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特表2023-512199フォトレジストを使用せずに金属特徴を形成するための電気流体力学吐出印刷および電気めっき
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(54)【発明の名称】フォトレジストを使用せずに金属特徴を形成するための電気流体力学吐出印刷および電気めっき
(51)【国際特許分類】
   C25D 5/02 20060101AFI20230316BHJP
   C25D 5/34 20060101ALI20230316BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20230316BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20230316BHJP
   C09D 11/52 20140101ALI20230316BHJP
   H05K 3/18 20060101ALI20230316BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20230316BHJP
【FI】
C25D5/02 Z
C25D5/34
C25D7/12
C25D17/00 L
C25D17/00 B
C09D11/52
H05K3/18 G
H01L21/288 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022545776
(86)(22)【出願日】2021-01-27
(85)【翻訳文提出日】2022-09-26
(86)【国際出願番号】 US2021015247
(87)【国際公開番号】W WO2021158402
(87)【国際公開日】2021-08-12
(31)【優先権主張番号】62/969,368
(32)【優先日】2020-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー・スティーブン・ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ソルケルソン・カリ
【テーマコード(参考)】
4J039
4K024
4M104
5E343
【Fターム(参考)】
4J039BE12
4J039BE29
4J039CA02
4J039EA24
4K024AA09
4K024AB01
4K024AB08
4K024AB09
4K024AB19
4K024BB12
4K024CA01
4K024DA10
4K024FA01
4M104BB04
4M104BB05
4M104BB17
4M104DD52
4M104DD53
4M104HH20
5E343AA01
5E343AA23
5E343BB22
5E343BB24
5E343BB34
5E343BB35
5E343BB40
5E343BB44
5E343BB71
5E343DD33
5E343DD44
5E343DD76
5E343ER01
5E343FF16
5E343GG11
(57)【要約】
【解決手段】本明細書では半導体基板上に金属特徴を形成するための方法、インク、装置、およびシステムを提供する。有利には、本明細書の技法は、フォトレジストを使用する必要がなく、従来の処理の流れで使用する処理および装置の多くがなくても達成できる。その代わりに電気流体力学吐出印刷を使用して、加速剤または阻害剤などの電気めっき添加剤を含むインクを堆積させる。印刷された基板はその場合、インクが存在する基板の領域で第1の堆積速度を、インクが存在しない基板の領域で第2の堆積速度を達成する優先堆積処理で電気めっきでき、第1の堆積速度および第2の堆積速度は互いに異なる。電気めっき後、化学的エッチングを使用して、優先的に成長した金属特徴を空間的に互いに隔離してよい。
【選択図】図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属を堆積させる方法であって、
(a)前記基板の表面上に露出した導電性シード層を備える前記基板を受け入れるステップと、
(b)電気流体力学吐出印刷によってあるパターンで前記シード層上にインクを印刷するステップであって、前記インクは、溶媒の中に溶解した電気めっき添加剤を備え、前記電気めっき添加剤は、加速剤または阻害剤を備え、前記電気めっき添加剤は、前記シード層の上に吸着する、ステップと、
(c)前記インクから得られる前記電気めっき添加剤が存在する場所で第1の堆積速度と、前記インクから得られる前記電気めっき添加剤が存在しない場所で第2の堆積速度を提供し、前記第1の堆積速度は前記第2の堆積速度と異なる、優先的堆積によって前記基板上に金属を電気めっきするステップと
を備える方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記電気めっき添加剤は加速剤を備え、前記インクから得られる前記加速剤が存在する場所で前記金属が優先的に堆積するように、前記第1の堆積速度は、前記第2の堆積速度よりも速い、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法であって、前記加速剤は、少なくとも1つのメルカプト基もしくは少なくとも1つのスルホン酸基、または酸性塩を伴うアルカン鎖を備える、方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記加速剤は、メルカプトプロパンスルホン酸またはメルカプトエタンスルホン酸を備える、方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法であって、前記インク内の前記溶媒は水、テルピネオール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、エチレングリコール、およびプロピレングリコールから構成されるグループから選択された少なくとも1つの材料を備える、方法。
【請求項6】
請求項2に記載の方法であって、前記基板を化学的にエッチングして、前記(c)で堆積した前記金属の一部分および前記シード層の一部分を除去し、それにより前記インクから得られる前記加速剤が存在する場所で空間的に互いに隔離された金属特徴を形成するステップをさらに備える、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、前記基板は、
約10ppm~1000ppmの間のめっき抑制剤添加剤、
約10g/L~60g/Lの間の銅イオン、
約5g/L~180g/Lの間の酸、および
約30ppm~80ppmの間のハロゲン化物イオン
を備える電解質の中で、前記(c)で電気めっきされる、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記電解質は、加速剤がない、または微量の加速剤しか有していない、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記電気めっき添加剤は阻害剤を備え、前記インクから得られる前記阻害剤が存在しない場所で前記金属が優先的に堆積するように、前記第1の堆積速度は、前記第2の堆積速度よりも遅い、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記阻害剤は、6-メルカプトヘキサノールおよびベンゾトリアゾールから構成されるグループから選択された少なくとも1つの材料を備える、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記基板を化学的にエッチングして、前記(c)で堆積した前記金属の一部分、前記(b)で印刷された前記インク、および前記シード層の一部分を除去し、それにより前記インクから得られる前記阻害剤が存在していなかった場所で、空間的に互いに隔離された金属特徴を形成するステップをさらに備える、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記基板は、
約0ppm~1000ppmの間の加速剤、
約10g/L~60g/Lの間の銅イオン、および
約5g/L~180g/Lの間の酸
を備える電解質の中で、前記(c)で電気めっきされる、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記電解質は、前記阻害剤がない、または微量の前記阻害剤しか有していない、方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法であって、前記基板は、前記シード層の真下に位置決めされた接着障壁層をさらに備え、前記方法は、
(d)前記基板を化学的にエッチングして、前記(c)で堆積した前記金属の一部分および前記シード層の一部分を除去し、それにより空間的に互いに隔離された金属特徴を形成するステップと、
(e)実質的に前記接着障壁層上に形成することなく、前記(d)で形成された前記金属特徴上に選択的に堆積する第2の金属を前記基板の上に電気めっきするステップと
をさらに備える、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記第2の金属は拡散障壁層を形成し、前記方法は
(f)実質的に前記接着障壁層上に形成することなく、前記(e)で形成された前記拡散障壁層上に選択的に堆積するはんだ材料を前記拡散障壁層の上に電気めっきするステップ
をさらに備える、方法。
【請求項16】
請求項1~13のいずれか一項に記載の方法であって、前記インク内の前記電気めっき添加剤は、前記基板上の前記シード層と反応し、前記基板上の前記シード層に化学的に結合する、方法。
【請求項17】
基板を処理するためのシステムであって、
電気流体力学吐出印刷装置であって、
直径が約50nm~5000nmの間の開口を有するノズル、
前記ノズルと流体で接続されたインク貯蔵器、
印刷中に前記基板を支持するための基板支持物、および
前記ノズルと前記基板支持物の間に、または前記ノズルと前記基板の間に電位を加えるように構成された電源
を備える電気流体力学吐出印刷装置と、
電気めっき装置であって、
電解質を保持するためのチャンバ、
電気めっき中に前記基板を保持するための基板ホルダ、
陽極、および
電気めっき中に前記陽極と前記基板の間に電位を加えるように構成された電源
を備える電気めっき装置と、
コントローラであって、
溶媒の中に溶解した、加速剤または阻害剤を備える電気めっき添加剤を備えるインクを、前記電気流体力学吐出印刷装置を使用してあるパターンで前記基板上に印刷させ、
前記基板上に前記インクを印刷後、前記電気めっき装置を使用して前記基板上に金属を電気めっきさせるように構成され、前記電気めっきは、前記インクから得られる前記電気めっき添加剤が存在する場所で第1の堆積速度と、前記インクから得られる前記電気めっき添加剤が存在しない場所で第2の堆積速度を提供し、前記第1の堆積速度は前記第2の堆積速度と異なる、優先的堆積によって行われる
コントローラと
を備えるシステム。
【請求項18】
請求項17に記載のシステムであって、前記基板上にシード層を堆積させるように構成された装置をさらに備え、前記コントローラは、前記インクが前記基板上に印刷される前に前記基板上に前記シード層を堆積させるように構成された、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、前記基板から前記金属を除去するように構成された化学エッチング装置をさらに備え、前記コントローラは、前記基板の上に電気めっきされた前記金属の一部分を除去させ、かつ前記基板上の前記シード層の一部分を除去させるように構成された、システム。
【請求項20】
請求項17~19のいずれか一項に記載のシステムであって、前記電気流体力学吐出印刷装置および前記電気めっき装置は、単一ツールの中に一緒に提供される、システム。
【請求項21】
電気流体力学吐出印刷用インクであって、
(a)約0.1g/L~10g/Lの間の濃度で存在し、加速剤または阻害剤を備える電気めっき添加剤と、
(b)溶媒であって、
i.25℃で約24トール以下の蒸気圧、および
ii.約40~90の間の誘電率
を有する溶媒と
を備え、
前記インクは、約0.7cP~20cPの間の粘度を有し、
前記電気めっき添加剤は、前記溶媒の中に完全に溶解した、インク。
【請求項22】
請求項21に記載のインクであって、前記インク内の酸素濃度は約1ppm以下である、インク。
【請求項23】
請求項21に記載のインクであって、酸素と反応して前記酸素を消費できる種をさらに備え、前記酸素と反応して前記酸素を消費できる前記種は、前記インク内の酸素濃度を約1ppm以下で維持するのに十分な濃度で存在する、インク。
【請求項24】
請求項23に記載のインクであって、前記酸素と反応して前記酸素を消費できる前記種は、亜硫酸化合物を備える、インク。
【請求項25】
請求項21に記載のインクであって、前記電気めっき添加剤は前記加速剤を備える、インク。
【請求項26】
請求項21に記載のインクであって、前記電気めっき添加剤は前記阻害剤を備える、インク。
【請求項27】
請求項26に記載のインクであって、約30ppm~80ppmの間の濃度でハロゲン化物イオンをさらに備える、インク。
【請求項28】
請求項21~27のいずれか一項に記載のインクであって、前記溶媒は水、テルピネオール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、およびプロピレングリコールから構成されるグループから選択された少なくとも1つの材料を備える、インク。
【請求項29】
請求項28に記載のインクであって、前記溶媒は有機物である、インク。
【請求項30】
請求項21~27のいずれか一項に記載のインクであって、前記溶媒は、約95℃~275℃の間の自然の沸点を有する、インク。
【請求項31】
請求項21~27のいずれか一項に記載のインクであって、前記溶媒は、第1の共溶媒および第2の共溶媒を備える、インク。
【請求項32】
請求項21~27のいずれか一項に記載のインクであって、湿潤剤を備える、インク。
【請求項33】
請求項21~27のいずれか一項に記載のインクであって、塩を備える、インク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
PCT願書様式は、本出願の一部として本明細書と同時に提出される。同時に提出されるPCT願書様式で識別されるように、本出願が利益または優先権を主張する各出願は、参照により全体が事実上本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の製作は、一般に細線相互接続または他の金属的特徴を形成するための一連のステップを伴う。そのような特徴は、多くの異なるいくつかの半導体処理設備が関与するいくつかの処理ステップの間に形成されてよい。たとえば、3Dパッケージングの分野では、金属被覆は、基板上に導電性シード層を形成するステップ、シード層上にフォトレジスト層を形成するステップ、フォトレジスト層を露光および現像して中にパターンを画成するステップ、基板からスカムを除去して(descumming)パターン形成された特徴内部に残っている望ましくないどんなフォトレジストも除去するステップ、金属で基板をめっきするステップ、フォトレジストを剥離するステップ、およびこれまでフォトレジストにより保護されていた、露光されたどんなシード層も除去するステップを伴ってよい。
