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特表2023-511192プラズマ処理装置のための高周波(RF)コイルを形成する金型および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】プラズマ処理装置のための高周波(RF)コイルを形成する金型および方法
(51)【国際特許分類】
   H05H 1/46 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
H05H1/46 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544684
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-06
(86)【国際出願番号】 US2020057284
(87)【国際公開番号】W WO2021150281
(87)【国際公開日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】16/752,446
(32)【優先日】2020-01-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】514028776
【氏名又は名称】トーキョー エレクトロン ユーエス ホールディングス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】ハンメル,マイケル
【テーマコード(参考)】
2G084
【Fターム(参考)】
2G084AA02
2G084AA03
2G084AA04
2G084AA05
2G084BB02
2G084BB05
2G084CC12
2G084CC13
2G084CC33
2G084DD03
2G084DD13
2G084DD63
2G084DD64
(57)【要約】
高周波(RF)コイルを製作するための金型および方法の様々な実施形態が本明細書に開示される。開示される金型は、円筒内側コアの外面内に形成された第1のらせん状の溝を有する円筒内側コアと、2ピース圧縮スリーブの内面内に形成された第2のらせん状の溝を有する2ピース圧縮スリーブとを備える。2ピース圧縮スリーブの部分同士が互いに取り付けられると、2ピース圧縮スリーブは、RFコイルを製作するように円筒内側コアを囲んで第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体に圧縮力をかける。いくつかの実施形態では、3次元(3D)印刷プロセスが、金型の各ピースを別々に製作するために使用され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマ処理装置内で使用される高周波(RF)コイルを製作するための金型であって、
円筒状内側コアの外表面内に形成された第1のらせん状溝を有する円筒状内側コアと、
2ピース圧縮スリーブであって、該2ピース圧縮スリーブの内表面内に形成された第2のらせん状溝を有し、前記2ピース圧縮スリーブの部分同士が互いに取り付けられた際に、前記2ピース圧縮スリーブは、前記円筒状内側コアを取り囲み、前記第1および第2のらせん状溝内に配置された導体に、圧縮力を提供するように構成され、前記RFコイルが製作される、2ピース圧縮スリーブと、
を備える、金型。
【請求項2】
前記2ピース圧縮スリーブは、第1の部分と、第2の部分とを有し、
前記第2の部分は、1または2以上の機械的締結具により、前記第1の部分に取り外し可能に取り付けられる、請求項1に記載の金型。
【請求項3】
前記2ピース圧縮スリーブは、前記形成されるRFコイルを所望のネガティブ形状にすることを容易にする、上下半型(cope and drag)圧縮スリーブを有する、請求項1に記載の金型。
【請求項4】
前記円筒状内側コアは、5/8インチ(15.875ミリメートル)~8インチ(203.2ミリメートル)の高さ、および1インチ(25.4ミリメートル)~24インチ(609.6ミリメートル)の直径を有する、請求項1に記載の金型。
【請求項5】
前記第1および第2のらせん状溝は、各々、1~100の巻数、および5/8インチ(15.875ミリメートル)~2インチ(50.8ミリメートル)のピッチを有する、請求項1に記載の金型。
【請求項6】
前記円筒状内側コアおよび前記2ピース圧縮スリーブは、100℃超のガラス転移温度および200MPa超の圧縮強度を有する熱可塑性ポリマー材料を3次元(3D)印刷することにより製作される、請求項1に記載の金型。
【請求項7】
前記導体は、銅またはアルミニウムを含む、請求項1に記載の金型。
【請求項8】
プラズマ処理装置内で使用される高周波(RF)コイルを形成する方法であって、
3次元(3D)印刷プロセスを使用して、円筒状内側コアおよび2ピース圧縮スリーブを有する金型を製作するステップであって、前記円筒状内側コアの外表面内に第1のらせん状溝が形成され、前記2ピース圧縮スリーブの内表面内に第2のらせん状の溝が形成される、ステップと、
前記円筒状内側コアの周囲に導体の部分を巻き付けるステップであって、前記導体の前記部分は、前記第1のらせん状溝内に配置される、ステップと、
前記円筒状内側コアに前記2ピース圧縮スリーブを取り付けるステップであって、前記2ピース圧縮スリーブは、前記円筒状内側コアを取り囲み、前記第1および第2のらせん状溝内に配置された前記導体の前記部分に圧縮力を提供し、前記RFコイルが形成される、ステップと、
を有する、方法。
【請求項9】
さらに、
前記円筒状内側コアおよび前記RFコイルから、前記2ピース圧縮スリーブを取り外すステップと、
前記RFコイルまたは前記円筒状内側コアの少なくとも一つを互いに対して回転させることにより、前記金型から前記RFコイルを取り外すステップと、
を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記円筒状内側コアに前記2ピース圧縮スリーブを取り付けるステップは、
前記円筒状内側コアの第1の側に前記2ピース圧縮スリーブの第1の部分を取り付けるステップと、
