(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(54)【発明の名称】反応性希釈剤を含むシリコーンフリーサーマルインターフェース材料
(51)【国際特許分類】
C08L 101/02 20060101AFI20230222BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20230222BHJP
C01F 7/021 20220101ALN20230222BHJP
【FI】
C08L101/02
C08K3/013
C01F7/021
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022537402
(86)(22)【出願日】2020-12-17
(85)【翻訳文提出日】2022-08-10
(86)【国際出願番号】 US2020065507
(87)【国際公開番号】W WO2021127113
(87)【国際公開日】2021-06-24
(32)【優先日】2019-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D-40589 Duesseldorf,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】ティマーマン、 ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チエン、 ユウチエン
【テーマコード(参考)】
4G076
4J002
【Fターム(参考)】
4G076AA02
4G076DA02
4G076DA20
4J002AA02W
4J002AA02X
4J002CD03W
4J002CD07X
4J002CH05W
4J002CH05X
4J002DE106
4J002DE146
4J002DF016
4J002DJ016
4J002DK006
4J002FD206
4J002GQ00
4J002HA08
(57)【要約】
【解決手段】
長期耐久性のために、熱放散経路に沿って配置するためのシリコーンフリーサーマルインターフェースが提供される。サーマルインターフェースは、複数の部分からなる組成物から形成され、所定の位置で硬化されて、デュロメータ硬度が低い適合性コーティングが得られ、これは反応性希釈剤システムから形成される非架橋希釈剤生成物によって維持される。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は2つの反応性官能基を有する第1反応物質を有する第1成分であって、1s
-1及び20℃で500,000cP未満の粘度を示す第1成分と;
以下の反応性官能基を有する第2反応物質を有する第2成分であって、
(i)第1反応物質の官能基が1つ又は2つである場合は1つ又は2つ、
(ii)第1反応物質の官能基が1つである場合にのみ3つ以上、
1s
-1及び20℃で500,000cP未満の粘度を示す第2成分と;
非シリコーン架橋性ポリマーと;
熱伝導性フィラーと;
を含む2部組成物から形成されるサーマルインターフェースであって、
前記第1反応物質及び前記第2反応物質は、互いに反応可能であり、1s
-1及び20℃で少なくとも1,000,000cPの粘度を有する生成物を形成し、
前記サーマルインターフェースは少なくとも1W/m・Kの熱伝導率を示す、サーマルインターフェース。
【請求項2】
前記ポリマー及び前記熱伝導性フィラーのそれぞれが、前記第1成分及び前記第2成分の1つ又は複数に含有される、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項3】
前記組成物が、ショア00硬度80未満に硬化可能である、請求項2に記載のサーマルインターフェース。
【請求項4】
前記組成物が、ショア00硬度20~70に硬化可能である、請求項3に記載のサーマルインターフェース。
【請求項5】
前記第1反応物質及び前記第2反応物質が、前記ポリマーと反応しない、請求項4に記載のサーマルインターフェース。
【請求項6】
前記ポリマーが25℃超過の温度で硬化する、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項7】
前記ポリマーがシリル修飾ポリマーを含有する、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項8】
前記熱伝導性フィラーが、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛、及び窒化ホウ素から成る群から選択される、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項9】