【0003】
本明細書で提供する背景の記述は、一般に本開示の関係を提示するためのものである。この背景技術の節で記述する範囲で、ここに名前を挙げる発明者らの著作物だけではなく、提出時点で他の点では従来技術とみなされなくてよい記述の様態も、明示的にも黙示的にも本開示に対する従来技術と認められない。
【発明の概要】
【0004】
本明細書のさまざまな実施形態は、電気流体力学吐出印刷および電気めっき用の方法、装置、システム、インク、ならびに電気めっき電解質に関する。本明細書で記述する技法は、フォトレジストを使用せずに金属特徴を形成可能にし、そのような特徴を形成するための処理方式を実質的に簡略化し、関連する資本費用および処理費用を最小にする。一般に、本明細書の技法は、めっき加速剤またはめっき阻害剤などの1つまたは複数の電気めっき添加剤を含む特定のインクを利用する。インクは、所望のパターンで基板上に選択的に印刷され、添加剤は、基板表面と反応して表面に強く吸着されるようになる。インクが乾燥した後、基板は電気めっきされ、印刷されたインクから得られる吸着された電気めっき添加剤は、自信が印刷された表面上に吸着されたままであり、基板の非印刷領域に対して印刷領域で特異なめっき速度を提供する優先的めっき処理を生じさせる。特異なめっき速度の結果、金属特徴が形成される。めっき後、特徴は、エッチングにより互いに電気的かつ空間的に隔離できる。
【0005】
開示する実施形態の一様態では、基板上に金属をめっきする方法であって、(a)基板の表面上に露出した導電性シード層を含む基板を受け入れるステップと、(b)電気流体力学吐出印刷によってあるパターンでシード層上にインクを印刷するステップであって、インクは、溶媒の中に溶解した電気めっき添加剤を含み、電気めっき添加剤は、加速剤または阻害剤を含み、電気めっき添加剤は、シード層の上に強く吸着するステップと、(c)インクから得られる電気めっき添加剤が存在する場所で第1の堆積速度と、インクが存在しない場所で第2の堆積速度を提供し、第1の堆積速度は第2の堆積速度と異なる、優先的堆積によって基板上に金属を電気めっきするステップとを含む方法を提供する。
【0006】
いくつかの実施形態では、電気めっき添加剤は加速剤を含み、インクから得られる加速剤が存在する場所で金属が優先的に堆積するように、第1の堆積速度は、第2の堆積速度よりも速い。これらの事例または他の事例では、加速剤は、少なくとも1つのメルカプト基もしくは少なくとも1つのスルホン酸基、または酸性塩を伴うアルカン鎖を含んでよい。実例では加速剤は、メルカプトプロパンスルホン酸またはメルカプトエタンスルホン酸を含んでよい。これらの事例または他の事例では、インク内の溶媒は水、テルピネオール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide、DMSO)、エチレングリコール、およびプロピレングリコールから構成されるグループから選択された少なくとも1つの材料を含んでよい。
【0007】
方法は、基板を化学的にエッチングして、(c)で堆積した金属の一部分をおよびシード層の一部分を除去し、それによりインクから得られる加速剤が存在する場所で空間的に互いに隔離された金属特徴を形成するステップをさらに含んでよい。いくつかのそのような事例では基板は、約10ppm~1000ppmの間のめっき抑制剤添加剤、約10g/L~60g/Lの間の銅イオン、約5g/L~180g/Lの間の酸、および約30ppm~80ppmの間のハロゲン化物イオンを含む電解質の中で、(c)で電気めっきされる。そのような実施形態では、(存在する場合には)電解質内の加速剤は、インクから得られる加速剤が存在しない領域(たとえば、非印刷領域)でめっき速度を増大させる傾向があり、印刷領域と比印刷領域の間で堆積速度の著しい差を低減する傾向がある。したがって、さまざまな実施形態では、電解質は加速剤がなくても、微量の加速剤しか有しなくてもよい。
【0008】
いくつかの実施形態では、電気めっき添加剤は阻害剤を含む。そのような実施形態では、インクから得られる阻害剤が存在しない場所で金属が優先的に堆積するように、第1の堆積速度は、第2の堆積速度よりも遅い。
【0009】
ある種の実施形態では、方法は、基板を化学的にエッチングして、(c)で堆積した金属の一部分、(b)で印刷されたインク、およびシード層の一部分を除去し、それによりインクから得られる阻害剤が存在していなかった場所で、空間的に互いに隔離された金属特徴を形成するステップをさらに含んでよい。阻害剤を使用するいくつかの事例では基板は、約0ppm~1000ppmの間の加速剤、約10g/L~60g/Lの間の銅イオン、および約5g/L~180g/Lの間の酸を含む電解質の中で、(c)で電気めっきされてよい。さまざまな実施形態では、電解質は阻害剤がなくても、ほんの微量の阻害剤しか有しなくてもよい。いくつかのそのような事例では、電解質はまた、めっき抑制剤添加剤がなくても、ほんの微量のめっき抑制剤添加剤しか有しなくてもよい。
【0010】
いくつかの実施形態では基板は、シード層の真下に位置決めされた接着障壁層をさらに含む。方法は、(d)基板を化学的にエッチングして、(c)で堆積した金属の一部分およびシード層の一部分を除去し、それにより空間的に互いに隔離された金属特徴を形成するステップと、(e)実質的に接着障壁層上に形成することなく、(d)で形成された金属特徴の上に選択的に堆積する第2の金属を基板の上に電気めっきするステップとをさらに含んでよい。いくつかのそのような事例では、第2の金属は、拡散障壁層を形成してよい。方法は、(f)実質的に接着障壁層上に形成することなく、(e)で形成された拡散障壁層上に選択的に堆積するはんだ材料を拡散障壁層の上に電気めっきするステップをさらに含んでよい。さまざまな実施形態では、インク内の電気めっき添加剤は、基板上のシード層と反応し、基板上のシード層に化学的に結合する。
【0011】
開示する実施形態の別の様態では、特許請求する、または本明細書で別様に記述する電気流体力学吐出印刷ステップの任意の1つまたは複数を生じさせるように構成されたコントローラを含む電気流体力学吐出印刷装置を提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、電気流体力学吐出印刷装置は、直径が約50nm~5000nmの間の開口を有する先端部を伴うノズルと、ノズルと流体で接続されたインク貯蔵器と、印刷中に基板を支持するための基板支持物と、ノズルと基板支持物の間に、またはノズルと基板の間に電位を加えるように構成された電源とを含んでよい。
【0013】
開示する実施形態の別の様態では、特許請求する、または本明細書で別様に記述する電気めっきするステップの任意の1つまたは複数を生じさせるように構成されたコントローラを含む電気めっき装置を提供する。
【0014】
いくつかの実施形態では、電気めっき装置は、電解質を保持するためのチャンバと、電気めっき中に基板を保持するように構成された基板ホルダと、陽極と、電気めっき中に陽極と基板の間に電位を加えるように構成された電源とを含む。
【0015】
開示する実施形態の別の様態では、基板を処理するためのシステムであって、特許請求する、または本明細書で別様に記述する電気流体力学吐出印刷装置と、電気めっき装置と、電気めっきステップの任意の1つまたは複数を生じさせるように構成されたコントローラとを含むシステム、を提供する。
【0016】
開示する実施形態の他の様態では、基板を処理するためのシステムを提供し、システムは、直径が約50nm~5000nmの間の開口部を有するノズル、ノズルと流体で接続されたインク貯蔵器、印刷中に基板を支持するための基板支持物、およびノズルと基板支持物の間またはノズルと基板の間に電位を加えるように構成された電源を含む電気流体力学吐出印刷装置と、電解質を保持するためのチャンバ、電気めっき中に基板を保持するように構成された基板ホルダ、陽極、および電気めっき中に陽極と基板の間に電位を加えるように構成された電源を含む電気めっき装置と、溶媒の中に溶解した、加速剤または阻害剤を備える電気めっき添加剤を備えるインクを、電気流体力学吐出印刷装置を使用してあるパターンで基板上に印刷させ、基板上にインクを印刷後、電気めっき装置を使用して基板上に金属を電気めっきさせるように構成されたコントローラであって、電気めっきは、インクから得られる電気めっき添加剤が存在する場所で第1の堆積速度と、インクから得られる電気めっき添加剤が存在しない場所で第2の堆積速度を提供し、第1の堆積速度は第2の堆積速度と異なる、優先的堆積によって行われるコントローラとを含む。
【0017】
さまざまな実施形態では、システムは、基板上にシード層を堆積させるように構成された装置をさらに含んでよい。ある種の実施形態では、システムは、基板上にシード層を堆積させるように構成された物理蒸着装置をさらに含んでよい。ある種の実装形態では、システムは、基板上にシード層を堆積させるように構成された無電解めっきモジュールをさらに含む。ある種の実施形態では、システムは、無電解めっき活性化モジュールをさらに含む。これらの実施形態または他の実施形態では、コントローラは、基板上にインクをめっきする前に基板上にシード層を堆積させるように構成されてよい。
【0018】
いくつかの実装形態では、システムは、基板から金属を除去するように構成された化学エッチング装置をさらに含む。これらの実施形態または他の実施形態では、コントローラは、基板の上に電気めっきされた金属の一部分を除去させ、基板上のシード層の一部分を除去させるように構成されてよい。いくつかの実装形態では、電気流体力学吐出印刷装置および電気めっき装置は、単一ツールの中に一緒に提供されてよい。
【0019】
開示する実施形態の他の様態では水、テルピネオール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、およびプロピレングリコールから構成されるグループから選択された少なくとも1つの材料を含む溶媒と、溶媒の中に溶解し、加速剤および阻害剤を含み、約0.1g/L~10g/Lの間の濃度で溶媒の中に存在する電気めっき添加剤とを含む電気流体力学吐出印刷用インクを提供する。
【0020】
開示する実施形態の別の様態では、約0.1g/L~10g/Lの間の濃度で存在し、加速剤または阻害剤を含む電気めっき添加剤と、25℃のときに約24トール以下の蒸気圧、および約40~90の間の誘電率を有する溶媒とを含み、約0.7cP~20cPの間の粘度を有するインクであって、電気めっき添加剤が溶媒の中に完全に溶解したインクを電気流体力学吐出印刷用に提供する。
【0021】
いくつかの実施形態では、インク内の酸素濃度は約1ppm以下である。酸素は、ある種のインク添加剤と経時的に反応し、それによりインクのきわめて重要な電気化学的活性化合物の必要濃度を低減してよい。いくつかの実施形態では、インクは、酸素と反応して酸素を消費できる追加の種を含有してよい。酸素と反応して酸素を消費する種は、インク内の酸素濃度を約1ppm以下で維持するのに十分な濃度で存在してよい。これは、インクの有効期間を改善することがある。いくつかの実施形態では、酸素と反応して酸素を消費できる種は、亜硫酸化合物である。1つの特有の例は亜硫酸ナトリウムである。いくつかの実装形態では、インク内の電気めっき添加剤は加速剤を含む。いくつかの他の実装形態では、インク内の電気めっき添加剤は阻害剤を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は水、テルピネオール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、およびプロピレングリコールから構成されるグループから選択された少なくとも1つの材料を含んでよい。いくつかの実施形態では、溶媒は有機物である。これらの実施形態または他の実施形態では、溶媒は、約95℃~275℃の間の自然の沸点を有してよい。これらの実施形態または他の実施形態では、溶媒は、第1の共溶媒および第2の共溶媒を含んでよい。これらの事例および他の事例では、溶媒は湿潤剤を含んでよい。湿潤剤は、インクとシード層の間の摂食角を低減する。湿潤剤は、不連続な印刷または滴状印刷を防止してよい。これらの事例および他の事例では、インクは塩を含んでよい。
【0022】
これらおよび他の様態について、図面を参照して以下でさらに記述する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1A】フォトレジストに基づく技法を使用して金属特徴を形成するための方法について記述する流れ図である。
【0024】
図1B図1Aの方法を行うために使用する処理設備のさまざまな部分を描く。
【0025】
図2A】本明細書の実施形態による、金属特徴を形成する方法について記述する流れ図である。
【0026】
図2B図2Aの方法を行うために使用する処理設備を例示する。
【0027】
図3A】電気流体力学吐出印刷処理で加速剤インクを利用して図2Aの方法を受けるときに部分的に製作された半導体基板を描く。
図3B】電気流体力学吐出印刷処理で加速剤インクを利用して図2Aの方法を受けるときに部分的に製作された半導体基板を描く。
図3C】電気流体力学吐出印刷処理で加速剤インクを利用して図2Aの方法を受けるときに部分的に製作された半導体基板を描く。
図3D】電気流体力学吐出印刷処理で加速剤インクを利用して図2Aの方法を受けるときに部分的に製作された半導体基板を描く。
【0028】
図4A】電気流体力学吐出印刷処理で阻害剤インクを利用して図2Aの方法を受けるときに部分的に製作された半導体基板を描く。
図4B】電気流体力学吐出印刷処理で阻害剤インクを利用して図2Aの方法を受けるときに部分的に製作された半導体基板を描く。
図4C】電気流体力学吐出印刷処理で阻害剤インクを利用して図2Aの方法を受けるときに部分的に製作された半導体基板を描く。
図4D】電気流体力学吐出印刷処理で阻害剤インクを利用して図2Aの方法を受けるときに部分的に製作された半導体基板を描く。
【0029】
図5】ある種の実施形態による、電気流体力学吐出印刷処理中のノズルおよび基板のクローズアップ図を例示する。
【0030】
図6】ある種の実施形態による電気めっきセルを描く。
【0031】
図7】ある種の実施形態による、多数の電気めっきセルおよび他の特徴を有する電気めっきツールを例示する。
【0032】
図8】ある種の実施形態による、多数の電気めっきセルおよび他の特徴を有する電気めっきツールを示す。
【0033】
図9A】ある種の実施形態による、多重膜積層形成を受けるときに部分的に製作された半導体基板を例示する。