前記円筒状内側コアの第2の側に前記2ピース圧縮スリーブの第2の部分を取り付けるステップであって、前記第2の部分および前記第1の部分は、前記円筒状内側コアおよび前記導体の前記部分を取り囲む、ステップと、
1または2以上の機械的締結具により、前記第2の部分に前記第1の部分を取り付け、前記第1および第2のらせん状溝内に配置された前記導体の前記部分に前記圧縮力を印加するステップと、
を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
さらに、
前記1または2以上の機械的締結具を取り外すステップと、
前記円筒状内側コアおよび前記RFコイルから、前記2ピース圧縮スリーブの前記第1および第2の部分を取り外すステップと、
前記RFコイルまたは前記円筒状内側コアの少なくとも一つを互いに対して回転させることにより、前記金型から前記RFコイルを取り外すステップと、
を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記3次元(3D)印刷プロセスを使用して、前記金型を製作するステップは、
100℃超のガラス転移温度および200MPa超の圧縮強度を有する熱可塑性ポリマー材料を使用し、前記3D印刷プロセスを用いて、前記円筒状内側コア、前記2ピース圧縮スリーブの第1の部分、および前記2ピース圧縮スリーブの第2の部分を別々に製作するステップ、
を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記3次元(3D)印刷プロセスを使用して、前記金型を製作するステップは、
5/8インチ(15.875ミリメートル)~8インチ(203.2ミリメートル)の高さ、および1インチ(25.4ミリメートル)~24インチ(609.6ミリメートル)の直径を有する前記円筒状内側コアを製作するステップ
を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
前記3次元(3D)印刷プロセスを使用して、前記金型を製作するステップは、
1~100の巻数、および5/8インチ(15.875ミリメートル)~2インチ(50.8ミリメートル)のピッチを有する前記第1および第2のらせん状溝を製作するステップ
を有する、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
プラズマ処理装置内で使用される高周波(RF)コイルを形成する方法であって、
3次元(3D)印刷プロセスを用いて、円筒状内側コアおよび2ピース圧縮スリーブを有する金型を製作するステップであって、前記円筒状内側コアの外表面内に第1のらせん状溝が形成され、前記2ピース圧縮スリーブの内表面内に第2のらせん状溝が形成される、ステップと、
前記円筒状内側コアの周囲に導体の部分を巻き付けるステップであって、前記導体の前記部分は、前記第1のらせん状溝内に配置される、ステップと、
前記円筒状内側コアに前記2ピース圧縮スリーブを取り付けるステップであって、前記2ピース圧縮スリーブは、前記円筒状内側コアを取り囲み、前記第1および第2のらせん状溝内に配置された前記導体の前記部分に圧縮力が提供され、前記RFコイルが形成される、ステップと、
前記円筒状内側コアおよび前記RFコイルから、前記2ピース圧縮スリーブを取り外すステップと、
前記RFコイルまたは前記円筒状内側コアの少なくとも一つを互いに対して回転させることにより、前記金型から前記RFコイルを取り外すステップと、
を有する、方法。
【請求項16】
前記円筒状内側コアに前記2ピース圧縮スリーブを取り付けるステップは、
前記円筒状内側コアの第1の側に、前記2ピース圧縮スリーブの第1の部分を取り付けるステップと、
前記円筒状内側コアの第2の側に、前記2ピース圧縮スリーブの第2の部分を取り付けるステップであって、前記第2の部分および前記第1の部分は、前記円筒状内側コアおよび前記導体の前記部分を取り囲む、ステップと、
1または2以上の機械的締結具により、前記第2の部分に前記第1の部分を取り付け、前記第1および第2のらせん状溝内に配置された前記導体の前記部分に前記圧縮力を印加するステップと、
を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記2ピース圧縮スリーブを取り外すステップは、
前記1または2以上の機械的締結具を取り外すステップと、
前記円筒状内側コアおよび前記RFコイルから、前記2ピース圧縮スリーブの前記第1および第2の部分を取り外すステップと、
を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記金型を製作するステップは、
100℃超のガラス転移温度および200MPa超の圧縮強度を有する熱可塑性ポリマー材料を使用するステップ
を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記金型を製作するステップは、5/8インチ(15.875ミリメートル)~8インチ(203.2ミリメートル)の高さ、および1インチ(25.4ミリメートル)~24インチ(609.6ミリメートル)の直径を有する前記円筒状内側コアを製作するステップを有する、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記金型を製作するステップは、1~100の巻数、および5/8インチ(15.875ミリメートル)~2インチ(50.8ミリメートル)のピッチを有するように、前記第1および第2のらせん状溝を製作するステップを有する、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月24日に出願された米国特許出願第16/752,446号明細書に対する優先権およびその出願日の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、プラズマ処理装置で使用するための高周波(RF)コイルに関する。特に、本開示は、RFコイルを形成する金型および方法の様々な実施形態を提供する。
【0003】
