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  • 特表-2パート硬化性組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-27
(54)【発明の名称】2パート硬化性組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 4/02 20060101AFI20230217BHJP
   C09J 133/08 20060101ALI20230217BHJP
   C09J 133/10 20060101ALI20230217BHJP
   C09J 133/16 20060101ALI20230217BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20230217BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J133/08
C09J133/10
C09J133/16
C09J11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537862
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-17
(86)【国際出願番号】 US2020065530
(87)【国際公開番号】W WO2021127128
(87)【国際公開日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】62/951,554
(32)【優先日】2019-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 プウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ジュウ、 チンイエン
(72)【発明者】
【氏名】ウェルチ、 ケヴィン ジェイ.
【テーマコード(参考)】
4J040
【Fターム(参考)】
4J040DF021
4J040DJ031
4J040EC002
4J040GA09
4J040GA11
4J040GA15
4J040HB21
4J040HB41
4J040HC01
4J040HC02
4J040HC06
4J040HC07
4J040HD21
4J040KA31
4J040LA05
4J040PA10
4J040PA30
(57)【要約】
(メタ)アクリレート成分およびアミンを含む第1パートと、脂肪酸ペルオキシドを含む第2パートとを含む2パート硬化性組成物が提供される。さらに、2パート硬化性組成物を用いて2パート接着剤組成物を調製する方法、および該2パート硬化性組成物を用いて表面を接合する方法が開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)以下を含む第1パート:
(i)(メタ)アクリレート成分;
(ii)アミン;および
(b)以下を含む第2パート:
(i)脂肪酸ペルオキシド
を含む2パート硬化性組成物。
【請求項2】
パートA組成物とパートB組成物を一緒に混合すると、組成物が、PICO Technologies USB TC-08サーモカップルデータロガーで測定される少なくとも約3時間のオープンタイムを示し、それでもなお、その後約60分未満で硬化する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
パートA組成物が、少なくとも1種の室温で液状のビニル末端ポリブタジエン;反応性酸成分;1,4-キノン、およびトリアリールまたはアルカリールフェニルホスフィンをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
1,4-キノンが、ナフトキノン、ベンゾキノン、およびその誘導体である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
1,4-キノンが約0.05重量%以下の量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
トリアリールまたはアルカリールフェニルホスフィンが、約0.5重量%以上の量で存在する、請求項3に記載の組成物。
【請求項7】
パートA組成物の(メタ)アクリレート成分が、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ))アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸-エチレンオキシド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチル-2-ペルフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジペルフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロメチル-2-ペルフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,2-ブチレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物:
【請求項8】
アミンが以下から選択される、請求項1に記載の組成物。
【化1】
(式中、Rは任意であるが、存在する場合には1~4回存在してもよく、C1-5アルキル(これは1つ以上のヘテロ原子が挿入されていてもよく、かつ/またはハロゲン、-OH、-COOH、-CN、-NHまたは-NOで官能化されていてもよい);ハロゲン;-OH;-COOH;-CN;-NHまたは-NOから選択されてもよく;XはC1-5アルキルまたはC7-20アルカリール(これらはいずれも1つ以上のヘテロ原子が挿入されていてもよく、-CNまたは-NOなどの少なくとも一つの電子吸引基によって官能化されている)であり;そしてzは1~3である。)
【請求項9】
アミンが以下から選択される、請求項1に記載の組成物。
【化2】
【請求項10】
反応性酸成分が、スルホン酸またはスルホン酸誘導体である、請求項3に記載の組成物。
【請求項11】
反応性酸成分が、リン酸、リン酸誘導体、およびリン酸エステルからなる群から選択される、請求項3に記載の組成物。
【請求項12】
反応性酸成分が、ヒドロキシエチルメタクリレートホスフェートエステルである、請求項3に記載の組成物。
【請求項13】
脂肪酸ペルオキシドが、約8個の炭素原子~約18個の炭素原子を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
脂肪酸ペルオキシドが、ラウロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、およびジセチルペルオキシジカーボネートから選択されるメンバーである、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
パートB組成物中にエポキシ樹脂をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
パートB組成物のエポキシ樹脂が、脂環式エポキシド、エポキシノボラック樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールAエピクロロヒドリン系エポキシ樹脂、アルキルエポキシド、リモネンジオキシド、多官能エポキシド、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
