概略的に示す。
図5】材料をレーザ加工するための機械の加工ヘッドと材料の表面との間の分離距離の決定のためのシステムの例示的な図を示す。
図6a】メイン光学測定経路、追加の光学測定経路、メイン光学基準経路および追加の光学基準経路の様々な可能性ある組合せの概略図である。
図6b】メイン光学測定経路、追加の光学測定経路、メイン光学基準経路および追加の光学基準経路の様々な可能性ある組合せの概略図である。
図6c】メイン光学測定経路、追加の光学測定経路、メイン光学基準経路および追加の光学基準経路の様々な可能性ある組合せの概略図である。
図6d】メイン光学測定経路、追加の光学測定経路、メイン光学基準経路および追加の光学基準経路の様々な可能性ある組合せの概略図である。
図6e】メイン光学測定経路、追加の光学測定経路、メイン光学基準経路および追加の光学基準経路の様々な可能性ある組合せの概略図である。
図6f】メイン光学測定経路、追加の光学測定経路、メイン光学基準経路および追加の光学基準経路の様々な可能性ある組合せの概略図である。
図7a】本発明の応用の概略図である。
図7b】本発明の応用の概略図である。
図7c】本発明の応用の概略図である。
図7d】本発明の応用の概略図である。
図8a】加工ヘッドと材料との間の分離距離の関数として、センサデバイスの照射軸に沿った干渉縞パターンの局在を示すメイン信号、およびセンサデバイスの照射軸に沿った個々の追加の干渉縞パターンの局在を示す対応する追加の多重化信号を示すダイアグラムである。これは、メイン光学測定または基準経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の光学測定または基準経路に沿った進行から生ずる。これは、加工レーザビームの光学経路に沿って介在する光学素子の表面に少なくとも1つの部分後方反射を含む。
図8b】加工ヘッドと材料との間の分離距離の関数として、メイン干渉縞パターンを示す信号ピークを表す例示的な較正カーブである。
図8c】切削プロセス中に行われる測定を表す一連のダイアグラムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1図2は、先行技術を参照して前述したが、それらの内容は、本発明の教示に係る方法を実装するように制御された工作機械の実現に共通しているため、ここで権利請求されているものとして理解される。
【0062】
図3aは、周波数ドメインでの検出を用いた低コヒーレンス干渉システムのマイケルソン構成の概略図を示す。対物レンズTから来る光測定放射のコリメートされたビーム(Mで示す)および基準反射素子RMから来る同じ光基準放射のコリメートされたビーム(Rで示す)は(両方とも光源Lから由来する)、回折格子G上で重畳状態で入射し、ここから集光レンズを経由して、干渉ビームのスペクトル分布は、センサデバイスSの共通入射領域Cに到達し、図3bに示す干渉縞パターンFを形成する。
【0063】
センサデバイスSは、例えば、入射領域の少なくとも1つの照射軸(図中のX軸)に沿った光検出器の配列を含む。光検出器配列は、光検出器のリニアまたは2次元の配列であり、好ましくは、リニア配列である。入射領域の照射軸は、測定ビームMおよび基準ビームRの入射角によって定義される平面と、前記センサデバイスのセンサ表面との交点によって決定される。
【0064】
図3cは、光検出器による干渉縞パターンの取得の処理の結果を示し、干渉ビームのスペクトルは、図3bの信号強度プロファイルから抽出され、干渉縞の周波数がFFTアルゴリズムによって決定され、これは、周知のように、干渉ビームの位相差、または、測定経路および基準経路の光学長の対応する差Δpに依存する。
【0065】
図4aは、リニア空間検出を備えた低コヒーレンス干渉システムの構成を概略的に示す。光測定放射のコリメートビーム(Mで示す)および同じ光基準放射のコリメートビーム(Rで示す)が、予め定めた入射角αでセンサデバイスSの共通入射領域Cで重畳されるように入射し、そこで干渉縞パターンFを形成する。共通入射領域上のその延長部は、光放射のコヒーレンス長のオーダーである。光測定放射のコリメートビームの幅および光基準放射のコリメートビームの幅は、好ましくは、センサデバイス全体を実質的に照射する。検出信号の強度およびコントラストを増加させるために、ビームは、例えば、シリンドリカル集光レンズを用いて照射軸に対して垂直な方向にセンサ上に集中させてもよい。
【0066】
センサデバイスSは、例えば、入射領域の少なくとも1つの照射軸(図中のx軸)に沿った光検出器の配列を備える。光検出器配列は、光検出器のリニアまたは2次元の配列であり、好ましくは、リニア配列である。入射領域の照射軸は、測定ビームMおよび基準ビームRの入射角によって定義される平面と、前記センサ配列のセンサ表面との交点によって決定される。
【0067】
図4bにおいて、ダイアグラムは、光学測定経路および光学基準経路の長さPの変化を概略的に示し、センサ配列に入射する2つのビームの対称構成である典型的なケースにおいて、センサ配列Sの共通入射領域上の個々の測定ビームおよび基準ビームの初期の入射波面を参照している。横軸に沿って示すものは、光検出器配列の照射軸に沿った位置またはx座標である。符号p1で示すものは、測定軸の原点である、共通入射領域Cの第1端xにおける測定ビームMの波面の初期の入射ポイントを基準として、第1光学経路、例えば、光放射測定ビームMの光学測定経路の追加の長さである。符号p2で示すものは、第1端とは反対にある、共通入射領域の第2端xにおける基準ビームRの波面の初期の入射ポイントを基準として、第2光学経路、例えば、光放射基準ビームRの光学基準経路の追加の長さである。符号Δpで示すものは、2つの経路の追加の長さの差p1-p2を示し、これは光検出器配列の中間座標においてゼロであり、共通入射領域の端xにおける値Δpx1から共通入射領域の端xにおける値Δpx2に変化する。
【0068】
図4cにおいて、上ダイアグラムは、図4bのダイアグラムに対応するカーブΔpを示し、下ダイアグラムは、測定経路および基準経路の光学長が等しい条件において得られるセンサ配列Sの照射軸(x)上の干渉縞パターンFの場所を示す。干渉縞パターンFの包絡線は破線で示しており、上ダイアグラムにおいて、包絡線ピークの座標xは、光学測定ビームおよび光学基準ビームの経路の追加の長さの間の個々の差Δpと関連付けられる。
【0069】
下記は、空間ドメインでの検出を用いた干渉手法により光学素子の相対位置の決定に適用可能な説明である。
【0070】
およびPで測定経路および基準経路を示し、その全長は、P=P1+p1、P=P2+p2として表され、P1は、低コヒーレンス光放射源からセンサ配列に入射する第1波面までの光学測定経路の光学長であり、P2は、同じ低コヒーレンス光放射源からセンサ配列に入射する第1波面への光学基準経路の光学長であり、好ましくは一定である。P1は、Pnom+dで構成されると考えることができ、Pnomは、低コヒーレンス光放射源と、その予め定めた公称位置においてその位置が決定される光学素子の予め定めた後方反射表面との間に含まれる第1セグメントと、前記後方反射表面とセンサ配列Sとの間に含まれる第2セグメントとを含む光学経路の公称長さであり、前記セグメントは、個々の予め定めた不変の幾何学的長さを有する。dで示すものは、その公称位置に対する光学素子の位置オフセットである。p2は、光学基準経路の光学長であり、これは、光学素子がその予め定めた公称位置にある公称動作条件における光学測定経路の光学長Pnomと等価である。
【0071】
光学測定経路と光学基準経路との間の光学長の差は、下記のように数学的に表される。
-P
干渉縞は、これがゼロである条件、即ち、下記条件で現れる。
-P=0
その関係が下記のように分解できる。
P1+p1-(P2+p2)=0
これは、下記のように書き換えられる。
nom+d+p1-P2-p2=0
ここから、
nom+d-P2+Δp=0
nom+d-Pnom+Δp=0
Δp=-d
即ち、光学素子の現在位置は、光学測定経路の追加長さと光学基準経路との間の差に等しい。
【0072】
