(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-24
(54)【発明の名称】湿気硬化性ポリアクリレート組成物およびその使用
(51)【国際特許分類】
C08F 220/18 20060101AFI20230216BHJP
C08L 33/00 20060101ALI20230216BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230216BHJP
C08K 5/54 20060101ALI20230216BHJP
C08K 5/1515 20060101ALI20230216BHJP
C08K 3/22 20060101ALI20230216BHJP
C08K 3/26 20060101ALI20230216BHJP
C08K 5/56 20060101ALI20230216BHJP
C08K 5/17 20060101ALI20230216BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
C08F220/18
C08L33/00
C08K3/013
C08K5/54
C08K5/1515
C08K3/22
C08K3/26
C08K5/56
C08K5/17
C08L101/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537652
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020065324
(87)【国際公開番号】W WO2021126988
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 ユジア
(72)【発明者】
【氏名】シャー、 ゲタンジャリベン
(72)【発明者】
【氏名】ヒレケルー、 アビジット
(72)【発明者】
【氏名】デカト、 アルフレッド
【テーマコード(参考)】
4J002
4J100
【Fターム(参考)】
4J002AA002
4J002BG041
4J002BG042
4J002BG073
4J002CP032
4J002DA036
4J002DE046
4J002DE076
4J002DE078
4J002DE216
4J002DE228
4J002DE238
4J002DF016
4J002DJ006
4J002DJ016
4J002DJ036
4J002DK006
4J002EL028
4J002EN019
4J002ER009
4J002ER029
4J002EX037
4J002EX077
4J002EX078
4J002EZ009
4J002EZ019
4J002FD012
4J002FD016
4J002FD020
4J002FD090
4J002FD140
4J002FD149
4J002FD150
4J002FD159
4J002FD207
4J002FD208
4J002GG00
4J002GH00
4J002GL00
4J002GN00
4J002GQ00
4J002HA06
4J100AL03P
4J100AL03Q
4J100AL04P
4J100AL05P
4J100AL08R
4J100BA77R
4J100CA05
4J100DA01
4J100DA04
4J100DA09
4J100DA22
4J100DA25
4J100DA47
4J100FA03
4J100FA19
4J100FA30
4J100GB05
4J100GC25
4J100GC35
4J100JA01
4J100JA28
4J100JA43
4J100JA58
4J100JA67
(57)【要約】
ポリマー鎖に結合したペンダント湿気反応性シリル官能基を有する湿気硬化性ポリアクリレートポリマーおよび同ポリアクリレートポリマーを含む組成物が提供される。該ポリアクリレートポリマーおよび組成物は、湿気および触媒の存在下、縮合機構により硬化する。本発明の湿気硬化性ポリアクリレートポリマーおよび組成物は、高温での自動車オイルに対する耐性に優れ、自動車パワートレインにおけるシーラントやガスケットとして特に有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.20~70重量%のCH
2=CR
1COOR
2(式中、R
1はHまたはCH
3、R
2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH
2=CR
1COXR
3(式中、R
1はHまたはCH
3;XはO、NR
3、S;R
3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、および
iii.0.1~10重量%のCH
2=CR
1COOR
4SiR
5
4-nY
n(式中、R
1はHまたはCH
3;R
4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R
5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
から調製される湿気硬化性ポリアクリレートポリマー。
【請求項2】
(i)第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、およびn-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、および、分岐(メタ)アクリル異性体、例えばi-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の湿気硬化性ポリアクリレートポリマー。
【請求項3】
(ii)第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の湿気硬化性ポリアクリレート組成物。
【請求項4】
(iii)シラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシプロピルSi(OCHCH
3CON(CH
3)
2)
3、(メタ)アクリロキシプロピルSi(OCHCH
3COOCH
2CH
3)、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の湿気硬化性ポリアクリレート組成物。
【請求項5】
i.第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、n-ブチルアクリレート、および/または、2-エチルヘキシルアクリレートであり、かつ
ii.第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、メチルアクリレート、エチルアクリレート、および/または、メトキシエチルアクリレートである、請求項1に記載の湿気硬化性ポリアクリレートポリマー。
【請求項6】
1)約10~90重量%の以下から調製された湿気硬化性ポリアクリレートポリマー:
i.20~70重量%のCH
2=CR
1COOR
2(式中、R
1はHまたはCH
3、R
2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH
2=CR
1COXR
3(式中、R
1はHまたはCH
3;XはO、NR
3、S;R
3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
iii.0.1~10重量%のCH
2=CR
1COOR
4SiR
5
4-nY
n(式中、R
1はHまたはCH
3;R
4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R
5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
2)約5~約90%の微細に分割された無機フィラーまたはフィラーの混合物;
3)約0.001~約0.5重量%の湿気もしくは酸捕捉剤、またはそれらの組み合わせ;
4)約0.001~約5重量%の湿気硬化触媒;ならびに
5)任意に、最大約10重量%の架橋剤、接着促進剤、可塑剤、酸捕捉剤、顔料、阻害剤、および/または防臭剤
を含む湿気硬化性組成物。
【請求項7】
前記フィラーが、ヒュームドシリカ、粘土、炭酸塩の金属塩、硫酸塩、リン酸塩、カーボンブラック、金属酸化物、石英、ケイ酸ジルコニウム、石膏、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ゼオライト、ガラス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項8】
前記フィラーが、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、および酸化マグネシウムの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項9】
前記フィラーが、シリコーン樹脂、有機フィラー、プラスチック粉末、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項10】
湿気捕捉剤が、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、またはそれらの組み合わせである、請求項6に記載の湿気硬化性ポリアクリレート組成物。
【請求項11】
酸捕捉剤が、ヘキサメチルジシラザン、エチレンオキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、またはそれらの組み合わせである、請求項6に記載の湿気硬化性ポリアクリレート組成物。
【請求項12】
湿気硬化触媒が、スズ、チタン、亜鉛、ジルコニウム、鉛、鉄コバルト、アンチモン、マンガン、およびビスマスの有機金属化合物、またはアミン、アミジン、グアニジン、またはそれらの組み合わせである、請求項6に記載の湿気硬化性シラン変性ポリアクリレート組成物。
【請求項13】
接着促進剤が湿気反応性シランである、請求項6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項14】
前記湿気反応性シランが、アルコキシシラン、アセトキシシラン、エノキシシラン、オキシミノシラン、アミノシラン、乳酸エステルシラン、乳酸アミドシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項15】
前記湿気反応性シランが、ビニルトリオキシイミノシラン、ビニルトリアルコキシシラン、およびそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項16】
前記接着促進剤が、トリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の組成物。
【請求項17】
請求項6に記載の湿気硬化性組成物の硬化組成物。
【請求項18】
自動車用ガスケットである請求項17に記載の硬化組成物。
