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▶ ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェンの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-20
(54)【発明の名称】二成分(2K)硬化性接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20230213BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20230213BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J11/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535920
(86)(22)【出願日】2020-11-24
(85)【翻訳文提出日】2022-06-13
(86)【国際出願番号】 EP2020083109
(87)【国際公開番号】W WO2021115772
(87)【国際公開日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】19216098.4
(32)【優先日】2019-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】シュタップフ,シュテファニー
(72)【発明者】
【氏名】ブルンシュテット,ベンヤミン
(72)【発明者】
【氏名】グティエレス ディアス,ホルダン
(72)【発明者】
【氏名】メラー,トーマス
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040EC002
4J040ED112
4J040EE012
4J040EF182
4J040FA081
4J040FA131
4J040HA026
4J040HA066
4J040HB41
4J040HD43
4J040JA13
4J040KA16
4J040KA23
4J040KA32
4J040KA42
(57)【要約】
本発明は、i)(メタ)アクリレートモノマー、共重合性酸、および電解質を含む第1成分と、ii)前記第1成分の前記モノマーの第1の硬化剤、前記第1成分の前記モノマーの第2の硬化剤、および可溶化剤を含む第2成分とを含む、硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリレートモノマー、
共重合性酸、および
電解質
を含む第1成分と、
前記第1成分の前記モノマーの第1の硬化剤、
前記第1成分の前記モノマーの第2の硬化剤、および
可溶化剤
を含む第2成分と
を含む、硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレートモノマーが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル-(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸-エチレンオキシド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,2-ブチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくは、前記(メタ)アクリレートモノマーが、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項3】
前記(メタ)アクリレートモノマー成分が、前記第1成分の総重量の20~80重量%、好ましくは40~75重量%、より好ましくは47~68%、更により好ましくは53~60重量%の量で存在する、請求項1または2に記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項4】
前記共重合性酸が、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アコニット酸、クロトン酸、フマル酸およびそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくは前記共重合性酸がメタクリル酸である、請求項1~3のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項5】
前記共重合性酸が、前記第1成分の総重量の0.25~20重量%、好ましくは6~16重量%、より好ましくは10~13重量%の量で存在する、請求項1~4のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項6】
前記電解質が、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム2-(2-フルオロアニリノ)-ピリジネート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイミド、1-ブチル-1-メチル-ピロリジニウム2-(2-フルオロアニリノ)-ピリジネート、1-ブチル-1-メチル-ピロリジニウムイミド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホリウム2-(2-フルオロアニリノ)-ピリジネート、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムトリフルオロアセテート、N,N-ジメチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムオクタノエート、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-エチル-N,N,N,N-テトラメチルグアニジニウムトリフルオロメタンスルホネート、グアニジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-ヒドロキシメチルピリジニウムエチルサルフェート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、3-メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-エチル-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムクロリド、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムヨージド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルイミダゾール、1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムテトラフルオロボレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、好ましくは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、およびそれらの混合物から選択される、請求項1~5のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項7】
前記電解質が、前記第1成分の総重量の2.5~25重量%、好ましくは4~23重量%、より好ましくは5~20重量%の量で存在する、請求項1~6のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項8】
前記第1の硬化剤が過酸化物硬化剤であり、
前記過酸化物硬化剤が、好ましくは、tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、ジアセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーアセテート、ラウリルパーオキサイドおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記過酸化物硬化剤が、より好ましくはベンゾイルパーオキサイドである、請求項1~7のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項9】
前記第1の硬化剤が、前記第2成分の総重量の25~75重量%の量で存在する、請求項1~8のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項10】
前記第2の硬化剤が、鉄、銅、コバルト、バナジウムおよびマンガンの塩および錯体から選択される金属化合物、好ましくはフェロセン、鉄(II)アセチルアセトナート、フェロシアン化第二アンモニウム(ammonium iron (III)hexakis (cyano-C)ferrat)およびそれらの混合物からなる群から選択される鉄系化合物である、請求項1~9のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項11】
前記第2の硬化剤が、前記第2成分の総重量の0.01~5重量%、好ましくは0.03~1重量%、より好ましくは0.05~0.3重量%の量で存在する、請求項1~10のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項12】
前記可溶化剤が、ポリエチレングリコール、または、脂環式エポキシド、エポキシノボラック樹脂、ビスフェノールA-エポキシ樹脂、ビスフェノール-F-エポキシ樹脂、ビスフェノール-Aエピクロロヒドリン系エポキシ樹脂、アルキルエポキシド、リモネンジオキシド、ポリエポキシドおよびそれらの混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂である、好ましくは可溶化剤がビスフェノール-Aエポキシ樹脂である、請求項1~11のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項13】
前記可溶化剤が、前記第2成分の総重量の20~45重量%、好ましくは28~40重量%、より好ましくは35~38重量%の量で存在する、請求項1~12のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項14】
前記第1成分および/または前記第2成分が、カーボンブラック、銀、およびそれらの混合物からなる群から選択される導電性粒子をさらに含む、請求項1~13のいずれかに記載の硬化性かつ剥離可能な二液型接着剤組成物。
【請求項15】
導電性表面を有する第1材料層、および、
導電性表面を有する第2材料層
を含む接着構造であって、
硬化した、請求項1~14のいずれかに記載の剥離可能な二液型接着剤組成物が、前記第1材料層および第2材料層の間に配置されている、接着構造。
【請求項16】
i)両表面全体に電圧を印加して、陽極界面と陰極界面を形成する工程、および、
ii)前記両表面を剥離する工程
を含む、請求項15に記載の接着構造を剥離する方法。
【請求項17】
工程i)で印加される電圧が0.5~100Vであり、該電圧が、好ましくは1秒~60分間印加される、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布された特定の基材から剥離できる接着剤組成物に関する。より具体的には、本発明は、硬化性であり、剥離可能な二液型(2K)接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
接着結合とポリマーコーティングは、一般的に製造品の組み立てと仕上げに使用される。それらは、ねじ、ボルト、リベットなどのメカニカルファスナーの代わりに使用され、機械加工コストを削減し、製造プロセスにおけるより高い適応性を有する接着を提供する。接着結合は、応力を均等に分散し、疲労の可能性を低減し、腐食種から接合部を遮断する。
【0003】
従って、接着結合はメカニカルファスナーに比べて多くの利点をもたらすが、実際の適用で必要とされる場合、接着結合した物品を分解することは難しくなる傾向がある。サンドブラストやワイヤーブラシなどの機械的プロセスによる接着剤の除去は、1つには接着剤が基材間に配置されているため、基材の表面を傷つけずにアクセスできないか、研磨しにくいために大抵除外される。米国特許第4,171,240号(Wong)および米国特許第4,729,797号(Linde等)に開示されているような化学物質および/または高温の適用による分解は効果的かもしれないが、実施に時間がかかり、複雑になることがある。さらに、必要とされる攻撃的な化学物質や過酷な条件により、分離される基材を損傷し、その後の適用に適さないものとなり得る。
【0004】
これらの問題に留意して、特定の著者は、硬化した組成物を電流が流れることで接着剤と基材との界面における接着を破壊するように作用する、剥離可能な接着剤組成物を開発しようとしてきた。
【0005】
米国特許第7,465,492号(Gilbert)には、アクリル、メタクリルおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるモノマーを含むマトリックス官能性、フリーラジカル開始剤、および電解質を含み、前記電解質が前記組成物と導電性表面との間に形成された接着におけるファラデー反応をサポートするのに十分なイオン伝導性を前記組成物に提供して、それにより前記組成物を前記表面から剥離できる、剥離可能な組成物が記載されている。
【0006】
米国特許出願公開第2007/0269659号(Gilbert)には、2つの界面で剥離可能な接着剤組成物であって、前記組成物が(i)ポリマーおよび電解質を含み、(ii)2つの表面の結合を容易にし、(iii)陽極界面および陰極界面を形成するように両表面全体に印加された電圧に応答して、前記陽極および陰極表面の両方から剥離する、組成物が記載されている。
【0007】
米国特許出願公開第2008/0196828号(Gilbert)には、熱可塑性成分、および電解質を含み、前記電解質が、前記組成物に十分なイオン伝導性を提供して、前記組成物と導電性表面との間に形成された結合におけるファラデー反応を可能にして、前記組成物を前記表面から剥離させることを可能にする、ホットメルト接着剤組成物が記載されている。
【0008】
