IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エージーシー グラス ユーロップの特許一覧 ▶ 旭硝子株式会社の特許一覧 ▶ エージーシー フラット グラス ノース アメリカ,インコーポレイテッドの特許一覧 ▶ エージーシー ビードロス ド ブラジル エルティーディーエーの特許一覧

<>
  • 特表-スパンドレル 図1
  • 特表-スパンドレル 図2
  • 特表-スパンドレル 図3
  • 特表-スパンドレル 図4
  • 特表-スパンドレル 図5
  • 特表-スパンドレル 図6
  • 特表-スパンドレル 図7
  • 特表-スパンドレル 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-27
(54)【発明の名称】スパンドレル
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/08 20060101AFI20230317BHJP
   H02S 20/26 20140101ALI20230317BHJP
   H01L 31/048 20140101ALN20230317BHJP
【FI】
E04F13/08 Z ETD
H02S20/26
H01L31/04 560
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543085
(86)(22)【出願日】2021-01-11
(85)【翻訳文提出日】2022-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2021050349
(87)【国際公開番号】W WO2021144213
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】BE2020/0008
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510191919
【氏名又は名称】エージーシー グラス ユーロップ
【氏名又は名称原語表記】AGC GLASS EUROPE
【住所又は居所原語表記】Avenue Jean Monnet 4, 1348 Louvain-la-Neuve, Belgique
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507090421
【氏名又は名称】エージーシー フラット グラス ノース アメリカ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AGC FLAT GLASS NORTH AMERICA,INC.
【住所又は居所原語表記】11175 Cicero Dr. Suite 400, Alpharetta, GA 30022, U.S.A.
(71)【出願人】
【識別番号】518428303
【氏名又は名称】エージーシー ビードロス ド ブラジル エルティーディーエー
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】フーベルト, ジュリー
(72)【発明者】
【氏名】マヒュー, スタイン
(72)【発明者】
【氏名】スタッセン, ダフネ
(72)【発明者】
【氏名】サヒュン, ザヴィエ
【テーマコード(参考)】
2E110
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
2E110AA04
2E110AB04
2E110AB22
2E110BA02
2E110BA03
2E110BA04
2E110BA05
2E110GA07X
2E110GA07Z
2E110GA32Z
2E110GB01Z
2E110GB06Z
2E110GB12Z
2E110GB42Z
2E110GB45Z
2E110GB46Z
2E110GB54Z
5F151JA02
5F251JA02
(57)【要約】
本発明は、第1基材、ポリマー材料から製造された中間フィルム、及び第2の不透明な基材を含むスパンドレルに関し、これは、第1基材が、ポリマー材料から製造された中間フィルムに対向する側に配置された表面上に堆積され且つ少なくとも1つの上部誘電体層を含む、最大で2つの層によって被覆されることを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材、ポリマー材料の中間フィルム、及び不透明な第2基材を含むスパンドレルパネルであって、第1基材が、ポリマー材料の中間フィルムの側に配置された表面上に堆積され且つ少なくとも上部誘電体層を含む、最大で2つの層によって被覆されることを特徴とする、スパンドレルパネル。
【請求項2】
上部誘電体層は、少なくとも2.0に等しい、好ましくは少なくとも2.1に等しい屈折率と、0.1未満、好ましくは0.05未満の吸収係数とによって特徴付けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスパンドレルパネル。
【請求項3】
上部誘電体層は、ケイ素、チタニウム、亜鉛、すず、ジルコニウム、アルミニウム、及びニオビウムから選択される少なくとも2つの異なる元素を含む、酸化物層、窒化物層、又は酸窒化物層であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスパンドレルパネル。
