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特表2023-511813セラミック部品及びそれを含むプラズマエッチング装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(54)【発明の名称】セラミック部品及びそれを含むプラズマエッチング装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20230315BHJP
   C04B 35/563 20060101ALI20230315BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
C04B35/563
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022532665
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(85)【翻訳文提出日】2022-07-28
(86)【国際出願番号】 KR2021001730
(87)【国際公開番号】W WO2021162424
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2020-0017254
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0166396
(32)【優先日】2020-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケーシー ソルミックス カンパニー,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SKC solmics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ソンシク
(72)【発明者】
【氏名】オ、ジュンロク
(72)【発明者】
【氏名】ミン、キョンヨル
(72)【発明者】
【氏名】キム、キョンイン
(72)【発明者】
【氏名】カン、ジュンクン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ヨンウク
【テーマコード(参考)】
5F004
【Fターム(参考)】
5F004BB13
5F004BB18
5F004BB23
5F004BB29
(57)【要約】
具現例は、セラミック部品及びそれを含むプラズマエッチング装置などに関する。一具現例は、プラズマエッチング装置に適用されるセラミック部品であって、前記セラミック部品は、複合材、及び前記複合材と接して充填された基材を含み、前記複合材は、炭化ホウ素系物質及び炭素系物質のいずれか1つ以上を含み、前記基材は炭化ホウ素系物質を含み、前記複合材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが0.7~2.8であり、前記複合材の炭素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、Gバンドのピークの強度Ieと、Dバンドのピークの強度Ifとの比Ie/Ifが0.2~2である、セラミック部品に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマエッチング装置に適用されるセラミック部品であって、
前記セラミック部品の表面は、基材、及び前記基材内に前記基材と接して配置される複合材を含み、
前記セラミック部品の比抵抗は10-1Ω・cm~20Ω・cmであり、
前記基材は、炭化ホウ素系物質を含み、
前記複合材は、炭化ホウ素系物質、炭素系物質及びこれらの組み合わせからなる群のいずれか1つを含み、
前記複合材の大きさは40μm以下であり、
前記複合材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが1~1.8であり、
前記複合材の炭素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、Gバンドのピークの強度Ieと、Dバンドのピークの強度Ifとの比Ie/Ifが0.2~2である、セラミック部品。
【請求項2】
前記基材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定した強度スペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの合計強度Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの合計強度Icdとの比Iab/Icdが1.1~2.3である、請求項1に記載のセラミック部品。
【請求項3】
前記セラミック部品の表面又は断面で観察される気孔の平均直径は5μm以下である、請求項1に記載のセラミック部品。
【請求項4】
前記セラミック部品は、
基準面から第1高さを有する載置部と、
前記基準面から第2高さを有する本体部とを含み、
前記載置部は、エッチング対象が載置される載置部上面を含み、
前記本体部は、プラズマによって直接エッチングされる本体部上面を含む、請求項1に記載のセラミック部品。
【請求項5】
前記載置部と前記本体部との間に傾斜部をさらに含み、
前記傾斜部は、前記載置部上面と前記本体部上面とを連結する傾斜部上面を含む、請求項4に記載のセラミック部品。
【請求項6】
曲げ強度が300MPa以上である、請求項1に記載のセラミック部品。
【請求項7】
前記炭素系物質の含量が全体に対して0.5重量%以上である、請求項1に記載のセラミック部品。
【請求項8】
プラズマエッチング装置に適用されるセラミック部品であって、
前記セラミック部品の表面は、基材、及び前記基材内に前記基材と接して配置される複合材を含み、
前記セラミック部品の比抵抗は10-2Ω・cm~10-1Ω・cmであり、
前記基材は、炭化ホウ素系物質を含み、
前記複合材は、炭化ホウ素系物質、酸化ホウ素及びこれらの組み合わせからなる群のいずれか1つを含み、
前記複合材の大きさは40μm以下であり、
前記複合材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが1~1.8である、セラミック部品。
【請求項9】
i)炭化ホウ素を含む原料、ii)炭化ホウ素、酸化ホウ素、炭素系物質を含む原料、及びiii)炭化ホウ素、炭素系物質を含む原料のうち、いずれか1つの原料を設ける準備ステップと、
前記原料を焼結し、形状加工してセラミック部品を製造する処理ステップとを含み、
前記準備ステップは、前記原料をスラリー化し、顆粒化して原料顆粒を準備する過程を含み、
前記スラリー化された原料は、ゼータ電位が+15mV以上である、セラミック部品の製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載のセラミック部品を含む、プラズマエッチング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
具現例は、セラミック部品及びそれを含むプラズマエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマ処理装置は、チャンバ内に上部電極及び下部電極を配置し、下部電極の上に半導体ウエハ、ガラス基板などの基板を搭載し、両電極間に電力を印加する。両電極間の電界によって加速された電子、電極から放出された電子、または加熱された電子が処理ガスの分子と電離衝突を起こし、処理ガスのプラズマが発生する。プラズマ中のラジカルやイオンのような活性種は、基板の表面に所望の微細加工、例えば、エッチング加工を行う。近年、微細電子素子などの製造におけるデザインルールがますます微細化され、特にプラズマエッチングではより一層高い寸法精度が要求されているため、従来よりも著しく高い電力が用いられている。このようなプラズマ処理装置には、プラズマに影響を受けるセラミック部品であるフォーカスリングが内蔵されている。このようなフォーカスリングは、エッジリング、コールドリングなどと呼ばれることもある。
【0003】
