(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-15
(54)【発明の名称】変性チオキサントン光開始剤
(51)【国際特許分類】
C07D 335/16 20060101AFI20230308BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20230308BHJP
C07D 495/10 20060101ALI20230308BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20230308BHJP
G03F 7/028 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C07D335/16 CSP
C09K3/00 K
C07D495/10
C07D519/00
G03F7/028
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543121
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(85)【翻訳文提出日】2022-08-31
(86)【国際出願番号】 GB2021050091
(87)【国際公開番号】W WO2021144582
(87)【国際公開日】2021-07-22
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521026873
【氏名又は名称】リントフィールド リミテッド
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウォール,クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ディン,コンクエ
(72)【発明者】
【氏名】永原 誠司
【テーマコード(参考)】
2H225
4C071
4C072
【Fターム(参考)】
2H225AL02
2H225AL11
2H225BA11P
4C071AA04
4C071BB01
4C071CC12
4C071CC21
4C071EE15
4C071FF16
4C071FF18
4C071GG01
4C071HH05
4C071KK01
4C071LL10
4C072MM08
4C072UU10
(57)【要約】
潜在性光開始剤化合物、並びにそのような化合物を含有する組成物、及びフォトレジスト構造を製造するための光開始方法におけるそれらの使用が記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】
式中、
n=0又は1;
m=0、1、2又は3;
R
1及びR
2は、C
1-6アルキルヒドロキシ基又はそのカルボキシレートエステル、C
1-6アルキルチオ基、C
1-6アルキルアミノ基、エステル部分がC
1-6アルキル基及び/若しくは4~10員炭素環基を含むC
1-6カルボキシレートエステル基から独立して選択され;並びに
R
3、R
4、R
5、R
6、R
7及びR
8は、H、ヒドロキシ基、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、C
1-6アルコキシ基、C
1-6アルキルチオ基、4~8員炭素環基、4~8員複素環基、エステル部分がC
1-6アルキル基及び/若しくは4~10員炭素環基を含むC
1-6カルボキシレートエステル基から独立して選択され;又はR
5は、R
3若しくはR
7及びそれらが結合している炭素原子と共に、4~8員炭素環基又は4~8員複素環基を形成する。
【請求項2】
式IIの化合物:
【化2】
式中、
m=0、1、2、3又は4;及び
前記芳香環の一方が、請求項1に定義される式(I)の分子と同様に置換され、又は
前記芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換され;及び
L=リンカー基。
【請求項3】
前記芳香環の一方が、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそれらのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される1、2、3又は4つの置換基で置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記芳香環の一方が同一である2つの置換基で置換されている、請求項2又は3に記載の化合物。
【請求項5】
前記芳香環がそれぞれ、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそれらのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される1、2、3又は4つの置換基で置換されている、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
前記環がそれぞれ、単一の置換基で置換されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記環の一方が2つの置換基で置換され、前記環の他方が1、2、3又は4つの置換基で置換されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
前記環の一方が3つの置換基で置換され、前記環の他方が1、2、3又は4つの置換基で置換されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項9】
前記環の一方が4つの置換基で置換され、前記環の他方が1、2、3又は4つの置換基で置換されている、請求項5に記載の化合物。
【請求項10】
R
5がR
3又はR
7及びそれらが結合している炭素原子と共に、6員炭素環基を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
C
1-6アルコキシがメトキシである、請求項1~10のいずれかに記載の化合物。
【請求項12】
C
1-6アルキルヒドロキシが2-ヒドロキシイソプロピルである、請求項1~11のいずれかに記載の化合物。
【請求項13】
R
1及びR
2が独立して、C
1-6アルキルヒドロキシ基又はそのカルボキシレートエステルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
アルキルカーボネートが、C
1-4アルキルカーボネート、好ましくはt-ブトキシカーボネートである、請求項2~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
エステルが、C
1-4アルキル酸エステル、好ましくは酢酸エステル、又は環式オルトエステル、好ましくはメチルオルトホルメートエステル、エチルオルトホルメートエステル、n-プロピルオルトホルメートエステル、又はイソプロピルオルトホルメートエステルである、請求項2~9のいずれかに一項記載の化合物。
【請求項16】
アセタールが、C
1-4アルコキシアルキル基、好ましくはエトキシエチル又は環式アセタールである、請求項2~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
前記芳香環上の前記置換基がヒドロキシ及びアルコキシから選択される、請求項2~9のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
前記置換基のすべてが同じである、請求項1~17のいずれかに記載の化合物。
【請求項19】
n及び/又はmが、5員、6員又は7員環式ケタールを形成するように選択される、請求項1~18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
前記ブロックケトン光開始剤モノマーが:
2,3-ジメトキシ-9H-チオキサンテン-9-オン、2,3-ジヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン、2,3,5-トリメトキシ-9H-チオキサンテン-9-オン、2,3,7-トリメトキシ-9H-チオキサンテン-9-オン、1,5,6-トリヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン、1,5,6-トリメトキシ-9H-チオキサンテン-9-オン、3,4-ジヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン、3,4-ジメトキシ-9H-チオキサンテン-9-オン、3’,4’-ジメトキシスピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]、3’,4’-ジメトキシスピロ[1,3-ジオキソラン-2,9’-チオキサンテン]、2’,3’-ジメトキシスピロ[(1.3)-ジオキソラン-2,9’-チオキサンテン]、3,4-ビス(ベンジルオキシ)-9H-チオキサンテン-9-オン、3,4-ビス(1-エトキシエチル)-9H-チオキサンテン-9-オン、ジ-t-ブチル(9-チオキソ-9H-チオキサンテン-3,4-ジイル)ジカーボネート、メタン;2’-メトキシ-5,6-ジメチル-スピロ[1,3-ジオキセパン-2,6’-チオクロメノ[3,2-g][1,3]ベンゾジオキソール]、2-メトキシチオクロメノ[3,2-g][1,3]ベンゾジオキソール-6-オン、2’-メトキシスピロ[1,3-ジオキサン-2,6’-チオクロメノ[3,2-g][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-メトキシスピロ[1,3-ジオキセパン-2,6’-チオクロメノ[2,3-g][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-メトキシ-5,5-ジメチル-スピロ[1,3-ジオキサン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-メトキシ-4,6-ジメチル-スピロ[1,3-ジオキサン-2,6’-チオクロメノ[3,2-g][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-メトキシ-4,7-ジメチル-スピロ[1,3-ジオキセパン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-メトキシ-5,5-ジメチル-スピロ[1,3-ジオキセパン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-メトキシ-5-メチル-スピロ[1,3-ジオキセパン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-エトキシスピロ[1,3-ジオキセパン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-プロポキシスピロ[1,3-ジオキセパン-2,6’-チオクロメノ[3,2-g][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-フェノキシスピロ[1,3-ジオキセパン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-イソプロポキシスピロ[1,3-ジオキセパン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-エトキシスピロ[1,3-ジオキサン-2,6’-チオクロメノ[3,2-g][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-エトキシスピロ[1,3-ジオキソラン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-プロポキシスピロ[1,3-ジオキサン-2,6’-チオクロメノ[3,2-g][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-プロポキシスピロ[1,3-ジオキソラン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-イソプロポキシスピロ[1,3-ジオキサン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-イソプロポキシスピロ[1,3-ジオキソラン-2,6’-チオクロメノ[3,2-g][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-メトキシスピロ[1,3-ジオキサン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、2’-メトキシスピロ[1,3-ジオキソラン-2,6’-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール]、スピロ[1,3-ジオキソラン-2,9’-チオキサンテン]-3’,4’-ジオール、スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’,4’-ジオール、スピロ[1,3-ジオキセパン-2,9’-チオキサンテン]-3’,4’-ジオール、5-メチルスピロ[1,3-ジオキセパン-2,9’-チオキサンテン]-3’,4’-ジオール、5,5-ジメチルスピロ[1,3-ジオキセパン-2,9’-チオキサンテン]-3’,4’-ジオール、2-エトキシチオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソール-6-オン、3’,4’-ジメトキシ-4,6-ジメチル-スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]、3’,4’-ジメトキシ-4,5-ジメチル-スピロ[1,3-ジオキソラン-2,9’-チオキサンテン]、9,9-ジエトキシ-3,-ジメトキシ-チオキサンテン、2-メトキシ-6,6-ジプロポキシ-チオクロメノ[3,2-g][1,3]ベンゾジオキソール及び6,6-ジエトキシ-2-メトキシ-チオクロメノ[2,3-e][1,3]ベンゾジオキソールから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項21】
