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特表2023-512623ルテニウム-窒化チタン膜上に蒸着されたルテニウム含有膜およびその形成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-28
(54)【発明の名称】ルテニウム-窒化チタン膜上に蒸着されたルテニウム含有膜およびその形成方法
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/34 20060101AFI20230320BHJP
   C23C 16/455 20060101ALI20230320BHJP
【FI】
C23C16/34
C23C16/455
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543731
(86)(22)【出願日】2021-01-14
(85)【翻訳文提出日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2021050632
(87)【国際公開番号】W WO2021144334
(87)【国際公開日】2021-07-22
(31)【優先権主張番号】62/961,835
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】リウ,グオ
(72)【発明者】
【氏名】ウッドラフ,ジェイコブ
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA12
4K030AA13
4K030AA14
4K030AA16
4K030AA18
4K030BA01
4K030BA18
4K030BA38
4K030BB12
4K030CA04
4K030CA12
4K030DA09
4K030FA01
4K030FA10
4K030HA01
4K030JA01
4K030JA06
4K030JA10
4K030LA02
4K030LA15
(57)【要約】
原子層堆積および/または化学蒸着によってルテニウム含有膜を形成する方法を提供する。本方法は、基板の表面上に第1の膜を形成する第1の工程と、第1の膜の少なくとも一部の上にルテニウム含有膜を形成する第2の工程とを含む。第1の工程はチタン前駆体および第1の窒素含有共反応物を基板に送達し、第1のルテニウム前駆体および第2の窒素含有共反応物を基板に送達して、第1のフィルムを形成する工程を含む。第2の工程は、第2のルテニウム前駆体および第3の共反応物を基板に送達する工程を含む。ルテニウム含有膜も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にルテニウム含有膜を形成する方法であって、
前記基板の表面上に第1の膜を形成する第1の工程であって、
(i)チタン前駆体および第1の窒素含有共反応物を前記基板に送達すること、および、
(ii)第1のルテニウム前駆体および第2の窒素含有共反応物を前記基板に送達し、第1の膜を形成すること、を含む工程と、
前記第1の膜の少なくとも一部の上に前記ルテニウム含有膜を形成する第2の工程であって、第2のルテニウム前駆体および第3の共反応物を前記基板および/または前記第1の膜に送達すること、を含む工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の工程、前記第2の工程、またはその両方の工程を、約300℃以下の温度で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の工程、前記第2の工程、またはその両方の工程を、約275℃以下の温度で実施する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の工程、前記第2の工程、またはその両方の工程を、不活性雰囲気中で実施する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の膜がルテニウム-窒化チタンを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記チタン前駆体の構造が式Iに対応する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法:
[RN]Ti (式I)
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~Cアルキルである。
【請求項7】
およびRがそれぞれ独立して、C~Cアルキルである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記チタン前駆体が、テトラキス(ジメチルアミド)チタン、テトラキス(エチルメチルアミド)チタン、およびテトラキス(ジエチルアミド)チタンからなる群から選択される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のルテニウム前駆体が、(η-2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO))、(η-ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO))、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO))、(η-2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、または、トリルテニウムドデカカルボニル Ru(CO)12を含み;および、
前記第2のルテニウム前駆体が、(η-2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO))、(η-ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO))、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO))、(η-2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、トリルテニウムドデカカルボニル Ru(CO)12、(エチルベンジル)(1-エチル-1,4-シクロヘキサジエニル)ルテニウム(Ru(EtBz)(EtCHD))、ビス(エチルシクロペンタジエニルルテニウム(Ru(EtCp))、(シクロペンタジエニル)(エチル)ビスカルボニルルテニウム(Cp(Et)Ru(CO))、または、(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)ビスカルボニルルテニウム((アミジナート)Ru(CO))を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の窒素含有共反応物および前記第2の窒素含有共反応物がそれぞれ独立して、NH、アルキルアミン、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記第3の共反応物が、水素、水素プラズマ、窒素プラズマ、アンモニアプラズマ、酸素、大気、水、ボラン、シラン、オゾン、NH、アルキルアミン、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の窒素含有共反応物、前記第2の窒素含有共反応物および前記第3の共反応物のうちの1つ以上がヒドラジンである、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記基板がSiO、SiN、HfO、ZrO、SiO、Al、TiO、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の工程が以下のサイクルを含む1つ以上のスーパーサイクルを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法:
前記チタン前駆体、前記第1の窒素含有共反応物、およびパージガスを基板に送達することを含むチタンサイクル;および、
前記第1のルテニウム前駆体、前記第2の窒素含有共反応物、およびパージガスを基板に送達することを含むルテニウムサイクル。
【請求項14】
前記ルテニウムサイクルに対する前記チタンサイクルの割合が、約1:1~約2:12である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の工程が、前記第2のルテニウム前駆体、前記第3の共反応物、および前記パージガスを前記基板に送達することを含むさらなるルテニウムサイクルを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の膜のTi:Ru濃度比が約1:10~約10:1である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
AFMによって測定された、前記第1の膜の平均粗さが約0.65nm以下である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
AFMによって測定された、前記ルテニウム含有膜の平均粗さが約1.6nm以下である、請求項1~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の膜は、約1nm~約5nmの厚さと、約20μΩcm~約3000μΩcmの抵抗率とを有する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
約400℃以上の温度において不活性ガス中で前記第1の膜をアニーリングする工程をさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の膜の抵抗率が約10μΩcm~約500μΩcmである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
約400℃以上の温度において不活性ガス中で前記ルテニウム含有膜をアニーリングする工程をさらに含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の工程および前記第2の工程が独立して、化学蒸着または原子層堆積である、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の工程、前記第2の工程またはそれらの組み合わせが、プラズマを使用することをさらに含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
基板の表面上に蒸着された第1の膜であって、チタン前駆体と第1の窒素含有共反応物との第1の反応生成物、および、第1のルテニウム前駆体と第2の窒素含有共反応物との第2の反応生成物を含む第1の膜、ならびに、
前記第1の膜の少なくとも一部の上に蒸着されたルテニウム含有膜であって、第2のルテニウム前駆体と第3の共反応物との第3の反応生成物を含むルテニウム含有膜、
を含む、ルテニウム含有膜。
【請求項26】
前記第1の膜が前記基板の表面上に蒸着された第1の層を含み、
前記第1の層が前記第1の反応生成物を含む、請求項25に記載のルテニウム含有膜。
【請求項27】
前記第1の膜が前記第1の層の少なくとも一部の上に蒸着された第2の層をさらに含み、
前記第2の層が前記第2の反応生成物を含む、請求項25または26に記載のルテニウム含有膜。
【請求項28】
前記第1の層がドーパントとしてルテニウムをさらに含む、請求項25~27のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項29】