【請求項4】
上部誘電体層は、混合されたチタニウム-ジルコニウム酸化物又は混合されたケイ素-ジルコニウム窒化物であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項5】
上部誘電体層が、少なくとも40nmに等しい、好ましくは少なくとも50nmに等しい、並びに、最大で110nm、好ましくは最大で80nmの光学的厚さを有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項6】
下層が、第1基材と上部誘電体層の間において第1基材上に堆積されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項7】
下層は、ケイ素、チタニウム、亜鉛、すず、ジルコニウム、アルミニウム、及びニオビウムから選択される少なくとも2つの異なる元素を含む、酸化物、窒化物、又は酸窒化物層であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項8】
下層は、混合された亜鉛-すず酸化物であることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項9】
下層の幾何学的厚さは、少なくとも5nmに等しい、好ましくは少なくとも6nmに等しい、並びに、30nm以下、好ましくは25nm以下であることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項10】
第1基材が、0.68超、好ましくは0.70超、更に好ましくは0.72超、及び、いっそう更に好ましくは0.74超である、300~2500nmの波長の光のエネルギー透過率によって特徴付けられる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項11】
10~20%、好ましくは12~18%の、外部側において計測された反射率を特徴とする、請求項1乃至10のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項12】
パラメータaが、-4~0、好ましくは-2~-1であり、並びに、パラメータbが、-13~-6、好ましくは-12~-7である、外部反射における色を特徴とする、請求項1乃至11のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項13】
第2基材が、ポリマーフィルム又は不透明合成基材によって不透明化された通常のガラスである、請求項1乃至12のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項14】
ポリマー材料の中間フィルムは、0.3~2mmの厚さを有し、且つ、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、又はイオノマーから選択される、請求項1乃至13のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項15】
太陽電池が第1基材と第2基材の間に挿入されている、請求項1乃至14のいずれか1項に記載のスパンドレルパネル。
【請求項16】
太陽光発電効率が、標準試験条件(STC)下におけるクリアガラスに対して、最大で20%、好ましくは最大で15%、及び、いっそう更に好ましくは最大で10%、減少している、請求項15に記載のスパンドレルパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのグレージングパネルを内蔵する、且つ光を透過するためのものではないファサードのエリア内に配置されるように意図された、スパンドレルパネルに関する。従って、その役割は、窓によって占有される部分の間で、このファサードの特定の部分を隠蔽するというものである。更に詳しくは、本発明は、隣接する透明なグレージングと調和することによって良好な美観を保証するスパンドレルパネルを開示する。本発明のスパンドレルパネルは、少なくとも2つの基材の組立体であり、これらのうちの一方は透明であり、且つ、他方は不透明である。外部基材(即ち、建物との関係において外部である)は光を良好に透過しており、これは、本発明のスパンドレルパネルがその内部における太陽電池の挿入に役立つことを意味する。従って、このようなスパンドレルパネルは、いわゆる建物統合型太陽光発電(BIPV)を形成するためにファサード内において使用されるように意図される。
【背景技術】
【0002】
多くの最近の建築においては、グレージング壁は、透明エリアと不透明エリアを含む。窓自体は、ガラスによって保持される被覆の特性に応じて相対的に透明であってもよく、又は相対的に反射性を有していてもよい。ほとんど不可欠であるこれらの被覆は、例えば、日照制御及び低放射率特性などの有利な熱特性をグレージングに与える。材料及び/又はその厚さを適切に選択することにより、例えば、青色、緑色、ブロンズ、又は中間色調などの、反射及び/又は透過における快適な色の実現が可能であり、これらの色調は一般的に好ましいものである。グレージングが有することを必要とし得るその他の特性は、例えば、自己クリーニング特性、曇り止め特性、又は顧客によって要求されるか若しくは状況によって必要とされる任意のその他の特性である。
【0003】
