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特表2023-515487フレキシブル回路から作成された電磁コイル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(54)【発明の名称】フレキシブル回路から作成された電磁コイル
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/20 20060101AFI20230406BHJP
   H05K 3/36 20060101ALI20230406BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20230406BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20230406BHJP
【FI】
H05K3/20 A
H05K3/36 Z
H05K1/16 B
H05K1/14 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022549873
(86)(22)【出願日】2021-02-01
(85)【翻訳文提出日】2022-10-18
(86)【国際出願番号】 US2021015976
(87)【国際公開番号】W WO2021167771
(87)【国際公開日】2021-08-26
(31)【優先権主張番号】16/798,351
(32)【優先日】2020-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロレンド オスカー
【テーマコード(参考)】
4E351
5E343
5E344
【Fターム(参考)】
4E351AA04
4E351AA16
4E351BB09
4E351BB11
4E351BB25
4E351BB49
4E351DD04
4E351GG20
5E343AA07
5E343AA18
5E343AA33
5E343BB24
5E343GG11
5E343GG20
5E344AA01
5E344AA10
5E344AA19
5E344AA22
5E344BB05
5E344BB10
5E344BB20
5E344CC09
5E344CC17
5E344CD12
5E344DD08
5E344EE21
(57)【要約】
電磁石製造方法であり、1本又は複数本の第1導電コイル状トレースを有する第1フレキシブルPCBを取得し、1本又は複数本の第2導電コイル状トレースを有する第2フレキシブルPCBを取得するものである。少なくとも1個の湾曲部又は隅部を有する形状へとその第1フレキシブルPCBを曲げる。第1フレキシブルPCBがその形状に曲がった状態で第2フレキシブルPCBをその形状へと曲げ、その第2フレキシブルPCBを第1フレキシブルPCBの隣に位置決めして第1フレキシブルPCBに寄り添わせる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本又は複数本の第1導電コイル状トレースを備える第1フレキシブル印刷回路基板(PCB)を取得し、
1本又は複数本の第2導電コイル状トレースを備える第2フレキシブルPCBを取得し、
少なくとも1個の湾曲部又は隅部を有する形状へと前記第1フレキシブルPCBを曲げ、
前記第1フレキシブルPCBが前記形状に曲がった状態で前記第2フレキシブルPCBを前記形状へと曲げ、その際に前記第2フレキシブルPCBを前記第1フレキシブルPCBの隣に位置決めして前記第1フレキシブルPCBに寄り添わせる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、更に、前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレースを前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースと電気的に接続する方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記形状が円錐台状である方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレースと前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースとが長方形螺旋状トレースである方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記曲げに際し、前記第1フレキシブルPCBを取付具に巻き付ける方法であり、更に、
前記第1フレキシブルPCBを前記取付具に巻き付けた後に、前記取付具を取り除く方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、更に、前記形状に曲がった状態で、接着剤を用い前記第2フレキシブルPCBを前記第1フレキシブルPCBに機械的に連結する方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレースが、前記第1フレキシブルPCBの第1側にある第1導電コイル状トレースと、前記第1フレキシブルPCBの第2側にある第2導電コイル状トレースと、を含み、前記第1フレキシブルPCBが、前記第1側を前記第2側から分離する絶縁層を備え、
前記第1フレキシブルPCBが、更に、前記絶縁層を貫いており前記第1導電コイル状トレースを前記第2導電コイル状トレースと電気的に接続するビアを備え、
前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースが、前記第2フレキシブルPCBの第1側にある第3導電コイル状トレースと、前記第2フレキシブルPCBの第2側にある第4導電コイル状トレースと、を含み、前記第2フレキシブルPCBが、前記第1側を前記第2側から分離する絶縁層を備え、