前記第1の膜がルテニウム-窒化チタンを含む、請求項25~28のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項30】
前記チタン前駆体の構造が式Iに対応する、請求項25~29のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜:
[RN]Ti (式I)
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~Cアルキルである。
【請求項31】
およびRがそれぞれ独立して、C~Cアルキルである、請求項30に記載のルテニウム含有膜。
【請求項32】
前記チタン前駆体が、テトラキス(ジメチルアミド)チタン、テトラキス(エチルメチルアミド)チタン、およびテトラキス(ジエチルアミド)チタンからなる群から選択される、請求項25~31のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項33】
前記第1のルテニウム前駆体が、(η-2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO))、(η-ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO))、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO))、(η-2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、または、トリルテニウムドデカカルボニル Ru(CO)12を含み;および、
前記第2のルテニウム前駆体が、(η-2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO))、(η-ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO))、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO))、(η-2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、トリルテニウムドデカカルボニル Ru(CO)12、(エチルベンジル)(1-エチル-1,4-シクロヘキサジエニル)ルテニウム(Ru(EtBz)(EtCHD))、ビス(エチルシクロペンタジエニルルテニウム(Ru(EtCp))、(シクロペンタジエニル)(エチル)ビスカルボニルルテニウム(Cp(Et)Ru(CO))、または、(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)ビスカルボニルルテニウム((アミジナート)Ru(CO))を含む、請求項25~32のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項34】
前記第1の窒素含有共反応物および前記第2の窒素含有共反応物がそれぞれ独立して、NH、H、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、
前記第3の共反応物がそれぞれ独立して、水素、水素プラズマ、窒素プラズマ、アンモニアプラズマ、酸素、大気、水、ボラン、シラン、オゾン、NH、H、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項25~33のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項35】
前記第1の窒素含有共反応物、前記第2の窒素含有共反応物、前記第3の共反応物のうちの1つ以上がヒドラジンである、請求項25~34のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項36】
前記基板がSiO、SiN、HfO、ZrO、SiO、Al、TiO、またはそれらの組み合わせを含む、請求項25~35のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項37】
前記第1の膜のTi:Ru濃度比が約1:10~約10:1である、請求項25~36のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項38】
AFMによって測定された、前記第1の膜の平均粗さが約0.65nm以下である、請求項25~37のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項39】
AFMによって測定された、前記ルテニウム含有膜の平均粗さが約1.6nm以下である、請求項25~38のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項40】
前記第1の膜は、約1nm~約5nmの厚さと、約20μΩcm~約3000μΩcmの抵抗率とを有する、請求項25~39のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【請求項41】
前記第1の膜の抵抗率が約10μΩcm~約500μΩcmである、請求項25~39のいずれか1項に記載のルテニウム含有膜。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、ルテニウム-窒化チタン(RuTiN)膜上に蒸着されたルテニウム含有膜、およびルテニウム含有膜を形成する方法に関する。
【0002】
〔背景技術〕
薄膜を形成するために種々の前駆体が使用され、種々の堆積(蒸着)技術が採用されている。このような技術には、反応性スパッタリング、イオンアシスト蒸着、化学蒸着(CVD)(有機金属CVDまたはMOCVDとしても知られている)、および原子層堆積(原子層エピタキシーとしても知られている)が含まれる。CVDおよびALDプロセスは、組成制御(compositional control)の向上、高い膜の均一性、およびドーピングの効果的な制御といった利点を有するため、ますます使用されている。さらに、CVDおよびALDプロセスは、現代の超小型電子デバイスに関連する高度な非平面の構造において優れたコンフォーマルな段差被覆性を提供する。
【0003】
CVDは、基板表面上に薄膜を形成するために前駆体を使用する化学プロセスである。典型的なCVDプロセスにおいて、前駆体は、低圧または大気圧の反応チャンバ内で、基板(例えば、ウェーハ)の表面上を通過する。前駆体は、基板表面上で反応および/または分解し、蒸着物の薄膜を生成する。プラズマは前駆体の反応を助けるために、または材料特性の改善のために使用することができる。揮発性の副生成物は、反応チャンバを通るガスフローによって除去される。蒸着した膜の厚さの制御は困難となり得る。なぜなら、当該厚さは、温度、圧力、ガスフロー体積および均一性、化学的減耗効果、ならびに時間等の多くのパラメータの組み合わせに依存するからである。
【0004】
ALDは、薄膜の堆積のための化学的方法である。ALDは、表面反応に基づく自己制限的、連続的でユニークな膜成長技術である。この表面反応は、厚さの正確な制御を可能とし、種々の組成の表面基板上に、前駆体によって提供される材料のコンフォーマルな薄膜を堆積させることができる。ALDにおいて、前駆体は反応中に分離される。第1の前駆体は、基板表面上を通過し、基板表面上に単層を生成する。過剰な未反応の前駆体は、反応チャンバからポンプで排出される。次に、第2の前駆体または共反応物は基板表面上を通過し、第1の前駆体と反応する。そして、基板表面上に形成された第1の膜の単層上に第2の膜の単層を形成する。プラズマは前駆体または共反応物の反応を助けるために、または材料の品質の改善のために使用してもよい。このサイクルを繰り返して、所望の厚さの膜を調製する。
【0005】
薄膜、特に金属含有薄膜は、ナノテクノロジーおよび半導体デバイスの製造等において種々の重要な用途を有する。そのような用途の例には、キャパシタ電極、ゲート電極、付着性拡散バリア、および集積回路が含まれる。
【0006】
超小型電子部品のサイズの継続的な縮小は、薄膜技術の改良の必要性を増大させている。さらに、ロジックおよびメモリ半導体の製造において、次世代金属電極、キャップ、またはライナーとしてルテニウムを蒸着させる必要がある。さらに、金属窒化物ライナー(例えば、窒化チタンまたは窒化タングステン)は、表面粗さが減少したルテニウム核形成を改善するために使用することができるが、金属窒化物ライナーは純金属よりも著しく高い抵抗率を有し、これは望ましくない。したがって、金属含有ライナー上にルテニウム含有膜を形成するためのプロセスが必要とされ、このプロセスは、ハロゲン化物を含まない有機金属前駆体を使用して、より低い温度で実施して、ルテニウム核形成が改善されたより低い抵抗率の膜を達成することができる。
【0007】
〔発明の概要〕
したがって、本明細書において、ルテニウム含有膜を基板上に形成する方法を提供する。本方法は、基板の表面上に第1の膜を形成する第1の工程と、上記第1の膜の少なくとも一部の上にルテニウム含有膜を形成する第2の工程とを含む。上記第1の工程は、チタン前駆体および第1の窒素含有共反応物を上記基板に送達することと、第1のルテニウム前駆体および第2の窒素含有共反応物を上記基板に送達し、第1の膜を形成することと、を含む。上記第2の工程は、第2のルテニウム前駆体および第3の共反応物を上記基板および/または上記第1の膜に送達することを含む。
【0008】
他の実施形態において、ルテニウム含有膜を提供する。本ルテニウム含有膜は、基板の表面上に蒸着された第1の膜と、上記第1の膜の少なくとも一部の上に蒸着された上記ルテニウム含有膜と、を含む。上記第1の膜は、チタン前駆体と第1の窒素含有共反応物との第1の反応生成物、および、第1のルテニウム前駆体と第2の窒素含有共反応物との第2の反応生成物を含む。上記ルテニウム含有膜は、第2のルテニウム前駆体と第3の共反応物との第3の反応生成物を含む。
【0009】
上記で要約された本実施形態の特定の態様を含んでいる他の実施形態は、以下の詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0010】
〔図面の簡単な説明〕
図1Aは、実施例1による、3つの基板(Al、SiO、およびWCN)上に成長させたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する、蒸着したままのルテニウム-窒化チタン(RuTiN)膜の成長速度(nm/サイクル)のグラフ表示である。
【0011】
図1Bは、実施例1による、3つの基板(Al、SiO、およびWCN)上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する、アニーリングされたRuTiN膜の成長速度(nm/サイクル)のグラフ表示である。
【0012】
図1Cは、図1Aおよび図1Bからの、SiO上に成長させた蒸着したままのRuTiN膜およびSiO上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する成長速度(nm/サイクル)を比較するグラフ表示である。
【0013】
図2Aは、Al上に成長させた蒸着したままのRuTiN膜(「蒸着したまま」)およびAl上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
【0014】
図2Bは、SiO上に成長させた蒸着したままのRuTiN膜(「蒸着したまま」)およびSiO上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
【0015】
図2Cは、WCN上に成長させた蒸着したままのRuTiN膜(「蒸着したまま」)およびWCN上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
