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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-22
(54)【発明の名称】EGFR阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20230215BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/427 20060101ALI20230215BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20230215BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230215BHJP
【FI】
C07D487/04 138
C07D487/04 CSP
A61K31/454
A61K31/427
A61K31/55
A61P35/00
A61P11/00
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022535532
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(85)【翻訳文提出日】2022-08-05
(86)【国際出願番号】 EP2020086917
(87)【国際公開番号】W WO2021123087
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】19218390.3
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514099673
【氏名又は名称】エフ・ホフマン-ラ・ロシュ・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ヘウィングス, デーヴィッド スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ジェスキー, ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】クーン, ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ナーゲル, イヴォン アリス
(72)【発明者】
【氏名】リッチ, アントニオ
【テーマコード(参考)】
4C050
4C086
【Fターム(参考)】
4C050AA01
4C050BB05
4C050CC04
4C050EE02
4C050FF02
4C050GG01
4C050HH04
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086CB03
4C086GA13
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZB26
4C086ZC20
(57)【要約】
本発明は、一般式(I)を有する化合物
[式中、R、R、R及びRは、本明細書及び特許請求の範囲において記載される通りである]を提供する。式(I)の化合物は、医薬として使用することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物
[式中、
は、
i)フルオロ、及び
ii)クロロ
から選択され;
は、
i)H、及び
ii)フルオロ
から選択され;
はC1-6アルキルであり;
はC1-6アルキルであり;
又は、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Rで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルを形成し;且つ
は、
i)ヒドロキシ、及び
ii)ヒドロキシ-C1-6-アルキル
から選択される];
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の式(I)の化合物[式中、
及びRは、メチルであり;
又は、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Rで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、ヘテロシクロアルキルは、
i)ピペリジニル、
ii)ピロリジニル、及び
iii)アゼパニル
から選択される);且つ
は、
i)ヒドロキシ、及び
ii)ヒドロキシメチル
から選択される];
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の式(I)の化合物[式中、
はフルオロであり;
は、
i)H、及び
ii)フルオロ
から選択され;
及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Rで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、ヘテロシクロアルキルは、
i)ピペリジニル、
ii)ピロリジニル、及び
iii)アゼパニル
から選択される);且つ
は、
i)ヒドロキシ、及び
ii)ヒドロキシメチル
から選択される];
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
がフルオロである、請求項1~3のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
がHである、請求項1~4のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
及びRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Rで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルを形成する(ここで、ヘテロシクロアルキルは、
i)ピペリジニル、
ii)ピロリジニル、及び
iii)アゼパニル
から選択される)、請求項1~5のいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-クロロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[6-[4-[3-[(ジメチルアミノ)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[(4-ヒドロキシ-1-ピペリジル)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-1-オキソ-6-[4-[3-(ピロリジン-1-イルメチル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[[(4RS)-4-ヒドロキシアゼパン-1-イル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;及び
(2RS)-2-[4,7-ジフルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物;
又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
治療的活性物質としての使用のための、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の化合物及び治療的に不活性な担体を含む薬学的組成物。
【請求項10】
がんの治療又は予防における使用のための請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
非小細胞肺がんの治療又は予防における使用のための請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
がんの治療又は予防のための請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項13】
非小細胞肺がんの治療又は予防のための請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
がんの治療又は予防のための医薬の調製のための請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項15】
非小細胞肺がんの治療又は予防のための医薬の調製のための請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項16】
がんの治療又は予防のための方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項17】
非小細胞肺がんの治療又は予防のための方法であって、請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項18】
本明細書に記載された発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、T790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R、L858R/C797Sを含むEGFR変異体の選択的アロステリック阻害剤である化合物、それらの製造、それらを含有する薬学的組成物、及び治療的活性物質としてのそれらの使用を提供する。
【0002】
本発明は、式(I)の新規化合物
[式中、
は、
i)フルオロ、及び
ii)クロロ
から選択され;
は、
i)H、及び
ii)フルオロ
から選択され;
はC1-6アルキルであり;
はC1-6アルキルであり;
又は、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Rで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルを形成し;且つ
は、
i)ヒドロキシ、及び
ii)ヒドロキシ-C1-6-アルキル
から選択される];
又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【背景技術】
【0003】