前記第2フレキシブルPCBが、更に、前記絶縁層を貫いており前記第3導電コイル状トレースを前記第4導電コイル状トレースと電気的に接続するビアを備える方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、更に、
1本又は複数本の第3導電コイル状トレースを備える第3フレキシブルPCBを取得し、
1本又は複数本の第4導電コイル状トレースを備える第4フレキシブルPCBを取得し、
前記第1及び第2フレキシブルPCBが前記形状に曲がった状態で前記第3フレキシブルPCBを前記形状へと曲げ、その際に前記第3フレキシブルPCBを前記第2フレキシブルPCBの隣に位置決めして前記第2フレキシブルPCBに寄り添わせ、
前記第1、第2及び第3フレキシブルPCBが前記形状に曲がった状態で前記第4フレキシブルPCBを前記形状へと曲げ、その際に前記第4フレキシブルPCBを前記第3フレキシブルPCBの隣に位置決めして前記第3フレキシブルPCBに寄り添わせる方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法であって、更に、
前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレースを前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースと電気的に接続し、
前記1本又は複数本の第3導電コイル状トレースを前記1本又は複数本の第4導電コイル状トレースと電気的に接続する方法。
【請求項10】
請求項8に記載の方法であって、更に、前記1本又は複数本の第3導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第4導電コイル状トレースを、前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースと同極性で以て電流を通すよう構成する方法。
【請求項11】
請求項8に記載の方法であって、更に、
前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースを、第1極性で以て電流を通すよう構成し、
前記1本又は複数本の第3導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第4導電コイル状トレースを、前記第1極性とは逆の第2極性で以て電流を通すよう構成する方法。
【請求項12】
請求項8に記載の方法であって、更に、
前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースを、同極性で以て電流を通すよう構成し、
前記1本又は複数本の第3導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第4導電コイル状トレースを、逆極性で以て電流を通すよう構成する方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法であって、更に、
前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレースを、第1極性で以て電流を通すよう構成し、
前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースを、前記第1極性とは逆の第2極性で以て電流を通すよう構成する方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法であって、更に、静電デフレクタを、前記第1及び第2フレキシブルPCBに対し同心配置する方法。
【請求項15】
1本又は複数本の第1導電コイル状トレースを備える第1フレキシブル印刷回路基板(PCB)を備え、前記第1フレキシブルPCBが、少なくとも1個の湾曲部又は隅部を有する形状へと曲げられており、
前記形状へと曲げられており且つ1本又は複数本の第2導電コイル状トレースを備える第2フレキシブルPCBを備え、前記第2フレキシブルPCBが前記第1フレキシブルPCBの隣にあり且つそれに寄り添っている電磁石。
【請求項16】
請求項15に記載の電磁石であって、前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレースが前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースと電気的に接続されている電磁石。
【請求項17】
請求項15に記載の電磁石であって、前記形状が円錐台状である電磁石。
【請求項18】
請求項15に記載の電磁石であって、前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレースと前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースとが長方形螺旋状トレースである電磁石。
【請求項19】
請求項15に記載の電磁石であって、前記第1及び第2PCBが接着剤により機械的に連結されている電磁石。
【請求項20】
請求項15に記載の電磁石であって、
前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレースが、前記第1フレキシブルPCBの第1側にある第1導電コイル状トレースと、前記第1フレキシブルPCBの第2側にある第2導電コイル状トレースと、を含み、前記第1フレキシブルPCBが、前記第1側を前記第2側から分離する絶縁層を備え、
前記第1フレキシブルPCBが、更に、前記絶縁層を貫いており前記第1導電コイル状トレースを前記第2導電コイル状トレースと電気的に接続するビアを備え、
