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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-31
(54)【発明の名称】生分解性グラフトポリマー
(51)【国際特許分類】
   C08F 283/06 20060101AFI20230324BHJP
   C11D 7/22 20060101ALI20230324BHJP
   C11D 3/37 20060101ALI20230324BHJP
   C11D 3/395 20060101ALI20230324BHJP
   C11D 3/40 20060101ALI20230324BHJP
   C11D 3/42 20060101ALI20230324BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20230324BHJP
   C11D 3/50 20060101ALI20230324BHJP
   C11D 17/08 20060101ALI20230324BHJP
   C11D 17/06 20060101ALI20230324BHJP
   C11D 1/00 20060101ALI20230324BHJP
【FI】
C08F283/06
C11D7/22
C11D3/37
C11D3/395
C11D3/40
C11D3/42
C11D3/48
C11D3/50
C11D17/08
C11D17/06
C11D1/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022548211
(86)(22)【出願日】2021-02-12
(85)【翻訳文提出日】2022-08-08
(86)【国際出願番号】 EP2021053541
(87)【国際公開番号】W WO2021160851
(87)【国際公開日】2021-08-19
(31)【優先権主張番号】20157383.9
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】Carl-Bosch-Strasse 38, 67056 Ludwigshafen am Rhein, Germany
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー、ヤン・オレ
(72)【発明者】
【氏名】ベンラーマー、ウィダッド
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー、ナタリア
(72)【発明者】
【氏名】ビュクセ、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ムー
(72)【発明者】
【氏名】シ、ガン
(72)【発明者】
【氏名】ヒェルスケッター、フランク
(72)【発明者】
【氏名】ゴルチンスカ・コステロ、カタルジナ
(72)【発明者】
【氏名】サヴェイン、ピーター・ヤン・マリア
(72)【発明者】
【氏名】ステルジョプル、ナタリア
(72)【発明者】
【氏名】ブティーク、ジャンポル
(72)【発明者】
【氏名】メース、ジェフ・アニー・アルフォンス
(72)【発明者】
【氏名】ビーン、ジェシカ・エレノア
(72)【発明者】
【氏名】マルチェフスキ、ダヴィド
(72)【発明者】
【氏名】ベーン、ローランド
【テーマコード(参考)】
4H003
4J026
【Fターム(参考)】
4H003AA01
4H003AB03
4H003AB31
4H003AC15
4H003BA09
4H003BA12
4H003BA15
4H003BA18
4H003BA19
4H003DA01
4H003DA05
4H003DA17
4H003DB01
4H003DC02
4H003EA19
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003EB14
4H003EB28
4H003EB33
4H003EB36
4H003EC01
4H003EC02
4H003ED02
4H003ED28
4H003FA04
4H003FA08
4H003FA12
4H003FA18
4H003FA26
4H003FA34
4J026AB20
4J026BA20
4J026BA40
4J026BB01
(57)【要約】
本発明は、その上にグラフト化されたポリマー側鎖(B)を有する、グラフトベースとしてブロックコポリマー骨格(A)を含む新規グラフトポリマーに関する。ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)と、任意選択的な更なるモノマー(B2)としての任意選択的なN-ビニルピロリドンとの重合によって得ることができる。最も好ましくは、ブロックコポリマー骨格(A)は、ポリエチレンオキシド(PEG)とポリプロピレンオキシド(PPG)とのトリブロックコポリマーである。本発明は更に、そのようなグラフトポリマーを得るためのプロセスに関し、このプロセスは、好ましくはフリーラジカル重合によって実行される。更に、本発明は、例えば、布地及びホームケア製品内でのそのようなグラフトポリマーの使用に関する。本発明の別の主題は、そのようなグラフトポリマーを含有する、布地及びホームケア製品である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラフトポリマーであって、
(A)グラフトベースとしてのブロックコポリマー骨格であって、前記ブロックコポリマー骨格(A)は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーを重合することによって得ることができ、前記ブロックコポリマー骨格(A)は、3つ以上のアルキレンオキシドブロックを有する、ブロックコポリマー骨格と、
(B)前記ブロックコポリマー骨格(A)上にグラフト化されたポリマー側鎖であって、前記ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)の重合によって得ることができる、ポリマー側鎖と、を含み、
前記ビニルエステルモノマー(B1)は、B1モノマーの少なくとも50重量%の酢酸ビニルを含み、
前記ポリマーは、0超のOGを有し、
OG=aEO+b -c(M×SUB)-d+eSUB+hであり、
式中、
「M」は、前記ブロックコポリマー骨格(A)の数平均分子量であり、
「EO」は、骨格(A)中に存在する総アルキレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分のモル比であり、EOは、0~1.00未満の範囲内であり、「SUB」は、前記ポリマーの重量に対するポリマー側鎖(B)の重量パーセントであり、
「a」は係数であり、7.06に等しく、
「b」は係数であり、5.63×10-7に等しく、
「c」は係数であり、1.25×10-3に等しく、
「d」は係数であり、7.03×10-3に等しく、
「e」は係数であり、3.66に等しく、
「h」は係数であり、16.3に等しい、グラフトポリマー。
【請求項2】
前記グラフトポリマーが、0超のFJもまた有し、
FJ=aEO-b +d+eSUB-fSUB-g(EO×SUB)-hであり、
式中、
「a」は係数であり、446に等しく、
「b」は係数であり、4.02×10-6に等しく、
「d」は係数であり、0.0168に等しく、
「e」は係数であり、281に等しく、
「f」は係数であり、229に等しく、
「g」は係数であり、1140に等しく、
「h」は係数であり、83.6に等しい、請求項1に記載のグラフトポリマー。
【請求項3】
前記ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)及び少なくとも1つのN-ビニルピロリドンモノマー(B2)の重合によって得ることができる、請求項1又は2に記載のグラフトポリマー。
【請求項4】
「SUB」が、前記ポリマーの重量に対するビニルエステルモノマー側鎖(B1)の重量パーセントである、請求項1~3のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項5】
前記グラフトポリマーが、(前記グラフトポリマーの総重量に対して)20重量%~95重量%の前記ブロックコポリマー骨格(A)と、5重量%~80重量%の前記ポリマー側鎖(B)と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項6】
前記ブロックコポリマー骨格(A)が、
(i)エチレンオキシド、1,2プロピレンオキシド、又は1,2-ブチレンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーの重合によって得ることができ、かつ/又は
(ii)使用される前記少なくとも2つのモノマーのうちの1つがエチレンオキシドであり、かつ/又は
(iii)前記ブロックコポリマー骨格(A)内の個々のアルキレンオキシドブロックの数(x)が整数であり、xは3~10の値を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項7】
ブロックコポリマー骨格(A)が、エチレンオキシドを含む、請求項6に記載のグラフトポリマー。
【請求項8】
前記ブロックコポリマー骨格(A)内の個々のアルキレンオキシドブロックの数(x)が整数であり、xは3~5の値を有する、請求項6に記載のグラフトポリマー。
【請求項9】
(i)前記グラフトポリマーが、800~10,000g/molの重量平均分子量Mを有し、かつ/又は
(ii)前記グラフトポリマーが、3.0未満の多分散性M/Mを有し、式中、
「M」=重量平均分子量[g/mol]であり、
「M」=数平均分子量[g/mol]であり、かつ/又は
(iii)前記ブロックコポリマー骨格(A)が、一方又は両方の末端基でキャッピングされており、かつ/又は
(iv)前記ブロックコポリマー骨格(A)が、ポリエチレンオキシド(PEG)とポリプロピレンオキシド(PPG)とのトリブロックコポリマーである、請求項1~8のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項10】
前記ブロックコポリマー骨格(A)が、式(A1)及び/又は式(A2)による構造を有し、
式(A1)は、以下のように定義され、
【化1】
式中、
「n」は、2~100の範囲の整数であり、
「m」は、2~100の範囲の整数であり、
式(A2)は、以下のように定義され、
【化2】
式中、
「o」は、2~100の範囲の整数であり、
「p」は、2~100の範囲の整数である、請求項1~9のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項11】
前記ポリマー側鎖(B)が、
(B1)((B1)及び(B2)の合計に対して)50~100重量%の、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)と、
(B2)((B1)及び(B2)の合計に対して)0~50重量%の、更なるモノマー(B2)としてのN-ビニルピロリドンとのラジカル重合によって得ることができ、
前記ポリマー側鎖(B)は、任意選択的に重合後に完全に又は部分的に加水分解される、請求項1~10のいずれか一項に記載のグラフトポリマー。
【請求項12】
請求項1~11のうちの一項に記載の少なくとも1つのグラフトポリマーを得るためのプロセスであって、少なくとも1つのモノマー(B1)は、少なくとも1つのブロックコポリマー骨格(A)の存在下で重合され、
前記プロセスは、反応混合物中の未変換グラフトモノマー(B1)及び開始剤(C)の画分が、前記ブロックコポリマー骨格(A)に対して量的に不足している状態を常に維持する方法で、前記開始剤(C)の分解半減期が40~500分である平均重合温度において、少なくとも1つのブロックコポリマー骨格(A)、フリーラジカル形成開始剤(C)、及び少なくとも1つの有機溶媒(D)の存在下でポリマー側鎖(B)を得るための、酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルから選択される少なくとも1つのモノマー(B1)の重合を含み、
任意に、前記ポリマー側鎖(B)は、ラジカル重合によって得られる、プロセス。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の少なくとも1つのグラフトポリマーを含む、布地及びホームケア製品。
【請求項14】
前記製品が、液体、ゲル、粉末、ヒドロコロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、単区画サッシェ、パッド、多区画サッシェ、単区画パウチ、又は多区画パウチの形態の組成物である、請求項13に記載の製品。
【請求項15】
前記製品が、界面活性剤、酵素、洗剤ビルダー、錯化剤、ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性増強ポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、布地コンディショナー、クレー、泡増進剤、泡抑制剤、防食剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、香料、飽和若しくは不飽和脂肪酸、移染防止剤、キレート剤、色相染料、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、視覚シグナル伝達成分、消泡剤、構造化剤、増粘剤、固結防止剤、デンプン、砂、ゲル化剤、又はこれらの任意の組み合わせから選択される成分を更に含む組成物である、請求項13~14に記載の製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その上にグラフト化されたポリマー側鎖(B)を有する、グラフトベースとしてブロックコポリマー骨格(A)を含む新規グラフトポリマーに関する。ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)の重合によって得ることができる。最も好ましくは、ブロックコポリマー骨格(A)は、ポリエチレンオキシド(PEG)とポリプロピレンオキシド(PPG)とのトリブロックコポリマーである。本発明は更に、そのようなグラフトポリマーを得るためのプロセスに関し、このプロセスは、好ましくはフリーラジカル重合によって実行される。更に、本発明は、布地及びホームケア製品内でのそのようなグラフトポリマーの使用に関する。本発明の別の主題は、そのようなグラフトポリマーを含有する、布地及びホームケア製品である。
【背景技術】
【0002】
特に化粧品製品において、マイクロプラスチックを禁止するイニシアチブは、様々な状態で既に導入されている。この不溶性マイクロプラスチック禁止に加えて、消費者製品に使用される可溶性ポリマーの将来的な要件について、熱心に話し合いが行われている。したがって、そのような用途のために新しい良好な生分解性成分を特定することが非常に望ましい。炭素のみ骨格(酸素などのヘテロ原子を含まない骨格)は微生物による分解が特に困難であるため、この問題は主に、炭素のみ骨格に基づくラジカル重合によって生成されるポリマーにとって深刻である。ポリエチレングリコール骨格を有する工業的に重要なラジカル生成グラフトポリマーであっても、廃水中で限定された生分解性しか示せない。しかしながら、本発明に記載されるポリマーは、好ましくはラジカルグラフト重合によって生成され、最新技術と比較して、強化された生分解特性を提供する。
【0003】
国際公開第2007/138053号は、グラフトベースとしての水溶性ポリアルキレンオキシド(A)と、ビニルエステル成分(B)の重合により形成される側鎖とに基づく両親媒性グラフトポリマーを開示しており、このポリマーは、アルキレンオキシド単位50個当たり1個未満の平均グラフト部位、及び3000~100000の平均モル質量Mを有する。しかしながら、国際公開第2007/138053号は、ブロックコポリマーに基づくいかなる骨格材料について説明していない。更に、国際公開第2007/138053号は、そこに開示されるそれぞれのグラフトポリマーの生分解性に関していかなる開示も含んでいない。
【0004】
Y.Zhang et al.J.Coll.Inter.Sci 2005,285,80は、プルロニック(登録商標)型骨格に基づく特定のグラフト化ポリマーの合成及び特性評価に関する。Pluronicポリ(エチレンオキシド)-b-ポリ(プロピレンオキシド)-b-ポリ(エチレンオキシド)(PEO-PPO-PEO)ブロックコポリマーは、ジオキサン中のPluronicへの同時連鎖移動を伴うビニルピロリドンのフリーラジカル重合によってポリ(ビニルピロリドン)とグラフト化される。しかしながら、Y.Zhangは、それぞれのグラフトポリマーのポリマー側鎖がビニルエステルモノマーに基づいていることを開示していない。更に、Y.Zhangは、そこに開示されるグラフトポリマーの生分解性に関していかなる開示も有していない。Y.Zhangはまた、布地及びホームケア製品内でのそのようなグラフトポリマーの使用に関するいかなる開示も含んでいない。
【0005】
国際公開第03/042262号は、(A)モノエチレン性不飽和単位を含まないポリマーグラフト骨格と、(B)2つの異なるモノエチレン性不飽和モノマー(B1)及び(B2)のコポリマーから形成されたポリマー側鎖と、を含むグラフトポリマーに関し、(B1)及び(B2)のそれぞれは窒素含有複素環を含み、それによって、側鎖(B)の量の割合は、全ポリマーの35~55重量%になる。しかしながら、国際公開第03/042262号によるグラフトポリマーは、骨格上にグラフトされたそれぞれのポリマー側鎖内のビニルエステルモノマーに基づくものではない。それ以外に、国際公開第03/042262号は、そこに開示されるグラフトポリマーの生分解性に関連するいかなる開示も有していない。
【0006】
米国特許第5,318,719号は、ビルダー特性、抗フィルム化性、分散性、及び閾結晶抑制特性を有し、(a)酸官能性モノマーと、任意に(b)ポリアルキレンオキシド及び/又はポリアルコキシル化材料を含む生分解性基材にグラフト化された、(a)と共重合可能な他の水溶性モノエチレン性不飽和モノマーと、を含む、新規クラスの生分解性水溶性グラフトコポリマーに関する。しかしながら、米国特許第5,318,719号は、それぞれのグラフトポリマー内のブロックコポリマー骨格の使用を開示していない。更に、このグラフトポリマーのそれぞれの側鎖は、アクリル酸又はメタクリル酸などの多量の酸官能性モノマーを必ず含む。そのようなタイプの酸モノマーは、本発明の文脈において有用ではない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、新規グラフトポリマーを提供することである。更に、これらの新規グラフトポリマーは、洗浄組成物などの組成物内で用いられる場合、生分解性及びその洗浄挙動に関して有益な特性を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、
(A)グラフトベースとしてのブロックコポリマー骨格であって、当該ブロックコポリマー骨格(A)は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーを重合することによって得ることができ、当該ブロックコポリマー骨格(A)は、3つ以上のアルキレンオキシドブロックを有する、ブロックコポリマー骨格と、
(B)ブロックコポリマー骨格(A)上にグラフト化されたポリマー側鎖であって、当該ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)の重合によって得ることができる、ポリマー側鎖と、を含む、グラフトポリマーによって達成され、
ビニルエステルモノマー(B1)は、B1モノマーの少なくとも50重量%の酢酸ビニルを含み、
ポリマーは、0超のOGを有し、
OG=aEO+b -c(M×SUB)-d+eSUB+hであり、
式中、
「M」は、ブロックコポリマー骨格(A)の数平均分子量であり、
「EO」は、骨格(A)中に存在する総アルキレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分のモル比であり、EOは、0~1.00未満の範囲内であり、
「SUB」は、ポリマーの重量に対するポリマー側鎖(B)の重量パーセントであり、
「a」は係数であり、7.06に等しく、
「b」は係数であり、5.63×10-7に等しく、
「c」は係数であり、1.25×10-3に等しく、
「d」は係数であり、7.03×10-3に等しく、
「e」は係数であり、3.66に等しく、
「h」は係数であり、16.3に等しい。
【0009】
好ましいグラフトポリマーはまた、0超のFJを有し、
FJ=aEO-b +d+eSUB-fSUB-g(EO×SUB)-hであり、
式中、
「a」は係数であり、446に等しく、
「b」は係数であり、4.02×10-6に等しく、
「d」は係数であり、0.0168に等しく、
「e」は係数であり、281に等しく、
「f」は係数であり、229に等しく、
「g」は係数であり、1140に等しく、
「h」は係数であり、83.6に等しい。
【0010】
前述の実施形態の好ましいバージョンでは、ブロックコポリマー骨格(A)中の個々のブロックの数(x)は整数であり、xは3~10、好ましくは3~5、より好ましくは3である。
【0011】
本発明によるグラフトポリマーは、例えば、洗浄組成物、並びに/又は、布地及びホームケア製品中で使用され得る。それらは、従来技術による対応するポリマー又はグラフトポリマーと比較して、例えば汚れの再付着及び染みの除去に関して、そのような組成物又は製品中で少なくとも同等の、好ましくは更に改善された抗再付着及び洗浄性能をもたらす。これに加えて、本発明によるグラフトポリマーは、例えば、洗浄組成物、並びに/又は、布地及びホームケア製品中で、そのような組成物又は製品内で用いられる場合、改善された生分解性をもたらす。
【0012】
本発明による生分解性が強化されたグラフトポリマーは、洗濯及び洗浄組成物において有利に使用することができ、それらは、身体汚れ、食品及び油脂汚れ、クレー又はカーボンブラックなどの粒子汚れ、草汚れ、化粧、モーター油などの様々な疎水性及び親水性汚れの、織物又は硬質表面からの界面活性剤による除去を支持し、したがって、その処方の洗濯及び洗浄性能を改善する。
【0013】