前記フォーカスリングの場合、電力が高くなると、定在波が形成される波長効果、及び電極の表面において電界が中心部に集中する表皮効果などによって、概ね基板上で中心部が極大となり、エッジ部が最も低くなることで、基板上のプラズマ分布の不均一性がひどくなる。基板上でプラズマ分布が不均一であると、プラズマ処理が一定に行われなくなり、微細電子素子の品質が低下する。
【0004】
そのため、高機能性のフォーカスリングを確保して、ウエハを活用した微細電子素子の収率の向上を期待する必要がある。
【0005】
前述した背景技術は、発明者が具現例の導出のために保有していた、または導出過程で習得した技術情報であって、必ずしも本発明の出願前に一般公衆に公開された公知技術であるとは限らない。
【0006】
関連する先行特許文献としては、韓国登録特許第10-2128595号に開示された"フォーカスリング及びそれを含むプラズマ装置"などがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
具現例の目的は、より向上した物性を有するセラミック部品であるフォーカスリングを提供することにある。
【0008】
具現例の他の目的は、より向上した物性を有するセラミック部品であるフォーカスリングを適用して、より効率的に半導体素子を製造できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、具現例に係るセラミック部品は、
プラズマエッチング装置に適用されるセラミック部品であって、
前記セラミック部品の表面は、基材、及び前記基材内に前記基材と接して配置される複合材を含み、
前記セラミック部品の比抵抗は10-1Ω・cm~20Ω・cmであり、
前記基材は、炭化ホウ素系物質を含み、
前記複合材は、炭化ホウ素系物質、炭素系物質及びこれらの組み合わせからなる群のいずれか1つを含み、
前記複合材の大きさは40μm以下であり、
前記複合材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが1~1.8であり、
前記複合材の炭素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、Gバンドのピークの強度Ieと、Dバンドのピークの強度Ifとの比Ie/Ifが0.2~2であってもよい。
【0010】
一具現例において、前記基材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定した強度スペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの合計強度Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの合計強度Icdとの比Iab/Icdが1.1~2.3であってもよい。
【0011】
一具現例において、前記セラミック部品の表面又は断面で観察される気孔の平均直径は5μm以下であってもよい。
【0012】
一具現例において、前記セラミック部品は、
基準面から第1高さを有する載置部と、
前記基準面から第2高さを有する本体部とを含み、
前記載置部は、エッチング対象が載置される載置部上面を含み、
前記本体部は、プラズマによって直接エッチングされる本体部上面を含むことができる。
【0013】
一具現例において、前記載置部と前記本体部との間に傾斜部をさらに含み、
前記傾斜部は、前記載置部上面と前記本体部上面とを連結する傾斜部上面を含むことができる。
【0014】
一具現例において、前記セラミック部品は、曲げ強度が300MPa以上であってもよい。
【0015】
一具現例において、前記炭素系物質の含量が全体に対して0.5重量%以上であってもよい。
【0016】
上記の目的を達成するために、他の具現例に係るセラミック部品は、
プラズマエッチング装置に適用されるセラミック部品であって、
前記セラミック部品の表面は、基材、及び前記基材内に前記基材と接して配置される複合材を含み、
前記セラミック部品の比抵抗は10-2Ω・cm~10-1Ω・cmであり、
前記基材は、炭化ホウ素系物質を含み、
前記複合材は、炭化ホウ素系物質、酸化ホウ素及びこれらの組み合わせからなる群のいずれか1つを含み、
前記複合材の大きさは40μm以下であり、
前記複合材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが1~1.8であってもよい。
【0017】
上記の目的を達成するために、具現例に係る半導体素子製造用セラミック部品は、
表面に、基材、及び前記基材内に前記基材と接して配置される複合材を含み、
前記セラミック部品の比抵抗は10-1Ω・cm~20Ω・cmであり、
前記基材は、炭化ホウ素系物質を含み、
前記複合材は、炭化ホウ素系物質、炭素系物質及びこれらの組み合わせからなる群のいずれか1つを含み、
前記複合材の大きさは40μm以下であり、
前記複合材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが1~1.8であり、
前記複合材の炭素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、Gバンドのピークの強度Ieと、Dバンドのピークの強度Ifとの比Ie/Ifが0.2~2であってもよい。
【0018】
上記の目的を達成するために、具現例に係る半導体素子製造用セラミック部品は、
表面に、基材、及び前記基材内に前記基材と接して配置される複合材を含み、
前記セラミック部品の比抵抗は10-2Ω・cm~10-1Ω・cmであり、
前記基材は、炭化ホウ素系物質を含み、
前記複合材は、炭化ホウ素系物質、酸化ホウ素及びこれらの組み合わせからなる群のいずれか1つを含み、
前記複合材の大きさは40μm以下であり、
前記複合材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが1~1.8であってもよい。
【0019】
上記の目的を達成するために、具現例に係るセラミック部品の製造方法は、
i)炭化ホウ素を含む原料、ii)炭化ホウ素、酸化ホウ素、炭素系物質を含む原料、及びiii)炭化ホウ素、炭素系物質を含む原料のうち、いずれか1つの原料を設ける準備ステップと、
前記原料を焼結し、形状加工してセラミック部品を製造する処理ステップとを含み、
前記準備ステップは、前記原料をスラリー化し、顆粒化して原料顆粒を準備する過程を含み、
前記スラリー化された原料は、ゼータ電位が+15mV以上であってもよい。
【0020】
上記の目的を達成するために、具現例に係るプラズマエッチング装置は、
前記によるセラミック部品を含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
具現例に係るセラミック部品は、耐エッチング性、耐衝撃性などの物性に優れるという利点がある。
【0022】
具現例に係るセラミック部品は、複合材、及び複合材と接して充填された基材を含み、このような複合材及び基材が、ラマンスペクトルで特定の波数の強度比が一定の範囲を満たすことで、基材と複合材が調和するようにし、良好な機械的物性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】具現例に係るセラミック部品を上から見た様子を説明する概略図(矢印は、測定地点を示す)である。
図2】具現例に係るセラミック部品の断面を説明する概略図である。
図3】具現例に係るセラミック部品が適用されたエッチング装置の構造を説明する概念図である。
図4】具現例に係るセラミック部品を製造する過程に適用される焼結装置を説明する概念図である。
図5】具現例に係るセラミック部品の表面を走査電子顕微鏡(BSE、後方散乱電子)を介して撮影した写真である。
図6】具現例に係るセラミック部品の表面を走査電子顕微鏡(SE、二次電子)を介して撮影した写真である。
図7】実施例1乃至実施例3の複合材のラマン分光法によるラマンシフトスペクトル(上側からそれぞれ実施例1、実施例2(1)、実施例2(2)、実施例3(1)、実施例3(3))である。
図8】実施例1の焼結体の断面写真(1:複合材、matrix:基材)である。
図9】実施例1のラマン分光法によるラマンシフトスペクトル(1:複合材、matrix:基材)である。
図10】実施例2の焼結体の断面写真(1、2:複合材、matrix:基材)である。