国際出願公開第2017/133864号(Henkel AG & Co.KGaA)には、第1および第2の基材を可逆的に接着する方法であって、少なくとも前記第1の基材が非導電性基材であり、前記方法が、a)前記非導電性基材の表面を導電性インクでコーティングすること、b)前記導電性インクがコーティングされた前記第1の基材および/または前記第2の基材の表面に、電気的に剥離可能なホットメルト接着剤組成物を塗布すること、c)前記電気的に剥離可能なホットメルト接着剤組成物が前記2つの基材の間に介在するように、前記第1の基材と第2の基材とを接触させること、d)前記2つの基材間に接着結合を形成して接着基材を提供すること、e)前記接着基材に電圧を印加し、それにより、前記電気的に剥離可能なホットメルト接着剤組成物と基材表面との間の少なくとも1つの界面の接着を実質的に弱めること、を含む方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第4,171,240号明細書
【特許文献2】米国特許第4,729,797号明細書
【特許文献3】米国特許第7,465,492号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2007/0269659号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2008/0196829号明細書
【特許文献6】国際出願公開第2017/133864号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
接着される基材の表面に簡便に塗布でき、その硬化によって前記基材を含む複合構造内に効果的な結合を提供できるが、硬化した接着剤全体に電位を簡単に印加することによってそれらの基材から効果的に剥離できる接着剤組成物を提供するという技術上の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、
(メタ)アクリレートモノマー、
共重合性酸、および
電解質
を含む第1成分と、
前記第1成分の前記モノマーの第1の硬化剤、
前記第1成分の前記モノマーの第2の硬化剤、および
可溶化剤
を含む第2成分と
を含む、硬化性かつ剥離可能な二液型(2K)接着剤組成物が提供される。
【0012】
前記接着剤組成物は、導電性粒子、特にカーボンブラックおよび銀粒子をさらに含み得、これらは、その第1成分および第2成分の一方または両方に配置され得る。
【0013】
本発明の重要な実施態様では、前記二液型接着剤組成物は、前記第1成分の重量に基づいて、
20~80重量%、好ましくは40~75重量%の前記(メタ)アクリレートモノマー、
0.25~20重量%、好ましくは6~16重量%の前記共重合性酸、および
2.5~25重量%、好ましくは4~23重量%の前記電解質
を含む第1成分と、
前記第2成分の重量に基づいて、
25~75重量%の前記第1の硬化剤、
0.01~5重量%、好ましくは0.03~1重量%の前記第2の硬化剤、および
20~45重量%、好ましくは28~40重量%の前記可溶化剤
を含む第2成分と、を含む。
【0014】
前記接着剤組成物の前記第1成分において、前記共重合性酸は、好ましくは、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アコニット酸、クロトン酸、フマル酸およびそれらの混合物からなる群から選択され、特にメタクリル酸を選択することが特筆される。
【0015】
前記第1成分の共重合性酸の選択についてのこの言及とは別に、またはそれに加えて、前記電解質は、好ましくは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム2-(2-フルオロアニリノ)-ピリジネート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイミド、1-ブチル-1-メチル-ピロリジニウム2-(2-フルオロアニリノ)-ピリジネート、1-ブチル-1-メチル-ピロリジニウムイミド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホリウム2-(2-フルオロアニリノ)-ピリジネート、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジ(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムトリフルオロアセテート、N、N-ジメチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムオクタノエート、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-エチル-N-N-N-N-テトラメチルグアニジニウムトリフルオロメタンスルホネート、グアニジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-ヒドロキシメチルピリジニウムエチルサルフェート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、3-メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-エチル-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムクロリド、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムヨージド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルイミダゾール、1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムテトラフルオロボレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される。1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェートのうちの少なくとも1つの使用が特に好ましいといえる。
【0016】
接着剤組成物の第2成分において、前記第1の硬化剤は、好ましくは、tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、ジアセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーアセテート、ラウリルパーオキサイドおよびそれらの混合物からなる群から選択される過酸化物硬化剤であることが好ましく、ベンゾイルパーオキサイドの使用が特に好ましい。
【0017】
第1の硬化剤の選択についてのこの言及とは別に、またはそれに加えて、前記第2の硬化剤は、好ましくは、塩である少なくとも1つの化合物、またはFe、Co、V、MnおよびCuからなる群から選択される遷移金属の錯体からなる。より好ましくは、第2の硬化剤は、フェロセン、鉄(II)アセチルアセトナート、フェロシアン化第二アンモニウム(ammonium iron (III)hexakis (cyano-C)ferrat)からなる群から選択される少なくとも1つの鉄系化合物を含む、またはからなる。特にフェロセンの選択が特筆される。
【0018】
第1および第2の硬化剤の選択についてのこの言及とは別に、またはそれに加えて、接着剤組成物の第2成分の可溶化剤は、ポリエチレングリコールであるか、または、脂環式エポキシド、エポキシノボラック樹脂、ビスフェノール-A-エポキシ樹脂、ビスフェノール-F-エポキシ樹脂、ビスフェノール-Aエピクロロヒドリン系エポキシ樹脂、アルキルエポキシド、リモネンジオキシド、ポリエポキシドおよびそれらの混合物からなる群から選択されるエポキシ樹脂であることが好ましい。特にビスフェノール-Aエポキシ樹脂を含むまたはからなる可溶化剤の選択が特筆される。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、
導電性表面を有する第1剤料層、および、
導電性表面を有する第2材料層
を含む接着構造であって、上記および添付の特許請求の範囲で定義される硬化性かつ剥離可能な二液型(2K)接着剤組成物が、前記第1材料層と第2材料層との間に配置される、接着構造が提供される。
【0020】
本発明の第3の態様によれば、
i)両表面全体に電圧を印加して、陽極界面と陰極界面を形成する工程、および
ii)上記両表面を剥離する工程を含む
上記および添付の特許請求の範囲で定義される前記接着構造を剥離する方法が提供される。
【0021】
この方法の工程i)は、好ましくは、
a)0.5~100Vの印加電圧、および
b)1秒~60分間印加される電圧
のうちの少なくとも1つによって特徴付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1a図1aは本発明の第1実施態様の接着構造を示す。
図1b図1bは本発明の第2実施態様の接着構造を示す。
図2a図2aは第1実施態様の接着構造を電流が通過する際のその構造の最初の剥離を示す。
図2b図2bは第2実施態様の接着構造を電流が通過する際のその構造の最初の剥離を示す。
図3a図3aは本発明の実施態様による、硬化接着剤組成物で接着されたステンレス鋼基材のラップ剪断強度試験の結果を示す。
図3b図3bは本発明の実施態様による、硬化接着剤組成物で接着されたステンレス鋼基材のラップ剪断強度試験の結果を示す。
図4a図4aは本発明の実施態様による、硬化接着剤組成物で接着されたアルミニウム基材の重ね剪断強度試験の結果を示す。
図4b図4bは本発明の実施態様による、硬化接着剤組成物で接着されたアルミニウム基材の重ね剪断強度試験の結果を示す。
図5a図5aは経時安定性の結果を示す。
図5b図5bは経時安定性の結果を示す。
図6図6は、実施例7の試験結果を示す。
図7図7は、実施例9の試験結果を示す。
図8図8は、実施例11の試験結果を示す。
図9図9は、実施例12の試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<定義>
本明細書で使用される時、単数形「a」、「an」と「the」は、文脈で明確に指示されていない限り、複数の指示対象が含まれる。
【0024】
本明細書で使用される「含む」(comprising、comprises)および「含まれる」(comprised of)という用語は、「含む」(including、includes、containingまたはcontains)と同義であり、包括的またはオープンエンドであり、追加の、引用されていない部材、要素、または方法工程を排除しない。
【0025】
本明細書で使用される時、「からなる」(consisting of)という用語は、特定されていない要素、成分、部材、または方法工程を除外する。
【0026】
量、濃度、寸法、その他のパラメータを範囲、好ましい範囲、上限値、下限値、または好ましい上限値と限界値の形態で表す場合、任意の上限または好ましい値と任意の下限または好ましい値とを組み合わせることによって得られる任意の範囲も、得られた範囲が文脈において明確に言及されているかどうかに関わらず、具体的に開示されていると理解されるべきである。
【0027】
さらに、標準的な理解によれば、「0~x」として表される重量範囲は、具体的には0重量%を含む。該範囲によって定義される成分は、組成物に存在しないか、または組成物中に最大x重量%の量まで存在し得る。
【0028】
単語「好ましい」(preferred)、「好ましくは」(preferably)、「望ましくは」(desirably)および「特に」(particularly)は、ある状況下で特定の利益をもたらす可能性のある本開示の実施態様に注意を向けるために、本明細書で頻繁に使用される。しかしながら、1つまたは複数の好ましい(preferable)、好ましい(preferred)、望ましい(desirable)、または特定の実施態様の記載は、他の実施態様が有用ではないという意味を含むのではなく、それらの他の実施態様を本開示の範囲から除外することを意図するものではない。
【0029】
本願において使用される場合、「may」という単語は、義務的な意味ではなく、許容的な意味で使用される。つまり、可能性があることを意味する。
【0030】
本明細書で使用される場合、室温は23℃プラスもしくはマイナス2℃である。本明細書で使用される場合、「周囲条件」は、組成物が配置されている、またはコーティング層または該コーティング層の基材が配置されている周囲の温度および圧力を意味する。
【0031】
本発明の文脈における「二液型(2K)組成物」は、第1成分(A)および第2成分(B)がそれらの(高い)反応性のために別々の容器に貯蔵されなければならない組成物であると理解される。その二つの成分は、塗布の直前にのみ混合され、その後反応し、通常追加の活性化なしに、接着形成およびそれによるポリマーネットワークを形成する。本明細書では、架橋反応を加速するために、より高い温度を適用できる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「剥離可能」という用語は、接着剤の硬化後、10V~75Vの電位を1秒~60分間印加すると、接着強度を少なくとも50%弱めることができることを意味する。硬化接着剤は、電流が接着結合線を通って流れるように、その接着剤によって接着される2つの基材の間に塗布される。接着強度は、室温で行われる、EN 1465:2009(ドイツ語版)接着剤に基づく-接着アセンブリの引張ラップせん断強度の決定に基づく引張ラップせん断(TLS)試験によって測定される。接着の重なり領域は25mm×10mmで、約150μmの接着厚さを有していた。
【0033】
本明細書で使用される場合、「モノマー」という用語は、重合反応を受けて、ポリマーの化学構造に対する構成単位に寄与することができる物質を指す。本明細書で使用される「単官能性」という用語は、1つの重合性部分の所有を指す。本明細書で使用される「多官能性」という用語は、複数の重合性部分の所有を指す。
【0034】
本明細書で使用される場合、「等量(eq.)」)という用語は、化学表記でよくあるように、反応に存在する反応性基の相対数に関する。
【0035】
「電解質」という用語は、当技術分野におけるその標準的な意味に従って、帯電した担体種の移動によって電気を伝導できる遊離イオンを含む物質として本明細書で使用される。この用語は、溶融電解質、液体電解質、半固体電解質、および固体電解質を包含することを意図しており、それらの電解質構造のカチオン性またはアニオン性成分の少なくとも1つは、本質的に自由に移動し、従って電荷担体として作用する。
【0036】