パートB組成のエポキシ樹脂が、液状ビスフェノールA型エピクロロヒドリンエポキシ樹脂である、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
2パート接着剤組成物を調製する方法であって、
(a)以下を含む第1パートを提供する工程:
(i)(メタ)アクリレート成分;および
(ii)アミン;ならびに
(b)以下を含む第2パートを提供する工程:
(i)脂肪酸ペルオキシド
を含む、方法。
【請求項19】
第1表面を第2表面に接合する方法であって、
以下を含む2パート組成物を提供する工程:
(a)以下を含む第1パート:
(i)(メタ)アクリレート成分;および
(ii)アミン;ならびに
(b)以下を含む第2パート:
(i)脂肪酸ペルオキシド、
第1パートと第2パートを混合する工程、
混合組成物を、第1表面または第2表面の少なくとも一方に塗布する工程、
第1表面と第2表面を、合わせたその2つの表面の間の混合組成物と共に、合わせる工程、および
組成物を硬化させて、第1表面と第2表面を接合する工程
を含む、方法。
【請求項20】
パートA組成物とパートB組成物を、パートB組成物1部に対してパートA組成物0.5~15部の体積比で混合する、請求項18に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリレート成分およびアミンを含む第1パートと、脂肪酸ペルオキシドを含む第2パートとを含む、2パート硬化性組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
関連技術の簡単な説明
アクリル系接着剤組成物はよく知られている。例えば、米国特許第4,536,546号(Briggs)を参照されたい。この技術に基づいた接着剤は、PLEXUS MA 300および310の商品名でIllinois Tool Works Inc.,Chicago,ILから販売されているようである。これらの接着剤は、不快な臭気を示し、取り扱うのに毒性があり、これらのことはその使用にとって深刻な欠点と認識される場合がある。
【0003】
米国特許出願公開第2010/0065210号は、(a)(i)(メタ)アクリル成分、(ii)アミン触媒、(iii)任意の第2触媒;(iv)反応性酸成分、および(v)フリーラジカル阻害剤を含む第1パート;ならびに、(b)(i)エポキシ基を含む樹脂成分、(ii)ペルオキシド、および(iii)強酸成分と錯体を形成し、かつペルオキシドと実質的に反応しない金属化合物を含む第2パートを含む、たわみ抵抗性(sag resistant)組成物を提供している。第1パートおよび第2パートは、ポンプ装置で容易に分配できる程十分に低い粘度を有する。この接着剤を形成するために第1パートと第2パートを混合し(ここで混合直後は混合物の粘度が高いため、表面への塗布後、混合物のオープンタイムの間は、接着剤が垂れたり、滴ったり、移行したりしない。)、混合した第1パートと第2パートが硬化する。「オープンタイム」という用語は、接着剤の混合から硬化までの間の経過時間を意味する。
【0004】
米国特許第9,574,118号(Cheng)は、以下を含む接着剤組成物に関するものである:
(a)(i)その少なくとも一部にイソボルニル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレート成分;
(ii)アミン触媒;
(iii)室温で液状のビニル末端ポリブタジエン;
(iv)反応性酸成分;
(v)固体の亜鉛(メタ)アクリレート塩;
(vi)亜鉛および/またはビスマス錯体;および
(vii)フリーラジカル阻害剤
を含む第1パート;
ならびに
(b)(i)エポキシ基を含む樹脂成分;
(ii)ベンゾイルペルオキシド;
(iii)可塑剤;および
(vi)任意に、ブロックコポリマー
を含む第2パート
を含み、ただし、第1パートと第2パートを混合して少なくとも1つの基材に塗布する。
【0005】
米国特許第8,921,490号(Levandoski)は、以下を含む2パート硬化性ハロゲンフリー組成物に関するものである:
a.以下を含む第1パート:
i.少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマー;
ii.第1のハロゲンフリーエラストマーであって、第1のハロゲンフリーエラストマーは、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマーを含むもの;
iii.酸触媒;
iv.フリーラジカル開始剤;および
v.フリーラジカル安定化剤;ならびに
b.以下を含む第2パート:
i.少なくとも1種の(メタ)アクリレートモノマー;
ii.第2のハロゲンフリーエラストマー;
iii.触媒;および
iv.前記触媒を安定化させるための安定剤;
ここで、第1パートと第2パートとが組み合わされて硬化性組成物を形成する。
【0006】
米国特許第6,433,091号(Cheng)は、ビニル末端液状ゴムおよびポリマーエラストマーを含む(メタ)アクリレートエステル含有2パート反応性接着剤組成物に関するものである。ビニル末端液状ゴムは、好ましくは(メタ)アクリレート末端ポリブタジエンであり;ポリマーエラストマーは、好ましくはポリクロロプレン、コアシェルポリマーおよび/またはブロックコポリマーゴムである。
【0007】
米国特許第6,291,593号(Cheng)は、10~90重量%のエステルモノマー、約2~85重量%のポリマーエラストマー、約0.02~10重量%の開始剤、および約0.005~7重量%の遅延添加剤から本質的になる接着剤組成物に関するものであり、該遅延添加剤は、非プロトン性ルイス酸および亜鉛塩ならびにそれらの混合物からなる群から選択され、該エステルモノマーは、メタクリレートエステルモノマー、アクリレートエステルモノマーおよびそれらの混合物からなる群から選択され、前記遅延添加剤は、(a)接着剤組成物のオープン時間を少なくとも5分延長するか、または(b)接着剤組成物のピーク発熱温度を少なくとも15°F低下させるのに有効な量で存在するものである。
【0008】
米国特許第9,657,203号(Murray)は、2パート硬化性組成物に関するものであり、該組成物は:
(a)以下を含む第1パート:
(i)(メタ)アクリレート成分;
(ii)ナプトキノンまたはベンゾキノンなどの1,4-キノンおよびその誘導体を約0.05重量%以下の量;
(iii)トリアリールまたはアルカリールフェニルホスフィンを0.5重量%以上の量;および
(iv)アミン;
ならびに
(b)以下を含む第2パート:
(i)ベンゾイルペルオキシドを約1.0重量%超
を含む。
【0009】
’203特許の組成物は、一方がPC/ABSのようなプラスチックから構成され、他方が陽極酸化アルミニウムのような金属から構成される異種基板などの基板を接着接合するために使用した場合、室温で少なくとも約2分のオープンタイムと40℃のボンドライン温度で約80秒未満の固定時間を有すると報告されている。’203号特許の組成物は、38℃の温度で4週間超の貯蔵寿命を有すると報告されている。
【0010】
そして、国際特許公開第WO2017/172270号(Messana)は、以下を含む2パート硬化性組成物に関するものである:
パートA:下記の構造Iに包含される1種以上の化合物:
【0011】
【化1】
