(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-30
(54)【発明の名称】光学系およびリソグラフィ装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/20 20060101AFI20230323BHJP
G02B 7/185 20210101ALI20230323BHJP
【FI】
G03F7/20 521
G02B7/185
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548749
(86)(22)【出願日】2021-02-08
(85)【翻訳文提出日】2022-09-30
(86)【国際出願番号】 EP2021052954
(87)【国際公開番号】W WO2021160557
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】102020201724.7
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100147692
【氏名又は名称】下地 健一
(72)【発明者】
【氏名】マティアス マンガー
(72)【発明者】
【氏名】マルクス ラーブ
【テーマコード(参考)】
2H043
2H197
【Fターム(参考)】
2H043CA01
2H043CE00
2H197AA06
2H197AA10
2H197BA02
2H197CC14
2H197CC16
2H197DA03
2H197DA09
2H197DC04
2H197GA01
2H197GA10
2H197GA23
2H197HA03
(57)【要約】
光学系(200)は、ミラー本体(212)およびミラー面(214)を備える少なくとも1つのミラー(210)と、ミラー面(214)を変形させるためにミラー本体(212)に結合された少なくとも1つのアクチュエータデバイス(220)と、を有する。アクチュエータデバイス(220)は、電気的駆動電圧(VS)に応じてミラー面(214)を変形させるためにミラー本体(212)に機械的応力を発生させる少なくとも1つの電歪型アクチュエータ素子(222)と、少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)であって、センサ素子(224)の変形に応じてセンサ信号(SS)を出力する電気歪型センサ素子(224)と、を備える。少なくとも1つのセンサ素子(224)は、アクチュエータ素子(222)に直接に隣接して配置される、および/または、少なくとも部分的に、アクチュエータ素子(222)によって発生される機械的応力をミラー本体(212)に伝達するために構成されるように配置される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系(200)であって、ミラー本体(212)およびミラー面(214)を備える少なくとも1つのミラー(210)と、前記ミラー面(214)を変形させるために前記ミラー本体(212)に結合された少なくとも1つのアクチュエータデバイス(220)と、を有する光学系(200)において、前記アクチュエータデバイス(220)は、
電気的駆動電圧(VS)に応じて前記ミラー面(214)を変形させるために前記ミラー本体(212)に機械的応力を発生させる少なくとも1つの電歪型アクチュエータ素子(222)と、
少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)であって、前記センサ素子(224)の変形に応じてセンサ信号(SS)を出力し、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、前記アクチュエータ素子(222)に直接に隣接して配置される、および/または前記ミラー本体(212)の前記ミラー面(214)とは反対の側に少なくとも前記アクチュエータ素子(222)によって前記ミラー本体(212)から分離されて配置される、および/または、少なくとも部分的に、前記アクチュエータ素子(222)によって発生される前記機械的応力を前記ミラー本体(212)に伝達するために構成されるように配置される、少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)と、を備え、
前記アクチュエータデバイス(220)は、前記ミラー面(214)が前記アクチュエータ素子(222)の前記電気的駆動電圧(VS)に応じて変形可能であるように、前記ミラー本体(212)に結合される、光学系(200)。
【請求項2】
請求項1に記載の光学系であって、前記ミラー本体(212)に所定の機械的応力が達成されるように、前記センサ素子(224)によって出力される前記センサ信号(SS)に応じて前記アクチュエータ素子(222)のための前記駆動電圧(VS)を制御する閉ループ制御ユニットを更に備える、光学系。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)および前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、モノリシックに製造される、光学系。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)および前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、前記ミラー本体(212)の前記ミラー面(214)とは反対の側で前記ミラー(210)上に配置された層(221)に一体化される、光学系。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)と前記ミラー本体(212)との間で前記ミラー面(214)の面法線に沿う方向に配置される、光学系。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)および前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は各々、電歪材料製の少なくとも1つの層(L1、…、Ln)を含む、光学系。
【請求項7】
請求項6に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)は、電歪材料製の複数の層(L1、…、Ln)を備え、前記複数の層の各層(L1、…、Ln)は、割り当てられたカソード(K1~Kn)および割り当てられたアノード(A1~An)を備え、各々の駆動電圧(VS)で駆動可能である、光学系。
【請求項8】
請求項6または7に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)および前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、少なくとも2つの層(L1、…、Ln)を含む層スタック(SL)を形成する、光学系。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の光学系であって、前記アクチュエータデバイス(220)は少なくとも2つのセンサ素子(224)を備え、前記少なくとも2つのセンサ素子(224)の電歪材料の材料組成は異なり、前記少なくとも2つのセンサ素子(224)の各々が、センサ信号(SS)を出力するように構成される、光学系。
【請求項10】
請求項9に記載の光学系であって、前記少なくとも2つのセンサ素子(224)によって出力される前記センサ信号(SS)に応じて前記ミラー本体(212)内の温度を確認する確認ユニット(230)が設けられる、光学系。
【請求項11】
請求項9または10に記載の光学系であって、測定ユニットは、測定交流電圧(VM)を前記少なくとも2つのセンサ素子(224)に印加して前記センサ信号(SS)を発生させるために設けられ、前記測定交流電圧(VM)の周波数は、異なるセンサ素子(224)に対して異なる、光学系。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の光学系であって、前記アクチュエータデバイス(220)は、複数のM個のアクチュエータ素子(222)および複数のN個のセンサ素子(224)を備え、NおよびMは整数であり、前記アクチュエータ素子(222)および前記センサ素子(224)は交互に配置される、光学系。
【請求項13】
請求項2~12の何れか一項に記載の光学系であって、前記アクチュエータデバイス(220)は、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)から出力されるセンサ信号(SS)の値を、キャリブレーション測定に基づいて前記ミラー面(214)の達成される変形に割り当てるように構成された割り当てユニットを含み、前記閉ループ制御ユニットは、割り当てられた値および前記ミラー面(214)の所定の変形に応じて前記駆動電圧(VS)を制御するように構成される、光学系。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の光学系であって、複数のアクチュエータデバイス(220)は前記少なくとも1つのミラー(210)に配置され、前記複数のアクチュエータデバイス(220)の各々は、個別に制御可能である、光学系。
【請求項15】
請求項1~13の何れか一項に記載の光学系(200)を有するリソグラフィ装置(110A、100B)。
【請求項16】
アクチュエータデバイス(220)に結合されたミラー(210)の光学系(200)における使用であって、前記ミラー(210)は、ミラー本体(212)およびミラー面(214)を備え、前記アクチュエータデバイス(220)は、
電気的駆動電圧(VS)に応じて前記ミラー面(214)を変形させるために前記ミラー本体(212)に機械的応力を発生させる少なくとも1つの電歪型アクチュエータ素子(222)と、
少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)であって、前記センサ素子(224)の変形に応じてセンサ信号(SS)を出力し、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、前記アクチュエータ素子(222)に直接に隣接して配置される、および/または前記ミラー本体(212)の前記ミラー面(214)とは反対の側に少なくとも前記アクチュエータ素子(222)によって前記ミラー本体(212)から分離されて配置される、および/または、少なくとも部分的に、前記アクチュエータ素子(222)によって発生される前記機械的応力を前記ミラー本体(212)に伝達するために構成されるように配置される、少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)と、を備え、