従って、光学測定経路と光学基準経路との間の光学長の差によって決定される、その公称局所位置を基準とした光学素子の現在の局所位置は、光学測定経路と光学基準経路の追加の長さの間の差として表現でき、従って、公称位置、例えば、センサ配列S自体の中央面を基準として、センサ配列Sの照射軸xに沿った干渉縞パターンの変位として表現できる。
【0073】
下記は、空間ドメインでの検出を用いた干渉手法を使用することによって、加工ツールまたは測定機器とその外部にある物体の表面との間の分離距離の決定に適用可能である説明である。
【0074】
およびPで示すものは、測定経路および基準経路であり、その全長は、P=P1+p1、P=P2+p2として表され、P1は、低コヒーレンス光放射源からセンサ配列に入射する第1波面までの光学測定経路の光学長であり、P2は、同じ低コヒーレンス光放射源からセンサ配列に入射する第1波面への光学基準経路の光学長であり、好ましくは一定である。P1は、Phead+Dstandoffで構成されると考えることができ、Pheadは、加工ヘッド内の上流および内部での光学経路の長さであり、低コヒーレンス光放射源と、加工対象のピースまたは材料WPに対して近位側にある、加工ヘッドで運ばれる加工ツールまたは測定機器の端部(例えば、レーザビームの出力)との間に含まれる第1セグメントと、加工ツールまたは測定機器の前記近位側端部(例えば、レーザビームの出力)と、センサ配列Sの間にある第2セグメントとを含み、これらのセグメントは個々の予め定めた不変の幾何学的長さを有し、Dstandoffは、加工対象の材料ピースWPに対して近位側にある加工ツールまたは測定機器の端部と、該材料の表面との間にある自由大気中の分離距離である。P2は、光学基準経路の光学長であり、これは公称動作条件における測定光学経路の光学長と等価であり、その後P1nomとして示しており、加工ツールまたは測定機器の端部(例えば、レーザビームの出力)と、ピースまたは材料WPの表面との間の距離は、予め定めた公称分離距離Dstandoff_nomに対応する。
【0075】
光学測定経路と光学基準経路との間の光学長の差は、下記のように数学的に表される。
-P
干渉縞は、これがゼロである条件、即ち、下記条件で現れる。
-P=0
この関係が下記のように分解できる。
P1+p1-(P2+p2)=0
下記のように書き換えられる。
head+Dstandoff+p1-P2-p2=0
ここから、
head+Dstandoff-P2+Δp=0
head+Dstandoff-P1nom+Δp=0
head+Dstandoff-Phead-Dstandoff_nom+Δp=0
Δp=Dstandoff_nom-Dstandoff
即ち、(a)加工ツールまたは測定機器の端部と、加工領域内の材料の表面との間の現在の分離距離Dstandoffと、(b)公称分離距離Dstandoff_nomとの差は、光学測定経路と光学基準経路の追加の長さの間の差に等しい。
【0076】
従って、光学測定経路と光学基準経路との間の光学長の差によって決定される、公称分離距離とは異なる、加工ツールまたは測定機器の端部14と、ピースまたは材料WPの表面との間の現在の分離距離が、光学測定経路および光学基準経路の追加の長さの間の差として表現でき、従って、公称位置、例えば、センサ配列S自体の中央面を基準として、センサ配列Sの照射軸xに沿った干渉縞パターンの変位として、あるいは、予め定めた公称位置を基準として、干渉縞を示すスペクトルのフーリエ変換のドメインにおける干渉縞パターンの周波数の変位として表現できる。
【0077】
アシストガス流れを含むレーザ切削または穿孔の用途において、加工されるピースまたは材料に近接する加工ヘッドの端部は、一般に、アシストガスノズルの末端セクションであり、一方、ガスを供給しない溶接または積層造形の用途では、加工される材料に近接する加工ヘッドの端部は、一般に、加工レーザビーム出力であることに留意する。
【0078】
本発明の用途では、光学基準経路の長さは、加工ツールまたは測定機器と、加工領域内のピースまたは材料の表面との間の予め定めた公称分離距離において光学測定経路の長さに対応するように設定される。そして、(a)加工ツールまたは測定機器と、加工領域内の材料の表面との間の現在の分離距離と、(b)予め定めた公称分離距離と、の間の差は、光学測定経路と光学基準経路との間の長さの差から生じ、これは、センサ配列Sの入射領域の照射軸に沿った干渉縞パターンの位置の関数として表現できる。好都合には、照射軸に沿った干渉縞パターンの中間位置が、この予め設定された公称分離距離に対応する。代替として、照射軸に沿った干渉縞パターンの端部位置が、ノズルと、加工対象の材料との間のゼロ公称分離距離に対応してもよく、これは、ヘッドの近位端を構成するノズルと、材料との間の接触と等価であり、そして、両者間の分離距離は増加するだけになり、干渉縞パターンは、照射軸の反対側端部に向けて移動するだけとなる。同様に、周波数ドメインでの干渉縞パターンの検出を用いた干渉手法を使用することによって、予め定めた公称分離距離は、干渉縞を提示するスペクトルのフーリエ変換の空間における干渉信号ピークの中央値(median)または極値の位置に対応する。
【0079】
図4cの下ダイアグラムを参照すると、照射軸に沿った干渉縞パターンの位置Xは、前記干渉縞パターンの光放射の強度の包絡線の固有の位置であり、前記干渉縞パターンの光放射強度の包絡線のこの固有位置は、例えば、光放射の包絡線のピークまたは最大強度の位置であり、光検出器の位置の平均は、縞包絡線の光強度で重み付けされる。
【0080】
縞包絡線の検出は、例えば、バンドパス空間フィルタまたはハイパスおよびローパスフィルタを順次使用することによって、光強度プロファィルの復調手法によって実行でき、干渉縞の空間周波数に対応する信号成分だけを明らかにする。例えば、光強度を処理するデータの第1フェーズでは、センサアレイによって検出される光強度は、干渉縞の展開方向に対して垂直な方向、例えば、垂直に整列された干渉縞パターンを受信するように配向されたセンサアレイの列によって積分される(センサ配列が、シリンドリカルレンズを用いてビームが集光される光検出器のリニア配列である場合、この動作は必要とされない)。そして、光検出器によって発生した信号は、例えば、干渉縞のない画像から抽出されたバックグランド信号を基準として正規化される。そして、ハイパス空間フィルタ処理が、例えば、光検出器の空間周波数の1/5において行われ、ベースラインを除去し、干渉縞パターンを維持する。こうしてゼロ付近で振動する信号が得られるため、信号から絶対値が抽出され、そして、ローパス空間フィルタ処理が、例えば、光検出器の空間周波数の1/25において適用され、干渉縞パターンの包絡線を抽出する。最後に、干渉縞パターンの位置は、縞パターンの包絡線の位置を検出することによって、そこから最大値を見つけたり、または、包絡線を予め定めたモデル関数(例えば、ガウス関数)と比較してモデル関数からピークを抽出することによって得られる。
【0081】
図5は、現時点で好ましい実施形態に従って、ピースまたは材料WPのレーザ加工のための機械の加工ヘッド14と、ピースまたは材料自体の表面との間の分離距離の決定のためのシステムの例示する図を示す。
【0082】
図において、符号100は、LEDまたは発光ダイオードなど、好ましくは直線偏光の低コヒーレンス光放射源を示し、例えば、可視または近赤外の波長範囲で動作する。光源100によって放出された光放射は、適切な光アイソレータ120の下流側で光導波路、例えば、光ファイバ140の中に注入され、ビームスプリッタ160に導かれ、光学測定経路P上に経路設定された光学測定放射ビームM、および光学基準経路P上に経路設定された光学基準放射ビームRを発生することができる。
【0083】
光学測定経路Pおよび光学基準経路Pは、導波経路であり、経路全体に沿って不変のビーム偏光を維持することができる光ガイド(例えば、光ファイバ)を含む。
【0084】
光学測定経路Pは、上述のように、ピースまたは材料のレーザ加工の機械の加工ヘッド10に導かれ、そこから加工対象のピースまたは材料WPに向けて進み、その上に入射する。測定ビームMが出力断面は、前記材料からの距離を測定するために使用される測定ヘッドの断面、例えば、アシストガス流れまたはレーザビーム出力を供給するためのノズルの開口に対応している。
