(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】複合的オーバレイ計測ターゲット
(51)【国際特許分類】
G01B 21/02 20060101AFI20230323BHJP
G03F 9/00 20060101ALI20230323BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20230323BHJP
G01B 15/00 20060101ALI20230323BHJP
【FI】
G01B21/02 Z
G03F9/00 H
G01B11/02 H
G01B15/00 K
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546445
(86)(22)【出願日】2021-01-26
(85)【翻訳文提出日】2022-09-22
(86)【国際出願番号】 US2021015144
(87)【国際公開番号】W WO2021154762
(87)【国際公開日】2021-08-05
(32)【優先日】2020-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ゴロツバン アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ターシシュ-シャピル イナ
(72)【発明者】
【氏名】ギノブカー マーク
(72)【発明者】
【氏名】ディラウィ ラウィ
【テーマコード(参考)】
2F065
2F067
2F069
2H197
【Fターム(参考)】
2F065CC20
2F067AA03
2F067AA15
2F067AA63
2F067BB16
2F067BB21
2F067CC15
2F067DD07
2F067EE04
2F067HH06
2F067JJ05
2F067KK04
2F067KK07
2F067NN00
2F069AA03
2F069BB15
2F069CC06
2F069CC07
2F069DD22
2F069GG04
2F069GG07
2F069GG08
2F069GG45
2F069JJ21
2H197EB05
2H197EB07
2H197EB10
2H197EB23
2H197HA03
2H197JA18
2H197JA23
(57)【要約】
計測ターゲットであって、一方向又は複数方向沿いで第1計測モードに対しコンパチブルな第1組のパターン要素と、一方向又は複数方向沿いで第2計測モードに対しコンパチブルな第2組のパターン要素と、を有し、第2組のパターン要素が第1組のパターン要素のうちの第1部分を含み、第2組のパターン要素が、第1組のパターン要素のうちの第2部分であり第2組のパターン要素に含まれていないものにより囲まれているものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測ターゲットであって、
第1組のパターン要素を備え、前記第1組のパターン要素が一方向又は複数方向沿いで第1計測モードに対しコンパチブルであり、
第2組のパターン要素を備え、前記第2組のパターン要素が一方向又は複数方向沿いで第2計測モードに対しコンパチブルであり、前記第2組のパターン要素が前記第1組のパターン要素のうちの第1部分を含み、前記第2組のパターン要素が、前記第1組のパターン要素のうちの第2部分であり前記第2組のパターン要素に含まれていない第2部分により囲まれている計測ターゲット。
【請求項2】
請求項1に記載の計測ターゲットであって、前記第1組のパターン要素のうち少なくとも何個かがセグメント化されている計測ターゲット。
【請求項3】
請求項1に記載の計測ターゲットであって、前記第2組のパターン要素のうち少なくとも何個かがセグメント化されている計測ターゲット。
【請求項4】
請求項1に記載の計測ターゲットであって、前記第2組のパターン要素のうち少なくとも何個かが複数組のセグメント化部分へと区分されている計測ターゲット。
【請求項5】
請求項1に記載の計測ターゲットであって、前記第1計測モードが光学計測モードを含む計測ターゲット。
【請求項6】
請求項1に記載の計測ターゲットであって、前記第1計測モードが、先進イメージング計測(AIM)及び三重先進イメージング計測(トリプルAIM)のうち少なくとも一方を含む計測ターゲット。
【請求項7】
請求項1に記載の計測ターゲットであって、前記第2計測モードが、光学計測モード及び粒子ビーム式計測モードのうち少なくとも一方を含む計測ターゲット。
【請求項8】
請求項7に記載の計測ターゲットであって、前記第2計測モードが先進イメージング計測インダイ(AIMid)計測を含む計測ターゲット。
【請求項9】
請求項7に記載の計測ターゲットであって、前記第2計測モードが電子ビーム計測を含む計測ターゲット。
【請求項10】
請求項1に記載の計測ターゲットであって、更に、一方向又は複数方向沿いで第3計測モードに対しコンパチブルな第3組のパターン要素を備え、前記第3組のパターン要素が前記第1組のパターン要素のうち少なくとも一部分を囲んでいる計測ターゲット。
【請求項11】
請求項10に記載の計測ターゲットであって、前記第3計測モードがスキャタロメトリ式オーバレイ(SCOL)計測を含む計測ターゲット。
【請求項12】
1個又は複数個の計測サブシステムを備えるシステムであり、サンプルに備わる1個又は複数個の計測ターゲットから1個又は複数個の計測信号を獲得するよう前記1個又は複数個の計測サブシステムが構成されており、前記1個又は複数個の計測サブシステムが、
照明源と、
前記照明源から前記サンプル上へと照明ビームを差し向けるよう構成された1個又は複数個の照明素子と、
1個又は複数個の検出器と、
前記サンプルに発する照明を集め前記照明を前記1個又は複数個の検出器に差し向けるよう構成された1個又は複数個の投射素子と、
を備えており、
前記1個又は複数個の検出器に可通信結合された1個又は複数個のプロセッサを有する1個又は複数個のコントローラを備えるシステムであり、メモリ内に保持されている一組のプログラム命令を実行するよう前記1個又は複数個のプロセッサが構成されており、前記一組のプログラム命令が、前記1個又は複数個のプロセッサに、
前記1個又は複数個の計測サブシステムのうち第1計測モードにて動作しているものから、前記サンプルに備わる1個又は複数個の計測ターゲットのうち第1組のパターン要素に発する前記照明を示す1個又は複数個の信号を受け取らせ、
前記1個又は複数個の計測サブシステムのうち第2計測モードにて動作しているものから、前記1個又は複数個の計測ターゲットのうち第2組のパターン要素に発する照明を示す1個又は複数個の信号を受け取らせ、但し前記サンプルに備わる前記1個又は複数個の計測ターゲットを、前記第1組のパターン要素であり一方向又は複数方向沿いで前記第1計測モードに対しコンパチブルな前記第1組のパターン要素と、前記第2組のパターン要素であり一方向又は複数方向沿いで前記第2計測モードに対しコンパチブルな前記第2組のパターン要素とを備えるものとし、前記第2組のパターン要素を、前記第1組のパターン要素のうちの第1部分を含むものとし、前記第2組のパターン要素を、前記第1組のパターン要素のうちの第2部分であり前記第2組のパターン要素に含まれていない第2部分により囲まれているものとし、
前記第1計測モードにて前記第1組のパターン要素から獲得された1個又は複数個の信号に基づき前記第1組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定させ、
前記第2計測モードにて前記第2組のパターン要素から獲得された1個又は複数個の信号に基づき前記第2組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定させるよう、
構成されているシステム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、前記第1組のパターン要素のうち少なくとも何個かがセグメント化されているシステム。
【請求項14】
請求項12に記載のシステムであって、前記第2組のパターン要素のうち少なくとも何個かがセグメント化されているシステム。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムであって、前記第2組のパターン要素のうち少なくとも何個かが複数組のセグメント化部分へと区分されているシステム。
【請求項16】
請求項12に記載のシステムであって、前記1個又は複数個の計測サブシステムが、
光学計測ツールを備えるシステム。
【請求項17】
請求項12に記載のシステムであって、前記1個又は複数個の計測サブシステムが、
光学計測ツールと、
粒子式計測ツールと、
を備えるシステム。
【請求項18】
請求項12に記載のシステムであって、前記1個又は複数個の計測サブシステムが、
光学計測ツールと、
粒子式計測ツールと、
スキャタロメトリ式オーバレイ(SCOL)計測ツールと、
を備えるシステム。
【請求項19】
請求項16に記載のシステムであって、前記第1計測モードが光学計測モードを含むシステム。
【請求項20】
請求項16に記載のシステムであって、前記第1計測モードが、先進イメージング計測(AIM)及び三重先進イメージング計測(トリプルAIM)のうち少なくとも一方を含むシステム。
【請求項21】
請求項17に記載のシステムであって、前記第2計測モードが、光学計測モード及び粒子ビーム式計測モードのうち少なくとも一方を含むシステム。
【請求項22】
請求項17に記載のシステムであって、前記第2計測モードが先進イメージング計測インダイ(AIMid)計測を含むシステム。
【請求項23】
請求項17に記載のシステムであって、前記第2計測モードが電子ビーム計測を含むシステム。
【請求項24】
請求項12に記載のシステムであって、前記1個又は複数個の計測ターゲットが、更に、一方向又は複数方向沿いで第3計測モードに対しコンパチブルな第3組のパターン要素を備え、前記第3組のパターン要素が前記第1組のパターン要素のうち少なくとも一部分を囲んでいるシステム。