図11】実施例2のラマン分光法によるラマンシフトスペクトル(1、2:複合材、matrix:基材)である。
図12】実施例3の焼結体の断面写真(1、2:複合材)である。
図13】実施例3のラマン分光法によるラマンシフトスペクトル(1、2:複合材)である。
図14】実施例3の焼結体の断面写真(3:複合材、matrix:基材)である。
図15】実施例3のラマン分光法によるラマンシフトスペクトル(3:複合材、matrix:基材)である。
図16】実施例1乃至実施例3の基材(matrix)のラマン分光法によるラマンシフトスペクトルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、一つ以上の具現例について添付の図面を参照して詳細に説明する。しかし、具現例は、様々な異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。明細書全体にわたって類似の部分に対しては同一の図面符号を付した。
【0025】
本明細書において、ある構成が他の構成を「含む」とするとき、これは、特に反対の記載がない限り、それ以外の他の構成を除くものではなく、他の構成をさらに含むこともできることを意味する。
【0026】
本明細書において、ある構成が他の構成と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合のみならず、「それらの間に他の構成を介在して連結」されている場合も含む。
【0027】
本明細書において、A上にBが位置するという意味は、A上に直接当接してBが位置するか、またはそれらの間に他の層が位置しながらA上にBが位置することを意味し、Aの表面に当接してBが位置することに限定されて解釈されない。
【0028】
本明細書において、マーカッシュ形式の表現に含まれた「これらの組み合わせ」という用語は、マーカッシュ形式の表現に記載された構成要素からなる群から選択される1つ以上の混合又は組み合わせを意味するものであって、前記構成要素からなる群から選択される1つ以上を含むことを意味する。
【0029】
本明細書において、「A及び/又はB」の記載は、「A、B、または、A及びB」を意味する。
【0030】
本明細書において、「第1」、「第2」又は「A」、「B」のような用語は、特に説明がない限り、同一の用語を互いに区別するために使用される。
【0031】
本明細書において、単数の表現は、特に説明がなければ、文脈上解釈される単数又は複数を含む意味で解釈される
【0032】
セラミック部品10
前記の目的を達成するために、具現例に係るセラミック部品10は、
プラズマエッチング装置に適用されるセラミック部品であって、
前記セラミック部品の表面は、基材、及び前記基材内に前記基材と接して配置される複合材を含み、
前記セラミック部品の比抵抗は、10-2Ω・cm~10-1Ω・cm、または10-1Ω・cm~20Ω・cmであり、
前記基材は、炭化ホウ素系物質を含み、
前記複合材は、炭化ホウ素系物質、酸化ホウ素、炭素系物質及びこれらの組み合わせからなる群のいずれか1つを含み、
前記複合材の大きさは40μm以下であり、
前記複合材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが1~1.8であってもよい。
【0033】
図1は、具現例に係るセラミック部品の一例を示した平面図であり、図2は、具現例に係るセラミック部品の断面を示した概略図である。以下、図1及び図2などを参照してセラミック部品を説明する。
【0034】
前記セラミック部品10は、プラズマエッチング装置500に適用されるフォーカスリングであってもよい。
【0035】
前記セラミック部品10は、複合材、及び前記複合材と接して充填された基材を含むことができる。図5及び図6を参照すると、前記セラミック部品の表面に複合材及び基材を確認することができる。
【0036】
前記複合材は、主に炭化ホウ素系物質及び炭素系物質のいずれか1つ以上を含むことができ、気孔を一部有することができる。
【0037】
前記複合材の炭化ホウ素系物質は、結晶質の炭化ホウ素を含むことができ、非晶質の炭化ホウ素も一部含むことができる。
【0038】
前記複合材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが1~1.8であってもよい。前記Iab/Icdは1.1~1.6であってもよい。
【0039】
前記複合材の炭化ホウ素系物質におけるラマンシフトスペクトルのピークの波数は、270cm-1、320cm-1、481cm-1、534cm-1、728cm-1、1088cm-1であってもよく、±10cm-1の誤差範囲を有することができ、それぞれの波数の誤差範囲内で最も強度が強いものをピークとして取り扱う。
【0040】
単結晶炭化ホウ素(BC)のラマンシフトスペクトルを参考にすると、270cm-1、320cm-1波数近傍のピークが481cm-1、534cm-1波数近傍のピークと比較して微弱であることが分かる。炭化ホウ素系物質内の炭素の含量、製造(焼結)時の圧力、添加剤などの条件によって、270cm-1、320cm-1、481cm-1、534cm-1ピークの強度及び半値全幅が変化し得る。
【0041】
具現例に係るセラミック部品10の複合材の炭化ホウ素系物質は、前記Iab/Icdが前記範囲を有するようにして、特定の炭素含量を有すると共に、良好な結晶性を示すようにし、基材と調和するようにする。これによって、プラズマエッチング装置のセラミック部品に適した強度及び耐エッチング性を確保することができる。
【0042】
前記複合材の炭素系物質におけるラマンシフトスペクトルのピークは、Dバンドのピーク及びGバンドのピークの2つに大別することができる。前記Dバンドは、およそ1360±50cm-1の波数であってもよく、前記Gバンドは、およそ1580±50cm-1の波数であってもよい。前記Dバンドのピークは、黒鉛構造に起因しないものと見られ、前記Gバンドは、黒鉛構造に起因するものと見られる。したがって、前記Gバンドの比率が高いほど、炭素系物質において占める黒鉛の比率は高いと見られる。
【0043】
前記複合材の炭素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、Gバンドのピークの強度IeとDバンドのピークの強度Ifとの比Ie/Ifが0.2~2であってもよい。前記Ie/Ifは0.5~1.5であってもよい。このような特徴を有する前記複合材の炭素系物質は、適切な結晶性を示すようにし、前記複合材の炭化ホウ素系物質及び基材と調和することができる。
【0044】
前記基材は、主に炭化ホウ素系物質を含むことができ、炭化ホウ素を含むことができ、前記複合材と比較して粗大な結晶粒であり得、気孔を一部有することができる。
【0045】
前記基材の炭化ホウ素系物質は、ラマン分光法を介して測定したラマンシフトスペクトルにおいて、481cm-1付近のピークの強度Ia及び534cm-1付近のピークの強度Ibの和Iabと、270cm-1付近のピークの強度Ic及び320cm-1付近のピークの強度Idの和Icdとの比Iab/Icdが1.1~2.3であってもよい。前記Iab/Icdは1.15~2であってもよい。前記Iab/Icdが前記範囲を有するようにして、特定の炭素含量を有すると共に、良好な結晶性を示すようにし、複合材と調和するようにする。これによって、プラズマエッチング装置のセラミック部品に適した強度及び耐エッチング性を確保することができる。
【0046】
前記複合材の大きさは40μm以下であってもよい。前記複合材の大きさは30μm以下であってもよい。前記複合材の大きさは0.1μm以上であってもよい。前記複合材の大きさは0.3μm以上であってもよい。また、前記複合材は、単位面積(cm)当たりの個数が2×10/cm~6×10/cmであってもよい。前記複合材は、単位面積(cm)当たりの個数が2.5×10/cm~5.5×10/cmであってもよい。このような複合材の大きさ及び個数を有するセラミック部品は、プラズマエッチング装置に適用時に適した強度及び耐エッチング性を確保することができる。
【0047】