受容体チロシンキナーゼのHERファミリーは、細胞増殖、分化、及び生存のメディエータである。この受容体ファミリーには、4つの異なるメンバー、すなわち、上皮増殖因子受容体(EGFR、ErbB1、又はHER1)、HER2(ErbB2)、HER3(ErbB3)、及びHER4(ErbB4)が含まれる。リガンドが結合すると、受容体はホモ二量体及びヘテロ二量体を形成し、続く内因性チロシンキナーゼ活性の活性化は、受容体の自己リン酸化及び下流シグナル伝達分子の活性化をもたらす(Yarden,Y.,Sliwkowski,MX.Untangling the ErbB signalling network.Nature Review Mol Cell Biol.2001 Feb;2(2):127-37)。過剰発現又は突然変異によるEGFRの脱調節は、結腸直腸がん、膵臓がん、神経膠腫、頭頸部がん、及び肺がんを含む多くの種類のヒトがん、特に非小細胞肺がん(non-small cell lung cancer:NSCLC)に関係しており、いくつかのEGFR標的化剤が長年にわたって開発されている(Ciardiello,F.,and Tortora,G.(2008).EGFR antagonists in cancer treatment.The New England journal of medicine 358,1160-1174)。EGFRチロシンキナーゼの可逆的阻害剤であるエルロチニブ(タルセバ(登録商標))は、再発NSCLCの治療薬として数多くの国で承認されている。
【0004】
腫瘍が体細胞キナーゼドメイン変異を有するNSCLC患者の一部では、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤の顕著な単剤活性が観察されるが、野生型EGFR患者における臨床的有益性は大幅に低下する(Paez,J.et al.(2004).EGFR mutations in lung cancer:correlation with clinical response to gefitinib therapy.Science(New York,NY304,1497-1500)。EGFRの最も一般的な体細胞変異は、デルタ746~750が最も一般的な変異であるエクソン19欠失であり、L858Rが最も高頻度の変異であるエクソン21アミノ酸置換である(Sharma SV,Bell DW,Settleman J,Haber DA.Epidermal growth factor receptor mutations in lung cancer.Nat Rev Cancer.2007 Mar;7(3):169-81)。
【0005】
治療抵抗性は高頻度で発生し、受容体のATP部位内の二次的T790M変異に起因することが多い。いくつかの開発された変異体選択的不可逆性阻害剤はT790M変異体に対して高度に活性であるが、これらの有効性は、鍵となる共有結合をこれらが形成するシステイン残基であるC797Sの後天性突然変異によって損なわれる可能性がある(Thress,K.S.et al.Acquired EGFR C797S mutation mediates resistance to AZD9291 in non-small cell lung cancer harboring EGFR T790M.Nat.Med.21,560-562(2015))。C797S変異は、T790M標的化EGFR阻害剤に対する耐性の主要な機構であることがWangによってさらに報告された(Wang et al.EGFR C797S mutation mediates resistance to third-generation inhibitors in T790M-positive non-small cell lung cancer,J Hematol Oncol.2016;9:59)。オシメルチニブに対する耐性を引き起こす追加の突然変異は、Yangによって説明されている(例えば、L718Q)(Yang et al,Investigating Novel Resistance Mechanisms to Third-Generation EGFR Tyrosine Kinase Inhibitor Osimertinib in Non-Small Cell Lung Cancer Patients,Clinical Cancer Research,DOI:10.1158/1078-0432.CCR-17-2310)。Luら(Targeting EGFRL858R/T790M and EGFRL858R/T790M/C797S resistance mutations in NSCLC:Current developments in medicinal chemistry,Med Res Rev 2018;1-32)は、NSCLC治療におけるEGFRL858R/T790M及びEGFRL858R/T790M/C797S耐性突然変異の標的化に関する総説で報告している。
【0006】
最も利用可能なEGFRチロシンキナーゼ阻害剤はキナーゼのATP部位を標的とするので、例えば薬剤耐性EGFR変異体を標的とするなど、異なる働きをする新しい治療剤が必要である。
【0007】
最近の研究では、意図的にアロステリック部位を標的にすることにより、変異体選択的阻害剤が得られる可能性が示唆されている(Jia et al.Overcoming EGFR(T790M)and EGFR(C797S)resistance with mutant-selective allosteric inhibitors,June2016,Nature534,129-132)。
【0008】
がんの治療的及び/又は予防的処置に有用である、T790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R、L858R/C797Sを含むEGFR変異体、特にT790M及びC797Sを含むEGFR変異体を特異的に阻害する選択的分子の生成がまさに必要とされている。
【0009】
本明細書に記載の式(I)の化合物は、T790M/L858R、T790M/L858R/C779S、L858R、L858R/C797Sを含むEGFR変異体、特にT790M及びC797Sを含むEGFR変異体に対する改善されたEGFR効力及び選択性、並びに改善された物理化学的特性を有する。
【0010】
用語「C1-6-アルキル」とは、1~6個の炭素原子、特に1~3個の炭素原子からなる一価の直鎖又は分岐飽和炭化水素基を表す。C1-6-アルキルの例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、iso-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、及びペンチルが挙げられる。特定のC1-6-アルキル基は、メチル、エチル、及びイソプロピルである。より具体的な例はメチルである。
【0011】
用語「ヘテロシクロアルキル」とは、N、O及びSから選択される1、2、又は3個の環ヘテロ原子を含み、残りの環原子が炭素である、4~9個の環原子からなる一価飽和又は部分的に不飽和の一環式又は二環式環系を表す。二環式とは、1個又は2個の環原子を共通に有する2つの環からなるものを意味する。単環式飽和ヘテロシクリルの例は、4,5-ジヒドロ-オキサゾリル、オキセタニル、アゼチジニル、ピロリジニル、2-オキソ-ピロリジン-3-イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、1,1-ジオキソ-チオモルホリン-4-イル、アゼパニル、ジアゼパニル、ホモピペラジニル、又はオキサゼパニルである。二環式飽和ヘテロシクロアルキルの例は、オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、オキサスピロ[3.3]ヘプタニル、8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、キヌクリジニル、8-オキサ-3-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクチル、9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、3-オキサ-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニル、又は3-チア-9-アザ-ビシクロ[3.3.1]ノニルである。部分不飽和ヘテロシクロアルキルの例は、ジヒドロフリル、イミダゾリニル、ジヒドロオキサゾリル、テトラヒドロピリジニル、又はジヒドロピラニルである。特に特定のヘテロシクロアルキルは、ピペリジニル、ピロリジニル、及びアゼパニルである。
【0012】
用語「ヒドロキシ」は、-OH基を表す。
【0013】
用語「ヒドロキシ-C1-6-アルキルアルキル」とは、C1-6-アルキルアルキル基の水素原子の少なくとも1つがヒドロキシ基で置換されたC1-6-アルキルアルキル基を表す。ヒドロキシ-C1-6-アルキルの例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル及びヒドロキシプロピルが挙げられる。特定の例は、ヒドロキシメチルである。
【0014】
用語「薬学的に許容される塩」とは、生物学的に又はその他望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する式(I)の化合物の塩を指す。塩は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、特に塩酸、及び酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、N-アセチルシステインなどの有機酸で形成される。また、これらの塩は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を添加して調製してもよい。無機塩基から誘導される塩には、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム及びマグネシウム塩などが含まれるがこれらに限定されない。有機塩基から誘導される塩には、第一級、第二級及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミン樹脂などの塩が含まれるがこれらに限定されない。式(I)の化合物の特に薬学的に許容される塩としては、塩酸塩、メタンスルホン酸塩、クエン酸塩などが挙げられる。
【0015】
略語のuMはマイクロモルを意味し、記号μMに相当する。
【0016】
略語のuLはマイクロリットルを意味し、記号μLに相当する。