【請求項25】
請求項24に記載のシステムであって、前記第3計測モードがスキャタロメトリ式オーバレイ(SCOL)計測を含むシステム。
【請求項26】
請求項25に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のコントローラが、前記1個又は複数個の計測サブシステムからの1個又は複数個の信号に基づき、前記第3計測モードを用い前記第3組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定するよう、構成されているシステム。
【請求項27】
請求項12に記載のシステムであって、前記1個又は複数個のプロセッサが、プログラム命令を実行することで、前記1個又は複数個のプロセッサに、前記1個又は複数個のオーバレイパラメータに基づき1個又は複数個のオーバレイコレクタブルを提供させるよう、構成されているシステム。
【請求項28】
オーバレイ計測方法であって、
1個又は複数個の計測ターゲットを有するサンプルを照明し、
前記サンプルに備わる前記1個又は複数個の計測ターゲットのうち第1組のパターン要素に発する照明を第1計測モードにて検出し、
前記サンプルに備わる前記1個又は複数個の計測ターゲットのうち第2組のパターン要素に発する照明を第2計測モードにて検出し、
前記第1組のパターン要素に発する前記照明に基づき前記第1組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定し、
前記第2組のパターン要素に発する前記照明に基づき前記第2組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定するオーバレイ計測方法。
【請求項29】
請求項28に記載のオーバレイ計測方法であって、前記第1組のパターン要素のうち少なくとも何個かがセグメント化されているオーバレイ計測方法。
【請求項30】
請求項28に記載のオーバレイ計測方法であって、前記第2組のパターン要素のうち少なくとも何個かがセグメント化されているオーバレイ計測方法。
【請求項31】
請求項28に記載のオーバレイ計測方法であって、前記第2組のパターン要素のうち少なくとも何個かが複数組のセグメント化部分へと区分されているオーバレイ計測方法。
【請求項32】
請求項28に記載のオーバレイ計測方法であって、前記第1計測モードが光学計測モードを含むオーバレイ計測方法。
【請求項33】
請求項28に記載のオーバレイ計測方法であって、前記第1計測モードが、先進イメージング計測(AIM)及び三重先進イメージング計測(トリプルAIM)のうち少なくとも一方を含むオーバレイ計測方法。
【請求項34】
請求項28に記載のオーバレイ計測方法であって、前記第2計測モードが、光学計測モード及び粒子ビーム式計測モードのうち少なくとも一方を含むオーバレイ計測方法。
【請求項35】
請求項28に記載のオーバレイ計測方法であって、前記第2計測モードが先進イメージング計測インダイ(AIMid)計測を含むオーバレイ計測方法。
【請求項36】
請求項28に記載のオーバレイ計測方法であって、前記第2計測モードが電子ビーム計測を含むオーバレイ計測方法。
【請求項37】
請求項28に記載のオーバレイ計測方法であって、更に、前記サンプルに備わる前記1個又は複数個の計測ターゲットのうち第3組のパターン要素に発する照明を第3計測モードにて検出し、前記第3組のパターン要素に発する前記照明に基づき前記サンプルに備わる前記1個又は複数個の計測ターゲットのうち前記第3組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定するオーバレイ計測方法。
【請求項38】
請求項37に記載のオーバレイ計測方法であって、前記第3計測モードがスキャタロメトリ式オーバレイ(SCOL)計測を含むオーバレイ計測方法。
【請求項39】
計測ターゲット形成方法であって、
第1組のパターン要素であり一方向又は複数方向沿いで第1計測モードに対しコンパチブルな前記第1組のパターン要素を形成し、
第2組のパターン要素であり一方向又は複数方向沿いで第2計測モードに対しコンパチブルな前記第2組のパターン要素を形成する計測ターゲット形成方法であり、前記第2組のパターン要素が前記第1組のパターン要素のうちの第1部分を含み、前記第2組のパターン要素が、前記第1組のパターン要素のうちの第2部分であり前記第2組のパターン要素に含まれていない第2部分により囲まれている計測ターゲット形成方法。
【請求項40】
請求項39に記載の計測ターゲット形成方法であって、前記第1組のパターン要素のうち少なくとも何個かがセグメント化される計測ターゲット形成方法。
【請求項41】
請求項39に記載の計測ターゲット形成方法であって、前記第2組のパターン要素のうち少なくとも何個かがセグメント化される計測ターゲット形成方法。
【請求項42】
請求項39に記載の計測ターゲット形成方法であって、前記第2組のパターン要素のうち少なくとも何個かが複数組のセグメント化部分へと区分される計測ターゲット形成方法。
【請求項43】
請求項39に記載の計測ターゲット形成方法であって、前記第1計測モードが光学計測モードを含む計測ターゲット形成方法。
【請求項44】
請求項39に記載の計測ターゲット形成方法であって、前記第1計測モードが、先進イメージング計測(AIM)及び三重先進イメージング計測(トリプルAIM)のうち少なくとも一方を含む計測ターゲット形成方法。
【請求項45】
請求項39に記載の計測ターゲット形成方法であって、前記第2計測モードが、光学計測モード及び粒子ビーム式計測モードのうち少なくとも一方を含む計測ターゲット形成方法。
【請求項46】
請求項45に記載の計測ターゲット形成方法であって、前記第2計測モードが先進イメージング計測インダイ(AIMid)計測を含む計測ターゲット形成方法。
【請求項47】
請求項45に記載の計測ターゲット形成方法であって、前記第2計測モードが電子ビーム計測を含む計測ターゲット形成方法。
【請求項48】
請求項39に記載の計測ターゲット形成方法であって、更に、一方向又は複数方向沿いで第3計測モードに対しコンパチブルな第3組のパターン要素を形成し、前記第3組のパターン要素により前記第1組のパターン要素のうち少なくとも一部分を囲ませる計測ターゲット形成方法。
【請求項49】
請求項48に記載の計測ターゲット形成方法であって、前記第3計測モードがスキャタロメトリ式オーバレイ(SCOL)計測を含む計測ターゲット形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[技術分野]
本件開示は総じてオーバレイ計測に関し、より具体的には、結合型ターゲットを用いるオーバレイ計測に関する。
【背景技術】
【0002】
[関連出願への相互参照]
本願では、「バイアス校正用の結合型光学兼EOVLターゲット」(COMBINED OPTICAL AND EOVL TARGET FOR BIASES CALIBRATION)と題しAnna Golotsvan、Inna Steely-Tarshish及びMark Ghinovkerを発明者とする2020年1月30日付米国仮特許出願第62/967951号、並びに「複合的オーバレイ計測ターゲット」(COMPOSITE OVERLAY METROLOGY TARGET)と題しAnna Golotsvan、Inna Steely-Tarshish及びMark Ghinovkerを発明者とする2020年5月29日付米国仮特許出願第63/032217号に基づき、米国特許法第119条(e)の規定による利益を主張する。前掲の出願それぞれの全容を、参照により本願に繰り入れる。
【0003】
オーバレイ計測ターゲットは、通常、注目サンプル層上に所在するターゲットフィーチャ(特徴)を有するオーバレイターゲットを特性解明することによってサンプルの複数個の層のアライメント(整列)に関する診断情報を提供するよう、設計される。更に、通常は、それら複数個の層のオーバレイアライメントを判別するため、そのサンプル上の様々な個所にある複数個のオーバレイターゲットについてのオーバレイ計測結果が収集される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第8330281号明細書
【特許文献2】米国特許第9476698号明細書
【特許文献3】米国特許第7541201号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2014/0169861号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2013/0035888号明細書
【特許文献6】米国特許第9214317号明細書
【特許文献7】米国特許第10527951号明細書
【特許文献8】米国特許第10190979号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オーバレイターゲットについてのオーバレイ計測の正確性及び/又は再現性は、計測すべきターゲットフィーチャの具体的特性やサンプル上での具体的所在個所に対し、敏感となりうる。例えば、小サイズのターゲットフィーチャについては、サンプルターゲットのより高度な解像を果たせる計測システムの使用が、必要になろう。これとの関連で言えば、チップサイズの間断なき縮小につれ、多くのサンプルに、様々な解像度で解像可能なターゲットフィーチャ群が組み込まれるようになっている。ユニタリなサンプル上への様々な独立したターゲットの組込みは、そのサンプルの別々な諸層に亘る不要な不整合の一因となりうる。従って、様々な解像度が可能な複数の計測モードに対しコンパチブルな計測ターゲットを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い計測ターゲットが開示される。ある例証的実施形態に係る計測ターゲットは、一方向又は複数方向沿いで第1計測モードに対しコンパチブルな第1組のパターン要素を有する。また、ある例証的実施形態に係る計測ターゲットは、一方向又は複数方向沿いで第2計測モードに対しコンパチブルな第2組のパターン要素を有し、第2組のパターン要素が第1組のパターン要素のうちの第1部分を含み、第2組のパターン要素が、第1組のパターン要素のうちの第2部分であり第2組のパターン要素に含まれていない第2部分により囲まれているものである。