【0085】
他方、光学基準経路Pは、好ましくは、光学濃度フィルタ200、光分散補償素子220、λ/4プレート240および集光レンズ260を介在させることによって、反射戻り素子180に導かれる。光学反射素子180は、光学基準経路に沿って配置され、ビームスプリッタ160から光反射素子180までのこの経路の光学長が、ビームスプリッタ160から加工対象のピースまたは材料WP(反射)表面までの光学測定経路の光学長に対応するようにしており、ある動作条件では、前記表面は、加工ヘッドから、またはピースまたは材料に近接した加工ヘッドの端部(例えば、アシストガスノズルまたはビーム出力の開口)から予め定めた公称分離距離Dstandoff_nomの位置に設置される。
【0086】
光学測定経路および光学基準経路P,Pは、光放射がこれらに沿って両方の方向に進行し、加工対象のピースまたは材料WPの表面および反射光学素子180でそれぞれ反射した後、ビームスプリッタ160に戻るようにしている。光学基準経路Pでは、λ/4プレート240を通過する基準ビームRの二重通過により、ビームの直線偏光の約90°回転をもたらし、これにより測定ビームMの直線偏光に対して直交する直線偏光を獲得する。従って、ビームスプリッタ160は、光学測定ビームおよび光学基準ビームの再結合を生成し、これらを経路設定し、光学検出経路P(光学測定経路の一部および光学基準経路の一部に共通)に沿ってセンサ配列Sに向けて重畳される。
【0087】
光学測定および基準ビームの両方は、シリンドリカル集光レンズ280を経由して導かれ、これは、この軸に沿って信号を集中させることを目的として、コリメートビームを単一の方向、特に、センサ配列の照射軸に対して直交する方向に集光することが可能であり、こうして光検出器の照射を最適化し、そして、これらは偏光ビームスプリッタ300に到達し、これらの偏光に基づいて光学基準ビームRから光学測定ビームMの分離を生成し、これらの第1のものを第1反射素子M1に向けて、これらの第2のものを第2反射素子M2に向けて経路設定し、後者のケースでは、元の偏光を回復できるλ/2プレート320を介在させることによって、この構成のため、第1および第2反射素子M1,M2は、光学測定ビームおよび光学基準ビームをセンサ配列Sに向けてそれぞれ方向付けし、より正確にはセンサ配列の共通入射領域に向けて入射角αで方向付けする。入射角αは、システムの一実施形態では、予め設定された値の範囲内で制御されることが好都合であり、反射素子M1,M2は、個々の光ビームの伝搬軸に沿って並進移動可能であり、そして入射面に対して垂直な軸の周りに回転移動可能である(図中の破線位置)。
【0088】
当然ながら、周波数ドメインでの干渉縞パターンの検出を用いた干渉手法に基づいた一実施形態では、光学検出経路Pは、測定ビームおよび基準ビームの分離を1回以上含まないが、代わりに、図4aに記載されたアーキテクチャに従った分光計を備える。
【0089】
上述したように、センサ配列Sは、複数の光検出器デバイスを備え、その各々がその上に入射する光強度を表す個々の信号を放出することが可能であり、これらの信号の全体は、重畳された光学測定ビームおよび光学基準ビームの全体入射光パワーの取得によりセンサ配列の共通入射領域Cに確立される干渉縞パターンFを識別するように構成された処理手段350に送信される。
【0090】
好ましくは、光学測定経路および光学基準経路は、対応する光学素子を含み、特に、光学基準経路は、後方反射素子を含み、その光学散乱および反射特性は、光学測定経路に介在するピースまたは材料の表面の光学散乱および反射特性に可能な限り対応している。必要に応じて、光減衰手段を設けてもよく、これらは、加工対象のピースまたは材料によって反射した光学測定放射の強度を基準として、前記後方反射素子によって反射した光学基準放射の強度をバランスさせることが可能である。
【0091】
本発明の範囲に入る図5のシステムの一般化は、少なくとも下記のとおりである。
【0092】
光学系に設けられた予め定めた測定ラインに沿った物体の加工または測定のためアセンブリの光学系の素子の相対位置の決定のためのシステムが、
・低コヒーレンス光学測定放射のビームを発生するための手段と、
・測定ビームを測定ラインに沿って前記素子に向けて導いて、測定ビームが少なくとも部分的な後方反射とともに入射する前記素子の後方反射表面によって反射または散乱した測定ビームを、干渉光学センサ配列に向けて導くことが可能である、測定ビームの伝搬のための手段であって、測定ビームは、個々の光源からセンサ配列までの光学測定経路を進行し、これは、光源と前記素子の後方反射表面との間に含まれる第1セグメントと、前記素子の後方反射表面とセンサ配列との間に含まれる第2セグメントとを含み、前記素子がシステムの予め定めた動作条件に対応する予め定めた公称位置に位置している場合に個々の予め定めた公称幾何学的長さを有する、手段と、
・前記低コヒーレンス光学基準放射の個々のビームを発生するための手段と、
・基準ビームをセンサ配列に向けて導くことが可能である、基準ビームの伝搬のための手段であって、基準ビームは、光学長のメイン光学基準経路、または、前記素子の位置が予め定めた公称位置である公称動作条件における光学測定経路の光学長に相当する光学経路を進行することから生ずるメイン基準ビームと、前記素子の位置が予め定めた変更位置である動作条件におけるメイン光学基準経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の光学基準経路を進行することから生ずる、少なくとも1つの追加の多重化基準ビームとを含む、手段と、を備え、
測定ビームの伝搬手段および基準ビームの伝搬手段は、測定ビームおよび基準ビームを、センサ配列の少なくとも1つの共通入射領域において予め定めた照射軸に沿って重畳させるように構成され、
さらに、
・共通入射領域内の照射軸に沿って配置され、測定ビームおよびメイン基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの位置を検出することが可能である検出器手段であって、照射軸に沿った干渉縞パターンの延長部は、低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長に対応しており、測定ビームおよび追加の基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのそれは、(i)メイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンの光放射の強度の包絡線の固有の位置、または、(iii)メイン干渉縞パターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を有する検出器手段と、
あるいは、代替として、
・共通入射領域に配置された検出器手段であって、ビームの波長分散によって得られ、測定ビームとメイン基準ビームとの間のメイン干渉から得られる波長スペクトルにおける縞パターンの周波数を検出することが可能であり、周波数ドメインでのその延長部が、低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長によって決定され、そして、(i)メイン干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有し、または、(ii)測定ビームおよびメイン基準ビームの重ね合わせのゾーンとは異なる共通領域のゾーン内の測定ビームおよび追加の基準ビームの重ね合わせによって決定される、測定ビームと追加の基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンを検出することが可能である、検出器手段と、
光学測定経路と光学基準経路または追加の光学基準経路との間の光学長の差を、入射領域の照射軸に沿って干渉縞パターンまたは追加の干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける干渉縞パターンまたは追加の干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)前記素子の現在位置と、(b)測定ビームの軸に沿った前記素子の予め定めた公称位置または予め定めた変更された公称位置との間の差を示すように構成された処理手段と、を備える。