前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースが、前記第2フレキシブルPCBの第1側にある第3導電コイル状トレースと、前記第2フレキシブルPCBの第2側にある第4導電コイル状トレースと、を含み、前記第2フレキシブルPCBが、前記第1側を前記第2側から分離する絶縁層を備え、
前記第2フレキシブルPCBが、更に、前記絶縁層を貫いており前記第3導電コイル状トレースを前記第4導電コイル状トレースと電気的に接続するビアを備える電磁石。
【請求項21】
請求項15に記載の電磁石であって、更に、
前記形状へと曲げられており且つ1本又は複数本の第3導電コイル状トレースを備える第3フレキシブルPCBを備え、前記第3フレキシブルPCBが前記第2フレキシブルPCBの隣にあり且つそれに寄り添っており、
前記形状へと曲げられており且つ1本又は複数本の第4導電コイル状トレースを備える第4フレキシブルPCBを備え、前記第4フレキシブルPCBが前記第3フレキシブルPCBの隣にあり且つそれに寄り添っている電磁石。
【請求項22】
請求項21に記載の電磁石であって、前記1本又は複数本の第3導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第4導電コイル状トレースが、前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースと同極性で以て電流を通すよう構成されている電磁石。
【請求項23】
請求項21に記載の電磁石であって、
前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースが、第1極性で以て電流を通すよう構成されており、
前記1本又は複数本の第3導電コイル状トレース及び前記1本又は複数本の第4導電コイル状トレースが、前記第1極性とは逆の第2極性で以て電流を通すよう構成されている電磁石。
【請求項24】
請求項15に記載の電磁石であって、
前記1本又は複数本の第1導電コイル状トレースが、第1極性で以て電流を通すよう構成されており、
前記1本又は複数本の第2導電コイル状トレースが、前記第1極性とは逆の第2極性で以て電流を通すよう構成されている電磁石。
【請求項25】
請求項15に記載の電磁石であって、更に、前記第1及び第2フレキシブルPCBに対し同心配置された静電デフレクタを備える電磁石。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件開示は磁気コイルに関し、より具体的には、フレキシブル印刷回路基板(PCB)を用い作成された電磁コイルに関する。
【背景技術】
【0002】
旧来、電磁石は、ワイヤを指定巻数で以て所定形状に手巻きし、それにより磁気コイルを形成することで形成されている。こうした手巻きでは、ワイヤ配置が非精密で再現不能なものとなる。この非精密性及び再現不能性によって、その磁気コイルが用いられるシステムの校正が面倒なものとなっている。手巻きは、そのコイルの形状を指定幾何形状にする能力も限定的である。例えば、巻半径が制約されるので、くっきりとした隅部を実現することができない。更に、手巻きのプロセス及び得られた磁気コイルを電源(例.電流源)に接続するプロセスにて人的過誤が起きやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2016/0013665号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電磁石は単層フレキシブル印刷回路基板(PCB)、即ちその上の導電トレースによりコイルが形成されているPCBを用い、製造されてもいる。とはいえ、単層で実現されうるコイルの巻数は限られており、従ってその電磁石の強度も限られている。このPCBに付加的な諸層を追加することは、そのPCBの剛性が増すため、ひいてはそのPCBをその電磁石に望ましい形状(即ち指定幾何形状)へと曲げる上で妨げとなるため、現実的でない。
【0005】
そうした電磁石の適用例の一つが、直交電磁界を用い帯電粒子(例.電子)に関し速度フィルタリングを実行するウイーンフィルタである。ウイーンフィルタは電子顕微鏡にて用いられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の諸問題は、複数枚のフレキシブルPCBを用い電磁石を形成することで解決される。
【0007】
ある種の実施形態に係る方法では、1本又は複数本の第1導電コイル状トレースを有する第1フレキシブルPCBを取得し、1本又は複数本の第2導電コイル状トレースを有する第2フレキシブルPCBを取得する。第1フレキシブルPCBを、少なくとも1個の湾曲部又は隅部を有する形状へと曲げる。その上で、第1フレキシブルPCBがその形状に曲がった状態で第2フレキシブルPCBをその形状へと曲げ、その第2フレキシブルPCBを第1フレキシブルPCBの隣に位置決めして第1フレキシブルPCBに寄り添わせる。
【0008】
ある種の実施形態に係る電磁石は、1本又は複数本の第1導電コイル状トレース付の第1フレキシブルPCBを有する。第1フレキシブルPCBは曲げられ、少なくとも1個の湾曲部又は隅部を有する形状になっている。本電磁石は、更に、その形状へと曲げられており且つ1本又は複数本の第2導電コイル状トレースを有する、第2フレキシブルPCBを有する。第2フレキシブルPCBが第1フレキシブルPCBの隣にあり且つ寄り添うものである。
【0009】
様々な記載実現形態のより良好な理解のため、後掲の詳細記述と併せ、以下の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ある種の実施形態に従い指定形状へと曲げられた複数枚のフレキシブル印刷回路基板(PCB)を有する電磁石を示す図である。
図2】ある種の実施形態に従いフレキシブルPCB及びそれに付随するコネクタを示す図である。