前記アクチュエータデバイス(220)は、前記ミラー面(214)が前記電気的駆動電圧(VS)に応じて変形されるように前記ミラー本体(212)に結合される、使用。
【請求項17】
光学系(200)を動作させる方法であって、前記光学系(200)は、ミラー本体(212)およびミラー面(214)を備えるミラー(210)と、前記ミラー面(214)を変形させるために前記ミラー本体(212)に結合されたアクチュエータデバイス(220)と、を備え、
前記アクチュエータデバイス(220)の電歪型アクチュエータ素子(222)を電気的駆動電圧(VS)で駆動するステップであって、その結果、前記ミラー本体(212)に機械的応力が発生され、前記ミラー面(214)が変形されるステップと、
前記アクチュエータデバイス(220)の少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)を用いて、前記センサ素子(224)の変形に応じてセンサ信号(SS)を検出するステップであって、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、前記アクチュエータ素子(222)に直接に隣接して配置される、および/または前記ミラー本体(212)の前記ミラー面(214)とは反対の側に少なくとも前記アクチュエータ素子(222)によって前記ミラー本体(212)から分離されて配置される、および/または、少なくとも部分的に、前記アクチュエータ素子(222)によって発生される前記機械的応力を前記ミラー本体(212)に伝達するために構成されるように配置されるステップと、
前記ミラー面(214)の変形を、検出した前記センサ信号(SS)に応じて確認するステップと、を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学系およびそのような光学系を有するリソグラフィ装置に関する。
【0002】
優先権出願である独国特許出願第10 2020 201 724.7号の内容は、参照によりその全体が援用される。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路等の微細構造コンポーネントを製造するために使用される。マイクロリソグラフィプロセスは、照明系および投影系を有するリソグラフィ装置を使用して実行される。この場合、照明系を用いて照明されるマスク(レチクル)の像は、投影系を用いて、感光層(フォトレジスト)で被覆されて投影系の像平面に配置された、例えばシリコンウエハである基板上に投影されて、マスク構造を基板の感光コーティングに転写するようにする。
【0004】
適切に配置されたアクチュエータを用いて、ミラー面を目標通りに変形させることができるミラーが知られている。これにより、収差とも呼ばれる光学結像誤差を補正または補償できる。収差は異なる原因を有する可能性がある。特に温度変動は、光学素子のホルダおよび/または光学素子自体を歪ませる可能性のある機械的応力につながる場合がある。その結果、当該光学素子の光学特性が変化する場合がある。そのようなミラーは、例えば、補償光学という概念が確立された天文学において使用される。この場合、ミラー面を測定光で走査し、理想形状からの偏差を決定する。したがって、確認された偏差に基づいて対応するアクチュエータを駆動する閉ループ制御回路を構築することが可能である。それによって、ミラー面を、その理想形状に近似させる。
【0005】
アクチュエータで表面を変形させることができるミラーも、リソグラフィ装置において使用されている。しかしながら、能動コンポーネントまたは受動コンポーネントなどの多くの機能ユニットを小さな体積で配置しなければならないため、既知のリソグラフィ装置の設置スペースは非常に小さい。したがって、上述のようにミラー面を走査するために、リソグラフィ装置に追加の光学計測系を配置することは実用的ではない。したがって、アクチュエータのフィードバック制御は、今日まで実施不可能である、または経済的に許容できない労力によってのみ実施可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この背景に対して、本発明の目的は、改良された光学系を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様によれば、少なくとも1つのミラーを有する光学系が提案される。ミラーは、ミラー本体およびミラー面を備える。ミラー面を変形させるためにミラー本体に結合された少なくとも1つのアクチュエータデバイスが設けられる。アクチュエータデバイスは、電気的駆動電圧に応じてミラー面を変形させるためにミラー本体に機械的応力を発生させる少なくとも1つの電歪型アクチュエータ素子と、少なくとも1つの電歪型センサ素子であって、センサ素子の変形に応じてセンサ信号を出力する少なくとも1つの電歪型センサ素子と、を含む。少なくとも1つのセンサ素子は、アクチュエータ素子に直接に隣接して配置される、および/またはミラー本体のミラー面とは反対の側に少なくともアクチュエータ素子によってミラー本体から分離されて配置される、および/または、少なくとも部分的に、アクチュエータ素子によって発生される機械的応力をミラー本体に伝達するために構成されるように配置される。
【0008】
この光学系は、ミラー面を直接に走査することなく、アクチュエータ素子によってもたらされるミラー本体内の効果を検出できるという利点を有する。有利にもこれは、この場合、物理ドメイン内部で、機械的または電気的に、すなわち外部から印加される電場と変形に依存する材料の分極との間の結合の内部で、すなわちアクチュエータおよびセンサが異なる物理的作用メカニズムに基づくことなく、可能である。変形の検出および作動は、圧電効果を介して例えば電気機械的になど、同じ作用機構の助けで行われるということができる。これによって、発生する効果を均一に説明する、また扱うことが可能である。これが、光学系の複雑性を低く保つ。アクチュエータ素子およびセンサ素子は同じ材料クラスを有する。そのため、異なるプロセスステップの数を減らして、光学系を製造することもできる。さらに、光学系は、この理由のために、非常に堅牢であって、比較的安価に製造可能であり、故障が少ない。
【0009】
光学系は、特に、リソグラフィ装置用の投影光学ユニットとして設計される。さらに、光学系は、リソグラフィ装置のビーム形成・照明系の一部とすることができる。この光学系は、天文学、科学機器、軍事光学など、高精度のビーム誘導が必要である、または望まれる他の技術分野でも使用することができる。既知の補償光学ユニットと比較して、この光学系は、堅牢なシステムが必要な際に設置スペースが限られた狭いものである場合、および/またはコストが重要な役割を果たす場合に、特に利点がある。
【0010】
光学系は、少なくとも1つのミラーを含む。光学系は、ミラーに加えて、また更なるミラー、レンズ素子、格子、絞り、フィルタ、キャビティ等を備えることができる。しかしながら、光学系は、アクチュエータデバイスを有するミラーで構成することもできる。さらに、光学系は、各々がアクチュエータデバイスを有する複数のミラーを備えることができる。光学系の更なる光学的有効素子は、電気ヒータ、冷却器等である追加の、または他のアクチュエータ備えることができる。
【0011】
少なくとも1つのミラーのミラー面は、例えば平面、凸面、凹面などの任意の幾何学的形状を有することができる、または部分的に変化することができる。ミラーは、光学系内部のビーム経路の異なる位置に、特に瞳孔またはハッチの領域に配置することができる。ビーム経路内の位置に応じて、多様な結像誤差または収差が、ミラー面の変形によって補正される。変形は、特に、ミラー面の基本形状からの偏差を意味すると理解される。例えば、ミラーが動作を意図したホルダと方向に応力なく配置されるときに、ミラーは基本形状をとる。この場合、基本形状は、例えばミラーの自重によって理想形状から逸脱する可能性がある。しかしながら、ミラー面の変形によって、理想形状が復元される。好適には、ミラー面の変形とは、アクチュエータ素子に電荷、電流、および電圧がないときのミラー面の形状からの偏差と理解される。
【0012】
アクチュエータデバイスは、少なくともアクチュエータ素子およびセンサ素子を備える。好適には、アクチュエータデバイスは、駆動電圧でアクチュエータ素子を駆動する駆動ユニットを更に備える。駆動電圧は、達成されるべき機械的応力に応じて、例えば制御コンピュータによって予め決定される。機械的応力は、ミラー面の変形を直接に決定する。機械的応力と変形との間の関数的な関係は、例えばミラー本体の材料パラメータに、また幾何学的要因などの境界条件に依存する。代替的に、制御コンピュータは、達成されるべき機械的応力を特定することができる。駆動ユニット自体が、これに対して必要な駆動電圧を確認する。
【0013】
アクチュエータデバイスは、ミラー面がアクチュエータ素子の電気的駆動電圧に応じて変形可能であるように、ミラーのミラー本体に結合される。
【0014】
駆動ユニットは、例えば、電圧源または電流源を備える。用途に応じて、アクチュエータ素子を、閉ループ制御による電圧で、または閉ループ制御による充電で動作させることができる。特に、アクチュエータ素子の位置が高い頻度で変更される動的な用途では、閉ループ制御による充電での駆動が有利である。
【0015】
アクチュエータ素子およびセンサ素子は、電歪材料を備える。これには、例えば圧電材料も含まれると理解される。電歪材料は、外部の電場と材料に存在する双極子との間の相互作用により、材料の変形として現れる機械的応力または力を材料に発生させることができるという特性を有する。逆に、材料の変形は、材料の分極の変化をもたらす。これは測定可能であり、これによって変形の振幅について結論を導くことができる。
【0016】
力、機械的応力、または変形という用語は、互換的に使用できると指摘されている。
【0017】
電歪材料の例は、ニオブ酸マグネシウム鉛(PMN)またはジルコン酸チタン酸鉛(PZT)の元素を含むセラミック化合物である。これらは、好適には、機械的特性を改善するために白金と合金化される。白金は、誘電特性、特に最大分極を低下させる。したがって、合金は、合金ファクタ(Legierungsfaktor)xによって特徴付けることができる材料組成を有する。すなわち、PMNx-Pt1-xまたはPZTxPt1-xである。