Lが、それぞれ置換され得る、単結合、C
1-6アルキル基、C
2-6アルケニル基、若しくは4~8員炭素環基からなる群から選択される、又はLが、それぞれ1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基若しくは1,3-ジオキソナン基の間で共有される縮合炭素-炭素結合を含む、又はLが、それぞれ1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基若しくは1,3-ジオキソナン基の間で共有される炭素原子を含む、請求項2又はそれに従属するいずれかの他の請求項に記載の化合物。
【請求項22】
化合物であって:
2-[4-(2-アセトキシエトキシ)-9-オキソ-チオキサンテン-3-イル]オキシエチルアセテート、
3,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)チオキサンテン-9-オン、
2-[4’-(2-アセトキシエトキシ)スピロ[1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジオキセピン-3,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエチルアセテート、
2-[4’-(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,5-ジヒドロ-2,4-ベンゾジオキセピン-3,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエタノール、
2-[4’-(2-アセトキシエトキシ)-5-フェニル-スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエチルアセテート、
2-[4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-5-フェニル-スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエタノール、
2-[4’-(2-アセトキシエトキシ)-5,5-ジメチル-スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエチルアセテート、
2-[4’-(2-ヒドロキシエトキシ)-5,5-ジメチル-スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエタノール、
2-[4’-(2-アセトキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキセパン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエチルアセテート、
2-[4’-(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキセパン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエタノール、
2-[4’-(2-アセトキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエチルアセテート、
2-[4’-(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエタノール、
2-[4’-(2-アセトキシエトキシ)-5-[4-[3’,4’-ビス(2-アセトキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-5-イル]フェニル]スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエチルアセテート、
2-[5-[4-[3’,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-5-イル]フェニル]-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエタノール、
2-{3’-[2-(アセチルオキシ)エトキシ]-5-{4’-[2-(アセチルオキシ)エトキシ]-3’-{2-[(1-ヒドロキシエテニル)オキシ]エトキシ}スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]5-yo}スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-4’イルオキシ}エチルアセテート、
2-{5’-[3’,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’チオキサンテン]-5-イル]-3’-(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’チオキサンテン]-4’-イルオキシ}エタン-1-オール、
2-{3,4’’’-ビス[2-(アセチルオキシ)エトキシ]-3’’’-{2-[(1-ヒドロキシエテニル)オキシ]エトキシ}トリスピロ[チオキサンテン-9,2’:5’m5’’-ビス([1,3]ジオキサン)-2’’,9’’’-チオキサンテン]4-イルオキシ}エチルアセテート、
2-[3,3’’’,4’’’-トリス(2-ヒドロキシエトキシ)トリスピロ[チオキサンテン-9,2’:5’,5’’-ビス([1,3]ジオキサン)-2’’,9’’’-チオキサンテン]-4-イルオキシ]エタン-1-オール、
2-{3’-[2-アセチルオキシ)エトキシ]-5-{4’-[2-(アセチルオキシ)エトキシ]-3’-{2-[(1-ヒドロキシエテニル)オキシ]エトキシ}スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’チオキサンテン]-5-イル}スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-4’イルオキシ}エチルアセテート、
2-{5-[3’,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-5-イル]-3’-(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]4’-イルオキシ}エタン-1-オール、
2-{3’’,4’’,6-トリス[2-アセチルオキシ)エトキシ]-1’,5’,5’a,6’,10’,10’a-ヘキサヒドロスピロ[チオキサンテン-9,8’-[2,4,7,9]テトラオキサヘプタレン-3’,9’’チオキサンテン]-5-イルオキシ}エチルアセテート、
2-[3’’,4’’,6-トリス(2-ヒドロキシエトキシ)-1’,5’,5’a,6’,10’,10’a-ヘキサヒドロジスピロ[チオキサンテン-9,8’-[2,4,7,9]テトラオキサヘプタレン-3’,9’’-チオキサンテン]5-イルオキシ]エタン-1-オール、
2-[4’-(2-アセトキシエトキシ)-5-[2-[3’,4’-ビス(2-アセトキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-5-イル]エチル]スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエチルアセテート、
2-[5-[2-[3’,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-5-イル]エチル]-4’-(2-ヒドロキシエトキシ)スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-3’-イル]オキシエタノール、及び
5-[2-(3’,4’-ジメトキシスピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]-5-イル)エチル]-3’,4’-ジメトキシ-スピロ[1,3-ジオキサン-2,9’-チオキサンテン]
から選択される化合物。
【請求項23】
組成物であって、
(a)請求項1~22のいずれかに定義される式(I)又は式(II)の化合物;
及び
(b)化学的に変換可能な基質;
を含み、前記式(I)又は(II)の化合物は、式(III)の反応性誘導体の前駆体であり:
【化3】
式中、
前記芳香環の一方は、-O-C
(1-6)アルキルヒドロキシ基又はそのカルボキシレートエステル、-O-C
(1-6)アルキルチオ基、-O-C
(1-6)アルキルアミノ基、並びにエステル部分がC
1-6アルキル基及び/若しくは4~10員炭素環基を含む-O-C
(1-6)カルボキシレートエステル基から独立して選択される置換基で二置換され;又は
前記芳香環の一方又は両方が、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
前記化合物が、酸の存在下で前記式(I)又は式(II)の化合物を反応させることによって得ることができ;
さらに、前記変換可能な基質が、前記式(III)の化合物の存在下で、直接光開始反応又は間接的光開始反応によって変換され得る、組成物。
【請求項24】
C
1-6アルコキシがメトキシである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
C
1-6アルキルヒドロキシが2-ヒドロキシイソプロピルである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記変換可能な基質が、重合性基質、例えばカチオン重合性基質又はフリーラジカル促進重合性基質である、請求項23~25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記変換可能な基質が保護されたポリマーである、請求項23~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記保護されたポリマーが、酸不安定基によって保護された極性基を有するポリマーであり、前記ポリマーが、前記酸不安定基の除去後、現像媒体に可溶性である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
光酸発生剤(PAG)をさらに含有する、請求項23~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記PAGが、前記式(III)の化合物によって光増感され得る、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
クエンチャ又はその光分解性版をさらに含む、請求項23~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
光開始方法であって、
(a)支持体上に請求項23~31のいずれか一項に記載の組成物の層を形成すること;
(b)前記層の選択された領域に酸を塗布するか、又はその場で酸を発生させ、前記酸を前記式(I)又は式(II)の化合物と反応させて、前記層の前記選択された領域に前記式(III)の反応性誘導体を形成させること;
(c)前記選択された領域に前記反応性誘導体が存在している前記層を、前記式(III)の化合物から反応種を生成するのに適した波長又はエネルギーの電磁放射線に曝露すること;及び
(d)前記反応種が前記変換可能な基質の変換を直接又は間接的に引き起こすことを可能にすること、を含む光開始方法。
【請求項33】
前記組成物がPAGを含み、(b)で、前記式(I)又は式(II)の化合物との反応のために前記層の前記領域において前記PAGに酸を発生させる外部刺激に前記層を曝露することによって、酸がその場で発生する、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
発生した前記反応種がフリーラジカルであり、前記変換可能な基質がフリーラジカル促進重合性基質であり、それにより前記フリーラジカル反応種が前記変換可能な基質の変換を直接引き起こす、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が共開始剤又は相乗剤をさらに含み、発生した前記反応種が、前記共開始剤又は相乗剤を活性化する増感剤として機能することができる前記式(III)の化合物の励起状態である、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記変換可能な基質が、酸不安定基によって保護された極性基を有する保護されたポリマーであり、発生した前記反応種が、前記PAGを活性化する増感剤として機能することができる前記式(III)の化合物の励起状態であり、それにより前記保護されたポリマーを脱保護することによって前記変換可能な基質を変換するのに有効なさらなる酸が発生する、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
基板、及びその上に形成された請求項23~31のいずれか一項に記載の組成物の層を含む、フォトレジスト構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボニル基が環式ケタール、又は置換若しくは非置換1,3-ジオキソラン、又は置換若しくは非置換1,3-ジオキサン基、又は置換若しくは非置換1,3-ジオキセパン基、又は置換若しくは非置換の1,3-ジオキソカン基、又は置換若しくは非置換の1,3-ジオキソナン基によってブロックされている置換チオキサントン誘導体及びそのダイマー、並びに光開始反応におけるそのような誘導体の使用に関する。本発明は、これら及び他の置換チオキサントン誘導体を作製する合成方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