図9B】ある種の実施形態による、多重膜積層形成を受けるときに部分的に製作された半導体基板を例示する。
図9C】ある種の実施形態による、多重膜積層形成を受けるときに部分的に製作された半導体基板を例示する。
図9D】ある種の実施形態による、多重膜積層形成を受けるときに部分的に製作された半導体基板を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の記述では、提示する実施形態を十分に理解することができるようにするために数多くの特有の詳細について示す。開示する実施形態は、これらの特有の詳細の一部またはすべてなしに実施されてよい。他の実例では、開示する実施形態を不必要に不明瞭にしないために、周知の処理動作について詳細に記述していない。開示する実施形態について特有の実施形態と関連づけて記述するが、その一方で、開示する実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されよう。
【0035】
図1Aは、従来の方法に従って基板上に細線相互接続、パッド、または他の金属特徴を形成するための一連のステップについて記述する流れ図である。図1Bは、図1Aに記述する方法100を行うために使用する半導体処理設備のさまざまな部分を描く。図1Bに示す装置に関連して図1Aに示すステップについて記述する。
【0036】
図1Aでは、方法100は、基板上に導電性シード層を堆積させる動作101から始まる。この堆積は、図1Bに示す物理蒸着装置150の中で行われる。次に、フォトレジスト堆積装置152に基板を移送し、動作103で、シード層上にフォトレジスト層を形成する。フォトレジストは、スピンコーティングなどの湿式処理法によって形成されてよい、またはたとえば事前に形成されたフォトレジスト材料のロールを基板の全面にわたり適用するなど、乾式によって形成されてよい。
【0037】
フォトレジスト層を形成後、基板をフォトレジストパターン形成装置154に移送し、パターン形成装置154では動作105で、特定の光条件に露光することによってフォトレジスト層をパターン形成する。さらにまた動作105で、フォトレジスト現像装置155に基板を移送し、フォトレジスト現像装置155で、基板上に露光されたパターンを現像する。一例では、炭酸カリウムの水溶液など、溶解塩を中に有する水溶液に基板を曝露するステップを伴う湿式化学処置によってフォトレジストを現像する。合わせて、これらのパターン形成処理の結果、フォトレジスト層の中に凹状特徴を形成する。これらの凹状特徴は、後で金属を堆積させる空間を画定する。
【0038】
次に、プラズマエッチング装置156に基板を移送し、動作107で、スカム除去処理を行って特徴の最下部から過剰なフォトレジスト材料を除去する。スカム除去処理は、典型的には特徴の最下部で過剰なフォトレジストを熱して除くように作用する酸素含有プラズマへの曝露を伴う。
【0039】
次いで電気めっき装置158に基板を移送し、動作109で、フォトレジスト層の中に画定された特徴の中に(たとえば、電気めっきまたは無電解めっきによって)金属をめっきする。次いでフォトレジスト剥離装置160に基板を移送し、動作111で、基板からフォトレジスト層を剥離する。フォトレジスト層は、ドライ・プラズマ・エッチング技法(たとえば、酸素含有プラズマに基板を曝露することによる)によって、または湿式技法(たとえば、フォトレジスト溶媒に基板を曝露してフォトレジスト膜を溶解する、または膨張させることによる、その後、高流動、超音波エネルギー、または他の方法でフォトレジストを除去してよい)によって剥離されてよい。フォトレジスト層を除去した後、化学エッチング装置162に基板を移送し、動作113で、これまでフォトレジスト層により保護されていた領域でシード層を除去する。
【0040】
多くの事例では、図1Bに示す装置の各々は別個の装置であり、それぞれ図1Aで記述する処理の流れで特定の動作を遂行するように構成される。合わせて、図1Aおよび図1Bは、細線相互接続など、金属被覆特徴を形成するための従来の処理の流れが複雑であり、時間がかかり、費用がかかることを例証している。多くの異なる特殊な半導体処理装置を必要とし、それぞれ特定の用途のために適切に構成しなければならない。従来の処理の流れに伴うステップおよび装置の数が多いことにより、設備のあらゆる処理および部分を適切に調節しなければならないので(たとえば、基板の設計およびレイアウトを含み)基板処理技法に任意の変更または調節を行うことが困難になる。これにより、一方の基板タイプまたは基板設計の製造から、別の基板タイプまたは基板設計の製造の間で切り替えることが困難になる。同様に、複雑な処理の流れおよび関与する多数の装置が原因で、検査する、またはプロトタイプ基板を作ることが困難である。
【0041】
本明細書で記述する技法は、図1Aおよび図1Bで記述する処理および装置の多くを必要とせずに細線相互接続、パッド、および他の類似する金属被覆特徴を形成できるようにする。その結果(たとえば、より少ない数のステップが関与するので、かつ処理費用のかなりの部分は処理装置を獲得する資本経費に直接に関連するので)製作過程は著しく簡略化され、処理装置の数は実質的に低減され、処理に関連する費用は同様に低減される。
【0042】
図2Aは、本明細書の実施形態による、細線相互接続または類似の金属被覆特徴を形成する方法について記述する流れ図である。図2Bは、図2Aの方法200を行うために使用する処理設備を描く。図2Bに示す装置に関連して図2Aに示すステップについて記述する。
【0043】
図2Aで方法200は、シード層堆積装置250の中で基板上に導電性シード層を形成する動作201から始まる。いくつかの事例では、シード層は、物理蒸着装置の中で物理蒸着によって形成されてよい。従来技術で公知のように、シード層はまた、無電解めっきなどの他の方法により形成されてよい。いくつかの実施形態では、無電解めっきは(たとえば、スズイオンに基板を曝露するステップを伴ってよい)無電解活性化ステップから始まり、パラジウムイオン含有電解質を用いたスズ(II)からスズ(IV)への置換/活性化が続く。これにより、上にパラジウム電解触媒を伴う基板表面が残り、多くの誘電体材料を金属で被覆できるようになる。いくつかの事例では、無電解めっきは、還元剤と、シード層としてめっきすることが望まれる金属の金属イオンとを含有する溶液を介して行われてよい。銅のシード層を作り出す際に使用するのに適した還元剤の例は、ジメチルアミンボラン(dimethylamine borane、DMAB)および次リン酸塩カリウム(potassium hypophosphate)を含む。
【0044】
さまざまな実施形態では、基板は、動作201でシード層を形成した後に、かつ動作203で電気流体力学吐出印刷前に任意選択で前処理されてよい。この前処理を遂行してシード層上の表面酸化物を除去してよい。前処理は、湿式または乾式によって行われてよい。たとえば、湿式は、H2SO4などの希酸、またはジメチルアミンボラン(DMAB)などの還元剤を基板に適用するステップを伴ってよい。乾式は、フォーミングガスなどの還元性雰囲気の中で約100℃~200°の温度に基板を加熱するステップを伴ってよい。そのような前処理は、動作201でシード層の堆積後に、かつ動作203で電気流体力学吐出印刷前に基板を大気条件(または他の酸素含有環境)に曝露する実施形態で特に有益であることがある。
【0045】
シード層を形成し任意選択で前処理する際にどのような特定の方法を使用しても、電気流体力学吐出印刷装置252に基板を提供し、動作203で、電気流体力学吐出印刷によって基板の上にインクを選択的に印刷する。インクは、以下でさらに記述するように、電気化学的活性インクである。基板上にインクを堆積させる他の方法を使用できるが、電気流体力学吐出印刷は、具体的には線、空間、および構造の臨界寸法が一般に約50μmよりも小さい、より一般的には10μm未満、またはさらには2μm未満である半導体相互接続およびパッケージングの用途のために高分解能液体転移が必要とされる用途に特に適している。
【0046】
電気流体力学吐出印刷処理を使用する電気化学的活性インクの選択的堆積はまた、貯蔵、移送、および基板表面への送達に適した性質を有し、かつこの処理で機能する適切な溶媒および活性化学物質などの適切な溶解度の活性化学成分を有するインクの現像を伴う。本明細書のさまざまな実施形態では、インクは、溶媒の中に溶解した1つまたは複数のめっき添加剤を含む。めっき添加剤の例は、以下でさらに論じる加速材および阻害剤を含む。インクの中に存在してよい適切な溶媒および他の種についてはまた、以下でさらに論じる。
【0047】
インクが基板表面上で乾燥した後、インク内のめっき添加剤および任意の他の不揮発性物質は、基板表面上に残る。この時点で、任意選択でたとえば脱イオン水で基板をすすいでよい。どんな特定のモデルまたは理論にも拘束されることを望まないが、印刷された場所に残るためには、本明細書の実施形態による機能的に有用なめっき添加剤は、基板の金属シード層と化学的に反応して表面に強く付着して不動化するようになる場合、最も効果的であると考えられている。換言すれば、めっき添加剤は、基板上のシード層と反応し、シード層に化学的に結合してよい。あるクラスとして、チオール末端基(たとえば、R-S-H末端基)メルカトル化合物は、銅シード層(およびいくつかの他のシード層または他の表面)に結合し、所望の不動化特性を示す材料の一例である。このクラスの化合物の特有の例は(たとえば、加速剤の役割を果たしてよい)メルカプトプロパンスルホン酸および(たとえば、阻害剤の役割を果たしてよい)メルカプトヘキサノールを含む。強く金属結合した化合物のクラスの別の例はトリアゾールである。ベンゾトリアゾールは、阻害剤の役割を果たしてよい有用なトリアゾールの例である。ベンゾトリアゾール-5-スルホン酸およびベンゾトリアゾール-5-カルボキシル酸は、加速剤の役割を果たしてよいトリアゾールの例である。すすいだ後に基板を遠心脱水法または別の乾燥法にかけて、任意の望ましくない材料を除去してよい。すすぐことによりめっき添加剤を除き、インクから生じる不揮発性材料の一部またはすべてを除去してよい。めっき添加剤の多くまたはすべては、たとえば上記で記述する不動化の結果、任意選択のすすぎの後に基板表面上に残っているはずである。
【0048】
次に、電気めっき装置254に基板を移送し、動作205で、基板上に金属を電気めっきして優先的堆積によって特徴を形成する。インク/めっき添加剤が存在しない領域に対してめっきを促進する(たとえば、加速剤)または遅延させる(たとえば、阻害剤)少なくとも1つのめっき添加剤をインクが含むので、堆積処理は優先的である。
【0049】
実例では、インクがめっき加速剤を含む事例では、インクが存在する基板の領域は、インクが存在しない基板の領域と比較して優先的電気めっきを受ける。逆に、インクがめっき阻害剤を含む事例では、インクが存在しない基板の領域は、インクが存在する基板の領域と比較して優先的電気めっきを受ける。これらの例の各々について、以下で図3A図3Dおよび図4A図4Dに関連してさらに記述する。いずれの場合も、いくらかの量(たとえば、非ゼロの量)の堆積が、基板の印刷領域と非印刷領域の両方で行われてよい。しかしながら、非印刷領域に対して印刷領域で達成される異なる堆積速度は、パターン形成された特徴の成長をもたらす。特徴は、より速い金属堆積速度を体験する領域に位置決めされる。換言すれば、本明細書で使用するとき、用語「特徴」は、特に指定のない限り負の/凹状の特徴ではなくむしろ正の/浮き出た特徴を指すことが意図される。
【0050】
優先的堆積処理によって金属を電気めっきした後、化学エッチング装置256に基板を移送し、動作207で、基板を化学的にエッチングして、めっきされた過剰な金属およびシード層を除去する。めっきされた金属は、特徴が存在する領域で部分的に除去されてよい。めっきされた金属およびシード層は、エッチング前に特徴の間にある領域で(特徴が存在する領域と比較して)金属が比較的少ないのでこれらの領域で実質的に、または完全に除去されてよい。これらのエッチングは、空間的かつ電気化学的に金属特徴を互いに隔離するように作用する。
【0051】
処理設備のさまざまな部分は、さまざまな方法で組み合わされてよい。一例では、システムは物理蒸着装置、電気流体力学吐出印刷装置、電気めっき装置、および化学エッチング装置を含み、各装置は、互いに別個のものであり分離している。別の実施形態では、図2Bに示す装置の1つまたは複数は、多数の処理を遂行する、より大きな装置のモジュールの形で提供されてよい。たとえば、物理蒸着装置は、別個の装置であってよく、一方、電気流体力学吐出印刷装置、電気めっき装置、および化学エッチング装置などの液体に基づく大気処理装置は、統合された処理装置内のモジュールとして提供されてよい。別の例では、物理蒸着装置および化学エッチング装置は、それぞれ分離した別個の装置であり、一方、電気流体力学吐出印刷装置および電気めっき装置は、それぞれより大きな統合された処理装置内部のモジュールとして提供される。別の例では、化学エッチング装置は分離した別個の装置であり、一方、物理蒸着装置、電気流体力学吐出印刷装置、および電気めっき装置は、それぞれより大きな統合された処理装置内のモジュールとして提供される。別の例では、物理蒸着装置および電気流体力学吐出印刷装置は、それぞれより大きな統合された処理装置内のモジュールとして提供され、一方、電気めっき装置および化学エッチング装置は、分離した別個の処理装置として提供される、または第2の統合された処理装置として一緒に提供される。さらに他の実施形態では、物理蒸着装置および/または電気めっき装置の1つまたは複数は、電気流体力学吐出印刷を遂行するためのハードウェアを含むように修正されてよい。電気めっき装置を修正して電気流体力学吐出印刷を遂行するためのハードウェアを含む場合、電気流体力学吐出印刷処理で使用するインクは、電気めっき溶液を汚染できないことを確実にするように注意すべきである。移動可能なバッフルまたは他の封じ込めハードウェアを提供してよい。図2Bに示す装置からなる多くの構成が可能であり、任意のそのような組み合わせは、本明細書の実施形態の範囲に入ると考えられる。そのように構成されたツールは、直線、多重レベル、カルーセル、コンベヤ、クラスタ、または他の一般的なツール設計からなる可能性があり、処理のタイプごとのモジュール数は、実質的に2以上(たとえば、10)とすることができ、この場合、並列に動作する処理モジュールの各タイプの数の混合比は、ツールの生産性/出力に基づいて最適化される。
【0052】
