(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-24
(54)【発明の名称】湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマー及びその使用
(51)【国際特許分類】
C08G 77/44 20060101AFI20230216BHJP
C08L 83/14 20060101ALI20230216BHJP
C08K 5/57 20060101ALI20230216BHJP
C09J 183/07 20060101ALI20230216BHJP
C09J 183/05 20060101ALI20230216BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20230216BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20230216BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20230216BHJP
【FI】
C08G77/44
C08L83/14
C08K5/57
C09J183/07
C09J183/05
C09J11/06
C09J11/04
C09J11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537682
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(85)【翻訳文提出日】2022-08-12
(86)【国際出願番号】 US2020065344
(87)【国際公開番号】W WO2021127001
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 ユーシア
(72)【発明者】
【氏名】ヒレケルー、 アビジット
(72)【発明者】
【氏名】アハーン、 マシュー
(72)【発明者】
【氏名】デカト、 アルフレッド
【テーマコード(参考)】
4J002
4J040
4J246
【Fターム(参考)】
4J002CP042
4J002CP043
4J002CP121
4J002EA006
4J002EA026
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4J246HA28
4J246HA32
(57)【要約】
【解決手段】
本発明は、高温での自動車用油に対する改善された耐性を有する、湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマー及びその組成物を提供する。ネットワークシリコーンポリマーは、末端湿気硬化性官能基と、シロキサン主鎖を湿気硬化性官能基から分離し、シロキサン主鎖の熱分解を防ぐC-C-C結合を含有する部分的に架橋する構造を含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)約10~約98重量%の約1,000g/mol超過、好ましくは約10,000g/mol超過の重量平均分子量を有するビニル末端ポリオルガノシロキサン、
(ii)約1~約20重量%の約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する水素化物末端ポリオルガノシロキサン、
(iii)約0.001~約20重量%のビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物、及び
(iv)約0.00001~約5重量%のヒドロシリル化触媒、
で調製されるネットワークシリコーンポリマーであって、
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、約0.1~0.8であり、
ネットワークシリコーンポリマーの重量平均分子量は、約10,000~3,000,000g/molである、
ネットワークシリコーンポリマー。
【請求項2】
(i)前記ビニル末端ポリオルガノシロキサンが、モノマー(R
1R
2SiO)単位の式を有し、式中、R
1及びR
2は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せである、請求項1に記載のネットワークシリコーンポリマー。
【請求項3】
(ii)前記水素化物末端ポリオルガノシロキサンが、モノマー(R
1R
2SiO)単位を有し、式中、R
1及びR
2は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せである、請求項1に記載のネットワークシリコーンポリマー。
【請求項4】
(iii)前記ビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物が、(R
3R
4SiO)
nの式を有する多官能性環状シロキサンであり、式中、R
3は、ビニル、アリル、H、又はそれらの組合せであり、R
4は、R
3、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、n=3~20である、請求項1に記載のネットワークシリコーンポリマー。
【請求項5】
(iii)前記ビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物が、ケイ素フリーマルチビニル有機化合物である、請求項1に記載のネットワークシリコーンポリマー。
【請求項6】
(iii)前記ビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物が、モノマー(R
1R
2SiO)
m及び(R
3R
4SiO)
q単位の両方の式を有するコポリマーであり、式中、R
1及びR
2は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、R
3は、ビニル、アリル、H、又はそれらの組合せであり、R
4は、R
3、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、m/qの比は約0~200であり、
前記コポリマーが、約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する、請求項1に記載のネットワークシリコーンポリマー。
【請求項7】
前記ネットワークシリコーンポリマーが、約100,000~500,000g/molの重量平均分子量を有する、請求項1に記載のネットワークシリコーンポリマー。
【請求項8】
以下を含む反応生成物から調製される湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマーであって、
(A)以下で調製されるネットワークシリコーンポリマー、
(i)約10~約98重量%の約1,000g/mol超過、好ましくは約10,000g/mol超過の重量平均分子量を有するビニル末端ポリオルガノシロキサン、
(ii)約1~約20重量%の約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する水素化物末端ポリオルガノシロキサン、
(iii)約0.001~約20重量%のビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物、及び
(iv)約0.00001~約5重量%のヒドロシリル化触媒、
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、約0.1~0.8であり、
前記ネットワークシリコーンポリマーの重量平均分子量は、約10,000~3,000,000g/molである、並びに
(B)エンドキャップされたビニル官能性シランCH
2=CH-SiY
nR
3-n、式中、Yは、アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、α-ヒドロキシカルボン酸アミド(-OCR’
2CONR”
2)、α-ヒドロキシカルボン酸エステル(-OCR’
2COOR”)、H、OH、ハロゲン、又はそれらの組合せであり、n=1、2、又は3であり、各R、R’及びR”は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せである、
(A)前記シリコーンポリマーの遊離水素化物官能基に対する(B)前記エンドキャップされたビニル官能性シランのビニル官能基の比が、約1~1.5である、
湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマー。
【請求項9】
(1)以下を含む反応生成物から調製される約10~約90%の湿気硬化性シリコーンポリマーと、
(A)以下で調製されるネットワークシリコーンポリマー、
(i)約10~約98重量%の約1,000g/mol超過、好ましくは約10,000g/mol超過の重量平均分子量を有するビニル末端ポリオルガノシロキサン、
(ii)約1~約20重量%の約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する水素化物末端ポリオルガノシロキサン、
(iii)約0.001~約20重量%のビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物、及び
(iv)約0.00001~約5重量%のヒドロシリル化触媒、
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、約0.1~0.8であり、
前記ネットワークシリコーンポリマーの重量平均分子量は、約10,000~3,000,000g/molである、並びに
(B)エンドキャップされたビニル官能性シランCH
2=CH-SiY
nR
3-n、式中、Yは、アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、α-ヒドロキシカルボン酸アミド(-OCR’
2CONR”
2)、α-ヒドロキシカルボン酸エステル(-OCR’
2COOR”)、H、OH、ハロゲン、又はそれらの組合せであり、n=1、2、又は3であり、各R、R’及びR”は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せである、
(A)前記シリコーンポリマーの遊離水素化物官能基に対する(B)前記エンドキャップされたビニル官能性シランのビニル官能基の比が、約1~1.5である、