光吸収ケトン化合物は、光誘起反応での使用について周知である。これらの種は、一般に光開始剤又は光増感剤と呼ばれ、放射線への曝露時に反応種を生成する。そのような光開始剤又は光増感剤の例は、米国特許第7,585,611B号、欧州特許出願第2,792,694A1号及び米国特許第7,425,585B号に見出すことができる。好適な変換可能な基質に組み込まれると、放射線への曝露によって生成された反応種は、任意に他の種と組み合わせて、増感及びエネルギー又は電子移動プロセスを介して、直接又は間接的に、変換可能な基質において化学反応を引き起こすことができる。典型的には、変換可能な基質は、新しいポリマー材料に変換されるモノマー、オリゴマー、ポリマー、又はそれらの混合物であり得る有機材料を含有する。
【0003】
いくつかの用途では、光開始剤が潜在性であり、非ブロック化によって活性化され得るように、ケトン光開始剤の1つ以上のケトン部分をブロックすることが望ましい。米国特許出願公開第2004/0014833号及び国際公開第2011/086389号は、そのような保護されたケトン光開始剤、及びそれらを使用する方法に関する。
【0004】
本発明は、当分野で既知のものより改善されている、ブロックされた又は潜在性ケトン光開始剤に関する。特に、環式ケタール上の特定の置換基並びにチオキサントンの炭素骨格上の特定の置換基及び/又は保護基を有する、本発明のブロックされた又は潜在性ケトン光開始剤は、それらを様々な用途において望ましいものにする特性を有することが見出されている。これらの特性としては、非置換光開始剤と比較して、水性又は有機現像媒体中の少なくとも脱保護種の溶解度差の増大がある。
【0005】
特に明記しない限り、本明細書において「ブロックされた」ケトン光開始剤とは、ケトンとジオールとの反応によってケトン基がブロックされて、1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基若しくは1,3-ジオキソナン基を形成する、又はケトンとテトラオールとの反応によってケトン基がブロックされてダイマーを形成する、潜在性ケトン光開始剤であって、2つの光開始剤分子は、各ケトンが2つのケタール部分間のリンカーによって、又は炭素-炭素結合に沿って互いに縮合した2つのケタール部分によって、1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基又は1,3-ジオキソナン基をそれぞれ形成するように結合する、潜在性ケトン光開始剤のことを指す。本明細書において「ブロックされた」ケトン光開始剤とは、ケトンと置換ジオールとの反応によって各モノマーのケトン基がブロックされて、置換1,3-ジオキソラン基、置換1,3-ジオキサン基、置換1,3-ジオキセパン基、置換1,3-ジオキソカン基又は1,3-ジオキソナン基を形成する、潜在性ケトン光開始剤ダイマーであって、ジオール上の置換基がそれ自体と反応してダイマーを形成することができる反応性置換基である、潜在性ケトン光開始剤ダイマーのことを指す。結果として、本明細書における「非ブロック」又は「脱ブロック」ケトン光開始剤への言及は、1,3-ジオキソラン基、又は1,3-ジオキサン基、又は1,3-ジオキセパン基、又は1,3-ジオキソカン基、又は1,3-ジオキソナン基の代わりにカルボニルが存在する活性ケトン光開始剤モノマーへの言及である。特に明記しない限り、本明細書における「保護された」ケトン光開始剤への言及は、光開始剤の芳香環上に存在する官能基を有する化合物への言及であり、この官能基は保護基を含めることによって変性されている。例えば、アセタール置換基、アルキルカーボネート置換基及びエステル置換基は、基礎をなすヒドロキシル基の保護基であるため、これらの保護基の1つを置換基として有する化合物は、保護ケトン光開始剤と呼ばれ得る。
【0006】
本発明の化合物が適しているブロックされたケトン光開始剤の1つの特定の用途は、フォトレジスト組成物の成分としての使用である。フォトレジストは、多くの工業プロセスで使用される感光性組成物であり、エレクトロニクス工業において特に重要な用途を有する。典型的には、フォトレジスト組成物を基板にコーティングしてフォトレジスト層を形成する。次いで、層の選択された領域を電磁エネルギー、通常はUV、深UV、KrF若しくはArFエキシマレーザ光、EUV光、又は電子ビーム(EB)などの光エネルギーに露光して、フォトレジストの露光領域において化学反応を開始させる。次いで、フォトレジスト現像剤を使用して、現像剤に可溶な物質を除去する。フォトレジストは、ネガ型フォトレジスト又はポジ型フォトレジストの形態であることができる。ポジ型フォトレジストは、フォトレジストの露光部分がフォトレジスト現像剤に可溶となり、したがって現像剤によって除去することができるが、フォトレジストの未露光部分はフォトレジスト現像剤に不溶性のままである、フォトレジストである。ネガ型フォトレジストは、フォトレジストの露光部分はフォトレジスト現像剤に対して不溶となるが、フォトレジストの未露光部分は溶解してフォトレジスト現像剤によって除去することができるものである。現像剤を使用した工程の後、表面には現像剤に不溶性のパターン化コーティングが残存する。熱の印加又はさらなる光への露光によって実施され得る硬化工程などのさらなる工程が、コーティングを硬化させるために実施され得る。
【0007】
一般にポジ型フォトレジストではよくあるケースだが、現像剤によって除去されるフォトレジストの可溶性部分のフィーチャが非常に微細である場合、除去される領域に存在する種が、典型的には水性媒体である現像媒体に可溶性であることが重要である。さもなければ、いわゆる「スカミング」が生じる可能性がある。本明細書に記載の潜在性又はブロックされた光開始剤は、そのような光開始方法において有利に使用され得る。
【発明の概要】
【0008】
本発明によれば、式Iの化合物が提供され:
【0009】
【0010】
式中、n=0又は1、m=0、1、2又は3、R1及びR2は、C1-6アルキルヒドロキシ基又はそのカルボキシレートエステル、C1-6アルキルチオ基及びC1-6アルキルアミノ基、エステル部分がC1-6アルキル基及び/若しくは4~10員炭素環基を含むC1-6カルボキシレートエステル基から独立して選択され;並びにR3、R4、R5、R6、R7及びR8は、H、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、4~8員炭素環基、4~8員複素環基、エステル部分がC1-6アルキル基及び/若しくは4~10員炭素環基を含むC1-6カルボキシレートエステル基から独立して選択され、又はR5は、R3若しくはR7と共に、4~8員炭素環基又は4~8員複素環基を形成する。
【0011】
いくつかの実施形態では、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、4~8員炭素環基、4~8員複素環基、エステル部分がC1-6アルキル基及び/若しくは4~10員炭素環基を含む、C1-6カルボキシレートエステル基から独立して選択され、又はR5は、R3又はR7と共に、4~8員炭素環基又は4~8員複素環基を形成し、選択された基は、ハロゲン、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、シアノ、ホルミル、カルボキシル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、オキソ、イミノ、C1-6アルキル(例えば、メチル)、C1-6アルコキシ(例えば、メトキシ)、ヘテロアリール、フェニル、又はハロゲン、ヒドロキシル、メルカプト、ニトロ、シアノ、ホルミル、カルボキシル、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、アミノ、オキソ、イミノ、C1-6アルキル(例えば、メチル)若しくはC1-6アルコキシ(例えば、メトキシ)の1つ以上で置換されたフェニル若しくはヘテロアリールから選択される1つ以上の置換基で任意にさらに置換される。
【0012】
いくつかの実施形態では、1,3-ジオキソラン環、1,3-ジオキサン環、1,3-ジオキセパン環、1,3-ジオキソカン環又は1,3-ジオキソナン環は、非置換であり得る。いくつかの実施形態では、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、1,3-ジオキソラン環、1,3-ジオキサン環、1,3-ジオキセパン環、1,3-ジオキソカン環又は1,3-ジオキソナン環が1つ以上の置換基で置換されるように選択され得る。いくつかの実施形態では、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、1,3-ジオキソラン環、1,3-ジオキサン環、1,3-ジオキセパン環、1,3-ジオキソカン環又は1,3-ジオキソナン環が、任意の置換パターンで例えばジェミナル、ビシナール又はその他の2つ以上の置換基で置換されるように選択され得る。
【0013】
したがって、いくつかの例では、R3、R4、R5、R6、R7及びR8の1つ以上は独立して(クロロ)アルキルであり得、C1-6(クロロ)アルキル、例えば(クロロ)メチル、(クロロ)エチル、(クロロ)プロピルを含み、及び例えば1,3-ジオキサン環上の2つの置換基が結合して環式基、例えば1,3-ジオキサン環に縮合した5又は6員炭素環を形成し得る(クロロ)シクロアルキルも含む。いくつかの例では、1,3-ジオキソラン環、1,3-ジオキサン環、1,3-ジオキセパン環、1,3-ジオキソカン環又は1,3-ジオキソナン環は、任意の置換パターンで1個以上のC1-6アルキル基、例えば2個以上のC1-6アルキル基で置換され得る。例えば、1,3-ジオキソラン環、1,3-ジオキサン環、1,3-ジオキセパン環、1,3-ジオキソカン環又は1,3-ジオキソナン環は、ジェミナル又はビシナルのC1-6アルキル基、例えばジェミナル又はビシナルメチル基で置換され得る。いくつかの例では、1,3-ジオキソラン環、1,3-ジオキサン環、1,3-ジオキセパン環、1,3-ジオキソカン環又は1,3-ジオキソナン環は、1、2、3又は4つのC1-6アルキル基、例えば1、2、3又は4つのメチル基で置換され得る。上記の例のすべてにおいて、C1-6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル、並びにそれらのすべての位置異性体を含むことが理解される。
【0014】
いくつかの例では、本発明の化合物は、式Iの化合物以外であり、ケトンがリンカー基によって別の環式ケタール-ブロックチオキサントンケトン光開始剤に結合された環式ケタールによってブロックされた、同じチオキサントンケトン光開始剤、例えばケトンが6員環式アセタール、例えば1,3-ジオキサンによって「ブロック」され、別のチオキサントンケトン光開始剤に、リンカー、例えばエチレン架橋又はビニル架橋によって、6員環式アセタール、例えば1,3-ジオキサンによってまた「ブロック」された他方のケトンに結合された、化合物をベースとすることができる。いくつかの例では、そのような化合物は、式Iの化合物のダイマー、例えば式IIの化合物であると記載され得て、
【0015】
【0016】
式中、m=0、1、2、3又は4、
芳香環の一方は、-O-C(1-6)アルキルヒドロキシ基又はそのカルボキシレートエステル、-O-C(1-6)アルキルチオ基及び-O-C(1-6)アルキルアミノ基、エステル部分がC1-6アルキル基及び/若しくは4~10員炭素環基を含む、-O-C(1-6)カルボキシレートエステル基から独立して選択される置換基で3,4-ジ置換され;又は
芳香環の一方若しくは両方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
並びにL=リンカー基である。
【0017】
いくつかの実施形態では、Lは、単結合、-C1-6アルキル-若しくはC2-6-アルケニル又はフェニル環であり、置換され得る。いくつかの例では、Lは、それぞれ1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基又は1,3-ジオキソナン基の間で共通の炭素-炭素結合を共有するように2つのモノマーを共に縮合する炭素-炭素結合である。いくつかの例では、Lは、それぞれ1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基又は1,3-ジオキソナン基のそれぞれと共通の炭素-炭素結合を共有するように各モノマーに縮合されたフェニル環である。いくつかの例では、Lは、それぞれ1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基又は1,3-ジオキソナン基のそれぞれに新しい炭素-炭素結合を形成するフェニル環である。いくつかの例では、Lは、スピロ中心を形成するように、各モノマーの1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基又は1,3-ジオキソナン基に共通の炭素原子である。
【0018】
したがって、いくつかの例では、Lは、それぞれ置換され得る、単結合、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、若しくは4~8員炭素環基からなる群から選択される、又はLは、それぞれ1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基若しくは1,3-ジオキソナン基の間で共有される縮合炭素-炭素結合を含む、又はLは、それぞれ1,3-ジオキソラン基、1,3-ジオキサン基、1,3-ジオキセパン基、1,3-ジオキソカン基若しくは1,3-ジオキソナン基の間で共有される炭素原子を含む。
【0019】
特に明記しない限り、立体中心が本明細書に記載又は特許請求される化合物のいずれかに存在する場合、化合物はラセミ形で存在する。
【0020】
