(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】高吸水性樹脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 3/12 20060101AFI20230323BHJP
【FI】
C08J3/12 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022546525
(86)(22)【出願日】2021-10-28
(85)【翻訳文提出日】2022-07-29
(86)【国際出願番号】 KR2021015295
(87)【国際公開番号】W WO2022092844
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0142300
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0144931
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】チャン・フン・イ
(72)【発明者】
【氏名】ジユン・チョン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ウン・キム
【テーマコード(参考)】
4F070
【Fターム(参考)】
4F070AA29
4F070AB13
4F070DA42
4F070DA48
4F070DB03
4F070DB06
4F070DB09
4F070DC05
4F070DC07
(57)【要約】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関するものであって、本発明によれば、高吸水性樹脂の表面架橋強度を増加させて、アンチケーキング剤(Anti-caking agent)の処理後にも加圧吸水能の低下が無いか少ない高吸水性樹脂の製造が可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合開始剤および内部架橋剤の存在下で、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合体を含む含水ゲル重合体を形成する段階;
前記含水ゲル重合体を乾燥、粉砕、および分級して、ベース樹脂粉末を得る段階;
第1表面架橋剤の存在下で、第1温度に昇温させながら前記ベース樹脂粉末を1次表面架橋する段階;および
第2表面架橋剤の存在下で、第2温度で前記1次表面架橋されたベース樹脂粉末を2次表面架橋して高吸水性樹脂粒子を形成する段階;を含み、
前記第1温度は180℃以上であり、前記第2温度は120℃~150℃であり、
前記第2表面架橋剤は前記第1表面架橋剤より大きい重量平均分子量を有し、前記第2温度で共有結合形成が可能なエポキシ系化合物を含む、
高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記第1表面架橋剤に対する第2表面架橋剤の重量平均分子量の比が1.8以上である、請求項1に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記第1表面架橋剤は、多価アルコールおよびアルキレンカーボネートからなる群より選択される1種以上の化合物を含む、請求項1または2に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項4】
前記第1表面架橋剤は、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールおよびグリセロールからなる群より選択される1種以上を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項5】
前記1次表面架橋時、無機充填剤および有機酸のうちの1種以上がさらに投入される、請求項1から4のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項6】
前記無機充填剤は、シリカ、ヒュームドシリカ、クレー、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、チタニア、亜鉛酸化物、およびシリケートからなる群より選択される1種以上を含む、請求項5に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項7】
前記有機酸は、シュウ酸、酢酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、酒石酸、およびマレイン酸からなる群より選択される1種以上を含む、請求項5に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項8】
前記第2表面架橋剤は分子内エポキシド官能基を二つ以上含み、常圧条件で沸点が150℃以上であるエポキシ系化合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項9】
前記第2表面架橋剤は、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、およびポリエチレングリコールジグリシジルエーテルからなる群より選択される1種以上のエポキシ系化合物を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項10】
前記2次表面架橋時、ポリカルボン酸またはその塩がさらに投入される、請求項1から9のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項11】
前記1次表面架橋は、前記第1温度への昇温後、第1温度を維持する1次維持工程をさらに含み、
前記1次維持工程は、前記1次表面架橋が行われる全体時間に対して50%以上の時間行われる、請求項1から10のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項12】
前記第1温度は180~200℃である、請求項1から11のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項13】
前記2次表面架橋時、前記1次表面架橋されたベース樹脂粉末の温度が140~150℃である時に第2表面架橋剤を投入し、120~130℃の温度まで冷却速度-1.5~-2.0℃/分で冷却させて2次表面架橋を行う、請求項1から12のいずれか一項に記載の高吸水性樹脂の製造方法。
【請求項14】
少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合体を含むベース樹脂粉末;および前記ベース樹脂粉末上に位置する表面架橋層;を含み、
前記表面架橋層は、前記架橋重合体の一部が第1表面架橋剤を媒介として追加架橋された第1架橋重合体;および前記架橋重合体の残りが第2表面架橋剤を媒介として追加架橋された第2架橋重合体を含み、
前記第2表面架橋剤は、前記第1表面架橋剤より大きい重量平均分子量を有し、120~150℃で共有結合形成が可能なエポキシ系化合物を含み、
下記数式1によって計算される0.9AUL下落率が0.05以下である、高吸水性樹脂:
[数式1]
0.9AUL下落率=[(A-B)/A]
上記数式1中、
Aは、アンチケーキング処理前高吸水性樹脂の0.9AULであって、EDANA法442.0-96の方法によって0.9psi加圧下で1時間、アンチケーキング処理前の高吸水性樹脂を膨潤させた後に測定した加圧下吸水能であり、
Bは、アンチケーキング処理された高吸水性樹脂の0.9AULであって、高吸水性樹脂100重量部およびアンチケーキング剤としてヒュームドシリカ0.0005~0.001重量部を30秒~1分間200rpmで乾式混合する方法でアンチケーキング処理を行った後、EDANA法442.0-96の方法によって0.9psi加圧下で1時間前記アンチケーキング処理された高吸水性樹脂を膨潤させた後に測定した加圧下吸水能である。
【請求項15】
前記高吸水性樹脂は、EDANA法WSP241.3によって測定した遠心分離保水能が30g/g以上である。請求項14に記載の高吸水性樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互引用
本出願は2020年10月29日付韓国特許出願第10-2020-0142300号および2021年10月27日付韓国特許出願第10-2021-0144931号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、高吸水性樹脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
高吸水性樹脂(Super Absorbent Polymer、SAP)とは自重の5百~1千倍程度の水分を吸収することができる機能を有する合成高分子物質であって、開発企業ごとにSAM(Super Absorbency Material)、AGM(Absorbent Gel Material)などそれぞれ異なる名称で命名されている。前記のような高吸水性樹脂は生理用品として実用化され始めて、現在は園芸用土壌補修剤、土木、建築用止水材、育苗用シート、食品流通分野での鮮度保持剤、およびしっぷ用などの材料として広く使用されており、おむつや生理帯など衛生材分野で主に使用されている。
【0004】
全世界的におむつの厚みが減る傾向に変わるにつれて、おむつ吸収コアを構成するパルプ(pulp)の比率が減少し高吸水性樹脂の比率が増加している。
【0005】
おむつ内高吸水性樹脂の比率が増加するにつれてSAPの物性の重要度が高まっている。特に、加圧下でのおむつの再湿潤(rewet)や吸水速度に影響を与える加圧吸収力と加圧透過度に対する重要度が高まっている。
【0006】
高吸水性樹脂は水を吸収する特性の高分子であるため、湿度が高い地域ではケーキング(caking)現象が発生し、このような現象を防止するためにアンチケーキング剤(Anti-caking agent)を添加する。アンチケーキング剤(Anti-caking agent)としては、一般に水を吸収しない無機物を使用する。無機物は、SAP粒子間にブロッキング(blocking)現象を防止するため透過度を向上させる添加剤としても活用する。
【0007】
しかし、前記無機物は高吸水性樹脂の膨潤過程で表面摩擦力を増加させて加圧条件での膨潤を妨害して結果として加圧吸水能の低下を引き起こすという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は高吸水性樹脂の表面架橋強度を増加させて、アンチケーキング剤(Anti-caking agent)の処理後にも加圧吸水能の低下が無いか少ない高吸水性樹脂を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態によれば、重合開始剤および内部架橋剤の存在下で、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合体を含む含水ゲル重合体を形成する段階;前記含水ゲル重合体を乾燥、粉砕、および分級して、ベース樹脂粉末を得る段階;第1表面架橋剤の存在下で、第1温度に昇温させながら前記ベース樹脂粉末を1次表面架橋する段階;および第2表面架橋剤の存在下で、第2温度で前記1次表面架橋されたベース樹脂粉末を2次表面架橋して、高吸水性樹脂粒子を形成する段階;を含み、前記第1温度は180℃以上であり、前記第2温度は120℃~150℃であり、前記第2表面架橋剤は、前記第1表面架橋剤より大きい重量平均分子量を有し、前記第2温度で共有結合形成が可能なエポキシ系化合物を含む、高吸水性樹脂の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の他の一実施形態によれば、前記製造方法によって製造され、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合体を含むベース樹脂粉末;および前記ベース樹脂粉末上に位置する表面架橋層;を含み、前記表面架橋層は、前記架橋重合体の一部が第1表面架橋剤を媒介として追加架橋された第1架橋重合体;および前記架橋重合体の残りが第2表面架橋剤を媒介として追加架橋された第2架橋重合体を含み、前記第2表面架橋剤は、前記第1表面架橋剤より大きい重量平均分子量を有し、120~150℃で共有結合形成が可能なエポキシ系化合物を含む、高吸水性樹脂を提供する。
【0011】