前記セラミック部品10の比抵抗は、相対的に低抵抗である10-2Ω・cm~10-1Ω・cmであってもよい。前記セラミック部品の比抵抗は、相対的に高抵抗である10-1Ω・cm~20Ω・cmであってもよい。このような比抵抗値は、製造時に常圧または加圧条件によって形成され得る。また、このような比抵抗値を有するセラミック部品は、形状加工が容易に行われ得、良好な表面品質を示すことができる。前記セラミック部品10は、基準面から第1高さを有する載置部200と;前記基準面から第2高さを有する本体部100と;を含み、前記載置部は、エッチング対象1が載置される載置部上面206を含み、前記本体部は、プラズマによって直接エッチングされる本体部上面106を含むことができる。
【0048】
前記載置部200上には、エッチング対象1の少なくとも一部が配置され、ウエハなどのエッチング対象を支持する。
【0049】
前記本体部100は、エッチング対象1に伝達されるプラズマイオンの流れを円滑に調節して、前記エッチング対象が意図された形状に欠陥なしで均一にエッチングされるように助ける。
【0050】
前記本体部100と前記載置部200は互いに区分して説明するが、これらは互いに区分されて設けられてもよく、またはその境界の区分なしに一体に設けられてもよい。
【0051】
前記載置部200は第1高さを有し、前記本体部100は第2高さを有する。
【0052】
前記第1高さと前記第2高さは、基準面を基準として、それぞれ載置部上面と本体部上面までの高さを意味する。このとき、前記基準面は、例示的に本体部の底面及び載置部の底面のうち最も低い底面であってもよい。
【0053】
前記第1高さと第2高さは互いに異なる高さであってもよく、具体的に第2高さが第1高さよりも高くてもよい。
【0054】
前記載置部200の載置部上面206は、別途の層の区分がない一体型であってもよく、または前記載置部と前記載置部上面が、断面で観察したとき、互いに層が区分される区分型であってもよい。区分型の場合、前記載置部上面は、蒸着層又はコーティング層の形態であってもよい。前記蒸着層又はコーティング層は、例示的に、前記基材及び複合材を含む層であってもよい。前記載置部上面が区分型である場合、前記蒸着層又はコーティング層の形態の載置部上面は、エッチング前を基準として載置部の厚さの1~40%の厚さを有してもよい。前記載置部上面は、エッチング前を基準として載置部の厚さの5~25%の厚さを有してもよい。
【0055】
前記載置部上面206は、エッチング対象1が配置される載置部非露出面と、前記エッチング対象が配置されない載置部露出面とを含むことができる。
【0056】
前記本体部100と前記本体部上面106は、別途の層の区分がない一体型であってもよく、または前記本体部と前記本体部上面が、断面で観察したとき、互いに層が区分される区分型であってもよい。区分型の場合、前記本体部上面は、蒸着層又はコーティング層の形態であってもよい。前記蒸着層又はコーティング層は、例示的に、前記基材及び複合材を含む層であってもよい。前記本体部上面が区分型である場合、前記蒸着層又はコーティング層の形態の本体部上面は、エッチング前を基準として本体部の厚さの1~40%の厚さを有してもよい。前記本体部上面は、エッチング前を基準として本体部の厚さの5~25%の厚さを有してもよい。
【0057】
前記セラミック部品10は、前記載置部200と前記本体部100とを連結する傾斜部150をさらに含むことができる。
【0058】
前記載置部200と前記本体部100は互いに高さが異なり、前記傾斜部150は、これらの互いに異なる高さを連結することができる。
【0059】
前記本体部100、前記載置部200、そして前記傾斜部150は互いに区分して説明するが、これらは、互いに区分されて設けられてもよく、またはその境界の区分なしに一体に設けられてもよい。
【0060】
前記傾斜部150は、前記載置部上面206と前記本体部上面106とを連結する傾斜部上面156を含む。
【0061】
前記傾斜部150と前記傾斜部上面156は、別途の層の区分がない一体型であってもよく、または前記傾斜部と前記傾斜部上面が、断面で観察したとき、互いに層が区分される区分型であってもよい。区分型の場合、前記傾斜部上面は、蒸着層又はコーティング層の形態であってもよい。前記蒸着層又はコーティング層は、例示的に、前記基材及び複合材を含む層であってもよい。前記傾斜部上面が区分型である場合、前記蒸着層又はコーティング層の形態の傾斜部上面は、エッチング前を基準として傾斜部の厚さの1~40%の厚さを有してもよい。前記傾斜部上面は、エッチング前を基準として傾斜部の厚さの5~25%の厚さを有してもよい。
【0062】
前記傾斜部上面156は、傾斜部角度(図示せず)を有するように配置される。前記傾斜部角度は、前記載置部非露出面を基準として測定することができ、約0°超約110°以下の角度を有することができる。
【0063】
前記傾斜部150の長さが0mmである場合には、前記載置部及び前記本体部の角度が約90°以上約110°以下であってもよい。前記傾斜部150の長さが約0°超、約90°未満である場合には、前記傾斜部が0mm超の長さを有することができる。
【0064】
前記傾斜部角度は、前記傾斜部上面156を全体的に断面で観察したとき、線状又は非線状であってもよく、傾斜部角度は、断面において載置部上面206と傾斜部上面が会うP1(図示せず)と、傾斜部上面と本体部上面106が会うP2(図示せず)との2点間を直線で連結する仮想の線を基準として測定する。
【0065】
例示的に、前記傾斜部角度は、前記載置部非露出面を基準として約30°~約70°であってもよい。前記傾斜部角度は、約40°~約60°であってもよい。このような傾斜部角度を有する場合、プラズマエッチング時にプラズマの流れをさらに安定的に制御することができる。
【0066】
前記載置部200、前記傾斜部150、及び前記本体部100は、それぞれリング状であってもよいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、エッチング対象1の形状によって、前記載置部、前記傾斜部及び前記本体部の形状は変形可能である。
【0067】
セラミック部品は、高耐エッチング性材料であって、形状加工が難しい材料を含むことができる。一般のセラミック部品であるフォーカスリングは、段差を有する形状加工過程で割れが発生する場合がある。具現例では、より向上した特性を有する材料を通じてより容易な形状加工のために、ラマン特性を有するより改善されたセラミック部品を提示した。
【0068】
前記セラミック部品10は、前記載置部上面の一地点であるPS1を有し、前記傾斜部上面の一地点であるPS2を有し、前記本体部上面の一地点であるPS3を有する。
【0069】
前記セラミック部品10は、前記PS1及び前記PS3で測定した残留応力の最大値と最小値との差が、前記PS1と前記PS3の平均値の40%以内であってもよい。前記PS1及び前記PS3で測定した残留応力の最大値と最小値との差は、前記PS1と前記PS3の平均値の15%以内であってもよい。前記PS1及び前記PS3で測定した残留応力の最大値と最小値との差は10%以内であってもよく、1~10%であってもよい。このような特徴を有するセラミック部品は、より安定した加工性、及び安定性を有することができる。
【0070】
前記セラミック部品10は、前記PS1で測定した残留応力と、前記PS3で測定した残留応力との差が-600~+600MPaであってもよい。前記PS1で測定した残留応力と、前記PS3で測定した残留応力との差は-300~+300MPaであってもよい。前記PS1で測定した残留応力と、前記PS3で測定した残留応力との差は-200~+200MPaであってもよい。前記PS1で測定した残留応力と、前記PS3で測定した残留応力との差は-150~+150MPaであってもよい。前記PS1で測定した残留応力と、前記PS3で測定した残留応力との差は-130~+130MPaであってもよい。このような場合、さらに高密度でありながらも、加工性に優れたセラミック部品を得ることができる。
【0071】