一実施形態では、芳香環の一方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つ(例えば、1、2、3又は4つ)の置換基で置換され、他方の芳香環は非置換である。別の実施形態では、芳香環はそれぞれ、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される。本実施形態では、環はそれぞれ、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される単一の置換基で置換される、又は環の一方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される2つの置換基で置換され、環の他方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから選択される単一の置換基で置換される、又は環の一方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される3つの置換基で置換され、環の他方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから選択される単一の置換基で置換される、又は環の一方はヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される4つの置換基で置換され、環の他方はヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから選択される単一の置換基で置換される。
【0021】
他の実施形態では、芳香環はそれぞれ、少なくとも2つの置換基、例えば少なくとも3つの置換基、例えば4つの置換基で置換され、置換基は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオからそれぞれ独立して選択される。
【0022】
本発明はまた、
(a)上で定義された式I又はIIの化合物;及び
(b)化学的に変換可能な基質;
含む組成物を提供し、式I又はIIの化合物は、式IIIの反応性誘導体の前駆体であり:
【0023】
【0024】
式IIIの化合物は、式I又はIIの化合物と同じ置換パターンを有し、酸の存在下で式I又はIIの化合物を反応させることによって得ることができ;
さらに、変換可能な基質は、式IIIの化合物の存在下で、直接光開始反応又は間接的光開始反応によって変換することができる。
【0025】
いくつかの例では、式I又はIIの化合物と同じ置換パターンを有する式IIIの化合物は、式I又はIIの化合物を酸の存在下で熱処理によって反応させることにより得ることができる。
【0026】
「反応性誘導体」とは、熱の有無にかかわらず、酸処理によってケタール、例えば1,3-ジオキソラン、又は1,3-ジオキサン、又は1,3-ジオキセパン、又は1,3-ジオキソカン、又は1,3-ジオキソナン部分などの環式ケタールを切断して、以下に記載される光開始方法において反応性官能基を与えるカルボニル基を利用可能にすることを意味する。
【0027】
本発明の組成物は、
(a)支持体上に組成物の層を形成すること;
(b)層の選択された領域に酸を塗布するか、又はその場で酸を発生させ、酸を式I又はIIの化合物と反応させて、層の選択された領域に式IIIの反応性誘導体を形成させること;
(c)選択された領域に反応性誘導体が存在している層を、式IIIの化合物から反応種を生成するのに好適な波長又はエネルギーの電磁放射線に曝露すること;及び
(d)反応種に変換可能な基質の変換を直接又は間接的に引き起こさせること;
を含む光開始方法で使用され得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、酸が式I又はIIの化合物と反応し、式IIIの反応性誘導体を形成できるようにすることは、熱の印加を含み得る。熱の印加は、酸の塗布若しくはその場での酸の発生と同時であり得るか、又はこの工程の後続であり得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、方法は、変換後熱処理を実施することをさらに含み得る。
【0030】
これらの熱処理のいずれか一方又は両方の温度は、70℃~170℃の範囲内であり得る。これらの熱処理の一方又は両方の持続時間は、2分~120分の範囲であり得る。温度及び時間は単なる例として与えられ、決して制限的であると見なされるべきではないことが理解される。
【0031】
いくつかの実施形態において、式IIIの反応性誘導体は、式IIIaの化合物を含み:
【0032】
【0033】
式中、R1及びR2は、C1-6アルキルヒドロキシ基、C1-6アルキルチオ基及びC1-6アルキルアミノ基、C1-6カルボン酸基から独立して選択される。
【0034】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシアルキル、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、エステル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0045】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシアルキル、アセタール、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシアルキル、アセタール、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシアルキル、エステル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシアルキル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、エステル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アセタール、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシアルキル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0061】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アセタール、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0063】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、エステル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0064】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0066】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、アセタール、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、式IIIの反応性誘導体は、芳香環の一方又は両方がヒドロキシ、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、オキシ酢酸、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換されている式IIIの化合物を含む。
【0069】
誤解を避けるために、前の段落での「…から独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換された芳香環の一方又は両方」への言及は、芳香環のそれぞれが、本明細書に提供されるいずれかのリストから独立して選択される各置換基で、1か所置換されている、又は2か所置換されている、又は3か所置換されている、又は4か所置換されている状況を指す。同じ言及が、すべての場合において、本明細書に提供されるいずれかのリストから独立して選択される置換基によって、一方の環が1つの置換基を有し、他方が2つ、3つ若しくは4つの置換基を有する状況、又は一方の環が2つの置換基を有し、他方が3つ若しくは4つの置換基を有する状況、又は一方の環が3つの置換基を有し、他方が4つの置換基を有する状況に等しく適用されることが理解される。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態では、本発明の化合物は、水性媒体に良好な溶解性を有し、これにより、化合物が化学的に変換可能な基質の変換後に残存し、現像剤水溶液によって除去されなければならない光開始方法での使用に好適となる。
【0071】
別の実施形態では、本発明の化合物は、脱保護後に水性媒体中ではるかに良好な溶解性を有し、これにより、化合物自体、特にその脱保護された形態が、化学的に変換可能な基質の変換後に残存し、現像後に改善されたコントラスト及びより良好な画像品質をもたらす現像剤水溶液によって除去されなければならない光開始方法での使用に好適となる。
【発明を実施するための形態】
【0072】
本発明の化合物
第1の態様では、本発明は、式Iの化合物を提供し:
【0073】
【0074】
式中、n=0又は1、m=0、1、2又は3、R1及びR2は、C1-6アルキルヒドロキシ基、C1-6アルキルチオ基及びC1-6アルキルアミノ基から独立して選択され、並びにR3、R4、R5、R6、R7及びR8は、H、ヒドロキシ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、4~8員炭素環基、4~8員複素環基から独立して選択され、又はR5はR3若しくはR7と共に、4~8員炭素環基若しくは4~8員複素環基を形成する。
【0075】
本発明はまた、式IIの化合物も提供し:
【0076】
【0077】
式中、m=0、1、2、3又は4、芳香環の1つは、チオキサントン環の3位及び4位において、-O-C(1-6)アルキルヒドロキシ基又はそのカルボキシレートエステル、-O-C(1-6)アルキルチオ基及び-O-C(1-6)アルキルアミノ基、エステル部分がC1-6アルキル基及び/若しくは4~10員炭素環基を含む-O-C(1-6)カルボキシレートエステル基から独立して選択される置換基で2置換され;又は
芳香環の一方若しくは両方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換され;
L=リンカー基。
【0078】
一実施形態では、芳香環の一方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換され、他方の芳香環は非置換である。例えば、1つの環は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから選択される単一の置換基で置換され得る、又はヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される2つの置換基で置換され得る、又はヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される3つの置換基で置換され得る、又はヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される4つの置換基で置換され得る。
【0079】
別の実施形態では、芳香環はそれぞれ、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される少なくとも1つの置換基で置換される。例えば、環はそれぞれ、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される単一の置換基で置換され得る、又は環の一方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される2つの置換基で置換され得て、環の他方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから選択される単一の置換基で置換される、又は環の一方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される3つの置換基で置換され、環の他方は、ヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから選択される単一の置換基で置換される、又は環の一方はヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから独立して選択される4つの置換基で置換され、環の他方はヒドロキシ、アルコキシ、ベンジルオキシ、アルキルカーボネート、ヒドロキシアルキル、アセタール、エステル、オキシ酢酸及びそのエステル、アリールオキシ及びアリールチオから選択される単一の置換基で置換される。
【0080】
本発明の化合物において、アルキルは、C1-6アルキル、例えばメチル又はヘキシルであり得る。いくつかの例では、アルキルは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシルから選択され得る。
【0081】
本発明の化合物において、アルコキシは、C1-6アルコキシ、例えばメトキシ又はヘキソキシであり得る。いくつかの例において、アルコキシは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、t-ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、ネオヘキソキシから選択され得る。いくつかの例では、本発明の化合物は、芳香環上に2つ以上のメトキシ置換基を有する。いくつかの例では、本発明の化合物は、各芳香環上にメトキシ置換基を有する。いくつかの例では、本発明の化合物は、芳香環の一方に2つのメトキシ置換基を有する。いくつかの例では、本発明の化合物は、式(I)の範囲内に含まれる2-メトキシ-9H-チオキサンテン-9-オン又は3,6-ジメトキシ-9H-チオキサンテン-9-オンのいずれの1,3-ジオキソラン、1,3-ジオキサン、1,3-ジオキセパン、1,3-ジオキソカン又は1,3-ジオキソナン誘導体も含まない。
【0082】