本発明の硬化性接着剤組成物およびそれから得られる硬化接着剤は、接着剤材料がイオン、陰イオンまたは陽イオンのどちらか一方、またはその両方の伝導を可能にするという点で、「電解質機能性」を有する。電解質機能性は、組成物および硬化接着剤が少なくとも1つの極性のイオンを溶媒和する能力に由来すると理解されている。
【0037】
本明細書で使用される場合、「(メタ)アクリル」は「アクリル」および/または「メタクリル」を指す短縮形である。従って、用語「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドをまとめて指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「C-Cアルキル」基とは、1~n個の炭素原子を含む一価の基を指す。これは、アルカンの基であり、直鎖および分岐鎖有機基を含む。従って、「C-C30アルキル」基とは、1~30個の炭素原子を含む一価の基を指し、これはアルカンの基であり、直鎖および分岐鎖の有機基を含む。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、および2-エチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。本発明において、このようなアルキル基は、非置換であってもよく、ハロ、ニトロ、シアノ、アミド、アミノ、スルホニル、スルフィニル、スルファニル、スルホキシ、ウレア、チオウレア、スルファモイル、スルファミドおよびヒドロキシなどの1以上の置換基で置換されていてもよい。該当する場合、所定の置換基を選択することが明細書に特筆される。しかしながら、一般に1~18個の炭素原子を含むアルキル基(C-C18アルキル)、例えば、1~12個の炭素原子を含むアルキル基(C-C12アルキル)または1~6個の炭素原子を含むアルキル基(C-Cアルキル)を選択することが特筆される。
【0039】
本明細書で使用される「C-C18ヒドロキシアルキル」という用語は、1~18個の炭素原子を有するHO-(アルキル)基を指し、置換基の結合点は酸素原子を介しており、アルキル基は上記で定義した通りである。
【0040】
「アルコキシ基」は、-OA(ここで、Aはアルキル基である)で表される一価の基を指し、その非限定的な例は、メトキシ基、エトキシ基、およびイソプロピルオキシ基である。本明細書で使用される「C-C18アルコキシアルキル」という用語、上記で定義したアルコキシ置換基を有し、(アルキル-O-アルキル)部分が合計で1~18個の炭素原子を含むアルキル基を指す。そのような基には、メトキシメチル(-CHOCH)、2-メトキシエチル(-CHCHOCH)および2-エトキシエチルが挙げられる。
【0041】
本明細書で使用される「C-Cアルキレン」という用語は、2~4個の炭素原子を有する飽和二価炭化水素基として定義される。
【0042】
「C-C30シクロアルキル」という用語は、3~30個の炭素原子を有する、置換されていてもよい、飽和、単環式、二環式または三環式炭化水素基を意味すると理解される。一般に、3~18個の炭素原子を含むシクロアルキル基(C-C18シクロアルキル基)を選択することが特筆される。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、アダマンタン、およびノルボルナンが挙げられる。
【0043】
本明細書で使用される場合、「アラルキル基」などで、単独でまたはより大きな部分の一部として用いられる「C-C18アリール」基は、単環式環系が芳香族である、または二環式若しくは三環式環系の環の少なくとも1つが芳香族である、置換されていてもよい、単環式、二環式および三環式環系を指す。二環式および三環式環系としては、ベンゾ縮合した2~3員の炭素環式環が挙げられる。例示的なアリール基としては、フェニル;(C-C)アルキルフェニル、例えばトリルおよびエチルフェニルなど;インデニル;ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロインデニル;テトラヒドロアントラセニル;およびアントラセニルが挙げられる。フェニル基の選択を特筆し得る。
【0044】
本明細書で使用される場合、「C-C20アルケニル」は2~20個の炭素原子と少なくとも1単位のエチレン性不飽和を有するヒドロカルビル基を指す。アルケニル基は、直鎖、分岐鎖または環状であってよく、置換されていてもよい。「アルケニル」という用語はまた、当業者によって理解されるように、「シス」および「トランス」構成、または「E」および「Z」構成を有する基を包含する。しかしながら、一般に、2~10(C2-10)または2~8(C2-8)個の炭素原子を含む非置換のアルケニル基の選択が特筆される。前記C-C12アルケニル基の例としては、-CH=CH;-CH=CHCH;-CHCH=CH;-C(=CH)(CH);-CH=CHCHCH;-CHCH=CHCH;-CHCHCH=CH;-CH=C(CH;-CHC(=CH)(CH);-C(=CH)CHCH;-C(CH)=CHCH;-C(CH)CH=CH;-CH=CHCHCHCH;-CHCH=CHCHCH;-CHCHCH=CHCH;-CHCHCHCH=CH;-C(=CH)CHCHCH;-C(CH)=CHCHCH;-CH(CH)CH=CHCH;-CH(CH)CHCH=CH; -CHCH=C(CH;1-シクロペント-1-エニル;1-シクロペント-2-エニル;1-シクロペント-3-エニル;1-シクロヘキス-1-エニル;1-シクロヘキス-2-エニル;および1-シクロヘキシル-3-エニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
本明細書で使用される場合、「アルキルアリール」はアルキル置換アリール基を指し、「置換アルキルアリール」は上記のように1以上の置換基をさらに有するアルキルアリール基を指す。さらに、本明細書で使用される場合、「アラルキル」は上記で定義したアリール基で置換されたアルキル基を意味する。
【0046】
本明細書で使用される用語「ヘテロ」は、N、O、SiおよびSなどの1以上のヘテロ原子を含む基または部分を指す。従って、例えば、「複素環式」は環構造の一部として、例えば、N、O、SiまたはSを有する環状基を指す。「ヘテロアルキル」、「ヘテロシクロアルキル」および「ヘテロアリール」部分は、それぞれ、それらの構造の一部としてN、O、SiまたはSを含む上記で定義したアルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基である。
【0047】
本明細書で使用される用語「等量」は、分子量を該当する官能基数で割ったものを意味する。従って、「エポキシ当量」(EEW)とは、1当量のエポキシを含む樹脂のグラム単位の重量を意味する。
【0048】
本明細書で使用される場合、用語「エポキシド」は、少なくとも1つの環状エーテル基、すなわち、エーテル酸素原子が2つの隣接する炭素原子に結合し、それによって環状構造を形成する基、の存在を特徴とする化合物を示す。この用語は、モノエポキシド化合物、ポリエポキシド化合物(2つ以上のエポキシド基を有する)、およびエポキシド末端プレポリマーを包含することを意図している。用語「モノエポキシド化合物」は、1つのエポキシ基を有するエポキシド化合物を示すことを意味する。用語「ポリエポキシド化合物」は、少なくとも2つのエポキシ基を有するエポキシド化合物を示すことを意味する。用語「ジエポキシド化合物」は、2つのエポキシ基を有するエポキシド化合物を示すことを意味する。
【0049】
エポキシドは非置換であってもよいが、不活性に置換されていてもよい。例示的な不活性置換基としては、塩素、臭素、フッ素およびフェニルが挙げられる。
【0050】
この明細書で言及される分子量は、ASTM 3536に従って行われるような、ポリスチレン較正標準を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定できる。
【0051】
本明細書に記載の組成物の粘度は、特に明記しない限り、25℃および50%相対湿度(RH)の標準条件でアントンパール粘度計、モデルMCR301を使用して測定される。粘度計は年に1回較正され、サービスによって検査される。較正は、5,000cps~50,000cpsまで変化する既知の粘度の特殊オイルを使用して行われる(平行板PP25および23℃でのせん断速度1/s)。本発明の組成物の測定は、平行板PP20を使用して、1.5(1/s)~100(1/s)の異なる剪断速度で行われる。
【0052】
<二液型(2K)組成物の第1成分>
二液型(2K)組成物の第1成分は、(メタ)アクリレートモノマー、共重合性酸、および、電解質を含む。
【0053】
≪(メタ)アクリレートモノマー≫
組成物の第1成分は、前記第1成分の重量に基づいて、典型的には、20~80重量%の量で存在する(メタ)アクリレートモノマーを含む。(メタ)アクリレートモノマーは、前記第1成分の40~75重量%、例えば、47~68重量%または53~60重量%を構成することが好ましい。
【0054】
80%を超える量が初期接着性および剥離効果に不利な影響を与える可能性がある一方で、少量、主に20%未満の量は、初期接着性の低下につながる可能性があるため、上述の(メタ)アクリレートモノマーの量が好ましい。
【0055】
本明細書で有用性を有する(メタ)アクリレートエステルを制限する意図は特になく、(メタ)アクリレートモノマーは、当該分野で知られているアクリル酸またはメタクリル酸の任意のエステルであり得ると考えられる。とはいえ、例示的な(メタ)アクリルモノマーとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
【0056】
・メタ(アクリル酸)のC-C18アルキルエステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート(すべての異性体)、ヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、n-ドデシル(メタ)アクリレートおよびn-ステアリル(メタ)アクリレートなど;
・メタ(アクリル酸)のC-C18シクロアルキルエステル、例えばシクロヘキシル(メタ)アクリレートおよびイソボルニル(メタ)アクリレートなど;
・メタ(アクリル酸)のC-C18アリールエステル、例えばフェニル(メタ)アクリレートおよびトリル(メタ)アクリレートなど;
・メタ(アクリル酸)のC-C24アラルキルエステル、例えばベンジル(メタ)アクリレートなど;
・メタ(アクリル酸)のC-C18アルコキシアルキルエステル、例えば2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、および3-メトキシブチル(メタ)アクリレートなど;
・メタ(アクリル酸)のフッ素含有C-C18アルキルエステル、例えば、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレートおよび2-パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレートなど;
・(メタ)アクリル酸のC-C18ヒドロキシアルキルエステル、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートおよびペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなど;
・ジ/多官能性アルコールのジ/ポリエステル、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3または1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど;
・(メタ)アクリル酸のC-C18アミノアルキルエステル、例えば2-アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリルオキシエトキシエチルアミンなど;
・(メタ)アクリル酸のC-C18アルコキシシリル含有アルキルエステル、例えばγ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなど;
・(メタ)アクリル酸のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド付加物;および
・他の官能基を有するアルコールによって形成される(メタ)アクリレートエステル、例えばテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなど。
【0057】
完全を期すために、組成物の第1成分が、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、およびポリエーテル(メタ)アクリレートからなる群から選択される1以上のオリゴマーからなるマクロモノマー成分を含むことを排除するものではない。しかしながら、重合性(メタ)アクリレート官能基に関して単官能性または多官能性であり得るが、繰り返し構造のウレタン、エステル、およびエーテルサブユニットに基づくこのようなオリゴマー化合物は、通常、上記第1成分中の(メタ)アクリレートモノマー全体の30重量%を超えて構成されるべきではない。
【0058】
当該分野で知られているように、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、ヒドロキシル基を有する多官能性(メタ)アクリレートと、本明細書で上記に定義したポリイソシアネートとの反応によって調製することができる。特に、ヒドロキシル基を有する多官能性(メタ)アクリレートは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシイソプロピル(メタ)アクリレート;4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチルカプロラクトン(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;および、それらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0059】