【0093】
代替または組合せとして、光学系に設けられた予め定めた測定ラインに沿った物体の加工または測定のためアセンブリの光学系の素子の相対位置の決定のためのシステムは、
・低コヒーレンス光学測定放射のビームを発生するための手段と、
・測定ビームを測定ラインに沿って前記素子に向けて導いて、測定ビームが少なくとも部分的な後方反射とともに入射する前記素子の後方反射表面によって反射または散乱した測定ビームを、干渉光学センサ配列に向けて導くことが可能である、測定ビームの伝搬のための手段であって、測定ビームは、個々の光源からセンサ配列までの光学測定経路を進行し、これは、光源と、前記素子の後方反射表面との間に含まれる第1セグメントと、前記素子の後方反射表面とセンサ配列との間に含まれる第2セグメントとを含み、 前記素子がシステムの予め定めた動作条件に対応する予め定めた公称位置に位置している場合に個々の予め定めた公称幾何学的長さを有し、 測定ラインに沿って、前記素子から上流側に介在する各光学素子を経由した伝送とともにメイン光学測定経路を進行することから生ずるメイン測定ビームと、メイン光学測定経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の光学測定経路を進行することから生ずる追加の多重化測定ビームとを含む、手段と、
・前記低コヒーレンス光学基準放射の個々のビームを発生するための手段と、
・基準ビームをセンサ配列に向けて導くことが可能である、基準ビームの伝搬のための手段であって、基準ビームは、前記素子の位置が予め定めた公称位置である公称動作条件におけるメイン光学測定経路の光学長に相当する光学長の光学基準経路を進行する、手段と、を備え、
測定ビームの伝搬手段および基準ビームの伝搬手段は、測定ビームおよび基準ビームを、センサ配列の少なくとも1つの共通入射領域において予め定めた照射軸に沿って重畳させるように構成され、
さらに、
・共通入射領域内の照射軸に沿って配置され、メイン測定ビームおよび基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの位置を検出することが可能である検出器手段であって、照射軸に沿った干渉縞パターンの延長部は、低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長に対応しており、追加の測定ビームおよび基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのそれは、(i)メイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンの光放射の強度の包絡線の固有の位置、または、(iii)メイン干渉縞パターンの空間周波数とは異なる空間周波数を有する、検出器手段と、
あるいは、代替として、
・共通入射領域に配置された検出器手段であって、ビームの波長分散によって得られ、メイン測定ビームと基準ビームとの間のメイン干渉から得られる波長スペクトルにおける縞パターンの周波数を検出することが可能であり、周波数ドメインでのその延長部が、低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長によって決定され、そして、(i)メイン干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有し、または、(ii)メイン測定ビームおよび基準ビームの重ね合わせのゾーンとは異なる共通領域のゾーン内の追加の測定ビームおよび基準ビームの重ね合わせによって決定される、追加の測定ビームと基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンを検出することが可能である、検出器手段と、
光学測定経路または追加の光学測定経路と光学基準経路との間の光学長の差を、入射領域の照射軸に沿って干渉縞パターンまたは追加の干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける干渉縞パターンまたは追加の干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)前記素子の現在位置と、(b)測定ビームの軸に沿った前記素子の予め定めた公称位置との間の差を示すように構成された処理手段と、を備える。
【0094】
物体の表面に対して、ツールまたは機器の少なくとも1つの近位部分に設けられた予め定めた測定ラインに沿った、加工ツールまたは測定機器と、その外部にある物体の少なくとも部分的に反射する表面との間の分離距離の決定のためのシステムが、
・低コヒーレンス光学測定放射のビームを発生するための手段と、
・測定ビームをツールまたは機器の近位部分を経由して物体の表面に向けて導いて、物体の表面によって反射または散乱した測定ビームを、ツールまたは機器の近位部分を経由して干渉光学センサ配列に向けて導くことが可能である、測定ビームの伝搬のための手段であって、測定ビームは、個々の光源からセンサ配列までの光学測定経路を進行し、これは、光源とツールまたは機器の近位部分との間に含まれる第1セグメントと、ツールまたは機器の近位部分とセンサ配列との間に含まれる第2セグメントとを含み、個々の予め定めた不変の幾何学的長さを有する、手段と、
・前記低コヒーレンス光学基準放射の個々のビームを発生するための手段と、
・基準ビームをセンサ配列に向けて導くことが可能である、基準ビームの伝搬のための手段であって、基準ビームは、ツールまたは機器の近位部分と物体の表面との間の距離が予め定めた公称分離距離に対応する公称動作条件における光学測定経路の光学長に相当する光学長のメイン光学基準経路を進行することから生ずるメイン基準ビームと、ツールまたは機器の近位部分と物体の表面との間の距離が予め定めた変更された分離距離に対応する動作条件におけるメイン光学基準経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の光学基準経路を進行することから生ずる、少なくとも1つの追加の多重化基準ビームとを含む、手段と、を備え、
測定ビームの伝搬手段および基準ビームの伝搬手段は、測定ビームおよび基準ビームを、センサ配列の少なくとも1つの共通入射領域において予め定めた照射軸に沿って重畳させるように構成され、
さらに、
・共通入射領域内の照射軸に沿って配置され、測定ビームおよびメイン基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの位置を検出することが可能である検出器手段であって、照射軸に沿った干渉縞パターンの延長部は、低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長に対応しており、測定ビームおよび追加の基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのそれは、(i)メイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンの光放射の強度の包絡線の固有の位置とは異なる光放射の強度の包絡線の固有の位置、または、(iii)メイン干渉縞パターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を有する検出器手段、
あるいは、代替として、
・共通入射領域に配置された検出器手段であって、ビームの波長分散によって得られ、測定ビームとメイン基準ビームとの間のメイン干渉から得られる波長スペクトルにおける縞パターンの周波数を検出することが可能であり、周波数ドメインでのその延長部が、低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長によって決定され、そして、(i)メイン干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有し、または、(ii)測定ビームおよびメイン基準ビームの重ね合わせのゾーンとは異なる共通領域のゾーン内の測定ビームおよび追加の基準ビームの重ね合わせによって決定される、測定ビームと追加の基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンを検出することが可能である、検出器手段と、