【0018】
光学系の好適な実施形態において、電歪材料は0~40℃の範囲のキュリー温度を有する。キュリー温度では、キュリー温度より下で優勢の第1結晶構造から、キュリー温度より上で優勢の第2結晶構造への相転移が起こる。
【0019】
アクチュエータ素子は、好適には、例えば電歪材料製の層である、アクティブ領域を備える。この領域は、アノードとカソードの2つの電極の間に配置される。アノードとカソードの間に駆動電圧を印加することにより、電場がアクティブ領域に形成され、これが機械的応力つながる。
【0020】
アクチュエータ素子は、ミラー本体に機械的に結合されている。そのため、アクチュエータ素子の機械的応力がミラー本体に伝達される。これは、ミラー本体の、したがってミラー面の対応する変形として現れる。特定の力で達成される変形の程度は、この場合ミラー本体の材料の強度に依存する。
【0021】
センサ素子は、好適には同様に、2つの電極間に配置された電歪材料製の、例えば層状構造である、アクティブ領域を備える。しかしながら、センサ素子およびアクチュエータ素子は、例えば、それらの幾何学的寸法および/または材料組成が異なってもよい。
【0022】
センサ素子は、好適には、センサ素子のカソードとアノードとの間に印加される測定交流電圧を用いてセンサ素子のアクティブ領域の分極を確認する、割り当てられた測定ユニットを備える。センサ素子によって出力されるセンサ信号は、特に、測定ユニットによって確認された分極を含む。センサ素子のアクティブ領域の変形を、そこから導き出すことができる。特に、測定交流電圧は、アクティブ領域で言及する価値のある機械的応力にいたらない振幅を有する。測定ユニットは、アクチュエータデバイスの独立したユニットを構成することができる。測定ユニットおよびセンサ素子は、相互に対して割り当てられる。以下の記載では、センサ素子という用語は、センサ素子全体を指す、またはセンサ素子のアクティブ領域のみを指す。
【0023】
センサ素子は、アクチュエータ素子が変形するとき、および/またはミラー本体が変形されるとき、例えばアクチュエータ素子によって与えられる機械的応力によって変形されるように、アクチュエータ素子および/またはミラー本体に機械的に結合される。
【0024】
好適な施形態において、センサ素子は、アクチュエータ素子に直接に隣接して配置される。直接に隣接するとは、例えば、アクチュエータ素子とセンサ素子との間に、中間層または追加の材料がないことを意味すると理解される。センサ素子およびアクチュエータ素子が接触しているということもできる。
【0025】
更なる好適な実施形態において、センサ素子は、ミラー本体のミラー面とは反対の側に少なくともアクチュエータ素子によってミラー本体から分離されて配置される。好適には、センサ素子は、アクチュエータ素子の裏側に直接に配置される。アクチュエータ素子の裏側は、ミラー本体から離れる方向を指す側である。アクチュエータ素子とセンサ素子との間に、追加の層が存在することも可能である。
【0026】
更なる好適な実施形態において、センサ素子は、少なくとも部分的に、アクチュエータ素子によって発生される機械的応力をミラー本体に伝達するように配置される。センサ素子は、アクチュエータ素子からミラー本体に力を伝達する、またはアクチュエータ素子とミラー本体との間の動作接続を形成するともいえる。例えば、センサ素子は、アクチュエータ素子とミラー本体との間に配置される。代替的に、センサ素子は、アクチュエータ素子に隣接するマトリクス内に埋め込むことができる。その際、センサ素子、アクチュエータ素子、およびマトリクス材料の間の機械的結合は、機械的応力が、アクチュエータ素子、マトリクス、およびセンサ素子との間の移行部で、少なくとも実質的に途切れることなく伝播するようなものである。この場合、センサ素子およびアクチュエータ素子を含むマトリクスは、外部から見ると実質的に均質体の様に見えるともいえる。
【0027】
この配置によって、センサ素子、ミラー本体、およびアクチュエータ素子との間の強力な機械的結合が保証される。これが高い測定精度を達成できる理由である。
【0028】
アクチュエータ素子、センサ素子、およびミラー本体との間の機械的結合は、特に、形状結合的なインターロッキング接続によって、好適には接着剤接合などの材料結合的な凝集接続によって行われる。
【0029】
好適には、キャリブレーション測定は、光学系が動作する前に実行される。この場合、ミラー面を測定光で照射し、アクチュエータデバイスでミラー面を変形させる。特定の駆動電圧で達成されるミラー面の変形を、測定光によって決定できる。したがって、対応する相関関係を確立できる。追加的に、センサ信号を同時に検出すると、ミラー面の変形とセンサ信号との間の相関関係も確立できる。センサ素子は、好適には、絶対値が小さい電圧のみを印加される。そのため、ヒステリシス等は発生しない。したがって、センサ素子の誘電特性は一定である。対照的に、アクチュエータ素子の特性は動作中に変化する可能性がある。そのため、駆動電圧とキャリブレーション測定において達成される変形との間の相関関係に基づく正確な制御は、ほとんど不可能である。センサ信号を用いて、実際に達成される変形が所望の変形に対応しているかどうかを、動作中に確認することができる。
【0030】
光学系の一実施形態によれば、光学系は、ミラー本体に所定の機械的応力が達成されるように、センサ素子によって出力されるセンサ信号に応じてアクチュエータ素子のための駆動電圧を制御する閉ループ制御ユニットを備える。
【0031】
閉ループ制御ユニットは、有利には、センサ素子によって出力されるセンサ信号に応じて駆動電圧を制御するように構成される。これは、閉ループ制御ユニットが、例えば、出力されるセンサ信号を評価して、そこから達成された機械的応力を導出する評価ユニットを備えることを意味すると理解できる。代替的に、このステップは、制御コンピュータで実行することができる。閉ループ制御ユニットは、例えば駆動ユニットと組み合わせることができる。
【0032】
閉ループ制御ユニットは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアの形態で実装することができる。ハードウェアの形態で実装する場合、閉ループ制御ユニットを、例えば、コンピュータまたはマイクロプロセッサとして設計することができる。ソフトウェアの形態で実装する場合、閉ループ制御ユニットを、コンピュータプログラム製品として、関数として、ルーチンとして、プログラムコードの一部として、または実行可能なオブジェクトとして設計することができる。
【0033】
したがって、アクチュエータデバイスを使用することによって、ミラー面を、閉ループ制御を受けるアクチュエータ素子で、正確に変形させることができる。センサ素子を、直接にアクチュエータ素子に、および/またはアクチュエータ素子の裏側に、および/またはアクチュエータ素子からミラー本体への直接の動作経路または力経路に配置することにより、閉ループ制御の高い精度が保証される。
【0034】
光学系の更なる実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータ素子および少なくとも1つのセンサ素子は、モノリシックに製造される。
【0035】
これは特に、アクチュエータ素子およびセンサ素子が同じ材料クラスの材料から作られ、両方の素子を製造するために同じ製造技術が使用されることを意味する。さらに、モノリシックとは、アクチュエータとセンサが同じ動作メカニズムに基づくことを意味する。好適には、2つの素子は、一緒に、すなわち例えば同じプロセスで製造される。これには、アクチュエータ素子およびセンサ素子のために、まったく同じ技術が使用されるという利点がある。これが、光学系の複雑性を低く保つ。
【0036】
特に、作動が例えば電気的に行われるが、測定が光学的に行われるアクチュエータ‐センサ配置は、モノリシックではない。同様に、作動が磁場を用いて電気的に行われ、しかしながら測定はキャパシタンス測定等によって電気的に行われるシステムも、モノリシックではない。
【0037】
光学系の更なる実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータ素子および少なくとも1つのセンサ素子は、ミラー本体のミラー面とは反対の側でミラー上に配置された層に一体化される。
【0038】
この実施形態は、個々のアクチュエータ素子および個々のセンサ素子を、ミラー本体上に配置して取り付ける必要がなく、アクチュエータ素子およびセンサ素子が内部に一体化された層が製造されるという利点を有する。その際、層は、ミラーの裏側、すなわちミラー本体のミラー面とは反対の側にその全体が取り付けられる。この層は、好適には、ミラーの裏側の全面を覆う。これに対して代替的に、この層から複数の二次元の平面素子を、ミラーの裏側に並べて配置することもできる。少なくとも1つのアクチュエータ素子および少なくとも1つのセンサ素子が層に一体化されているということは、特に、アクチュエータ素子のアクティブ領域(機械的応力が起こる領域)およびセンサ素子(その分極が検出される領域)が層に一体化されていると理解される。センサ素子の測定ユニットなどの他のユニットは、層に一体化されない。
【0039】
層は、好適には、全体が電歪材料からなる。アクティブ領域、すなわちアクチュエータのサブ領域およびセンサのサブ領域は、電極を配置することによって形成される。材料の残りの部分は、マトリクス材料またはパッシブ材料と称することができる。
【0040】
光学系の更なる実施形態によれば、少なくとも1つのセンサ素子は、少なくとも部分的に、少なくとも1つのアクチュエータ素子とミラー本体との間でミラー面の面法線に沿う方向に配置される。
【0041】
アクチュエータ素子およびセンサ素子が、部分的にまたは完全に重なっているとも言える。この配置によって、センサ素子は、アクチュエータ素子よりも、ミラー本体に、ひいてはミラー面により近く配置される。これが、センサ素子のセンサ信号から導出される変形または機械的応力が、ミラー本体の機械的応力、ひいてはミラー面の変形と極めて高い相関関係を有することの理由である。これによって、閉ループ制御がより正確になる。
【0042】
光学系の更なる実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータ素子および少なくとも1つのセンサ素子は各々、電歪材料製の少なくとも1つの層を含む。
【0043】