(2)約0.00001~約5%の湿気硬化性触媒と、
(3)任意で、約5~約90%の微粉化した無機フィラー又はフィラーの混合物と
を含む、湿気硬化性組成物。
【請求項10】
前記湿気硬化性触媒が、有機チタン化合物、有機スズ化合物、有機アミン、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項9に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項11】
前記フィラーが、ヒュームドシリカ、粘土、炭酸塩の金属塩、硫酸塩、リン酸塩、カーボンブラック、金属酸化物、石英、ケイ酸ジルコニウム、石膏、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ゼオライト、ガラス、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項9に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項12】
前記フィラーが、ヒュームドシリカ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項11に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項13】
前記フィラーが、シリコーン樹脂、有機フィラー、プラスチック粉末、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項12に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項14】
反応性シランをさらに含む、請求項9に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項15】
前記反応性シランが、アルコキシシラン、アセトキシシラン、エノキシシラン、オキシミノシラン、アミノシラン、乳酸エステルシラン、乳酸アミドシラン及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項14に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項16】
前記反応性シランが、ビニルトリオキシミノシラン、ビニルトリアルコキシシラン、及びそれらの組合せを含む、請求項15に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項17】
接着促進剤をさらに含む、請求項9に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項18】
前記接着促進剤が、トリス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)イソシアヌレート、γ-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
接着剤又はシーラントである、請求項9に記載の組成物。
【請求項20】
請求項19の接着剤又はシーラントが自動車用ガスケットである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマー及びその組成物に関する。硬化性ネットワークシリコーンポリマー及び組成物は、高温での石油及び熱に対する耐性を提供し、自動車のガスケット用のシリコーン室温加硫シーラント及び接着剤として特に適している。
【背景技術】
【0002】
硬化性シリコーンポリマー及び組成物は、自動車、建設、高速道路、電子機器及びパッケージアセンブリ、電化製品アセンブリ、並びに消費者向け用途を包含する幅広い用途において、接着剤、シーラント、剥離コーティング、コンフォーマルコーティング、ポッティング化合物、封止材等として有用である。典型的に、これらの用途で使用される硬化性シリコーンポリマー及び組成物は、強度、靭性、硬化速度、弾性率、伸び、及び高温多湿に対する耐性を提供するように調整されている。例えば、硬化性シリコーンポリマー及び組成物は、自動車産業で広く使用されているガスケットに形成することができる。使用中、シリコーン組成物は様々な条件にさらされ、完全性を損なうことなく機能し続ける必要がある。こうした状態の1つとしては、高温でのエンジンオイルへの暴露が挙げられる。
【0003】
室温加硫(RTV)シーラントとしての耐油性シリコーン組成物は、米国特許第5,419,096号、同第4,514,529号、同第4,673,750号、同第4,735,979号、及び同第4,847,396号、並びに国際公開番号WO9319130に記載されている。RTVシリコーン組成物の欠点の1つは、それらの硬化速度が遅いことであり、これは、大量生産が硬化速度に依存する可能性があるシーリング電子モジュール等の特定の用途では商業的に受け入れられない。したがって、硬化速度が改善されたシリコーン組成物が望ましい。また、欧州特許公開第0572148号、並びに米国特許第5,082,886号及び同第4,052,357号に記載されているように、特定のグレードの金属酸化物及び/又は繊維化高炉スラグ繊維をシリコーン組成物に添加して、エラストマー製品に耐油性を付与している。こうした添加により、プロセスが複雑になり、費用が増加する。
【0004】
当技術分野の多くは、シリコーンポリマー及び組成物の解決策を提供するが、湿気硬化性シリコーンポリマーは、「末端基バックバイティング」、「バックバイティング」又は「アンジッピング」反応と呼ばれる当技術分野で周知の現象のために、高温での石油に対する耐性が低い。シリコーンポリマーの「末端基構造」修飾による耐油性を改善するために行われたことはほとんどない。したがって、効率的な湿気硬化を受け、腐食性の酸副生成物を形成せず、同時に、高温での耐油性を提供し、使い果たされたフィラーの使用を回避し、バックバイティング反応による固有のシリコーン主鎖の劣化を防止する、シリコーンポリマーが当技術分野で必要とされている。本発明はこの必要性を満たす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,419,096号
【特許文献2】米国特許第4,514,529号
【特許文献3】米国特許第4,673,750号
【特許文献4】米国特許第4,735,979号
【特許文献5】米国特許第4,847,396号
【特許文献6】国際公開番号WO9319130
【特許文献7】欧州特許公開第0572148号
【特許文献8】米国特許第5,082,886号
【特許文献9】米国特許第4,052,357号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、自動車のパワートレイン及び暖房、換気、空調(HVAC)においてフランジを密封及び接着するための湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマー及びその組成物を提供する。使用中、本発明の硬化シリコーン組成物は、高温、自動車用油、酸を包含する様々な条件にさらされる可能性があり、完全性を損なうことなく機能し続ける。こうした状態の1つとしては、高温でのエンジンオイルへの暴露が挙げられる。
【0007】
本発明の1つの態様は、
(i)約10~約98%の約1,000g/mol超過、好ましくは約10,000g/mol超過の重量平均分子量を有するビニル末端ポリオルガノシロキサン、
(ii)約1~約20%の約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する水素化物末端ポリオルガノシロキサン、
(iii)約0.001~約20%のビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物、及び
(iv)約0.00001~約5%のヒドロシリル化触媒、
で調製されるネットワークシリコーンポリマーであって、
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、約0.1~0.8であり、
シリコーンポリマーの重量平均分子量は、約10,000~3,000,000g/molである、ネットワークシリコーンポリマーに関する。
【0008】
本発明の別の態様は、上記(A)過剰の水素化物官能基を有するシリコーンポリマー及び(B)エンドキャップされたビニル官能性シランCH2=CH-SiYnR3-nの反応生成物から調製される湿気硬化性シリコーンポリマーに関する。式中、Yは、アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、α-ヒドロキシカルボン酸アミド(-OCR’2CONR”2)、α-ヒドロキシカルボン酸エステル(-OCR’2COOR”)、H、OH、ハロゲン、又はそれらの組合せであり、n=1、2、又は3であり、各R、R’及びR”は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、(A)シリコーンポリマーの遊離水素化物官能基に対する(B)エンドキャップされたビニル官能性シランのビニル官能基の比が、約1~1.5である。
【0009】
本発明の別の態様は、以下を含む湿気硬化組成物に関する:
(1)約10~約90%の上記の湿気硬化性シリコーンポリマー、
(2)約0.00001~約5%の湿気硬化性触媒、及び
(3)任意で、約5~約90%の微粉化した無機フィラー又はフィラーの混合物。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、比較例2(三角形の点)と実施例6(正方形の点)の粘度曲線である。
【
図2】
図2は、比較例2(直線)と実施例6(点線)のGPCクロマトグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術的及び科学的用語は、当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾が生じる場合は、定義を包含する本明細書が優先される。本明細書に記載されているものと類似又は同等の方法及び材料を本開示の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法及び材料を以下に説明する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、それらの全体が参照により組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、及び例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0012】