【0007】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従いシステムが開示される。ある例証的実施形態に係るシステムは、サンプルに備わる1個又は複数個の計測ターゲットから1個又は複数個の計測信号を獲得するよう構成された、1個又は複数個の計測サブシステムを有する。また、ある例証的実施形態では、その1個又は複数個の計測サブシステムが、照明源と、その照明源からサンプルへと照明ビームを差し向けるよう構成された1個又は複数個の照明素子と、1個又は複数個の検出器と、そのサンプルに発する照明を集めその照明をその1個又は複数個の検出器に差し向けるよう構成された1個又は複数個の投射素子と、を有する。また、ある例証的実施形態に係るシステムは、1個又は複数個のプロセッサを有する1個又は複数個のコントローラを有し、そのプロセッサがその1個又は複数個の検出器に可通信結合されたものである。また、ある例証的実施形態では、その1個又は複数個のプロセッサが、メモリ内に保持されている一組のプログラム命令を実行するよう構成され、その一組のプログラム命令が、その1個又は複数個のプロセッサに、その1個又は複数個の計測サブシステムのうち第1計測モードにて動作しているものから、サンプルに備わる1個又は複数個の計測ターゲットのうち第1組のパターン要素に発する照明を示す1個又は複数個の信号を受け取らせ、その1個又は複数個の計測サブシステムのうち第2計測モードにて動作しているものから、その1個又は複数個の計測ターゲットのうち第2組のパターン要素に発する照明を示す1個又は複数個の信号を受け取らせ、但しそのサンプルに備わる1個又は複数個の計測ターゲットを、一方向又は複数方向沿いで第1計測モードに対しコンパチブルな第1組のパターン要素と、一方向又は複数方向沿いで第2計測モードに対しコンパチブルな第2組のパターン要素と、を有するものとし、第2組のパターン要素を、第1組のパターン要素のうちの第1部分を含むものとし、第2組のパターン要素を、第1組のパターン要素のうちの第2部分であり第2組のパターン要素に含まれていない第2部分により囲まれたものとし、またその一組のプログラム命令が、その1個又は複数個のプロセッサに、第1計測モードにて第1組のパターン要素から獲得された1個又は複数個の信号に基づき第1組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定させ、第2計測モードにて第2組のパターン要素から獲得された1個又は複数個の信号に基づき第2組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定させるよう、構成される。
【0008】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従いオーバレイを計測する方法が開示される。ある例証的実施形態に係るオーバレイ計測方法では、1個又は複数個の計測ターゲットを有するサンプルを照明し、そのサンプルに備わる1個又は複数個の計測ターゲットのうち第1組のパターン要素に発する照明を第1計測モードにて検出し、そのサンプルに備わる1個又は複数個の計測ターゲットのうち第2組のパターン要素に発する照明を第2計測モードにて検出し、第1組のパターン要素に発する照明に基づき第1組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定し、第2組のパターン要素に発する照明に基づき第2組のパターン要素の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定する。
【0009】
本件開示の1個又は複数個の例証的実施形態に従い計測ターゲットを形成する方法が開示される。ある例証的実施形態に係るオーバレイターゲット形成方法では、一方向又は複数方向沿いで第1計測モードに対しコンパチブルな第1組のパターン要素を形成し、一方向又は複数方向沿いで第2計測モードに対しコンパチブルな第2組のパターン要素を形成し、第2組のパターン要素を、第1組のパターン要素のうちの第1部分を含むものとし、第2組のパターン要素を、第1組のパターン要素のうちの第2部分であり第2組のパターン要素に含まれていない第2部分により囲まれたものとする。
【0010】
理解し得るように、前掲の概略記述及び後掲の詳細記述は共に専ら例示的且つ説明的なものであり、特許請求の範囲記載の発明を必ずしも限定するものではない。添付図面は、本明細書に組み込まれてその一部分を構成し、本発明の諸実施形態を描出し、概略記述と相俟ち本発明の諸原理を説明する役目を有している。
【0011】
本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)であれば、以下の添付図面を参照することによって、本件開示の数多な長所をより良好に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲットの上面図である。
【
図2】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲットの上面図である。
【
図3】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲットの上面図である。
【
図4】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲットの上面図である。
【
図5】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲットの上面図である。
【
図6】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲットの概念図である。
【
図7】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測システムの概略ブロック図である。
【
図8A】本件開示の1個又は複数個の実施形態における計測サブシステムを描いた概念図である。
【
図8B】本件開示の1個又は複数個の実施形態における計測サブシステムを描いた概念図である。
【
図9】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係るオーバレイ計測方法の諸ステップを記したプロセスフロー図である。
【
図10】本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲット形成方法の諸ステップを記したプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面に描かれ開示されている主題を詳細に参照する。本件開示が、ある種の実施形態及びその具体的諸特徴との関連で具体的に図示及び記述されている。本願中で説明されている諸実施形態は限定ではなく例証であると捉えられるべきである。いわゆる当業者には直ちに察せられるべきことに、本件開示の神髄及び技術的範囲から離隔することなく形態及び細部に様々な改変及び修正を施すことができる。
【0014】
本件開示の諸実施形態は、一つ又は複数の計測モードに対しコンパチブルな結合型オーバレイ計測ターゲットを指向している。
【0015】
本願での認識によれば、半導体デバイスは、基板上にありパターン化素材からなる複数個の印刷層として形成することができる。各印刷層は、これに限られるものではないが、1個又は複数個の素材堆積工程、1個又は複数個のリソグラフィ工程、或いは1個又は複数個のエッチング工程等、一連のプロセス工程を通じ作成することができる。更に、通常は、最終デバイスを適切に構築するため各印刷層を指定公差以内で作成しなければならない。例えば、各層における印刷要素の相対配置(例.オーバレイ又はオーバレイパラメータ)を、既作成層を基準として良好に解明して制御しなければならない。従って、それらの層のオーバレイの効率的な解明が可能となるよう、計測ターゲットを1個又は複数個の印刷層上に作成した方がよい。そうすれば、印刷層上におけるオーバレイターゲットフィーチャのずれにより、その層上での印刷デバイスフィーチャの印刷特性のずれを代表させることができる。更に、ある作成工程にて(例.1個又は複数個のサンプル層の作成後に)計測されたオーバレイを用い、後続の作成工程における付加的なサンプル層の作成に備えプロセスツール(例.リソグラフィツール等)を精密に整列させるためのコレクタブルを生成することができる。
【0016】
リソグラフィ工程における印刷パターンのフィーチャの最小フィーチャサイズ及び密度は、少なくとも部分的には、そのリソグラフィシステムの投射光学系の光学分解能によって制限される。とはいえ、リソグラフィシステムの分解能付近又はそれ未満のフィーチャも、様々なリソグラフィ技術を用い作成することができる。
【0017】
計測ターゲットは、通常、一つ又は複数の印刷特性の正確な表現を提供すべく設計されており輪郭がはっきりしている印刷要素を有するものとすることができる。そのため、計測ターゲットの印刷要素の(例.計測ツールによる)特性計測結果により、製造されるデバイスに係る印刷デバイス要素を代表させることができる。更に、計測ターゲットは、通常、1個又は複数個の計測セルを有し、各セルがそのサンプル上の1個又は複数個の層内に印刷要素を有することを特徴としている。この場合の計測結果は、単一セル内にあり又は複数セル間にある印刷要素のサイズ、向き又は所在個所(例.パターン配置)の計測結果の何らかの組合せに基づくものとなろう。例えば、オーバレイ計測ターゲットの1個又は複数個のセルを、複数個のサンプル層上にある印刷要素を有していて、それら印刷素子が、各層の諸要素の相対位置が個別層におけるオフセット誤差(例.パターン配置誤差(PPE))或いはサンプル層間のレジストレーション(位置揃え)誤差に係るオーバレイ誤差を示すものとなるよう配置されているものとすることができる。別例によれば、プロセス感受的な計測ターゲットにて単一サンプル層上に印刷要素を設け、それら印刷要素の一通り又は複数通りの特性(例.幅又は限界寸法(CD)、側壁角、位置等)により、これに限られるものではないがリソグラフィ工程中の照明照射量、リソグラフィ工程中のリソグラフィツール内サンプルの焦点位置等、1個又は複数個のプロセス指標が示されるようにすることができる。