【0016】
図3Aは、1:2のTi/Ruサイクル比でSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜のXPS深さプロファイルのグラフ表示である。
【0017】
図4Aは、実施例4による、Al、SiO、およびWCN上に成長させた蒸着したままの厚いRuTiN膜(13~20nm)のTi/Ruサイクル比に対する、抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
【0018】
図4Bは、実施例4による、Al、SiO、およびWCN上に成長させた蒸着したままの薄いRuTiN膜(2~5nm)のTi/Ruサイクル比に対する、抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
【0019】
図5Aは、実施例5による、Al、SiO、およびWCN上に成長させたアニーリングされた厚いRuTiN膜(13~20nm)のTi/Ruサイクル比に対する、抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
【0020】
図5Bは、実施例5による、Al、SiO、およびWCN上に成長させたアニーリングされた薄いRuTiN膜(2~5nm)のTi/Ruサイクル比に対する、抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
【0021】
図6A~6Eは、Ti/Ruサイクル比がそれぞれ1:4、1:3、1:2、2:3、および1:1でSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
【0022】
図7A~7Cは、Ti/Ruサイクル比がそれぞれ1:3、1:2、および1:1で4nmのAl/100nmのSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面のSEM画像である。図7Dは、25nm Al/純粋な(native)SiO(「厚いAl」または「Si上のAl_厚い」と示す)上に1:1のTi/Ruサイクル比でアニーリングされたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
【0023】
図7Eは、種々の基板上に形成させたアニーニングされた膜の、Ti/Ruサイクル比に対するAFM粗さ(nm)のグラフ表示である。
【0024】
図8A~8Eは、100nmのSiO基板(ライナーなし)上に直接形成させた蒸着したままのRu膜、および、100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上の蒸着したままのRuTiN膜ライナー上に所定の位置に(in-situ)形成させたRu膜の表面のSEM画像である。
【0025】
図9Aは、100nmのSiO上のライナー(RuTiN、TiN、TiN_OEM、およびWCN)上にALDによって形成させたRu膜の、X線蛍光(XRF)により測定したRu厚さ(nm)に対する、AFM粗さ(nm)のグラフ表示である。また、ライナーを使用せずに100nmのSiO上に直接、Ru膜を形成させた。
【0026】
図9Bは、4nm Al/100nm SiO上のライナー(RuTiN、TiN、および純粋なSiOを有する25nm Al/Si(Al/Si)上のTiN)上にALDによって形成させたRu膜の、X線蛍光(XRF)により測定したRu厚さ(nm)に対する、AFM粗さ(nm)のグラフ表示である。また、ライナーを使用せずに4nm Al/100nm SiO上に直接、Ru膜を形成させた。
【0027】
図10A~10Eは、100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上に形成させたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
【0028】
図10Fは、100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜について、RuTiNライナーの推定厚さ(nm)に対するAFM粗さ(nm)のグラフ表示である。
【0029】
図11Aおよび11Bは、225℃で蒸着させた、3nmの所定の位置のRuTiNライナー(1:2サイクル比)の上に6.5nmのRuで被覆された孔構造の断面SEM像である。
【0030】
〔詳細な説明〕
本技術のいくつかの実施形態の例を説明する前に、本技術は、以下の記述で説明される構成又はプロセス段階の細部に限定されないことを理解されたい。本技術は他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施又は実行されることが可能である。
【0031】
本発明者らは、ルテニウム蒸着を改善するための2つの工程を含むプロセスと、それから形成される膜と、を発見した。前記プロセスは、本明細書に記載されるチタン前駆体、本明細書に記載される第1の窒素含有共反応物、本明細書に記載される第1のルテニウム前駆体、および第2の窒素含有共反応物を使用して、基板上に第1の膜またはライナー(例えば、RuTiN含有膜)を蒸着させることを含んでもよい。ルテニウム含有膜は、本明細書に記載される第2のルテニウム前駆体および第3の共反応物を送達することによって、第1の膜上に形成することができる。有利には、本明細書に記載されるプロセスは、より低い温度(例えば、350℃以下)において、ハロゲン化物を含まない前駆体を使用して実施することができる。形成された第1の膜は、第1の膜にルテニウムをドーピングした結果、他の金属窒化物ライナーと比較して抵抗率が低い。本明細書に記載される蒸着プロセスは、ルテニウム薄膜を形成するための現行の蒸着法(ルテニウム薄膜を形成するための現行のALDプロセス、および金属窒化物ライナーを使用するALDプロセスを含む)と比較して粒径が小さいおよび抵抗率が低い、より滑らかなルテニウム膜を提供することが発見された。
【0032】
(定義)
本発明および特許請求の範囲の目的のために、周期表群のナンバリングスキームは、IUPAC元素周期表に従う。
【0033】
本明細書で「Aおよび/またはB」等の語句で使用される用語「および/または」は、「AおよびB」、「AまたはB」、「A」、および「B」を含むことを意図する。
【0034】
用語「置換基」、「ラジカル」、「基」、および「部分」は、互換的に使用されてもよい。
【0035】
本明細書で使用される場合、「金属含有錯体」(またはより単純には「錯体」)および「前駆体」という用語は、互換的に使用され、例えばALDまたはCVDなどの蒸着プロセスによって金属含有膜を調製するために使用することができる金属含有分子または化合物を示す。金属含有膜を形成するために、金属含有錯体を基板またはその表面上に蒸着、吸着、分解、送達、および/または通過させてもよい。
【0036】
本明細書で使用される場合、用語「金属含有膜」は、以下でより完全に定義される元素金属膜だけでなく、1つ以上の元素と共に金属を含む膜、例えば金属窒化物膜、金属ケイ化物膜、金属炭化物膜等も含む。本明細書で使用される場合、用語「元素金属膜」および「純金属膜」は、互換的に使用され、純粋な金属からなるか、または本質的に純粋な金属からなる膜を示す。例えば、元素金属膜は100%純粋な金属を含んでもよく、または元素金属膜は1つ以上の不純物と共に、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、もしくは少なくとも約99.99%の純粋な金属を含んでもよい。文脈上、別段の指示がない限り、用語「金属膜」は、元素金属膜を意味すると解釈されるものとする。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「蒸着プロセス」は、CVDおよびALDを含むが、これらに限定されず、任意の種類の蒸着技術を示すために使用される。種々の実施形態において、CVDは従来の(すなわち、連続フロー)CVD、液体注入CVD、プラズマ強化(plasma-enhanced)CVDまたは光アシストCVDの形態を取り入れてよい。CVDは、パルス技術(すなわち、パルスCVD)の形態を取り入れてもよい。ALDは、本明細書に開示される少なくとも1つの金属錯体を基板表面上で気化および/または通過させることによって、金属含有膜を形成するために使用される。従来のALDプロセスについては、例えば、George S. M., et al. J. Phys. Chem., 1996, 100, 13121-13131を参照のこと。他の実施形態において、ALDは従来の(すなわち、パルス注入)ALD、液体注入ALD、光アシストALD、プラズマアシストALD、またはプラズマ強化ALDの形態を取り入れてもよい。用語「蒸着プロセス」は、Chemical Vapour Deposition: Precursors, Processes, and Applications; Jones, A. C.; Hitchman, M. L., Eds. The Royal Society of Chemistry: Cambridge, 2009; Chapter 1, pp 1-36に記載の種々の蒸着技術を含んでもよい。
【0038】
用語「アルキル」は、メチル、エチル、プロピル、およびブチル等の、しかしこれらに限定されない、長さが1~約8個の炭素原子の飽和炭化水素鎖を示す。アルキル基は直鎖であっても分枝鎖であってもよい。例えば、本明細書で使用される場合、プロピルはn-プロピルおよびイソプロピルの両方を包含し、ブチルはn-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、およびtert-ブチルを包含する。さらに、本明細書で使用される場合、「Me」はメチルを示し、「Et」はエチルを示す。
【0039】
(ルテニウム含有膜およびその形成方法)
上記に記載のとおり、ルテニウム含有膜およびルテニウム含有膜の形成方法を本明細書において提供する。ルテニウム含有膜は、基板の表面上に配置された第1の膜(またはライナー)と、第1の膜の少なくとも一部の上に配置されたルテニウム含有膜とを含むことができる。第1の膜は、チタン前駆体と第1の窒素含有共反応物との第1の反応生成物、および、第1のルテニウム前駆体と第2の窒素含有共反応物との第2の反応生成物とを含むことができる。任意の実施形態において、第1の膜は、ルテニウム-窒化チタン(RuTiN)を含むことができる。任意の実施形態において、第1の膜は、基板の表面に隣接する第1の層を含んでいてもよい。第1の層は第1の反応生成物を含む。第1の層および/または第1の反応生成物はまた、チタン前駆体の解離部分、第1の窒素含有共反応物の解離部分、またはそれらの組み合わせを任意に含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、第1の膜は、第1の層に隣接する第2の層を含むことができる。第2の層は第2の反応生成物を含む。第2の層および/または第2の反応生成物はまた、第1のルテニウム前駆体の解離部分、第2の窒素含有共反応物の解離部分、またはそれらの組み合わせを任意に含んでもよい。これに加えてまたはこれに代えて、第1の膜はドーパントとしてルテニウムをその中に含むことができる。例えば、第1の膜は第1の反応生成物(例えば、第1の層として存在している)および第2の反応生成物(例えば、第2の層として存在している)を含むことができる。この場合、第1の層、第2の層またはその両方の層は、ルテニウムでドープされている。プラズマは前駆体もしくは共反応物の反応を高めるために、または、膜の品質を改善するために使用してもよい。
【0040】