半導体デバイスおよび他の電子デバイスの製作にプラズマ処理装置が広く使用されている。このような装置では、エッチング、堆積、酸化、スパッタリングなどの処理を行うために、比較的低温で処理ガスが良好に反応するようにプラズマが使用される。このような目的で使用される従来のプラズマ処理装置としては、容量結合プラズマ(CCP)装置および誘導結合プラズマ(ICP)装置が挙げられるが、これらに限定されない。
【0004】
一般に、プラズマは真空チャンバ内で発生され、プラズマを発生するための手段は、RF電力が印加されたときのプラズマ電位の擾乱を抑制するために、チャンバの外部または保護壁内のいずれかに配置される。例えば、誘導結合プラズマ(ICP)装置では、コイル状のRFアンテナが、発生したプラズマのための真空チャンバとしての役割を果たす処理チャンバの壁内に形成された誘電体窓の外部に配置され得る。ターゲット基板(例えば、半導体ウェーハまたはガラス基板)は、処理チャンバ内の中央領域に供給される。
【0005】
プラズマプロセスを行うために、処理ガスが、誘電体窓と基板との間に形成された処理空間内に供給される。高周波交流(AC)電流がコイル状のRFアンテナに供給されてRF磁場を誘導し、RF磁場は、誘電体窓を介してチャンバ内の処理空間に伝わる。RF磁場が時間とともに変化すると、誘導電場が処理空間内で方位角方向に発生して、強いプラズマが発生する。
【0006】
場合によっては、プラズマの密度および再現性に影響を与えるために、コイル状のRFアンテナの特性(例えば、巻数、ピッチ、曲げ半径、コイル直径、コイル長、コイル同心度など)が変更され得る。例えば、コイルの幾何学的形状を変化させることは、ピッチ、直径、長さなどの特徴を変化させることに基づいて、プラズマ特性に影響を与える(例えば、コイルのピッチを大きくすることにより、プラズマ発生領域、プラズマ密度、およびプラズマ均一性が変化する)。
【0007】
RFコイルの設計は、通常、手曲げと巻線機との組み合わせを含む製造工程を介する製作のために外部ベンダに送られる。残念ながら、(巻線機を用いるか否かにかかわらず)手作業によるRFコイルの製作はあまり正確ではなく、プラズマプロセスで要求される厳しい公差を達成できないことが多い。また、製造プロセスは、平らでない表面および歪んだ幾何学的形状(例えば、変形したコイル形状)を生じやすく、そうすると、製作されたRFコイルの近接場の挙動に影響が及ぶことがある。
【0008】
場合によっては、RFコイルの設計を完成させるには、何回かの繰り返しを必要とすることがある。例えば、小さな曲げ半径、コイル同心度、およびコイル直径は、特に予測が難しく、設計プロセス全体を通して調整される必要があり得る。例えば、同心度からのわずかな逸脱でさえも、プラズマプロセスにおける不均一性、劣悪な点火挙動、または異常な放電につながり得る。しかしながら、多くの外部ベンダはリードタイムが長く(例えば、約4~6週間)、このことにより、特にRFコイルの設計を完成させるのに複数回の繰り返しが必要とされる場合、設計時間が大幅に増加し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の製造プロセスよりも正確で、再現性が高く、時間/費用効率の高い、RFコイルの改良された製作方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
RFコイルを製作するための金型および方法の様々な実施形態が本明細書に開示される。より具体的には、本開示は、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを製作する金型および方法の様々な実施形態を提供する。以下に詳述するように、開示される金型は、一般に、円筒内側コアの外面内に形成された第1のらせん状の溝を有する円筒内側コアと、2ピース圧縮スリーブの内面内に形成された第2のらせん状の溝を有する2ピース圧縮スリーブとを備え得る。2ピース圧縮スリーブの部分同士が互いに取り付けられると、2ピース圧縮スリーブは、RFコイルを製作するように円筒内側コアを囲んで第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体に圧縮力をかける。
【0011】
いくつかの実施形態では、3次元(3D)印刷プロセスが、金型の各ピースを別々に製作するために使用され得る。本開示は、本明細書に開示される金型を製作するために3D印刷プロセスを使用することにより、従来の製造プロセスよりも正確で、再現性が高く、時間/費用効率の高い、RFコイルを製作するための方法を提供する。
【0012】
一実施形態によれば、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを製作するための金型が、一般に、円筒内側コアと2ピース圧縮スリーブとを備え得る。円筒内側コアは、円筒内側コアの外面内に形成された第1のらせん状の溝を有し得る。2ピース圧縮スリーブは、2ピース圧縮スリーブの内面内に形成された第2のらせん状の溝を有し得る。2ピース圧縮スリーブの部分同士が互いに取り付けられると、2ピース圧縮スリーブは、RFコイルを製作するように円筒内側コアを囲んで第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体に圧縮力をかけるように構成され得る。いくつかの実施形態では、導体は、例えば、銅、アルミニウム、または鉄を含むがこれらに限定されない、鉄系合金および非鉄金属を含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、2ピース圧縮スリーブは、第1の部分と、1または2以上の機械的締結具を用いて第1の部分に取り外し可能に取り付けられた第2の部分とを備える。いくつかの実施形態では、2ピース圧縮スリーブは、部品をネガティブ形状に成形すること、および部品を所望の形状(例えば、空洞直径、コイル外径、およびコイルピッチなど。)に形成することを容易にする上下半型部品(cope and drag parts)を備え得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、金型は、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを形成するように形状および寸法を定められ得る。