図3A図3Dは、一実施形態による、特徴を上に形成するときに部分的に製作された半導体基板を描く。図3A図3Dの実施形態では、電気流体力学吐出印刷処理で使用するインクは、電気めっき加速剤を含む。したがって、この例でのインクは、「加速剤インク」と呼ばれる。図2Aおよび図2Bで記述する動作および装置に関連して図3A図3Dについて説明する。図3Aは、上にシード層301を伴う基板300を描く。特定の例では、多くの異なる基板および材料を使用してよいが、基板300は、シリコンウエハの全面にわたり二酸化ケイ素の層を含む。シード層301は銅、タンタル、またはそれらの組み合わせなどの導電性材料を含む。別の例では、シード層301はニッケルを含む。シード層のためにさまざまな材料および材料の組み合わせを使用してよい。シード層301が、ある組合せの材料を含むある種の事例では、シード層の一番上の曝露された部分は、めっきすべき金属構造と同じ金属(たとえば、導線については銅シード)であるが、しかしながら、この必要性は、常にあてはまるわけではない。一般的に言って、シード層301の曝露された表面は、水性めっきを使用している場合には水溶液内で電気めっきできる金属であるべきである(たとえば、ニッケルシード層を使用して導線をめっきできるが、たとえばW、Ta、Tiなどの阻害性酸化表面層が原因で、一般にめっきできない金属の曝露された表面をめっきできない)。図2Aおよび図2Bを参照すると、シード層301は、動作201で、シード層堆積装置250(たとえば、いくつかの事例では物理蒸着装置または無電解堆積装置)の中で形成されてよい。シード層301を提供後、図3Bに示すように、シード層301上に加速剤インク302を印刷する。この印刷は、動作203で、電気流体力学吐出印刷装置252の中で達成されてよい。加速剤インク302は、所望の金属特徴のパターンと一致するパターンで印刷される。
【0053】
シード層301上に加速剤インク302を印刷後、シード層301上および加速剤インク302上に金属303を電気めっきする。この電気めっきは、動作205で、電気めっき装置254の中で行われる。金属303は、図3Cに示すように印刷領域と非印刷領域の両方の全面にわたり形成するが、加速剤インク302で印刷された領域の全面にわたりより迅速に、したがって、より大規模に成長する。事実上、電気めっき溶液内の任意選択の追加めっき添加剤(たとえば、加速剤を使用しない印刷区域の相対的めっき速度を遅くする抑制剤、および任意選択のレベラ(leveler))と共に加速剤インク302内に加速剤が存在することにより、非印刷領域に対して印刷領域でより速い電気めっき速度を促進するように作用する。この例では、金属303は、非印刷領域に対して印刷領域で3倍速く優先的にめっきする。本明細書の多くの実施形態では、金属303は、非印刷領域に対して印刷領域で少なくとも4倍速く、または少なくとも10倍速く、または少なくとも20倍速く優先的にめっきする。相対的堆積速度は、印刷により堆積した添加剤の濃度、加える電圧もしくは加える全電流、温度、ならび酸および/または銅の濃度の選択、およびめっき電解質内の選ばれた任意のめっき添加剤(たとえば、抑制剤および/またはレベラ)の化学的同一性などの要因に依存する。堆積速度が異なる結果として、加速剤インク302が提供するパターンは、金属303まで移送する。電気めっき後、基板300は、化学エッチング装置256に移送され、動作207で、化学エッチングを受けて、図3Dに示すように、金属303の一部分およびシード層301の一部分を除去する。具体的には、基板300は、非印刷領域(たとえば、加速剤インク302が存在しない領域)で金属303とシード層301の両方が完全に除去され、一方、印刷領域(たとえば、加速剤インク302が存在する領域)で依然として残っているような程度までエッチングされる。図3Dの参照数字303dは、動作207で、化学的にエッチングした後に基板300上に残る金属特徴を表す。このエッチング動作後、金属特徴303dは、空間的かつ電気化学的に互いに隔離される。
【0054】
図4A図4Dは、別の実施形態による、特徴を上に形成したときに部分的に製作された半導体基板を描く。図4A図4Dの実施形態では、電気流体力学吐出印刷処理で使用するインクは、電気めっき阻害剤を含む。したがって、この例でのインクは、「阻害剤インク」と呼ばれる。図2Aおよび図2Bで記述する動作および装置に関連して図4A図4Dについて説明する。図4Aは、上にシード層401を伴う基板400を描く。シード層401は、図3Aのシード層301に類似する。シード層401は、動作201で、シード層堆積装置250の中で形成されてよい。シード層401を提供後、図4Bに示すように、シード層401上に阻害剤インク402を印刷する。この印刷は、動作203で、電気流体力学吐出印刷装置252の中で達成されてよい。阻害剤インク402は、所望の金属特徴のパターンの逆に一致するパターンで印刷される。換言すれば、金属特徴が望まれない領域に阻害剤インク402を提供する。
【0055】
シード層401上に阻害剤インク402を印刷後、シード層401上および阻害剤インク402上に金属403を電気めっきする。この金属めっきは、動作205で、電気めっき装置254の中で行われる。金属403は、図4Cに示すように印刷領域と非印刷領域の両方の全面にわたり形成するが、阻害剤インク402が存在しない領域の全面にわたりより迅速に、したがって、より大規模に成長する。事実上、阻害剤インク402内に存在するめっき阻害剤は、電気めっき溶液内の追加のめっき添加剤(たとえば、加速剤、ならびに任意選択の抑制剤および/またはレベラ)と共に、印刷領域に対して非印刷領域でより速い電気めっき速度を促進するように作用する。この例では、金属403は、印刷領域に対して非印刷領域で3倍速く優先的にめっきする。本明細書の多くの実施形態では、金属403は、印刷領域に対して非印刷領域で少なくとも4倍速く、または少なくとも10倍速く、または少なくとも20倍速く優先的にめっきする。図3A図3Dに関連して指摘するように、相対的堆積速度は、印刷により堆積した添加剤の濃度、加える電圧もしくは加える全電流、温度、ならびに酸および/もしくは銅の濃度の選択、ならびにめっき電解質内の任意の選ばれためっき添加剤(たとえば、加速剤、抑制剤、および/またはレベラ)の化学的同一性などの要因に依存する。堆積速度が異なる結果として、阻害剤インク402が提供するパターンの逆は、金属403まで移送する。電気めっき後、基板400は、化学エッチング装置256に移送され、動作207で、化学エッチングを受けて、図4Dに示すように、金属403の一部分、阻害剤インク402、およびシード層401の一部分を除去する。具体的には、基板400は、金属403、阻害剤インク402、およびシード層401が印刷領域(たとえば、阻害剤インク402が存在する領域)で完全に除去され、一方、非印刷領域(たとえば、阻害剤インク402が存在しない領域)で依然として残っているような程度までエッチングされる。図4Dの参照数字403dは、動作207で、化学的にエッチングした後に基板400上に残る金属特徴を表す。このエッチング動作後、金属特徴403dは、空間的かつ電気化学的に互いに隔離される。
【0056】
図9A図9Dは、ある種の実施形態で使用してよい処理の流れの例を示す。図9A図9Dの処理の流れを図3A図3Dおよび図4A図4Dに示す処理の流れと組み合わせてよい。換言すれば、この処理の流れは、電気化学的活性インク(たとえば、加速剤インクまたは阻害剤インク)で特徴を優先的に電気めっきした後に使用してよい。図9A図9Dに示す実施形態は、異なるタイプの金属を含む積層を形成可能にする。そのような実施形態は、形成されている特徴が、異なる金属の層を含む状況で特に有用であることがある。状況の一例は、たとえば拡散障壁およびその上のはんだ層を有する金属特徴を含んでよい相互接続柱の形成である。特定の例では、金属特徴は銅であり、拡散障壁はニッケルであり、はんだはスズまたはスズ-銀である。状況の別の例は、比較的広いが薄い電気接続パッドの形成である。さまざまな実施形態では、形成された積層は銅、ニッケル、スズ、インジウム、銀、金などの任意の組合せを含んでよい。
【0057】
基板900は、図9Aに示すように始まる。基板900は、接着障壁層911の全面にわたり位置決めされたシード層901を含む。シード層901は、本明細書で記述する他のシード層に類似する。接着障壁層911はタングステン、チタニウム、タンタル、チタニウム-タングステン、タンタル-タングステンなどの材料を含んでよい。金属903は、シード層の上に電気めっきされ、浮き出た特徴を形成する。本明細書で記述する技法を使用して、たとえば、電気流体力学吐出印刷装置252を使用してこの電気めっきを行って基板の表面上に電気化学的活性インクを提供してよく、続いて電気めっき装置254の中で優先的電気めっきを行って、浮き出た特徴を形成する。図9A図9Dはインクを描いていないが、そのような乾燥したインクは、図3Cおよび図4Cに関連して説明および例示するように、シード層901と金属903の間に存在してよいことが理解される。さらに、図9Aは、隣接する特徴の間にあるどんな金属903も示していないが、そのような金属は、図3Cおよび図4Cに示すように存在してよいことが理解される。
【0058】
シード層901の上に金属903をめっきした後、図2Bの化学エッチング装置256などのエッチングチャンバに基板900を移送する。この場合、シード層901および金属903をエッチングして、図9Bに示すように、シード層901が曝露された領域内でシード層901を除去する。このエッチングは、図2Aの化学エッチング動作207に類似する。エッチング処理は選択的であり、接着障壁層911を実質的に元のまま残しながら、曝露されたシード層901を除去することを目的とする。
【0059】
次に、電気めっき装置254に基板を戻し、図9Cに示すように、実質的に接着障壁層911上に堆積させることなく金属903上に拡散障壁層912を選択的にめっきする。たとえばシード層901/金属903が接着障壁層911と接触する隅で、いくらかの量の拡散障壁層912が接着障壁層911上に形成されてよいことが理解される。この用途のためには、そのような堆積は本質的ではないと考えられる。さらに、そのような堆積は、シード層901/金属903が存在することだけが原因で発生すること、ならびに拡散障壁層912は、シード層901/金属903により形成された特徴から除去される場所で接着障壁層911上に形成しないことが理解される。
【0060】
拡散障壁層の材料の一例はニッケルであるが、望むように他の材料を使用してよい。作用理論または作用機構により縛られることを望むことなく、シード層901が除去され接着障壁層911が酸素/湿気に曝露された後に接着障壁層911が酸化するようになるので、拡散障壁層912は、接着障壁層911上に形成されないと考えられている。このような酸素/湿気への曝露は、エッチングチャンバと電気めっきチャンバの間で基板を移送するときに生じることがある。接着障壁層911の酸化した材料は、めっきされた金属の直接の核形成および成長を大いに阻害し、金属(たとえば、拡散障壁層912)は酸化した材料上にめっきされないことを意味する。さらに、接着障壁層911の最上部の曝露された表面は酸化されるようになるが、接着障壁層911は、金属903からなる隣接する特徴間で何らかの電気的接続性を依然として提供し、その結果、金属903上にさらに電気めっき可能になる。したがって、拡散障壁層912は、めっきされるとき、接着障壁層911上に堆積することなく金属903上に選択的に堆積する。拡散障壁層912は、金属903の曝露された側すべての上に(さらには金属903の下方に依然として存在するシード層901の曝露された部分にも)堆積する。
【0061】
次に、図9Dに示すように、接着障壁層911上に実質的に堆積することなく拡散障壁層912上にはんだ層913を選択的に堆積させる。この堆積は、拡散障壁層912の堆積に関して上記で記述するのと同じ理由で選択的である。図9Dに示す特徴は、たとえばはんだコートされた柱または接続パッドであってよい。図9A図9Dに関して記述する特定の構造および材料を、異なる金属の層を含む特徴の形成を例示する目的で提供する。本実施形態は、本節で記述する特定の構造または材料に限定することを意図するものではない。本明細書に記述する金属の任意の組合せを含み、特定の用途のために、望むようにさまざまな構造および材料を形成してよい。
【0062】
電気流体力学吐出印刷を使用して、インクジェット印刷などの代替印刷法でこれまで達成できなかった極端に細い小さなスケールのパターンを作り出すことができる。たとえば、インクジェット印刷は、約50μm~100μmの小さな直径を有するドットなどの特徴を作り出すことができる。それに比べれば、電気流体力学吐出印刷を使用して、<0.5μmの寸法を有するドット、線、または他の特徴を形成できる。より大きな特徴を望む場合、電気流体力学吐出印刷を使用して、たとえば<0.5μmの解像度で非常に正確により大きな特徴を形成できる。換言すれば、電気流体力学吐出印刷は、極端に小さなスケールの特徴を形成するために有用であるだけではなく、ある程度より大きな特徴を高精度に形成するためにも有用である。電気流体力学吐出印刷の原理について図5を参照して説明する。
【0063】
図5は、電気流体力学吐出印刷処理中の基板500を例示する。ノズル501にはインク502が充填されている。さらに、ノズル501は、必要応じてノズル501の中にインク502を提供するインク貯蔵器(図示せず)と流体でつながっている。ノズル先端503は、ノズル501の最下部にある。ノズル先端503は、基板500のすぐそばに持って行かれる。ノズル501と基板500の間に大きな電位504を加えると、基板500の表面に対してインク502内部の溶媒分子の双極子モーメントが再配向する結果、基板表面の符号と反対符号の液相表面空間電荷が作り出される。これによりインク502は、基板500の表面に向けて引っ張られ、ノズル先端503にテイラーコーン(Taylor cone)を形成し、ノズル先端503からインク502は、最終的にインク液滴505として排出される。インク液滴505は残留電荷を含有し、電位504により作り出された電界の中で基板500の表面に向けて加速される。基板500の表面に衝突すると、インク液滴505内の電荷は中和される。この液滴に基づく流体が流れる結果、ノズル501と基板500の間に作り出された「回路」の中を電流が間欠的に流れる。基板500に衝突した後、インク液滴505内の溶媒は乾燥し、インク502内のどんな不揮発性物質も後に残す。本明細書のさまざまな実施形態では、そのような不揮発性物質は、加速剤または阻害剤などの電気めっき添加剤であってよい。
【0064】
図5は、単一ノズルだけを示すが、電気流体力学吐出印刷処理は行、列、アレイ、または他の構成で提供される独立に制御可能な多数のノイズを利用してよいことが理解される。そのようなノズルの各々に独立にバイアスをかけて、ノズルに望むように粒子を排出させる、または排出させないことが可能である。さらに、ノズルおよび基板は、望むようにさまざまな場所で基板と各ノズルが相互作用できるように互いに対して動いてよい。いくつかの事例では,ノズルは移動可能である。別の事例では、基板(たとえば、基板支持物)は移動可能である。さらに別の事例では、ノズルと基板の両方は移動可能である。図5は、下方に突出する比較的細長い軸としてノズル501を示すが、他のノズル設計もまた使用してよい。別の実施形態では、インクを配送するためのノズルはより簡単であってよく、たとえばインク貯蔵器と流体でつながった開口部を含む。そのような実施形態では、開口部は、ノズル先端503にある開口に類似する。本明細書で使用するとき、特に指摘しない限り開口部および開口という用語を交換可能に使用する。