【0018】
通常は、オーバレイ計測を実行するため、サンプル上に1個又は複数個のオーバレイターゲットが作成され、各オーバレイターゲットに注目サンプル層内フィーチャが設けられ、それらフィーチャが作成対象デバイス又は部材に係るフィーチャと同時に作成される。こうすれば、オーバレイターゲットの所在個所にて計測されたオーバレイ誤差により、デバイスフィーチャのオーバレイ誤差を代表させることができる。従って、オーバレイ計測結果を用い何個かの製造ツールを監視及び/又は制御し、指定公差に準拠したデバイス生産を維持することができる。例えば、あるサンプル上の先行層に対する現層のオーバレイ計測結果をフィードバックデータとして利用することで、あるロット内の付加的なサンプル上での現層の作成を監視し及び/又はそのずれを軽減することができる。別例によれば、あるサンプル上の先行層に対する現層のオーバレイ計測結果をフィードフォワードデータとして利用することで、既存層アライメントが勘案されるやり方にて、同じサンプル上に後続層を作成することができる。
【0019】
オーバレイターゲットは、通常、注目サンプル層間オーバレイ誤差に対し感受的となるよう格別に設計されたフィーチャを有している。そのため、オーバレイ計測を、オーバレイ計測ツールを用いそのオーバレイターゲットを特性解明すること、並びにその計測ツールの出力に基づきそのサンプル上でのオーバレイ誤差を判別するアルゴリズムを適用することによって実行することができる。
【0020】
オーバレイ計測技術の如何によらず、オーバレイ計測ツールは、通常、一組の計測パラメータが含まれておりオーバレイ信号の生成に利用されるレシピに従い、構成設定することができる。例えば、オーバレイ計測ツールのレシピのなかに、これに限られるものではないが照明波長、サンプルに発する輻射の検出波長、そのサンプル上での照明スポットサイズ、入射照明の角度、入射照明の偏向、オーバレイターゲット上における入射照明ビームの位置、そのオーバレイ計測ツールの焦点ボリュームにおけるオーバレイターゲットの位置等を、含めることができる。このように、オーバレイレシピのなかに、一組の計測パラメータを、複数個のサンプル層のオーバレイを判別するのに適したオーバレイ信号を生成すべく含めることができる。
【0021】
オーバレイ計測ツールでは、サンプル層のオーバレイを判別するのに、様々な技術が利用されうる。例えば画像式オーバレイ計測ツールでは、オーバレイターゲット(例.先進イメージング計測(AIM)ターゲット、ボックスインボックス計測ターゲット等)を照明し、様々なサンプル層上にあるオーバレイターゲットフィーチャの像を含むオーバレイ信号を捕捉することができる。従って、それらオーバレイターゲットフィーチャの相対位置を計測することにより、オーバレイを判別することができる。また例えば、スキャタロメトリ(散乱計測法)式オーバレイ計測ツールでは、オーバレイターゲット(例.格子オーバ格子計測ターゲット等)を照明し、照明ビームの回折、散乱及び/又は反射に係りそのオーバレイターゲットに発する輻射の角度分布を含むオーバレイ信号を捕捉することができる。従って、照明ビームとそのオーバレイターゲットとの相互作用のモデルに依拠しオーバレイを判別することができる。
【0022】
本願での認識によれば、様々なオーバレイ計測ツールをオーバレイの計測に用いることができる。例えば光学計測ツール(例.照明及び/又は検出用に電磁輻射を用いる光式計測ツール)では、これに限られるものではないが、複数個の層上にあり空間的に分離されているフィーチャの画像内相対位置の決定、複数個の層上でのPPEの直接計測、或いは複数個の層上の回折格子からの散乱及び/又は回折光に依拠しオーバレイを判別するスキャタロメトリ等、数多くの技術を用い高スループットオーバレイ計測を行うことができる。本件開示の目的上、「光学計測ツール」、「光学計測技術」等の語により、これに限られるものではないがX線波長、極端紫外(EUV)波長、真空紫外(VUV)波長、深紫外(DUV)波長、紫外(UV)波長、可視波長、赤外(IR)波長等、何らかの波長の電磁輻射を用いる計測ツール及び技術を指し示している。但し、光学計測ツールには分解能限界があるので、通常は、フィーチャサイズをデバイススケールフィーチャのそれより大きくすることが必要となり、それがもとで、注目デバイスフィーチャを対象とした光学計測結果と実オーバレイとの間に、照明源の波長により左右される系統誤差が入り込むことがある。また例えば、これに限られるものではないが走査型電子顕微鏡(SEM)計測ツール(例.限界寸法SEM(CD-SEM)等)、集束イオンビーム(FIB)計測ツール等といった粒子式計測ツールでは、デバイススケールフィーチャを解像することができる。更に、粒子ビーム式計測ツールでは、能力上の限界はあれ、粒子浸透深度に依拠し複数個のサンプル層上のフィーチャを同時に計測することができる。例えば、低エネルギ粒子ビームを用い上層(例.現層)を特性解明しつつ、相対的に高エネルギな粒子ビームをそのサンプル内により深く浸透させ既作成層上のフィーチャを特性解明することができる。但し、粒子式計測ツールには光学計測ツールに比し相対的に低いスループットを呈するものが多く、また計測中に1個又は複数個の層に損傷が生じる可能性がある。オーバレイ計測に関連するシステム、方法及び装置が、「オーバレイマーク、オーバレイマーク設計方法及びオーバレイ計測方法」(OVERLAY MARKS, METHODS OF OVERLAY MARK DESIGN AND METHODS OF OVERLAY MEASUREMENTS)と題する2012年12月11日発行の特許文献1、「二層間ミスアライメント制御用の周期的パターン及び技術」(PERIODIC PATTERNS AND TECHNIQUE TO CONTROL MISALIGNMENT BETWEEN TWO LAYERS)と題する2016年10月25日発行の特許文献2、「回転又は鏡面対称性を有する構造のオーバレイを判別する装置及び方法」(APPARATUS AND METHODS FOR DETERMINING OVERLAY OF STRUCTURES HAVING ROTATIONAL OR MIRROR SYMMETRY)と題する2009年6月2日発行の特許文献3、「スキャタロメトリを用いオーバレイ誤差を検出する装置及び方法」(APPARATUS AND METHOD FOR DETECTING OVERLAY ERRORS USING SCATTEROMETRY)と題する2004年9月2日刊行の特許文献4、「プロセス制御改善のため品質指標を提供する方法及びシステム」(METHOD AND SYSTEM FOR PROVIDING A QUALITY METRIC FOR IMPROVED PROCESS CONTROL)と題する2013年2月7日刊行の特許文献5、「SEMオーバレイ計測システム及び方法」(SYSTEM AND METHOD OF SEM OVERLAY METROLOGY)と題する2015年12月15日発行の特許文献6、「複合的イメージング計測ターゲット」(COMPOUND IMAGING METROLOGY TARGETS)と題する2020年1月7日発行の特許文献7、「反射非対称構造の反射対称対を有する計測イメージングターゲット」(METROLOGY IMAGING TARGETS HAVING REFLECTION-SYMMETRIC PAIRS OF REFLECTION-ASYMMETRIC STRUCTURES)と題する2019年1月29日発行の特許文献8、並びに「パターン配置及びパターンサイズを計測する装置及び方法並びにそのためのコンピュータプログラム」(APPARATUS AND METHOD FOR THE MEASUREMENT OF PATTERN PLACEMENT AND SIZE OF PATTERN AND COMPUTER PROGRAM THEREFOR)と題する2016年6月27日付国際特許出願第PCT/US2016/039531号に概述されているので、それら全ての全容を参照により本願に繰り入れることにする。
【0023】
本件開示の随所で用いられている語「サンプル」は、総じて、半導体又は非半導体素材で形成された基板(例.ウェハ等)のことを指している。半導体又は非半導体素材の例としては、これに限られるものではないが単結晶シリコン、ヒ化ガリウム及び燐化インジウムがあろう。サンプルには1個又は複数個の層を設けることができる。例えば、そうした層のなかに、これに限られるものではないがレジスト、誘電体素材、導体素材及び半導体素材の層を含めることができる。本件技術分野ではその種の層が多種多様に知られているところ、本願中の用語たるサンプルは、その種類を問わずそれらの層がその上に形成されうるサンプルを包括することを企図している。サンプル上に形成された1個又は複数個の層がパターニングされてもパターニングされなくてもよい。例えば、サンプル内に複数個のダイを設けることができ、そのそれぞれを、可反復パターン化フィーチャを有するものとすることができる。それら素材層の形成及び処理により、最終的にはデバイス完成品が得られる。多種多様なデバイスをサンプル上に形成しうるところ、本願中の用語たるサンプルは、その種類を問わず本件技術分野で既知なデバイスがその上に作成されるサンプルを包括することを企図している。更に、本件開示の目的上、サンプル及びウェハなる語は可換なものとして解されるべきである。加えて、本件開示の目的上、パターニング装置、マスク及びレチクルなる語は可換なものとして解されるべきである。