ここで、層は、好適には、厚さ対拡がり、すなわち長さまたは幅のアスペクト比が、少なくとも1:5、好適には少なくとも1:10、好適には少なくとも1:100、好適には1:1000までである形状を意味すると理解される。この場合、長さと幅がほぼ同程度であると仮定する。例えば、層は、厚さが10μmから500μmの間であり、長さおよび幅がそれぞれ0.5~5cmである、または直径が0.5~5cmの範囲の円形である。
【0044】
層は、達成される効果、すなわち、層の面内の特定の駆動電圧で達成される機械的応力または変形が、それに対して垂直な方向に発生する効果よりも、アスペクト比の係数だけ大きいという利点を有する。電歪効果によって第1方向に拡大する場合、材料の非圧縮性に起因して、第1方向とは異なる第2方向の収縮を常に伴う。
【0045】
非常に薄い層は、さらに、駆動電圧が低くても高い変形または力を達成できるという利点を有する。
【0046】
光学系の更なる実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータ素子は、電歪材料の複数の層を備える。複数の層の各層は、割り当てられたカソードおよび割り当てられたアノードを備え、各々の駆動電圧で駆動可能である。
【0047】
この多層構造は、アクチュエータ素子で達成可能な力または機械的応力を、単一層と比較して個々の層によって達成される力の合計として大幅に増加できるという利点を有する。したがって、より大きな変形が可能である。そのため、収差を効果的に補正できる補正領域が拡大する。
【0048】
光学系の実施形態において、2つの層の間に囲まれたカソードは、隣接する層の共通カソードを形成する。2つの層の間に囲まれたアノードは、隣接する層の共通アノードを形成する。
【0049】
この場合、電場は隣接する層で反対方向を有する。この実施形態の利点は、例えば、2つのカソードまたはアノードの間に絶縁分離層が必要とされず、カソード材料またはアノード材料の量も最小化されるため、アクチュエータ素子におけるアクティブ材料の比率を最大化できることである。
【0050】
この実施形態では、電場は、隣接する層で反対方向を有する。したがって、有利にも、機械的歪みが分極の二乗に比例する電歪材料が選択される。電場の反対方向が力の方向に影響を及ぼさないためである。
【0051】
光学系の更なる実施形態によれば、少なくとも1つのアクチュエータ素子および少なくとも1つのセンサ素子は、少なくとも2つの層を含む層スタックを形成する。
【0052】
この場合、センサ層は、例えば、その間に共通電極を設けて、アクチュエータ層に直接に取り付けられる。これによって、特にコンパクトな設計を実現できる。さらに、センサ素子とアクチュエータ素子との間の機械的結合も、最大化される。センサ素子は、アクチュエータ素子と同一に変形する。これが、アクチュエータ素子の駆動電圧が、非常に正確な閉ループ制御を受けることができる理由である。
【0053】
光学系の更なるなる実施形態によれば、アクチュエータデバイスは少なくとも2つのセンサ素子を備える。少なくとも2つのセンサ素子の電歪材料の材料組成は異なる。少なくとも2つのセンサ素子の各々が、センサ信号を出力するように構成される。
【0054】
例えば、温度変動がアクティブ材料の分極に影響を与え、測定誤差につながる可能性があるために、この実施形態が有利である。組成が異なる層の場合、温度変動の影響が異なる。そのため、温度の影響を計算で除去できる。これによって、信頼性と測定精度が向上する。この場合、2つのセンサ素子からなる層スタックの厚さが僅かであるため、例えば、両方のセンサ素子が同じ温度を有すると仮定できる。
【0055】
光学系の更なる実施形態によれば、少なくとも2つのセンサ素子によって出力されるセンサ信号に応じてミラー本体内の温度を確認するように構成された確認ユニットが設けられる。
【0056】
異なる組成を有するセンサ素子の2つのセンサ信号を比較することから、基礎となる物理を描写する物理モデルに基づいて対応して評価することによって、機械的応力と温度の両方を確認することができる。これは、ミラー本体の必要な領域での最適な冷却が不可能である、または多大な労力を要する場合にのみ冷却が可能である場合に、特に有利である。温度変動または局所的な温度差によって引き起こされるミラー本体の機械的応力を、ミラー面の現在の形状を確認する際に考慮に入れることができる、および/またはアクチュエータデバイスによって補償することができる。有利にも、追加のシステムなしでこれが可能である。
【0057】
この場合に確認可能な温度は、2つのセンサ素子の領域におけるミラー本体の温度に関連するものであり、したがって特に局所温度である。
【0058】
光学系の更なる実施形態によれば、測定ユニットは、測定交流電圧を少なくとも2つのセンサ素子に印加してセンサ信号を発生させるために設けられる。測定交流電圧の周波数は、異なるセンサ素子に対して異なる。
【0059】
これには、センサ素子への異なる導体トラックの間のクロストークが、評価の際に測定誤差につながらないという利点がある。周波数分割多重化についても言及することができる。測定ユニットは、特に、閉ループ制御ユニットまたはアクチュエータデバイスの一部とすることができるが、独立したユニットを形成することもできる。
【0060】
光学系の更なる実施形態によれば、アクチュエータデバイスは、複数のM個のアクチュエータ素子および複数のN個のセンサ素子を備える。MおよびNは整数であり、アクチュエータ素子およびセンサ素子は交互に配置される。
【0061】
好適には、N>M、特にN=M+1である。そのため、各々の場合に1つのセンサ素子が外側にある。例えば、N=2およびM=1であり、2つのセンサ素子がアクチュエータ素子と共にサンドイッチ構造を形成する。ここで、有利にも、二次元の変形関数を確認することができる。そのため、アクチュエータ素子からやや離れた部分における実際の変形を、より正確に確認または予測することができる。これによって、閉ループ制御の精度が向上する。重層的決定に起因して、より精密な閉ループ制御が可能であるとも言える。
【0062】
光学系の更なる実施形態によれば、アクチュエータデバイスは、少なくとも1つのセンサ素子から出力されるセンサ信号の値を、キャリブレーション測定に基づいてミラー面の達成される変形に割り当てるように構成された割り当てユニットを含む。閉ループ制御ユニットは、割り当てられた値およびミラー面の所定の変形に応じて駆動電圧を制御するように構成される。
【0063】
実施形態において、割り当てユニットは、センサ信号の値がミラー面の達成される変形に割り当てられるルックアップテーブル(LUT)を含む。この実施形態は、特に単純であり、高い計算能力を必要としない。中間値、すなわちLUTに記憶されていないセンサ信号の値の場合の変形に対する値は、2つの最も近い値から、例えば線形補間によって確認することができる。
【0064】
光学系の更なる実施形態によれば、複数のアクチュエータデバイスは少なくとも1つのミラーに配置される。複数のアクチュエータデバイスの各々は、個別に制御可能である。
【0065】
好適には、ミラーは、例えば全面がアクチュエータデバイスで覆われる。そのため、アクチュエータデバイスを適切に駆動することによって、ミラー面が多様な方法で自由に変形可能である。各アクチュエータデバイスは、有利にも、閉ループ制御ユニットを備える。そのため、各アクチュエータデバイスを、他のアクチュエータデバイスから独立して閉ループ制御することができる。特に、アクチュエータデバイスが隣接する場合、機械的応力がミラー本体全体に伝播するため、第1アクチュエータデバイスの位置での変形は、第2アクチュエータデバイスの位置でのわずかな変形につながる可能性がある。この変形も、第2アクチュエータデバイスのセンサ素子によって検出される。変形がいずれにせよ不所望である場合に、アクチュエータ素子を適切に閉ループ制御して、変形を抑制することも可能である。
【0066】
第2態様によれば、第1態様または実施形態のうちの1つによる光学系を有するリソグラフィ装置が提案される。
【0067】
このリソグラフィ装置は、各々のアクチュエータ素子を制御する閉ループ制御回路が存在する場合、結像誤差を補正または補償できるという利点を有する。これによって、そのような閉ループ制御回路がない場合よりも、はるかに正確に収差を補正できる。特に、リソグラフィ装置では、使用される光学ユニットが例えば真空中で動作するため、設置スペースが非常に小さく、補償光学の従来の解決策を使用することができない。
【0068】
光学系は、好適には、リソグラフィ装置のビーム形成・照明系または投影系を構成する、またはそのようなシステムの一部である。
【0069】
第3態様によれば、アクチュエータデバイスに結合されたミラーの光学系における使用が提案される。ミラーは、ミラー本体およびミラー面を備える。アクチュエータデバイスは、電気的駆動電圧に応じてミラー面を変形させるためにミラー本体に機械的応力を発生させる少なくとも1つの電歪型アクチュエータ素子と、少なくとも1つの電歪型センサ素子であって、センサ素子の変形に応じてセンサ信号を出力する少なくとも1つの電歪型センサ素子と、を含む。少なくとも1つのセンサ素子は、アクチュエータ素子に直接に隣接して配置される、および/またはミラー本体のミラー面とは反対の側に少なくともアクチュエータ素子によってミラー本体から分離されて配置される、および/または、少なくとも部分的に、アクチュエータ素子によって発生される機械的応力をミラー本体に伝達するために構成されるように配置される。アクチュエータデバイスは、ミラー面が電気的駆動電圧に応じて変形されるようにミラー本体に結合される。
【0070】
第4態様によれば、光学系を動作させる方法が提案される。光学系は、ミラー本体およびミラー面を備えるミラーと、ミラー面を変形させるためにミラー本体に結合されたアクチュエータデバイスと、を備える。第1ステップにおいて、アクチュエータデバイスの電歪型アクチュエータ素子を電気的駆動電圧で駆動する。その結果、ミラー本体に機械的応力が発生され、ミラー面が変形される。第2ステップにおいて、アクチュエータデバイスの少なくとも1つの電歪型センサ素子を用いて、センサ素子の変形に応じてセンサ信号を検出する。少なくとも1つのセンサ素子は、アクチュエータ素子に直接に隣接して配置される、および/またはミラー本体のミラー面とは反対の側に少なくともアクチュエータ素子によってミラー本体から分離されて配置される、および/または、少なくとも部分的に、アクチュエータ素子によって発生される機械的応力をミラー本体に伝達するために構成されるように配置される。
【0071】
