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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-16
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂製造用重合反応器
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/01 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
C08F2/01
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022544811
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(85)【翻訳文提出日】2022-07-22
(86)【国際出願番号】 KR2021013601
(87)【国際公開番号】W WO2022085993
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】10-2020-0138509
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ウン・キム
(72)【発明者】
【氏名】スンモ・イ
【テーマコード(参考)】
4J011
【Fターム(参考)】
4J011AA01
4J011AA05
4J011AC04
4J011BA01
4J011BB04
4J011HA02
4J011HB17
(57)【要約】
本発明による高吸水性樹脂製造用重合反応器は、モノマー組成物溶液を供給する組成物供給部と、組成物供給部に連結されている中心配管と、中心配管に対して第1角度で中心配管に傾斜して連結されている第1連結配管、および第1連結配管に対して第2角度で傾斜して分岐する一対の第1分岐配管を含む組成物分配部と、第1分岐配管の排出口の下に位置し、組成物溶液が落下するコンベヤベルトと、コンベヤベルト上の組成物溶液に重合用エネルギーを供給するエネルギー供給部とを含み、第1角度は、コンベヤベルトと連結配管との間の角度であり、第2角度は、連結配管とそれぞれの分岐配管との間の角度であってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モノマー組成物溶液を供給する組成物供給部と、
前記組成物供給部に連結されている中心配管と、
前記中心配管に対して第1角度で前記中心配管に傾斜して連結されている第1連結配管、および前記第1連結配管に対して第2角度で傾斜して分岐する一対の第1分岐配管を含む組成物分配部と、
前記第1分岐配管の排出口の下に位置し、前記組成物溶液が落下するコンベヤベルトと、
前記コンベヤベルト上の前記組成物溶液に重合用エネルギーを供給するエネルギー供給部と
を含み、
前記第1角度は、前記コンベヤベルトと前記連結配管との間の角度であり、
前記第2角度は、前記連結配管とそれぞれの前記分岐配管との間の角度である、高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項2】
前記第1分岐配管は、前記第1角度で前記中心配管に対して傾斜している、請求項1に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項3】
相対的に前記中心配管に隣接した前記第1連結配管注入口の直径は、相対的に前記第1分岐配管に隣接した前記第1連結配管排出口の直径より大きい、請求項1または2に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項4】
前記第1分岐配管は、前記第1連結配管を基準として互いに対称である、請求項1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項5】
前記組成物供給部は、原料物質供給部と、溶媒供給部と、モノマー組成物混合部とをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項6】
前記エネルギー供給部は、光エネルギーを供給する、請求項1から5のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項7】
前記組成物分配部は、
前記第1分岐配管にそれぞれ連結される第2連結配管と、
前記第2連結配管から分岐する一対の第2分岐配管と
をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項8】
モノマー組成物溶液を供給する組成物供給部と、
前記組成物供給部に連結されている中心配管と、
前記中心配管に連結され、複数の段に連結された配管を含む組成物分配部と、
前記組成物分配部から前記組成物溶液が落下するコンベヤベルトと、
前記コンベヤベルト上の前記組成物溶液に重合用エネルギーを供給するエネルギー供給部とを含み、
それぞれの前記段は、連結配管と、前記連結配管を基準として両側に分岐した一対の分岐配管とを含む、高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項9】