前記セラミック部品10は、前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差が300MPa以下であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差は250MPa以下であってもよい。前記セラミック部品は、前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差が150MPa以下であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差は75MPa以下であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差は0MPa超であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差は0.1MPa以上であってもよい。このような標準偏差を有する場合、さらに高密度でありながらも、優れた加工性を有するフォーカスリングを得ることができる。
【0072】
前記セラミック部品10は、前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差が、前記PS1、前記PS2及び前記PS3で測定した残留応力の平均の20%以下であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差は、前記PS1、前記PS2及び前記PS3で測定した残留応力の平均の15%以下であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差は10%以下であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の標準偏差は8%以下であってもよい。このような特徴を有する場合、さらに高密度であり、かつ優れた加工性を有するセラミック部品を得ることができる。
【0073】
前記セラミック部品10は、前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力が、前記PS1、前記PS2及び前記PS3で測定した残留応力の平均との差が-350~+350MPaであってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力は、前記PS1、前記PS2及び前記PS3で測定した残留応力の平均との差が-300~+300MPaであってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力は、前記PS1、前記PS2及び前記PS3で測定した残留応力の平均との差が-250~+250MPaであってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力は、前記PS1、前記PS2及び前記PS3で測定した残留応力の平均との差が-200~+200MPaであってもよい。このような特徴を有する場合、さらに高密度であり、かつ優れた加工性を有するフォーカスリングを得ることができる。
【0074】
前記セラミック部品10は、前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の最大値と最小値との差が、その平均の25%以内であってもよい。前記セラミック部品は、前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の最大値と最小値との差が、その平均の20%以内であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の最大値と最小値との差が、その平均の15%以内であってもよい。また、前記フォーカスリングは、前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の最大値と最小値との差が、その平均の10%以内であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の最大値と最小値との差が、その平均の5%以内であってもよい。前記PS1、前記PS3、及び前記PS2でそれぞれ測定した残留応力の最大値と最小値との差が、その平均の1%以上であってもよい。このような残留応力の分布を有する場合、さらに安定した形状加工が可能であり、さらに安定した耐エッチング性材料を得ることができる。
【0075】
前記セラミック部品10は、中心から距離が互いに異なる地点の表面で測定した残留応力の標準偏差が350MPa以下であってもよい。
【0076】
前記セラミック部品10は、中心から距離が互いに異なる地点の表面で測定した残留応力の標準偏差が300MPa以下であってもよい。前記セラミック部品の中心から距離が互いに異なる地点の表面で測定した残留応力の標準偏差は250MPa以下であってもよい。前記セラミック部品の中心から距離が互いに異なる地点の表面で測定した残留応力の標準偏差は200MPa以下であってもよい。
【0077】
前記セラミック部品10は、中心から距離が互いに異なる地点の表面で測定した残留応力の標準偏差は120MPa以下であってもよい。前記セラミック部品の中心から距離が互いに異なる地点の表面で測定した残留応力の標準偏差は100MPa以下であってもよい。
【0078】
発明者らが反復的な測定により確認した結果では、中心から距離が互いに同一である複数の地点の表面で測定した残留応力は、その差が大きくなかった。したがって、前記のような特徴を有する場合、実質的に残留応力の分布が相対的に均一であるので、加工性、安定性などに優れたセラミック部品、フォーカスリングを提供できると考えられる。
【0079】
前記セラミック部品10の中心とは、リング状のセラミック部品は、内径円の中心がセラミック部品の中心に該当し、リング状ではないセラミック部品は、長軸と短軸との交差点を中心とする。
【0080】
前記セラミック部品10は、表面が研磨処理されたものであってもよい。前記セラミック部品は、載置部上面206及び本体部上面106が研磨処理されたものであってもよく、または載置部上面、本体部上面及び傾斜部上面156がそれぞれ研磨処理されたものであってもよい。
【0081】
前記セラミック部品10の表面の算術平均粗さRaは2μm以下であってもよい。前記セラミック部品の表面の算術平均粗さRaは1.7μm以下であってもよい。前記セラミック部品の表面の算術平均粗さRaは0.05μm以上であってもよい。
【0082】
前記セラミック部品10の表面の最大高さ粗さRtは0.1~25μmであってもよい。前記表面の最大高さ粗さRtは0.1~10μmであってもよい。前記表面の最大高さ粗さRtは0.1~5μmであってもよい。前記表面の最大高さ粗さRtは0.1~2μmであってもよい。
【0083】
例示的に、前記本体部上面106の算術平均粗さ(Ra)は0.5μm以下であってもよく、最大高さ粗さ(Rt)は8μm以下であってもよい。
【0084】
前記傾斜部上面156の算術平均粗さ(Ra)は2μm以下であってもよく、最大高さ粗さ(Rt)は15μm以下であってもよい。
【0085】
前記載置部上面206の算術平均粗さ(Ra)は2μm以下であってもよく、最大高さ粗さ(Rt)は15μm以下であってもよい。
【0086】
このような粗さ特性を有する場合、プラズマエッチング時に物理的な要因により発生し得るパーティクル形成の問題を実質的に抑制することができる。
【0087】
前記セラミック部品10は、リング状部品であって、外径と内径との差が10~80mmであってもよい。前記外径と内径との差は15~60mmであってもよい。外径と内径との差は20~50mmであってもよい。
【0088】
前記セラミック部品10は、リング状部品であって、厚さが1~45mmであってもよい。前記セラミック部品の厚さは1.5~40mmであってもよい。前記セラミック部品の厚さは2~38mmであってもよい。
【0089】
前記セラミック部品10は、リング状部品であって、内径が160mm以上であってもよい。前記セラミック部品の内径は200mm以上であってもよい。セラミック部品の内径は300mm以上であってもよい。セラミック部品の内径は450mm以下であってもよい。
【0090】
前記セラミック部品10は、空隙率が約10%以下であってもよい。前記セラミック部品の空隙率は約3%以下であってもよい。前記セラミック部品の空隙率は約1%以下であってもよい。前記セラミック部品は、空隙率が0.01%以上であってもよい。このように空隙率が低いセラミック部品は、より良好な耐エッチング性を示すことができる。
【0091】