実施形態において、上記および下記の光学系は、前述の方法を実行する、またはこの方法に従って作動されるように構成される。
【0072】
更なる態様によれば、第1態様または実施形態の1つによる光学系のミラー面の達成される変形を検出する方法が提案される。第1ステップにおいて、少なくとも1つのアクチュエータ素子を、ミラー面の所定の変形に応じた駆動電圧によって駆動する。例えば、制御コンピュータは、光学系の現在の状態で、ミラー面の実際の目標形状から逸脱するミラー面の、理想形状を確認し、これに応じて、アクチュエータ素子に必要な駆動電圧を確認し、この駆動電圧をアクチュエータ素子に出力する。第2ステップにおいて、少なくとも1つのセンサ素子で、センサ信号を出力する。これは、特に、測定交流電圧をセンサ素子のアクティブ領域に印加することによって行う。センサ素子の複素インピーダンスから、誘電感受率を、ひいてはアクティブ領域の分極を推測することができる。第3ステップにおいて、センサ素子の変形を、出力されたセンサ信号に応じて確認する。そこから、ミラー面の達成された変形を確認する。センサ素子のアクティブ領域の分極は、センサ素子に存在する変形を示す。このことから、ミラーの機械的モデルを用いて、ミラー面の変形を確認できる。好適には、センサ素子の変形に応じたミラー面の変形を、キャリブレーション測定において事前に確認し、LUTに記憶させる。
【0073】
方法の有利な実施形態において、ミラー面の所定の変形が達成されるように、駆動電圧を閉ループ制御で制御する。
【0074】
光学系について記載した実施形態および特徴は、提案する方法に対応して適用可能である。
【0075】
本明細書において、不定冠詞および個数を示す「A(n)」は、必ずしも、厳密に1つの素子に限定されると理解されるべきではない。むしろ、例えば2つ、3つ、またはそれ以上などの複数の素子を設けることもできる。本明細書で使用された他の数字も、記載された素子数への厳密な制限が存在するという意味で理解されるべきではない。むしろ、反対の指示がない限り、上および下への数値の偏差が可能である。
【0076】
本発明の更なる可能な実装は、例示的な実施形態に関して上記または下記で記載される特徴または実施形態の、明示的に言及されていない組み合わせも含む。この場合、当業者は、本発明の各々の基本的な形態に、改良または補足として個々の態様を追加することもできる。
【0077】
本発明の更なる有利な構成および態様は、従属請求項の主題であり、以下に記載される本発明の実施例の主題でもある。本発明は、添付の図面を参照して、好適な実施形態によって、以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【
図1】光学系の例示的な第1実施形態の概略図である。
【
図2】アクチュエータデバイスを有するミラーの配置の例示的な第1実施形態の概略図である。
【
図3】アクチュエータデバイスを有するミラーの配置の例示的な第2実施形態の概略図である。
【
図4】アクチュエータデバイスを有するミラーの配置の例示的な第3実施形態の概略図である。
【
図5】アクチュエータデバイスを有するミラーの配置の例示的な第4実施形態の概略図である。
【
図6】アクチュエータデバイスを有するミラーの配置の例示的な第5実施形態の概略図である。
【
図7】アクチュエータデバイスを有するミラーの配置の例示的な第6実施形態の概略図である。
【
図8】アクチュエータデバイスを有するミラーの配置の例示的な第7実施形態の概略図である。
【
図9】アクチュエータ素子の構造の例示的な実施形態の概略図である。
【
図10】アクチュエータデバイスにおいて複数のアクチュエータ素子およびセンサ素子を駆動する例示的な実施形態の概略図である。
【
図11】駆動電圧の関数としての物理的変数の挙動の3つのグラフである。
【
図12】駆動電圧の関数としての誘電感受率の複数のカーブを示すグラフである。
【
図13】閉ループ制御回路の例示的な実施形態の概略的なブロック図である。
【
図14A】EUVリソグラフィ装置の例示的な実施形態の概略図である。
【
図14B】DUVリソグラフィ装置の例示的な実施形態の概略図である。
【
図15】光学系における収差を補正する方法の例示的な実施形態の概略的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
特に明記しない限り、同一または機能的に同一である素子には、図において同一の参照符号が付されている。また、図中の記載は、必ずしも一定の縮尺通りではないことに留意されたい。
【0080】
図1は、光学系200の第1実施形態の概略図を示す。光学系200は、ここでは光源LSと、光源LSから入射する光をコリメートするレンズ素子128と、2つのミラー110、210と、更なるレンズ素子128と、更なるレンズ素子128からの光が集束されるウェハ124または対物スライドと、を備える。例えば、光学系200は、顕微鏡またはリソグラフィ装置100A、100Bの照明系である(
図14A、14Bを参照)。
【0081】
光学系200の第2ミラー210は、ミラー本体212からなる。ミラー本体212の表側に、ミラー面214が配置される。ミラー本体212の裏側に、アクチュエータデバイス220が配置される。アクチュエータデバイス220は、機械的応力をミラー本体212に導入することによってミラー面214を変形させるように構成される。一般的な事項を制限することなく、本明細書においては、また以下の図面においても、各々1つのアクチュエータデバイス220のみが示されている。しかしながら、言うまでもなく、ミラー210に複数のそのようなアクチュエータデバイス220を配置して、ミラー面214を高い空間分解能で目標通りに変形させる、および/またはミラー210の全体的な変形を達成することができる。
【0082】
ミラー210のミラー面214を変形させることができるという事実により、収差、すなわち結像誤差を補償することができる。この場合、結像誤差は、特に、光学系200および/または光学系200と結合される更なる光学系の動作状態に依存する。例えば、空間的および/または時間的な温度差および/または温度変動は、アクチュエータデバイス220によって補償することができる。したがって、状態が基準状態に対して閉ループ制御を受ける、または一定に保たれる補償光学系200と称することもできる。好適には、アクチュエータデバイス220は、アクチュエータ素子222を調整する閉ループ制御回路を備える(
図2~8、10、13、14A、または
図14Bを参照)。
【0083】
アクチュエータデバイス220の正確な動作モードについて、以下の図面を参照して詳細に説明する。
【0084】
図2~
図7は各々、アクチュエータデバイス220を有するミラー210の配置の例示的な実施形態の概略図を示す。例示的な実施形態は、アクチュエータデバイス220およびミラー210の特定の配置が異なる。例示的な実施形態の各々は、
図1、14A、または14Bに示されるように、光学系200において使用することができる。
【0085】
図2は、ミラー本体212とミラーキャリア216との間に配置されたアクチュエータデバイス220を示す。ミラーキャリア216は、機械的な固定点を形成する、すなわち剛性が高く、固定されている。アクチュエータデバイス220は、アクチュエータ素子222およびセンサ素子224を備える。この場合、センサ素子224は、ミラー本体212と機械的に接触する。アクチュエータ素子222はミラーキャリア216上に支持される。さらに、アクチュエータ素子222を駆動する駆動電圧VSを提供する駆動ユニット226が存在する。この実施例では、駆動ユニット226が、センサ素子224が出力するセンサ信号SSも検出する。好適には、駆動ユニット226が、閉ループ制御ユニットとして設計される、またはセンサ信号SSに応じて駆動電圧VSを調整する制御ユニットを備える。
【0086】
この配置では、作動方向223は、ミラー面214の面法線に平行である。アクチュエータ素子222は、駆動電圧VSが印加されると、作動方向223に伸びる、または拡大する。ミラーキャリア216が固定されているので、アクチュエータ素子222が伸びると、アクチュエータデバイス220の位置でミラー面214が膨らむ、または変位することになる。ここで、ミラー本体212を、固定された接続素子(図示せず)で、1つまたは複数の点でミラーキャリア216上に支持することが可能である。このような固定された接続素子は、配置された箇所で、例えば、ミラー本体212とミラーキャリア216との間隔を固定する。
【0087】
図3は、ミラー本体212とミラーキャリア216との間に配置されたアクチュエータデバイス220の代替的な実施形態を示す。この場合、センサ素子224は、側面で直接にアクチュエータ素子222上に配置される。この配置において、センサ素子224は、作動方向223に沿うアクチュエータ素子222のあらゆる変形、特に伸びまたは圧縮に、正確に追従する。したがって、アクチュエータ素子222の実際の変形を、センサ信号SSから非常に正確に決定することができる。
【0088】
図4~
図7は各々、アクチュエータデバイス220の異なる統合形態を示す。この場合、
図2および
図3とは対照的に、横方向の、すなわちミラー本体212の平面における作動方向223が使用される。
図4および
図5では、アクチュエータデバイス220がミラー本体212の裏側に接着される、または同様の方法でそれとしっかりと接続される。この場合、センサ素子224は、アクチュエータ素子222とミラー本体212との間に配置される(
図4)、またはアクチュエータ素子222の裏側に配置される(
図5)。
図4に示される配置では、センサ素子224は、アクチュエータ素子222によって発生される任意の機械的応力をミラー本体212に伝達する。特に、センサ素子224は、アクチュエータ素子222と、またセンサ素子224と直接に接触するミラー本体212の領域と、同じ変形を受ける。アクチュエータ素子222に対して伸張または短縮することができる横方向の作動223によって、ミラー本体212に機械的応力を発生させる。その結果、ミラー面214が対応して変形する。
【0089】
図6および
図7の例示的な実施形態では、アクチュエータ素子222およびセンサ素子224は、マトリクスMX内に埋め込まれる。マトリクスMXは、特に、アクチュエータ素子222と同じ材料クラスの材料からなる。センサ素子224は、好適には、電歪セラミック材料からなる。有利には、アクチュエータ素子222、センサ素子224、およびマトリクスMXは、実質的に均質な材料層221を形成する。この材料層221は、ミラー本体212の裏側に、二次元の平面的に、好適には全面に亘って、固定される。アクチュエータ素子222およびセンサ素子224のアクティブ領域は、マトリクスMX内の電極の配置によって画定される。これらの実施形態では、アクチュエータ素子222のミラー本体212との機械的結合が特に強力である。これは、ミラー面214の達成可能な最大変形に対して有利な効果を有する。