このような実施形態では、円筒内側コアは、1/8インチ(3.175ミリメートル)~12インチ(304.8ミリメートル)の高さ、1/8インチ(3.175ミリメートル)~24インチ(609.6ミリメートル)の直径、1~100の巻数、1/8インチ(3.175ミリメートル)~2インチ(50.8ミリメートル)のピッチを有し得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、金型は、金型の各ピースを別々に製作するために3次元(3D)印刷プロセスを使用して製作され得る。例えば、円筒内側コア、2ピース圧縮スリーブの第1の部分、および2ピース圧縮スリーブの第2の部分はそれぞれ、いくつかの実施形態では、100℃超のガラス転移温度および200メガパスカル(MPa)超の圧縮強度を有する熱可塑性ポリマー材料を3D印刷することによって製作され得る。他の実施形態では、他の材料(限定するものではないが、例えば、炭素繊維PC、炭素繊維、アルミニウム、ステンレス鋼、インコネルなど)も3D印刷可能であり、使用されてもよい。金属は一般により強度が高く、より良好且つより安定な最終形状をもたらす。
【0016】
別の実施形態によれば、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを形成するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、円筒内側コアと2ピース圧縮スリーブとを備える金型を製作するために3D印刷プロセスを使用することによって開始され得る。第1のらせん状の溝は円筒内側コアの外面内に形成され、第2のらせん状の溝は2ピース圧縮スリーブの内面内に形成される。本方法はまた、円筒内側コアの周囲に導体の部分を巻き付けて、導体の部分が第1のらせん状の溝内に配置されるようにすることを含み得る。本方法は、円筒内側コアに2ピース圧縮スリーブを取り付けて、2ピース圧縮スリーブが、RFコイルを形成するように円筒内側コアを囲んで第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体の部分に圧縮力をかけるようにすることを更に含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、金型を製作するために3D印刷プロセスを上記使用することは、金型の各ピースを別々に製作するために3D印刷プロセスを使用することを含み得る。例えば、円筒内側コア、2ピース圧縮スリーブの第1の部分、および2ピース圧縮スリーブの第2の部分はそれぞれ、いくつかの実施形態では、100℃超のガラス転移温度および200MPa超の圧縮強度を有する熱可塑性ポリマー材料を3D印刷することによって製作され得る。他の実施形態では、他の材料(限定するものではないが、例えば、炭素繊維PC、炭素繊維、アルミニウム、ステンレス鋼、インコネルなど)も3D印刷可能であり、使用されてもよい。金属は一般により強度が高く、より良好且つより安定な最終形状をもたらす。
【0018】
いくつかの実施形態では、金型を製作するために3D印刷プロセスを上記使用することは、1/8インチ(3.175ミリメートル)~12インチ(304.8ミリメートル)の高さ、1/8インチ(3.175ミリメートル)~24インチ(609.6ミリメートル)の直径、1~100の巻数、1/8インチ(3.175ミリメートル)~2インチ(50.8ミリメートル)のピッチを有するように円筒内側コアを形成するために3D印刷プロセスを使用することを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、2ピース圧縮スリーブを上記取り付けることは、円筒内側コアの第1の側に2ピース圧縮スリーブの第1の部分を取り付けることと、円筒内側コアの第2の側に2ピース圧縮スリーブの第2の部分を取り付けて、第2の部分および第1の部分が円筒内側コアおよび導体の部分を囲むようにすることとを含み得る。いくつかの実施形態では、2ピース圧縮スリーブを上記取り付けることはまた、1または2以上の機械的締結具を用いて第2の部分に第1の部分を取り付けて、第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体の部分に圧縮力をかけることを含み得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、本方法は、1または2以上の機械的締結具を取り外すことと、円筒内側コアおよびRFコイルから2ピース圧縮スリーブの第1および第2の部分を取り外すことと、RFコイルまたは円筒内側コアの少なくとも一方を互いに対して回転させることによって金型からRFコイルを取り外すこととを更に含み得る。
【0021】
別の実施形態によれば、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを形成するための方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法は、円筒内側コアと2ピース圧縮スリーブとを備える金型を製作することによって開始されて、第1のらせん状の溝が円筒内側コアの外面内に形成され、第2のらせん状の溝が2ピース圧縮スリーブの内面内に形成されるようにし得る。本方法はまた、円筒内側コアの周囲に導体の部分を巻き付けて、導体の部分が第1のらせん状の溝内に配置されるようにすることと、円筒内側コアに2ピース圧縮スリーブを取り付けて、2ピース圧縮スリーブが、RFコイルを形成するように円筒内側コアを囲んで第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体の部分に圧縮力をかけるようにすることとを含み得る。本方法は、円筒内側コアおよびRFコイルから2ピース圧縮スリーブを取り外すことと、RFコイルまたは円筒内側コアの少なくとも一方を互いに対して回転させることによって金型からRFコイルを取り外すこととを更に含み得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、2ピース圧縮スリーブを上記取り付けることは、円筒内側コアの第1の側に2ピース圧縮スリーブの第1の部分を取り付けることと、円筒内側コアの第2の側に2ピース圧縮スリーブの第2の部分を取り付けて、第2の部分および第1の部分が円筒内側コアおよび導体の部分を囲むようにすることとを含み得る。いくつかの実施形態では、2ピース圧縮スリーブを上記取り付けることは、1または2以上の機械的締結具を用いて第2の部分に第1の部分を取り付けて、第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体の部分に圧縮力をかけることを更に含み得る。このような実施形態では、2ピース圧縮スリーブを上記取り外すことは、1または2以上の機械的締結具を取り外すことと、円筒内側コアおよびRFコイルから2ピース圧縮スリーブの第1および第2の部分を取り外すこととを含み得る。