【請求項19】
湿気硬化性ポリアクリレートポリマーを調製する方法であって、以下の工程:
1)以下を約4~24時間、約50~約120℃の反応温度で重合する工程
a.40~90重量%の以下の混合物
i.20~70重量%のCH
2=CR
1COOR
2(式中、R
1はHまたはCH
3、R
2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH
2=CR
1COXR
3(式中、R
1はHまたはCH
3;XはO、NR
3、S;R
3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
iii.0.1~10重量%のCH
2=CR
1COOR
4SiR
5
4-nY
n(式中、R
1はHまたはCH
3;R
4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R
5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
b.10~60重量%の式HOR
6(式中、R
6はC
1-4直鎖または分枝アルキル鎖である。)のアルコール、
c.0~60重量%の式R
7COOR
8(式中、R
7およびR
8は独立してC
1-4アルキル鎖である。)のエステル、
d.0.01~5%のアゾまたは過酸化物ラジカル開始剤、
2)約10~30psiの真空下、約50~約120℃の温度で、溶媒および揮発性物質を除去する工程
を含み、得られたポリアクリレートポリマーは、約1,000g/mol~約100,000g/molの重量平均分子量(Mw)および約1.5~10のPDIを有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化性ポリアクリレートおよびその組成物に関する。本発明の湿気硬化性ポリアクリレートおよびその組成物は、良好な耐石油性と耐熱性を示し、特に常温加硫型シーラントおよび自動車用ガスケット用接着剤として好適である。
【背景技術】
【0002】
硬化性ポリアクリレートおよび組成物は、包装、自動車、建設、高速道路、電子機器、家電製品組立および消費者用途を含む広範な用途において、接着剤、シーラント、コーティング、塗料、封止剤などとして使用されている。ポリアクリレートポリマーは、柔らかく、強靭で、ゴムのような性質を持つ重要なポリマーの一種である。ガラス転移温度は室温よりかなり低い。高い透明性、良好な衝撃強度および弾力性で知られ、乾熱下で450Kまでの良好な耐熱性を有している。また、骨格に二重結合がないため、耐候性、耐オゾン性にも優れている。
【0003】
典型的には、これらの用途で使用される硬化性ポリアクリレーおよび組成物は、強度、靭性、硬化速度、弾性率、伸長率;ならびに、高温、石油、および湿度に対する耐性を提供するように調整されている。例えば、硬化性ポリアクリレートおよび組成物は、自動車産業で広範囲に使用されているガスケットに形成することができる。使用中、ポリアクリレート組成物は様々な条件にさらされ、完全性を損なうことなく機能し続ける必要がある。そのような条件の1つとして、高温のエンジンオイルへのばく露が挙げられる。エチルおよびアクリレートのポリアクリレートポリマーは、石油系の燃料および油に対して優れた耐性を示し、石油を300°Fの高温で密封してもその特性を維持することができる。これらの特性から、ポリアクリレートは自動車のオートマチックトランスミッションやステアリングシステムなど、および石油や高温への耐性が要求されるその他の用途に適している。ポリアクリレートは、エラストマーがブレーキ液、塩素化炭化水素、アルコール、またはグリコールにさらされるような用途には推奨されない。
【0004】
耐油性材料は、米国特許第3326868号、第2492170号、第3315012号および第3445403号に記載されており、ここで、熱硬化性アクリレートゴムは、水性エマルジョン中で、(a)50~99.8重量%のb-メトキシ-またはb-エトキシエチルアクリレート;(b)0~40重量%の1種以上のアクリル酸またはメタクリル酸のゴム生成アルキルまたはシアノアルキルエステルであって、そのホモポリマーは10℃未満の2次転移温度を有するもの;(c)0~20重量%のアクリロニトリル;(d)0.2~2.5重量%のN-アルコキシメチル-アクリルアミドまたは-メタクリルアミドであって、アルコキシ基は1~8個の炭素原子を含むもの;および、(e)0~3.8重量%の、アミド窒素上に少なくとも1つの水素を含有するモノオレフィン性、末端不飽和アミドであって、オレフィン性不飽和がアミドのカルボニル基に対してα-βであり、分子の残りが水素原子または炭素および水素原子のみからなるものを重合させることによって調製され、ここで、成分(d)および(e)の合計が4重量%を超えない。米国特許第3875092号、第3910866号、および第4405758号にも、カルボキシル基と活性ハロゲン基の両方を有する熱またはデュアル硬化性アクリレートゴムを、ステアリン酸ナトリウムとテトラメチルチウラムジスルフィドまたはそのIB、IIB、IVA、VAおよびVIA群の金属化合物の組み合わせとともに配合して、優れた早期加硫(scorch)/硬化速度バランスとその加硫物に望ましい物理特性を有する複合化アクリレートゴムを提供することが開示されている。しかし、上記の技術は、湿気硬化性組成物を教示していない。
【0005】
米国特許第7129294、6274688、6420492、6441101、6667369、4334036、7439308、7276574および5986014は、アルケニル基または硬化性シリル基を鎖末端に高官能基比で有する耐油性(メタ)アクリルポリマーを開示しており、該ポリマーは、(i)鎖末端にハロゲン原子を有する(メタ)アクリルポリマーを調製する工程であって、有機ハロゲン化合物またはハロスルホニル化合物を開始剤として、および中心金属原子が周期表第8、9、10および11族の元素からなる群から選択される金属錯体触媒を用いる工程;および、(ii)ハロゲン原子をアルケニル基または硬化性シリル基含有置換基に変換する工程を含む。得られた(メタ)アクリルポリマーは、均質な硬化性材料を形成する。これらの末端に架橋性シリル基を有する(メタ)アクリルポリマーの製造方法は、原子移動ラジカル重合により調製したアルケニル末端(メタ)アクリルポリマー(A)に、架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を白金ヒドロシリル化触媒の存在下で添加する工程を含む。白金ヒドロシリル化触媒の使用量は、アルケニル基末端(メタ)アクリルポリマー(A)1kgあたり白金金属換算で0.1~10mgである。本発明の目的は、末端架橋性シリルを有する(メタ)アクリルポリマーの製造方法を提供することにある。これらの湿気硬化性アルコキシシラン末端ポリアクリレートは、株式会社カネカ,日本から市販されており、現在、2段階プロセスで調製されている。開示されたプロセスでは、不飽和カルボン酸による臭素置換の後に、アルコキシシランによるヒドロシリル化が行われる。この2段階プロセスは、製造業者にとって高価で時間がかかるものである。
【0006】
したがって、原料反応物の入手可能性、およびポリマー構造およびその合成の複雑さの低減を含む、湿気硬化性ポリアクリレートおよび組成物を作るための単純な代替の合成スキームを特定することが望ましいであろう。本発明は、この必要性を満たすものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ランダム重合によって形成された湿気硬化性ポリアクリレートおよびその組成物を提供する。この組成物は、石油中で高温に長時間さらされた後でも機械的特性を維持し;自動車パワートレインにおけるシーラントおよび接着フランジとして特に好適である。
【0008】
本発明の一態様は、ポリマー鎖に結合したペンダントアルコキシ基または他の湿気反応性シリル官能基を有するポリアクリレートポリマーに関する。
【0009】
ポリアクリレートポリマーは、以下:
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3,S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、および
iii.0.1~10重量%のCH2=CR1COOR4SiR5
4-nYn(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐鎖または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
を用いて調製される。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、湿気硬化性ポリアクリレートポリマーを形成する方法に関し、該方法は、以下の工程:
1)以下を約4~24時間、約50~約120℃の反応温度で重合する工程
a.40~90重量%の以下の混合物
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、および
iii.0.1~10重量%のCH2=CR1COOR4SiR5
4-nYn(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
b.10~60重量%の式HOR6(式中、R6はC1-4直鎖または分枝アルキル鎖である。)のアルコール、
c.0~60重量%の式R7COOR8(式中、R7およびR8は独立してC1-4アルキル鎖である。)のエステル、
d.0.01~5%のアゾまたは過酸化物ラジカル開始剤、
2)約10~30psiの真空下、約50~約120℃の温度で、溶媒および揮発性物質を除去する工程
を含み、
ここで、得られたポリアクリレートポリマーは、約1,000g/mol~約100,000g/molの重量平均分子量(Mw)および約1.5~10のPDIを有する。
【0011】
本発明の別の態様は、以下:
1)約10~90重量%の以下から調製された湿気硬化性ポリアクリレートポリマー:
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
iii.0.1~10重量%のCH2=CR1COOR4SiR5
4-nYn(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
2)約5~約90%の微細に分割された無機フィラーまたはフィラーの混合物;
3)約0.001~約0.5重量%の湿気または酸捕捉剤、またはそれらの組み合わせ;
4)約0.001~約5重量%の湿気硬化触媒;および
5)任意に、最大約10重量%の架橋剤、接着促進剤、可塑剤、酸捕捉剤、顔料、阻害剤、および/または防臭剤
を含む湿気硬化性組成物に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、周波数掃引によるポリマーの粘度である。
【
図2】