式中、AはCHまたはベンジルであり、RはC1-10アルキルであり、R’はHまたはC1-10アルキルであり、またはRとR’が一緒になってベンゼン環に融合した4~7員環を形成してもよく、R’’は任意であるが、R’’が存在する場合、R’’はハロゲン、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、ヒドロキシアルキル、ヒドロキシアルケニル、アルコキシ、アミノ、アルキレンもしくはアルケニレンエーテル、アルキレン(メタ)アクリレート、カルボニル、カルボキシル、ニトロソ、スルホネート、ヒドロキシルまたはハロアルキルであり、そしてEWGは電子求引基を示す。);および
パートB:酸化剤、
ここで、パートAまたはパートBの少なくとも一方が(メタ)アクリレート成分を含む。
【0012】
最新の技術水準にもかかわらず、既存の組成物は、多くの組立用途に望まれる長いオープンタイム特性およびシャープな硬化特性の望ましい組み合わせを有していない。従って、そのような組成物に対する需要が存在する。
【0013】
そのような需要は現在まで満たされていない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様では、2パート硬化性組成物が提供され、該組成物は、以下:
(a)以下を含むパートA組成物:
(i)(メタ)アクリレート成分;および
(ii)アミン;
ならびに
(b)以下を含むパートB組成物:
(i)脂肪酸ペルオキシド
を含む。
【0015】
パートA組成物とパートB組成物を室温(すなわち、約25℃の室温)で一緒に混合すると、混合組成物は、PICO Technologies USB TC-08サーモカップルデータロガーで測定される少なくとも約3時間のオープンタイムを示し、それでもなお、その後約1時間未満でそのピーク硬化温度(または、TPEAK)に達する。
【0016】
別の態様では、本発明は、2パート硬化性組成物のオープンタイムを改善し、硬化が開始する温度とピーク硬化温度に達する温度との時間差をシャープにする方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、PICO Technologie USB TC-08サーモカップルデータロガーで取得した硬化温度の経時変化のプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
上述したように、本発明の組成物は、(メタ)アクリレート成分およびアミンを含むパートA組成物と、脂肪酸ペルオキシドを含むパートB組成物とを含むものである。
【0019】
パートA組成物とパートB組成物を室温(すなわち、約25℃の室温)で混合すると、混合組成物は、PICO Technologies USB TC-08サーモカップルデータロガーにより測定される少なくとも約3時間のオープンタイムを示し、それでもなお、その後約1時間未満でそのピーク硬化温度(または、TPEAK)に達する。
【0020】
パートA
(メタ)アクリレート成分
以下の式を有する少なくとも1つの基を含む任意の好適な材料を使用してよい:
【0021】
【化2】
(式中、Rは、HまたはCアルキルから選択される。)
【0022】
有利には、この基は(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリロキシ基であり、RがそれぞれHまたはメチルである、アクリレートおよびメタクリレートの両方を指すことが意図される。(メタ)アクリレート成分の有用な量は、典型的には、総組成物の約20重量%~約80重量%の範囲である。望ましくは、本発明の組成物は、約50重量%から約70重量%の(メタ)アクリレート成分を含む。いくつかの実施形態において、(メタ)アクリレート成分の少なくとも一部は、イソボルニル(メタ)アクリレートである。例えば、本発明の組成物の約5重量%~約35重量%が、イソボルニル(メタ)アクリレートであるべきである。
【0023】
(メタ)アクリレート成分は、ポリマー、モノマー、またはそれらの組み合わせの形態で存在し得る。ポリマーの形態で存在する場合、(メタ)アクリレート成分は、(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリロキシ基の少なくとも1つが結合しているポリマー鎖であってよい。該基は、主鎖のペンダント位もしくは末端位、またはそれらの組み合わせに位置し得る。
【0024】
有利には、少なくとも2つのそのような基が存在し得、これらは末端位に位置し得る。(メタ)アクリレート成分は、当業者によく知られているように、(メタ)アクリレート成分は、ポリビニル、ポリエーテル、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ、ビニルエステル、フェノール系、アミノ樹脂、油系などから構成されるポリマー鎖、または、それらのランダムもしくはブロックの組み合わせを有し得る。
【0025】
ポリマー鎖は、ビニルモノマーの重合により形成され得る。そのようなビニルモノマーの例には、メチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ペンチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘプチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、トリル(メタ))アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-アミノエチル(メタ)アクリレート、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸-エチレンオキシド付加物、トリフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-トリフルオロメチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチル-2-ペルフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペルフルオロメチル(メタ)アクリレート、ジペルフルオロメチルメチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロメチル-2-ペルフルオロエチルメチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロデシルエチル(メタ)アクリレート、2-ペルフルオロヘキサデシルエチル(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、1,2-ブチレングリコールジアクリレート、トリメチルプロパンエトキシレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、トリ(プロピレングリコール)ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールプロポキシレートジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、およびエトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレートがある。これらのモノマーは、単独で使用しても、複数を共重合してもよい。
【0026】