図3A】ある種の実施形態に従い、2枚のフレキシブルPCB上の導電コイル状トレースを、それら導電コイル状トレース間の電気的接続と併せ示す図である。
図3B】ある種の実施形態に従い、図3A中のフレキシブルPCBのうち一部分の断面を示す図である。
図4】ある種の実施形態に従い、同心寄添い要領にて指定形状へと曲げられた一対のフレキシブルPCBを有すると共に、静電デフレクタ向けの接続リングをも有するシステムを、示す図である。
図5】ある種の実施形態に従い電磁石及び静電デフレクタが同心配列されているアセンブリの断面及び部分斜視外観を示す図である。
図6A】ある種の実施形態に従い複数枚のフレキシブルPCBを用い電磁石を製造する方法を示すフローチャートである。
図6B】ある種の実施形態に従い、図6Aの方法のオプション的継続部分を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
同様の参照符号は、明細書及び図面を通じ、対応する諸部分のことを指している。
【0012】
以下、添付図面のその例が描かれている様々な実施形態を詳細に参照する。以下の詳細記述では、数多くの具体的細部を説明することで、様々な記載実施形態についての一貫した理解を図っている。しかしながら、本件技術分野に習熟した者(いわゆる当業者)には察せられる通り、それら様々な記載実施形態を、そうした具体的細部無しで実施することもできる。他方、周知な方法、手順、部材、回路及びネットワークについては、諸実施形態の諸側面を不必要に曖昧化させないよう詳細記述を省いている。
【0013】
図1に、ある種の実施形態に従い指定形状へと曲げられた複数枚のフレキシブル印刷回路基板(PCB)102を有する電磁石100を示す。フレキシブルPCB102には第1フレキシブルPCB102-1と第2フレキシブルPCB102-2とがある。各PCB102は1本又は複数本の導電コイル状トレース104を有しており、例えば第1フレキシブルPCB102-1は1本又は複数本の導電コイル状トレース104-1、第2フレキシブルPCB102-2は1本又は複数本の導電コイル状トレース104-2を有している。第2フレキシブルPCB102-2は第1フレキシブルPCB102-1に寄り添い概ねそれを囲んでいるが、実施形態によっては、それら第1及び第2フレキシブルPCB102-1及び102-2が同サイズであることで生じる小さなギャップ106がその例外となる。ある種の実施形態では、1枚又は複数枚の付加的フレキシブルPCB102であり、1本又は複数本の個別的な導電コイル状トレース104をめいめい有するものが、第1フレキシブルPCB102-1・第2フレキシブルPCB102-2間に配置される。隣り合うフレキシブルPCB102を機械的に連結(例.接着剤により連結)してもよい。
【0014】
図1の例における指定形状、即ちフレキシブルPCB102が曲げられていく形状は円錐台状であり、第1フレキシブルPCB102-1と第2フレキシブルPCB102-2とが放射軸を中心にして同心配列されている。他の形状にすることもできる。例えば、フレキシブルPCB102を円筒形、楕円形、長方形又は多角形断面を有する形状へと曲げてもよい。
【0015】
導電コイル状トレース104に電流を流すと、それらフレキシブルPCB102により囲まれている空間内に磁界が発生する。その電流を導電コイル状トレース104に供給するため、この電磁石100にはコネクタ108-1及び108-2が設けられている。コネクタ108-1は第1フレキシブルPCB102-1に機械的に連結されており、且つ1本又は複数本の導電コイル状トレース104-1に電気的に接続された1個又は複数個の導体(例.導電トレース)を有している。コネクタ108-2は第2フレキシブルPCB102-2に機械的に連結されており、且つ1本又は複数本の導電コイル状トレース104-2に電気的に接続された1個又は複数個の導体(例.導電トレース)を有している。ある種の実施形態では、コネクタ108-1が、フレキシブルPCB102-1と一体に形成されたフレキシブルPCBとされ、コネクタ108-2が、フレキシブルPCB102-2と一体に形成されたフレキシブルPCBとされる。コネクタ108-1及び108-2は電源、例えば電流源(図示せず)に接続される。ある種の実施形態では、隣り合うフレキシブルPCB102上の1本又は複数本の導電コイル状トレース104が、それらフレキシブルPCB102の表面上のコンタクトを介し電気的に接続される。例えば、フレキシブルPCB102-1及び102-2が隣り合っている場合、それらフレキシブルPCB102-1及び102-2上の1個又は複数個のコンタクト(例.図2中のコンタクト202)を介し、1本又は複数本の導電コイル状トレース104-1を1本又は複数本の導電コイル状トレース104-2に、電気的に接続することができる。
【0016】
図2に、ある種の実施形態に従いフレキシブルPCB200及びそれに付随するコネクタ206を示す。図2に示したフレキシブルPCB200はまだ指定形状に曲げられていない。フレキシブルPCB200はフレキシブルPCB102(図1)の例たりうるものであり、これには第1フレキシブルPCB200-1、第2フレキシブルPCB200-2、第3フレキシブルPCB200-3及び第4フレキシブルPCB200-4がある。各フレキシブルPCB200は1本又は複数本の導電コイル状トレース(図示せず)を有している(例.図3A中の導電コイル状トレース302-1、302-2、304-1及び304-2)。第1フレキシブルPCB200-1はコンタクト202を有しており、それを第2フレキシブルPCB200-2上の同様のコンタクト(見えず)に電気的に接触させることで、第1及び第2PCB200-1及び200-2上の導電コイル状トレースを電気的に接続することができる。同様に、第3フレキシブルPCB200-3はコンタクト202を有しており、それを第4フレキシブルPCB200-4上の同様のコンタクト(見えず)に電気的に接触させることで、第3及び第4PCB200-3及び200-4上の導電コイル状トレースを電気的に接続することができる。