前記第1反応物質及び前記第2反応物質が、エポキシ、アミン、アクリレート、チオール、ポリオール、及びイソシアネートから成る群からの反応性セットから選択される、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項10】
シリコーンフリーである、請求項1に記載のサーマルインターフェース。
【請求項11】
電池と、前記電池に熱的に結合された請求項1に記載のサーマルインターフェースとを含む、電池システム。
【請求項12】
前記サーマルインターフェースが、前記電池にコーティングされている、請求項11に記載の電池システム。
【請求項13】
表面にサーマルインターフェースを形成する方法であって、
(a)以下を提供することと:
(i)100cP未満の粘度を有する第1反応性希釈剤を含む第1成分、
(ii)100cP未満の粘度を有する第2反応性希釈剤を含む第2成分、
前記第1希釈剤と前記第2希釈剤は、互いに反応して1000cP超過の粘度を有する非架橋生成物を形成する、
(iii)非シリコーン硬化性樹脂、及び
(iv)熱伝導性フィラー、
(b)前記第1成分及び前記第2成分、並びに前記樹脂及び前記フィラーを、少なくとも1つのオリフィスを通して表面に分配して、前記第1希釈剤を前記第2希釈剤と反応させることと、
(c)前記樹脂を硬化することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記サーマルインターフェースが、少なくとも1.0W/m・Kの熱伝導率を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記樹脂及び前記熱伝導性フィラーのそれぞれが、第1成分及び第2成分の1つ又は複数に含有される、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1成分を、第1オリフィスを通して第1液体として分配することと、
前記第2成分を、第2液体オリフィスを通して第2液体として分配することと、
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記表面が、電池に接続されているか、又は電池の一部である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記サーマルインターフェースが、ショア00硬度80未満を示す、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記樹脂を25℃超過の温度で硬化させることを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
サーマルインターフェースを形成するための、請求項1に記載の2部組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、サーマルインターフェース材料に関し、より具体的には、長期間にわたって物理的柔軟性を有する熱伝導性コーティングにその場で硬化可能なシリコーンフリー2成分液体分配可能システムに関する。
【背景技術】
【0002】
熱伝導性材料は、例えば、発熱電子部品と放熱器との間のインターフェースとして広く使用されており、電子部品から熱的に結合された放熱器への過剰な熱エネルギーの移動を可能にしている。このようなサーマルインターフェースの多くの設計と材料が実施されており、サーマルインターフェース材料とそれぞれの伝熱面との間のエアギャップが実質的に回避され、電子部品から放熱器への伝導熱伝達を促進するときに最高の性能が達成される。したがって、サーマルインターフェース材料は、それぞれの構成要素の幾分不均一な伝熱面に機械的に適合することが好ましい。したがって、高性能サーマルインターフェース材料の重要な物理的特性は、柔軟性と比較的低い硬度である。
【0003】
適合性のあるサーマルインターフェース材料のいくつかの例としては、酸化アルミニウム及び窒化ホウ素等の熱伝導性粒子で充填されたマトリックスを形成するシリコーンポリマーが挙げられる。材料は、典型的に、室温及び/又は高温であるかどうかにかかわらず、インターフェース表面の不規則性に適合するのに十分な柔軟性を備えている。しかしながら、シリコーンベースの材料のガス放出が許されない場合等の特定の用途では、シリコーンベースの材料は適合性がない場合がある。代わりの非シリコーンポリマーシステムは、サーマルインターフェース用途での採用を制限する欠点を有する。許容可能な硬度値を示すいくつかの従来の非シリコーンシステムもまた、分配及び組立ての課題を提示する比較的高い予備硬化粘度を示す。他の非シリコーンシステムは、分配及び組立てに適した予備硬化粘度、及び許容可能な後硬化硬度を有する場合があるが、典型的には、ポリマー架橋反応を妨げ得る反応性希釈剤、又はサーマルインターフェース材料から移動する傾向があり、時間の経過とともにサーマルインターフェース材料の硬度と脆性が増加する非反応性希釈剤のいずれかを必要とする。