前記連結配管は、前記組成物溶液が注入される注入口の直径が、前記組成物溶液が排出される排出口の直径より大きい、請求項8に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項10】
前記組成物分配部の最初の段は、前記中心配管と連結された第1連結配管と、前記第1連結配管から分岐する一対の第1分岐配管とを含み、
前記最初の段に連結される次の段は、前記最初の段の分岐配管に連結される第2連結配管と、前記第2連結配管から分岐する一対の第2分岐配管と
を含む、請求項8または9に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項11】
相対的に前記中心配管に隣接して位置する前の段に含まれている連結配管の直径および分岐配管の直径は、相対的に前記中心配管から遠く位置する後の段に含まれている連結配管の直径および分岐配管の直径より大きい、請求項8から10のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【請求項12】
前記連結配管と前記分岐配管は、前記中心配管に対して対称に連結されている、請求項8から11のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂製造用重合反応器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2020年10月23日付の大韓民国特許出願第10-2020-0138509号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示されたすべての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂製造用重合反応器に関する。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは、自重の5百から1千倍程度の水分を吸収できる機能を有する合成高分子物質であって、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なる名前で名付けている。このような高吸水性樹脂は生理用品として実用化され始め、現在は、幼児用紙おむつなどの衛生用品のほか、園芸用土壌保水剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、およびシップ用などの材料に幅広く使用されている。
【0004】
高吸水性樹脂の製造方法としては、逆相懸濁重合による方法または水溶液重合による方法などが知られている。逆相懸濁重合については、例えば、特開昭56-161408号公報(JPS56161408A;1981.12.11)、特開昭57-158209号公報(JPS57158209A;1982.09.30)、および特開昭57-198714号公報(JPS57198714A;1982.12.06)などに開示されている。
【0005】
水溶液重合による方法としてはさらに、複数の軸を備えた練合機内で含水ゲル状重合体を破断、冷却しながら重合する熱重合方法、および高濃度水溶液をベルト上で紫外線などを照射して重合と乾燥を同時に行う光重合方法などが知られている。
【0006】
このような高吸水性樹脂は、一般に樹脂用モノマーを重合し、これを乾燥および粉砕して粉末状の製品に製造され、モノマーを重合する段階は、樹脂の物性を決定する重要な段階である。
【0007】
このうち、光重合を利用した製造方法は、樹脂用モノマー組成物を移動ベルト(belt)に置いて移動させながら上部から光を照射して連続的な工程によりモノマー組成物の重合を誘導する。
【0008】
モノマー組成物の投入はディスペンサを介して注入されるが、一般に1つの配管から排出される組成物が複数の吐出口を介して排出される。
【0009】
この時、配管に注入される注入圧力によって組成物が瞬間的に拡散し、複数の吐出口のうち両端に位置する吐出口に組成物が偏って噴射される。
【0010】
このような現象により、配管に隣接した吐出口と、端に位置する吐出口とで組成物の流量差が発生し、特定の吐出口で詰まり現象が発生する。また、ベルトに落下する組成物の量が異なり、生産される樹脂シートが不均一に生産される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開昭56-161408号公報
【特許文献2】特開昭57-158209号公報
【特許文献3】特開昭57-198714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、複数の吐出口を介してベルト上に迅速に組成物を供給しながらも、組成物をベルト上に均一な量で供給可能な高吸水性樹脂用重合反応器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による高吸水性樹脂製造用重合反応器は、モノマー組成物溶液を供給する組成物供給部と、組成物供給部に連結されている中心配管と、中心配管に対して第1角度で中心配管に傾斜して連結されている第1連結配管、および第1連結配管に対して第2角度で傾斜して分岐する一対の第1分岐配管を含む組成物分配部と、第1分岐配管の排出口の下に位置し、組成物溶液が落下するコンベヤベルトと、コンベヤベルト上の組成物溶液に重合用エネルギーを供給するエネルギー供給部とを含み、第1角度は、コンベヤベルトと連結配管との間の角度であり、第2角度は、連結配管とそれぞれの分岐配管との間の角度であってもよい。
