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特表2023-514467パターンフィルム、これを含む透過度可変デバイスおよび透過度可変デバイスの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(54)【発明の名称】パターンフィルム、これを含む透過度可変デバイスおよび透過度可変デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20230330BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20230330BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20230330BHJP
【FI】
G02F1/1339 500
G02F1/13 505
G02F1/1337
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022514659
(86)(22)【出願日】2021-02-04
(85)【翻訳文提出日】2022-03-11
(86)【国際出願番号】 KR2021001475
(87)【国際公開番号】W WO2021167273
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0019488
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チェオロック
(72)【発明者】
【氏名】セオ、ハン ミン
(72)【発明者】
【氏名】バエ、ナム ソク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジンホン
(72)【発明者】
【氏名】ギム、ミンジュン
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H290
【Fターム(参考)】
2H088GA02
2H088GA03
2H088GA04
2H088GA13
2H088GA17
2H088HA01
2H088HA02
2H088HA03
2H088JA05
2H088JA06
2H088KA02
2H088KA06
2H088KA12
2H088KA13
2H088KA27
2H088MA17
2H088MA20
2H189DA04
2H189DA06
2H189DA09
2H189DA18
2H189DA42
2H189DA43
2H189DA47
2H189DA48
2H189DA49
2H189FA16
2H189HA14
2H189HA16
2H189JA06
2H189KA03
2H189KA08
2H189KA09
2H189LA01
2H189LA03
2H189LA05
2H189MA15
2H290AA15
2H290AA33
2H290BA05
2H290BB03
2H290BB14
2H290BD01
2H290BF13
2H290BF24
(57)【要約】
本明細書は、パターンフィルム、これを含む透過度可変デバイスおよび透過度可変デバイスの製造方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基材層と、
前記第1基材層上に形成された複数のスペーサパターンと、
を含むパターンフィルムであって、
前記スペーサパターンは、隔壁スペーサおよびボールスペーサを含み、
少なくとも1つの前記隔壁スペーサに前記ボールスペーサが埋め込まれ、一部埋め込まれまたは接触される形態で含まれ、
前記第1基材層の単位面積あたりの、前記スペーサパターンの単位面積比が5%以上17%以下であるパターンフィルム。
【請求項2】
前記隔壁スペーサの隔壁の線幅(T)と前記ボールスペーサの平均粒径(D)は、下記式1を満足する、請求項1に記載のパターンフィルム:
[式1]
1.0≦T/D≦20
【請求項3】
前記第1基材層は、無機基材層または有機基材層である、請求項1または請求項2に記載のパターンフィルム。
【請求項4】
前記スペーサパターンの光学密度(Optical density)は、0.4以上4以下である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のパターンフィルム。
【請求項5】
前記スペーサパターンの線幅は、10μm以上200μm以下である、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のパターンフィルム。
【請求項6】
前記隔壁スペーサの高さ(H)の平均値が2μm以上100μm以下であり、前記隔壁スペーサの高さの標準偏差が0.05μm以上0.5μm以下である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のパターンフィルム。
【請求項7】
前記ボールスペーサの粒径の標準偏差が0.8μm以下である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のパターンフィルム。
【請求項8】
前記スペーサパターンは、規則パターン;または不規則パターンである、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のパターンフィルム。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のパターンフィルムと、
前記パターンフィルムに対向配置されており、前記パターンフィルムの前記スペーサパターンによって前記パターンフィルムとの間隔が維持された第2基板と、
を含む透過度可変デバイス。
【請求項10】
前記第2基板は、第2基材層と、
前記第2基材層上に形成された透明層と、
前記透明層の前記第2基材層と接する面の反対面に備えられた接着剤層と、
を含み、
前記接着剤層が前記スペーサパターン側に接する、請求項9に記載の透過度可変デバイス。
【請求項11】
前記パターンフィルムの前記スペーサパターンを覆うように備えられた配向膜をさらに含む、請求項9または請求項10に記載の透過度可変デバイス。
【請求項12】
前記スペーサパターンによって前記パターンフィルムとの間隔が維持された位置に備えられた光変調層をさらに含む、請求項9~請求項11のいずれか1項に記載の透過度可変デバイス。
【請求項13】
前記接着剤層は、垂直配向力を有する接着剤または粘着剤を含む、請求項10に記載の透過度可変デバイス。
【請求項14】
前記光変調層は、液晶化合物および二色性染料を含む、請求項12に記載の透過度可変デバイス。
【請求項15】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のパターンフィルムの前記スペーサパターンが形成された前記第1基材層上に前記スペーサパターンを覆うように配向膜を形成して第1積層体を形成するステップと、
第2基材層および透明層を含む積層体の上部に接着剤層を形成して第2積層体を形成するステップと、
前記第2積層体の前記接着剤層が前記第1積層体の前記スペーサパターン側に接するように前記第1積層体および前記第2積層体を積層するステップと、
前記第1積層体および前記第2積層体の間に光変調層を形成するステップと、
を含む透過度可変デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年2月18日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2020-0019488号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、パターンフィルム、これを含む透過度可変デバイスおよび透過度可変デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
透過度可変デバイスは、太陽光の透過度を調節可能な機能性フィルムを意味することができる。
【0004】
透過度可変デバイスは、少なくとも2つ以上の異なる状態の間をスイッチングできるデバイスを意味する。このようなデバイスは、例えば、メガネまたはサングラスなどのアイウェア(eyewear)、モバイル機器、仮想現実(VR:Virtual Reality)用機器、拡張現実(AR:Augmented Reality)用機器のようなウェアラブル(wearable)デバイス、または車両のサンルーフなどに用いられるなど、その用途が次第に拡大している。
【0005】
透過度可変デバイスは、外部から流入する光の透過と遮断が容易で、建築用スマートウィンドウ、自動車用サンルーフおよび透明ディスプレイの遮光フィルムとして活用可能である。この時、透過度可変デバイスは、両基板の間に一定のセルギャップ(cell gap)を維持することが必須である。
【0006】
セルギャップ維持のための方法としてはボールスペーサ(Ball Spacer)がある。しかし、ボールスペーサ(Ball Spacer)の場合、大面積で垂直にフィルムが置かれる時、重力によって液相が下端に偏って発生する外観不良の問題が発生している。これにより、透過度可変デバイス分野では、メッシュ(Mesh)またはハニカム(Honeycomb)構造の隔壁をパターン化させる技術により外観不良の問題を解決しようとする研究が進められている。
【0007】
一方、透過度可変デバイスの視認性を増大させるために透過度の可変に参加しないスペーサの面積を低下させようとする開発を試みているが、パターンとパターンとの間の間隔が広くなるほど、パターン周辺部とパターン間中心部のセルギャップの差が発生することによる外観不良の問題が発生しており、これを解決するために、透過度可変デバイスのパターン上板部分に導電性接着剤を導入してフィルムを平らで硬く固定させる方向の研究も進められている。
【0008】
前記のように透過度可変フィルムを作製するためにパターン面積の最適化が必要であり、パターンの構造または製造方法も同じく変化が必要である。これにより、セルギャップを維持しないことによる明暗差不良および配向不良による透過度可変デバイスの駆動問題の解決が必要である。
【0009】
したがって、セルギャップを維持すると同時に、透過度可変デバイスの視認性を既存より増大させることができる研究が依然として進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0022311号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本明細書は、パターンフィルム、これを含む透過度可変デバイスおよび透過度可変デバイスの製造方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本出願の一実施態様は、第1基材層と、前記第1基材層上に形成された複数のスペーサパターンとを含むパターンフィルムであって、前記スペーサパターンは、隔壁スペーサおよびボールスペーサを含み、前記少なくとも1つの隔壁スペーサに前記ボールスペーサが埋め込まれ、一部埋め込まれまたは接触される形態で含まれ、前記第1基材層の単位面積あたりの、前記スペーサパターンの単位面積比が5%以上17%以下であるパターンフィルムを提供する。
【0013】
他の実施態様において、本出願に係るパターンフィルムと、前記パターンフィルムに対向配置されており、前記パターンフィルムの前記スペーサパターンによって前記パターンフィルムとの間隔が維持された第2基板とを含む透過度可変デバイスを提供する。
【0014】
最後に、本出願の一実施態様において、本出願に係るパターンフィルムを用意するステップと、前記パターンフィルムの前記スペーサパターンが形成された前記第1基材層上に前記スペーサパターンを覆うように配向膜を形成して第1積層体を形成するステップと、第2基材層および透明層を含む積層体の上部に接着剤層を形成して第2積層体を形成するステップと、前記第2積層体の前記接着剤層が前記第1積層体の前記スペーサパターン側に接するように前記第1積層体および前記第2積層体を積層するステップと、前記第1積層体および前記第2積層体の間に光変調層を形成するステップとを含む透過度可変デバイスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本出願の一実施態様に係るパターンフィルムは、スペーサパターンが隔壁スペーサおよびボールスペーサを含み、前記第1基材層の単位面積あたりの、前記スペーサパターンの単位面積比が5%以上17%以下であることで、セルギャップを維持すると同時に、特定の面積比を導入してこれを含む透過度可変デバイスの明暗差不良および配向不良を解決して、透過度可変フィルムの駆動が良好であることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本出願の一実施態様に係るパターンフィルムの側面図を示す図である。