図2は、ポリマーの動的力学解析(DMA)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
発明の詳細な説明
特に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾がある場合、定義を含む本書により統制される。好ましい方法および材料を以下に記載するが、本明細書に記載されたものと類似または同等の方法および材料を、本開示の実施または試験において使用することができる。本明細書で言及された全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、参照によりその全体が組み込まれる。本明細書に開示された材料、方法、および例は、例示に過ぎず、限定することを意図していない。
【0014】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprising)」は、実施形態「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」を含むことができる。本明細書で使用される用語「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含む(contain(s))」、およびそれらの変形は、名前を挙げられた成分/ステップの存在を必要とし、他の成分/ステップの存在を許容するオープンエンドの移行句、用語または単語であることが意図される。しかしながら、このような記載は、また、組成物またはプロセスを列挙された成分/ステップ「からなる」および列挙された成分/ステップ「から本質的になる」ものとして記載しているとも解釈されるべきであり、これは、名前を挙げられた成分/ステップのみが、そこから生じる可能性のある不純物と一緒に存在し、他の成分/ステップを除外することを許容するものである。
【0015】
本願明細書および特許請求の範囲における数値は、特にポリマーまたはポリマー組成物に関するものであるが、異なる特性を有する個々のポリマーを含む可能性のある組成物の平均値を反映するものである。さらに、そうでないことが示されていない限り、数値は、同じ有効数字に減じたときに同じである数値、および値を決定するために本願に記載されたタイプの従来の測定技術の実験誤差未満で記載値と異なる数値を含むと理解されるべきである。
【0016】
本明細書に開示される全ての範囲は、言及された端点を含み、独立して組み合わせ可能である(例えば、「2から10まで」の範囲は、端点である2および10、並びに全ての中間値を含む)。本明細書で開示される範囲の端点および任意の値は、正確な範囲または値に限定されるものではなく、これらの範囲および/または値を近似する値を含むように十分に不正確である。本明細書で使用される場合、近似する言語は、それが関連する基本的な機能の変化をもたらすことなく変化し得る任意の定量的表現を修飾するために適用され得る。したがって、「約」などの用語によって修飾された値は、場合によっては、指定された正確な値に限定されないことがある。少なくともいくつかの例では、近似的な言葉は、値を測定するための機器の精度に対応し得る。また、修飾語「約」は、2つの端点の絶対値で定義される範囲を開示するものとも考えるべきである。例えば、「約2から約4まで」という表現は、「2から4まで」の範囲も開示している。用語「約」は、示された数値のプラスまたはマイナス10%を指す場合がある。例えば、「約10%」は、9%~11%の範囲を示す場合があり、「約1」は、0.9~1.1を意味する場合がある。「約」の他の意味は、四捨五入など文脈から明らかな場合があり、例えば、「約1」は、0.5~1.4を意味することもあり得る。
【0017】
本明細書で使用される場合、ポリマーまたはオリゴマーは、約1つのモノマー単位と等しいかまたはそれよりも大きいモノマー単位からなる高分子である。ポリマーとオリゴマー、またはポリマーの(polymeric)とオリゴマーの(oligomeric)は、本発明では本明細書において互換的に使用される。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、C1~C24炭素を含む一価の直鎖、環状または分岐の部分構造であり、部分構造内の炭素原子間に単結合のみを含み、例えば、メチル,エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、ヘプチル、2,4,4-トリメチルペンチル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシルおよびn-オクタデシルなどが挙げられる。
【0019】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、単一の環(例えば、フェニル)または複数の縮合(融合)環を有する6から24個の炭素原子の一価不飽和芳香族炭素環基であって、少なくとも1つの環が芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、アントリル)であるものを指す。好ましい例としては、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、メチルナフチル、エチルナフチルなどが挙げられる。
【0020】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」は、基-O-R(式中、Rは、上記で定義されるようなアルキルである)を指す。
【0021】
本明細書で使用される場合、上記基はさらに置換されていてもよいし、非置換であってもよい。置換されている場合、基上の水素原子は、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、保護C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、およびアミノ(モノおよびジ置換アミノ基を含む)、およびこれらの保護誘導体から独立して選択される1または複数の基である置換基で置換されている。アリールが置換されている場合、アリール基上の置換基は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、およびヘテロシクリルなどのアリール基に縮合した非芳香環を形成してもよい。
【0022】
本明細書において、用語「ポリアクリレート」は、アクリルポリマー、アクリレート、またはアクリル、アクリル樹脂を指す。これらは、本発明において、本明細書では互換的に使用される。
【0023】
本明細書において、用語「湿気硬化」は、湿気硬化触媒の存在下、水または空気中の湿気によってもたらされるポリマー鎖の末端官能基の縮合架橋反応による材料またはポリマーの硬化性部分の硬化または加硫を意味する。
【0024】
本発明は、ポリマー鎖に結合したペンダントアルコキシ基または他の湿気反応性シリル官能基を含むポリアクリレートポリマーを当業界に提供するものである。このポリアクリレートポリマーを、湿気および酸捕捉剤、湿気硬化触媒、フィラーおよび接着促進剤などの他の成分と組み合わせると、湿気硬化性組成物を提供する。本発明の湿気硬化性組成物に使用される前記ポリアクリレート組成物を構成する特定の湿気反応性シリル官能性アクリルモノマーおよびビニルモノマーの選択および相対量は、シーラントの所望の最終特性および企図される最終用途に依存する。ポリマー骨格上のペンダント湿気硬化性官能基の調整可能な濃度は、必要に応じてシーラントの硬化速度をより速くするであろう。所望の特性を達成するためのポリアクリレートポリマー組成物中のアクリルモノマーおよびビニルモノマーならびにそれらの相対量は、当業者の専門知識の範囲内である。本発明は、貯蔵安定ペンダント基湿気硬化性シリル基を有し、湿気硬化することができる新規の種類のポリアクリレート組成物を当業者に提供するものである。特に、このポリマーは、150℃において500時間以上、1000時間以上の耐油性を示す。
【0025】
本発明の一実施形態では、ペンダント湿気硬化性官能基を有するポリアクリレートポリマーは、 以下:
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)、および
iii.0.1~10重量%のCH2=CR1COOR4SiR5
4-nYn(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
を重合することによって調製される。
【0026】
本発明のさらに別の態様は、湿気硬化性ポリアクリレートポリマーを形成する方法に関し、該方法は、以下の工程:
1)以下を約4~24時間、約50~約120℃の反応温度で重合する工程:
a.40~90重量%の以下の混合物
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
iii.0.1~10重量%のCH2=CR1COOR4SiR5
4-nYn(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
e.10~60重量%の式HOR6(式中、R6はC1-4直鎖または分枝アルキル鎖である。)のアルコール、
f.0~60重量%の式R7COOR8(式中、R7およびR8は独立してC1-4アルキル鎖である。)のエステル、
g.0.01~5%のアゾまたは過酸化物ラジカル開始剤。
2)約10~30psiの真空下、約50~約120℃の温度で、溶媒および揮発性物質を除去する工程
を含み、かつ
得られたポリアクリレートポリマーは、約1,000g/mol~約100,000g/molの重量平均分子量(Mw)および約1.5~10のPDIを有する。
【0027】
上記の成分(i)、(ii)および(iii)のモノマーは、重合によりポリアクリレートに変換される。重合のために、モノマーは、得られるポリマーがポリアクリレートとして使用できるように、特に、得られるポリマーが、Robert C. Klingender編”Handbook of Specialty Elastomers”、および、Peter W. Duftonによる“Specialty and High Performance Rubber: Materials in Use and Their marketplace”に従う耐油特性を有するように選択される。これらの用途では、得られるポリマーの静的ガラス転移温度は、有利には約-25℃未満~約-30℃であろう。
【0028】
CH2=CR1COOR2の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体の例としては、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、およびn-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、および、分岐(メタ)アクリル異性体、例えばi-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0029】