更に、グラフトポリマーはまた、洗濯液又は洗浄液中で除去された汚れのより良好な分散をもたらし、表面上への洗濯又は洗浄された物質の再付着を防止する。本明細書では、除去された汚れとして、洗濯プロセス中に存在する全ての典型的な汚れ、例えば、身体汚れ、食品及び油脂汚れ、クレー若しくはカーボンブラックなどの粒子汚れ、草汚れ、化粧、モーター油などが挙げられる。そのような再付着防止効果は、綿、ポリコットン、ポリエステル、ポリエステル/ポリ尿素のコポリマー(Spandex(商標))などを含む、様々な種類の布地において観察され得る。加えて、そのような再付着防止効果はまた、布地向上剤の使用歴がある布地、つまり、布地洗浄が布地向上剤、又は、爽やかさ付与用ビーズ若しくは漂白剤などの他の洗濯添加剤の存在下で実施される場合であっても有効である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書で使用される「ブロックコポリマー(骨格)」という用語は、それぞれのポリマーが共有結合によって連結された少なくとも2つ(2つ以上)のホモポリマーサブユニット(ブロック)を含むことを意味する。2つのブロックコポリマーは、2つの異なるブロック(ホモポリマーサブユニット)を有し、一方、トリブロックコポリマーは、結果として3つの異なるブロック(ホモポリマーサブユニット)を有し、以降も同様である。そのようなブロックコポリマー中の個々のブロックの数は、結果として、n個の異なるブロック(ホモポリマーサブユニット)を含む、「nブロックコポリマー」に限定されない。個々のブロック(ホモポリマーサブユニット)内で、そのようなブロックのサイズ/長さは変化し得る。最も短い/小さいブロックは、2つの個々のモノマー(最小として)に基づく。「ブロックコポリマー」という用語の理解は、以下、特に一般式(A1)又は一般式(A2)による「トリブロックコポリマー」の定義と共に、更に詳細に定義される。
【0015】
本発明は、以下のようにより詳細に指定される。
【0016】
本発明の第1の主題は、
(A)グラフトベースとしてのブロックコポリマー骨格であって、当該ブロックコポリマー骨格(A)は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーを重合することによって得ることができ、当該ブロックコポリマー骨格(A)は、3つ以上のアルキレンオキシドブロックを有する、ブロックコポリマー骨格と、
(B)ブロックコポリマー骨格(A)上にグラフト化されたポリマー側鎖であって、当該ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)の重合によって得ることができる、ポリマー側鎖と、を含む、グラフトポリマーに関し、
ビニルエステルモノマー(B1)は、B1モノマーの少なくとも50重量%の酢酸ビニルを含む。
【0017】
本発明によるグラフトポリマー中のブロックコポリマー骨格(A)対ポリマー側鎖(B)の比は、特定の値に限定されない。当業者に既知の任意の比率を用いることができる。しかしながら、グラフトポリマーは、グラフトポリマーの総重量に対して1重量%超のポリマー側鎖(B)を含むことが理解される(SUB=0.01)。好ましくは、グラフトポリマーは、グラフトポリマーの総重量に対して5重量%超のポリマー側鎖(B)を含む(SUB=0.05)。より好ましくは、グラフトポリマーは、グラフトポリマーの総重量に対して10重量%超のポリマー側鎖(B)を含む(SUB=0.10)。
【0018】
前述の実施形態の好ましいバージョンでは、ブロックコポリマー骨格(A)中の個々のブロックの数(x)は整数であり、xは3~10、好ましくは3~5、より好ましくは3である。
【0019】
グラフトポリマーは、(グラフトポリマーの総重量に対して)20~95重量%のブロックコポリマー骨格(A)と、5~80重量%のポリマー側鎖(B)と、を含むことが好ましい。
【0020】
好ましくは、グラフトポリマーは、(グラフトポリマーの総重量に対して)40~90重量%、より好ましくは50~85重量%、更により好ましくは55~80重量%のブロックコポリマー骨格(A)と、好ましくは10~60重量%、より好ましくは15~50重量%、更により好ましくは20~45重量%のポリマー側鎖(B)と、を含む。
【0021】
ブロックコポリマー骨格(A)自体、並びにそのようなブロックコポリマー骨格を生成する方法は、当業者に既知である。そのようなブロックコポリマー骨格の様々な種類は、例えば、商標シリーズ「Pluronic」(BASF SE(Ludwigshafen,Germany))で市販されている。具体例は、Pluronic PE6100、Pluronic PE6800又はPluronic PE3100である。
【0022】
本発明内で用いられる好適なブロックコポリマー骨格(A)は、例えば、欧州特許第0 362 688号内に記載されている。本発明において、ブロックコポリマー骨格(A)の個々のブロックを調製するために用いられるそれぞれのモノマーは、順に添加されることが好ましい。しかしながら、1つのモノマーから他のモノマーへのフィードの移行において、いわゆる「汚れた構造」を生成することが可能であり、それぞれのブロックの縁/境界では、それぞれの隣接ブロックの少数のモノマーが、考慮される個々のブロック内に含まれ得る。しかしながら、本発明によるブロックコポリマー骨格(A)は、ブロックのそれぞれの境界において、いわゆる「汚れた構造」又は「汚れた通路」を含有しないことが好ましい。
【0023】
本発明によるグラフトポリマーのブロックコポリマー骨格(A)に関して、ブロックコポリマー骨格(A)は、
i)エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド又は1,2-ブチレンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーの重合によって、好ましくはモノマーとしてエチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドの重合によって得ることができ、かつ/又は
ii)使用される少なくとも2つのモノマーのうちの1つが、エチレンオキシドであり、好ましくは、使用される第2のモノマーが、1,2-プロピレンオキシドであり、かつ/又は
iii)ブロックコポリマー骨格(A)内の個々のアルキレンオキシドブロックの数(x)は整数であり、xは3~10の値を有し、好ましくはxは3~5の値を有し、より好ましくはxは3であることが好ましい。
【0024】
xが偶数の場合、典型的には、グラフトポリマーは末端キャッピング基を含む。好適な末端キャッピング基は、以下に詳細に記載される。
【0025】
本発明によるグラフトポリマーは、当業者に既知の任意の分子量を有し得る。しかしながら、グラフトポリマーは、1000~100000g/mol、好ましくは2000~45000g/mol、より好ましくは3000~30000g/molの重量平均分子量Mを有することが好ましい。
【0026】
本発明によるグラフトポリマーは、好ましくは、多分散性が低い。グラフトポリマーが、<3、好ましくは<2.5、より好ましくは<2.3、最も好ましくは1.0~2.2の範囲内の多分散性M/Mを有することが好ましい(M=重量平均分子量、M=数平均分子量、多分散性は[molmol]単位を含まない)。M及び/又はMのそれぞれの値は、以下の実験項内に記載されるように決定され得る。
【0027】
本発明のグラフトポリマーは、非グラフト化形態でポリマー側鎖(B)を含有し得る。非グラフト化ポリマー側鎖のレベルは、反応条件に応じて、高くても低くてもよい。好ましくは、非グラフト化ポリマー側鎖のレベルは、典型的には25%未満である。より好ましくは、非グラフト化ポリマー側鎖のレベルは、15%未満である。より好ましくは、非グラフト化ポリマー側鎖のレベルは、5%未満である。全て、本発明に記載されるプロセスによって生成された、又は生成可能な本発明のグラフトポリマー生成物中のポリマーの総重量に基づく。
【0028】
本発明のグラフトポリマーは、非グラフト化ブロックコポリマー骨格(A)を含有し得る。非グラフト化ブロックコポリマー骨格(A)のレベルは、反応条件に応じて、高くても低くてもよい。好ましくは、非グラフト化ブロックコポリマー骨格(A)のレベルは、典型的には50%未満である。より好ましくは、非グラフト化ブロックコポリマー骨格(A)のレベルは、30%未満である。より好ましくは、非グラフト化ブロックコポリマー骨格(A)のレベルは、10%未満である。全て、本発明に記載されるプロセスによって生成された、又は生成可能な本発明のグラフトポリマー生成物中のポリマーの総重量に基づく。
【0029】
本発明のグラフトポリマーは、それらのグラフト化度(ブロックコポリマー骨格(A)上のポリマー側鎖(B)のグラフト部位の数)によって特徴付けられ得る。グラフト化度は、反応条件に応じて、高くても(50アルキレンオキシド単位あたり1個超のポリマー側鎖)又は低くても(50アルキレンオキシド単位あたり1個未満のポリマー側鎖)よい。特定の利益領域で最適化された性能を達成するためにグラフト化度を調整することが可能である。分岐度は、例えば、13C NMR分光法を用いて、グラフト部位及びポリアルキレンオキシドの-CH-基のシグナルの積分から測定することができる。
【0030】
本発明によるグラフトポリマー中に含有されるブロックコポリマー骨格(A)は、骨格のそれぞれの末端基でキャッピングされていてもされていなくても(非キャッピング)いずれかであってもよい。結果として、本発明において、ブロックコポリマー骨格(A)は、一方又は両方の末端基で任意にキャッピングされることが可能であり、好ましくは、ブロックコポリマー骨格(A)は、両方の末端基でキャッピングされていないか、又はブロックコポリマー骨格(A)がキャッピングされている場合、キャッピングは、C~C25アルキル基によって行われる。
【0031】
本発明の一実施形態では、ブロックコポリマー骨格(A)は、ポリエチレンオキシド(PEG)とポリプロピレンオキシド(PPG)とのトリブロックコポリマーであることが好ましい。
【0032】
本発明の文脈において、グラフトポリマーは、式(A1)又は式(A2)による構造を有するブロックコポリマー骨格(A)を有することが一般に好ましく、
式(A1)は、以下のように定義され、
【0033】
【化1】
ここで、
nは、2~100、好ましくは3~80の範囲の整数であり、
mは、2~100、好ましくは10~70、より好ましくは14~54の範囲の整数であり、
式(A2)は、以下のように定義され、
【0034】
【化2】
ここで、
oは、2~100、好ましくは5~50、より好ましくは8~27の範囲の整数であり、
pは、2~100、好ましくは5~50、より好ましくは7~24の範囲の整数である。
【0035】
ブロックコポリマー(A)は、グラフトポリマーの全体的な特性に影響を与える異なるレベルの親水性エチレングリコールを含有し得る。ブロックコポリマー中のエチレングリコール単位の総量を説明する総EO含有量(「EO」)は、以下のように定義される。
【0036】
「EO」は、骨格(A)中に存在する総アルキレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分のモル比であり、EOは、0~1.00未満の範囲内であり、
【0037】
ブロックコポリマーは、生分解特性及び洗濯用処方における性能に影響を及ぼす低、中、又は高のそれぞれの「EO」であり得る。範囲は、以下のように定義される。
- 低: 0.05~0.20
- 中: 0.21~0.50
- 高: 0.51~0.90
【0038】
本発明によるグラフトポリマー内に含有されるポリマー側鎖(B)に関して、ポリマー側鎖(B)は、ラジカル重合によって得られ、かつ/又は、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)が酢酸ビニルであることが好ましい。
【0039】
ビニルエステルモノマー(B1)として、当業者に既知の酢酸ビニル以外の任意の更なるビニルエステルを用いてもよいが、ただし、ビニルエステルモノマー(B1)は、B1モノマーの少なくとも50重量%の酢酸ビニルを含む。好適な他のビニルエステルとしては、プロピオン酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバル酸ビニル、ネオノナン酸ビニル、デカン酸ビニル、安息香酸ビニル、ラウリン酸ビニル、より好ましくはプロピオン酸ビニル又はラウリン酸ビニルが挙げられる。本発明によるグラフトポリマー内のポリマー側鎖(B)を調製するために、任意に更なるモノマー(B2)としてのN-ビニルピロリドンを用いる場合、必須のビニルエステルモノマー(B1)対当該更なるモノマー(B2)の比は、当業者に既知の任意の値を有してよい。しかしながら、ビニルエステルモノマー(B1)の量は、通常、1重量%以上((B1)及び(B2)の合計に対して)である。結果として、ポリマー側鎖(B)は、好ましくは、最も好ましくは酢酸ビニルである1~100重量%のモノマー(B1)と、任意選択的な更なるモノマー(B2)としての0~99重量%のN-ビニルピロリドンとのラジカル重合によって得ることができる。
【0040】
しかしながら、本発明の文脈においては、ポリマー側鎖(B)が、
(B1)10~100重量%、好ましくは50~100重量%、より好ましくは75~100重量%((B1)及び(B2)の合計に対して)の、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)と、
(B2)0~90重量%、好ましくは0~50重量%、より好ましくは0~25重量%((B1)及び(B2)の合計に対して)の、更なるモノマー(B2)としてのN-ビニルピロリドンとのフリーラジカル重合によって得られることが好ましい。
【0041】
本発明の文脈内において、ポリマー側鎖(B)は、100重量%(使用されるモノマーの総量に関して)の、好ましくは酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニル、より好ましくは酢酸ビニルである少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)のラジカル重合によって得られることが更により好ましい。
【0042】
本発明の別の実施形態では、本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)は、そのグラフトポリマーが得られた後に完全に又は少なくとも部分的に加水分解される。これは、ポリマー側鎖(B)の重合プロセスが終了した後に、グラフトポリマーのポリマー側鎖(B)の完全な又は少なくとも部分的な加水分解が実行されることを意味する。
【0043】
本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)のこの完全な又は少なくとも部分的な加水分解により、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)に由来するそれぞれの側鎖単位は、ポリマー側鎖(B)内のそれぞれのエステル官能基からアルコール官能基に変化する。対応するビニルアルコールは、安定性のため、ポリマー側鎖(B)の重合プロセス内のモノマーとして使用するのに好適ではないことに留意されたい。本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)内のアルコール官能基(ヒドロキシ置換基)を得るために、アルコール官能基は、典型的には、側鎖のエステル官能基を加水分解することによって導入される。
理論上の観点から、ポリマー側鎖(B)の各エステル官能基は、アルコール官能基(ヒドロキシ基)によって置換され得る。そのような場合、ポリマー側鎖は完全に加水分解される(鹸化される)。N-ビニルピロリドンが更なるモノマーとして用いられる場合、典型的には、更なるモノマー(B)として用いられるN-ピロリドンに由来するポリマー側鎖(B)の単位において、加水分解されないことに留意されたい。
【0044】
加水分解は、当業者に既知の任意の方法によって実行することができる。例えば、加水分解は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの好適な塩基の添加によって誘発され得る。
【0045】
しかしながら、本発明のこの実施形態では、ポリマー側鎖(B)の加水分解は、部分的にのみ、例えば、最大20重量%、40重量%、又は60重量%(ポリマー側鎖の総重量に対して)の程度まで実行されることが好ましい。
【0046】
この実施形態では、ポリマー側鎖(B)は、重合後、完全に又は部分的に、好ましくは重合において用いられる少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)の量に対して最大50重量%の程度まで加水分解され得る。しかしながら、好ましくは、ポリマー側鎖(B)は、重合後に加水分解されない。
本発明の文脈において、ポリマー側鎖(B)を得るためのそれぞれの重合プロセスでは、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)と関連して上記で定義されたもの以外の他のモノマーがなく、任意選択的な更なるモノマー(B2)として任意に存在するN-ビニルピロリドンが用いられることが好ましい。しかしながら、(B1)及び任意に(B2)によるモノマー以外の任意の更なるポリマーモノマーが存在する場合、そのようなモノマー(B1及びB2以外)は、ポリマー側鎖(B)を得るために使用されるモノマーの総量の1重量%未満の量で存在する。好ましくは、当該追加のモノマーの量は、0.5重量%未満、更により好ましくは0.01重量%未満であり、最も好ましくは、モノマー(B1)及び任意に(B2)以外の任意の追加のモノマーが全く存在しない。
【0047】
本発明において、酸官能基を含むモノマーが使用されないことが特に好ましい。特に、本発明によるグラフトポリマーのポリマー側鎖(B)を得るために用いられるモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、又はアクリルオキシ-プロピオン酸から選択されるいかなる酸官能性モノマーも含まない。
【0048】
本発明のポリマーは、様々な用途分野において良好に用いられるため、以下の特性のうち少なくとも1つ、好ましくは2つ以上を有する必要がある。
a)特定のレベルの生分解性、そのような生分解性は、本明細書内の他の場所で定義されるように試験される。有用な生分解性を示すために、生分解割合(本明細書に開示される方法に従って28日における)は、好ましくは少なくとも20パーセント、より好ましくは少なくとも40%、更により好ましくは少なくとも50%、例えば25、30、32、35、45、55、60、65、75、80、85、又はそれ以上で最大100%であるべきである。
b)ポリマーの水溶性は、本発明で一般的に標的とされる用途分野に典型的に存在する水性環境内でポリマーを使用できるようにするため、ある程度あるべきである。好ましくは、本発明のポリマーは、様々な種類の処方、例えば、食器洗浄、自動食器洗浄、硬質表面洗浄、布地洗浄、布地ケア、化粧品処方などの分野で典型的に用いられるような、水性処方の環境において、中程度から良好、より好ましくは非常に良好な溶解度を示すべきである。
c)ポリマー溶液の粘度は、製造中及び製造後に取り扱われ、ユーザーに提供されるようなポリマーの適度に高い固体濃度において、例えば、溶媒、典型的には水及び有機溶媒を含む水溶液、水のみ又は有機溶媒のみに溶解された「純粋」(で典型的には液体の)製品としてあり得るようなものでなければならず、かかるポリマー又はポリマー溶液の粘度は、注入、ポンプ送り、投入などの典型的な技術的工程を可能にする範囲である。したがって、粘度は、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも20、更により好ましくは少なくとも40重量%、最も好ましくは少なくとも50重量%、例えば少なくとも60、70、80、又は更に90重量%のポリマーの濃度(ポリマー溶液の総重量中の乾燥ポリマーの重量パーセントで定義される、溶液中のポリマーの固形分に基づく)において、好ましくは約4000mPas未満まで、より好ましくは3500mPasまで、更に好ましくは3000mPasまで、例えば最大4500、3750、3250、2750又は更に2600以下、例えば2500、2000、1750、1500、1250、1000、750、500、250、200、150、又は100mPasの範囲であることが好ましい。粘度は、25℃又は高温、例えば、50℃又は更に60℃の温度で測定され得る。これにより、商業規模でのポリマー溶液の好適な取り扱いが可能である。当然のことながら、添加される溶媒の量に応じて、溶媒の量が増加すると粘度は低下し、又その逆も同様であるため、所望の場合に調整可能であることは明らかである。また、測定される粘度は、測定される温度に依存することも明らかであり、例えば、所与の固形分、例えば80重量%の所与のポリマーの粘度は、より低い温度で測定されるとより高く、より高い温度で測定されるとより低くなる。好ましい実施形態では、追加の溶媒が添加されず、調製された状態のポリマーにおいて、固形分は、70~90重量%、より好ましくは75~85重量%である。より好ましい実施形態では、追加の溶媒が添加されず、調製された状態のポリマーにおいて、固形分は、70~90重量%、より好ましくは75~85重量%であり、60℃で測定されるとき、粘度は3000mPas未満である。
【0049】
これらの要件を達成するために、本発明のポリマーのそのような特性を達成する方法に対して以下のガイダンスが与えられ得る。
生分解性は、一般に、以下の条件のうちの少なくとも1つによって増加する。
・ 1)高分子量と比較して、ブロックコポリマー骨格(A)の分子量がより低い、
・ 2)高重量パーセントと比較して、骨格上にグラフト化されるポリマー側鎖(モノマーB)の重量パーセントがより低い。
・ 3)A1よりも骨格構造A2を選択する、
・ 4)骨格(A)中に存在する総アルキレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分のモル比が約0.10~約0.80の範囲内。
【0050】
本発明のポリマーの好ましい特性は、以下の条件のうちの少なくとも1つによって達成される。
・ 1)グラフトポリマーのブロックコポリマー骨格(A)が、3500g/mol未満、より好ましくは3200g/mol未満のMを有する。
・ 2)グラフトポリマーのポリマー側鎖の重量パーセント(「SUB」)が、約0.10~約0.60、より好ましくは約0.20~約0.50の範囲、
・ 3)グラフトポリマーは、骨格構造A2を有する、
・ 4)骨格A中に存在する総アルキレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分のモル比(「EO」)が約0.10~約0.80の範囲内。
【0051】
本発明のポリマーのより好ましい特性は、以下の条件の組み合わせによって達成される(「A1」、「B1」などは、上記で定義される)。
・ 1)+2)、すなわち、ブロックコポリマー骨格(A)は、3500g/mol未満のMを有し、グラフトポリマーのポリマー側鎖の重量パーセント(「SUB」)は、約0.20~約0.50の範囲である、
・ 1)+3)
・ 1)+2)+3)
・ 1)+2)+3)+4)
【0052】
本発明のポリマーの更により好ましい特性は、以下の条件の組み合わせによって達成される。
・ 1)+2)
・ 1)+2)+3)
【0053】
本発明のポリマーの最も好ましい特性は、以下の条件の組み合わせによって達成される。
・ 1)+2)+3)
【0054】