図2】本出願の一実施態様に係るスペーサパターンの形態を示す図である。
図3】本出願の一実施態様に係る透過度可変デバイスの積層構造を示す図である。
図4】四角形のスペーサパターンの50%不規則度を操作する方法に関する図である。
図5】四角形のスペーサパターンの50%不規則度を操作した後のパターンを示す図である。
図6】本出願の一実施態様に係るパターンフィルムの製造工程を概略的に示す図である。
図7】本出願の実施例1のパターンフィルムの50倍率および200倍率の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図8】本出願の実施例2のパターンフィルムの50倍率および200倍率の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図9】本出願の比較例1のパターンフィルムの50倍率および200倍率の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図10】本出願の比較例2のパターンフィルムの50倍率および200倍率の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図11】本出願の実施例1のパターンフィルムが適用された透過度可変デバイスの40V駆動後の外観を観察した図である。
図12】本出願の実施例2のパターンフィルムが適用された透過度可変デバイスの40V駆動後の外観を観察した図である。
図13】本出願の比較例1のパターンフィルムが適用された透過度可変デバイスの40V駆動後の外観を観察した図である。
図14】本出願の比較例2のパターンフィルムが適用された透過度可変デバイスの40V駆動後の外観を観察した図である。
図15】本出願の実施例3のパターンフィルムの50倍率および200倍率の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図16】本出願の実施例4のパターンフィルムの50倍率および200倍率の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図17】本出願の比較例3のパターンフィルムの50倍率および200倍率の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図18】本出願の比較例4のパターンフィルムの50倍率および200倍率の光学顕微鏡イメージを示す図である。
図19】本出願の実施例3のパターンフィルムが適用された透過度可変デバイスの駆動前(0V)の外観を観察した図である。
図20】本出願の実施例4のパターンフィルムが適用された透過度可変デバイスの駆動前(0V)の外観を観察した図である。
図21】本出願の比較例3のパターンフィルムが適用された透過度可変デバイスの駆動前(0V)の外観を観察した図である。
図22】本出願の比較例4のパターンフィルムが適用された透過度可変デバイスの駆動前(0V)の外観を観察した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本明細書についてより詳細に説明する。
【0018】
本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように、本発明の実施例について添付した図面を参照して詳しく説明する。しかし、本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0019】
本出願の一実施態様は、第1基材層と、前記第1基材層上に形成された複数のスペーサパターンとを含むパターンフィルムであって、前記スペーサパターンは、隔壁スペーサおよびボールスペーサを含み、前記少なくとも1つの隔壁スペーサに前記ボールスペーサが埋め込まれ、一部埋め込まれまたは接触される形態で含まれ、前記第1基材層の単位面積あたりの、前記スペーサパターンの単位面積比が5%以上17%以下であるパターンフィルムを提供する。
【0020】
本出願の一実施態様に係るパターンフィルムは、スペーサパターンが隔壁スペーサおよびボールスペーサを含み、前記第1基材層の単位面積あたりの、前記スペーサパターンの単位面積比が5%以上17%以下であることで、セルギャップを維持すると同時に、特定の面積比を導入してこれを含む透過度可変デバイスの明暗差不良および配向不良を解決して、透過度可変フィルムの駆動が良好であることを特徴とする。
【0021】
本出願の一実施態様において、前記第1基材層の単位面積あたりの、前記スペーサパターンの単位面積比が5%以上17%以下というのは、前記第1基材層の特定単位面積に含まれる前記スペーサパターンが形成された面積の比率を意味するもので、例えば、第1基材層100mmを単位面積の基準として前記パターンが形成された面積が10mmの場合、スペーサパターンの面積比を10%と定義することができる。
【0022】
すなわち、スペーサパターンの単位面積比がX%というのは、前記第1基材層の特定単位面積をA、前記第1基材層の特定単位面積に含まれる前記スペーサパターンの面積をBと定義する場合、B/A×100=X%の式を満足することができ、第1基材層の全体面積を100基準とする場合、前記第1基材層上に形成されたスペーサパターンの面積の比率を意味することができる。
【0023】
本出願の一実施態様において、前記第1基材層の単位面積あたりの、前記スペーサパターンの面積比が5%以上17%以下、好ましくは6%以上17%以下、さらに好ましくは7%以上17%以下を満足することができる。
【0024】
前記第1基材層の単位面積あたりの、前記スペーサパターンの面積比が前記範囲を満足することにより、後にこれを含む透過度可変デバイスの明暗差に優れて、外観が優れた特徴を有する。
【0025】
本出願の一実施態様において、前記スペーサパターンは、規則パターン;または不規則パターンであるパターンフィルムを提供する。
【0026】
本出願の一実施態様において、前記スペーサパターンは、規則パターンであってもよい。
【0027】
本出願の一実施態様において、前記スペーサパターンは、不規則パターンであってもよい。
【0028】
本出願の一実施態様において、前記隔壁スペーサは、複数のスペーサドット(dot)と、前記スペーサドットとスペーサドットとを連結するスペーサライン(line)とで形成され、前記スペーサドット(dot)は、本出願において、規則度または不規則度を調節する因子として用いられるもので、前記スペーサラインで連結されるスペーサパターンが形成される場合、前記スペーサラインとスペーサドットは、隔壁スペーサとして表示される。
【0029】
具体的には、前記不規則度を操作する方法は下記の通りである。
【0030】
本出願の一実施態様において、前記隔壁スペーサが不規則パターンであり、前記隔壁スペーサの不規則度が50%というのは、調節因子として使用される前記スペーサドットの不規則度が50%ということを意味し、それぞれのスペーサドットの配置において、選択されたスペーサドットの正常ピッチ(pitch)の50%の半径(0.5ピッチ)を有する円領域内で前記スペーサドットをランダムに移動して不規則なスペーサパターンを有することを意味する。
【0031】
すなわち、スペーサパターンの不規則度がX%というのは、スペーサドットの不規則度がX%ということを意味することができ、選択されたスペーサドットの正常ピッチ(pitch)のX%の半径(0.Xピッチ)を有する円領域内で前記スペーサドットをランダムに移動して不規則度がX%を満足することを意味することができる。
【0032】
具体的には、前記規則度および不規則度を操作する方法は下記の通りである。
【0033】
スペーサドットは、乱数座標発生プログラム(CAD)を用いて次の方式で設計することができる。まず、全体面積が約10mm程度の基材層上に100個の点が280、940μmの間隔(Pitch)で規則的に四角形(Mesh)または六角形配列で配置する。
【0034】
前記のようにスペーサドットを規則的に形成した後、スペーサドットとスペーサドットとを連結してスペーサラインを形成して隔壁スペーサパターンを形成する場合、スペーサパターンの不規則度は0%、すなわちスペーサパターンは規則パターンを有すると定義することができる。
【0035】
スペーサパターンの不規則度の調節は、四角形配列の場合、4個のスペーサドットを任意に選択して構成した正方形において個別スペーサドットが各スペーサを基準として正常ピッチ(P)の50%の半径(0.5P)、または70%の半径(0.7P)を有する円領域内でランダムに移動するようにプログラムをセッティングし、個別スペーサドットを移動させて不規則度(50%または70%)を有するスペーサパターン配置を構成する。六角形配列の場合、6個のスペーサドットを選択して構成した正六角形構成のみ差異があり、残りの過程は四角形配列と同一である。
【0036】
個別スペーサドットの直径を設定し、スペーサドットとスペーサドットとを連結するスペーサラインを形成して、最終的にスペーサパターンを完成する。この時形成されたスペーサパターンは、四角形パターンのみならず、五角形、六角形のパターンも形成可能であり、六角形配列のパターンも、六角形のみならず、四角形、五角形、七角形のパターンが形成されてもよい。
【0037】
図2は、スペーサドットが規則パターンを有する場合を示す上面図である。具体的には、メッシュ(mesh)パターンとハニカム(honeycomb)パターンを有する場合の上面図で、各パターンの正常ピッチと線幅を確認することができる。
【0038】
図4は、四角形のスペーサパターンの50%不規則度を操作する方法に関する図である。すなわち、四角形配列の場合、4個のスペーサドットを任意に選択して構成した正方形において個別スペーサドットが各スペーサドットを基準として正常ピッチ(P)の50%の半径(0.5P)を有する円領域内でランダムに移動するようにプログラムをセッティングし、個別スペーサドットを移動させて不規則度(50%)を有するスペーサ配置パターンを構成することを確認することができる。
【0039】
図5は、四角形のスペーサパターンの50%不規則度を操作した後のパターンを示す図である。具体的には、図4の操作により形成した四角形のスペーサパターンの50%不規則度を有するパターンで、図2とは異なってピッチの間隔が異なることを確認することができる。
【0040】
本出願の一実施態様において、前記スペーサパターンが不規則パターンを有する場合、前記スペーサパターンの不規則度は50%以上であってもよいし、90%未満であってもよい。
【0041】
他の実施態様において、前記スペーサパターンの不規則度は50%以上90%未満、好ましくは50%以上80%未満、さらに好ましくは50%以上75%未満であってもよい。
【0042】
本出願の一実施態様に係るパターンフィルムは、スペーサパターンが隔壁スペーサおよびボールスペーサを含み、前記スペーサパターンの不規則度が前記範囲を満足することにより、既存の四角形(mesh)または六角形(honeycomb)の1種類のパターンにおいて、多様なパターンを含むパターンの構造を拡張し不規則度を導入して、これを含む透過度可変デバイスは、回折現象を改善できて、乱反射が低減された視認性に優れた特徴を有する。
【0043】
図1は、本出願の一実施態様に係るパターンフィルムの側面図を示すもので、前記パターンフィルムは、基材層10上にスペーサパターンを有し、前記スペーサパターンは隔壁スペーサ20およびボールスペーサ30を含むことを確認することができ、前記少なくとも1つの隔壁スペーサに前記ボールスペーサが埋め込まれ、一部埋め込まれまたは接触される形態で含まれることを確認することができる。
【0044】
特に、図1では、ボールスペーサが含まれる形態を具体的に確認することができ、隔壁スペーサにボールスペーサが埋め込まれたというのは、内部に完全に埋め込まれた形態を意味し、一部埋め込まれたというのは、ボールスペーサの一部が隔壁スペーサの内部に埋め込まれ、当該ボールスペーサの一部以外の部分は外部に露出した形態を有する形態を意味し、接触される形態で含まれるというのは、前記隔壁スペーサの一面と前記ボールスペーサの一面とが接することを意味する。
【0045】
本出願の一実施態様において、前記隔壁スペーサの高さ(H)の平均値が2μm以上100μm以下であり、前記隔壁スペーサの高さの標準偏差が0.05μm以上0.5μm以下であるパターンフィルムを提供する。
【0046】
他の実施態様において、前記隔壁スペーサの高さ(H)の平均値が2μm以上100μm以下であり、好ましくは5μm以上90μm以下、さらに好ましくは10μm以上80μm以下であってもよい。
【0047】
さらに他の実施態様において、前記隔壁スペーサの高さの標準偏差が0.05μm以上0.5μm以下、好ましくは0.05μm以上0.4μm以下、さらに好ましくは0.05μm以上0.3μm以下であってもよい。
【0048】
本出願の一実施態様において、前記スペーサパターンの線幅は、10μm以上200μm以下であるパターンフィルムを提供する。