【0023】
本発明およびその利点のより完全な理解は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって得ることができ、図面では、同様の参照番号が同様の特徴を指す。しかしながら、開示される概念は他の同等に効果的な実施形態を含み得るため、添付の図面は、開示される概念の例示的な実施形態を示すに過ぎず、したがって範囲を限定するものと見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本開示の一実施形態による、RFコイルを製作するための金型の3次元斜視図である。
図2】本開示による、RFコイルを形成するための方法の一実施形態を示すフローチャート図である。
図3】本開示による、RFコイルを形成するための方法の別の実施形態を示すフローチャート図である。
図4図2および図3に示す方法ステップを実行するために図1に示す金型がどのように使用され得るかを示す、図1に示す金型の3次元斜視図である。
図5図2および図3に示す方法ステップを実行するために図1に示す金型がどのように使用され得るかを示す、図1に示す金型の3次元斜視図である。
図6図2および図3に示す方法ステップを実行するために図1に示す金型がどのように使用され得るかを示す、図1に示す金型の3次元斜視図である。
図7図2および図3に示す方法ステップを実行するために図1に示す金型がどのように使用され得るかを示す、図1に示す金型の3次元斜視図である。
図8図2および図3に示す方法ステップを実行するために図1に示す金型がどのように使用され得るかを示す、図1に示す金型の3次元斜視図である。
図9図2および図3に示す方法ステップを実行するために図1に示す金型がどのように使用され得るかを示す、図1に示す金型の3次元斜視図である。
図10図2および図3に示す方法ステップを実行するために図1に示す金型がどのように使用され得るかを示す、図1に示す金型の3次元斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
RFコイルを製作するための金型および方法の様々な実施形態が本明細書に開示される。より具体的には、本開示は、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを製作する金型および方法の様々な実施形態を提供する。以下に詳述するように、開示される金型は、一般に、円筒内側コアの外面内に形成された第1のらせん状の溝を有する円筒内側コアと、2ピース圧縮スリーブの内面内に形成された第2のらせん状の溝を有する2ピース圧縮スリーブとを備え得る。2ピース圧縮スリーブの部分同士が互いに取り付けられると、2ピース圧縮スリーブは、RFコイルを製作するように円筒内側コアを囲んで第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体に圧縮力をかける。本明細書で論じる場合、「円筒」構造が説明される。本明細書で使用される場合、「円筒」とは、完全な円筒形構造からの半径の変動が20%以下である円筒状の構造を包含する。
【0026】
いくつかの実施形態では、3次元(3D)印刷プロセスが、金型の各ピースを別々に製作するために使用され得る。本開示は、本明細書に開示される金型を製作するために3D印刷プロセスを使用することにより、従来の製造プロセスよりも正確で、再現性が高く、時間/費用効率の高い、RFコイルを製作するための方法を提供する。
【0027】
図1は、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを製作するために使用され得る金型10の一実施形態を示す。図1に示すように、金型10は、円筒内側コア12と、第1の部分20aおよび第2の部分20bから構成された2ピース圧縮スリーブとを備え得る。円筒内側コア12は、その一方の端部にあるベースプレート14と、円筒内側コア12の外面内に形成された第1のらせん状の溝16とを備え得る。2ピース圧縮スリーブは、2ピース圧縮スリーブの内面内に形成された第2のらせん状の溝22と、2ピース圧縮スリーブの部分同士を一緒に取り付けるための手段(例えば、アタッチメントガイド24および孔26)とを備え得る。2ピース圧縮スリーブの第1の部分20aおよび第2の部分20bが互いに取り付けられると、2ピース圧縮スリーブは、RFコイルを製作するように円筒内側コア12を囲んで第1のらせん状の溝16および第2のらせん状の溝22内に配置された導体30に圧縮力をかける。
【0028】
図1に示すように、2ピース圧縮スリーブは、第1の部分20aと、1または2以上の機械的締結具28を用いて第1の部分に取り付けたり取り外したりできる第2の部分20bとを備える。いくつかの実施形態では、図7に示すように、2ピース圧縮スリーブ内に形成されたアタッチメントガイド24および孔26内に1または2以上の機械的締結具28(例えば、ボルトおよびワッシャ)を挿入することによって、第1の部分20aが、第2の部分20bに(またはその逆に)取り付けられ得る。その後、1または2以上の機械的締結具28が締め付けられると、2ピース圧縮スリーブは、導体30に圧縮力をかけて、導体がRFコイルに対して所望されている形状および寸法に適合するようにする。金型10からRFコイルを取り外すために、図8に示すように、1または2以上の機械的締結具28は、アタッチメントガイド24および孔26から取り外されて、第1の部分20aが第2の部分20bから(またはその逆に)取り外され得るようにし得る。