本明細書で使用される用語はただ例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明白に異なるものを意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、「含む」、「備える」または「有する」などの用語は実施された特徴、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0012】
本発明は多様な変更を加えることができ様々な形態を有することができるところ、特定の実施形態を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想および技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0013】
本発明の明細書に使用される用語「重合体」、または「高分子」は水溶性エチレン系不飽和単量体が重合された状態であることを意味し、全ての水分含量範囲または粒径範囲を包括することができる。前記重合体のうち、重合後乾燥前状態のものであって含水率(水分含量)が約40重量%以上の重合体を含水ゲル重合体と称することができる。
【0014】
また、ベース樹脂とは、前記含水ゲル重合体を乾燥、粉砕した形態の粒子状樹脂、あるいは粉末であって、追加工程、例えば、表面架橋、微粉再造粒、再乾燥、再粉砕、再分級などを経なかったものを意味する。
【0015】
また、「高吸水性樹脂」は文脈によって前記重合体またはベース樹脂自体を意味するか、または前記重合体や前記ベース樹脂に対して追加の工程、例えば表面架橋、微粉再造粒、乾燥、粉砕、分級などを経て製品化に適した状態としたものを全て包括するものとして使用される。
【0016】
以下、発明の具体的な実施形態による高吸水性樹脂の製造方法およびこれによって製造された高吸水性樹脂についてより詳しく説明する。
【0017】
具体的に、発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法は、
重合開始剤および内部架橋剤の存在下で、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を架橋重合して、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合体を含む含水ゲル重合体を形成する段階(段階1);
前記含水ゲル重合体を乾燥、粉砕、および分級して、ベース樹脂粉末を得る段階(段階2);
第1表面架橋剤の存在下で、第1温度に昇温させながら前記ベース樹脂粉末を1次表面架橋する段階(段階3);および
第2表面架橋剤の存在下で、第2温度で前記1次表面架橋されたベース樹脂粉末を2次表面架橋して、高吸水性樹脂粒子を形成する段階(段階4);を含み、
前記第1温度は180℃以上であり、前記第2温度は120~150℃であり、
前記第2表面架橋剤は、前記第1表面架橋剤より大きい重量平均分子量を有し、前記第2温度で共有結合形成が可能なエポキシ系化合物を含む。
【0018】
一般に、高吸水性樹脂の表面積が広いほど吸水速度が速い。しかし、製造設備上の限界によって高吸水性樹脂の表面積が広ければ表面架橋剤が十分に塗布されにくく、結果として最終製造される高吸水性樹脂の加圧吸水能が大きく低下する問題があった。
【0019】
これに対し、本発明では高吸水性樹脂の製造時、重量平均分子量の小さい表面架橋剤を高温で1次表面架橋反応させることによって、表面架橋剤が高吸水性樹脂の表面奥深く侵入するようにして高吸水性樹脂の加圧特性を確保し、その後前記1次表面架橋時に比べて大きい重量平均分子量を有し、最適温度範囲で共有結合形成が可能なエポキシ系表面架橋剤を用いて2次表面架橋反応させることによって、アンチケーキング(anti-caking)処理後にも加圧吸水能の低下を防止または減少させることができる。また、前記製造方法は、表面積が広い、高吸水速度の高吸水性樹脂の製造に特に効果的である。
【0020】
また、1次表面架橋のみを行う従来製造方法でもアンチケーキング(anti-caking)処理による高吸水性樹脂の加圧吸水能低下を減少させることはできるが、この場合、表面架橋反応を多く行わなければならないため、保水能(CRC)が大きく低下する問題がある。これに対し、本発明では1次表面架橋後未反応の表面を、第1表面架橋剤に対してMwが大きく低温でも反応速度が速い表面架橋剤を用いて2次表面架橋することによって、加圧吸水能の下落幅を5%未満に大きく減少させることができ、同時に保水能の損失を最少化することができる。
【0021】
また、2次表面架橋時、低温で反応速度が速い表面架橋剤を使用することによって180℃水準の高温で行われる1次表面架橋工程後、別途の加熱工程なくても冷却過程で1次表面架橋時の残熱によって2次表面架橋処理が可能である。
【0022】
以下、発明の一実施形態による高吸水性樹脂の製造方法を各段階別により具体的に説明する。
【0023】
(段階1)
発明の一実施形態による製造方法において、段階1は含水ゲル状重合体を製造する段階である。
【0024】
具体的に、前記段階1は、酸性基を含み、酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン系不飽和単量体、重合開始剤、および内部架橋剤を混合して単量体組成物を製造し、これを重合させることによって行うことができる。一例として、前記単量体組成物は、酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体を中和した中和液に、重合開始剤、および内部架橋剤を投入して混合することによって製造できる。
【0025】
前記酸性基の少なくとも一部が中和された水溶性エチレン性不飽和単量体は、水溶性エチレン系不飽和単量体の酸性基を中和剤を用いて中和反応させることによって製造できる。
【0026】
前記水溶性エチレン系不飽和単量体は、高吸水性樹脂の製造に通常使用される任意の単量体であってもよい。非制限的な例として、前記水溶性エチレン系不飽和単量体は下記化学式1で表される化合物であってもよい:
【0027】
[化学式1]
R1-COOM
【0028】
上記化学式1中、
R1は、不飽和結合を含む炭素数2~5のアルキル基であり、
Mは、水素原子、1価または2価金属、アンモニウム基または有機アミン塩である。
【0029】
好ましくは、前記単量体は、(メタ)アクリル酸、およびこれら酸の1価(アルカリ)金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0030】
このように水溶性エチレン系不飽和単量体として(メタ)アクリル酸および/またはその塩を使用する場合、吸水性の向上した高吸水性樹脂を得ることができて有利である。この他にも前記単量体としては、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、2-アクリロイルエタンスルホン酸、2-メタクリロイルエタンスルホン酸、2-(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、または2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(N,N)-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが使用できる。
【0031】
また、前記単量体組成物中の前記水溶性エチレン系不飽和単量体の濃度は重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節でき、好ましくは20~90重量%、または40~65重量%であってもよい。このような濃度範囲は、高濃度水溶液の重合反応で現れるゲル効果現象を用いて重合後未反応単量体を除去する必要がないようにしながらも、後述の重合体の粉砕時に粉砕効率を調節するために有利なこともある。但し、前記単量体の濃度が過度に低下すれば、高吸水性樹脂の収率が低下することがある。逆に、前記単量体の濃度が過度に高まれば、単量体の一部が析出されるか重合された含水ゲル重合体の粉砕時に粉砕効率が落ちるなど工程上問題が発生することがあり、高吸水性樹脂の物性が低下することがある。
【0032】
また、前記中和剤としては、酸性基を中和させることができる水酸化ナトリウム(または苛性ソーダ)、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムなどの塩基性物質が使用できる。
【0033】
前記中和剤の投入量および中和反応工程は特に限定されず、前記水溶性エチレン系不飽和単量体に含まれている酸性基のうちの前記中和剤によって中和された程度を称する水溶性エチレン系不飽和単量体の中和度が、50~90モル%、または、60~85モル%、または65~85モル%、または70~80モル%になるように行うことができる。前記中和度の範囲は最終物性によって変わることがあるが、中和度が過度に高ければ中和された単量体が析出されて重合が円滑に行われにくいことがあり、逆に中和度が過度に低ければ高分子の吸収力が大きく落ちるだけでなく、取り扱いにくい弾性ゴムのような性質を示すことがある。
【0034】
一方、前記単量体組成物において、前記重合開始剤としては、重合方法によって熱重合開始剤またはUV照射による光重合開始剤を使用することができる。但し、光重合方法によっても、紫外線照射などの照射によって一定量の熱が発生し、また、発熱反応である重合反応の進行によってある程度の熱が発生するので、追加的に熱重合開始剤を含むこともできる。
【0035】
前記光重合開始剤は、紫外線などの光によってラジカルを形成することができる化合物であれば、その構成の限定がなく使用できる。前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル(benzoin ether)、ジアルキルアセトフェノン(dialkyl acetophenone)、ヒドロキシルアルキルケトン(hydroxyl alkylketone)、フェニルグリオキシレート(phenyl glyoxylate)、ベンジルジメチルケタール(Benzyl Dimethyl Ketal)、アシルホスフィン(acyl phosphine)およびアルファ-アミノケトン(α-aminoketone)からなる群より選択される一つ以上を使用することができる。一方、アシルホスフィンの具体例としては、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、エチル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィネートなどが挙げられる。より多様な光重合開始剤についてはReinhold Schwalm著書の“UV Coatings:Basics、Recent Developments and New Application(Elsevier 2007年)”p115によく明示されており、前述の例に限定されない。
【0036】
前記光重合開始剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.001~5重量部、または0.005~4.5重量部で使用できる。このような光重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり、光重合開始剤の濃度が過度に高ければ、高吸水性樹脂の分子量が小さく物性が不均一になることがある。
【0037】
また、前記熱重合開始剤としては、過硫酸塩系開始剤、アゾ系開始剤、過酸化水素およびアスコルビン酸からなる開始剤群より選択される一つ以上を使用することができる。具体的に、過硫酸塩系開始剤の例としては過硫酸ナトリウム(Sodium persulfate;Na2S2O8)、過硫酸カリウム(Potassium persulfate;K2S2O8)、過硫酸アンモニウム(Ammonium persulfate;(NH4)2S2O8)などがあり、アゾ(Azo)系開始剤の例としては2,2-アゾビス-(2-アミジノプロパン)二塩酸塩(2,2-azobis(2-amidinopropane)dihydrochloride)、2,2-アゾビス-(N,N-ジメチレン)イソブチラミジンジヒドロクロリド(2,2-azobis-(N,N-dimethylene)isobutyramidine dihydrochloride)、2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル(2-(carbamoylazo)isobutylonitril)、2,2-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド(2,2-azobis[2-(2-imidazolin-2-yl)propane]dihydrochloride)、4,4-アゾビス-(4-シアノ吉草酸)(4,4-azobis-(4-cyanovaleric acid))などがある。より多様な熱重合開始剤については、Odian著書の‘Principle of Polymerization(Wiley、1981)’、p203によく明示されており、前述の例に限定されない。