【0065】
ある種の実施形態では、ノズル先端503の開口の幅は、約50nm~5000nmの間であってよい。多くの事例では、液滴のサイズは、ノズル先端開口と比べて3分の1である。実例では、約300nmの直径を有するノズル先端開口を使用して、約100nmの直径を有する液滴を形成してよい。一般に、ノズル先端開口の幅は、小さなスケールの特徴を印刷するために比較的小さくあるべきである。実例では多くの事例で、上記の範囲のノズル幅を使用して、約20nm~1500nmのオーダーの直径を有するインク液滴を作り出してよい。この範囲の液滴サイズを使用して、たとえば<0.5μmのオーダーの極端な高解像度でパターン(および最終的にめっきされた金属特徴)を形成してよい。ある種の実装形態では、ノズル先端503と基板500の表面の間の距離506は、約0.05mm~5mmの間であってよい。
【0066】
装置はまた、特徴に対してノズル/印刷ヘッドの3D位置を調整するためのノズルおよび/または基板測位機器など、印刷処理全体を支援する、図5に示さない他の特徴をいくつか包含してよい。実例では、装置は、光学的探索および自動誘導のためのハードウェアを含んでよい。そのようなハードウェアは、ウエハ上の起点を検出するように構成されてよく、それによりノズル/印刷ヘッドと基板の間で正確に整列できるようになり、その結果、印刷は、基板上の基礎をなす構造、基板上のノッチおよび/もしくは他の起点、ならびに/または基板の縁部に対して基板上の所望の場所で行われる。装置は、バルク貯蔵容器からノズルヘッドに印刷インクを制御して配送するためのハードウェア(たとえば、ポンプ、管、フィルタなど)を含んでよい。装置は、多重ノズルヘッド内部で多数のノズルを同時に独立して位置決めするのを支援する特徴を含んでよい。個々の圧電性測位機器をいくつか提供してよく、それぞれ互いに対して多重ノズルヘッド組立体の1つまたは複数のノズルを動かすことができ、それにより、線間並列印刷動作の間隔を可変でとることが可能になる。装置は、熱の除去または付加を制御するための要素、およびインク、基板、もしくは両方の温度を制御するための要素を含んでよい。
【0067】
装置は、印刷ヘッドおよび加工物の上方の領域が実質的に密閉されるように設計されてよく(たとえば、環境チャンバを形成する)その結果、ヘッド周辺の空間の大気環境、および/または印刷ヘッドとウエハの間にあるギャップ内の空間の大気環境は、存在する温度および/またはガスに関して制御される。たとえば、環境チャンバを使用して、望ましくないガス(たとえば、酸素または湿気)を除去してよい。これらの例または他の例では、1つまたは複数の(たとえば、反応性または不活性)ガスをチャンバに追加して、たとえばインクまたは基板と反応させても、不活性大気(たとえば、窒素、アルゴン)を作り出してもよい。これらの例または他の例では、装置は、蒸発したインク溶媒を、制御された量含有するように、および/または(たとえば、溶媒が蒸発するのを補助してよい)真空条件下で印刷を遂行するように大気を調整するハードウェアを含んでよい。これらの例または他の例では、装置は、制御された環境の中で確実かつ安全に基板を保持するように設計された密閉箱である1つまたは複数のFOUP(front opening unified pod、前面開口式一体型ポッド)を有してよい。基板は、たとえば図7に関連して以下で論じるように、適切なロードポートおよびロボット取扱いシステムを具備するツールによりFOUPから取り除かれてよい。FOUPを使用して、入ってくる基板および/または出て行く基板をそれぞれ装置内で処理する前および/または処理した後に貯蔵してよい。
【0068】
いくつかの実施形態では、装置は、互いに並列に動作する2つ以上のモジュールを含んでよい。各モジュールは、本明細書に記述するように、たとえば基板表面上で電気流体力学吐出印刷を提供するように構成されてよい。代わりにまたは追加で、1つまたは複数のモジュールは、図7および図8に関連して以下でさらに記述するように、他の機能を遂行するように構成されてよい。そのような他の機能は、印刷する前に基板を前処理すること、印刷後かつ電気めっき前に基板をすすぐこと、すすいだ後に基板を乾燥させること、および基板を電気めっきすることを含んでよいがそれらに限定されない。いくつかの例では、印刷前に基板を前処理するためのモジュールは、ウエハから表面酸化物を除去するように動作してよい。この除去は、湿式前処理ステーションの中で湿式を使用して、または乾式前処理ステーションの中で乾式を使用して達成されてよい。湿式は、H2SO4などの希酸またはジメチルアミンボラン(DMAB)などの還元剤を基板表面に適用するステップを伴ってよい。乾式は、フォーミングガスなどの還元性雰囲気の中で(たとえば、約100℃~200℃の間の温度に)基板を加熱するステップを伴ってよい。さまざまな実施形態では、装置は、図7および図8に関連して以下でさらに論じるように、さまざまなモジュール間でウエハを保持し配送するためのシステム(たとえば、ロボット取扱いシステム)を含んでよい。
【0069】
他の共通の装置特徴は、流体条件配送制御装置(たとえば、ヒータ/冷却器、熱交換器、レベルコントローラなど)、ならびたとえば(たとえば、ノズル高さが電気流体力学電流に結びついている電流フィードバックを使用して)ノズル位置を、および(たとえば、基板上の液体膜の光学的分析を使用して)流体配送を調整するためのフィードバック制御度量衡を含んでよい。さらにまた、多重チャネル電力および/または電力切替機器は、より大きな「印刷ヘッド」内部で個々に動作するように電気流体力学吐出印刷ヘッドのアレイのオン-オフ制御を可能にすると想定される。
【0070】
電気流体力学吐出印刷中に制御してよい1つの要因は、1つまたは複数のノズル501の各々と基板500の間に加える電位504(または、それに関連して電流)の大きさである。電界が特定の制限値を超えるとき、テイラーコーンの尖部で表面電荷斥力からの応力が表面張力を超え、インク液滴505は、基板500に向けて排出される。電界電位504は、多数の方向でのインクの微粒化、または不完全に制御されたインク噴霧が生じる電位以下であるべきである。ある種の実装形態では、ノズル501と基板500の間に加える電位504の大きさは、約0.5kV~10kVの間、または約1.5kV~4kVの間であってよい。電位の大きさは、たとえばインク502内の溶媒の同一性および性質、インク502内の電気めっき添加剤の同一性および性質、(もしあれば)インク502内に存在する任意の追加種の同一性および性質、ノズル先端503と基板500の間の距離506、ならびに印刷されたパターン内の特徴のサイズおよび解像度を含む、いくつかの特徴に依存してよい。
【0071】
さまざまな実施形態では、インクおよび/またはインク液滴は特定の性質を有してよい。本明細書の実施形態では、インクは、溶媒の中に溶解した少なくとも1つの電気めっき添加剤を含む。インク液滴が基板表面に到達するのを確実にするために、インク液滴は特定のサイズを有してよく、インク内の溶媒は特定の揮発性を有してよい。さまざまな実施形態では、液滴サイズは、少なくとも約20nm、少なくとも約50nm、または少なくとも約100nmであってよい。これらの事例または他の事例では、液滴サイズは、約1500nm以下、約1000nm以下、約400nm以下、約200nm以下、約100nm以下、または約50nm以下であってよい。いくつかの特定の例では、液滴サイズは、約20nm~1000nmの間、または約100nm~400nmの間であってよい。これらの実施形態または他の実施形態では、インク内に存在する溶媒は、約90℃~275℃の間の、または約100℃~225℃の間の標準沸点を有してよい。ある種の事例では、溶媒は、少なくとも約95℃、少なくとも約100℃、少なくとも約125℃、少なくとも約150℃、または少なくとも約175℃の標準沸点を有してよい。これらの実施形態または他の実施形態では、溶媒は、約275℃以下の、たとえば約225℃以下の、または約150℃以下の標準沸点を有してよい。これらの実施形態または他の実施形態では、インク内に存在する溶媒は、25℃で約0.05トール~30トールの間の(たとえば、約6Pa~4000Paの間の)、または約0.1トール~25トールの間の(たとえば、約13Pa~3300Paの間の)蒸気圧を有してよい。多くの事例では、溶媒は、25℃でおよそ水の蒸気圧以下の蒸気圧を有してよい。25℃で水は、約23.8トール(たとえば、約3175Pa)の蒸気圧を有する。したがって、さまざまな実施形態では、溶媒は、25℃で約24トール以下(たとえば、約3200Pa以下)の蒸気圧を有してよい。蒸気圧は25℃で考慮されるが、溶媒は使用中に、異なる温度にあってよいことが理解される。より揮発性のある溶媒は、基板表面に到達する前に乾燥することがあり、その時点で自由電荷は空中で溶媒を分解する。その場合パターンは、基板表面上に効果的に印刷できない。逆に、それほど揮発性がない溶媒は、基板の表面上に存在すると十分迅速には乾燥しないことがある。その場合、インクは不鮮明になり、所望のパターンの目標寸法を越えて外へ向かって濡れることがある。多くの事例では、液滴は、基板表面に到達して100ms以内に完全に乾燥することが望ましい。
【0072】
インクに関する別の考慮事項は、溶媒が電気めっき添加剤を十分に可溶化すべきであるということである。多くの事例では、電気めっき添加剤は、有極性有機めっき添加剤である。そのような場合、溶媒も有極性であってよく、それにより有極性有機めっき添加剤を可溶化するのに役立つことがある。使用してよい有極性有機めっき添加剤の一例は、加速剤のメルカトルプロパンスルホン酸である。いくつかの事例では、溶媒は、めっき添加剤を可溶化する溶媒の能力に影響を及ぼすことがある特定の誘電率を有してよい。ある種の事例では、溶媒は、一般に水の誘電率に類似する約40~90の間の誘電率を有してよい。一般的に言って、溶媒およびめっき添加剤は、同等の極性を有するべきである。
【0073】
上記の基準を満たす溶媒の例は水、テルピネオール、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびそれらの組合せを含む。溶媒のこれらの例はまた、溶媒内部にある電気めっき添加剤の揮発性および溶解性が上記で提供する指針の範囲内に留まるという条件で他の溶媒と組み合わされてよい。多くの事例では、溶媒は有機物であり非水溶性であるが、いくつかの事例では、水を使用してよい。基礎となる溶媒の粘度、誘電率、および他の性質を修正して目標性能を有するインクを作り出すために使用できる共溶媒の例は炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、DMSO、および水を含む。一緒に使用してよい共溶媒の他の例は、炭酸ジエチル/炭酸プロピレン、炭酸ジメチル/炭酸プロピレン、炭酸ジエチル/炭酸エチレン、および炭酸ジメチル/炭酸エチレンを含んでよいがそれらに限定されるわけではない。
【0074】
インクに関する他の考慮事項は、インクの粘度である。粘度がありすぎるインクは、処理することが、および/もしくは印刷ヘッドに送達することがあまりにも困難であることがある、または適切な手法でノズル先端から抜き取ることがあまりにも困難であることがあり、一方、粘度が不十分なインクは、基板表面上で乾燥する前に迅速に/容易に不鮮明になることがある。ある種の実装形態では、インクは(たとえば、20℃で)約0.7cP~20cPの間の、より一般的には約0.8cP~3cPの間の周囲温度粘度を有してよい。
【0075】
インク内部に特定の濃度で電気めっき添加剤を提供してよい。いくつかの実施形態では、電気めっき添加剤は、約0.01g/L~10g/L(10ppm~10,000ppm)の間、または約0.1g/L~10g/Lの間、いくつかの事例では約0.1g/L~1g/L(約100ppm~1000ppm)の間の濃度で提供されてよい。いくつかのそのような実施液体では、電気めっき添加剤は、少なくとも約0.1g/L(100ppm)または少なくとも約0.15g/L(150ppm)または少なくとも約0.2g/L(200ppm)の濃度で提供されてよい。特定の用途のための電気めっき添加剤の理想的濃度は、電気めっき添加剤の同一性および性質、溶媒の同一性および性質、後で金属特徴を電気めっきするために使用する電気めっき溶液の組成などのような要因に依存してよい。さまざまな実施形態では、目標は、インクが湿らす表面(たとえば、インクが印刷されることが望まれる場所にあるシード層)を完全に覆い、その表面と反応するのに十分な電気めっき添加剤をインクに供給させること、および吸着した材料の少なくとも単層を形成することである。単層は、一般にインクが印刷された領域に限定されることが理解される。
【0076】
電気めっき添加剤および溶媒に加えて、インクは、1つまたは複数の追加種を含んでよい。たとえば、いくつかの実例では、インクは湿潤剤(たとえば、界面活性剤)を含んでよい。存在するとき、湿潤剤は、溶媒の表面張力を変化させてよく、それによりインク液滴のサイズ、ならびにその結果得られる印刷パターンおよびめっきされた金属特徴のサイズおよび形状に影響を及ぼす。湿潤剤は、インクと(たとえば、シード層)上にインクが印刷された金属表面の間の接触角を低減させてよく、それによりインクの湿潤性を改善する。湿潤剤は、非電気化学的活性化合物であってよい。多くの事例では、湿潤剤は、金属表面(たとえば、シード層)に結合しないので、すすぐときに溶解して離れる、および/またはめっき溶液と接触する。湿潤剤の役割を果たしてよい界面活性剤は、たとえばラウリル硫酸ナトリウム、ポリプロピレングリコールもしくはエチレングリコール、または酸化物を含む。これらの事例および他の事例では、インクは塩を含んでよい。存在するとき、塩は、インクの蒸気圧、粘度、および他の性質を変化させることがあり、それにより液滴サイズ、ならびにその結果得られる印刷パターンおよびめっきされた金属特徴に影響を及ぼす。塩の例は、たとえばテトラメチル炭酸塩もしくはテトラエチル炭酸塩、クエン酸塩、または水酸化物および硫酸銅を含んでよい。インクは、加速剤を含む場合、抑制剤および/または阻害剤がなくてよい。同様にインクは、阻害剤を含む場合、加速剤がなくてよい。いくつかの事例では、たとえば加速剤インクと組み合わせて湿潤剤を使用し、さらにまた湿潤剤が偶然めっき抑制剤として挙動する場合、インクは、加速剤と抑制剤(たとえば、湿潤剤)の両方を含んでよい。加速剤、抑制剤、および阻害剤などの電気めっき添加剤だけではなく、電気めっき処理中の電気めっき添加剤の相互作用について、以下でさらに論じる。
【0077】