【0029】
本明細書では、2ピース圧縮スリーブの第1の部分20aおよび第2の部分20bを一緒に取り付けるための特定の手段(例えば、アタッチメントガイド24、孔26、および機械的締結具28)が図示および説明されているが、RFコイルを形成するために必要な圧縮力をかけるために代替的な取付手段が使用されてもよいことを認識されたい。例えば、より強く、より均一な圧縮力をかけるために万力で組立体を挟むことも1つのやり方であるし、または油圧プレスにおいて部品を使用できるようにするために金型タイプのフレームを使用することもできる。
【0030】
金型10は、一般に、特定の特性(例えば、形状、サイズ、ピッチ、長さなど)を有するRFコイルを作成するように設計され得る。例えば、多くのRFコイルの設計は、特定の用途に対して最良のコイルの形状、サイズ、ピッチ、長さなどを決定する、物理学に基づくRF/電磁波(EM)シミュレーションによってなされている。RFコイルの設計が特定の用途のために選択されると、RFコイルの設計の特性が、金型10の設計および製作に使用され得る。
【0031】
例えば、プラズマ処理装置で使用されるRFコイルは、通常、1/8インチ(3.175ミリメートル)~12インチ(304.8ミリメートル)の高さ(H1)、1/8インチ(3.175ミリメートル)~24インチ(609.6ミリメートル)の直径(D1)、1~100の巻数、1/8インチ(3.175ミリメートル)~2インチ(50.8ミリメートル)のピッチを有するように形成される。これらの特性のうちのいずれか1つが、RFコイルによって発生する電場およびプラズマ処理装置内で発生するプラズマを変えるために調整されてもよい。例えば、RFコイルの高さおよび直径が調整されてもよい。一方、RFコイル内で使用される巻数、および/または巻線間のピッチも調整されてもよい。コイルのサイズおよび形状を変えることにより、コイルの電場およびインダクタンスが変わり、ひいてはプラズマ密度が変わる。
【0032】
プラズマ処理装置で使用されるRFコイルを形成するために、金型10の内側コア12は、1/4インチ(6.35ミリメートル)~8インチ(203.2ミリメートル)の高さ(H2)、および1/4インチ(6.35ミリメートル)~24インチ(609.6ミリメートル)の直径(D2)で形成され得る。図1に示すように、高さ(H2)は、ベースプレート14の上面と円筒内側コア12の上端面との間で測定される。直径(D2)は、円筒内側コア12の上端面を横断して測定される。加えて、円筒内側コア12内に形成された第1のらせん状の溝16と、2ピース圧縮スリーブの各部分内に形成された第2のらせん状の溝22とはそれぞれ、1~100の巻数を含み得る。図1には示していないが、第1のらせん状の溝16の深さおよび第2のらせん状の溝22の深さはそれぞれ、導体30の直径の2分の1に実質的に等しくてもよい。
【0033】
導体30は、一般に、実質的に任意の導電性材料から形成され得る。いくつかの実施形態では、導体30は、銅、アルミニウム、または鉄を含むがこれらに限定されない、鉄系合金または非鉄金属であり得る。
【0034】
2ピース圧縮スリーブ20が円筒内側コア12に取り付けられ、第1の部分20aと第2の部分20bとが機械的締結具28を介して互いに取り付けられると、導体30にかけられた圧縮力によって、第1のらせん状の溝16および第2のらせん状の溝22の形状および寸法に導体が適合される。第1のらせん状の溝16および第2のらせん状の溝22内に配置された導体30に圧縮力をかけることにより、らせん状のコイル部分32と、略直線状の2つの端部部分(すなわち、直線端部部分34および直線端部部分36)とを有するRFコイルが形成される。上述のように、らせん状のコイル部分32の形状および寸法は、一般に、コイルを形成するために使用される金型10の特性に依存する。一実施形態では、例えば、らせん状のコイル部分32は、1/4インチ(6.35ミリメートル)~8インチ(203.2ミリメートル)の高さ(H1)、1インチ(25.4ミリメートル)~24インチ(609.6ミリメートル)の直径(D1)、1~100の巻数、5/8インチ(15.875ミリメートル)~2インチ(50.8ミリメートル)のピッチを有するように形成され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、2ピース圧縮スリーブの第1の部分20aおよび第2の部分20bは、実質的に直線状の端部部分(例えば、34)のうちの1つを収容および/または支持するために、当接面29aおよび当接面29b内にそれぞれ形成された追加の溝27aおよび追加の溝27bをそれぞれ備え得る。他の実施形態では、例えば、ベースプレート14が取り外され、実質的に直線状の端部部分34が反対方向に延びるようにされた場合、追加の溝は省略され得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、2ピース圧縮スリーブは、部品をネガティブ形状に成形すること、および部品を所望の形状(例えば、空洞直径、コイル外径、およびコイルピッチなど。)に形成することを容易にする上下半型部品を備え得る。圧縮スリーブは、圧縮力を導体30にかける際に、RFコイルの平らでない表面および歪んだ幾何学的形状(例えば、変形したコイル形状)を防止する。
【0037】
上述のように、RFコイルは、通常、巻き、曲げ、および巻線機の組み合わせを通してRFコイルを製作する外部ベンダによって作られる。残念ながら、大半の外部ベンダによって利用されている製造方法は、精度を欠き、平らでない表面および歪んだ幾何学的形状(例えば、変形したコイル形状)を生じやすく、そうすると、RFコイルの近接場の挙動に影響が及ぶことがある。加えて、多くの外部ベンダはリードタイムが長く(例えば、約4~6週間)、このことにより、特にRFコイルの設計を完成させるのに複数回の繰り返しが必要とされる場合、設計時間が大幅に増加する。
【0038】