光学測定経路と光学基準経路または追加の光学基準経路との間の光学長の差を、入射領域の照射軸に沿って干渉縞パターンまたは追加の干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける干渉縞パターンまたは追加の干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)ツールまたは機器の近位部分と物体の表面との間の現在の分離距離と、(b)予め定めた公称分離距離または予め定めた変更された分離距離との間の差を示すように構成された処理手段と、を備える。
【0095】
代替または組合せとして、物体の表面に対して、ツールまたは機器の少なくとも1つの近位部分に設けられた予め定めた測定ラインに沿った、加工ツールまたは測定機器と、その外部にある物体の少なくとも部分的に反射する表面との間の分離距離の決定のためのシステムは、
・低コヒーレンス光学測定放射のビームを発生するための手段と、
・測定ビームをツールまたは機器の近位部分を経由して物体の表面に向けて導いて、物体の表面によって反射または散乱した測定ビームを、ツールまたは機器の近位部分を経由して干渉光学センサ配列に向けて導くことが可能である、測定ビームの伝搬のための手段であって、測定ビームは、個々の光源からセンサ配列までの光学測定経路を進行し、これは、光源とツールまたは機器の近位部分との間に含まれる第1セグメントと、ツールまたは機器の近位部分とセンサ配列との間に含まれる第2セグメントとを含み、個々の予め定めた不変の幾何学的長さを有し、測定ラインに沿って、前記ツールまたは機器から上流側に介在する各光学素子を経由した伝送とともにメイン光学測定経路を進行することから生ずるメイン測定ビームと、メイン光学測定経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の光学測定経路を進行することから生ずる追加の多重化測定ビームとを含む、手段と、
・前記低コヒーレンス光学基準放射の個々のビームを発生するための手段と、
・基準ビームをセンサ配列に向けて導くことが可能である、基準ビームの伝搬のための手段であって、基準ビームは、ツールまたは機器の近位部分と物体の表面との間の距離が予め定めた公称分離距離に対応する公称動作条件におけるメイン光学測定経路の光学長に相当する光学長の光学基準経路を進行する、手段と、を備え、
測定ビームの伝搬手段および基準ビームの伝搬手段は、測定ビームおよび基準ビームを、センサ配列の少なくとも1つの共通入射領域において予め定めた照射軸に沿って重畳させるように構成され、
さらに、
・共通入射領域内の照射軸に沿って配置され、測定ビームおよびメイン基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの位置を検出することが可能である検出器手段であって、照射軸に沿った干渉縞パターンの延長部は、低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長に対応しており、追加の測定ビームおよび基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンのそれは、(i)メイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンの光放射の強度の包絡線の固有の位置とは異なる光放射の強度の包絡線の固有の位置、または、(iii)メイン干渉縞パターンの空間周波数とは異なる空間周波数を有する、検出器手段と、
あるいは、代替として、
・共通入射領域に配置された検出器手段であって、ビームの波長分散によって得られ、メイン測定ビームと基準ビームとの間のメイン干渉から得られる波長スペクトルにおける縞パターンの周波数を検出することが可能であり、周波数ドメインでのその延長部が、低コヒーレンス光放射のコヒーレンス長によって決定され、そして、(i)メイン干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有し、または、(ii)メイン測定ビームおよび基準ビームの重ね合わせのゾーンとは異なる共通領域のゾーン内の追加の測定ビームおよび基準ビームの重ね合わせによって決定される、追加の測定ビームと基準ビームとの間の追加の干渉縞パターンを検出することが可能である、検出器手段と、
光学測定経路または追加の光学測定経路と光学基準経路との間の光学長の差を、入射領域の照射軸に沿って干渉縞パターンまたは追加の干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける干渉縞パターンまたは追加の干渉縞パターンの周波数の関数として決定し、この光学長の差は、(a)ツールまたは機器の近位部分と物体の表面との間の現在の分離距離と、(b)予め定めた公称分離距離との間の差を示すように構成された処理手段と、を備える。
【0096】
図5のシステムまたは同等のシステムを用いて、少なくとも1つの光学素子の相対位置の決定のための方法が実装され、ヘッドから放出されるレーザ加工ビームによって追従される予め定めた加工軌跡Tに沿って定義された加工領域での加工ツールまたは測定機器とピースまたは材料WPの表面との間の分離距離の決定のための方法が実装される。
【0097】
該方法は、測定方向に沿って、より一般には、ビームの空間方向が、システム、または光学素子、または外部物体の加工ツールまたは測定機器の少なくとも1つの近位部分に設けられた経路上で変化する場合は測定ラインに沿って導かれる低コヒーレンスメイン光学測定放射Mのビームを発生することを含む。ビームは、前記システムの素子に向けて、または、前記ツールまたは機器の外部にある物体の表面に向けて、例えば、工作機械の加工ヘッド10内で導かれ、そして前記素子の後方反射表面によって、または外部物体の表面によって反射または散乱され、その上にそれが少なくとも部分的な後方反射とともに入射し、任意には加工ツールまたは測定機器の近位部分を経由してセンサ配列Sに向けて導かれる。
【0098】
光学測定放射メインビームMは、詳細には光源100からセンサ配列Sまでの光学測定経路を進行し、これは、個々の予め定められた不変の公称幾何学的長さを有する2つのセグメントを含む。光学系の素子の相対位置の決定の場合、該素子が前記システムの予め定めた動作条件に対応する予め定めた公称位置に位置するとき、2つのセグメントは、個々の予め定められた不変の公称幾何学的長さを有する。
【0099】
加工ヘッド内の光学系の素子の相対位置の決定の場合、2つのセグメントはそれぞれ、前記光源と前記素子の後方反射表面との間に含まれる第1セグメントと、前記素子の前記後方反射表面と前記センサ配列Sとの間に含まれる第2セグメントとを含む。
【0100】
加工ツールまたは測定機器とその外部にある物体の表面との間の分離距離の決定の場合、2つのセグメントはそれぞれ、光源100とピースまたは材料WPに近接した加工ツールまたは測定機器の部分との間に含まれる第1セグメントと、ピースまたは材料WPに近接する前記部分とセンサ配列Sとの間に含まれる第2セグメントとを含む。
【0101】
同じ光源100から、前記低コヒーレンス光放射メイン基準ビームRが発生し、これもまたセンサ配列Sに導かれる。メイン基準ビームRは、光学系の素子の位置が予め定めた公称位置であり、または、または加工ツールまたは測定機器の近位部分とピースまたは材料WPの表面との間の距離が予め定めた公称分離距離に対応している公称動作条件における光学測定経路Pの光学長に相当する光学長の基準光学光学経路P上進行する。
【0102】
測定ビームMおよび基準ビームRは、予め定めた照射軸に沿ってセンサ配列Sの共通入射領域Cにおいて重畳される。
【0103】