【0090】
図2~
図7に示す例示的な実施形態は、所望に応じて互いに組み合わせることもできる。
【0091】
図8は、アクチュエータデバイス220を有するミラー210の配置の例示的な第4実施形態の概略図を示す。基本的な配置は、
図7に示される配置に対応する。アクチュエータデバイス220は、ここでは、サンドイッチ状にアクチュエータ素子222を包囲する2つのセンサ素子224を有する。有利にも、2つのセンサ素子224は、異なる化学組成を有する。そのため、これらは、温度および変形に異なる従属性を有する。したがって、2つのセンサ信号SSから、各々のセンサ素子224の、変形だけでなく、温度も確認することができる。この場合、これは、このために特に設定された確認ユニット230によって行われる。
【0092】
図9は、ここでは複数の個々の層L1~Lnからなるアクチュエータ素子222の構造の例示的な実施形態の概略図を示す。電極A1は、最上層L1上に配置される。電極A1は、ここでは、例えばアノードとして動作する。最上層L1と、その下に隣接して配置された層L2との間には、ここではカソードとして動作する更なる電極K1が配置される。アノードA1およびカソードK1は、サンドイッチ状に最上層L1を包囲するといえる。アノードA1とカソードK1との間に印加される駆動電圧VS(
図2~8または
図10~13を参照)は、層L1内に電場を形成する。アノードA1およびカソードK1の役割もまた、実施形態において逆にすることができる。その場合、電場の方向が逆になる。
【0093】
上部からの第2層L2と上部からの第3層L3との間に、再度電極A2が配置される。電極A2は、アノードとして動作する。ここで、カソードK1は、隣接する層L1およびL2のための共通のカソードを形成することが分かる。アノードA2もまた、隣接する層L2およびL3のための共通のアノードを形成する。
【0094】
この実施例では、この層状構造が、所望の層数に達するまで継続される。最低層Lnの下には、終端電極Knが配置される。終端電極Knは、この実施形態においてカソードとして動作する。共通電極A1~An、K1~Knを有するこの交互の構造では、電歪材料が、特に、機械的歪みが分極の二乗に比例する。そのため、電場の方向が異なるにもかかわらず、層L1~Lnは同じ方向に変形を生じる。
【0095】
機械的歪みが分極に比例する電歪材料が使用される他の実施形態では、電極A1~An、K1~Knは、全ての層L1~Lnにおける電場が同じ方向を向くように配置され、駆動されるべきである。さもなければ、層L1~Lnが相互に逆に動作するためである。
【0096】
層L1~Lnの層厚は、層L1~Ln各々で異なることができる。好適には、異なる層L1~Lnの層厚は、実質的に同じであり、10μm~500μmの範囲から選択される。この場合、同様に、材料組成は、例えば異なる電歪特性を達成するために、層L1~Lnの各々で異なるように選択することができる。
【0097】
更なる実施形態において、センサ素子224は、アクチュエータ素子222のために
図9に示されたような、層状構造を有する。この場合、特に、異なる層L1~Lnのために異なる化学組成を使用することは、個々の層L1~Lnのセンサ信号SSの比較を使用して、機械的応力だけでなく、更なる影響変数を、特に層L1~Lnの温度を導出して決定できるという利点を有する。
【0098】
図10は、複数のアクチュエータ素子222と、複数のセンサ素子224と、駆動ユニット226と、を備えるアクチュエータデバイス220の例示的な実施形態の概略図を示す。この場合、積層体を形成する3つのセンサ素子224および2つのアクチュエータ素子222が設けられる。ここで、アクチュエータ素子222は、例えば各々が電歪材料からなる3つの層L1~L3を備える。
【0099】
センサ素子224のうちの2つは、積層体全体をサンドイッチ状に包囲する。第3センサ素子224は、積層体を中央で分割する。この場合、パッシブ領域は各々、センサ素子224とアクチュエータ素子222との間に配置される。これらは、センサ素子224とアクチュエータ素子222との間に配置された電極が共通電極を構成する実施形態では、省略することもできる。この場合、共通電極は接地されることが好ましい。センサ素子が、有利にも、バイアス電圧なしで動作するためである。
【0100】
駆動ユニット226は、ここでは、アクチュエータ素子222のための駆動電圧VSを提供するために閉ループ制御を受ける電圧源と、測定交流電圧VMを用いて各々のセンサ素子224のセンサ信号SSを発生させるように構成された3つの測定ユニットと、を備える。測定交流電圧VMは、この場合、好適には、相互干渉を回避するために異なる周波数を有する。更なる実施形態では、複数のアクチュエータ素子222を、異なる駆動電圧VSで動作させることもできる。
【0101】
図11は、例示的な電歪層に対する、物理的変数の挙動、すなわち機械的応力σ、駆動電圧VSに対して達成されるたわみeの勾配∂e/∂VS、および駆動電圧の関数としての誘電率χの、3つの図を示す。この例示的な電歪層は、アクチュエータ素子222(
図2~10または13を参照)またはセンサ素子224(
図2~8、10または13を参照)で使用することができる。変数σ、e、およびχは、任意の単位で示される。駆動電圧VSのスケールとして、ボルトの単位が選択される。電歪材料は、特に、組成PMN
xP
t1-xを有する材料である。示された曲線は、層の機械的に自由な状態、すなわち、機械的なプレストレスがなく、層が剛性材料系に埋め込まれていない状態に関する。
【0102】
上の図は、駆動電圧VSで駆動される層によって供給または発生される機械的応力σ(単位:N/m2またはPa)を示す。駆動電圧VS=0の場合、層はいかなる機械的応力σも発生しない。同様に、小さい駆動電圧VSは、ごくわずかな機械的応力σしかもたらさないことが分かる。駆動電圧VSがわずかである場合、発生される機械的応力σは、例えば、駆動電圧VSの二乗に比例する。
【0103】
中央の図は、駆動電圧VSに関連して達成されるたわみeの勾配を、駆動電圧VSの関数として示している。
【0104】
下の図は、駆動電圧VSの関数としての誘電率χを示す。誘電率χは、駆動電圧VS=0において最大値を有することが分かる。
【0105】
図12に示されるように、駆動電圧VS=0の場合の誘電率χは、機械的応力に関して非常に高い感度を更に有する。
図12において、駆動電圧VSの関数としての誘電率χの複数の曲線が1つの図において示される。図示された5つの曲線1~5は、この場合、層の変形が異なる。例えば、曲線3は、機械的に自由な、または応力を受けていない状態に対応する。曲線1および2は、例えば、ppm領域における層の伸長に対応し、例えば、曲線1については10ppm、曲線2については5ppmである。曲線4および5は、例えば、ppm領域における層の圧縮に対応し、例えば、曲線4については5ppm、曲線5については10ppmである。誘電率χのこの感度最大値のために、この物理的変数は、層の変形、特にセンサ素子224における層の変形を決定するための測定変数として、特によく適している。誘電率χは、この場合、測定交流電圧Vを用いたインピーダンス測定によって決定することができる。
【0106】
図13は、アクチュエータデバイス220における閉ループ制御回路の例示的な実施形態の概略的なブロック図を示す。この場合、駆動ユニット226は、閉ループ制御ユニットとして設計される。閉ループ制御ユニット226は、外部から、例えば制御コンピュータ(図示せず)を介して、アクチュエータデバイス220がアクチュエータ素子222を用いて供給または発生すべき所定の機械的目標応力σ
sを受けとる。次いで、閉ループ制御ユニット226は、駆動電圧VSでアクチュエータ素子222を駆動する。駆動電圧VSは、好適には、例えばアクチュエータ素子222の特性測定から既知である機械的目標応力σ
sを、良好な条件下で正確に達成する駆動電圧VSであるように選択される。しかしながら、ヒステリシスまたは様々な周囲の影響により、アクチュエータ素子222が、機械的目標応力σ
sをわずかに逸する可能性がある。
【0107】
センサ素子224は、アクチュエータ素子222で変形される。変形の程度は上述のように確認することができる。これは、この場合、センサ信号SSによって表される。センサ信号SSは、特に、センサ素子224の変形、ひいてはセンサ素子224において達成される機械的応力σの特性である。センサ素子224がアクチュエータ素子222に直接に結合することにより、センサ素子224における機械的応力σは、アクチュエータ素子222における機械的応力σに実質的に対応する。したがって、センサ信号SSは、閉ループ制御信号として適している。そのため、閉ループ制御ユニット226は、センサ信号SSに基づいてアクチュエータ素子222の駆動電圧VSを再調整する。
【0108】
この場合、閉ループ制御サイクルは、例えば、10Hz~1kHzの間の閉ループ制御周波数に対応して、1ms~100msの範囲で持続することができる。
【0109】
図14Aは、EUVリソグラフィ装置100Aの概略図を示す。EUVリソグラフィ装置100Aは、ビーム形成・照明系102と、ここでは投影系として設計された光学系200とを含む。この場合、EUVは「極紫外線(extreme ultraviolet)」を表し、0.1nmと30nmとの間の作業光の波長を示す。ビーム形成・照明系システム102および投影系200は各々、真空ハウジング(図示せず)内に設けられる。各真空ハウジングは、排気装置(図示せず)で真空引きされる。真空ハウジングは、機械室(図示せず)に包囲される。機械室内には、機械的に光学素子を移動または設定するための駆動装置が設けられている。さらに、この機械室内に、電気制御部を設けてもよい。
【0110】
EUVリソグラフィ装置100Aは、EUV光源106Aを備える。EUV光源106Aとして、例えば、5nmから20nmの波長領域にあるEUV領域(極紫外線領域)の放射光線108Aを放射するプラズマ源(またはシンクロトロン)を設けることができる。ビーム形成・照明系102において、EUV放射光線108Aを収束させ、所望の動作波長がEUV放射光線108Aからフィルタリングされる。EUV光源106Aによって発生されるEUV放射光線108Aは、空気中の透過率が比較的低い。そのために、ビーム形成・照明系102および投影系200におけるビームガイド空間が真空引きされる。