例えば式(I)のR1及び/又はR2に関連する本発明の化合物では、アルキルヒドロキシは、C1-6アルキルヒドロキシ基、例えばエチルヒドロキシであり得る。したがって、R1及び/又はR2がアルキルヒドロキシである式(I)の本発明の化合物において、チオキサントン環上の置換基OR1及びOR2は、例えばエチレングリコールから誘導され得るなどの、-OROHの一般式に関連すると理解される。そのカルボキシレートエステルは、末端ヒドロキシ基にカルボン酸、例えば酢酸を、それが-OROC(O)R’の一般式に従うように付加することを含むと理解される。
【0083】
本発明の化合物において、アルキルチオは、C1-6-アルキルチオ基、例えばエタンチオールであり得る。したがって、R1及び/又はR2がアルキルチオである式(I)の本発明の化合物において、チオキサントン環上の置換基OR1及びOR2は、-ORSHの一般式に関連すると理解される。
【0084】
本発明の化合物において、アルキルアミノは、C1-6アルキルアミノ基、例えばアミノエタンであり得る。したがって、R1及び/又はR2がアルキルアミノである式(I)の本発明の化合物において、チオキサントン環上の置換基OR1及びOR2は、-ORNH2の一般式に関連すると理解される。
【0085】
本発明の化合物において、アルキルカーボネートは、C1-6アルキルカーボネート、例えばt-ブトキシカーボネートであり得る。
【0086】
本発明の化合物において、エステルは、C1-4アルキル酸エステル、例えば酢酸エステル(アセテート)又はトリフルオロメタンスルホン酸のエステルであり得る。いくつかの例では、エステルは、環の隣接する炭素原子が各酸素原子にそれぞれ結合し、それによって5又は6員環式オルトエステルを形成するオルトエステルであり得る。環式オルトエステルは、トリメチル、トリエチル又はトリプロピルオルトホルメート、例えばトリイソプロピルオルトホルメートから誘導され得る。例えば、トリメチルオルトホルメートの場合、得られる環式オルトエステルは2-メトキシベンゾ[1,3]ジオキソールである。
【0087】
本発明の化合物において、アセタールは、C1-4アルコキシアルキル基、例えばメトキシメチル又はエトキシエチルであり得る。いくつかの例では、アセタールは、環の隣接する炭素原子が各酸素原子にそれぞれ結合し、それによって5又は6員環式アセタールを形成する環式アセタールであり得る。
【0088】
本発明の化合物において、ベンジルオキシは、置換又は非置換ベンジル基を含むベンジルオキシ基であり得る。置換基は、C1-6アルキル、例えばメチル又はエチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、アセタール及びエステルからなる群から選択され得る。
【0089】
本発明の化合物において、オキシ酢酸及びそのエステルは、オキシ酢酸又はそのエステル、例えばエステル化基がメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、イソノルボニル、2-メチル-2-アダマンチル、3-テトラヒドロフラニル 3-オキソシクロヘキシル、γ-ブチロラクトン-3-イル、メバロン酸ラクトン、γ-ブチロラクトン-2-イル、3-メチル-γ-ブチロラクトン-3-イル、2-テトラヒドロピラニル、2-テトラヒドロフラニル、2,3-プロピルカーボネート-1-イル、ビニルエーテル付加生成物、例えばエトキシエチル、メトキシエトキシエチル又はアセトキシエトキシエチルから選択されるオキシ酢酸エステルであり得る。
【0090】
本発明の化合物において、アリールオキシは、置換され得るC5又はC6アリールオキシ、例えばフェノキシであり得る。本発明の化合物において、アリールチオは、置換され得るC5又はC6アリールチオ、例えばフェニルチオであり得る。置換基は、C1-6アルキル、例えばメチル又はエチル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルカーボネート、アセタール及びエステルからなる群から選択され得る。
【0091】
本発明の化合物において、4~8員炭素環基は、非置換の(不)飽和炭素環、例えばシクロブタン/エン又はシクロオクタン/エンであり得る。いくつかの例では、4~8員炭素環基は、シクロペンタン/エン、シクロヘキサン/エン及びシクロヘプタン/エンから選択され得る。いくつかの例では、4~8員炭素環基は、置換(不)飽和炭素環、例えばメチルシクロブタン/エン又はメチルシクロオクタン/エンであり得る。いくつかの例では、4~8員炭素環基は、メチルシクロペンタン/エン、メチルシクロヘキサン/エン及びメチルシクロヘプタン/エンから選択され得る。いくつかの例では、4~8員炭素環基は、非置換芳香族炭素環、例えばベンゼンであり得る。いくつかの例では、4~8員炭素環基は、置換芳香族炭素環、例えばトルエンであり得る。いくつかの例では、置換芳香族炭素環は、1つ以上のC1-6アルキル基、例えば2つ以上のC1-6アルキル基で置換され得る。例えば、置換芳香族炭素環は、任意の置換パターンのC1-6アルキル基、例えば隣接メチル基で置換され得る。
【0092】
本発明の化合物において、4~10員炭素環基は、非置換の飽和炭素環、例えばアダマンタンであり得る。いくつかの例では、4~10員炭素環基は、置換飽和炭素環、例えばメチルアダマンタンであり得る。
【0093】
本発明の化合物において、4~8員複素環基は、非置換(不)飽和複素環、例えばアゼチジン又はアゾカンであり得る。いくつかの例では、4~8員複素環基は、ピロリジン、ピペリジン、アゼパン、オキセタン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、オキセパン、オキソカン、チエタン、テトラヒドロチオフェン、チアン、チエパン及びチオカンから選択され得る。いくつかの例では、4~8員複素環基は、置換(不)飽和複素環、例えばメチルアゼチジン又はメチルアゾカンであり得る。いくつかの例では、4~8員複素環基は、メチルピロリジン、メチルピペリジン、メチルアゼパン、メチルオキセタン、メチルテトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロピラン、メチルオキセパン、メチルオキソカン、メチルチエタン、メチルテトラヒドロチオフェン、メチルチアン、メチルチエパン及びメチルチオカンから選択され得る。誤解を避けるために、上で挙げた4~8員複素環基の不飽和等価分子も含まれる。不飽和は、それ以上ではないとしても、少なくとも1つの二重結合を意味することがさらに理解される。不飽和は芳香族複素環、例えばピロール、フラン及びチオフェンを含むことがさらに理解される。上記の例では、「複素環(heterocycle)」又は「複素環(の)(heterocyclic)」という用語は、それ以上ではないとしても、少なくとも1つのヘテロ原子、例えばピラジン及びチアゾールを含有し得る環分子を示すことがさらに理解される。
【0094】
本発明のいくつかの実施形態では、芳香環上の置換基のすべてが同じであり得る。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態では、1,3-ジオキソラン環は、本明細書に記載の任意の置換パターンで、アルキル、エステル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はビニルから選択される1つ以上の置換基で置換され得る。いくつかの例では、アルキルは、C1-6(クロロ)アルキル、例えば(クロロ)メチル、(クロロ)エチル、(クロロ)プロピルを含み、1,3-ジオキソラン環上の2つの置換基が結合されて、環式基、例えば1,3-ジオキソラン環に縮合した5又は6員炭素環を形成し得る(クロロ)シクロアルキル及びアリールも含む。いくつかの例では、1,3-ジオキソラン環は、1つ以上のC1-6アルキル基、例えば2つ以上のC1-6アルキル基で置換され得る。例えば、1,3-ジオキソランは、任意の置換パターンでジェミナル又はビシナルC1-6アルキル基、例えばジェミナル又はビシナルメチル基で置換され得る。いくつかの例では、1,3-ジオキソラン環は、1、2、3又は4つのC1-6アルキル基、例えば1、2、3又は4つのメチル基で置換され得る。上記の例のすべてにおいて、C1-6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル並びにそれらのすべての位置異性体を含むことが理解される。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態では、1,3-ジオキサン環は、任意の置換パターンで、アルキル、エステル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はビニルから選択される1つ以上の置換基で置換され得る。いくつかの例では、アルキルは、C1-6(クロロ)アルキル、例えば(クロロ)メチル、(クロロ)エチル、(クロロ)プロピルを含み、1,3-ジオキサン環上の2つの置換基が結合されて、環式基、例えば1,3-ジオキサン環に縮合した5又は6員炭素環を形成し得る(クロロ)シクロアルキル及びアリールも含む。いくつかの例では、1,3-ジオキサン環は、1つ以上のC1-6アルキル基、例えば2つ以上のC1-6アルキル基で置換され得る。例えば、1,3-ジオキサンは、任意の置換パターンでジェミナル又はビシナルC1-6アルキル基、例えばジェミナル又はビシナルメチル基で置換され得る。いくつかの例では、1,3-ジオキサン環は、1、2、3又は4つのC1-6アルキル基、例えば1、2、3又は4つのメチル基で置換され得る。上記の例のすべてにおいて、C1-6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル並びにそれらのすべての位置異性体を含むことが理解される。
【0097】
本発明のいくつかの実施形態では、1,3-ジオキセパン環は、任意の置換パターンで、アルキル、エステル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はビニルから選択される1つ以上の置換基で置換され得る。いくつかの例では、アルキルは、C1-6(クロロ)アルキル、例えば(クロロ)メチル、(クロロ)エチル、(クロロ)プロピルを含み、1,3-ジオキセパン環上の2つの置換基が結合されて環式基、例えば1,3-ジオキセパン環に縮合した5又は6員炭素環を形成し得る(クロロ)シクロアルキル及びアリールも含む。いくつかの例では、1,3-ジオキセパン環は、1つ以上のC1-6アルキル基、例えば2つ以上のC1-6アルキル基で置換され得る。例えば、1,3-ジオキセパンは、任意の置換パターンでジェミナル又はビシナルC1-6アルキル基、例えばジェミナル又はビシナルメチル基で置換され得る。いくつかの例では、1,3-ジオキセパン環は、1、2、3又は4つのC1-6アルキル基、例えば1、2、3又は4つのメチル基で置換され得る。上記の例のすべてにおいて、C1-6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル並びにそれらのすべての位置異性体を含むことが理解される。
【0098】
本発明のいくつかの実施形態では、1,3-ジオキソカン環は、任意の置換パターンで、アルキル、エステル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はビニルから選択される1つ以上の置換基で置換され得る。いくつかの例では、アルキルは、C1-6(クロロ)アルキル、例えば(クロロ)メチル、(クロロ)エチル、(クロロ)プロピルを含み、1,3-ジオキソカン環上の2つの置換基が結合して環式基、例えば1,3-ジオキソカン環に縮合した5又は6員炭素環を形成し得る(クロロ)シクロアルキル及びアリールも含む。いくつかの例では、1,3-ジオキソカン環は、1つ以上のC1-6アルキル基、例えば2つ以上のC1-6アルキル基で置換され得る。例えば、1,3-ジオキソカンは、任意の置換パターンでジェミナル又はビシナルC1-6アルキル基、例えばジェミナル又はビシナルメチル基で置換され得る。いくつかの例では、1,3-ジオキソカン環は、1、2、3又は4つのC1-6アルキル基、例えば1、2、3又は4つのメチル基で置換され得る。上記の例のすべてにおいて、C1-6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル並びにそれらのすべての位置異性体を含むことが理解される。
【0099】
本発明のいくつかの実施形態では、1,3-ジオキソナン環は、任意の置換パターンで、アルキル、エステル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール又はビニルから選択される1つ以上の置換基で置換され得る。いくつかの例では、アルキルは、C1-6(クロロ)アルキル、例えば(クロロ)メチル、(クロロ)エチル、(クロロ)プロピルを含み、1,3-ジオキソナン環上の2つの置換基が結合して環式基、例えば1,3-ジオキソナン環に縮合した5又は6員炭素環を形成し得る(クロロ)シクロアルキル及びアリールも含む。いくつかの例では、1,3-ジオキソナン環は、1つ以上のC1-6アルキル基、例えば2つ以上のC1-6アルキル基で置換され得る。例えば、1,3-ジオキソナンは、任意の置換パターンでジェミナル又はビシナルC1-6アルキル基、例えばジェミナル又はビシナルメチル基で置換され得る。いくつかの例では、1,3-ジオキソナン環は、1、2、3又は4つのC1-6アルキル基、例えば1、2、3又は4つのメチル基で置換され得る。上記の例のすべてにおいて、C1-6アルキルは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル及びヘキシル並びにそれらのすべての位置異性体を含むことが理解される。
【0100】
これらの例示は一例として与えられたにすぎず、決して限定的ではないことが理解される。
【0101】