【0024】
図1は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲット100の上面図である。ある実施形態では計測ターゲット100が2回回転対称的なものとされる。計測ターゲット100には第1組のパターン要素102を組み込むことができる。第1組のパターン要素102には複数個のパターン要素が含まれている。例えば、第1組のパターン要素102のなかに、これに限られるものではないがパターン要素106a~106hを含めることができる。パターン要素106a~106hのうち1個又は複数個を、2回回転対称性を呈するものとすることができる。第1組のパターン要素102の諸部分を、計測ターゲット100の複数個の層に形成することができる。例えば、パターン要素106a、106d、106e及び106hを、計測ターゲット100の第1層上に(
図1にて白抜きのパターンフィーチャにより示されうる如く)形成することができ、パターン要素106b、106c、106f及び106gを、計測ターゲット100の第2層上に(
図1にてベタ塗りのパターンフィーチャにより示されうる如く)形成することができる。この構成では、計測ターゲット100の第2層に対する第1層のオフセット(例.PPE)を、計測ターゲット100の別々な層に所在しており第1組のパターン要素102を構成しているパターン要素106a~106hの相対位置を計測することによって、解明することができる。その1個又は複数個のパターン要素106a~106hを、1個又は複数個のセグメント化部分(例.反復的周期集合をなす参照フィーチャ群)を有するものとすることができる。
【0025】
ある実施形態によれば、計測ターゲット100の各層に、第1直交方向(例.X方向)沿い計測用に構成された2個のパターン要素106a~106hと、第2直交方向(例.Y方向)沿い計測用に構成された2個のパターン要素106とを設けることができる。付加的な例によれば、計測ターゲット100の第1層に、Y方向沿い計測用に構成されたパターン要素106a及び106eを設けることができる。付加的な例としては、計測ターゲット100の第1層に、X方向沿い計測用に構成されたパターン要素106d及び106hを設けることができる。別例によれば、計測ターゲットの第2層に、Y方向沿い計測用に構成されたパターン要素106b及び106fと、X方向沿い計測用に構成されたパターン要素106c及び106gとを設けることができる。
【0026】
第1組のパターン要素102を、一つ又は複数の直交方向(例.X方向及び/又はY方向)沿いで第1計測モードに対しコンパチブルとなるよう、構成することができる。例えば、第1組のパターン要素102のうち1個又は複数個のパターン要素106a~106hに、X方向及びY方向に沿い定まるエッジを設けることで、第1組のパターン要素のうちパターン要素106a~106hの相対的所在個所を(例.1個又は複数個の計測サブシステム等により)速やかに計測可能とすることができる。更なる例としては、第1組のパターン要素102を、これに限定するものではないが先進イメージング計測(AIM)、先進イメージング計測インダイ(AIMid)及び三重先進イメージング計測(トリプルAIM)を初め、本件開示により想定されている諸目的に相応しく本件技術分野で既知な何れかの光学計測モードに対し、コンパチブルなものとすることができる。
【0027】
計測ターゲット100には、第2計測モードに対しコンパチブルな第2組のパターン要素104を組み込むことができる。第2組のパターン要素104には、第1組のパターン要素102のうち第1部分を含めることができる。第2組のパターン要素104を、第1組のパターン要素102のうち第2部分により囲むことができる。ここでいう第1組のパターン要素102の第2部分は、第2組のパターン要素104のなかに含まれていないものである。例えば、第2組のパターン要素104のなかに、箱104により
図1中に描かれている通り、第1組のパターン要素102の内寄り部分を含めることができる。計測ターゲット100は、自計測ターゲットを動かさずとも別々の計測モードにて複数通りの計測結果を採取しうるように、構成することができる。例えば、第1組のパターン要素102と第2組のパターン要素104とである中心点を共有させ、その共通中心点にて第1計測モード及び第2計測モードの双方が(例.1個又は複数個の計測サブシステムにより)利用されうるようにすることができる。この意味で、少なくとも二通りの計測モードにて計測を行うのに必要な時間の量を減らすことができる。
【0028】
第2組のパターン要素104は、一つ又は複数の直交方向(例.X方向及び/又はY方向)沿いで第2計測モードに対しコンパチブルとなるよう構成することができる。例えば、パターン要素106a~106hのうち第2組のパターン要素104に含まれている1個又は複数個の部分に、X方向及びY方向に沿い定まるエッジを設けることができ、それにより、パターン要素106a~106hのその1個又は複数個の部分の相対的所在個所を(例.1個又は複数個の計測サブシステム等により)速やかに計測可能とすることができる。更なる例としては、第2組のパターン要素104を、これに限定するものではないが先進イメージング計測インダイ(AIMid)計測及び電子ビーム計測を初め、本件開示により想定されている諸目的に相応しく本件技術分野で既知な何れかの光学計測モード又は粒子ビーム計測モードに対し、コンパチブルなものとすることができる。
【0029】
注記されることに、2回対称性を呈するターゲット及びパターン要素例の文脈に従い計測ターゲット100につき記述したが、この特徴を、本件開示の技術的範囲に対する限定事項として解すべきではない。寧ろ、ここで注記されることに、ターゲット100及び/又はそのパターン要素106a~106hが4回回転対称性を呈していてもよい。
【0030】
図2は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲット100の上面図である。第2組のパターン要素104は、一通り又は複数通りの直交方向に沿った付加的なエッジが計測ターゲット100の注目領域内に含まれるように構成することができる。例えば、第2組のパターン要素104の1個又は複数個の部分のなかに、計測ターゲット100の一通り又は複数通りの直交方向に沿う複数個のセグメント化部分を含めることができる。付加的な例によれば、パターン要素106b、106d、106f及び106hそれぞれを、計測ターゲット100の一つ又は複数の直交方向に沿い複数組のセグメント化部分へとそれらが分かれるよう形成することができる。この意味で、第2組のパターン要素104を、小さめな面積を有するサンプル上又は小さめなサンプルフィーチャ上での使用向けに構成することができる。第2組のパターン要素104により、計測ターゲット100を、様々な計測サブシステム及び様々な計測モードに対しコンパチブルなものとすることができる。例えば、第2組のパターン要素104により、計測ターゲット100を、別々な分解能を有する複数個の計測サブシステムで以て用いられるものとすることができる。別例によれば、第2組のパターン要素104により、計測ターゲット100を、小サイズのサンプル上で、及び/又は、サンプルフィーチャの濃密アレイを有するサンプル上で、用いられるものとすることができる。
【0031】
注記されることに、2回対称性を呈するターゲット及びパターン要素例の文脈に従い計測ターゲット100につき記述したが、この特徴を、本件開示の技術的範囲に対する限定事項として解すべきではない。寧ろ、ここで注記されることに、ターゲット100及び/又は第2組のパターン要素104が4回回転対称性を呈していてもよい。
【0032】
図3は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲット100の上面図である。計測ターゲット100は、サンプルフィーチャの至近で用いうるよう構成された様々なサイズのものとすることができる。例えば、計測ターゲット100をインダイ(例.スクライブライン沿い)計測ターゲットとして作成することができる。別例によれば、計測ターゲット100を、設計上の制約、間隔、そのサンプルの周辺フィーチャ等を踏まえダイ内に形成することができる。こうすることで、計測ターゲット100を、これに限られるものではないがAIMidを初め、あらゆるインダイ計測モードでの使用向けに構成することができる。
【0033】
図4は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲット100の上面図である。第1組のパターン要素102に、一つ又は複数の光学計測モードに対しコンパチブルとなるよう構成された1個又は複数個の付加的部分402を含めることができる。ある実施形態では、その付加的部分402が4回回転対称的なものとされる。第1組のパターン要素102に含まれる1個又は複数個の付加的部分402を、これに限られるものではないがトリプルAIM計測を初め、本件開示により想定されている諸目的に相応しく本件技術分野で既知なあらゆる光学計測モードでの使用向けに構成することができる。ある実施形態によれば、その1個又は複数個の付加的部分402を、計測ターゲット100の複数個の層に、1個又は複数個のセグメント化部分として形成することができる。別の実施形態によれば、その1個又は複数個の付加的部分402を、その上に第1組のパターン要素102の何れの他部分も形成されえず第2組のパターン要素104の何れの部分も形成されえない単一の層内に形成することができる。別の実施形態によれば、その1個又は複数個の付加的部分402のうち1個又は複数個の部分を、第1組のパターン要素102のうち1個又は複数個の部分及び/又は第2組のパターン要素のうち1個又は複数個の部分がその上に形成される層の上に形成することができる。
【0034】