これらの問題を克服するために、好ましくは、図1に示す金型10は、3次元(3D)印刷プロセスを使用して形成される。3D印刷は、コンピュータ支援設計(Computer Aided Design、CAD)ソフトウェアを使用して、精密な幾何学的形状となるように層を重ねて材料を堆積させるようにハードウェアに命令する積層造形プロセスであり、迅速、正確、且つ低コストで3D物体を作るために使用され得る。一般に、金型10の各ピース(例えば、円筒内側コア12、並びに2ピース圧縮スリーブの第1の部分20aおよび第2の部分20b)は、3Dプリンタを使用して別々に製作され得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、金型10の各ピースは、円筒内側コア12、第1の部分20a、および第2の部分20bが所望の仕様に形成されるまで、層を重ねて熱可塑性ポリマー材料を堆積させるように3Dプリンタに命令することによって製作され得る。3D印刷プロセスでは実質的に任意の熱可塑性ポリマー材料が使用され得るが、少なくともいくつかの実施形態では、100℃超のガラス転移温度(Tg)および200MPa超の圧縮強度を有する熱可塑性ポリマー材料が好ましいことがある。一実施形態では、Tgが約147℃、且つ圧縮強度が約320MPaの炭素繊維ポリカーボネート材料が、金型10の円筒内側コア12並びに2ピース圧縮スリーブの第1の部分20aおよび第2の部分20bを形成するために使用され得る。
【0040】
設計フェーズでは、当初、炭素繊維ポリカーボネートよりも大幅に低いTg(約55~60℃)および圧縮強度(約94MPa)を有するポリ乳酸またはポリラクチド(PLA)を使用して金型10を構成した。その後、PLA金型を用いてRFコイルを形成したとき、PLA金型はRFコイル領域の付近で変形した。これは、コイル形成プロセス中に発生した熱またはコイルを形成するのに必要な圧縮力に起因する可能性が最も高い。PLAの代わりに炭素繊維ポリカーボネート材料を使用することによって、金型は、より高い圧縮力および温度に耐えることができ、これによりPLA金型が被った変形を回避できることが後に判明した。良好な金型10、ひいては良好なRFコイルが炭素繊維ポリカーボネートによって作成されることが示されたが、適切なガラス転移温度および圧縮強度を有する他の熱可塑性ポリマー材料も、金型を形成するために使用され得る。例えば、適切な熱可塑性ポリマー材料としては、限定するものではないがカイロン(Kyron)およびMAX-XSを含む多種多様な材料が挙げられる。
【0041】
良好な金型10は、所望の形状、形態、および寸法を有するように熱可塑性ポリマー材料を3D印刷することによって実用化されたが、金型を形成するために他の材料を使用することもできることに留意されたい。例えば、金型10は、限定するものではないがアルミニウム、ステンレス鋼、またはインコネルなどの金属を3D印刷することによって代替的に形成されてもよい。
【0042】
図2図10は、図1に示し、上述した金型10を使用してRFコイルを形成する例示的な方法を示す。特に、図2および図3は、本開示による、RFコイルを形成するために使用され得る方法100および200の例示的な実施形態を示すフローチャート図である。図4図10は、図2および図3に示す方法ステップを実行するために図1に示す金型がどのように使用され得るかを示す。図1に示す金型10、並びに図2および図3に示す方法100および200は、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを形成するために使用されるが、同様の金型および/または同様の方法が、他の使用および用途のためのRFコイルを形成するために使用されてもよいことに留意されたい。
【0043】
図4図10の実施形態は単なる例示であり、追加の方法が、本明細書に記載される技法を利用してもよいことが理解されよう。更に、記載されたステップは排他的であることを意図していないので、図4図10に示す方法に、追加のステップを追加することができる。更に、ステップの順序は、異なる順序が生じる場合があり、且つ/または様々なステップが組み合わせで若しくは同時に実施されてもよいため、図に示す順序には限定されない。
【0044】
図2は、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを形成する例示的な方法100を示す。いくつかの実施形態では、図2に示す方法100は、(ステップ110において)円筒内側コアと2ピース圧縮スリーブとを備える金型を製作するために3D印刷プロセスを使用することによって開始され得る。第1のらせん状の溝は円筒内側コアの外面内に形成され、第2のらせん状の溝は2ピース圧縮スリーブの内面内に形成される。厳密にそのように限定されるものではないが、図1は、3D印刷プロセスを使用して上述の構造を備えるように製作され得る金型10の一実施形態を示す。
【0045】
いくつかの実施形態では、(ステップ110において)金型を製作するために3D印刷プロセスを上記使用することは、100℃超のガラス転移温度および200MPa超の圧縮強度を有する熱可塑性ポリマー材料を使用して、円筒内側コア12、2ピース圧縮スリーブの第1の部分20a、および2ピース圧縮スリーブの第2の部分20bを別々に製作するために3D印刷プロセスを使用することを含む。上記のように、様々な熱可塑性ポリマー材料が使用され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、(ステップ110において)金型を製作するために3D印刷プロセスを上記使用することは、1/4インチ(6.35ミリメートル)~8インチ(203.2ミリメートル)の高さ、および1インチ(25.4ミリメートル)~24インチ(609.6ミリメートル)の直径を有するように円筒内側コア12を製作することと、1~100の巻数、および5/8インチ(15.875ミリメートル)~2インチ(50.8ミリメートル)のピッチを有するように第1および第2のらせん状の溝16/22を製作することとを含む。上記のように、このような形状および寸法を有する金型10は、プラズマ処理装置で使用するためのRFコイルを形成するのに適切であり得る。他の実施形態では、3D印刷プロセスを使用して製作された金型が、他の使用および用途に適切なRFコイルを形成するために使用され得る。
【0047】