別の態様によれば、及び様々な理由から、このような建物用に意図されるグレージングは、特に安全性を理由として熱処理されなければならず、これは、数分間にわたって且つ当技術分野において周知の方法に従って、これらに500℃超の、又は更には600℃超の温度を適用しなければならないことを意味する。これは、ガラスによって保持される任意の被覆が、劣化を伴うことなしに、この処理を経験する能力を有していなければならないことを意味しており、即ち、その光学及びエネルギー特性が熱処理によって変更されてはならないか又は大幅に変更されてはならないことを意味する。
【0004】
スパンドレルパネルは、本質的に不透明であるか、或いは、様々なカバリング又は被覆システムによって不透明化される。但し、スパンドレルパネルが可視光に対して不透明である場合にも、これらは、隣接する窓の反射における色合いと調和していなければならない。グレージングファサードの全体が、光の反射及びその色合いの陰影の両方との関係において、どのような視野角であっても、外部から光学的に均一に見えなければならない。
【0005】
当技術分野においては、適切なスパンドレルパネルを提供するいくつかの方法が知られている。長年にわたって、着色されたエナメルによってガラス基材を不透明化する方法が知られている。具体的には、米国特許第3,951,525号明細書は、反射性金属酸化物上で不透明エナメルを堆積させるステップを示唆しており、金属酸化物は、ファサードの窓に使用されるものと同一である。この解決策に伴う問題点は、調和が最適なものではなく、更に、経時的に安定していないという点にある。
【0006】
国際特許出願公開第2004/092522A1号パンフレットは、人々が覗き込むことを防止するために、その内部ガラス(即ち、建物側のガラス)が非常に低い透過率(15%未満)を有する、且つその外部ガラスが日照制御積層体によって被覆されるダブルグレージングの形態を有する、スパンドレルパネルを示唆する。このような構造は、高価であり、且つ、最近のガラスファサードの美的要件を十分に充足していない。
【0007】
また、例えば、欧州特許第0441011号明細書又は欧州特許第3172175号明細書におけるように、金属層を不透明化することも示唆される。これらの金属層は一般に、相対的に複雑な積層体内に含まれる。上述の2つの特許文献は、特に屈折率と吸収係数との間の特定の関係を示唆する。また、光学特性を調節するために、積層体は誘電体の存在を必要とする。
【0008】
欧州特許第2517877号明細書は、2つの基材の間の接着剤として使用されるPVBと接触する吸収積層体を利用して外部基材が不透明化される、ラミネートされたグレージングを開示する。この発明の基本的な特徴は、不透明化積層体によって被覆されたガラスが、鉄をほとんど含んでいない、従ってそれ自体が非常にわずかな吸収を有する、エクストラクリアガラスであるという点にある。この特徴は、発明者によれば、過酷な熱処理の回避を可能にするという利点を有する。但し、前記特許は、窓との色合いの調和の態様については記載がなく、これに加えて、この種の解決策は、保管費用に伴う問題を不可避にもたらすことになる。
【0009】
結論として、エナメル及びペイントは、限定的な、及び費用を要する解決策であり(追加的な加熱ステップ)、且つ、常に美的要件を充足するわけではない。エナメル又はペイントによって単純に着色されたパネルの視覚的外観は、現時点の要件を充足していない。従来技術の解決策は、いずれも、ガラスパネルを熱処理することができない。これらの解決策が在庫管理を理由として受け入れ不能な場合もある。色合いの調和との関係における要件が充足されないこともしばしばある。
【0010】
これに加えて、美観、費用、及び耐久性に関する問題以外にも、現在の環境問題の結果として、新しい課題が生じている。太陽からエネルギーを収集して電気に変換するために、建物は益々、太陽電池を装備するようになっている。当初、太陽電池は主に屋根の上に設置されていたが、いまや、これらをファサード上に設置することができるようにする解決策に対する需要が増大している。第1の解決策は、窓内に太陽電池を設置するステップを含み、この場合には、これらを視線から隠蔽するか又はこれらを美的に受け入れ可能とする方法を見出すことが必要とされる。別の可能性は、これらをスパンドレルパネル内に隠蔽するというものであるが、これは明らかに、総体として美観に悪影響を及ぼさずに、効率の著しい損失を伴うことなく光が太陽電池に到達できるようにするための対策をとることを必要とする。
【0011】
現在の建築家は、美観(色、反射、調和)及び熱性能の関係において要件を充足するすべての準備が整った解決策を所望している。従来技術の解決策は、受け入れ可能な製造費用を有し、美的要件を充足し、これに加えて太陽電池を内蔵することができるスパンドレルパネルを提供する、すべての準備が整った解決策ではない。これは、まさに本発明が提案するものであり、且つ、これに加えて、良好な化学的抵抗力及び機械的強度を有する。
【発明の概要】
【0012】
本発明者らは、スパンドレルパネルが、有利には、接着を目的として提供されたポリマー材料の中間シートを利用して第1基材及び第2基材をラミネートすることにより、形成され得ることを発見した。この説明の全体を通じて、第1基材は建物から最も離れた基材であり、従って、最も外部の基材である。
【0013】