構造CH2=CR1COOXR3を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体の例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0030】
式CH2=CR1COOR4SiR5
4-nYnを有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の例としては、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシプロピルSi(OCHCH3CON(CH3)2)3、(メタ)アクリロキシプロピルSi(OCHCH3COOCH2CH3)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0031】
ポリアクリレートポリマーは、フリーラジカル、アニオン、およびカチオン技術などのよく知られている重合技術を用いた溶液、乳化、またはバルク重合手順によって調製することができる。次いで、このポリマーを、溶媒の除去、ラテックスの凝固、または溶融処理の後に、ニートポリマーに形成することができる。
【0032】
重合は、1または複数の有機溶媒の存在下で調製される。好適な有機溶媒または溶媒の混合物は、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、およびイソオクタンなどのアルカン;ベンゼン、トルエン、およびキシレンなどの芳香族炭化水素;酢酸エチル、プロピル、ブチル、およびへプチルなどのエステル;クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、およびエチレングリコールなどのアルコール;THF、ジエチルエーテル、ジブチルエーテルなどのエーテル;またはこれらの混合物が挙げられる。
【0033】
プロセスの有利な一実施形態では、重合反応は、ラジカル開始剤としてAIBNを使用してイソプロパノール中で進行する。他の変形例では、重合反応は、イソプロパノールと酢酸エチルの混合物を用いて行われる。調製されたアクリルポリマーは、一般に、1,000~2,000,000g/mol、より好ましくは1,000~100,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有するであろう。Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)またはマトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析法(MALDI-MS)により決定される。
【0034】
本発明の別の態様は、以下を含む湿気硬化性組成物に関する:
1)約10~90重量%の以下から調製された湿気硬化性ポリアクリレートポリマー:
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
iii.0.1~10重量%のCH2=CR1COOR4SiR5
4-nYn(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
2)約5~約90%の微細に分割された無機フィラーまたはフィラーの混合物;
3)約0.001~約0.5重量%の湿気または酸捕捉剤、またはそれらの組み合わせ;
4)約0.001~約5重量%の湿気硬化触媒;および
5)任意に、最大約10重量%の架橋剤、接着促進剤、可塑剤、酸捕捉剤、顔料、阻害剤、および/または防臭剤。
【0035】
湿気硬化性ポリアクリレートポリマーから1重量%未満、好ましくは0.1重量%未満の含有量まで溶剤を除去し、次にフィラーおよび湿気硬化触媒が添加される。このプロセスは、好ましくは、バッチ反応器、または、プラネタリーミキサー、濃縮押出機、例えばベント押出機、リング押出機、単軸押出機、または二軸押出機などで行われ、これらは全て当業者に知られている。
【0036】
本発明で有用なフィラーは、微細に分割された無機フィラーである。「微細に分割された」とは、フィラーの平均粒子径が約5ミクロン未満であることを意味する。有利には、無機フィラーは、約0.2~約2.0ミクロンの平均粒子径を有する。特に有利な実施形態では:i)無機フィラーの少なくとも約90%が2ミクロン未満の直径を有し;かつii)無機フィラーの少なくとも約65%が1ミクロン未満の直径を有する。フィラーは、全組成物の少なくとも約15%の量で存在してもよい。望ましくは、フィラーは、全組成物の約25重量%~約80重量%、より望ましくは約25重量%~約60重量%の量で存在する。
【0037】
本発明の湿気硬化性ポリアクリレート組成物は、最終硬化組成物に耐油性を付与するのを補助するために、ある種のフィラーを含む。本発明の組成物が使用されることが意図される作業環境において形成されるあらゆる酸性副生成物との反応に利用できるように、フィラーは塩基性の性質を有する。そうすることで、フィラーは、そのような副生成物がエラストマーを劣化させる前に酸性副生成物を中和し、それによって接着保持力を向上させる。これらのフィラーとしては、例えば、リトポン、ケイ酸ジルコニウム、珪藻土、カルシウム粘土、水酸化物、例えば、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、鉄などの水酸化物、炭酸塩、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウム炭酸塩、金属酸化物、例えば、亜鉛、マグネシウム、クロム、ジルコニウム、アルミニウム、チタンの酸化物、および酸化第二鉄、ならびにこれらの混合物が挙げられる。フィラーは、硬化性組成物中に任意の好適な濃度で存在することができる。
【0038】
好ましいフィラーは炭酸カルシウムである。本発明での使用に適した炭酸カルシウムフィラーの商業的に入手可能な例は、Omya,Inc.からOMYACARB(登録商標)UF-FLの商品名で販売されているものである。任意の市販の沈殿炭酸カルシウムを本発明で使用することができる。沈殿炭酸カルシウムは、例えば、全組成物の約5~約50重量%の量で存在するべきである。望ましくは、炭酸カルシウムは、約5~約15重量%の量で存在する。
【0039】
沈殿炭酸カルシウムと共に、本発明の組成物は、また、塩基性フィラー成分、例えば、酸化マグネシウム粒子を含んでもよい。望ましくは、酸化マグネシウムは、全組成物の約5~約50重量%の量、例えば約10~約25重量%の量で存在する。上記の物理的特性を満たす任意の酸化マグネシウムを、本発明に従って使用することができる。望ましくは、本発明の酸化マグネシウムは、Martin Marietta Magnesia Specialties,Inc., Baltimore, MDから市販されているMAGCHEM 50MおよびMAGCHEM 200-ADである。これらの市販のフィラーは、例えば、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、および三酸化硫黄を含めた種々の他の酸化物とともに、約90重量%以上の酸化マグネシウム粒子を含む。
【0040】
望ましいフィラーの別のタイプは、補強用シリカである。シリカはヒュームドシリカであってよく、未処理であっても、疎水性を与えるためにアジュバントで処理されていてもよい。ヒュームドシリカは、実質的な補強効果を得るために、組成物の少なくとも約5重量%のレベルで存在するべきである。最適なシリカ濃度は粒子状シリカの特性に依って変わるが、シリカのチキソトロピー効果は、補強効果が最大になる前に非実用的な高粘度の組成物をもたらすことが観察されている。疎水性シリカはチキソトロピー効果が低い傾向があり、したがって、所望の稠度の組成物により多くの量を含めることができる。したがって、シリカの量を選択する際には、所望の補強効果と実用的な粘度のバランスをとる必要がある。ヘキサメチルジシラザン処理ヒュームドシリカが特に好ましい(Wacker-Chemie,Burghausen,GermanyのHDK2000)。本発明での使用に適したヒュームドシリカの市販の例は、DegussaからAEROSIL R 8200の商品名で販売されているものである。
【0041】
粘度調整により組成物のディスペンシング特性を改変するために、フィラーとしてチキソトロピー剤が望ましい場合がある。チキソトロピー剤は、全組成物の約0.05~約25%の範囲内の量で使用される。このようなチキソトロピー剤の一般的な例としては、ヒュームドシリカが挙げられ、未処理のものでも、その表面の化学的性質を変化させるように処理されたものでもよい。事実上あらゆる補強用ヒュームドシリカを使用することができる。このような処理ヒュームドシリカの例としては、ポリジメチルシロキサン処理シリカおよびヘキサメチルジシラザン処理シリカが挙げられる。このような処理シリカは、例えば、Cabot Corporationからの商品名CABSIL ND-TS、および、Evonik AEROSILからのAEROSIL R805のように、市販されている。未処理シリカのうち、非晶質シリカおよび含水シリカ(hydrous silica)を使用することができる。例えば、市販の非晶質シリカとしては、一次粒子の平均粒子径が約7nmのAEROSIL 300、一次粒子の平均粒子径が約12nmのAEROSIL 200、一次粒子の平均径が約16nmのAEROSIL 130、市販の含水シリカとしては、平均粒子径が4.5nmのNIPSIL E150、平均粒子径が2.0nmのNIPSIL E200A、平均粒子径が1.0nmのNIPSIL E220A(日本シリカ工業株式会社製)などが挙げられる。チキソトロピー剤として用いるのに望ましいその他のフィラーとしては、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、シリカコーティング窒化アルミニウムから構成されるもの、またはそれらを含むものが挙げられる。ヒドロキシル官能性アルコールもチキソトロピー剤として好適であり、例えば、トリメチロールプロパンのトリス[コポリ(オキシプロピレン)(オキシプロピレン)]エーテル、およびBASFから商品名PLURACOL V-10で市販されているポリアルキレングリコールである。
【0042】
他の従来のフィラーも、組成物に塩基性を付与し、製造される最終製品の耐油性硬化機構および接着剤特性に悪影響を及ぼさないという条件で、本発明の組成物に組み込むことができる。一般に、任意の適切な鉱物、炭素質、ガラス、またはセラミックフィラーを使用することができ、沈殿シリカ;粘土;硫酸塩の金属塩;チョーク、石灰粉;沈殿および/または発熱性ケイ酸;リン酸塩;カーボンブラック;クォーツ;ケイ酸ジルコニウム;石膏;窒化ケイ素;窒化ホウ素;ゼオライト;ガラス;プラスチック粉;黒鉛;合成繊維、およびこれらの混合物が挙げられるが、これに限定されない。フィラーは、全組成物の約5~約70重量%の範囲内の量で使用することができる。本発明での使用に適した沈殿シリカフィラーの市販の例は、J.M.Huberから商品名ZEOTHIX 95で販売されている。