【0017】
略語のugはマイクログラムを意味し、記号μgに相当する。
【0018】
式(I)の化合物は、数個の不斉中心を含み得、光学的に純粋なエナンチオマー、例えばラセミ体などのエナンチオマーの混合物、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体又はジアステレオ異性のラセミ体の混合物として存在し得る。
【0019】
Cahn-Ingold-Prelog則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置のものであり得る。
【0020】
また、本発明の実施態様は、本明細書に記載の式(I)の化合物、及びその薬学的に許容される塩であり、より詳細には本明細書に記載の式(I)の化合物である。
【0021】
また、本発明の実施態様は、本明細書に記載の式(I)による化合物である。
【0022】
本発明の具体的な実施態様は、本明細書に記載の式(I)による化合物[式中、
は、
i)フルオロ、及び
ii)クロロ
から選択され;
は、
i)H、及び
ii)フルオロ
から選択され;
及びRは、メチルであり;
又は、R及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Rで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、ヘテロシクロアルキルは、
i)ピペリジニル、
ii)ピロリジニル、及び
iii)アゼパニル
から選択される);
は、
i)ヒドロキシ、及び
ii)ヒドロキシメチル
から選択される];
又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0023】
本発明のさらなる具体的な実施態様は、本明細書に記載の式(I)による化合物[式中、
はフルオロであり;
は、
i)H、及び
ii)フルオロ
から選択され;
及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Rで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、ヘテロシクロアルキルは、
i)ピペリジニル、
ii)ピロリジニル、及び
iii)アゼパニル
から選択される);
は、
i)ヒドロキシ、及び
ii)ヒドロキシメチル
から選択される];
又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0024】
本発明の特定の実施態様は、Rがフルオロである、本明細書に記載の式(I)による化合物を提供する。
【0025】
本発明の特定の実施態様は、Rがフルオロである、本明細書に記載の式(I)による化合物を提供する。
【0026】
本発明の特定の実施態様は、RがHである、本明細書に記載の式(I)による化合物を提供する。
【0027】
本発明の具体的な実施態様は、本明細書に記載の式(I)による化合物[式中、
及びRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、Rで置換されていてもよいヘテロシクロアルキルを形成する(ここで、ヘテロシクロアルキルは、
i)ピペリジニル、
ii)ピロリジニル、及び
iii)アゼパニル
から選択される)]を提供する。
【0028】
本発明の特定の実施態様は、本明細書に記載の式(I)による化合物[ここで、該化合物は、
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-クロロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[6-[4-[3-[(ジメチルアミノ)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[(4-ヒドロキシ-1-ピペリジル)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-1-オキソ-6-[4-[3-(ピロリジン-1-イルメチル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[[(4RS)-4-ヒドロキシアゼパン-1-イル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド;及び
(2RS)-2-[4,7-ジフルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
から選択される];
又はその薬学的に許容される塩を提供する。
【0029】
したがって、本発明はまた、式(B1)の化合物のカップリングを含む、本発明による化合物の調製のための方法に関する。
【0030】
したがって、本発明はまた、式(B1)の化合物又はその薬学的に許容される塩
を、式(B2)の化合物
と、塩基及びカップリング剤の存在下で反応させることを含む、本発明による化合物の調製のための方法に関する。
【0031】
反応は、溶媒中で好都合に行うことができる。溶媒は、例えばDMFであり得る。
【0032】
反応において、塩基は、例えば、ヒューニッヒ塩基、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルアミン又はジエチルアミンであり得る。好都合には、塩基はヒューニッヒ塩基である。
【0033】
反応において、カップリング剤は、例えば、HATUであり得る。
【0034】
反応のための好都合な条件は、約5℃から約60℃の間、特に約10℃から約50℃の間、より具体的には約15℃から約40℃の間であり得る。
【0035】
反応の好ましい条件は、DMF中のヒューニッヒ塩基とHATUを約25℃で約1時間から約48時間、特に約1時間から約16時間使用することである。
【0036】
本明細書に記載の式(I)の化合物を製造するための方法もまた、本発明の目的である。
【0037】
本発明の式(I)の化合物の調製は、逐次的又は収束的な合成経路で行うことができる。本発明の合成は、以下の一般的なスキームで示される。得られた生成物の反応及び精製を行うために必要な技能は、当業者に公知である。以下の方法の説明で使用される置換基及び指数は、反対の指示がない限り、本明細書で前に示される意味を有する。
【0038】
より詳細には、式(I)の化合物は、以下に示す方法、実施例に示す方法、又は類似の方法によって製造することができる。個々の反応工程のための適切な反応条件は、当業者に公知である。反応順序は、スキーム1に表示されているものに限定されないが、出発物質及びそれぞれの反応性に応じて、反応工程の順序を自由に変更することができる。出発物質は、市販されているか、又は以下に示す方法に類似する方法、本明細書に引用された参考文献若しくは実施例に記載されている方法、又は当技術分野で公知の方法によって調製することができる。
【0039】
一般式(I)の化合物は、例えば、予め調製されたアミノエステル1を、式2の適切に置換されたブロモメチルベンゾエートで環化して、所望のイソインドリンエステル3を生成することによって得ることができる。3を式4の適切な置換ボロン酸エステルと鈴木カップリングすると、式5の所望の化合物が得られる。エステル5の鹸化とHATUなどのカップリング剤を用いた2-アミノチアゾール6とのアミドカップリングにより、所望のイソインドリンが得られる。
【0040】
一般的に言えば、式(I)の化合物を合成するために使用される工程の順序、及びさらなる官能化もまた、所定の場合に修正することができる。
【0041】
その調製が実施例に記載されていない限り、式(Iの化合物並びに全ての中間体生成物は、類似の方法又は本明細書に記載の方法に従って調製することができる。出発物質は市販されており、当技術分野で公知であるか、又は当技術分野で公知の方法によって、若しくはそれに類似する方法で調製することができる。
【0042】
本発明の一般式(I)の化合物は、官能基で誘導体化されて、インビボで親化合物に変換して戻すことができる誘導体を提供し得ることが理解されるであろう。
【0043】
本発明の特定の実施態様は、治療的活性物質としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0044】
本発明の特定の実施態様は、がん、特に非小細胞肺がんの治療的及び/又は予防的処置における使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0045】
本発明の特定の実施態様は、非小細胞肺がんの治療的及び/又は予防的処置における使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0046】
本発明の特定の実施態様は、がん、特に非小細胞肺がんの治療的及び/又は予防的処置のための医薬の製造のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0047】
本発明の特定の実施態様は、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び薬学的に許容される補助物質を含む薬学的組成物に関する。
【0048】
本発明の特定の実施態様は、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を、それを必要とする患者に投与することによる、がん、特に非小細胞肺がんの治療的及び/又は予防的処置のための方法に関する。
【0049】
本発明のある特定の実施態様は、がん、特に非小細胞肺がんに罹患したEGFR活性化突然変異を有する患者の治療的及び/又は予防的処置であって、前記患者におけるEGFR活性化突然変異状態を決定し、次いで、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含む、治療的及び/又は予防的処置における医薬としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0050】
本発明のある特定の実施態様は、がん、特に非小細胞肺がんに罹患したEGFR変異のT790M/L858R、T790M/L858R/C797S、L858R、及び/又はL858R/C797Sを有する患者の治療的及び/又は予防的処置であって、前記患者におけるEGFR活性化突然変異状態を決定し、次いで、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含む、治療的及び/又は予防的処置における医薬としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0051】