【0049】
前記スペーサパターンの線幅は、例えば、10μm~200μmであってもよく、他の例において、12μm以上、13μm以上、14μm以上、15μm以上、16μm以上、17μm以上、18μm以上、19μm以上、20μm以上、21μm以上、22μm以上、23μm以上、24μm以上、25μm以上、または26μm以上であるか、200μm以下、195μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、149μm以下、148μm以下、147μm以下、または146μm以下であってもよい。
【0050】
本出願の一実施態様において、前記スペーサパターンのピッチ(pitch)は、50μm以上1,500μm以下であるパターンフィルムを提供する。
【0051】
前記スペーサパターンのピッチは、例えば、50μm以上1,500μm以下であってもよく、他の例において、50μm以上、100μm以上、150μm以上、200μm以上、250μm以上、または280μm以上であるか、1,500μm以下、1,400μm以下、または1,000μm以下であってもよい。
【0052】
前記スペーサパターンのピッチおよび線幅は、本出願の目的を損なわない範囲内で適宜選択可能である。
【0053】
本出願の一実施態様において、前記隔壁スペーサの隔壁の線幅(T)と前記ボールスペーサの平均粒径(D)は、下記式1を満足するパターンフィルムを提供する。
[式1]
1.0≦T/D≦20
【0054】
本出願の一実施態様に係るパターンフィルムが前記式1を満足する場合、隔壁スペーサの下部の硬化度が好適で、後続工程(現像工程:Develop process)に使用されるストリッパー(stripper)溶液、洗浄溶液、または現像圧力(1bar以上)によるスペーサパターンの下部が第1基材層から脱離するのを防止できる特徴を有する。すなわち、前記式1が1.0未満の値を有する場合、隔壁スペーサの下部の硬化度が十分でなくて、後続工程(現像工程:Develop process)に使用されるストリッパー(stripper)溶液、洗浄溶液、または現像圧力(1bar以上)によってスペーサパターンの下部が第1基材層から脱離して隔壁スペーサが消失する問題が発生することがあり、前記式1が20超過の場合、隔壁スペーサの交差区間(スペーサドット区間)で過硬化現象が発生して隔壁スペーサ以外の領域でも硬化が発生し、この場合、選択的露光/現像による隔壁スペーサの製造を困難にする問題を発生させることがある。
【0055】
本出願の一実施態様において、前記隔壁スペーサの線幅(T)は、後にこれを含む透過度可変デバイスの透過率可変度を考慮して適宜調節可能である。
具体的には、前記隔壁スペーサの隔壁の線幅(T)は、10μm~200μmであってもよく、他の例において、20μm以上、30μm以上、40μm以上、50μm以上、60μm以上、70μm以上、または80μm以上であるか、190μm以下、180μm以下、170μm以下、160μm以下、150μm以下、140μm以下、130μm以下、120μm以下、110μm以下、100μm以下、90μm以下であってもよい。
【0056】
本出願において、前記ボールスペーサの平均粒径(D)は、後にこれを含む透過度可変デバイスの上部基板と下部基板との間の間隔を考慮して調節可能である。例えば、前記ボールスペーサの平均粒径(D)は、1μm~15μmであってもよく、他の例において、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、または8μm以上であるか、15μm以下、14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下であってもよい。
【0057】
本出願の一実施態様において、前記ボールスペーサの粒径の標準偏差が0.8μm以下であるパターンフィルムを提供する。
【0058】
他の実施態様において、前記ボールスペーサの粒径の標準偏差が0.8μm以下、好ましくは0.7μm以下、さらに好ましくは0.5μm以下であってもよく、0.05μm以上であってもよい。
【0059】
本出願の一実施態様において、前記スペーサパターンの光学密度(Optical density)は、0.4以上4以下であるパターンフィルムを提供する。
【0060】
前記光学密度は、前記スペーサパターンの透過率(transmittance、単位:%)を測定した後に、これを光学密度の数式(光学密度=-log10(T)、Tは前記透過率)に代入して求められる。
【0061】
他の実施態様において、前記スペーサパターンの光学密度(Optical density)は、0.4以上4.0以下、好ましくは0.5以上3.5以下、さらに好ましくは1.0以上3.0以下を満足することができる。
【0062】
光の透過率、色相または反射度を調節できる透過度可変デバイスにおいて、スペーサパターンが存在する領域は光学的に非活性領域になり、本出願に係るパターンフィルムが前記光学密度の範囲を満足することにより、光漏れを調節することができ、スペーサパターンの製造安定性を実現して、後の透過度可変デバイスに適用時、均一な光学性能を確保できる特徴を有する。すなわち、前記光学密度の範囲未満の場合、デバイス駆動時、光学的不活性領域であるスペーサパターンの内部を通過して光漏れの問題を発生させることがあり、光学密度が前記範囲を超える場合、低い透過率(0.01%)を実現するブラック粒子(カーボンブラックなど)の含有量が増加して高分子レジンのUV硬化を妨げることにより、パターンの製造不良を起こす問題が発生することがある。
【0063】
本出願の一実施態様において、前記第1基材層としては、特別な制限なく、LCD(Liquid Crystal Display)のような公知の光学デバイスの構成において基板に使用される任意の基材層が適用可能である。例えば、第1基材層は、無機基材層であるか、有機基材層であってもよい。無機基材層としては、ガラス(glass)基材層などが例示され、有機基材層としては、多様なプラスチックフィルムなどが例示される。プラスチックフィルムとしては、TAC(triacetyl cellulose)フィルム;ノルボルネン誘導体などのCOP(cyclo olefin copolymer)フィルム;PMMA(poly(methyl methacrylate)などのアクリルフィルム;PC(polycarbonate)フィルム;PE(polyethylene)またはPP(polypropylene)などのポリオレフィンフィルム;PVA(polyvinyl alcohol)フィルム;DAC(diacetyl cellulose)フィルム;Pac(Polyacrylate)フィルム;PES(poly ether sulfone)フィルム;PEEK(polyetheretherketon)フィルム;PPS(polyphenylsulfone)フィルム、PEI(polyetherimide)フィルム;PEN(polyethylenemaphthalate)フィルム;PET(polyethyleneterephtalate)フィルム;PI(polyimide)フィルム;PSF(polysulfone)フィルムまたはPAR(polyarylate)フィルムなどが例示されるが、これに限定されるものではない。
【0064】
一つの例において、前記第1基材層は、いわゆるフレキシブル基材層であってもよい。フレキシブル基材層の具体的な種類は特に限定されず、前述した基材層の中で、主にプラスチックフィルムや、薄膜ガラス(thin glass)のような非常に薄い無機基材などもフレキシブル基材層として使用できる。
【0065】
前記第1基材層の厚さは特に限定されず、用途に応じて適正範囲が選択可能であり、具体的には、1μm以上1,000μm以下、好ましくは10μm以上900μm以下、さらに好ましくは30μm以上500μm以下の範囲を満足することができる。
【0066】
本出願の一実施態様において、前記第1基材層と前記スペーサパターンとの間に、追加的に透過度可変デバイスの駆動に要求される他の要素を含むことができる。このような要素は多様に公知であり、代表的には、電極層などがある。
【0067】
すなわち、本出願の一実施態様において、前記パターンフィルムは、前記基材層と前記スペーサパターンとの間に電極層を追加的に含むことができる。
【0068】
前記電極層としては、公知の素材が適用可能である。例えば、電極層は、金属合金、電気伝導性化合物、または前記のうち2種以上の混合物を含むことができる。このような材料としては、金などの金属、CuI、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ZTO(Zinc Tin Oxide)、アルミニウムまたはインジウムがドーピングされた亜鉛オキシド、マグネシウムインジウムオキシド、ニッケルタングステンオキシド、ZnO、SnOまたはInなどの酸化物材料や、ガリウムニトリドのような金属ニトリド、亜鉛セレニドなどのような金属セレニド、亜鉛スルフィドのような金属スルフィドなどが例示される。透明な正孔注入性電極層はさらに、Au、AgまたはCuなどの金属薄膜とZnS、TiOまたはITOなどのような高屈折の透明物質の積層体などを用いても形成することができる。
【0069】
前記電極層は、蒸着、スパッタリング、化学蒸着または電気化学的手段などの任意の手段で形成される。電極層のパターン化も特別な制限なく公知の方式で可能であり、例えば、公知のフォトリソグラフィやシャドウマスクなどを用いた工程によりパターン化されてもよい。
【0070】
本出願の一実施態様において、本出願に係るパターンフィルムと、前記パターンフィルムに対向配置されており、前記パターンフィルムの前記スペーサパターンによって前記パターンフィルムとの間隔が維持された第2基板とを含む透過度可変デバイスを提供する。
【0071】
前記のような透過度可変デバイスは、多様な用途に適用可能である。透過度可変デバイスが適用可能な用途には、スマートウィンドウ、ウィンドウ保護膜、フレキシブルディスプレイ素子、3D映像表示用アクティブリターダ(active retarder)または視野角調節フィルム、ウィンドウまたはサンルーフなどのような建物、容器または車両などを含む密閉された空間の開口部やアイウェア(eyewear)などや、建具用、OLED(organic light emitting device)の遮光板などが例示される。前記アイウェアの範囲には、一般的なメガネ、サングラス、スポーツ用ゴーグルあるいはヘルメット、または仮想現実または拡張現実体験用機器などのようなウェアラブル機器など、観察者がレンズを通して外部を観察できるように形成されたすべてのアイウェアが含まれる。
【0072】
一つの例において、前記透過度可変デバイスは、それ自体として車両用サンルーフであってもよい。例えば、少なくとも1つ以上の開口部が形成されている車体を含む自動車において、前記開口部に装着された前記透過度可変デバイスまたは車両用サンルーフを装着して使用できる。
【0073】
前記サンルーフは、車両の天井に存在する固定されたまたは作動(ベンティングまたはスライディング)する開口部(opening)であって、光または新鮮な空気を車両の内部に流入させる機能を果たす装置を通称する意味であり得る。本出願において、サンルーフの作動方式は特に限定されず、例えば、手動で作動するか、またはモータで駆動することができ、サンルーフの形状、大きさまたはスタイルは、目的の用途に応じて適宜選択可能である。例えば、サンルーフは、作動方式によって、ポップアップタイプのサンルーフ、スポイラー(tile&slide)タイプのサンルーフ、インビルトタイプのサンルーフ、フォールディングタイプのサンルーフ、トップマウントタイプのサンルーフ、パノラミックルーフシステムタイプのサンルーフ、除去可能なルーフパネル(t-topsまたはtarga roofts)タイプのサンルーフ、またはソーラータイプのサンルーフなどが例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0074】
本出願の例示的なサンルーフは、本出願の前記透過度可変デバイスを含むことができ、この場合、透過度可変デバイスに関する具体的な事項は、前記透過度可変デバイスの項目で記述した内容が同様に適用可能である。
【0075】
本出願の一実施態様において、前記第2基板は、第2基材層と、前記第2基材層上に形成された透明層と、前記透明層の前記第2基材層と接する面の反対面に備えられた接着剤層とを含み、前記接着剤層が前記スペーサパターン側に接する透過度可変デバイスを提供する。
【0076】
また、本出願の一実施態様において、前記パターンフィルムの前記スペーサパターンを覆うように備えられた配向膜をさらに含む透過度可変デバイスを提供する。
【0077】
本出願の一実施態様において、前記スペーサパターンによって前記パターンフィルムとの間隔が維持された位置に備えられた光変調層をさらに含む透過度可変デバイスを提供する。