インクは、電気流体力学吐出印刷装置のノズルに配送されたときに特定の最大酸素濃度を有してよい。いくつかの事例では、脱気剤を提供して、インク内の酸素濃度が最大標的濃度以下になることを確実にしてよい。脱気剤は、インク貯蔵器に、またはインク貯蔵器とノズルの間に流体で接続されてよい。ある種の実施形態では、ノズルに配送されるインク内の最大酸素濃度は約1ppmである。インク内の酸素レベルはまた、有機または無機の亜硫酸塩など、インク自体の中で酸素と反応し酸素を消費する種を含むことにより制御できる。1つの特有の例は亜硫酸ナトリウムである。酸素と反応し酸素を消費する種は、インク内で約1ppm以下に酸素濃度を維持するのに十分な濃度でインクの中に提供されてよい。
【0078】
電気流体力学吐出印刷処理に影響を及ぼす可能性がある別の要因は、印刷を行う温度である。たとえば、インクの温度は、インクの粘度に影響を及ぼすことがあり、それにより液滴サイズ、およびその結果得られる印刷パターン/めっきされた特徴に影響を及ぼす可能性がある。同様に、基板の温度は、インクがどれだけ迅速に乾燥するかに影響を及ぼす可能性がある。さまざまな事例では、インクの温度、ノズルの温度、および/または基板(または基板が位置決めされる支持物)の温度を印刷中に制御してよい。実例では、インクおよびノズルは、印刷中に約100℃~200℃の間の温度に維持されてよい。これらの事例または他の事例では、基板または基板支持物の温度を印刷中に制御してよい。たとえば、基板または基板支持物は、特定の溶媒およびインクの特性に応じて、冷却された温度または加熱された温度に維持されてよい。たとえば、基板および基板支持物は、印刷中に約100℃~200℃の間の温度に維持されてよい。
【0079】
いくつかの事例では、インクは、長期間貯蔵できるように化学的に安定であってよい。他の事例では、インクは、化学的にそれほど安定していなくてよい。いくつかのそのような実施形態では、関連する溶媒の中に関連する成分を混合することにより、使用する少し前に(たとえば使用前の約1週間以内に、たとえば使用前の約3日以内に、または使用前の約24時間以内に)インクを所望の濃度で準備してよい。
【0080】
基板はまた、特定の性質を有してよい。たとえば、多くの事例では、基板はシリコン半導体ウエハである。多くの場合、基板はその上に酸化ケイ素の層を有する。さらに、基板は典型的には、図3Aおよび図4Aに示すように、電気流体力学吐出印刷装置に提供されるときに曝露される導電性シード層を含む。導電性シード層は、典型的には金属であり、多くの場合、銅、タンタル、ニッケル、またはそれらの混合物を含む。いくつかの事例では、さらにまた他の金属を使用してよい。シード層は、約50Å~2000Åの間の厚さを有してよい。印刷後、電気流体力学吐出印刷処理では、乾燥インクは、約0.01μm~0.25μmの間の厚さを有してよい。印刷後かつエッチング前、優先的にめっきされた特徴は、約0.25μm~25μmの間の(たとえば高さとして測定された)厚さを有してよい。優先的にめっきされた特徴の間にあるめっきされた金属(たとえば、比較的遅い速度で成長した金属)の厚さは、約0.05μm~2μmの間の(たとえば、高さとして測定された)厚さを有してよい。図3Dおよび図4Dに関連して説明するように、電気めっき後に化学エッチングを使用して、(i)優先的にめっきされた特徴の間にある望ましく金属、(ii)優先的にめっきされた特徴の間にある不要なシード層、(iii)もしあれば不要なインク、および(iv)優先的にめっきされた特徴上の金属の最上部をエッチングして除去してよい。エッチング後、優先的にめっきされた金属特徴は、空間的かつ電気化学的に互いに隔離される。隔離された特徴は、約0.20μm~20μmの間の高さを有してよい。
【0081】
上記で指摘するように、インクは典型的には、非印刷領域に対して印刷領域で異なるめっき速度を促進するように作用する電気めっき添加剤を含む。多くの事例では、添加剤は加速材または阻害剤である。インクが加速剤を含む場合、電気めっき溶液は、典型的には抑制剤(および任意選択のレベラ)を含む。インクが阻害剤を含む場合、電気めっき溶液は、典型的には加速剤(および任意選択のレベラ)を含む。しかしながら、いくつかの事例では、電気めっき溶液は、加速剤、抑制剤、阻害剤、および/またはレベラがなくてよい(または実質的になくてよい)。そのような場合、電解質は溶媒(たとえば、水)、めっきされる金属のイオン(たとえば、銅の特徴をめっきするための銅イオン)、および酸を含んでよい。
【0082】
どんな動作理論または動作機構にも縛られることを望まないが(単体の、または他の電気めっき溶剤と組み合わせた)ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレングリコール、およびポリプロピレンオキシドなどの電気めっき抑制剤は、特に表面吸着ハロゲン化物(たとえば、塩化物または臭化物)と組み合わせて存在するとき、基板-電解質界面の全面にわたり著しい電圧降下増大を引き起こす表面運動制限(または分極)化合物であると考えられている。ハロゲン化物は、抑制剤分子と基板表面の間の化学吸着ブリッジの役割を果たしてよい。抑制剤は、(1)抑制剤が存在しない区域に対して抑制剤が存在する区域で基板表面の局所的分極を増大させるだけではなく、(2)一般に基板表面の分極も増大させる。(局所的および/または全面的な)分極増大は、抵抗率/インピーダンスの増大に、したがって、加えられた特定の電位でめっきがより遅いことに対応する。
【0083】
従来のめっき抑制剤は、基板表面の上に強く吸着することも、化学的に吸着することもなく、堆積した膜の中にそれほど組み入れられなくなるが、電気めっき槽内の電気分解または化学分解により経時的にゆっくりと劣化することがあると考えられている。従来のめっき抑制剤は、基板表面の上に強く吸着しないので、これらの分子は一般に、インクの中に提供されたときに本明細書で記述する異なるめっき速度を生じさせない。むしろ、インクの中に提供された従来の電気めっき抑制剤は、すすぐときに洗い流される、または電気めっき溶液と接触する可能性が高い。従来の電気めっき抑制剤は多くの場合、比較的大きな分子であり、多くの実例では、本質的にポリマーである(たとえば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、さまざまな共重合体、およびそれらの混合物など)。抑制剤の他の例は、S-および/またはN-含有官能基を伴うポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシド、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドのブロックポリマーなどを含む。抑制剤は、直鎖構造または分岐構造または両方を有する可能性がある。市販の抑制剤溶液の中にさまざまな分子量の抑制剤分子が共存することはよくあることである。本明細書で記述する(たとえば阻害剤インクの中で分極剤として使用してよい)阻害剤と異なり抑制剤分子は、一般に表面に強く結合せず、すすぐことにより表面から除去できる、またはめっき溶液と接触したときに表面から拡散して離れてめっき溶液の中に入る。したがって、抑制剤分子は、本明細書で使用するとき、表面に比較的疎に結合する分極剤であり、阻害剤インク内の原理的阻害剤として有用ではない。そうは言っても、抑制剤は、異なるめっき速度を生じさせる以外の目的で電気流体力学吐出印刷インクに追加されてよい。実例では、いくつかの抑制剤はまた、湿潤剤/界面活性剤の役割を果たす。そのような抑制剤は、関連するシード層上のインクの湿潤性を改善する目的で電気流体力学吐出印刷インク(たとえば、加速剤インクまたは阻害剤インク)の中に提供されてよい。抑制剤はまた、印刷後に基板がめっきされる電気めっき溶液の中に存在してよい。そのような抑制剤は、インクが加速剤インクである場合、特に有益である。
【0084】
いずれの活動理論または活動機構にも縛られることを望まないが、加速剤は(単体で、または他の溶剤と組み合わせて)抑制剤の存在に関連する分極効果を局所的に低減し、それにより電着速度を局所的に増大させる傾向があると考えられている。低減された分極効果は、吸着した加速剤が最も集中した区域で最も顕著である(すなわち、分極は、吸着した加速剤の局所的表面濃度の関数として低減する)。加速剤の例は、ジメルカトルプロパンスルホン酸、ジメルカトルエタンスルホン酸、メルカプトプロパンスルホン酸、メルカトエタンスルホン酸、bis-(3-スルホプロピル)ジスルフィド(SPS)、およびそれらの誘導体を含むがそれらに限定されない。本明細書のさまざまな実施形態では、加速剤は、少なくとも1つのメルカプト基および少なくとも1つのスルホン酸基または塩を伴うアルカン鎖を含む。加速剤は、基板表面に強く吸着されるようになることがあり、印刷処理および/または印刷反応の結果、一般に横方向の表面に動かないが、一般に膜の中にそれほど組み入れられることはない。その結果、加速剤は、相当な金属膜が堆積するのに十分なかなりの時間、金属を体積させたとき、基板上に残る。
【0085】
本開示のためには、(たとえば、インクの中に存在してよい)阻害剤は、(i)表面をすすいだとき、または表面が電気めっき溶液と接触したときに表面上に残るように基板表面と反応する、または基板表面にかなり強く吸着されるようになる、かつ(ii)表面の分極を増大させる(または同様な意味合いで、電荷移送抵抗を増大させる、またはめっき中に表面を通る同じ量の電流を駆動するのに必要な電圧を増大させる)電気化学的活性化合物である。
【0086】
ある種の実施形態では、インクおよび/または電気めっき溶液の中にレベラが存在してよい。どんな作用理論または作用機構にも縛られることを望まないが、レベラは(単体で、または他の溶剤と組み合わせて)分極剤の役割を果たすと考えられる。いくつかの事例では、レベラは、成長する金属膜の中に組み入れられるように加速剤を置換して、除去してよく、または駆動してよく、それにより加速剤に関連する脱分極効果を相殺する。
【0087】
レベラは、基板の分極/表面抵抗率を局所的に増大させることがあり、それによりレベラが存在する区域で局所的電着反応を遅くする。レベラの重要な属性は、レベラの局所的表面濃度が質量輸送によりある程度決定されることであり、典型的にはレベラは、成長するめっきされた膜の中に連続的に消費される、または表面との接触および/または電解還元の結果として非阻害副産物に変換される。このように消費/変換されるので、表面にレベラを連続的に供給して、表面で所望のレベラ濃度を維持する。レベラは、表面から離れて突出して溶液環境により曝露される幾何形状を有する表面構造に主として作用する。この作用は、電着層の表面を「滑らかにする」。多くの場合レベラは、基板表面で拡散限界速度またはそれに近い速度で反応し、または消費され、したがって、レベラを連続して供給することは、多くの場合一様なめっき条件を経時的に維持するのに有益であると考えられている。ある種の実装形態ではインクも電気めっき溶液も、レベラがなくてよい(または同様に、レベラは、ほんの微量であるが存在してよい)。
【0088】
レベラ化合物は、一般にそれらの電気化学的な機能および影響に基づきレベラとして分類され、特定の化学構造または化学式を必要としない。しかしながら、レベラは多くの場合、1つまたは複数の窒素、アミン、イミド、またはイミダゾールを含有し、さらにまた硫黄官能基を含有してよい。ある種のレベラは、1つまたは複数の五員環および六員環、ならびに/または共役有機化合物誘導体を含む。窒素属は環状構造の一部を形成してよい。アミン含有レベラでは、アミンは第一級、第二級、第三級、または第四級のアルキルアミンまたはアリールアミンであってよい。その上アミンは、アリールアミンまたは複素環アミンであってよい。アミンの例はジアルキルアミン、トリアルキルアミン、アリールアルキルアミン、トリアゾール類、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、ピリジン、オキサゾール、ベンゾキサゾール、ピリミジン、キノリン、およびイソキノリンを含むがそれらに限定されない。イミダゾールおよびピリジンは特に有用であることがある。レベラの別の例は、ヤヌスグリーン(Janus Green)Bである。レベラ化合物はまた、エトキシド基を含んでよい。たとえば、レベラは、鎖(たとえば、ヤヌスグリーンB)の全面にわたり機能的に挿入されたアミンの断片を伴う、ポリエチレングリコールまたはポリエチレンオキシドで見いだされた主鎖に類似する一般的主鎖を含んでよい。エポキシドの例は、エピクロロヒドリンまたはエピブロモヒドリンなどのエピハロヒドリン、ならびにポリエポキシド化合物を含むがそれらに限定されない。エーテル含有連鎖により一緒に連結された2つ以上のエポキシド部分を有するポリエポキシド化合物は、特に有用であることがある。いくつかのレベラ化合物はポリマーであるが、他はポリマーではない。ポリマーレベラ化合物の例は、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミン、四級化ポリ(ビニルピリジン)、およびさまざまな酸素エポキシドまたは硫化物とアミンの反応生成物を含むがそれらに限定されない。非ポリマーのレベラおよび電気めっき阻害剤化合物の一例は6-メルカプトヘキサノールである。同様に、多くの他の有機チオールアルコール、およびチオールスルホン酸基含有化合物以外の化合物は、表面に吸着したときにレベラ/めっき阻害剤の役割を果たす。適切なレベラの別の例はポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)である。
【0089】
一般的に言って、加速剤はめっき速度を増大させ、阻害剤、抑制剤、およびレベラはめっき速度を低減させる。レベラはまた、めっき速度を低減するように機能するので、ある種のレベラは、阻害剤の基準を満たすと仮定して、この用途のための阻害剤であると考えられてよい。上記で論じるように、阻害剤は、基板の表面(たとえば、シード層)に結合するようになり、かつ阻害剤がない場合とは対照的に阻害剤が存在する場合にめっき反応を優先的に遅延させるように作用する種である。阻害剤インクを使用するとき、阻害剤インク内の阻害剤から生じる局所的めっき阻害は、電気めっき中にめっきの著しい差(たとえば、阻害剤がない、より大きなめっきの領域、および阻害剤が存在する、より小さなめっきの領域)を生み出すのに十分長く継続すべきである。
【0090】
電気めっき処理で使用する電解質は、特定の性質を有してよい。一例では、電気流体力学吐出印刷処理で使用するインクは、電気めっき加速剤(たとえば、加速剤インク)を含む。したがって、電気めっき処理で使用する電解質は、加速剤がなくてよい(またはほんの微量の加速剤しか有しなくてよい)。これは、所望の場所で、たとえば、加速剤インクが印刷された場所および金属特徴が望まれる場所で、加速剤が基板表面の上にだけ吸着することを確実にする。これらの事例では、電解質は、抑制剤および任意選択のレベラなど、1つまたは複数の他のめっき添加剤を含む。抑制剤濃度の例は、10ppm~1000ppmの間であってよく、レベラ濃度の例は、存在するとき、約0.1ppm~2ppmの間であってよい。さらに、電解質は典型的には、約10g/L~60g/Lの間の濃度で(たとえば、硫酸銅または他の供給源から得られる)銅イオンを、約5g/L~180g/Lの濃度で酸(たとえば、硫酸)を、および約30ppm~80ppmの濃度でハロゲン化物イオン(たとえば、塩化物、臭化物、フッ化物など)を含む。ハロゲン化物イオンは、基板表面上の抑制剤分子の吸着を強化するように作用してよい。この例では、電気めっき中に基板に電流を加え、印刷区域と非印刷区域の両方で銅を堆積させ、阻害剤インクが存在する区域で優先的(たとえば、より大きな)堆積が行われる。