本発明の1つの好ましい実施形態では、グラフトポリマーは、トリブロックコポリマー骨格(A)の数平均分子量Mが6000g/mol未満、好ましくは5000g/mol未満、より好ましくは3650g/mol未満、更により好ましくは3000g/mol未満であり、骨格上にグラフトされる酢酸ビニル(モノマーB)の重量パーセントが、10~80、好ましくは10超~80未満、より好ましくは少なくとも20、最も好ましくは少なくとも30、かつ好ましくは70未満、より好ましくは60未満、最も好ましくは50未満(グラフトポリマーの総重量に関連して)である、ポリマーである。
【0055】
発明の別の好ましい実施形態では、グラフトポリマーは、トリブロックコポリマー骨格(A)の数平均分子量Mが6000g/mol未満、好ましくは5000g/mol未満、より好ましくは3650g/mol未満、更により好ましくは3000g/mol未満、最も好ましくは2500g/mol未満であり、骨格が構造A2を有し、骨格上にグラフトされる酢酸ビニル(モノマーB)の重量パーセントが、10~80、好ましくは10超~80未満、より好ましくは少なくとも20、最も好ましくは少なくとも30、かつ好ましくは70未満、より好ましくは60未満、最も好ましくは50未満(グラフトポリマーの総重量に関連して)である、ポリマーである。
【0056】
更なる基準として、当然のことながら、特定のポリマーの個々の性能を評価する必要があり、したがって特定の用途分野で各個々の処方に対してランク付けされる必要がある。本発明のポリマーの広い有用性により、網羅的な概説はできないものの、本明細書及び実施例は、所望の特性の有用なポリマーを調製及び選択する方法及び所望のニーズに対して特性を調整する方法に関するガイダンスを提供する。ホームケア及び特に布地ケアの領域についての1つのそのような基準は、当然のことながら、洗浄時の性能、例えば、特定の材料の染みを呈する特定の材料を定義された洗浄手順に供することである。
【0057】
実施例は、布地を洗浄するための用途、すなわち、布地ケアの一般的な領域についてのいくつかのガイダンスを与える。
【0058】
定義された程度の生分解性、水溶性、及び粘度(すなわち、取り扱い特性)を示すポリマーについての個々の必要性に応じて、本明細書の一般的及び特定の教示は、与えられる特定の例に限定されることを意図するものではないが、そのようなポリマーを得る方法を導く。
【0059】
本発明の別の主題は、上記の本発明のグラフトポリマーを調製するためのプロセスである。本発明による少なくとも1つのグラフトポリマーを得るためのこのプロセスでは、少なくとも1つのモノマー(B1)及び任意選択的モノマー(B2)としての任意選択的なN-ビニルピロリドンは、少なくとも1つのブロックコポリマー骨格(A)の存在下で重合される。
【0060】
ブロックコポリマー骨格などのポリマー骨格がポリマー側鎖とグラフト化されるグラフト化プロセス自体は、当業者に既知であることに留意されたい。この点で当業者に既知の任意のプロセスを本発明において使用することができる。
【0061】
本発明のプロセスにおいて、ポリマー側鎖(B)がラジカル重合によって得られることが好ましい。
【0062】
そのようなラジカル重合もまた、当業者に既知である。当業者はまた、本発明のプロセスがラジカル形成開始剤(C)及び/又は少なくとも1つの溶媒(D)の存在下で実行され得ることも知っている。当業者は、それぞれの成分自体を知っている。
【0063】
本発明の文脈において使用される「ラジカル重合」という用語は、フリーラジカル重合以外に、その変化型、例えば制御ラジカル重合も含む。好適な制御機構は、好適な制御剤を含み、当業者に各々既知である、RAFT、NMP、又はATRPである。
【0064】
本発明によるプロセスは、酢酸ビニル及び酢酸ビニル以外の更なるビニルエステルから選択される少なくとも1つのモノマー(B1)の重合を含む方法によって実行されるが、ただし、ビニルエステルモノマー(B1)は、少なくとも50重量%のB1モノマー、酢酸ビニル、及び任意選択的な更なるモノマー(B2)としての任意選択的なN-ビニルピロリドンを含み、反応混合物中の未変換グラフトモノマー(B1)及び任意に(B2)、及び開始剤(C)の画分が、ブロックコポリマー骨格(A)に対して量的に不足している状態を常に維持する方法で、開始剤(C)の分解半減期が40~500分である平均重合温度において、少なくとも1つのブロックコポリマー骨格(A)、フリーラジカル形成開始剤(C)、及び所望の場合、成分(A)、(B1)、任意に(B2)、及び(C)の合計に基づいて最大50重量%の少なくとも1つの有機溶媒(D)の存在下でポリマー側鎖(B)を得る。
【0065】
((フリー)ラジカル形成)開始剤(C)の量は、好ましくは、ポリマー側鎖(B)上の各場合に基づいて、0.1~5重量%、特に0.3~3.5重量%である。
【0066】
本発明によるプロセスの場合、平均重合温度において存在するラジカルの定常状態濃度は、実質的に一定であり、グラフトモノマー(B1)又は(B2)は、反応混合物中に常に低濃度(例えば、5重量%以下)でのみ存在することが好ましい。これにより、反応を制御することができ、グラフトポリマーは、所望の低多分散性を伴い制御された方法で調製することができる。
【0067】
「平均重合温度」という用語は、ここでは、プロセスが実質的に等温であるが、反応の発熱性に起因して、好ましくは+/-10℃の範囲内、より好ましくは+/-5℃の範囲内に維持される温度変動であり得ることを意味することが意図される。
【0068】
本発明によれば、平均重合温度での(ラジカル形成)開始剤(C)は、40~500分、好ましくは50~400分、より好ましくは60~300分の分解半減期を有するべきである。
【0069】
本発明によれば、開始剤(C)及びグラフトモノマー(B2)及び/又は(B2)は、有利には、低く、実質的に一定の濃度の未分解の開始剤及びグラフトモノマー(B1)及び/又は(B2)が反応混合物中に存在するように添加される。反応混合物全体における未分解開始剤の割合は、モノマー添加中に計量された開始剤の総量に基づいて、好ましくは、≦15重量%、具体的には、≦10重量%である。
【0070】
平均重合温度は、おおよそ50~140℃、好ましくは60~120℃、より好ましくは65~110℃の範囲である。
【0071】
50~140℃の温度範囲における分解半減期が20~500分である好適な開始剤(C)の例は、
- tert-C~C12-アルキルヒドロペルオキシド及びtert-(C~C12-アラルキル)ヒドロペルオキシドのO-C~C12-アシル化誘導体、例えば、tert-ブチルペルオキシアセテート、tert-ブチルモノペルオキシマレエート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、tert-アミルペルオキシピバレート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-アミルペルオキシネオ-デカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオ-デカノエート、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、tert-アミルペルオキシベンゾエート及びジ-tert-ブチルジペルオキシフタレート、
- tert-C~C14-アルキレンビスペルオキシドのジ-O-C~C12-アシル化誘導体、例えば、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイル-ペルオキシ)ヘキサン及び1,3-ジ(2-ネオデカノイルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、
- ジ(C~C12-アルカノイル)及びジベンゾイルペルオキシド、例えば、ジアセチルペルオキシド、ジプロピオニルペルオキシド、ジスクシニルペルオキシド、ジカプリロイルペルオキシド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジ(4-クロロベンゾイル)ペルオキシド及びジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、
- tert-C~C-アルキルペルオキシ(C~C12-アルキル)カルボネート、例えば、tert-アミルペルオキシ(2-エチル-ヘキシル)カルボネート、
- ジ(C~C12-アルキル)ペルオキシジカルボネート、例えば、ジ(n-ブチル)ペルオキシジカルボネート及びジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカルボネート。
【0072】
平均重合温度に応じて、特に好適な開始剤(C)の例は次のとおりである。
【0073】
- 50~60℃の平均重合温度において、
tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、tert-アミルペルオキシピバレート、tert-アミルペルオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルペルオキシネオデカノエート、クミルペルオキシネオデカノエート、1,3-ジ(2-ネオデカノイルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ(n-ブチル)ペルオキシジカルボネート及びジ(2-エチルヘキシル)ペルオキシジカルボネート、
- 60~70℃の平均重合温度において、
tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、tert-ブチルペルオキシネオデカノエート、tert-アミルペルオキシピバレート及びジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、
- 70~80℃の平均重合温度において、
tert-ブチルペルオキシピバレート、tert-ブチルペルオキシネオヘプタノエート、tert-アミルペルオキシピバレート、ジプロピオニルペルオキシド、ジカプリロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジ(2,4-ジクロロベンゾイル)ペルオキシド及び2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルペルオキシ)ヘキサン、
- 80~90℃の平均重合温度において、
tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジプロピオニルペルオキシド、ジカプリロイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド及びジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、
- 90~100℃の平均重合温度において、
tert-ブチルペルオキシイソブチレート、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、tert-ブチルモノペルオキシマレエート、tert-アミルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジベンゾイルペルオキシド及びジ(4-メチルベンゾイル)ペルオキシド、
- 100~110℃の平均重合温度において、
tert-ブチルモノペルオキシマレエート、tert-ブチルペルオキシイソブチレート及びtert-アミルペルオキシ(2-エチルヘキシル)カルボネート、
- 110~120℃の平均重合温度において、
tert-ブチルモノペルオキシマレエート、tert-ブチルペルオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート及びtert-アミルペルオキシ(2-エチルヘキシル)カルボネート。
【0074】
好ましい開始剤(C)は、tert-C~C-アルキルヒドロペルオキシドのO-C~C12-アシル化誘導体であり、特に好ましいのは、tert-ブチルペルオキシピバレート及びtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートである。
【0075】
開始剤(C)及び重合温度を正確に調整することによって、特に有利な重合条件を確立することができる。例えば、tert-ブチルペルオキシピバレートを使用する場合の好ましい平均重合温度は、60~80℃であり、tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートの場合、80~100℃である。
【0076】
本発明の重合反応は、好ましくは少量の有機溶媒(D)の存在下で実施することができる。当然ながら、異なる溶媒(D)の混合物を使用することも可能である。水溶性又は水混和性溶媒を使用することが好ましい。
【0077】
溶媒(D)が希釈剤として使用される場合、それぞれの場合に成分(A)、(B1)、任意に(B2)、及び(C)の合計に基づいて、一般に1~40重量%、好ましくは1~35重量%、より好ましくは1.5~30重量%、最も好ましくは2~25重量%が使用される。
【0078】
好適な溶媒(D)の例としては、以下が挙げられる。
- 一価アルコール、好ましくは脂肪族C~C16-アルコール、より好ましくは脂肪族C~C12-アルコール、最も好ましくはC~C-アルコール、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec-ブタノール及びtert-ブタノール、
- 多価アルコール、好ましくはC~C10-ジオール、より好ましくはC~C-ジオール、最も好ましくはC~C-アルキレングリコール、例えば、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール及び1,3-プロピレングリコール、
- アルキレングリコールエーテル、好ましくはアルキレングリコールモノ(C~C12-アルキル)エーテル及びアルキレングリコールジ(C~C-アルキル)エーテル、より好ましくはアルキレングリコールモノ-及びジ(C~C-アルキル)エーテル、最も好ましくはアルキレングリコールモノ(C~C-アルキル)エーテル、例えば、エチレングリコールモノメチル及び-エチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチル及び-エチルエーテル、
- ポリアルキレングリコール、好ましくは、2~20個のC~C-アルキレングリコール単位を有するポリ(C~C-アルキレン)グリコール、より好ましくは、2~20個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール及び2~10個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、最も好ましくは、2~15個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール及び2~4個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコール、
- ポリアルキレングリコールモノエーテル、好ましくは、2~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C~C-アルキレン)グリコールモノ(C~C25-アルキル)エーテル、より好ましくは、2~20個のアルキレングリコール単位を有するポリ(C~C-アルキレン)グリコールモノ(C~C20-アルキル)エーテル、最も好ましくは、3~20個のアルキレングリコール単位;を有するポリ(C~C-アルキレン)グリコールモノ(C~C16-アルキル)エーテル、
- カルボキシエステル、好ましくは、C~C-カルボン酸のC~C-アルキルエステル、より好ましくは、C~C-カルボン酸のC~C-アルキルエステル、最も好ましくは、C~C-カルボン酸のC~C-アルキルエステル、例えば、エチルアセテート及びエチルプロピオネート、
- 好ましくは3~10個の炭酸原子を有する脂肪族ケトン、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン及びシクロヘキサノン、
- 環状エーテル、特にテトラヒドロフラン及びジオキサン。
【0079】
溶媒(D)は、有利には、(例えば、洗濯及び洗浄組成物中に)使用のために本発明のグラフトポリマーを配合するためにも使用され、したがって、重合生成物中に残留し得る。
【0080】
これらの溶媒の好ましい例は、2~15個のエチレングリコール単位を有するポリエチレングリコール、2~6個のプロピレングリコール単位を有するポリプロピレングリコール、特に、C~C-アルコール(アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル)のアルコキシル化生成物である。
【0081】
本明細書において特に好ましいのは、高度の分岐を有するC~C16アルコールのアルコキシル化生成物であり、これにより、40~70℃で自由流動し、比較的低い粘度において非常に低いポリマー含有量を有するポリマー混合物の配合が可能である。分岐は、アルコールのアルキル鎖及び/又はポリアルコキシレート部分中に存在し得る(少なくとも1つのプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、又はイソブチレンオキシド単位の共重合)。これらのアルコキシル化生成物の特に好適な例は、1~15molのエチレンオキシドでアルコキシル化された2-エチルヘキサノール又は2-プロピルヘプタノール、1~15molのエチレンオキシド及び1~3molのプロピレンオキシドでアルコキシル化されたC13/C15オキソアルコール又はC12/C14又はC16/C18脂肪族アルコール、好ましくは、1~15molのエチレンオキシド及び1~3molのプロピレンオキシドでアルコキシル化された2-プロピル-ヘプタノールである。
【0082】
本発明によるプロセスでは、ブロックコポリマー骨格(A)、グラフトモノマー(B1)、及び適切な場合(B2)、開始剤(C)、及び適切な場合溶媒(D)は、通常、反応器内で選択された平均重合温度まで加熱される。
【0083】
本発明によれば、重合は、過剰のポリマー(ブロックコポリマー骨格(A)及び形成されたグラフトポリマー(B))が反応器内に常に存在するように行われる。ポリマー対非グラフト化モノマー及び開始剤の量比は、一般に、≧10:1、好ましくは≧15:1、より好ましくは≧20:1である。
【0084】
本発明による重合プロセスは、原則として、様々な反応器タイプ内で実行することができる。
【0085】
使用される反応器は、好ましくは、ブロックコポリマー骨格(A)が、適切な場合には、グラフトモノマー(B1)又は(B2)、開始剤(C)及び溶媒(D)の一部、一般には特定の総量の最大15重量%と共に、まず完全に又は部分的に投入され、重合温度まで加熱され、(B)、(C)及び適切な場合(D)の残りの量が、好ましくは別々に計量される、撹拌槽である。(B)、(C)、及び適切な場合(D)の残りの量は、好ましくは、≧2時間、より好ましくは≧4時間、最も好ましくは≧5時間にわたって計量される。
特に好ましい実質的に無溶剤のプロセス変化型の場合、ブロックコポリマー骨格(A)の総重量を、最初に溶融物として投入し、グラフトモノマー(B1)及び適切な場合(B2)、更に好ましくは溶媒(D)の1つ中の10~50重量%の溶液の形態で存在する開始剤(C)についても計量され、温度は、重合中に平均して選択された重合温度が、特に+/-10℃、特に/-5℃の範囲で維持される。
【0086】
更に特に好ましい低溶媒プロセス変化型において、反応混合物の粘度を制限するために、溶媒(D)が重合中に計量されることを除いて、本手順は上記のとおりである。高度な重合を伴う後の時間にのみ、溶媒の計量添加を開始するか、又はそれを部分的に添加することも可能である。
【0087】
重合は、標準圧力下又は低圧若しくは高圧で行ってもよい。使用されるモノマー(B1)又は(B2)又は任意の希釈剤(D)の沸点が選択された圧力において超過する場合、重合は還流冷却で行われる。
【0088】
本発明の別の主題は、洗濯洗剤、洗浄組成物、並びに/又は、布地及びホームケア製品における上記のような少なくとも1つのグラフトポリマーの使用である。
【0089】
本発明の更なる主題は、上記のグラフトポリマーを含む布地及びホームケア製品である。製品は、上記の少なくとも1つのグラフトポリマーを含有する、洗濯洗剤、食器用洗剤、洗浄組成物、並びに/又は、布地及びホームケア製品であり得る。
【0090】
そのような洗濯洗剤、洗浄組成物、並びに/又は、布地及びホームケア製品は、当業者にとって既知である。それぞれの使用に関連して、当業者に既知である任意の組成物などを、本発明の文脈において使用することができる。
【0091】
本発明による洗濯洗剤、洗浄組成物、並びに/又は、布地及びホームケア製品が好ましく、少なくとも1つのグラフトポリマーは、そのような組成物又は製品の総重量に対して、約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の範囲の量で存在する。
【0092】
洗濯洗剤組成物:好適な洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤粉末組成物、洗濯洗剤液体組成物、洗濯洗剤ゲル組成物、及び水溶性洗濯洗剤組成物を含む。
【0093】
食器洗浄洗剤組成物:好適な食器洗浄洗剤組成物は、手洗い食器洗浄洗剤組成物及び自動食器洗浄洗剤組成物を含む。
【0094】
界面活性剤系:組成物は、所望の洗浄特性を与えるのに十分な量の界面活性剤系を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、当該組成物の約1重量%~約70重量%の界面活性剤系を含む。他の実施形態では、液体組成物は、当該組成物の約2重量%~約60重量%の界面活性剤系を含む。更なる実施形態では、組成物は、当該組成物の約5重量%~約30重量%の界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、両性界面活性剤、両性電解質界面活性剤、及びこれらの混合物から選択される洗浄性界面活性剤を含んでもよい。当業者であれば、洗浄性界面活性剤は、汚れた材料に洗浄、染み除去、又は洗濯効果をもたらす、任意の界面活性剤又は界面活性剤混合物を包含することを理解するであろう。
【0095】
アニオン性界面活性剤:いくつかの例では、組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の重量で約1%~約70%の1つ以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。他の例では、組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の重量で約2%~約60%の1つ以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。更なる例では、組成物の界面活性剤系は、界面活性剤系の重量で約5%~約30%の1つ以上のアニオン性界面活性剤を含んでもよい。更なる例では、界面活性剤系は、本質的に1種以上のアニオン性界面活性剤から構成されてもよく、又は更には1種以上のアニオン性界面活性剤から構成される。