【0038】
前記熱重合開始剤は前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~5重量部、または0.1~4重量部で使用できる。このような熱重合開始剤の濃度が過度に低い場合、重合速度が遅くなることがあり、最終製品に残存単量体が多量に抽出されることがある。また、熱重合開始剤の濃度が過度に高ければ、高吸水性樹脂のネットワークを成す高分子鎖が短くなって水可溶成分の含量が高まり、これにより、高吸水性樹脂の加圧吸水能が低下するなど樹脂の物性が低下することがある。
【0039】
また、前記単量体組成物は、高吸水性樹脂の原料物質として内部架橋剤を含む。
【0040】
前記内部架橋剤としては、前記水溶性エチレン系不飽和単量体の重合時架橋結合の導入を可能にするものであればいかなる化合物も使用可能である。非制限的な例として、前記内部架橋剤は、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレート、トリアリールアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール、グリセリン、またはエチレンカーボネートなどの多官能性架橋剤が単独使用または2以上併用でき、これらに制限されるわけではない。
【0041】
このうち、架橋効果改善およびこれによる高吸水性樹脂の吸収能改善効果の優秀さを考慮する時、好ましくは、ポリエチレングリコールジアクリレートが使用でき、より具体的には重量平均分子量300~800g/mol、または400~800g/molのポリエチレングリコールジアクリレートが使用できる。前記ポリエチレングリコールジアクリレートの重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができ、ポリスチレン標準試片に対する検定曲線を用いてMwの値を誘導するのを除いては、具体的な測定方法および測定条件は後述のポリカルボン酸の重量平均分子量(Mw)の測定方法と同一である。
【0042】
このような内部架橋剤は、前記水溶性エチレン系不飽和単量体100重量部に対して0.01~5重量部で使用できる。前記内部架橋剤の濃度が過度に低い場合、樹脂の吸水速度が低下してゲル強度が弱くなることがあって好ましくない。逆に、前記内部架橋剤の濃度が過度に高い場合、高吸水性樹脂の吸収力が低下して吸収体としては好ましくなくなることがある。より具体的に、前記内部架橋剤は0.1~5重量部、または0.2~3重量部で含まれてもよい。
【0043】
一方、本明細書で使用する用語「内部架橋剤」は後述のベース樹脂の表面を架橋させるための表面架橋剤と区分するために使用する用語であって、前述の水溶性エチレン系不飽和単量体の不飽和結合を架橋させて重合させる役割を果たす。前記段階での架橋は表面または内部の区分なく行われるが、後述のベース樹脂の表面架橋工程によって、最終製造された高吸水性樹脂の表面は表面架橋剤によって架橋された構造になっており、内部は前記内部架橋剤によって架橋された構造になっているようになる。
【0044】
この他にも、前記単量体組成物は、必要によって増粘剤(thickener)、可塑剤、保存安定剤、酸化防止剤などの添加剤を1種以上さらに含むことができる。
【0045】
そして、このような単量体組成物は、例えば、溶媒に溶解された溶液の形態で準備することができる。この時使用可能な溶媒としては、前述の原料物質を溶解させることができるものであればその構成の限定なく使用できる。例えば、前記溶媒としては、水、エタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、トルエン、キシレン、ブチロラクトン、カルビトール、メチルセロソルブアセテート、N,N-ジメチルアセトアミド、またはこれらの混合物などが使用できる。
【0046】
前記溶媒は、単量体組成物の総含量に対して前述の成分を除いた残量で含まれてもよい。
【0047】
また、前記溶液状態の単量体組成物中の固形分含量、即ち、単量体、内部架橋剤および重合開始剤の濃度は、重合時間および反応条件などを考慮して適切に調節することができる。例えば、前記単量体組成物内の固形分含量は、10~80重量%、または15~60重量%、または20~40重量%であってもよい。前記単量体組成物が前記のような範囲の固形分含量を有する場合、高濃度水溶液の重合反応で現れるゲル効果現象を用いて重合後未反応単量体を除去する必要がないようにしながらも、後述の重合体の粉砕時粉砕効率を調節するために有利である。
【0048】
一方、前述のような単量体組成物を重合して含水ゲル重合体を形成する方法も通常使用される重合方法であれば、特に構成の限定がない。
【0049】
具体的に、重合方法は重合エネルギー源によって大きく熱重合および光重合に分けられ、熱重合と光重合のうちのいずれか一つの重合反応で行われてもよく、または熱重合と光重合が全て行われてもよい。この時、熱重合と光重合の遂行順序は特に限定されず、光重合後熱重合するか、または光重合後熱重合を行ってもよく、または光重合と熱重合を同時に行うこともできる。通常熱重合を行う場合、ニーダー(kneader)などの攪拌軸を有する反応器で行うことができ、光重合を行う場合、移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で行うことができる。しかし、前述の重合方法は一例であり、前述の重合方法に限定されない。
【0050】
一例として、前述のように攪拌軸を備えたニーダー(kneader)などの反応器に、熱風を供給するか反応器を加熱して熱重合を行って得られた含水ゲル重合体は反応器に備えられた攪拌軸の形態によって、反応器排出口に排出される含水ゲル重合体は数センチメートル~数ミリメートル形態であってもよい。具体的に、得られる含水ゲル重合体の大きさは注入される単量体混合物の濃度および注入速度などによって多様に現れ、通常粒径が2~50mmである含水ゲル重合体が得られる。
【0051】
また、前述のように移動可能なコンベヤーベルトを備えた反応器で光重合を行う場合、通常得られる含水ゲル重合体の形態はベルトの幅を有するシート状の含水ゲル重合体であってもよい。この時、重合体シートの厚さは注入される単量体組成物の濃度および注入速度によって変わるが、通常約0.5~約5cmの厚さを有するシート状の重合体が得られるように単量体組成物を供給することが好ましい。シート状の重合体の厚さが過度に薄い程度に単量体組成物を供給する場合、生産効率が低くて好ましくなく、シート状の重合体の厚さが5cmを超過する場合には過度に厚い厚さによって、重合反応が全厚さにわたって均等に起こらないことがある。
【0052】
このような方法で得られた含水ゲル重合体の通常含水率は40~80重量%であってもよい。一方、本明細書全体で「含水率」は、全体含水ゲル重合体重量に対して占める水分の含量であって含水ゲル重合体の重量から乾燥状態の重合体の重量を引いた値を意味する。具体的には、赤外線加熱を通じて重合体の温度を上げて乾燥する過程で重合体中の水分蒸発による重量減少分を測定して計算された値と定義する。この時、乾燥条件は、常温から約180℃まで温度を上昇させた後、180℃で維持する方式で、総乾燥時間は温度上昇段階5分を含んで20分に設定して、含水率を測定する。
【0053】
発明の一実施形態によれば、前記で得られた含水ゲル重合体に対して粗粉砕工程を選択的にさらに行うことができる。
【0054】
この時、粗粉砕工程に使用される粉砕機は構成の限定はないが、具体的に、垂直型切断機(Vertical pulverizer)、ターボカッター(Turbo cutter)、ターボグラインダー(Turbo grinder)、回転切断式粉砕機(Rotary cutter mill)、切断式粉砕機(Cutter mill)、円板粉砕機(Disc mill)、切れ破砕機(Shred crusher)、破砕機(Crusher)、チョッパー(chopper)および円板式切断機(Disc cutter)からなる粉砕機器群より選択されるいずれか一つを含むことができるが、前述の例に限定されない。
【0055】
この時、粗粉砕段階は含水ゲル重合体の粒径が約2~20mmになるように粉砕することができる。粒径が2mm未満になるように粗粉砕することは含水ゲル重合体の高い含水率によって技術的に容易でなく、また粉砕された粒子間に互いに凝集される現象が現れることがある。一方、粒径が20mm超過になるように粗粉砕する場合、以後に行われる乾燥段階の効率増大効果が微小なことがある。
【0056】
(段階2)
その次に、段階2は前記段階1で製造した含水ゲル重合体を乾燥、粉砕および分級してベース樹脂を製造する段階である。
【0057】
前記含水ゲル重合体に対する乾燥工程は、50~250℃で行うことができる。乾燥温度が50℃未満である場合、乾燥時間が過度に長くなり最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがあり、乾燥温度が250℃を超過する場合、過度に重合体表面のみ乾燥されて、以後に行われる粉砕工程で微粉が発生することがあり、最終形成される高吸水性樹脂の物性が低下する恐れがある。より好ましく、前記乾燥は150~200℃の温度で、さらに好ましくは、160~190℃の温度で行うことができる。一方、乾燥時間の場合には工程効率などを考慮して、20分~15時間行うことができるが、これに限定されない。
【0058】
また、前記乾燥方法は含水ゲル重合体の乾燥工程として通常使用されるものであれば、その構成の限定がなく選択されて使用できる。具体的に、熱風供給、赤外線照射、極超短波照射、または紫外線照射などの方法で乾燥段階を行うことができる。
【0059】
前記のような乾燥段階後の乾燥された重合体の含水率は、5重量%以下、より具体的には0.1~3重量%であってもよい。乾燥された重合体の含水率が5重量%を超過すれば、未乾燥された樹脂を得ることができる。
【0060】
その次に、乾燥された重合体を粉砕し、分級する。
【0061】
前記粉砕後得られる重合体粉末は、粒径が150~850μmであってもよい。このような粒径に粉砕するために使用される粉砕機は具体的に、ボールミル(ball mill)、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(disc mill)またはジョグミル(jog mill)などを使用することができるが、前述の例に限定されるのではない。
【0062】
そして、このような粉砕段階以後最終製品化される高吸水性樹脂粉末の物性を管理するために、粉砕後得られる重合体粉末を粒径によって分級する別途の過程を経ることができる。好ましくは、粒径が150~850μmである重合体を分級して、このような粒径を有する重合体粉末に対してのみ後述の表面架橋反応段階を経て製品化することができる。
【0063】
前記工程を通じて得られるベース樹脂粉末は、150~850μmの粒径を有するように製造および提供されるのが適切である。より具体的に、前記ベース樹脂粉末の少なくとも95重量%以上が150~850μmの粒径を有し、150μm未満の粒径を有する微粉が3重量%未満になり得る。このように前記ベース樹脂粉末の粒径分布が好ましい範囲に調節されることによって、最終製造された高吸水性樹脂が既に前述の物性をよりよく発現することができる。
【0064】
本明細書で特に別途に言及されていない限り「粒径あるいは粒子の大きさ」は標準篩分析法またはレーザー回折法(laser diffraction method)、好ましくは標準篩分析法を通じて測定されたものであってもよく、「平均粒径あるいは重量平均粒径」はレーザー回折法を通じて得られた粒度分布曲線で重量百分率の50%になる粒径D50を意味することができる。
【0065】
一方、本明細書では一定の粒子の大きさ以下、即ち、約150μm未満の粒子の大きさを有する微粉粒子をベース樹脂微粉、高吸水性重合体微粉、SAP微粉または微粉(fines、fine powder)と称し、粒径が150~850μmである粒子を正常粒子と称する。
【0066】