本明細書で使用する場合、用語「含む」は、「から成る」及び「から本質的に成る」という実施形態を包含してよい。本明細書で使用する場合、用語「含む(comprise(s))」、「包含する(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」及びそれらの変形は、指定された成分/工程の存在を必要とし、他の成分/工程の存在を許容する、制約のない過渡的な句、用語、又は単語であることが意図されている。しかしながら、こうした記載は、組成物又は方法を列挙された成分/工程「から成る」及び「から本質的になる」と解釈されるべきであり、これにより、指定された成分/工程とそこから生じる可能性のある不純物のみの存在が可能になり、他の成分/工程は除外される。
【0013】
本明細書の数値は、特にポリマー又はポリマー組成物に関連するため、異なる特性の個々のポリマーを含有してよい組成物の平均値を反映している。さらに、反対の指示がない限り、数値は、有効数字の同数に減らしたときと同じ数値、及び値を決定するために本願明細書で記載した種類の従来の測定技術の実験誤差よりも小さい値だけ記載された値と異なる数値を包含すると理解されるべきである。
【0014】
本明細書に開示される全ての範囲は、記載された終点を含み、独立して組み合わせることができる(例えば、「2~10」の範囲は、終点2及び10、並びに全ての中間値を含む)。本明細書に開示される範囲及び値の終点は、正確な範囲又は値に限定されない。それらは、これらの範囲及び/又は値に近似する値を包含するのに十分に不正確である。本明細書で使用する場合、近似言語を適用して、関連する基本機能を変更せずに変化する可能性のある、定量的表現を変更してよい。したがって、「約」のような1つ又は複数の用語で変更された値は、指定された正確な値に限定されない場合がある。少なくともいくつかの例では、近似言語は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。修飾子「約」は、2つの終点の絶対値によって定義される範囲を開示していると見なす必要もある。例えば、表現「約2~約4」は、範囲「2~4」も開示する。用語「約」は、示された数のプラス又はマイナス10%を指す場合がある。例えば、「約10%」は、9%~11%の範囲を示す場合があり、「約1」は、0.9~1.1を意味する場合がある。「約」の他の意味は、四捨五入等の文脈から明らかである場合があり、例えば、「約1」は、0.5~1.4を意味する場合もある。
【0015】
本明細書で使用する場合、ポリマー又はオリゴマーは、モノマー単位が約1モノマー単位以上で構成される高分子である。「ポリマー」と「オリゴマー」、又は「ポリマーの」と「オリゴマーの」は、本発明において交換可能に使用される。
【0016】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」は、C1~C24の炭素を含有し、部分中の炭素原子間に単一結合のみを含有する線状、環状又は分岐状部分を指し、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、へプチル、2,4,4-トリメチルペンチル、2-エチルヘキシル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-ヘキサデシル、及びn-オクタデシルが挙げられる。
【0017】
本明細書で使用する場合、用語「アリール」は、単一の環(例えば、フェニル)又は複数の縮合(縮合)環を有する6~24個の炭素原子の一価の不飽和芳香族炭素環式基を指し、少なくとも1つの環は、芳香族(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニル、又はアントリル)である。好ましい例としては、フェニル、メチルフェニル、エチルフェニル、メチルナフチル、エチルナフチル等が挙げられる。
【0018】
本明細書で使用する場合、用語「アルコキシ」は、基-O-Rを指し、ここで、Rは上記で定義されたようなアルキルである。
【0019】
本明細書で使用する場合、上記の基は、さらに置換又は非置換であってよい。置換されると、基上の水素原子は、独立してアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロアリシクリル、アラルキル、ヘテロアラルキル、(ヘテロアリシクリル)アルキル、ヒドロキシ、保護されたヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、エステル、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロゲン、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、s-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、保護されたC-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシ、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、一置換及び二置換アミノ基を包含するアミノ、並びにそれらの保護された誘導体から選択される1つ又は複数の基である置換基で置換される。アリールが置換される場合、アリール基上の置換基は、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、及びヘテロシクリルを包含するアリール基に融合した非芳香族環を形成してよい。
【0020】
本明細書における用語「湿気硬化」は、湿気硬化性触媒の存在下で、水又は空気中の湿気によってもたらされる、ポリマー鎖の末端官能基の縮合架橋反応による材料又はポリマーの硬化性部分の硬化又は加硫を指す。
【0021】
本明細書における用語「シリコーンポリマー」は、シロキサンポリマー、ポリオルガノシロキサン、又はポリジメチルシロキサン(PDMS)等のポリジオルガノシロキサンを指す。
【0022】
本発明は、主鎖及び主鎖の分岐部位又は架橋点にC-C-C結合を含有する新しい種類のネットワークシリコーンポリマーを当技術分野に提供する。C-C-C結合を含有するネットワークシリコーンポリマーは、バックバイティング及びアンジッピング反応からの保護を向上させる。ネットワークシリコーンポリマーは、さらに湿気硬化を受け得る官能基でエンドキャップすることができる。
【0023】
シラノール及び/又はアルコキシシリル末端シリコーンポリマーは、湿気硬化触媒の存在下で、空気中で湿気硬化する。それらは、インシーラント及び接着剤として広く使用されている。しかしながら、シラノール又はアルコキシ末端シリコーンポリマーは、ポリマー劣化及び安定性94(2009)第465~495頁で報告されているように、「アンジッピング」又は「鎖バックバイト」及び鎖「シザリング」機構により、高温にて油中で容易に分解及び解重合する。シラノール及び/又はアルコキシシリル末端シリコーンポリマーを加熱すると、その粘度分子量が最初に急激に増加し、これは、シラノール縮合反応によるポリマー鎖末端間の分子間反応に典型的なものである。高温条件が長引くと、シラノール機能が分子内再分布反応を促進する「バックバイト」によりポリマーの分子量が低下し、これにより低分子量の環状シロキサンが生成される。分解プロセスは、通常、老化した油に典型的に存在する酸又は塩基の存在下で悪化する。揮発性の環状三量体及び四量体は、分解温度での速度論的及び熱力学的安定性のために、この断片化及び解重合の最も顕著な生成物である。それらの蒸発は、劣化プロセスの追加の推進力を追加する。モル質量の減少は、揮発の程度に比例することがわかり、アンジッピング反応に特徴的な揮発性物質の形成の段階的な性質を確認する。したがって、PDMSの解重合は、結合エネルギーではなく、主に分子構造と速度論的考察によって支配される。分子内の環状遷移状態の形成が、律速段階である。特定の理論に縛られないが、ケイ素のd軌道への関与は、環状オリゴマーの除去と鎖の短縮につながるシロキサン結合の再配列であると仮定されている。
【0024】
シリコーンポリマー骨格内の線状炭素-炭素-炭素(C-C-C)スペーサーは、シリコーン又は有機成分のいずれかからのビニル又はアリル官能基をシリコーン成分にSi-H官能基を用いてヒドロシリル化することにより容易に実現できる。シリコーンポリマー内部のこのC-C-Cスペーサーは、柔軟なシリコーンポリマー骨格に剛性を提供し、バックバイティング又は鎖シザリング機構によるシリコーンポリマーの劣化を防止する。さらに、C-Cスペーサーはシリコーンポリマーの熱安定性に影響を与える。シリコーンポリマーの他の有用な剛性スペーサーとしては、二価のアルキレン、アリーレン、オキシアルキレン、オキシアリーレン、シロキサン-アルキレン、シロキサン-アリーレン、エステル、アミン、グリコール、イミド、アミド、アルコール、カーボネート、ウレタン、尿素、硫化物、エーテル、又はそれらの誘導体若しくは組合せを有する環状又は分岐リンクが挙げられる。環状アルキルのような堅いスペーサーを導入する簡単な方法は、Si-H含有シリコーンポリマーを用いたTVCH等の複数のビニル官能性有機化合物のヒドロシリル化によるものである。
【0025】
本発明のC-C-C結合を含有する3Dネットワーク構造を有するシリコーンポリマーは、鎖バックバイティング又は鎖シザリング機構を介する線状シリコーンポリマーよりも分解に対してより耐性があるだけでなく、優れた熱安定性を有する。特に、ポリマーは150℃で1000時間以上の耐油性の向上を示す。また、ネットワーク構造は、シーラントと接着剤の塗布に初期のグリーン強度を提供した。通常、湿気硬化プロセスは遅いプロセスであり、完全な接着強度を達成するには数時間から数日かかる。したがって、注意深く設計されたネットワークシリコーンポリマーは、さまざまな用途に優れた初期強度を提供する。
【0026】
本発明の1つの態様は、以下から調製されるシリコーンポリマーに関する。