本発明の特定の実施態様は、がん、特に非小細胞肺がんに罹患した、cobas(登録商標)EGFR変異検出キットv2.0で決定されたEGFR活性化突然変異を有する患者の治療的及び/又は予防的処置であって、前記患者におけるEGFR活性化突然変異状態を決定し、次いで、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩を前記患者に投与することを含む、治療的及び/又は予防的処置における医薬としての使用のための、本明細書に記載の式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩に関する。
【0052】
本発明はまた、特に、以下のものに関する:
治療的活性物質としての使用のための式(I)の化合物;
式(I)の化合物及び治療的に不活性な担体を含む薬学的組成物;
がんの治療又は予防における使用のための式(I)の化合物;
非小細胞肺がんの治療又は予防における使用のための式(I)の化合物;
がんの治療又は予防のための式(I)の化合物の使用;
非小細胞肺がんの治療又は予防のための、がんの治療又は予防のための式(I)の化合物の使用;
がんの治療又は予防のための医薬の調製のための式(I)の化合物の使用;
非小細胞肺がんの治療又は予防のための医薬の調製のための式(I)の化合物の使用;
がんの治療又は予防のための方法であって、式(I)の化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
非小細胞肺がんの治療又は予防のための方法であって、式(I)の化合物の有効量を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【0053】
さらに、本発明は、適用可能な場合は、式(I)の化合物の対応する重水素化形態の全ての置換基を含む。
【0054】
さらに、本発明は、適用可能な場合、式(I)の化合物の全ての光学異性体、すなわち、ジアステレオ異性体、ジアステレオ異性混合物、ラセミ混合物、それらの全ての対応するエナンチオマー、及び/又は互変異性体、並びにそれらの溶媒和化合物を含む。
【0055】
式(I)の化合物は、1つ又は複数の不斉中心を含むことができ、したがって、ラセミ体、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物、及び個々のジアステレオマーとして生じ得る。分子上の種々の置換基の性質に応じて、付加的な不斉中心が存在してもよい。このような不斉中心のそれぞれは、独立して2つの光学異性体を生成し、混合物中及び純粋又は部分的に精製された化合物として可能性のある光学異性体及びジアステレオマーの全てが、本発明に含まれることが意図される。本発明は、これらの化合物の全てのそのような異性体形態を包含することを意味する。これらのジアステレオマーの独立した合成又はそれらのクロマトグラフィーによる分離は、本明細書に開示される方法論を適切に修正することにより、当技術分野で公知のように達成することができる。それらの絶対立体化学は、必要に応じて、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬で誘導体化される結晶性生成物又は結晶性中間体のX線結晶学によって決定することができる。所望であれば、化合物のラセミ混合物を分離して、個々のエナンチオマーを単離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物をエナンチオマー的に純粋な化合物にカップリングさせてジアステレオマー混合物を形成し、続いて、分別再結晶化又はクロマトグラフィーなどの標準的方法によって個々のジアステレオマーを分離するなどの当技術分野で周知の方法で行うことができる。
【0056】
光学的に純粋なエナンチオマーが提供される実施態様では、光学的に純粋なエナンチオマーとは、化合物が所望の異性体を90重量%超、具体的には所望の異性体を95重量%超、又はより具体的には所望の異性体を99重量%超含有することを意味し、前記重量パーセントは、化合物の異性体の全重量を基準とする。キラル的に純粋な又はキラルに富化された化合物は、キラル選択的合成によって、又はエナンチオマーの分離によって調製することができる。エナンチオマーの分離は、最終生成物で、又は代替的に好適な中間体に対して行うことができる。
【0057】
また、本発明の一実施態様は、記載される方法のいずれか1つに従って製造された場合の、本明細書に記載の式(I)の化合物である。
【0058】
アッセイ手順
式(I)の化合物及びそれらの薬学的に許容される塩は、有用な薬理学的性質を有する。該化合物を、以下に示す試験に従って検討した。
【0059】
HTRFリン酸化EGFR(Phospho EGFR)TMLRCSアッセイ(細胞)
細胞株及び培地
BaF3-TMLRCS細胞株を、Crownbio(米国カリフォルニア州サンディエゴ)から得た。細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)(Gibco)を補充したRPMI ATCC(Gibco 31870)+2mMグルタミン+ピューロマイシン0.5μg/ml中にて、37℃、5%COで維持した。
【0060】
プロトコル
プレートが、12.5nlの試験される化合物(用量反応)のDMSO溶液又はDMSOのみで予め充填された後、12.5μlの増殖培地/ウェル中において、20,000細胞/ウェルでGreiner Bio-Oneの第784-08号マイクロタイタープレートに上記のように細胞を移す。プレートを300×gで30秒間回転させた後、細胞を4時間、37℃、5%CO2、湿度95%でインキュベートした。細胞を、4μl/ウェルの補充された溶解緩衝液(Cis-bio、リン酸化EGFR HTRFキット、64EG1PEH)の化合物混合物に添加することによって溶解し、続いて、振盪しながら(400rpm)30分間室温でインキュベートした。次にプレートを凍結し、-80℃で一晩保存した。翌日、プレートを解凍した後に、補充した検出緩衝液中で調製した抗リン酸化EGFRクリプテートと抗リン酸化EGFR-d2抗体溶液との混合物4μlを、各ウェルに加えた。次いで、蓋をしたプレートを4時間室温でインキュベートし、その後、Envisionリーダー(PerkinElmer)を用いて616及び665nmでの蛍光発光を読み取った。データは、665対616の信号の正規化された比に10,000を乗じて、上記と同様の方法で分析した。
【0061】
結果を表1に示す。
【0062】
【0063】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、(例えば、薬学的製剤の形態で)医薬として使用することができる。本発明の薬学的調製物は、経口投与(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬軟ゼラチンカプセル剤、溶液、乳剤又は懸濁液の形態)、経鼻投与(例えば、点鼻薬の形態)、直腸投与(例えば、座剤の形態)、又は眼局所投与(例えば、溶液、軟膏、ゲル又は水溶性高分子挿入剤の形態)などの内服投与が可能である。しかしながら、投与は、筋肉内、静脈内、又は眼内など非経口的に(例えば、滅菌注射用溶液の形態で)行うこともできる。
【0064】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬ゼラチンカプセル剤、注射液又は局所製剤の製造のために、薬学的に不活性な無機又は有機アジュバントで処理され得る。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などは、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用のそのようなアジュバントとして使用することができる。
【0065】
軟ゼラチンカプセル剤に適したアジュバントとしては、例として、植物油、ワックス、油脂、半固形物、液体ポリオールなどが挙げられる。
【0066】
液剤及びシロップ剤の製造に適したアジュバントは、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコースなどである。
【0067】
注射液に適したアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油などである。
【0068】
座剤に適したアジュバントは、例えば、天然油若しくは硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体ポリオールなどである。
【0069】
眼部外用剤形のための適切なアジュバントは、例えば、シクロデキストリン、マンニトール、又は当技術分野で公知の多くの他の担体及び添加物である。
【0070】
さらに、薬学的調製物は、防腐剤、可溶化剤、粘度増加物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝剤、マスキング剤、又は酸化防止剤を含むことができる。本発明の薬学的調製物はさらに、他の治療上有用な物質を含むことができる。
【0071】
投与量は広範に変化させることができ、当然、各特定の症例における個々の要件に適合されるであろう。一般に、経口投与の場合、体重1kgあたり約0.1mg~約20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg~約4mg(例えば、1人あたり約300mg)を1日量として、好ましくは1~3回に分けて個別に投与し、これは、適切であれば、例えば、同量で構成することができる。局所投与の場合、製剤は、0.001重量%~15重量%の医薬を含むことができ、0.1~25mgの間であり得る必要量は、1日あたりの単回投与でも、1週間あたりの単回投与でも、1日あたりの複数回の投与(2~4回)でも、1週間あたりの複数回の投与でもよい。ただし、これが示されている場合は、ここに記載されている上限又は下限を超える可能性があることは明らかである。
【0072】
薬学的組成物
式(I)の化合物及び薬学的に許容される塩は、治療的活性物質として、例えば、薬学的調製物の形態で使用することができる。薬学的調製物は、経口、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬ゼラチンカプセル剤及び軟ゼラチンカプセル剤、溶液、エマルジョン、又は懸濁液の形態で投与することができる。しかしながら、投与はまた、例えば坐剤の形態で直腸に、又は、例えば注射液の形態で非経口的に行うこともできる。