【0014】
前記第1分岐配管は、第1角度で中心配管に対して傾斜することができる。
【0015】
相対的に中心配管に隣接した第1連結配管注入口の直径は、相対的に第1分岐配管に隣接した第1連結配管排出口の直径より大きい。
【0016】
前記第1分岐配管は、第1連結配管を基準として互いに対称である。
【0017】
前記組成物供給部は、原料物質供給部と、溶媒供給部と、モノマー組成物混合部とをさらに含むことができる。
【0018】
前記エネルギー供給部は、光エネルギーを供給することができる。
【0019】
前記組成物分配部は、第1分岐配管にそれぞれ連結される第2連結配管と、第2連結配管から分岐する一対の第2分岐配管とをさらに含むことができる。
【0020】
また、本発明による高吸水性樹脂製造用重合反応器は、モノマー組成物溶液を供給する組成物供給部と、組成物供給部に連結されている中心配管と、中心配管に連結され、複数の段に連結された配管を含む組成物分配部と、組成物分配部から組成物溶液が落下するコンベヤベルトと、コンベヤベルト上の組成物溶液に重合用エネルギーを供給するエネルギー供給部とを含み、それぞれの段は、連結配管と、連結配管を基準として両側に分岐した一対の分岐配管とを含む。
【0021】
前記連結配管は、前記組成物溶液が注入される注入口の直径が、組成物溶液が排出される排出口の直径より大きい。
【0022】
前記組成物分配部の最初の段は、中心配管と連結された第1連結配管と、第1連結配管から分岐する一対の第1分岐配管とを含み、最初の段に連結される次の段は、最初の段の分岐配管に連結される第2連結配管と、第2連結配管から分岐する一対の第2分岐配管とを含むことができる。
【0023】
相対的に中心配管に隣接して位置する前の段に含まれている連結配管の直径および分岐配管の直径は、相対的に中心配管から遠く位置する後の段に含まれている連結配管の直径および分岐配管の直径より大きい。
【0024】
前記連結配管と分岐配管は、中心配管に対して対称に連結される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の重合反応器を用いて、高吸水性樹脂を製造すれば、組成物を均一に投入して重合反応の均一性を確保することによって、高吸水性樹脂の品質を確保し、生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の一実施例による高吸水性樹脂製造用重合反応器を概略的に示す図である。
図2】本発明の一実施例による重合反応器の組成物分配部を概略的に示す図である。
図3】本発明の一実施例による重合反応器の組成物分配部を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施例について具体的に説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施例による高吸水性樹脂製造用重合反応器を概略的に示す図である。
【0030】
図1に示すように、本発明の一実施例による重合反応器100は、重合用原料を供給する組成物供給部30と、組成物分配部40と、コンベヤベルト50と、エネルギー供給部60とを含む。
【0031】
組成物供給部30は、高吸水性樹脂の原料物質を供給する複数の原料物質供給部11、12、13と、溶媒を供給する溶媒供給部32と、原料物質と溶媒とを混合するモノマー組成物混合部34とを含む。
【0032】
高吸水性樹脂の原料物質は、例えば、モノマー、モノマーの中和のための塩基性化合物、光重合開始剤、架橋剤および各種添加剤であってもよいし、溶媒は、原料物質を溶解できる液体であれば制限されない。図面では、原料物質供給部11、12、13を3つのみ示したが、これに限定されず、原料物質の個数に応じて多様に変形可能である。また、溶媒は、別途に溶媒供給部32を介して供給される。
【0033】
このような高吸水性樹脂の原料物質および溶媒は、モノマー組成物混合部34で均一に混合されてモノマー組成物溶液に製造された後、組成物分配部40を介してコンベヤベルト50上に排出される。
【0034】
組成物分配部40は、モノマー組成物混合部34で混合されたモノマー組成物をコンベヤベルト50上に均一に排出させる。
【0035】
モノマー組成物混合部34から混合された組成物が組成物分配部40の上部に供給され、重力によって落下しながら組成物分配部40の下部に排出されて、組成物がコンベヤベルト50上に吐出される。
【0036】
図2および図3は、本発明の一実施例による重合反応器の組成物分配部を概略的に示す図である。
【0037】
図2および図3を参照すれば、組成物分配部40は、コンベヤベルト50上に均一に組成物を吐出させるために、配管が多段S1、S2に分岐する。
【0038】
組成物分配部40は、中心配管41と、中心配管41に連結された連結配管42と、連結配管42から分岐する一対の分岐配管43、44とを含む。
【0039】
中心配管41は、重力方向に長さの長い管状で、組成物混合部34が中心配管41の上部に連結(図1参照)され、連結配管42が下部に連結される。中心配管41の直径D1は、連結配管42の直径D2より大きい。