特に望ましいものは(メタ)アクリレートエステルモノマーであり、エステル基のアルコール部分がC1-8を含むものが挙げられる。例えば、2-エチルヘキシルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、エチルメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート(「BDMA」)、ブチルメタクリレートおよびメチルメタクリレート(「MMA」)の例がある。
【0027】
(メタ)アクリレート成分は、組成物の全重量に基づいて、組成物の約10~約90重量%、例えば約60~90重量%を構成しうる。
【0028】
アミン
本発明の組成物は、少なくとも1種のアミンを含む。アミン(複数可)は、本発明の組成物の硬化を促進するか、あるいは増進することにより、触媒として作用する。アミンは、望ましくは、立体障害されている二級アミンまたは三級アミンである。好適なアミンとしては、例えば、式N-RR(式中、Rは、水素(2級アミンの場合)またはアルキル(およびそのヒドロキシ置換体)、アリール、アルカリールまたはアラルキル基から選択され、C1-10アルキル、C6-18アリール、C7-15アルカリール、およびC7-15アラルキル基が挙げられる。)で表される2級または3級アミンが挙げられる。R基とR基は、窒素が環状構造内に埋め込まれるように連結されていてもよく、それ自体が芳香環系に融合していてもよい。あるいは、RおよびRはそれぞれ独立にRであってもよい。
【0029】
本発明の組成物のパートAに含めるために特に有用なアミンとしては、構造Aに包含されるアミンが挙げられる:
【0030】
【化3】
(式中、Rは任意であるが、存在する場合には1~4回存在してもよく、C1-5アルキル(これは1つ以上のヘテロ原子が挿入されていてもよく、かつ/またはハロゲン、-OH、-COOH、-CN、-NHまたは-NOで官能化されていてもよい);ハロゲン;-OH;-COOH;-CN;-NHまたは-NOから選択されてもよく;XはC1-5アルキルまたはC7-20アルカリール(これらはいずれも1つ以上のヘテロ原子が挿入されていてもよく、-CNまたは-NOなど少なくとも一つの電子吸引基によって官能化されている)であり;そしてzは1~3である。)
【0031】
例えば、構造Aに包含されるアミンは、Xが少なくとも1つの電子吸引基で芳香環上で置換されたCアルキルまたはCアルカリールであるように選択され得る。そのようなアミンの例としては、下記が挙げられる:
【0032】
【化4】
【0033】
構造Aに包含される化合物は、以下から調製することができる:
【0034】
【化5】
【0035】
アミンは、約0.01重量パーセントから約5重量パーセントの量で存在するべきである。望ましくは、アミンは、約0.05重量パーセントから約2重量パーセントの量で存在する。より望ましくは、アミンは、約0.3重量パーセントから約0.7重量パーセントの量で存在するべきである。
【0036】
ビニル基末端ポリブタジエン
存在する場合、ビニル末端ポリブタジエンは、室温で液状であるべきである。ビニル末端ポリブタジエンのガラス転移温度は0℃未満であるべきである。ビニル末端は(メタ)アクリレート末端の形態であってよく、例えば、HYCAR VTBNなどの(メタ)アクリレート末端ポリブタジエン-アクリロニトリルコポリマー、またはHYCAR VTBなどの(メタ)アクリレート末端ポリブタジエン(いずれもBF Goodrich製)である。ビニル末端ポリブタジエンは、約20重量%まで、例えば約5重量%~約15重量%などの量で存在するべきである。
【0037】
反応性酸成分
本発明の組成物は、リン酸またはその誘導体、リン酸エステル、およびスルホン酸または誘導体などの酸または酸エステルを反応性酸成分として含んでもよい。好ましい反応性酸成分はリン酸エステルである。
【0038】
酸は、エチレン性不飽和モノまたはポリカルボン酸、マレイン酸、およびクロトン酸など、フリーラジカル重合性酸から選択される。望ましいものとしては、メタクリル酸(「MAA」)およびアクリル酸が挙げられる。
【0039】
また、反応性酸成分は、組成物の硬化時間を調節し、減速させる。
【0040】
好適なリン酸エステルとしては、以下の式によって表されるものが挙げられる:
【0041】
【化6】
(式中、Rは、HまたはCHであり、Rは、H、または以下の構造により表される基である:
【0042】
【化7】
(式中、Rは、HまたはCHである。))
特に有用なリン酸エステルは、T-MULZ 1228またはHARCRYL 1228もしくは1228の商品名で販売されているヒドロキシエチルメタクリレートリン酸エステルであり、各々Harcros Chemicals,Kansas City,KSから入手可能である。また、少なくとも1つの強酸「活性水素」基を有するか、もしくは少なくとも1つのホスホン酸活性水素基(RPOOH)を有する構造、例えば、ヒドロキシルエチルジホスホン酸、ホスホン酸、および誘導体など、あるいはホスホン酸官能基または同様の酸強度の官能基を有するオリゴマーまたはポリマー構造も挙げられる。
【0043】
存在する場合、反応性酸成分は、組成物の約0.25重量%~約15重量%存在する。望ましくは、反応性酸成分がリン酸エステルである場合、該成分は、組成物の約1.0~約4.0重量%存在する。
【0044】
1,4-キノン
存在する場合、ある種の1,4-キノンを、本発明の組成物を安定化するために使用することができる。
【0045】
そのような1,4-キノンのひとつはナフトキノンであり、他にもアントラキノン、ベンゾキノンがある。
【0046】
ナフトキノンは、約0.005重量%以下の量で、組成物の第1パートに使用されてもよい。
【0047】
望ましくは、その量は、約0.004重量%以下、例えば約0.0035重量%以下である。
【0048】
アリールホスフィン
存在する場合、第1のパートA組成物に、アリールホスフィンを使用してもよい。アリールホスフィンとしては、トリ(o-トリル)ホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、ジフェニル(o-トリル)ホスフィン、トリス(o-メトキシフェニル)ホスフィン、トリ(p-トリル)ホスフィン、ジフェニル(2-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ホスフィン、およびもちろんトリフェニルホスフィンが挙げられ得る。
【0049】
トリフェニルホスフィンは、約0.5重量%以上、例えば約0.75重量%以上の量で使用される。
【0050】
その他の添加剤
パートA組成物は、フィラー、コアシェルポリマー、潤滑剤、増粘剤、および着色剤などの追加の添加剤をも含んでもよい。フィラーは、接着剤の強度を犠牲にすることなく嵩を与えることができ、高密度フィラーまたは低密度フィラーから選択することができる。また、シリカなど特定のフィラーは、レオロジー改質または微粒子強化をもたらすことができる。市販の例としては、Cab-O-Sil 610およびAEROSIL R8200が挙げられる。
【0051】
特に重要なのは低密度フィラーであり、これは、得られる最終生成物がフィラーを含まない生成物よりも低い密度を有するが、それでもなおフィラーが存在しなかった場合と本質的に同じ強度特性を有するためである。
【0052】
コアシェルポリマーは、望ましくは「コアシェル」型のグラフトコポリマーであり、あるいはアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(「ABS」)、メタクリレート-ブタジエン-スチレンスチレン(「MBS」)、およびメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(「MABS」)など、「シェルなし(shell-less)」の架橋されたゴム状粒子であってもよい。BLENDEX 338は、GE Plastics製のABS粉末である。