【0017】
コネクタ206は、第1フレキシブルPCB200-1に機械的且つ電気的に連結・接続されている第1アーム204-1と、第3フレキシブルPCB200-3に機械的且つ電気的に連結・接続されている第2アーム204-2とを有している。第1アーム204-1はコネクタ108-1の一例たりうるものであり、第2アーム204-2はコネクタ108-2の一例たりうるものである(その逆も可)。ある種の実施形態では、コネクタ206が、第1アーム204-1及び/又は第2アーム204-2を含め、第1フレキシブルPCB200-1及び/又は第3フレキシブルPCB200-3と一体に形成される。コネクタ206はコンタクトパッド208に機械的且つ電気的に連結・接続されており、また、フレキシブルPCB200-1~200-4上の導電コイル状トレースをコンタクトパッド208上のコンタクト210と電気的に結合させる導体(図示せず)を有している(例.図3A中の導体312及び314、図4中のトレース406-1及び406-2)。コネクタ206内のそれらの導体は、導電トレースとすることができる。コンタクト210は電源(例.電流源)に電気的に結合させることができ、従って、フレキシブルPCB200-1~200-4上の導電コイル状トレースをその電源に電気的に結合させることが可能である。
【0018】
ある種の実施形態によれば、これら4枚のフレキシブルPCB200-1~200-4を同じ形状へと曲げ、同心寄添い要領にて互いに差し向かいに(即ち隣り合わせに)配置することで、単一の電磁石(例.図1中の電磁石100)を形成することができる。この例によれば、それら4枚のフレキシブルPCB200-1~200-4上の導電コイル状トレースを直列接続することで、その電流極性を全4枚のフレキシブルPCB200-1~200-4上の導電コイル状トレースで同じとすることができる。第3及び第4フレキシブルPCB200-3及び200-4によって提供される付加的な導電コイル状トレースがあるので、2枚のフレキシブルPCB200-1及び200-2しか用いられていない場合よりも強い電磁石が得られる。
【0019】
他のある種の実施形態によれば、第1及び第2フレキシブルPCB200-1及び200-2を同じ形状へと曲げ、同心寄添い要領にて互いに差し向かいに(即ち隣り合わせに)配置することで、第1電磁石(例.図1中の第1電磁石100)を形成することができる。第3及び第4フレキシブルPCB200-3及び200-4を同じ形状へと曲げ、同心寄添い要領にて互いに差し向かいに(即ち隣り合わせに)配置することで、第1電磁石とは別な第2電磁石(例.図2中の第2電磁石100)を形成することができる。
【0020】
ある種の実施形態では、第1及び第2フレキシブルPCB200-1及び200-2内の導電コイル状トレースが電気的に直列接続され、それによりその電流極性が第1及び第2PCB200-1及び200-2上の導電コイル状トレースで同じとされる。即ち第1及び第2フレキシブルPCB200-1及び200-2により電磁石が形成される。他方、第3フレキシブルPCB200-3内の1本又は複数本の導電コイル状トレースは、第4フレキシブルPCB200-4内の1本又は複数本の導電コイル状トレースと直列接続されない。その代わりに、第3フレキシブルPCB200-3内の1本又は複数本の導電コイル状トレースが、第4フレキシブルPCB200-4内の1本又は複数本の導電コイル状トレースを通る電流の極性とは逆の極性で以て電流を通すように配線される。この構成は、第3及び第4PCB200-3及び200-4の導電コイル状トレースを、コンタクトパッド208上にあり所望極性の電流をもたらす個別的なコンタクト210に電気的に結合させることによって、実現することができる。この構成では、第4フレキシブルPCB200-4内の1本又は複数本の導電コイル状トレースにより生成される磁界が、第3フレキシブルPCB200-3内の1本又は複数本の導電コイル状トレースにより生成される磁界とは逆のものになり、ひいては相殺されることとなろう。同心寄添い要領にて互いに差し向かいに(即ち隣り合わせに)配置された第3及び第4PCB200-3及び200-4のこうした組合せにより、それを用い第1及び第2PCB200-1及び200-2の組合せ(同心寄添い要領にて互いに差し向かいに配置されたもの)に係る熱変動を打ち消せるヒータが得られよう。第1及び第2PCB200-1及び200-2に供給される電流が減少(又は増加)したときに、第3及び第4PCB200-3及び200-4に供給される電流を相応量だけ増加(又は減少)させることで、発熱の変化を打ち消し全体として定常的な加熱をもたらすことができる。定常加熱により、望ましいことに、校正状態を保ちそのシステムの均質な性能を確保することができる。
【0021】
図3Aに、ある種の実施形態に従い、2枚のフレキシブルPCB300-1及び300-2上の導電コイル状トレース、並びにそれら導電コイル状トレース間の電気的接続を示す。フレキシブルPCB300-1及び300-2はフレキシブルPCB200-1及び200-2(図2)、フレキシブルPCB200-3及び200-4(図2)及び/又はフレキシブルPCB102-1及び102-2(図1)の例たりうるものである。フレキシブルPCB300-1及び300-2は、それぞれ、第1側308にある一対の導電コイル状トレース302-1及び302-2と、第2側310にある一対の導電コイル状トレース304-1及び304-2とを有している。第1側308は、絶縁(例.ポリイミド)層(例.図3B中の絶縁層322)により第2側310から分離されている。第1側308の導電コイル状トレース302-1及び302-2は、第1絶縁(例.ポリイミド)カバー層(例.図3B中のカバー層320)により覆われている。同様に、第2側310の導電コイル状トレース304-1及び304-2は、第2絶縁(例.ポリイミド)カバー層(例.図3B中のカバー層324)により覆われている。