適当なポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーは、(メタ)アクリル酸を、多塩基酸またはその無水物および多価アルコールから調製されたポリエステルと反応させることによって得られる。多塩基酸の例としては、フタル酸;コハク酸;アジピン酸;グルタル酸;セバシン酸;イソセバシン酸;テトラヒドロフタル酸;ヘキサヒドロフタル酸;ダイマー酸;トリメリット酸;ピロメリット酸;ピメリン酸;および、アゼライン酸が挙げられるが、これらに限定されない。多価アルコールの例としては、1,6-ヘキサンジオール;ジエチレングリコール;1,2-プロピレングリコール;1,3-ブチレングリコール;ネオペンチルグリコール;ジプロピレングリコール;ポリエチレングリコール;および、ポリプロピレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
当該分野で知られているように、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエーテルとエチルメタクリレートなどの(メタ)アクリレートエステルとの間のエステル交換反応によって得ることができる。例示的なポリエーテルとしては、エトキシル化またはプロポキシル化トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどから得られるポリエーテル、または1,4-プロパンジオールなどのポリエーテル化によって得られるポリエーテルが挙げられる。
【0061】
好ましい実施態様において、第1成分は、以下からなる群から選択される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーを含む。メチル(メタ)アクリレート;エチル(メタ)アクリレート;n-プロピル(メタ)アクリレート;イソプロピル(メタ)アクリレート;n-ブチル(メタ)アクリレート;イソブチル(メタ)アクリレート;tert-ブチル(メタ)アクリレート;n-ペンチル(メタ)アクリレート;n-ヘキシル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート;n-ヘプチル(メタ)アクリレート;n-オクチル(メタ)アクリレート;2-エチルヘキシル-(メタ)アクリレート;ノニル(メタ)アクリレート;デシル(メタ)アクリレート;ドデシル(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート;トリル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート;3-メトキシブチル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;ステアリル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート;2-アミノエチル(メタ)アクリレート;γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン;(メタ)アクリル酸-エチレンオキシド付加物;トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート;2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート;2-パーフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート;2-パーフルオロエチル-2-パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート;2-パーフルオロエチル(メタ)アクリレート;パーフルオロメチル(メタ)アクリレート;ジパーフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート;2-パーフルオロメチル-2-パーフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート;2-パーフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート;2-パーフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート;2-パーフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;トリメチロールプロパントリメタクリレート;ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;1,6-ヘキサンジオールジアクリレート;ネオペンチルグリコールジアクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート;1,2-ブチレングリコールジアクリレート;トリメチロールプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート;グリセリルプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート;トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート;1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート;および、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート。
【0062】
第1成分が、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレートおよびトリメチロールプロパントリアクリレート、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの(メタ)アクリレートモノマーを含む場合、良好な結果が得られた。
【0063】
上記の(メタ)アクリレートモノマーが好ましいのは、モノマーのサイズが理想的なポリマーネットワークの形成をもたらし、それがイオン輸送を増加させると考えられているからである。
【0064】
≪共重合性酸≫
上述したように、組成物の第1成分は、該第1成分の重量に基づいて、典型的には0.25~20重量%の量で使用される共重合性酸を含む:共重合性酸は、好ましくは、前記第1成分の6~16重量%、例えば10~13重量%を構成してもよい。完全を期すために、このようなモノマーは、典型的には遊離酸の形態で使用するのがよいが、モノマーの構成酸基が適当な塩基で部分的または完全に中和されることは、このことが共重合へのそれらの関与を損なうことがないならば、排除されない。
【0065】
20%を超える量は腐食の問題やガスの発生を引き起こす可能性がある一方で、量が少ないと硬化が不完全になり、初期接着性が低下する可能性があるため、上記の共重合性酸の量が好ましい。
【0066】
本発明を限定する意図なしに、共重合性酸モノマーは、エチレン性不飽和カルボン酸;エチレン性不飽和スルホン酸;および、ビニルホスホン酸から選択するのがよい。適当なエチレン性不飽和スルホン酸は、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、およびアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸である。
【0067】
好ましくは、この成分の共重合性酸は、α,β-モノエチレン性不飽和モノカルボン酸;α,β-モノエチレン性不飽和ジカルボン酸;α,β-モノエチレン性不飽和ジカルボン酸のC-Cアルキルハーフエステル;α,β-モノエチレン性不飽和トリカルボン酸;および、少なくとも1つの遊離カルボン酸基を有するα,β-モノエチレン性不飽和トリカルボン酸のC-Cアルキルエステル;および、それらの混合物からなる群から選択されるエチレン性不飽和カルボン酸を含むか、またはこれらからなる。特に、この成分の共重合性酸は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アコニット酸、クロトン酸およびフマル酸から選択される少なくとも1つの酸を含む、またはこれらからなる。
【0068】
出願人は、共重合性酸が、組成物の硬化速度および金属接着性を改善することを見出した。
【0069】
本発明は、(メタ)アクリレートモノマーと共重合でき、スチレンモノマー、例えばスチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレンおよびクロロスチレンなど;フッ素含有ビニルモノマー、例えばパーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレン、フッ素化ビニリデンなど;ケイ素含有ビニルモノマー、例えばビニルトリメトキシシランおよびビニルトリエトキシシランなど;マレイミドモノマー、例えばマレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミドおよびシクロヘキシルマレイミドなど;ニトリル基含有ビニルモノマー、例えばアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルなど;アミド基含有ビニルモノマー、例えばアクリルアミドおよびメタクリルアミドなど;ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニルなど;アルケン、例えばエチレンおよびプロピレンなど;共役ジエン、例えばブタジエンおよびイソプレンなど;および塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、およびアリルアルコールからなる群から選択されるビニルモノマーが第1成分に存在することを排除しないことに留意されたい。しかしながら、含まれる場合、このようなビニルコモノマーは、共重合性酸モノマーの総重量に基づいて、40重量%未満、好ましくは20重量%未満または10重量%未満を構成するのがよい。
【0070】
≪電解質≫
組成物の第1成分は、該第1成分の重量に基づいて、2.5~25重量%の電解質を含む。電解質は、好ましくは、該第1成分の4~23重量%、例えば5~20重量%を構成し得る。
【0071】
電解質の量が25%を超えると良好な剥離効果をもたらし得るが、硬化が不完全になり得て初期接着性に不利な影響を与える場合があり、その一方で少量では剥離効果の欠如をもたらし得るため、上記の量が好ましい。
【0072】
電解質は、好ましくは、以下からなる群から選択される式を有する少なくとも1つの塩を含む。
【化1】
(式中、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、C-C18アルキル、C-C18シクロアルキル、C-C18アリール、C-C24アラルキル、C-C20アルケニル、-C(O)R、-C(O)OH、-CNおよび-NOから選択され、RはC-Cアルキルである。)
【0073】
完全を期すために、C-C18アルキル、C-C18シクロアルキル、C-C18アリール、C-C24アラルキル、C-C20アルケニルという用語は、1以上の水素原子がハロゲン原子で置換されている基(例えば、C-C18ハロアルキル)またはヒドロキシル基で置換されている基(例えば、C-C18ヒドロキシアルキル)を明示的に含む。特に、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、C-C12アルキル、C-C12ハロアルキル、C-C12ヒドロキシアルキルおよびC-C12シクロアルキルから選択されることが好ましい。例えば、R、R、R、R、RおよびRは、独立して、水素、C-Cアルキル、C-CハロアルキルおよびC-Cヒドロキシアルキルから選択され得る。
【0074】
電解質に使用できる対アニオン(X)を制限する特別な意図はない。例示的な陰イオンは、以下から選択することができる。
・ハロゲン化物;
・式PF6、CFSO 、(CFSO、CFCO およびCClCO の疑似ハロゲン化物およびハロゲン含有化合物;
・CN、SCNおよびOCN
・フェネート;
・一般式SO 2-、HSO 、SO 2-、HSO 、ROSO およびRSO のサルフェート、サルファイトおよびスルホネート;
・一般式PO 3-、HPO 2-、HPO 、RPO 2-、HRPO およびRPO のホスフェート;
・一般式RHPO 、RPO 、およびRPO のホスホネートおよびホスフィネート;
・一般式PO 3-、HPO 2-、HPO 、RPO 2-、RHPO およびRPO のホスファイト;
・一般式RPO 、RHPO 、RPOおよびRHPOのホスホニットおよびホスフィニット;
・一般式RCOOのカルボン酸アニオン;
・ヒドロキシカルボン酸アニオンおよび糖酸アニオン;
・サッカリネート(o-安息香酸スルフィミドの塩);
・一般式BO 3-、HBO 2-、HBO 、RBO 、RHBO 、RBO 2-、B(OR)(OR)(OR)(OR、B(HSOおよびB(RSOのボレート;
・一般式RBO 2-およびRBOのボロネート;
・一般式HCO 、CO 2-およびRCO のカーボネートおよび炭酸エステル;
・一般式SiO 4-、HSiO 3-、HSiO 2-、HSiO 、RSiO 3-、RSiО 2-、RSiO 、HRSiO 2-、HSiO およびHRSiO のシリケートおよびケイ酸エステル;
・一般式RSiO 3-、RSiO 2-、RSiO、RSiO 、RSiO およびRSiO 2-のアルキルおよびアリールシラノレート;
・ピリジネートおよびピリミジネート;
・一般式:
【化2】
のカルボン酸イミド、ビス(スルホニル)イミドおよびスルホニルイミド;
・一般式:
【化3】

のメチド;
・一般式Rのアルコキシドおよびアリールオキシド;および、
・一般式S2-、HS、[Sv]2-、[HSv]、および[RaS]の硫化物、硫化水素、多硫化物、多硫化水素、およびチオレート(一般式中、vは2~10までの正の整数であり、R、R、RおよびRは、独立して、水素、C-C12アルキル、C-C12シクロアルキル、C-C12ヘテロシクロアルキル、C-C18アリールおよびC-C18ヘテロアリールから選択される。)
【0075】
上記のリストの定義に基づいて、好ましい陰イオンは上記で定義したハロゲン化物、疑似ハロゲン化物およびハロゲン含有化合物;カルボン酸アニオン、特にフォルメート、アセテート、プロピオネート、ブチレートおよびラクテート;ヒドロキシカルボン酸アニオン;ピリジネートおよびピリミジネート;カルボン酸イミド、ビス(スルホニル)イミドおよびスルホニルイミド;サルフェート、特にメチルサルフェートおよびエチルサルフェート;サルファイト;スルホネート、特にメタンスルホネート;および、ホスフェート、特にジメチルホスフェート、ジエチルホスフェートおよびジ-(2-エチルヘキシル)-ホスフェートからなる群から選択される。
【0076】