ステップ120において、方法100は、円筒内側コアの周囲に導体の部分を巻き付けて、導体の部分が第1のらせん状の溝内に配置されるようにすることを含む。例えば、図4に示すように、導体30の部分(例えば、コイル部分32)が、(ステップ120において)円筒内側コア12の周囲に巻き付けられて、導体の部分が第1のらせん状の溝内に配置されるようにしてもよい。
【0048】
ステップ130において、方法100は、円筒内側コアに2ピース圧縮スリーブを取り付けて、2ピース圧縮スリーブが、RFコイルを形成するように円筒内側コアを囲んで第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体の部分に圧縮力をかけるようにすることを含む。いくつかの実施形態では、(ステップ130における)2ピース圧縮スリーブを上記取り付けることは、(図5に示すように)円筒内側コアの第1の側に2ピース圧縮スリーブの第1の部分20aを取り付けることと、(図6に示すように)円筒内側コアの第2の側に2ピース圧縮スリーブの第2の部分20bを取り付けて、第2の部分20bおよび第1の部分20aが円筒内側コア12および導体30の部分(例えば、コイル部分32)を囲むようにすることとを含み得る。いくつかの実施形態では、(ステップ130における)2ピース圧縮スリーブを上記取り付けることは、(図7に示すように)1または2以上の機械的締結具28を用いて第2の部分20bに第1の部分20aを取り付けて、第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体30の部分に圧縮力をかけることを更に含み得る。
【0049】
いくつかの実施形態(図示せず)では、方法100は、(図8に示すように)1または2以上の機械的締結具28を取り外すことと、(図8および図9に示すように)円筒内側コア12およびRFコイルから2ピース圧縮スリーブの第1の部分20aおよび第2の部分20bを取り外すことと、(図10に示すように)RFコイルまたは円筒内側コア12の少なくとも一方を互いに対して回転させることによって金型からRFコイルを取り外すこととを更に含み得る。
【0050】
図3は、プラズマ処理装置内で使用するためのRFコイルを形成する例示的な方法200を示す。いくつかの実施形態では、図3に示す方法200は、(ステップ210において)円筒内側コアと2ピース圧縮スリーブとを備える金型を製作して、第1のらせん状の溝が円筒内側コアの外面内に形成され、第2のらせん状の溝が2ピース圧縮スリーブの内面内に形成されるようにすることによって開始され得る。いくつかの実施形態では、金型は、(ステップ210において)上述のように3D印刷プロセスを使用して製作され得る。しかしながら、方法ステップ210は、3D印刷プロセスに厳密に限定されず、他の適切なプロセスを使用して行われ得ることに留意されたい。
【0051】
ステップ220において、方法200は、円筒内側コアの周囲に導体の部分を巻き付けて、導体の部分が第1のらせん状の溝内に配置されるようにすることを含む。例えば、図4に示すように、導体30の部分(例えば、コイル部分32)が、(ステップ220において)円筒内側コア12の周囲に巻き付けられて、導体の部分が第1のらせん状の溝内に配置されるようにしてもよい。
【0052】
ステップ230において、方法200は、円筒内側コアに2ピース圧縮スリーブを取り付けて、2ピース圧縮スリーブが、RFコイルを形成するように円筒内側コアを完全に囲んで第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体の部分に圧縮力をかけるようにすることを含む。いくつかの実施形態では、(ステップ230における)2ピース圧縮スリーブを上記取り付けることは、(図5に示すように)円筒内側コアの第1の側に2ピース圧縮スリーブの第1の部分20aを取り付けることと、(図6に示すように)円筒内側コアの第2の側に2ピース圧縮スリーブの第2の部分20bを取り付けて、第2の部分20bおよび第1の部分20aが円筒内側コア12および導体30の部分(例えば、コイル部分32)を囲むようにすることとを含み得る。いくつかの実施形態では、(ステップ230における)2ピース圧縮スリーブを上記取り付けることは、1または2以上の機械的締結具28を用いて第2の部分20bに第1の部分20aを取り付けて、(図7に示すように)第1および第2のらせん状の溝内に配置された導体30の部分に圧縮力をかけることを更に含み得る。
【0053】
ステップ240において、方法200は、円筒内側コアおよびRFコイルから2ピース圧縮スリーブを取り外すことを含む。例えば、いくつかの実施形態では、2ピース圧縮スリーブは、(図8および図9に示すように)円筒内側コア12およびRFコイルから2ピース圧縮スリーブの第1の部分20aおよび第2の部分20bを取り外す前に、(図8に示すように)1または2以上の機械的締結具28を取り外すことによって(ステップ240において)円筒内側コア12およびRFコイルから取り外されてもよい。
【0054】
ステップ250において、方法200は、RFコイルまたは円筒内側コアの少なくとも一方を互いに対して回転させることによって金型からRFコイルを取り外すことを含む。例えば、図10に示すように、RFコイルは、(ステップ250において)円筒内側コア12に対してRFコイルを(またはRFコイルに対して円筒内側コア12を)回転させることによって金型10から取り外されてもよい。
【0055】
本明細書を読めば、本発明の更なる修正形態および代替実施形態が当業者には明らかになるはずである。したがって、本明細書は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実施する方法を当業者に教示する目的のためのものである。本明細書に例示され、且つ記載された本発明の形態および方法は、現在好ましい実施形態として解釈されるべきであることを理解されたい。本明細書で例示および記載されたものの代わりに均等な技法を使用することができ、本発明の特定の特徴は、他の特徴の使用とは無関係に利用することができ、これらは、全て本発明の本明細書の記載の利益を享受した後に当業者に明らかになるであろう。
図1
図2
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【国際調査報告】