【0022】
導電コイル状トレース302及び304は長方形螺旋であり、指定された巻数をそれぞれ有している。長方形螺旋であるので相連なる辺が互いに垂直であり、ほぼ直角で会合している(とはいえ、実施形態によっては幾ばくかの湾曲がその隅部に設けられよう)。図3Aに示した巻数は4であるが、一般に巻数は変えうるものである。例えば、巻数を5、6又はそれ以上とすることもできる。更に、フレキシブルPCB300-1及び300-2それぞれを、第1側308に導電コイル状トレース302が1本しかなく第2側310側に導電コイル状トレース304が1本しかないものとしてもよいし、第1側308に2本超の導電コイル状トレース302があり第2側310側に2本超の導電コイル状トレース304があるものとしてもよい。ある種の実施形態では導電コイル状トレース302及び304が銅とされる。
【0023】
導電コイル状トレース302-1は導電コイル状トレース302-2に電気的に接続されており、その双方が図示の通り1本の長尺トレースによって形成されている。導電コイル状トレース302-1の内端は、ビア306-1を介し導電コイル状トレース304-1の内端に、電気的に接続されている。同様に、導電コイル状トレース302-2の内端は、ビア306-2を介し導電コイル状トレース304-2の内端に、電気的に接続されている。ある種の実施形態ではそれらのビア306-1及び306-2が銅とされる。フレキシブルPCB300-1の導電コイル状トレース304-1の外端は、コンタクト307(例.図2中のコンタクト202)を介しフレキシブルPCB300-2の導電コイル状トレース304-2の外端に、電気的に接続されている。フレキシブルPCB300-2の導電コイル状トレース304-1の外端は、導体312(例.図2中のコネクタ206及び/又は図1中のコネクタ108内の導電トレース、図4中の導電トレース406)に、電気的に接続されている。フレキシブルPCB300-1の導電コイル状トレース304-2の外端は、導体314(例.図2中のコネクタ206及び/又は図1中のコネクタ108内の導電トレース)に、電気的に接続されている。これらの導体312及び314により、それら導体312・314間に直列接続されている導電コイル状トレース302及び304に電流が供給される。図3Aに示したのは導電コイル状トレース302及び304の直列接続の一例であり、他のものにすることも可能である。
【0024】
図3Bに、ある種の実施形態に従いフレキシブルPCB300(例.図3A中のフレキシブルPCB300-1又は300-2)のうち一部分の断面を示す。導電コイル状トレース302(例.図3A中の導電コイル状トレース302-1又は302-2)が、PCB300の第1側に配置されている。導電コイル状トレース304(例.図3A中の導電コイル状トレース304-1又は304-2)が、そのPCB300の第2側に配置されている。絶縁(例.ポリイミド)層322がそのフレキシブルPCB300の中半にあり、導電コイル状トレース302を導電コイル状トレース304から分離している。ビア306により、導電コイル状トレース302が導電コイル状トレース304に、電気的に接続されている。ある種の実施形態では、それら導電コイル状トレース302及び304並びにビア306が銅とされる。絶縁(例.ポリイミド)カバー層320により第1側の導電コイル状トレース302が覆われており、絶縁(例.ポリイミド)カバー層324により第2側の導電コイル状トレース304が覆われている。フレキシブルPCB300は、導電コイル状トレース302及び304を別のフレキシブルPCB上の導電コイル状トレース(例.フレキシブルPCB300の別の実現物に至るそれ)と電気的に接続するための1個又は複数個のコンタクト(見えず)を有している(例.図2中のコンタクト202)。フレキシブルPCB300は、導電コイル状トレース302及び304をコネクタ(例.図2中のコネクタ206、図1中のコネクタ108、図4中のコネクタ404)内導体と電気的に接続するための1個又は複数個のコンタクト(見えず)をも有している。
【0025】
図4に、ある種の実施形態に従い、一対のフレキシブルPCB400-1及び400-2が同心寄添い要領にて指定形状へと曲げられており、ひいてはそのフレキシブルPCB400-2によりフレキシブルPCB400-1が概ね囲まれているシステムを示す。フレキシブルPCB400-1及び400-2は、それぞれ1本又は複数本の導電コイル状トレース(図示せず)を有している。例えば、フレキシブルPCB400-1及び400-2を、フレキシブルPCB102-1及び102-2(図1)、202-1及び202-2(図2)、202-3及び202-4(図2)及び/又は300-1及び300-2(図3A)の実現物とすることができる。フレキシブルPCB400-1及び400-2の1本又は複数本の導電コイル状トレースは、コネクタ404の第1アーム402-1を介しコンタクトパッド408(例.図2中のコンタクトパッド208)に、電気的に接続されている。トレース406-1(例.それに加え第1アーム402-1の見えない側にある別のトレース)を初めとする導電トレースにより、コンタクトパッド408と、フレキシブルPCB400-1及び400-2の導電コイル状トレースとの間に、回路を完成させることができる。そのコネクタは、1本又は複数本の導電トレースを有する第2アーム402-2(例.図2中のアーム204-2)を有しており、その導電トレースのうちトレース406-2(例.それに加え第2アーム402-2の見えない側にある別のトレース)により、例えば図2との関連で記述した第2対のフレキシブルPCB(図示せず)上の導電コイル状トレースに電気的に接続すること、或いはそれに代えフレキシブルPCB400-2上の1本又は複数本の導電コイル状トレースに電気的に接続することができる。