第1成分の電解質は、好ましくは、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウム2-(2-フルオロアニリノ)-ピリジネート、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムイミド、1-ブチル-1-メチル-ピロリジニウム2-(2-フルオロアニリノ)-ピリジネート、1-ブチル-1-メチル-ピロリジニウムイミド、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホリウム2-(2-フルオロアニリノ)-ピリジネート、シクロヘキシルトリメチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ジ(2-ヒドロキシエチル)トリフルオロアンモニウムアセテート、N,N-ジメチル(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムオクタノエート、メチルトリオクチルアンモニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、N-エチル-N-N-N-N-テトラメチルグアニジニウムトリフルオロメタンスルホネート、グアニジニウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-3-メチルピリジニウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-ヒドロキシメチルピリジニウムエチルサルフェート、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、1-ブチル-メチルピロリジニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、3-メチルイミダゾリウムエチルサルフェート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-エチル-3-エチル-メチルイミダゾリウムブロミド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-ヘキシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-オクチル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、1-メチル-3-オクチルイミダゾリウムクロリド、1-プロピル-3-メチルイミダゾリウムヨージド、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムトリフルオロメタンスルホネート、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、1-ブチル-2,3-ジメチルイミダゾリウムヘキサフルオロホスフェート、1-ブチルイミダゾール、1-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート、テトラブチルホスホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウムテトラフルオロボレートおよびそれらの混合物からなる群から選択される。1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェートのうちの少なくとも1つを使用することが特に好ましいといえる。
【0077】
<二液型(2K)組成物の第2成分>
二液型組成物の第2成分は、第1の硬化剤、第2の硬化剤、および可溶化剤を含む。
第1の硬化剤
【0078】
上述したように、組成物の第2成分は、該第2成分の重量に基づいて、典型的には、25~75重量%の量で使用される第1の硬化剤を含む。第1の硬化剤は、好ましくは、前記第2成分の50~75重量%、例えば55~70重量%もしくは60~70重量%もしくは61~65重量%を構成し得る。あるいは、第1の硬化剤は、好ましくは、25~60重量%、例えば、30~55重量%もしくは30~45重量%を構成し得る。
【0079】
75%を超える量では第1の硬化剤が過剰になり得、望ましくない反応が組成物の特性に不利な影響を及ぼし得る一方で、少量、主に25%未満では硬化が不完全になり、初期接着性が劣る場合があるため、上記の第1の硬化剤の量が好ましい。
【0080】
重要な実施態様において、第1の硬化剤は、熱の作用下で分解してフリーラジカルを提供する少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含む、またはそれらからなる。例示的な熱活性化フリーラジカル開始剤には、ケトンパーオキサイドなどの過酸化物;ヒドロ過酸化物;パーオキシカーボネート;過酢酸;アゾ化合物、例えば2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)または2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、または1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル);テトラジン;および、過硫酸化合物、例えば過硫酸カリウムなどが挙げられる。室温で固体であるフリーラジカル開始剤が好ましい。これに代わり、または好ましいものとして述べられたものに加えて、前記フリーラジカル開始剤は、60℃の温度で少なくとも10時間の半減期を有することが望ましい。
【0081】
ジアルキルおよびジアリールパーオキサイドなどの特定の過酸化物は、とりわけ米国特許第3,419,512号(Lees)および米国特許第3,479,246号(Stapleton)において有用な硬化剤として開示されており、実際に本明細書において有用性を有するが、ヒドロ過酸化物も本発明の硬化剤の重要なクラスを表す。これに関連して、過酸化水素自体を使用できるが、有機ヒドロ過酸化物を使用することが好ましい。完全を期すために、ヒドロ過酸化物の定義内には、分解または加水分解してその場で有機ヒドロ過酸化物を形成する有機過酸化物または有機過エステルなどの材料が含まれる。こうした過酸化物および過エステルの例には、それぞれシクロヘキシルおよびヒドロキシシクロヘキシルパーオキサイドおよびt-ブチルパーベンゾエートがある。
【0082】
本発明を限定する意図なしに、代表的なヒドロ過酸化物化合物は、一般式:
【化4】
(式中、Rは、最大18個の炭素原子を含む炭化水素基であり、好ましくはRはC-C12アルキル、C-C18アリール、またはC-C18アラルキル基である)
を有する。
【0083】
第1の硬化剤として、単独でまたは組み合わせて使用できる例示的な化合物として、クメンヒドロパーオキサイド(CHP);パラメンタンヒドロパーオキサイド;t-ブチルヒドロパーオキサイド(TBH);t-ブチルパーベンゾエート;t-ブチルパーアセテート;t-アミルヒドロパーオキサイド;1,2,3,4-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド;ラウリルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイド(ジベンゾイルパーオキサイド、C1410、CAS No.94-36-0としても知られている);1,3-ビス(t-ブチルパーオキシソプロピル)ベンゼン;ジアセチルパーオキサイド;ブチル4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレレート;p-クロロベンゾイルパーオキサイド;t-ブチルクミルパーオキサイド;ジ-t-ブチルパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド;2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチルパーオキシヘキサン;2,5-ジメチル-2,5-ジ-t-ブチル-パーオキシヘクス-3-イン;および、4-メチル-2,2-ジ-t-ブチルパーオキシペンタンを挙げ得る。
【0084】
≪第2の硬化剤≫
上述したように、組成物の第2成分は、該第2成分の重量に基づいて、典型的には、0.01~5重量%の量で使用される第2の硬化剤を含む。第2の硬化剤は、好ましくは、該第2成分の0.01~1重量%、例えば、0.03~1重量%もしくは0.05~0.3重量%を構成し得る。
【0085】
5%を超える量は剥離効果に不利な影響を及ぼし得る一方で、少量、主に0.01%未満では初期接着性の低下をもたらす可能性があるため、前述の第2の硬化剤の量が好ましい。
【0086】
第2の硬化剤は、接着剤組成物の硬化速度、接着強度および接着品質のうちの少なくとも1つを高めるために組成物に含まれる。
【0087】
重要な実施態様では、第2の硬化剤は、遷移金属の塩または錯体である少なくとも1つの化合物を含む、またはそれらからなり、この遷移金属は、Fe、Co、V、Ti、Mn、Cu、Sn、Cr、Ni、Mo、Ge、Sr、Pd、Pt、Nb、Sb、Re、Os、Ir、Pt、Au、Hg、Te、RbおよびBiからなる群から選択され、とりわけFe、Co、V、MnおよびCuからなる群から選択するのがよい。
【0088】
第2の薬剤が、カルボン酸鉄、1,3-ジオキソ鉄錯体;フェロシアン化第二鉄アンモニウム[ヘキサキス(シアノ-C)鉄酸(4)アンモニウム鉄(3)];および、ジシクロペンタジエニル鉄錯体からなる群から選択される少なくとも1つの鉄化合物を含む、またはからなることが有利であることが示された。これに関して、例示的なカルボン酸鉄としては、乳酸鉄、ナフテン酸鉄、2-エチルヘキサン酸鉄(オクタン酸鉄)、ギ酸鉄、酢酸鉄、プロピオン酸鉄、酪酸鉄、ペンタン酸鉄、ヘキサン酸鉄、ヘプタン酸鉄、ノナン酸鉄、デカン酸鉄、ネオデカン酸鉄、およびドデカン酸鉄が挙げられる。例示的な1,3-ジオキソ鉄錯体としては、鉄アセトアセトナート、およびアセチルアセトン、ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン、およびアセトアセテート、例えば、ジエチルアセトアセトアミド、ジメチルアセトアセトアミド、ジプロピルアセトアセトアミド、ジブチルアセトアセトアミド、メチルアセトアセテート、エチルアセトアセテート、プロピルアセトアセテートおよびブチルアセトアセテートの鉄錯体が挙げられる。ジシクロペンタジエニル鉄錯体の例は、鉄および2つの置換または非置換シクロペンタジエニル配位子を含む錯体であり、シクロペンタジエニル環上の任意の置換基が、C-C12アルキル、C-C18アリール、およびC-C18アラルキル基からなる群から選択されるものである。ジシクロペンタジエニル鉄錯体の特定の例は、フェロセン(ビス(η5-シクロペンタジエニル)鉄)である。
【0089】
第一鉄(II)および第二鉄(III)錯体の両方を使用できることに留意されたい。さらに、第2の硬化剤の少なくとも一部としてフェロセンの使用が特に好ましいといえる。
【0090】
第2の硬化剤中で、または、第2の硬化剤として使用し得るさらなる例示的な遷移金属化合物として、銅、コバルト、バナジウムおよびマンガンの塩および錯体を特に言及し得る。本明細書では、コバルト化合物は、使用される量が少ないため、立法上および毒性の問題なしに遷移金属として使用できる。塩中に存在する適当な対アニオンとしては、ハロゲン化物;ニトレート;サルフェート;スルホネート;ホスフェート、ホスホネート;酸化物;または、カルボキシレート、例えばラクテート、2-エチルヘキサノエート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、オキサレート、ラウレート、オレアート、リノリエート、パルミテート、ステアレート、アセチルアセトナート、オクタノエート、ノナノエート、ヘプタノエート、ネオデカノエートまたはナフテネートが挙げられる。
【0091】
≪可溶化剤≫
二液型(2K)組成物の第2成分は、必然的に、該第2成分の重量に基づいて20~45重量%の量で従来存在する可溶化剤を含む。好ましくは、可溶化剤は該第2成分の28~40重量%、例えば、35~38重量%を構成する。可溶化剤は、二成分の混合時に形成される接着剤組成物内の電解質の混和性を促進する機能を有する。可溶化剤は、接着剤組成物の硬化時に形成されるポリマーマトリックスの一部を形成しても、しなくてもよいが、その中でイオン移動を促進する役割を果たす。可溶化剤それ自体は、好ましくは極性化合物であり、望ましくは室温で液体であるべきである。
【0092】
45%を超える量は接着性および硬化特性に不利な影響を及ぼす可能性があり、その一方で少量、主に20%未満では、組成物の第2成分が固体になり、第1および第2成分の混合を妨げる可能性があるため、前述の可溶化剤の量が好ましい。
【0093】
第1実施態様では、可溶化剤は、1以上の液体エポキシ樹脂を含む、またはからなる。本明細書で使用されるエポキシ樹脂としては、単官能性エポキシ樹脂、多官能性(マルチまたはポリ官能性)エポキシ樹脂、およびそれらの組み合わせを挙げることができる。エポキシ樹脂は、純粋な化合物であってもよいが、同様に、1分子あたり異なる数のエポキシ基を有する化合物の混合物などのエポキシ官能性化合物の混合物であってもよい。エポキシ樹脂は、飽和もしくは不飽和、脂肪族、脂環式、芳香族または複素環式であってもよく、置換されていてもよい。さらに、エポキシ樹脂は、モノマーまたはポリマーであってもよい。
【0094】
本発明を限定する意図なしに、例示的なモノエポキシド化合物としては、以下が挙げられる。アルキレンオキシド;エポキシ置換脂環式炭化水素、例えばシクロヘキセンオキシド、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、(+)-シス-リモネンオキシド、(+)-シス、トランス-リモネンオキシド、(-)-シス、トランス-リモネンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシドおよびα-ピネンオキシドなど;エポキシ置換芳香族炭化水素;一価アルコールまたはフェノールのモノエポキシ置換アルキルエーテル、例えば脂肪族、脂環式および芳香族アルコールのグリシジルエーテルなど;モノカルボン酸のモノエポキシ置換アルキルエステル、例えば脂肪族、脂環式および芳香族モノカルボン酸のグリシジルエステルなど;他のカルボキシ基がアルカノールでエステル化されている、ポリカルボン酸のモノエポキシ置換アルキルエステル;エポキシ置換モノカルボン酸のアルキルおよびアルケニルエステル;他のOH基がカルボン酸またはアルコールでエステル化またはエーテル化されている多価アルコールのエポキシアルキルエーテル;および、他のOH基がカルボン酸またはアルコールでエステル化またはエーテル化されている、多価アルコールおよびエポキシモノカルボン酸のモノエステル。