【0043】
有機フィラー、特にアクリル樹脂、木質繊維、木粉、おがくず、セルロース、綿、パルプ、綿、木片、刻み藁、および籾殻なども使用することができる。さらに、ガラス繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、ケブラー繊維、またはポリエチレン繊維などの短繊維もまた添加することができる。
【0044】
湿気硬化性ポリアクリレート組成物の保存安定性を高めるために、周囲環境または原材料からあらゆる湿気を除去するために、湿気捕捉剤を添加してもよい。湿気捕捉剤の例としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリエトキシシラン、3-ビニルプロピルトリエトキシシラン、オキシムシラン、例えば、メチル-O,O’,O’’-ブタン-2-オントリオキシモシランまたはO,O’,O’’,O’’’-ブタン-2-オン-テトラオキシモシラン、またはベンズアミドシラン、例えば、ビス(N-メチルベンズアミド)メチルエトキシシラン、またはカルバメートシラン、例えば、カルバメートメチルトリメトキシシラン、またはそれらの組み合わせが挙げられる。メチル、エチルまたはビニルトリメトキシシラン、テトラメチル-またはテトラエチル-エトキシシランの使用もまた可能である。ビニルトリメトキシシランおよびテトラエトキシシランが、コストおよび効率の点で、特に好ましい。組成物は、一般に約6重量%まで含有する。
【0045】
湿気硬化触媒は、湿気存在下で組成物の湿気硬化を開始させる。架橋反応は縮合反応であり、湿気反応性成分間のSi-O-Si共有結合による架橋ネットワークの生成物をもたらす。触媒は、金属触媒であっても非金属触媒であってもよい。本発明で有用な金属触媒の例としては、スズ、チタン、亜鉛、ジルコニウム、鉛、鉄コバルト、アンチモン、マンガン、ビスマス有機金属化合物などが挙げられる。非金属触媒の例としては、アミン、アミジン、およびテトラメチルグアニジンが挙げられる。
【0046】
一実施形態では、ポリアクリレート組成物の湿気硬化を促進するのに有用な湿気硬化触媒は、これらに限定されるものではないが、ジブチルスズジラウレート、ジメチルジネオデカノエートスズ(dimethyldineodecanoatetin)、ジオクチルスズジデシルメルカプチド、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジメトキシド、スズオクトエート、イソブチルスズジトリセロエート(isobutyltintriceroate)、ジブチルスズジオキシド、可溶化ジブチルスズオキシド、ジブチルスズビスジイソオクチルフタレート、ビス-トリプロポキシシリルジオクチルスズ、ジブチルスズビスアセチルアセトン、シリル化ジブチルスズジオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリスウベレート、イソブチルスズトリセレロエート、ジメチルスズジブチレート、ジメチルスズジネオデカノエート、トリエチルスズタルタラート、ジブチルスズジベンゾエート、スズオレエート、スズナフトエート、ブチルスズトリ-2-エチルヘキシルヘキソエート、スズブチレート、ジ-オクチルスズジ-デシルメルカプチド、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジ-オクチルスタンナン、またはジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナンから選択される。好ましい一実施形態では、湿気硬化触媒は、ジメチルジネオデカノエートスズ(Momentive Performance Materials Inc.からFOMREZ UL-28の商品名で入手可能)、ジオクチルスズジデシルメルカプチド(Momentive Performance Materials Inc.からFOMREZ UL-32の商品名で入手可能)、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン(Momentive Performance Materials IncからFOMREZ UL-38の商品名で入手可能)、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン(Momentive Performance Materials IncからFOMREZ UL-50の商品名で入手可能)、およびそれらの組み合わせの群から選択される。より好ましくは、湿気硬化触媒は、ジメチルジネオデカノエートスズである。本発明による湿気組成物において、湿気硬化触媒は、組成物の総重量を基準にして、0.1~5重量%の量で存在する。
【0047】
しかしながら、環境規制機関および指令は、配合製品における有機スズ化合物の使用に対する制限を増加させており、または増加させることが予想される。例えば、0.5重量%を超えるジブチルスズを含む組成物は、現在、生殖IB分類で毒性としてラベルすることが要求されている。ジブチルスズ含有組成物は、今後3年から5年の間に、消費者用途では完全になくすことが提案されている。ジオクチルスズ化合物やジメチルスズ化合物のような代替有機スズ化合物の使用は、将来的にこれらの有機スズ化合物も規制される可能性があるため、短期的な救済計画としてしかみなすことができない。湿気硬化性ポリアクリレート組成物の縮合硬化を促進する非スズ系化合物を特定することは有益であろう。有機スズ触媒の非毒性代替物の例としては、チタンイソプロポキシド、ジルコニウムオクタノエート、鉄オクタノエート、亜鉛オクタノエート、コバルトナフトネート、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンジ-n-ブトキシドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシドビス(2,4-ペンタンジオネート)などが挙げられる。有機スズ触媒の他の非毒性代替物は、アミノ酸化合物をベースとするものである。アミノ酸触媒の例は、N末端に水素以外の基が少なくとも1つ結合しているN-置換アミノ酸であるアミノ酸化合物である。別の実施形態では、本発明は、O末端に結合した水素以外の基を含むO置換アミノ酸である、縮合促進剤としてアミノ酸化合物を採用する硬化性組成物を含み得る。他の好適なアミン触媒としては、例えば、アミノ官能性シランが挙げられる。非毒性の湿気硬化触媒は、湿気硬化をもたらすのに十分な量で採用され、一般に約0.05重量%~約5.00重量%、有利には約0.5重量%~約2.5重量%である。
【0048】
本発明の湿気硬化性組成物は、さらに、1種以上の架橋剤を含んでもよい。架橋剤は、他の架橋剤を用いてもよいが、6官能性シランであってもよい。このような架橋剤の例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリス(N-メチルベンズアミド)シラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、メチルトリス(シクロヘキシルアミノ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルトリス-(メチルイソブチルケトキシミノ)シラン、ビニルトリス-(メチルイソブチルケトキシミノ)シラン、テトラキス-(メチルエチルケトキシミノ)シラン、テトラキス-(メチルイソブチルケトキシミノ)シラン、テトラキス-(メチルアミルケトキシミノ)シラン、ジメチルビス-(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルビニルビス-(メチルエチルケトキシミノ)シラン、メチルビニルビス-(メチルイソブチルケトキシミノ)シラン、メチルビニルビス-(メチルアミルケトキシミノ)シラン、4官能性アルコキシケトキシムシラン、4官能性アルコキシケトキシミノシラン、トリス-またはテトラキス-エノキシラン、トリス-またはテトラキス-乳酸アミドシラン、および、トリス-またはテトラキス-乳酸エステルシランが挙げられる。
【0049】
典型的には、本発明の組成物の中で使用される架橋剤は、全組成物の約1~約10重量%存在する。しかしながら、架橋剤の正確な濃度は、特定の試薬、所望の硬化速度、組成物に使用される湿気硬化性ポリアクリレート組成物の分子量によって変わり得る。
【0050】
湿気硬化性ポリアクリレート組成物の調製は、本発明におけるポリアクリレートポリマーおよび組成物、フィラー、および任意に他の成分を混合することによって行われ得る。この混合プロセスは、適切な分散ユニット、例えば高速ミキサー、プラネタリーミキサーおよびブラベンダーミキサーで行うことができる。すべての場合において、混合物が、望ましくない硬化をもたらす可能性がある湿気と接触しないように注意が払われる。適切な手段は、当技術分野で十分に知られている:真空下または不活性雰囲気下、または保護ガス下での混合、および添加前の個々の成分の乾燥/加熱である。
【0051】
湿気硬化性組成物は、任意選択で、シラン接着促進剤、官能性ポリマーおよび/またはオリゴマー接着促進剤をさらに含むことができる。接着促進剤は、特定の基材(すなわち、金属、ガラス、プラスチック、セラミック、およびそれらの混合物)に対する硬化性ポリアクリレート組成物の接着特性を高めるように作用し得る。任意の適切な接着促進剤が、所定の用途で採用される特定の基材構成要素に応じて、そのような目的のために採用され得る。有用なシラン接着促進剤の例としては、これらに限定されないが、C3-C24アルキルトリアルコキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリスメトキシエトキシシラン、ビニルベンジルプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、β.-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(N-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、(N-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(N-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N-フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-ピペラジニルプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリ[(3-トリエトキシシリル)プロピル]アミン、トリ[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリル)プロピルアミン、ビス(3-トリエトキシシリル)プロピルアミン、およびこれらの混合物、特に好ましくは、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリル)プロピルアミン、ビス(3-トリエトキシシリル)プロピルアミン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0052】