【0111】
図14Aに示すビーム形成・照明系102は、5個のミラー110、112、114、116、118を有する。ビーム形成・照明系102を通過した後に、EUV放射光線108Aはフォトマスク(レチクル)120へ誘導される。フォトマスク120は、同様に反射光学素子として設計され、系102、104の外部に配置することができる。さらに、EUV放射光線108Aは、ミラー122を用いてフォトマスク120へ向けることができる。フォトマスク120は、投影系200を用いて縮小してウェハ124等の上に結像される構造を有する。
【0112】
投影系200(投影レンズとも称する)は、フォトマスク120をウェハ124上に結像する5個のミラーM1~M5を有する。この場合、投影系200の個々のミラーM1~M5を、投影系200の光軸126に対して対称に配置することができる。EUVリソグラフィ装置100AのミラーM1~M5の数は、図示の数に制限されないことに留意されたい。設けられるミラーの数を増減することもできる。さらに、ミラーM1~M5は、通常、ビームを形成するために表側が湾曲している。
【0113】
投影系200は、さらに、更なるミラー210を備える。その裏側には、多数のアクチュエータデバイス220が配置される。その各々は、
図2~8、10、または13によって示されるように設計することができる。各アクチュエータデバイス220は、割り当てられたアクチュエータ素子222と、割り当てられたセンサ素子224とを含む。駆動ユニット226は、センサ信号SSの各々を発生させるために、アクチュエータ素子222を駆動電圧VSで駆動し、測定交流電圧VMをセンサ素子224に印加するように構成される。より明確にするために、ここでは、アクチュエータ素子222およびセンサ素子224の全てを駆動する1つの駆動ユニット226のみが示される。ミラー210の表側は、アクチュエータデバイス220を目標通りに駆動することによって、変形することができる。これによって、光学収差を補正し、リソグラフィプロセスの解像度を高めることができる。
【0114】
有利な実施形態において、センサ素子224によって実際に目標通りの変形が検出され、したがってセンサ信号SSを評価することによって駆動電圧VSが調整可能であることよって、アクチュエータ素子222による閉ループ制御での作動が行われる。この閉ループ制御は、各アクチュエータデバイス220に対して個別に行われる。明確にするために、1つのアクチュエータデバイス220のみと、1つの駆動電圧VSのみと、1つの測定交流電圧VMと、1つのセンサ信号SSと、が示される。
【0115】
投影系200、またはビーム形成・照明系102も、割り当てられたアクチュエータデバイス220を有する更なるミラー210を備えることができる。
【0116】
図14Bは、DUVリソグラフィ装置100Bの概略図を示す。DUVリソグラフィ装置100Bは、ビーム形成・照明系102と、ここでは投影系として設計された光学系200と、を含む。この場合、DUVは「深紫外線(tiefes Ultraviolett)」を表し、30nmと250nmとの間の作業光の波長を示す。
図14Aを参照して既に説明したように、ビーム形成・照明系102および投影系200は、真空ハウジング内に配置することができる、および/または対応する駆動装置を有する機械室によって包囲することができる。
【0117】
DUVリソグラフィ装置100Bは、DUV光源106Bを有する。DUV光源106Bとして、例えば、193nmのDUV領域の放射光線108Bを放射するArFエキシマレーザーを設けることができる。
【0118】
図14Bに示されるビーム形成・照明系102は、DUV放射光線108Bをフォトマスク120上に導く。フォトマスク120は、透過光学素子として形成され、系102、104の外部に配置することができる。フォトマスク120は、投影系200を用いてウェハ124等の上に結像される構造を有する。
【0119】
投影系200は、フォトマスク120をウェハ124上に結像する複数のレンズ素子128および/またはミラー130を備える。この場合、投影系104の個々のレンズ素子128および/またはミラー130を、投影系200の光軸126に対して対称に配置することができる。DUVリソグラフィ装置100Bのレンズ素子128およびミラー130の数は、図示の数に限定されないことに留意されたい。設けられるレンズ素子128および/またはミラー130の数を増減することもできる。さらに、ミラー130は、通常、ビームを形成するために表側が湾曲している。
【0120】
最終レンズ素子128とウェハ124との間の空隙は、>1の屈折率を有する液状媒体132で置換することができる。液状媒体132は、例えば、高純度水とすることができる。このような構造は、液浸リソグラフィとも称され、高いフォトリソグラフィ解像度を有する。媒体132は、浸液とも称することができる。
【0121】
投影系200は、さらに、更なるミラー210を備える。その裏側には、アクチュエータデバイス220が配置される。アクチュエータデバイスは、
図2~8、10、または13に示されるように設計することができる。一般的な事項を制限することなく、ここで1つのアクチュエータデバイス220のみが示される。しかしながら、好適には、多数のアクチュエータデバイス220が存在し、それらの各々を開ループ制御および/または閉ループ制御で、個別に制御できることは言うまでもない。アクチュエータデバイス220は、割り当てられたアクチュエータ素子222と、割り当てられたセンサ素子224とを含む。駆動ユニット226は、センサ信号SSの各々を発生させるために、アクチュエータ素子222を駆動電圧VSで駆動し、測定交流電圧VMをセンサ素子224に印加するように設定される。
【0122】
また、
図14Bには、アクチュエータ素子222によって達成されるべき所定の機械的目標応力σ
sが外部から特定されることが示されている。機械的目標応力σ
sは、例えば、ミラー210の達成されるべき目標変形に基づいて、制御コンピュータによって確認される。ミラー210の表側を目標通りに変形させることによって、リソグラフィプロセスの解像度を高めるために、光学収差の補正が可能である。
【0123】
有利な実施形態において、センサ素子によって実際に目標通りの変形が検出され、したがってセンサ信号SSを評価することによって駆動電圧VSが調整可能であることによって、アクチュエータ素子222による閉ループ制御での作動が行われる。この閉ループ制御は、各アクチュエータデバイス220に対して個別に行われる。明確にするために、1つのアクチュエータデバイス220のみと、1つの駆動電圧VSのみと、1つの測定交流電圧VMと、1つのセンサ信号と、が示される。
【0124】
投影系200、またはビーム形成・照明系102も、割り当てられたアクチュエータデバイス220を有する更なるミラー210を備えることができる。
【0125】
図15は、光学系200のミラー210(
図1~8、または14A、14Bを参照)のミラー面214(
図1~8を参照)を目標通りに変形させることによって、例えば
図1の光学系200において、光学系200の収差を補正する方法の例示的な実施形態の概略的なブロック図を示す。
【0126】
第1ステップS1において、少なくとも1つのアクチュエータ素子222(
図2~8または13を参照)を、ミラー面214(
図2~8または10~13を参照)の特定の変形に応じた駆動電圧VS(
図2~8または10~13を参照)を用いて駆動する。その結果、アクチュエータ素子222に機械的応力が生じる。この機械的応力は、ミラー210のミラー本体212(
図1~8を参照)に伝達され、ミラー面214の局所的な変形をもたらす。
【0127】
第2ステップS2において、センサ信号SS(
図2~8または13を参照)を、少なくとも1つのセンサ素子224(
図2~8または13を参照)によって出力する。この目的のために、測定交流電圧VMを、上述したように、センサ素子224に印加する。
【0128】
第3ステップS3において、センサ素子224の変形を、検出したセンサ信号SSに応じて確認する。そこから、ミラー面214の変形が達成されたことを決定することができる。
【0129】
任意選択の第4ステップS4において、ミラー面214の所定の変形が達成されるように、駆動電圧VSを閉ループ制御する。この目的のために、例えば、所定の変形を達成した変形と比較する。これによって、所定の変形を達成するためには、駆動電圧VSがより高い、またはより低い必要があるかを示す。
【0130】
本発明は、例示的な実施形態を参照して説明されたが、多様な方法で変更可能である。特に、記載した物理的変数の多くは、他の変数と相互に交換可能である。したがって、機械的応力の代わりに、力または機械的歪み、または変形を指すこともできる。さらにセンサ信号は、各々の材料パラメータが既知であればすべて相互に変換可能な誘電率、インピーダンス、分極、静電容量等に依存するといえる。
【0131】
特に、本発明によれば、アクチュエータデバイスにおけるアクチュエータ素子に対して、センサ素子の可能性のある配置が多数与えられる。この場合、異なる位置は、特定の用途に応じて有利となり得る。さらに、1つのアクチュエータ素子において異なる配置を組み合わせることによって、検出精度を高めることができる。
【0132】
さらに、駆動電圧を制御するための閉ループ制御回路は、本発明をいかなる特定の方法に限定することなく、多様な態様で実施または実現することができる。
【符号の説明】
【0133】
1 関数曲線
2 関数曲線
3 関数曲線
4 関数曲線
5 関数曲線
100A EUVリソグラフィ装置
100B DUVリソグラフィ装置
102 ビーム形成・照明系
106A EUV光源
106B DUV光源
108A EUV放射光線
108B DUV放射光線
110 ミラー
112 ミラー
114 ミラー
116 ミラー
118 ミラー
120 フォトマスク
122 ミラー
124 ウェハ
126 光軸
128 レンズ素子
130 ミラー
132 媒体
200 光学系
210 ミラー
212 ミラー本体
214 ミラー面
216 ミラーキャリア
220 アクチュエータデバイス
221 層
222 アクチュエータ素子
223 作動方向
224 センサ素子
226 駆動ユニット
230 確認ユニット
A1 アノード
A2 アノード
A3 アノード
An アノード
K1 カソード