【0096】
好適なアニオン性界面活性剤の具体的で非限定的な例としては、任意の従来のアニオン性界面活性剤が挙げられる。これには、例えばアルコキシル化及び/又は非アルコキシル化アルキルサルフェート材料用のサルフェート洗浄性界面活性剤、及び/又はスルホン酸系洗浄性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホネートを挙げることができる。
【0097】
その他の有用なアニオン性界面活性剤は、アルキル基が約9個~約15個の炭素原子を直鎖状(直鎖)又は分岐鎖状の構造で含有する、アルキルベンゼンスルホネートのアルカリ金属塩を含み得る。
【0098】
好適なアルキルベンゼンスルホネート(LAS)は、市販の直鎖アルキルベンゼン(LAB)をスルホン化することによって得ることができる。好適なLABとしては、商標名Isochem(登録商標)としてSasolによって供給されているもの又は商標名Petrelab(登録商標)としてPetresaによって供給されているものなどの低2-フェニルLABが挙げられ、他の好適なLABとしては、商標名Hyblene(登録商標)としてSasolによって供給されているものなどの高2-フェニルLABが挙げられる。好適なアニオン性洗浄性界面活性剤は、DETAL触媒プロセスによって得られるアルキルベンゼンスルホネートであるが、HFなどの他の合成経路が好適な場合もある。一態様では、LASのマグネシウム塩が用いられる。
【0099】
洗浄性界面活性剤は、中鎖分岐状洗浄性界面活性剤、一態様では、中鎖分岐状アニオン性洗浄性界面活性剤、一態様では、中鎖分岐状アルキルサルフェート及び/又は中鎖分岐状アルキルベンゼンスルホネート、例えば、中鎖分岐状アルキルサルフェートであってもよい。一態様では、中鎖分岐は、C1~4アルキル基、通常、メチル及び/又はエチル基である。
【0100】
本明細書で有用な他のアニオン性界面活性剤は、約8~約24個(いくつかの例では、約12~18個)の炭素原子を含有するパラフィンスルホン酸塩及び二級アルカンスルホン酸塩の水溶性塩;アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、特にC8~18アルコール(例えば、獣脂及びココナッツ油由来のもの)のエーテルである。アルキルベンゼンスルホン酸塩と、上述のパラフィンスルホン酸塩、二級アルカンスルホン酸塩及びアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩との混合物も有用である。更なる好適なアニオン性界面活性剤としては、メチルエステルスルホン酸塩及びアルキルエーテルカルボン酸塩が挙げられる。
【0101】
アニオン性界面活性剤は酸形態で存在してもよく、酸形態は中和されて界面活性剤塩を形成してもよい。典型的な中和剤としては、水酸化物、例えば、NaOH又はKOHなどの金属対イオン塩基が挙げられる。これらの酸形態のアニオン性界面活性剤を中和するための更なる好適な中和剤としては、アンモニア、アミン、又はアルカノールアミンが挙げられる。アルカノールアミンの非限定的な例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、及び当該技術分野において既知の他の直鎖状又は分岐状アルカノールアミンが挙げられる。好適なアルカノールアミンとしては、2-アミノ-1-プロパノール、1-アミノプロパノール、モノイソプロパノールアミン、又は1-アミノ-3-プロパノールが挙げられる。アミン中和は完全又は部分的に行われてもよく、例えば、アニオン性界面活性剤混合物の一部はナトリウム又はカリウムにより中和されてもよく、またアニオン性界面活性剤混合物の一部はアミン又はアルカノールアミンにより中和されてもよい。
【0102】
非イオン性界面活性剤:組成物の界面活性剤系は、非イオン性界面活性剤を含んでもよい。いくつかの例では、界面活性剤系は、界面活性剤系の重量の最大約25重量%の1種以上の非イオン性界面活性剤を例えば共界面活性剤として含む。いくつかの例では、組成物は、界面活性剤系の重量の約0.1重量%~約15重量%の1種以上の非イオン性界面活性剤を含む。更なる例では、組成物は、界面活性剤系の重量の約0.3重量%~約10重量%の1種以上の非イオン性界面活性剤を含む。
【0103】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、任意の従来の非イオン性界面活性剤を含むことができる。これらには、例えば、アルコキシル化脂肪族アルコール、及びアミンオキシド界面活性剤が含まれ得る。
【0104】
本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の他の非限定例としては、C~C18アルキルエトキシレート(NEODOL(登録商標))非イオン性界面活性剤(Shell)など);C~C12アルキルフェノールアルコキシレート(アルコキシレート単位は、エチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの組み合わせとすることができる);C12~C18アルコール及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC~C12アルキルフェノール縮合物(Pluronic(登録商標))(BASF)など);C14~C22中鎖分岐状アルコール(branched alcohol、BA);C14~C22中鎖分岐アルキルアルコキシレート、BAE(式中、xは1~30である);アルキル多糖類;具体的にはアルキルポリグリコシド;ポリヒドロキシ脂肪酸アミド;並びにエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。
【0105】
好適な非イオン性洗浄性界面活性剤はまた、アルキルポリグルコシド及びアルキルアルコキシル化アルコールを含む。好適な非イオン性界面活性剤としては、商標名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものも挙げられる。
【0106】
アニオン性及び非イオン性組み合わせ:界面活性剤系は、アニオン性及び非イオン性界面活性剤材料の組み合わせを含んでもよい。いくつかの例では、アニオン性界面活性剤対非イオン性界面活性剤の重量比は少なくとも約2:1である。他の例では、アニオン性界面活性剤:非イオン性界面活性剤の重量比は少なくとも約5:1である。更なる例では、アニオン性界面活性剤対非イオン性界面活性剤の重量比は少なくとも約10:1である。
【0107】
カチオン性界面活性剤:界面活性剤系は、カチオン性界面活性剤を含んでもよい。いくつかの態様では、界面活性剤系は、界面活性剤系の約0重量%~約7重量%、約0.1重量%~約5重量%、又は約1重量%~約4重量%のカチオン性界面活性剤を、例えば共界面活性剤として含む。いくつかの態様では、本発明の組成物は、カチオン性界面活性剤、及びpH7未満又はpH6未満でカチオン性となる界面活性剤を実質的に含まない。カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、これは26個以下の炭素原子を有し得、アルコキシレート四級アンモニウム(AQA)界面活性剤;ジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;ポリアミンカチオン性界面活性剤;カチオン性エステル界面活性剤;及びアミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(APA)が挙げられる。
【0108】
好適なカチオン性洗浄性界面活性剤としてはまた、アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0109】
両性イオン性界面活性剤:両性イオン性界面活性剤の例としては、二級及び三級アミン誘導体、複素環式二級及び三級アミン誘導体、又は四級アンモニウム化合物、四級ホスホニウム化合物若しくは三級スルホニウム化合物の誘導体が挙げられる。アルキルジメチルベタイン及びココジメチルアミドプロピルベタインを含むベタイン、C~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド、並びにN-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネートなどのスルホ及びヒドロキシベタインが挙げられる(ここで、アルキル基は、C~C18、特定の実施例ではC10~C14とすることができる)。
【0110】
両性界面活性剤:両性界面活性剤の例としては、二級又は三級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族基が直鎖状又は分岐鎖状であってよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つが少なくとも約8個の炭素原子、若しくは約8個~約18個の炭素原子を含有し、脂肪族置換基のうちの少なくとも1つがアニオン性水溶性基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有するヘテロ環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられる。この定義の範囲内に入る化合物の例は、ナトリウム3-(ドデシルアミノ)プロピオネート、ナトリウム3-(ドデシルアミノ)プロパン-1-スルホネート、ナトリウム2-(ドデシルアミノ)エチルサルフェート、ナトリウム2-(ジメチルアミノ)オクタデカノエート、ジナトリウム3-(N-カルボキシメチルドデシルアミノ)プロパン1-スルホネート、ジナトリウムオクタデシル-イミノジアセテート、ナトリウム1-カルボキシメチル-2-ウンデシルイミダゾール、及びナトリウムN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-スルファト-3-ドデコキシプロピルアミンである。好適な両性界面活性剤としては、サルコシネート、グリシナート、タウリネート、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0111】
分岐状洗浄性界面活性剤:好適な分岐状洗浄性界面活性剤としては、分岐状サルフェート又は分岐状スルホネート界面活性剤、例えば、分岐状アルキルサルフェート、分岐状アルキルアルコキシル化サルフェート、及び分岐状アルキルベンゼンスルホネートから選択され、1つ以上のランダムアルキル分岐、例えば、C1~4アルキル基、典型的にはメチル及び/又はエチル基を含む、アニオン性分岐状界面活性剤が挙げられる。
【0112】
分岐状洗浄性界面活性剤は、中鎖分岐状洗浄性界面活性剤、通常、中鎖分岐状アニオン性洗浄性界面活性剤、例えば、中鎖分岐状アルキルサルフェート及び/又は中鎖分岐状アルキルベンゼンスルホネートであり得る。いくつかの態様では、洗浄性界面活性剤は、中鎖分岐状アルキルサルフェートである。いくつかの態様では、中鎖分岐は、C1~4アルキル基、通常、メチル基及び/又はエチル基である。
【0113】
更に好適な分岐アニオン性洗浄性界面活性剤は、2-アルキル位置で分岐したアルコールに由来する界面活性剤を含み、それらは商品名Isalchem(登録商標)123、Isalchem(登録商標)125、Isalchem(登録商標)145、Isalchem(登録商標)167などで販売されており、オキソ法から誘導される。オキソ法に起因して、分岐は2-アルキル位に位置している。これらの2-アルキル分岐アルコールは、通常、長さC11~C14/C15の範囲であり、全て2-アルキル位置で分岐した構造異性体を含む。
【0114】
補助洗浄添加剤:本発明の組成物はまた、補助洗浄添加剤を含有してもよい。好適な補助洗浄添加剤は、ビルダー、構造化剤又は増粘剤、泥汚れ除去/再付着防止剤、ポリマー汚れ遊離剤、ポリマー分散剤、ポリマーグリース洗浄剤、酵素、酵素安定化系、漂白化合物、漂白剤、漂白活性剤、漂白触媒、増白剤、染料、色調剤、移染防止剤、キレート剤、抑泡剤、柔軟剤及び香料も含む。
【0115】
酵素:本明細書に記載される組成物は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果をもたらす1つ以上の酵素を含み得る。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクテートリアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及びアミラーゼ、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。典型的な組み合わせは、例えば、プロテアーゼ及びリパーゼをアミラーゼと共に含んでよい酵素カクテルである。組成物中に存在するとき、上記の追加の酵素は、当該組成物の約0.00001重量%~約2重量%、約0.0001重量%~約1重量%、又は更には約0.001重量%~約0.5重量%の酵素タンパク質濃度で存在していてよい。
【0116】
一態様では、好ましい酵素は、プロテアーゼを含む場合がある。好適なプロテアーゼとしては、メタロプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼが挙げられ、例えば、サブチリシン(EC 3.4.21.62)などの中性又はアルカリ性微生物セリンプロテアーゼを含む。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物起源のものが挙げられる。一態様では、このような好適なプロテアーゼは、微生物起源のものであってもよい。好適なプロテアーゼとしては、前述の好適なプロテアーゼの化学的又は遺伝的に修飾された変異体が挙げられる。一態様では、好適なプロテアーゼは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又は/及びトリプシン型プロテアーゼなどのセリンプロテアーゼであってよい。好適な中性又はアルカリ性プロテアーゼの例としては、以下が挙げられる。
(a)サブチリシン(EC 3.4.21.62)(Bacillus lentus、B.alkalophilus、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、Bacillus pumilus及びBacillus gibsoniiなどのバチルスから誘導されたものを含む)。
(b)フサリウムプロテアーゼ、及びCellumonasに由来するキモトリプシンプロテアーゼを含む(例えば、ブタ起源又はウシ起源の)トリプシン等のトリプシン型又はキモトリプシン型プロテアーゼ。
(c)バチルス・アミロリケファシエンスに由来するものを含むメタロプロテアーゼ。
【0117】
好ましいプロテアーゼとしては、バチルス・ギブソニィ又はバチルス・レンタスに由来するものが挙げられる。
【0118】
好適な市販のプロテアーゼ酵素としては、Novozymes A/S(Denmark)より、Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Liquanase Ultra(登録商標)、Savinase Ultra(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)及びEsperase(登録商標)の商品名で販売されているもの、Genencor Internationalより、Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)及びPurafect OXP(登録商標)の商品名で販売されているもの、Solvay Enzymesより、Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)の商品名で販売されているもの、Henkel/Kemiraより入手可能なもの、すなわちBLAP(以下の変異S99D+S101R+S103A+V104I+G159Sを有する、以下BLAPという)、BLAP R(S3T+V4I+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)、BLAP X(S3T+V4I+V205Iを有するBLAP)及びBLAP F49(S3T+V4I+A194P+V199M+V205I+L217Dを有するBLAP)(全てHenkel/Kemiraより入手可能)、並びに花王のKAP(変異A230V+S256G+S259Nを有するバチルス・アルカロフィルス由来のサブチリシン)が挙げられる。
【0119】
好適なα-アミラーゼとしては、細菌又は真菌起源のものが挙げられる。化学的又は遺伝的に修飾された変異体(バリアント)が含まれる。好ましいアルカリ性α-アミラーゼは、バチルスの菌種から、例えば、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus stearothermophilus、Bacillus subtilis、又は他のバチラス種、例えばバチルス種、NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513、DSM 9375、DSM 12368、DSMZ no.12649、KSM AP1378、KSM K36、若しくはKSM K38などの、バチルスの菌株に由来する。
【0120】
好適な市販のα-アミラーゼとしては、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)、及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Biotech Trading GmbH(Wehlistrasse 27b A-1200 Wien Austria)、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、ENZYSIZE(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)、POWERASE(登録商標)、及びPURASTAR OXAM(登録商標)(Genencor International Inc.,(Palo Alto,California))、並びにKAM(登録商標)(Kao(14-10 Nihonbashi Kayabacho,1-chome,Chuo-ku Tokyo 103-8210,Japan))が挙げられる。一態様では、好適なアミラーゼとしては、NATALASE(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、及びSTAINZYME PLUS(登録商標)、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0121】
一態様では、かかる酵素は、「第1のサイクルのリパーゼ」を含む、リパーゼからなる群から選択され得る。一態様では、リパーゼは第1の洗浄用リパーゼ、好ましくは、T231R及びN233R突然変異のうちの1つ以上を含む、サーモマイセス・ラヌギノサス(Thermomyces lanuginosus)由来の野生型リパーゼの変異体である。野生型配列は、Swissprotのアクセッション番号Swiss-Prot O59952(サーモマイセス・ラヌギノサス(フミコーラ・ラヌギノサ)由来の269個のアミノ酸(アミノ酸23~291)である。好ましいリパーゼとしては、商品名Lipex(登録商標)及びLipolex(登録商標)で販売されているものが挙げられる。
【0122】
一態様では、他の好ましい酵素は、エンド-ベータ-1,4-グルカナーゼ活性(E.C.3.2.1.4)を呈する微生物由来のエンドグルカナーゼ及びこれらの混合物を含む。好適なエンドグルカナーゼは、商品名Celluclean(登録商標)及びWhitezyme(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))として販売されている。
【0123】
他の好ましい酵素としては、商品名Pectawash(登録商標)、Pectaway(登録商標)、Xpect(登録商標)として販売されているペクチン酸リアーゼ、及び商品名Mannaway(登録商標)(全てNovozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))、及びPurabrite(登録商標)(Genencor International Inc.(Palo Alto,California))で販売されているマンナーゼが挙げられる。
【0124】
酵素含有組成物:本明細書に記載されている酵素含有組成物は、任意に、組成物の約0.001重量%~約10重量%、いくつかの例では、約0.005重量%~約8重量%、及び別の例では、約0.01重量%~約6重量%の酵素安定化系を含んでもよい。酵素安定化系は、洗浄性酵素と適合性のある任意の安定化系であってよい。プロテアーゼを含む水性洗剤組成物の場合は、ボレート、4-ホルミルフェニルボロン酸、フェニルボロン酸、及びこれらの誘導体を含む、ホウ素化合物などの可逆的プロテアーゼ阻害剤、又はカルシウムホルメート、ナトリウムホルメート及び1,2-プロパンジオールなどの化合物を添加して、安定性を更に改善してもよい。
【0125】
ビルダー:本発明の組成物は、任意に、ビルダーを含んでもよい。ビルダー入り組成物は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、少なくとも約1重量%のビルダーを含む。液体組成物は、組成物の総重量の最大約10%、及びいくつかの例では、最大8%のビルダーを含み得る。顆粒組成物は、組成物の最大約30重量%のビルダー、及びいくつかの例では、最大5重量%のビルダーを含み得る。
【0126】
アルミノケイ酸塩(例えば、ゼオライトA、ゼオライトP、及びゼオライトMAPなどのゼオライトビルダー)及びケイ酸塩から選択されるビルダーは、洗浄水の鉱物質硬度、特にカルシウム及び/若しくはマグネシウムの制御、又は表面からの微粒子汚れの除去を補助する。好適なビルダーは、ポリリン酸塩(例えばナトリウムトリ-ポリリン酸塩)、特にそのナトリウム塩などのリン酸塩;炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、及び炭酸ナトリウム又はセスキ炭酸塩以外の炭酸塩鉱物;有機モノ-、ジ-、トリ-、及びテトラカルボキシレート、特に、酸、ナトリウム、カリウム、又はアルカノールアンモニウム塩形態の水溶性非界面活性剤カルボキシレート、並びに脂肪族及び芳香族の種類を含むオリゴマー又は水溶性低分子量ポリマーカルボキシレート、並びにフィチン酸からなる群から選択され得る。これらは、例えば、pH緩衝化の目的のためのボレートによって、又は硫酸塩、特に硫酸ナトリウム、及び安定な界面活性剤及び/又はビルダー含有組成物の工学に重要となり得る任意の他の充填剤又はキャリアによって補完されてもよい。追加の好適なビルダーは、クエン酸、乳酸、脂肪酸、ポリカルボキシレートビルダー、例えば、アクリル酸のコポリマー、アクリル酸及びマレイン酸のコポリマー、並びにアクリル酸及び/又はマレイン酸、並びに様々な種類の追加の官能基を有する他の好適なエチレン系モノマーのコポリマーから選択され得る。また、本明細書のビルダーとしての使用に好適なものは、鎖構造を有し、以下の一般的な無水物形態x(MO)・ySiO・zM’Oによって表される組成を有する、合成された結晶性イオン交換材料又はその水和物であり、式中、Mは、Na及び/又はKであり、M’は、Ca及び/又はMgであり、y/xは、0.5~2.0であり、z/xは、0.005~1.0である。