(i)約10~約98%の約1,000g/mol超過、好ましくは約10,000g/mol超過の重量平均分子量を有するビニル末端ポリオルガノシロキサン、
(ii)約1~約20%の約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する水素化物末端ポリオルガノシロキサン、
(iii)約0.001~約20%のビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物、及び
(iv)約0.00001~約5%のヒドロシリル化触媒、
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、約0.1~0.8であり、
ネットワークシリコーンポリマーの重量平均分子量は、約10,000~3,000,000g/mol、好ましくは約100,000~500,000g/molである。
【0027】
ビニル末端ポリオルガノシロキサンポリマーは、α,ω-エンドキャップビニル基を有する。ポリオルガノシロキサンポリマーは、少なくとも2つ以上の(R’R”SiO)単位を有し、式中、R’及びR”は、独立してアルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、ビニル、又はそれらの組合せである。ポリオルガノシロキサンポリマーの例は、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンである。好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサンポリマーは、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリ(3,3,3-トリフルオロプロピルメチル)シロキサン、又はそれらの混合物のポリマー又はコポリマーである。最も好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサンポリマーは、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。ビニル末端ポリオルガノシロキサンポリマーは、約1,000g/mol超過、好ましくは約10,000g/mol超過の重量平均分子量(Mw)を有する。
【0028】
本発明の実施形態の1つでは、2つの別個の分離したビニル末端シロキサンポリマーを使用して、シリコーンポリマー生成物を形成する。第1ビニル末端シロキサンポリマーは、重量平均分子量(Mw)が100,000g/モルを超える、好ましくは約120,000~約10,000,000g/モルの高分子量シロキサンポリマーである。高分子量のシロキサンポリマーは、凝集力、接着性、及び伸びを提供する。第2ビニル末端シロキサンポリマーは、重量平均分子量(Mw)が100,000g/モル未満、好ましくは約5,000~約70,000g/モルである低分子量ポリマーである。第2ビニル末端シロキサンポリマーは、接着剤の調整可能な架橋密度と粘度を提供する。高分子量及び低分子量の反応性シロキサンポリマーは、シリコーンポリマー及び組成物の架橋密度、弾性率、及び粘度を調節するために一緒に使用される。
【0029】
水素化物末端ポリオルガノシロキサンポリマーは、α,ω-エンドキャップH基を有する。ポリオルガノシロキサンポリマーは、少なくとも2つ以上(R’R”SiO)単位を有し、式中、R’及びR”は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、ビニル、又はそれらの組合せである。ポリオルガノシロキサンポリマーの例は、ポリジアルキルシロキサン、ポリジアリールシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンである。好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサンポリマーは、ポリジメチルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリ(3,3,3-トリフルオロプロピルメチル)シロキサン、又はそれらの混合物のポリマー又はコポリマーである。最も好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサンポリマーは、H末端ポリジメチルシロキサン(PDMS)である。
【0030】
水素化物末端シロキサンポリマーは、約100,000g/mol未満、好ましくは約50,000g/mol未満、より好ましくは10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する。
【0031】
ネットワークシリコーンポリマーを作成するために使用されるビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物又は、ビニル多官能性有機化合物を含有する有機化合物、又は式(R3R4SiO)nを含有する環状シロキサンのいずれかであることができる。式中、R3は、ビニル、アリル、H、又はそれらの組合せであり、R4は、R3、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、又はトリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、n=3~20である。ビニル又はアリル多官能性有機化合物を含有する有機化合物の例は、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン、トリアリルオキシトリアジン、トリアリルベンゼントリカルボキシレート、テトラビニルシラントリビニルメチルシラン、テトラビニルシラン、トリビニルエトキシシラン、トリス(トリメチル)シランである。多官能性ビニル又は式(R3R4SiO)n(式中、R3は、ビニル、アリル、H、又はそれらの組合せであり、R4は、R3、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、又はトリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、R4はR3である)を含有するSiHを含有する環状又は線状シロキサンの例は、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、テトラビニルジメチルジシロキサン、1,3,5-11,2,5,5;トリス(ビニルジメチルシロキシ)メチルシラン、1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5-トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5-トリビニル-1,1,3,5,5-ペンタメチルトリシロキサン、ビニルメチルシロキサンホモポリマー、ビニルメチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、メチルヒドロシロキサンホモポリマー、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー、ビニルQ樹脂、ビニルT樹脂、水素化物Q樹脂、水素化物T樹脂である。
【0032】
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、以下のように定義される。
【0033】
【0034】
そのため、シリコーンポリマーには過剰な水素化物官能基が存在する。
【0035】
シリコーンポリマーは、典型的に、適切なヒドロシリル化触媒の存在下でニートで(そのままで)形成される。有機溶剤は必要ない。1つの実施形態では、シリコーンポリマーは、約25~150℃の反応温度で約1~24時間、全ての成分を反応させることによって調製される。
【0036】
本発明のヒドロシリル化触媒は、Pt、Rh、Ruの遷移金属錯体である。好ましい触媒は、スペイアの触媒H2PtCl6、又はカルシュテットの触媒、又は任意のアルケン安定化白金(0)である。初期の主族金属、ボラン及びホスホニウム塩、並びにN-複素環式カルベンを包含する非遷移金属触媒の有用性も開示されている。
【0037】
本発明の別の態様は、上記(A)過剰の水素化物官能基を有するシリコーンポリマー及び(B)エンドキャップされたビニル官能性シランCH2=CH-SiYnR3-nの反応生成物から調製される湿気硬化性シリコーンポリマーに関する。式中、Yは、アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、α-ヒドロキシカルボン酸アミド(-OCR’2CONR”2)、α-ヒドロキシカルボン酸エステル(-OCR’2COOR”)、H、OH、ハロゲン、又はそれらの組合せであり、n=1、2、又は3であり、各R、R’及びR”は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、(A)シリコーンポリマーの遊離水素化物官能基に対する(B)エンドキャップされたビニル官能性シランのビニル官能基の比が、約1~1.5である。
【0038】
湿気硬化性シリコーンポリマーを作成するために使用されるエンドキャップされたビニル官能性シランは、式CH2=CH-SiYnR3-nを有し、式中、Rは独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、Yは、アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、アミド、乳酸アミド、乳酸エステル、エステル、ハロゲン、nは1~3である。ビニル-SiYnSiR3-nシランの例は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等である。ビニル-SiYnSiR3-nは、典型的にシリコーンポリマーの0.01~30重量%、より好ましくは0.1~20重量%の量で使用されるであろう。
【0039】
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、次のように定義される。
【0040】
【0041】
シリコーンポリマーの有用な湿気硬化部分には、当業者に周知であるように、通常、アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、乳酸塩アミド、乳酸塩エステル、H、又はハロゲンの置換基を含むシリル基が包含される。
【0042】