任意の実施形態において、ルテニウム含有膜は第2のルテニウム前駆体と第3の共反応物との第3の反応生成物、および、任意に、第2のルテニウム前駆体の解離部分、第3の共反応物の解離部分、またはそれらの組み合わせを含むことができる。本明細書において、第1の膜、第1の層、第2の層、およびルテニウム含有膜はそれぞれ連続層または不連続層であり得ると考えられる。
【0041】
上記のルテニウム含有膜を調製する方法は、第1の工程および第2の工程を含んでもよい。任意の実施形態において、第1の工程は、チタン前駆体および第1の窒素含有共反応物を基板に送達することによって、基板の表面上に第1の膜(またはライナー)を形成することを含むことができる。第1の工程は、第1のルテニウム前駆体および第2の窒素含有共反応物を基板に送達することをさらに含む。種々の態様において、第1の膜は、上記の第1の反応生成物および上記の第2の反応生成物を含むことができる。さらなる態様において、第1の膜は、上記の第1の層、上記の第2の層、またはそれらの組み合わせを含むことができる。これに加えてまたはこれに代えて、第1の膜は、ドーパントとしてルテニウムをその中に含むことができる。
【0042】
任意の実施形態において、第2の工程は、第2のルテニウム前駆体および第3の共反応物を基板に送達して、第1の膜の少なくとも一部の上にルテニウム含有膜を形成することを含むことができる。ルテニウム含有膜は、上記の第3の反応生成物を含むことができる。
【0043】
任意の実施形態において、第1の工程、第2の工程、またはそれらの組み合わせはプラズマの使用を含むことができる。プラズマの使用は、例えば、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、第2のルテニウム前駆体、第1の窒素含有共反応物、第2の窒素含有共反応物、および第3の共反応物のうちの1つ以上の反応を高めることができる。これに加えてまたはこれに代えて、プラズマの使用は、膜の品質を改善することができる。
【0044】
任意の実施形態において、チタン前駆体の構造は式Iに対応する:
[RN]Ti (式I)
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~Cアルキルである。いくつかの実施形態において、RおよびRはそれぞれ独立して、C~CアルキルまたはC~Cアルキルである。好適なチタン前駆体の例には、テトラキス(ジメチルアミド)チタン(テトラキス(ジメチルアミノ)チタンとしても知られる)(TDMAT)、テトラキス(エチルメチルアミド)チタン(テトラキス(エチルメチルアミノ)チタンとしても知られる)、およびテトラキス(ジエチルアミド)チタン(テトラキス(ジエチルアミノ)チタンとしても知られる)が含まれるが、これらに限定されない。
【0045】
任意の実施形態において、第1のルテニウム前駆体は、(η-2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO))、(η-ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO))、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO))、(η-2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、または、トリルテニウムドデカカルボニル Ru(CO)12を含む。
【0046】
任意の実施形態において、第2のルテニウム前駆体は、(η-2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO))、(η-ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO))、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO))、(η-2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、トリルテニウムドデカカルボニル Ru(CO)12、または、他のRu(0)もしくはRu(II)ルテニウム前駆体(例えば、(エチルベンジル)(1-エチル-1,4-シクロヘキサジエニル)ルテニウム(0)(Ru(EtBz)(EtCHD))、ビス(エチルシクロペンタジエニルルテニウム(II)(Ru(EtCp))、(シクロペンタジエニル)(エチル)ビスカルボニルルテニウム(0)(Cp(Et)Ru(CO))、または、(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)ビスカルボニルルテニウム(II)((アミジナート)Ru(CO))を含む。任意の実施形態において、第1のルテニウム前駆体および第2のルテニウム前駆体は同じであり得る。
【0047】
いくつかの実施形態において、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、第2のルテニウム前駆体、またはそれらの組み合わせは、蒸着プロセスを容易にするために、炭化水素溶媒またはアミン溶媒などの好適な溶媒に溶解されてもよい。好適な炭化水素溶媒には、脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン、ヘプタンおよびノナン);芳香族炭化水素(例えば、トルエンおよびキシレン);ならびに脂肪族および環状エーテル(例えば、ジグリム、トリグリム、およびテトラグリム)が挙げられるが、これらに限定されない。好適なアミン溶媒の実施例としてはオクチルアミンおよびN,N-ジメチルドデシルアミンが含まれるが、これらに限定されない。例えば、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、第2のルテニウム前駆体、または組み合わせを、トルエンに溶解して、約0.05M~約1Mの濃度の溶液を得てもよい。
【0048】
代替の実施形態において、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、第2のルテニウム前駆体、または組み合わせは、「純粋で(neat)」(キャリアガスによって希釈しない)基板表面に送達されてもよい。
【0049】
したがって、これらの方法において利用される本明細書に開示される前駆体は、液体、固体、または気体であってもよい。典型的には、ルテニウム前駆体は、処理チャンバへの蒸気の一貫した輸送を可能にするのに十分な蒸気圧を有する周囲温度の液体または固体である。
【0050】
第1の窒素含有共反応物および第2の窒素含有共反応物はそれぞれ独立して、NH、アルキルアミン、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。種々の態様において、アルキルヒドラジンは、C~Cアルキルヒドラジン、C~Cアルキルヒドラジン、またはC~Cアルキルヒドラジンであってもよい。例えば、アルキルヒドラジンは、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、プロピルヒドラジン、またはブチルヒドラジン(三級ブチルヒドラジンを含む)であってもよい。
【0051】
任意の実施形態において、第3の共反応物は、水素、水素プラズマ、窒素プラズマ、アンモニアプラズマ、酸素、大気、水、H、オゾン、i-PrOH、t-BuOH、NO、アンモニア、アルキルアミン、ヒドラジン、ボラン、シラン、オゾン、およびこれらの任意の2つ以上の組み合わせからなる群から選択することができる。いくつかの実施形態において、第3の共反応物が第3の窒素含有共反応物(例えば、NH、アルキルアミン、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される)であってもよい。
【0052】
種々の態様において、基板表面が金属、誘電体材料、金属酸化物材料、またはそれらの組み合わせを含むことができる。誘電体材料は、低κ誘電体または高κ誘電体であり得る。好適な誘電体材料の例には、SiO、SiN、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。好適な金属酸化物材料の例には、HfO、ZrO、SiO、Al、TiO、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。他の好適な基板材料には、シリコン、結晶シリコン、Si(100)、Si(111)、ガラス、歪みシリコン、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、ドープされたシリコンまたは酸化シリコン(例えば、炭素でドープされた酸化シリコン)、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、タンタル、窒化タンタル、アルミニウム、銅、ルテニウム、チタン、窒化チタン、タングステン、窒化タングステン、炭窒化タングステン(WCN)、およびナノスケールデバイス製造プロセス(例えば、半導体製造プロセス)で一般に遭遇する任意の数の他の基板が含まれるが、これらに限定されない。当業者には理解されるように、基板は、基板表面を研磨、エッチング、還元、酸化、ヒドロキシル化、アニーリング、および/またはベークするために、前処理プロセスに曝されてもよい。1つ以上の実施形態において、基板表面は水素末端表面を含む。
【0053】
本明細書で提供される方法は連続注入処理またはパルス注入処理、液体注入処理、光アシスト処理、プラズマアシスト処理、およびプラズマ強化処理等の種々の種類のALDおよび/CVD処理を包含するが、これらに限定されない。たとえば、第1の工程および第2の工程は、ALDまたはCVDプロセスであり得る。
【0054】
いくつかの実施形態において、従来のCVDまたはパルスCVDを使用して、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および/または第2のルテニウム前駆体(すべて本明細書に開示される)を基板表面上で気化および/または通過させることによって、本明細書に記載される第1の膜および/または本明細書に記載されるルテニウム含有膜を形成する。従来のCVDプロセスについては、例えば、Smith, Donald (1995). Thin-Film Deposition: Principles and Practice. McGraw-Hillを参照のこと。
【0055】
他の実施形態において、光アシストCVDを使用して、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および/または第2のルテニウム前駆体(すべて本明細書に開示される)を基板表面上で気化および/または通過させることによって、本明細書に記載される第1の膜および/または本明細書に記載されるルテニウム含有膜を形成する。
【0056】
いくつかの実施形態において、従来の(すなわち、パルス注入)ALDを使用して、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および/または第2のルテニウム前駆体(すべて本明細書に開示される)を基板表面上で気化および/または通過させることによって、本明細書に記載される第1の膜および/または本明細書に記載されるルテニウム含有膜を形成する。従来のALDプロセスについては、例えば、George S. M., et al. J. Phys. Chem., 1996, 100, 13121-13131を参照のこと。
【0057】