【0095】
例として、以下のグリシジルエーテルを、本明細書で用いるのに適したモノエポキシド化合物として挙げ得る。メチルグリシジルエーテル;エチルグリシジルエーテル;プロピルグリシジルエーテル;ブチルグリシジルエーテル;ぺンチルグリシジルエーテル;ヘキシルグリシジルエーテル;シクロヘキシルグリシジルエーテル;オクチルグリシジルエーテル;2-エチルヘキシルグリシジルエーテル;アリルグリシジルエーテル;ベンジルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;4-tert-ブチルフェニルグリシジルエーテル;1-ナフチルグリシジルエーテル;2-ナフチルグリシジルエーテル;2-クロロフェニルグリシジルエーテル;4-クロロフェニルグリシジルエーテル;4-ブロモフェニルグリシジルエーテル;2,4,6-トリクロロフェニルグリシジルエーテル;2,4,6-トリブロモフェニルグリシジルエーテル;ペンタフルオロフェニルグリシジルエーテル;o-クレシルグリシジルエーテル;m-クレシルグリシジルエーテル;および、p-クレシルグリシジルエーテル。
【0096】
特定の実施態様において、モノエポキシド化合物は、本明細書の以下の式(I)に適合する。
【化5】
(式中、R、R、RおよびRは同じでも異なっていてもよく、独立して、水素、ハロゲン原子、C-Cアルキル基、C-C10シクロアルキル基、C-C12アルケニル、C-C18アリール基またはC-C18アラルキル基から選択される。ただし、RおよびRの少なくとも1つは水素ではない。)
【0097】
、RおよびRは水素であり、Rはフェニル基またはC-Cアルキル基であることが好ましく、より好ましくはC-Cアルキル基である。
【0098】
これらの実施態様を考慮して、例示的なモノエポキシドとしては、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド(プロピレンオキシド);1,2-ブチレンオキシド;シス-2,3-エポキシブタン;トランス-2,3-エポキシブタン;1,2-エポキシペンタン;1,2-エポキシヘキサン;1,2-ヘプチレンオキシド;デセンオキシド;ブタジエンオキシド;イソプレンオキシド;およびスチレンオキシドが挙げられる。
【0099】
本発明において、エチレンオキシド;プロピレンオキシド;シクロヘキセンオキシド;(+)-シス-リモネンオキシド(+)-シス、トランス-リモネンオキシド;(-)シス、トランス-リモネンオキシド;シクロオクテンオキシド;および、シクロドデセンオキシドからなる群から選択される少なくとも1つのモノエポキシド化合物を使用することに言及する。
【0100】
この場合もやはり、本発明を限定する意図なしに、適当なポリエポキシ化合物は、液体、固体、または溶媒中の溶液であり得る。さらに、このようなポリエポキシド化合物は、100~700g/eq、例えば、120~320g/eqのエポキシド当量を有すべきである。さらに、一般的に、500g/eq未満、さらに400g/eq未満のエポキシド当量を有するジエポキシド化合物が好ましい。これは主にコストの観点からのものであり、それらの製造などで、低分子量エポキシ樹脂が精製においてより限定された処理を必要とするからである。
【0101】
本発明において重合され得るポリエポキシ化合物の種類または群の例として、多価アルコールおよび多価フェノールのグリシジルエーテル;ポリカルボン酸のグリシジルエステル;および、エポキシ化ポリエチレン系不飽和炭化水素、エステル、エーテルおよびアミドを挙げ得る。
【0102】
適当なジグリシジルエーテル化合物は、本来は芳香族、脂肪族、または脂環式であり得、従って、二価フェノールおよび二価アルコールから誘導できる。そして、このようなジグリシジルエーテルの有用なクラスは、脂肪族および脂環式ジオールのジグリシジルエーテル、例えば1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,12-ドデカンジオール、シクロペンタンジオールおよびシクロヘキサンジオール;ビスフェノールA系ジグリシジルエーテル;ビスフェノールFジグリシジルエーテル;ポリアルキレングリコール系ジグリシジルエーテル、特に、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル;および、ポリカーボネートジオール系グリシジルエーテルである。
【0103】
さらなる例示的なポリエポキシ化合物としては、グリセロールポリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル;ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル;ジグリセロールポリグリシジルエーテル;ポリグリセロールポリグリシジルエーテル;および、ソルビトールポリグリシジルエーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0104】
本発明において有用性を有するポリカルボン酸のグリシジルエステルは、少なくとも2つのカルボン酸基を含み、エポキシド基と反応する他の基を含まないポリカルボン酸から誘導される。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香族および複素環式であり得る。好ましいポリカルボン酸は、1つのカルボン酸基あたり18個以下の炭素原子を含むものであり、この適当な例としては、シュウ酸;セバシン酸;アジピン酸;コハク酸;ピメリン酸;スベリン酸;グルタル酸;不飽和脂肪酸のダイマー酸およびトリマー酸、例えば亜麻仁脂肪酸のダイマー酸およびトリマー酸など;フタル酸;イソフタル酸;テレフタル酸;トリメリット酸;トリメシン酸;フェニレン-二酢酸;クロレンジン酸;ヘキサヒドロフタル酸、特に、ヘキサヒドロオルトフタル酸(1,2-シクロヘキサンジカルボン酸);ジフェン酸;ナフタル酸;二塩基酸と脂肪族ポリオールのポリ酸末端エステル;(メタ)アクリル酸のポリマーおよびコポリマー;および、クロトン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
さらに言及し得る他の適当なジエポキシドとしては、二重不飽和脂肪酸C-C18アルキルエステルのジエポキシド;ブタジエンジエポキシド;ポリブタジエンジグリシジルエーテル;ビニルシクロヘキセンジエポキシド;および、リモネンジエポキシドが挙げられる。
【0106】
また、好ましいポリエポキシド化合物の例としては、ビスフェノールAエポキシ樹脂、例えばDER(商標)331、DER(商標)332、DER(商標)383、JER(商標)828およびEpotec YD128など;ビスフェノールFエポキシ樹脂、例えばDER(商標)354など;ビスフェノールA/Fエポキシ樹脂ブレンド、例えばDER(商標)353など;脂肪族グリシジルエーテル、例えばDER(商標)736など;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、例えばDER(商標)732など;エポキシノボラック樹脂、例えばDEN(商標)438など;臭素化エポキシ樹脂、例えばDER(商標)542など;ヒマシ油トリグリシジルエーテル、例えばERISYS(商標)GE-35Hなど;ポリグリセロール-3-ポリグリシジルエーテル、例えばERISYS(商標)GE-38など;ソルビトールグリシジルエーテル、例えばERISYS(商標)GE-60など;および、Lapox Arch-11として入手可能なビス(2,3-エポキシプロピル)シクロヘキサン-1,2-ジカルボキシレートが挙げられる。特に、ビスフェノールAエポキシ樹脂を含む、またはからなる可溶化剤の選択が特筆される。
【0107】
組成物の第2成分の可溶化剤が1以上のエポキシ樹脂に基づく場合、本発明は、可溶化剤が、オキセタン、環状カーボネート、環状無水物、およびラクトンからなる群から選択される1以上の環状化合物をさらに含むことを排除するものではない。以下の引用の開示が、適当な環状カーボネート官能性化合物を開示するのに有益である場合がある:米国特許第3,535,342号、米国特許第4,835,289号、米国特許第4,892,954号、英国特許出願公開第1,485,925号、および欧州出願公開第0119840号。しかしながら、このようなさらなる環状化合物は、エポキシド化合物の総重量に基づいて、20重量%未満、好ましくは10重量%未満または5重量%未満を構成するのがよい。
【0108】
上記のものを相互に排除することを意図しない別の実施態様では、第2成分の可溶化剤は、室温で液体であり、ポリホスファゼン;ポリメチレンスルフィド;ポリオキシアルキレングリコール;および、ポリエチレンイミンからなる群から選択される少なくとも1つのポリマーを含む。350~10000g/mol、例えば500~5000g/molの重量平均分子量を有するポリオキシ(C-C)アルキレングリコールの選択が特筆できる。
【0109】
≪添加剤および補助成分≫
本発明で得られる上記組成物は、通常、これらの組成物に向上した特性を与え得る助剤および添加剤をさらに含む。例えば、助剤および添加剤は、向上した弾性特性;向上した弾性回復;より長い処理可能時間;より速い硬化時間;および、低残留タックのうちの1以上を付与し得る。このような助剤および添加剤のうち、互いに独立して、二液型(2K)組成物の一つの成分(液)または両方の成分(液)に含まれ得るものは、可塑剤;紫外線安定剤などの安定剤;酸化防止剤;強化材;導電性フィラー;非導電性フィラー;反応性希釈剤;乾燥材;接着促進剤;殺菌剤;難燃剤;レオロジー助剤;着色顔料もしくはカラーペースト;および/または、場合によりさらに、少量の非反応性希釈剤である。
【0110】
このような助剤および添加剤は、それらが組成物の性質および本質的な特性に悪影響を及ぼさないという条件で、所望の組み合わせおよび比率で使用できる。例外が存在する場合もあるが、これらの助剤および添加剤は、全体として、全組成物の50重量%を超えてはならず、好ましくは、組成物の20重量%を超えてはならない。
【0111】
完全を期すために、一般に、反応性基を含む補助材料および添加剤は、二液型(2K)組成物の適切な成分(液)に配合され、その貯蔵安定性を確保することに留意されたい。非反応性材料は、二つの成分のいずれか一方または両方に配合できる。
【0112】
本発明の目的のための「可塑剤」は、組成物の粘度を低下させ、その加工性を促進する物質である。本明細書において、可塑剤は、組成物の総重量に基づいて、最大10重量%または最大5重量%を構成してよく、好ましくは、ポリジメチルシロキサン(PDMS);ジウレタン;単官能性、直鎖または分岐鎖C-C16アルコールのエーテル、例えばCetiol OE(Cognis Deutschland Gmbh、デュッセルドルフから入手可能)など;アビエチン酸、酪酸、チオ酪酸、酢酸、プロピオン酸エステルおよびクエン酸のエステル;ニトロセルロースおよびポリ酢酸ビニルに基づくエステル;脂肪酸エステル;ジカルボン酸エステル;OH基を有するまたはエポキシ化された脂肪酸のエステル;グリコール酸エステル;安息香酸エステル;リン酸エステル;スルホン酸エステル;トリメリット酸エステル;エポキシ化可塑剤;ポリエーテル可塑剤、例えば末端キャップされたポリエチレンまたはポリプロピレングリコールなど;ポリスチレン;炭化水素可塑剤;塩素化パラフィン;および、それらの混合物からなる群から選択される。原則として、フタル酸エステルを可塑剤として使用できるが、これらは毒性の可能性があるため好ましくないことに留意されたい。可塑剤は、1以上のポリジメチルシロキサン(PDMS)を含む、またはからなることが好ましい。
【0113】
本発明の目的のための「安定剤」は、酸化防止剤、紫外線安定剤または加水分解安定剤として理解すべきである。本明細書において、安定剤は、組成物の総重量に基づいて、全体として最大10重量%または最大5重量%を構成し得る。本明細書での使用に適した安定剤の標準的な市販例としては、立体障害フェノール;チオエーテル;ベンゾトリアゾール;ベンゾフェノン;ベンゾエート;シアノアクリレート;アクリレート;ヒンダードアミン光安定剤(HALS)型のアミン;リン;硫黄;および、それらの混合物が挙げられる。
【0114】
本発明のそれらの組成物は、場合により、エポキシ樹脂マトリックス中に分散されたコアシェル粒子の形態の強化ゴムを含み得る。用語「コアシェルゴム」またはCSRは、弾性のまたはゴム状ポリマーを主成分として含むポリマーによって形成されたゴム粒子コアと、該コア上に、グラフト重合されたポリマーによって形成されたシェル層とを示すものとして、当該分野におけるその標準的な意味に従って使用される。シェル層は、グラフト重合工程においてゴム粒子コアの表面を部分的にまたは完全に覆う。重量で、コアはコアシェルゴム粒子の少なくとも50重量%を構成しなければならない。
【0115】
コアのポリマー材料は、0℃以下、好ましくは-20℃以下、より好ましくは-40℃以下、さらにより好ましくは-60℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する。シェルのポリマーは、ガラス転移温度(Tg)が室温より高く、好ましくは30℃より高く、より好ましくは50℃より高い非弾性、熱可塑性もしくは熱硬化性ポリマーである。
【0116】
本発明を限定する意図なしに、コアは、ジエンホモポリマー、例えば、ブタジエンもしくはイソプレンのホモポリマー;ジエンコポリマー、例えば、ブタジエンもしくはイソプレンと、1以上のエチレン性不飽和モノマー、例えば、ビニル芳香族モノマー、(メタ)アクリロニトリルもしくは(メタ)アクリレートなどとのコポリマー;(メタ)アクリル酸エステルモノマーに基づくポリマー、例えばポリブチルアクリレートなど;および、ポリシロキサンエラストマー、例えばポリジメチルシロキサンおよび架橋ポリジメチルシロキサンなど、から構成され得る。
【0117】
同様に、本発明を限定する意図なしに、シェルは、(メタ)アクリレート、例えばメチルメタクリレート;ビニル芳香族モノマー、例えばスチレンなど;シアン化ビニル、例えばアクリロニトリルなど;不飽和酸および無水物、例えばアクリル酸など;および、(メタ)アクリルアミドから選択される1以上のモノマーのポリマーまたはコポリマーから構成され得る。シェルで使用されるポリマーまたはコポリマーは、金属カルボン酸塩の形成、特に二価の金属カチオンの塩の形成を介してイオン的に架橋された酸基を有し得る。シェルポリマーもしくはコポリマーはまた、1分子あたり2つ以上の二重結合を有するモノマーによって共有結合により架橋され得る。