空間ドメインにおける干渉縞パターンの検出を用いた干渉手法を用いて、共通入射領域Cにおける照射軸に沿った、測定ビームMと基準ビームRとの間の干渉縞パターンFの位置は、処理手段350により検出され、上述したように、光学測定経路Pと光学基準経路Pとの間の光学長の差を決定することが可能になり、これは、(a)前記光学素子の現在位置と、(b)予め定めた公称位置との間の差、または、(a)加工ツールまたは測定機器の近位部分と物体の表面との間の現在の分離距離と、(b)予め定めた公称分離距離との間の差を示す。
【0104】
周波数ドメインにおける干渉縞パターンの検出を用いた干渉手法を用いて、共通入射領域Cにおける照射軸に沿ったこれらのビームの波長分散によって得られる測定ビームMと基準ビームRとの間の干渉縞パターンFの周波数は、処理手段350により検出され、上述したように、光学測定経路Pと光学基準経路Pとの間の光学長の差を決定することが可能になり、これは、(a)前記光学素子の現在位置と、(b)予め定めた公称位置との間の差、または、(a)加工ツールまたは測定機器の近位部分と物体の表面との間の現在の分離距離と、(b)予め定めた公称分離距離との間の差を示す。
【0105】
本発明に記載された手法により測定できる測定経路および基準経路の長さの間の差の間隔を増加させるために、または、メイン測定値の補償に役立ち得る安定で乱れのない光学素子を参照する補足的測定値を並行して取得するために、本発明に従って、少なくとも1つの追加の光学測定経路が利用され、これはメイン光学測定経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有し、および/または、少なくとも1つの光学基準経路が、前記光学系の前記素子の位置が予め定められた変更位置である動作条件、または、加工ツールまたは測定機器の近位部分と物体の表面との間の距離が予め定められた変更された分離距離に対応する動作条件において、メイン光学基準経路の幾何学的長さとは異なる予め定めた幾何学的長さを有する。
【0106】
一実施形態では、図6aに示すように、追加の光学測定経路P’は、測定ラインに沿って、測定対象の素子Cから上流側に介在する光学素子OEの表面(加工ヘッド内の光学系の素子、あるいは加工または測定を受ける物体の表面)での少なくとも1つの部分後方反射を含む。例えば、測定対象の素子Cから上流側に介在する各光学素子(不図示)を経由する伝送を有する、メイン光学測定経路Pの光学経路を基準として、加工レーザビームまたは光放射測定ビームの光学経路に沿って介在する光学素子。
【0107】
図6bに示す代替の実施形態では、追加の光学測定経路P’は、メイン測定ビームPの光学経路に沿って介在する光学素子OEの内部にある少なくとも1つの後方反射を含む。
【0108】
代替の実施形態では、図6cに示すように、追加の光学測定経路P’は、メイン光学測定経路Pに対して偏向した1つの経路セグメントを含む。これは、例えば、メイン光学測定経路Pから測定ビームMの部分抽出のための光学素子BS1および、抽出された測定ビームMをメイン光学測定経路Pに再導入するための光学素子BS2を介在させることによって得られ、ビームの部分抽出のための光学素子BS1は、例えば、偏向した経路セグメントの光学長を連続的に制御できるビーム分離光学デバイスまたはプリズムである。追加のビームの抽出は、メインビームをいくつかの部分に分割し、いくつかのビームについて強度を再分割することによって、または、異なる光学特性を利用することによって、例えば、異なる偏光の成分を分離することによって行ってもよい。代替として、ビームの分離は、センサ配列の前方で生じてもよく、更なる再結合は生じない。
【0109】
メイン光学測定経路Pおよび追加の光学測定経路P’は、少なくとも1つのセグメントについて重畳され、センサ配列Sの共通入射領域上で、可能性として前記入射領域の異なる個々のエリア上に共線的な方法で入射する。
【0110】
一実施形態では、図6dに示すように、追加の光学基準経路P’は、メイン光学基準経路Pに沿って介在する光学素子OEの表面における少なくとも1つの部分後方反射を含む。代替の実施形態では、図6eに示すように、追加の光学基準経路P’は、メイン光学基準経路Pに沿って介在する光学素子OEで少なくとも1つの内部後方反射を含む。
【0111】
代替の実施形態では、図6fに示すように、追加の光学基準経路P’は、例えば、メイン光学基準経路Pに対して偏向した1つ経路セグメントを含む。これは、例えば、メイン光学基準経路Pから基準ビームMの部分抽出のための光学素子BS1および、抽出された基準ビームRをメイン光学基準経路Pに再導入するための光学素子BS2を介在させることによって得られ、ビームの部分抽出のための光学素子BS1は、例えば、偏向した経路セグメントの光学長を連続的に制御できるビーム分離光学デバイスまたはプリズムである。追加のビームの抽出は、メインビームをいくつかの部分に分割し、いくつかのビームについて強度を再分割することによって、または、異なる光学特性を利用することによって、例えば、異なる偏光の成分を分離することによって行ってもよい。
【0112】
メイン光学基準経路Pおよび追加の光学基準経路P’は、少なくとも1つのセグメントについて重畳され、センサ配列Sの共通入射領域上で、可能性として前記入射領域の異なる個々のエリア上に共線的な方法で入射する。
【0113】
当業者は、光学測定経路と光学基準経路とを別個に参照すると、上記教示が、1つの可能性ある実施形態に結合できることを理解するであろう。
【0114】
光学的連鎖の素子(図6a~図6fに例示したような)によって、またはこれの外部にある物体の表面によって反射されるメインおよび追加の測定ビームおよび基準ビームの組合せにより、並列 パラレル読み取りが可能になり、従って、本発明は、図7a~図7dに概略的に示す用途を含む、多くの用途のために利用できる。
【0115】
図7aは、レーザビーム加工ツールと加工対象のピースWPの表面との間の分離距離を測定するための1つの用途を示し、レーザビームの伝搬方向に沿って介在する光学素子OEの位置の決定と同時に実施される。
【0116】
この用途では、レーザビームの伝搬方向に沿って介在する光学素子OEおよび加工対象のピースWPの表面は、加工または測定アセンブリの少なくとも1つの光学素子と、前記加工または測定の対象となる、これの外部にある物体とを含むシステムにおいて、少なくとも部分的に光放射反射性の複数の素子を構成し、複数の少なくとも部分的に反射する素子は、予め定めた共通の測定ラインに沿って配置されており、該方法は、下記のフェーズを含む。
・低コヒーレンス光放射の測定ビームを発生し、測定ビームを、測定ラインに沿ってシステムの複数の素子に向けて案内し、測定ビームが少なくとも部分後方反射とともに入射する各素子の後方反射表面によって反射または散乱した測定ビームを、干渉光センサ手段に向けて案内し、測定ビームは、個々の光源から干渉光センサ手段までの光学測定経路を進行し、これは、光源と各素子の後方反射表面との間に含まれる第1セグメントと、各素子の後方反射表面と干渉センサ手段との間に含まれる第2セグメントとを含み、各素子がシステムの予め定めた動作条件に対応する個々の予め定めた公称位置にある場合、個々の予め定めた公称幾何学的長さを有し、測定ラインに沿った第1素子による反射を伴う第1光学測定経路の進行から生ずる第1測定ビームと、測定ラインに沿った第2素子による反射を伴う第2光学測定経路の進行から生ずる第2多重化測定ビームとを含み、第1光学測定経路の幾何学的長さとは異なって、より大きな幾何学的長さを有し、
・低コヒーレンス光放射の個々の基準ビームを発生し、基準ビームを干渉光センサ手段に向けて案内し、基準ビームは、第1素子の位置が個々の予め定めた公称位置である公称動作条件において、第1光学測定経路の光学長に相当する光学長の第1光学基準経路の進行から生ずる第1基準ビームと、第2素子の位置が個々の予め定めた公称位置にある動作条件において、第1光学基準経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する第2光学基準経路の進行から生ずる第2多重化基準ビームとを含む。
【0117】