【0073】
式(I)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、薬学的調製物の製造のために薬学的に不活性な無機又は有機担体で処理することができる。ラクトース、コーンスターチ若しくはその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩などは、例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠及び硬ゼラチンカプセル剤用の担体として使用することができる。軟ゼラチンカプセル剤に好適な担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオールなどである。しかしながら、活性物質の性質にもよるが、軟ゼラチンカプセル剤の場合には通常、担体は必要とされない。溶液及びシロップ剤の製造に適した担体材料は例えば、水、ポリオール、グリセロール、植物油などである。坐剤に適した担体は、例えば、天然油若しくは硬化油、ワックス、油脂、半液体又は液体ポリオールなどである。
【0074】
さらに、薬学的調製物は、防腐剤、可溶化剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、着香剤、浸透圧を変化させるための塩、緩衝液、マスキング剤、又は酸化防止剤などの、薬学的に許容される補助物質を含むことができる。本発明の薬学的調製物はさらに、他の治療上有用な物質を含むことができる。
【0075】
式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩、及び治療的に不活性な担体を含有する医薬もまた、本発明により提供され、その製造方法は、式(I)の1つ以上の化合物及び/又はその薬学的に許容される塩、並びに所望により、1つ以上の他の治療上有用な物質を、1つ以上の治療的に不活性な担体と共に生薬投与形態とすることを含む。
【0076】
投与量は、広範囲内で変化させることができ、当然、それぞれの具体的な症例において個々の要件に対して調整されなければならない。経口投与の場合、成人の投与量は、一般式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩の対応する量で1日あたり約0.01mg~約1000mgまで変化させることができる。1日投与量は、単回用量又は分割用量で投与することができ、さらに、必要であると判明した場合、上限を超えることもできる。
【0077】
以下の実施例は、本発明を限定することなく説明するが、本発明の代表例に過ぎない。薬学的調製物は、約1~500mg、特に1~100mgの式(I)の化合物を都合よく含有する。本発明による組成物の例は以下のとおりである:
【0078】
実施例A
以下の組成の錠剤は、通常の方法で製造される:
【0079】
製造手順
1. 成分1、2、3、及び4を混ぜ合わせ、精製水で造粒する。
2. 顆粒を50℃で乾燥させる。
3. 顆粒を適切な粉砕装置に通す。
4. 成分5を添加して3分間混合し、適当な押圧機で圧縮する。
【0080】
実施例B-1
以下の組成のカプセル剤を製造する:
【0081】
製造手順
1. 成分1、2、及び3を適当なミキサーで30分間混ぜる。
2. 成分4及び5を添加して3分間混合する。
3. 適切なカプセル剤に充填する。
【0082】
式(I)の化合物、ラクトース、及びコーンスターチを、先ずミキサー中で混合し、次いで粉砕機中で混合する。混合物をミキサーに戻し、そこにタルクを加えてよく混合する。この混合物を、機械によって適当なカプセル剤、例えば硬ゼラチンカプセル剤に充填する。
【0083】
実施例B-2
次の組成の軟ゼラチンカプセル剤を製造する:
【0084】
製造手順
式(I)の化合物を他の成分の温かい融解物に溶解し、混合物を適当なサイズの軟ゼラチンカプセル剤に充填する。充填した軟ゼラチンカプセル剤を、通常の手順に従って処理する。
【0085】
実施例C
次の組成の坐剤を製造する:
【0086】
製造手順
坐剤練剤をガラス又はスチール容器中で溶融し、充分に混合し、45℃に冷却する。次いで、これに式(I)の微粉末化合物を加え、完全に分散するまで撹拌する。混合物を好適なサイズの坐剤型に注ぎ、冷えるまで放置し、その後、坐剤を型から取り出し、ろう紙又は金属箔で個々に包装する。
【0087】
実施例D
以下の組成の注射液を製造する;
【0088】
製造手順
式(I)の化合物を、ポリエチレングリコール400と注射用水(一部)との混合物に溶解する。pHは酢酸により5.0に調整する。残量の水を添加し、体積を1.0mlに調整する。溶液を濾過し、適切な過量を用いてバイアルに充填し、滅菌する。
【0089】
実施例E
次の組成のサシェ剤(sachet)を製造する:
【0090】
製造手順
式(I)の化合物を、ラクトース、微結晶セルロース、及びカルボキシルメチルセルロースナトリウムと混合し、水中のポリビニルピロリドンの混合物で顆粒化する。顆粒にステアリン酸マグネシウム及び調味添加剤を混合し、サシェ剤に充填する。
実施例
【0091】
以下の実施例は、本発明の例示のために提供される。これらは本発明の範囲を制限されるものとして考えられるべきではなく、単にこれらを代表するものとして理解されるべきである。
【0092】
実施例1
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-クロロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
【0093】
工程1:エチル2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-オキソ-アセテート
200mlの1,4-ジオキサン中に溶解したエチル2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(20.0g、102.97mmol)の溶液に、二酸化セレン(22.85g、205.94mmol、2当量)を加えた。反応混合物を5時間80℃で撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮して、残渣を得た。粗生成物を、石油エーテル:酢酸エチル2:1~酢酸エチル:エタノール10:1の勾配で溶出するシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望のエチル2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-オキソ-アセテート(定量的収率)を淡褐色油状物として得た(MS:m/e=209.1(M+H))。
【0094】
工程2:エチル2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-ヒドロキシイミノ-アセテート
145mlのエタノール中に溶解したエチル2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-オキソ-アセテート(実施例1、工程1)(17.5g、84.05mmol)の溶液に、塩酸ヒドロキシルアミン(6.42g、92.45mmol、1.1当量)及び酢酸ナトリウム(13.79g、168.1mmol、2当量)を室温で加えた。反応混合物を3.5時間80℃で撹拌した。反応混合物を濃縮し、水で抽出し、エタノール/THF/酢酸エチル1:1:8の混合物で5回抽出した。有機層を濃縮乾固した。所望のエチル2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-ヒドロキシイミノ-アセテート(15g、収率80%)を、黄色固体として得た(MS:m/e=224.1(M+H))。これを次の工程で直接使用した。
【0095】
工程3:エチル(2RS)-2-アミノ-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
225mlのエタノール及び120mlのTHF中に溶解したエチル2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-ヒドロキシイミノ-アセテート(実施例1、工程2)(15.0g、67.2mmol)の溶液に、Pd/C(30.0g、67.2mmol、1当量、10%)を室温で加えた。混合物をHにより24時間45℃にて水素付加(hydogenated)した。反応混合物を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。所望のエチル(2RS)-2-アミノ-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(定量的収率)を、褐色油状物として得た(MS:m/e=210.1(M+H))。これを次の工程で直接使用した。
【0096】
工程4:エチル(2RS)-2-アミノ-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート塩酸塩
エチル(2RS)-2-アミノ-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(実施例1、工程3)(15.0g、82.79mmol)のHCl/EtOH(300ml、1200mmol、14.5当量、2.5mol/L)中溶液を、25℃で36時間撹拌した。反応混合物を25℃未満で真空下で濃縮して、残渣を褐色油状物として得た。150mlのアセトニトリルを残渣に加え、沈殿した黄色固体を回収し、25℃未満の真空下で乾燥して、所望のエチル(2RS)-2-アミノ-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート塩酸塩(定量的収率)を黄色固体として得た(MS:m/e=210.1(M+H))。
【0097】
工程5:エチル2-(ブロモメチル)-3-クロロ-5-ヨード-ベンゾエート