【0127】
あるいは、組成物はビルダーを実質的に含まなくてもよい。
【0128】
構造化剤/増粘剤:好適な構造化剤/増粘剤には、以下が含まれる。
i.ジ-ベンジリデンポリオールアセタール誘導体
ii.細菌セルロース
iii.コーティングされた細菌セルロース
iv.非細菌セルロース由来のセルロース繊維
v.非高分子結晶性ヒドロキシ官能性材料
vi.高分子構造化剤
vii.ジアミドゲル化剤
viii.上記の任意の組み合わせ。
【0129】
ポリマー分散剤:組成物は、1つ以上のポリマー分散剤を含んでもよい。例は、カルボキシメチルセルロース、ポリ(ビニル-ピロリドン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルピリジン-N-オキシド)、ポリ(ビニルイミダゾール)、ポリアクリレートなどのポリカルボキシレート、マレイン酸/アクリル酸コポリマー、及びメタクリル酸ラウリル/アクリル酸コポリマーである。
【0130】
本組成物は、次の一般構造:ビス((CO)(CO)n)(CH)-N-C2x-N-(CH)-ビス((CO)(CO)n)[式中、n=20~30であり、x=3~8である]を有する化合物、又はそのサルフェート化若しくはスルホネート化変異体などの、1つ以上の両親媒性洗浄ポリマーを含んでいてよい。
【0131】
組成物は、布地及び表面から脂粒子を除去するように、親水性と疎水性との特性が釣り合っている両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーを含んでもよい。本発明の両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーの具体的な実施形態は、コア構造及びそのコア構造に結合した複数のアルコキシレート基を含む。これらは、例えば内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを有する、アルコキシル化ポリアルキレンイミンを含んでもよい。
【0132】
アルコキシル化ポリアミンは、グリース及び粒子の除去のために使用され得る。このような化合物としては、エトキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化ヘキサメチレンジアミン、及びこれらのサルフェート化体を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリプロポキシル化誘導体も挙げることができる。多種多様なアミン及びポリアルキレンイミンを様々な程度にアルコキシル化することができる。有用な例は、NH1個当たり20のEO基までエトキシル化されている600g/モルポリエチレンイミンコアであり、BASFから入手可能である。
【0133】
組成物は、例えば、不飽和C~Cカルボン酸、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、糖単位、アルコキシ単位、無水マレイン酸、グリセロールなどの飽和ポリアルコール、及びこれらの混合物などのモノマーを含む親水性主鎖と、例えば1つ以上のC~C25アルキル基、ポリプロピレン、ポリブチレン、飽和C~Cモノカルボン酸のビニルエステル、アクリル酸又はメタクリル酸のC~Cアルキルエステル、及びこれらの混合物などの疎水性側鎖と、含むランダムグラフトポリマーを挙げることができる。ポリアルキレンオキシド及びビニルエステル、特に酢酸ビニルに基づくそのようなグラフトポリマーの特定例。これらのポリマーは、典型的には、ポリアルキレンオキシドの存在下でビニルエステルを重合することによって調製され、開始剤は、過酸化ジベンゾイル、ジラウロイルペルオキシド、又はジアセチルペルオキシドである。
【0134】
組成物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシドのブロックを含み得る。そのようなブロックポリマーの例としては、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-エチレンオキシド(EO/PO/EO)トリブロックコポリマーが挙げられ、コポリマーは、第1のEOブロック、第2のEOブロック、及びPOブロックを含み、第1のEOブロック及び第2のEOブロックが、POブロックに連結されている。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシドのブロックはまた、(EO/PO)ジブロックコポリマー、(PO/EO/PO)トリブロックコポリマーなどの他の方法で配置され得る。ブロックポリマーはまた、追加のブチレンオキシド(BO)ブロックを含有し得る。
【0135】
カルボキシレートポリマー-本発明の組成物はまた、マレイン酸塩/アクリレートランダムコポリマー又はポリアクリレートホモポリマーなどの1つ以上のカルボキシレートポリマーを含んでいてもよい。一態様では、カルボキシレートポリマーは、4,000Da~9,000Da又は6,000Da~9,000Daの分子量を有するポリアクリレートホモポリマーである。
【0136】
汚れ放出ポリマー:本明細書に記載の組成物は、組成物の約0.01重量%~約10.0重量%、典型的には約0.1重量%~約5重量%、いくつかの態様では、約0.2重量%~約3.0重量%の汚れ放出ポリマー(ポリマー汚れ放出剤又は「SRA」としても知られる)を含み得る。
【0137】
汚れ放出ポリマーは、典型的には、ポリエステル及びナイロンなど疎水性繊維の表面を親水化するための親水性区分、並びに疎水性繊維上に堆積し、洗浄及びすすぎサイクルの完了までそこに付着し続け、それによって親水性区分のためのアンカーとしての機能を果たす疎水性区分を有する。これにより、後の洗浄手順において、汚れ放出剤による処理後に浮かび上がる汚れを、更に容易に洗浄可能にし得る。汚れの放出を促進することは、布地のウィッキング特性を改善する又は維持するのに役立つとも考えられる。
【0138】
汚れ放出ポリマーの構造及び電荷分布は、異なる種類の繊維又は生地への適用、及び異なる洗剤又は洗剤添加製品での配合に合わせて調整されてよい。汚れ放出ポリマーは、直鎖状、分岐状、又は星形であってよい。
【0139】
汚れ放出ポリマーはまた、様々な帯電単位(例えば、アニオン性若しくはカチオン性単位)及び/又は非帯電(例えば、非イオン性)モノマー単位を含んでもよい。典型的には、SRPが、第四級アンモニウムエステル化合物などカチオン性布地コンディショニング活性物質と組み合わせて使用される場合、SRPとカチオン性活性物質との間の潜在的に負の相互作用を回避するために、非イオン性SRPが特に好ましいことがある。
【0140】
汚れ放出ポリマーは、ポリマーの分子量を制御する、又はポリマーの物理的特性若しくは表面活性特性を変化させるのに特に有効である末端キャッピング部分を含んでよい。
【0141】
好適な汚れ放出ポリマーの1つの好ましいクラスには、構造単位(I)及び/又は(II)を含むテレフタレート由来ポリエステルポリマーが挙げられ、
(I) -[(OCHR-CHR-O-OC-Ar-CO-]
(II) -[(OCHR-CHR-O-OC-sAr-CO-]
式中、
a、bは、1~200であり、
d、eは、1~50であり、
Arは、1,4-置換フェニレンであり、
sArは、5位がSOMで置換されている1,3-置換フェニレンであり、
Mは、Na、Li、K、Mg/2、Ca/2、Al/3、アンモニウム、モノ-、ジ-、トリ-、若しくはテトラ-アルキルアンモニウム(アルキル基は、C~C18アルキル又はC~C10ヒドロキシアルキルである)、又はこれらの混合物から選択される対イオンであり、
、R、R、Rは、独立して、H又はC~C18 n-アルキル若しくはイソ-アルキルから選択され、
任意に、ポリマーは、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルから誘導された1つ以上の末端基(III)を更に含み、好ましくは構造(IV-a)から選択され、
【0142】
【化3】
式中、
は、直鎖状若しくは分岐鎖状C1~30アルキル、C~C30アルケニル、又は5~9個の炭素原子を有するシクロアルキル基、又はC~C30アリール基、又はC~C30アリールアルキル基、好ましくは、C1~4アルキル、より好ましくはメチルであり、
c、d及びeは、モル平均基準で、0~200から独立して選択される数であり、c+d+eの合計は2~500であり、
末端気(IV-a)の[C-O]、[C-O]及び[C-O]基は、ブロックに、交互に、周期的に、及び/又は統計的に、好ましくはブロックに及び/又は統計的に配置していてよく、末端気(IV-a)の[C-O]、[C-O]及び[C-O]基のいずれかは、-R及び/又は-Oに連結し得る。
【0143】
任意に、ポリマーは、欧州特許第3222647号に記載されるように、1つ以上のアニオン性末端単位(IV)及び/又は(V)を更に含む。Mは、Na、Li、K、Mg/2、Ca/2、Al/3、アンモニウム、モノ-、ジ-、トリ-、若しくはテトラ-アルキルアンモニウムから選択される対イオンであり、アルキル基は、C1~C18アルキル又はC2~C10ヒドロキシアルキル、又はこれらの混合物である。
【0144】
【化4】
【0145】
任意に、ポリマーは、エステル化反応が可能な少なくとも3つの官能基を有する架橋多官能性構造単位を含み得る。官能基は、例えば、酸、アルコール、エステル、無水物、又はエポキシ基などであってよい。
【0146】
任意に、ポリマーは、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6、-ジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、トリメリット酸、ジフェノキシエタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニル-4,4’-ジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカン-1,10-ジカルボン酸、フマル酸、コハク酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンジ酢酸、グルタル酸、アゼライン酸、又は、それらの塩若しくはそれらの(ジ)アルキルエステル、好ましくはそれらの(C~C)-(ジ)アルキルエステル、より好ましくはそれらの(ジ)メチルエステル、又はそれらの混合物などの、他のジ-又はポリカルボン酸を含み得るか、又は、それらの塩若しくはそれらの(ジ)アルキルエステルを、本発明のポリエステル中で使用できる。
【0147】
好ましくは、好適なテレフタレート由来汚れ放出ポリマーは、非イオン性であり、上記構造(II)を含まない。更に特定の好ましい非イオン性テレフタレート由来汚れ放出ポリマーは、以下の式による構造を有し、
【0148】
【化5】
式中、
及びRは、独立して、H又はCHから選択される。より好ましくは、R及びRのうちの一方はHであり、他方はCHである。
c、dは、モル平均基準で、0~200から独立して選択される数であり、c+dの合計は2~400であり、
より好ましくは、dは、0~50であり、cは、1~200であり、
より好ましくは、dは1~10であり、cは5~150であり、
は、C1~4アルキルであり、より好ましくはメチルであり、
nは、モル平均基準で、1~50である。
【0149】
最も好ましい上記好適なテレフタレート由来汚れ放出ポリマーの1つの例は、R及びRのうちの一方がHであり、他方がCHであり、dは、0であり、cは、5~100であり、Rは、メチルである。
【0150】
好適なテレフタレート由来汚れ放出ポリマーはまた、エンドキャップされたもの及びエンドキャップされていないものの両方の、スルホン化及び非スルホン化PET/POET(ポリエチレンテレフタレート/ポリオキシエチレンテレフタレート)ポリマーとして記載され得る。好適な汚れ放出ポリマーの例としては、Clariantより供給されているTexCare(登録商標)ポリマーが挙げられ、TexCare(登録商標)SRA-100、SRA-300、SRN-100、SRN-170、SRN-240、SRN-260、SRN-300及びSRN-325が挙げられる。
【0151】
他の好適なテレフタレート由来汚れ放出ポリマーは、国際公開第2014019903号、同第2014019658号、及び同第2014019659号に記載されている。
【0152】
別のクラスの汚れ放出ポリマーとして、改質セルロースも挙げられる。好適な改質セルロースとして、セルロースアルキルエーテル及びセルロースヒドロキシアルキルエーテルなどの非イオン性改質セルロース誘導体を挙げることができる。そのようなセルロースアルキルエーテル及びセルロースヒドロキシアルキルエーテルの例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロースが挙げられる。いくつかの実施形態では、改質セルロースは、C以上の炭化水素を含むことができ、アルキル基の好ましい長さは、C、C、C、C10、C12、C14、C16、C18であってよく、好適な修飾セルロースの例は、国際公開第2019111948号及び同第2019111949号に記載されている。いくつかの実施形態では、改質セルロースは、追加のカチオン性修飾を含み得、追加のカチオン性修飾を有する好適な修飾セルロースの例は、国際公開第2019111946及び同第2019111947号に記載されている。
【0153】
市販の汚れ放出ポリマーの別の例は、RHODIAにより供給されているREPEel O-TEX(登録商標)ラインのポリマーであり、REPEel O-TEX(登録商標)SF、SF-2、及びSRP6などである。他の好適な汚れ放出ポリマーは、Sasolより供給されているMarloquest(登録商標)ポリマーであり、Marloquest(登録商標)SL、HSCB、L235M、B、G82などである。異なる種類の更に好適な汚れ放出ポリマーとしては、市販の材料であるZELCON 5126(DuPont)及びMILEASE T(ICI)、Sorez 100(ISP)が挙げられる。
【0154】
セルロース系ポリマー:本明細書の組成物は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、典型的には、約0.5重量%~約7重量%、いくつかの態様では、約3重量%~約5重量%のセルロース系ポリマーを含んでよい。
【0155】
好適なセルロース系ポリマーとしてはアルキルセルロース、アルキルアルコキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、及びアルキルカルボキシアルキルセルロースが挙げられる。いくつかの態様では、セルロース系ポリマーは、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、及びこれらの混合物から選択される。いくつかの態様では、セルロース系ポリマーは、約0.5~約0.9のカルボキシメチル置換度、及び約100,000Da~約300,000Daの分子量を有するカルボキシメチルセルロースである。
【0156】
カルボキシメチルセルロースポリマーとしては、Finnfix(登録商標)GDA(CP Kelkoによって販売)、例えば、商品名Finnfix(登録商標)SH1(CP Kelko)として販売されているカルボキシメチルセルロースのアルキルケテン二量体誘導体、又は商品名Finnfix(登録商標)V(CP Kelkoによって販売)として販売されているブロック系カルボキシメチルセルロース等の、疎水変性カルボキシメチルセルロースが挙げられる。
【0157】
追加アミン:本明細書で記載される組成物において、汚れた素材からのグリース及び粒子の除去を向上するために様々なアミンが使用され得る。本明細書に記述される組成物は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、いくつかの例では、約0.1重量%~約4重量%、他の例では、約0.1重量%~約2重量%の追加のアミンを含んでもよい。追加のアミンの非限定的な例としては、ポリアミン、オリゴアミン、トリアミン、ジアミン、ペンタミン、テトラアミン、又はこれらの組み合わせを挙げてもよいが、これらに限定されない。好適な追加のアミンの具体的な例としては、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラアミン、ジエチレントリアミン、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0158】
例えば、アルコキシル化ポリアミンは、グリース及び粒子状除去のために使用され得る。このような化合物としては、エトキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化ヘキサメチレンジアミン、及びこれらのサルフェート化体を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリプロポキシル化誘導体も挙げることができる。多種多様なアミン及びポリアルキレンイミンを様々な程度にアルコキシル化することができる。有用な例は、NH1個当たり20のEO基までエトキシル化されている600g/モルポリエチレンイミンコアであり、BASFから入手可能である。本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、いくつかの例では、約0.1重量%~約8重量%、及び他の例では、約0.1重量%~約6重量%のアルコキシル化ポリアミンを含んでもよい。
【0159】
アルコキシル化ポリカルボキシレートも、グリースを除去するために本明細書の組成物中で使用され得る。化学的に、これら材料は、7~8つのアクリレート単位ごとに1つのエトキシ側鎖を有するポリアクリレートを含む。側鎖は、式-(CHCHO)(CHCH[式中、mは、2~3であり、nは、6~12である]のものである。側鎖は、ポリアクリレート「主鎖」にエステル結合され、「櫛形」ポリマー型の構造を提供する。分子量は、変動し得るが、約2000~約50,000の範囲内であってよい。本明細書に記載される組成物は、組成物の約0.1重量%~約10重量%、いくつかの例では、約0.25重量%~約5重量%、及び他の例では、約0.3重量%~約2重量%のアルコキシル化ポリカルボキシレートを含んでもよい。
【0160】
漂白化合物、漂白剤、漂白活性化剤:本明細書に記載の組成物は、漂白剤、又は漂白剤及び1つ以上の漂白活性化剤を含有する漂白組成物を含有してもよい。漂白剤は、組成物の全重量に基準で約1重量%~約30重量%、及びいくつかの例では、約5重量%~約20重量%の濃度で存在してもよい。存在する場合、漂白活性剤の量は、漂白剤に加え漂白活性剤を含む漂白組成物の約0.1重量%~約60重量%、及びいくつかの例では、約0.5重量%~約40重量%であってもよい。
【0161】
漂白剤の例としては、酸素漂白剤、過ホウ酸塩漂白剤、過カルボン酸漂白剤、及びそれらの塩、過酸素漂白剤、過サルフェート漂白剤、過炭酸塩漂白剤、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0162】
いくつかの例では、組成物はまた、遷移金属漂白触媒を含み得る。
【0163】
酸素漂白剤以外の漂白剤もまた当該技術分野で既知であり、組成物において使用できる。それらは、例えば、光活性化漂白剤、又はペルオキシカルボン酸若しくはその塩などの予備形成有機過酸、又はペルオキシスルホン酸若しくはその塩を含む。好適な有機過酸は、フタロイルイミドペルオキシカプロン酸である。使用する場合、本明細書に記載の組成物は、典型的には、そのような漂白剤、及びいくつかの例では亜鉛フタロシアニンスルホナートを組成物の約0.025重量%~約1.25重量%を含有し得る。
【0164】
増白剤:蛍光増白剤若しくは他の増白剤、又は白化剤は、組成物の約0.01重量%~約1.2重量%の濃度で、本明細書に記載される組成物に組み込み得る。本明細書で使用され得る市販の光学増白剤は、スチルベン、ピラゾリン、クマリン、ベンゾオキサゾール、カルボン酸、メチンシアニン、ジベンゾチフェン(dibenzothiphene)-5,5-ジオキシド、アゾール、5及び6員複素環、並びに他の様々な剤の誘導体が挙げられるが必ずしもこれらに限定されないサブグループに分類することができる。
【0165】
いくつかの例では、蛍光増白剤は、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(増白剤15、商標名Tinopal AMS-GXとしてCiba Geigy Corporationにより市販)、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ビス-ヒドロキシエチル)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(商標名Tinopal UNPA-GXとしてCiba-Geigy Corporationにより市販)、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-(N-2-ヒドロキシエチル-N-メチルアミノ)-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウム(商標名Tinopal 5BM-GXとしてCiba-Geigy Corporationにより市販)からなる群から選択される。より好ましくは、蛍光増白剤は、4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホン酸二ナトリウムである。
【0166】
増白剤は、粒子の形で又は好適な溶剤、例えば非イオン性界面活性剤、モノエタノールアミン、プロパンジオールとのプレミックスとして添加されてもよい。
【0167】
布地色相剤:本組成物は布地色相剤(シェーディング剤、青味剤又は増白剤と呼ばれることもある)を含み得る。典型的には、色相剤は、布地に青色又は青紫色の色合いをもたらす。色相剤は、単独又は組み合わせのいずれかで使用され、特定の色相の色合いを作り出し、かつ/又は異なる種類の布地に色合いを付けることができる。これは、例えば赤と緑-青の染料とを混合して青又は紫の色合いを生じさせることによりもたらされ得る。色相剤は、アクリジン、アントラキノン(多環式キノンを含む)、アジン、前金属化した(premetallized)アゾを含むアゾ(例えば、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ)、ベンゾジフラン及びベンゾジフラノン、カロテノイド、クマリン、シアニン、ジアザヘミシアニン、ジフェニルメタン、ホルマザン、ヘミシアニン、インジゴイド、メタン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロ及びニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、ピラゾール、スチルベン、スチリル、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、キサンテン、並びにこれらの混合物を含むが、これらに限定されない任意の既知の染料の化学分類から選択され得る。