【0004】
一般に、希釈剤は賦形剤として使用される物質である。本発明の目的のために、希釈剤は、粘度及び硬度の調整剤として、特に粘度及び硬度の低下剤として作用する材料である。前述のとおり、熱伝導性インターフェースで有用な多くの非シリコーンポリマーシステムは、標準的な液体分配システムでは容易に分配できないほど高い予備硬化粘度を示す。予備硬化されたポリマーシステムに1つ又は複数の希釈剤を含めると、従来の液体分配装置を介した送達が可能になる点まで粘度を低下させるのを補助することができる。架橋ポリマーネットワーク内に希釈剤が存在すると、硬化硬度パラメータを有益に減少させて所望の柔軟性が得られる可能性もある。
【0005】
熱伝導性架橋ネットワークの粘度及び硬度を低下させるための希釈剤の従来の使用は、架橋後のネットワークからの希釈剤の移動に悩まされてきた。この移動により、近くの成分に問題が発生し得、インターフェース材料の機械的、電気的、及び熱的特性も変化する。これらの問題は、ポリマーマトリックス中の粒子状フィラーの比率が高いことに起因して、熱伝導性材料で拡大される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の目的は、比較的低粘度の液体分配可能組成物から形成され、経時的に比較的安定なデュロメータ硬度に硬化するシリコーンフリーサーマルインターフェースを提供することである。組成物は、好ましくは、反応して分子量が増加するが、架橋性ポリマーシステムと感知できるほどには反応しない2成分反応性希釈剤システムを包含してよい。
【0007】
本発明の別の目的は、液体分配装置を介して送達可能であり、長期間にわたりデュロメータ硬度が実質的に変化しない比較的低いデュロメータ硬度体に硬化可能な、2部反応物質組成物から形成されるシリコーンフリーサーマルインターフェースを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、シリコーンフリーポリマーマトリクスと適合性があり、それ自体と反応して、ポリマー硬化に関与することなく分子量を増加させる2部反応性希釈剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明により、従来の液体分配装置による液体コーティングとしての分配に適した粘度を示す組成物から、低硬度、高熱伝導率のシリコーンフリーサーマルインターフェースが形成される可能性がある。本発明のサーマルインターフェースは、好ましくは、長期間にわたって比較的安定した後硬化デュロメータ硬度を示す。比較的低いデュロメータ硬度は、コーティングされた基材へのサーマルインターフェースの良好な物理的適合性を促進する。いくつかの実施形態では、コーティングされた基材は、電池システムからの1つ又は複数の電池を包含してよい。
【0010】
組成物は、一般に、非シリコーン架橋性ポリマー、熱伝導性粒子状フィラー、及び反応性希釈剤の3つの主成分を包含する。予備硬化された材料は、液体の分配可能な粘度を示し、硬化可能で、熱伝導率の高い柔らかい固体を形成する。反応性希釈剤は、材料が分配可能であり、低粘度を維持することを可能にするが、分子量の増加に対して反応性であり、硬化した材料からのその移動性を制限する。
【0011】
一実施形態では、サーマルインターフェースは、1つ又は2つの反応性官能基を有する第1反応物質を有する第1成分を包含する2部組成物から形成され、第1成分は、20℃で1s-1の剪断速度で500,000cP未満の粘度を示す。組成物は、以下の反応性官能基を有する第2反応物質を有する第2成分をさらに包含する。
(i)第1反応物質の官能基が1つ又は2つである場合は1つ又は2つ、
(ii)第1反応物質の官能基が1つである場合にのみ3つ以上。
【0012】
組成物の第2成分は、好ましくは、20℃で1s-1の剪断速度で500,000cP未満の粘度を示す。組成物はまた、非シリコーン架橋性ポリマー及び熱伝導性フィラーを包含する。第1反応物質及び第2反応物質は互いに反応可能であってよく、20℃で1s-1のせん断速度で少なくとも1,000,000cPの粘度を有する生成物を形成し、サーマルインターフェースは少なくとも1W/m・Kの熱伝導率を示す。
【0013】
いくつかの実施形態では、ポリマー及び熱伝導性フィラーのそれぞれは、第1成分及び第2成分の1つ又は複数に包含される。第1成分及び第2成分の第1反応物質及び第2反応物質は、エポキシ、アミン、アクリレート、チオール、ポリオール、及びイソシアネートからの反応性セットから選択されてよい。組成物は、80未満のショア00硬度、より好ましくは20~70のショア00硬度に硬化可能であってよい。
【0014】