【0040】
中心配管41は、重力方向、つまり、コンベヤベルト50の上面に対して垂直な方向に配置され、連結配管42は、コンベヤベルト50の上面に対して斜めに傾斜して、第1角度θ1で連結される。第1角度は、30度~60度であってもよい。
【0041】
連結配管42は、中心配管41と連結された部分の直径D2が、分岐配管43、44と連結された部分の直径D3より大きい。
【0042】
連結配管42は、組成物溶液を精留させて溶液内に形成される回転運動または挙動が分岐配管に連結されるのを防止する。したがって、このような不要な溶液の運動により流量差または比重差が発生せず、均一に組成物溶液が分岐配管に供給できるようにする。
【0043】
分岐配管43、44は、連結配管42の中心線Cを基準として対称に分岐することができ、1回分岐するたびに2つの分岐配管43、44が生成される。以下、連結配管42と連結配管42から1回分離されるたびに形成される分岐配管43、44のグループを段S1、S2という。
【0044】
本発明の一実施例による組成物供給配管は、多段S1、S2に分岐することができ、分岐する回数は、コンベヤベルト50の幅WD1および吐出量に応じて選択可能である。最後に分岐して形成される最後の段S2の全体幅WD2は、コンベヤベルト50の幅WD1より小さい。
【0045】
本発明による組成物分配部40は、コンベヤベルト50上に均一に組成物溶液を供給するためのもので、2つの分岐配管43、44は、連結配管42の中心線Cを基準として対称になる。連結配管42の中心線Cは、連結配管42の中心を通る仮想の線である。
【0046】
このように、2つの分岐配管を形成すれば、流量差なく多段に組成物溶液が移動するので、均一に組成物溶液が排出できる。
【0047】
組成物溶液が供給される時に発生する供給圧力によって、いずれか一方に組成物溶液が偏って供給されず、両側に位置する2つの分岐配管が均一な圧力で組成物溶液が供給される。
【0048】
連結配管42は、組成物溶液が流入する注入口A1の直径が、溶液が排出される排出口A2の直径より大きい。この時、分岐配管43、44は、注入口と排出口の直径が同一であってもよい。
【0049】
そして、本発明の一実施例では、多段に分岐するほど、後に連結される連結配管42の直径は漸進的に減少できる。中心配管と直接的に連結される最初の段に含まれている第1連結配管の注入口の直径は、次の段に含まれる第2連結配管の注入口の直径より大きく、これは、次の段が連結される場合に同様に減少する。
【0050】
したがって、相対的に中心配管に隣接して位置する前の段に含まれている連結配管の直径および分岐配管の直径が、相対的に中心配管から遠く位置する後の段の連結配管の直径および分岐配管の直径より大きい。
【0051】
最後の段の分岐配管43、44の排出口の直径は0.5~約5インチ(inch)であってもよいが、これに制限されるわけではなく、コンベヤベルト50の大きさや供給される組成物溶液の供給量に応じて適切に選択可能である。
【0052】
一方、分岐配管43、44は、連結配管42の中心線Cに対して第2角度θ2で傾斜して連結される。分岐配管43、44が連結配管42の中心線Cに対して傾斜して連結されることによって、隣り合う分岐配管43、44間の間隔Wを一定にし、コンベヤベルト50上に一定の間隔をおいて一定の量の組成物溶液が供給される。
【0053】
したがって、コンベヤベルト50に供給される組成物溶液の量および落下領域を考慮して第2角度θ2が選択される。この時、第2角度θ2は、30度~45度の角度で分離され、連結配管42が45度を超えた角度で結合する場合、溶液の流れる経路が急激に曲がって組成物溶液の流れが円滑でないことがあり、隣り合う両分岐配管間の間隔Wが広くなりうる。
【0054】
このように、本発明では、中心配管41を基準として両側に対称に分岐する分岐配管43、44を多段に形成することによって、複数の分岐配管43、44を介して組成物溶液を供給しながらも、いずれか一方に組成物溶液が偏って供給されないようにする。
【0055】
したがって、コンベヤベルト50の幅に沿って一定の間隔で均一な量の組成物溶液が供給され、後述するエネルギー供給部60を介して重合エネルギーが均等に供給されて、架橋重合反応が均等に起こった重合ゲルを得ることができる。つまり、コンベヤベルトに供給された組成物溶液は、反応前の組成物溶液と重合反応を経た重合ゲルとが互いに混在することなく均等にコンベヤベルト50に分配される。
【0056】
以上の実施例では、2つの段S1、S2を有する構成について説明したが、これに限定されるものではなく、コンベヤベルトの幅および組成物溶液の供給量に応じてさらに分岐して、3段以上の多段を含んでもよい。
【0057】
再び図1を参照すれば、コンベヤベルト50は、組成物分配部40を介して組成物溶液が排出される箇所で、コンベヤベルト50で組成物溶液が移動しながら重合反応が起こる。
【0058】
コンベヤベルト50上に供給されるモノマー組成物溶液55は、コンベヤベルト50の移動によりコンベヤベルト50の一側末端から他側末端に移動する。このような移動中に、組成物溶液55は、エネルギー供給部60から供給された重合エネルギーによる架橋重合反応が進行する。
【0059】