【0026】
図4のシステムは、ある種の実施形態に従い静電デフレクタ(例.図5に示されているそれ)向けの接続リング412をも有している。接続リング412は、その静電コネクタの個々の極(例.図5中の極504)との電気的接続を担うコンタクト414を有している。接続リング412は、コネクタ410を介し(例.コネクタ410内導電トレースを介し)コンタクトパッド408に、電気的に接続されている。コンタクトパッド408を、その静電デフレクタの極をバイアスするための電源(例.電圧源)に結合させることができる。
【0027】
図5に、ある種の実施形態に従い電磁石502及び静電デフレクタが同心配列されているアセンブリ500の断面及び部分斜視外観を示す。本アセンブリ500はウイーンフィルタ(例.電子顕微鏡用のそれ)とすることができる。電磁石502は、導電コイル状トレース付の複数枚のフレキシブルPCBを有している(例.図1中のフレキシブルPCB102-1及び102-2、図2中の200-1、200-2、200-3及び/又は200-4、図3A中の300-1及び300-2、図4中の400-1及び400-2)。それら複数枚のフレキシブルPCBが、個々のフレキシブルPCBが互いに隣り合う同心寄添い要領にて配列されている。静電デフレクタは、それぞれ導電面を有する複数個の極504を有するものとする(例.8極構成を有する静電デフレクタとなるよう8個の極504を有するものとする)。それらの極504は、電磁石502により囲まれている開口内に、放射状に配置されている。これらの極504をバイアスすると、電磁石502により囲まれている開口内で電界が発生する。これらの極504を、それら複数枚のフレキシブルPCBに電流が供給されるのと同時点でバイアスすると、その開口内に同時的な電界及び磁界が発生する。その同時的な電界及び磁界を直交させることができる。接続リング506(例.図4中の接続リング412)には、極504用の導電コンタクト(見えず)が設けられている(例.図4中のコンタクト414)。ネジ508その他の好適な連結機構により、接続リング506がその場で保持されており、且つ個々の導電コンタクトを極504と接触させている。
【0028】
図6Aは、ある種の実施形態に従い複数枚のフレキシブルPCBを用い電磁石(例.図1中の電磁石100、図5中の電磁石502)(或いは実施形態によってはゼロ磁界のデバイス)を製造する600を示すフローチャートである。本方法600では、1本又は複数本の第1導電コイル状トレース(例.図1中の導電コイル状トレース104-1、図3A中の導電コイル状トレース302-1、302-2、304-1及び304-2)を有する第1フレキシブルPCB(例.図1中のフレキシブルPCB102-1、図2中の200-1又は200-3、図3A中の300-1、図4中の400-1)が取得される。ある種の実施形態ではその1本又は複数本の第1導電コイル状トレースが長方形螺旋状トレースとされる(604)。1本又は複数本の第2導電コイル状トレース(例.図1中の導電コイル状トレース104-2、図3A中の導電コイル状トレース302-1、302-2、304-1及び304-2)を有する第2フレキシブルPCB(例.図1中のフレキシブルPCB102-2、図2中の200-2又は200-4、図3A中の300-2、図4中の400-2)も、取得される(606)。ある種の実施形態ではその1本又は複数本の第2導電コイル状トレースが長方形螺旋状トレースとされる(608)。
【0029】
その第1フレキシブルPCBが、少なくとも1個の湾曲部又は隅部を有する形状へと曲げられる(610)。ある種の実施形態ではその形状が円錐台状とされる(612)。その形状の別例としては、これに限られるものではないが、円筒形、楕円形、長方形又は多角形の断面を有する形状がある。ある種の実施形態では、その第1フレキシブルPCBが、その形状を有する取付具の周りに巻き付けることによって曲げられる(614)。この取付具は後に(例.全てのフレキシブルPCBがその形状へと曲げられた後に)取り外される。
【0030】
その上で、第1フレキシブルPCBがその形状に曲がった状態で第2フレキシブルPCBがその形状へと曲げられ(616)、その第2フレキシブルPCBが、第1フレキシブルPCBの隣に位置決めされて(例.同心要領にて)寄り添わされる。ある種の実施形態では、その形状に曲がった状態で、第2フレキシブルPCBが第1フレキシブルPCBに機械的に連結される(618)。例えば、接着剤を用い(620)、第2フレキシブルPCBが第1フレキシブルPCBに装着される。
【0031】
ある種の実施形態では、1本又は複数本の第1導電コイル状トレースが、(例.図2中のコンタクト202を介し、図3A中のコンタクト307を介し)1本又は複数本の第2導電コイル状トレースと電気的に直列接続される(622)。第1及び第2フレキシブルPCBは方法600に従い配列されているので、これにより電磁石が形成される。
【0032】
他のある種の実施形態では、1本又は複数本の第2導電コイル状トレースが、1本又は複数本の第1導電コイル状トレースとは逆極性で以て電流を通す(即ち1本又は複数本の第1導電コイル状トレースが第1極性で以て電流を通し1本又は複数本の第2導電コイル状トレースがその第1極性とは逆の第2極性で以て電流を通す)よう構成される(624)。従って、第1フレキシブルPCBにより生成される磁界が、第2フレキシブルPCBにより生成される磁界を打ち消すこととなるため、ヒータとして機能するゼロ磁界デバイスが得られる。
【0033】