前記セラミック部品10は、その表面又は断面で観察される気孔の平均直径が5μm以下であってもよい。前記気孔の平均直径は3μm以下であってもよい。前記気孔の平均直径は1μm以下であってもよい。前記気孔の平均直径は0.1μm以上であってもよい。また、前記気孔の全面積を基準として、前記気孔の直径が10μm以上である部分の面積は5%以下であってもよい。このような気孔の平均直径を有する前記セラミック部品は、向上した耐エッチング性を有することができる。このとき、前記気孔の平均直径は、前記気孔の断面積と同じ面積の円の直径から導出する。
【0092】
前記セラミック部品10に含まれる炭化ホウ素系物質は、炭化ホウ素含有粒子が互いにネッキングされた形態であってもよい。
【0093】
前記セラミック部品10は、蒸着された炭化ホウ素及び/又は焼結された炭化ホウ素を含むことができる。
【0094】
前記セラミック部品10は炭化ホウ素系物質を含むことができ、前記炭化ホウ素系物質は炭化ホウ素(BC)であってもよい。前記セラミック部品は、全体に対して85重量%以上の炭化ホウ素を含むことができる。前記セラミック部品は、全体に対して90重量%以上の炭化ホウ素を含むことができる。前記セラミック部品は、全体に対して93重量%以上の炭化ホウ素を含むことができる。前記セラミック部品はまた、99.9重量%以下の炭化ホウ素を含むことができる。
【0095】
前記セラミック部品10は、炭化ホウ素系物質以外の炭素系物質を含むことができる。前記炭素系物質の含量は、全体に対して0.5重量%以上であってもよい。前記炭素系物質の含量は、全体に対して1重量%以上であってもよい。前記炭素系物質の含量は15重量%以下であってもよい。前記炭素系物質の含量は、全体に対して10重量%以下であってもよい。このような炭素系物質の含量を満たすセラミック部品は、優れた耐エッチング性を示すことができる。
【0096】
前記セラミック部品10は、エッチング対象1、ウエハがプラズマエッチング装置のチャンバ内に配置されるとき、前記エッチング対象、ウエハを支持するための支持体としての役割を行うことができる。
【0097】
セラミック部品の製造方法
前記の目的を達成するために、他の一具現例に係るセラミック部品の製造方法は、
炭化ホウ素を含む原料を設ける準備ステップと、
前記原料を焼結し、形状加工してセラミック部品を製造する処理ステップとを含むことができる。
【0098】
前記準備ステップにおいて、前記原料は炭化ホウ素粉末を含む。炭化ホウ素粉末は、炭化ホウ素含量が99.9重量%以上である高純度の炭化ホウ素が適用されてもよい。前記炭化ホウ素粉末は、炭化ホウ素含量が95~99.9重量%である低純度の炭化ホウ素が適用されてもよい。
【0099】
前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、約1.5μm以下の平均粒径を有してもよい。前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、約0.3μm~約1.5μmの平均粒径を有してもよい。前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、約0.4μm~約1.0μmの平均粒径を有してもよい。また、前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、約0.4μm~約0.8μmの平均粒径を有してもよい。平均粒径が小さい粉末を適用する場合、より容易に焼結体の緻密化を得ることができる。
【0100】
前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、2μm~10μmの粒径を有してもよい。前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、3μm~8μmの粒径を有してもよい。前記炭化ホウ素粉末は、D50を基準として、4μm~6μmの粒径を有してもよい。このような粒径の範囲を有する炭化ホウ素粉末を適用する場合、焼結体の緻密化と共に、工程の生産性も向上させることができる。
【0101】
前記原料は、添加剤をさらに含むことができる。前記添加剤は、粉末状、液相または気相で前記セラミック部品を製造する工程に投入されてもよい。前記添加剤として使用される物質の例としては、炭素系物質、酸化ホウ素、珪素、炭化珪素、酸化珪素、窒化ホウ素、ホウ素または窒化珪素などが挙げられる。前記添加剤は、前記原料物質を基準として、約0.1重量%~約30重量%の含量で含まれてもよい。
【0102】
前記添加剤は焼結特性改善剤であってもよい。前記焼結特性改善剤は、前記原料物質に含まれて炭化ホウ素の物性を向上させる。前記焼結特性改善剤は、炭素系物質、酸化ホウ素、珪素、炭化珪素、酸化珪素、窒化ホウ素、窒化シリコン及びこれらの組み合わせからなる群から選択されたいずれか1つ以上であってもよい。前記焼結特性改善剤は、前記原料物質全体を基準として、約30重量%以下含まれてもよい。具体的に、前記焼結特性改善剤は、前記原料全体を基準として、約0.001重量%~約30重量%含まれてもよい。前記焼結特性改善剤は、前記原料全体を基準として、0.1~15重量%含まれてもよい。前記焼結特性改善剤は、前記原料全体を基準として、1~10重量%含まれてもよい。前記焼結特性改善剤が30重量%を超えて含まれる場合には、むしろ、焼結体の強度を低下させることがある。
【0103】
前記原料は、前記焼結特性改善剤以外の残量として、炭化ホウ素粉末などの炭化ホウ素原料を含むことができる。
【0104】
前記焼結特性改善剤として炭素系物質が適用される場合、前記炭素系物質は、フェノール樹脂、ノボラック樹脂のような、炭化時に炭素に転換される樹脂が添加されてもよく、または前記樹脂が炭化工程を通じて炭化した形態の炭素が適用されてもよい。前記樹脂の炭化工程は、通常、高分子樹脂を炭化させる工程が適用されてもよい。前記フェノール樹脂は、残炭量が40重量%以上であるものを適用できる。
【0105】
前記焼結特性改善剤として炭素系物質が適用される場合、前記炭素系物質は、原料全体に対して1重量%~30重量%適用されてもよい。前記炭素系物質は、原料全体に対して1重量%~25重量%適用されてもよい。前記炭素系物質は、原料全体に対して2重量%~15重量%適用されてもよい。前記炭素系物質は、原料全体に対して3重量%~10重量%適用されてもよい。このような含量で前記焼結特性改善剤として炭素系物質を適用する場合、粒子間のネッキング現象を良好に誘導し、粒子サイズが比較的大きく、相対密度が比較的高い炭化ホウ素を得ることができる。但し、前記炭素系物質を10重量%を超えて含む場合、焼結過程で加圧焼結する際に、二酸化炭素などのガスの発生が過多となり、作業性が低下することがある。
【0106】
前記焼結特性改善剤として前記酸化ホウ素と前記炭素が共に適用される場合、前記焼結体の相対密度をさらに高めることができ、これは、気孔内に存在する炭素領域が減少し、より緻密度が向上した焼結体を製造することができる。
【0107】
前記酸化ホウ素と前記炭素は1:0.8~4の重量比で適用されてもよい。このような場合、さらに相対密度が向上した焼結体を得ることができる。
【0108】
前記原料は、必要に応じて、分散剤、結合剤、消泡剤、溶媒などをさらに含むことができる。
【0109】
前記分散剤は、2-プロペン酸(2-propenoic acid)、エタノール(ethanol)、ナトリウム塩(sodium salt)、アンモニウム塩(ammonium salt)などであってもよい。前記分散剤は、全体に対して0.08~2重量%含まれてもよい。前記分散剤は、全体に対して0.1~1.5重量%含まれてもよい。
【0110】
前記結合剤は、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral)、ポリビニルアルコール(polyvinyl alchol)、フェノール樹脂(phenol resin)、アクリル樹脂(acrylic resin)などであってもよい。
【0111】
前記消泡剤は、非イオン界面活性剤などであってもよい。
【0112】
前記溶媒は、脱イオン水(DI water)、エタノール(ethanol)、トルエン(toluene)などであってもよい。
【0113】