【0168】
移染防止剤:組成物はまた、洗浄工程中に、ある布地から別の布地に染料が移るのを阻止するのに有効な1つ以上の物質を含んでもよい。概して、このような移染防止剤としては、ポリビニルピロリドンポリマー、ポリアミンN-オキシドポリマー、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルイミダゾールのコポリマー、マンガンフタロシアニン、ペルオキシダーゼ、及びこれらの混合物を挙げることができる。使用する場合、これらの剤は、組成物の約0.0001重量%~約10重量%、いくつかの例では、組成物の約0.01重量%~約5重量%、他の例では、組成物の約0.05重量%~約2重量%の濃度で使用されてもよい。
【0169】
キレート剤:本明細書に記載の組成物はまた、1つ以上の金属イオンのキレート剤を含有し得る。好適な分子としては、銅、鉄、及び/又はマンガンキレート剤並びにこれらの混合物が挙げられる。このようなキレート剤は、ホスホネート、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、スクシネート、多官能的に置換された芳香族キレート剤、2-ピリジノール-Nーオキシド化合物、ヒドロキサム酸、カルボキシメチルイヌリン、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。キレート剤は、酸の形態、又は、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びその置換アンモニウム塩、並びにこれらの混合物を含む、塩の形態で存在することができる。
【0170】
キレート剤は、組成物の約0.005重量%~約15重量%、約0.01重量%~約5重量%、約0.1重量%~約3.0重量%、又は約0.2重量%~約0.7重量%、又は約0.3重量%~約0.6重量%で、本明細書に開示される組成物中に存在し得る。
【0171】
キレート剤として有用なアミノカルボン酸塩としては、エチレンジアミンテトラアセテート(ethylenediaminetetracetate、EDTA);N-(ヒドロキシエチル)エチレンジアミントリアセテート(ethylenediaminetriacetate、HEDTA);ニトリロトリアセテート(nitrilotriacetate、NTA);エチレンジアミンテトラプロプリオナート;トリエチレンテトラアミンヘキサアセテート、ジエチレントリアミン-ペンタアセテート(diethylenetriamine-pentaacetate、DTPA);メチルグリシン二酢酸(methylglycinediacetic acid、MGDA);グルタミン酸二酢酸(GLDA);エタノールジグリシン;トリエチレンテトラアミン六酢酸(triethylenetetraaminehexaacetic acid、TTHA);N-ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(N-hydroxyethyliminodiacetic acid、HEIDA);ジヒドロキシエチルグリシン(dihydroxyethylglycine、DHEG);エチレンジアミンテトラプロピオン酸(ethylenediaminetetrapropionic acid、EDTP)、及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
カプセル化剤:組成物はカプセル化剤を含み得る。いくつかの態様では、カプセル化剤は、コア、内表面及び外表面を有するシェルを含み、当該シェルはコアをカプセル封入する。
【0173】
特定の態様では、カプセル化剤はコアとシェルとを含み、コアは、香料、増白剤;染料、防虫剤;シリコーン;ワックス;着香剤;ビタミン;布地柔軟化剤;スキンケア剤、例えば、パラフィン、酵素;抗菌剤;漂白剤;感覚剤、又はこれらの混合物から選択される材料を含み、シェルは、ポリエチレン、ポリアミド、任意に他のコ-モノマーを含有するポリビニルアルコール;ポリスチレン;ポリイソプレン;ポリカーボネート;ポリエステル;ポリアクリレート;ポリオレフィン;多糖類、例えば、アルギネート及び/若しくはキトサン、ゼラチン、シェラック;エポキシ樹脂;ビニルポリマー;水不溶性無機材料;シリコーン;アミノ樹脂、又はこれらの混合物から選択される材料を含む。シェルがアミノプラストを含むいくつかの態様では、アミノプラストは、ポリ尿素、ポリウレタン及び/又はポリ尿素ウレタンを含む。ポリ尿素は、ポリオキシメチレン尿素及び/又はメラミンホルムアルデヒドを含み得る。
【0174】
布地及びホームケア製品は、典型的には、(a)完成した織物のケア、完成した織物の洗濯、完成した織物の衛生化、完成した織物の消毒、洗剤、染み除去剤、柔軟剤、布地向上剤、染み除去又は完成した織物の処理、予洗及び後洗処理、洗濯機の洗浄及びメンテナンス(完成した織物とは、衣類及び布製品を含むことを意図する)、(b)食器洗浄機、利用水、及びその内容物の両方のための洗剤、予備的後処理及び機器洗浄及びメンテナンス製品などの、自動食洗機における、皿、グラス、陶器、鍋、フライパン、台所用品、カトラリーなどのケア、又は、(c)食器手洗い用洗剤に好適である。
【0175】
布地及びホームケア製品は、典型的には、上記でより詳細に説明されるものなどの追加の布地及びホームケア成分を含む。
【0176】
液体洗濯洗剤組成物。布地及びホームケア製品は、液体洗濯洗剤組成物などの洗濯洗剤組成物であり得る。好適な液体洗濯洗剤組成物は、非石鹸界面活性剤を含み、当該非石鹸界面活性剤は、アニオン性非石鹸界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含んでよい。洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の10重量%~60重量%、又は20重量%~55重量%の非石鹸界面活性剤を含んでもよい。非石鹸アニオン性界面活性剤鯛非イオン性界面活性剤は、1:1~20:1、1.5:1~17.5:1、2:1~15:1、又は2.5:1~13:1である。好適な非石鹸アニオン性界面活性剤として、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、又はこれらの混合物が挙げられる。直鎖アルキルベンゼンスルホネートのアルキルサルフェートに対する重量比は、1:2~9:1、1:1~7:1、又は1:1~5:1、最も好ましくは1:1~4:1であってよい。好適な直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、C10~C16アルキルベンゼンスルホン酸又はC11~C14アルキルベンゼンスルホン酸である。好適なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤として、アルコキシル化アルキルサルフェート、非アルコキシル化アルキルサルフェート、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、HLAS界面活性剤は、50%超のC12、好ましくは60%超、好ましくは70%超のC12、より好ましくは75%超のC12を含む。好適なアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤として、エトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が挙げられる。好適なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤として、1~5、1~3、又は2~3のモル平均エトキシル化度を有する、エトキシ化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤が挙げられる。アルキルアルコキシル化サルフェートは、ブロードなアルコキシ分布又はピークのあるアルコキシ分布を有し得る。AESのアルキル部分は、平均して、13.7~約16個、又は13.9~14.6個の炭素原子を含み得る。少なくとも約50%、又は少なくとも約60%のAES分子は、14個以上の炭素原子、好ましくは14~18個、又は14~17個、又は14~16個、又は14~15個の炭素原子を有するアルキル部分を含み得る。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非エトキシル化アルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェートを含んでもよく、当該アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均エトキシル化度は、1~5、1~3、又は2~3である。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のアルキル画分は、脂肪族アルコール、オキソ合成アルコール、ゲルベアルコール、又はこれらの混合物から誘導されてもよい。好ましいアルキルサルフェートとしては、任意に、2-アルキル分岐一級アルコールスルフェート、特に2-分岐C12~15一級アルコールサルフェート、直鎖一級アルコールスルフェート、特に直鎖C12~14一級アルコールサルフェート、及びそれらの混合物を含む、エトキシル化アルコールスルフェートが挙げられる。洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の10重量%~50重量%、又は15重量%~45重量%、又は20重量%~40重量%、又は30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0177】
好適な非イオン性界面活性剤は、広い又は狭い範囲のアルコキシレート度のアルコール、オキソ合成アルコールアルコキシレート、ゲルベアルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択されてもよい。洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.1重量%~6重量%、又は0.15重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を含んでもよい。
【0178】
洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の1.5重量%~20重量%、又は2重量%~15重量%、又は3重量%~10重量%、又は4重量%~8重量%の脂肪酸塩などの石鹸を含む。そのような石鹸は、例えば、モノエタノールアミンなどのアルカノールアミンを使用して、アミン中和され得る。
【0179】
洗濯洗剤組成物は、クエン酸塩、酵素、漂白剤、漂白触媒、染料、色相染料、ロイコ染料、増白剤、アルコキシル化ポリアミン及びポリエチレンイミン、両親媒性コポリマー、汚れ放出ポリマー、を含む洗浄ポリマー、界面活性剤、溶媒、移染防止剤、キレート剤、ジアミン、香料、カプセル化香料、ポリカルボキシレート、構造化剤、pH調整剤、酸化防止剤、抗菌剤、抗微生物剤、防腐剤、並びにこれらの混合物を含むビルダーを含む群から選択される補助成分を含んでもよい。
【0180】
洗濯洗剤組成物は、2~11、又は6.5~8.9、又は7~8のpHを有し得、洗濯洗剤組成物のpHは、20℃の脱塩水中の10%製品濃度で測定される。
【0181】
液体洗濯洗剤組成物は、ニュートン性であっても、非ニュートン性であってもよく、好ましくは非ニュートン性であり得る。
【0182】
液体洗濯洗剤組成物において、組成物は、液体洗剤組成物の5重量%~99重量%、又は15重量%~90重量%、又は25重量%~80重量%の水を含み得る。
【0183】
本発明による洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物であり得る。以下は、例示的な液体洗濯洗剤処方である。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、本発明による洗剤組成物の0.1重量%~4.0重量%、好ましくは0.5重量%~3重量%、より好ましくは1重量%~2.5重量%の硫酸塩化エステルアミンを含む。
【0184】
【表1】
上付き番号の説明:
1 AESのアルキル部分が、約13.9~約14.6個の炭素原子を含む、C12~15のEO2.5Sアルキルエトキシサルフェート
2 BASFから入手可能なPE-20
3 ヌクレアーゼ酵素は、同時係属中の欧州特許出願19219568.3に特許請求されているとおりである
4 酸化防止剤1は、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸、メチルエステル[6386-38-5]である
5 酸化防止剤2は、BASFから市販されているTinogard TSである
6 衛生剤は、BASFから市販されているTinosan HP100である
7 Dow Corningから供給された消泡剤ブレンド、80~92%のエチルメチル、メチル(2-フェニルプロピル)シロキサン、5~14%のステアリン酸オクチル中のMQ樹脂、3~7%の変性シリカ。
8 蛍光増白剤は、二ナトリウム4,4’-ビス{[4-アニリノ-6-モルホリノ-s-トリアジン-2-イル]-アミノ}-2,2’-スチルベンジスルホネート又は2,2’-([1,1’-ビフェニル]-4、4’-ジイルジ-2,1-エテンジイル)ビス-ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩である。
【0185】
水溶性単位用量物品。
布地及びホームケア製品は、水溶性単位用量物品であり得る。水溶性単位用量物品は、少なくとも1つの単位用量内部区画を作成するように配向された少なくとも1つの水溶性フィルムを含み、少なくとも1つの単位用量内部区画は、洗剤組成物を含む。水溶性フィルムは、好ましくは、ポリビニルアルコールホモポリマー又はポリビニルアルコールコポリマー、例えば、ポリビニルアルコールホモポリマー及び/又はポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含み、例えば、スルホン化及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、特にカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーから選択されるコポリマー、例えば、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含む。いくつかの例では、水溶性フィルムは、Monosolによって商品参照番号M8630、M8900、M8779、M8310として供給されているものがある。洗剤製品は、洗剤組成物、より好ましくは洗濯洗剤組成物を含む。好ましくは、水溶性単位用量物品内に封入された洗濯洗剤組成物は、本発明の洗剤組成物の0.1重量%~8重量%、好ましくは0.5重量%~7重量%、より好ましくは1.0重量%~6.0重量%の硫酸塩化エステルアミンを含む。好ましくは、溶解性単位用量洗濯洗剤組成物は、非石鹸界面活性剤を含み、当該非石鹸界面活性剤は、アニオン性非石鹸界面活性剤及び非イオン性界面活性剤を含む。より好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の10重量%~60重量%、又は20重量%~55重量%の非石鹸界面活性剤を含む。非石鹸アニオン性界面活性剤の非イオン性界面活性剤に対する重量比は、好ましくは、1:1~20:1、1.5:1~17.5:1、2:1~15:1、又は2.5:1~13:1である。非石鹸アニオン性界面活性剤は、好ましくは、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含む。直鎖アルキルベンゼンスルホネートのアルキルサルフェートに対する重量比は、好ましくは、1:2~9:1、1:1~7:1、1:1~5:1、又は1:1~4:1である。例示的な直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、C10~C16アルキルベンゼンスルホン酸又はC11~C14アルキルベンゼンスルホン酸である。「直鎖状」とは、本明細書では、アルキル基が直鎖状であることを意味する。例示的なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、アルコキシル化アルキルサルフェート、若しくは非アルコキシル化アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含んでもよい。例示的なアルコキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、エトキシル化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含む。例示的なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、1~5、1~3、又は2~3のモル平均エトキシル化度を有する、エトキシ化アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を含んでもよい。例示的なアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、非エトキシル化アルキルサルフェート及びエトキシル化アルキルサルフェートを含んでもよく、当該アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤のモル平均エトキシル化度は、1~5、1~3、又は2~3である。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の例示的なアルキル画分は、脂肪族アルコール、オキソ合成アルコール、ゲルベアルコール、又はこれらの混合物から誘導される。好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の10重量%~50重量%、15重量%~45重量%、又は20重量%~40重量%、又は30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。いくつかの例では、非イオン性界面活性剤は、アルコールアルコキシレート、オキソ合成アルコールアルコキシレート、ゲルベ(Guerbet)アルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、又は0.1重量%~6重量%、又は0.15重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の1.5重量%~20重量%、2重量%~15重量%、3重量%~10重量%、又は4重量%~8重量%の石鹸、いくつかの例では、脂肪酸塩、いくつかの例では、アミン中和された脂肪酸塩を含み、いくつかの例では、アミンは、アルカノールアミン、好ましくはモノエタノールアミンである。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の15重量%未満、又は12重量%未満の水を含む。好ましくは、洗濯洗剤組成物は、液体洗濯洗剤組成物の10重量%~40重量%、又は15重量%~30重量%の、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ポリエチレングリコール、又はこれらの混合物から選択される非水性溶媒を含む。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、洗剤組成物の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.5重量%~8重量%の更なる汚れ放出ポリマーを含み、好ましくは、ClariantからTexcareブランド名で市販されている非イオン性及び/又はアニオン変性ポリエステルテレフタレート汚れ放出ポリマー、ポリアルキレンオキシド及びビニルエステルに基づくものなどの両親媒性グラフトポリマー、ポリアルコキシル化ポリエチレンイミン、及びそれらの混合物の群から選択される。好ましくは、液体洗剤組成物は、0.1%~10%、好ましくは1%~5%のキレート剤を更に含む。いくつかの例では、洗濯洗剤組成物は、クエン酸塩、酵素、漂白剤、漂白触媒、染料、色相染料、増白剤、(両性イオン性)アルコキシル化ポリアミンを含む洗浄ポリマー、界面活性剤、溶媒、移染防止剤、香料、カプセル化香料、ポリカルボキシレート、構造化剤、pH調整剤、並びにこれらの混合物を含むビルダーを含む群から選択される補助成分を含む。好ましくは、液体洗濯洗剤組成物は、6~10、6.5~8.9、又は7~8のpHを有し、液体洗濯洗剤組成物のpHは、20℃で脱塩水中の10%生成物濃度として測定される。液体の場合、洗濯洗剤組成物は、ニュートン性であっても、非ニュートン性であってもよく、好ましくは非ニュートン性であり得る。
【0186】
以下は、例示的な水溶性単位用量処方である。組成物は、単一チャンバ水溶性単位用量物品の一部であってもよく、又は複数の区画にわたって分割されて、以下の「区画全体が平均化された」全物品組成物をもたらす。組成物は、ポリビニルアルコール系水溶性体で封入され、ポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールホモポリマーとアニオン性、例えばカルボキシル化ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む。
【0187】
【表2】
上付きの説明:
ヌクレアーゼ酵素は、同時係属中の欧州特許出願19219568.3に特許請求されているとおりである。
**ポリエチレングリコール骨格(Pluriol E6000)と疎水性酢酸ビニル側鎖とを含むポリエチレングリコールグラフトポリマーであって、ポリエチレングリコール骨格ポリマーのポリマー系40重量%と、グラフトされている酢酸ビニル側鎖のポリマー系60重量%とを含む、ポリエチレングリコールグラフトポリマー
【0188】
食器手洗い用液体組成物。