図6Bは、ある種の実施形態に従い本方法600のオプション的継続部分を示すフローチャートである。方法600のこの継続部分では、1本又は複数本の第3導電コイル状トレース(例.図3A中の導電コイル状トレース302-1、302-2、304-1及び304-2)を有する第3フレキシブルPCB(例.図2中のフレキシブルPCB200-3、図3A中のPCB300-1の実現物)が取得される(632)。ある種の実施形態ではその1本又は複数本の第3導電コイル状トレースが長方形螺旋状トレースとされる(634)。1本又は複数本の第4導電コイル状トレース(例.図3A中の導電コイル状トレース302-1、302-2、304-1及び304-2)を有する第4フレキシブルPCB(例.図2中のフレキシブルPCB200-4、図3A中のPCB300-2の実現物)も、取得される(636)。ある種の実施形態ではその1本又は複数本の第4導電コイル状トレースが長方形螺旋状トレースとされる(638)。
【0034】
その上で、第1及び第2フレキシブルPCBがその形状に曲がった状態で第3フレキシブルPCBがその形状へと曲げられ(640)、第3フレキシブルPCBが、第2フレキシブルPCBの隣に位置決めされて第2フレキシブルPCBに(例.同心要領にて)寄り添わされる。ある種の実施形態では、その形状に曲がった状態で、第3フレキシブルPCBが第2フレキシブルPCBに機械的に連結される(642)。例えば、接着剤を用い(644)、第3フレキシブルPCBが第2フレキシブルPCBに装着される。
【0035】
その上で、第1、第2及び第3フレキシブルPCBがその形状に曲がった状態で第4フレキシブルPCBがその形状へと曲げられ(646)、第4フレキシブルPCBが、第3フレキシブルPCBの隣に位置決めされて第3フレキシブルPCBに(例.同心要領にて)寄り添わされる。ある種の実施形態では、その形状に曲がった状態で、第4フレキシブルPCBが第3フレキシブルPCBに機械的に連結される(648)。例えば、接着剤を用い(650)、第4フレキシブルPCBが第3フレキシブルPCBに装着される。
【0036】
ある種の実施形態では、1本又は複数本の第3導電コイル状トレースが(例.図2中のコンタクト202を介し、図3A中のコンタクト307を介し)1本又は複数本の第4導電コイル状トレースと電気的に接続される(652)。例えば、1本又は複数本の第3及び第4導電コイル状トレースが、1本又は複数本の第1及び第2導電コイル状トレースと同極性で以て電流を通すよう構成される(654)(例.1個又は複数個の第1、第2、第3及び第4導電コイルが直列接続される)。それら4枚のフレキシブルPCBは、方法600に従い配列されているので、電磁石が形成される。別例にあっては、1本又は複数本の第3及び第4導電コイル状トレースが、1本又は複数本の第1及び第2導電コイル状トレースと逆極性で以て電流を通す(即ち1本又は複数本の第1及び第2導電コイル状トレースが第1極性で以て電流を通し1本又は複数本の第3及び第4導電コイル状トレースが第1極性とは逆の第2極性で以て電流を通す)よう構成される(656)。従って、第1及び第2フレキシブルPCBにより生成される磁界が、第3及び第4フレキシブルPCBにより生成される磁界を打ち消すこととなるため、ヒータとして機能するゼロ磁界デバイスが得られる。
【0037】
更に他のある種の実施形態では、1本又は複数本の第1及び第2導電コイル状トレースが、同極性で以て電流を通すよう構成され(658)(例.直列接続され)、ひいては方法600に従い配列された第1及び第2フレキシブルPCBにより電磁石が形成される。他方で、1本又は複数本の第3導電コイル状トレースが、1本又は複数本の第4導電コイル状トレースとは逆極性で以て電流を通す(即ち1本又は複数本の第3導電コイル状トレースが第1極性で以て電流を通し1本又は複数本の第4導電コイル状トレースが第1極性とは逆の第2極性で以て電流を通す)よう構成される(658)。第3及び第4フレキシブルPCBは方法600に従い配列されているので、ヒータとして機能するゼロ磁界デバイスがこれにより形成される。このヒータによって、第1及び第2フレキシブルPCBにより形成された電磁石による発熱の変化を打ち消すことができる。
【0038】
本方法600は、より多数又は少数の動作を含むものとすることができる。順序非依存的な動作の順序を変えてもよく、及び/又は、複数個の動作を結合させて単一の動作としてもよい。例えば、ステップ632及び636を、他のあらゆるステップの実行に先立ち、ステップ602及び606と同時に実行してもよい。また例えば、個々のフレキシブルPCBを曲げるステップ、別のPCBに機械的に連結するステップ、及び/又は、別のPCBに電気的に接続するステップを、組み合わせて単一のステップにしてもよい。
【0039】
本方法600、並びに本願開示の如く配列されたフレキシブルPCBによれば、導電コイルを構成する複数個の層を電磁石の態に積層して強い磁界を得ることができ、それでいてなお、その電磁石を所望形状とすることができる。その磁気コイル(即ち導電コイル状トレース)を、くっきりとした隅部を有するもの又はタイトな巻半径を有するものとすることができる。そうした電磁石を、些少な過誤で以て再現性良く製造することができる。
【0040】
以上の記述は説明目的のものであり、具体的な諸実施形態を参照して記述されている。とはいえ、上掲の例証的議論は、開示されている綿密な諸形態に厳格化すること、即ち特許請求の範囲をそれら形態に限定することを企図していない。上掲の教示に鑑み多くの修正及び変形をなすことができる。それら実施形態が選ばれたのは、特許請求の範囲の下地をなす諸原理及びそれらの実際的応用を最も良好に説明するため、ひいては想定されている具体的用途に相応しくそれら実施形態に様々な修正を施したものをいわゆる当業者のうち他の者が最も良好に使用しうるようにするためである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
【国際調査報告】