【0091】
別の例では、電気流体力学吐出印刷処理で使用するインクは、電気めっき阻害剤(たとえば、阻害剤インク)を含む。したがって、電気めっき処理で使用する電解質は、阻害剤がなくてよい(またはほんの微量の阻害剤しか有しなくてよい)。これは、所望の場所で、たとえば、阻害剤インクが印刷された場所、および金属特徴が望まれない場所で、阻害剤が基板表面の上にだけ吸着することを確実にする。いくつかの実施形態では、特徴を電気めっきするために使用するめっき溶液は、酸(たとえば、約5g/L~180g/Lの間の硫酸)および(たとえば、約10g/L~60g/Lの間の)第二銅イオンだけを含有してよい。しかしながら、阻害剤インク内の阻害剤とめっき槽内で使用する加速剤の間の相対的表面吸着強度に応じて、めっき速度の著しい差を増強するために加速剤、塩素イオン、および抑制剤などの1つまたは複数の追加成分がめっき槽の中に存在してよい。詳細には、阻害剤がより強く吸着し、加速剤により表面で置換されない場合、加速剤は、めっき溶液の中に存在することができ、表面の阻害剤のない区域に吸着する。これらの事例では、電解質は、抑制剤および任意選択のレベラなど、1つまたは複数の他のめっき添加剤を含むことができる。加速剤濃度の例は、約10ppm~1000ppmの間であってよく、レベラ濃度の例は、存在するとき、約0.1ppm~2ppmの間であってよい。さらに、電解質は典型的には、約10g/L~60g/Lの間の濃度で(たとえば、硫酸銅または他の供給源からの)銅イオンを、約5g/L~180g/Lの濃度で酸(たとえば、硫酸)を、およびさまざまな事例では約30ppm~80ppmの濃度でハロゲン化物イオン(たとえば、塩化物、臭化物、フッ化物など)を含む。この例では、電気めっき中に基板に電流を加え、印刷区域と非印刷区域の両方で銅を堆積させ、阻害剤インクが存在する区域で優先的(たとえば、より大きな)堆積が行われる。
【0092】
阻害剤が基板表面の上に吸着するよりも弱く加速剤が基板表面の上に吸着する代替実施形態では、印刷後、基板の上の阻害剤、メルカプトプロパンスルホン酸などの加速剤を、めっき前に表面全体に曝露できる。この実施形態のある例として、阻害剤インクで表面を選択的に印刷した後、1g/Lのメルカプトプロパンスルホン酸(または他の加速剤)を含有する溶液は、表面を回転させて加速剤に表面全体を曝露しながら基板表面の上に噴霧される、または他の方法で提供される。どんな特定のモデルまたは理論にも縛られることを望まないが、加速剤は、金属表面の阻害剤のない区域の上に吸着するが、加速剤が印刷された場所で阻害剤と反応しない、または阻害剤を置換しない。表面は、次いで表面をすすぐためにウエハと共に噴霧され、次いで任意選択で、遠心力で脱水される。これにより表面には、印刷処理により得られる吸着された阻害剤の区域、および噴霧処理から得られる吸着された加速剤の区域が残る。吸着された阻害剤の区域は、阻害剤インクで印刷された区域に対応し、一方、吸着された加速剤の区域は、これらの吸着された阻害剤の区域の逆に対応する。その後(加速剤がなくてよい)めっき溶液の中で表面をめっきすることにより、2つの区域の間のめっき速度の差が著しく高くなる。
【0093】
基板は、電気めっきされた後に化学エッチング動作を受けて、過剰なめっきされた金属、インク、およびシード層を除去し、それにより、望むように空間的かつ電気的に個々の金属特徴を隔離してよい。エッチング処理は、化学的エッチング液と基板を接触させるステップを伴ってよい。エッチング処理は、望ましくない材料を除去するのに十分な継続期間進行するが、望ましい金属特徴を完全に除去するほど長くは進行しない。
【0094】
図6は、電気めっきを行ってよい電気めっきセルの例を提示する。多くの場合、電気めっき装置は、基板(たとえば、ウエハ)を中で処理する1つまたは複数の電気めっきセルを含む。明瞭性を保つために1つだけの電気めっきセルを図6に示す。電気めっきを最適化し、電気めっき添加剤が長時間にわたり機能できることを確実にするためには、電気めっき添加剤は、陽極と反応しないようにすべきである。したがって、異なる組成のめっき溶液を各区域で使用してよいように、めっきセルの陽極区域および陰極区域は、場合によっては膜により分離される。陰極区域内のめっき溶液は陰極液と呼ばれ、陽極区域内のめっき溶液は陽極液と呼ばれる。電気めっき添加剤は、陽極との望ましくない反応を防止するために陰極に制限されてよい。めっき装置の中に陽極液および陰極液を導入するためにいくつかの工学的設計を使用できる。
【0095】
図6を参照すると、一実施形態による電気めっき装置601の、図式による横断面図を示す。めっき槽603は、あるレベル605で示される(本明細書で提供するような組成を有する)めっき溶液を含有する。この容器の陰極液部分は、陰極液の中で基板を受け入れるように適合されている。ウエハ607は、めっき溶液の中に浸漬させられ、たとえばウエハ607と一緒に「クラムシェル」基板ホルダ609の回転を可能にする回転可能なスピンドル611に搭載されたクラムシェル基板ホルダ609により保持される。本発明で使用するのに適した様態を有するクラムシェル型めっき装置についての一般的記述は、Pattonらに付与された米国特許第6,156,167号明細書およびReidらに付与された米国特許第6,800,187号明細書で詳細に記述されている。
【0096】
陽極613は、めっき槽603内部でウエハの下方に配置され、膜615,好ましくはイオン選択性膜によりウエハ区域から分離される。たとえば、ナフィオン(商標)陽イオン交換膜(cationic exchange membrane、CEM)を使用してよい。陽極膜の下方の区域は多くの場合「陽極チャンバ」と呼ばれる。イオン選択性陽極膜615は、めっきセルの陽極区域と陰極区域の間のイオン伝達を可能にし、一方、陽極で発生した粒子がウエハの近傍に入りウエハを汚染するのを防止する。陽極膜はまた、めっき処理中に電流の流れを再分布させ、それによりめっき一様性を改善するのに有用である。適切な陽極膜についての詳細な説明は、Reidらに付与された米国特許第6,126,798号明細書および米国特許第6,569,299号明細書に提供されている。陽イオン交換膜などのイオン交換膜は、これらの用途に特に適している。これらの膜は典型的には、スルホン酸基を含有する全フッ素置換された共重合体(たとえば、ナフィオン(商標))、スルホン化ポリイミド、および陽イオン交換に適した、当業者に公知の他の材料などのアイオノマー材料から作られる。適切なナフィオン(商標)膜の選択された例は、Dupont de Nemours Co.から入手可能なN324膜およびN424膜を含む。
【0097】
いくつかの事例では、めっき層全体にわたる対流および/または拡散を制御してよい。拡散を支援する典型的方法は、ポンプ617により提供される電気めっき溶液の対流の流れによる。追加で、振動攪拌膜または音波攪拌膜だけではなくウエハ回転も使用してよい。たとえば、振動変換器608をクラムシェル基板ホルダ609に付着させてよい。ポンプ617によりめっき槽603にめっき溶液を連続的に提供する。一般に、めっき溶液は、陽極膜615および拡散プレート619を通り上方にウエハ607の中心に、次いで半径方向外側にウエハ607の全面にわたり流れる。さらにまた、めっき槽603の側面から槽の陽極区域の中にめっき溶液を提供してよい。めっき溶液は、次いでめっき槽603からあふれ出て、越流貯蔵器621に流れる。めっき溶液は、次いでフィルタ処理され(図示せず)ポンプ617に戻り、めっき溶液の再循環を完了する。ある種のめっきセル構成では、控えめの透過性膜またはイオン選択性膜を使用して主めっき溶液との混合を防止しながら、陽極を包含するめっきセルの一部分を通り別個の電解質を循環させる。
【0098】
基準電極631は、別個のチャンバ633内のめっき槽603の外側に位置し、そのチャンバは、主めっき槽603からの越流により補充される。あるいはいくつかの実施形態では、基準電極は、基板表面にできるだけ近く位置決めされ、基準電極チャンバは、毛細管チューブを介して、または別の方法によりウエハ基板の側面に、または直接にウエハ基板の真下に接続される。好ましい実施形態のいくつかでは、装置は接触検知リード線をさらに含み、接触検知リード線はウエハの周辺に接続し、ウエハの周辺で金属シード層の電位を検知するが、ウエハに電流をまったく運ばないように構成される。
【0099】
基準電極631は、典型的には制御された電位で電気めっきすることが望ましいときに採用される。基準電極631は、水銀/硫酸水銀、塩化銀、飽和カロメル、または銅金属など、一般使に使用されるさまざまなタイプの1つであってよい。いくつかの実施形態では、より正確な電位測定のために基準電極に加えて、ウエハ607と直接接触している接触検知リード線を使用してよい(図示せず)。
【0100】
直流電源635を使用して、ウエハ607への電流の流れを制御できる。電源635は、1つまたは複数のスリップリング、ブラシ、および接点(図示せず)を通してウエハ607に電気的に接続された負出力リード線639を有する。電源635の正出力リード線641は、めっき槽603内に位置する陽極613に電気的に接続される。電源635、基準電極631、および接触検知リード線(図示せず)をシステムコントローラ647に接続でき、それにより数ある機能の中でも、電気めっきセルの要素に提供される電流および電位の変調が可能になる。たとえば、コントローラは、電位制御され電流制御された方式で電気めっきできるようにしてよい。コントローラは、めっきセルのさまざまな要素に加える必要がある電流および電圧を指定するだけではなく、これらのレベルを変える必要がある時間も指定するプログラム命令を含んでよい。順電流を加えるとき、電源635は、陽極613に対して負電位を有するようにウエハ607にバイアスをかける。これにより、電流は陽極613からウエハ607に流れ、ウエハ表面(陰極)上で電気化学還元(たとえば、Cu2++2e-=Cu0)が起こり、その結果、ウエハの表面上に導電層(たとえば、銅)が堆積する。不活性陽極614は、めっき槽603内部のウエハ607の下方に設置され、膜615によりウエハ区域から分離されてよい。
【0101】
装置はまた、めっき溶液の温度を特有のレベルに維持するためのヒータ645を含んでよい。めっき溶液を使用して、めっき槽のその他の要素に熱を伝達してよい。たとえば、めっき槽の中にウエハ607をロードしたとき、装置全体の温度が実質的に一様になるまで、ヒータ645およびポンプ617をオンにして、電気めっき装置601を通してめっき溶液を循環させてよい。一実施形態では、ヒータは、システムコントローラ647に接続される。システムコントローラ647を熱電対に接続して、電気めっき装置内部のめっき溶液温度のフィードバックを受信し、追加加熱の必要性を判断してよい。
【0102】
コントローラは、典型的には1つまたは複数の記憶装置、および1つまたは複数のプロセッサを含む。プロセッサは、CPUまたはコンピュータ、アナログおよび/またはデジタルの入力/出力接続、ステップモータ・コントローラ・ボードなどを含んでよい。ある種の実施形態では、コントローラは、めっき装置の活動のすべてを制御する。本実施形態による処理動作を制御するための命令を包含する非一時的機械可読媒体をシステムコントローラに連結してよい。
【0103】
典型的には、コントローラ647に関連するユーザインタフェースが存在する。ユーザインタフェースは表示画面、装置および/または処理条件のグラフィカルソフトウェア表示、ならびにユーザ入力機器、たとえばポインティング機器、キーボード、タッチ画面、マイクロホンなどを含んでよい。めっき処理を制御するためのコンピュータ・プログラム・コードを任意の従来のコンピュータ可読プログラミング言語で、たとえばアセンブラ言語、C、C++、パスカル、フォートランなどで書くことができる。プロセッサは、コンパイルされたオブジェクトコードまたはスクリプトを実行して、プログラムで識別されたタスクを遂行する。本明細書の実施形態により使用されてよいめっき装置の一例は、Lam Research Sabreツールである。より大きな電着装置を形成する構成要素の中で電着を遂行できる。
【0104】
図7は、電着装置の例の上面図の概略を示す。電着装置700は、3つの分離した電気めっきモジュール702、704、および706を含むことができる。電着装置700はまた、さまざまな処理動作のために構成された、3つの分離したモジュール712、714、および716を含むことができる。たとえばいくつかの実施形態では、モジュール712、714、および716の1つまたは複数は、スピンすすぎ乾燥(spin rinse drying、SRD)モジュールであってよい。そのようなモジュールを使用して、インクを上に印刷した後に基板をすすぎ、乾燥させてよい。他の実施形態では、モジュール712、714、および716の1つまたは複数は、電気充填後モジュール(post-electrofill module、PEM)であってよく、縁部ベゼル除去、裏側エッチング、および電気めっきモジュール702、704、および706の1つにより基板を処理した後の、基板の酸洗浄などの機能を遂行するようにそれぞれ構成される。いくつかの実施形態では、モジュール712、714、および716の1つまたは複数は、基板上にシード層を提供するように構成されてよい。これらの実施形態および他の実施形態では、モジュール712、714、および716の1つまたは複数は、たとえば乾式または湿式処理法を使用してシード層の最上部表面から酸化物層を除去して、本明細書で記述するように基板を前処理するように構成された前処理モジュールであってよい。これらの実施形態または他の実施形態では、モジュール712、714、および716の1つまたは複数は、本明細書で記述する電気流体力学吐出印刷処理を遂行するように構成された電気流体力学吐出印刷モジュールであってよい。そのような電気流体力学吐出印刷モジュールは、図5に関連して記述する特徴の任意の1つまたは複数を有してよい。これらの実施形態または他の実施形態では、モジュール712、714、および716の1つまたは複数は、本明細書で記述するように、電気めっき後、基板を化学的にエッチングするように構成された化学エッチングモジュールであってよい。ある種の実施形態では、追加モジュール(図示せず)を提供して、本明細書で記述するこれらの機能または他の機能のいずれも遂行してよい。
【0105】