エネルギー供給部60は、モノマー重合に必要な光エネルギーまたは熱エネルギーを供給するためのもので、コンベヤベルト50の上部に位置することができる。
【0060】
エネルギー供給部60は、高吸水性樹脂製造のための組成物溶液55に重合エネルギーを伝達できるものであれば、その構成の限定はないが、紫外線照射部、熱風供給部、マイクロ波照射部、および赤外線照射部からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0061】
また、エネルギー供給部60は、場合によっては、コンベヤベルト50の長手方向に沿って複数設けられてもよい。また、エネルギー供給部60の付設位置は、好ましくは、組成物溶液55が供給されて重合が始まるコンベヤベルト50の一側になる。
【0062】
重合されたシート状重合ゲルは、重合ゲル排出部(図示せず)を介して重合反応器の外部に排出され、追加的に連結された重合ゲル粉砕部で粗粉砕を進行させることができる。
【0063】
一方、重合ゲル粉砕部は、シート状重合ゲルを粗粉砕できる粉砕機器を含む形態であれば、その構成の限定はない。
【0064】
具体的には、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、シュレッド破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパ(chopper)および円板式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器の群より選択されるいずれか1つを含むことができるが、上述した例に限定されない。
【0065】
この時、粗粉砕段階では、重合ゲルの粒径が約2~約10mmとなるように粉砕することができる。
【0066】
粗粉砕された重合ゲルは、重合体の含水率が約1~約5%となるように乾燥した後、粒子サイズが約150~約850μmとなるように粉砕することができる。
【0067】
乾燥した重合体を粉砕するために用いられる粉砕機は、具体的には、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを用いることができるが、上述した例に本発明が限定されるものではない。
【0068】
また、粉砕後に得られる重合体を粒径に応じて分級する別途の過程を経ることができる。好ましくは、粒径が約150~約850μmの重合体を分級することができる。
【0069】
以上説明した本発明の一実施例による高吸水性樹脂製造用重合反応器を用いて、高吸水性樹脂を製造する方法を説明する。
【0070】
本発明の高吸水性樹脂の製造方法は、水溶性エチレン系不飽和単量体、重合開始剤および溶媒を含む組成物溶液を用意する段階と、図2および図3に示した多段に分岐した分岐配管40を介して、組成物溶液をコンベヤベルト上に供給する段階と、重合反応器のコンベヤベルトおよび組成物溶液を移動させながら、組成物溶液に対して熱重合または光重合を進行させて重合する段階とを含む。
【0071】
高吸水性樹脂の原料物質は、モノマー、モノマーの中和のための塩基性化合物、重合開始剤、架橋剤および各種添加剤を含むことができる。
【0072】
モノマーは、高吸水性樹脂の製造に通常使用されるモノマーであれば、その構成の限定なく使用可能である。これには、陰イオン性単量体とその塩、非イオン系親水性含有単量体およびアミノ基含有不飽和単量体およびその4級化物からなる群より選択されるいずれか1つ以上を使用することができる。
【0073】
具体的には、(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタアクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸の陰イオン性モノマーとその塩;(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコール(メタ)アクリレートの非イオン系親水性含有モノマー;および(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたは(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのアミノ基含有不飽和モノマーおよびその4級化物からなる群より選択されたいずれか1つ以上を好ましく使用することができる。
【0074】
モノマーは、濃度は重合時間および反応条件などを考慮して適切に選択して使用可能である。
【0075】
塩基性化合物は、水に溶けて塩基性を示す化合物であれば、その構成の限定なく使用可能である。このような塩基性化合物としては、例えば、水酸化カリウムおよび水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属ヒドロキシド;水素化リチウムおよび水素化ナトリウムなどの水素化物;リチウムアミド、ナトリウムアミドおよびカリウムアミドなどのアミド化合物;ナトリウムメトキシドおよびカリウムメトキシドなどのアルコキシド化合物;およびこれらの組み合わせから選択される。
【0076】
塩基性化合物は、モノマー組成物溶液の総含有量に対して7~20重量%含まれる。
【0077】
モノマー組成物溶液は、重合開始剤を含むが、重合エネルギー供給部から紫外線が照射される場合には光重合開始剤を、熱風が供給される場合に熱重合開始剤などを含むことができる。