K2 カソード
K3 カソード
Kn カソード
L1 層
L2 層
L3 層
Ln 層
LS 光源
MX マトリクス
M1 ミラー
M2 ミラー
M3 ミラー
M4 ミラー
M5 ミラー
S1 方法のステップ
S2 方法のステップ
S3 方法のステップ
S4 方法のステップ
SS センサ信号
VM 測定交流電圧
VS 駆動電圧
χ 誘電率
σ 機械的応力
σs 機械的応力
【手続補正書】
【提出日】2022-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系(200)であって、ミラー本体(212)およびミラー面(214)を備える少なくとも1つのミラー(210)と、前記ミラー面(214)を変形させるために前記ミラー本体(212)に結合された少なくとも1つのアクチュエータデバイス(220)と、を有する光学系(200)において、前記アクチュエータデバイス(220)は、
電気的駆動電圧(VS)に応じて前記ミラー面(214)を変形させるために前記ミラー本体(212)に機械的応力を発生させる少なくとも1つの電歪型アクチュエータ素子(222)と、
少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)であって、前記センサ素子(224)の変形に応じてセンサ信号(SS)を出力し、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、前記アクチュエータ素子(222)に直接に隣接して配置される、および/または前記ミラー本体(212)の前記ミラー面(214)とは反対の側に少なくとも前記アクチュエータ素子(222)によって前記ミラー本体(212)から分離されて配置される、および/または、少なくとも部分的に、前記アクチュエータ素子(222)によって発生される前記機械的応力を前記ミラー本体(212)に伝達するために構成されるように配置される、少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)と、を備え、
前記アクチュエータデバイス(220)は、前記ミラー面(214)が前記アクチュエータ素子(222)の前記電気的駆動電圧(VS)に応じて変形可能であるように、前記ミラー本体(212)に結合され
、前記アクチュエータ素子(222)は、前記ミラー本体(212)の前記ミラー(214)とは反対の側に配置される、光学系(200)。
【請求項2】
請求項1に記載の光学系であって、前記ミラー本体(212)に所定の機械的応力が達成されるように、前記センサ素子(224)によって出力される前記センサ信号(SS)に応じて前記アクチュエータ素子(222)のための前記駆動電圧(VS)を制御する閉ループ制御ユニットを更に備える、光学系。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)および前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、モノリシックに製造される、光学系。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)および前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、前記ミラー本体(212)の前記ミラー面(214)とは反対の側で前記ミラー(210)上に配置された層(221)に一体化される、光学系。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、少なくとも部分的に、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)と前記ミラー本体(212)との間で前記ミラー面(214)の面法線に沿う方向に配置される、光学系。
【請求項6】
請求項1~5の何れか一項に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)および前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は各々、電歪材料製の少なくとも1つの層(L1、…、Ln)を含む、光学系。
【請求項7】
請求項6に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)は、電歪材料製の複数の層(L1、…、Ln)を備え、前記複数の層の各層(L1、…、Ln)は、割り当てられたカソード(K1~Kn)および割り当てられたアノード(A1~An)を備え、各々の駆動電圧(VS)で駆動可能である、光学系。
【請求項8】
請求項6または7に記載の光学系であって、前記少なくとも1つのアクチュエータ素子(222)および前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、少なくとも2つの層(L1、…、Ln)を含む層スタック(SL)を形成する、光学系。
【請求項9】
請求項1~8の何れか一項に記載の光学系であって、前記アクチュエータデバイス(220)は少なくとも2つのセンサ素子(224)を備え、前記少なくとも2つのセンサ素子(224)の電歪材料の材料組成は異なり、前記少なくとも2つのセンサ素子(224)の各々が、センサ信号(SS)を出力するように構成される、光学系。
【請求項10】
請求項9に記載の光学系であって、前記少なくとも2つのセンサ素子(224)によって出力される前記センサ信号(SS)に応じて前記ミラー本体(212)内の温度を確認する確認ユニット(230)が設けられる、光学系。
【請求項11】
請求項9または10に記載の光学系であって、測定ユニットは、測定交流電圧(VM)を前記少なくとも2つのセンサ素子(224)に印加して前記センサ信号(SS)を発生させるために設けられ、前記測定交流電圧(VM)の周波数は、異なるセンサ素子(224)に対して異なる、光学系。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載の光学系であって、前記アクチュエータデバイス(220)は、複数のM個のアクチュエータ素子(222)および複数のN個のセンサ素子(224)を備え、NおよびMは整数であり、前記アクチュエータ素子(222)および前記センサ素子(224)は交互に配置される、光学系。
【請求項13】
請求項2~12の何れか一項に記載の光学系であって、前記アクチュエータデバイス(220)は、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)から出力されるセンサ信号(SS)の値を、キャリブレーション測定に基づいて前記ミラー面(214)の達成される変形に割り当てるように構成された割り当てユニットを含み、前記閉ループ制御ユニットは、割り当てられた値および前記ミラー面(214)の所定の変形に応じて前記駆動電圧(VS)を制御するように構成される、光学系。
【請求項14】
請求項1~13の何れか一項に記載の光学系であって、複数のアクチュエータデバイス(220)は前記少なくとも1つのミラー(210)に配置され、前記複数のアクチュエータデバイス(220)の各々は、個別に制御可能である、光学系。
【請求項15】
請求項1~13の何れか一項に記載の光学系(200)を有するリソグラフィ装置(110A、100B)。
【請求項16】
アクチュエータデバイス(220)に結合されたミラー(210)の光学系(200)における使用であって、前記ミラー(210)は、ミラー本体(212)およびミラー面(214)を備え、前記アクチュエータデバイス(220)は、
電気的駆動電圧(VS)に応じて前記ミラー面(214)を変形させるために前記ミラー本体(212)に機械的応力を発生させる少なくとも1つの電歪型アクチュエータ素子(222)と、
少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)であって、前記センサ素子(224)の変形に応じてセンサ信号(SS)を出力し、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、前記アクチュエータ素子(222)に直接に隣接して配置される、および/または前記ミラー本体(212)の前記ミラー面(214)とは反対の側に少なくとも前記アクチュエータ素子(222)によって前記ミラー本体(212)から分離されて配置される、および/または、少なくとも部分的に、前記アクチュエータ素子(222)によって発生される前記機械的応力を前記ミラー本体(212)に伝達するために構成されるように配置される、少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)と、を備え、
前記アクチュエータデバイス(220)は、前記ミラー面(214)が前記電気的駆動電圧(VS)に応じて変形されるように前記ミラー本体(212)に結合され
、前記アクチュエータ素子(222)は、前記ミラー本体(212)の前記ミラー(214)とは反対の側に配置される、使用。
【請求項17】
光学系(200)を動作させる方法であって、前記光学系(200)は、ミラー本体(212)およびミラー面(214)を備えるミラー(210)と、前記ミラー面(214)を変形させるために前記ミラー本体(212)に結合されたアクチュエータデバイス(220)と、を備え、
アクチュエータ素子(222)は、前記ミラー本体(212)の前記ミラー(214)とは反対の側に配置され
前記アクチュエータデバイス(220)の電歪型アクチュエータ素子(222)を電気的駆動電圧(VS)で駆動するステップであって、その結果、前記ミラー本体(212)に機械的応力が発生され、前記ミラー面(214)が変形されるステップと、
前記アクチュエータデバイス(220)の少なくとも1つの電歪型センサ素子(224)を用いて、前記センサ素子(224)の変形に応じてセンサ信号(SS)を検出するステップであって、前記少なくとも1つのセンサ素子(224)は、前記アクチュエータ素子(222)に直接に隣接して配置される、および/または前記ミラー本体(212)の前記ミラー面(214)とは反対の側に少なくとも前記アクチュエータ素子(222)によって前記ミラー本体(212)から分離されて配置される、および/または、少なくとも部分的に、前記アクチュエータ素子(222)によって発生される前記機械的応力を前記ミラー本体(212)に伝達するために構成されるように配置されるステップと、
前記ミラー面(214)の変形を、検出した前記センサ信号(SS)に応じて確認するステップと、を含む方法。
【国際調査報告】