第1測定ビームおよび第2測定ビームは、予め定めた照射軸に沿って、干渉光センサ手段の少なくとも1つの共通入射領域において、第1基準ビームおよび第2基準ビーム上に重畳される。
【0118】
共通入射領域における照射軸に沿って、第1測定ビームと第1基準ビームとの間の第1干渉縞パターンの位置と、第2測定ビームと第2基準ビームとの間の第2干渉縞パターンの位置が検出され、これは、(i)第1干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる光放射の包絡線のピークまたは最大強度、または、(ii)第1干渉縞パターンの光放射の強度の包絡線の固有の位置とは異なる光放射の強度の包絡線の固有の位置、または、(iii)第1干渉縞パターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を有する。代替として、共通の入射領域において、第1測定ビームと第1基準ビームとの間の干渉によって、または、前記ビームの波長分散によって得られる波長スペクトルにおける第1縞パターンの周波数、第2測定ビームと第2基準ビームとの間の第2干渉縞パターンのそれが検出される。(i)第1干渉縞パターンの周波数とは異なる周波数を有する、または、(ii)第1測定ビームおよび基準ビームの重ね合わせのゾーンとは異なる前記共通領域のゾーンにおいて、第2測定ビームと基準ビームとの重ね合わせによって決定される。
【0119】
最後に、第1光学測定経路と第1光学基準経路との間の光学長の差が決定され、これは、(a)第1素子の現在位置と、(b)測定ビームの軸に沿った第1素子の予め定めた公称位置との間の差を示すものであり、入射領域の照射軸に沿った第1干渉縞パターンの位置の関数として、または、周波数ドメインにおける第1干渉縞パターンの周波数の関数として、第2光学測定経路と第2光学基準経路との間の光学長さの差が、入射領域の照射軸に沿った第2干渉縞パターンの位置の関数として、または周波数ドメインにおける第2干渉縞パターンの周波数の関数として、実質的に同時に決定され、これは、(a)第2素子の現在位置と、(b)測定ビームの軸に沿った第2素子の予め定めた公称位置との間の差を示す。
【0120】
図7bは、レーザビーム加工ツールと加工対象のピースの表面との間の分離距離を測定するための1つの用途を示す。これは、動作分離距離の異なる間隔のに対応する多重化基準ビームを利用して、広範囲または離散した測定間隔での距離を測定する。
【0121】
図7cは、レーザビーム加工ツールと加工対象のピースWPの表面との間の分離距離を測定するための1つの用途を示す。これは、較正ビームを利用して、ノズルNにおける圧力、または伝送手段が露される温度または機械的変形の影響によって導入され、較正ビーム自体と共通の経路に作用する(一例として、測定経路のセグメントに沿った摂動をPで示す)その摂動からの距離測定の補償を提供する。
【0122】
図7dは、レーザビーム加工ツールと加工対象のピースWPの表面との間の分離距離を測定するための1つの用途を示す。ここでは、図7cのように、光学測定経路に沿った摂動の補償と同時に(一例として、測定経路のセグメントに沿った摂動をPで示す)、光学基準経路に沿って設置された追加の圧力チャンバN’(例えば、同じ圧力を提示するようにノズルのチャンバに接続される)によって、ノズルNでのアシストガス圧力の影響について補償が提供される。
【0123】
この方法は、例えば、加工プロセス中にリアルタイムで実施でき、例えば、加工ヘッドの光学素子の状態を記述するために、あるいは、材料での現在の加工領域から加工ヘッドの分離距離を決定するために、加工の前または後に、例えば、加工対象のピースまたは実施されている加工を記述するために実施できる。
【0124】
1つの特定の応用例を以下に説明する。
【0125】
材料のレーザ切削、穿孔または溶接、またはレーザによる3次元構造の積層造形のための機械において、アシストガス流れを供給するノズルを有する加工ヘッドを備え、レーザ加工のための機械の加工ヘッドと、加工対象のピースまたは材料の表面との間の分離距離を決定するために、センサ配列Sに入射する測定ビームは、加工領域内のピースまたは材料の表面からの反射、および加工レーザビームの光学経路に沿って介在する各光学素子を経由する透過を伴うメイン光学測定経路の進行から生ずるメイン測定ビームと、加工対象のピースまたは材料の表面からの反射を伴い、メイン光学測定経路の幾何学的長さよりも大きい幾何学的長さを有する、追加の光学測定経路の進行から生ずる少なくとも1つの追加の多重化測定ビームとを含む。例えば、それは、加工レーザビームの光学経路に沿って介在する光学素子の表面において少なくとも1つの部分後方反射を含むためである。
【0126】
この実施形態では、本発明に記載された方法は、追加の測定ビームと基準ビームとの間の干渉によって決定される、センサ配列Sの共通入射領域Cにおける追加の干渉縞パターンの位置の検出をベースとしている。空間ドメインにおける干渉縞パターンの検出を用いた干渉手法において、追加の干渉縞パターンは、例えば、(i)メイン測定ビームと基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる、例えば、これより小さい光放射の包絡線のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンと同時に現れる場合、メイン干渉縞パターンの光放射の強度の包絡線の固有の位置とは異なる光放射の強度の包絡線の固有の位置、または、(iii)追加の測定ビームがメイン測定ビームの入射角とは異なる角度で前記センサ配列に入射した場合、メイン干渉縞パターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を提示する。
【0127】
図8aは、センサ配列Sの照射軸(垂直軸)に沿って光検出器によって出力された信号を示すグラフであり、この信号は、共通入射領域上に形成される干渉縞パターンの包絡線の強度を示す。詳細には、図は、干渉信号を示し、従って、加工ヘッドと対面する材料との間の分離距離(水平軸)の関数として、照射軸(垂直軸)に沿った干渉縞パターンの空間位置を示す。例えば、こうしたグラフは、光学基準経路の一定の長さを提供し、加工ヘッドと材料の表面との間の相互位置(即ち、材料の表面から加工ヘッドの分離距離である)を、z軸に沿って連続的に変化させることによって、そして分離距離についての予め定めた離散値の関数として干渉信号測定値を取得することによって、較正フェーズにおいて発生できる。
【0128】
図において、エイリアシング条件における強い干渉信号の取得と、干渉縞パターンを示す信号ピークのほぼリニア変動(図8bに示す)に従って、約2mm(約1500画素に対応する)の間隔での干渉縞パターンの並進移動に気付くであろう。感度は、光検出器または入射領域の画素の寸法に対応する分離距離として定義できる(この場合、1.5μm/画素)。センサ配列の照射軸全体での干渉縞パターンの包絡線の並進移動は、材料の表面から加工ヘッドまでの分離距離(約0.25mmから約2mm)を決定することを可能にする。
【0129】
丸で囲んだ領域は、センサ配列の照射軸に沿った個々の追加の干渉縞パターンの場所を示す対応する追加の多重化信号を示し、これは、追加の光学測定経路の進行から生じており、メイン光学測定経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有しており、これは、加工レーザビームの光学経路に沿って介在する光学素子の表面における少なくとも1つの部分後方反射を含む。
【0130】
複数の別個の動作間隔が、センサ配列上で整列または重畳されておらず、その代わり個々の干渉縞を代替的に示すために充分に分離している場合、干渉縞パターンの選択は自動的であり、メイン測定ビームおよび追加の測定ビームのいずれか一方だけが基準ビームとの干渉に入る、加工ヘッドと材料との間の分離距離に到達した結果によって、センサ配列Sの表面上に位置する干渉縞パターンを生成する。
【0131】