【0118】
含まれるコアシェルゴム粒子は、10nm~300nm、例えば50nm~250nmの平均粒度(d50)を有することが好ましい。該粒度は、粒度分布中の粒子の直径または最大寸法を指し、動的光散乱によって測定される。完全を期すために、本出願は、剪断強度、剥離強度および樹脂破壊靭性などの、得られる硬化生成物の重要な特性のバランスを提供するために、組成物中における、異なる粒度分布を有する2種以上のコアシェルゴム(CRS)粒子の存在を排除しない。
【0119】
コアシェルゴムは、市販の製品から選択でき、その例としては、ダウケミカル社から入手可能なParaloid EXL2650A、EXL2655およびEXL2691A;アルケマ社から入手可能なClearstrength(登録商標)XT100、株式会社カネカから入手可能なKane Ace(登録商標)MXシリーズ、特にMX120、MX125、MX130、MX136、MX551、MX553;および、三菱レイヨンから入手可能なMETABLEN SX-006が挙げられる。
【0120】
コアシェルゴム粒子は、組成物の総重量に基づいて0~15重量%の量で、例えば、最大10重量%までの量で組成物に含まれるのがよい。
【0121】
上述したように、本発明の組成物は、導電性フィラーをさらに含むことができる。概ね導電性フィラーとして使用される粒子の形状を制限する特別な意図はない。針状、球状、楕円状、円筒状、ビーズ状、立方体または小板状の粒子を、単独でまたは組み合わせて使用できる。さらに、複数種の粒子の凝集体を使用できると考えられる。同様に、導電性フィラーとして使用される粒度を制限する特別な意図はない。しかしながら、こうした導電性フィラーは、従来、レーザー回折/散乱法によって測定される、1~500μmの、例えば1~200μmの平均体積粒度を有する。
【0122】
例示的な導電性フィラーとしては、銀、銅、金、パラジウム、白金、ニッケル、金被覆もしくは銀被覆ニッケル、カーボンブラック、炭素繊維、黒鉛、アルミニウム、インジウム・スズ酸化物、銀被覆銅、銀被覆アルミニウム、金属被覆ガラス球、金属被覆フィラー、金属被覆ポリマー、銀被覆繊維、銀被覆球、アンチモンがドープされた酸化スズ、導電性ナノ球、ナノ銀、ナノアルミニウム、ナノ銅、ナノニッケル、カーボンナノチューブ、およびそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。導電性フィラーとして粒子状銀および/またはカーボンブラックを使用することが好ましい。
【0123】
特定の重要な実施態様において、導電性フィラーは、組成物の総重量に基づいて0~10重量%の量で、例えば、最大5重量%の量で組成物に含まれるのがよい。
【0124】
組成物中の非導電性フィラーの存在は排除されない。組成物の粘度を抑えることは別として、接着剤の熱膨張係数を低減するために、このようなフィラーを所望のように添加し得る。概して、非導電性フィラーとして使用される粒子の形状を制限する特別な意図はなく、針状、球状、楕円状、円筒状、ビーズ状、立方体または小板状の粒子を、単独でまたは組み合わせて使用できる。さらに、複数種の粒子の凝集体を使用できると考えられる。同様に、非導電性フィラーとして使用される粒度を制限する特別な意図はない。しかしながら、このような非導電性フィラーは、従来、レーザー回折/散乱法によって測定される、0.1~1500μmの、例えば1~1000μmまたは1~500μmの平均体積粒度を有する。
【0125】
例示的な非導電性フィラーとしては、チョーク、石灰粉、沈殿および/または発熱性ケイ酸、ゼオライト、ベントナイト、炭酸マグネシウム、珪藻岩、アルミナ、粘土、タルク、砂、石英、フリント、雲母、ガラス粉末およびその他の粉砕鉱物物質が挙げられるが、これらに限定されない。短繊維、例えばガラス繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、ポリエチレン繊維なども添加できる。
【0126】
発熱性および/または沈殿ケイ酸は、有利には10~90m/gのBET比表面積を有する。それらが使用される場合、本発明の組成物の粘度のさらなる増加は引き起こさず、硬化組成物の強化に寄与する。
【0127】
同様に、より高い、有利には100~250m/gのBET比表面積を有する発熱性および/または沈殿ケイ酸をフィラーとして使用することが考えられる。より大きなBET比表面積のために、より少ない重量比のケイ酸によって硬化組成物を強化する効果が達成される。
【0128】
非導電性フィラーとしても適当なのは、鉱物シェルまたはプラスチックシェルを有する中空球である。これらは、例えば、Glass Bubbles(登録商標)の商品名で市販されている中空のガラス球であってよい。プラスチックベースの中空球、例えばExpancel(登録商標)やDualite(登録商標)などを使用してもよく、欧州特許第0520426号明細書に記載されている。それらは無機または有機物質で構成されており、それぞれ1mm以下、好ましくは500μm以下、好ましくは100μm~200μmの直径を有する。
【0129】
組成物にチキソトロピーを与える非導電性フィラーは、多くの用途に好適であり得る。このようなフィラーは、レオロジー助剤、例えば水添ヒマシ油、脂肪酸アミド、またはPVCなどの膨潤性プラスチックとしても記載されている。
【0130】
本発明の組成物中に存在する導電性および非導電性の両フィラーの総量は、組成物の総重量に基づいて、好ましくは0~20重量%、より好ましくは0~10重量%である。硬化性組成物の所望の粘度は、通常、添加されるフィラーの総量を決定し、チューブなどの適当な分注装置から容易に押し出し可能であるために、硬化性組成物は、3000~150,000、好ましくは40,000~80,000mPas、またはさらに50,000~60,000mPasの粘度を有すべきであると提示される。
【0131】
保存可能期間をさらに延ばすために、しばしば、乾燥剤を用いて本発明の組成物を水分浸透に対してさらに安定化することが推奨される。また、反応性希釈剤を使用することによって、特定の用途のために本発明の接着剤組成物の粘度を下げる必要性も時折存在する。存在する反応性希釈剤の総量は、通常、組成物の総重量に基づいて、0~15重量%、例えば、0~5重量%である。
【0132】
本発明の組成物中の溶媒および非反応性希釈剤の存在もまた、これによってその粘度を有効に抑えることができる場合、排除されない。例えば、説明用のみであるが、組成物は以下の1以上を含み得る。キシレン;2-メトキシエタノール;ジメトキシエタノール;2-エトキシエタノール;2-プロポキシエタノール;2-イソプロポキシエタノール;2-ブトキシエタノール;2-フェノキシエタノール;2-ベンジルオキシエタノール;ベンジルアルコール;エチレングリコール;エチレングリコールジメチルエーテル;エチレングリコールジエチルエーテル;エチレングリコールジブチルエーテル;エチレングリコールジフェニルエーテル;ジエチレングリコール;ジエチレングリコール-モノメチルエーテル;ジエチレングリコール-モノエチルエーテル;ジエチレングリコール-モノ-n-ブチルエーテル;ジエチレングリコールジメチルエーテル;ジエチレングリコールジエチルエーテル;ジエチレングリコールジ-n-ブチリルエーテル;プロピレングリコールブチルエーテル;プロピレングリコールフェニルエーテル;ジプロピレングリコール;ジプロピレングリコールモノメチルエーテル;ジプロピレングリコールジメチルエーテル;ジプロピレングリコールジ-n-ブチルエーテル;N-メチルピロリドン;ジフェニルメタン;ジイソプロピルナフタレン;石油留分、例えばSolvesso(登録商標)製品(エクソン社から入手可能)など;アルキルフェノール、例えばtert-ブチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、および8,11,14-ペンタデカトリエニルフェノールなど;スチレン化フェノール;ビスフェノール;芳香族炭化水素樹脂、特にフェノール基を含むもの、例えばエトキシル化もしくはプロポキシル化フェノールなど;アジペート;セバケート;フタレート;ベンゾエート;有機リン酸もしくはスルホン酸エステル;およびスルホンアミド。
【0133】
上記とは別に、前記非反応性希釈剤は、組成物の総重量に基づいて、全体として10重量%未満、特に5重量%未満または2重量%未満を構成することが好ましい。
【0134】
<二液型(2K)組成物の例示的な実施態様>
本発明の例示的な実施態様において、二液型(2K)接着剤組成物は、
第1成分の重量に基づいて、
40~75重量%、好ましくは47~68重量%の(メタ)アクリレートモノマー、ここで、前記(メタ)アクリレートモノマーは、(メタ)アクリル酸の少なくとも1つのC-Cアルキルエステルを含む、
6~16重量%、好ましくは10~13重量%の共重合性酸、ここで、前記共重合性酸は、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、アコニット酸、クロトン酸、フマル酸およびそれらの混合物からなる群から選択される、および
4~23重量%、好ましくは5~20重量%の電解質、ここで、前記電解質は、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメチルサルフェートおよびそれらの混合物から選択される、
を含む第1成分と、
第2成分の重量に基づいて、
55~70重量%、好ましくは61~65重量%または30~55重量%、好ましくは30~45重量%の、熱の作用下で分解してフリーラジカルを提供する少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含む、またはからなる第1の硬化剤、
0.03~1重量%、好ましくは0.05~0.3重量%の、Fe、Co、V、MnおよびCuからなる群から選択される遷移金属の塩または錯体である少なくとも1つの化合物からなる第2の硬化剤、および
28~40重量%、好ましくは35~38重量%の可溶化剤
を含む第2成分と
を含み、
前記第1成分および/または前記第2成分が、カーボンブラック、銀、およびそれらの混合物からなる群から選択される導電性粒子をさらに含む。
【0135】
この実施態様において、第1の硬化剤は、tert-ブチルパーオキサイド、tert-ブチルパーベンゾエート、クメンヒドロパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシベンゾエート、ジアセチルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーアセテート、ラウリルパーオキサイドおよびそれらの混合物からなる群から選択される過酸化物またはヒドロ過酸化物化合物であることが好ましい。特にベンゾイルパーオキサイドを選択することが特筆される。第1の硬化剤の選択についてのこの言及とは別に、またはそれに加えて、第2の硬化剤は、好ましくは、フェロセン、鉄(II)アセチルアセトナート、フェロシアン化第二アンモニウム(ammonium iron (III)hexakis (cyano-C)ferrat)からなる群から選択される少なくとも1つの鉄系化合物を含む、またはからなる。特にフェロセンを選択することが特筆される。
【0136】
<方法および適用>
定義された二液型(2K)硬化性組成物を形成するために、反応性成分は一緒にされ、その硬化を誘発するような方法で混合される。反応性化合物は、均一な混合物を生成するために十分なせん断力の下で混合する必要がある。これは、特別な条件や特別な機器がなくても達成できると考えられる。しかし、適当な混合装置としては、磁気撹拌棒装置;ワイヤー泡立て器;オーガー;バッチミキサー;プラネタリーミキサー;C.W.BrabenderまたはBanburry(登録商標)型ミキサー;および、高せん断ミキサー、例えばブレード型混合機およびロータリーインペラーなどを挙げ得る。
【0137】
通常2リットル未満の容量が用いられる小規模な適用の場合、二液型(2K)組成物の好ましいパッケージングは、2つの管状チャンバー(通常は等容積)が互いに並んでまたは互いに内側に配置され、ピストンで密閉されている、サイドバイサイドダブルカートリッジまたは同軸カートリッジである。これらのピストンを駆動することにより、密接に取り付けられた静的または動的ミキサーを有利に用いて、成分をカートリッジから押し出すことができる。より大規模な適用の場合、組成物の二つの成分は、ドラムまたはペール缶に有利に貯蔵できる。この場合、その二つの成分は、液圧プレスを用いて、特にフォロワプレートを経由して押し出され、パイプラインを通じて混合装置に供給され、このことによって二つの成分の微細で均質性の高い混合を確保し得る。いずれにせよ、いかなるパッケージについても、両成分を長期間、理想的には12か月間以上保存できるように、該成分を気密および防湿シールで密封配置することが重要である。
【0138】
本発明に適し得る二液型分注装置および方法の非限定的な例としては、米国特許第6,129,244号および米国特許第8,313,006号に記載されているものが挙げられる。
【0139】
硬化組成物の所望の特性に応じて、二つの成分は、従来、成分A:成分Bが20:1~1:10、例えば、10:1~1:10、例えば5:1~1:5、または例えば2:1~1:2または1.5:1~1:1.5の体積比で混合される。後者の範囲には、成分A:成分Bが1:1の体積比が含まれ、それ自体、本発明の1つの好ましい実施態様を提示する。別の好ましい実施態様は、成分A:成分Bの体積比が10:1である。いくつかの実施態様では、成分A:成分Bの体積比は1:12であってもよい。1つの非常に好ましい実施態様では、成分A:成分Bの体積比が、12:1~6.5:1である。
【0140】
適用可能な場合、二液型(2K)硬化性組成物は、初期粘度(混合直後、例えば混合後最大2分までに測定した粘度)が25℃で200000mPa・s未満、例えば100000mPa・s未満になるように広範に調製する必要がある。上記の粘度特性とは別に、またはそれに加えて、二液型(2K)組成物は、混合およびその後の硬化時に気泡(泡)がないように調製しなければならない。
【0141】