他の実施形態において、液体注入ALDを使用して、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および/または第2のルテニウム前駆体(すべて本明細書に開示される)を基板表面上で気化および/または通過させることによって、本明細書に記載される第1の膜および/または本明細書に記載されるルテニウム含有膜を形成する。上記の前駆体はバブラーによる蒸気吸引とは対照的に、直接液体注入によって反応チャンバに送達される。液体注入ALDプロセスについては、例えば、Potter R. J., et al., Chem. Vap. Deposition, 2005, 11(3), 159-169.を参照のこと。
【0058】
他の実施形態において、光アシストALDを使用して、本明細書に開示される少なくとも1つの前駆体を基板表面上で気化および/または通過させることによって、本明細書に記載される第1の膜および/または本明細書に記載されるルテニウム含有膜を形成する。光アシストALDプロセスについては、例えば、米国特許第4,581,249号を参照のこと。
【0059】
他の実施形態において、プラズマアシストALDまたはプラズマ強化ALDを使用して、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および/または第2のルテニウム前駆体(すべて本明細書に開示される)を基板表面上で気化および/または通過させることによって、本明細書に記載される第1の膜および/または本明細書に記載されるルテニウム含有膜を形成する。
【0060】
さらなる実施形態において、第1の工程は(例えば、ALDプロセス中)、チタンサイクルおよびルテニウムサイクルを含むスーパーサイクル(super cycle)を含むことができる。チタンサイクルは、チタン前駆体、第1の窒素含有共反応物、およびパージガスを基板に送達することを含むことができる。例えば、チタン前駆体を0.01~1秒間パルス操作(pulse)し、続いてパージガスを5~15秒間送達し、続いて第1の窒素含有共反応物を0.001~1秒間パルス操作し、続いてパージガスを5~15秒間送達することができる。ルテニウムサイクルは、第1のルテニウム前駆体、第2の窒素含有共反応物、およびパージガスを基板に送達することを含むことができる。例えば、第1のルテニウム前駆体を0.01~1秒間パルス操作し、続いてパージガスを5~15秒間送達し、続いて第2の窒素含有共反応物を0.001~1秒間パルス操作し、続いてパージガスを5~15秒間送達することができる。
【0061】
スーパーサイクルは「m」回のチタンサイクルとそれに続く「n」回のルテニウムサイクルを含むことができる。mおよびnはそれぞれ、1~100サイクル、1~75サイクル、1~50サイクル、1~25サイクル、1~10サイクル、または1~5サイクルの範囲であり得る。ルテニウムサイクルに対するチタンサイクルの割合は、1:1~2:12または1:1~2:10の範囲であり得る。ルテニウムサイクルに対するチタンサイクルの割合に応じて、第1の膜のTi:Ru濃度比は、約1:10~約10:1であってもよい。
【0062】
いくつかの実施形態において、スーパーサイクルは、1回のチタンサイクルとそれに続く1~50のルテニウムサイクル、1~25のルテニウムサイクル、または1~10ルテニウムサイクルを含むことができる。あるいは、スーパーサイクルは、2回のチタンサイクルとそれに続く3回のルテニウムサイクルを含むことができる。スーパーサイクルの総数は、1~100、1~75、1~50、1~25、1~10、または1~5の範囲であり得る。
【0063】
種々の態様において、第2の工程は、第2のルテニウム前駆体、第3の共反応物、およびパージガスを基板に送達することを含むさらなるルテニウムサイクルを含むことができる。例えば、第3のルテニウム前駆体を0.01~1秒間パルス操作し、続いてパージガスを5~15秒間送達し、続いて第3の共反応物を0.001~1秒間パルス操作し、続いてパージガスを5~15秒間送達することができる。任意の好適なパージガスは第1および第2の工程で使用することができ、例えば、窒素、水素、および希ガス(例えば、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン等)である。
【0064】
本明細書に記載される方法の反応時間、温度および圧力は、基板の表面上に第1の膜およびルテニウム含有膜を生成するために選択される。反応条件は、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および第2のルテニウム前駆体の特性に基づいて選択されるだろう。蒸着は大気圧で行うことができるが、より一般的には減圧で行う。チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および第2のルテニウム前駆体の蒸気圧は、このような用途において実用的であるために十分に高くなければならない。基板温度は表面の金属原子間の結合を完全な状態に保ち、気体反応物の熱分解を防止するために十分に低くなければならない。しかしながら、基板温度はまた、供給源の材料(すなわち、反応物)を気相に保ち、表面反応に十分な活性化エネルギーを提供するために十分に高くなければならない。適切な温度は、使用される特定のチタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および第2のルテニウム前駆体、ならびに圧力を含む、種々のパラメータに依存する。いくつかの実施形態において、第1の工程、第2の工程、またはその両方の工程は、約350℃以下、約300℃以下、約275℃以下、約250℃以下、約225℃以下、または約200℃以下、または約150℃~約350℃、好ましくは約200℃~約250℃の温度で実施してもよい。上記の温度は、基板温度を表すものと理解される。任意の実施形態において、第1の工程、第2の工程、またはその両方の工程は、不活性雰囲気中(例えば、アルゴン雰囲気中)で実施してもよい。
【0065】
本明細書に開示される蒸着方法において使用するための特定のチタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および第2のルテニウム前駆体の特性は、当該技術分野において公知の方法を使用して評価することができ、反応のための適切な温度および圧力の選択を可能にする。一般に、低分子量および配位子球の回転エントロピーを増加させる官能基の存在は、結果として、典型的な送達温度および増加した蒸気圧で液体を生じる融点をもたらす。
【0066】
蒸着方法において使用するためのチタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および第2のルテニウム前駆体は、十分な蒸気圧、選択された基板の温度での十分な熱安定性、および薄膜中に望ましくない不純物を含まずに基板の表面上で反応を生じさせるための十分な反応性のための要件のすべてを有するであろう。十分な蒸気圧は、供給源の化合物の分子が完全な自己飽和反応を可能にするために十分な濃度で基板の表面上に存在することを確実にする。十分な熱安定性は、供給源の化合物が薄膜中に不純物を生成する熱分解を受けないことを確実にする。
【0067】
本明細書に開示されるチタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、および第2のルテニウム前駆体についてのALD成長条件の例として、以下が挙げられるが、これらに限定されない:
(1)基板の温度:200~300℃
(2)エバポレータ温度(金属前駆体温度):20~70℃
(3)反応器圧力:0.01~10Torr
(4)アルゴンまたは窒素キャリアガス流速:0~100sccm
(5)反応性ガス(共反応物)パルス時間:0.01~1秒。パルスシーケンス(金属錯体/パージ/反応性ガス/パージ):チャンバサイズに応じて変化するだろう
(6)サイクル数:所望の膜厚に応じて変化するだろう。
【0068】
さらなる実施形態において、本明細書に記載される方法は、例えば第1の膜のためのコンフォーマル成長を提供する条件下で行われてもよい。本明細書で使用される場合、用語「コンフォーマル成長」は、底面、側面、上部角、およびフィーチャ(feature)の外側のうちの1つ以上に沿って、膜が実質的に同じ厚さで蒸着される蒸着プロセスを示す。「コンフォーマル成長」はまた、膜厚のいくらかの変動を包含することが意図され、例えば、膜は、フィーチャの底部または下部と比較して、フィーチャの外側および/またはフィーチャの頂部もしくは上部付近でより厚くてもよい。
【0069】
コンフォーマル成長サイクルは、コンフォーマル成長が起こるコンフォーマル条件下で、上記のスーパーサイクルを実施することを含んでもよい。コンフォーマル条件には、温度(例えば、基板、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、第2のルテニウム前駆体、パージガス、共反応物等の)、圧力(例えば、チタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、第2のルテニウム前駆体、パージガス、共反応物等の送達中の)、送達されるチタン前駆体、第1のルテニウム前駆体、第2のルテニウム前駆体および/もしくは共反応物の量、ならびに/または、パージ時間の長さおよび/もしくは送達されるパージガスの量が含まれるが、これらに限定されない。様々な態様において、基板は、コンフォーマル成長が起こってもよい1つ以上のフィーチャを含んでいてもよい。
【0070】
種々の態様において、フィーチャは、孔、溝、コンタクト、デュアルダマシン等としてもよい。フィーチャは「凹型フィーチャ」としても知られる不均一な幅を有してもよく、またはフィーチャは実質的に均一な幅を有してもよい。
【0071】
1つ以上の実施形態において、本明細書に記載される方法に従って成長させた第1の膜および/またはルテニウム含有膜は、実質的に空隙および/または空洞となる継ぎ目を有していなくてもよい。
【0072】
任意の実施形態において、本明細書に記載される方法は、蒸着したままの第1の膜、蒸着したままのルテニウム含有膜、またはその両方の膜をより高い温度でアニーリングする工程をさらに含むことができる。言い換えれば、アニーリングは、第1の膜を形成するための最後のサイクルおよび/またはルテニウム含有膜を形成するための最後のサイクルの後に行うことができる。アニーリング工程は、不純物が少なく、抵抗率が少ない品質のルテニウム膜を提供するのに役立つ。
【0073】
したがって、いくつかの実施形態において、蒸着したままの第1の膜、蒸着したままのルテニウム含有膜、またはその両方の膜は、真空下で、あるいはArもしくはN等の不活性ガス、またはHもしくはNH等の還元剤、または例えばAr中5%HもしくはAr中5%H等のそれらの組み合わせの存在下で、アニーリングされてもよい。理論に拘束されるものではないが、アニーリング工程は、抵抗率を低下させ膜の品質をさらに改善するために、高温での緻密化によって組み込まれた炭素、酸素および/または窒素を除去してもよい。アニーリングは、約300℃以上、約400℃以上、または約500℃;約300℃~約500℃、または約400℃~約500℃の温度で行ってもよい。
【0074】
本明細書に記載される方法から形成される第1の膜およびルテニウム含有膜は、より低い抵抗率を有することができる。いくつかの実施形態において、第1の膜の抵抗率は、約20μΩcm以上、約40μΩcm以上、約60μΩcm以上、約80μΩcm以上、約100μΩcm以上、約250μΩcm以上、約500μΩcm以上、約1000μΩcm以上、約1500μΩcm以上、約2000μΩcm以上、約2500μΩcm以上、もしくは約3000μΩcm以上;または、約20μΩcm~約3000μΩcm、約100μΩcm~約3000μΩcm、約500μΩcm~約3000μΩcm、約100μΩcm~約2000μΩcm、約100μΩcm~約1000μΩcm、約100μΩcm~約500μΩcmであってもよい。いくつかの実施形態において、第1の膜のアニーリング後に第1の膜の抵抗率を例えば、約10μΩcm以上、約20μΩcm以上、約50μΩcm以上、約100μΩcm以上、約250μΩcm以上、もしくは約500μΩcm以上;または約10μΩcm~約500μΩcmもしくは約20μΩcm~約250μΩcmの抵抗率までに低下させることができる。