図5は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲット100の上面図である。計測ターゲット100には、非イメージング計測モード例えばスキャタロメトリ式オーバレイ(SCOL)計測モードでの使用向けに構成された第3組のパターン要素502を組み込むことができる。第3組のパターン要素502には、ある等しいピッチ(例.分離距離)を有する1個又は複数個の交番的平行格子を含めることができる。ある実施形態では、第3組のパターン要素502を構成するパターン要素が2回回転対称的なものとされる。第3組のパターン要素502は、第3組のパターン要素502に差し向けられた入射輻射がその1個又は複数個の交番的平行格子により回折されうるよう、且つその回折輻射を(例.1個又は複数個の計測サブシステムにより)検出及び分析することでその輻射の角度分布に基づき1個又は複数個のオーバレイパラメータを決めうるよう、構成することができる。
【0035】
第3組のパターン要素502により、第1組のパターン要素102のうち1個又は複数個の部分を囲むことができる。第3組のパターン要素502を、計測ターゲット100の複数個の層に形成することができる。例えば、第3組のパターン要素502のうち1個又は複数個のパターン要素を計測ターゲット100の第1層上に形成することができ、第3組のパターン要素502のうち1個又は複数個のパターン要素を計測ターゲット100の第2層上に形成することができる。第3組のパターン要素502を、計測ターゲット100の中心を第1組のパターン要素102及び第2組のパターン要素104と共有するよう、構成することができる。この構成によれば、計測ターゲット100の第2層に対する第1層のオフセット(例.PPE)を、計測ターゲット100の別々な層に所在しており第3組のパターン要素502を構成しているパターン要素の相対位置を計測することによって、解明することができる。
【0036】
注記されることに、4回対称性を呈するターゲット及びパターン要素例の文脈に従い計測ターゲット100につき記述したが、この特徴を、本件開示の技術的範囲に対する限定事項として解すべきではない。寧ろ、ここで注記されることに、ターゲット100及び/又は第3組のパターン要素502が2回回転対称性を呈していてもよい。
【0037】
図6は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測ターゲット100の概念図である。計測ターゲット100は、そのサンプルの1個又は複数個の計測パラメータが勘案される要領にて第1組のパターン要素102、第2組のパターン要素104並びに第3組のパターン要素502のそれぞれがサンプル上に配列及び/又は形成されるよう、構成することができる。例えば、第1組のパターン要素102、第2組のパターン要素104並びに第3組のパターン要素502のそれぞれを、1個又は複数個の計測サブシステムによりそのサンプルの1個又は複数個のオーバレイパラメータ(例.オフセット(PPE)、スケーリング、回転その他のコレクタブル項)を正確に決定しうるよう、サンプル上に配列及び/又は形成することができる。別例によれば、第1組のパターン要素102、第2組のパターン要素104並びに第3組のパターン要素502のうち全て又は幾つかを、そのサンプル上の1個又は複数個の部分であり正確で望ましい計測のために別々な計測モード(例.分解能が高めな計測モード)が必要とされる部分に対し、一つ又は複数の計測モードを用いうるよう、配列することができる。注記されることに、計測ターゲット100の設計、並びに計測ターゲットに備わる第1組のパターン要素102、第2組のパターン要素104及び第3組のパターン要素のそれぞれの相対配置及び/又は形態は、計測ターゲット100との併用向けに構成されている1個又は複数個のサブシステムの照明波長、サンプルに発する輻射の波長、そのサンプル上における照明スポットサイズ、入射照明の角度、入射照明の偏向、オーバレイターゲット上における入射照明ビームの位置、そのオーバレイ計測ツールの焦点ボリュームにおけるオーバレイターゲットの位置等のうち、1個又は複数個に相応するよう構成設定することができる。こうすることで、計測ターゲット100により、複数の計測モードが必要とされるサンプルのより効率的且つ正確な計測が行えるようになる。例えば、計測ターゲット100における第1組のパターン要素102、第2組のパターン要素104及び/又は第3組のパターン要素502の併用により、別々の計測モードで動作する1個又は複数個の計測サブシステムの間で一つ又は複数の計測レシピを共有可能とすることができる。
【0038】
計測ターゲット100を、計測システムの校正での使用向けに構成することができる。例えば、計測ターゲット100を、インダイターゲット計測における信号クランチング(例.別々の計測モードを用いる計測の正確性に関連するデータの取込み及び分析)に用いることができる。別例によれば、第1組のパターン要素102、第2組のパターン要素104並びに第3組のパターン要素502により共通の中心が共有されるため、計測ターゲット100の第1組のパターン要素102及び第2組のパターン要素104により、ターゲット配置及びターゲットアーキテクチャバイアスに起因するターゲット作成不正確性を低減することができる。
【0039】
図7は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に係る計測システム700の概略ブロック図を描いたものである。一実施形態に係る計測システム700は、1個又は複数個の計測サブシステム712を有している。例えば、計測システム700を、第1計測サブシステム702及び第2計測サブシステム704を有するものとすることができ、そのそれぞれを、何通りかのオーバレイレシピに基づきオーバレイターゲットからオーバレイ信号を獲得するよう構成することができる。第1計測サブシステム702及び第2計測サブシステム704それぞれを、イメージングモード及び非イメージングモードの何れかで動作させることができる。例えばイメージングモードでは、個々のオーバレイターゲット要素を、そのサンプル上の照明スポット内で(例.明視野像、暗視野像、位相コントラスト像等の一部として)解像可能とすることができる。別例によれば、第1計測サブシステム702及び第2計測サブシステム704それぞれを、瞳面にてサンプルからの輻射が分析され、それによりそのサンプルからの輻射の角度分布(例.そのサンプルによる輻射の散乱及び/又は回折に係るもの)が解明されるスキャタロメトリ式オーバレイ(SCOL)計測ツールとして、動作させることができる。
【0040】
第1計測サブシステム702及び第2計測サブシステム704それぞれにより、照明をサンプルへと差し向けることができ、更に、そのサンプルに発する輻射を集めて複数個のサンプル層のオーバレイの判別に適したオーバレイ信号を生成することができる。第1計測サブシステム702及び第2計測サブシステム704それぞれに、これに限られるものではないが、何らかの光学計測ツール(例.先進イメージング計測(AIM)ツール、先進イメージング計測インダイ(AIMid)ツール、三重先進イメージング計測(トリプルAIM)ツール等)、何らかの粒子式計測ツール(例.電子ビーム計測ツール)、或いはスキャタロメトリ式オーバレイ(SCOL)計測ツールを初め、サンプル上のオーバレイターゲットに係るオーバレイを判別するのに適したオーバレイ信号を生成するのに適し本件技術分野で既知なあらゆる種類のオーバレイ計測ツールを、組み込むことができる。注記されることに、本件開示の諸実施形態は第1計測サブシステム702及び第2計測サブシステム704を1個しか有していない計測システム700に限定されず、計測システム700が3個以上の計測サブシステムを有していてもよい。例えば、計測システム700が光学計測ツール、粒子式計測ツール及びスキャタロメトリ式オーバレイ計測ツールを有していてもよい。
【0041】
1個又は複数個の計測サブシステム712を、オーバレイターゲットのオーバレイを判別するのに適したオーバレイ信号の獲得用に計測パラメータを定める複数のレシピに基づきオーバレイ信号を生成するよう、構成することができる。例えば、1個又は複数個の計測サブシステム712のレシピのなかに、これに限られるものではないが照明波長、サンプルに発する輻射の検出波長、そのサンプル上における照明スポットサイズ、入射照明の角度、入射照明の偏向、その入射ビームの波面、オーバレイターゲット上における入射照明ビームの位置、そのオーバレイ計測ツールの焦点ボリュームにおけるオーバレイターゲットの位置等を含めることができる。
【0042】
また、一実施形態に係るオーバレイ計測システム700は、1個又は複数個の計測サブシステム712に可通信結合されたコントローラ706を有している。コントローラ706は、指定されている一つ又は複数のレシピに基づきオーバレイ信号を生成せよと1個又は複数個の計測サブシステム712に指令するよう、構成することができる。コントローラ706は、更に、これに限られるものではないが1個又は複数個の計測サブシステム712からのオーバレイ信号を含むデータを受け取るよう構成することができる。加えて、コントローラ706は、獲得したオーバレイ信号に基づきオーバレイターゲットに係るオーバレイを判別するよう構成することができる。
【0043】
また、ある実施形態では、コントローラ706が1個又は複数個のプロセッサ708を有するものとされる。例えば、その1個又は複数個のプロセッサ708を、記憶デバイス710又はメモリ内で保持されている一組のプログラム命令を実行するよう、構成することができる。コントローラ706を構成する1個又は複数個のプロセッサ708には、本件技術分野で既知なあらゆる処理素子が包含されうる。その意味で、1個又は複数個のプロセッサ708には、アルゴリズム及び/又は命令を実行するよう構成されたあらゆるマイクロプロセッサ型デバイスが包含されうる。更に、記憶デバイス710には、連携する1個又は複数個のプロセッサ708にて実行可能なプログラム命令を格納するのに適し本件技術分野で既知なあらゆる格納媒体が包含されうる。例えば、記憶デバイス710には非一時的記憶媒体が包含されうる。付加的な例としては、記憶デバイス710のなかに、これに限られるものではないがリードオンリメモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気又は光記憶デバイス(例.ディスク)、磁気テープ、固体ドライブ等が包含されうる。更に注記されることに、記憶デバイス710を、1個又は複数個のプロセッサ708と共に共通コントローラハウジング内に収容することができる。