【0078】
図3は、本出願の一実施態様に係る透過度可変デバイスの積層構造を示す図である。
【0079】
具体的には、第1基材層10上に隔壁スペーサ20およびボールスペーサ30を含むスペーサパターンを含み、前記スペーサパターンの上部を覆うように形成された配向膜40を含むことを確認することができ、第2基材層80/透明層70/接着剤層60からなる第2積層体と前記接着剤層が前記スペーサパターン側に接する構造を有し、前記スペーサパターンによって前記パターンフィルムとの間隔が維持された位置に備えられた光変調層50が含まれることを確認することができる。
【0080】
本出願の光変調層は、液晶化合物を少なくとも含む層であって、前記液晶化合物の配向状態を外部信号の印加などにより制御可能な光変調層を意味することができる。液晶化合物としては、外部信号の印加によってその配向方向が変更できるものであれば、すべての種類の液晶化合物を使用することができる。液晶化合物としては、例えば、ネマチック(nematic)液晶化合物、スメクチック(smectic)液晶化合物、またはコレステリック(cholesteric)液晶化合物などを使用することができる。また、外部信号の印加によってその配向方向が変更できるように、液晶化合物は、例えば、重合性基または架橋性基を有しない化合物であってもよい。
【0081】
本出願の光変調層は、前記液晶化合物とともに、二色性染料を追加的に含むことができる。本明細書において、用語「染料」は、可視光領域、例えば、400nm~700nmの波長範囲内で少なくとも一部または全体範囲内の光を集中的に吸収および/または変形させることが可能な物質を意味することができ、用語「二色性染料」は、前記可視光領域の少なくとも一部または全体範囲で光の異方性吸収が可能な物質を意味することができる。このような染料としては、例えば、アゾ染料またはアントラキノン染料などが公知であるが、これに限定されるものではない。
【0082】
一つの例において、前記光変調層は、液晶化合物および二色性染料を含む液晶層であって、いわゆるゲストホスト液晶層(Guest Host Liquid Crystal cell)であってもよい。用語「GHLC層」は、液晶の配列によって二色性染料がともに配列され、二色性染料の整列方向と前記整列方向の垂直な方向に対してそれぞれ非等方性光吸収特性を示す機能性層を意味することができる。例えば、二色性染料は、光の吸収率が偏光方向によって異なる物質であって、長軸方向に偏光された光の吸収率が大きければp型染料と称し、短軸方向に偏光された光の吸収率が大きければn型染料と称することができる。一つの例において、p型染料が使用される場合、染料の長軸方向に振動する偏光は吸収され、染料の短軸方向に振動する偏光は吸収が少なくて透過させることができる。以下、特別な言及がない限り、二色性染料はp型染料であると仮定する。
【0083】
本発明者らは、前記のように光変調層に液晶化合物とともに二色性染料を含ませることにより、透過度可変デバイスで発生しうる側面観察時の光漏れを防止できることを確認した。ゲストホスト液晶層において二色性染料の配向は液晶化合物の配向に追従する。したがって、例えば、前記透過度可変デバイスが前記液晶化合物の垂直配向時に低い透過率を実現するように設計されたデバイスの場合に、前記液晶化合物の垂直配向状態で前記二色性染料も垂直配向状態あるいはそれに準ずる状態になる。このように垂直配向あるいはそれに準ずる状態で配向された二色性染料は、側面観察時に漏れる光を吸収することができる。特に、このような方式を導入して、別の補償構造を導入しなくても側面光漏れの防止が可能であり、前記高分子フィルム基板が等方性基板でない場合にも、複雑な設計なしに側面光漏れを防止することができる。
【0084】
このような二色性染料による側面光漏れ防止の効果は、後述する本出願の透過度可変デバイスの内容によってさらに改善できる。すなわち、液晶化合物と二色性染料とを含む光変調層において二色性染料の配向は前記液晶化合物の配向に追従し、この時、液晶化合物の配向は液晶配向膜の種類によって決定される。本発明者らは、後述のように、垂直配向力を有する接着剤(粘着剤)によって形成される液晶化合物の配向は、その配向に追従する二色性染料が前記側面に漏れる光を効果的に遮断できる配向であることを確認した。したがって、前記二色性染料による側面光漏れ防止の効果は、後述する本出願の内容によってより極大化できる。
【0085】
前記光変調層に含まれる液晶化合物は、外部作用非印加状態で、すなわち、初期状態または通常状態で垂直配向された状態で存在することができる。本明細書において、用語、外部作用は、液晶化合物の配向または整列を変更させることができるように行われるすべての種類の作用を意味し、代表例としては、電圧の印加がある。液晶化合物は、垂直配向状態の液晶化合物の整列方向が外部作用によって変換されてもよく、外部作用がなくなると再度垂直配向状態に復帰することができる。
【0086】
透過度可変デバイスの適用用途において、位相差(Rc)は、実現しようとするモードまたは構造に応じて適宜決定可能である。例えば、前記垂直配向された状態で存在する液晶化合物を含む液晶層は、外部作用非印加状態で下記式1で計算される面上位相差(Rin)が30nm以下、下記式2で計算される厚さ方向の位相差(Rth)が500nm以上の範囲を示すことができる。このような範囲の位相差は、例えば、通常透過モードの素子を実現するのに適切である。
[式1]
in=d×(nx-ny)
[式2]
th=d×(nz-ny)
inは面上位相差であり、Rthは厚さ方向の位相差であり、dは光変調層の厚さであり、nxは光変調層の面上における遅相軸方向の屈折率であり、nyは光変調層の面上における進相軸方向の屈折率であり、nzは光変調層の厚さ方向の屈折率である。
【0087】
透過度可変デバイスは、外部作用非印加状態における透過モード(transparent mode)を示すことができ、外部作用によって透過モード以外の多様なモードに転換可能である。外部作用非印加状態における透過度可変デバイスの光透過率は、本出願の目的を損なわない範囲内で透過度可変デバイスの用途に応じて適宜調節可能である。透過度可変デバイスの光透過率を調節する方法は特に限定されず、例えば、後述する二色性染料の含有量を調節することによって可能である。
【0088】
前記光変調層に含まれる二色性染料は、少なくとも可視光領域、例えば、およそ400nm~700nmの範囲内の波長に対して吸収を示すことができる。このような吸収特性が確保されれば、二色性染料は1種使用されてもよく、2種以上の混合物が使用されてもよい。
【0089】
本出願の一実施態様において、前記二色性染料の種類は特に限定されず、例えば、前記のような特性を有しかつ液晶化合物の配向によって配向できる特性を有すると公知されたすべての種類の染料が使用できる。二色性染料としては、例えば、黒色染料(black dye)またはカラー染料(color dye)を使用することができる。
【0090】
前記光変調層に含まれる二色性染料の比率は、例えば、5重量%以下であってもよい。前記二色性染料の比率は、光変調層に含まれるすべての成分の重量に対する二色性染料の比率である。例えば、光変調層が液晶化合物、二色性染料、およびキラルドーパントを含むならば、前記3成分の合計重量に対する前記二色性染料の百分率が前記二色性染料の比率になる。二色性染料の比率が過度に高くなると、二色性染料が液晶化合物の水平配向に追従する場合に、正面で過度に多い光を吸収することがあり、これは本出願において意図する効果ではない。すなわち、二色性染料の比率は、前記染料が液晶化合物の垂直配向に追従した時に側面光漏れを効果的に防止しながらも、前記染料が液晶化合物の水平配向に追従する時には正面光を最小限に吸収できるように制御されることが適切である。他の例において、前記二色性染料の比率は、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下、または1重量%以下であるか、0.1重量%以上、0.2重量%以上、0.3重量%以上、または0.4重量%以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0091】
本出願は、光変調層に二色性染料を前記のような範囲で含むことにより、透過度可変デバイスの透過モードにおいて、後述する範囲の透過率を示しながらも側面での光漏れ現象が制御されて、視野角補償効果に優れた透過度可変デバイスを提供することができる。
【0092】
本出願は、例えば、前記光変調層内の液晶化合物の配列を調節して、初期配向が垂直配向であり、前記垂直配向状態が外部信号の印加によって水平配向状態に変更できるように設計された透過度可変デバイスに関するものであってもよい。前記初期配向とは、光変調層に外部信号が印加されない時の配向状態である。
【0093】
本明細書において、用語、垂直配向は、前記光変調層の方向子または前記光変調層内の液晶化合物の方向子が前記光変調層の平面に対してほぼ垂直に配列された状態であり、例えば、前記光変調層の基準面の法線であるz軸と前記方向子とのなす角度は、約80゜~100゜または85゜~95゜の範囲内であるか、約90゜程度であってもよい。また、用語、水平配向は、前記光変調層の方向子または前記光変調層内の液晶化合物の方向子が前記光変調層の基準面にほぼ平行に配列された状態を意味することができ、例えば、前記方向子と前記光変調層の基準面とのなす角度は、約0゜~10゜または約0゜~5゜の範囲内であるか、約0゜程度であってもよい。
【0094】
本明細書において、用語、光変調層の方向子または液晶化合物の方向子は、前記光変調層の光軸(Optical axis)または遅相軸(Slow axis)を意味することができる。例えば、前記光軸または遅相軸は、液晶分子が棒(rod)状の場合、長軸方向を意味することができ、液晶分子が円板(discotic)状の場合、円板平面の法線方向の軸を意味することができ、前記光変調層内に互いに方向子が異なる複数の液晶化合物が含まれている場合、前記液晶化合物の方向子のベクトル和を意味することができる。
【0095】
一つの例において、前記光変調層は、ツイスト配向モードを実現できるように設計される。本明細書において、用語、ツイスト配向モードは、前記液晶化合物の方向子が仮想の螺旋軸に沿ってねじれながら層をなして配向した螺旋状の構造を意味することができる。前記ツイスト配向モードは、前述した垂直または水平配向モードで実現できる。例えば、垂直ツイスト配向モードは、個々の液晶化合物が垂直配向された状態で螺旋軸に沿ってねじれながら層をなす状態であり、水平ツイスト配向モードは、個々の液晶化合物が水平配向された状態で螺旋軸に沿ってねじれながら層をなす状態を意味することができる。
【0096】
前記ツイスト配向モードにおいて、前記光変調層の厚さ(d)とピッチ(p)との比率(d/p)は、例えば、1以下であってもよい。前記比率(d/p)が1を超えると、フィンガードメイン(finger domain)などの問題が発生しうるため、なるべく前記範囲に調節される。前記比率(d/p)は、他の例において、約0.95以下、約0.9以下、約0.85以下、約0.8以下、約0.75以下、約0.7以下、約0.65以下、約0.6以下、約0.55以下、約0.5以下、または約0.45以下であるか、約0.1以上、約1.15以上、約0.2以上、約0.25以上、約0.3以上、または約0.35以上程度であってもよい。前記光変調層の厚さ(d)は、透過度可変デバイス内のセルギャップ(Cell Gap)と同じ意味であり得る。
【0097】
ツイスト配向モードの光変調層のピッチ(p)は、Wedge cellを用いた計測方法で測定することができ、具体的には、D.PodolskyyらのSimple method for accurate measurements of the cholesteric pitch using a stripe-wedge Grandjean-Cano cell(Liquid Crystals,Vol.35,No.7,July8,2008,789-791)に記載の方式で測定することができる。
【0098】
前記のような厚さ(d)とピッチ(p)との比率によって形成される液晶化合物の配向は、それに追従する二色性染料の配向が垂直配向時に側面で漏れる光を効果的に吸収し、水平配向時に正面光の吸収が最小化されるようにできる。
【0099】
前記光変調層がツイストモードを実現できるように、前記光変調層は、いわゆるキラルドーパントを追加的に含むことができる。すなわち、前記光変調層は、液晶化合物および二色性染料とともに、キラルドーパントを追加的に含むことができる。
【0100】