本発明の最も広範な方法の態様によれば、上記の組成物は、材料層に塗布され、次いで、その場で硬化する。組成物を塗布する前に、多くの場合、関連する表面を前処理してそこから異物を除去することが推奨される。この工程は、該当する場合、組成物のその後の接着を容易にする。このような処理は当該分野で知られており、例えば、基材に適した酸および、場合により酸化剤によるエッチング処理;超音波処理;化学プラズマ処理、コロナ処理、大気プラズマ処理および火炎プラズマ処理などのプラズマ処理;水性アルカリ脱脂浴への浸漬;水性洗浄エマルションによる処理;洗浄溶剤、例えば四塩化炭素またはトリクロロエチレンなどによる処理;および、水、好ましくは脱イオン水または脱塩水によるすすぎのうちの1以上の使用によって構成される一段階または多段階の方法で行うことができる。水性アルカリ脱脂浴を使用する場合、表面に残っている脱脂剤を、基材表面を脱イオン水または脱脂水ですすぐことで除去することが望ましい。
【0142】
次に、組成物は、従来の塗布方法、例えば、ハケ塗り;組成物が無溶剤である場合の4つの塗布ロール装置、または溶剤含有組成物用の2つの塗布ロール装置を使用するロールコーティング;ドクターブレード塗布;印刷方法;および、空気噴霧スプレー、空気支援スプレー、無気噴霧および高容量低圧噴霧などの噴霧方法などが挙げられるがこれらに限定されない噴霧方法によって、好ましくは前処理された基材の表面に塗布される。
【0143】
上記のように、本発明は、導電性表面を有する第1材料層、および、導電性表面を有する第2材料層を含む接着構造であって、前記および添付の特許請求の範囲で定義される硬化した剥離可能な二液型(2K)接着剤組成物が、前記第1および第2材料層の間に配置されている、接着構造を提供する。このような構造を製造するために、接着剤組成物を第1の材料層および/または第2の材料層の少なくとも1つの内面に塗布し、次いで本発明の硬化性かつ剥離可能な接着剤組成物が2つの層の間に介在するように2つの層を接触させる。
【0144】
組成物は、10~500μmの湿潤膜厚で表面に塗布することが推奨される。この範囲内でより薄い層に塗布することはより経済的であり、有害な厚い硬化領域の可能性を低減する。しかしながら、不連続な硬化膜の形成を回避するために、より薄いコーティングまたは層を塗布する際には、高精度の制御を行わなければならない。
【0145】
本発明の塗布された組成物の硬化は、通常40℃~200℃、好ましくは50℃~175℃、特に75℃~175℃の温度の範囲で起こる。適当な温度は、存在する特定の化合物および所望の硬化速度に依存し、必要に応じて当業者によって簡単な予備試験を用いて、個々の場合において決定できる。当然、前述の範囲内のより低い温度での硬化は、混合物を通常の一般的な周囲温度から実質的に加熱または冷却する必要がないため有利である。しかしながら、該当する場合、二液型(2K)組成物の各成分から形成される混合物の温度は、マイクロ波誘導などの従来手段を用いて、混合温度および/または塗布温度を上回る温度に上げることができる。
【0146】
本発明は、以下の添付の図面を参照して説明される。
【0147】
本明細書に添付の図1aに示すように、硬化接着剤(10)の層が2つの導電性基材(11)の間に配置される接着構造が提供される。非導電性材料(12)の層を導電性基材(11)上に配置して、図1bに示すように、より複雑な接着構造を形成できる。導電性基材(11)の各層は、電池またはAC駆動の直流(DC)源であり得る電源(13)と電気的に接触している。その電源(13)の正および負の端子を1つの固定位置に示しているが、当業者はもちろん、システムの極性を逆にすることができることを認識するであろう。
【0148】
2つの導電性基材(11)が、とりわけ金属フィルム;金属シート;金属メッシュもしくはグリッド;堆積金属粒子;その中に配置された導電性要素によって導電性にした樹脂材料;または、導電性酸化物層によって構成できる層の形態で示されている。例示的な導電性要素として、銀フィラメント、単層カーボンナノチューブおよび多層カーボンナノチューブを挙げ得る。例示的な導電性酸化物として、ドープされたインジウム酸化物、例えばインジウムスズ酸化物(ITO)など;ドープされた酸化亜鉛;アンチモンスズ酸化物;スズ酸カドミウム;および、スズ酸亜鉛を挙げ得る。導電性材料の選択とは別に、当業者は、導電性基材(11)が硬化接着剤(10)の層との接触を制限するグリッドまたはメッシュの形態である場合、剥離操作の有効性が低下し得ることを認識するであろう。
【0149】
各導電性基材(11)の間に電圧が印加されると、その間に配置された接着剤組成物(10)に電流が供給される。これは基材(11)と接着剤組成物の界面で電気化学反応を誘発する。この電気化学反応は、正に帯電したまたは陽極の界面で酸化的であり、負に帯電したまたは陰極の界面で還元的であると理解される。反応は、基材間の接着結合を弱め、基材から剥離可能な組成物を容易に除去することができると考えられる。
【0150】
図2a、2bに描写されるように、剥離は、接着剤組成物(10)と正極と電気的に接触している導電性表面(11)との間の界面である正の界面で起こる。基材を分離する前に電流の方向を逆にすることにより、両基材界面で接着結合を弱めることができる。
【0151】
しかしながら、接着剤層(10)の組成は、剥離が正または負の界面のいずれかで、または両方から同時に起こるように調節できることに留意されたい。いくつかの実施態様については、陽極界面および陰極界面を形成するように両表面に印加される電圧により、陽極および陰極接着剤/基材界面の両方で同時に剥離を生じさせる。別の実施態様では、組成物が両方の界面で直流に応答しない場合、逆極性を使用して両方の基材/接着剤界面を同時に剥離できる。電流は、各極性での剥離が生じるのに十分な合計時間が許容されるという条件で、任意の適当な波形で印加できる。正弦波、長方形、および三角形の波形がこの点で適切であるかもしれず、制御電圧または制御電流源から適用できる。
【0152】
本発明を限定する意図なしに、剥離操作は、以下の条件の少なくとも1つ、好ましくは両方が引き起こされる場合に効果的に行うことができると考えられる:a)0.5~100Vの印加電圧;および、b)1秒~60分間の間印加される電圧。硬化した接着剤からの導電性基材の剥離が、例えばおもりやバネによって発揮される力の適用により促進される場合、電位は数秒オーダーの印加しか必要としない。いくつかの実施態様では、10分間で5Vの電位は、剥離効果を有するのに十分であるが、その一方でいくつかの実施態様では、30分間で3.5Vの電位で足りる。
【0153】
剥離後、接着剤組成物は、第1の基材または第2の基材上のみにあることが望ましく、これは、基材の1つが実質的に接着剤を含まないことを意味する。
【0154】
以下の実施例は、本発明の例示であり、いかなる方法でも本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【実施例
【0155】
実施例では、以下の材料を使用した。
エアロジル200:親水性ヒュームドシリカ、エボニック社から入手可能
Clearstrength(登録商標)XT100:コアシェル強化剤(メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン、MBS)、アルケマ社から入手可能
1-エチル-3-メチルイミダゾリウムメタンスルホネート:TCIアメリカ社から入手可能
フェロセン:ビス(η5-シクロペンタジエニル)鉄、シグマアルドリッチ社から入手可能
DER 331:ビスフェノールAエポキシ樹脂、ダウケミカル社から入手可能
ベンゾイルパーオキサイド(75%):粉末、アルケマ社から入手可能。
【0156】
実施例1
組成物1の成分(A)および(B)を以下の表1に従って調製した。
【0157】
【表1】
【0158】
成分(A、B)を、50gカートリッジの別々の区画に等重量で入れ、両端を密封した。次いで、カートリッジをカートリッジガンに装填し、ミキシングチップを前端に取り付けた。トリガーに一定の圧力を加えることにより、二つの成分を混合チップに押し込み、記載の基材に塗布する前に十分な混合を確保した。
【0159】
基材は、銅(厚さ1mm)、アルミニウム(AA6016、厚さ1.25mm)、ステンレス鋼(1.4301、厚さ1.5mm)の、各基材厚さを有するものを、引張試験用の寸法2.5cm×10cm(1インチ×4インチ)に切断した。
【0160】
引張ラップ剪断(TLS)テストは、5ページに記載されている試験方法に従って行った。
【0161】
塗布した二液型(2K)接着剤組成物を、100℃の温度を30分間適用することにより重なり合う領域で硬化した。その後、試料を25℃、湿度20%の気候チャンバーに保存した。
【0162】
各基材について、前期保存期間後と、接着剤層全体に75Vの一定電位を1時間印加した後の両方で、引張ラップ剪断強度を調べた。結果を以下の表2に示す。
【0163】
【表2】
【0164】
接着結合したステンレス鋼基材について、a)20分間にわたって重なり合う接着領域全体に定電位(75V)を印加する;および、b)一定期間(10分)、重なり合う接着領域全体に異なる電位を印加する、2つの条件下でラップ剪断強度(MPa)を調べた。これらの調査の結果を本明細書に添付の図3aと図3bに示す。
【0165】
接着結合したアルミニウム基材について、a)20分間にわたって重なり合う接着領域全体に定電位(75V)を印加する;および、b)一定期間(10分)、重なり合う接着領域全体に異なる電位を印加する、2つの条件下でラップ剪断強度(MPa)を調べた。これらの調査の結果を本明細書に添付の図4aと図4bに示す。
【0166】
実施例2
組成物2の成分(A)および(B)を以下の表3に従って調製した。
組成物2を、実施例1に記載された方法に従って調製し試験した。
【0167】
【表3】
【0168】
各基材について、前期保存期間後と、接着剤層全体に75Vの一定電位を1時間印加した後の両方で、引張ラップ剪断強度を調べた。結果を以下の表4に示す。
【0169】
【表4】

実施例3
【0170】
組成物3の成分(A)および(B)を以下の表5に従って調製した。組成物3を実施例1に記載された方法に従って調製し試験した。
【0171】
【表5】
【0172】
基材について、上記保存期間後と、接着剤層全体に75Vの一定電位を1時間印加した後の両方で、引張ラップ剪断強度を調査した。結果を以下の表6に示す。
【0173】
【表6】
【0174】
実施例4
組成物4の成分(A)および(B)を、以下の表7に従って調製した。組成物4を実施例1に記載された方法に従って調製し、試験した。
【0175】
【表7】
【0176】
各基材について、上記保存期間後と、接着剤層全体に75Vの一定電位を1時間印加した後の両方で、引張ラップ剪断強度を調査した。結果を以下の表8に示す。
【0177】
【表8】
【0178】
実施例5
組成物5の成分(A)および(B)を、以下の表9に従って調製した。組成物5を実施例1に記載された方法に従って調製し、試験した。
【0179】
【表9】
【0180】
各基材について、上記保存期間後と、接着剤層全体に75Vの一定電位を1時間印加した後の両方で、引張ラップ剪断強度を調査した。結果を以下の表10に示す。
【0181】
【表10】
【0182】
上述の説明および実施例を考慮して、特許請求の範囲から逸脱することなく、その同等の変更を行い得ることが当業者には明らかであろう。
【0183】
実施例6
実施例1の組成物について安定性試験を実施した。このテストでは、通常のラップせん断試料を調製し、100℃で30分間硬化させた。アルミニウムと鋼の基材を使用した。続いて、試料を25℃、湿度20%の気候チャンバーに保存した。ラップ剪断を1日後、7日後、14日後、28日後、60日後、および90日後に測定した。結果を以下の表11および表12に示す。
【0184】
【表11】
【0185】
【表12】
【0186】
安定性の結果を図5aおよび5bに示す。図5aはアルミニウムに対する接着性と剥離効果を示し、図5bはステンレス鋼に対する接着性と剥離効果を示す。試験結果は、本発明の組成物が、良好な初期接着性を有し、それを経時的に失わないことを示している。さらに、本発明の組成物は、良好な初期剥離効果を有し、それを経時的に維持する。
【0187】
実施例7
組成物6aおよび6bの成分(A)および(B)を以下の表13に従って調製した。組成物6aおよび6bを実施例1に記載された方法に従って調製し試験した。
【0188】
【表13】
【0189】
基材について、引張ラップ剪断強度を、上記保存期間後と、接着剤層全体に75Vの一定電位を20分間印加した後の両方で調査した。結果を以下の表14に示す。試験結果を図6に示す。
【0190】
【表14】
【0191】
実施例8
組成物7を以下の表15に従って調製した。メタクリル酸を組成物から除外したことに留意されたい。それ以外の点では組成物は本発明に準じている。
【0192】
【表15】
【0193】
組成物7は硬化せず、電解質が組成物から分離する。
【0194】
実施例9
組成物8a、8bおよび8cを以下の表16に従って調製した。
【0195】
【表16】
【0196】
基材について、引張ラップ剪断強度を、上記保存期間後と、接着剤層全体に75Vの一定電位を20分間印加した後の両方で調査した。結果を本明細書の以下の表17に示し、さらに試験結果を図7に示す。
【0197】
【表17】
【0198】
実施例10
組成物9a、9bおよび9cを以下の表18に従って調製した。
【0199】
【表18】
【0200】
基材について、引張ラップ剪断強度を、上記保存期間後と、接着剤層全体に75Vの一定電位を20分間印加した後の両方で調査した。結果を以下の表19に示す。
【0201】
【表19】
【0202】
実施例11
種々の電解質濃度を試験した。組成物10a、10b、10c、10dおよび10eを以下の表20に従って調製した。
【0203】
【表20】
【0204】
基材について、引張ラップ剪断強度を、上記保存期間後と、接着剤層全体に30Vの一定電位を20分間印加した後の両方で調査した。結果を以下の表21に示す。試験結果を図8に示す。
【0205】
【表21】
【0206】
実施例12
種々の強化剤とコアシェル粒子の濃度によるT-剥離の向上、並びに、老化試験(90%Rh)、安定性、LSS値に対する影響を示す。組成物11a、11b、11c、11dおよび11eを以下の表22に従って調製した。
【0207】
【表22】
【0208】
基材について、引張ラップ剪断強度を、上記保存期間後と、接着剤層全体に30Vの一定電位を20分間印加した後の両方で調査した。結果を以下の表23に示す。
【表23】
【0209】
以下の表24は、ラップ剪断強度(LSS)試験の結果を示しており、これは、図9にも示している。
【0210】
【表24】
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】