3-クロロ-5-ヨード-2-エチル-ベンゾエート(57.3g、176mmol)を400mlのテトラクロロエチレン中に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(46.9g、265mmol、1.5当量)及びAIBN(13.4g、88.3mmol、0.5当量)を室温で加えた。混合物を80℃で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮乾固させた。粗生成物を、石油エーテル:酢酸エチル1:0~10:1の勾配で溶出するシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(56g、収率76%)をピンク色の固体として得た。
【0098】
工程6:エチル(2RS)-2-(4-クロロ-6-ヨード-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
エチル(2RS)-2-アミノ-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート塩酸塩(実施例1、工程4)(12g、48.8mmol、1当量)を、120mlのジオキサン及び20mlのDMF中に溶解した。エチル2-(ブロモメチル)-3-クロロ-5-ヨード-ベンゾエート(実施例1、工程5)(19.7g、48.8mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(34ml、195mmol、4当量)を室温で加えた。混合物を室温で30分間、及び60℃で2時間撹拌した。反応混合物を水で抽出し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層をブラインで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固した。粗生成物を、酢酸エチル:メタノール100:0~90:10の勾配で溶出するシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(14.5g、収率55%)をライトレッドの固体として得た(MS:m/e=486.2(M+H))。
【0099】
工程7:[3-(4-ブロモフェニル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]メタノール
3-(4-ブロモフェニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルボン酸(CAS1980054-39-4)(500mg、1.77mmol)を4mlのTHF中に溶解し、混合物を0-5℃に冷却した。ボラン-硫化メチル錯体(THF中2M)(1.0ml、2.04mmol、1.15当量)を0-5℃で滴下し、混合物を室温で16時間撹拌した。10mlのメタノールを滴下して加え、混合物を濃縮乾固させた。残渣を飽和炭酸ナトリウム溶液で抽出し、TBMEで3回抽出した。有機層をブラインで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮乾固して、所望の生成物(478mg、定量的収率)を白色固体として得た(MS:m/e=236.9(M+H))。
【0100】
工程8:3-(4-ブロモフェニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルバルデヒド
[3-(4-ブロモフェニル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]メタノール(実施例1、工程7)(478mg、1.66mmol)を11mlのジクロロメタン中に溶解し、混合物を0-5℃に冷却した。デス・マーチンペルヨージナン(900mg、2.07mmol、1.25当量)を0-5℃で加え、混合物を室温で2時間撹拌した。40mlのジエチルエーテルを加え、混合物を濾過した。濾液を1M水酸化ナトリウム溶液で抽出し、ジエチルエーテルで3回抽出した。有機層を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液及びブラインで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮乾固して、所望の生成物(430mg、定量的収率)を白色固体として得た。
【0101】
工程9:[1-[[3-(4-ブロモフェニル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]メチル]-4-ピペリジル]メタノール
3-(4-ブロモフェニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルバルデヒド(実施例1、工程8)(430mg、1.63mmol)を8mlのジクロロメタン中に溶解した。ピペリジン-4-イルメタノール(225mg、1.95mmol、1.2当量)及びトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(517mg、2.44mmol、1.5当量)を室温で加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で抽出し、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層をブラインで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固した。粗生成物を、ジクロロメタン:メタノール+1%アンモニア100:0~90:10の勾配で溶出するシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(495mg、収率70%)を白色固体として得た(MS:m/e=352.0(M+H))。
【0102】
工程10:[1-[[3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]メチル]-4-ピペリジル]メタノール
[1-[[3-(4-ブロモフェニル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]メチル]-4-ピペリジル]メタノール(実施例1、工程9)(295mg、0.84mmol)及びビス(ピナコラート)ジボロン(235mg、0.93mmol、1.1当量)を、7mlのジオキサン中に溶解した。酢酸カリウム(248mg、2.53mmol、3.0当量)及びジクロロ1,1’-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセンパラジウム(II)ジクロロメタン付加物(75mg、0.09mmol、0.11当量)を加え、反応混合物を90℃で40分間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、濃縮乾固した。粗生成物を、ジクロロメタン:メタノール100:0~90:10の勾配で溶出するアミノシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物(286mg、収率79%)を褐色固体として得た(MS:m/e=398.3(M+H))。
【0103】
工程11:エチル(2RS)-2-[4-クロロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
エチル(2RS)-2-(4-クロロ-6-ヨード-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(実施例1、工程6)(70mg、0.18mmol)及び[1-[[3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]メチル]-4-ピペリジル]メタノール(実施例1、工程10)(86mg、0.18mmol、1.0当量)を1.5mlのTHF及び0.25mlの水中に溶解した。炭酸ナトリウム(56mg、0.53mmol、3.0当量)及びPdCl2(DPPF)-CH2Cl2付加物(26mg、0.035mmol、0.2当量)を加え、反応混合物を70℃で6時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、次いで酢酸エチル及び水で抽出した。水層を酢酸エチルで2回逆抽出した。有機層をブラインで洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させた。粗生成物を、ジクロロメタン:メタノール100:0~80:20の勾配で溶出するシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。所望の生成物(53mg、収率44%)を褐色固体として得た(MS:m/e=629.3(M+H))。
【0104】
工程12:(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-クロロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
エチル(2RS)-2-[4-クロロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(実施例1、工程11)(53mg、0.083mmol)を2mlのエタノール中に溶解した。LiOH(水中1M)(0.12ml、0.12mmol、1.5当量)を室温で加えた。混合物を16時間室温で撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮乾固し、残渣を1mlのDMF中に溶解した。チアゾール-2-アミン(9mg、0.091mmol、1.1当量)、ヒューニッヒ塩基(0.058ml、0.334mmol、4当量)、及びHATU(48mg、0.125mmol、1.5当量)を室温で加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を水で抽出し、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水で抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固した。粗生成物を、酢酸エチル:メタノール100:0~80:20の勾配で溶出するアミン修飾シリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、所望の生成物(20mg、収率35%)を褐色固体として得た(MS:m/e=683.3(M+H))。
【0105】
実施例2
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
【0106】
工程1:メチル5-ブロモ-2-(ブロモメチル)-3-フルオロ-ベンゾエート