本発明の化合物は、脱保護の前後に水性媒体に良好な溶解性を有し得る。これは、様々な手段によって計算され得るオクタノール-水分配係数を参照することによって特徴付けられ得る。例えば、本発明の好ましい化合物は、Molinspiration cheminformaticsソフトウェアを使用して測定されるように、4.5未満、好ましくは4.0未満の算出logP(ClogP)又はmilogPを有する。他の場合には、本発明の化合物は、脱保護後に改善された溶解度を有し得る。
【0102】
本発明はまた、ケタール、例えば1,3-ジオキソランケトンブロッキング基、又は1,3-ジオキサンケトンブロッキング基、又は1,3-ジオキセパンケトンブロッキング基、又は1,3-ジオキソカンケトンブロッキング基、又は1,3-ジオキソナンケトンブロッキング基、1,3-ジオキソランケトンブロッキング基及び関連リンカー、又は1,3-ジオキサンケトンブロッキング基及び関連リンカー、又は1,3-ジオキセパンケトンブロッキング基及び関連リンカー、又は1,3-ジオキソカンケトンブロッキング基及び関連リンカー、又は1,3-ジオキソナンケトンブロッキング基及び関連リンカーが除去され、式IIIを有する、式I又はIIの化合物の脱保護及び脱ブロック形態に関し、
【0103】
【0104】
式IIIの化合物は、式I又はIIの化合物と同じ置換パターンを有し、化合物は、式I又はIIの化合物を酸の存在下又は酸及び熱の存在下で反応させることによって得られる。
【0105】
式IIIの化合物は、式I又はIIの化合物を酸及び熱の存在下で反応させることによって得られ得る。酸処理及び熱処理は、同時であり得る、又は続いて行われ得る。例えば、式IIIの化合物は、最初に酸の存在下で式I又はIIの化合物を反応させ、続いて後続の熱処理を行うことによって得られ得る。
【0106】
本発明の式(I)、(II)及び(III)の化合物の例は、表1の以下の通りであり、選択された化合物及びそれらのそれぞれのmilogP値を表2に示す。
【0107】
【0108】
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
【0119】
【0120】
【0121】
【0122】
組成物及び光開始方法
第2の態様では、本発明は、
上記で定義された式I又はIIの化合物;及び
化学的に変換可能な基質;
を含む組成物に関し、
式I又はIIの化合物は、式IIIの反応性誘導体の前駆体であり:
【0123】
【0124】
式IIIの化合物は、式I又はIIの化合物と同じ置換パターンをチオキサンテン環上に有し、式IIIの化合物は、酸の存在下で式I又はIIの化合物を反応させることによって得ることができ;
さらに、変換可能な基質は、式IIIの化合物の存在下で、直接光開始反応又は間接的光開始反応によって変換され得る。
【0125】
第2の態様の組成物では、式I又はIIの化合物は、上記の任意の置換パターンを有する式IIIの化合物の反応性誘導体の前駆体であり得る。
【0126】
化合物式IIIは、式I又はIIの化合物を酸及び熱の存在下で反応させることによって得られ得る。酸処理及び熱処理は、同時であり得る、又は続いて行われ得る。例えば、式IIIの化合物は、最初に酸の存在下で式I又はIIの化合物を反応させ、続いて後続の熱処理を行うことによって得られ得る。
【0127】
本発明の組成物は、光開始方法において使用され得る。したがって、本発明の第3の態様では、光開始方法であって:
(a)支持体上に本発明の第2の態様の組成物の層を形成すること;
(b)層の選択された領域に酸を塗布するか、又はその場で酸を発生させ、酸を式I又はIIの化合物と反応させて、層の選択された領域に式IIIの反応性誘導体を生成すること;
(c)前記選択された領域に存在する反応性誘導体を有する層を、式IIIの化合物から反応種を生成するのに適した波長又はエネルギーの電磁放射線に曝露すること;及び
(d)反応種が変換可能な基質の変換を直接又は間接的に引き起こさせること;
を含む光開始方法が提供される。
【0128】
いくつかの実施形態では、酸が式I又はIIの化合物と反応し、式IIIの反応性誘導体を形成できるようにすることは、熱の印加を含み得る。熱の印加は、酸の塗布若しくはその場での酸の発生と同時であり得るか、又はこの工程の後続であり得る。
【0129】
いくつかの実施形態では、方法は、変換前及び/又は変換後熱処理を実施することをさらに含み得る。換言すれば、反応性誘導体を有する層が電磁放射線に曝露される上記c)に続いて、存在する酸と変換可能な基質との反応を可能にするための熱処理が存在し得る。同様に、反応種が変換可能な基質の変換を引き起こす上記d)に続いて、残りの変換された基質の硬化を開始するための熱処理が存在し得る。
【0130】
反応種は、例えば、フリーラジカル種又は式IIIの化合物のエネルギー的に励起された形態であり得る。
【0131】
一実施形態では、層の選択された領域に酸を塗布して、式I又はIIの化合物と反応させ、層の選択された領域にて式IIIの反応性誘導体が生成され得る。酸は、例えば、噴霧又はインクジェット印刷によって塗布され得る。
【0132】
別の実施形態では、酸発生剤は、基質に塗布された組成物に組み込まれる。光酸発生剤(PAG)が好ましいが、熱酸発生剤(TAG)も使用可能である。酸発生剤は、外部刺激に応答して酸を発生させることができ、それにより酸をその場で発生させることができる種であり、その酸は式I又はIIの化合物と反応して、酸が発生した層の選択された領域で式IIIの反応性誘導体を形成する。現在はあまり好ましくないが、層の形成に続いて、酸発生剤は例えば噴霧又はインクジェット印刷によって層に塗布され得る。
【0133】
いくつかの例では、酸の塗布又はその場での酸の発生に続いて、酸が式I又はIIの化合物と十分に反応し、層のすべての選択された領域で式IIIの反応性誘導体を形成できるようにするために、熱処理工程が行われる。熱処理工程は、酸が外部から塗布されたか、又は光酸発生剤若しくは熱酸発生剤によって発生したかにかかわらず、行われ得る。熱処理の温度及び持続時間は、例えば、外部から塗布される酸の濃度及び強度、又は光酸発生剤の場合の電磁放射線への曝露の強度及び持続時間に応じて変化し得る。
【0134】
式IIIの反応性誘導体は、方法の第1段階で層の選択された領域において形成される。後続の段階において、好適な波長の電磁放射線への曝露により、式IIIの化合物から反応種が生成される。第1の段階がPAGを使用して光化学的に行われる場合、後続の段階で使用される電磁放射線の波長は、第1の段階で使用される電磁放射線の波長とは異なり、PAGからのさらなる酸の発生を回避するように選択される。これにより、第2の段階における電磁放射線の印加は、イメージ通りの流儀で実施する必要がないフラッド放射として高エネルギーで行うことができる。
【0135】
本明細書で使用される場合、直接光開始反応は、式IIIの化合物から生成される反応種が変換可能な基質の変換を直接引き起こす反応である。これは、例えば、反応種が重合性モノマーの重合を直接開始する場合に起こり得る。
【0136】
間接光開始反応は、式IIIの化合物から生成される反応種が反応性基質の変換を間接的に引き起こす反応である。これは例えば、反応種が、そのエネルギー又は電子を他の種に伝達することによって第2の光開始剤又は相乗剤と相互作用し、次いで変換可能な基質の変換を開始又は引き起こす場合に起こり得る。間接的な光開始反応の別の例は、反応種が光酸発生剤を光増感して、カチオン重合を介して重合性基質の変換を引き起こすことができる酸を発生するもの、又は保護されたポリマーの酸不安定性保護基を除去して、ポリマーを好適な現像剤に可溶にすることができるものである。このような方法では、重合性基質の変換を引き起こすことができる酸の発生は、熱を加えることによって行われ得る。いくつかの例では、残存する組成物を硬化させるための、可溶化されたポリマーの溶解及び洗い流し後の熱処理も存在し得る。
【0137】
本発明の組成物は、フォトレジスト組成物として特に好適である。本発明の第3の態様の方法で使用され得るような基板上のそのような組成物の層は、フォトレジストと呼ばれる。本発明の別の態様は、基板上に本発明の第2の態様の組成物から形成されたフォトレジスト層である。
【0138】
変換可能な基質は、重合性基質、例えばカチオン重合性基質又はフリーラジカル促進重合性基質、又は酸によって除去されてポリマーを好適な現像剤に可溶にすることができる保護されたポリマー上に酸不安定性保護基を含む基質であり得る。
【0139】
カチオン重合性化合物は、モノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーであり得る。これらのモノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーは、異なる官能性度を有し得る。単官能性、二官能性、三官能性及びより高い官能性のモノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーの組み合わせを含む混合物が使用され得る。
【0140】
好ましい実施形態では、モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、重合性基として少なくとも1つのエポキシ基、少なくとも1つのビニルエーテル基又は少なくとも1つのオキセタン基を含む。
【0141】
少なくとも1つのエポキシド基を含有するモノマー、オリゴマー又はプレポリマーの例としては、エピクロロヒドリン-ビスフェノールS系エポキシド、エポキシ化スチレン並びにより多くのエピクロロヒドリン-ビスフェノールF及びA系エポキシド及びエポキシ化ノボラック、脂環式ポリエポキシド、多塩基酸のポリグリシジルエステル、ポリオールのポリグリシジルエーテル、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル、芳香族ポリオールのポリグリシジルエステル、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル、ビス-(3,4-エポキシシクロヘキシル)-アジペート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ポリ[(2-オキシラニル)-1,2-シクロヘキサンジオール]-2-エチル-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオールエーテル、7-オキサビシクロ[4.1.0]ヘプタ-3-イルメチル7-オキサ-ビシクロ[4.1.0]ヘプタン-3-カルボキシレートなどのウレタンポリエポキシ化合物及びポリエポキシポリブタジエン脂環式エポキシ化合物、;3-(ビス(グリシジルオキシメチル)メトキシ)-1,2-プロパンジオール、酸化リモネン、2-ビフェニルグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルなどのジオール誘導体を含むエーテル誘導体;n-ブチルグリシジルエーテル、蒸留ブチルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、C8-10脂肪族グリシジルエーテル、C12-14脂肪族グリシジルエーテル、o-クレジルグリシジルエーテル、p-ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリグリコールジグリシジルエーテル、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロプロパントリグリシジルエーテル、ヒマシ油トリグリシジルエーテル、プロポキシ化グリセリントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ネオデカン酸のグリシジルエステルなどのグリシジルエーテル;並びにエポキシ化メタキシレンジアミンなどのグリシジルアミンが挙げられる。
【0142】
少なくとも1つのビニルエーテル基を含有するモノマー、オリゴマー又はプレポリマーの例としては、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p-メチルフェニルビニルエーテル、p-メトキシフェニルビニルエーテル、a-メチルフェニルビニルエーテル、b-メチルイソブチルビニルエーテル及びb-クロロイソブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、4-(ビニルオキシ)ブチルベンゾエート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]アジペート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]スクシネート、4-(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチルベンゾエート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]イソフタレート、ビス[4-(ビニルオキシメチル)シクロヘキシルメチル]グルタレート、トリス[4-(ビニルオキシ)ブチル]トリメリテート、4-(ビニルオキシ)ブチルステアタイト、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル]ヘキサンジイルビスカルバメート、ビス[4-(ビニルオキシ)メチル]シクロヘキシル]メチル]テレフタレート、ビス[4-(ビニルオキシ)メチル]シクロヘキシル]メチル]イソフタレート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル](4-メチル-1,3-フェニレン)-ビスカルバメート、ビス[4-(ビニルオキシ)ブチル](メチレンジ-4,1-フェニレン)ビスカルバメート及び3-アミノ-1-プロパンビニルエーテルが挙げられる。
【0143】