光変調層に含まれるキラルドーパント(Chiral dopant)としては、液晶性、例えば、ネマチック規則性を損なうことなく目的の回転(twisting)を誘導できるものであれば、特に限定なく使用可能である。液晶分子に回転を誘導するためのキラルドーパントは、分子構造中にキラリティー(chirality)を少なくとも含む必要がある。キラルドーパントは、例えば、1個または2個以上の不斉炭素(asymmetric carbon)を有する化合物、キラルアミンまたはキラルスルホキシドなどのヘテロ原子上に、不斉点(asymmetric point)がある化合物またはクムレン(cumulene)またはビナフトール(binaphthol)などの軸不斉を有する光学活性の部位(axially asymmetric、optically active site)を有する化合物が例示される。キラルドーパントは、例えば、分子量が1,500以下の低分子化合物であってもよい。キラルドーパントとしては、市販のキラルネマチック液晶、例えば、Merck社で市販のキラルドーパント液晶S811、またはBASF社のLC756などが適用可能である。
【0101】
キラルドーパントの適用比率は、目的の前記比率(d/p)を達成できれば特に限定されない。一般的に、キラルドーパントの含有量(重量%)は、100/(HTP(Helixcal Twisting power)×ピッチ(nm)の数式で計算され、目的のピッチ(p)を考慮して適正比率で選択される。
【0102】
前記光変調層は誘電率異方性が負数である液晶化合物を含むか、あるいは前記光変調層は前記言及された誘電率異方性を示すことができる。誘電率異方性の絶対値は、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。用語「誘電率異方性(△λ)」は、水平誘電率(ε//)と垂直誘電率(ε⊥)との差(ε//-ε⊥)を意味することができる。本明細書において、用語、水平誘電率(ε//)は、液晶分子の方向子と印加電圧による電場の方向とが実質的に水平となるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味し、垂直誘電率(ε⊥)は、液晶分子の方向子と印加電圧による電場の方向とが実質的に垂直となるように電圧を印加した状態で前記電場の方向に沿って測定した誘電率値を意味する。
【0103】
前記液晶層は、屈折率異方性(n△)が約0.04~0.15の範囲内である液晶化合物を含むか、前記液晶層が前記言及された屈折率異方性を示すことができる。本出願でいう屈折率異方性(n△)は、異常屈折率(ne、extraordinary refractive index)および正常屈折率(no、ordinary refractive index)の差(ne-no)であり、これはAbbe屈折計を用いて確認することができるが、その具体的な方式は下記の実施例に開示された方法による。前記屈折率異方性(n△)は、他の例において、約0.14以下、0.13以下、0.12以下、0.11以下、または0.1以下であるか、0.05以上、0.06以上、0.07以上、0.08以上、または0.09以上であってもよい。
【0104】
本出願の光変調層の厚さは、本出願の目的を考慮して適宜選択可能である。一例において、前記光変調層の厚さは、約15μm以下であってもよい。このように厚さを制御することで、透過モードおよび遮断モードにおける透過率の差が大きいデバイス、すなわち、透過率可変特性に優れたデバイスを実現することができる。前記厚さは、他の例において、約14μm以下、13μm以下、12μm以下、11μm以下、10μm以下、9μm以下、または8μm以下であるか、1μm以上、2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、または8μm以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0105】
本出願の一実施態様において、前記透明層は、透明導電性層であってもよいし、前記透明導電性層は、例えば、導電性高分子、導電性金属、導電性ナノワイヤ、またはITO(Indium Tin Oxide)などの金属酸化物などを蒸着して形成される。その他にも、透明導電性層を形成できる多様な素材および形成方法が公知であり、これを制限なく適用することができる。
【0106】
本出願の前記接着剤層は、垂直配向力を有する接着剤または粘着剤を含む透過度可変デバイスを提供する。
【0107】
本明細書において、用語「垂直配向力を有する接着剤または粘着剤」は、光変調層内に存在する物質に対する垂直配向力を付与すると同時に、第1積層体および第2積層体を接着させることができる接着力を有している垂直配向性接着剤を含む層を意味することができる。
【0108】
本明細書において、用語、垂直配向力を有する接着剤層は、液晶分子に対する垂直配向力および接着力または粘着力を同時に有する物質を意味することができる。
【0109】
本出願において、垂直配向力を有する接着剤層は、例えば、シリコーン(Silicone)接着剤または粘着剤を使用することができる。前記シリコーン接着剤または粘着剤としては、硬化性シリコーン化合物を含む組成物の硬化物を使用することができる。硬化性シリコーン化合物の種類は特に限定されず、例えば、加熱硬化性シリコーン化合物または紫外線硬化型シリコーン化合物を使用することができる。
【0110】
本出願の一つの例において、前記硬化性シリコーン化合物は、付加硬化型シリコーン化合物として、(1)分子中に2個以上のアルケニル基を含有するオルガノポリシロキサン、および(2)分子中に2個以上のケイ素結合水素原子を含有するオルガノポリシロキサンを含むことができる。前記のようなシリコーン化合物は、例えば、後述する触媒の存在下、付加反応によって硬化物を形成することができる。
【0111】
前記において、(1)オルガノポリシロキサンは、シリコーン硬化物を構成する主成分として、1分子中に少なくとも2個のアルケニル基を含むことができる。この時、アルケニル基の具体例には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、またはヘプテニル基などが含まれ、このうち、ビニル基が好ましいが、これに限定されるものではない。前記(1)オルガノポリシロキサンにおいて、前述したアルケニル基の結合位置は特に限定されない。例えば、前記アルケニル基は、分子鎖の末端および/または分子鎖の側鎖に結合していてもよい。また、前記(1)オルガノポリシロキサンにおいて、前述したアルケニル以外に含まれてもよい置換基の種類としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基、または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、なかでもメチル基またはフェニル基が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0112】
前記(1)オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分枝状、環状、網状または一部が分枝状をなす直鎖状などのように、いかなる形状を有してもよい。本出願では、前記のような分子構造のうち特に直鎖状の分子構造を有することが好ましいが、これに限定されるものではない。一方、本発明では、硬化物のハードネス(hardness)および屈折率の観点から、前記(1)オルガノポリシロキサンとして、分子構造中にアリール基またはアラルキル基のような芳香族基を含有するオルガノポリシロキサンを使用することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0113】
本出願で使用可能な前記(1)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルビニルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、R SiO1/2で表されるシロキサン単位とR SiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位とを含むオルガノポリシロキサン共重合体、R SiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位とを含むオルガノポリシロキサン共重合体、RSiO2/2で表されるシロキサン単位とRSiO3/2で表されるシロキサン単位またはRSiO3/2で表されるシロキサン単位とを含むオルガノポリシロキサン共重合体、および前記のうち2以上の混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。前記において、Rはアルケニル基以外の炭化水素基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基、または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであってもよい。また、前記において、Rはアルケニル基であって、具体的には、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、またはヘプテニル基などであってもよい。
【0114】
本発明の一態様において、前記(1)オルガノポリシロキサンは、25℃での粘度が50~500,000CP(centipoise)、好ましくは400~100,000CPであってもよい。前記粘度が50CP未満であれば、シリコーン化合物の硬化物の機械的強度が低下する恐れがあり、500,000CPを超えると、取扱性または作業性が低下する恐れがある。
【0115】
前記付加硬化型シリコーン化合物において、(2)オルガノポリシロキサンは、前記(1)オルガノポリシロキサンを架橋させる役割を果たすことができる。前記(2)オルガノポリシロキサンにおいて、水素原子の結合位置は特に限定されず、例えば、分子鎖の末端および/または側鎖に結合していてもよい。また、前記(2)オルガノポリシロキサンにおいて、前記ケイ素結合水素原子以外に含まれてもよい置換基の種類は特に限定されず、例えば、(1)オルガノポリシロキサンで言及したような、アルキル基、アリール基、アラルキル基、またはハロゲン置換アルキル基などが挙げられ、なかでもメチル基またはフェニル基が好ましいが、これに限定されるものではない。
【0116】
一方、(2)オルガノポリシロキサンの分子構造は特に限定されず、例えば、直鎖状、分枝状、環状、網状または一部が分枝状をなす直鎖状などのように、いかなる形状を有してもよい。本発明では、前記のような分子構造のうち特に直鎖状の分子構造を有することが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0117】
本発明で使用可能な前記(2)オルガノポリシロキサンのより具体的な例としては、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖メチルハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルハイドロジェンシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖ジメチルシロキサン-メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルハイドロジェンシロキサン基封鎖メチルフェニルポリシロキサン、R SiO1/2で表されるシロキサン単位とR HSiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位とを含むオルガノポリシロキサン共重合体、R HSiO1/2で表されるシロキサン単位とSiO4/2で表されるシロキサン単位とを含むオルガノポリシロキサン共重合体、RHSiO2/2で表されるシロキサン単位とRSiO3/2で表されるシロキサン単位またはHSiO3/2で表されるシロキサン単位とを含むオルガノポリシロキサン共重合体、および前記のうち2以上の混合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。前記において、Rはアルケニル基以外の炭化水素基であって、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、またはヘプチル基などのアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、またはナフチル基などのアリール基;ベンジル基またはフェネチル基などのアラルキル基;クロロメチル基、3-クロロプロピル基、または3,3,3-トリフルオロプロピル基などのハロゲン置換アルキル基などであってもよい。
【0118】
本出願において、例えば、前記(2)オルガノポリシロキサンは、25℃での粘度が1~500,000CP(centipoise)、好ましくは5~100,000CPであってもよい。前記粘度が1CP未満であれば、シリコーン化合物の硬化物の機械的強度が低下する恐れがあり、500,000CPを超えると、取扱性または作業性が低下する恐れがある。