前記微粉は、重合工程、乾燥工程または乾燥された重合体の粉砕段階の間に発生することがあり、最終製品に微粉が含まれる場合、取り扱いが難しくゲルブロッキング(gel blocking)現象を示すなど物性を低下させることがある。したがって、微粉が最終樹脂製品に含まれないように排除するか微粉を正常粒子になるように再造粒することが好ましい。
【0067】
一例として、前記微粉を正常粒子の大きさになるように凝集させる再造粒過程を経ることができる。再造粒過程で、一般に、凝集強度を高めるために微粉粒子を湿潤状態で凝集させる再造粒工程を行う。この時、微粉の含水率が高いほど微粉の凝集強度が高まるが、再造粒工程時に過度に大きい再造粒体の塊りができて工程運転時に問題が発生することがあり、含水率が低ければ再造粒工程は容易であるが、凝集強度が低くて再造粒以後再び微粉に破砕される場合が多い(再微粉化)。また、このように得られた微粉再造粒体は正常粒子より保水能(CRC)や加圧吸水能(AUL)などの物性が低下して高吸水性樹脂の品質下落をもたらすこともある。
【0068】
これに対し、発明の一実施形態による製造方法は、前記微粉に水および添加剤などを投入し再造粒して微粉再造粒体を製造した後、前記ベース樹脂粉末と混合する工程をさらに含むことができる。
【0069】
前記微粉再造粒体の製造時、せん断力を付加することができる混合装置やミキサーを使用して、前記微粉、添加剤および水を約10~約2000rpm、約100~約1000rpm、または約500~約800rpmの速度で攪拌して混合することができる。
【0070】
そして、前記混合後、乾燥工程を行うことができ、具体的に、前記乾燥工程は約120~約220℃で行われて共有結合を通じて凝集強度が向上した微粉再造粒体を形成することができ、適切な時間内に微粉再造粒体の含水率を約1~約2重量%に調節することができる。
【0071】
また、前記乾燥工程は通常の乾燥機器を使用して行うことができるが、発明の一実施形態によれば、熱風乾燥機、パドル型乾燥機または強制循環型乾燥機などを用いて行うことができる。また、前記乾燥工程時、乾燥のための昇温手段としては、その構成の限定がない。具体的に、熱媒体を供給するか、電気などの手段で直接加熱することができるが、本発明が前述の例に限定されるのではない。具体的に、使用できる熱源としてはスチーム、電気、紫外線、赤外線などがあり、加熱された熱流体などを使用することもできる。
【0072】
前記微粉再造粒体を製造する段階を通じて得られる微粉再造粒体は高い凝集強度を有して、粉砕された後再び微粉に再破砕される比率、即ち、再微粉化される比率が低い。
【0073】
前記微粉再造粒体の粉砕は、微粉再造粒体の粒径が約150~約850μmになるように行うことができる。このような粒径に粉砕するために使用される粉砕機は具体的に、ピンミル(pin mill)、ハンマーミル(hammer mill)、スクリューミル(screw mill)、ロールミル(roll mill)、ディスクミル(dis cmill)またはジョグミル(jog mill)などを使用することができるが、前述の例に本発明が限定されるのではない。
【0074】
このような粉砕段階以後、最終製品化される高吸水性樹脂粉末の物性を管理するために、一般に、粉砕後得られる再造粒体粉末を粒径によって分級する。好ましくは、150μm以下の粒径を有する再造粒体微粉(以下、「再微粉」という)、および150μm超過850μm以下の粒径を有する再造粒体正常粒子に分級する段階を経ることができる。
【0075】
再造粒体正常粒子は、先に製造したベース樹脂粉末と混合された後、後続の工程を通じて高吸水性樹脂として製造できる。この時、再造粒体正常粒子は、ベース樹脂粉末100重量部に対して1~40重量部で混合することができる。
【0076】
(段階3)
その次に、段階3は、第1表面架橋剤の存在下で、第1温度に昇温させながら前記ベース樹脂粉末、または選択的に再造粒体正常粒子が含まれているベース樹脂粉末を1次表面架橋する段階である。
【0077】
前記表面架橋は、高吸水性樹脂粒子の表面近傍の架橋結合密度を増加させる段階である。一般に、表面架橋剤は、高吸水性樹脂粒子の表面に塗布される。したがって、この反応は高吸水性樹脂粒子の表面上で起こり、これは粒子内部には実質的に影響を与えず粒子の表面上での架橋結合性を改善させる。したがって、表面架橋結合された高吸水性樹脂粒子は内部より表面付近でさらに高い架橋結合度を有する。
【0078】
発明の一実施形態による製造方法において、表面架橋は、初期温度から第1温度に昇温させながら行われる1次表面架橋段階(段階3)、および第2温度で行われる2次表面架橋段階(段階4)を含み、前記第2温度は前記第1温度より低く調節する。
【0079】
既存の表面架橋工程のように、温度を続けて高い温度で一定に維持しながら表面架橋反応を行うか、温度を高めながら表面架橋反応を行う場合と比較して、1次表面架橋段階は相対的に高い温度で行い、2次表面架橋段階は1次表面架橋段階に比べて低い温度で行う場合、高吸水性樹脂表面に第2表面架橋剤が均一に分散され、結果表面架橋強度を均一に向上させることができて高吸水性樹脂の優れた吸収性能と関連する諸般物性を維持しながらも高吸水性樹脂のアンチケーキング効果を改善することができる。
【0080】
具体的に、前記1次表面架橋段階での第1温度は180℃以上、より具体的には180~200℃であり、その後、2次表面架橋反応時の第2温度は120~150℃であってもよい。前記のように180℃以上の高温で1次表面架橋反応を行うことによって、ベース樹脂の表面が十分に架橋されて優れた加圧吸水能を示すことができる。もし、第1温度が180℃未満であれば、1次表面架橋反応が十分に起こらなくて表面架橋強度確保が難しく、結果としてアンチケーキング処理後、0.9AUL下落率が増加することがある。また、前記第2温度が前記温度範囲を逸脱して150℃超過である場合、第2表面架橋剤が1次表面架橋されたベース樹脂と十分に混合される前に溶媒が速く蒸発して、前記1次表面架橋されたベース樹脂に局部的に吸収されてしまう。その結果、第2表面架橋剤が局部的に塗布された条件で表面反応が行われて2次表面架橋の効果が低下し、製造される高吸水性樹脂の吸収性能、特にCRCが低下するようになる。また、前記第2温度が120℃未満であれば、2次表面架橋反応が十分に行われなく、結果として高吸水性樹脂に対するアンチケーキング処理後、0.9AUL下落率が大きく増加するようになる。よりさらに具体的に、前記第1温度は180℃以上、または185℃以上であり、200℃以下、または195℃以下、または190℃以下であってもよく、前記第2温度は120℃以上、または125℃以上、または130℃以上であり、150℃以下、または145℃以下、または140℃以下であってもよい。
【0081】
また、発明の一実施形態による製造方法において、前記1次表面架橋のための第1表面架橋剤としては、前記重合体が有する官能基と反応可能であり、第2表面架橋剤より小さい重量平均分子量を有する化合物が使用できる。前記のような第2表面架橋剤より小さい重量平均分子量を有する第1表面架橋剤を高温で表面架橋反応させる場合、第1表面架橋剤が高吸水性樹脂の表面奥深く浸透して高吸水性樹脂の加圧特性を確保することができる。
【0082】
具体的に、前記第1表面架橋剤としては、第1表面架橋剤に対する第2表面架橋剤の重量平均分子量の比が1.8以上、または1.8~15を満足するようにする重量平均分子量を有する化合物が使用できる。
【0083】
より具体的に、前記第1表面架橋剤は重量平均分子量が50~200g/molであるものであってもよく、より具体的には、重量平均分子量が50g/mol以上、または60g/mol以上、または70g/mol以上、または75g/mol以上であり、200g/mol以下、または150g/mol以下、または120g/mol以下、または100g/mol以下、または90g/mol以下、または85g/mol以下であるものであってもよい。前記第1表面架橋剤の重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができ、ポリスチレン標準試片に対する検定曲線を用いてMwの値を誘導することを除いては、具体的な測定方法および測定条件は後述のポリカルボン酸の重量平均分子量(Mw)の測定方法と同一である。
【0084】
また、前記第1表面架橋剤は、第2表面架橋剤とは互いに異なる化合物である。
【0085】
一例として、前記第1表面架橋剤は非エポキシ系化合物であり、前記第2表面架橋剤は前記第1表面架橋剤より大きい重量平均分子量を有し、120~150℃で共有結合形成が可能なエポキシ系化合物であってもよい。
【0086】
具体的に、前記第1表面架橋剤は180℃以上の温度で共有結合形成が可能な非エポキシ系化合物であってもよい。より具体的に、前記第1表面架橋剤は多価アルコール系化合物またはアルキレンカーボネート系化合物などが挙げられ、これらのうちのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用できる。
【0087】
前記多価アルコール系化合物の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコールまたはグリセロールなどが挙げられ、これらのうちのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用できる。
【0088】
また、前記アルキレンカーボネート系化合物の具体的な例としては、エチレンカーボネート、またはプロピレンカーボネートなど炭素数2~6のアルキレンカーボネートが挙げられ、これらのうちのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用できる。
【0089】
より具体的に、前記第1表面架橋剤は、前記分子量範囲条件、具体的に前記第1表面架橋剤に対する第2表面架橋剤の重量平均分子量の比が1.8以上、または1.8~15を満足する多価アルコール系化合物またはアルキレンカーボネート系化合物のうちの1種以上であってもよい。また、前記第1表面架橋剤は、重量平均分子量が50~200g/molである多価アルコール系化合物またはアルキレンカーボネート系化合物のうちの1種以上であってもよい。
【0090】
このような第1表面架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01~5重量部で使用できる。前記第1表面架橋剤の使用量が0.01重量部未満であれば第1表面架橋剤使用による効果が微少であり、結果として高吸水性樹脂の加圧特性確保が難しい。また、使用量が5重量部を超過する場合には過度な表面架橋が行われて高吸水性樹脂の各種物性、特に吸収能が過度に低下することがある。より具体的には、前記第1表面架橋剤は、ベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上、または0.1重量部以上、または0.2重量部以上、または0.4重量部以上、または1重量部以上であり、5重量部以下、または3重量部以下、または2重量部以下、または1.5重量部以下の量で使用できる。
【0091】
また、前記1次表面架橋時、前記第1表面架橋剤と共に無機充填剤をさらに投入できる。
【0092】
前記無機充填剤としてはシリカ(silica)、ヒュームドシリカ(fumed silica)、クレー(clay)、アルミナ、シリカ-アルミナ複合材、チタニア、亜鉛酸化物またはシリケートなどが挙げられ、これらのうちのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用できる。前記無機充填剤は前記ベース樹脂粉末の100重量部を基準にして、0.01~0.5重量部で含まれてもよく、より具体的には0.01重量部以上、または0.03重量部以上であり、0.5重量部以下、または0.1重量部以下、または0.05重量部以下の量で含まれてもよい。
【0093】
また、前記1次表面架橋時、有機酸または増粘剤などの添加剤が1種以上選択的にさらに投入できる。
【0094】
前記有機酸は、架橋反応を促進させる役割を果たす。
【0095】
具体的に、前記有機酸は、シュウ酸(oxalic acid)、酢酸(acetic acid)、乳酸(lactic acid)、クエン酸(citric acid)、フマル酸(fumaric acid)、酒石酸(tartaric acid)、またはマレイン酸(maleic acid)などのカルボン酸であってもよく、これらのうちのいずれか一つまたは二つ以上の混合物が使用できる。このうち、第1表面架橋剤との混和性に優れたシュウ酸が好ましく使用できる。