【0053】
パートB
脂肪酸ペルオキシド
現在一般的なベンゾイルペルオキシドの代わりに、ラウロイルペルオキシドなどの脂肪酸ペルオキシドのようなペルオキシドが、第2パートでの使用に望ましい選択肢である。ペルオキシドを形成するカルボン酸のカルボニル炭素に結合した直鎖のC11アルキル基を有するラウロイルペルオキシドに加えて、他の脂肪酸ペルオキシドも使用することができる。例えば、炭素原子鎖長が8~18の脂肪酸ペルオキシドを用いてもよい。特に重要なものは、ペルオキシドを形成するカルボン酸のカルボニル炭素に結合した9、11、14および16個の炭素原子を有するものである。
【0054】
ラウロイルペルオキシドを下記に示す:
【0055】
【化8】
【0056】
ラウロイルペルオキシドの市販の例としては、Arkema, Inc.からLUPEROX LPの商品名で販売されている。
【0057】
、C14、およびC16の直鎖を有する脂肪酸ペルオキシドは、それぞれジデカノイルペルオキシド、ジミリスチルペルオキシジカーボネート、ジセチルペルオキシジカーボネートとして以下に示され、商品名PERKADOXの製品ラインのメンバーとしてAkzo Nobel NVから市販されている。
【0058】
脂肪酸ペルオキシドは、パートB組成物の約20重量パーセントから約60重量パーセントの量で存在するべきである。望ましくは、脂肪酸ペルオキシドは、約25重量パーセントから約50重量パーセントの量で存在する。より望ましくは、脂肪酸ペルオキシドは、約35重量パーセントから約45重量パーセントの量で存在するべきである。
【0059】
エポキシ樹脂
エポキシ樹脂は任意成分であるが、存在する場合、脂環式エポキシド、エポキシノボラック樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、ビスフェノールAエピクロロヒドリン系エポキシ樹脂、アルキルエポキシド、二酸化リモネン、およびポリエポキシドが挙げられ得る。
【0060】
望ましい樹脂成分は、CYRACURE UVR-6110の商品名でDow Chemicalから販売されている脂環式エポキシドである。
【0061】
別の好適なエポキシ樹脂成分は、Dow Chemicalから「D.E.R.」の商品名で市販されているものなどのビスフェノール系液体エポキシ樹脂である。本発明に好適な「D.E.R.」製品の例としては、D.E.R.332(ビスフェノールAのジグリシジルエーテル);D.E.R.330(低粘度、未希釈、ビスフェノールA液体エポキシ樹脂);D.E.R.383(低粘度、未希釈、ビスフェノールA液体エポキシ樹脂);D.E.R.354(標準、ビスフェノールF系液体エポキシ樹脂);D.E.R.351(低粘度、液体ビスフェノールA/F樹脂ブレンド);D.E.R.352(低粘度、液体ビスフェノールA/F樹脂ブレンド);D.E.R.324(脂肪族グリシジルエーテル反応性希釈剤、変性液体エポキシ樹脂);D.E.R.323(脂肪族グリシジルエーテル反応性希釈剤、変性液体エポキシ樹脂);D.E.R.325(脂肪族グリシジルエーテル反応性希釈剤、変性液体エポキシ樹脂);およびD.E.R.353(脂肪族グリシジルエーテル反応性希釈剤、変性液体エポキシ樹脂)が挙げられる。本明細書での使用に適したビスフェノール系液体エポキシ樹脂の異なるブランドは、ビスフェノールAおよびエピクロロヒドリンから誘導され、Hexion Speciality Chemicalsから市販されているEPON 828である。
【0062】
別の好適なエポキシ成分は、エポキシノボラック樹脂であり、これはエピクロロヒドリンとフェノールホルムアルデヒドノボラックの生成物であり、Dow ChemicalからD.E.Nという商品名で市販されている。本発明に好適な「D.E.N」製品の例としては、D.E.N.431(低粘度半固体エポキシノボラック樹脂);およびD.E.N.438(半固体エポキシノボラック樹脂)が挙げられる。
【0063】
他の好適なエポキシ樹脂としては、周囲温度または適切な高温で触媒または硬化剤を用いて硬化可能なポリエポキシドが挙げられる。これらのポリエポキシドの例としては、アルカリ条件下で、または酸性触媒の存在下およびそれに続くアルカリ処理により、分子あたり少なくとも2つの遊離アルコール性ヒドロキシル基および/またはフェノール性ヒドロキシル基を含む化合物と適切なエピクロロヒドリンとの反応により得られるポリグリシジルエーテルおよびポリ(β-メチルグリシジル)エーテルが挙げられる。これらのエーテルは、非環式アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン-1,2-ジオールおよびポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-2,4,6-トリオール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、およびポリ(エピクロロヒドリン)などから;脂環式アルコール、例えばレゾルシノール、キニトール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、および1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-シクロヘキサ-3-エンなどから;および芳香核を有するアルコール、例えばN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アニリンおよびp,p’-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンから生成することができる。または、これらは、単核フェノール、例えばレゾルシノールおよびヒドロキノン、ならびに多核フェノール、例えばビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,2,2-テトラビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2,-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(別名ビスフェノールA)、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパンから、ならびにホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロラール、フルフルアルデヒドなどのアルデヒドから形成されるノボラックと、フェノール自体、および塩素原子または9個までの炭素原子を含むアルキル基によって環が置換されたフェノール、例えば4-クロロフェノール、2-メチルフェノール、および4-t-ブチルフェノールなどのフェノールから生成することができる。
ポリ(N-グリシジル)化合物としては、例えば、エピクロロヒドリンと、少なくとも2つのアミノ水素原子を含むアミン(アニリン、n-ブチルアミン、ビス(4-アミノフェニル)メタン、ビス(4-メチルアミノフェニル)メタンなど)との反応生成物の脱塩化水素によって得られるもの;トリグリシジルイソシアヌレート;および、環状アルキレン尿素(エチレン尿素および1,3-プロピレン尿素、およびヒダントイン(5,5-ジメチルヒダントインなど)など)のN,N’-ジグリシジル誘導体が挙げられる。