湿気硬化型シリコーンポリマーは、典型的に、ニートで(そのままで)形成され、有機溶剤は必要ない。ネットワークシリコーンポリマーは、最初に上記のように調製される。約0.1~約10%のビニル官能性シランCH2=CH-SiYnR3-n及び追加の約0.00001~約5%のヒドロシリル化触媒を添加し、約25~150℃でさらに1~24時間反応させる。
【0043】
本発明の更に別の態様は、以下を含む湿気硬化組成物に関する。
(1)約10~約90%の上記の湿気硬化性シリコーンポリマー、
(2)約0.00001~約5%の湿気硬化性触媒、及び
(3)任意で、約5~約90%の微粉化した無機フィラー又はフィラーの混合物。
【0044】
本発明の湿気硬化性シリコーン組成物に使用される湿気硬化触媒は、湿気硬化を触媒及び促進するのに有用であることが当業者に知られているものを含有する。触媒は、金属触媒及び非金属触媒であり得る。本発明において有用な金属触媒の例としては、スズ、チタン、亜鉛、ジルコニウム、鉛、鉄コバルト、アンチモン、マンガン及びビスマス有機金属化合物が挙げられる。非金属系触媒の例としては、アミン、アミジン、及びテトラメチルグアニジンが挙げられる。
【0045】
実施形態の1つでは、シリコーン組成物の湿気硬化を促進するのに有用な湿気硬化触媒は、ジブチルスズジラウレート、ジメチルジネオデカノエートチン、ジオクチルスズジデシルメルカプチド、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジメトキシド、オクタン酸スズ、イソブチルスズトリセロエート、ジブチルスズオキシド、可溶化ジブチルスズオキシド、ジブチルスズビスジイソオクチルフタレート、ビス-トリプロポキシシリルジオクチルスズ、ジブチルスズビス-アセチルアセトン、シリル化ジブチルスズジオキシド、カルボメトキシフェニルスズトリス-ウベレート、イソブチルスズトリセロエート、ジメチルスズジブチレート、ジメチルスズジ-ネオデカノエート、酒石酸トリエチルスズ、ジ安息香酸ジブチルスズ、オレイン酸スズ、ナフテン酸スズ、ブチルスズトリ-2-エチルヘキシルヘキソエート、スズブチレート、d-イオクチルスズd-イデシルメルカプチド、ビス(ネオデカノイルオキシ)d-イオクチルスタンナン、又はジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナンから選択されるが、これらに限定されない。好ましい実施形態の1つでは、湿気硬化性触媒は、ジメチルジネオデカノアテチン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社から商品名FOMREZ UL-28で入手可能)、ジオクチルスズジデシルメルカプチド(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社から商品名FOMREZ UL-32で入手可能)、ビス(ネオデカノイルオキシ)ジオクチルスタンナン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社から商品名FOMREZ UL-38で入手可能)、ジメチルビス(オレオイルオキシ)スタンナン(モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社から商品名FOMREZ UL-50で入手可能)、及びそれらの組合せの群から選択される。より好ましくは、湿気硬化性触媒はジメチルジネオデカノエートチンである。本発明による湿気組成物において、湿気硬化触媒は、組成物の総重量に基づき、0.1~5重量%の量で存在する。
【0046】
しかしながら、環境規制当局及び指令は、配合製品での有機スズ化合物の使用に対する制限を強化しているか、又は強化すると予想されている。例えば、0.5重量%超過のジブチルスズを含む組成物は、現在、生殖IB分類で有毒であると表示する必要がある。ジブチルスズ含有組成物は、今後3~5年の間に消費者向け用途で完全に段階的に廃止されることが提案されている。ジオクチルスズ化合物やジメチルスズ化合物等の代替有機スズ化合物の使用は、これらの有機スズ化合物も将来規制される可能性があるため、短期的な改善計画としてのみ検討できる。湿気硬化性シリコーン組成物の凝縮硬化を加速する非スズ系化合物を特定することは有益であろう。有機スズ触媒の非毒性代替物の例としては、チタンイソプロポキシド、ジルコニウムオクタノエート、鉄オクタノエート、亜鉛オクタノエート、ナフテン酸コバルト、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンジ-n-ブトキシドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシドビス(2,4-ペンタンジオネート)等が挙げられる。有機スズ触媒の他の非毒性代替物は、アミノ酸化合物に基づく。アミノ酸触媒の例は、アミノ酸化合物が、N末端に結合した水素以外の少なくとも1つの基を含むN置換アミノ酸である。別の実施形態において、本発明は、アミノ酸化合物が、O末端に結合した水素以外の基を含むO置換アミノ酸である、縮合促進剤としてアミノ酸化合物を使用する硬化性組成物を包含してよい。他の適切なアミン触媒としては、例えば、アミノ官能性シランが挙げられる。非毒性の湿気硬化触媒は、湿気硬化を達成するのに十分な量で使用され、これは、一般に約0.05重量%~約5.0重量%であり、有利には約0.5重量%~約2.5重量%である。
【0047】
本発明において有用なフィラーは、微粉化した無機フィラーである。「微粉化した」とは、フィラーの平均粒子径が約5ミクロン未満であることを意味する。有利には、無機フィラーは、約0.2~約2.0ミクロンの平均粒子直径を有する。特に有利な実施形態では、i)無機フィラーの少なくとも約90%が2ミクロン未満の直径を有し、ii)無機フィラーの少なくとも約65%が1ミクロン未満の直径を有する。フィラーは、全組成物の少なくとも約15重量%の量で存在してよい。フィラーは、全組成物の望ましくは約25重量%~約80重量%、より望ましくは約25重量%~約60重量%の量で存在する。
【0048】
本発明のシリコーン組成物は、最終硬化組成物に耐油性を与えるのを助けるための特定のフィラーを包含する。フィラーは本質的に塩基性であるため、本発明の組成物が使用されることが意図されている作業環境で形成される任意の酸性副生成物と反応することができる。そうすることにより、フィラーは、酸性副産物がエラストマーを劣化させる前に酸性副産物を中和し、それによって接着保持を改善する。これらのフィラーとしては、例えば、リトポン、ケイ酸ジルコニウム、珪藻土、カルシウム粘土、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化鉄等の水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、及び炭酸マグネシウム等の炭酸塩、亜鉛、マグネシウム、クロム、ジルコニウム、アルミニウム、チタン、酸化鉄の金属酸化物等の金属酸化物、並びにそれらの混合物が挙げられる。フィラーは、硬化性組成物中の任意の適切な濃度で組成物中に存在してよい。
【0049】
好ましいフィラーは炭酸カルシウムである。本発明での使用に適した炭酸カルシウムフィラーの市販の例は、オムヤ社によって商品名OMYACARB(登録商標)UF-FLで販売されている。任意の市販の沈殿炭酸カルシウムを本発明で使用することができる。沈殿炭酸カルシウムは、例えば、全組成物の約5~約50重量%の量で存在するべきである。望ましくは、炭酸カルシウムは、約5~約15重量%の量で存在する。
【0050】
本組成物はまた、沈殿炭酸カルシウムとともに、望ましくは、塩基性フィラー成分である酸化マグネシウム粒子を包含してよい。望ましくは、酸化マグネシウムは、全組成物の約5~約50重量%、例えば約10~約25重量%の量で存在する。上記の物理的特性を満たす任意の酸化マグネシウムを本発明に従って使用してよい。望ましくは、本発明の酸化マグネシウムは、マグケム50M及びマグケム200-ADであり、メリーランド州ボルチモアのマーティンマリエッタマグネシアスペシャリティーズ社から市販されている。これらの市販のフィラーは、約90重量%以上の酸化マグネシウム粒子を、例えば、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム及び三酸化硫黄を包含する様々な他の酸化物と共に含有する。
【0051】
別の種類の望ましいフィラーは強化シリカである。シリカはヒュームドシリカであってよく、それは未処理であってよく又は疎水性にするためにアジュバントで処理されてよい。ヒュームドシリカは、実質的な補強効果を得るために、組成物の少なくとも約5重量%のレベルで存在する必要がある。最適なシリカレベルは特定のシリカの特性によって異なるが、シリカのチキソトロピー効果により、最大の強化効果に達する前に非実用的な高粘度の組成物が生成されることが一般的に観察されている。疎水性シリカはチキソトロピー効果が低い傾向があるため、望ましい整合性の組成物に多くの量を含有させることができる。したがって、シリカレベルを選択する際には、望ましい補強と実際の粘度とのバランスをとる必要がある。ヘキサメチルジシラザンで処理されたヒュームドシリカが特に望ましい(ドイツのブルクハウゼンのワッカー・ケミーによるHDK2000)。本発明での使用に適したヒュームドシリカの市販の例は、デグサによって商品名エアロジル R8200で販売されている。
【0052】