【0096】
前記有機酸はベース樹脂粉末100重量部に対して0.1~5重量部で投入することができ、より具体的には、0.1重量部以上、または0.15重量部以上であり、5重量部以下、または3重量部以下、または1重量部以下、または0.5重量部以下の量で投入することができる。
【0097】
また、前記増粘剤存在下でベース樹脂粉末に対する1次表面架橋反応を行う場合、粉砕工程後にも物性低下を最少化することができる。具体的に、前記増粘剤としては、多糖類およびヒドロキシ含有高分子のうち選択された1種以上が使用できる。前記多糖類としてはガム系増粘剤とセルロース系増粘剤などが使用できる。前記ガム系増粘剤の具体的な例としてはキサンタンガム(xanthan gum)、アラビアガム(arabic gum)、カラヤガム(karaya gum)、トラガカントガム(tragacanth gum)、ガティガム(ghatti gum)、グアーガム(guar gum)、ローカストビーンガム(locust bean gum)およびサイリウムシードガム(psyllium seed gum)などが挙げられ、前記セルロース系増粘剤の具体的な例としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシメチルプロピルセルロース、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロースおよびメチルヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。一方、前記ヒドロキシ含有高分子の具体的な例としては、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコールなどが挙げられる。
【0098】
また、前記第1表面架橋剤をベース樹脂と混合する方法は、通常の混合方法で行うことができる。例えば、第1表面架橋剤とベース樹脂を反応槽に入れて混合するか、ベース樹脂に第1表面架橋剤を噴射する方法、または連続的に運転されるミキサーにベース樹脂と表面架橋剤を連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0099】
また、前記第1表面架橋剤とベース樹脂を混合時、前記第1表面架橋剤および選択的に投入される成分、具体的に、無機添加剤、有機酸、および増粘剤などは溶媒中に溶解または分散させた状態で使用できる。この時、前記溶媒としては、水、メタノールまたはこれらの混合物が使用できる。このように溶媒を添加する場合、第1表面架橋剤がベース樹脂に均等に分散でき、この時、投入量制御を通じて表面架橋剤の均一分散を誘導し、ベース樹脂の凝集現象を防止すると同時に架橋剤の表面浸透深さを最適化することができる。具体的には、前記溶媒は前記ベース樹脂粉末100重量部に対して0.5~20重量部、より具体的には0.5重量部以上、または3重量部以上、または5重量部以上、または6重量部以上であり、10重量部以下、または8重量部以下、または7.5重量部以下の量で使用できる。また、前記溶媒が水とメタノールの混合物を含む場合、前記水とメタノールは1:2~2:1の重量比、または1:1.2~1.5:1で含まれてもよい。
【0100】
前記第1表面架橋剤を用いた1次表面架橋工程は、第1表面架橋剤の存在下で温度を第1温度、具体的には180℃以上、より具体的には180~200℃に昇温させながら行うことができる。このように高温で1次表面架橋反応を行うことによって、ベース樹脂の表面が十分に架橋されて優れた加圧吸水能を示すことができる。しかし、もし第1温度が180℃未満であれば、1次表面架橋反応が十分に起こらなくて表面架橋強度の確保が難しく、結果としてアンチケーキング処理後0.9AUL下落率が増加することがある。よりさらに具体的に、前記第1温度は180℃以上、または185℃以上であり、200℃以下、または195℃以下、または190℃以下であってもよい。
【0101】
前記1次表面架橋のための昇温手段は特に限定されず、熱媒体を供給するか、熱源を直接供給して加熱することができる。この時、使用可能な熱媒体の種類としてはスチーム、熱風、熱い油などの昇温した流体などを使用することができ、また供給される熱媒体の温度は熱媒体の手段、昇温速度および昇温目標温度を考慮して適切に選択することができる。一方、直接供給される熱源としては電気による加熱、ガスによる加熱方法が挙げられるが、前述の例に限定されるのではない。
【0102】
また、前記1次表面架橋は前記第1温度への昇温後、第1温度を維持する1次維持工程をさらに含むことができる。このように維持工程をさらに含む場合、ベース樹脂の表面架橋が十分に均一に行われ、結果として高吸水性樹脂の加圧吸水能をさらに改善させることができる。
【0103】
具体的に、前記1次維持工程は1次表面架橋が行われる全体時間に対して50%以上、より具体的には50%以上、または55%以上、または60%以上であり、80%以下、または70%以下、または65%以下の時間行うことができる。この時、前記1次表面架橋が行われる全体時間とは、前記第1温度への昇温のために加熱を始める時点、具体的には前記ベース樹脂と第1表面架橋剤の混合物を加熱する時点から1次表面架橋または1次表面架橋段階を完了する時点までの時間を意味する。
【0104】
(段階4)
その次に、段階4は、前記段階3で製造した1次表面架橋されたベース樹脂粉末を、第2表面架橋剤の存在下で第2温度で2次表面架橋反応させて高吸水性樹脂を製造する段階である。
【0105】
前記第2表面架橋剤としては、前記第1表面架橋剤より大きい重量平均分子量を有するエポキシ系化合物が使用できる。
【0106】
具体的に、前記第2表面架橋剤は、第1表面架橋剤に対する第2表面架橋剤の重量平均分子量の比が1.8以上、または1.95以上、または2以上、または2.2以上を満足するようにする重量平均分子量を有するものであってもよい。但し、前記第1表面架橋剤に対する第2表面架橋剤の重量平均分子量の比が前記範囲を逸脱して過度に高い場合、親水性が大きく減少し、結果として高吸水性樹脂の吸収能がむしろ低下することがあるので、第1表面架橋剤に対する第2表面架橋剤の重量平均分子量の比が15以下、または10以下、または5以下、または3以下を満足する重量平均分子量を有するものであってもよい。
【0107】
前記第1表面架橋剤に対する第2表面架橋剤の重量平均分子量比が前記範囲内である時、第2表面架橋剤の浸透速度が第1表面架橋剤に比べて相対的に遅くなり、粒子の表面のみ効果的に表面架橋が可能である。その結果、高吸水性樹脂の加圧吸水能をさらに改善させることができる。
【0108】
より具体的に、前記第2表面架橋剤は重量平均分子量が100~600g/molであるものであってもよく、よりさらに具体的には、重量平均分子量が100g/mol以上、または120g/mol以上、または150g/mol以上、または170g/mol以上であり、500g/mol以下、または300g/mol以下、または250g/mol以下、または220g/mol以下であるものであってもよい。前記第2表面架橋剤の重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができ、ポリスチレン標準試片に対する検定曲線を用いてMwの値を誘導することを除いては、具体的な測定方法および測定条件は後述のポリカルボン酸の重量平均分子量(Mw)の測定方法と同一である。
【0109】
よりさらに具体的に、前記製造方法において、第1表面架橋剤は重量平均分子量が50~200g/mol、より具体的には重量平均分子量が50g/mol以上、または60g/mol以上、または70g/mol以上、または75g/mol以上であり、200g/mol以下、または150g/mol以下、または120g/mol以下、または100g/mol以下、または90g/mol以下、または85g/mol以下であり、前記第2表面架橋剤は重量平均分子量が100~600g/mol、よりさらに具体的には重量平均分子量が100g/mol以上、または120g/mol以上、または150g/mol以上、または170g/mol以上であり、500g/mol以下、または300g/mol以下、または250g/mol以下、または220g/mol以下であり、前記第1表面架橋剤と第2表面架橋剤の重量平均分子量は、第1表面架橋剤に対する第2表面架橋剤の重量平均分子量の比が1.8以上、または1.95以上、または2以上、または2.2以上であり、15以下、または10以下、または5以下、または3以下を満足するものであってもよい。
【0110】
また、前記第2表面架橋剤を用いた2次表面架橋反応が1次表面架橋反応完了後冷却の間の残留熱を用いて行われるため、前記第2表面架橋剤としては2次表面架橋反応時の反応温度範囲、具体的には120~150℃で前記水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合体での酸性基、具体的にはカルボキシル基と速く共有結合形成が可能なものが好ましい。このために前記第2表面架橋剤はベース樹脂粉末の表面に存在する架橋重合体と架橋反応可能なエポキシド官能基を二つ以上を有しており、常圧(normal pressure or atmospheric pressure)条件、より具体的には1±0.2atmの条件で150℃以上の沸点(boiling point)を有するエポキシ系化合物が使用できる。沸点が150℃未満である場合、高吸水性樹脂の残留熱によって反応以前表面架橋剤が蒸発されて投入量に対比して効率の低下が発生することがある。より具体的に、前記エポキシ系化合物は沸点が150℃以上、または180℃以上、または200℃以上、または250℃以上、または260℃以上、または265℃以上であり、500℃以下、または350℃以下、または300℃以下、または280℃以下であるものであってもよい。
【0111】
前記第2表面架橋剤としては、具体的に、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテルポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、またはポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどの1種以上のエポキシ系化合物が使用できる。
【0112】
また、前記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルまたはポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとしては、具体的に重量平均分子量200~600g/molのものが使用できる。前記ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルまたはポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができ、ポリスチレン標準試片に対する検定曲線を用いてMwの値を誘導することを除いては、具体的な測定方法および測定条件は後述のポリカルボン酸の重量平均分子量(Mw)の測定方法と同一である。
【0113】
前記第2表面架橋剤は、前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して0.001~1重量部で使用できる。前記第2表面架橋剤の使用量が0.001重量部未満であれば2次表面架橋が十分に行われなくて高吸水性樹脂の吸収能改善効果が微少であり、また1重量部を超過する場合には過度な表面架橋が行われて高吸水性樹脂の各種物性、特に乾燥度が悪くなることがある。より具体的には、前記第2表面架橋剤は前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して0.001重量部以上、または0.003重量部以上、または0.005重量部以上であり、1重量部以下、または0.5重量部以下、または0.1重量部以下、または0.05重量部以下、または0.02重量部以下、または0.01重量部以下で使用できる。
【0114】
また、前記2次表面架橋時、前記第2表面架橋剤と共にポリカルボン酸またはその塩のうちの1以上が選択的にさらに投入できる。
【0115】
前記ポリカルボン酸およびその塩は、第2表面架橋剤が1次表面架橋されたベース樹脂粉末の表面に均等に塗布されるように助ける潤滑剤の役割を果たす。一般に、高吸水性樹脂の物性のうちの透過率は保水能および加圧吸水能とトレードオフ(trade-off)の関係にあり、前記ポリカルボン酸またはその塩を投入する場合、保水能および加圧吸水能などの吸収特性に優れると共に向上した透過率を有する高吸水性樹脂の提供が可能である。