前述の条件において、追加の光学測定経路と光学基準経路との間の光学長の差が決定され、これは、(i)加工ヘッドと加工領域内の材料の表面との間の現在の分離距離と、(ii)入射領域の照射軸に沿った追加の干渉縞パターンの位置の関数として、予め定めた公称分離距離と、の間の差を示す。
【0132】
図8aから判るように、より小さい延長部、例えば、懸案の測定に使用された延長部の半分を有する照射軸を有するセンサ配列Sは、第1間隔でのメイン干渉縞パターンを示す信号測定値および第2間隔での追加の干渉縞パターンを示す信号測定値に依存して、同じ数値範囲0.25~2mmでの加工ヘッドと材料の表面との間の分離距離の検出を可能にするであろう。これにより、センサ配列の照射特性に基づいて測定範囲の著しい増加が得られる。
【0133】
図8cは、レーザ切削プロセスの間に実行される測定を表す一連のダイアグラムを示しており、この例では、3mm厚さの平坦ステンレス鋼シートの片側に40mmの正方形ノッチの切削プロセスであり、加工ヘッドは、シートからのある公称距離(加工中に0.9から1mmの間で変化する)で作動している。
【0134】
上ダイアグラムは、一連のプロセスパラメータの時間的経過を示す。詳細には、VとVで示すカーブは、切削面での直交方向x,yに沿った切削ヘッドの並進移動速度を表し、Pで示すカーブは、加工レーザビームの光強度を表し、カーブPは、アシストガス圧力を表す。中央ダイアグラムは、加工ヘッドとピースとの間の実際の分離距離について低コヒーレンス光干渉によって測定された経過を示す。下ダイアグラムは、空間ドメインでの検出手法を用いた得られる個々の干渉縞を示しており、より大きな強度のメイン(下側)画像と、より小さい強度の追加(上側)画像と視認でき、その途中経過は、それから一定の距離でメインカーブの経過を模倣している。追加の画像は、測定経路に沿って介在する光学的連鎖の表面によって誘起される内部または複数の後方反射によって生成され、メインビームとともに多重化された追加の測定ビームを決定する。
【0135】
異なる実施形態では、センサ配列Sに入射する基準ビームは、メイン光学基準経路の進行から生ずるメイン基準ビームと、メイン光学基準経路の幾何学的長さとは異なる幾何学的長さを有する追加の光学基準経路の進行から生ずる少なくとも1つの追加の多重化基準ビームとを含む。
【0136】
この実施形態では、本発明で議論した方法は、測定ビームと追加の基準ビームとの間の干渉によって決定される、センサ配列Sの共通入射領域における追加の干渉縞パターンの位置の決定をベースとしている。
【0137】
この場合にも、追加の干渉縞パターンは、例えば、(i)測定ビームとメイン基準ビームとの間のメイン干渉縞パターンの光放射の包絡線のピークまたは最大強度とは異なる、例えば、それより小さい光放射の包絡線のピークまたは最大強度、または、(ii)メイン干渉縞パターンと同時に現れる場合、メイン干渉縞パターンの光放射の強度の包絡線の固有位置とは異なる光放射の強度の包絡線の固有位置、または、(iii)追加の基準ビームがメイン基準ビームの入射角とは異なる角度でセンサ配列に入射する場合、メイン干渉縞パターンの空間周波数とは異なる空間周波数、を提示する。
【0138】
複数の別個の動作間隔がセンサ配列上で整列または重畳されておらず、その代わりに、個々の干渉縞を代替的に示すために充分に分離している場合、干渉縞パターンの選択は、追加の基準経路を選択することによって行われる。
【0139】
前述の条件において、光学測定経路と追加の光学基準経路との間の光学長の差が、入射領域の照射軸に沿った追加の干渉縞パターンの位置の関数として決定され、これは、(i)加工ヘッドと加工領域内の材料の表面との間の現在の分離距離と、(ii)予め定めた公称分離距離との間の差を示す。
【0140】
好都合には、本発明で議論される手法は、光学基準経路の対応する部分の現在の光学長を基準として光学測定経路の少なくとも一部の現在の光学長の摂動を決定し、そして、この摂動に起因して、加工ヘッドと材料の表面との間の分離距離について決定された値を補正できるようにする。摂動は、例えば、光学測定経路が延びている伝送手段の少なくとも1つの物理的パラメータの変動の結果として生じる。
【0141】
これらの目的のために、センサ配列Sに入射する測定ビームは、追加の較正光学測定経路の進行から生ずる少なくとも1つの追加の較正測定ビームを含み、測定ビームは、光学測定経路に沿って介在する静的光学素子の少なくとも1つの後方反射表面によって反射または散乱され、センサ配列Sに入射する基準ビームは、較正光学測定経路の伝送手段の幾何学的長さおよび屈折率が較正光学基準経路の光学的長さおよび屈折率に所定の許容範囲内で等しい公称較正動作条件において、較正光学測定経路の光学長に相当する光学長を有する追加の較正光学基準経路の進行から生ずる個々の追加の較正基準ビームを含む。静的光学素子は、例えば、レーザビームの光学集光システムの素子でもよい。
【0142】
光学測定経路の少なくとも1つの部分の現在の光学長の摂動の決定は、下記の動作を含む。
・センサ配列Sの共通入射領域において、照射軸に沿って較正測定ビームおよび較正基準ビームを重ね合わせる。
・較正測定ビームと較正基準ビームとの間の干渉縞パターンの位置、あるいは、周波数ドメインでの検出を用いた干渉手法を用いて較正測定ビームと較正基準ビームとの間の干渉縞パターンの周波数を検出する。
・較正光学測定経路と較正光学基準経路との間の光学長の差を、入射領域の照射軸に沿った干渉縞パターンの位置、または、周波数ドメインでの干渉縞パターンの周波数の関数として決定する。この光学長の差は、(a)較正光学測定経路の幾何学的長さと較正光学基準経路の幾何学的長さとの間、および/または、(b)較正光学測定経路の屈折率と較正光学基準経路の屈折率との間、の差を示す。較正光学測定経路と較正光学基準経路との間の光学長の差は、光学測定経路の少なくとも1つの部分の現在の光学長の前記摂動を示す。
【0143】
干渉縞パターンの位置が検出された場合、干渉縞パターンの予め定めた基準位置は、較正光学測定経路および較正光学基準経路の光学長の同等条件に対応しており、単に例示として、限定例ではないが、光検出器の照射軸に沿った中央位置または最も端位置でもよい。
【0144】
干渉縞パターンの周波数が検出された場合、スペクトルドメインまたはフーリエドメインでの検出に関する既知の技術によれば、干渉縞パターンの予め定めた基準位置が、較正光学測定経路および光学基準経路の光学長の同等条件に対応しており、単に例示として、限定例ではないが、フーリエ変換の空間における中央周波数でもよい。
【0145】
熟慮すると、加工ヘッドと加工領域内の材料の表面との間の分離距離の正確な決定により、現在の加工領域または較正の加工領域であるかを問わず、レーザ加工のための機械の制御ユニットは、干渉測定の結果の関数として、例えば、Z軸に沿って、材料に接近しまたは材料から遠くに移動する加工ヘッドの移動の制御のために移動アクチュエータ手段に作用することによって、加工距離または他のプロセスパラメータの補正または制御に応答することが可能になる。これは、例えば、切削加工の効率を向上させるのに特に有用である。
【0146】
前述の議論において本発明によって提案された具現化は、純粋に例示的であり本発明を限定する性質のものではないことに留意されよう。当業者は、本発明を種々の実施形態で容易に実施することができ、これは本明細書に記載の原理から除外されず、したがって本特許の範囲内に入る。
【0147】
これは、言及したものとは異なる低コヒーレンス光放射の波長、または、非限定的な例として図5に示したものとは異なる介在した光学素子を備えた光学測定経路および光学基準経路を使用する可能性に関して特に保持する。
【0148】
当然ながら、本発明の原理に従うとともに、実装の形態、特に具現化が、添付の請求項によって定義される本発明の保護の範囲から離れることなく、単に非限定的な例として説明され例示されたものと比べて広範に変更してもよい。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図4a
図4b
図4c
図5
図6a
図6b
図6c
図6d
図6e
図6f
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
【国際調査報告】