粘度調整によって組成物の分配特性を変更するには、チキソトロピー剤が望ましい場合がある。チキソトロピー剤は、全組成物の約0.05~約25重量%の範囲内の量で使用される。前述のように、こうしたチキソトロピー剤の一般的な例としては、ヒュームドシリカが挙げられ、未処理であってよく、又それらの表面の化学的性質を変えるために処理してよい。事実上、あらゆる強化ヒュームドシリカを使用してよい。こうした処理されたヒュームドシリカの例としては、ポリジメチルシロキサン処理されたシリカ及びヘキサメチルジシラザン処理されたシリカが挙げられる。こうした処理されたシリカは、例えば、商品名カボシルND-TS、及びエアロジルR805等のエボニックエアロジルでキャボット社から市販されている。未処理のシリカのうち、アモルファスおよび含水シリカを使用することができる。未処理のシリカのうち、アモルファス及び含水シリカを使用してよい。例えば、市販のアモルファスシリカとしては、一次粒子の平均粒子径約7nmを有するエアロジル300、一次粒子の平均粒子径約12nmを有するエアロジル200、一次粒子の平均粒子径約16nmを有するエアロジル130が挙げられ;市販の含水シリカとしては、平均粒子径4.5nmを有するニプジルE150、平均粒子径2.0nmを有するニプジルE200A、及び平均粒子径1.0nmを有するニプジルE220A(日本シリカ工業社製)が挙げられる。チキソトロピー剤として使用するための他の望ましいフィラーとしては、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、及びシリカ被覆窒化アルミニウムで構成されるもの、又はそれらを含有するものが挙げられる。ヒドロキシル官能性アルコールは、トリメチロールプロパンのトリス[コポリ(オキシプロピレン)(オキシプロピレン)]エーテル、及び商品名プルラコールV-10でBASFから市販されているポリアルキレングリコール等のチキソトロピー剤としても適している。
【0053】
他の従来のフィラーもまた、それらが組成物に塩基性を与え、それから製造される最終物の耐油性硬化機構及び接着特性に悪影響を及ぼさないという条件で、本組成物に組み込むことができる。一般に、沈降シリカ、粘土、硫酸塩の金属塩、チョーク、ライムパウダー、沈殿及び/又は発熱性ケイ酸、リン酸塩、カーボンブラック、石英、ケイ酸ジルコニウム、石膏、窒化ケイ素、窒化ホウ素、ゼオライト、ガラス、プラスチック粉末、黒鉛、合成繊維及びそれらの混合物を包含するがこれらに限定されない任意の適切な鉱物、炭素質、ガラス、又はセラミックフィラーを使用してよい。フィラーは、全組成物の約5~70重量%の範囲内の量で使用してよい。本明細書での使用に適した沈降シリカフィラーの市販の例は、J.M.フーバーによって商品名ゼオチックス95で販売されている。
【0054】
有機フィラー、特にシリコーン樹脂、木材繊維、木粉、おがくず、セルロース、綿、パルプ、綿、木片、刻んだわら、及びもみ殻も使用できる。さらに、ガラス繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、ケブラー繊維、又はポリエチレン繊維等の短繊維も加えることができる。
【0055】
シリコーン組成物は、任意で、シラン接着促進剤、機能性ポリマー及び/又はオリゴマー接着促進剤をさらに含むことができる。接着促進剤は、特定の基材(すなわち、金属、ガラス、プラスチック、セラミック、及びそれらのブレンド)に対する硬化性シリコーン組成物の接着特性を高めるように作用する可能性がある。所与の用途で使用される特定の基材要素に応じて、こうした目的のために任意の適切な接着促進剤を使用してよい。有用なシラン接着促進剤の例としては、C3-C24アルキルトリアルコキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリスメトキシエトキシシラン、ビニルベンジルプロピルメトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、ビニルアセトキシシラン、グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、(N-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、(N-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、ジエチレントリアミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルアミノメチルトリメトキシシラン、(N-2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N-フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-ピペラジニルプロピルメチルジメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノプロピル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリ[(3-トリエトキシシリル)プロピル]アミン、トリ[(3-トリメトキシシリル)プロピル]アミン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)-プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリル)プロピルアミン、ビス(3-トリエトキシシリル)プロピルアミン、及びそれらの混合物、特に好ましくは3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノメチルトリメトキシシラン、アミノメチルトリエトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリメトキシシラン、(N,N-ジメチルアミノ)メチルトリエトキシシラン、ビス(3-トリメトキシシリル)プロピルアミン、ビス(3-トリエトキシシリル)プロピルアミン、及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
有用な官能性ポリマー及び/又はオリゴマー接着促進剤の例としては、加水分解性PDMSポリマー又はオリゴマー、例えば、トリアルコキシシリル(メタ)アクリレート、ジアルコキシシリル(メタ)アクリレート又はメタクリレート基でエンドキャップされたPDMSが包含されるが、これらに限定されない。
【0057】
接着促進剤は、典型的には、硬化性シリコーン組成物全体の0.2~40重量%、より好ましくは1~20重量%の量で使用されるであろう。
【0058】
シリコーン組成物は、任意で、乾燥剤又は水分スカベンジャーを包含する。適切な乾燥剤の例は、3-ビニルプロピルトリエトキシシラン等のビニルシラン、メチル-O,O',O''-ブタン-2-オントリオキシモシラン又はO,O',O”,O”'-ブタン-2-オン-テトラオキシモシラン等のオキシムシランシラン、ビス(N-メチルベンズアミド)メチルエトキシシラン等のベンズアミドシラン、あるいはカルバマトメチルトリメトキシシラン等のカルバマトシランである。メチル-、エチル-、又はビニル-トリメトキシシラン、テトラメチル-又はテトラエチル-エトキシシランの使用も可能が、ビニルトリメトキシシラン及びテトラエトキシシランは、費用及び効率の観点から特に好ましい。組成物は、一般に約0~約6重量%含む。
【0059】
本組成物において、有効量の可塑剤を添加して、未硬化組成物の所望の作業性及び最終硬化組成物の性能を確実にすることができる。本発明では、シリコーン可塑剤と有機可塑剤の両方を使用することができる。
【0060】
適切な可塑剤としては、例えば、トリメチル末端ポリオルガノシロキサン、石油由来有機油、ポリブテン、アルキルホスフェート、ポリアルキレングリコール、ポリ(プロピレンオキシド)、ヒドロキシエチル化アルキルフェノール、ジアルキルジチオホスホネート、ポリ(イソブチレン)、ポリ(α-オレフィン)及びそれらの混合物が挙げられる。可塑剤成分は、硬化したエラストマーにさらなる耐油性を提供してよい。したがって、約1~約50重量%、好ましくは約10~約35重量%の選択された可塑剤を本発明の組成物に組み込むことができる。
【0061】
本発明のシリコーン組成物はまた、1つ又は複数の架橋剤を包含してよい。架橋剤は六官能性シランであってよいが、他の架橋剤を使用してもよい。こうした架橋剤の例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルトリス(N-メチルベンズアミド)シラン、メチルトリス-(イソプロぺノキシ)シラン、メチルトリス-(シクロヘキシルアミノ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシミノ)シラン、ビニルトリス-(メチルエチルケトシキミノ)シラン、メチルトリス-(メチルイソブチルケトシキミノ)シラン、ビニルトリス-(メチルイソブチルケトシキミノ)シラン、テトラキス-(メチルエチルケトシキミノ)シラン、テトラキス-(メチルイソブチルケトシキシミノ)シラン、テトラキス-(メチルアミルケトシキシミノ)シラン、ジメチルビス-(メチルエチルケトシキミノ)シラン、メチルビニルビス-(メチルエチルケトシキミノ)シラン、メチルビニルビス-(メチルイソブチルケトシキミノ)シラン、メチルビニルビス-(メチルアミルケトシキミノ)シラン、四官能性アルコキシケトキシムシラン、四官能性アルコキシ-ケトシキミノシラン、トリス-又はテトラキス-エノキシシラン、トリス-又はテトラキス-乳酸アミドシラン、及びトリス-又はテトラキス-乳酸エステルシランが挙げられる。
【0062】
典型的に、本組成物で使用される架橋剤は、全組成物の約1~約10重量%で存在する。しかしながら、架橋剤の正確な濃度は、特定の試薬、所望の硬化速度、組成物に使用されるシリコーンポリマーの分子量に応じて変化してよい。
【0063】
本発明のシリコーン組成物はまた、それらが硬化機構又は意図された使用を阻害しない限り、他の添加剤を含有してよい。例えば、顔料、阻害剤、臭気マスク等の従来の添加剤が挙げられる。
【0064】
架橋反応は縮合反応であり、湿気反応性成分間のSi-O-Si共有結合を介して架橋ネットワークの生成物をもたらす。
【0065】
本発明のシリコーンポリマー及び組成物の反応生成物は、それらの意図された使用中に油にさらされる金属表面を結合、密封、カプセル化するための接着剤又はシーラントとして有用である。本発明のシリコーン組成物はまた、多くの異なる構成に形成され、次いで付加硬化されてよい。こうした方法で形成された物品は、耐油性シリコーン系エラストマー物品が必要とされる様々な産業で有用である。車両組立産業では、例えば、Oリング、ホース、シール、及びガスケットを本組成物から形成することができる。本発明の組成物については、良好な密封特性、並びに耐油性を必要とする他の従来の用途も企図されている。
【0066】
C-C-C結合は、硬化した組成物に高温での耐油性を付与する。ネットワークシリコーンポリマー及び組成物は、湿気及び触媒の存在下での凝縮機構によって硬化する。ネットワークポリマーの部分的に架橋された構造は、より短い表面オーバータイムを示し、したがってより良いグリーン強度を示す。シリコーンポリマー及び組成物は、自動車のパワートレインのシーラント及びガスケットとして特に有用である。