【0119】
本出願において、前記(2)オルガノポリシロキサンの含有量は、適切な硬化が行われる程度に含まれれば特に限定されない。例えば、前記(2)オルガノポリシロキサンは、前述した(1)オルガノポリシロキサンに含まれるアルケニル基の1個に対して、ケイ素結合水素原子が0.5~10個になる量で含まれる。前記ケイ素原子結合水素原子の個数が0.5個未満であれば、硬化性シリコーン化合物の硬化が不十分に行われる恐れがあり、10個を超えると、硬化物の耐熱性が低下する恐れがある。一方、本発明では、硬化物のハードネス(hardness)および屈折率の観点から、前記(2)オルガノポリシロキサンとして、分子構造中にアリール基またはアラルキル基のような芳香族基を含有する(2)オルガノポリシロキサンを使用することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0120】
本出願において、前記付加硬化型シリコーン化合物は、硬化のための触媒として、白金または白金化合物を追加的に含むことができる。このような、白金または白金化合物の具体例としては、白金微粉末、白金黒、白金担持シリカ微粉末、白金担持活性炭、塩化白金酸、四塩化白金、塩化白金酸のアルコール溶液、白金とオレフィンとの錯体、白金と1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサンなどのアルケニルシロキサンとの錯体、これらの白金または白金化合物を含有する粒子径が10μm未満の熱可塑性樹脂微粉末(ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂など)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0121】
本発明の付加硬化型シリコーン化合物内に前述した触媒の含有量は特に限定されず、例えば、全体化合物中、重量単位で0.1~500ppm、好ましくは1~50ppmの量で含まれる。前記触媒の含有量が0.1ppm未満であれば、組成物の硬化性が低下する恐れがあり、500ppmを超えると、経済性が低下する恐れがある。
【0122】
本出願において、前記付加硬化型シリコーン化合物は、その保存安定性、取扱性および作業性向上の観点から、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、フェニルブチノールなどのアルキンアルコール;3-メチル-3-ペンテン-1-イン、3,5-ジメチル-3-ヘキセン-1-インなどのエニン(enyne)化合物;1,2,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-テトラビニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラメチル-1,3,5,7-トラヘキセニルシクロテトラシロキサン、ベンゾトリアゾールなどの硬化抑制剤を追加的に含むことができる。前記硬化抑制剤の含有量は、発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択可能であり、例えば、重量を基準として10ppm~50,000ppmの範囲で含まれる。
【0123】
本出願において、前記シリコーン化合物は、縮合硬化型シリコーン化合物として、例えば、(a)アルコキシ基含有シロキサンポリマー;および(b)水酸基含有シロキサンポリマーを含むことができる。
【0124】
本発明で使用可能な前記(a)シロキサンポリマーは、例えば、下記化学式1で表される化合物であってもよい。
[化学式1]
R1R2SiO(OR3)
前記式中、R1およびR2はそれぞれ独立して、水素原子、または置換もしくは非置換の1価炭化水素基を示し、R3はアルキル基を示し、R1、R2およびR3がそれぞれ複数存在する場合には、互いに同一または異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立して0以上、1未満の数を示し、a+bは0超過、2未満の数を示し、cは0超過、2未満の数を示し、dは0超過、4未満の数を示し、(a+b+c)×2+dは4である。
【0125】
本発明ではさらに、前記化学式1で表されるシロキサンポリマーがゲル透過クロマトグラフィーで測定した、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000~100,000、好ましくは1,000~80,000、より好ましくは1,500~70,000であってもよい。(a)シロキサンポリマーの重量平均分子量が前記範囲内にあり、シリコーン硬化物の形成時にクラックなどの不良を起こさず、良好な硬化物を得ることができる。
【0126】
前記化学式1の定義において、1価炭化水素は、例えば、炭素数1~8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、またはトリル基などであってもよく、この時、炭素数1~8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、またはオクチル基などであってもよい。また、前記化学式1の定義において、1価炭化水素基は、例えば、ハロゲン、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、グリシドキシ基、またはウレイド基などの公知の置換基で置換されていてもよい。さらに、前記化学式1の定義において、R3のアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、またはブチル基などが挙げられる。このようなアルキル基のうちメチル基またはエチル基などが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0127】
本発明では、前記化学式1のポリマーのうち分枝状または3次架橋されたシロキサンポリマーを使用することが好ましい。また、この(a)シロキサンポリマーには、本発明の目的を損なわない範囲内で、具体的には、脱アルコール反応を阻害しない範囲内で水酸基が残存していてもよい。
【0128】
前記のような(a)シロキサンポリマーは、例えば、多官能のアルコキシシランまたは多官能クロロシランなどを加水分解および縮合させることにより製造することができる。この分野における平均的技術者は、目的とする(a)シロキサンポリマーによって適切な多官能アルコキシシランまたはクロロシランを容易に選択することができ、それを用いた加水分解および縮合反応の条件も容易に制御することができる。一方、前記(a)シロキサンポリマーの製造時には、目的に応じて、適切な1官能のアルコキシシランを併用使用することもできる。
【0129】
前記のような(a)シロキサンポリマーとしては、例えば、信越シリコーン社のX40-9220またはX40-9225、GE東レシリコーン社のXR31-B1410、XR31-B0270、またはXR31-B2733などのような、市販のオルガノシロキサンポリマーを使用することができる。一方、本発明では、硬化物のハードネス(hardness)および屈折率の観点から、前記(a)オルガノポリシロキサンとして、分子構造中にアリール基またはアラルキル基のような芳香族基を含有する(a)オルガノポリシロキサンを使用することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。一方、前記縮合硬化型シリコーン化合物に含まれる、(b)水酸基含有シロキサンポリマーとしては、例えば、下記化学式2で表される化合物を使用することができる。
[化学式2]
【化1】
前記化学式2において、RおよびRはそれぞれ独立して、水素;または置換もしくは非置換の1価炭化水素基を示し、RおよびRがそれぞれ複数存在する場合には、前記は互いに同一でも異なっていてもよいし、nは5~2,000の整数を示す。
【0130】
前記化学式2の定義において、1価炭化水素基の具体的な種類としては、例えば、前述した化学式1の場合と同一の炭化水素基が挙げられる。
【0131】
本発明において、前記化学式2のシロキサンポリマーは、ゲル透過クロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算重量平均分子量が500~100,000、好ましくは1,000~80,000、より好ましくは1,500~70,000であってもよい。(b)シロキサンポリマーの重量平均分子量が前記範囲内にあることで、シリコーン硬化物の形成時にクラックなどの不良を起こさず、良好な硬化物を得ることができる。
【0132】
前記のような(b)シロキサンポリマーは、例えば、ジアルコキシシランおよび/またはジクロロシランなどを加水分解および縮合させることにより製造することができる。この分野における平均的技術者は、目的とする(b)シロキサンポリマーによって適切なジアルコキシシランまたはジクロロシランを容易に選択することができ、それを用いた加水分解および縮合反応の条件も容易に制御することができる。前記のような(b)シロキサンポリマーとしては、例えば、GE東レシリコーン社のXC96-723、YF-3800、YF-3804などのような、市販の2官能オルガノシロキサンポリマーを使用することができる。一方、本発明では、硬化物のハードネス(hardness)および屈折率の観点から、前記(1)オルガノポリシロキサンとして、分子構造中にアリール基またはアラルキル基のような芳香族基を含有する(1)オルガノポリシロキサンを使用することが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0133】
前記垂直配向力を有する接着剤層のタイプは特に限定されず、目的の用途に応じて適宜選択可能であり、例えば、固状接着剤または粘着剤、半固状接着剤または粘着剤、弾性接着剤または粘着剤、または液状接着剤または粘着剤を適宜選択して使用可能である。固状接着剤または粘着剤、半固状接着剤または粘着剤、弾性接着剤または粘着剤は、いわゆる減圧性接着剤または粘着剤(PSA;Pressure Sensitive Adhesive)と称され、接着または粘着対象が貼り合わされる前に硬化できる。液状接着剤または粘着剤は、いわゆる光学透明レジン(OCR;OpticalClear Resin)と称され、接着または粘着対象が貼り合わされた後に硬化できる。本出願において、例えば、垂直配向力を有するPSAタイプの接着剤または粘着剤として、ポリジメチルシロキサン接着剤または粘着剤(Polydimethyl siloxane adhesive)またはポリメチルビニルシロキサン接着剤または粘着剤(Polymethylvinyl siloxane adhesive)を使用することができ、垂直配向力を有するOCRタイプの接着剤として、アルコキシシリコーン接着剤または粘着剤(Alkoxy silicone adhesive)を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0134】
前記のような配置の下、前記のような特性を有する接着剤層を含むことにより優れた接着力または粘着力を有しながらも、特に遮断モードでの光漏れが制御されて、優れた光学特性を示すことができる透過度可変デバイスを提供することができる。
【0135】
本出願の一実施態様において、前記垂直配向力を有する接着剤または粘着剤は、機能性ナノ粒子を含むことができる。
【0136】
前記において、用語「機能性ナノ粒子」は、垂直配向力を有する接着剤層に電気伝導特性や、または所定の誘電定数値を付与するなど、垂直配向力を有する接着剤層の電気的物性を変化させる機能を有するナノディメンションの粒子を意味する。
【0137】
また、窮極的に前記機能性ナノ粒子包含の有無および含有量範囲によって、透過度可変デバイスの駆動電圧の減少効果が異なる。
【0138】
一つの例において、垂直配向力を有する接着剤層は、機能性ナノ粒子を0.005重量%~60重量%の比率で含むことができる。具体的な例において、垂直配向力を有する接着剤層は、機能性ナノ粒子を0.05重量%~50重量%または0.1重量%~40重量%の比率で含むことができる。前記範囲内で、目的とする駆動電圧の低減特性を確保することができる。
【0139】
前記機能性ナノ粒子の種類は、前述した定義を満足するものとして表示素子に駆動電圧の低減特性を提供できるものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、導電性ナノ粒子または誘電性ナノ粒子などが例示される。
【0140】
本出願において、用語「導電性粒子」は、電気を通すようにする粒子であって、所定の電気伝導性を示す粒子を意味する。前記導電性粒子は、便宜上、粒子と称するが、その形状および模様は特に限定されるものではない。
【0141】