メチル5-ブロモ-3-フルオロ-2-メチルベンゾエート(CAS2090424-20-5、5.91g、23.9mmol)を100mlのトリフルオロトルエン中に溶解し、N-ブロモスクシンイミド(4.26g、23.9mmol、1当量)及びAIBN(393mg、2.39mmol、0.1当量)を室温で加えた。混合物を110℃で3時間撹拌した。反応混合物を冷却し、水で抽出し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固した。粗生成物を、酢酸エチル:ヘプタン0:100~50:50の勾配で溶出するシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望のメチル5-ブロモ-2-(ブロモメチル)-3-フルオロ-ベンゾエート(7.29g、収率94%)を淡黄色液体として得た(MS:m/e=326.8(M+H))。
【0107】
工程2:エチル(2RS)-2-(6-ブロモ-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
エチル(2RS)-2-アミノ-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート塩酸塩(実施例1、工程4)(4.15g、16.9mmol、1当量)を、35mlのDMF中に溶解した。メチル5-ブロモ-2-(ブロモメチル)-3-フルオロ-ベンゾエート(実施例2、工程1)(5.0g、15.3mmol)及びトリエチルアミン(10.7ml、76.7mmol、5当量)を、室温で加えた。混合物を80℃で16時間撹拌した。反応混合物を水で抽出し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層をブラインで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固した。粗生成物を、ジクロロメタン:メタノール100:0~90:10の勾配で溶出するシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望のエチル(2RS)-2-(6-ブロモ-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(2.6g、収率40%)を黄色固体として得た(MS:m/e=422.1/424.1(M+H))。
【0108】
工程3:[2-[(1RS)-1-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-エトキシ-2-オキソ-エチル]-7-フルオロ-3-オキソ-イソインドリン-5-イル]ボロン酸
標題化合物を、エチル(2RS)-2-(6-ブロモ-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(実施例2、工程2)から出発して、実施例1、工程10に記載されたものと同様の化学を用いて、白色固体として得た。
【0109】
工程4:エチル(2RS)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
標題化合物を、[2-[(1RS)-1-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-エトキシ-2-オキソ-エチル]-7-フルオロ-3-オキソ-イソインドリン-5-イル]ボロン酸(実施例2、工程3)及び[1-[[3-(4-ブロモフェニル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]メチル]-4-ピペリジル]メタノール(実施例1、工程9)から出発して、実施例1、工程11に記載されたものと同様の化学を用いて、褐色固体として得た(MS:m/e=613.5(M+H))。
【0110】
工程5:(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
標題化合物を、エチル(2RS)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(実施例2、工程4)及びチアゾール-2-アミンから出発して、実施例1、工程12に記載されたものと同様の化学を用いて、淡褐色固体として得た(MS:m/e=667.4(M+H))。
【0111】
実施例3
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[6-[4-[3-[(ジメチルアミノ)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
【0112】
工程1:1-(4-ブロモフェニル)-3-(ジエトキシメチル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン
3-(4-ブロモフェニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルバルデヒド(実施例1、工程8)(168mg、0.67mmol)を7mlのトルエン中に溶解した。オルトギ酸トリエチル(0.12ml、0.74mmol、1.1当量)及びp-トルエンスルホン酸一水和物(3mg、0.02mmol、0.03当量)を室温で加えた。混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で抽出し、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層をブラインで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮乾固して、所望の生成物(204mg、収率73%)を淡黄色油状物として得た。
【0113】
工程2:エチル(2RS)-2-[6-[4-[3-(ジエトキシメチル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
標題化合物を、[2-[(1RS)-1-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-エトキシ-2-オキソ-エチル]-7-フルオロ-3-オキソ-イソインドリン-5-イル]ボロン酸(実施例2、工程3)及び1-(4-ブロモフェニル)-3-(ジエトキシメチル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン(実施例3、工程1)から出発して、実施例1、工程11に記載されたものと同様の化学を用いて、褐色固体として得た(MS:m/e=588.4(M+H))。
【0114】
工程3:(2RS)-2-[6-[4-[3-(ジエトキシメチル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
標題化合物を、エチル(2RS)-2-[6-[4-[3-(ジエトキシメチル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(実施例3、工程2)及びチアゾール-2-アミンから出発して、実施例1、工程12に記載されたものと同様の化学を用いて、淡褐色固体として得た(MS:m/e=642.4(M+H))。
【0115】
工程4:(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-(3-ホルミル-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル)フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
(2RS)-2-[6-[4-[3-(ジエトキシメチル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド(実施例3、工程3)(85mg、0.13mmol)を5mlのアセトン中に溶解し、HCl(水中37%)(0.013ml、0.013mmol、0.1当量)を室温で加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチル及び飽和NaHCO溶液で抽出した。水層を酢酸エチルで逆抽出した。有機層を水及びブラインで洗浄した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して、所望の生成物(定量的収率)を淡褐色固体として得た(MS:m/e=568.2(M+H))。
【0116】
工程5:(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[6-[4-[3-[(ジメチルアミノ)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-4-フルオロ-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
標題化合物を、(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-(3-ホルミル-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル)フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド(実施例3、工程4)及びジメチルアミンから出発して、実施例1、工程9に記載されたものと同様の化学を用いて、白色固体として得た(MS:m/e=597.5(M+H))。
【0117】
実施例4
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[(4-ヒドロキシ-1-ピペリジル)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
【0118】
工程1:エチル(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-(3-ホルミル-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル)フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]アセテート