前記原料は、半導体工程中に固体状態の副産物を発生させ得る物質を含まないか、または非常に低い含量で含む。例えば、前記副産物を発生させ得る物質の例としては、鉄、銅、クロム、ニッケルまたはアルミニウムなどの金属などが挙げられる。前記副産物を発生させ得る物質の含量は、前記原料物質を基準として500ppm以下であってもよい。
【0114】
前記準備ステップは、前記原料をスラリー化し、顆粒化して原料顆粒を準備する過程を含むことができる。
【0115】
前記スラリー化は、ボールミリングなどの方法により、十分かつ実質的に均一に原料を混合する過程である。溶媒と共に適用され得、メタノール、エタノール、ブタノールなどのようなアルコール、または水が溶媒として適用され得る。前記溶媒は、前記スラリー全体を基準として、約60体積%~約80体積%の含量で適用されてもよい。前記ボールミリングは、具体的にポリマーボールが適用され得、前記スラリー配合工程は、約5時間~約20時間行うことができる。
【0116】
前記スラリー化を通じて製造されるスラリー原料は、ゼータ電位が+15mV以上であってもよい。前記スラリー原料のゼータ電位は+17.4mV以上であってもよい。前記スラリー原料のゼータ電位は+20.6mV以上であってもよい。前記スラリー原料のゼータ電位は+25mV以上であってもよい。また、前記スラリー原料は、前記ゼータ電位が+40mV以下であってもよい。このようなゼータ電位の範囲を有するスラリーは、内部物質が均一に分散して、後続過程を通じて焼結時に均一な物性を示すようにすることができる。
【0117】
前記顆粒化は、前記スラリーが噴射されながら、前記スラリーに含まれた溶媒が蒸発などによって除去され、原料物質が顆粒化される方式で行われ得る。このように製造される顆粒化された原料物質粒子は、粒子自体が全体的に丸い形状を有し、粒度が比較的一定であるという特徴を有することができる。
【0118】
前記顆粒化過程を経た原料顆粒は、その大きさが50μm~160μmであってもよい。前記原料顆粒は、その大きさが60μm~100μmであってもよい。このような特徴を有する原料顆粒を適用する場合、以降の焼結などの過程で金型内への充填が容易であり、作業性をさらに向上させることができる。
【0119】
前記処理ステップは、前記原料を金型、成形ダイなどに充填し、焼結する過程を含むことができる。前記処理ステップは、前記焼結前に、原料顆粒を目的とする形状に成形体を形成する成形過程を含むことができる。前記成形過程は、冷間等方圧加圧(CIP)、グリーン加工などを含むことができる。
【0120】
前記処理ステップは、前記焼結前に、金型、成形ダイなどに充填された原料顆粒または前記成形過程が行われた成形体を炭化させる炭化過程を含むことができ、これによって、成形体に含まれ得るフェノール樹脂、ノボラック樹脂などの有機添加剤が炭化し得る。
【0121】
前記処理ステップの焼結は、加圧焼結または常圧焼結で行われてもよい。
【0122】
前記加圧焼結の方法で炭化ホウ素焼結体を製造しようとする試みは多数あった。しかし、通常、クーポンという縦横約30mm以下の小さい試験片として製造-評価する。直径が比較的大きい炭化ホウ素焼結体は、その製造が容易ではない。
【0123】
比較的大きいサイズの加圧焼結体を製造する際に、加圧焼結体全体で均一な特性(物性)を有する加圧焼結体を製造するのが良いが、加圧焼結体全体で相対的に一定の特徴を有する加圧焼結体を製造することが容易ではない。特に、加圧焼結体の場合、常圧焼結体とは異なって、形状加工時にクラック、割れなどが発生しやすい特性を有するが、このような特性もまた、加圧焼結体全体で不均一な特性を有することがその原因の一つであると考えられる。
【0124】
前記処理ステップの金型は、450mm以上の長さ又は直径を有するものであってもよい。320mm以上の直径を有するリング状部品であるセラミック部品を製造するためには、非常に大きい直径又は長さを有する焼結体の製造が必要である。これは、焼結過程で焼結体の大きさが小さくなるのが一般的であり、以降、セラミック部品が精密なリングの形状を有するように形状加工を行う過程で損失される量などを考慮すると、前記金型は、450mm以上の大きさを有することがよい。前記金型は450~600mmの大きさを有することができる。
【0125】
前記焼結は、適正な焼結温度及び焼結圧力下で行うことができる。
【0126】
前記焼結温度は、約1800℃~約2500℃であってもよい。前記焼結温度は、約1800℃~約2200℃であってもよい。前記焼結圧力は常圧であってもよい。前記焼結圧力は、約10MPa~約110MPaであってもよい。前記焼結圧力は、約15MPa~約60MPaであってもよい。前記焼結圧力は、約17MPa~約30MPaであってもよい。このような焼結温度及び焼結圧力下で前記成形ステップを行う場合、より効率的に高品質のセラミック部品を製造することができる。
【0127】
前記焼結時間は、加圧焼結の場合に0.5時間~10時間が適用されてもよい。前記焼結時間は0.5時間~7時間が適用されてもよい。前記焼結時間は0.5時間~4時間が適用されてもよい。前記加圧焼結の焼結時間は、常圧で行う焼結工程と比較して非常に短い時間であり、このように短い時間を適用しても、同等またはさらに優れた強度を有するセラミック部品を製造することができる。
【0128】
前記焼結は、還元雰囲気で行うことができる。この場合、炭化ホウ素粉末が空気中の酸素と反応して形成され得る酸化ホウ素のような物質を還元させることで、炭化ホウ素の含量がさらに高くなり、炭素が凝集した領域が減少した、高耐エッチング性の炭化ホウ素を製造することができる。
【0129】
前記焼結過程において、炭化ホウ素粉末は成長し、互いにネッキングされて、強度が大きい焼結体を形成する。また、共に適用される添加剤は、温度及び圧力に応じて変化し、炭化ホウ素粉末の成長を抑制又は促進させることができる。併せて、加圧と共に行われる焼結において、加圧焼結体はより緻密な微細構造を有することができる。
【0130】
前記セラミック部品の製造方法は、前記処理ステップの熱処理後に後続熱処理ステップを含むことができる。
【0131】
前記後続熱処理ステップは、第1温度で2時間以上行われる1次処理と、第2温度で2時間以上行われる2次処理とを含み、前記第1温度は、前記第2温度よりも高い温度である。
【0132】
前記第1温度は1650℃以上であり、前記第2温度は1400℃以上であってもよい。このような温度範囲で前記1次処理及び前記2次処理を行う場合、より効果的に熱処理を行うことができる。
【0133】
前記第1温度は1650~1950℃の温度であってもよい。前記1次処理は1~8時間行われてもよい。
【0134】
前記第2温度は1400~1600℃の温度であってもよい。前記2次処理は1~8時間行われてもよい。
【0135】
前記後続熱処理が第1温度及び第2温度として適用される場合、加圧焼結体の形状加工性が非常に高くなる。これは、熱処理によって発生する残留応力の変化などによるものと考えられる。
【0136】
前記処理ステップの形状加工は、前記焼結体の一部を分離又は除去して意図する形状を有するように加工する過程である。前記形状加工は、焼結体をリング状に加工するリング加工と、リング加工を経た焼結体をフォーカスリングの形状に形成する形状加工とを含む。
【0137】
前記形状加工は、放電加工、ウォータージェット方式、レーザー方式などが適用されてもよいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0138】
前記形状加工を通じて目的とする形状を備えた後、研磨過程をさらに行うことができる。前記研磨過程は、物理的な方式によりパーティクルが形成されることを抑制するために、セラミック部品の表面粗さを低下させる過程である。前記研磨過程は、工業用ダイヤモンドを含有するスラリーを適用して行われる研磨過程であってもよく、パーティクル抑制特性に優れたセラミック部品を製造するために、最大高さ粗さ(Rt)が15μm以下、算術平均粗さ(Ra)が2μm以下になるように加工することができる。
【0139】
前記セラミック部品の製造方法において、焼結は、図4に示した焼結装置300(熱加圧焼結装置)を通じて行われてもよい。
【0140】