表面上にサーマルインターフェースを形成するための方法は、100cP未満の粘度を有する第1反応性希釈剤を有する第1成分、100cP未満の粘度を有する第2反応性希釈剤を有する第2成分を提供することを包含し、第1及び第2希釈剤は、互いに反応性であり、1000センチポアズ超過の粘度を有する非架橋生成物を形成する。方法は、非シリコーン硬化性樹脂及び熱伝導性フィラーをさらに提供することを包含する。第1成分及び第2成分、並びに樹脂及びフィラーは、少なくとも1つのオリフィスを通して表面に分配されてよく、第1希釈剤を第2希釈剤と反応させる。方法は、樹脂を、好ましくは80未満のショア00硬度に硬化させることをさらに包含する。サーマルインターフェースは、好ましくは、少なくとも1.0W/m・Kの熱伝導率を示してよい。樹脂及び熱伝導性フィラーのそれぞれは、第1成分及び第2成分の1つ又は複数に包含されてよい。第1成分は、第1オリフィスを通して第1液体として分配されてよく、第2成分は、第2オリフィスを通して第2液体として分配されてよい。
【0015】
電池システムが電池と電池に熱的に結合されたサーマルインターフェースを包含するように、表面は、電池に接続されてよく又は電池の一部であってよい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、表面上にサーマルインターフェースを形成するためのシステムの概略図である。
【
図2】
図2は、表面上にサーマルインターフェースを形成するためのシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明によって表される他の目的、特徴、及び進歩とともに上に列挙された目的及び利点は、添付の図面を参照して説明される詳細な実施形態に関してここに提示される。本発明の他の実施形態及び態様は、当業者の把握の範囲内にあると認識されている。
【0018】
本発明の熱伝導性インターフェースは、典型的には発熱電子部品から過剰な熱を除去するために、熱放散経路に沿って配置するための表面又は自立体上のコーティングとして形成されてよい。サーマルインターフェースは、好ましくはシリコーンフリーであり、熱伝導性粒子で充填され、所望の熱伝導率、典型的には少なくとも約1W/m・Kを達成する。サーマルインターフェースは、好ましくは、約80ショア00未満のデュロメータ硬度を示すことにより、表面粗さに適合している。
【0019】
一般に、熱伝導性インターフェースは、第1反応物質を有する第1成分、第1反応物質と反応可能な第2反応物質を有する第2成分、非シリコーン架橋性ポリマー、及び熱伝導性粒子状フィラーの組成物から形成される硬化性材料である。第1反応物質及び第2反応物質は、好ましくは、それ自体が比較的低い粘度を有し、組成物が液体分配装置を通して読みやすく分配可能であるように、全体の予備硬化組成物の粘度を低下させるために提供される希釈剤である。したがって、第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤は、それぞれ500cP未満の粘度を示してよい。別の実施形態では、第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤のそれぞれは、100cP未満の粘度を示してよい。例示的な実施形態では、第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤のそれぞれは、約20cPの粘度を示す。ここに記載されている定量的粘度値は、室温(20℃)及び平行板レオメータでの1s-1のせん断速度で得られたものと見なされる。
【0020】
第1希釈剤及び第2希釈剤は、好ましくは互いに反応性であり、1000cP超過の粘度を有する非架橋生成物を形成する。いくつかの実施形態において、第1希釈剤反応物質及び第2希釈剤反応物質は、互いに反応可能であり、少なくとも10,000cPの粘度を有する生成物を形成する。互いに反応可能であることにより、第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤は反応して、従来の希釈剤材料よりもサーマルインターフェースから移動する可能性が低い、分子量が増加した希釈剤生成物を形成する可能性がある。結果として、第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤の反応から形成される希釈剤生成物は、長期間にわたって、サーマルインターフェースに対する硬度調整剤として作用し続ける可能性がある。しかしながら、分子量のそのような増加は、第1反応性希釈剤と第2反応性希釈剤との間の反応時にのみ起こり、これは、液体分配に続くサーマルインターフェース形成組成物の第1成分及び第2成分の混合時に起こる可能性がある。
【0021】