前記導電性粒子は、垂直配向力を有する接着剤層に所定の電気伝導性を付与するためのものであって、例えば、1.0×10S/m以上の電気伝導度を有するものであってもよい。他の例において、前記電気伝導度は、1.0×10S/m以上、1.0×10S/m以上、1.0×10S/m以上、または1.0×10S/m以上であってもよい。垂直配向力を有する接着剤層に高い電気伝導性を付与しようとする目的を考慮する時、前記導電性粒子の電気伝導度の上限値は特に限定されないが、例えば、1.0×1012S/m以下であってもよい。
【0142】
本出願において、用語「誘電性粒子」は、電気をとどまるようにする機能を有する物質であって、所定の誘電定数を有する粒子を意味する。前記誘電性粒子は、便宜上、粒子と称するが、その形状および模様は特に限定されるものではない。
【0143】
前記機能性ナノ粒子の形状は、粒子形態だけでなく、チューブ、ワイヤ、ロッド、またはリング形態であってもよい。
【0144】
一つの例において、機能性ナノ粒子は、球状ナノ粒子、ナノチューブ、ナノワイヤ、ナノロッド、またはナノリング形状を有することができる。前記において、用語「ナノリング」は、球形状のナノ粒子や、中空部を含んで全体的にリング形状であるナノ構造物を意味することができる。
【0145】
一つの例において、機能性ナノ粒子は、球状ナノ粒子であってもよい。
具体的には、前記機能性ナノ粒子は、ITOナノ粒子、Agナノワイヤ、またはシリカナノ粒子などが例示されるが、これに限定されるものではない。
【0146】
本出願は、前述した機能性粒子のうち、前述する接着剤層に含まれる物質との適切な相溶性を有して、垂直配向接着剤層内で均一に分散できる物性を有すものが適宜採用されて、垂直配向接着剤層に含まれる。
【0147】
本出願の垂直配向接着剤層は、前述した機能性ナノ粒子を所定の含有量範囲で含むことにより、垂直配向接着剤層に電気伝導特性または所定の誘電定数値を提供することができる。具体的には、垂直配向接着剤層は、機能性ナノ粒子包含の有無によって所定の電気伝導度の差または誘電定数の差を示すことができる。
【0148】
一つの例において、垂直配向接着剤層は、下記数式1を満足するように機能性ナノ粒子を含むことができる。
[数式1]
×100≦G≦1×1010S/m
前記数式1中、Gは機能性ナノ粒子を含む垂直配向力を有する接着剤層の電気伝導度値(S/m)を示し、Gは機能性ナノ粒子を含まない垂直配向力を有する接着剤層の電気伝導度値(S/m)を示す。
【0149】
前記数式1を満足する垂直配向力を有する接着剤層を透過度可変デバイスに含ませる場合、光変調層への電場印加を効果的に誘導することができ、よって、実質的にセルギャップの差を減少させる効果を達成することができ、窮極的に透過度可変デバイスの駆動電圧を低下させる効果を達成することができる。
【0150】
具体的には、垂直配向力を有する接着剤層内に所定の電気伝導度を有する機能性粒子を含むことにより達成できる電気伝導度値が、垂直配向力を有する接着剤層内に機能性粒子を含まない時に達成できる電気伝導度値対比100倍以上、110倍以上、120倍以上、130倍以上、140倍以上、または150倍以上である。前記のような範囲内で、光変調層への電場印加を図ることができ、目的とする駆動電圧の減少効果が発揮できる。
【0151】
より具体的には、前記垂直配向力を有する接着剤層の電気伝導度値は、例えば、1.0×10-5S/m以上であってもよい。前記のような電気伝導度範囲内で、光変調層対比相対的に低い抵抗値を有して、中間層への電場印加を図ることができる。他の例において、接着剤層は、電気伝導度が2.0×10-5S/m以上、または2.1×10-5S/m以上であってもよい。前記電気伝導度値の上限は特に限定されるものではなく、例えば、1×1010S/m以下であってもよい。
【0152】
他の例において、垂直配向力を有する接着剤層は、下記数式2を満足するように機能性ナノ粒子を含むことができる。
[数式2]
×1.5≦C≦50
前記数式2中、Cは機能性ナノ粒子を含む垂直配向力を有する接着剤層の誘電定数値を示し、Cは機能性ナノ粒子を含まない垂直配向力を有する接着剤層の誘電定数値を示す。
【0153】
すなわち、垂直配向力を有する接着剤層内に機能性粒子を所定の含有量含むことにより達成できる誘電定数値は、垂直配向力を有する接着剤層内に機能性粒子を含まない時に達成できる誘電定数値対比1.5倍以上、1.6倍以上、1.7倍以上、1.8倍以上、1.9倍以上、または2倍以上の誘電定数値を有することができる。前記のような範囲内で、光変調層への電場印加を図ることができ、目的とする駆動電圧効果が発揮できる。
【0154】
具体的には、垂直配向力を有する接着剤層の誘電定数値は、例えば、3.00以上であってもよい。前記のような誘電定数範囲内で、光変調層対比相対的に低い抵抗値を有して、中間層への電場印加を図ることができる。他の例において、垂直配向力を有する接着剤層は、誘電定数が3.50または3.70以上であってもよい。前記誘電定数値の上限は特に限定されるものではなく、例えば、50以下であってもよい。
【0155】
垂直配向力を有する接着剤層は、前述した数式1または数式2を満足するように機能性ナノ粒子を含む場合、透過度可変デバイスの目的とする駆動電圧の低減特性を確保することができる。
【0156】
本出願の一実施態様において、前記第2基材層は、前述した前記第1基材層の内容と同一であり得る。
【0157】
本出願の一実施態様において、前記配向膜は、前記光変調層内の液晶の初期配向を決定するために使用できる。この時適用される配向膜の種類は特に限定されず、例えば、公知のラビング配向膜または光配向膜であってもよい。
【0158】
配向方向は、ラビング配向膜の場合はラビング方向、光配向膜の場合は照射される偏光の方向であり得るが、このような配向方向は、線形偏光層を用いた検出方式で確認することができる。例えば、本出願の光変調層がTN(Twisted Nematic)モードなどのようなツイスト配向モードの場合に、一面に線形偏光層を配置し、その偏光層の吸収軸を変更しながら透過率を測定すれば、前記吸収軸または透過軸と配向膜の配向方向が一致する場合に透過率が低くなる傾向を示すが、適用された液晶化合物の屈折率異方性などを反映したシミュレーションにより配向方向を確認することができる。本出願の光変調層のモードに応じて配向方向を確認する方式は公知である。
【0159】
本出願の一実施態様において、本出願に係るパターンフィルムを用意するステップと、前記パターンフィルムの前記スペーサパターンが形成された前記第1基材層上に前記スペーサパターンを覆うように配向膜を形成して第1積層体を形成するステップと、第2基材層および透明層の積層体の上部に接着剤層を形成して第2積層体を形成するステップと、前記第2積層体の前記接着剤層が前記第1積層体の前記スペーサパターン側に接するように前記第1積層体および前記第2積層体を積層するステップと、前記第1積層体および前記第2積層体の間に光変調層を形成するステップとを含む透過度可変デバイスの製造方法を提供する。
【0160】
前記のような製造方法により、本出願に係る透過度可変フィルムは、特定の積層構造を有することができる。
【実施例
【0161】
以下、実施例を通じて本明細書をより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は本明細書を例示するためのものに過ぎず、本明細書を限定するためのものではない。
【0162】
<製造例>
<実施例1>
隔壁スペーサの形成に使用される硬化性組成物を次の方式で製造した。
【0163】
紫外線硬化型アクリレート化合物、重合開始剤、および分散剤を含むバインダーであって、隔壁スペーサの製造に通常使用されるバインダーにブラックボールスペーサおよび暗色化材料を混合して硬化性組成物を製造した。この時、ブラックボールスペーサとしては、平均粒径が8μm程度であり、CV(Coefficient of Variation)が4であり、粒径の標準偏差が約0.32μm程度であるブラックボールスペーサ(製造会社:Sekisui Chemical、商品名:KBN508)を使用した。前記ブラックボールスペーサは前記バインダー100重量部対比2.5重量部で配合した。また、暗色化材料として、カーボンブラックは材料内に約3重量%の比率で配合した。前記製造された組成物の光学密度(OD)を確認した結果、約1.36の値であると確認された。
【0164】
表面に非結晶質のITO(Indium Tin Oxide)電極層が形成された一軸延伸基材フィルム(PET、Poly(ethylene terephthalate))の前記電極層上に前記製造された硬化性組成物を2mL~3mL滴加(dropping)し、マスクとして前記滴加された混合物を圧着して、基材層、電極層、硬化性組成物層、およびマスクを含む積層体を形成した状態で前記マスクに向かって紫外線を照射して前記硬化性組成物層を硬化させた。(紫外線照射量:320mJ/cm
【0165】
適用されたマスクとしては、図6に示されるように、透明基材フィルムであるPETフィルム上にパターン化された遮光層(AgX、X=Cl、F、Br、またはI)と離型層が順次形成された形態のマスクを用いた。前記遮光層パターンは四角配列の規則である。例えば、全体面積が約10mm程度の基材層上に100個のドット(dot)がそれぞれ250μmの一定間隔(正常ピッチ)で配置されている状態を仮定した(正常配置状態)。この時、個別ドットの底部の断面積は約10μm程度となるように調整した。そして、個別ドットを線で連結して線幅が約10μm程度の四角配列の隔壁スペーサパターン(Meshパターン)を形成した。
【0166】
紫外線照射後、未硬化の硬化性組成物を除去(現像)して隔壁スペーサを形成した。図1は、前記のような方式で製造されたスペーサパターンが形成されたパターンフィルムの断面図である。図1のように、隔壁スペーサは、ブラックボールスペーサが埋め込み、一部埋め込みまたは接する形態のスペーサパターンを形成する。製造された前記隔壁スペーサの高さは約8.2μm~8.4μmであって、平均が約8.3μm程度であり、線幅は約15μm~21μm程度で、平均は約17.6μm程度であると測定された。
【0167】
また、第1基材層の表面上に前記四角配列の隔壁スペーサパターン(Meshパターン)が存在する面積の比率は約13.6%であった。前記スペーサパターンの高さの標準偏差は約0.1μm程度であり、ボールスペーサの直径の標準偏差は約0.95μm程度であった。
【0168】
図7は、本出願の実施例1によるパターンフィルムの50倍率の光学顕微鏡、200倍率の光学顕微鏡イメージおよび回折評価結果を示す図である。具体的には、光学顕微鏡イメージの確認結果、ボールスペーサおよび隔壁スペーサを含む規則の長方形形態のスペーサパターンを含むことを確認することができ、スペーサパターンの周辺に形成されうる過硬化現象またはパターンの断線なく製造されることを確認することができた。
【0169】
<実施例2>
前記実施例1においてマスク設計(遮光層パターンのピッチは350μm)を変更したことを除き、前記実施例1と同様の方式でパターンフィルムを形成した。
【0170】
製造された前記隔壁スペーサの高さは約8.2μm~8.4μmであって、平均が約8.3μm程度であり、線幅は約14μm~18μm程度で、平均は約16.1μm程度であると測定された。
【0171】
また、第1基材層の表面上に前記四角配列の隔壁スペーサパターン(Meshパターン)が存在する面積の比率は約9%であった。前記スペーサパターンの高さの標準偏差は約0.1μm程度であり、ボールスペーサの直径の標準偏差は約0.7μm程度であった。
【0172】
図8は、本出願の実施例2によるパターンフィルムの50倍率の光学顕微鏡、200倍率の光学顕微鏡イメージおよび回折評価結果を示す図である。具体的には、光学顕微鏡イメージの確認結果、ボールスペーサおよび隔壁スペーサを含む規則の長方形形態のスペーサパターンを含むことを確認することができ、スペーサパターンの周辺に形成されうる過硬化現象またはパターンの断線なく製造されることを確認することができた。
【0173】
<比較例1>
前記実施例1においてマスク設計(遮光層パターンの線幅は13μm)を変更したことを除き、前記実施例1と同様の方式でパターンフィルムを形成した。
【0174】
製造された前記隔壁スペーサの高さは約8.2μm~8.4μmであって、平均が約8.3μm程度であり、線幅は約20μm~25μm程度で、平均は約22.4μm程度であると測定された。
【0175】
また、第1基材層の表面上に前記四角配列の隔壁スペーサパターン(Meshパターン)が存在する面積の比率は約17.1%であった。前記スペーサパターンの高さの標準偏差は約0.1μm程度であり、ボールスペーサの直径の標準偏差は約1.0μm程度であった。
【0176】