少なくとも1つのオキセタン基を含有するモノマー、オリゴマー又はプレポリマーの例としては、3,3’-オキシビス(メチレン)ビス(3-エチルオキセタン)、3-エチル-3-ヒドロオキシメチル-1-オキセタン、オリゴマー混合物1,4-ビス[3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、3-エチル-3-[(フェニルメトキシ)メチル]-オキセタン、3-エチル-3-[(2-エチルヘキシルオキシ)メチル]オキセタン及びビス[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル、3-エチル-[(トリエトキシシリルプロポキシ)メチル]オキセタン及び3,3-ジメチル-2(p-メトキシフェニル)-オキセタンが挙げられる。
【0144】
フリーラジカル重合性化合物は、モノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーであり得る。これらのモノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーは、異なる官能性度を有し得る。単官能性、二官能性、三官能性及びより高い官能性のモノマー、オリゴマー及び/又はプレポリマーの組み合わせを含む混合物が使用され得る。
【0145】
別の好ましい実施形態では、モノマー、オリゴマー又はプレポリマーは、重合性基として少なくとも1つのアクリレート基又は少なくとも1つのメタクリレート基を含む。
【0146】
好適なフリーラジカル促進重合性単官能性又は多官能性モノマーは:イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、イソアミルスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、2-エチルヘキシルジグリコールアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、ビニルエーテルアクリレート、2-アクリロイルオキシエチルコハク酸、2-アクリロイルオキシエチルフタル酸、2-アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシエチル-フタル酸、ラクトン変性可撓性アクリレート及びt-ブチルシクロヘキシルアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールA EO(エチレンオキシド)付加体ジアクリレート、ビスフェノールA PO(プロピレンオキシド)付加体ジアクリレート、ヒドロキシピバレートネオペンチルグリコールジアクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、アルコキシ化ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート及びポリテトラメチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、トリ(プロピレングリコール)トリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート及びカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、又はN-ビニルカプロラクタム若しくはN-ビニルホルムアミドなどのN-ビニルアミド;又はアクリロイルモルホリンなどのアクリルアミド若しくは置換アクリルアミドである。
【0147】
他の好適な単官能性アクリレートとしては、カプロラクトンアクリレート、環式トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、オクチルデシルアクリレート、アルコキシ化フェノールアクリレート、トリデシルアクリレート及びアルコキシ化シクロヘキサノンジメタノールジアクリレートが挙げられる。
【0148】
他の好適な二官能性アクリレートとしては、アルコキシ化シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ジオキサングリコールジアクリレート、シクロヘキサノンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート及びネオペンチルグリコールジアクリレートが挙げられる。
【0149】
他の好適な三官能性アクリレートとしては、プロポキシ化グリセリントリアクリレート及びプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられる。
【0150】
他のより高い官能性のアクリレートとしては、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、メトキシ化グリコールアクリレート及びアクリレートエステルが挙げられる。
【0151】
さらに、これらのアクリレートと共に、上記アクリレートに対応するメタクリレートが使用され得る。
【0152】
重合性オリゴマーの例としては、エポキシアクリレート、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート及び直鎖アクリルオリゴマーが挙げられる。
【0153】
重合性基質の使用により、フォトレジストの露出部分又は領域が、変換可能な基質の重合反応を介してフォトレジスト現像剤に対して不溶となる、ネガ型フォトレジストを形成することができる。カチオン重合性基質の場合、UV光への露光後に、重合反応を完了するためのいわゆる露光後焼成(PEB)の加熱工程も存在し得る。未露光及び未重合部分は、好適なフォトレジスト現像剤によって溶解及び除去することができる。現像剤を使用した工程の後、表面には現像剤に不溶性のパターン化コーティングが残存する。例えばはんだマスク又は誘電体層などの永久コーティングとしてのフォトレジストの用途に応じて、熱の印加及び/又はUV光への追加の露光によって行われ得る硬化工程などの、コーティングを硬化させるためのさらなる工程が実施され得る。
【0154】
熱を印加する場合、これは、例えばホットプレート上で加熱することによって、又は静的若しくはコンベア式熱風循環オーブン内で焼成することによって、又はコンベア式赤外線オーブンを使用することによって実施され得る。光へのさらなる露光の場合、これは、例えば、コンベアを使用してさらなるフリーラジカル重合を開始するのに好適な1つ以上の波長のUV光を発するランプの下に基質を通過させることによって行うことができる。
【0155】
エッチングレジスト又はプレートレジストなどの一時的なレジストの場合、後のレジストの除去がより困難になるため、追加の硬化工程は通常必要とされない。
【0156】
別の実施形態では、変換可能な基質は、保護されたポリマー、例えば、酸不安定基によって保護された極性基を有するポリマーであり得て、ポリマーは、酸不安定基の除去後、現像媒体に可溶性である。酸不安定基によって保護された好適なポリマーの例は、例えば米国特許第4491628A号に記載され、その内容は参照により本明細書に組み入れられ、ポリ(tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-D-アルキルスチレン)、ポリ(p-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-D-メチルスチレン)、ポリ(tert-ブチルオキシカルボニルオキシスチレン)、ポリ(p-tert-ブチルオキシカルボニルオキシ-スチレン)及びポリ(tert-ブチルビニルベンゾエート)、ポリ(tert-ブチルメタクリレート)、又はそれらのコポリマーが挙げられる。このような例では、酸不安定基は、ポリマーのペンダントカルボン酸基のtert-ブチルエステル又はポリマーのペンダントフェノールのtert-ブチルカーボネートである。酸不安定基によって保護された好適なポリマーの他の例は、米国特許第7858287B2号、米国特許第9529259B2号及び米国特許第6136499A号に記載され、その内容は参照により本明細書に組み入れられている。
【0157】
本実施形態により、フォトレジストの露光部分がポリマーの脱保護によってフォトレジスト現像剤に可溶となり、したがって現像剤によって除去することができるが、フォトレジストの未露光部分はフォトレジスト現像剤に不溶性のままであるポジ型フォトレジストが形成できるようになる。現像剤を使用した工程の後、表面には現像剤に不溶性のパターン化コーティングが残存する。熱の印加によって実施され得る硬化工程などのさらなる工程が、コーティングを硬化させるために実施され得る。ポジ型フォトレジストの用途の一例は、高解像度リソグラフィにおいてである。
【0158】
別の実施形態では、変換可能な基質は、保護された溶解促進剤、例えば酸触媒加水分解反応後に溶解促進剤である材料を生成する、酸不安定基を含有する溶解阻害剤であり得る。酸不安定基を含有する溶解阻害剤の例及びそれらの使用は、’’Introduction to Microlithography(2
nd edition)ISBN 0-8412-2848-5の223~227頁及び
図85に記載されている。
【0159】
組成物は、酸拡散制御剤又はその光分解性版とも呼ばれるクエンチャをさらに含み得る。このような化合物は、レジスト膜において露光により発生した酸の拡散を制御し、それにより未露光範囲における望ましくない化学反応を抑制する。酸拡散制御剤は、露光又は熱処理によって塩基性が変化しない窒素含有有機化合物であり得て、典型的には組成物の0.005~5重量%存在する。酸拡散制御剤の例は、第2級低級脂肪族アミン、第3級低級脂肪族アミンなどのアミン、例えばトリメチルアミン、ジエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン、トリペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、第4級アンモニウム化合物、トリアルキルアンモニウム化合物 アミド、尿素、TBOCブロックアミン、及びこれらの組み合わせなどである。
【0160】
光分解性酸拡散制御剤の例としては、アセテート、水酸化物又はスルファメートなどのアニオンを含有するアリールスルホニウム又はヨードニウム塩、並びに米国特許第8,614,047B2号に開示されているものが挙げられる。
【0161】
組成物は、架橋剤、着色剤、無機鉱物充填剤、流動剤及び脱泡剤などの表面改質剤、フリーラジカル捕捉剤、安定剤、可塑剤及び接着促進剤などの当分野で既知のさらなる成分を含み得る。
【0162】
本発明の化合物及び組成物を使用することができる光開始方法のさらなる詳細は、国際公開第2011/086389A1号に記載され、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられている。
【0163】
さらに、化合物及び組成物は、米国特許出願公開第2015241783A1号、第2016327869A1号、第2016357103A1号、’’Photosensitised Chemically Amplified Resist(商標)(PSCAR(商標))2.0 for high throughput and high resolution EUV lithography:Dual photosensitisation of acid generation and quencher decomposition by flood exposure’’,S.Tagawa et al.,Proc.of SPIE Vol.10146,Advances in Patterning Materials and Processes XXXIV,101460G(2017)、’’Super High Sensitivity Enhancement by Photo-Sensitised Chemically Amplified Resist(PS-CAR)Process,’’S.Tagawa et al.,J.Photopolymer Science and Technology,26(6),825(2013)及び’’High-resist sensitisation by pattern and flood combination lithography,’’S.Nagahara et al.,Proc.SPIE,9048,90481S(2014)に記載されている光増感化学増幅レジスト(PSCAR)法で使用され得て、これらはすべて、あらゆる目的のためにその全体が参照により組み入れられている。第1段階におけるパターン化のための電磁波は、電磁波は、例えばEUV(13.5nm)、ArF(193nm)、KrF(248nm)又は電子ビームであることができる。第2段階においてフラッド放射として使用される電磁放射線は、365nm、375nm、385nm、395nm、405nm、若しくは415nmのLED、又はより広い波長分布を有するUVランプであることができる。
【0164】
本発明の化合物の合成
式Iの本発明の化合物は、様々な方法によって合成され得る。
【0165】
例えば、スピロ[(1,3)ジオキソラン-2,9’-チオキサンテン]構造の環の1つのジオールが、例えばアルキルヒドロキシ基で置換されている式Iの化合物は、その後除去することができるジアセテートとして保護された、対応するジヒドロキシアルキル置換9H-チオキサンテン-9-オン化合物を最初に調製することによって合成され得る。次いで、保護された構造をエチレングリコールと反応させて、カルボニル基を1,3-ジオキソラン基で保護する、又は1,3-プロピレングリコールと反応させて、カルボニル基を1,3-ジオキサン基で保護する、又は1,4-ブタンジオールと反応させて、カルボニル基を1,3-ジオキセパン基で保護する、又は1,5-ペンタンジオールと反応させて、カルボニル基を1,3-ジオキソカン基で保護する、又は1,6-ヘキサンジオールと反応させて、カルボニル基を1,3-ジオキソナン基でカルボニル基を保護する。置換ジオキソラン、ジオキサン、ジオキセパン、ジオキソカン又はジオキソナン基を生成するために、他のグリコールも使用され得る。次いで、酢酸保護基を除去して、例えばジヒドロキシアルキル置換スピロ[(1,3)ジオキソラン-2,9’-チオキサンテン]化合物が生成され得る。
【0166】