【0075】
上記の抵抗測定は、XRFによって測定された、約1nm~約20nm、約1nm~約15nm、約2nm~約15nm、約2nm~約10nm、または約1nm~約5nmの厚さを有する、本明細書に記載される方法によって調製された第1の膜において達成してもよい。
【0076】
有利には、本明細書に記載されるプロセスから形成される膜の粗さは減少している。例えば、AFMによって測定された第1の膜の粗さは、約2nm以下、約1.8nm以下、約1.6nm以下、約1.4nm以下、約1.2nm以下、もしくは約1nm以下;または、AFMによって測定された、約1nm~約2nm、約1nm~約1.8nm、約1nm~約1.6nm、もしくは約1nm~約1.4nmであり得る。これに加えてまたはこれに代えて、AFMによって測定されたルテニウム含有膜の粗さは、約1.0nm以下、約0.8nm以下、約0.65nm以下、約0.4nm以下、もしくは約0.2nm以下;または、AFMによって測定された、約0.2nm~約1.0nm、約0.2nm~約0.8nm、もしくは約0.2nm~約0.65nmであり得る。
【0077】
(用途)
本明細書に記載されるプロセスから形成される膜は、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、および3D NAND、3Dクロスポイント、ならびにReRAM等のメモリおよび/またはロジック用途に有用である。
【0078】
本明細書を通して、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つ以上の実施形態」、または「実施形態」に言及することは、本実施形態に関連して記載された特定の特徴、構造、材料、または特性が本技術の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の種々の箇所における「1つ以上の実施形態において」、「特定の実施形態において」、「一実施形態において」、または「実施形態において」などの語句の出現は、必ずしも本技術の同じ実施形態を示すとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の好適な方法で組み合わせてもよい。
【0079】
本明細書の本技術は、特定の実施形態を参照して記載されたが、これらの実施形態は本技術の原理および用途を単に例示しているに過ぎないことを理解されたい。本技術の精神および範囲から逸脱することなく、本技術分野の方法および装置に種々の改変および変形を行うことができることは、当業者には明らかであろう。したがって、本技術は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にある改変および変形を含むことが意図される。したがって、本技術は一般的に記載されるが、例示を目的として提供され、限定を意図していない以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるであろう。
【0080】
〔実施例〕
以下の実施例において、(DMBD)Ru(CO)(RuDMBDとも示される)およびTDMATを前駆体として利用した。(DMBD)Ru(CO)を調製する方法は、当技術分野で公知である。例えば、本明細書においてその全体が参照によって組み込まれる米国特許出願公開第2011/0165780号を参照されたい。
【0081】
別段の記載がない限り、ルテニウム-窒化チタン(RuTiN)膜は、(DMBD)Ru(CO)およびTDMATを使用して、以下の条件下でCN1 ALD/CVD反応器中でALDプロセスにおいて蒸着させた:
(i)アルゴン雰囲気中、温度225℃および圧力0.94Torr;
(ii)TDMATを50℃で、以下のようにチタンサイクル中で基板に送達した:1秒パルスTDMAT(バブラー)、アルゴンで10秒パージ、ヒドラジン共反応物パルス0.075秒、およびアルゴンで10秒パージ。
【0082】
(iii)(DMBD)Ru(CO)を40℃で、以下のようにルテニウムサイクル中で基板に送達した:1秒パルス(DMBD)Ru(CO)(バブラー)、アルゴンで10秒パージ、ヒドラジン共反応物パルス0.075秒、およびアルゴンで10秒パージ。
【0083】
(iv)1回のチタンサイクルと、それに続く「n」回のルテニウムサイクルとを含むスーパーサイクルを使用して(2回のチタンサイクルとそれに続いて3回のルテニウムサイクルを実施した場合を除く)、RuTiN膜を蒸着した。
【0084】
(v)Ti/Ruサイクル比=1/nであり、RuTiN膜中の相対Ti濃度を示す。
【0085】
(vi)RuTiN膜のアニーリングが起こった場合、膜は、蒸着直後に反応器内でアニーリングされるか、または短時間(例えば、2分以下)大気中に暴露され、アニーリングのために真空下で反応器内に再装填された。
【0086】
(vii)RuTiN膜の抵抗率は別段の記載がない限り、偏光解析計(エリプソメーター)の厚さに基づいていた。
【0087】
〔実施例1〕平均成長速度:Ti/Ruサイクル比への依存性
厚さ13~20nmのRuTiN膜を、以下の表1に示すように、Ti/Ruサイクル比に応じた種々のスーパーサイクルを使用して、上記のALD条件で、3つの基板(Al、SiO、およびWCN)上に成長させた。
【0088】
【表1】
【0089】
したがって、例えば、Ti/Ruサイクル比が0.1であるRuTiN膜を、Al、SiO、およびWCNなどでそれぞれ成長させた。上記のTi/Ruサイクル比である3つの基板上に形成されたRuTiN膜(「蒸着したまま」)の平均成長速度を図1Aに示す。
【0090】
上述のようにして形成されたRuTiN膜も、アルゴンの存在下、400℃で蒸着後アニーリングを行った。言い換えれば、アニーリングは、最後のスーパーサイクルが完了した後に行った。上記のTi/Ruサイクル比である3つの基板上に形成されたRuTiN膜の平均成長速度を図1Bに示す。図1CはSiO上に成長させたRuTiN膜(「蒸着したまま」)の成長速度と、SiO上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜の成長速度とを比較し、アニーリング時の膜の緻密化を示す。0.33以上のTi/Ruサイクル比で定常成長速度に達した。
【0091】
〔実施例2〕抵抗率:Ti/Ruサイクル比への依存性およびアニーリングの効果
表1に示すように、Ti/Ruサイクル比に応じた種々のスーパーサイクルを使用して、上記のALD条件で、3つの基板(Al、SiO、およびWCN)上に成長させた、厚さ13~20nmのRuTiN膜の抵抗率を測定した。上述のように形成させたアニーリングされたRuTiN膜についても抵抗率を測定した。
【0092】
図2Aは、Al上に成長させたRuTiN膜(「蒸着したまま」)の抵抗率と、Al上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜の抵抗率とを比較する。図2Bは、SiO上に成長させたRuTiN膜(「蒸着したまま」)の抵抗率と、SiO上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜の抵抗率とを比較する。図2Cは、WCN上に成長させたRuTiN膜(「蒸着したまま」)の抵抗率と、WCN上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜の抵抗率とを比較する。抵抗率はTi/Ruサイクル比の増加と共に増加し、アニーリングは抵抗率を低下させた。
【0093】
〔実施例3〕SiO上の厚いRuTiN膜のXPS分析
Ti/Ruサイクル比1:2(0.5)でSiO上に形成させたRuTiN膜のXPS分析を行った。その結果、図3Aに示すように、膜中にRu、TiおよびNが存在し、大気暴露による酸素の存在が確認された。
【0094】
〔実施例4〕薄い対厚いRuTiN膜の抵抗率
厚さ13~20nmのRuTiN膜(「厚膜」)を、表1に示すように、Ti/Ruサイクル比に応じた種々のスーパーサイクルを使用して、上記のALD条件で、3つの基板(Al、SiO、およびWCN)上に成長させた。厚さ2~5nmのRuTiN膜(「薄膜」)を、以下の表2に示すように、Ti/Ruサイクル比に応じた種々のスーパーサイクルを使用して、上記のALD条件で、2つの基板(AlおよびSiO)上に成長させた。
【0095】
【表2】
【0096】
厚膜および薄膜の抵抗率を測定した。図4Aは、表1のTi/Ruサイクル比である蒸着したままの厚膜の抵抗率の変化を示す。図4Bは、表2のTi/Ruサイクル比である蒸着したままの薄膜の抵抗率の変化を示す。結果は、厚いおよび薄いRuTiN膜の両方がSiO上のTi/Ruサイクル比と同様の抵抗率の傾向を有するが、導電性を有するためにはAl上の膜はより厚い必要があることを示す。
【0097】
〔実施例5〕アニーリング後の、薄い対厚いRuTiN膜の抵抗率
実施例4の厚膜および薄膜は上述のように、アルゴンの存在下、400℃で蒸着後アニーリングを行った。アニーリングされた厚膜およびアニーリングされた薄膜の抵抗率を測定した。図5Aは、表1のTi/Ruサイクル比であるアニーリングされた厚膜の抵抗率の変化を示す。図5Bは、表2のTi/Ruサイクル比であるアニーリングされた薄膜の抵抗率の変化を示す。
【0098】
〔実施例6〕種々のライナー材料のシート抵抗の比較
表3に示すように、100nmの熱(thermal)SiO上の種々のライナー材料のシート抵抗を測定した。
【0099】
【表3】
【0100】
蒸着したままのRuTiNライナー材料は、Ti/Ruサイクル比が1:2(0.5)で、上記ALD条件で形成させた。アニーリングされたRuTiNライナー材料は、Ti/Ruサイクル比が1:2(0.5)で、上記ALD条件で形成させ、上述のようにアルゴン存在下、400℃で蒸着後アニーリングを行った。蒸着したままのRuTiNライナー材料およびアニーリングされたRuTiNライナー材料はいずれもTiNよりシート抵抗が低かった。
【0101】
〔実施例7〕種々の基板上のRuTiN膜の粗さ
以下の表4に示すようなTi/Ruサイクル比で、上記のALD条件でSiO上に形成させ、上述のようにアニーリングさせた、アニーリングされたRuTiN膜について、粗さを決定した。別段の記載がない限り、粗さは原子間力顕微鏡(AFM)によって測定した。
【0102】
【表4】
【0103】
表4の膜のSEM像を図6A~6Eに示す。
【0104】
以下の表5に示すようにTi/Ruサイクル比で、上記のALD条件で、4nm Al/100nm SiO基板(「Al基板」)および25nm Al/純粋なSiO基板(「厚いAl基板」または「Si上のAl_厚い」)上に形成させ、上述のようにアニーリングさせた、アニーリングされたRuTiN膜について、粗さを決定した。別段の記載がない限り、粗さは原子間力顕微鏡(AFM)によって測定した。
【0105】
【表5】
【0106】
表5の膜のSEM像を図7A~7Dに示す。図7Eは、表4および5において形成させたアニーリングされた膜ならびに上記のALD条件でTiN_OEM基板に形成させたRuTiN膜について、Ti/Ruサイクル比に対する、AFM粗さ(nm)のグラフ表示である。
【0107】
〔実施例8〕RuTiN膜上に形成させたRu膜と基板上に直接ライナーなしで形成させたRu膜との粗さの比較