第1基材は、一方で十分に大きな屈折率によって、他方では十分に小さな吸収係数によって特徴付けられた、上部誘電体層によって覆われる。これらの特徴は、快適な色合いの外部反射及び良好な光透過の実現を可能とする。外部反射における色合いは、層の厚さ及び/又はその特性の適切な選択を通じて調節することができる。材料の特性を適切に選択すると、熱処理に対する抵抗力の及び耐久性の関係における要件を充足することができる。
【0014】
第1基材は、ラミネートを形成するために、中間ポリマー材料を利用して第2基材に結合される。上部誘電体層は、中間ポリマー材料に向かって方向付けされる面上で(即ち、位置P2において)第1基材上に堆積される。
【0015】
第1実施形態によれば、上部誘電体層は、第1基材と直接的に接触する。
【0016】
第2の実施形態によれば、本発明の第1基材は、第1基材と上部誘電体層の間に配置された下層によって覆われる。下層は、バリア層であり、その役割は、本発明の層の特性が熱処理に対する十分な抵抗力を提供していない際に本発明の層を保護することにある。
【0017】
それぞれの実施形態において、第2基材は不透明である。
【0018】
好ましくは、上部誘電体層及び下層は、第1基材上に堆積された唯一の層である。
【0019】
本発明の特定の一実施形態においては、太陽電池が上述の実施形態のいずれかに従ってラミネートの2つの基材の間に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
理解を促進するために、以下に提示される図は、正確な縮尺で描かれてはいない。
図1】第1実施形態用に意図されている第1基材の断面である。
図2】第2実施形態用に意図されている第1基材の断面である。
図3】本発明の第1実施形態によるラミネートの断面である。
図4】本発明の第2実施形態によるラミネートの断面である。
図5】第1実施形態による太陽電池を有する本発明の特定の一実施形態の断面である。
図6】第2実施形態による太陽電池を有する本発明の特定の一実施形態の断面である。
図7】本発明の一代替実施形態によるラミネートの断面であり、この実施形態においては、第2基材は、PETの黒色フィルムによって不透明化された通常のガラスのペインである。
図8図7に示される代替実施形態による太陽電池を有する本発明の特定の一実施形態の断面である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、2つの基材のそれぞれのものの少なくとも1つのエリアにわたって延在するポリマー材料の中間シートによって1つに保持された、第1基材及び第2基材を含む、ラミネートされた組立体(ラミネート)に関する。
【0022】
第1基材は外部基材であり、即ち、建物から最も離れた基材である。好ましくは、ガラス基材である。ガラスは、シリカから主に製造された透明なミネラルガラスを意味しており、このようなガラスは、特に通常のソーダ-ライムフロートガラスを含み、その厚さは、0.5~20mmであり、好ましくは1.5~10mmであり、更に好ましくは2~6mmである。有利には、この第1基材は、よりクリアな又は更にエクストラクリアなソーダ-ライムガラスから製造されていてもよく、これは、Feで表現される低い合計鉄含有量により、具体的には、エクストラクリアガラスの場合は最大で0.015重量%であり、クリアガラスの場合は0.1重量%である、Feで表現される合計鉄含有量により、特徴付けられることを意味する。このような低い鉄含有量の結果は、ガラスのエネルギー透過率が格段に良好であり、具体的には、その厚さが5mmである通常のフロートガラスの82%と比較して、エクストラクリアガラスでは90%超である、というものである。改善されたエネルギー透過率の利点は、太陽電池がこのようなガラスの背後に配置された際に相対的に良好な効率が得られるという点にある。
【0023】
光反射率及び透過率は、規格EN410(2011)に従って与えられる。これらは、2°の立体角においてCIE(International Commission on Illumination)によって規定される標準光源D65による光源を使用して計測される。
【0024】
外部反射率、即ち、ガラスの被覆されていない面の側における反射率は、ガラスのモノリシックペイン、即ち、ガラスのラミネートされていないペインについては、Rと表記され、ラミネートの場合においては、Rextと表記される。
【0025】
色パラメータは、CIELAB色空間内の座標から得られる。a Rg及びb Rgは、モノリシック基材からの外部反射において計測される(即ち、ガラスの被覆がない側において計測される)色パラメータa及びbを意味する。YRg及びLRg は、それぞれ、ガラスの被覆されていない側において計測される、百分率で表現された反射率、及び百分率で表現された光度(明度)である。ラミネートの外部側において、即ち、第1基材の被覆されていない側において計測される対応する色パラメータは、Rext、a ext、及びb extと表記される。
【0026】
ガラスのモノリシックペインの被覆側の反射率は、Rと表記される。対応する色パラメータは、CIELAB色空間内の座標から得られる。a Rc及びb Rcは、モノリシック基材上の被覆側の反射において計測される色パラメータa及びbを意味する。YRc及びLRc は、ガラスの被覆された側において計測される、百分率で表現された反射率、及び百分率で表現された光度(明度)を意味する。
可視スペクトルにおける光透過率は、規格EN410(2011)に従う。これは、Tvと表記され、対応する色パラメータは、a Tv及びb Tvによって与えられる。