本発明の一態様は、反応性希釈剤がポリマー架橋反応に関与しないことである。さらに、希釈剤反応自体は架橋せず、それにより、希釈剤生成物の分子量は、希釈剤生成物が全体的なサーマルインターフェースに対して硬度低下特性を保持する程度に制限される。したがって、第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤は、互いに反応性であるが、架橋反応を受けないように選択される。したがって、第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤は、非架橋生成物のみを形成するように選択されてよい。本明細書の目的のために、用語「非架橋」は、他の反応物質分子が単一の反応物質分子のみに連結されていない限り、反応物質分子が2つを超える他の反応物質分子に連結されていないことを意味する。非架橋希釈剤生成物の例は次のとおりである。
【0022】
【0023】
第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤の反応性を制御するために、反応性希釈剤の「官能性」を考慮すべきである。用語「官能性」は、反応物質中の重合可能な基の数を指し、これは、ポリマーの形成及び架橋の程度に影響を与える。一官能性分子は官能性(f)=を有し、二官能性分子は官能性(f)=2を有し、三官能性分子は官能性(f)=3を有する。官能性(f=2)の場合、線状反応生成物が形成される可能性がある。機能性(f≧3)の反応物質は、分岐及び架橋生成物につながる可能性がある。単官能性反応物質(f=1)は、連鎖停止を引き起こす。以下は、注目すべき官能性を有する希釈剤反応物質の希釈剤反応生成物の例である。
【0024】
【0025】
いくつかの実施形態では、第1反応物質は、1つ又は2つの反応性官能基を有し、第2反応物質は、以下の反応性官能基を有する。
(i)第1反応物質の官能基が1つ又は2つである場合は1つ又は2つ、
(ii)第1反応物質の官能基が1つである場合にのみ3つ以上、
【0026】
このような官能性制限があるため、第1反応物質及び第2反応物質は反応性であり、非架橋生成物のみを形成する。第1反応物質及び第2反応物質の架橋を防ぐことにより、希釈剤反応生成物は、より大きな分子量ではあるが、サーマルインターフェース材料を軟化させることができる。
【0027】
第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤は、予備硬化された分配性及び後硬化された柔らかさのために粘度を適切に調整するのに適切な量で組成物に添加されてよい。いくつかの実施形態では、反応性希釈剤は、組成物の約5~50重量パーセントを表してよい。第1反応性希釈剤及び第2反応性希釈剤を表す例示的な反応性希釈剤システムとしては、エポキシ/アミン、アミン/アクリレート、アクリレート/アクリレート+触媒、チオール/アクリレート、ポリオール/イソシアネート、及びアミン/イソシアネートが挙げられる。当業者は、1つ又は複数のエポキシ、アミン、アクリレート、チオール、ポリオール、及びイソシアネートから適切な希釈剤の反応性セットを選択してよいと考えられる。
【0028】
本発明のサーマルインターフェースを形成するための組成物は、好ましくは、サーマルインターフェースのバルクマトリクスを形成する非シリコーン硬化性樹脂を包含する。いくつかの実施形態では、組成物は、非シリコーン架橋性ポリマーを包含してよい。好ましい実施形態では、サーマルインターフェースはシリコーンフリーであり、微量のシリコーンしかサーマルインターフェースに含有されていない。所望の物理的特性を達成するために、多種多様な非シリコーン架橋性ポリマーを本発明の組成物に使用してよいと考えられる。架橋ポリマーシステムの例としては、シリル修飾ポリマー(SMP)、エポキシ/アミン、エポキシ/無水物、アクリレート、及びポリウレタンが挙げられる。好ましくは、架橋ポリマーは、希釈剤と反応することなく架橋ネットワークを形成する任意の非シリコーンポリマーである。出願人は、米国特許第3,632,557号及び米国特許出願公開第2004/0127631号に記載されているもの等のSMP材料は、その内容全体が本明細書に組み込まれ、本発明の熱伝導性インターフェースの調製に特に有用である可能性があることを発見した。架橋ポリマーと反応性希釈剤システムの様々な組合せが、特定の特性のために選択されてよいことが理解されるべきである。架橋ポリマーと反応性希釈剤の組合せの例を次の表1に示す。
【0029】
【0030】
エポキシ/アミン、アクリレート、ポリウレタン、又はチオール/エンポリマー架橋システムを使用するシステムは、上記の表1に列記されている希釈剤の一部と潜在的に共反応し得るが、適切な触媒及び/又は阻害剤との分子の特定の組合せが可能である場合がある。
【0031】