SiO基板上に直接形成させたRu膜、および、以下の表6に示すようにTi/Ruサイクル比で、上記のALD条件でSiOまたはAl/100nm SiO(「Al/SiO」)上のRuTiN膜ライナー上に形成させたRu膜について、粗さを決定した。Ru膜は、RuTiNライナー上に55回のルテニウムサイクルを使用し、上述のように基板上にライナーなしで40回のルテニウムサイクルを使用して形成させた。別段の記載がない限り、粗さは原子間力顕微鏡(AFM)によって測定した。
【0108】
【表6】
【0109】
表6の膜のSEM像を図8A~8Eに示す。
【0110】
〔実施例9〕種々のライナー上に形成させたRu膜の粗さの比較
Ru膜を、SiO上の以下に示すライナー上にALDによって形成させた:RuTiN、TiN(100nmのSiO上に蒸着させたTiN)、TiN_OEM、およびWCN。ルテニウム膜は、第1のルテニウム前駆体、第2の窒素含有共反応物、およびパージガスを基板に送達することを含むことができる。Ru膜は上述のように、RuTiNライナー上に55回のルテニウムサイクルを使用し、基板上にライナーなしで40回のルテニウムサイクルを使用して形成させた。
【0111】
RuTiNライナーは、1:2(0.5)のTi/Ruサイクル比で、上記のALD法によって形成させた。また、ライナーを使用せずにSiO上に直接、Ru膜を形成させた。形成されたRu膜の粗さの比較を図9Aに示す。
【0112】
Ru膜をまた、Al/100nm SiO上の以下に示すライナー上にALDによって形成させた:RuTiN、TiN、Al/Si上のTiN(純粋な酸化物を有するSi基板上のAl上のTiN)。RuTiNライナーは、1:2(0.5)のTi/Ruサイクル比で、上記のALD法によって形成させた。また、ライナーを使用せずに4nm Al/100nm SiO上に直接、Ru膜を形成させた。形成されたRu膜の粗さの比較を図9Bに示す。
【0113】
〔実施例10〕ライナーの厚さに対する粗さの依存性
以下の表7に示すようにTi/Ruサイクル比で、上記のALD条件で、100nm SiOまたは4nm Al/100nm SiO上に形成させ、上述のようにアニーリングさせた、アニーリングされたRuTiN膜について、粗さを決定した。
【0114】
【表7】
【0115】
表7の膜のSEM像を図10A~10Eに示す。図10Fは、表7の膜についての、膜厚に対する粗さのグラフを示す。
【0116】
〔実施例11〕孔内での膜の形成
厚さ3nmのRuTiNライナーを、Ti/Ruサイクル比1:2(0.5)および10回のスーパーサイクルで、上記のALD法によって孔構造上に蒸着させた。次に、厚さ6.5nmのRu膜を、55回のルテニウムサイクルでRuTiNライナーの上に蒸着させた。図11Aおよび11Bは、RuTiNライナーの上部にRu膜を被覆した孔構造の断面SEM像である。
【0117】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、発行された特許、および他の文書は、あたかもそれぞれの個々の刊行物、特許出願、発行された特許、または他の文書が参照によりその全体が組み込まれるように具体的および個別に示されるかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる文に含まれる定義は、本開示における定義と矛盾する程度まで除外される。
【0118】
用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含む(comprising)」は、排他的ではなく包括的に解釈されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0119】
図1A】実施例1による、3つの基板(Al、SiO、およびWCN)上に成長させたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する、蒸着したままのルテニウム-窒化チタン(RuTiN)膜の成長速度(nm/サイクル)のグラフ表示である。
図1B】実施例1による、3つの基板(Al、SiO、およびWCN)上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する、アニーリングされたRuTiN膜の成長速度(nm/サイクル)のグラフ表示である。
図1C図1Aおよび図1Bからの、SiO上に成長させた蒸着したままのRuTiN膜およびSiO上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する成長速度(nm/サイクル)を比較するグラフ表示である。
図2A】Al上に成長させた蒸着したままのRuTiN膜(「蒸着したまま」)およびAl上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
図2B】SiO上に成長させた蒸着したままのRuTiN膜(「蒸着したまま」)およびSiO上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
図2C】WCN上に成長させた蒸着したままのRuTiN膜(「蒸着したまま」)およびWCN上に成長させたアニーリングされたRuTiN膜のTi/Ruサイクル比に対する抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
図3A】1:2のTi/Ruサイクル比でSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜のXPS深さプロファイルのグラフ表示である。
図4A】実施例4による、Al、SiO、およびWCN上に成長させた蒸着したままの厚いRuTiN膜(13~20nm)のTi/Ruサイクル比に対する、抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
図4B】実施例4による、Al、SiO、およびWCN上に成長させた蒸着したままの薄いRuTiN膜(2~5nm)のTi/Ruサイクル比に対する、抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
図5A】実施例5による、Al、SiO、およびWCN上に成長させたアニーリングされた厚いRuTiN膜(13~20nm)のTi/Ruサイクル比に対する、抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
図5B】実施例5による、Al、SiO、およびWCN上に成長させたアニーリングされた薄いRuTiN膜(2~5nm)のTi/Ruサイクル比に対する、抵抗率(μΩcm)を比較するグラフ表示である。
図6A】Ti/Ruサイクル比が1:4でSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図6B】Ti/Ruサイクル比が1:3でSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図6C】Ti/Ruサイクル比が1:2でSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図6D】Ti/Ruサイクル比が2:3でSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図6E】Ti/Ruサイクル比が1:1でSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。
図7A】Ti/Ruサイクル比が1:3で4nmのAl/100nmのSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
図7B】Ti/Ruサイクル比が1:2で4nmのAl/100nmのSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
図7C】Ti/Ruサイクル比が1:1で4nmのAl/100nmのSiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
図7D】25nm Al/純粋なSiO(「厚いAl」または「Si上のAl_厚い」と示す)上にTi/Ruサイクル比が1:1でアニーリングされたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
図7E】種々の基板上に形成させたアニーニングされた膜の、Ti/Ruサイクル比に対するAFM粗さ(nm)のグラフ表示である。
図8A】100nmのSiO基板(ライナーなし)上に直接形成させた蒸着したままのRu膜、および、100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上の蒸着したままのRuTiN膜ライナー上に所定の位置に形成させたRu膜の表面のSEM画像である。
図8B】100nmのSiO基板(ライナーなし)上に直接形成させた蒸着したままのRu膜、および、100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上の蒸着したままのRuTiN膜ライナー上に所定の位置に形成させたRu膜の表面のSEM画像である。
図8C】100nmのSiO基板(ライナーなし)上に直接形成させた蒸着したままのRu膜、および、100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上の蒸着したままのRuTiN膜ライナー上に所定の位置に形成させたRu膜の表面のSEM画像である。
図8D】100nmのSiO基板(ライナーなし)上に直接形成させた蒸着したままのRu膜、および、100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上の蒸着したままのRuTiN膜ライナー上に所定の位置に形成させたRu膜の表面のSEM画像である。
図8E】100nmのSiO基板(ライナーなし)上に直接形成させた蒸着したままのRu膜、および、100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上の蒸着したままのRuTiN膜ライナー上に所定の位置に形成させたRu膜の表面のSEM画像である。
図9A】100nmのSiO上のライナー(RuTiN、TiN、TiN_OEM、およびWCN)上にALDによって形成させたRu膜の、X線蛍光(XRF)により測定したRu厚さ(nm)に対する、AFM粗さ(nm)のグラフ表示である。
図9B】4nm Al/100nm SiO上のライナー(RuTiN、TiN、および純粋なSiOを有する25nm Al/Si(Al/Si)上のTiN)上にALDによって形成させたRu膜の、X線蛍光(XRF)により測定したRu厚さ(nm)に対する、AFM粗さ(nm)のグラフ表示である。
図10A】100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上に形成させたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
図10B】100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上に形成させたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
図10C】100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上に形成させたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
図10D】100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上に形成させたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