布地及びホームケア製品は、食器手洗い用洗剤組成物などの食器用洗剤組成物、より好ましくは液体食器手洗い用洗剤組成物であり得る。好ましくは、液体食器手洗い用洗剤組成物は、本発明の洗剤組成物の0.1重量%~5.0重量%、好ましくは0.5重量%~4重量%、より好ましくは1.0重量%~3.0重量%の硫酸塩化エステルアミンを含む。液体食器手洗い用洗剤組成物は、好ましくは、全組成物の50重量%~90重量%、好ましくは60重量%~75重量%の水を含む水性組成物である。好ましくは、20℃の脱塩水中で10%の製品濃度として測定される本発明の洗剤組成物のpHは、3~14、より好ましくは4~13、より好ましくは6~12、最も好ましくは8~10に調整される。本発明の組成物は、ニュートン流体又は非ニュートン流体であり得るが、好ましくはニュートン流体である。好ましくは、本組成物は、10mPa・s~10,000mPa・s、好ましくは100mPa・s~5,000mPa・s、より好ましくは300mPa・s~2,000mPa・s、又は最も好ましくは500mPa・s~1,500mPa・s、あるいはこれらの組み合わせの粘度を有する。粘度は、40%~60%のトルクを達成するように粘度計のRPMが調整されたスピンドル31を使用して、ブルックフィールドRT粘度計を用いて20℃で測定される。
【0189】
組成物は、組成物全体の5重量%~50重量%、好ましくは8重量%~45重量%、より好ましくは15重量%~40重量%の界面活性剤系を含む。界面活性剤系は、好ましくは、界面活性剤系の60重量%~90重量%、より好ましくは70重量%~80重量%のアニオン性界面活性剤を含む。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤、特にアルキルサルフェート、アルキルアルコキシサルフェート、好ましくはアルキルエトキシサルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものが好ましい。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、好ましくは8~18個、好ましくは10~14個、より好ましくは12~14個、最も好ましくは12~13個の炭素原子の平均アルキル鎖長を有する。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、5未満、好ましくは3未満、より好ましくは0.5~2.0、最も好ましくは0.5~0.9の平均アルコキシル化度、好ましくはエトキシル化度を有する。アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤は、10%超、好ましくは20%超、より好ましくは30%超、更により好ましくは30%~60%、最も好ましくは30%~50%の重量平均分岐度を好ましくは有する。好適な対イオンとしては、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アルカノールアンモニウム、又はアンモニウム若しくは置換アンモニウムが挙げられるが、好ましくはナトリウムである。市販のアルキルサルフェートアニオン性界面活性剤の好適な例としては、Shellによってブランド名Neodol(登録商標)で、若しくはSasolによってブランド名Lial(登録商標)、Isalchem(登録商標)、及びSafol(登録商標)で販売されているアルコールに由来するもの、又はProcter & Gamble Chemicals社によって製造された天然アルコールのうちのいくつかが挙げられる。
【0190】
界面活性剤系は、好ましくは、液体食器手洗い用洗剤組成物の0.1重量%~20重量%、より好ましくは0.5重量%~15重量%、特に2重量%~10重量%の補助界面活性剤を含む。好ましい補助界面活性剤は、両性界面活性剤、双性イオン界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される。アニオン性界面活性剤と補助界面活性剤との重量比は、1:1~8:1、好ましくは2:1~5:1、より好ましくは2.5:1~4:1であり得る。補助界面活性剤は、好ましくは両性界面活性剤、より好ましくはアミンオキシド界面活性剤である。好ましくは、アミンオキシド界面活性剤は、アルキルジメチルアミンオキシド、アルキルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、及びこれらの混合物からなる群から選択され、最も好ましくはC12~C14アルキルジメチルアミンオキシドである。好適な両性イオン性界面活性剤としては、ベタイン界面活性剤、好ましくはコカミドプロピルベタインが挙げられる。
【0191】
好ましくは、本発明の組成物の界面活性剤系は、当該界面活性剤系の1重量%~25重量%、好ましくは1.25重量%~20重量%、より好ましくは1.5重量%~15重量%、最も好ましくは1.5重量%~5重量%の非イオン性界面活性剤を更に含む。好適な非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化非イオン性界面活性剤、アルキルポリグルコシド(「APG」)界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。好適なアルコキシル化非イオン性界面活性剤は、直鎖状又は分岐鎖状の一級又は二級アルキルアルコキシル化、好ましくはアルキルエトキシル化非イオン性界面活性剤であり、そのアルキル鎖に平均9~15個、好ましくは10~14個の炭素原子を含み、アルコール1モル当たり平均5~12単位、好ましくは6~10単位、最も好ましくは7~8単位のエチレンオキシドを含むものである。最も好ましくは、アルキルポリグリコシド界面活性剤は、10~16、好ましくは10~14、最も好ましくは12~14の平均アルキル炭素鎖長を有し、平均重合度は0.5~2.5、好ましくは1~2、最も好ましくは1.2~1.6である。C8~C16アルキルポリグリコシドは、いくつかの供給元から市販されている(例えば、Seppic Corporation製のSimusol(登録商標)界面活性剤;並びにBASF Corporation製のGlucopon(登録商標)600 CSUP、Glucopon(登録商標)650 EC、Glucopon(登録商標)600 CSUP/MB、及びGlucopon(登録商標)650 EC/MB)。
【0192】
本明細書における液体食器手洗い用洗剤組成物は、ビルダー(例えば、好ましくはクエン酸塩)、キレート剤(例えば、好ましくはGLDA)、コンディショニングポリマー、ポリアルコキシル化ポリアルキレンイミンを含む洗浄ポリマー、表面改質ポリマー、汚れ凝集ポリマー、EO-PO-EOトリブロックコポリマーを含む起泡ポリマー、環状ポリアミンを含むグリース洗浄ポリアー、構造化剤、皮膚軟化剤、湿潤剤、皮膚若返り活性物質、酵素、カルボン酸、スクラブ粒子、漂白剤及び漂白活性剤、香料、悪臭抑制剤、顔料、染料、乳白剤、ビーズ、真珠光沢粒子、マイクロカプセル、有機溶媒、Ca/Mgイオンなどのアルカリ土類金属などの無機カチオン、抗菌剤、防腐剤、粘度調整剤(例えば、NaCl、並びに他の一価、二価、及び三価の塩などの塩)、並びにpH調整剤及び緩衝手段(例えば、クエン酸などのカルボン酸、HCl、NaOH、KOH、アルカノールアミン、リン酸及びスルホン酸、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、重炭酸塩、セスキ炭酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、リン酸塩、イミダゾールなど)などの多くのその他の補助成分を任意に含んでもよい。
【0193】
以下は、例示的な液体食器手洗い用洗剤処方である。この処方は、個々の成分の標準的な混合によって作製することができる。
【0194】
【表3】
【0195】
固体自由流動性粒子状洗濯洗剤組成物。
布地及びホームケア製品は、固体自由流動性粒子状洗濯洗剤組成物であり得る。以下は、例示的な固体自由流動性粒子状洗濯洗剤組成物である。
【0196】
【表4】
【0197】
更なる実施形態
本発明の別の主題は、洗濯洗剤、洗浄組成物、並びに/又は、布地及びホームケア製品における少なくとも1つのグラフトポリマーの使用であり、グラフトポリマーは、
(A)グラフトベースとしてのブロックコポリマー骨格であって、当該ブロックコポリマー骨格(A)は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーを重合することによって得ることができる、ブロックコポリマー骨格と、
(B)ブロックコポリマー骨格上にグラフト化されたポリマー側鎖であって、当該ポリマー側鎖(B)は、酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルから選択される少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)と、任意選択的な更なるモノマー(B2)としての任意選択的なN-ビニルピロリドンとの重合によって得ることができる、ポリマー側鎖と、を含む。
【0198】
本発明のこの特定の主題において、ブロックコポリマー骨格(A)内の個々のブロックの数(x)が整数であることが好ましく、xは2~10の値を有し、好ましくはxは2~5の値を有し、より好ましくはxは2又は3であり、最も好ましくは、xは3である。
【0199】
また、この特定の主題では、ビニルエステルモノマー(B1)は、B1モノマーの少なくとも50重量%の酢酸ビニルを含むことが好ましい。
【0200】
更に、この特定の主題はまた、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)が酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルから選択されるという条件下で、そのようなグラフトポリマーの定義に関連して上述したような全ての好ましい、より好ましいなどの定義/特徴を含む。
【0201】
したがって、本発明の更なる主題は、少なくとも1つのグラフトポリマーを含有する洗濯洗剤、洗浄組成物、並びに/又は、布地及びホームケア製品であり、グラフトポリマーは、
(A)グラフトベースとしてのブロックコポリマー骨格であって、当該ブロックコポリマー骨格(A)は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーを重合することによって得ることができる、ブロックコポリマー骨格と、
(B)ブロックコポリマー骨格上にグラフト化されたポリマー側鎖であって、当該ポリマー側鎖(B)は、酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルから選択される少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)と、任意選択的な更なるモノマー(B2)としての任意選択的なN-ビニルピロリドンとの重合によって得ることができる、ポリマー側鎖と、を含む。
【0202】
本発明のこの特定の主題において、ブロックコポリマー骨格(A)内の個々のブロックの数(x)が整数であることが好ましく、xは2~10の値を有し、好ましくはxは2~5の値を有し、より好ましくはxは2又は3であり、最も好ましくは、xは3である。
【0203】
また、この特定の主題では、ビニルエステルモノマー(B1)は、B1モノマーの少なくとも50重量%の酢酸ビニルを含むことが好ましい。
【0204】
このそれぞれの洗濯洗剤、洗浄組成物、並びに/又は、布地及びホームケア製品において、少なくとも1つのグラフトポリマーは、そのような組成物又は製品の総重量に対して、約0.01%~約20%、好ましくは約0.05%~15%、より好ましくは約0.1%~約10%、最も好ましくは約0.5%~約5%の範囲の量で存在する。
【0205】
本発明の更なる実施形態は、グラフトポリマーに関し、このグラフトポリマーは、
(A)グラフトベースとしてのブロックコポリマー骨格であって、当該ブロックコポリマー骨格(A)は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーを重合することによって得ることができる、ブロックコポリマー骨格と、
(B)ブロックコポリマー骨格上にグラフト化されたポリマー側鎖であって、当該ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)と、任意選択的な更なるモノマー(B2)としての任意選択的なN-ビニルピロリドンとの重合によって得ることができる、ポリマー側鎖と、を含む。
【0206】
本発明のこの特定の主題において、ブロックコポリマー骨格(A)内の個々のブロックの数(x)が整数であることが好ましく、xは2~10の値を有し、好ましくはxは2~5の値を有し、より好ましくはxは2又は3であり、最も好ましくは、xは3である。
【0207】
また、この特定の主題では、ビニルエステルモノマー(B1)は、B1モノマーの少なくとも50重量%の酢酸ビニルを含むことが好ましい。
【0208】
更に、この特定の主題はまた、本発明の他の実施形態に関連して上述したような全ての好ましい、より好ましいなどの定義/特徴も含む。
【0209】
本発明の実施形態は、以下を更に含む。
1.グラフトポリマーであって、
(a)グラフトベースとしてのブロックコポリマー骨格であって、当該ブロックコポリマー骨格(A)は、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ペンテンオキシド又は2,3-ペンテンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーを重合することによって得ることができ、当該ブロックコポリマー骨格(A)は、3つ以上のアルキレンオキシドブロックを有する、ブロックコポリマー骨格と、
(B)ブロックコポリマー骨格(A)上にグラフト化されたポリマー側鎖であって、当該ポリマー側鎖(B)は、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)の重合によって得ることができる、ポリマー側鎖と、を含み、
ビニルエステルモノマー(B1)は、B1モノマーの少なくとも50重量%の酢酸ビニルを含み、
ポリマーは、0超のOGを有し、
OG=aEO+b -c(M×SUB)-d+eSUB+hであり、
式中、
「M」は、ブロックコポリマー骨格(A)の数平均分子量であり、
「EO」は、骨格(A)中に存在する総アルキレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分のモル比であり、EOは、0~1.00未満の範囲内であり、
「SUB」は、ポリマーの重量に対するポリマー側鎖(B)の重量パーセントであり、
「a」は係数であり、7.06に等しく、
「b」は係数であり、5.63×10-7に等しく、
「c」は係数であり、1.25×10-3に等しく、
「d」は係数であり、7.03×10-3に等しく、
「e」は係数であり、3.66に等しく、
「h」は係数であり、16.3に等しい、グラフトポリマー。
【0210】
2.グラフトポリマーが、0超のFJもまた有し、
FJ=aEO-b +d+eSUB-fSUB-g(EO×SUB)-hであり、
式中、
「a」は係数であり、446に等しく、
「b」は係数であり、4.02×10-6に等しく、
「d」は係数であり、0.0168に等しく、
「e」は係数であり、281に等しく、
「f」は係数であり、229に等しく、
「g」は係数であり、1140に等しく、
「h」は係数であり、83.6に等しい、実施形態1に記載のグラフトポリマー。
【0211】
3.当該ポリマー側鎖(B)が、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)及び少なくとも1つのN-ビニルピロリドンモノマー(B2)の重合によって得ることができる、実施形態1~2のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【0212】
4.「SUB」が、ポリマーの重量に対するビニルエステルモノマー側鎖(B1)の重量パーセントである、実施形態1~3のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【0213】
5.グラフトポリマーが、(グラフトポリマーの総重量に対して)20重量%~95重量%のブロックコポリマー骨格(A)と、5重量%~80重量%のポリマー側鎖(B)と、を含む、実施形態1~4のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【0214】
6.ブロックコポリマー骨格(A)が、
(i)エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、又は1,2-ブチレンオキシドの群から選択される少なくとも2つのモノマーの重合によって得ることができ、かつ/又は
(ii)使用される少なくとも2つのモノマーのうちの1つがエチレンオキシドであり、かつ/又は
(iii)ブロックコポリマー骨格(A)内の個々のアルキレンオキシドブロックの数(x)が整数であり、xは3~10の値を有する、実施形態1~5のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【0215】
7.ブロックコポリマー骨格(A)が、エチレンオキシドを含む、実施形態6に記載のグラフトポリマー。
【0216】
8.ブロックコポリマー骨格(A)内の個々のアルキレンオキシドブロックの数(x)が整数であり、xは3~5の値を有する、実施形態6に記載のグラフトポリマー。
【0217】
9.
(i)グラフトポリマーが、800~10,000g/molの重量平均分子量Mを有し、かつ/又は
(ii)グラフトポリマーが、3.0未満の多分散性M/Mを有し、式中、
「M」=重量平均分子量[g/mol]であり、
「M」=数平均分子量[g/mol]であり、かつ/又は
(iii)ブロックコポリマー骨格(A)が、一方又は両方の末端基でキャッピングされており、かつ/又は
(iv)ブロックコポリマー骨格(A)が、ポリエチレンオキシド(PEG)とポリプロピレンオキシド(PPG)とのトリブロックコポリマーである、実施形態1~8のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【0218】
10.ブロックコポリマー骨格(A)が、式(A1)及び/又は式(A2)による構造を有し、
式(A1)は、以下のように定義され、
【0219】
【化6】
式中、
「n」は、2~100の範囲の整数であり、
「m」は、2~100の範囲の整数であり、
式(A2)は、以下のように定義され、
【0220】
【化7】
式中、
「o」は、2~100の範囲の整数であり、
「p」は、2~100の範囲の整数である、実施形態1~9のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【0221】
11.ポリマー側鎖(B)が、
(B1) ((B1)及び(B2)の合計に対して)50~100重量%の、少なくとも1つのビニルエステルモノマー(B1)と、
(B2) ((B1)及び(B2)の合計に対して)0~50重量%の、更なるモノマー(B2)としてのN-ビニルピロリドンとのラジカル重合によって得ることができ、
ポリマー側鎖(B)は、任意選択的に重合後に完全に又は部分的に加水分解される、実施形態1~10のいずれかに記載のグラフトポリマー。
【0222】
12 実施形態1~11のうちの1つに記載の少なくとも1つのグラフトポリマーを得るためのプロセスであって、少なくとも1つのモノマー(B1)は、少なくとも1つのブロックコポリマー骨格(A)の存在下で重合され、
プロセスは、反応混合物中の未変換グラフトモノマー(B1)及び開始剤(C)の画分が、ブロックコポリマー骨格(A)に対して量的に不足している状態を常に維持する方法で、開始剤(C)の分解半減期が40~500分である平均重合温度において、少なくとも1つのブロックコポリマー骨格(A)、フリーラジカル形成開始剤(C)、及び少なくとも1つの有機溶媒(D)の存在下でポリマー側鎖(B)を得るための、酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルから選択される少なくとも1つのモノマー(B1)の重合を含み、
任意に、ポリマー側鎖(B)は、ラジカル重合によって得られる、プロセス。
【0223】
13.実施形態1~11のいずれかに記載の少なくとも1つのグラフトポリマーを含む、布地及びホームケア製品。
【0224】
14.製品が、液体、ゲル、粉末、ヒドロコロイド、水溶液、顆粒、錠剤、カプセル、単区画サッシェ、パッド、多区画サッシェ、単区画パウチ、又は多区画パウチの形態の組成物である、実施形態13に記載の製品。
【0225】
15.製品が、界面活性剤、酵素、洗剤ビルダー、錯化剤、ポリマー、汚れ放出ポリマー、界面活性増強ポリマー、漂白剤、漂白活性化剤、漂白触媒、布地コンディショナー、クレー、泡増進剤、泡抑制剤、防食剤、汚れ懸濁化剤、汚れ再付着防止剤、染料、殺菌剤、曇り防止剤、蛍光増白剤、香料、飽和又は不飽和脂肪酸、移染防止剤、キレート剤、色相染料、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、視覚シグナル伝達成分、消泡剤、構造化剤、増粘剤、固結防止剤、デンプン、砂、ゲル化剤、又はこれらの任意の組み合わせから選択される成分を更に含む組成物である、実施形態13又は14のいずれかに記載の製品。
【0226】
使用方法
本発明は、標的表面を洗浄する方法を含む。本明細書で使用される場合、「標的表面」は、布、皿、グラス、及び他の調理面、硬質表面、毛髪又は皮膚などのかかる表面を含み得る。本明細書で使用される場合、「硬質表面」は、硬質木材、タイル、セラミック、プラスチック、皮革、金属、ガラスなどの典型的な家庭に見られる硬質表面を含む。そのような方法は、修飾ポリオール化合物を含む組成物を、未希釈の形態で又は洗浄液中で希釈して、標的表面の少なくとも一部と接触させ、次いで、任意に、標的表面をすすぐ工程を含む。好ましくは、標的表面は、上記任意選択的なすすぎ工程の前に、洗浄工程に供される。本発明の目的に関して、洗浄は、こすり洗い、拭き取り、及び機械的撹拌を含むが、これらに限定されない。
【0227】
当業者に理解されるように、本発明の洗浄組成物は理想的にはホームケア(硬質表面洗浄組成物)及び/又は洗濯用途に用いるのに適している。
【0228】
組成物溶液のpHは、約3~約11の広範囲のpHにわたって洗浄される標的表面に最も相補的であるように選択される。皮膚及び毛髪洗浄などのパーソナルケアにおいて、そのような組成物のpHは、好ましくは約5~約8のpHを有し、洗濯洗浄組成物のpHは約5~約11である。組成物は、好ましくは、溶液中約200ppm~約10,000ppmの濃度で用いられる。水温は、好ましくは、約5℃~約100℃の範囲である。
【0229】
洗濯洗浄組成物で使用するために、組成物は、好ましくは、溶液(又は洗浄液)中で約200ppm~約10000ppmの濃度で用いられる。水温は、好ましくは、約5℃~約60℃の範囲である。水と布地との比は、好ましくは、約1:1~約20:1である。
【0230】
方法は、本発明の組成物の実施形態で含浸された不織布基材を接触させる工程を含み得る。本明細書において使用するとき、「不織布基材」は、好適な秤量、キャリパー(厚み)、吸収性、及び強度特性を有する従来式の任意の不織布シート又はウェブを含み得る。好適な市販の不織布基材の例としては、DuPontにより商品名SONTARA(登録商標)及びJames River Corp.により商品名POLYWEB(登録商標)として市販されているものが挙げられる。