前記焼結装置300の焼結炉310内に上部加圧部332と下部加圧部334との間に位置する金型330に原料380が装入されると、加圧部320などによって加圧及び昇温が行われ、焼結が行われ得る。このとき、前記焼結炉310の内部は減圧雰囲気に調節され得、還元雰囲気で行われることもできる。前記金型330は、例えば、黒鉛ダイが適用されてもよく、前記上部加圧部332及び下部加圧部334は、黒鉛ツール(パンチ)が適用されてもよい。
【0141】
また、前記セラミック部品の製造方法は、原料にパルス電流が印加されるスパークプラズマ焼結装置などでも行うことができる。
【0142】
プラズマエッチング装置500
具現例に係るプラズマエッチング装置500は、
前記セラミック部品10を少なくともその一部に含む。
【0143】
図3を参照すると、前記プラズマエッチング装置500は、チャンバ上部組立体520とチャンバハウジング510とが連結部516によって連結され、チャンバ上部組立体520には、電極を含む電極板組立体524が設置される。チャンバハウジング510内には、垂直移動装置550によって昇下降可能な基板ホルダ530が設置され、エッチング対象1であるウエハが載置される位置には、フォーカスリングであるセラミック部品10が設置される。
【0144】
バッフル板564が前記基板ホルダ530の周りに設置され得る。前記基板ホルダ530とバッフル板564との間にはシールドリング562がさらに設置され得る。
【0145】
前記エッチング装置500は、上述したセラミック部品10をフォーカスリングなどに適用して、より効率的に基板のエッチングを行うことができる。
【0146】
プラズマエッチング方法
具現例に係る基板のエッチング方法は、
前記セラミック部品10を含むフォーカスリングを配置したエッチング装置にエッチング対象1を位置させる配置ステップと、
前記エッチング対象のエッチングを行って基板を設けるエッチングステップとを含む。
【0147】
前記配置ステップは、セラミック部品をフォーカスリングとして配置したエッチング装置にエッチング対象を位置させるステップである。前記エッチング装置は、電子製品などに適用される基板をエッチングする装置であれば、制限なしに適用可能であり、例示的にプラズマエッチング装置が適用されてもよい。
【0148】
前記基板は、エッチング対象として前記エッチング装置に適用可能なものであり、例示的に、シリコン基板など、半導体装置に活用される基板が適用されてもよい。
【0149】
前記フォーカスリング及び前記セラミック部品10は、上述した通りである。
【0150】
前記配置ステップは、前記エッチング対象が前記フォーカスリングの載置部上面206上に位置するようにすることができる。
【0151】
前記エッチングステップは、前記エッチング対象のエッチングを行って基板を設けるステップである。前記エッチングは、減圧及び昇温、プラズマガスの供給、エッチング、洗浄などのエッチング過程に適用される通常の過程により行われてもよい。
【0152】
前記エッチングは、500mTorr以下のチャンバ圧力、フッ素含有化合物又は塩素含有化合物を含むエッチングガス、及び500W~15,000Wの電力で行われてもよい。前記チャンバ圧力は100mTorr以下であってもよく、10mTorr以上であってもよい。
【0153】
前記電力は、500W~15,000WのRF電力であってもよい。前記電力は、500~8000WのRF電力であってもよい。
【0154】
前記エッチング時間は100時間以上であってもよく、または200時間以上であってもよい。前記エッチング時間は400時間以上であってもよい。エッチング時間は800時間以上であってもよい。前記エッチング時間は、適用するプラズマ電力、エッチングガスなどによって変わり得る。
【0155】
以下、具体的な実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。下記の実施例は、本発明の理解を助けるための例示に過ぎず、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【0156】
実施例1-セラミック部品の製造
加圧焼結法を適用した円板状の炭化ホウ素焼結体の製造
下記表1に示された含量の比率で炭化ホウ素粉末(粒度D50=0.7μm)、フェノール樹脂(残炭量約41重量%)などの原料物質及び溶媒をスラリー配合機に入れ、ボールミル方式で混合して、スラリー化された原料を製造した。このスラリー化された原料を噴霧乾燥させて顆粒化された原料を設けた。
【0157】
顆粒化された原料物質を金型に装入し、下記表1に提示された温度、圧力及び時間を適用して、直径が約488mmである円盤状の炭化ホウ素焼結体を製造した。
【0158】
以降、下記のような熱処理1~3のうち、熱処理3を行った。
【0159】
熱処理1は、前記焼結体を1400~1600℃の温度で2~5時間熱処理を行うことである。
【0160】
熱処理2は、前記焼結体を1650~1950℃の温度で2~3.5時間1次処理を行い、1400~1600℃の温度で3~6時間2次処理を行うことである。
【0161】
熱処理3は、前記焼結体を1650~1950℃の温度で4~6時間1次処理を行い、1400~1600℃の温度で3~6時間2次処理を行うことである。
【0162】
実施例2-セラミック部品の製造
前記実施例1において、表1に示された含量の比率及びゼータ電位を満たす原料を適用し、表1の焼結条件を適用した以外は、前記実施例1と同様にして炭化ホウ素焼結体を製造した。
【0163】
実施例3-セラミック部品の製造
前記実施例1において、表1に示された含量の比率及びゼータ電位を満たす原料を適用した以外は、前記実施例1と同様にして炭化ホウ素焼結体を製造した。
【0164】
【0165】
実験例-スラリー化された原料のゼータ電位の測定
前記実施例1~3のスラリー化された原料をエタノール溶媒20mLにそれぞれ2~3滴希釈し、フローセル(Flow cell)に小分けしてゼータ電位を測定し、その結果を表1などに示した。前記溶媒の温度は25℃、屈折率は1.36、粘度は1.10cP、誘電定数は25であった。
【0166】
実験例-焼結体及び炭化ホウ素単結晶のラマン分析
サーモサイエンティフィック(Thermo scientific)社のラマン分光測定装置DxR2を用いて、以下の測定条件でラマン分析を行い、図7乃至図16及び表2などに示した。図7乃至図16に表示された写真及びスペクトルにおいて、1、2、3は複合材、matrixは基材を示す。
【0167】
励起波長:532nm
出力:10mW
繰り返し率:6Hz
スキャン範囲:6×6μm
ピクセルサイズ2.0μm
スペクトル測定数:16個
【0168】
【0169】
表1、表2及び図7乃至図16を参照すると、製造された焼結体の断面写真から、複合材、及び複合材と接して充填された基材の様子を確認することができ、複合材に炭素系物質及び炭化ホウ素系物質のいずれか1つ以上が含まれたことが分かる。
【0170】
具現例に係るセラミック部品は、ゼータ電位が15mV以上であるスラリー化された原料を通じて製造され、基材に含まれた炭化ホウ素系物質が炭化ホウ素単結晶と比較して、前記Iab/Icdの比率が1~1.8を示し、前記複合材と接して形成されるという点を確認した。前記実施例は、基材と複合材との間のクラックなどの発生なしに、優れた加工性及び耐エッチング性を有するという点を確認した。
【0171】
以上、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲は、これに限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態もまた本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0172】
1 エッチング対象
10 セラミック部品
100 本体部
106 本体部上面
150 傾斜部
156 傾斜部上面
200 載置部
206 載置部上面
300 焼結装置
310 焼結炉
320 加熱部
330 成形ダイ
332 上部加圧部
334 下部加圧部
380 原料物質又は焼結体
500 エッチング装置
510 チャンバハウジング
516 連結部
520 チャンバ上部組立体
524 電極板組立体
530 基板ホルダ
540 ダクト
550 垂直移動装置
562 シールドリング
564 バッフル板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】