【0027】
エネルギー透過率(TE)は、可視光の透過よりも太陽のスペクトルの方が大きな部分の透過に対応する。この情報は、対象である太陽電池と相互作用する傾向を有する透過された光エネルギーである場合に、特に重要である。この説明においては、エネルギー透過率は、300~2500nmの波長の光について規格EN410(2011)に従って計測される。これらについては、エネルギー透過率のシミュレーションも、390~2500nmの波長の光について実行された。
【0028】
混合された酸化物又は窒化物の組成は、誘電体の2つの構成要素の重量百分率を表す比率によって示されており、第1の数値は、対象の第1要素に関係する。従って、TZO65/35は、65重量%の酸化チタニウム及び35重量%の酸化ジルコニウムから構成された混合されたチタニウム-ジルコニウム酸化物を意味する。同様に、SiZrN60/40は、60重量%の窒化ケイ素と40重量%の窒化ジルコニウムから構成された混合された窒化物を意味する。混合された酸化物ZSO5 52/48は、52重量%の酸化亜鉛と48重量%の酸化すずから構成された混合された亜鉛-すず酸化物に対応しており、即ち、ZSO5は、すず酸亜鉛(ZnSnO)である。
【0029】
上部誘電体層は、高屈折率及び低吸収係数によって特徴付けられる。好ましくは、上部誘電体層の屈折率は、少なくとも2.0であり、好ましくは少なくとも2.1である。有利には、誘電体層の吸収係数は、最大で0.1であり、好ましくは最大で0.05である。屈折率は、美的外観(反射における色)に対する影響を有する一方で、低吸収係数は、相対的に大きなエネルギー透過率を可能にする。
【0030】
有利には、上部誘電体層は、混合された酸化物、窒化物、又は酸窒化物、即ち、少なくとも2つの異なる酸化物、少なくとも2つの異なる窒化物、少なくとも2つの異なる酸窒化物(或いは、2つの異なる原子の少なくとも1つの酸化物及び1つの窒化物)を含む、混合された酸化物、窒化物、又は酸窒化物から選択される。窒化物の場合は、特に、部分的酸化が混合された酸窒化物の形成をもたらすことができる。
【0031】
好ましくは、本発明の誘電体層が構成される酸化物又は窒化物は、例えば、混合されたチタニウム-ジルコニウム酸化物(TZO)又は混合されたケイ素-ジルコニウム窒化物(SiZrN)などのケイ素、チタニウム、亜鉛、すず、ジルコニウム、アルミニウム、及びニオビウムから選択された元素の酸化物、窒化物、又は酸窒化物から選択される。
【0032】
すべての場合において、上部層の組成の一部分を形成するそれぞれの酸化物、窒化物、又は酸窒化物は、20重量%以上、好ましくは25重量%以上、より更に好ましくは30重量%以上である、比率において存在する。更に詳しくは、誘電体層がジルコニウム-チタニウム酸化物である際には、チタニウム酸化物の重量百分率は、62~68重量%である。混合された酸化物、窒化物、又は酸窒化物の関係におけるこの選択肢は、有利には、混合物の酸化物、窒化物、又は酸窒化物の1つのものの光学特性を混合物の別の酸化物、窒化物、又は酸窒化物の耐久性特性と組み合わせることを可能にする。
【0033】
上部誘電体層の光学的厚さ及びその組成は、反射における望ましい色合いに応じて選択される。この厚さは、有利には、少なくとも40nmであり、好ましくは少なくとも50nmである。
【0034】
有利には、この光学的厚さは、最大で110nmであり、好ましくは最大で80nmであり、いっそう更に好ましくは最大で70nmである。
【0035】
ラミネートにおいて、被覆は、外部基材の内部部分上に、即ち、ポリマー材料のシートの側に配置される。当業者は通常、この面を位置2と呼称し、建物内において配置されるグレージングのガラスシートの面は、外部から内部へと付番される。
【0036】
本発明の第2実施形態によれば、下層が、前記基材と上部誘電体層の間において第1基材上に堆積される。下層の役割は、上部誘電体層を保護するというものであるので、この役割を演じ得る任意の酸化物、窒化物、又は酸窒化物であってよい。例として、ケイ素、すず、亜鉛、チタニウム、アルミニウム、ニオビウム、及びジルコニウムから選択される1つ又は複数の元素の酸化物を挙げることができる。有利には、このバリア層の特性及び厚さは、上部誘電体層によって第1基材に与えられる光学特性を変更しないように選択される。更に詳しくは、混合された亜鉛-すず酸化物(ZSO)の、更に詳しくは、すず酸亜鉛の層は、このバリア層の役割を演じるのによく適する。有利には、下層の幾何学的厚さは、少なくとも5nmに等しく、好ましくは少なくとも10nmに等しく、並びに、25nm以下であり、好ましくは20nm以下である。
【0037】
それぞれの実施形態において、下層及び上部誘電体層は、この種の技法と共に当技術分野において使用されるように周知である従来の条件下において、カソードスパッタリング技法(スパッタリングはPVDの一種である)を使用して適用することができる。金属ターゲットを使用することにより、窒化物が窒素及びアルゴンの反応雰囲気中に堆積され、酸化物が酸素及びアルゴンの反応雰囲気中に堆積される。一変形として、誘電体層は、PECVD(Plasma-Enhanced Chemical Vapor Deposition)と呼称される周知の技法を使用して適用される。
【0038】