また、異なる種類のヘテロ原子に結合した1,2-エポキシド基を有するエポキシド樹脂を用いてもよく、例えば、4-アミノフェノールのN,N,O-トリグリシジル誘導体、サリチル酸のグリシジルエーテル-グリシジルエステル、N-グリシジル-N′-(2-グリシジルオキシプロピル)-5,5-ジメチルヒダントイン、および2-グリシジルオキシ-1,3-ビス(5,5-ジメチル-1-グリシジルヒダントイン-3-イル)プロパンである。
エポキシ化大豆油、エポキシ化ヒマシ油などの油由来のエポキシ樹脂もまた好適である。また、不飽和の過酸酸化から誘導される、または誘導可能なエポキシドも好適であり、エポキシ化液状ゴムが挙げられる。
【0064】
可塑剤
可塑剤は、2パート組成物のパートB組成物でしばしば使用される。可塑剤はまたパートA組成物で用いてもよい。可塑剤は、組成物の反応性部分の柔軟性を補助し、かつ/または組成物の他の成分のための担体ビヒクルとして作用し得る、任意の液体または可溶性化合物であってよい。例としては、芳香族スルホンアミド、芳香族リン酸エステル、アルキルリン酸エステル、ジアルキルエーテル芳香族エステル、高分子可塑剤、ジアルキルエーテルジエステル、ポリグリコールジエステル、トリカルボン酸エステル、ポリエステル樹脂、芳香族ジエステル、芳香族トリエステル(トリメリテート)、脂肪族ジエステル、エポキシ化エステル、塩素化炭化水素、芳香族オイル、アルキルエーテルモノエステル、ナフテン系オイル、アルキルモノエステル、パラフィン系オイル、シリコーンオイル、ジ-n-ブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジ-n-ヘキシルフタレート、ジ-n-ヘプチルフタレート、ジ-2-エチルへキシルフタレート、7c9c-フタレート(直鎖および分岐)、ジイソオクチルフタレート、直鎖6c,8c,10cフタレート、ジイソノニルフタレート、直鎖8c-10cフタレート、直鎖7c-11cフタレート、ジイソデシルフタレート、直鎖9c-11cフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソデシルグルタレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、ジ-n-ブチルセバケート、ジイソデシルアジペート、トリエチレングリコールカプレート-カプリレート、トリエチレングリコール2-エチルヘキサノエート、ジブトキシエチルアジペート、ジブトキシエトキシエチルアジペート、ジブトキシエトキシエチルホルマール、ジブトキシエトキシエチルセバケート、トリ-2-エチルへキシルトリメリテート、トリ-(7c-9c(直鎖))トリメリテート、トリ-(8c-10c(直鎖))トリメリテート、トリエチルホスフェート、トリイソプロピルフェニルホスフェート、トリブチルホスフェート、2-エチルへキシルジフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、イソデシルジフェニルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリアリールホスフェート(合成)、トリブトキシエチルホスフェート、トリ(-クロロエチル)ホスフェート、ブチルフェニルジフェニルホスフェート、塩素化有機ホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリ(ジクロロプロピル)ホスフェート、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、またはジフェニルオクチルホスフェートが挙げられる。
【0065】
ブロックコポリマー
使用される場合、ブロックコポリマーは、本開示の組成物にとって望ましい物理的特性に寄与することが可能な任意のブロックコポリマーであってよい。
【0066】
ブロックコポリマーゴムは、ブタジエンまたはイソプレンのいずれかとスチレンのブロック(例えば、SBS、SIS、SEBS、およびSB)を使用して構築することができ、その市販例には、Shell Chemical Co.からKRATON D-1116として入手可能であり、また他のKRATON DグレードエラストマーはDexcoからVEXOR 2411 IPとして入手可能である。
【0067】
Tgが約25℃未満で、メタクリレート/アクリレートモノマーに可溶性の他のエラストマーを、ポリクロロプレンおよび/またはブロックコポリマーゴムに代えて使用することができる。そのような例には、エピクロロヒドリンのホモポリマー、およびそのエチレンオキシドとのコポリマー(Zeon ChemicalsからHYDRINとして入手可能)、アクリレートゴムペレット(ZeonからHYTEMPとして入手可能)、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、ニトリルゴム、およびSBRゴム(ブタジエンとスチレンのランダムコポリマー)がある。
【0068】
さらに他のブロックコポリマーは、以下の式で表されるスチレン無水マレイン酸コポリマーであってもよい:
【0069】
【化9】
(式中、vは1~12であり;wは1~6であり;nは1~50である。)
【0070】
スチレン無水マレイン酸コポリマーはよく知られており、そのいくつかは、例えばSartomer Company,Inc.,Exton,PAからSMA EF80の商品名で市販されている。スチレン無水マレイン酸コポリマーは、スチレンと無水マレイン酸との共重合生成物を表し、スチレン部分構造と無水マレイン酸部分構造の交互ブロックを特徴とする。
【0071】
両親媒性ブロックコポリマーが特に望ましい場合もある。ArkemaはNANOSTRENGTHの商標で両親媒性ブロックコポリマーを市販している。そのようなブロックコポリマーは、現在、SBMおよびMAMの2つのタイプが入手可能である。SBMコポリマーは、報告によれば、ポリスチレン、1,4-ポリブタジエン、およびシンジオタクチックポリ(メチルメタクリレート)でできている。
【0072】
さらに、ポリメチルメタクリレート(「PMMA」)とポリブチルアクリレート(「PB」)とから構成されたポリマー材料を使用してもよい。この種に含まれるポリマー材料は、ポリメチルメタクリレート-ブロック-ポリブチルアクリレート-ブロックポリメチルメタクリレートコポリマー(「MAM」)と呼ばれる。
【0073】
Arkemaによって報告されているように、MAMは約70%のPMMAと30%のPBからなるトリブロックコポリマーである。MAMは別々のセグメントから構成され、それにより分子スケールで自己集合する能力を提供する。すなわち、Mはポリマーに硬度を付与し、Aはポリマーにエラストマー特性を付与する。
【0074】
硬質ポリマーセグメントは、(メタ)アクリレートに可溶性である傾向にあるが、一方エラストマーセグメントは硬化時に形成されるポリマー(メタ)アクリレートに靭性をもたらす。MAMはまた、本来の物性を損なうことなく、機械的特性を強化する。MAMは、NANOSTRENGTHの商品名で、現在のところいくつかの異なるグレード(すなわちE-21およびM-52N)で市販されている。
【0075】