図10E】100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上に形成させたRuTiN膜の表面のSEM画像である。
図10F】100nmのSiOまたは4nm Al/100nm SiO上に形成させたアニーリングされたRuTiN膜について、RuTiNライナーの推定厚さ(nm)に対するAFM粗さ(nm)のグラフ表示である。
図11A】225℃で蒸着させた、3nmの所定の位置のRuTiNライナー(1:2サイクル比)の上に6.5nmのRuで被覆された孔構造の断面SEM像である。
図11B】225℃で蒸着させた、3nmの所定の位置のRuTiNライナー(1:2サイクル比)の上に6.5nmのRuで被覆された孔構造の断面SEM像である。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3A
図4A
図4B
図5A
図5B
【図
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
【手続補正書】
【提出日】2022-07-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にルテニウム含有膜を形成する方法であって、
前記基板の表面上に第1の膜を形成する第1の工程であって、
(i)チタン前駆体および第1の窒素含有共反応物を前記基板に送達すること、および、
(ii)第1のルテニウム前駆体および第2の窒素含有共反応物を前記基板に送達し、第1の膜を形成すること、を含む工程と、
前記第1の膜の少なくとも一部の上に前記ルテニウム含有膜を形成する第2の工程であって、第2のルテニウム前駆体および第3の共反応物を前記基板および/または前記第1の膜に送達すること、を含む工程と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記第1の工程、前記第2の工程、もしくはその両方の工程を、約300℃以下の温度で実施し、および/または、
前記第1の工程、前記第2の工程、もしくはその両方の工程を、不活性雰囲気中で実施する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の膜がルテニウム-窒化チタンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記チタン前駆体の構造が式Iに対応する、請求項1に記載の方法:
[RN]Ti (式I)
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~Cアルキルである。
【請求項5】
前記チタン前駆体が、テトラキス(ジメチルアミド)チタン、テトラキス(エチルメチルアミド)チタン、およびテトラキス(ジエチルアミド)チタンからなる群から選択され、ならびに/または、
前記第1のルテニウム前駆体が、(η -2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO) )、(η -ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO) )、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO) )、(η -2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、もしくは、トリルテニウムドデカカルボニル Ru (CO) 12 を含み;および、前記第2のルテニウム前駆体が、(η -2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO) )、(η -ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO) )、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO) )、(η -2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、トリルテニウムドデカカルボニル Ru (CO) 12 、(エチルベンジル)(1-エチル-1,4-シクロヘキサジエニル)ルテニウム(Ru(EtBz)(EtCHD))、ビス(エチルシクロペンタジエニルルテニウム(Ru(EtCp) )、(シクロペンタジエニル)(エチル)ビスカルボニルルテニウム(Cp(Et)Ru(CO) )、もしくは、(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)ビスカルボニルルテニウム((アミジナート)Ru(CO) )を含み、ならびに/または、
前記第1の窒素含有共反応物および前記第2の窒素含有共反応物がそれぞれ独立して、NH 、アルキルアミン、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第3の共反応物が、水素、水素プラズマ、窒素プラズマ、アンモニアプラズマ、酸素、大気、水、ボラン、シラン、オゾン、NH 、アルキルアミン、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の工程が以下のサイクルを含む1つ以上のスーパーサイクルを含む、請求項1に記載の方法:
前記チタン前駆体、前記第1の窒素含有共反応物、およびパージガスを基板に送達することを含むチタンサイクル;および、
前記第1のルテニウム前駆体、前記第2の窒素含有共反応物、およびパージガスを基板に送達することを含むルテニウムサイクル。
【請求項7】
前記ルテニウムサイクルに対する前記チタンサイクルの割合が、約1:1~約2:12である、請求項に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の工程が、前記第2のルテニウム前駆体、前記第3の共反応物、および前記パージガスを前記基板に送達することを含むさらなるルテニウムサイクルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1の膜のTi:Ru濃度比が約1:10~約10:1である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
AFMによって測定された、前記第1の膜の平均粗さが約0.65nm以下であり、および/または、
AFMによって測定された、前記ルテニウム含有膜の平均粗さが約1.6nm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の膜は、約1nm~約5nmの厚さと、約20μΩcm~約3000μΩcmの抵抗率とを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
約400℃以上の温度において不活性ガス中で前記第1の膜をアニーリングする工程、および/または、
約400℃以上の温度において不活性ガス中で前記ルテニウム含有膜をアニーリングする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の工程および前記第2の工程が独立して、化学蒸着もしくは原子層堆積であり、ならびに/または、
前記第1の工程、前記第2の工程もしくはそれらの組み合わせが、プラズマを使用することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
基板の表面上に蒸着された第1の膜であって、チタン前駆体と第1の窒素含有共反応物との第1の反応生成物、および、第1のルテニウム前駆体と第2の窒素含有共反応物との第2の反応生成物を含む第1の膜、ならびに、
前記第1の膜の少なくとも一部の上に蒸着されたルテニウム含有膜であって、第2のルテニウム前駆体と第3の共反応物との第3の反応生成物を含むルテニウム含有膜、
を含む、ルテニウム含有膜。
【請求項15】
前記第1の膜が前記基板の表面上に蒸着された第1の層を含み、前記第1の層が前記第1の反応生成物を含む、および/または、
前記第1の膜がルテニウム-窒化チタンを含む、請求項14に記載のルテニウム含有膜。
【請求項16】
前記第1の膜が前記第1の層の少なくとも一部の上に蒸着された第2の層をさらに含み、前記第2の層が前記第2の反応生成物を含む、および/または、
前記第1の層がドーパントとしてルテニウムをさらに含む、請求項14に記載のルテニウム含有膜。
【請求項17】
前記チタン前駆体の構造が式Iに対応する、請求項14に記載のルテニウム含有膜:
[RN]Ti (式I)
式中、RおよびRはそれぞれ独立して、C~Cアルキルである。
【請求項18】
前記チタン前駆体が、テトラキス(ジメチルアミド)チタン、テトラキス(エチルメチルアミド)チタン、およびテトラキス(ジエチルアミド)チタンからなる群から選択され、ならびに/または、
前記第1のルテニウム前駆体が、(η -2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO) )、(η -ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO) )、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO) )、(η -2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、もしくは、トリルテニウムドデカカルボニル Ru (CO) 12 を含み;および、前記第2のルテニウム前駆体が、(η -2,3-ジメチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((DMBD)Ru(CO) )、(η -ブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム((BD)Ru(CO) )、(1,3-シクロヘキサジエニル)トリカルボニルルテニウム(((CHD)Ru(CO) )、(η -2-メチルブタ-1,3-ジエン)トリカルボニルルテニウム、トリルテニウムドデカカルボニル Ru (CO) 12 、(エチルベンジル)(1-エチル-1,4-シクロヘキサジエニル)ルテニウム(Ru(EtBz)(EtCHD))、ビス(エチルシクロペンタジエニルルテニウム(Ru(EtCp) )、(シクロペンタジエニル)(エチル)ビスカルボニルルテニウム(Cp(Et)Ru(CO) )、または、(N,N’-ジイソプロピルアセトアミジナート)ビスカルボニルルテニウム((アミジナート)Ru(CO) )を含み、ならびに/または、
前記第1の窒素含有共反応物および前記第2の窒素含有共反応物がそれぞれ独立して、NH 、H 、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記第3の共反応物がそれぞれ独立して、水素、水素プラズマ、窒素プラズマ、アンモニアプラズマ、酸素、大気、水、ボラン、シラン、オゾン、NH 、H 、ヒドラジン、アルキルヒドラジン、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項14に記載のルテニウム含有膜。
【請求項19】
前記第1の膜が以下のうちの1つ以上を有する、請求項14に記載のルテニウム含有膜
(i)約1:10~約10:1のTi:Ru濃度比;
(ii)約0.65nm以下のAFMによって測定された平均粗さ;ならびに、
(iii)約1nm~約5nmの厚さおよび約20μΩcm~約3000μΩcmの抵抗率
【請求項20】
AFMによって測定された、前記ルテニウム含有膜の平均粗さが約1.6nm以下である、請求項14に記載のルテニウム含有膜。
【国際調査報告】