有利には、被覆された第1基材は、表1に示す値によって特徴付けられたガラス側の光反射率(R)及び反射におけるガラス側の色合いを有する。表1の値は、焼き戻し後のガラスのモノリシックなペインにおけるものである。
【0039】
この被覆された且つ焼き戻しされた第1基材は、十分に大きなエネルギー透過率によって特徴付けられている。すべての場合において、300~2500nmの波長の光のエネルギー透過率は、0.68超であり、好ましくは0.70超であり、更に好ましくは0.72超であり、いっそう更に好ましくは0.74超である。第1基材に有利には適用される熱処理は、当業者には周知の方式により、基材を500℃超、又は更には600℃超の温度に、4分超の時間にわたって加熱するステップを有する。
【0040】
本発明の2つの実施形態によれば、第1基材は、2つの基材の間に挿入されたポリマー材料の少なくとも1つの中間フィルムによって、第2基材とラミネートされている。本発明の目的の1つは、このようにして形成されたスパンドレルパネルが特定の美的基準を充足するというものである(以下の表2を参照されたい)。本発明のラミネートされた組立体の第2基材は、不透明である。これは、特性が有機又は無機であってもよく、更には、特性が有機又は無機である合成物であってもよい。有利には、本発明のラミネートの第2基材は、例えば、ポリビニルフルオライド、並びに、特に、「Tedlar」の名称でDuPontによって販売されているポリビニルフルオライド、などの不透明ポリマーである。別の実施形態において、第2基材は、「Lacobel black classic」という名称でAGC Glass Europe社によって販売されている組立体を形成するように、例えば黒色ペイントを使用して不透明化された、ガラス基材である。また、一代替実施形態においては、第2基材は、ポリマー材料の中間フィルム上で連続的に堆積された複数の(有機又は無機)要素から構成することもできる。従って、例示を目的として、一代替実施形態によれば、例えば、被覆された第1基材/中間フィルム/黒色PET/EVA/通常のガラス、というように表され得るラミネートを取得するために、不透明なポリマーフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)の黒色フィルム)、エチレン酢酸ビニル(EVA)の層、並びに、最後に、予め焼き戻しされたフロートガラスのペインが堆積される(前記ラミネートは、図7及び図8にも概略的に示される)。
【0041】
それぞれの実施形態において、ポリマー材料の中間フィルムは、有利には、ポリビニルブチラール(PVB)、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリウレタン(PU)、イオノマー、或いは、例えば、Dowの熱可塑性ポリオレフィンなどの必要とされる特性を有する任意のその他のポリマーから選択される。ポリマー材料の中間フィルムは、0.3~2mmの厚さを有する。この中間フィルムは、同一の材料又は異なる材料の複数のシートの重畳であってよい。
2つの基材は、当業者には周知の方法、並びに、例えば、国際特許出願公開第2003/084744A1号パンフレット又はベルギー国特許出願公開第876681A号明細書に記述されている方法を使用して組み立てられる。第1基材は、ロールから引き出されたポリマーシートに覆われ、このシートは、次いで、第2基材がその上部に配置される前に、第1基材の寸法に切断される。このようにして形成された組立体は、脱気の後に、カレンダ加工及びオートクレーブ加工される。この組立方法は、例示を目的として与えられており、ラミネートを組み立てる任意のその他の方法を本発明のために使用することができる。
【0042】
本発明の任意の実施形態に従って取得されたラミネートは、表2に示されるものなどの求められている光学特性によって特徴付けられる。従って、目標の値は、主には、外部側の反射における美的外観と関係付けられる(外部反射における外部反射率及び色パラメータ)。
【0043】
有利には、第1基材は、大きなエネルギー透過率を有することから、ラミネートの第1及び第2基材の間に太陽電池を追加することが可能であり、且つ、これらを固定するためにポリマー材料の中間シートを活用することができる。この場合は、第1基材がポリマー材料の第1中間フィルムによって覆われた後に、太陽電池がこのフィルム上に配置され、電気接続がセルに対して実施され、このようにして形成された組立体がポリマー材料の第2フィルムによって覆われる。最後に、第2基材がポリマー材料の第2フィルム上に配置され、このようにして形成された組立体が、当業者には周知の方法を使用してラミネートされる(上記を参照されたい)。第2基材は、無機特性(ガラス)、有機特性(Tedlar、など)、又は複合特性(不透明フィルム及びガラス)を有することができる。
【0044】
第2基材がクリアガラスから製造される代替実施形態の場合は、ラミネートされた組立体は、被覆された基材1/ポリマーフィルム/太陽電池/ポリマーフィルム/黒色PET/EVA/基材2として表すことができる。
【0045】
従って、この特定の実施形態においては、本発明は、特に有利な美観を有する且つ観察することがほとんど不可能である太陽電池を装備したスパンドレルパネルを結果的にもたらす。従って、このようなスパンドレルパネルは、ファサード上で使用される際にBIPV要素を形成しており、且つ、美的であるという利点と、太陽光エネルギーを収集するというメリットとを有する。