【0116】
前記ポリカルボン酸またはその塩としては高吸水性樹脂の製造時使用されるものであれば特に限定されず、直接製造して使用することもでき、ACYMA-GKTM((株)イージス(aezis)社製)などの商業的に入手した製品を使用することもできる。
【0117】
具体的に、前記ポリカルボン酸またはその塩は、下記化学式2-aで表される繰り返し単位または化学式2-bで表される繰り返し単位のうちの1以上を含む共重合体またはその塩であってもよい。
【0118】
【0119】
上記化学式2-aおよび2-b中、
R1、R2およびR3は、それぞれ独立して、水素または炭素数1~6のアルキル基であり、
ROは、炭素数2~4のオキシアルキレン基であり、
M1は、水素または1価金属または非金属イオンであり、
Xは、-COO-、炭素数1~5のアルキルオキシ基または炭素数1~5のアルキルジオキシ基であり、
mは、1~100の整数であり、
nは、1~1000の整数であり、
pは1~150の整数であり、前記pが2以上である場合、二つ以上繰り返される-RO-は互いに同一であるか異なってもよい。
【0120】
ここで、前記ポリカルボン酸またはその塩は、前記化学式2-aで表される繰り返し単位のうちの互いに異なる構造の繰り返し単位1種以上;前記化学式2-bで表される繰り返し単位のうちの互いに異なる構造の繰り返し単位1種以上;または前記化学式2-aで表される繰り返し単位および前記化学式2-bで表される繰り返し単位を含む共重合体またはその塩であってもよい。
【0121】
また、前記ポリカルボン酸の塩はポリカルボン酸の1価(アルカリ)金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩および有機アミン塩からなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0122】
より具体的に、前記ポリカルボン酸またはその塩としては、アルコキシポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリル酸エステル系単量体(代表的な例として、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(MPEGMAA)など)、および(メタ)アクリル酸またはそのエステル系単量体(代表的な例として、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレートなど)などの親水性単量体に由来した繰り返し単位を含むランダム共重合体またはその塩が使用されることが前記の効果発現により有利になり得る。
【0123】
また、前記ポリカルボン酸またはその塩の添加による効果がさらによく発現されるようにするために、前記ポリカルボン酸またはその塩は500~1,000,000g/molの重量平均分子量を有するのが好ましく、より具体的には500g/mol以上、または5,000g/mol以上、または10,000g/mol以上、または35,000g/mol以上、または40,000g/mol以上であり、1,000,000g/mol以下、または800,000g/mol以下、または60,000g/mol以下であってもよい。ポリカルボン酸またはその塩の分子量が500g/mol未満であれば潤滑作用が低下する恐れがあり、また1,000,000g/mol超過する場合、水に対する溶解度が低下する恐れがある。
【0124】
一方、本発明において、ポリカルボン酸またはその塩の重量平均分子量(Mw)はゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定することができる。具体的に、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)装置としてはWaters社製のPL-GPC220機器を使用し、Polymer Laboratories社製のPLgel MIX-Bカラム(長さ300mm)を使用した。この時、測定温度は160℃であり、1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)を溶媒として使用し、流速は1mL/minにした。ポリカルボン酸またはその塩のサンプル10mgを試料前処理システムのPL-SP260(Agilent Technology社製)を用いてBHT 0.0125%含まれている1,2,4-トリクロロベンゼン(1,2,4-Trichlorobenzene)で160℃、10時間溶かして前処理し、10mg/10mLの濃度に調整した後、200μLの量で供給した。ポリスチレン標準試片を用いて形成された検定曲線を用いてMwの値を誘導した。ポリスチレン標準試片の重量平均分子量は2,000g/mol、10,000g/mol、30,000g/mol、70,000g/mol、200,000g/mol、700,000g/mol、2,000,000g/mol、4,000,000g/mol、および10,000,000g/molの9種を使用した。
【0125】
前記ポリカルボン酸またはその塩は、前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して0.01重量部以上、または0.03重量部以上、または0.035重量部以上であり、0.1重量部以下、または0.08重量部以下、または0.075重量部以下、または0.05重量部以下の量で投入できる。
【0126】
また、前記2次表面架橋時、前記第2表面架橋剤と共に無機充填剤が選択的にさらに投入できる。前記無機充填剤は前述の通りであり、前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部を基準にして、0.01~0.5重量部、または0.1~0.5重量部で含まれてもよい。
【0127】
また、前記2次表面架橋時、第2表面架橋剤と共に増粘剤が選択的にさらに投入できる。前記増粘剤は前述の通りであり、前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部を基準にして0.01~0.5重量部、または0.1~0.5重量部で含まれてもよい。
【0128】
また、前記第2表面架橋剤を1次表面架橋されたベース樹脂と混合する方法についてはその構成の限定はない。例えば、第2表面架橋剤と1次表面架橋されたベース樹脂を反応槽に入れて混合するか、前記ベース樹脂に第2表面架橋剤を噴射する方法、連続的に運転されるミキサーに前記ベース樹脂と第2表面架橋剤を連続的に供給して混合する方法などを使用することができる。
【0129】
また、前記第2表面架橋剤と1次表面架橋されたベース樹脂を混合時、前記第2表面架橋剤が1次表面架橋されたベース樹脂に均等に分散されるように、水、またはメタノールなどの溶媒をさらに添加することができる。また、添加される溶媒量を制御して、第2表面架橋剤の均一な分散を誘導し、1次表面架橋されたベース樹脂の凝集現象を防止すると同時に第2表面架橋剤の表面架橋深さを最適化することができる。具体的には、前記溶媒は前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して0.5~10重量部で使用することができる。
【0130】
一方、前記第2表面架橋剤を用いた2次表面架橋反応は、第2温度、具体的には120~150℃で行われる。
【0131】
前記第2温度が150℃を超過する場合、第2表面架橋剤が1次表面架橋されたベース樹脂と十分に混合される前に溶媒が速く蒸発して、前記1次表面架橋されたベース樹脂に局部的に吸収されてしまう。その結果、第2表面架橋剤が局部的に塗布された条件で表面反応が行われて第2表面架橋の効果が低下することがある。また、第2温度が120℃未満であれば、2次表面架橋反応が十分に行われず、結果として高吸水性樹脂に対するアンチケーキング処理後、0.9AUL下落率が大きく増加することがある。よりさらに具体的に、前記第2温度は120℃以上、または125℃以上、または130℃以上であり、150℃以下、または145℃以下、または140℃以下であってもよい。
【0132】
また、前記2次表面架橋反応は、前記温度範囲内で温度を低下した冷却条件で行うことができる。
【0133】
本発明による製造方法は、高温での1次表面架橋反応後、1次表面架橋反応後の残熱を用いて前記2次表面架橋反応を行う。これにより、第2表面架橋剤の投入時期と冷却条件を制御することによって、1次表面架橋反応後の残熱を最大限用いて2次表面架橋反応が起こるようにすることができる。また、一定の温度を維持しながら2次表面架橋反応を行う場合と比較して、2次表面架橋剤の高吸水性樹脂表面への浸透速度をより容易に制御することができる。
【0134】
具体的に、前記2次表面架橋は、前記1次表面架橋されたベース樹脂の温度が140~150℃である時、第2表面架橋剤を投入し、120~130℃に温度を低下させながら行うことができる。
【0135】
前記条件で2次表面架橋が行われる場合、2次表面架橋反応の効率をさらに増加させることができ、結果として製造される高吸水性樹脂の物性、特に高吸水性樹脂に対するアンチケーキング処理後0.9AUL下落率をさらに減少させることができる。もし、第2表面架橋剤の投入時、前記1次表面架橋されたベース樹脂粉末の温度が140℃未満であれば、2次表面架橋反応の効率改善効果を最大に得るのは難しい。また、第2表面架橋剤の投入時、前記1次表面架橋されたベース樹脂粉末の温度が150℃を超過する場合、第2表面架橋剤が1次表面架橋されたベース樹脂と十分に混合される前に溶媒が速く蒸発して、前記1次表面架橋されたベース樹脂に局部的に吸収されてしまう。その結果、第2表面架橋剤が局部的に塗布された条件で表面反応が行われて第2表面架橋の効果が低下することがある。
【0136】
また、前記冷却条件での2次表面架橋反応時、冷却速度を制御することによって表面架橋反応の効率を高め、結果として製造される高吸水性樹脂の物性をさらに改善させることができる。
【0137】
具体的に、前記2次表面架橋反応は、前記1次表面架橋されたベース樹脂粉末の温度が140~150℃である時、第2表面架橋剤を投入し、120~130℃まで温度を冷却速度-1.5~-2.0℃/分で低下させながら行うことができる。この時、前記冷却速度で「-」は温度を低下させながら行われることを意味する。
【0138】
また、前記2次表面架橋時、冷却速度が-1.5℃/分未満であれば、表面架橋剤内溶媒の速い蒸発とそれによる表面架橋剤の低い浸透深さによって十分な表面架橋強度の確保が難しい。また、冷却速度が-2.0℃/分を超過すれば、急激な温度低下によって表面架橋剤の反応速度が遅くなって反応が十分に行われず、結果として表面架橋強度低下の恐れがある。
【0139】
また、前記2次表面架橋反応時冷却は、1次表面架橋反応の完了後、反応系温度が室温水準に自然に低下する自然冷却によって行われてもよく、または冷風、冷水または冷却オイルの循環処理など通常の冷却方法で行われてもよい。一例として、前記冷却は2次表面架橋剤の投入後、反応系が入った反応器またはリザーバー(reservoir)をオイル循環水槽に入れて、低い温度のオイルを循環させることによって行うことができる。
【0140】
一方、前記段階4は、前記2次表面架橋されたベース樹脂を分級する工程を追加的に含むことができる。
【0141】
前記2次表面架橋されたベース樹脂を粒径によって分級する段階を経て最終製品化される高吸水性樹脂粉末の物性を管理することができる。このような粉砕および分級などの工程を通じて、これから得られる高吸水性樹脂は約150~850μmの粒径を有するように製造および提供されるのが適切である。より具体的に、前記2次表面架橋されたベース樹脂の少なくとも約95重量%以上が約150~850μmの粒径を有し、約150μm未満の粒径を有する微粉が約3重量%未満になり得る。このように前記高吸水性樹脂の粒径分布が好ましい範囲に調節されることによって、最終製造された高吸水性樹脂が優れた吸収諸般物性を示すことができる。したがって、前記分級段階では粒径が約150~約850μmである重合体を分級して、製品化することができる。
【0142】
前述のような本発明の製造方法で製造された高吸水性樹脂は、具体的に、少なくとも一部が中和された酸性基を有する水溶性エチレン系不飽和単量体の架橋重合体を含むベース樹脂粉末;および前記ベース樹脂粉末上に位置する表面架橋層を含み、前記表面架橋層は、前記架橋重合体のうちの一部が第1表面架橋剤を媒介として追加架橋された第1架橋重合体;および前記架橋重合体の残りが第2表面架橋剤を媒介として追加架橋された第2架橋重合体を含む。この時、第1および第2表面架橋剤は前述の通りである。