【0078】
熱重合開始剤として、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素、およびアスコルビン酸からなる開始剤の群より選択される1つ以上を使用することができる。具体的には、過硫酸塩系開始剤の例としては、過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては、2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチルアミジンジヒドロクロライド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などを使用することができる。より多様な熱開始剤については、Odian著書の『Principle of Polymerization(Wiley,1981sus)』、p203によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0079】
光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択される1つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体例として、商用のlucirin TPO、つまり、2,4,6-トリメチル-ベンゾイル-トリメチルホスフィンオキシド(2,4,6-trimethyl-benzoyl-trimethyl phosphine oxide)を使用することができる。より多様な光開始剤については、Reinhold Schwalm著書の『UV Coatings:Basics,Recent Developments and New Application(Elsevier2007年)』、p115によく明示されており、上述した例に限定されない。
【0080】
架橋剤としては、ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレンジアクリレートなどを含むジアクリレート系架橋剤;トリアクリレート系架橋剤、アジリジン系架橋剤;およびエポキシ系架橋剤などから選択された1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0081】
架橋剤は、モノマー組成物溶液の総含有量に対して約0.01~約0.5重量%含まれる。
【0082】
添加剤としては、増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などが挙げられる。
【0083】
このようなモノマー、塩基性化合物、重合開始剤、架橋剤および添加剤は、溶媒に溶解した溶液の形態で用意される。
【0084】
この時、使用可能な溶媒は、上述した成分を溶解できれば、その構成の限定なく使用可能であり、例えば、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテートおよびN,N-ジメチルアセトアミドなどから選択された1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0085】
溶媒は、組成物溶液の総含有量に対して上述した成分を除いた残量で含まれる。
【0086】
組成物溶液は、重合反応器の組成物供給部34から供給されて、多段に分岐した分岐配管43、44を介してコンベヤベルト50上に落下する。
【0087】
この時、組成物溶液は、コンベヤベルトの幅に沿って一定の間隔をおいて一定の量で供給される。
【0088】
本発明による高吸水性樹脂の製造方法では、上記のように多段に分岐した分岐配管を用いて、コンベヤベルトに組成物溶液を供給することによって、位置によっていずれか一方に偏らずに均一な量の組成物溶液をコンベヤベルトに供給することができる。したがって、組成物溶液の全体積にわたって重合エネルギーが均等に供給されて、組成物溶液に対して架橋重合反応が均等に起こった重合ゲルを得ることができる。
【0089】
重合反応は、光照射部から紫外線などの光を受けて行われる。
【0090】
組成物溶液に対する重合を進行させた後には、重合結果物を粉砕および乾燥するなどの過程を経て高吸水性樹脂を製造することができ、このような粉砕および乾燥などの工程は、通常の高吸水性樹脂の製造方法によることができる。
【0091】
例えば、粉砕段階における重合体シートは、通常、数から数百ミリメートルの大きさに粉砕される。
【0092】
以上、本発明を図面に示された実施例を参照して説明した。しかし、本発明はこれに限定されず、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって本発明と均等な範囲に属する多様な変形例または他の実施例が可能である。したがって、本発明の真の保護範囲は以下の特許請求の範囲によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0093】
11、12、13:原料物質供給部
32:溶媒供給部
34:組成物混合部
40:組成物分配部
50:コンベヤベルト
60:重合エネルギー供給部
55:モノマー組成物
100:重合反応器
図1
図2
図3
【国際調査報告】