【0231】
当業者に理解されるように、本発明の洗浄組成物は理想的には液体食器洗浄組成物で用いるのに適している。本発明の液体食器組成物を使用するための方法は、汚れた皿を、有効量、典型的には約0.5mL~約20mL(処理される食器25個あたり)の水で希釈された本発明の液体食器洗浄組成物に接触させる工程を含む。
【0232】
本発明はまた、汚れ懸濁性能、汚れ放出性能、染み除去性能、再付着防止性能、及び/又は悪臭抑制性能の改善のために、かかるグラフトポリマーを使用するための方法も含む。
【0233】
以下の実施例は、本発明の範囲を制限することなく、本発明を更に説明するものとする。
【0234】
ポリマー測定
K値は、希釈ポリマー溶液の相対粘度を測定するものであり、重量平均分子量の相対的尺度である。特定のポリマーについてポリマーの重量平均分子量が増加するにつれて、K値も増加する傾向がある。K値は、「Cellulosechemie」,1932,13,58におけるH.Fikentscherの方法に従って、23℃の3重量%NaCl溶液中、1%ポリマーのポリマー濃度で求められる。
【0235】
本発明のグラフトポリマーの数平均分子量(M)、重量平均分子量(M)、及び多分散性M/Mは、テトラヒドロフラン中のゲル浸透クロマトグラフィーによって決定された。使用した移動相(溶離液)は、0.035mol/Lのジエタノールアミンを含むテトラヒドロフランであった。テトラヒドロフラン中のグラフトポリマーの濃度は、1mL当たり2.0mgであった。濾過後(孔径0.2μm)、この溶液100μLをGPCシステムに注入した。分離には4つの異なるカラム(60℃に加熱)を使用した(SDVプレカラム、SDV1000A、SDV100000A、SDV1000000A)。GPCシステムを1分当たり1mLの流量で操作した。DRI Agilent 1100を検出システムとして使用した。106~1378000g/molの分子量Mを有するポリ(エチレングリコール)(PEG)標準(PL)を較正に使用した。
【実施例
【0236】
合成例:
比較ポリマーの手順:ポリ(エチレングリコール)上の酢酸ビニルのグラフト重合
(比較ポリマー9)
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合容器に、窒素雰囲気下でまず600gのポリ(エチレングリコール)を投入し、90℃で融解した。
23.6gのトリプロピレングリコールに溶解した4.8gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートを含有するフィード1を、90℃で6時間10分かけて撹拌容器に投入した。フィード1の5.56%を最初の10分で投入し、残りを6時間かけて一定の供給速度で投入した。フィード1の開始10分後、フィード2(400gの酢酸ビニル)を開始し、6時間かけて一定の供給速度で90℃にて投入した。フィード1及び2の完了時に、温度を95℃に上げ、15.70gのトリプロピレングリコールに溶解した3.16gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートからなるフィード3を、95℃にて一定の流量で56分かけて投入した。フィードを完全に添加した後、混合物を95℃で1時間撹拌した。
モノマーの残留量を、95℃かつ500mbarで1時間真空蒸留によって除去した。
【0237】
グラフトを含まない比較ポリマーの一般的な手順
(比較ポリマー10~13)
1098.90gのトリブロックコポリマー、1.10gの酢酸ビニル及び58.30gの1,2-プロパンジオールを90℃の重合容器内で混合し、3時間撹拌した。
【0238】
ポリアルキレンオキシド/VAc(40/60)の比での酢酸ビニルのグラフト重合のための一般的な手順
(本発明のポリマー1、3;比較ポリマー6、7)
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合容器に、窒素雰囲気下でまず440gのトリブロックコポリマーを投入し、90℃で融解した。
35.09gの1,2-プロパンジオールに溶解した7.97gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートを含有するフィード1を、90℃で6時間10分かけて撹拌容器に投入した。フィード1の5.56%を最初の10分で投入し、残りを6時間かけて一定の供給速度で投入した。フィード1の開始10分後、フィード2(660gの酢酸ビニル)を開始し、6時間かけて一定の供給速度で90℃にて反応容器に投入した。供給が完了したら、23.21gの1,2-プロパンジオールに溶解した5.28gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートからなるフィード3を、90℃にて一定の流量で56分かけて投入した。フィードを完全に添加した後、混合物を90℃で1時間撹拌した。
モノマーの残留量を、95℃かつ500mbarで1時間真空蒸留によって除去した。
【0239】
ポリアルキレンオキシド/VAc(50/50)の比での酢酸ビニルのグラフト重合のための一般的な手順
(本発明のポリマー2;比較ポリマー4)
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合容器に、窒素雰囲気下でまず500gのトリブロックコポリマーを投入し、90℃で融解した。
50.30gのトリプロピレングリコールに溶解した12.24gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートを含有するフィード1を、90℃で6時間10分かけて撹拌容器に投入した。フィード1の5.56%を最初の10分で投入し、残りを6時間かけて一定の供給速度で投入した。フィード1の開始10分後、フィード2(200gの酢酸ビニル)を開始し、6時間かけて一定の供給速度で90℃にて反応容器に投入した。供給が完了したら、19.70gのトリプロピレングリコールに溶解した4.80gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートからなるフィード3を、90℃にて一定の流量で56分かけて投入した。フィードを完全に添加した後、混合物を90℃で1時間撹拌した。
モノマーの残留量を、95℃かつ500mbarで1時間真空蒸留によって除去した。
【0240】
ポリアルキレンオキシド/VAc(60/40)の比での酢酸ビニルのグラフト重合のための一般的な手順1
(本発明のポリマー4、5、7~9、13~15;比較ポリマー1、2、5、8)
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合容器に、窒素雰囲気下でまず600gのトリブロックコポリマーを投入し、90℃で融解した。
23.6gのトリプロピレングリコールに溶解した4.8gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートを含有するフィード1を、90℃で6時間10分かけて撹拌容器に投入した。フィード1の5.56%を最初の10分で投入し、残りを6時間かけて一定の供給速度で投入した。フィード1の開始10分後、フィード2(400gの酢酸ビニル)を開始し、6時間かけて一定の供給速度で90℃にて投入した。フィード1及び2の完了時に、温度を95℃に上げ、15.70gのトリプロピレングリコールに溶解した3.16gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートからなるフィード3を、95℃にて一定の流量で56分かけて投入した。フィードを完全に添加した後、混合物を95℃で1時間撹拌した。
モノマーの残留量を、95℃かつ500mbarで1時間真空蒸留によって除去した。得られたグラフトポリマー(実施例7)は、5190g/molの平均分子量Mと、1.5の多分散性を有した。
【0241】
ポリアルキレンオキシド/VAc(70/30)の比での酢酸ビニルのグラフト重合のための一般的な手順
(本発明のポリマー11;比較ポリマー3)
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合容器に、窒素雰囲気下でまず770gのトリブロックコポリマーを投入し、90℃で融解した。
35.09gの1,2-プロパンジオールに溶解した7.97gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートを含有するフィード1を、90℃で6時間10分かけて撹拌容器に投入した。フィード1の5.56%を最初の10分で投入し、残りを6時間かけて一定の供給速度で投入した。フィード1の開始10分後、フィード2(330gの酢酸ビニル)を開始し、6時間かけて一定の供給速度で90℃にて反応容器に投入した。供給が完了したら、23.21gの1,2-プロパンジオールに溶解した5.28gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートからなるフィード3を、90℃にて一定の流量で56分かけて投入した。フィードを完全に添加した後、混合物を90℃で1時間撹拌した。
モノマーの残留量を、95℃かつ500mbarで1時間真空蒸留によって除去した。
【0242】
ポリアルキレンオキシド/VAc(80/20)の比での酢酸ビニルのグラフト重合のための一般的な手順
(本発明のポリマー6、10、12)
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合容器に、窒素雰囲気下でまず800gのトリブロックコポリマーを投入し、90℃で融解した。
47.61gのトリプロピレングリコールに溶解した10.20gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートを含有するフィード1を、90℃で6時間10分かけて撹拌容器に投入した。フィード1の5.56%を最初の10分で投入し、残りを6時間かけて一定の供給速度で投入した。フィード1の開始10分後、フィード2(200gの酢酸ビニル)を開始し、6時間かけて一定の供給速度で90℃にて反応容器に投入した。供給が完了したら、22.39gのトリプロピレングリコールに溶解した4.90gのtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエートからなるフィード3を、90℃にて一定の流量で56分かけて投入した。フィードを完全に添加した後、混合物を90℃で1時間撹拌した。
モノマーの残留量を、95℃かつ500mbarで1時間真空蒸留によって除去した。
【0243】
1,2-プロパンジオール中の酢酸ビニル及びビニルピロリドンのグラフト重合のための手順
(本発明のポリマー16)
撹拌機及び還流冷却器を備えた重合容器に、窒素雰囲気下でまず376.3gのトリブロックコポリマーを投入し、90℃で融解した。
17.01gの1,2-プロパンジオールに溶解した7.12gのtert-ブチルペルピバレートを含有するフィード1を、90℃で6時間10分かけて撹拌容器に投入した。フィード1の5.56%を最初の10分で投入し、残りを6時間かけて一定の供給速度で投入した。フィード1の開始10分後、フィード2(225.78gの酢酸ビニル)及びフィード3(150.25gのビニルピロリドン)を同時に開始し、6時間かけて一定の供給速度で90℃にて反応容器に投入した。フィード2及び3の開始3時間後、フィード4(142.31gの1,2-プロパンジオール)を開始し、3時間かけて一定の供給速度で反応容器に投入した。供給の完了時に温度を95℃に上げ、11.25gの1,2-プロパンジオールに溶解した4.72gのtert-ブチルペルピバレートからなるフィード3を、95℃にて一定の流量で56分かけて投入した。フィードを完全に添加した後、混合物を95℃で1時間撹拌した。
モノマーの残留量を、95℃かつ500mbarで1時間真空蒸留によって除去した。水(76.84g)を添加した。
【0244】
より多くの比較及び本発明のポリマーの実施例の構造的詳細は、表5に列挙されている。
【0245】
【表5】
VAc=酢酸ビニルVP=ビニルピロリドン、
A1:EO/PO/EOトリブロック骨格、A2:PO/EO/POトリブロック骨格、C:PEG
「M」は、ブロックコポリマー骨格(A)の数平均分子量である
「EO」は、骨格(A)中に存在する総アルキレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分のモル比である
「SUB」は、ポリマーの重量に対するポリマー側鎖(B)の重量パーセントである
【0246】
ポリマーの生分解性を測定するための方法
廃水中の生分解性は、OECD 301Fのmanometric respirometry法を使用して3回試験した。30mg/mLの試験物質を、Mannheim Wastewater Treatment Plantから採取した廃水に接種し、閉鎖したフラスコ内で25℃にて28日間インキュベートする。この期間中の酸素の消費は、OxiTop C(WTW)を使用してフラスコ内の圧力の変化として測定される。発生したCOは、NaOH溶液を使用して吸収される。ブランクを使用して補正した後の、試験物質の生分解中に微生物群によって消費された酸素の量は、ThOD(理論的酸素必要量)の%として表される。
【0247】
OECD 301F試験の28日における比較ポリマー及び本発明のポリマーの生分解データを、表5にまとめる。
【0248】
表5に示されるように、比較ポリマー1~10と比較して、本発明のグラフトポリマー1~17は、OECD 301F試験の28日におけるより高い割合の生分解性を示す。
【0249】
本発明のグラフトポリマーは、0超のOGを有し、
OG=aEO+b -c(M×SUB)-d+eSUB+hであり、
式中、
「M」は、ブロックコポリマー骨格(A)の数平均分子量であり、
「EO」は、骨格(A)中に存在する総アルキレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分のモル比であり、EOは、0~1.00未満の範囲内であり、
「SUB」は、ポリマーの重量に対するポリマー側鎖(B)の重量パーセントであり、
「a」は係数であり、7.06に等しく、
「b」は係数であり、5.63×10-7に等しく、
「c」は係数であり、1.25×10-3に等しく、
「d」は係数であり、7.03×10-3に等しく、
「e」は係数であり、3.66に等しく、
「h」は係数であり、16.3に等しい。
【0250】
OGによって定義される本発明のグラフトポリマーの範囲内では、本発明のグラフトポリマーは、0超のFJを有することがより好ましく、
FJ=aEO-b +d+eSUB-fSUB-g(EO×SUB)-hであり、
式中、
「a」は係数であり、446に等しく、
「b」は係数であり、4.02×10-6に等しく、
「d」は係数であり、0.0168に等しく、
「e」は係数であり、281に等しく、
「f」は係数であり、229に等しく、
「g」は係数であり、1140に等しく、
「h」は係数であり、83.6に等しい。
【0251】
手洗い用食器組成物の泡持続性を評価するための方法
泡持続性指数試験の目的は、周期的な汚れ注入の影響下にある間の、指定の水硬度、溶液温度、及び配合物濃度における異なる試験配合物について発生した泡体積の経時的発達を比較することである。データを比較し、参照組成物に対する泡持続性指数として表す(参照組成物は泡持続性指数100を有する)。方法の工程は、以下のとおりである。
1)標的とする組成物濃度(0.12重量%)に応じた規定量の試験組成物を、4バールの一定圧力で4Lになるまでシンクを満たす水流(水硬度:15gpg、水温:35℃)にシンクの底面(寸法:直径300mm及び高さ288mm)の上方37cmの高さにおいて0.67mL/秒の流速でプラスチック製ピペットを通して分注する。
2)発生した初期泡体積(平均泡高さ×シンクの表面積として測定し、cmで表す)を充填終了直後に記録する。
3)固定量(6mL)の汚れを、シンクの中央に直ちに注入する。
4)85RPMで20回回転する、45度の角度で気液界面においてシンクの中央に位置する金属ブレード(10cm×5cm)を用いて、得られた溶液を混合する。
5)合計泡体積の別の測定値を、ブレードの回転終了直後に記録する。
6)測定された合計泡体積が400cmの最低レベルに達するまで工程3~5を繰り返す。400cmのレベルに達するのに必要な汚れの添加量を、試験組成物の泡持続性とみなす。
7)各試験組成物を、試験条件(すなわち、水温、組成物濃度、水硬度、汚れの種類)につき4回試験する。
8)サンプルごとに4回繰り返した平均として、平均泡持続性を計算する。
9)参照組成物サンプルに対して試験組成物サンプルの平均持続性を比較することによって、泡持続性指数を計算する。計算は、以下のとおりである。
【0252】
【数1】
【0253】
表6に記載される成分の標準的な混合を通して汚れ組成物を生成する。
【0254】
【表6】
【0255】
ポリマーの白色度効果を評価するための方法
白色度保持とも呼ばれる白色度維持は、汚れの存在下で洗浄されたときに白色物品の白色度が失われるのを防ぐ洗剤の能力である。白い衣類は、汚れた衣類から汚れが除去され、洗浄水中に懸濁し、その後、これらの汚れが衣類に再付着し得るときに、経時的に汚れて/くすんで見える場合があるので、衣類は洗浄されるたびに白色が失われる。
【0256】
本開示のポリマーの白色度効果は、洗濯用処方試験のために10個のポットを有する自動ターゴトメーターを使用して評価される。
【0257】
消費者の汚れレベル(身体汚れ、食物、垢などの混合物)をシミュレートするために、WFK Testgewebe GmbHによって供給されるSBL2004試験汚れストリップを使用する。平均して、1つのSBL2004ストリップごとに8gの汚れをロードする。SBL2004試験汚れストリップを、試験で使用するために5×5cmの正方形に切断した。
【0258】
WFK Testgewebe GmbHから購入した以下の表7の白色布地見本を白色度トレーサーとして使用する。洗浄試験の前に、Konica Minolta CM-3610D分光光度計を使用して全ての白色度トレーサーのL、a、B値を測定する。
【0259】
【表7】
【0260】
追加のバラスト(バックグラウンド布地見本)もまた、布の荷重をシミュレートし、実際の洗濯プロセス中の機械的エネルギーを提供するために使用される。バラスト負荷は、5×5cmのサイズで綿及びポリコットンニットの見本からなる。
【0261】
試験を完了するためには、4回の洗浄サイクルが必要である。
サイクル1:各ターゴトメーターのポート内で1Lの水(規定の硬度)と混合することによって、所望の量の洗剤を完全に溶解させる。白色度トレーサーを含む60グラムの布(4種類、4回ずつ測定)、21個の5×5cmのSBL2004、及びバラストを、定義された条件下でターゴトメーターのポット内で洗浄し、すすぐ。
水溶性単位用量組成物の試験では、洗浄濃度は2000ppmである。追加の47ppmのPVOHフィルムも、ターゴトメーターのポットに追加される。洗浄温度は30℃であり、水硬度は20gpgである。
サイクル2:次いで、サイクル1のプロセスの後、各ポットの白色度トレーサー及びバラストを、新しいセットのSBL2004(5×5cm、21ピース)と共に再度洗浄し、すすぐ。全ての他の条件は、サイクル1と同じままである。
サイクル3:次いで、サイクル1のプロセスの後、各ポットの白色度トレーサー及びバラストを、新しいセットのSBL2004(5×5cm、21ピース)と共に再度洗浄し、すすぐ。全ての他の条件は、サイクル1と同じままである。
サイクル4:次いで、サイクル1のプロセスの後、各ポートの白色度トレーサー及びバラストを、新しいセットのSBL2004(5×5cm、21ピース)と共に再度洗浄し、すすぐ。全ての他の条件は、サイクル1と同じままである。
【0262】
サイクル4の後、全ての白色度トレーサー及びバラストを乾燥させるまで60~65℃にてタンブル乾燥させ、次いで、トレーサーをKonica Minolta CM-3610D分光光度計を使用して再度測定する。洗浄前後のL、a、b測定値に基づいて、白色度指数(ΔWI(CIE))の変化を計算する。
ΔWI(CIE)=WI(CIE)(洗浄後)-WI(CIE)(洗浄前)。
【0263】
食器手洗い用洗剤におけるポリマー性能
列挙する成分を混合することにより、当業者に既知の従来の手段によって以下の食器手洗い用洗剤組成物を調製する。泡持続性に対する本発明のポリマーの影響は、表8中で、処方A(参照)及びB(本発明のポリマーを含む参照)の泡持続性を比較することによって評価される。泡持続性性能は、本明細書に記載の手洗い用食器組成物の泡持続性を評価するための方法を使用して評価され、泡持続性指数は表9に報告される。
【0264】
【表8】
MW600のポリエチレンイミン主鎖、並びにそれぞれ24個の内部EO単位及び16個の末端PO単位を含むアルコキシル化鎖を含む、両親媒性アルコキシル化ポリエチレンイミン(合計MW:約28000g/mol)。
【0265】
表9に示されるように、本発明のポリマーは、高い泡持続性効果を送達することができる。
【0266】
【表9】
【0267】
液体洗剤におけるポリマー白色度性能
列挙する成分(表10)を混合することにより、当業者に既知の従来の手段によって以下の水溶性単位用量洗剤組成物E及びFを調製する。
【0268】
本発明及び比較ポリマーの白色度維持は、参照組成物Eと試験組成物Fの白色度性能を直接比較することによって、ポリマーの白色度性能を評価するための方法に従って評価される。組成物F対組成物EのΔWI(CIE)は、ポリマー白色度性能効果の指標として表11に報告される。
【0269】
【表10】
【0270】
表11に示されるように、本発明のポリマーは、有意な白色度効果をもたらす。
【0271】
比較ポリマー10、12、13については高い生分解性を観察することができるが、意味がある白色度効果をもたらすことができない。これは、表5に見られるように、比較ポリマー10、12、13が非常に低いレベルのグラフトを有し(Sub(重量%)=0.001)、そのような低グラフト化レベルにおいて十分な白色度性能効果を送達することができないためである。
【0272】
【表11】
【0273】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2022-08-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0245
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0245】
【表5】
VAc=酢酸ビニルVP=ビニルピロリドン、
A1:EO/PO/EOトリブロック骨格、A2:PO/EO/POトリブロック骨格、C:PEG
「M」は、ブロックコポリマー骨格(A)の数平均分子量である
「EO」は、骨格(A)中に存在する総アルキレンオキシド部分に対するエチレンオキシド部分のモル比である
「SUB」は、ポリマーの重量に対するポリマー側鎖(B)の重量パーセントである
【国際調査報告】