【0067】
硬化性シリコーン組成物は、その意図された使用中に油にさらされる表面に塗布してよい。本組成物が適用される表面は、従来の内燃機関の作業面等、油にさらされる任意の面であり得る。この方法は、本発明の組成物を作業面に適用することを包含する。作業面は、ほとんどの金属、ガラス、商品又は工業用プラスチック等、さまざまな材料で構成されてよい。本発明のさらに別の態様では、耐油性のメカニカルシールを使用する方法が提供されており、これは油にさらされた後もシールされたままである。この方法は、前述のようなシール形成量の組成物を機械部品の表面に適用することを包含する。次に、高温条件、例えば150℃にさらすことによって付加硬化することにより、少なくとも2つの機械的表面の間にシールが形成され、その後、シールは、極端な温度条件、例えば500時間超過にわたって油にさらされた場合でも有能である。
【0068】
本発明のさらに別の態様では、油との接触及び/又は油への浸漬後に接着性を維持する耐油性シール部材を使用する方法が提供される。この方法は、本発明による組成物から形成された耐油性シール部材をその間に適用することにより、2つ以上の表面間にシールを形成することを包含する。この方法は、(a)シリコーンシーラントを提供する工程、(b)平均粒子径が約0.5μM~約1.5tM、平均表面積が約50M2/g~約175M2/gの酸化マグネシウム粒子を包含する組成物の少なくとも約5重量%をシーラントに組み込む工程、及び(c)シリコーンシーラントを架橋して耐油性エラストマー製品を形成する工程を包含する。望ましくは、このシーラント組成物は、約10~約90重量%のシリコーンポリマー、約1~約20重量%のヒュームドシリカ、約5~約50重量%の沈殿炭酸カルシウム及び/又は酸化マグネシウム、約1~約10重量%の架橋剤、約0.05~約5重量%の湿気硬化触媒を含み、これらはそれぞれ、全組成物の重量基準である。シーラント組成物はまた、例えば、可塑剤、接着促進剤、顔料等を包含する他の任意の成分を包含することができる。
【0069】
湿気硬化性組成物の調製は、本発明の湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマー、湿気硬化性触媒、フィラー、及び任意で他の成分を混合することによって行うことができる。この混合プロセスは、適切な分散ユニット、例えば、高速ミキサー、遊星ミキサー、及びブラベンダーミキサーで行うことができる。いずれの場合も、混合物が湿気と接触しないように注意。これにより望ましくない硬化を引き起こし得る。適切な手段は当技術分野で十分に知られている:保護ガス下、不活性雰囲気中で混合し、添加前に個々の成分を乾燥/加熱する。
【実施例】
【0070】
ビニル末端PDMS、水素化物末端PDMS、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、カルシュテットの触媒Pt(0)、テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメトキシシラン、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(MeHSiO 6~7モル%)は、ゲレスト社から入手可能である。
【0071】
1,2,4-トリビニルシクロヘキサン及びジブチルスズジラウレートは、シグマ-アルドリッチから入手可能である。
【0072】
ヒュームドシリカは、エボニックから入手可能である。
【0073】
SF105Fエンジンオイルは、テストモニタリングセンターから入手可能である。
【0074】
表面オーバータイム測定:
表面オーバータイムは、標準的な気候条件(25+/-2℃、相対湿度50+/-5%)で決定された。湿気硬化性シリコーンポリマー及び0.01重量%のジブチルスズジラウレート組成物をプラスチックジャー内で混合して、組成物を形成した。ストップウォッチをすぐに開始した。組成物が指先に付着しなくなるまで、表面を指先で軽く触れた。表面オーバータイムを時間単位で記録した。
【0075】
ショア00硬度:
手順は、0.01重量%ジブチルスズジラウレート組成物の存在下で完全に硬化した湿気硬化性シリコーンポリマー上でショアデュロメータを使用して、ASTM D2240-OOに従った。
【0076】
機械的性質(引張試験):
破断点伸び及び引張応力値(E弾性率)を、引張試験を使用してDIN53504に従って決定した。厚さ2+/-0.2mm、ゲージ幅10+/-0.5mm、ゲージ長約45mm、全長9cmの寸法の試料ダンベル標本を試験片として使用した。
【0077】
7日間の硬化後に試験を行った。材料から厚さ2mmのフィルムを引き出した。フィルムを標準的な気候条件で7日間保管後、ダンベルを打ち抜いた。各テストのために3つのダンベルを作成した。標準的な気候条件下で試験を実施した。測定前に、試験片を少なくとも20分間、試験温度に順応させた(すなわち、保管した)。測定前に、ノギスを使用して室温で試験片の厚さを3か所で測定した;すなわち、ダンベルの場合、端部、及び初期ゲージ長の中央。平均値を測定プログラムに入力した。長手方向軸が引張試験機の機械的軸と一致し、狭い部分がクランプされることなくグリップの可能限りの最大の表面が把持されるように、試験片を引張試験機でクランプした。50mm/分の試験速度で、ダンベルに<0.1MPaの予荷重に張力をかけた。
【0078】
(実施例1:ネットワークシリコーンポリマーの調製)
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw55000g/mol)(600g、14mmol)、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(1.2g、3.48mmol)、水素化物末端ポリジメチルシロキサン(Mw1000g/mol)(45g、48mmol)、及びPt(0)(150PPM)の混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を65~70℃に加熱し、3時間混合し続けた。生成物を無色の粘稠な液体として定量的収率で収集した。
【0079】
(比較例2:湿気硬化性線状シリコーンポリマーの調製)
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw140000g/mol)(180.0g、1.5mmol)、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw55000g/mol)(45.0g、1.0mmol)及びPt(0)(200PPM)の混合物を室温で30分間撹拌した。テトラメチルジシロキサン(5.0g、37mmol)を添加して、30分間撹拌した。混合物を60℃に加熱し、3時間混合し続けた。過剰のテトラメチルジシロキサンを60℃の真空下で除去した。ビニルトリメトキシシラン(10.0g、13mmol)を添加して、混合物を60℃で4時間撹拌した。生成物を無色の粘稠な液体として定量的収率で収集した。
【0080】
(実施例3:湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマーの調製)
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw140000g/mol)(520.0g、4.4mmol)、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw55000g/mol)(130.0g、3.0mmol)、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(0.3g、0.87mmol)、及びPt(0)(150PPM)の混合物を室温で30分間撹拌した。テトラメチルジシロキサン(10.4g、77.4mmol)を添加して、30分間撹拌した。混合物を60℃に加熱し、3時間混合し続けた。過剰のテトラメチルジシロキサンを60℃の真空下で除去した。ビニルトリメトキシシラン(3.0g、20.2mmol)を添加して、混合物を60℃で4時間撹拌した。生成物を無色の粘稠な液体として定量的収率で収集した。
【0081】
(実施例4:湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマーの調製)
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw140000g/mol)(520.0g、4.4mmol)、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw55000g/mol)(130.0g、3.0mmol)、メチルヒドロシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー(MeHSiO 6~7モル%、Mn2000g/mol)(0.2g、0.1mmol)、及びPt(0)(150PPM)の混合物を室温で30分間撹拌した。テトラメチルジシロキサン(10.4g、77.4mmol)を添加し、30分間混合した。混合物を60℃に加熱し、3時間混合し続けた。過剰のテトラメチルジシロキサンを60℃の真空下で除去した。ビニルトリメトキシシラン(3.5g、23.6mmol)を添加して、混合物を60℃で4時間撹拌した。生成物を無色の粘稠な液体として定量的収率で収集した。
【0082】
(実施例5:湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマーの調製)
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw140000g/mol)(520.0g、4.4mmol)、ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw55000g/mol)(130.0g、3.0mmol)、1,2,4-トリビニルシクロヘキサン(0.3g、1.8mmol)、及びPt(0)(150PPM)の混合物を室温で30分間撹拌した。テトラメチルジシロキサン(10.4g、77.4mmol)を添加し、30分間混合した。混合物を60℃に加熱し、3時間混合し続けた。過剰のテトラメチルジシロキサンを60℃の真空下で除去した。ビニルトリメトキシシラン(3.5g、23.6mmol)を添加して、混合物を60℃で4時間撹拌した。生成物を無色の粘稠な液体として定量的収率で収集した。