【0044】
図8Aは、本件開示の1個又は複数個の実施形態における第1計測サブシステム702を描いた概念図である。
図8Aに示され且つ本件開示中で既述されている通り、第1計測サブシステム702は、粒子式計測ツール、例えば電子ビーム式計測ツール(例.SEM、CD-SEM等)を有するものとすることができる。
【0045】
ある実施形態では、第1計測サブシステム702に、粒子ビーム804(例.電子ビーム、粒子ビーム等)を生成する粒子源802(例.電子ビーム源、イオンビーム源等)が設けられる。粒子源802には、粒子ビーム804を生成するのに適し本件技術分野で既知なあらゆる粒子源が包含されうる。例えば、粒子源802を、これに限られるものではないが電子銃又はイオン銃を有するものとすることができる。また、ある実施形態では、粒子源802が、可調なエネルギで以て粒子ビームを生成するよう構成される。例えば、電子源を有する粒子源802により、これに限られるものではないが、0.1kV~30kVの範囲内の加速電圧を提供することができる。別例としては、イオン源を有する粒子源802により、これは必須ではないが、1~50keVの範囲内のエネルギを有するイオンビームを提供することができる。
【0046】
また、ある実施形態では、第1計測サブシステム702に1個又は複数個の粒子集束素子806が設けられる。例えば、その1個又は複数個の粒子集束素子806を、これに限られるものではないが、粒子集束素子を1個しか含まないものにすることや、複合的なシステムをかたちづくる1個又は複数個の粒子集束素子が含まれるものにすることができる。また、ある実施形態では、その1個又は複数個の粒子集束素子806のなかに、サンプルステージ812上に所在するサンプル810へと粒子ビーム804を差し向けるよう構成された粒子対物レンズ808を含める。更に、その1個又は複数個の粒子源802のなかに、これに限られるものではないが静電レンズ、磁気レンズ、ユニポテンシャルレンズ又はダブルポテンシャルレンズを初め、本件技術分野で既知なあらゆる種類の電子レンズを含めることができる。
【0047】
また、ある実施形態では、第1計測サブシステムに、サンプル810に発する粒子を検出例えばイメージングする少なくとも1個の粒子検出器814が設けられる。ある実施形態では、その粒子検出器814が、電子コレクタ(例.二次電子コレクタ、後方散乱電子検出器等)を有するものとされる。また、ある実施形態では、その粒子検出器814が、サンプル表面からの電子及び/又は光子を検出する光子検出器(例.フォトディテクタ、X線検出器、シンチレーティング素子であり光電子増倍管(PMT)型検出器に結合されたもの等)が包含される。
【0048】
理解し得るように、
図8A記載の第1計測サブシステム702についての記述及びそれに関連する上掲の記述は、専ら例証目的で提示されたものであり、限定として解されるべきではない。例えば、第1計測サブシステム702を、サンプル810への同時問いかけに適するマルチビーム及び/又はマルチカラムシステムを有するものとしてもよい。更なる実施形態によれば、第1計測サブシステム702を、サンプル810の一個所又は複数個所に一通り又は複数通りの電圧を印加するよう構成された1個又は複数個の部材(例.1個又は複数個の電極)を有するものとすることができる。こうすれば、その第1計測サブシステム702により、電圧コントラストイメージングデータを生成することができる。
【0049】
本願での認識によれば、粒子ビーム804のサンプル810内浸透深度はその粒子エネルギにより左右されうるのであって、通常は、より高エネルギなビームの方がそのサンプル内により深く浸透する。ある実施形態によれば、粒子ビーム804のサンプル810内浸透深度を踏まえ、第1計測サブシステム702にて別々の粒子エネルギを利用し、そのデバイスの別々の層に問いかけることができる。例えば、第1計測サブシステム702にて、比較的低エネルギの電子ビーム(例.約1keV以下)を利用することや、より高エネルギのビーム(例.約10keV以上)を利用し既作成層を特性解明することができる。本願での認識によれば、浸透深度は粒子エネルギの関数であり、素材の違いにより異なりうるので、個々の層に係る粒子エネルギの選択を、素材の違いにより変えることができる。
【0050】
図8Bは、本件開示の1個又は複数個の実施形態における第2計測サブシステム704を描いた概念図である。
図8Bに示され且つ本件開示にて既述されている通り、第2計測サブシステム704は光学計測ツールを有するものとすることができる。ある実施形態によれば、第2計測サブシステム704を、これに限られるものではないがX線、紫外(UV)、赤外(IR)又は可視光波長を有する光学照明ビームを生成及び/又は検出するよう構成された光学計測ツールを初め、サンプルの計測データを生成するのに適し本件技術分野で既知な何れの種類の光学計測ツールを有するものとも、することができる。別例によれば、第2計測サブシステム704を、先進イメージング計測(AIM)ツール、先進イメージング計測インダイ(AIMid)ツール又は三重先進イメージング計測(トリプルAIM)ツールを有するものと、することができる。
【0051】
ある実施形態では、第2計測サブシステム704に、光学照明ビーム818を生成するよう構成された光学照明源816が設けられる。光学照明ビーム818は、これに限られるものではないがX線、紫外(UV)光、可視光又は赤外(IR)光を初め、一つ又は複数の指定波長の輻射を含むものとすることができる。
【0052】
光学照明源816は、光学照明ビーム818を生成するのに適し本件技術分野で既知な何れの種類の照明源ともすることができる。
【0053】
光学照明源816には、光学照明ビーム818を供給するのに適したあらゆる種類の照明源が包含されうる。ある実施形態では光学照明源816がレーザ光源とされる。例えば、その光学照明源816を、これに限られるものではないが1個又は複数個の狭帯域レーザ光源、広帯域レーザ光源、超連続体(超広帯域)レーザ光源、白色レーザ光源等を有するものとすることができる。こうすれば、その光学照明源816により、高いコヒーレンス(例.高い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する光学照明ビーム818を供給することができる。また、ある実施形態では光学照明源816がレーザ維持プラズマ(LSP)光源を有するものとされる。例えば、その光学照明源816を、これに限られるものではないが、一種類又は複数種類の元素を収容するのに適していてレーザ光源によりその元素をプラズマ状態に励起することで広帯域照明を放射できるLSPランプ、LSPバルブ又はLSPチャンバを有するものとすることができる。また、ある実施形態では光学照明源816がランプ光源を有するものとされる。例えば、その光学照明源816を、これに限られるものではないがアークランプ、放電ランプ又は無電極ランプを有するものとすることができる。こうすれば、その光学照明源816により、低いコヒーレンス(例.低い空間コヒーレンス及び/又は時間コヒーレンス)を有する光学照明ビーム818を供給することができる。
【0054】
また、ある実施形態では、光学照明源816から照明路820を介しサンプル810へと光学照明ビーム818が差し向けられる。その照明路820に、光学照明ビーム818を修正及び/又は調光するのに適した1個又は複数個の照明路レンズ822又は付加的光学部材824を設けることができる。例えば、その1個又は複数個の光学部材824のなかに、これに限られるものではないが1個又は複数個のポラライザ、1個又は複数個のフィルタ、1個又は複数個のビームスプリッタ、1個又は複数個のディフューザ、1個又は複数個のホモジナイザ、1個又は複数個のアポダイザ、或いは1個又は複数個のビーム整形器を含めることができる。照明路820には、更に、光学照明ビーム818をサンプル810に差し向けるよう構成された対物レンズ826を設けることができる。
【0055】
また、ある実施形態ではサンプル810がサンプルステージ812上に配置される。サンプルステージ812には、第2計測サブシステム704内でサンプル810を位置決め及び/又は走査するのに適したあらゆる装置が包含されうる。例えば、サンプルステージ812を、リニア並進ステージ、回動ステージ、ティップ/ティルトステージ等の何らかの組合せを有するものとすることができる。
【0056】
また、ある実施形態では、第2計測サブシステム704に、サンプル810に発する光を集光路828経由で捉えるよう構成された検出器834が設けられる。その集光路828には、これに限られるものではないが、サンプル810から集光するための1個又は複数個の集光路レンズ836,830を設けることができる。例えば、検出器834にて、サンプル810からの(例.鏡面反射、拡散反射等による)反射又は散乱光を、1個又は複数個の集光路レンズ836,830を介し、受光することができる。別例によれば、検出器834にて、サンプル810により生成された光(例.光学照明ビーム818の吸収に係るルミネッセンス等)を受光することができる。別例によれば、検出器834にて、サンプル810から一つ又は複数の次数の回折光(例.0次回折光、±1次回折光、±2次回折光等)を受光することができる。
【0057】
検出器834には、サンプル810から受光した照明を計測するのに適し本件技術分野で既知なあらゆる種類の光学検出器が包含されうる。例えば、検出器834を、これに限られるものではないがCCD型検出器、TDI型検出器、光電子増倍管(PMT)、アバランシェフォトダイオード(APD)、相補型金属酸化物半導体(CMOS)センサ等を有するものとすることができる。別の実施形態によれば、検出器834を、サンプル810に発する光の波長を識別するのに適した分光型検出器を有するものとすることができる。