図9は、本出願の比較例1によるパターンフィルムの50倍率の光学顕微鏡、200倍率の光学顕微鏡イメージおよび回折評価結果を示す図である。具体的には、光学顕微鏡イメージの確認結果、ボールスペーサおよび隔壁スペーサを含む規則の長方形形態のスペーサパターンを含むことを確認することができ、スペーサパターンの周辺に形成されうる過硬化現象による硬化された領域が観察されることを確認することができた。
【0177】
<比較例2>
前記実施例1においてマスク設計(遮光層パターンのピッチは1100μm)を変更したことを除き、前記実施例1と同様の方式でパターンフィルムを形成した。
【0178】
製造された前記隔壁スペーサの高さは約8.2μm~8.4μmであって、平均が約8.3μm程度であり、線幅は約20μm~25μm程度で、平均は約22.4μm程度であると測定された。
【0179】
また、第1基材層の表面上に前記四角配列の隔壁スペーサパターン(Meshパターン)が存在する面積の比率は約4.0%であった。前記スペーサパターンの高さの標準偏差は約0.1μm程度であり、ボールスペーサの直径の標準偏差は約0.98μm程度であった。
【0180】
図10は、本出願の比較例2によるパターンフィルムの50倍率の光学顕微鏡、200倍率の光学顕微鏡イメージおよび回折評価結果を示す図である。具体的には、光学顕微鏡イメージの確認結果、ボールスペーサおよび隔壁スペーサを含む規則の長方形形態のスペーサパターンを含むことを確認することができ、スペーサパターンの周辺に形成されうる過硬化現象またはパターンの断線なく製造されることを確認することができた。
【0181】
<実施例1、実施例2、比較例1および比較例2のデバイス評価>
前記実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の四角配列の隔壁スペーサパターンフィルム上に垂直配向膜(Nissan社、5661LB3)をコーティングし、乾燥(100℃)した。パターンのみならず、表面に非結晶質のITO(インジウムチンオキシド、Indium Tin Oxide)電極層が形成された一軸延伸PET(ポリエチレンテレフタレート)基材フィルムの前記電極層上にも同様に垂直配向膜(JSR社、R4)を形成して第1積層体を形成した。
【0182】
以後、垂直配向力を有する接着剤(Si-OCA:Shin-Etsu Chemical、製品名:KR-3700)を第2基材層上のITO層に塗布および乾燥して第2積層体を製造した。
【0183】
前記形成された第1積層体および第2積層体を前記スペーサパターンで間隔を維持させて対向配置させ、その間隔内に液晶組成物を注入した後に周縁をシーリングして透過度可変デバイスを製造した。
【0184】
液晶組成物はラミネーション(Lamination)方式で注入し、液晶組成物としては混合液晶(液晶:JNC、製品名:SHN-7002XX T12/キラル添加剤:Merck、製品名S811/染料:BASF、製品名:X12)を使用した。
【0185】
製造された透過度可変デバイスをPower supply(Kikusi社、PCR500M)を用いて40V印加した状態で外観を評価した。具体的には、図11は、実施例1のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスを40V印加した状態の外観を示す図であり、図12は、実施例2のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスを40V印加した状態の外観を示す図であり、図13は、比較例1のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスを40V印加した状態の外観を示す図であり、図14は、比較例2のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスを40V印加した状態の外観を示す図である。
【0186】
実施例1および実施例2のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスは、配向の不良なく清潔な外観を示すことを確認することができたが、比較例1の場合、過硬化現象による硬化された領域が形成されることにより、配向不良に起因する黒点が観察されることを確認することができ、比較例2の場合、過硬化現象は起こらなかったが、パターンフィルムのスペーサパターンの低いパターン面積比による配向膜コーティングの不均一性に起因する黒点が多数発生することを確認することができた。
【0187】
<実施例3>
パターンフィルムの製造工程は前記実施例1と同一であり、構成要素(遮光層Mask設計、ボールスペーサ、組成物の光学密度など)の差異は下記の通りである。
【0188】
紫外線硬化型アクリレート化合物、重合開始剤、および分散剤を含むバインダーであって、隔壁スペーサの製造に通常使用されるバインダーにブラックボールスペーサおよび暗色化材料を混合して硬化性組成物を製造した。この時、ブラックボールスペーサとしては、平均粒径が6μm程度であり、CV(Coefficient of Variation)が4であり、粒径の標準偏差が約0.24μm程度であるブラックボールスペーサ(製造会社:Sekisui Chemical、商品名:KBN506)を使用した。前記ブラックボールスペーサは前記バインダー100重量部対比2.5重量部で配合した。また、暗色化材料として、カーボンブラックは材料内に約3重量%の比率で配合した。前記製造された組成物の光学密度(OD)を確認した結果、約1.0の値であると確認された。
【0189】
適用されたマスクとしては、図6に示されるように、透明基材フィルムであるPETフィルム上にパターン化された遮光層(AgX、X=Cl、F、Br、またはI)と離型層が順次形成された形態のマスクを用いた。前記遮光層パターンは六角配列の規則である。例えば、全体面積が約10mm程度の基材層上に100個のドット(dot)がそれぞれ940μmの一定間隔(正常ピッチ)で配置されている状態を仮定した(正常配置状態)。この時、個別ドットの底部の断面積は約65μm程度となるように調整した。そして、個別ドットを線で連結して線幅が約65μm程度の四角配列の隔壁スペーサパターン(Meshパターン)を形成した。
【0190】
製造された前記六角配列の隔壁スペーサの高さは約6.1μm~6.3μmであって、平均が約6.2μm程度であり、線幅は約70μm~76μm程度で、平均は約73.7μm程度であると測定された。
【0191】
また、第1基材層の表面上に前記六角配列の隔壁スペーサパターン(honeycombパターン)が存在する面積の比率は約15.1%であった。前記スペーサパターンの高さの標準偏差は約0.1μm程度であり、ボールスペーサの直径の標準偏差は約1.0μm程度であった。
【0192】
図15は、本出願の実施例3によるパターンフィルムの50倍率の光学顕微鏡、200倍率の光学顕微鏡イメージおよび回折評価結果を示す図である。具体的には、光学顕微鏡イメージの確認結果、ボールスペーサおよび隔壁スペーサを含む規則の六角形形態のスペーサパターンを含むことを確認することができ、スペーサパターンの周辺に形成されうる過硬化現象による硬化された領域が一部観察されたが、交差地点のみ一部あり、断線なく製造されることを確認することができた。
【0193】
<実施例4>
前記実施例3においてマスク設計(遮光層パターンの線幅41μm)を変更したことを除き、前記実施例3と同様の方式でパターンフィルムを形成した。
【0194】
製造された前記隔壁スペーサの高さは約6.1μm~6.3μmであって、平均が約6.2μm程度であり、線幅は約42μm~48μm程度で、平均は約45.6μm程度であると測定された。
【0195】
また、第1基材層の表面上に前記六角配列の隔壁スペーサパターン(honeycombパターン)が存在する面積の比率は約9.5%であった。前記スペーサパターンの高さの標準偏差は約0.1μm程度であり、ボールスペーサの直径の標準偏差は約0.9μm程度であった。
【0196】
図16は、本出願の実施例4によるパターンフィルムの50倍率の光学顕微鏡、200倍率の光学顕微鏡イメージおよび回折評価結果を示す図である。具体的に光学顕微鏡イメージの確認結果、ボールスペーサおよび隔壁スペーサを含む規則の六角形形態のスペーサパターンを含むことを確認することができ、スペーサパターンの周辺に形成されうる過硬化現象による硬化された領域が一部観察されたが、交差地点のみ一部あり、断線なく製造されることを確認することができた。
【0197】
<比較例3>
前記実施例3においてマスク設計(遮光層パターンの線幅は21μm、ピッチ280μm)を変更したことを除き、前記実施例3と同様の方式でパターンフィルムを形成した。
【0198】
製造された前記隔壁スペーサの高さは約6.1μm~6.3μmであって、平均が約6.2μm程度であり、線幅は約35μm~41μm程度で、平均は約38.3μm程度であると測定された。
【0199】
また、第1基材層の表面上に前記六角配列の隔壁スペーサパターン(honeycombパターン)が存在する面積の比率は約25.5%であった。前記スペーサパターンの高さの標準偏差は約0.1μm程度であり、ボールスペーサの直径の標準偏差は約0.9μm程度であった。
【0200】
図17は、本出願の比較例3によるパターンフィルムの50倍率の光学顕微鏡、200倍率の光学顕微鏡イメージおよび回折評価結果を示す図である。具体的には、光学顕微鏡イメージの確認結果、ボールスペーサおよび隔壁スペーサを含む規則の長方形形態のスペーサパターンを含むことを確認することができ、スペーサパターンの周辺に形成されうる過硬化現象による硬化された領域が観察されることを確認することができた。
【0201】
<比較例4>
前記実施例3においてマスク設計(遮光層パターンの線幅は21μm、ピッチ1169μm)を変更したことを除き、前記実施例3と同様の方式でパターンフィルムを形成した。
【0202】
製造された前記隔壁スペーサの高さは約6.1μm~6.3μmであって、平均が約6.2μm程度であり、線幅は約25μm~35μm程度で、平均は約27.7μm程度であると測定された。
【0203】
また、第1基材層の表面上に前記六角配列の隔壁スペーサパターン(honeycombパターン)が存在する面積の比率は約4.7%であった。前記スペーサパターンの高さの標準偏差は約0.1μm程度であり、ボールスペーサの直径の標準偏差は約0.9μm程度であった。
【0204】
図18は、本出願の比較例4によるパターンフィルムの50倍率の光学顕微鏡、200倍率の光学顕微鏡イメージおよび回折評価結果を示す図である。具体的には、光学顕微鏡イメージの確認結果、ボールスペーサおよび隔壁スペーサを含む規則の長方形形態のスペーサパターンを含むことを確認することができ、スペーサパターンの周辺に形成されうる過硬化現象またはパターンの断線なく製造されることを確認することができた。
【0205】
<実施例3、実施例4、比較例3および比較例4のデバイス評価>
前記実施例3、実施例4、比較例3および比較例4の六角配列の隔壁スペーサパターンフィルムを用いたことを除き、前記実施例1、実施例2、比較例1および比較例2の透過度可変フィルムの製造方法と同様に製造した。
【0206】
製造された透過度可変デバイスをPower supply(Kikusi社、PCR500M)を用いて40V印加する前の状態(OV)で外観を評価した。具体的には、図19は、実施例3のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスの40V印加前(OV)の状態の外観を示す図であり、図20は、実施例4のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスの印加前(OV)の状態の外観を示す図であり、図21は、比較例3のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスの印加前(OV)の状態の外観を示す図であり、図22は、比較例4のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスの印加前(OV)の状態の外観を示す図である。
【0207】
実施例3および実施例4のパターンフィルムを適用した透過度可変デバイスは、配向の不良なく清潔な外観を示すことを確認することができたが、比較例3の場合、過硬化現象による硬化された領域が形成されることにより、配向不良に起因する黒点が観察されることを確認することができ、比較例4の場合、過硬化現象は起こらなかったが、液晶高さの不均一に起因する明暗差不良が発生し、これは低いパターン面積比によるパターンフィルムの傾き現象から生じたパターン部分とパターン間中心部分の液晶高さの差によるものであることを確認することができた。
【符号の説明】
【0208】
10:第1基材層
20:隔壁スペーサ
30:ボールスペーサ
40:配向膜
50:光変調層
60:接着剤層
70:透明層
80:第2基材層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【国際調査報告】