【0143】
より具体的に、前記表面架橋層において第1架橋重合体は前記ベース樹脂粉末と隣接して位置し、前記第2架橋重合体は前記高吸水性樹脂の外側に位置する。このように高吸水性樹脂の外側に行くほど架橋密度がさらに高まるため高吸水性樹脂が改善された表面強度を有するようになってアンチケーキング処理によるAUL低下幅減少効果を示すことができる。
【0144】
具体的に、前記高吸水性樹脂はEDANA法442.0-96の方法によって測定した、生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水溶液)に対する30分間の遠心分離保水能(CRC)が30g/g以上、より具体的には32g/g以上であり、その値が高いほど優れて実質的な上限の制限はないが、一例として、50g/g以下、または40g/g以下であってもよい。
【0145】
また、前記高吸水性樹脂は、下記数式1によって計算される0.9AUL下落率が0.05以下、より具体的には0.03以下である。0.9AUL下落率は小さいほど優れて実質的な下限の制限はないが、一例として0.001以上、または0.01以上、または0.02以上であってもよい。
【0146】
[数式1]
0.9AUL下落率=[(A-B)/A]
【0147】
(上記数式1中、
Aは、アンチケーキング処理前高吸水性樹脂の0.9AULであって、EDANA法442.0-96の方法によって0.9psi加圧下で1時間アンチケーキング処理前の高吸水性樹脂を膨潤させた後に測定した加圧下吸水能であり、
Bはアンチケーキング処理された高吸水性樹脂の0.9AULであって、高吸水性樹脂100重量部およびアンチケーキング剤としてヒュームドシリカ0.0005~0.001重量部、より具体的には0.001重量部を、30秒~1分間、より具体的には1分間、200rpmで乾式混合する方法でアンチケーキング処理を行った後、EDANA法442.0-96の方法によって0.9psi加圧下で1時間前記アンチケーキング処理された高吸水性樹脂を膨潤させた後に測定した加圧下吸水能である)
【0148】
具体的に、前記高吸水性樹脂は、アンチケーキング処理前0.9AULが15~30であり、アンチケーキング処理後0.9AULが15~25であってもよい。
【0149】
具体的に、前記高吸水性樹脂は、アンチケーキング処理前0.9AULが15~30、または18~23であり、アンチケーキング処理後0.9AULが15~25、または17~22であってもよい。
【0150】
これにより、前記高吸水性樹脂は成人用おむつなど各種衛生用品に非常に好ましく適用でき、特に減少したパルプ含量を有する衛生用品に効果的に使用できる。前記衛生用品は使い捨て吸収製品を含み、好ましくおむつを含むことができ、前記おむつは子供用あるいは成人用おむつであってもよい。
【発明の効果】
【0151】
本発明の製造方法によれば、高吸水性樹脂の表面架橋強度を増加させて、アンチケーキング処理後にも加圧吸水能の低下が無いか少ない高吸水性樹脂を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0152】
以下、発明の具体的な実施例を通じて、発明の作用および効果をより詳述することにする。但し、このような実施例は発明の例示として提示されたものに過ぎず、これによって発明の権利範囲が決定されるのではない。
【実施例】
【0153】
<ベース樹脂の製造>
製造例
アクリル酸100重量部、31.5%苛性ソーダ(NaOH)126.8重量部、水46重量部、下記の成分を混合して単量体組成物を製造した。
【0154】
-内部架橋剤:ポリエチレングリコールジアクリレート(PEGDA;Mw=400)0.2重量部(2000ppmw)
-重合開始剤:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド(光重合開始剤)0.008重量部(80ppmw)および過硫酸ナトリウム(熱重合開始剤)0.12重量部(1200ppmw)
【0155】
前記組成物を連続移動するコンベヤーベルトからなる重合器の供給部に投入し、UV照射装置で紫外線を1.5分間照射して(約2mW/cm2)重合反応を行い、生成物として含水ゲル重合体を得た。
【0156】
前記含水ゲル重合体を切断機を通じて切断した。その次に、前記含水ゲル重合体に190℃の熱風乾燥機で40分間乾燥させ、乾燥された含水ゲル重合体を粉砕機で粉砕した。その次に、シーブ(sieve)を使用して粒子の大きさが150~850μmである重合体を分級して、ベース樹脂粉末を得た。
【0157】
得られたベース樹脂粉末のCRC値は約54g/gであった。
【0158】
<高吸水性樹脂の製造>
実施例1
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部を基準にして水4重量部、メタノール3重量部、第1表面架橋剤としてエチレンカーボネート(重量平均分子量=88.06g/mol)1.5重量部およびヒュームドシリカ0.05重量部の比率で混合して1次表面架橋液を準備した。
【0159】
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部に対して前記1次表面架橋液を添加し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。結果の混合物を反応器に投入し、約20分にわたって約180℃に昇温させた後、昇温された温度を維持しながら30分間反応させて1次表面架橋を行った(1次表面架橋、総反応時間50分)。
【0160】
1次表面架橋完了後、反応系の温度が150℃に低下した時、前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して、水3重量部、第2表面架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(重量平均分子量=174.19g/mol、沸点:266.8℃(at 1 atm))0.02重量部および50重量%濃度のポリカルボン酸水溶液(ACYMA-GKTM、(株)イージス(aezis)社製)0.1重量部を混合して製造した2次表面架橋液を投入し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。
【0161】
結果の混合物を攪拌機に入れ、別途の加熱なく攪拌しながら2次表面架橋を行った。この時、前記攪拌過程で前記混合物を入れたリザーバー(reservoir)をオイル循環水槽に入れてオイルを循環させながら温度を低下させる方法を通じて、反応温度を150℃から120℃に-1.5℃/分の冷却速度で低下させた(2次表面架橋、総反応時間:20分)。
【0162】
表面架橋が完了した後、結果として得られた樹脂粉末を粉砕機に入れて粉砕し、シーブ(sieve)を用いて分級して粒径が150~850μmである高吸水性樹脂を得た。
【0163】
実施例2
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部を基準にして水3重量部、メタノール3.5重量部、第1表面架橋剤としてエチレンカーボネート(重量平均分子量=88.06g/mol)1重量部、ヒュームドシリカ0.03重量部の比率で混合して1次表面架橋液を準備した。
【0164】
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部に対して前記1次表面架橋液を添加し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。結果の混合物を反応器に投入し、約20分にわたって約180℃に昇温させた後、昇温された温度を維持しながら30分間反応させて1次表面架橋を行った(1次表面架橋、総反応時間50分)。
【0165】
その後、反応系の温度が150℃に低下した時、前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して、水3重量部、エポキシ系第2表面架橋剤として1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(重量平均分子量=202.25g/mol、沸点:266℃)0.005重量部および50重量%濃度のポリカルボン酸水溶液(ACYMA-GKTM、(株)イージス社製)0.07重量部を混合して製造した2次表面架橋液を投入し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。
【0166】
結果の混合物を攪拌機に入れ、別途の加熱なく攪拌して2次表面架橋を行った。この時、前記攪拌過程で前記混合物を入れたリザーバー(reservoir)をオイル循環水槽に入れてオイルを循環させながら温度を低下させる方法を通じて、反応温度を150℃から120℃に-1.5℃/分の冷却速度で低下させた(2次表面架橋、総反応時間:20分)。
【0167】
表面架橋が完了した後、結果として得られた樹脂粉末を粉砕機に入れて粉砕し、シーブ(sieve)を用いて分級して粒径が150~850μmである高吸水性樹脂を得た。
【0168】
実施例3
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部を基準にして水4重量部、メタノール3.5重量部、第1表面架橋剤として1,3-プロパンジオール(重量平均分子量=79.09g/mol)0.2重量部、シュウ酸0.15重量部、ヒュームドシリカ0.01重量部の比率で混合して1次表面架橋液を準備した。
【0169】
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部に対して前記1次表面架橋液を添加し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。結果の混合物を反応器に投入し、約20分にわたって約190℃に昇温させた後、昇温された温度を維持しながら20分間反応させて1次表面架橋を行った(1次表面架橋、総反応時間40分)。
【0170】
その後、反応系の温度が150℃に低下した時、前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して、水3重量部、第2表面架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(重量平均分子量=174.19g/mol、沸点:266.8℃(at 1 atm))0.005重量部および50重量%濃度のポリカルボン酸水溶液(ACYMA-GKTM、(株)イージス社製)0.15重量部を混合して製造した2次表面架橋液を投入し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。
【0171】
結果の混合物を攪拌機に入れて、別途の加熱なく攪拌しながら2次表面架橋を行った。この時、前記攪拌過程で前記混合物を入れたリザーバー(reservoir)をオイル循環水槽に入れてオイルを循環させながら温度を低下させる方法を通じて、反応温度を150℃から130℃に-2.0℃/分の冷却速度で低下させた(2次表面架橋、総反応時間:10分)。
【0172】
表面架橋が完了した後、結果として得られた樹脂粉末を粉砕機に入れて粉砕し、シーブ(sieve)を用いて分級して粒径が150~850μmである高吸水性樹脂を得た。
【0173】
実施例4
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部を基準にして水4重量部、メタノール3.5重量部、第1表面架橋剤として1,3-プロパンジオール(重量平均分子量=79.09g/mol)0.4重量部、シュウ酸0.23重量部、ヒュームドシリカ0.04重量部の比率で混合して1次表面架橋液を準備した。
【0174】
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部に対して前記1次表面架橋液を添加し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。結果の混合物を反応器に投入し、約20分にわたって約185℃に昇温させた後、昇温された温度を維持しながら25分間反応させて1次表面架橋を行った(1次表面架橋、総反応時間45分)。
【0175】