標題化合物を、[2-[(1RS)-1-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-エトキシ-2-オキソ-エチル]-7-フルオロ-3-オキソ-イソインドリン-5-イル]ボロン酸(実施例2、工程3)及び3-(4-ブロモフェニル)ビシクロ[1.1.1]ペンタン-1-カルバルデヒド(実施例1、工程3)から出発して、実施例1、工程11に記載されたものと同様の化学を用いて、オレンジ色油状物として得た(MS:m/e=514.3(M+H))。
【0119】
工程2:エチル(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[(4-ヒドロキシ-1-ピペリジル)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]アセテート
標題化合物を、エチル(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-(3-ホルミル-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル)フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]アセテート(実施例4、工程1)及びピペリジン-4-オールから出発して、実施例1、工程9に記載されたものと同様の化学を用いて、黄色ロウ様固体として得た(MS:m/e=599.4(M+H))。
【0120】
工程3:(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[(4-ヒドロキシ-1-ピペリジル)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
標題化合物を、エチル(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[(4-ヒドロキシ-1-ピペリジル)メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]アセテート(実施例4、工程1)及びチアゾール-2-アミンから出発して、実施例1、工程12に記載されたものと同様の化学を用いて、淡褐色固体として得た(MS:m/e=635.5(M+H))。
【0121】
実施例5
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-1-オキソ-6-[4-[3-(ピロリジン-1-イルメチル)-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
標題化合物を、(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-(3-ホルミル-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル)フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド(実施例3、工程4)及びピロリジンから出発して、実施例1、工程9に記載されたものと同様の化学を用いて、白色固体として得た(MS:m/e=623.5(M+H))。
【0122】
実施例6
(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-[3-[[(4RS)-4-ヒドロキシアゼパン-1-イル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
標題化合物を、(2RS)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-2-[4-フルオロ-6-[4-(3-ホルミル-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル)フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド(実施例3、工程4)及びアゼパン-4-オールから出発して、実施例1、工程9に記載されたものと同様の化学を用いて、白色固体として得た(MS:m/e=667.5(M+H))。
【0123】
実施例7
(2RS)-2-[4,7-ジフルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
【0124】
工程1:2-フルオロ-3-ヨード-6-メチル-5-ニトロ安息香酸
6-フルオロ-2-メチル-3-ニトロ安息香酸(1.28g、6.43mmol)を5mlの硫酸中に溶解した。N-ヨードスクシンイミド(1.59g、7.07mmol、1.1当量)を室温で加えた。混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、得られた沈殿物を濾別した。固体を乾燥させて、所望の生成物(2.15g、定量的収量)を淡黄色固体として得た(MS:m/e=324.1(M-H)。
【0125】
工程2:メチル2-フルオロ-3-ヨード-6-メチル-5-ニトロベンゾエート
2-フルオロ-3-ヨード-6-メチル-5-ニトロ安息香酸(実施例7、工程1)(2.15g、6.61mmol)を10mlのDMF中に溶解した。炭酸カリウム(2.0g、14.6mmol、2.2当量)及びヨードメタン(1.03g、7.28mmol、1.1当量)を室温で加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で抽出し、TBMEで2回抽出した。有機層を水及び10%塩化リチウム溶液で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮乾固して、所望のメチル2-フルオロ-3-ヨード-6-メチル-5-ニトロベンゾエート(2.32g、収率98%)を淡黄色固体として得た(MS:m/e=338.0(M+H)。
【0126】
工程3:メチル3-アミノ-6-フルオロ-5-ヨード-2-メチルベンゾエート
メチル2-フルオロ-3-ヨード-6-メチル-5-ニトロベンゾエート(実施例7、工程2)(2.32g、6.85mmol)を50mlのメタノール及び25mlの水中に溶解した。塩化アンモニウム(3.67g、68.5mmol、10当量)及び鉄(3.06g、54.8mmol、8当量)を室温で加えた。混合物を70℃で2時間撹拌した。反応混合物を濾過し、蒸発乾固した。残渣を飽和炭酸水素ナトリウム溶液で抽出し、酢酸エチルで2回抽出した。有機層を水及びブラインで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濃縮乾固して、所望のメチル3-アミノ-6-フルオロ-5-ヨード-2-メチルベンゾエート(2.22g、定量的収率)を黄色油状物として得た(MS:m/e=310.0(M+H))。
【0127】
工程4:メチル2,5-ジフルオロ-3-ヨード-6-メチル-ベンゾエート
メチル3-アミノ-6-フルオロ-5-ヨード-2-メチルベンゾエート(実施例7、工程3)(2.2g、7.21mmol)を20mlのトルエン中に溶解した。テトラフルオロほう酸ニトロソニウム(1.26g、10.8mmol、1.5当量)を少しずつ加え、室温で氷冷下に置いた。混合物を室温で10分間撹拌し、110℃で10分間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで2回抽出した。有機層をブラインで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、濃縮乾固した。粗生成物を、ヘプタン:酢酸エチル100:0~80:20の勾配で溶出するシリカゲルカラム上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、所望の生成物(1.36g、収率43%)を黄色油状物として得た。
【0128】
工程5:メチル2-(ブロモメチル)-3,6-ジフルオロ-5-ヨード-ベンゾエート
標題化合物を、メチル2,5-ジフルオロ-3-ヨード-6-メチル-ベンゾエート(実施例7、工程4)から出発して、実施例1、工程3に記載されたものと同様の化学を用いて、白色固体として得た(MS:m/e=409.0(M+H))。
【0129】
工程6:エチル(2RS)-2-(4,7-ジフルオロ-6-ヨード-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
標題化合物を、エチル(2RS)-2-アミノ-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート塩酸塩(実施例1、工程4)及びメチル2-(ブロモメチル)-3,6-ジフルオロ-5-ヨード-ベンゾエート(実施例7、工程5)から出発して、実施例2、工程1に記載されたものと同様の化学を用いて、褐色油状物として得た(MS:m/e=488.1(M+H))。
【0130】
工程7:エチル(2RS)-2-[4,7-ジフルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート
標題化合物を、エチル(2RS)-2-(4,7-ジフルオロ-6-ヨード-1-オキソ-イソインドリン-2-イル)-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(実施例7、工程6)及び[1-[[3-[4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)フェニル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]メチル]-4-ピペリジル]メタノール(実施例1、工程10)から出発して、実施例1、工程11に記載されたものと同様の化学を用いて、白色泡状物として得た(MS:m/e=631.5(M+H))。
【0131】
工程8:(2RS)-2-[4,7-ジフルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)-N-チアゾール-2-イル-アセトアミド
標題化合物を、エチル(2RS)-2-[4,7-ジフルオロ-6-[4-[3-[[4-(ヒドロキシメチル)-1-ピペリジル]メチル]-1-ビシクロ[1.1.1]ペンタニル]フェニル]-1-オキソ-イソインドリン-2-イル]-2-(6,7-ジヒドロ-5H-ピロロ[1,2-c]イミダゾール-1-イル)アセテート(実施例7、工程7)及びチアゾール-2-アミンから出発して、実施例1、工程12に記載されたものと同様の化学を用いて、白色泡状物として得た(MS:m/e=685.5(M+H))。
【国際調査報告】