電着装置700は、中央電着チャンバ724を含む。中央電着チャンバ724は、電気めっきモジュール702、704、および706の中で電気めっき溶液として使用する化学溶液を保持するチャンバである。電着装置700はまた、電気めっき溶液のための添加物を貯蔵し、配送してよい投与システム726を含む。化学希釈モジュール722は、エッチング液として使用すべき化学物質を貯蔵および混合してよい。濾過およびポンピングユニット728は、中央電着チャンバ724のために電気めっき溶液をフィルタ処理して電気めっきモジュールにポンプで送り込む。
【0106】
システムコントローラ730は、電着装置700を動作させるための電子制御およびインタフェース制御を提供する。システムコントローラ730(1つまたは複数の物理コントローラおよび論理コントローラを含んでよい)は、電気めっき装置700の特性の一部またはすべてを制御する。
【0107】
処理を監視するための信号は、システムコントローラ730のアナログおよび/またはデジタルの入力接続により、さまざまな処理ツールセンサから提供されてよい。処理を制御するための信号を、処理ツールのアナログおよびデジタルの出力接続上に出力してよい。監視してよい処理ツールセンサの限定しない例は、質量流コントローラ、(圧力計などの)圧力センサ、熱電対、光学式位置センサなどを含む。これらのセンサから得られるデータと共に、適切にプログラムされたフィードバックおよび制御アルゴリズムを使用して処理条件を維持してよい。
【0108】
ハンド・オフ・ツール740は、カセット742またはカセット744などの基板カセットから基板を選択してよい。カセット742または744は、FOUPであってよい。FOUPは、制御された環境で基板を確実かつ安全に保持して、適合するロードポートおよびロボット取扱いシステムを具備するツールにより処理または測定するために基板を取り除くことができるようにするように設計された密閉箱である。ハンド・オフ・ツール740は、真空取付具または何らかの他の取付機構を使用して基板を保持してよい。
【0109】
ハンド・オフ・ツール740は、ウエハ取扱いステーション732、カセット742もしくは744、移送ステーション750、または露光装置748に接続して動作してよい。移送ステーション750から、ハンド・オフ・ツール746は基板にアクセスできてよい。移送ステーション750は、ハンド・オフ・ツール740および746が露光装置748を通り抜けることなく基板を渡してよいスロットまたは位置にあってよい。しかしながら、いくつかの実施形態では、電気めっきモジュールに精度よく配送するためにハンド・オフ・ツール746上で基板を適切に一直線に合わせるのを確実にするために、ハンド・オフ・ツール746は、露光装置748と基板を一直線に合わせてよい。ハンド・オフ・ツール746はまた、電気めっきモジュール702、704、もしくは706の1つに、またはさまざまな処理動作のために構成された、3つの分離したモジュール712、714、および716の1つに基板を配送してよい。
【0110】
上記で記述した方法による処理動作のある例は、以下のように進む。すなわち、(1)電気めっきモジュール704内で基板の上に銅または他の材料を電着し、(2)モジュール712内のSRD内で基板をすすいで、乾燥させ、(3)モジュール714内で縁部ベゼル除去を遂行する。
【0111】
順次のめっき、すすぎ、乾燥、およびPEM処理動作を通して基板を効果的に循環させることができるようにするように構成された装置は、製造環境で使用するために実装するのに有用であってよい。これを達成するために、モジュール712をスピンすすぎ乾燥装置および縁部ベゼル除去チャンバとして構成することができる。そのようなモジュール712を用いる場合、銅めっきおよびEBR動作のために電気めっきモジュール704とモジュール712の間で基板を移送する必要があるだけである。いくつかの実施形態では、本明細書で記述する方法を、電気めっき装置およびステッパを備えるシステム内に実装する。
【0112】
電着装置800の代替実施形態を図8に概略的に例示する。本実施形態では、電着装置800は、対をなすまたは多数の「デュエット」構成でそれぞれ電気めっき槽を包含する1組の電気めっきセル807を有する。電気めっき自体に加えて、電着装置800は、たとえばスピンリンシング(spin-rinsing)、スピン乾燥、金属およびシリコンのウエットエッチング、無電解堆積、プリウェッティング(pre-wetting)および事前化学処理、還元、アニーリング、電解エッチングおよび/または電解研磨、フォトレジスト剥離、ならびに表面事前活性化など、さまざまな他の電気めっき関係処理およびサブステップを遂行してよい。いくつかの実施形態では、電着装置800は、たとえばシード層の堆積、電気流体力学吐出印刷、および化学エッチングを含む、本明細書で記述するさまざまな動作を達成するための1つまたは複数のモジュールを含んでよい。図8に電着装置800を下向きに見て概略的に示し、図では単一レベルまたは「フロア」だけを明らかにするが、そのような装置、たとえばLam Sabre(商標) 3Dツールは、それぞれ同一タイプまたは異なるタイプの処理ステーションを潜在的に有する、互いの上に2つ以上の「積み重ねた」レベルを有する可能性があることを当業者は容易に理解すべきである。
【0113】
もう一度図8を参照すると、電気めっきすべき基板806は、一般にフロントエンド・ローディングFOUP801を通して電着装置800に供給され、この例では、スピンドル803により多次元で駆動された基板806を一方のステーションから別の利用可能なステーションに収納し動かすことができるフロント・エンド・ロボット802を介してFOUPから電着装置800の主基板処理領域に持って行き、この例では、2つのフロント・エンド・アクセス可能ステーション804およびさらにまた2つのフロント・エンド・アクセス可能ステーション808を示す。フロント・エンド・アクセス可能ステーション804および808は、たとえば事前処理ステーションおよびスピンすすぎ乾燥(spin rinse drying、SRD)ステーションを含んでよい。フロント・エンド・ロボット802の側面から側面への横方向の動きは、ロボットトラック802aを利用して達成される。基板806の各々は、モータ(図示せず)に接続されたスピンドル803により駆動されるカップ/コーン組立体(図示せず)により保持されてよく、モータは、搭載ブラケット809に付着してよい。さらにまたこの例に示すのは、合計8つの電気めっきセル807に関する、電気めっきセル807の4つの「デュエット」である。システムコントローラ(図示せず)を電着装置800に連結して、電着装置800の性質の一部またはすべてを制御してよい。本明細書ですでに記述した処理に従って命令を実行するようにシステムコントローラをプログラムしてよい、または他の方法で構成してよい。
【0114】
図7および図8に示す基板処理システムなどの基板処理システムは、図5の電気流体力学吐出印刷装置に関連して記述する特徴の任意の1つまたは複数を含むように修正されてよい。
【0115】
いくつかの実装形態では、コントローラは、上述の例の一部であってよいシステムの一部である。そのようなシステムは、1つもしくは複数の処理ツール、1つもしくは複数のチャンバ、処理するための1つもしくは複数のプラットフォーム、および/または特有の処理構成要素(ウエハペダル、ガス流システムなど)を含む半導体処理設備を備えることができる。特定の例では、システムは、図2Bに関連して記述するさまざまな装置、またはそれらの任意のサブセットを含む。装置の2つ以上は、1つになった装置の中に組み合わされてよい、またはすべて互いに別個のものであってよい。特定の例を上記に提供する。これらのシステムは、半導体ウエハまたは半導体基板を処理する前、処理する間、および処理後に自身の動作を制御するための電子機器と一体化されてよい。電子機器は、1つまたは複数のシステムのさまざまな構成要素または下位区分を制御してよい「コントローラ」と呼ばれることがある。処理要件および/またはシステムのタイプに応じて、コントローラをプログラムして処理ガスの配送、温度設定(たとえば、加熱および/または冷却)、圧力設定、真空設定、出力設定、無線周波数(radio frequency、RF)発生器設定、RF整合回路設定、周波数設定、流量設定、流体配送設定、位置および動作の設定、ツールおよび他の移送ツールの中へ、およびそれらから外へのウエハ移送、ならびに/または特有のシステムに接続された、もしくはそれとインタフェースをとるロードロックを含む、本明細書で開示する処理のいずれも制御してよい。
【0116】
大まかに言って、コントローラはさまざまな集積回路、論理回路、メモリ、および/または命令を受け取り、命令を発行し、動作を制御し、クリーニング動作を可能にし、エンドポイント測定を可能にするなどを行うソフトウェアを有する電子回路として規定されてよい。集積回路は、プログラム命令を記憶するファームウェアの形をとるチップ、デジタル・シグナル・プロセッサ(digital signal processor、DSP)、特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)として規定されるチップ、および/またはプログラム命令(たとえば、ソフトウェア)を実行する1つもしくは複数のマイクロプロセッサもしくはマイクロコントローラを含んでよい。プログラム命令は、半導体ウエハ上での、もしくは半導体ウエハのための、またはシステムに対する特定の処理を行うための動作パラメータを規定するさまざまな個々の設定(またはプログラムファイル)の形でコントローラに伝達される命令であってよい。動作パラメータは、いくつかの実施形態では、1つもしくは複数の層、材料、金属、酸化物、ケイ素、酸化ケイ素、表面、回路、および/またはウエハのダイを製作する間、1つまたは複数の処理ステップを達成するために処理技術者が規定するレシピの一部であってよい。
【0117】
コントローラは、いくつかの実装形態では、システムと一体化された、システムに連結された、システムに他の方法でネットワーク化された、またはそれらを組み合わせたコンピュータの一部であってよい、またはそのコンピュータに結合されてよい。たとえば、コントローラは、「クラウド」の中にあってよい、または半導体工場のホスト・コンピュータ・システムのすべてもしくは一部であってよく、これにより、ウエハ処理の遠隔アクセスを可能にできる。コンピュータは、製作動作の現在の進展を監視し、過去の製作動作の履歴を調べ、複数の製作動作から傾向または性能指標を調べるためにシステムへの遠隔アクセスを可能にして、現在の処理のパラメータを変更して、現在の処理に続く処理ステップを設定してよい、または新しい処理を開始してよい。いくつかの例では、遠隔コンピュータ(たとえば、サーバ)は、ローカルネットワークまたはインターネットを含んでよいネットワークを介してシステムに処理レシピを提供できる。遠隔コンピュータは、パラメータおよび/または設定の入力またはプログラミングを可能にするユーザインタフェースを含んでよく、パラメータおよび/または設定は、次いで遠隔コンピュータからシステムに伝達される。いくつかの例では、コントローラは、1つまたは複数の動作の間に遂行すべき処理ステップごとにパラメータを指定する、データの形をとる命令を受け取る。パラメータは、遂行すべき処理のタイプ、およびコントローラがインタフェースをとる、または制御するように構成されたツールのタイプに特有であってよいことを理解されたい。その結果、上記で記述するように、コントローラは、本明細書で記述する処理および制御など、共通の目的に向かって作動する一緒にネットワーク化された1つまたは複数の別個のコントローラを備えることによるなど、分散させられてよい。そのような目的のための分散コントローラのある例は、チャンバ上の処理を制御するために組み合わせる(プラットフォームレベルで、または遠隔コンピュータの一部としてなど)遠隔に位置する1つまたは複数の集積回路と通信状態にある、チャンバ上の1つまたは複数の集積回路である。
【0118】
限定することなく、例示のシステムは、プラズマ・エッチング・チャンバまたはモジュール、堆積チャンバまたはモジュール、スピン・リンス・チャンバまたはモジュール、金属めっきチャンバまたはモジュール、洗浄チャンバまたはモジュール、ベベル縁部エッチングチャンバまたはモジュール、物理蒸着法(physical vapor deposition、PVD)チャンバまたはモジュール、化学蒸着(chemical vapor deposition、CVD)チャンバまたはモジュール、原子層堆積(atomic layer deposition、ALD)チャンバまたはモジュール、原子層エッチング(atomic layer deposition、ALE)チャンバまたはモジュール、イオン注入チャンバまたはモジュール、トラックチャンバまたはモジュール、ならびに半導体ウエハの製作および/または製造に関連づけられてよい、またはそれで使用されてよい、任意の他の半導体処理システムを含んでよい。
【0119】
上記で指摘するように、ツールが遂行すべき1つまたは複数の処理ステップに応じて、コントローラは、他のツール回路もしくはモジュール、他のツール構成要素、クラスタツール、他のツールインタフェース、近接するツール、隣接するツール、工場全体に位置するツール、メインコンピュータ、別のコントローラ、または半導体製造工場内のツールの場所および/またはロードポートとの間でウエハの容器を運ぶ材料搬送で使用するツールのうち1つまたは複数と通信してよい。
【0120】
結論
本明細書で記述する技法は、高い正確度および精度(たとえば、<0.5μm)で非常に小さなスケールの細線相互接続、パッド、および他の金属特徴を形成可能にする。有利には、本技法は、図1Aおよび図1Bに関連して記述する従来の処理の流れで使用する従来の処理、装置、および材料の多くがなくても実施できる。たとえば、本明細書の技法はフォトレジスト、リソグラフィツール、フォトレジストベーキング設備、フォトレジスト硬化設備、フォトマスク、現像化学物質およびツーリング、酸素プラズマスカム除去設備、またはフォトレジスト洗浄および剥離設備を使用する必要がない。したがって、細線相互接続、パッド、および他の金属特徴の形成に関連する所有権および処理費用は、実質的に低減する。電気流体力学吐出印刷は、現在および将来の市場の技術的要求に対応する細線の配線を可能にする。実例では、パッケージングRDL配線は現在、>5μmの線および空間の形成を伴うが、>2μmに向かって今後数年先に向けて動いている。本明細書で記述する技法は、はるかにより費用がかかり複雑な従来の処理の流れと比較して、そのような特徴を安価に形成するための1つの道筋を提供する。
【0121】
前述の実施形態について、理解を明確にするためにいくらか詳細に記述してきたが、添付の特許請求の範囲内で一定の変更および修正を実施してよいことは明らかであろう。本実施形態の処理、システム、および装置を実装する代替方法が多くあることに留意されたい。したがって、本実施形態は、例示的であり制限的ではないと考えるべきであり、実施形態は、本明細書で示す詳細に限定されるべきではない。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
【国際調査報告】