【0083】
(実施例6:湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマーの調製)
ビニル末端ポリジメチルシロキサン(Mw55000g/mol)(600g、14mmol)、1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン(1.2g、3.48mmol)、水素化物末端ポリジメチルシロキサン(Mw1000)(45g、48mmol)及びPt(0)(150PPM)の混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を65~70℃に加熱し、3時間混合し続けた。ビニルトリメトキシシラン(12g、81mmol)を添加して、混合物を65~70℃で3時間撹拌した。生成物を無色の粘稠な液体として定量的収率で収集した。
【0084】
(実施例7:湿気硬化性シリコーンポリマーの性質)
【表1】
【0085】
【0086】
上記の表1に示されるように、実施例3~6のネットワークポリマーは、典型的に、比較例2の線状ポリマーよりも高い重量平均分子量(Mw)、より広い分子量分布(PDI)を有し、同様の粘度を有した。ネットワークポリマーは、0.1%ジブチルスズジラウレートの存在下で線状ポリマーよりも速い表面硬化速度(表面オーバータイム)を示した。
図1に示すように、実施例6のネットワークシリコンポリマー(正方形の点)の粘度は、比較例2の線状シリコンポリマー(三角形の点)よりも速い速度で減少する。
【0087】
実施例3、4及び6のネットワークシリコーンポリマーは、線状ポリマーよりも高いショアOO硬度を有する。実施例5のネットワークシリコーンポリマーは、線状シリコーンポリマーと同様のショアOO硬度値を有し、これは、非シリコーン化合物であるトリビニルシクロヘキサンからの不完全な硬化が原因である可能性があり、より堅いネットワーク構造をもたらす。
【0088】
また、
図2は、比較例2及び実施例6のGPC値を示す。どちらも約115599の同様のピーク平均分子量(Mp)を有するが、実施例6(点線)はより広いPDIを有し、実施例6のポリマーにおける、より低い分子量画分及びより高分子量画分を示す。しかしながら、実施例6は、比較例2(直線)に対してわずかに高い粘度しか有さないが、ネットワーク構造を提供する。
【0089】
比較例2は、線状ポリマーが実施例6のネットワークポリマーよりも高い伸びを有することを示した。ネットワークシリコーンポリマーは、線状ポリマーよりも初期及び老化時の両方でより高い弾性率を有していた。ネットワークシリコーンポリマーの完全に硬化した試料は、150℃で100時間のSF105Fオイルの初期試料及び老化試料の両方で、線状ポリマーよりも低い伸びと高い弾性率を示した。
【0090】
当業者には明らかであるように、本発明の多くの修正及び変形は、その精神及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に記載の特定の実施形態は、例示のためとしてのみ提供されており、本発明は、添付の特許請求の範囲の条件、及びそのような特許請求の範囲が権利を有する同等物の全範囲によってのみ限定されるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)約10~約98重量%の約1,000g/mol超過、好ましくは約10,000g/mol超過の重量平均分子量を有するビニル末端ポリオルガノシロキサン、
(ii)約1~約20重量%の約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する水素化物末端ポリオルガノシロキサン、
(iii)約0.001~約20重量%のビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物、及び
(iv)約0.00001~約5重量%のヒドロシリル化触媒、
で調製されるネットワークシリコーンポリマーであって、
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、約0.1~0.8であり、
ネットワークシリコーンポリマーの重量平均分子量は、約10,000~3,000,000g/molである、ネットワークシリコーンポリマー。
【請求項2】
(i)ビニル末端ポリオルガノシロキサンが、モノマー(R
1R
2SiO)単位の式を有し、式中、R
1及びR
2は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せである、請求項1に記載のネットワークシリコーンポリマー。
【請求項3】
(ii)水素化物末端ポリオルガノシロキサンが、モノマー(R
1R
2SiO)単位を有し、式中、R
1及びR
2は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せである、請求項1に記載のネットワークシリコーンポリマー。
【請求項4】
(iii)ビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物が、モノマー(R
1R
2SiO)
m及び(R
3R
4SiO)
q単位の両方の式を有するコポリマーであり、式中、R
1及びR
2は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、R
3は、ビニル、アリル、H、又はそれらの組合せであり、R
4は、R
3、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、m/qの比は約0~200であり、
前記コポリマーが、約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する、請求項1に記載のネットワークシリコーンポリマー。
【請求項5】
以下を含む反応生成物から調製される湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマー:
(A)以下で調製されるネットワークシリコーンポリマー、
(i)約10~約98重量%の約1,000g/mol超過、好ましくは約10,000g/mol超過の重量平均分子量を有するビニル末端ポリオルガノシロキサン、
(ii)約1~約20重量%の約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する水素化物末端ポリオルガノシロキサン、
(iii)約0.001~約20重量%のビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物、及び
(iv)約0.00001~約5重量%のヒドロシリル化触媒、
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、約0.1~0.8であり、
ネットワークシリコーンポリマーの重量平均分子量は、約10,000~3,000,000g/molである、ネットワークシリコーンポリマー、並びに
(B)エンドキャップされたビニル官能性シランCH
2=CH-SiY
nR
3-nであり、式中、Yは、アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、α-ヒドロキシカルボン酸アミド(-OCR’
2CONR”
2)、α-ヒドロキシカルボン酸エステル(-OCR’
2COOR”)、H、OH、ハロゲン、又はそれらの組合せであり、n=1、2、又は3であり、各R、R’及びR”は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、
(A)シリコーンポリマーの遊離水素化物官能基に対する(B)エンドキャップされたビニル官能性シランのビニル官能基の比が、約1~1.5である、
湿気硬化性ネットワークシリコーンポリマー。
【請求項6】
(1)以下を含む反応生成物から調製される約10~約90%の湿気硬化性シリコーンポリマーと、
(A)以下で調製されるネットワークシリコーンポリマー、
(i)約10~約98重量%の約1,000g/mol超過、好ましくは約10,000g/mol超過の重量平均分子量を有するビニル末端ポリオルガノシロキサン、
(ii)約1~約20重量%の約100,000g/mol未満、好ましくは約10,000g/mol未満の重量平均分子量を有する水素化物末端ポリオルガノシロキサン、
(iii)約0.001~約20重量%のビニル又は水素化物(SiH)多官能性有機化合物、及び
(iv)約0.00001~約5重量%のヒドロシリル化触媒、
水素化物官能基に対するビニル官能基のモル比は、約0.1~0.8であり、
ネットワークシリコーンポリマーの重量平均分子量は、約10,000~3,000,000g/molである、ネットワークシリコーンポリマー、並びに
(B)エンドキャップされたビニル官能性シランCH
2=CH-SiY
nR
3-nであり、式中、Yは、アルコキシ、アリールオキシ、アセトキシ、オキシミノ、エノキシ、アミノ、α-ヒドロキシカルボン酸アミド(-OCR’
2CONR”
2)、α-ヒドロキシカルボン酸エステル(-OCR’
2COOR”)、H、OH、ハロゲン、又はそれらの組合せであり、n=1、2、又は3であり、各R、R’及びR”は、独立して、アルキル、アリール、フルオロアルキル、トリアルキルシリル、トリアリールシリル、又はそれらの組合せであり、
(A)シリコーンポリマーの遊離水素化物官能基に対する(B)エンドキャップされたビニル官能性シランのビニル官能基の比が、約1~1.5である、
(2)約0.00001~約5%の湿気硬化性触媒と、
(3)任意で、約5~約90%の微粉化した無機フィラー又はフィラーの混合物、
を含む、湿気硬化性組成物。
【請求項7】
前記フィラーが、シリコーン樹脂、有機フィラー、プラスチック粉末、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項
6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項8】
反応性シランをさらに含む、請求項
6に記載の湿気硬化性組成物。
【請求項9】
接着剤又はシーラントである、請求項
6に記載の組成物。
【請求項10】
請求項
9の接着剤又はシーラントが自動車用ガスケットである。
【国際調査報告】