接着促進剤は、典型的には、硬化性ポリアクリレート組成物全体に対して0.2~40重量%、より好ましくは1~20重量%の量で使用されるであろう。
【0053】
本発明の組成物には、未硬化の組成物の所望の作業性および最終硬化組成物の性能を確保するために有効量の可塑剤を添加することができる。適切な可塑剤としては、例えば、トリメチル末端ポリオルガノシロキサン、石油由来の有機油、ポリブテン、アルキルホスフェート、ポリアルキレングリコール、ポリ(プロピレンオキシド)、ヒドロキシエチル化アルキルフェノール、ジアルキルジチオホスフォネート、ポリ(イソブチレン)、ポリ(a-オレフィン)、およびこれらの混合物が挙げられる。可塑剤成分は、硬化したエラストマーにさらなる耐油性を与えることができる。従って、約1~約50重量%、好ましくは約10~約35重量%の選択された可塑剤を、本発明の組成物に組み込むことができる。
【0054】
湿気硬化性ポリアクリレート組成物の貯蔵寿命安定性を高めるために、アクリルモノマーから任意の酸不純物、例えばアクリル酸を除去するための酸捕捉剤を添加してもよい。酸捕捉剤の例としては、ヘキサメチルジシラザン、エチレンオキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0055】
本発明の湿気硬化性組成物は、また、硬化機構やその意図する用途を阻害しない限り、他の添加剤を含有してもよい。例えば、顔料、阻害剤、防臭剤などの従来の添加剤を含有してもよい。
【0056】
本発明の湿気硬化性組成物の反応生成物は、その意図される使用中に油に曝される金属表面を接着、密封、封止するための接着剤またはシーラントとして有用である。また、本発明の湿気硬化性ポリアクリレート組成物は、さまざまな異なる構造形に形成し、次いで付加硬化することができる。このような方法で形成された物品は、耐油性ポリアクリレートベースのエラストマー物品が必要とされる様々な産業において有用である。車両組立産業では、例えば、O-リング、ホース、シール、およびガスケットを、本発明の組成物から形成することができる。耐油性だけでなく、良好なシール特性が必要とされる他の従来の用途も、本発明の湿気硬化性組成物に企図される。
【0057】
本発明のさらに別の態様は、湿気硬化性ポリアクリレート組成物を使用して、ポリアクリレート接着剤およびシーラントを製造する方法に関する。ポリアクリレート接着剤またはシーラント組成物は、本発明におけるポリアクリレートポリマーおよびフィラーを含む。
【0058】
本発明の一態様では、その意図された使用中に油に曝される表面に硬化性湿気硬化性ポリアクリレート組成物を適用する方法が提供される。本発明の組成物が適用される表面は、従来の内燃機関の作業面など、油に曝される任意の表面であり得る。本方法は、本発明の組成物を作業面に塗布することを含む。作業面は、ほとんどの金属、ガラス、および商品用またはエンジニアリングプラスチックなどの様々な材料で構成することができる。本発明のさらに別の態様では、油にさらされた後でも密封されたままである、耐油性メカニカルシールの使用方法が提供される。この方法は、先に述べたような組成物のシール形成量を機械部品の表面上に塗布することを含む。その後、高温条件、例えば、150℃への曝露による付加硬化によって、少なくとも2つの機械表面の間にシールが形成され、その後、シールは、長時間、例えば500時間以上、あるいは1000時間以上も、極端な温度条件下で油にさらされた場合でも十分な性能を維持している。
【0059】
本発明のさらに別の態様では、油との接触および/または油への浸漬後も接着性を維持する耐油性シール部材を使用する方法が提供される。この方法は、本発明による組成物から形成された耐油性シール部材をその間に適用することによって、2つ以上の表面間にシールを形成することを含む。本発明の第2の実施形態に関して、このようなポリアクリレートシーラント組成物における耐油性を向上させる方法が提供される。この方法は、(a)ポリアクリレートシーラントを提供する工程、(b)約0.5μM~約1.5tMの平均粒子径および約50 M2/g~約175 M2/gの平均表面積を有する酸化マグネシウム粒子を含む組成物を少なくとも約5重量%シーラントに組み込む工程、および、(c)ポリアクリレートシーラントを架橋して耐油性エラストマー物品を形成する工程を含む。望ましくは、このシーラント組成物は、約10~約90重量%のポリアクリレートポリマー、約1~約20重量%のヒュームドシリカ、約5~約50重量%の沈殿炭酸カルシウムおよび/または酸化マグネシウム、約1~約10重量%の架橋剤、および約0.05~約5重量%の湿気硬化触媒を含む(これらはそれぞれ、全組成物の重量を基準とする。)。シーラント組成物は、また、例えば、可塑剤、接着促進剤、顔料などを含む他の任意成分を含むこともできる。
【実施例】
【0060】
以下の実施例は、説明のためにのみ提供され、不必要な制限を受けることを望むものではない。
【0061】
ブチルアクリレート(BA)、エチルアクリレート(EA)、2,2’-アゾビス-(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN)、イソプロパノール(IPA)、酢酸エチル、およびジブチルスズジラウレート(DBDTL)はSigma-Aldrichから入手可能である。
【0062】
t-アミルペルオキシピバレート(t-APP、75%、0.5g)は、Akzo Nobelから入手可能である。
【0063】
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MATMS)、およびビニルトリメトキシシランは、Gelest Inc.から入手可能である。
【0064】
SF105Fエンジンオイルは、試験監視センターから入手可能である。
【0065】
すべてのフィラーおよび添加物は、様々なサプライヤーから市販されている。
【0066】
指触乾燥時間(skin-over time)測定値はASTM725に準じて測定した:指触乾燥時間は、標準的な気候条件(25±2℃、相対湿度50±5%)で測定した。サンプルを紙に塗布し、パテナイフで皮膜(skin)に引き伸ばした(厚さ約2mm、幅約7cm)。直ちにストップウォッチを開始した。組成物が指先に付着しなくなるまで、指先で表面を軽く触った。指触乾燥時間を時間単位で記録した。
【0067】
破断伸び、および引張応力値(E弾性率)は、引張試験を用いてASTM 708に準拠して測定した。試験片として、以下の寸法のサンプルダンベル試験片を用いた:厚さ:2±0.2mm;ゲージ幅:10±0.5mm;ゲージ長:約45mm;全長:9cm。試験は、7日間の硬化後に行った。材料から厚さ2mmのフィルムを引き抜いた。このフィルムを標準的な気候条件下で7日間保管し、ダンベルを打ち抜いた。各試験で3個のダンベルを作製した。試験は,標準的な気候条件下で行った。試験片は,測定前に少なくとも20分間試験温度に順化させた(すなわち、保管した)。測定前に、室温でノギスを用いて試験片の厚みを3箇所測定した;すなわち、ダンベルについては、初期ゲージ長内の両端と中央である。その平均値を測定プログラムに入力した。試験片は,長手方向軸が引張試験機の機械軸と一致するように引張試験機にクランプし,狭い部分をクランプせずに,グリップの可能な限り大きな面を把持した。試験速度50mm/分で、ダンベルが予圧<0.1MPaになるように引っ張った。
【0068】
Rheometrics Dynamic Mechanical Analyzer(Model RDA 700)を使用して、弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、およびタンデルタ 対 温度掃引を得た。この装置は、Rhiosソフトウェアバージョン4.3.2によって制御した。直径8mmで約2mmのギャップで離間させた平行板を使用した。サンプルをセットした後、約-100℃まで冷却し、タイムプログラムを開始した。プログラム試験では5℃間隔で温度を上げ、その後各温度で10秒のソークタイムを設けた。コンベクションオーブンは連続的に窒素でフラッシングした。周波数は10rad/sに維持した。試験開始時の初期ひずみは0.05%(プレート外縁部)であった。試験中、正確に測定可能なトルクを維持するために、ソフトウェアの自動ひずみオプションを使用した。このオプションは、ソフトウェアが許容する最大適用ひずみが80%になるように設定した。自動ひずみ調整プログラムで、必要に応じて以下の手順で各温度増分におけるひずみを調整した。トルクが200g-cm未満の場合、ひずみは現在値の25%増加した。トルクが1200g-cm超の場合、ひずみは現在値の25%減少した。トルクが200g-cmから1200g-cmの間では、その温度増分ではひずみに変化はなかった。せん断貯蔵または弾性率(G’)とせん断損失弾性率(G’’)はトルクとひずみのデータからソフトウェアによって計算される。また、それらの比であるG’’/G’(タンデルタとしても知られている)も計算した。ソフトブロックのTgをタンデルタの最大値とした。フロー温度は,弾性率と損失弾性率の値が互いに等しくなる温度:G’’=G’として報告した。
【0069】
例1~8:湿気硬化性ポリアクリレート組成物の調製
【0070】
アクリルポリマー(例1~8)を同様の手順で調製し、そのモノマー成分およびポリマー特性を表1に示す。
【0071】
例7を以下のように調製した:四つ口500mL丸底反応フラスコに、温度制御装置、コンデンサー、オーバーヘッドメカニカルスターラー、2つの添加漏斗および窒素入口/出口を備えつけた。このセットアップを15分間窒素ガスでパージした。添加漏斗の1つに、ブチルアクリレート(165.0g)、エチルアクリレート(132.0g)、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(MATMS、3.0g)のモノマー混合物を投入した。別の漏斗に2,2’-アゾビス-(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN,0.18g)およびイソプロパノール(IPA,45g)の開始剤溶液を投入した。反応フラスコに開始剤2,2’-アゾビス-(2-メチルプロピオニトリル)(AIBN,0.02g)およびIPA(30g)を投入した。反応フラスコを還流まで加熱し、15分間保持した。その後、漏斗内のモノマー混合物を一定速度で2時間かけて連続的に添加した。同時に、漏斗内の開始剤溶液を一定速度で3時間かけて連続的に添加した。完全に添加した後、混合物を還流でさらに1時間撹拌した。t-アミルペルオキシピバレート(t-APP、75%、0.5g)とIPA(20g)のモノマー捕捉剤溶液を開始剤漏斗に投入し、1時間かけて反応混合物に添加し、さらに1時間還流で保持した。反応溶媒および揮発性物質を還流温度で真空下で除去した。得られたポリアクリレートポリマーを、窒素下で室温まで冷却した。湿気捕捉剤ビニルトリメトキシシラン(0.1PPM)を添加し、30分間混合した。最終的に得られたポリアクリレートポリマーは、GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が30500、PDIが2.9であった。