Arkemaは、様々なポリマー(その大部分は、製造業者によれば、主要な工業用エポキシ樹脂である)と混和性のあるアクリルブロックコポリマーとしてNANOSTRENGTH製品ラインを推奨している。また米国特許第6,894,113号(‘113特許の要約では、耐衝撃性が向上した熱硬化性材料が論じられている)も参照されたい。耐衝撃性は、S-B-M、B-M、およびM-B-Mブロックを含む少なくとも1つのコポリマーを含む1~80%の耐衝撃性改良剤に由来し、ここで、各ブロックは、他のブロックに共有結合によって連結されているか、あるいは、中間で、ブロックのうちの一方に共有結合で、かつ他方のブロックに別の共有結合で連結されており、MはPMMAホモポリマーまたは少なくとも50重量%のメチルメタクリレートを含むコポリマーであり、Bは熱硬化性樹脂およびMブロックと非相溶性であり、そのガラス転移温度Tgは熱硬化性材料の作業温度よりも低く、そしてSは熱硬化性樹脂、Bブロック、およびMブロックと非相溶性であり、そのTgまたはその溶融温度はBのTgよりも高い。
【0076】
両親媒性ブロックコポリマーの別の市販の例は、Dow Chemical Co.製のFORTEGRA 100として商業的に知られているポリエーテルブロックコポリマーである。Dowは、FORTEGRA 100を、アミン硬化エポキシ系において高効率の第2相として使用するために設計された低粘度強靭化剤と説明している。FORTEGRA 100は、最終コーティングまたは組成物の粘度、ガラス転移温度、耐腐食性、硬化速度、または化学的耐性に著しい影響を及ぼすことなく、靱性の向上をもたらすと報告されている。FORTEGRA 100はまた、エポキシ硬化反応に関与しないので、標準的なビスフェノールAおよびビスフェノールFエポキシ系への配合に有用であるとも報告されている。第2相強靭化剤として、FORTEGRA 100は、仕上げフィルムまたは部品に特定の体積分率で配合された場合に効果的であるとして推奨されており、典型的には乾燥体積で3%~8%が強靭化効果を達成すると言われている。
【0077】
追加のブロックコポリマーとしては、以下の一般式の疎水性セグメントまたは部分と親水性セグメントまたは部分の両方を含むものが挙げられる:
【0078】
【化10】
(式中、Rは独立して、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ペンテン、もしくは4-メチル-1-ペンテンなどの疎水性オレフィン、またはスチレンなどの重合可能な疎水性芳香族炭化水素であり;各Rは、無水マレイン酸などの親水性酸無水物であり;vは1~12であり;wは1~6であり;nは1~50である。)
【0079】
スチレン無水マレイン酸ブロックコポリマーにおいて、疎水性セグメントの親水性セグメントに対する比率は、少なくとも2:1、例えば3:1~12:1であってよい。ブロックコポリマーの親水性セグメントは、無水マレイン酸などの無水物を含むべきである。ブロックコポリマーの疎水性セグメントは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、3-メチル-1ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、またはスチレンの少なくとも1つを含むべきである。望ましくは、ブロックコポリマーは、無水マレイン酸を含む親水性セグメントと、スチレンを含む疎水性セグメントを用いて調製されるべきである。
【0080】
以下の特許文献を参照すると、本明細書での使用に好適な両親媒性ブロックコポリマーが示されており、それらは、参照により本明細書に組み込まれる。米国特許第7,745,535は、両親媒性マルチブロックコポリマーに関し、これを特許請求しており、ここで、その少なくとも1つのブロックは、a)アクリル酸、メタクリル酸、およびそれらの塩、エステル、無水物、ならびにアクリル酸およびメタクリル酸のアミド;ジカルボン酸無水物;カルボキシエチルアクリレート;ならびにアクリルアミドから選択される1または複数のモノマー単位からできている親水性ミドルブロックと、b)疎水性末端ブロックとからなる特性が明らかなブロックであり、ここで該マルチブロックコポリマーは、不水溶性、不水分散性であり、かつ、C1-3アルコールに可溶性でも分散性でもない。
【0081】
米国特許第7,820,760号は、硬化性接着剤エポキシ樹脂組成物に関し、これを特許請求しており、ここで該組成物は、(a)エポキシ樹脂と;(b)少なくとも1つのエポキシ樹脂混和性ブロックセグメントおよび少なくとも1つのエポキシ樹脂非混和性ブロックセグメントを含む両親媒性ブロックコポリマー(ここで、非混和性ブロックセグメントは少なくとも1つのポリエーテル構造を含み、ただし該非混和性ブロックセグメントのポリエーテル構造は少なくとも4個の炭素原子を有する少なくとも1または複数のアルキレンオキシドモノマー単位を含む)と;(c)少なくとも1種の硬化剤を含む。‘760特許における両親媒性ブロックコポリマーは、PEO-PBOジブロックコポリマーまたはPEO-PBO-PEOトリブロックコポリマーなどのオールポリエーテルブロックコポリマーである。両親媒性ブロックコポリマーは、‘760特許においてエポキシ樹脂組成物が硬化すると、得られる硬化エポキシ接着剤樹脂組成物の接合強度が、該両親媒性ポリエーテルブロックコポリマーを含まないエポキシ樹脂組成物と比較して向上するような量で存在する。
【0082】
米国特許第7,670,649号は、硬化性室温硬化型ハイソリッドコーティング組成物に関し、これを特許請求しており、ここで、該組成物は、(a)エポキシ樹脂と;(b)少なくとも1つのエポキシ樹脂混和性ブロックセグメント(ここで、非混和性ブロックセグメントは少なくとも1つのポリエーテル構造を含み、ただし該非混和性ブロックセグメントのポリエーテル構造は少なくとも1またはそれ以上のアルキレンオキシドモノマー単位を含む)、および少なくとも1つのエポキシ樹脂非混和性ブロックセグメントを含む両親媒性ブロックコポリマーと;(c)約60℃未満の周囲温度でコーティング組成物を硬化させるのに十分な量の窒素含有硬化剤と、を含む。エポキシ樹脂組成物を硬化させると、得られる硬化したエポキシ樹脂組成物の靱性が向上する。
【0083】
米国特許第6,887,574号は、(a)少なくとも1種の難燃性エポキシ樹脂;(b)少なくとも1種の両親媒性ブロックコポリマー;および(c)硬化剤を含む硬化性難燃性エポキシ樹脂組成物に関し、これを特許請求している。このような成分は、硬化すると、ブロックコポリマーが、ひも状ミセル(worm-like micelle)形態などのナノ構造形態へと自己集合するように、適切な量および比率で硬化性組成物中に存在する。得られる硬化生成物は、著しく高い耐破壊性を有することが報告されており、耐破壊性が課題である用途における難燃性エポキシの使用を可能にする。
【0084】
米国特許出願公開第2008/0287595号は、(1)エポキシ樹脂、エポキシビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、またはそれらの混合物から選択される熱硬化性樹脂、および(2)該熱硬化性樹脂中に分散されている両親媒性ブロックコポリマーを含む組成物に関する。
【0085】
国際公開第WO2010/008931号は、ブロックコポリマー強靭化剤を使用して構造用複合材の耐破壊性(靭性)を高めた構造用複合材に関する。構造用複合材は、(i)炭素繊維強化材、および(ii)熱硬化性樹脂組成物を含み、ここで熱硬化性樹脂組成物は、(a)熱硬化性樹脂、および(b)少なくとも1種のブロックコポリマー強靭化剤を含む。
【0086】
国際公開第WO2009/018193号は、エポキシ樹脂、硬化剤、両親媒性強靭化剤、および無機ナノフィラーを含み、ここで強靭化剤は、少なくとも1つの次元がナノメートルスケールである第2相を形成している、硬化性組成物、硬化した組成物、およびそれらを形成する方法に関する。
【0087】