ジアセテート保護化合物をローソン試薬(2,4-ビス(4-メトキシフェニル)-1,3,2,4-ジチアジホスフェタン-2,4-ジチオン)と反応させ、続いてジオール、例えばフタリルアルコール(ベンゼン-1,2-ジメタノール)と反応させることができる。この合成経路を以下の具体的な反応スキームに示す:
【0167】
【0168】
ヒドロキシル又はアルコキシ置換9H-チオキサンテン-9-オン前駆体は、以下の合成経路によって作製され得る。
【0169】
【0170】
【0171】
【0172】
ダイマー化合物の合成の例を以下のスキーム5に与える。
【0173】
【0174】
明示的に例示されていない本発明の範囲内の化合物のいずれかを合成するために、上記の合成方法のいずれかを改変することは当業者の手段の範囲内である。
【実施例】
【0175】
本発明は、以下の非限定的な例によって説明される。
[実施例1]
[(1,5-ジヒドロスピロ[ベンゾ[e][1,3]ジオキセピン-3,9’-チオキサンテン)-3’,4’-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアセテートの合成
段階I:[(9-)オキソ-9H-チオキサンテン-3,4-ジイル)ビス(オキシ)](エタン-2,1-ジイル)ジアセテート
ラン1
3,4-ジヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(110g、0.45モル)をN,N-ジメチルホルムアミド(1500ml)に窒素雰囲気下で溶解させ、これに無水炭酸セシウム(176g)を添加した。2-ブロモエチルアセテート(165g、0.988mol)を、滴下漏斗を介して溶液に流し入れ、混合物を10分間撹拌した。反応物を70℃(油浴温度)までに加熱し、一晩撹拌した。ロータリーエバポレータで溶媒を除去し、残渣を飽和塩化アンモニウム溶液(1000ml)に溶解させた。これをエチルアセテート(3×500ml)で抽出した。合せた有機抽出物を食塩水(1000ml)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾過によって除去し、濾液を濃縮すると、暗褐色の粘着性固体192gが残った。これをメタノール(500ml)でトリチュレートし、淡褐色固体を濾過によって回収して、フィルタ上でメタノール(100ml)によって洗浄し、次いで、35℃の真空オーブンで乾燥させた。これにより146g、0.351mol、78%の収率を得た。
【0176】
LC/MSによりM+1=417.07の構造重量が確認され、HPLCによる純度は96.02%であった。1H NMRは所望の構造に適合した。
【0177】
ラン2+3
3,4-ジヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(331g、1.355mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(4600ml)に窒素雰囲気下で溶解させ、これに無水炭酸セシウム(532g,1.633)を添加した。2-ブロモエチルアセテート(500g、2.994mol)を、滴下漏斗を介して溶液に流し入れ、混合物を10分間撹拌した。反応物を70℃(油浴温度)まで加熱し、一晩撹拌した。溶媒をロータリーエバポレータで除去して、この段階で2つの反応物を合せた。残渣を飽和塩化アンモニウム溶液(3000ml)に溶解した。これをエチルアセテート(4×2000ml)で抽出した。合せた有機抽出物を水(3000ml)で洗浄すると、エマルジョンが形成された。これをGF/Fで濾過して、いくらかの固体物質を除去した。合せた有機抽出物を食塩水(3000ml)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥した。乾燥剤を濾過によって除去し、濾液を濃縮すると、暗褐色の粘着性固体358gが残った。これをメタノール(1000ml)でトリチュレートし、淡褐色固体を濾過によって回収して、フィルタ上でメタノール(100ml)によって洗浄し、次いで35℃の真空オーブンで乾燥させた。これにより199.5g、41.5%の収率を得た。
【0178】
LC/MSによりM+1=417.18の構造重量が確認され、HPLCによる純度は94.19%であった。
【0179】
先に濾過によって除去した固体をジクロロメタン(5000ml)で室温にて2時間スラリー化した。次いで、これをGF/Fで濾過した。水性抽出物をジクロロメタン(5000ml)で再抽出し、分離して、ジクロロメタン濾液と合せた。有機抽出物を硫酸ナトリウム上で1時間撹拌し、次いで濾過した。濾液を濃縮して褐色油状物質として、これをメタノール(750ml)で1時間トリチュレートし、次いで固体を濾過によって回収した。これをフィルタ上で洗浄すると、淡黄褐色の固体が残った。これを乾燥させ、152gをHPLCによる純度99.05%で得た。これにより合計収率351.5g、62.3%が得られた。
【0180】
ラン4
3,4-ジヒドロキシ-9H-チオキサンテン-9-オン(130g、0.565mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(1900ml)に窒素雰囲気下で溶解させ、これに無水炭酸セシウム(221g,0.678)を添加した。2-ブロモエチルアセテート(209g、1.25mol)を、滴下漏斗を介して溶液に流し入れ、混合物を10分間撹拌した。反応物を70℃(油浴温度)までに加熱し、一晩撹拌した。溶媒をロータリーエバポレータで除去した。残渣をエチルアセテート(700ml)に溶解し、次いで飽和塩化アンモニウム溶液(1400ml)に添加した。これをエチルアセテート(2×700ml)で抽出した。合せた有機抽出物を水(3000ml)で洗浄すると、エマルジョンが形成された。これをGF/Fで濾過して、いくらかの固体物質を除去した。合せた有機抽出物を食塩水(1400ml)で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させた。乾燥剤を濾過によって除去し、濾液を濃縮すると、暗褐色の粘着性固体が残った。これをメタノール(700ml)でトリチュレートし、淡褐色固体を濾過によって回収して、フィルタ上でメタノール(3×100ml)によって洗浄し、次いで35℃の真空オーブンで乾燥させた。これにより171g、72.7%の収率を得た。
【0181】
LC/MSによりM+1=417.25の構造重量が確認され、HPLCによる純度は93.74%であった。
【0182】
段階II:[(9-)チオキソ-9H-チオキサンテン-3,4-ジイルビス(オキシ)](エタン-2,1-ジイル)ジアセテート
ラン1
[(9-オキソ-9H-チオキサンテン-3,4-ジイル)ビス(オキシ)](エタン-2,1-ジイル)ジアセテート(145g、0.351mol)及びローソン試薬(85g、0.211mol)を、窒素雰囲気下でトルエン(1500ml)に懸濁させた。淡褐色懸濁液を85℃にて3時間加熱した後、暗緑色溶液が形成され、TLC(1:1ヘキサン/エチルアセテート)は反応完了を示した。反応物を室温まで冷却し、次いで飽和重炭酸ナトリウム溶液(2.2lt)に注入した。2つの層を分離し、水相をエチルアセテート(3×750ml)で抽出した。合せた有機抽出物を食塩水(1000ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いでGF/Fで濾過した。濾液を濃縮して、濃緑色の粘着性固体とした。これをメタノール(600ml)でトリチュレートし、2時間静置した。固体を濾過によって回収し、褐色が消えるまでフィルタ上でメタノールによって洗浄した。暗緑色固体を風乾させ、これにより137g、90.3%が得られ、HPLC純度は89.45%(5.4%早期ピーク、おそらくケトン、HPLCアーチファクト)であった。質量分析により、分子量はM+1=433.16と確認された。
【0183】
ラン2
[(9-オキソ-9H-チオキサンテン-3,4-ジイル)ビス(オキシ)](エタン-2,1-ジイル)ジアセテート(249g、0.598mol)及びローソン試薬(146g、0.361mol)を窒素雰囲気下でトルエン(2600ml)に懸濁させた。淡褐色懸濁液を85℃にて2時間加熱した後、暗緑色溶液が形成され、TLC(1:1ヘキサン/エチルアセテート)は反応完了を示した。反応物を室温に冷却し、次いで飽和重炭酸ナトリウム溶液(6lt)に注入した。2つの層を分離し、水相をエチルアセテート(3×1500ml)で抽出した。合せた有機抽出物を食塩水(2000ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いでGF/Fで濾過した。濾液を濃縮して、濃緑色の粘着性固体とした。これをメタノール(1000ml)でトリチュレートし、24時間静置した。固体を濾過によって回収し、褐色が消えるまでフィルタ上でメタノールによって洗浄した。濃緑色固体を風乾させ、これにより230g、88.9%が得られ、HPLC純度は90.74%(4.79%早期ピーク、おそらくケトン、HPLCアーチファクト)であった。質量分析により、分子量はM+1=433.24と確認された。
【0184】
段階III:ベンゼン-1,2-ジメタノール
窒素下、フタル酸(450g、2.71mol)をテトラヒドロフラン(4000ml)中スラリー化し、0~5℃まで冷却した。テトラヒドロフラン(7020ml、7.02mol)中にボラン/テトラヒドロフラン錯体を添加し、次いで、一晩撹拌及び室温まで加温した。TLC(トルエン/エチルアセテート/ギ酸、5:4:1)により、反応は完了と評価した。水とテトラヒドロフランの1:1混合物(1630ml)を滴加することによって反応を停止させ、次いで水層を炭酸カリウム(800g)で飽和させた。混合物を30分間撹拌し、次いで分離した。水相をテトラヒドロフラン(3×1600ml)で抽出し、合せた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で1時間撹拌した。乾燥剤を濾過によって除去し、濾液を濃縮して白色結晶性固体366gを得た。これは一晩で黄色に変わった。固体をヘキサン(1000ml)で1時間スラリー化した後、濾取し、フィルタ上でヘキサン(500ml)によって洗浄した。固体を30分間吸引乾燥し、次いで風乾した。これにより白色結晶性固体、333g、88.9%を得て、GCによる純度は94.4%であった。NMRにより構造を確認した。
【0185】
質量分析は分子イオンを示さなかったが、脱水フラグメントM+1=121と、M+1=93における主ピークとしてのCH2フラグメントの損失を示した。
【0186】
ステージIIIa:[(1,5-ジヒドロスピロ[ベンゾ[e][1,3]ジオキセピン-3,9’-チオキサンテン]-3’,4’-ジイルビス(オキシ)]ビス(エタン-2,1-ジイル)ジアセテート
[(9-)チオキソ-9H-チオキサンテン-3,4-ジイル)ビス(オキシ)](エタン-2,1-ジイル)ジアセテート(135g、0.312mol)を、窒素雰囲気下でアセトニトリル(2700ml)に懸濁した。これにベンゼン-1,2-ジメタノール(65g、0.47mol)及びトリエチルアミン(180ml)を添加した。反応混合物を30℃(油浴温度)まで加温し、次いでトリフルオロ酢酸銅(227.3g、0.785mol)のアセトニトリル(1000ml)溶液を数時間にわたって添加した。次いで、反応物を35℃(油浴温度)まで3日間加温した。TLC(4:1ヘキサン/エチルアセテート)は反応完了を示した。
【0187】
ロータリーエバポレータで溶媒を除去すると、黒色残渣が残った。これを食塩水(2000ml)とエチルアセテート(2000ml)で分配し、次いで、GF/F上でセライトによって濾過して、銅塩を除去した。濾過ケーキをエチルアセテート(1000ml)によって洗浄した。濾液を分離し、水層をエチルアセテート(500ml)によって抽出した。合せた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮して濃褐色油(238g)を得た。これを窒素雰囲気下でイソプロピルアルコール(3500ml)に分散させた。これに水素化ホウ素ナトリウム(83g、2.19mol)を加え、次いで混合物を65℃(油浴温度)にて3時間加熱した。TLC(1:1ヘキサン/エチルアセテート)は、全ケトンの還元を示した。
【0188】
反応混合物を室温まで冷却し、次いで、水(10lt)に注入し、撹拌した。生成物をジクロロメタン(3×1500ml)で抽出し、合せた有機抽出物を食塩水(2000ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥剤をGF/Fによる濾過によって除去し、濾液を濃縮すると、粘性褐色油156gが残り、これを一晩結晶化させた。これをヘキサン/エチルアセテート(2:1)(250ml)に溶解し、塩基性(BrockmannグレードI)アルミナカラム(1200g)を通過させて、ジアセテートを含有する画分を濃縮し、次いでメタノールでトリチュレートした。固体を回収し、乾燥させると、2gのDAS-22-74-1が残った。NMRは構造に適合した。
【0189】
次いで、カラムをメタノールで洗い流し、次の生成物を回収し、画分を濃縮して濃橙色油として、これを一晩結晶化させた。約10%のt-ブチルメチルエーテルを含有するメタノールを用いてこれをトリチュレートした。固体を回収し、メタノール及びt-ブチルメチルエーテルで洗浄し、次いで真空オーブンで35℃にて一晩乾燥させた。これにより、オフホワイト固体29gが得られ、1H NMRによってジオールであることが確認された(水性ワークアップ中に加水分解)。
【0190】
本発明の化合物は、酸の存在下で脱保護及び脱ブロックしてチオキサントン光開始剤を示し、したがって化合物が本明細書に記載の組成物及び方法において有用になることが見出された。
【0191】
化合物、方法及び関連する態様を特定の例を参照して説明したが、本開示の精神から逸脱することなく、様々な修正、変更、省略及び置換を行えることが理解される。任意の従属請求項の特徴は、他の従属請求項のいずれか、又は独立請求項のいずれか及び/又はいずれかの特徴と組み合わされ得る。
【国際調査報告】