【0072】
【0073】
溶媒として酢酸エチル100gを用いて調製した例1(C)では、高分子量、高粘度のポリマーが得られた。一方、溶媒としてイソプロパノール100gを用いた2(C)では、低分子量、低粘度のポリマーが得られた。2つの溶媒を混合することで、例3(C)のように、高Mw、高粘度のポリマーが生成された。イソプロパノールの含有量を減らすことで、表1の例4~8に示すように、本発明の用途に許容できるMwと粘度が得られ、ポリマー固形分が高く、溶媒のリサイクルが容易で、プロセス効率が向上した。
図1は25℃と60℃におけるポリマーの周波数掃引試験を示し、10
-1~10
1rad/sの周波数範囲にわたり、すべてのポリマーが一定粘度を維持している。
【0074】
【0075】
例1(C)は不安定なポリマーであり、DBDTLを添加しなくてもそれ自体で時間経過とともにゲル化した。一方、例2(C)は、DBDTLを添加しても硬化しなかった。例3(C)は、DBDTLの存在下で硬化が速すぎた。例4~8は、いずれも本発明の用途に良好で扱いやすい硬化速度を示した。表2および
図2に示すように、ポリマー組成物中に湿気反応性モノマーMATMSをより多く配合するとポリマー弾性率G’が増加した。ガラス転移温度Tgは、主にBAおよびEAの主モノマーの比率によって決定される。MATMSが少ないと、ポリマーはより高い引張伸長率を示した。
【0076】
例9
例3(C)のポリマー77部に沈降チョーク9部、カーボンブラック1.3部を加えて混合した。次いで、高度処理された疎水性シリカAerosil 812Sを3部加えた。真空下で十分に混合した後、接着促進剤としてビニルトリメトキシシラン0.5部およびアミノプロピルトリメトキシシラン0.5部を添加した。0.35部のテトラメチルグアニジンと0.35部の湿気硬化スズ触媒(DBDTL)の組み合わせを無水条件下で添加した。全量を室温で混合し、湿気を含まない環境で保存した。
【0077】
例10
例6のポリマー55部に、粉砕チョーク21部、沈殿チョーク7.5部、およびカーボンブラック1部を加えて混合した。次いで、高度処理された疎水性シリカAerosil 812Sを1.5部添加した。真空下で十分に混合した後、接着促進剤としてビニルトリメトキシシラン1部およびアミノプロピルトリメトキシシラン0.5部を添加した。0.25部のテトラメチルグアニジンと0.25部の湿気硬化スズ触媒の組み合わせを無水条件下で添加した。全体を室温で混合し、湿気を含まない環境で保存した。
【0078】
例11
例8のポリマー60部と、粉砕チョーク24部、沈殿チョーク8部、カーボンブラック1部を混合した。その後、高度処理された疎水性シリカAerosil 812Sを1.5部添加した。真空下で十分に混合した後、接着促進剤としてビニルトリメトキシシラン1.2部とアミノプロピルトリメトキシシラン0.6部を添加した。0.25部のチタンアセチルアセトナートと0.25部のチタンアルコキシ湿気硬化触媒の組み合わせを無水条件下で添加した。全体を室温で混合し、湿気を含まない環境で保存した。
【0079】
【0080】
例9~11は、湿気硬化触媒の存在下で硬化させた。空気中25℃、50%RHで1週間硬化させた後、完全に硬化した組成物の試験片を150℃のSF-105エンジンオイル中に1ヶ月間浸漬して老化させた。その後,試験片を油中から取り出し、試験片の完全性の喪失や形状、エンジンオイルに一部または完全に溶解したかなどの劣化を調べた。1000時間耐えた試験片のみ、さらに伸長率および引張特性を試験した。例3(C)ポリマーを用いて調製した例9は、硬化が速すぎたが、高いMwおよび低いMATMS含有量により、低架橋密度となり、良好な伸長率が得られた。例6ポリマーを用いて調製した例10は、高い引張強度を示したが、MATMS含量が高いため、架橋密度が高くなり、低い伸長率を示した。例11は、低MATMS含量で伸長率が改善された。例10および11は、硬化速度が良好であった:すなわち、硬化前に、より長くより多い作業可能時間があった。全体として、例10および11の両方が、良好な妥協した特性を有していた。
【0081】
当業者には明らかなように、本発明では、その精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および変形を行うことができる。本明細書に記載された特定の実施形態は、例としてのみ提供され、本発明は、添付の特許請求の範囲の用語によってのみ、かかる請求項が権利を有する完全な均等物の範囲とともに、制限されるものとする。
【手続補正書】
【提出日】2022-09-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i.20~70重量%のCH
2=CR
1COOR
2(式中、R
1はHまたはCH
3、R
2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH
2=CR
1COXR
3(式中、R
1はHまたはCH
3;XはO、NR
3、S;R
3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、および
iii.0.1~10重量%の
CH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
(式中、R
1はHまたはCH
3;R
4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R
5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
から調製される湿気硬化性ポリアクリレートポリマー。
【請求項2】
(i)第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、n-ペンチルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、n-ヘプチルアクリレート、およびn-オクチルアクリレート、n-ノニルアクリレート、ラウリルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、および、分岐(メタ)アクリル異性体、例えばi-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、ステアリルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、またはそれらの組合せである、請求項1に記載の湿気硬化性ポリアクリレートポリマー。
【請求項3】
(ii)第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の湿気硬化性ポリアクリレート
ポリマー。
【請求項4】
(iii)シラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシプロピルSi(OCHCH
3CON(CH
3)
2)
3、(メタ)アクリロキシプロピルSi(OCHCH
3COOCH
2CH
3)、またはそれらの組み合わせである、請求項1に記載の湿気硬化性ポリアクリレート
ポリマー。
【請求項5】
i.第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、n-ブチルアクリレート、および/または、2-エチルヘキシルアクリレートであり、かつ
ii.第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体が、メチルアクリレート、エチルアクリレート、および/または、メトキシエチルアクリレートである、請求項1に記載の湿気硬化性ポリアクリレートポリマー。
【請求項6】
1)約10~90重量%の以下から調製された湿気硬化性ポリアクリレートポリマー:
i.20~70重量%のCH
2=CR
1COOR
2(式中、R
1はHまたはCH
3、R
2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH
2=CR
1COXR
3(式中、R
1はHまたはCH
3;XはO、NR
3、S;R
3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
および
iii.0.1~10重量%の
CH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
(式中、R
1はHまたはCH
3;R
4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R
5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
2)約5~約90%の微細に分割された無機フィラーまたはフィラーの混合物;
3)約0.001~約0.5重量%の湿気もしくは酸捕捉剤、またはそれらの組み合わせ;
4)約0.001~約5重量%の湿気硬化触媒;ならびに
5)任意に、最大約10重量%の架橋剤、接着促進剤、可塑剤、酸捕捉剤、顔料、阻害剤、および/または防臭剤
を含む湿気硬化性組成物。
【請求項7】
前記フィラーが、ヒュームドシリカ、粘土、炭酸塩の金属塩、硫酸塩、リン酸塩、カーボンブラック、金属酸化物、石英、ケイ酸ジルコニウム、石膏、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ゼオライト、ガラス、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項8】
前記フィラーが、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、および酸化マグネシウムの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項9】
前記フィラーが、シリコーン樹脂、有機フィラー、プラスチック粉末、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項10】
湿気捕捉剤が、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、またはそれらの組み合わせである、請求項6に記載の湿気硬化
性組成物。
【請求項11】