【0058】
ある実施形態では、検出器834がサンプル810の表面のほぼ垂線上に配置される。また、ある実施形態では、第2計測サブシステム704にビームスプリッタが設けられ、サンプル810への光学照明ビーム818の差し向けとサンプル810に発する光の集光とを対物レンズ826により同時に行えるようそのビームスプリッタが向き決めされる。更に、照明路820及び集光路828により1個又は複数個の付加的素子(例.対物レンズ826、アパーチャ、フィルタ等)を共有することができる。
【0059】
図9は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従いオーバレイを計測する方法900の諸ステップを記すプロセスフロー図を描いたものである。
【0060】
ステップ902では、1個又は複数個の計測ターゲット100を有するサンプルが照明される。例えば、1個又は複数個の計測サブシステム712によりサンプル810上へと照明ビームを差し向けることができる。本願にて用いられる語「照明ビーム」は、これに限られるものではないが粒子ビーム804及び光学照明ビーム818を含めあらゆる輻射ビームを指し示しうる語である。
【0061】
ステップ904では、計測ターゲット100の第1組のパターン要素102に発する照明が第1計測モードにて検出される。例えば、光学照明ビーム818を、光学計測ツールとして構成されている第2計測サブシステム704の検出器834により、検出することができる。
【0062】
ステップ906では、計測ターゲット100の第2組のパターン要素104に発する照明が第2計測モードにて検出される。例えば、粒子ビーム804を、粒子式計測ツールとして構成されている第1計測サブシステム702の粒子検出器814により、検出することができる。
【0063】
実施形態によっては、本方法900に、計測ターゲット100の第3組のパターン要素502に発する照明が第3計測モードにて検出されるステップ908が設けられる。例えば、その1個又は複数個の計測サブシステム712のうち1個により、サンプルで回折された輻射を検出することができる。
【0064】
ステップ910では、計測ターゲット100の第1組のパターン要素102の1個又は複数個のオーバレイパラメータが決定される。例えば、1個又は複数個のコントローラ706に備わる1個又は複数個のプロセッサ708にて、第1組のパターン要素102に発する照明を示す1個又は複数個の信号を、第1計測モードに対応付けられているアルゴリズムを用い分析することができる。別例によれば、1個又は複数個のプロセッサ708にて、一つ又は複数のアルゴリズム(例.AIM、AIMidアルゴリズム)を適用し、第1組のパターン要素102の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定することができる。
【0065】
ステップ912では、計測ターゲット100の第2組のパターン要素104の1個又は複数個のオーバレイパラメータが決定される。例えば、1個又は複数個のコントローラ706に備わる1個又は複数個のプロセッサ708にて、第2組のパターン要素104に発する照明を示す1個又は複数個の信号を、第2計測モードに対応付けられているアルゴリズムを用い分析することができる。別例によれば、1個又は複数個のプロセッサ708にて、一つ又は複数のアルゴリズム(例.SEM解明アルゴリズム)を適用し、第2組のパターン要素104の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定することができる。
【0066】
実施形態によっては、本方法900にステップ914が設けられ、そこで、計測ターゲット100の第3組のパターン要素502の1個又は複数個のオーバレイパラメータが決定されることがある。例えば、1個又は複数個のプロセッサ708にて、第3組のパターン要素502に発する照明を示す1個又は複数個の信号を、第3計測モードに対応付けられているアルゴリズムを用い分析することができる。別例によれば、1個又は複数個のプロセッサ708にて、一つ又は複数のアルゴリズム(例.SCOL式アルゴリズム)を適用し、第3組のパターン要素502の1個又は複数個のオーバレイパラメータを決定することができる。
【0067】
実施形態によっては、本方法900にステップ916が設けられ、そこで、ステップ910、912及び914のうち少なくとも一つにて決定された1個又は複数個のオーバレイパラメータに基づき1個又は複数個のオーバレイコレクタブルが提供されることがある。例えば、ステップ916にて、コントローラ706により、1個又は複数個のプロセスツール(例.リソグラフィツール)の1個又は複数個のパラメータ(例.製造セッティング、コンフィギュレーション等)を調整すべく、一つ又は複数の制御信号(又はその制御信号に対する補正分)を生成することができる。その制御信号(又はその制御信号に対する補正分)を、コントローラ706によりフィードバック及び/又はフィードフォワード制御ループの一部として提供することができる。コントローラ706により、その1個又は複数個のプロセスツールに、その一つ又は複数の制御信号(又はその制御信号に対する補正分)に基づき、その1個又は複数個のプロセスツールの1個又は複数個のパラメータに対する一つ又は複数の調整を実行させることができる。実施形態によっては、コントローラ706がユーザに警報して、その一つ又は複数の調整を行わせる。この意味で、その一つ又は複数の制御信号により、その1個又は複数個のプロセスツールでの1個又は複数個の製造プロセスの誤差を補償することができ、ひいてはその1個又は複数個のプロセスツールにて、同ロット又は別ロット内の後続サンプルを対象とした複数回の露出に亘り、オーバレイを指定公差内に保つことが可能となる。
【0068】
図10は、本件開示の1個又は複数個の実施形態に従い計測ターゲット100を形成する方法1000の諸ステップを記すプロセスフロー図を描いたものである。
【0069】
ステップ1002では、第1計測モードに対しコンパチブルな第1組のパターン要素102が形成される。例えば、第1組のパターン要素102のうちパターン要素106a~106hを、これに限られるものではないが1個又は複数個の堆積、リソグラフィ又はエッチング工程等、1個又は複数個のプロセス工程を通じ作成することができ、またその際に、第1組のパターン要素102のうちパターン要素106a~106hを計測ターゲット100の異なる層上に形成することができる。パターン要素106a~106hの形成には、1個又は複数個のプロセスツール(例.リソグラフィツール)を用いることができる。
【0070】
ステップ1004では、第2計測モードに対しコンパチブルな第2組のパターン要素104が形成される。例えば、第2組のパターン要素104を、これに限られるものではないが1個又は複数個の堆積、リソグラフィ又はエッチング工程等、1個又は複数個のプロセス工程を通じ作成することができ、またその際に、第2組のパターン要素104のうちパターン要素106a~106hを計測ターゲット100の異なる層上に形成することができる。注記されることに、ステップ1004は、第2組のパターン要素104の形成が第1組のパターン要素102の形成の後に順次行われるものに限定されず、第2組のパターン要素104と第1組のパターン要素102が同時に形成されるのでもよい。
【0071】
実施形態によっては、本方法1000に、第3計測モードに対しコンパチブルな第3組のパターン要素502が形成されるステップ1006が設けられることがある。例えば、第3組のパターン要素502を、これに限られるものではないが1個又は複数個の堆積、リソグラフィ又はエッチング工程等、1個又は複数個のプロセス工程を通じ作成することができ、またその際に、第3組のパターン要素502を計測ターゲット100の異なる層上に形成することができる。注記されることに、ステップ1006は、第3組のパターン要素502の形成が第2組のパターン要素104の形成の後に順次行われるものに限定されず、第1組のパターン要素102、第2組のパターン要素104並びに第3組のパターン要素502が同時に形成されるのでもよい。
【0072】
本願記載の主題を表す諸部材は、他部材内に組み込まれ又は他部材に接続・連結される。理解し得るように、その種の図示構成は単なる例示であり、他の多くの構成を実施し同じ機能を実現することが可能である。概念的には、どのような部材配置であれ同じ機能を実現しうる部材配置では、それら部材がその所望機能が実現されるよう有効に「連携」しているのである。従って、本願中の何れの二部材であれ特定機能を実現すべく組み合わされているものは、その所望機能が実現されるよう互いに「連携」していると見なせるのであり、構成や介在部材の如何は問われない。同様に、何れの二部材であれそのように連携しているものはその所望機能を実現すべく互いに「接続・連結され」又は「結合され」ているとも見ることができ、また何れの二部材であれそのように連携させうるものはその所望機能を実現すべく互いに「結合可能」であるとも見ることができる。結合可能、の具体例としては、これに限られないが、部材同士が物理的に相互作用可能であり及び/又は物理的に相互作用すること、及び/又は部材同士が無線的に相互作用可能であり及び/又は無線的に相互作用すること、及び/又は部材同士が論理的に相互作用可能であり及び/又は論理的に相互作用することがある。
【0073】
本件開示及びそれに付随する長所の多くについては前掲の記述により理解できるであろうし、開示されている主題から離隔することなく或いはその主要な長所全てを損なうことなく諸部材の形態、構成及び配置に様々な改変を施せることも明らかであろう。述べられている形態は単なる説明用のものであり、後掲の特許請求の範囲の意図はそうした改変を包括、包含することにある。更に、本発明を定義しているのは別項の特許請求の範囲である。
【国際調査報告】