その後、反応系の温度が140℃に低下した時、前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して、水3重量部、第2表面架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(重量平均分子量=174.19g/mol、沸点:266.8℃(at 1 atm))0.01重量部および50重量%濃度のポリカルボン酸水溶液(ACYMA-GKTM、(株)イージス社製)0.15重量部を混合して製造した2次表面架橋液を投入し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。
【0176】
結果の混合物を攪拌機に入れて、別途の加熱なく攪拌しながら2次表面架橋を行った。この時、前記攪拌過程で前記混合物を入れたリザーバー(reservoir)をオイル循環水槽に入れてオイルを循環させながら温度を低下させる方法を通じて、反応温度を140℃から120℃に-1.5℃/分の冷却速度で低下させた(2次表面架橋、総反応時間:約13分)。
【0177】
表面架橋が完了した後、結果として得られた樹脂粉末を粉砕機に入れて粉砕し、シーブ(sieve)を用いて分級して粒径が150~850μmである高吸水性樹脂を得た。
【0178】
比較例1
前記実施例1で1次表面架橋のみを行うことを除いては、前記実施例1と同様な方法で行って高吸水性樹脂を製造した。
【0179】
比較例2
前記実施例2で1次表面架橋のみを行うことを除いては、前記実施例2と同様な方法で行って高吸水性樹脂を製造した。
【0180】
比較例3
前記比較例1で1次表面架橋液内エチレンカーボネートの含量を1.8重量部に増量したことを除いては、前記比較例1と同様な方法で行って高吸水性樹脂を製造した。
【0181】
比較例4
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部を基準にして水3重量部、エポキシ系表面架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテル(重量平均分子量=174.19g/mol、沸点:266.8℃(at 1 atm))0.02重量部および50重量%濃度のポリカルボン酸水溶液(ACYMA-GKTM、(株)イージス社製)0.1重量部を混合して1次表面架橋液を準備した。
【0182】
前記製造例で製造したベース樹脂粉末100重量部に対して、前記1次表面架橋液を添加し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。結果の混合物を反応器に投入し、約130℃で20分間反応させて1次表面架橋を行った(1次表面架橋、総反応時間:20分)。
【0183】
前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して、水4重量部、メタノール3重量部、エチレンカーボネート(重量平均分子量=88.06g/mol)1.5重量部、およびヒュームドシリカ0.05重量部の比率で混合して製造した2次表面架橋液を投入し、高速ミキサーを用いて約200rpmの速度で10秒未満に攪拌しながらよく混合した。
【0184】
結果の混合物を反応器に投入し、約20分にわたって約180℃に昇温させた後、昇温された温度を維持しながら30分間反応させて2次表面架橋を行った(2次表面架橋、総反応時間50分)。
【0185】
表面架橋が完了した後、得られた樹脂粉末を粉砕機に入れて粉砕した後、シーブ(sieve)を用いて分級して粒径が150~850μmである高吸水性樹脂を得た。
【0186】
比較例5
前記実施例1で第2表面架橋液を1次表面架橋完了後反応系の温度が110℃に低下した時投入し、2次表面架橋のための反応温度を110℃から80℃に-1.5℃/分の冷却速度で低下させながら行うことを除いては、前記実施例1と同様な方法で行って高吸水性樹脂を製造した。
【0187】
比較例6
前記実施例1の2次表面架橋液製造時、エポキシ系第2表面架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの代わりに1,3-ブタジエンジエポキシド(重量平均分子量:86.01g/mol)を使用することを除いては、前記実施例1と同様な方法で行って高吸水性樹脂を製造した。
【0188】
比較例7
前記実施例2で1次表面架橋後、前記1次表面架橋されたベース樹脂100重量部に対して、水3重量部、PEG600(沸点200℃(at 1 atm)))0.03重量部および50%濃度のポリカルボン酸水溶液0.1重量部を混合して製造した第2表面架橋液を投入し、180℃の温度で総反応時間50分間2次表面架橋反応を行うことを除いては、前記実施例2と同様な方法で行って高吸水性樹脂を製造した。
【0189】
比較例8
前記実施例1の2次表面架橋液製造時、エポキシ系第2表面架橋剤としてエチレングリコールジグリシジルエーテルの代わりに硫酸アルミニウム(Mw:342.15g/mol)0.05重量部を使用することを除いては、前記実施例1と同様な方法で行って高吸水性樹脂を製造した。
【0190】
実験例
前記実施例および比較例で得られた高吸水性樹脂に対して下記方法によって吸収関連諸般物性を測定した。
【0191】
(1)遠心分離保水能(CRC、Centrifuge Retention Capacity)
遠心分離保水能(CRC)は、EDANA法 WSP 241.3の方法によって測定された。
【0192】
具体的に、遠心分離保水能を測定しようとする高吸水性樹脂のうち、米国標準30meshスクリーンは通過し、米国標準50meshスクリーンの上には維持される、粒径が300~600μmである高吸水性樹脂を準備した。そして、粒径が300~600μmである高吸水性樹脂W0(g、約0.2g)を不織布製の封筒に均一に入れて密封(seal)した。そして、常温で0.9重量%の生理食塩水に前記封筒を浸水させた。30分後に封筒を遠心分離機を使用して250Gで3分間脱水した後に封筒の重量W4(g)を測定した。一方、高吸水性樹脂を入れなかった空の封筒を用いて同一な操作をした後、その時の重量W3(g)を測定した。
【0193】
このように得られた各重量を用いて次の数式2によって遠心分離保水能を確認した。
【0194】
[数式2]
CRC(g/g)={[W4(g)-W3(g)]/W0(g)}-1
【0195】
上記数式2中、
W0(g)は、300μm~600μmの粒径を有する高吸水性樹脂の初期重量(g)であり、
W3(g)は、高吸水性樹脂を使用せず、遠心分離機を使用して250Gで3分間脱水した後に測定した装置重量であり、
W4(g)は、常温で0.9重量%の生理食塩水に300μm~600μmの粒径を有する高吸水性樹脂を30分間浸水して吸収させた後、遠心分離機を使用して250Gで3分間脱水した後に、高吸水性樹脂を含んで測定した装置重量である。
【0196】
(2)加圧吸水能(AUL、Absorbency under Load)
前記実施例および比較例で製造した高吸水性樹脂に対してアンチケーキング処理前後、0.9AULをそれぞれ測定し、その結果からアンチケーキング処理後加圧吸水能の下落率を計算した。
【0197】
具体的に、高吸水性樹脂に対するアンチケーキング処理は、高吸水性樹脂100重量部、およびアンチケーキング剤(anti-caking agent)としてヒュームドシリカ(Evonik社 Aerosil(登録商標)200)0.001重量部を500mlのポリエチレン(PE)瓶に入れ、PE瓶を30秒間ボルテックスミキサー(IKA社 MS3)を用いて200rpmで乾式混合する方法で行った。
【0198】
そして、前記アンチケーキング処理前/後高吸水性樹脂の生理食塩水に対する0.9psiの加圧吸水能(AUL)は、EDANA法442.0-96の方法によって測定された。
【0199】
具体的に、内径が25mmであるプラスチック円筒下端にステンレス製400meshスクリーンを装着した。そして、常温および50%の湿度下で前記スクリーンに加圧吸水能を測定しようとする高吸水性樹脂W0(g、約0.16g)を均一に散布した。その次に、前記高吸水性樹脂の上に6.3kPa(0.9psi)の荷重を均一に付与することができるピストンを付加した。この時、ピストンとしては、外径が25mmより若干小さくて円筒の内壁と隙間がなく、上下に自由に動くように製作されたものを使用した。そして、このように準備された装置の重量W5(g)を測定した。その次に、直径150mmのペトリ皿の内側に直径90mm、厚さ5mmのガラスフィルターを入れ、前記ペトリ皿に0.9重量%の生理食塩水を注いだ。この時、生理食塩水の水面がガラスフィルターの上面と水平になるまで生理食塩水を注いだ。そして、ガラスフィルターの上に直径90mmのろ過紙1枚を置いた。その次に、ろ過紙の上に準備された装置を載せて装置内の高吸水性樹脂が荷重下で生理食塩水によって膨潤されるようにした。1時間後、膨潤された高吸水性樹脂が入った装置の重量W6(g)を測定した。
【0200】
このように測定された重量を用いて次の数式3によって加圧吸水能を算出した。
【0201】
[数式3]
AUL(g/g)=[W6(g)-W5(g)]/W0(g)
【0202】
上記数式3中、
W0(g)は、高吸水性樹脂の初期重量(g)であり、
W5(g)は、高吸水性樹脂の重量および前記高吸水性樹脂に荷重を付与することができる装置重量の総合であり、
W6(g)は、荷重(0.9psi)下で1時間前記高吸水性樹脂に生理食塩水を吸収させた後に、高吸水性樹脂の重量および前記高吸水性樹脂に荷重を付与することができる装置重量の総合計である。
【0203】
前記で測定したアンチケーキング処理前/後0.9AUL値を用いて下記数式1によって0.9AUL下落率を計算した:
【0204】
[数式1]
0.9AUL下落率=[(A-B)/A]
【0205】
(上記数式1中、
Aは、アンチケーキング処理前高吸水性樹脂の0.9AULであって、EDANA法442.0-96の方法によって0.9psi加圧下で1時間前記アンチケーキング処理前の高吸水性樹脂を膨潤させた後測定した加圧下吸水能であり、
Bは、アンチケーキング処理された高吸水性樹脂の0.9AULであって、高吸水性樹脂100重量部およびアンチケーキング剤(anti-caking agent)としてヒュームドシリカ0.0005~0.001重量部を30秒~1分間200rpmで乾式混合する方法でアンチケーキング処理をした後、EDANA法442.0-96の方法によって0.9psi加圧下で1時間前記アンチケーキング処理された高吸水性樹脂を膨潤させた後測定した加圧下吸水能である)
【0206】
測定結果を下記表1に示した。
【0207】
【0208】
実験結果、実施例1~4の高吸水性樹脂は比較例に比べて優れたCRCを示し、アンチケーキング処理後にも0.9AUL下落率が大きく減少された。
【0209】
これに反し、1次表面架橋のみを行った比較例1および2の場合、アンチケーキング処理後0.9AUL下落率が0.15以上で大きく、また1次表面架橋のみを行うが、表面架橋剤の含量を増加させた比較例3の場合にも比較例1および2に比べては0.9AUL下落率が減少したが、実施例に比べては大きく増加された0.9AUL下落率を示した。
【0210】
また、本発明での1次および2次表面架橋条件を満足しない比較例4の場合、1次表面架橋のみを実施した比較例1~3よりもさらに大きい0.9AUL下落率を示した。比較例4は2次にわたる表面架橋にもかかわらず、1次表面架橋時重量平均分子量の大きい表面架橋剤を使用することによって表面架橋剤が高吸水性樹脂の表面奥深く浸透できず、また、その後重量平均分子量の小さい表面架橋剤を使用して2次表面架橋を行うことによって実施例および比較例1~3と比較して表面架橋の強度が十分に確保されなかったためである。
【0211】
また、2次表面架橋時の温度条件が過度に低い比較例5の場合、2次表面架橋反応が十分に行われなかったため、アンチケーキング処理後0.9AUL下落率が大きかった。また、第1表面架橋剤と第2表面架橋剤の重量平均分子量条件を充足しない比較例6の場合、他の比較例に比べてはアンチケーキング処理後0.9AUL下落率が減少したが、実施例と比較してアンチケーキング処理後0.9AUL下落率が大きく、また低下したCRC特性を示した。
【0212】
また、第2表面架橋剤として150℃を超過した温度範囲で共有結合を形成するPEG600を使用した比較例7の場合にもアンチケーキング処理後0.9AUL下落率が大きかった。
【0213】
また、第2表面架橋剤として硫酸アルミニウムを使用した比較例8の場合にも比較例1に比べては0.9AUL下落率が減少したが、同一条件で第2表面架橋剤のみ異なる実施例1と比較した時、十分な表面架橋強度を確保しなくてアンチケーキング処理後0.9AUL下落率が大きかった。
【国際調査報告】