酸捕捉剤が、ヘキサメチルジシラザン、エチレンオキシド、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、またはそれらの組み合わせである、請求項6に記載の湿気硬化
性組成物。
【請求項12】
湿気硬化触媒が、スズ、チタン、亜鉛、ジルコニウム、鉛、鉄コバルト、アンチモン、マンガン、およびビスマスの有機金属化合物、またはアミン、アミジン、グアニジン、またはそれらの組み合わせである、請求項6に記載の湿気硬化
性組成物。
【請求項13】
接着促進剤が湿気反応性シランである、請求項6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項14】
前記湿気反応性シランが、アルコキシシラン、アセトキシシラン、エノキシシラン、オキシミノシラン、アミノシラン、乳酸エステルシラン、乳酸アミドシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項13に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項15】
前記湿気反応性シランが、ビニルトリオキシイミノシラン、ビニルトリアルコキシシラン、およびそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項16】
前記接着促進剤が、トリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の
湿気硬化性組成物。
【請求項17】
請求項6に記載の湿気硬化性組成物の硬化組成物。
【請求項18】
自動車用ガスケットである請求項17に記載の硬化組成物。
【請求項19】
湿気硬化性ポリアクリレートポリマーを調製する方法であって、以下の工程:
1)以下を約4~24時間、約50~約120℃の反応温度で重合する工程
a.40~90重量%の以下の混合物
i.20~70重量%のCH
2=CR
1COOR
2(式中、R
1はHまたはCH
3、R
2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH
2=CR
1COXR
3(式中、R
1はHまたはCH
3;XはO、NR
3、S;R
3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
および
iii.0.1~10重量%の
CH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
(式中、R
1はHまたはCH
3;R
4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R
5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
b.10~60重量%の式HOR
6(式中、R
6はC
1-4直鎖または分枝アルキル鎖である。)のアルコール、
c.0~60重量%の式R
7COOR
8(式中、R
7およびR
8は独立してC
1-4アルキル鎖である。)のエステル、
d.0.01~5%のアゾまたは過酸化物ラジカル開始剤、
2)約10~30psiの真空下、約50~約120℃の温度で、溶媒および揮発性物質を除去する工程
を含み、得られたポリアクリレートポリマーは、約1,000g/mol~約100,000g/molの重量平均分子量(Mw)および約1.5~10のPDIを有する、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
ポリアクリレートポリマーは、以下:
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3,S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、および
iii.0.1~10重量%のCH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐鎖または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
を用いて調製される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明のさらに別の態様は、湿気硬化性ポリアクリレートポリマーを形成する方法に関し、該方法は、以下の工程:
1)以下を約4~24時間、約50~約120℃の反応温度で重合する工程
a.40~90重量%の以下の混合物
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、および
iii.0.1~10重量%のCH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
b.10~60重量%の式HOR6(式中、R6はC1-4直鎖または分枝アルキル鎖である。)のアルコール、
c.0~60重量%の式R7COOR8(式中、R7およびR8は独立してC1-4アルキル鎖である。)のエステル、
d.0.01~5%のアゾまたは過酸化物ラジカル開始剤、
2)約10~30psiの真空下、約50~約120℃の温度で、溶媒および揮発性物質を除去する工程
を含み、
ここで、得られたポリアクリレートポリマーは、約1,000g/mol~約100,000g/molの重量平均分子量(Mw)および約1.5~10のPDIを有する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0011
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0011】
本発明の別の態様は、以下:
1)約10~90重量%の以下から調製された湿気硬化性ポリアクリレートポリマー:
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、および
iii.0.1~10重量%のCH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
2)約5~約90%の微細に分割された無機フィラーまたはフィラーの混合物;
3)約0.001~約0.5重量%の湿気または酸捕捉剤、またはそれらの組み合わせ;
4)約0.001~約5重量%の湿気硬化触媒;および
5)任意に、最大約10重量%の架橋剤、接着促進剤、可塑剤、酸捕捉剤、顔料、阻害剤、および/または防臭剤
を含む湿気硬化性組成物に関する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
本発明の一実施形態では、ペンダント湿気硬化性官能基を有するポリアクリレートポリマーは、 以下:
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)、および
iii.0.1~10重量%のCH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
を重合することによって調製される。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0026】
本発明のさらに別の態様は、湿気硬化性ポリアクリレートポリマーを形成する方法に関し、該方法は、以下の工程:
1)以下を約4~24時間、約50~約120℃の反応温度で重合する工程:
a.40~90重量%の以下の混合物
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、および
iii.0.1~10重量%のCH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体
e.10~60重量%の式HOR6(式中、R6はC1-4直鎖または分枝アルキル鎖である。)のアルコール、
f.0~60重量%の式R7COOR8(式中、R7およびR8は独立してC1-4アルキル鎖である。)のエステル、
g.0.01~5%のアゾまたは過酸化物ラジカル開始剤。
2)約10~30psiの真空下、約50~約120℃の温度で、溶媒および揮発性物質を除去する工程
を含み、かつ
得られたポリアクリレートポリマーは、約1,000g/mol~約100,000g/molの重量平均分子量(Mw)および約1.5~10のPDIを有する。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0030
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0030】
式CH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体の例としては、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルエチル(メタ)アクリレート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシプロピルSi(OCHCH3CON(CH3)2)3、(メタ)アクリロキシプロピルSi(OCHCH3COOCH2CH3)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0034】
本発明の別の態様は、以下を含む湿気硬化性組成物に関する:
1)約10~90重量%の以下から調製された湿気硬化性ポリアクリレートポリマー:
i.20~70重量%のCH2=CR1COOR2(式中、R1はHまたはCH3、R2はC4-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第1のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
ii.20~70重量%のCH2=CR1COXR3(式中、R1はHまたはCH3;XはO、NR3、S;R3はH、C1-2アルキル鎖、またはそれらの組み合わせである。)の構造を有する第2のアクリル酸またはメタクリル酸誘導体、および
iii.0.1~10重量%のCH
2
=CR
1
COOR
4
SiR
5
3-n
Y
n
(式中、R1はHまたはCH3;R4はC1-24直鎖、分岐または環状アルキレン鎖またはアリーレン鎖;R5は、C1-24直鎖、分岐または環状アルキル鎖;Yは、C1-3アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、エステル、アミド、乳酸エステル、乳酸アミド、H、OH、ハロゲン、またはそれらの組み合わせ;n=1、2または3である。)の構造を有するシラン官能性アクリル酸またはメタクリル酸誘導体、
2)約5~約90%の微細に分割された無機フィラーまたはフィラーの混合物;
3)約0.001~約0.5重量%の湿気または酸捕捉剤、またはそれらの組み合わせ;
4)約0.001~約5重量%の湿気硬化触媒;および
5)任意に、最大約10重量%の架橋剤、接着促進剤、可塑剤、酸捕捉剤、顔料、阻害剤、および/または防臭剤。
【国際調査報告】