【0046】
有利には、それぞれの中間ポリマーフィルムの厚さは、0.3~2mmであり、その理由は、太陽電池が0.1~1.0mmの厚さを有するからである。
【0047】
美的理由から、仕上げられた製品の外観における不連続性を生成するために、セルのエッジを隠蔽することが知られており、或いは、電気接続及び任意の部分を同様に隠蔽することが知られている。本発明の非常に大きな利点の1つは、不透明な第2基材により、セルの大部分が、外部から観察することが不可能な状態に留まっており、従って、例えば黒色のポリビニルフルオライド又はペイントの被覆を使用して隠蔽しなければならないのは、いくつかの特に高度な反射性を有する接続のみであるという点にある。パネルによって生成された電気の収集がその役割である、ジャンクションボックスは、有利には、スパンドレルパネルの背後又は横に配置することができる。
【0048】
発明の詳細な説明
以下、本発明について図及び例を利用して説明する。但し、例は、例示を目的としてのみ与えられており、決して本発明を限定するものではないことに留意されたい。
【0049】
定義
スパンドレルパネルによって本明細書において意味されているものは、窓の間のエリア内において建物のファサード上で使用されるように意図された不透明パネルである。不透明基材によって意味されているものは、基材を通した光透過率が、最大で4%であり、好ましくは最大で1%であり、いっそう更に好ましくは最大で0.5%であることである。
【0050】
光学的厚さによって意味されているものは、その屈折率に材料の幾何学的厚さを乗算した積である。既定では、且つ、特に断りのない限り、これは幾何学的厚さの問題である。
【0051】
屈折率及び減衰係数は、当業者には周知の概念である。この説明において、且つ、特に断りのない限り、屈折率、減衰係数、及び光学的厚さの値は、589nmの波長について与えられており、光学シミュレーションソフトウェアパッケージであるCODE-Theissを利用して推定したものである。
【0052】
例示を目的として、表3は、いくつかの誘電体材料における屈折率及び減衰係数の値を示す。特に断りのない限り、提供される値は、上述のようにシミュレートされた値である。減衰係数のゼロの値は、シミュレートされた値が0.0001未満であったことを意味する。表内に示される混合された酸化物又は窒化物の場合に、添加された比率は、その成分の対応する重量百分率を示す。例えば、TZO65/35は、65重量%の酸化チタニウム及び35重量%の酸化ジルコニウムから構成された混合された酸化物を意味する。これらの値は、本明細書の残りの部分で参照される材料についても使用することとする。
【0053】
図面
図1は、本発明のラミネートの第1基材(S1)を断面において示しており、前記基材は、第1実施形態用に意図されている。第1基材は、2つの主面(1)及び(2)を有する。上部誘電体層Lは、本発明によれば、PVD又はPECVDによって面(2)上に堆積される。
【0054】
図2は、本発明のラミネートの第1基材(S1)を断面において示しており、前記基材は、第2実施形態用に意図されている。第1基材は、2つの主面(1)及び(2)を有する。第1下層Bが面(2)上に堆積され、且つ、次いで、上部誘電体層Lが、本発明によれば、下層B上に堆積される。両方の層は、PVD又はPECVDによって堆積される。
【0055】
図3は、本発明の第1実施形態によるラミネートを断面において示す。(図1において示される)第1基材は、第1基材の面(2)の側に堆積されたポリマー材料の中間シート(P1)を利用して第2基材(S2)とラミネートされており、この面は、上部誘電体層(L)によって被覆された面である。
【0056】
図4は、本発明の第2実施形態によるラミネートを断面において示す。(図2に示される)第1基材は、第1基材の面(2)の側に堆積されたポリマー材料の中間シート(P1)を利用して第2基材(S2)とラミネートされており、この面は、下層(B)によって且つ上部誘電体層(L)によって被覆された面である。
【0057】
図5は、ポリマー材料の第2中間シート(P2)が図3に示すラミネートに追加され、太陽電池(PV)が2つの中間シート(P1)及び(P2)の間に配置される、本発明の特定の実施形態を断面において示す。
【0058】
図6は、ポリマー材料の第2中間シート(P2)が図4に示すラミネートに追加され、太陽電池(PV)が2つの中間シート(P1)及び(P2)の間に配置される、本発明の特定の実施形態を断面において示す。
【0059】
図7は、第2基材がPETから製造された黒色ポリマーフィルムによって不透明化されたガラスの通常のペインであり、そのガラスに、EVAから製造されたフィルムによって確実に接着されている代替実施形態を断面において示す。図7に示される代替実施形態は、第2実施形態を示しており、下層(B)は、上部誘電体層(L)の下方に配置される。
【0060】
図8は、ポリマー材料の第2中間シート(P2)が図7に示すラミネートに追加され、太陽電池(PV)が2つの中間シート(P1)及び(P2)の間に配置される、本発明の特定の実施形態を断面において示す。
【実施例
【0061】