本明細書では、ブロックコポリマーは、接着剤組成物の総重量に基づいて約50重量%まで、望ましくは5~40重量%の量で使用され得る。
【0088】
ブロックコポリマーのガラス転移温度(「Tg」)は、約40℃超であるべきである。一実施形態では、ブロックコポリマーのTgは、約40℃~約155℃である。
【0089】
ポリマーのTgは、ポリマーが冷却時に脆性となる、または加熱時に軟化する温度である。より具体的には、Tgは、ポリマーが、冷却時に結晶性材料と同様の特性を有するガラス状構造を生成する、擬2次相転移(pseudo second order phase transition)を規定する。Tgを超えると、ポリマーは軟化し、破損することなく塑性変形することが可能となる。Tgは時にポリマーの「軟化温度」と記載されることもあるが、ポリマーがTgより低い温度で軟化し始めることは珍しくない。これは、多くの非結晶性ポリマーの性質によって、ポリマーの軟化が、単一の温度値で突然に起こるのではなく、ある温度範囲にわたって起こる場合があるからである。ポリマーは異なる温度で軟化し始め得るが、Tgは、一般的にこの範囲の中点を指す。本出願の目的上、ポリマーのTgは、ASTM E-1356によって決定される値を指す。
【0090】
Tgより低い温度で脆性となることに加えて、ポリマーはまた、一般に、同じポリマーがそのTgを超える温度に加熱された場合に比べてより乾燥し、粘着性が低くなる。粘着性ポリマーは、非粘着性ポリマーに比べると、圧力の印加のみでより容易に表面に接着する。40℃を超えるTgを有し、そのためこの40℃の時点で乾燥しているか、粘着性がわずかであるコポリマーを組み込むことの重要性が、以下の考察によってより明らかになるであろう。
【0091】
他の添加物
パートB組成物は、フィラー、潤滑剤、増粘剤、着色剤などの追加の添加剤を含んでもよい。フィラーは、接着剤の強度を犠牲にすることなく嵩高さをもたらし、高密度フィラーまたは低密度フィラーから選択することができる。
【0092】
低密度フィラーが特に興味深く、これは、結果として得られる最終生成物が、フィラーを含まない生成物よりも低い密度を有しているが、それでもなおフィラーが存在しない場合と本質的に同じ強度特性を有しているためである。
【0093】
パッケージングおよび混合
パートAおよびパートB組成物はそれぞれ、ボトル、缶、チューブ、ドラム缶などの別々の容器にパッケージされる。
【0094】
パートAおよびパートB組成物は、約3~50対1、例えば約5~20対1の体積比で混合される。望ましくは、体積比は10:1である。
【0095】
2つのパートの混合には、2成分用の流体入口を有し、好適な混合操作を行い、接合しようとする表面上に接着剤混合物を直接ディスペンスする混合ノズルを用いることができる。市販の混合およびディスペンス装置の一例は、Sulzer Mixpac USA, Salem, NHから商品名MIXPACで販売されている。
【0096】
2つのパートはまた、ボウル、バケツなどの容器、または他の収納容器中で手動で混合することもできるが、作業者は確実に混合を完了する必要がある。確実に混合を完了するのを助けるために、各パートに染料または顔料を配合して、混合後に第3の色が形成されるようにすることもできる。例えば、一方のパートが黄色染料を有してよく、他方のパートが青色染料を有してよく、その結果、混合後、完全な接着剤組成物は緑色となる。
【0097】
室温で混合した後、組成物は、PICO Technologies USB TC-08サーモカップルデータロガーで測定される少なくとも約3時間のオープンタイムを示し、それでもなお、その後約1時間未満でそのピーク硬化温度(または、TPEAK)に到達する。
【0098】
また、本明細書では、2パート接着剤組成物を調製する方法が提供される。この方法は、(i)(メタ)アクリレート成分;および(ii)アミンを含む第1パートを提供し;そして、(i)脂肪酸ペルオキシドを含む第2パートを提供する。
【0099】
さらに、本明細書では、第1の表面を第2の表面に接合する方法が提供される。この方法は、(a)(i)(メタ)アクリレート成分;および(ii)アミンを含む第1パート;ならびに(b)(i)脂肪酸ペルオキシドを含む第2パートを含む2パート組成物を提供し、第1パートと第2パートを混合し、混合組成物を第1表面または第2表面の少なくとも一方に適用し、第1表面と第2表面を、合わせたその2つの表面の間の混合組成物と共に、合わせて、組成物を硬化させて第1表面を第2表面と接合させる。
【0100】
これらの方法において、第1パートおよび第2パートは、パートB組成物1部に対して、パートA組成物0.5~15部の体積比で混合される。
【実施例
【0101】
例1--パートA組成物
表1のパートAにおいて、モデルパートA組成物を、記載された量の記載された構成成分から調製した。
【0102】
【表1】
【0103】
表2のパートAに、3つのパートA組成物を示す:サンプルNo.1(対照)は、表1のパートA組成物に2重量%のp-ジエタノールアミントルエン(p-DEA)を含む表1のパートAからの組成物を表す;サンプルNo.2は、表1のパートA組成物の98重量%に対して2重量%のTHQ-CNを添加した表1のパートAからの組成物を表す;サンプルNo.3は、表1のパートA組成物の98重量%に対して2重量%のTHQ-NOを添加した表1のパートAからの組成物を表す。
【0104】
【表2】
【0105】
例2--パートB組成物
表1のパートBにおいて、モデルパートB組成物を、記載された量の記載された構成成分から調製した。
【0106】
【表3】
【0107】
表2のパートBに、3つの組成物を示す:サンプルNo.1は、表1のパートB組成物の63重量パーセントに対して37重量パーセントのベンゾイルペルオキシドを添加した、表1のパートBからの組成物を表す;サンプルNo.2は、表1のパートB組成物の63重量パーセントに対して37重量パーセントのラウロイルペルオキシドを添加した、表1のパートBからの組成物を表す;サンプルNo.3は、表1のパートB組成物の63重量パーセントに対してこれも37重量パーセントのラウロイルペルオキシドを添加した、表1のパートBからの組成物を表す。
【0108】
【表4】
【0109】
例3--混合
表2からのパートAおよびB組成物を容器内で体積比10:1で混合し、混合組成物中に、温度と時間の反応性測定値を記録できるようにPICO Technologies USB TC-08サーモカップルデータロガーを入れた。測定値の一部を表3に示す。
【0110】
また、この組成物を陽極酸化アルミニウムのラップシェア片に塗布し、別の陽極酸化アルミニウムのラップシェア片と0.5インチ重ねて合わせた。この片を、固定時間について評価した。表3には、固定時間の測定値も記録する。
【0111】
【表5】
【0112】
その他の測定結果を図1に示す。図1では、データを1分ごとに蓄積して、硬化開始までに必要とされた時間(または、TONSET)、ピーク発熱温度(または、TPEAK)、および全体の硬化プロファイルが発現する時間を示す。
【0113】
このように、対照サンプル(サンプルNo.1)では、混合後約1分から約2分でTONSETが始まり、約7分から約8分でTpeakを発現する。一方、サンプルNo.2では、TONSETが始まるまでに4時間近く(約202分から230分)必要であり、約231分から233分でTpeakを発現する。そして、サンプルNo.3では、TONSETが始まるまでに3時間以上(約181分から198分)必要であり、約199分から約201分でTpeakを発現する。

図1
【国際調査報告】