熱伝導性インターフェースの熱伝導性を高めるために、本発明の組成物は、その中に分散された熱伝導性粒子を含有してよい。粒子は、熱伝導性及び電気伝導性の両方であってよい。あるいは、粒子は熱伝導性及び電気絶縁性であってよい。熱伝導性粒子の例としては、酸化アルミニウム、酸化シリコーン、アルミニウム三水和物、酸化亜鉛、グラファイト、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、金属粒子、及びそれらの組合せが挙げられる。熱伝導性粒子は、様々な形状及びサイズのものであってよく、粒子サイズ分布を使用して、任意の特定の用途のパラメータに適合させてよいと考えられる。いくつかの実施形態では、熱伝導性粒子は、約0.1~100マイクロメートルの平均粒子径を有してよく、約20~95重量%の濃度で熱伝導性材料中に存在してよい。
【0032】
熱伝導性粒子は、約20~95重量%の負荷濃度で、第1成分及び第2成分の少なくとも1つに分散されてよい。成分混合物から形成される熱伝導性インターフェースが少なくとも1W/m・Kの熱伝導率を示すように、十分な熱伝導性粒子が提供されることが望ましい。いくつかの実施形態では、架橋性ポリマー及び熱伝導性フィラーのそれぞれは、第1成分及び第2成分の1つ又は複数に包含されてよい。
【0033】
本発明のサーマルインターフェースを形成するための組成物は、好ましくは、ショア00硬度80未満に、より好ましくは、ショア00硬度20~70に硬化可能であるように選択される。硬化したサーマルインターフェースのこうしたデュロメータ硬度は、選択した反応性希釈剤、非シリコーン架橋性ポリマー、熱伝導性フィラーの組合せ、及び各成分の反応性濃度によって決定される。
【0034】
反応物質及び最終的なサーマルインターフェースの所望の反応速度及び物理的特性を達成するために、様々な追加の成分を本発明の組成物に包含することができる。添加剤の例としては、架橋触媒、非反応性希釈剤、溶媒、酸化防止剤、界面活性剤、反応促進剤、反応阻害剤、安定剤、フィラー、及びそれらの組合せが挙げられる。
【0035】
表面上に本発明のサーマルインターフェースを形成するためのシステム及び方法が、
図1及び
図2に概略的に示されている。システム10、110は、第1反応性希釈剤を有する第1成分12、112の供給、及び第1反応性希釈剤と反応性である第2反応性希釈剤を有する第2成分14、114の供給を包含する。図示の実施形態では、非シリコーン硬化性樹脂及び熱伝導性フィラーが、第1成分及び第2成分供給12、112及び14、114のうちの1つ又は複数に提供される。第1成分及び第2成分は、少なくとも1つのオリフィスを通って表面22、122に分配されて、第1反応性希釈剤を第2反応性希釈剤と反応させる。
図1に示されるシステム10では、第1成分及び第2成分は、共通のオリフィス16を通して分配される。
図2に示されるシステム110では、第1成分及び第2成分は、別個のオリフィス116A、116Bを通して分配される。表面22は、電池20の表面であってよく、又は電池20に熱的に結合されてよい。表面22、122への第1成分及び第2成分の分配に続いて、コーティングは、硬化手段30、130によって硬化されてよい。硬化手段の例としては、加熱オーブン、紫外線(UV)放射ランプ、光開始剤等を包含してよい。いくつかの実施形態では、硬化性樹脂は25℃超過の温度で硬化してよい。
図1及び
図2の概略図は、コーティングされた電池20、120を硬化手段30、130に露出された硬化ステーションに移動させるためのコンベヤ40、140を示している。好ましい実施形態では、第1成分及び第2成分は、液体の形態で少なくとも1つのオリフィス16、116を通して分配されてよい。
【実施例】
【0036】
サーマルインターフェースの第1例は、以下の2成分組成物から形成された。
【0037】
【0038】
平行板レオメータで1sー1のせん断速度で測定した場合、第1成分は100,000cPの粘度を示し、第2成分は200,000cPの粘度を示した。
【0039】
第1成分と第2成分を混合すると、25℃で24時間後に、ショア00デュロメータ硬度が50、熱伝導率が3.0W/m・Kの硬化した固体が生成された。
【0040】
サーマルインターフェースの第2例は、以下の組成物から形成された。
【0041】
【0042】
第1成分及び第2成分を混合すると、55のショア00硬度を有する硬化した固体が得られた。
【0043】
本発明は、特許法に準拠し、当業者に、新規の原理を適用し、必要に応じて本発明の実施形態を構築及び使用するために必要な情報を提供するために、かなり詳細に本明細書に記載されている。しかしながら、本発明自体の範囲から逸脱することなく、様々な修正を達成することができることを理解されたい。
【符号の説明】
【0044】
10、110 システム
12、112 第1成分
14、114 第2成分
16、116a、116b オリフィス
20、120 電池
22、122 表面
30、130 硬化手段
40、140 コンベヤ
【手続補正書】
【提出日】2022-08-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
【国際調査報告】