第1実施形態によれば、本発明の上部誘電体層は、第1基材上に堆積される。表4は、様々な種類の誘電体から製造された上部誘電体層に関してTheiss CODEシステムにより実行されたシミュレーションから得られた、光学パラメータを示す。これらの例において、誘電体は、27nmの幾何学的厚さを有し、且つ、Clearliteの名称でAGCによって販売されている種類の、厚さ3.85mmのクリアガラス上に堆積される。シミュレートされた値は、モノリシック基材について与えられている。エネルギー透過率は、390~2500nmの波長範囲について、規格EN410(2011)による計算に基づいてシミュレートした。
【0062】
更に第1実施形態に従って、第1基材(3.85mmフロートガラス)上に堆積された誘電体層としてTZO65/35を有するグレージングをシミュレートした。表5は、TZO65/35の様々な厚さについて得られた光学パラメータを示す。厚さは幾何学的厚さであり、nmを単位として示される。値は、Theiss CODEシステムを使用して実行されたシミュレーションを通じて得られたものである。シミュレートされた値は、モノリシックな基材について与えられている。エネルギー透過率は、390~2500nmの波長範囲において、規格EN410(2011)による計算に基づいてシミュレートした。
【0063】
第1実施形態による本発明の実現の実施例1~4
マグネトロンカソードスパッタリング装置の真空チャンバ内に、厚さ4mmのエクストラクリアガラスパネルを導入した。真空チャンバは、チタニウム-ジルコニウム酸化物(65/35)から製造されたセラミックカソードを装備していた。当業者には周知の方法を使用することにより、TZO65/35の層を酸素及びアルゴン雰囲気中においてガラス基材上に堆積した。条件は、表6に記述される4つの被覆された例を得るように調節されており、これらの例においては、堆積された層の厚さが異なっていた。
【0064】
サンプルを熱処理した(4分間にわたって670℃において保持した)。それぞれの場合において、熱処理の前及び後に計測された反射における又は透過における光学パラメータのすべて(Y、L、a、b)は、安定した状態に留まっていた。
【0065】
EVAポリマーフィルムによって、且つ、太陽電池を内蔵するような方式で、いくつかのサンプルをTedlar基材とラミネートした。ラミネートされた組立体の光学パラメータが、Ultrascanスペクトロフォトメータによって計測され、表7に示される。色パラメータは、外部側の反射、即ち、ラミネートのガラス基材の被覆されていない側からのものについて示される。
【0066】
不透明な第2基材の存在及び得られる有利な反射率は、第1基材の背後にあるすべてのものが光学的に消失する原因である。従って、その特に魅力的な美的外観に起因して、ラミネートをスパンドレルパネルとして使用することができる。
【0067】
第2実施形態による本発明の実現の実施例8~9
本発明の第2実施形態においては、本発明の誘電体層の堆積の前に、バリア層が第1基材上に堆積される。マグネトロン被覆装置の第1真空チャンバ内に、厚さ4mmのエクストラクリアガラスパネルを導入した。真空チャンバは、亜鉛-すず合金カソード(52%のZn)を装備していた。当業者に周知の方法を使用することにより、ZSO5の層を酸素及びアルゴンの雰囲気中においてガラス基材上に堆積した。次いで、チタニウム-ジルコニウム酸化物(65/35)から製造されたカソードを装備した第2真空チャンバに基材を転送した。当業者には周知の方法を使用することにより、TZO65/35の層を酸素及びアルゴン雰囲気中において第1バリア層上に堆積した。得られたサンプルを熱処理した(4分間にわたって670℃において維持した)。表8は、本発明の第2実施形態による被覆された第1基材上で計測された光学パラメータを示す。光学パラメータは、外部反射におけるものであり、即ち、焼き戻しの後の第1モノリシック基材のガラス側からの反射におけるものである。エネルギー透過率は、290~2500nmの波長範囲で規格EN410(2011)に従って計測した。
【0068】
次いで、以上に示されている実施例を、EVAによって第2Tedlar基材とラミネートした。太陽電池をEVA内に挿入した。次いで、ラミネートされた組立体の特定の光学パラメータを、Ultrascanスペクトロフォトメータを使用して計測した。表9に、外部反射、即ち、第1基材のガラス側からの反射に関係する計測された値を示す。
【0069】
本発明のラミネート内への太陽電池の挿入
有利な一実施形態において、EVAが第1基材(参照符号5に対応する被覆されたガラス)上に堆積された後に、太陽電池を定位置に配置し、第2EVAフィルムを堆積し、最後に、不透明な第2基材を定位置に位置決めした。このように形成された且つ太陽電池を装備したラミネートの効率を標準試験条件(STC)下で評価したが、これは、25℃において維持された電池が、エアマス1.5スペクトルを有する1000ワット/平方メートルのパワーによって照射されることを必要としていた(規格EN50380、2003)。従って、太陽電池がその層を保持する第1基材を通じて光を受け取った際に、効率は、被覆されていないガラスを通じた計測に対して、最大で20%、好ましくは最大で15%、いっそう更に好ましくは最大で10%、低減されることが示された。効率は、セルのキロワット-ピーク(ワット-ピーク)を計測することにより算出されたものであり、これは当業者には周知であり、且つ、最適条件下で生成し得る電気の量を予測するために、太陽電池パネルの性能評価を可能にするものである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】